JP2018057375A - 幹細胞様細胞の調製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規の幹細胞様細胞を調製する方法を実現する。【解決手段】動物の組織に対して、非平衡プラズマを照射するプラズマ照射工程を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、幹細胞様細胞の調製方法に関する。
脳の損傷部位の治療法、並びに大脳皮質の保護及び再生、うつ病等の精神疾患の新しい予防及び治療法が必要とされている。成熟した脳は一度損傷を受けると神経細胞が新生することはなく、一生後遺症を抱えたまま過ごさなければならないと考えられていた。しかし、昨今、成熟した脳においても場所や条件によっては新しい神経細胞が生み出され得ることが明らかになっている。
そこで、側脳室の脳室下帯等の領域に存在する神経幹細胞や前駆細胞を利用して体外で増殖及び分化させた後に、再度損傷した脳の領域に移植する方法の開発が検討されている。また、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を神経細胞に分化させて移植することも検討されている。
損傷を受けた大脳皮質への神経再生方法としては、例えば、成人から取得した骨髄間葉幹細胞に、一時的にNotch1遺伝子を導入して、まわりの神経細胞を保護する能力を高めた細胞(SB623)を移植する方法がある(非特許文献1)。
また、ニューロスフェアを作製し、ニューロスフェアから分化した神経細胞を得る方法がある。例えば、神経幹細胞は側脳室周囲に多く存在することが知られている側脳室周囲から取得した組織からニューロスフェアを作製する方法が報告されている(非特許文献2)。
また、外科的な処置により脳虚血などの病態モデルを作製し、当該病態モデルの大脳皮質からニューロスフェアを作製し得ることも報告されている(非特許文献3)。
中枢神経系の細胞への種々の分化誘導法としては、例えば、特許文献1には、N−アセチル−D−マンノサミンの存在下で多能性幹細胞又は神経前駆細胞を培養し、オレキシンニューロンを分化誘導する方法が開示されている。
特許文献2には、神経幹細胞や前駆細胞を選択的に認識することにより、神経幹細胞や前駆細胞を効率的に分離しうる新規モノクローナル抗体が開示されている。また、このモノクローナル抗体を用いてヒトの脳組織から神経幹細胞や前駆細胞を効率的に分離できることが記載されている。
特許文献3には、実質的に純粋なヒト網膜前駆細胞培養物、前脳前駆細胞培養物、網膜色素上皮細胞培養物、及びそれらの製造方法が開示されている。
特許文献4には、低分子BMP阻害剤の存在下で多能性幹細胞を培養することを含む、多能性幹細胞から神経前駆細胞を分化誘導する方法が開示されている。
特許文献5には、多能性幹細胞の凝集塊を、Wntシグナル阻害剤及びTGFβシグナル阻害剤の存在下で浮遊培養することにより、終脳マーカー陽性凝集塊を得て、更に当該終脳マーカー陽性凝集塊を、高酸素分圧条件下で更に浮遊培養することにより、哺乳動物の多能性幹細胞から、より成熟した終脳又はその前駆組織をインビトロで誘導する方法が開示されている。
非特許文献4には、HMGA(high mobility group A)遺伝子を導入した神経系前駆細胞からニューロンが形成されることが開示されている。
また、特許文献6には、凍結保存した神経幹細胞を含んでいる、治療用途に適する組成物が開示されている。
国際公開第2013/047773号公報(2013年 4月 4日公開) 特開2004−2350号公報(2004年 1月 8日公開) 特表2013−502234号公報(2013年 1月24日公表) 特表2013−501502号公報(2013年 1月17日公表) 国際公開第2015/076388号公報(2015年 5月28日公開) 特表2012−510986号公報(2012年 5月17日公表)
Aleksandra Glavaski-Joksimovic, Tamas Virag, Thomas A. Mangatu, Michael McGrogan, Xue Song Wang, and Martha C. Bohn, "Glial Cell Line-Derived Neurotrophic Factor-Secreting Genetically Modified Human Bone Marrow-Derived Mesenchymal Stem Cells Promote Recovery in a Rat Model of Parkinson’s Disease", Journal of Neuroscience Research 2010, 88:2669-2681. Gil-Perotin S, et al. "Adult Neural Stem Cells From the Subventricular Zone: A Review of the Neurosphere Assay", The Anatomical Record. 2013, 296:1435-1452 Nakagomi T, et al. "Isolation and characterization of neural stem/progenitor cells from post-stroke cerebral cortex in mice", European Journal of Neuroscience. 2009, 29: 1842-1852 Kishi Y et. al.,"HMGA regulates the global chromatin state and neurogenic potential in neocortical precursor cells", Nature Neuroscience.15: 1127-1133, 2012
