JP2018058111A - 溶融処理用ワイヤおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】析出強化型Ni基超耐熱合金でなる溶融処理用ワイヤと、その製造方法を提供する。
【解決手段】全体として、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上となる析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤであって、この溶融処理用ワイヤは、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となる成分組成を有する素線に、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となり、かつ上記の素線とは異なる成分組成を有する素材が組み合わされた一体構造を有する溶融処理用ワイヤである。そして、この溶融処理用ワイヤの製造方法である。
【選択図】図1
【解決手段】全体として、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上となる析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤであって、この溶融処理用ワイヤは、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となる成分組成を有する素線に、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となり、かつ上記の素線とは異なる成分組成を有する素材が組み合わされた一体構造を有する溶融処理用ワイヤである。そして、この溶融処理用ワイヤの製造方法である。
【選択図】図1
Description
本発明は、溶接や3次元造形といった材料の溶融を伴う各種溶融処理において、その溶融材料に用いることができる溶融処理用ワイヤと、その製造方法に関する。
従来、航空機エンジンや発電用ガスタービン等の構成部品には、耐熱性に優れる「Ni基超耐熱合金」が多く用いられている。Ni基超耐熱合金は、強化メカニズムにより「マトリックス強化型(例えば、JIS−G−4901のNCF600、NCF601等)」と、Al、Ti、Nbなど金属間化合物の析出による「析出強化型(例えば、JIS−G−4901のNCF718、713C等)」とがある。
航空機エンジンや発電用ガスタービン等のエネルギー効率を向上させるために、燃焼温度を上げることが求められている。これに伴い、これら用途の構成部品材料であるNi基超耐熱合金には、より優れた耐熱性、つまり、より高い温度で強度を維持できる高温強度特性が求められている。そして、析出強化型Ni基超耐熱合金において、高温強度を向上させるには、Ni3Al、Ni3Ti、Ni3(TiAl)等で代表的に表記される金属間化合物の析出強化相である「ガンマプライム(γ’)」の量を増やすことが最も有効である。航空機エンジンや発電用ガスタービン等の構成部品材料には、ガンマプライム析出量が多いNi基合金が使われる傾向にある。
航空機エンジンや発電用ガスタービン等のエネルギー効率を向上させるために、燃焼温度を上げることが求められている。これに伴い、これら用途の構成部品材料であるNi基超耐熱合金には、より優れた耐熱性、つまり、より高い温度で強度を維持できる高温強度特性が求められている。そして、析出強化型Ni基超耐熱合金において、高温強度を向上させるには、Ni3Al、Ni3Ti、Ni3(TiAl)等で代表的に表記される金属間化合物の析出強化相である「ガンマプライム(γ’)」の量を増やすことが最も有効である。航空機エンジンや発電用ガスタービン等の構成部品材料には、ガンマプライム析出量が多いNi基合金が使われる傾向にある。
上記の構成部品が、その使用過程で摩耗したり損傷したりすると、その欠陥箇所は、肉盛溶接といった溶融処理によって補修されている。このとき、補修に用いられる溶融材料には、上記の構成部品と同じ成分組成であるか、または、これに近い成分組成の「溶融処理用ワイヤ」が用いられている(特許文献1、2)。
また、タービンブレード等の複雑形状を有するNi基超耐熱合金製の部品の場合、その製造手段に「3次元造形」を適用することにより、ニアネット成形、短納期、高歩留りに利点があり、実用化が進んでいる。そして、この3次元造形においても、上記の「溶融処理用ワイヤ」の供給が求められている。
また、タービンブレード等の複雑形状を有するNi基超耐熱合金製の部品の場合、その製造手段に「3次元造形」を適用することにより、ニアネット成形、短納期、高歩留りに利点があり、実用化が進んでいる。そして、この3次元造形においても、上記の「溶融処理用ワイヤ」の供給が求められている。
今後、より優れた高温強度特性を付与するために、析出強化型Ni基超耐熱合金のガンマプライム析出量は、さらに増える傾向にある。しかし、析出強化型Ni基超耐熱合金の組織中に占める、このガンマプライムの比率が高くなるにしたがい、析出強化型Ni基超耐熱合金の塑性加工性は著しく低下する。そして、このようなガンマプライムの比率が高い成分組成を有する析出強化型Ni基超耐熱合金をワイヤ形状に加工することは、極めて難しくなる。
本発明の目的は、ガンマプライムの比率が高い析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤと、その製造方法を提供することにある。
本発明の目的は、ガンマプライムの比率が高い析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤと、その製造方法を提供することにある。
本発明は、全体として、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上となる析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤであって、この溶融処理用ワイヤは、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となる成分組成を有する素線に、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となり、かつ上記の素線とは異なる成分組成を有する素材が組み合わされた一体構造を有する溶融処理用ワイヤである。
好ましくは、上記の素線と異なる成分組成を有する素材が、素線またはコーティング膜である溶融処理用ワイヤである。
また、好ましくは、全体として、Al:2.0〜8.0質量%、Ti:0.4〜7.0質量%を含む析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤである。
好ましくは、上記の素線と異なる成分組成を有する素材が、素線またはコーティング膜である溶融処理用ワイヤである。
また、好ましくは、全体として、Al:2.0〜8.0質量%、Ti:0.4〜7.0質量%を含む析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤである。
そして、本発明は、析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤの製造方法であって、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となる成分組成を有する材料を塑性加工して素線を得る第一の工程と、この第一の工程で得た素線に、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となり、かつ上記の素線とは異なる成分組成を有する素材を組み合わせて、一体構造のワイヤを得る第二の工程とを有し、この第二の工程で得た一体構造のワイヤが、全体として、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上となる析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤの製造方法である。
好ましくは、上記の素線と異なる成分組成を有する素材が、素線またはコーティング膜である溶融処理用ワイヤの製造方法である。
また、好ましくは、上記の一体構造のワイヤが、全体として、Al:2.0〜8.0質量%、Ti:0.4〜7.0質量%を含む析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤの製造方法である。