しかしながら、従来の方法では、幹細胞を調製するために、細胞への遺伝子導入や脳虚血モデルを作製することが必要である。非特許文献2に記載の方法では、細胞への遺伝子導入や病態モデルの作製は不要であるが、幹細胞の調製に利用できるのは、幹細胞が密に存在する脳内のごく一部の領域(海馬歯状回や側脳室周囲)に限られている。
また、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から神経細胞を分化誘導することも試みられているが、iPS細胞を作製するためには、細胞への遺伝子導入が必要である。また、iPS細胞から目的の神経細胞だけに分化させることは容易ではなく、増殖細胞の移植によるがん化等の課題もある。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、新規の幹細胞様細胞を調製する方法を実現することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係る幹細胞様細胞の調製方法は、動物の組織に対して、非平衡プラズマを照射するプラズマ照射工程を含む方法である。
本発明は、組織から幹細胞様細胞を調製する新規な方法を提供することが出来るという効果を奏する。
本発明の実施例で使用した大気圧非平衡プラズマ装置の概略の構成を示す図である。 本発明の実施例で行ったラットの脳組織への大気圧プラズマ照射方法を説明する図である。 本発明の実施例で使用したプラズマ照射による水の温度変化の測定方法及び測定結果を示す図である。 本発明の実施例1の結果を示し、プラズマ照射後の脳組織片を蛍光免疫組織染色した結果を示す図である。 本発明の実施例で行ったスフェアの形成方法を説明する図である。 本発明の実施例1の結果を示し、接着培養後の細胞を蛍光免疫組織染色した結果を示す図である。 本発明の実施例1の結果を示し、プラズマ照射3日後の大脳皮質を5〜7日間接着培養を行なった後、3日間又は7日間浮遊培養した後の細胞を光学顕微鏡下で観察した結果を示す図である。 本発明の実施例1の結果を示し、プラズマ照射3日後の大脳皮質について、5〜7日間接着培養を行なった後、1週間浮遊培養した後に、ニューロンへの分化誘導試験を行ったスフェアの蛍光免疫組織染色の結果を示す図である。 本発明の実施例1の結果を示し、プラズマ照射3日後の大脳皮質を2週間浮遊培養した後のスフェアの蛍光免疫組織染色の結果を示す図である。 本発明の実施例1の結果を示し、プラズマ照射3日後の皮膚の蛍光免疫組織染色の結果を示す図である。 本発明の実施例1の結果を示し、プラズマ照射3日後の大脳皮質について、5〜7日間接着培養を行なった後、1週間浮遊培養した後に、アストロサイト又はオリゴデンドロサイトへの分化誘導試験を行ったスフェアの蛍光免疫組織染色の結果を示す図である。 本発明の実施例2の結果を示し、プラズマ照射3日後のマウス大脳皮質を5〜7日間接着培養を行なった後、3日間、5日間又は7日間浮遊培養した後の細胞を位相差顕微鏡下で観察した結果を示す図である。 本発明の実施例3の結果を示し、プラズマ照射3日後のラット大脳皮質について、接着培養後、浮遊培養後及び分化誘導後の細胞を位相差顕微鏡下で観察した結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上、B以下」を意味する。
本発明に係る幹細胞様細胞の調製方法は、動物の組織に対して、非平衡プラズマを照射するプラズマ照射工程を含む構成である。
本発明の一態様に係る幹細胞様細胞の調製方法では、上記プラズマ照射工程においてプラズマが照射された上記組織の一部又は全部を、生体外で培養する培養工程をさらに含んでいてもよい。
ここで、本明細書において、上記「幹細胞様細胞」は、自己複製能と分化能とを有している細胞が意図される。上記「幹細胞様細胞」は、胚性幹細胞(ES細胞)や人工多能性幹細胞(iPS細胞)の様に、複数の細胞種に分化可能な分化多能性(pluripotency)を有していている細胞であってもよく、体性幹細胞の様に、特定の細胞種にのみ分化可能な細胞であってもよい。
本発明の一実施形態において、上記「幹細胞様細胞」は、Sox2、Oct4及びNG2の少なくとも一つが陽性の細胞であり得る。
NG2(neuron-glial antigen 2)は、cspg4(コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4)とも称される。NG2は、グリア前駆細胞マーカー、ペリサイトマーカー又は幼若なグリア細胞のマーカーとして知られている(参考文献1:Trotter J, Karram K, Nishiyama A. NG2 cells: Properties, progeny and origin. Brain Research Reviews 63:72-82, 2010)。
Sox2は、SRY-related HMG-box(SOX)ファミリーに属する転写因子である。Sox2は、ES細胞、TS細胞又は神経幹細胞のマーカーとして知られている(参考文献2:Maucksch C, Jones KS, Connor B. Concise review: the involvement of SOX2 in direct reprogramming of induced neural stem/ precursor cells. Stem Cells Transl Med: 579-583, 2013)。
Oct4は、POUファミリーに属する転写因子であり、Oct3/4とも称される。Oct4は、ES細胞及び未分化性のマーカーとして知られている(参考文献3:Shi G,Jin Y. Role of Oct4 in maintaining and regaining stem cell pluripotency. Stem Cell Res Ther 1:39, 2010)。
一実施形態において、上記「幹細胞様細胞」は、Sox2及びOct4の両方が陽性の細胞であり得る。また、別の実施形態において、上記「幹細胞様細胞」は、Sox2、Oct4及びNG2の全てが陽性の細胞であり得る。
対象細胞がSox2、Oct4及びNG2の少なくとも一つが陽性の細胞であることは、Sox2、Oct4又はNG2に対して特異的に結合する抗体を用いた公知の免疫学的手法(例えば、免疫組織化学染色等)により確認することができる。また、対象細胞におけるSox2、Oct4又はNG2の遺伝子の発現を、公知の遺伝子工学的手法(例えば、RT−PCR等)によって確認してもよい。
(1.プラズマ照射工程)
プラズマ照射工程は、動物の組織に対して、非平衡プラズマを照射する工程である。上記「非平衡プラズマ」は、電子の温度がイオン及び中性粒子よりも高いプラズマをいう。具体的には、電子温度が5000〜20000K(0.5〜2.0eV)であるのに対して、イオン及び中性粒子の温度が300〜1000Kであるプラズマをいう。尚、熱統計分布として1eVは、〜11600Kに相当する。
上記「非平衡プラズマ」は、大気圧非平衡プラズマであってもよく、低圧非平衡プラズマであってもよく、真空非平衡プラズマであってもよい。「大気圧非平衡プラズマ」とは、大気圧下(〜1.0気圧)で発生させた非平衡プラズマである。「低圧非平衡プラズマ」とは、低圧下(10−5〜10−1気圧)で発生させた非平衡プラズマである。「真空非平衡プラズマ」とは、真空下(10−7〜10−5気圧)で発生させた非平衡プラズマである。大気圧下でプラズマを照射することができるため照射が容易であることから、大気圧非平衡プラズマであることが好ましい。大気圧プラズマは、プラズマが大気中に放出されるため、放電用ガスのプラズマが大気中の酸素及び窒素と反応して、酸素ラジカルや窒素ラジカルを発生させる。
プラズマ照射工程において、動物の組織に対して、非平衡プラズマを照射する方法は特に限定されないが、照射対象の動物の組織の温度の上昇を伴わないようにプラズマを照射することが好ましい。ここで、「照射対象の動物の組織の温度の上昇を伴わないようにプラズマを照射する」とは、プラズマ照射された動物の組織の表面温度の上昇が、プラズマ照射前と比較して0〜10℃(好ましくは、0〜5℃)の範囲内となるようにプラズマを照射することをいう。「照射対象の動物の組織の温度の上昇を伴わない」プラズマ照射条件は、例えば、後述する実施例に示したような、プラズマ照射した水の温度を測定する方法によって決定することができる。かかる方法によって水の温度上昇現象が捉えられないプラズマ照射条件は、組織の温度上昇をもたらさない照射条件であると言える。
また、プラズマ照射工程において、照射対象の動物の組織の表面温度は、室温(27℃)〜42℃に保たれることが好ましく、36〜39℃に保たれることがより好ましい。
プラズマ照射工程では、プラズマは、プラズマ照射ヘッドと動物の組織との間に所定の間隔をおいた状態で照射されることが好ましい。プラズマ照射ヘッドと動物の組織との間に所定の間隔をおくことにより、照射対象の動物の組織(照射対象組織)の温度の上昇を伴わないようにプラズマを照射することができる。プラズマ照射ヘッドと動物の組織との間の間隔は、プラズマヘッド先端から形成されるプラズマ化したジェット流(プラズマジェット)の長さ、プラズマ照射時間等によって決定される。プラズマジェットの先端が照射対象組織と接しないように、プラズマ照射ヘッドと動物の組織との間の間隔を置いた状態で照射することが好ましい。これにより、プラズマ照射中の照射対象組織の温度の上昇を抑制することができる。
プラズマの照射条件は、プラズマ発生装置の種類等に応じて適宜設定することができる。例えば、後述する実施例では、マイクロホロー放電形式のヘリウム大気圧非平衡プラズマ発生装置を使用している。そして、照射対象組織の上面の上方2.5cmの位置に、プラズマヘッド先端を固定し、ヘッド内部にAC60Hzピーク電圧7kVの交流高電圧のヘリウムガス放電により、ガス流量2.5L/分として、60秒間のプラズマ照射を行っている。この場合、発光スペクトルに見られる水素原子β線のシュタルク拡がり幅の解析から(シュタルク法)によって、2.2×1015cm−3の電子密度がヘッド内部で生成していると見積もられる。