好ましくは、上記の素線と異なる成分組成を有する素材が、素線またはコーティング膜である溶融処理用ワイヤの製造方法である。
また、好ましくは、上記の一体構造のワイヤが、全体として、Al:2.0〜8.0質量%、Ti:0.4〜7.0質量%を含む析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤの製造方法である。
本発明によれば、本来、塑性加工が困難な析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤを、効率的に製造することができる。
(1)本発明の溶融処理用ワイヤは、全体として、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上となる析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有するものである。
本発明の溶融処理用ワイヤは、後述する通り、「成分組成が互いに異なる複数の「素材(raw material)」が組み合わされてなるもの」である。なお、本発明の溶融処理用ワイヤにおいて、上記の素材の概念には、後述する「素線(raw wire)」の形状のものが含まれている。そして、この複数の素材が組み合わされてなる溶融処理用ワイヤの“全体としての”成分組成は、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上となる析出強化型Ni基超耐熱合金のものである。
本発明の溶融処理用ワイヤは、その溶融処理前の状態において、複数の素材毎に独立した“個々の成分組成”を有している。そして、溶融処理によって、溶融処理用ワイヤの全体が溶融すると、この溶融処理後に、上記の溶融したワイヤの全体が凝固して形成された「処理部」は、上記の複数の素材が有する成分組成が化学的に合わさった“ひとつの成分組成”となる。そして、上記の処理部が有している、ひとつの成分組成が、つまり、構成部品の成分組成となることから、本発明の溶融処理用ワイヤは、上記の処理部が優れた高温強度特性を有するために、その全体としての成分組成が、ガンマプライムの平衡析出量が高いものとなる必要がある。
本発明の溶融処理用ワイヤは、後述する通り、「成分組成が互いに異なる複数の「素材(raw material)」が組み合わされてなるもの」である。なお、本発明の溶融処理用ワイヤにおいて、上記の素材の概念には、後述する「素線(raw wire)」の形状のものが含まれている。そして、この複数の素材が組み合わされてなる溶融処理用ワイヤの“全体としての”成分組成は、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上となる析出強化型Ni基超耐熱合金のものである。
本発明の溶融処理用ワイヤは、その溶融処理前の状態において、複数の素材毎に独立した“個々の成分組成”を有している。そして、溶融処理によって、溶融処理用ワイヤの全体が溶融すると、この溶融処理後に、上記の溶融したワイヤの全体が凝固して形成された「処理部」は、上記の複数の素材が有する成分組成が化学的に合わさった“ひとつの成分組成”となる。そして、上記の処理部が有している、ひとつの成分組成が、つまり、構成部品の成分組成となることから、本発明の溶融処理用ワイヤは、上記の処理部が優れた高温強度特性を有するために、その全体としての成分組成が、ガンマプライムの平衡析出量が高いものとなる必要がある。
そして、ひとつの成分組成を有したNi基超耐熱合金の中で、上記のガンマプライムの平衡析出量は、温度によって変化する。そして、ガンマプライムの平衡析出量は、ガンマプライム析出開始温度(ガンマプライムソルバス温度)から温度が下がると共に、最小値から増加していって、一般的には、概ね700℃以下で温度依存性が小さくなる(略一定値となる)。よって、Ni基超耐熱合金のガンマプライムの平衡析出量は、上記の「700℃」のときの値を基準とすることで、その全体的なガンマプライムの析出量の傾向(高温強度特性の傾向)を把握することができる(工業的利用の上で、Ni基超耐熱合金のガンマプライム量を論じるときに、その700℃における量を基準とすることが多いのは、そのためである)。そして、本発明の場合、全体としての成分組成で、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上となる溶融処理用ワイヤを対象とする。
本発明の溶融処理用ワイヤにおいて、上記の700℃におけるガンマプライムの平衡析出量は、好ましくは50モル%以上である。そして、より好ましくは60モル%以上である。なお、この値の上限を設けることは、特に要しない。但し、75モル%程度が現実的である。
本発明の溶融処理用ワイヤにおいて、上記の700℃におけるガンマプライムの平衡析出量は、好ましくは50モル%以上である。そして、より好ましくは60モル%以上である。なお、この値の上限を設けることは、特に要しない。但し、75モル%程度が現実的である。
析出強化型Ni基超耐熱合金のガンマプライムの平衡析出量とは、熱力学的な平衡状態において安定なガンマプライムの析出量のことである。そして、このガンマプライムの平衡析出量を「モル%」で表した値は、析出強化型Ni基超耐熱合金が有する成分組成で決めることができる値である。この平衡析出量の「モル%」の値は、熱力学平衡計算による解析で求めることができる。そして、熱力学平衡計算による解析の場合、各種の熱力学平衡計算ソフトを用いることで、精度よく、かつ、容易に求めることができる。
700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が「40モル%以上」の析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成として、例えば、Al:2.0〜8.0質量%、Ti:0.4〜7.0質量%を含むものが好ましい(以下、「質量%」の表記について、単に「%」と表記する)。析出強化型Ni基超耐熱合金中のAlおよびTiは、ガンマプライムの主要形成元素であり、Niと金属間化合物を形成して、金属組織中のガンマプライム相の比率を高める元素(すなわち、溶融処理後の処理部の耐熱性を高める元素)である。
<Al:2.0〜8.0%>
Alは、Ni基超耐熱合金の金属組織中に析出強化相であるガンマプライム相を形成して、溶融処理後の処理部(以下、単に「処理部」と記す)の高温強度を向上させる元素である。しかし、Alが多すぎると、高温状態における処理部の金属組織が不安定になる。よって、Alは、2.0〜8.0%とすることが好ましい。より好ましくは3.0%以上である。さらに好ましくは4.0%以上である。特に好ましくは5.5%以上である。また、より好ましくは7.5%以下である。さらに好ましくは7.0%以下である。特に好ましくは6.5%以下である。
Alは、Ni基超耐熱合金の金属組織中に析出強化相であるガンマプライム相を形成して、溶融処理後の処理部(以下、単に「処理部」と記す)の高温強度を向上させる元素である。しかし、Alが多すぎると、高温状態における処理部の金属組織が不安定になる。よって、Alは、2.0〜8.0%とすることが好ましい。より好ましくは3.0%以上である。さらに好ましくは4.0%以上である。特に好ましくは5.5%以上である。また、より好ましくは7.5%以下である。さらに好ましくは7.0%以下である。特に好ましくは6.5%以下である。
<Ti:0.4〜7.0%>
Tiは、Alと同様、金属組織中にガンマプライム相を形成して、処理部の高温強度を向上させる元素である。しかし、Tiが多すぎると、高温状態における処理部の金属組織が不安定となる。よって、Tiは、0.4〜7.0%とすることが好ましい。より好ましくは0.5%以上である。さらに好ましくは0.6%以上である。また、より好ましくは6.0%以下である。さらに好ましくは5.0%以下である。よりさらに好ましくは3.0%以下である。特に好ましくは1.0%以下である。
Tiは、Alと同様、金属組織中にガンマプライム相を形成して、処理部の高温強度を向上させる元素である。しかし、Tiが多すぎると、高温状態における処理部の金属組織が不安定となる。よって、Tiは、0.4〜7.0%とすることが好ましい。より好ましくは0.5%以上である。さらに好ましくは0.6%以上である。また、より好ましくは6.0%以下である。さらに好ましくは5.0%以下である。よりさらに好ましくは3.0%以下である。特に好ましくは1.0%以下である。