プラズマ発生装置におけるプラズマの放電形式としては、マイクロホロー放電以外に、例えば、コロナ放電、誘電体バリア放電、RF放電、マイクロ波放電、アーク放電等を採用することができる。
マイクロホロー放電形式の大気圧非平衡プラズマ発生装置としては、例えば、特開2013−153995号公報、特開2013−214377号公報等に開示された大気圧プラズマ発生装置を使用することができる。
プラズマ放電用ガス種としては、ヘリウムガス(He)以外に、例えば、アルゴンガス(Ar)、ネオンガス(Ne)、クリプトンガス(Kr)、キセノンガス(Xe)等の希ガス、ならびに、窒素ガス(N)、合成大気(N/O)を使用することができる。
プラズマの放電形式が変わると、プラズマ発生装置のプラズマヘッド内部で生成する電子密度が変化する。例えば、上述した照射条件のマイクロホロー放電形式のヘリウム大気圧非平衡プラズマ発生装置では、2.2×1015cm−3の電子密度がヘッド内部で生成すると見積もられる。これに対して、公知のコロナ放電などでは、約10cm−3であり、誘電体バリア放電(DBD)では、約1013cm−3である。よって、マイクロホロー放電形式は、他の放電形式と比較してより高いプラズマ密度を供することができるため好ましい。
マイクロホロー放電形式のヘリウム大気圧非平衡プラズマ発生装置以外の放電形式のプラズマ発生装置を採用する場合は、(i)照射対象とする生体組織中に発生あるいはもたらされるラジカル分子やイオンの種類、量および濃度勾配、(ii)温度条件、(iii)組織を流れる電流を考慮して、照射時間、ガス流量等を適宜調整すればよい。より具体的には、例えば、プラズマ照射対象組織上の照射位置における電圧が、20msにわたり時間平均をとって3kV以下(好ましくは2kV以下)の範囲内となり、プラズマ照射対象組織上の照射位置における電流が、20msにわたり時間平均をとって0.1mA(好ましくは0.5mA以下)の範囲となるように照射位置を決め、照射時間、ガス流量等を適宜調整すればよい。プラズマ照射対象組織上の照射位置における電圧および電流は、プラズマ照射対象組織上の照射位置に設置された導電電極を用いて計測することができる。
一実施形態において、例えば、2.0〜2.5L/分(2.0〜2.5slm)の流量のヘリウムガスを、60秒間照射することができる。尚、上記単位「slm」は、標準(1気圧0℃)リットル(L)毎分の意味である。
本発明において、プラズマ照射の対象となる「組織」の種類、由来等は特に限定されず、任意の組織を利用することができる。組織の種類としては、例えば、神経組織、上皮組織、結合組織、筋組織、腎臓組織、肝臓組織、毛根組織等であり得る。上記神経組織としては、例えば、中枢神経組織(例えば、大脳皮質、小脳等)、末梢神経組織等であり得る。上記上皮組織としては、例えば、表皮、消化管粘膜組織等であり得る。上記結合組織としては、例えば、真皮、脂肪組織等であり得る。上記筋組織としては、例えば、心筋組織、骨格筋組織、平滑筋組織等であり得る。
組織が由来する動物種についても特に限定されないが、細胞療法/組織療法等の産業上の利用を考慮すると哺乳類(哺乳動物)由来の組織が好ましい。また、哺乳動物の種類は特に限定されないが、非ヒト哺乳動物又はヒトであり得る。非ヒト哺乳動物としては、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヒトを除く霊長類等の実験動物;イヌ、ネコ等のコンパニオンアニマル;ウシ、ウマ等の家畜;等が挙げられる。特に臨床応用においてはヒト由来の組織が好ましい。
上記組織は、正常組織であってもよく、又は、虚血、外傷等のストレス負荷条件に曝された組織であってもよい。
また、上記組織は、動物の生体内に存在している組織であってもよく、動物の生体内から採取された組織であってもよい。本明細書において、上記「組織」は、1種類または複数種類の細胞が一定のパターンで集合した構造の単位を意図している。in vitroで分化誘導して作製した心筋シート、軟骨等も上記「組織」の範疇に含まれる。
上記組織は、成熟した個体に由来するものに限定されず、例えば、胎児期(胎仔期)の個体に由来するものであってもよい。
また、上記組織は、異種動物の組織が移植されたものであってもよく、同種動物の組織が移植されたものであってもよい。同種動物への移植は、自家移植も含まれる。例えば、非ヒト動物の組織にヒトの組織が移植されたものも、上記組織の範疇に含まれる。
本発明の一実施形態において、プラズマ照射工程においてプラズマが照射された組織の一部又は全部を、プラズマを照射した組織とは別の組織に移植する工程を、プラズマ照射工程後であって、後述する培養工程の前に含んでいてもよい。
プラズマを照射した組織の移植先は、同種の動物の同一組織又は異種組織であってもよく、異種の動物の同一組織又は異種組織であってもよい。同種動物への移植は、自家移植も含まれる。例えば、ヒトの組織にプラズマを照射した後に、プラズマを照射した組織を、異種動物(例えば、マウス)の対応する同一組織内に移植してもよい。
(2.培養工程)
培養工程は、プラズマ照射工程においてプラズマが照射された上記組織の一部又は全部を、生体外で培養する工程である。
培養工程では、プラズマが照射された上記組織の内、プラズマ照射後に組織再生が盛んとなった組織の一部又は全部を、生体外で培養することが好ましい。上記「プラズマ照射後に組織再生が盛んとなった組織」であることは、細胞増殖活性の上昇を評価することによって確認することができる。例えば、細胞増殖活性の上昇は、例えばKi67抗原を用いた免疫組織化学染色によって評価することができる。
培養工程における培養条件としては、プラズマ照射工程においてプラズマが照射された組織が生存し且つ増殖可能な条件であれば特に限定されず、培養する細胞によって適した培養条件を選択すればよい。例えば、組織として大脳皮質にプラズマを照射した場合は、神経幹細胞の培養に適した公知の培養条件で、組織を培養することができる。
培養工程は、幹細胞様細胞を含むニューロスフィアを得る工程であってもよい。ニューロスフェアを形成させる培養条件は公知である(例えば、参考文献:Gil-Perotin S, Duran-Moreno M, Cebrian-Silla A, et al. Adult neural stem cells from the subventricular zone: a review of the neurosphere assay. Anat Rec (Hoboken) 296:1435-1452, 2013)。
上記「ニューロスフィア」としては、直径が200マイクロメートル以上のものを得ることが好ましい。本発明の一実施形態に係る幹細胞様細胞の調製方法によれば、従来よりも短期間でニューロスフェアを取得することが可能となる。より具体的には、側脳室周囲から取得した組織からニューロスフェアを作製する従来法では、直径が100〜150マイクロメートルのニューロスフェアを取得するまでに、3週間程度の培養期間を要していた。これに対して、本発明の一実施形態に係る幹細胞様細胞の調製方法によれば、12〜14日間でニューロスフェアを取得することが可能となる。組織にプラズマを照射することによって、ニューロスフェアの成長速度が速くなると考えられた。換言すれば、本発明の一実施形態に係る幹細胞様細胞の調製方法によれば、浮遊培養開始から1週間経過した時点で直径が150マイクロメートル以上となるようなニューロスフェアを得ることができ、浮遊培養開始から2週間経過した時点で直径が200マイクロメートル以上となるようなニューロスフェアを得ることができる。尚、「浮遊培養開始から1週間経過した時点で直径が150マイクロメートル以上」または「浮遊培養開始から2週間経過した時点で直径が200マイクロメートル以上」とは、浮遊培養期間中の任意の時点におけるニューロスフェアの大きさを規定するために用いた表現であって、本発明に係る幹細胞様細胞の調製方法における培養期間を、その期間(具体的には、1週間または2週間)に限定するものではない。従って、例えば、浮遊培養開始から1週間経過した時点で直径が150マイクロメートル以上となるようなニューロスフェアを、さらなる期間にわたって浮遊培養することを制限するものではない。
組織の培養期間は、培養する組織によって適宜調整すればよいが、例えば、大脳皮質を培養する場合は、ニューロスフィアを得るために、大脳皮質から採取した細胞を、3〜5日間接着培養し、その後5日間以上浮遊培養することが好ましく、7〜10日間浮遊培養することがより好ましい。上述した期間にわたって大脳皮質から採取した細胞を浮遊培養することによって、幹細胞様細胞を含むニューロスフィアを得ることができる。また、上述した期間にわたって大脳皮質から採取した細胞を浮遊培養することによって得られたニューロスフィアは、神経細胞に好適に分化誘導することができる。本発明の一実施形態に係る幹細胞様細胞の調製方法によれば、大脳皮質から採取した細胞を、1週間浮遊培養を行うことによって、直径170±52マイクロメートル(SEM)のニューロスフィアを得ることができ、2週間培養浮遊培養を行うことによって、直径279±142マイクロメートル(SEM)のニューロスフィアを得ることができる。
一実施形態において、培養工程は、幹細胞様細胞を分化誘導する工程をさらに含んでいてもよい。幹細胞様細胞を分化誘導して所望の分化した細胞を得る方法は、特に限定されない。目的に応じて、公知の分化誘導法(例えば、参考文献:Gil-Perotin S, Duran-Moreno M, Cebrian-Silla A, et al. Adult neural stem cells from the subventricular zone: a review of the neurosphere assay. Anat Rec (Hoboken) 296:1435-1452, 2013)を採用することができる。
本発明に係る幹細胞様細胞を調製する方法によれば、組織から幹細胞様細胞を簡便に調製することが可能となる。従って、本発明に係る幹細胞様細胞を調製する方法によれば、再生医療に使用する細胞製剤の調製、心筋シート、再生軟骨等の移植材料の調製等に使用可能な幹細胞様細胞を簡便に調製することが可能となる。