そして、一具体例として、例えば、C:0.250%以下、Cr:8.0〜22.0%、Mo:2.0〜7.0%、Al:2.0〜8.0%、Ti:0.4〜7.0%、残部Niおよび不純物でなる基本的な成分組成が挙げられる。
<C:0.250%以下>
Cは、処理部の金属組織の結晶粒界の強度を高める効果を有する。しかし、Cが多すぎると、処理部の金属組織に粗大な炭化物が形成されて、強度が低下する。よって、Cの含有量は、0.250%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.150%以下である。さらに好ましくは0.110%以下である。よりさらに好ましくは0.050%以下である。特に好ましくは0.020%以下である。また、Cを含有することで上記の効果を得る場合、Cの含有量は、好ましくは0.001%以上である。より好ましくは0.003%以上である。さらに好ましくは0.005%以上である。特に好ましくは0.010%以上である。
一方、Cを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Cの下限を0%とすることができる。
Cは、処理部の金属組織の結晶粒界の強度を高める効果を有する。しかし、Cが多すぎると、処理部の金属組織に粗大な炭化物が形成されて、強度が低下する。よって、Cの含有量は、0.250%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.150%以下である。さらに好ましくは0.110%以下である。よりさらに好ましくは0.050%以下である。特に好ましくは0.020%以下である。また、Cを含有することで上記の効果を得る場合、Cの含有量は、好ましくは0.001%以上である。より好ましくは0.003%以上である。さらに好ましくは0.005%以上である。特に好ましくは0.010%以上である。
一方、Cを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Cの下限を0%とすることができる。
<Cr:8.0〜22.0%>
Crは、処理部の耐酸化性、耐食性を向上させる元素である。しかし、Crが多すぎると、処理部の金属組織にシグマ(σ)相等の脆化相が多く形成されて、処理部の強度が低下する。よって、Crは、8.0〜22.0%とすることが好ましい。より好ましくは9.0%以上である。さらに好ましくは9.5%以上である。特に好ましくは10.0%以上である。また、より好ましくは18.0%以下である。さらに好ましくは16.0%以下である。よりさらに好ましくは14.0%以下である。特に好ましくは13.0%以下である。
Crは、処理部の耐酸化性、耐食性を向上させる元素である。しかし、Crが多すぎると、処理部の金属組織にシグマ(σ)相等の脆化相が多く形成されて、処理部の強度が低下する。よって、Crは、8.0〜22.0%とすることが好ましい。より好ましくは9.0%以上である。さらに好ましくは9.5%以上である。特に好ましくは10.0%以上である。また、より好ましくは18.0%以下である。さらに好ましくは16.0%以下である。よりさらに好ましくは14.0%以下である。特に好ましくは13.0%以下である。
<Mo:2.0〜7.0%>
Moは、金属組織のマトリックスにおける固溶強化に寄与し、処理部の高温強度を向上させることができる元素である。しかし、Moが多すぎると、ラーベス相等の脆性金属間化合物相が形成されて、処理部の高温強度が低下する。よって、Moは、2.0〜7.0%とすることが好ましい。より好ましくは2.5%以上である。さらに好ましくは3.0%以上である。特に好ましくは3.5%以上である。また、より好ましくは6.0%以下である。さらに好ましくは5.0%以下である。特に好ましくは4.0%以下である。
Moは、金属組織のマトリックスにおける固溶強化に寄与し、処理部の高温強度を向上させることができる元素である。しかし、Moが多すぎると、ラーベス相等の脆性金属間化合物相が形成されて、処理部の高温強度が低下する。よって、Moは、2.0〜7.0%とすることが好ましい。より好ましくは2.5%以上である。さらに好ましくは3.0%以上である。特に好ましくは3.5%以上である。また、より好ましくは6.0%以下である。さらに好ましくは5.0%以下である。特に好ましくは4.0%以下である。
そして、上記の基本的な成分組成において、さらに、必要に応じて、Co:28.0%以下、W:6.0%以下、Nb:4.0%以下、Ta:3.0%以下、Fe:10.0%以下、V:1.2%以下、Hf:1.0%以下、B:0.300%以下、Zr:0.30%以下のうちから選択される1種または2種以上の元素種を含有することができる。
<Co:28.0%以下>
Coは、処理部の金属組織の靱性や、高温での安定性を改善する。しかし、Coは、高価である上に、多すぎると、Co系の脆性金属間化合物を生成する。よって、Coは、必要に応じて、28.0%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは18.0%以下である。さらに好ましくは16.0%以下である。特に好ましくは13.0%以下である。また、Coを含有することで上記の効果を得る場合、Coの含有量は、好ましくは1.0%以上である。より好ましくは3.0%以上である。さらに好ましくは8.0%以上である。特に好ましくは10.0%以上である。
一方、Coを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Coの下限を0%とすることができる。そして、Coを1.0%未満とすることができる。
Coは、処理部の金属組織の靱性や、高温での安定性を改善する。しかし、Coは、高価である上に、多すぎると、Co系の脆性金属間化合物を生成する。よって、Coは、必要に応じて、28.0%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは18.0%以下である。さらに好ましくは16.0%以下である。特に好ましくは13.0%以下である。また、Coを含有することで上記の効果を得る場合、Coの含有量は、好ましくは1.0%以上である。より好ましくは3.0%以上である。さらに好ましくは8.0%以上である。特に好ましくは10.0%以上である。
一方、Coを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Coの下限を0%とすることができる。そして、Coを1.0%未満とすることができる。
<W:6.0%以下>
Wは、Moと同様、マトリックスの固溶強化に寄与する選択元素である。そして、Moと複合添加することで、より高い固溶強化効果を発揮することができる。しかし、Wが多すぎると、ラーベス相等の脆性金属間化合物相が形成されて、処理部の高温強度が低下する。よって、Wは、必要に応じて、6.0%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは5.5%以下である。さらに好ましくは5.0%以下である。特に好ましくは4.5%以下である。また、Wを含有することで上記の効果を得る場合、Wの含有量は、好ましくは0.8%以上である。より好ましくは1.0%以上である。
一方、Wを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Wの下限を0%とすることができる。そして、Wを1.0%未満とすることができ、さらには0.8%未満とすることができる。
Wは、Moと同様、マトリックスの固溶強化に寄与する選択元素である。そして、Moと複合添加することで、より高い固溶強化効果を発揮することができる。しかし、Wが多すぎると、ラーベス相等の脆性金属間化合物相が形成されて、処理部の高温強度が低下する。よって、Wは、必要に応じて、6.0%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは5.5%以下である。さらに好ましくは5.0%以下である。特に好ましくは4.5%以下である。また、Wを含有することで上記の効果を得る場合、Wの含有量は、好ましくは0.8%以上である。より好ましくは1.0%以上である。
一方、Wを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Wの下限を0%とすることができる。そして、Wを1.0%未満とすることができ、さらには0.8%未満とすることができる。
<Nb:4.0%以下>
Nbは、AlやTiと同様、ガンマプライム相を形成して、処理部の高温強度を高めることができる選択元素である。しかし、Nbが多すぎると、処理部の金属組織中にデルタ(δ)相を形成して、Tiによる高温強度の向上効果を阻害する。よって、Nbは、必要に応じて、4.0%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは3.5%以下である。さらに好ましくは3.0%以下である。特に好ましくは2.5%以下である。また、Nbを含有することで上記の効果を得る場合、Nbの含有量は、好ましくは0.5%以上である。より好ましくは1.0%以上である。さらに好ましくは1.5%以上である。特に好ましくは2.0%以上である。
一方、Nbを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Nbの下限を0%とすることができる。そして、Nbを0.5%未満とすることができる。
Nbは、AlやTiと同様、ガンマプライム相を形成して、処理部の高温強度を高めることができる選択元素である。しかし、Nbが多すぎると、処理部の金属組織中にデルタ(δ)相を形成して、Tiによる高温強度の向上効果を阻害する。よって、Nbは、必要に応じて、4.0%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは3.5%以下である。さらに好ましくは3.0%以下である。特に好ましくは2.5%以下である。また、Nbを含有することで上記の効果を得る場合、Nbの含有量は、好ましくは0.5%以上である。より好ましくは1.0%以上である。さらに好ましくは1.5%以上である。特に好ましくは2.0%以上である。
一方、Nbを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Nbの下限を0%とすることができる。そして、Nbを0.5%未満とすることができる。
<Ta:3.0%以下>
Taは、AlやTiと同様、ガンマプライム相を形成して、処理部の高温強度を高めることができる選択元素である。しかし、Taが多すぎると、ガンマプライム相が高温で不安定になり、高温強度の向上効果が得られ難くなる。よって、Taは、必要に応じて、3.0%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは2.5%以下である。さらに好ましくは2.0%以下である。特に好ましくは1.5%以下である。また、Taを含有することで上記の効果を得る場合、Taの含有量は、好ましくは0.3%以上である。より好ましくは0.5%以上である。さらに好ましくは0.7%以上である。特に好ましくは1.0%以上である。
一方、Taを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Taの下限を0%とすることができる。そして、Taを0.3%未満とすることができる。
Taは、AlやTiと同様、ガンマプライム相を形成して、処理部の高温強度を高めることができる選択元素である。しかし、Taが多すぎると、ガンマプライム相が高温で不安定になり、高温強度の向上効果が得られ難くなる。よって、Taは、必要に応じて、3.0%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは2.5%以下である。さらに好ましくは2.0%以下である。特に好ましくは1.5%以下である。また、Taを含有することで上記の効果を得る場合、Taの含有量は、好ましくは0.3%以上である。より好ましくは0.5%以上である。さらに好ましくは0.7%以上である。特に好ましくは1.0%以上である。
一方、Taを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Taの下限を0%とすることができる。そして、Taを0.3%未満とすることができる。
<Fe:10.0%以下>
Feは、高価なNiやCoの代替として用いることができる選択元素であり、合金コストの低減に有効である。しかし、Feが多すぎると、組織中にラーベス(Laves)相等の脆化相を形成して、強度が低下する。よって、Feは、必要に応じて、10.0%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは9.0%以下である。さらに好ましくは8.0%以下である。よりさらに好ましくは6.0%以下である。特に好ましくは3.0%以下である。また、Feを含有することで上記の効果を得る場合、NiやCoの含有量と代替させたFeの含有量は、例えば、0.1%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.4%以上である。さらに好ましくは0.6%以上である。特に好ましくは0.8%以上である。
一方、Feを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Feの下限を0%とすることができる。そして、Feを0.1%未満とすることができる。
Feは、高価なNiやCoの代替として用いることができる選択元素であり、合金コストの低減に有効である。しかし、Feが多すぎると、組織中にラーベス(Laves)相等の脆化相を形成して、強度が低下する。よって、Feは、必要に応じて、10.0%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは9.0%以下である。さらに好ましくは8.0%以下である。よりさらに好ましくは6.0%以下である。特に好ましくは3.0%以下である。また、Feを含有することで上記の効果を得る場合、NiやCoの含有量と代替させたFeの含有量は、例えば、0.1%以上とすることが好ましい。より好ましくは0.4%以上である。さらに好ましくは0.6%以上である。特に好ましくは0.8%以上である。
一方、Feを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Feの下限を0%とすることができる。そして、Feを0.1%未満とすることができる。
<V:1.2%以下>
Vは、マトリックスの固溶強化、および、炭化物の生成による粒界強化に有用な選択元素である。しかし、Vが多すぎると、処理部の金属組織中に不安定な金属間化合物が形成されて、高温強度が低下する。よって、Vは、必要に応じて、1.2%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは1.0%以下である。さらに好ましくは0.8%以下である。特に好ましくは0.7%以下である。また、Vを含有することで上記の効果を得る場合、Vの含有量は、好ましくは0.1%以上である。より好ましくは0.2%以上である。さらに好ましくは0.3%以上である。特に好ましくは0.5%以上である。
一方、Vを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Vの下限を0%とすることができる。そして、Vを0.1%未満とすることができる。
Vは、マトリックスの固溶強化、および、炭化物の生成による粒界強化に有用な選択元素である。しかし、Vが多すぎると、処理部の金属組織中に不安定な金属間化合物が形成されて、高温強度が低下する。よって、Vは、必要に応じて、1.2%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは1.0%以下である。さらに好ましくは0.8%以下である。特に好ましくは0.7%以下である。また、Vを含有することで上記の効果を得る場合、Vの含有量は、好ましくは0.1%以上である。より好ましくは0.2%以上である。さらに好ましくは0.3%以上である。特に好ましくは0.5%以上である。
一方、Vを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Vの下限を0%とすることができる。そして、Vを0.1%未満とすることができる。
<Hf:1.0%以下>
Hfは、処理部の耐酸化性の向上、および、炭化物の生成による粒界強化に有用な選択元素である。しかし、Hfが多すぎると、処理部の金属組織中に酸化物が生成されて、合金の機械的特性に害を及ぼす。よって、Hfは、必要に応じて、1.0%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは0.8%以下である。さらに好ましくは0.7%以下である。よりさらに好ましくは0.5%以下である。特に好ましくは0.3%以下である。また、Hfを含有することで上記の効果を得る場合、Hfの含有量は、好ましくは0.02%以上である。より好ましくは0.05%以上である。さらに好ましくは0.1%以上である。特に好ましくは0.15%以上である。