また、本発明の一実施形態に係る幹細胞様細胞を調製する方法によれば、外科的にアクセス可能な大脳皮質から幹細胞様細胞を調製することができ、さらに、in vitroで、当該幹細胞様細胞を含むニューロスフィアを作製することができる。このようにして作製したニューロスフィアは、神経再生及び創薬医療に利用することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
〔実施例1〕
(実験動物)
本実施例では、8〜10週齢の雄性SDラットを用いた。
(大気圧非平衡プラズマ発生装置)
図1は、本発明の実施例で使用した大気圧非平衡プラズマ発生装置の概略の構成を示す図である。大気圧非平衡プラズマ発生装置1は、マイクロホロー電極11と、円筒形状の電極12と、円筒形状の絶縁部材であるセラミック管13と、ガス供給路14と、交流電源15とを備えている。
マイクロホロー電極11の先端部分には、微細な凹部を繰り返し形成されたマイクロホローが形成されている。マイクロホロー電極11の材質はステンレス鋼(SUS)である。円筒形状の電極12の材質は銅である。
マイクロホロー電極11は、セラミック管13の内部に収容されており、セラミック管13のガス導入口の近傍に配置されている。一方、円筒形状の電極12は、セラミック管13の外部であってガス噴出口の近傍に配置されている。ガス供給路14を通って、セラミック管13のガス導入口からヘリウムガスを導入するとともに、交流電源15により、マイクロホロー電極11と円筒形状の電極12との間に電圧を印加すると、セラミック管13の内部にプラズマが発生する。セラミック管13の先端(すなわち、ヘッド先端)から照射されるプラズマ化したジェット流の太さは、直径〜1mm程度である。
〔実施例1−1〕
(脳への大気圧非平衡プラズマ照射)
図2は、ラットの脳組織への大気圧非平衡プラズマ照射方法を説明する図である。イソフルレン麻酔下に、SDラットの頭皮を切開し、歯科用ドリルで頭蓋骨のブレグマ(bregma)から後方(posterior)2mm、且つ側方(lateral)±2mmの位置に直径約1mmの穴(図2の(a)の矢印A及びBが指す穴)を開け、大脳皮質表面の一部を露出させた。
脳組織へのプラズマ照射は、ヘリウム大気圧非平衡プラズマにより施した。ヘリウム(He)ガスから大気圧プラズマ電源制御ユニット(NUグローバル社製)を用いてプラズマジェットを発生させ、露出した大脳皮質表面の上方2.5cmの位置に、プラズマヘッド先端を固定し、下記の照射条件で、60秒間プラズマ照射を行った(図2の(b))。ヘリウムガスの流量は2.5L/分(2.5slm)とした。
(照射条件)
放電用ガス:ヘリウム
ガス流量:2.5L/分
電極印加電圧(AC):7kV(60Hz)
放電形式:マイクロホロー放電
図2の(a)の矢印A及びB内、矢印Aが指す穴にプラズマを照射した。一方で、矢印Bが指す穴には、プラズマを照射せず、コントロールとした。プラズマ照射後、頭皮を縫合し、患部を消毒した後、ラットを麻酔から回復させた。
この照射条件では、ヘッド内部にAC60Hzピーク電圧7kVの交流高電圧のヘリウムガス放電により、ガス温度は60℃以下のままで、プラズマ化したジェット流(プラズマジェット)がヘッド先端から約2.0cm形成される。従って、照射患部には、プラズマジェットの発光部位は接しない。そのため、ヘッド先端から2.5cmにわたってプラズマジェットが輸送拡散する過程で大気を巻き込み、プラズマ中の電子が酸素分子に衝突して生じる、主にO+e→O+O+eの反応で生成する酸素原子が照射される。照射時間に依存したヘッドの温度上昇によってガス温度は60℃近くまで上昇するため、60秒間の照射に留め、患部の温度は37℃以下を保つようにした。尚、この時のプラズマ照射対象組織上の照射位置における電圧は、20msにわたり時間平均をとって3kVであり、プラズマ照射対象組織上の照射位置における電流は、20msにわたり時間平均をとって0.1mAであった。
本プラズマでは、シュタルク法によって、2.2×1015cm−3の電子密度がヘッド内部で生成していると見積もられた。ヘッドから患部までの照射距離2.5cmでの酸素原子密度は、真空紫外吸収分光法(VUVAS)によって、3.0×1013cm−3に達していると見積もられた。尚、シュタルク法は、高分解能(〜40pm)の分光器をもちいて発光スペクトル上、波長約486nmを中心に見られる水素原子β線のシュタルク拡がり幅をフォークト関数型でフィッティングして、そのローレンツ型の拡がり幅ΔSとして、1016(ΔS/0.946)1.5により立方cmあたりのプラズマ密度の解析から求めた。ガウス型幅はドップラー拡がりなどによって決まる線幅である。真空紫外吸収分光法(VUVAS)は、真空紫外域の波長130nmにみられる酸素原子の吸収を計測する方法である。マイクロホローカソード光源から酸素原子の発光輝線をフッ化マグネシウム窓を通して、プラズマジェットに存在する酸素原子の吸収を、この実験では吸収長を2mmとして計測した。
SDラットの頭皮を切開して露出した大脳皮質表面には水膜が覆っている。そこで、これを模擬して、上述した同条件のプラズマを純水(MillQ水)に照射して、水中に発生する・OHラジカルを、電子スピン共鳴法(ESR)を用いてスピントラップ法で計測した。水中に生成した・OHラジカルは短寿命であるため、スピントラップ剤により・OHラジカルを捕捉して、長寿命なニトロン(NO)として計測した。その結果、・OHラジカルが生成されていることを確認した。そのため、プラズマ照射は、化学的な外因性ストレスを細胞に及ぼしていると考えられた。尚、スピントラップ剤は5,5−ジメチル−1−ピロリン−N−オキシド(DMPO)である。