一方、Hfを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Hfの下限を0%とすることができる。そして、Hfを0.02%未満とすることができる。
Hfは、処理部の耐酸化性の向上、および、炭化物の生成による粒界強化に有用な選択元素である。しかし、Hfが多すぎると、処理部の金属組織中に酸化物が生成されて、合金の機械的特性に害を及ぼす。よって、Hfは、必要に応じて、1.0%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは0.8%以下である。さらに好ましくは0.7%以下である。よりさらに好ましくは0.5%以下である。特に好ましくは0.3%以下である。また、Hfを含有することで上記の効果を得る場合、Hfの含有量は、好ましくは0.02%以上である。より好ましくは0.05%以上である。さらに好ましくは0.1%以上である。特に好ましくは0.15%以上である。
一方、Hfを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Hfの下限を0%とすることができる。そして、Hfを0.02%未満とすることができる。
<B:0.300%以下>
Bは、金属組織の粒界強度を向上させて、処理部のクリープ強度、延性を改善する元素である。しかし、Bが多すぎると、処理部の融点が少なからず低下して、高温強度に悪影響を及ぼす。よって、Bは、必要に応じて、0.300%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは0.200%以下である。さらに好ましくは0.100%以下である。よりさらに好ましくは0.080%以下である。特に好ましくは0.020%以下である。また、Bを含有することで上記の効果を得る場合、Bの含有量は、好ましくは0.001%以上である。より好ましくは0.003%以上である。さらに好ましくは0.005%以上である。特に好ましくは0.007%以上である。
一方、Bを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Bの下限を0%とすることができる。そして、Bを0.001%未満とすることができる。
Bは、金属組織の粒界強度を向上させて、処理部のクリープ強度、延性を改善する元素である。しかし、Bが多すぎると、処理部の融点が少なからず低下して、高温強度に悪影響を及ぼす。よって、Bは、必要に応じて、0.300%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは0.200%以下である。さらに好ましくは0.100%以下である。よりさらに好ましくは0.080%以下である。特に好ましくは0.020%以下である。また、Bを含有することで上記の効果を得る場合、Bの含有量は、好ましくは0.001%以上である。より好ましくは0.003%以上である。さらに好ましくは0.005%以上である。特に好ましくは0.007%以上である。
一方、Bを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Bの下限を0%とすることができる。そして、Bを0.001%未満とすることができる。
<Zr:0.30%以下>
Zrは、Bと同様、処理部の金属組織の粒界強度を向上させる元素である。しかし、Zrが多すぎると、やはり、処理部の融点が少なからず低下して、高温強度に悪影響を及ぼす。よって、Zrは、必要に応じて、0.30%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは0.25%以下である。さらに好ましくは0.20%以下である。特に好ましくは0.15%以下である。また、Zrを含有することで上記の効果を得る場合、Zrの含有量は、好ましくは0.001%以上である。より好ましくは0.005%以上である。さらに好ましくは0.01%以上である。特に好ましくは0.03%以上である。
一方、Zrを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Zrの下限を0%とすることができる。そして、Zrを0.001%未満とすることができる。
Zrは、Bと同様、処理部の金属組織の粒界強度を向上させる元素である。しかし、Zrが多すぎると、やはり、処理部の融点が少なからず低下して、高温強度に悪影響を及ぼす。よって、Zrは、必要に応じて、0.30%以下の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは0.25%以下である。さらに好ましくは0.20%以下である。特に好ましくは0.15%以下である。また、Zrを含有することで上記の効果を得る場合、Zrの含有量は、好ましくは0.001%以上である。より好ましくは0.005%以上である。さらに好ましくは0.01%以上である。特に好ましくは0.03%以上である。
一方、Zrを無添加レベル(原料の不純物レベル)としてもよい場合、Zrの下限を0%とすることができる。そして、Zrを0.001%未満とすることができる。
(2)本発明の溶融処理用ワイヤは、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となる成分組成を有する素線に、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となり、かつ上記の素線とは異なる成分組成を有する素材が組み合わされた一体構造を有するものである。
本発明の溶融処理用ワイヤは、その溶融処理後において、処理部が「700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上」の析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有することから、溶融処理後の“製品”として優れた耐熱性を示すものである。しかし、この一方で、上記の「700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上」の成分組成を有する合金は、塑性加工性が乏しく、ワイヤに加工するのは困難であった。
つまり、析出強化型Ni基超耐熱合金の熱間塑性加工は、通常、上記のガンマプライムが固溶する固溶温度(ガンマプライムソルバス温度)から、この析出強化型Ni基超耐熱合金の固相線温度までの間の「温度領域」で行われる。このとき、ガンマプライムの比率が高い成分組成を有する析出強化型Ni基超耐熱合金は、上記のガンマプライムソルバス温度が高く、その一方で、上記の固相線温度が低い。そのため、塑性加工が可能な温度領域が狭い。そして、特に、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40%以上の析出強化型Ni基超耐熱合金ともなると、塑性加工が可能な、上記の温度領域は殆どなくなり、事実上、塑性加工が困難である。
つまり、析出強化型Ni基超耐熱合金の熱間塑性加工は、通常、上記のガンマプライムが固溶する固溶温度(ガンマプライムソルバス温度)から、この析出強化型Ni基超耐熱合金の固相線温度までの間の「温度領域」で行われる。このとき、ガンマプライムの比率が高い成分組成を有する析出強化型Ni基超耐熱合金は、上記のガンマプライムソルバス温度が高く、その一方で、上記の固相線温度が低い。そのため、塑性加工が可能な温度領域が狭い。そして、特に、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40%以上の析出強化型Ni基超耐熱合金ともなると、塑性加工が可能な、上記の温度領域は殆どなくなり、事実上、塑性加工が困難である。
従来、塑性加工が難しいとされる成分組成を有した溶融処理用ワイヤは、例えば、これと同じ成分組成を有する溶湯を“直接”数ミリ径の線材に鋳込んで、そして、必要に応じて、この線材に軽度の塑性加工を実施して、作製されていた(特許文献1)。このような直接鋳造の手法によるワイヤの場合、その作製に特殊な鋳型や冷却装置等が必要となる。また、ワイヤ内には、鋳造欠陥が残留しやすく、脆性的であることから、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40%以上の析出強化型Ni基超耐熱合金となると、例えば、3mm以下といった細いワイヤを作製するのは困難である。さらに、巻線(コイル)にできる程の長さを確保し難いことから、溶融処理時にワイヤを連続的に供給することができず(ワイヤを頻繁に交換する必要があり)、溶融処理に係る生産性が低い。
そこで、本発明では、この「700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上」である溶融処理用ワイヤを、効率的に得る手法を検討した。その結果、溶融処理用ワイヤは、どのみち、溶融処理後には、化学的に合わさった“ひとつの成分組成”になることを考えれば、その溶融処理前の「ワイヤ」の時点においては、上記化学的に合わさったひとつの成分組成である必要はない。そして、この溶融処理前のワイヤの時点においては、それが、全体としては「700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上となる」析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有しているのであれば、成分組成が互いに異なる複数の素材が“一体構造的に”組み合わさってさえいればよい。
よって、目標とする溶融処理用ワイヤの“全体としての”成分組成を、それぞれが塑性加工の容易な(つまり、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が低い)複数の成分組成に分割して、この複数の成分組成を有した複数の素材を組み合わせて一体構造のワイヤにすれば、目標とする成分組成を有した溶融処理用ワイヤを作製できる。そして、上記した複数の素材のうちの、一部の素材か、または、全部の素材を、塑性加工で得た「素線」として、この素線と残る素材とを、例えば、この素線の長手方向に沿うように一体構造に組み合わせれば、本来、製造が困難な析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有した溶融処理用ワイヤを、効率的に作製できる。
よって、目標とする溶融処理用ワイヤの“全体としての”成分組成を、それぞれが塑性加工の容易な(つまり、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が低い)複数の成分組成に分割して、この複数の成分組成を有した複数の素材を組み合わせて一体構造のワイヤにすれば、目標とする成分組成を有した溶融処理用ワイヤを作製できる。そして、上記した複数の素材のうちの、一部の素材か、または、全部の素材を、塑性加工で得た「素線」として、この素線と残る素材とを、例えば、この素線の長手方向に沿うように一体構造に組み合わせれば、本来、製造が困難な析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有した溶融処理用ワイヤを、効率的に作製できる。
そして、上記した全体としての成分組成を複数に分割するときに、本発明で重要となるのが、その分割するときの成分組成の配分の決定である。つまり、それぞれの素材の有する成分組成の決定である。素材の有する成分組成が「700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上」のものであると、この素材の一部を「素線」の形状で提供するときに、その素線すらも塑性加工で作製することが困難となる。この場合、分割しない場合と変わりなく、析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤを効率的に作製できない。したがって、本発明に係る複数の素材のそれぞれは、上記の素線で提供するものも含めて、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0%以上40モル%未満となる成分組成を有する。上記したそれぞれの素材のうちの1つまたは2つ以上について、その平衡析出量の値は、好ましくは20モル%以下である。より好ましくは10モル%以下である。さらに好ましくは5モル%以下である。この好ましい平衡析出量の値は、上記の素材が、特に「素線」であるときに、効果的に作用する。
各素材の700℃におけるガンマプライムの平衡析出量を0モル%以上40モル%未満にすることによって、これら各素材の塑性加工性を十分に確保することができるので、各素材の一部または全部を「素線」として提供するときに、効果的である。これら各素材のガンマプライム量を上記の「40モル%」から低くする程、各素材の塑性加工性が向上する。なお、上記の「0モル%」については、後述する、Al、Tiといった金属や、これら金属の合金等、そもそも「ガンマプライムが形成される」という概念自体がない場合を含んでいる。
各素材の700℃におけるガンマプライムの平衡析出量を0モル%以上40モル%未満にすることによって、これら各素材の塑性加工性を十分に確保することができるので、各素材の一部または全部を「素線」として提供するときに、効果的である。これら各素材のガンマプライム量を上記の「40モル%」から低くする程、各素材の塑性加工性が向上する。なお、上記の「0モル%」については、後述する、Al、Tiといった金属や、これら金属の合金等、そもそも「ガンマプライムが形成される」という概念自体がない場合を含んでいる。
全体としての成分組成を複数に分割するとき、その成分組成の配分の手法に別段の決まりはない。例えば、上記した素材の一つひとつについて、それらの成分組成を、目標とする溶融処理用ワイヤの成分組成を構成する元素種に対応した「金属単体のもの」とすることも、原理上可能である。但し、各々の成分組成によって別けられた「素材の種類」を少なくすることで、これら素材を“一本の溶融処理用ワイヤに”組み合わせる作業が容易となる。そして、溶融処理後の処理部の成分組成を均一化しやすい。よって、素材の種類は、7種類以下が好ましい。より好ましくは4種類以下、さらに好ましくは3種類以下である。最も好ましくは2種類である。
そして、成分組成の分割の仕方の一例として、例えば、その分割されたそれぞれの成分組成が、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0%以上40モル%未満のものであるなら、このそれぞれの成分組成は、Niでなる「基礎成分」と、Cr、Mo、Al、Ti等の添加元素が単独でまたは複合されてなる「補完成分」とに別けることができる。このとき、上記の基礎成分について、これに一部の添加元素が含まれたもの(例えば、合金化されたもの)でもよい。これについては、それぞれの成分組成を有した複数の素材を一本の溶融処理用ワイヤに組み合わせるときに、その素材の形状や数等(素線であれば、その線径や本数等)に応じて、全体としての成分組成を目標とする成分組成に合わせやすいように、調整すればよい。
そして、上述の成分組成の配分の手法として好ましいのが、全体としての成分組成から専らガンマプライムを形成する「ガンマプライム形成元素」を減じることで、これをガンマプライムの形成を抑制した「基礎成分」とし、この減じた分のガンマプライム形成元素の含有量を補完できる成分組成を「補完成分」として、これら基礎成分と補完成分とをそれぞれ有した素材を準備して組み合わせる手法である。
具体例を説明すると、まず、全体としての成分組成(つまり、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上となる析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成)が、組織中にガンマプライムを形成しやすいのは、その成分組成が、例えば、AlやTiといった「ガンマプライム形成元素」を多く含んでいるからである。よって、成分組成の配分は、上記の全体としての成分組成からAlまたはTiを減じた成分組成を「基礎成分」とし、この減じた分のAlまたはTiの含有量を補完する成分組成を「補完成分」とするのが、合理的であり、かつ、効率的である。このとき、上記の基礎成分については、全体としての成分組成のうち、Alを「0%以上2.0%未満」に、または、Tiを「0%以上0.8%未満」に調整したものとすることが好ましい(つまり、これらのAlまたはTiの含有量を有したNi基合金である)。より好ましくは、Alを「0%以上2.0%未満」、および、Tiを「0%以上0.8%未満」の両方に調整したものである。Alについて、より好ましくは1.0%以下であり、さらに好ましくは0.8%以下である。Tiについて、より好ましくは0.7%以下であり、さらに好ましくは0.5%以下である。そして、上記の補完成分については、AlやAl合金、TiやTi合金、TiAl合金等の成分組成とすることが好ましい。