図3に示す装置を用いて、プラズマ照射による水の温度変化を測定した。シャーレに浅く入れた水(浸る程度)に対して、照射距離を変化させながら、上述した同条件のプラズマを照射し、水の温度変化を熱電対で測定した(図3の(a)及び(b))。照射距離は、プラズマ発生装置のヘッド先端から水面までの距離である。照射距離は、15mm、20mm、25mm又は45mmとした。図3の(c)に示すように、プラズマ照射60秒後の時点で、2.0cm(20mm)の照射距離とした場合の水の温度が最も高く、次いで1.5cm(15mm)の照射距離とした場合の水の温度が高かった。一方で、図3の(c)に示すように、2.5cm(25mm)の照射距離(プラズマ照射60秒後の時点で、水の温度が2番目に低いグラフ)および4.5cm(45mm)の照射距離(プラズマ照射60秒後の時点で、水の温度が最も低いグラフ)では、60秒間のプラズマ照射中に、水の温度変化はほぼ認められなかった。プラズマ照射が組織の温度上昇をもたらすならば、水に浸した熱電対への照射においても水の温度上昇現象が捉えられるものと考えられる。2.5cm(25mm)の照射距離では、60秒間のプラズマ照射中に、水の温度変化はほぼ認められなかったことから、2.5cm(25mm)の照射距離では、60秒間のプラズマ照射によって組織の温度上昇をもたらさないと考えられた。
(脳組織切片の作製)
プラズマ照射から3時間後、及びプラズマ照射から1日後、3日後、7日後に、プラズマ照射後のラットを、それぞれ、ペントバルビタール麻酔下にて、4%ホルムアルデヒド溶液を心臓より全身灌流することにより固定を行った。
ラットから脳を摘出後、摘出した脳を4%ホルムアルデヒド溶液に浸し、4℃で一晩、後固定を行った。4%ホルムアルデヒド溶液を30%スクロース溶液に置換し、脳が沈んだ後、クライオスタットを用いて、厚さ50μmの凍結組織切片を作製し、免疫染色に供した。図4の(a)の上図は摘出した脳を示し、下図は照射部位中心の断面を示している。図4の(a)中の四角で囲った領域は、プラズマを照射した患部を表している。
(脳組織片の染色)
脳組織片の蛍光免疫組織染色は、一次抗体として、Sox2抗体(Santacruz製、型番sc-17320)、Ki67抗体(Novocastra製、型番Ki67p)、NG2抗体(millipore製、型番MAB5384)を用いた。
蛍光免疫組織染色の結果を図4の(b)及び(c)に示す。蛍光免疫組織染色により、プラズマ照射3日後の脳組織において、照射領域周辺に多くのKi67陽性の増殖細胞を確認した(図4の(b)の矢頭が示す部分)。また、プラズマ照射3日後では、グリア前駆細胞やペリサイト(pericyte)のマーカーであるNG2、さらに、幹細胞マーカー(ES細胞、TS細胞のマーカー)であるSox−2の陽性細胞も照射部位周囲に多数出現し、それらの一部はNG2と二重陽性を示した(図4の(c))。このことから、この細胞(Sox−2及びNG2二重陽性細胞)がニューロスフェアの形成に関わっている可能性が考えられた。
(スフェアの形成)
ラットの大脳皮質表面に、上述した同条件のプラズマを、照射距離を2.5cmとして、60秒間照射した。プラズマ照射1日後、3日後、及び7日後に、ラットをペントバルビタール麻酔下にて速やかに断頭し、脳を摘出した。図5の(a)の上図中、丸で囲った領域がプラズマ照射部位である。
脳のプラズマ照射部位をピンセットで摘出し、DMEM/F12(1:1)(GIBCO製)中に浸し、シリンジと注射針(18G、23G、27G)とを用いて単一細胞になるように細かく砕いた。その後、FGF−basic(PEPROTEC製、最終濃度20ng/ml)、hEGF(GIBCO製)、N−2サプリメント(GIBCO製、100×)及び10%FBS(Equitech-Bio製、最終濃度10%)を含むDMEM/F12(1:1)を用いて、poly−D−lysineでコートした6ウェルディッシュを用い(Thermofisher Scientific製)、37℃のCOインキュベーター内で培養を行った。
培養開始から3〜5日後に、接着し十分に増殖した細胞をトリプシン−EDTA(Sigma製、最終濃度20%)で剥がした後に、FGF−basic(PEPROTEC製、最終濃度20ng/ml)、hEGF(PEPROTEC製、最終濃度20ng/ml)、N−2サプリメント(GIBCO製、100×で使用)を含むDMEM/F12(1:1)(GIBCO製)培地を用いて、ノンコーティング12ウェルマルチディッシュ(Thermofisher Scientific製)にて1〜4週間、浮遊培養を行った。
比較対照として、側脳室(subventricular zone:SVZ)周囲から採取した組織、及びプラズマを照射していない大脳皮質を用いて、同様の実験を行った。図5の(a)の下図中、四角で囲った領域が側脳室を含む領域である。海馬歯状回や側脳室周囲は、幹細胞が密に存在する脳内のごく一部の領域であり、従来、成獣哺乳類の中枢神経組織からニューロスフェアを作製するために使用されている組織である。図5の(b)に、各条件の培養スケジュールを示す。