具体例を説明すると、まず、全体としての成分組成(つまり、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上となる析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成)が、組織中にガンマプライムを形成しやすいのは、その成分組成が、例えば、AlやTiといった「ガンマプライム形成元素」を多く含んでいるからである。よって、成分組成の配分は、上記の全体としての成分組成からAlまたはTiを減じた成分組成を「基礎成分」とし、この減じた分のAlまたはTiの含有量を補完する成分組成を「補完成分」とするのが、合理的であり、かつ、効率的である。このとき、上記の基礎成分については、全体としての成分組成のうち、Alを「0%以上2.0%未満」に、または、Tiを「0%以上0.8%未満」に調整したものとすることが好ましい(つまり、これらのAlまたはTiの含有量を有したNi基合金である)。より好ましくは、Alを「0%以上2.0%未満」、および、Tiを「0%以上0.8%未満」の両方に調整したものである。Alについて、より好ましくは1.0%以下であり、さらに好ましくは0.8%以下である。Tiについて、より好ましくは0.7%以下であり、さらに好ましくは0.5%以下である。そして、上記の補完成分については、AlやAl合金、TiやTi合金、TiAl合金等の成分組成とすることが好ましい。
そして、素材の一部を「素線」として提供する本発明の場合、上記の基礎成分を有する素材を「素線」として提供することが好ましい。一般的に、素線は、ビレット等の材料(stock material)を出発材料として、これに塑性加工を行って作製することが効率的である。そして、上記の基礎成分を有する素線であれば、これと同じ成分組成を有するビレット等の材料は塑性加工性に優れるので、本発明の溶融処理用ワイヤの製造方法における第一の工程で、この材料を塑性加工することで、素線を容易に作製することができる。そして、この場合、素線の線径を、例えば、0.1mm以上5.0mm未満とすることができる。さらには、この線径が3.0mm未満、果ては1.0mm未満の素線を得ることも可能である。
なお、上記の補完成分を有する素材については、これまでを「素線」として提供することを要しない。つまり、本発明の溶融処理用ワイヤの製造方法において、素材どうしを組み合わせて一体構造のワイヤを得る第二の工程で、例えば、上記の基礎成分を有する素線を溶融処理用ワイヤの「芯線」として準備し、この芯線の表面に上記の補完成分を有する素材を、めっきや蒸着といった各種コーティング処理によって被覆したコーティング膜とすることが考えられる。そして、この場合において、素材の一部を「素線」として提供することは、例えば、その素線を上記の芯線として機能させることができることから、上記した第二の工程で、素材どうしの一体構造化に要する工数の低減等の点で有利である。また、上記した芯線の表面に、成分組成を補完する上記の素材を“均一に(均等な厚さに)”形成できるので、溶融処理用ワイヤの全体としての成分組成を均一化しやすい。
また、上記の基礎成分を有する素材と同様、補完成分を有する素材も「素線」の形状で提供することができる。つまり、上記の補完成分を有する素材であっても、やはり、これと同じ成分組成を有するビレット等の材料は塑性加工性に優れるので、この材料を塑性加工することで、上記の補完成分を有する素線を容易に作製することができる。そして、この場合、素線の線径を、例えば、0.1mm以上5.0mm未満とすることができる。さらには、この線径が3.0mm未満、果ては1.0mm未満の素線を得ることも可能である。そして、上記した第二の工程で、上記の基礎成分を有する素線と、上記の補完成分を有する素線とを、組み合わせて、一体構造のワイヤを得ることが考えられる。つまり、成分組成が互いに異なる複数の素線が組み合わされた一体構造を有する溶融処理用ワイヤであり、この複数の素線のそれぞれが、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となる成分組成を有する溶融処理用ワイヤである。
上記の場合において、素材の全部を「素線」として提供することは、例えば、その素材としてのハンドリング性が高まることから、上記した第二の工程で、素材どうしの一体構造化に要する工数の低減等の点で有利である。また、それぞれの素線毎に決まった成分組成を有しているので、上記した第二の工程で、溶融処理用ワイヤの全体としての成分組成を調整しやすい。
上記の場合において、素材の全部を「素線」として提供することは、例えば、その素材としてのハンドリング性が高まることから、上記した第二の工程で、素材どうしの一体構造化に要する工数の低減等の点で有利である。また、それぞれの素線毎に決まった成分組成を有しているので、上記した第二の工程で、溶融処理用ワイヤの全体としての成分組成を調整しやすい。
上記の補完成分を有する素線について、例えば、AlやTiの素線は、自ら作製すること以外に、市販品を入手することも容易である。そして、この市販品は、様々な線径(形状)が準備されている。よって、市販品を素線として使用するときには、全体としての成分組成を目標とするものに合わせやすいように、市販品の素線の線径(形状)や本数等を選択することで、溶融処理用ワイヤの製造に掛かる工数やコスト等をさらに削減することが可能であり、製造効率のさらなる向上が期待できる。
本発明における「複数」の素材は、その互いの成分組成が異なることについて、素材自体の数が制限されるものではない。つまり、全体としての成分組成を、例えば“2つ”の成分組成に分割したときは、素材の数は最低で「2つ」である。このとき、素材が「素線」であるならば、素線の数は最低で「2本」である。そして、この2つの素材に、どちらか一方か、または、両方の素材と同じ成分組成の素材を加えれば、素材の数は3つや、4つ以上となる。
本発明における「素線」は、その形状について、組み合わされた後の「溶融処理用ワイヤ」の長さ方向に長いものであること以外に、制限されるものではない。例えば、線状である他に、フープ状、リボン状等であることが考えられる。
本発明における「素線」は、その形状について、組み合わされた後の「溶融処理用ワイヤ」の長さ方向に長いものであること以外に、制限されるものではない。例えば、線状である他に、フープ状、リボン状等であることが考えられる。
本発明における「素材(または、素線)が組み合わされた一体構造」とは、素材どうしが「物理的に結着された構造」のことであり、つまり、素材どうしの成分組成が「化学的に独立している構造」である。例えば図1の(a)に示すように、素線の表面に、めっき層や蒸着層等の形態でなる素材を被覆した構造である。または図1の(b)に示すように、素線どうしを、その長さ方向に撚り合わせた(絡めた)構造である。または図1の(c)に示すように、素線の周囲を、フープやリボン等で巻いて覆った構造である。また図1の(d)に示すように、フープやリボンどうしを、例えば、その長さ方向に絡め合わせる等して、線状に仕上げた構造であってもよい。そして、この組み合わせる工程(つまり、上述の第二の工程)において、それぞれの素材や素線は、塑性加工性(曲げ加工性)に優れるので、上述のような構造に仕上げることが容易である。
素材(または、素線)の数や形状、素材どうしの組み合わせ構造等については、複数の素材を一本の溶融処理用ワイヤに組み合わせるときに、全体としての成分組成を目標とするものに合わせやすいように、選択すればよい。
本発明であれば、例えば、ワイヤ径が0.2〜5.0mmといった、細い溶融処理用ワイヤを提供することが可能である。さらには、ワイヤ径が3.0mm以下、果ては1.0mm以下といった、極めて細い溶融処理用ワイヤを提供することも可能である。なお、このとき、溶融処理用ワイヤが、素線どうしを撚り合わせた構造等の、ワイヤ径を定め難い構造のものであるなら、その溶融処理用ワイヤの断面積を求めて、その断面積を有する円の直径をワイヤ径としてもよい。
本発明であれば、例えば、ワイヤ径が0.2〜5.0mmといった、細い溶融処理用ワイヤを提供することが可能である。さらには、ワイヤ径が3.0mm以下、果ては1.0mm以下といった、極めて細い溶融処理用ワイヤを提供することも可能である。なお、このとき、溶融処理用ワイヤが、素線どうしを撚り合わせた構造等の、ワイヤ径を定め難い構造のものであるなら、その溶融処理用ワイヤの断面積を求めて、その断面積を有する円の直径をワイヤ径としてもよい。
全体としての成分組成が「713C合金(表1)」の規格値を満足する溶融処理用ワイヤを製造した。なお、713C合金の700℃におけるガンマプライムの平衡析出量を、熱力学平衡計算ソフト「JMatPro(Version8.0.1,Sente Software Ltd.社製)」を用いて求めた。この熱力学平衡計算ソフトに、表1に列挙された各元素の含有量を入力して計算した結果、表1の成分組成の範囲において、下限が68モル%、上限が70モル%であった。
まず、表1の成分組成を分割したときの「基礎成分」として、表2の成分組成を有する合金Aを準備した。合金Aは、表1の成分組成から「Al成分」を除いたNi基合金である(Co、W、Ta、V、Hf、B、Zrは不純物元素であるため、Co≦28.0%、W≦6.0%、Ta≦3.0%、V≦1.2%、Hf≦1.0%、B≦0.300%、Zr≦0.30%であった)。そして、合金Aの700℃におけるガンマプライムの平衡析出量を、上記と同じ熱力学平衡計算ソフト(JMatPro)を用いて計算した結果、平衡析出量は「ゼロ」モル%であった。そして、合金Aでなる直径100mmのビレットに、分塊鍛造、ロール圧延、冷間伸線等の塑性加工を行うことで、線径が0.50mmの素線Aを作製することができた(第一の工程)。
一方、表1の成分組成を分割したときの「補完成分」として、Alの成分組成を有する金属Bを準備した。Alは、「ガンマプライムが形成される」という概念自体がない、塑性加工性に富んだ金属である。そして、本実施例においては、線径が0.28mmの、市販のAl線を準備して、これを素線Bとした。
そして、上記の素線Aと素線Bとを撚り合わせるときに、この撚り合わせた後のワイヤの全体としての成分組成が、計算上、「713C合金(表1)」の規格値を満足するものとなるように、素線Aと素線Bとの組み合わせ条件を選定した。そして、この選定した条件を用いた結果として、素線Aが5本、素線Bが3本の組み合わせで、素線Aと素線Bとを撚り合わせたことで、本発明の一体構造の溶融処理用ワイヤを作製することができた(第二の工程)。溶融処理用ワイヤの長さは1mであり、ワイヤ径は1.22mmであった。
この溶融処理用ワイヤから長さ5mmの試料を採取し、これを溶融処理して凝固物(処理部)とした後、その凝固物の成分組成を分析した。結果を表3に示す。表3の成分組成は、表1に示した713C合金の規格値を満たした(Co、W、Ta、V、Hf、B、Zrは不純物元素であるため、Co≦28.0%、W≦6.0%、Ta≦3.0%、V≦1.2%、Hf≦1.0%、B≦0.300%、Zr≦0.30%であった)。
この溶融処理用ワイヤから長さ5mmの試料を採取し、これを溶融処理して凝固物(処理部)とした後、その凝固物の成分組成を分析した。結果を表3に示す。表3の成分組成は、表1に示した713C合金の規格値を満たした(Co、W、Ta、V、Hf、B、Zrは不純物元素であるため、Co≦28.0%、W≦6.0%、Ta≦3.0%、V≦1.2%、Hf≦1.0%、B≦0.300%、Zr≦0.30%であった)。
実施例1と同様、全体としての成分組成が「713C合金(表1)」の規格値を満足する溶融処理用ワイヤを製造した。
まず、表1の成分組成を分割したときの「基礎成分」として、表2の成分組成を有する合金Aを準備した。そして、この合金Aを材料に用いて、線径が1.10mmの素線Cを作製した(第一の工程)。そして、この素線Cの表面にAlでなる素材をめっきコーティングするときに、このめっきコーティング後のワイヤの全体としての成分組成が、計算上、「713C合金(表1)」の規格値を満足するものとなるように、めっき層の条件を選定した。そして、この選定した条件を用いた結果として、素線Cの表面に、厚さが約0.1mmのAlのめっき層でなるコーティング膜を形成させて、本発明の溶融処理用ワイヤを作製することができた(第二の工程)。このとき、めっき処理は、無電解めっき法によって行った。そして、めっきコーティング後の溶融処理用ワイヤの長さは1mであり、ワイヤ径は約1.3mmであった。
上記の溶融処理用ワイヤから長さ5mmの試料を採取し、これを溶融処理して凝固物(処理部)とした。そして、その凝固物の成分組成は、表1に示した713C合金の規格値を満たした(Co、W、Ta、V、Hf、B、Zrは不純物元素であるため、Co≦28.0%、W≦6.0%、Ta≦3.0%、V≦1.2%、Hf≦1.0%、B≦0.300%、Zr≦0.30%であった)。
まず、表1の成分組成を分割したときの「基礎成分」として、表2の成分組成を有する合金Aを準備した。そして、この合金Aを材料に用いて、線径が1.10mmの素線Cを作製した(第一の工程)。そして、この素線Cの表面にAlでなる素材をめっきコーティングするときに、このめっきコーティング後のワイヤの全体としての成分組成が、計算上、「713C合金(表1)」の規格値を満足するものとなるように、めっき層の条件を選定した。そして、この選定した条件を用いた結果として、素線Cの表面に、厚さが約0.1mmのAlのめっき層でなるコーティング膜を形成させて、本発明の溶融処理用ワイヤを作製することができた(第二の工程)。このとき、めっき処理は、無電解めっき法によって行った。そして、めっきコーティング後の溶融処理用ワイヤの長さは1mであり、ワイヤ径は約1.3mmであった。
上記の溶融処理用ワイヤから長さ5mmの試料を採取し、これを溶融処理して凝固物(処理部)とした。そして、その凝固物の成分組成は、表1に示した713C合金の規格値を満たした(Co、W、Ta、V、Hf、B、Zrは不純物元素であるため、Co≦28.0%、W≦6.0%、Ta≦3.0%、V≦1.2%、Hf≦1.0%、B≦0.300%、Zr≦0.30%であった)。
Claims (6)
- 全体として、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上となる析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤであって、
前記溶融処理用ワイヤは、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となる成分組成を有する素線に、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となり、かつ前記素線とは異なる成分組成を有する素材が組み合わされた一体構造を有することを特徴とする溶融処理用ワイヤ。 - 前記素線と異なる成分組成を有する素材が、素線またはコーティング膜であることを特徴とする請求項1に記載の溶融処理用ワイヤ。
- 全体として、Al:2.0〜8.0質量%、Ti:0.4〜7.0質量%を含む析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有することを特徴とする請求項1または2に記載の溶融処理用ワイヤ。
- 析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有する溶融処理用ワイヤの製造方法であって、
700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となる成分組成を有する材料を塑性加工して素線を得る第一の工程と、
前記素線に、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が0モル%以上40モル%未満となり、かつ前記素線とは異なる成分組成を有する素材を組み合わせて一体構造のワイヤを得る第二の工程とを有し、
前記一体構造のワイヤが、全体として、700℃におけるガンマプライムの平衡析出量が40モル%以上となる析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有することを特徴とする溶融処理用ワイヤの製造方法。 - 前記素線と異なる成分組成を有する素材が、素線またはコーティング膜であることを特徴とする請求項4に記載の溶融処理用ワイヤの製造方法。
- 前記一体構造のワイヤが、全体として、Al:2.0〜8.0質量%、Ti:0.4〜7.0質量%を含む析出強化型Ni基超耐熱合金の成分組成を有することを特徴とする請求項4または5に記載の溶融処理用ワイヤの製造方法。
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