接着培養後の細胞の一部について、蛍光免疫組織染色を行った。
サンプル1:プラズマ非照射の大脳皮質
サンプル2:プラズマを1分間照射し、3日後の大脳皮質
サンプル3:プラズマ非照射の脳室下帯(SVZ)
接着細胞の蛍光免疫組織染色は、一次抗体として、Sox2抗体(Santacruz製、型番sc-17320)、GFAP抗体(Sigma製、型番G9269)、Nestin抗体(Millipore製、型番MAB353)、Ki67抗体(Novocastra製、型番Ki67p)、Iba1抗体(和光純薬製、型番019-19741)、NG2抗体(Millipore製、型番MAB5384)を用いた。
尚、Sox2は、ES細胞及びTS細胞のマーカーであり、GFAPは、アストロサイトのマーカーであり、Nestinは、神経幹細胞、神経前駆細胞のマーカーであり、Ki67は、細胞増殖のマーカーであり、Iba1は、マイクログリアのマーカーであり、NG2は、幼若なグリア細胞やペリサイトのマーカーである。
結果を、図6及び図7に示す。図6は、接着培養後の細胞を蛍光免疫組織染色した結果を示す図である。図6中に示した写真の内、各列の最上段の写真は、Sox2とGFAPとの二重染色の結果を表している。また、図6中に示した写真の内、各列の最下段の写真は、NestinとKi67との二重染色の結果を表している。また、図6中に示した写真の内、各列の中段の写真は、Iba1とNG2との二重染色の結果を表している。図7は、プラズマ照射3日後の大脳皮質を5〜7日間接着培養を行なった後、3日間又は7日間(一週間)浮遊培養した後の細胞を光学顕微鏡下で観察した結果を示す図である。
プラズマ非照射の大脳皮質(サンプル1)では細胞が接着せず、培養ができなかった(図6)。同様に、プラズマ照射1日後の大脳皮質では細胞が接着せず、培養ができなかった(データを示さない)。プラズマ照射3日後の大脳皮質(サンプル2)では、Sox2とGFAPとの二重陽性細胞が観察され、Nestin陽性細胞や増殖している細胞も観察された(図6)。また、プラズマ照射7日後の大脳皮質では細胞接着はおこるが、プラズマ照射3日後の大脳皮質と比較すると、接着している細胞数が非常に少なかった(データを示さない)。SVZサンプル(サンプル3)でも同様に、Sox2とGFAPとの二重陽性細胞が観察され、Nestin陽性細胞もKi67陽性細胞も多数観察された(図6)。
この結果から、プラズマ処理によって、神経幹細胞と同じような形質を獲得した細胞が現れたが、増殖している細胞はSVZサンプルとは異なり、Nestin陽性細胞とはあまり重なっていないため、神経幹細胞とは違った細胞も出現している可能性があると考察された。
また、図7の(a)に示すように、プラズマ照射3日後の大脳皮質をFBSを含むメディウムで5〜7日間培養した後、FBSを含まないメディウムで浮遊培養(3日間又は7日間)すると、スフェアの形成が確認できた。プラズマ照射7日後の大脳皮質では、浮遊培養過程においてスフェア形成に長時間を要した(データを示さない)。この結果から、プラズマ照射3日目がもっとも効率良くスフェアを得ることができる日数であると結論付けた。
また、側脳室周囲から採取した組織から作製したニューロスフェアは、直径100〜150μmであったのに比べて、プラズマ照射した組織から作製したスフェア(「プラズマスフェア」と称する。)は、大型(150〜500μm)であった(図7の(b))。また、従来の方法では、ニューロスフェアを作製するためには、幹細胞が密に存在する脳内のごく一部の領域(海馬歯状回や側脳室周囲)しか利用することができないが、本発明の方法によれば、広い大脳皮質領域からスフェアを作製することが可能となるため、フェアを大量に得ることができるという利点があるといえる。
また、図5の(b)に示すように、プラズマ照射によって、接着培養の期間を大幅に短縮(SVZでは14日のところが、最短で5日に短縮)することができた。このことから、プラズマ照射によって、ニューロスフェアを従来よりも短期間で取得できるという利点があるといえる。これは、本発明の本発明の一つの大きな特徴であると考える。
(スフェア切片の作製)
上記期間培養したスフェアの一部をピペットで回収し、4%ホルムアルデヒド溶液で固定した。4%ホルムアルデヒド溶液を30%スクロースで置換した後、クライオスタットを用いて、厚さ16μmの凍結組織切片を作製し、免疫染色に供した。
スフェア切片の免疫染色は、一次抗体として、Sox2抗体(Santacruz製、型番sc-17320)、GFAP抗体(Sigma製、型番G9269)、Nestin抗体(Millipore製、型番MAB353)、Ki67抗体(Novocastra製、型番Ki67p)、Iba1抗体(和光純薬製、型番019-19741)、NG2抗体(Millipore製、型番MAB5384)、Oct4抗体(Cell Signaling製、型番2840S)、Nanog抗体(R&D Systems製、型番AF2729)、CD11b抗体(Serotec製、型番MCA275R)を用いた。
尚、Oct4は、ES細胞及び未分化性のマーカーであり、Nanogは、ES細胞及び多能性幹細胞のマーカーであり、CD11bは、マクロファージのマーカーである。
結果を図9に示す。図9中に示した写真の内、上段の左から1番目の写真はNestinとKi67との二重染色の結果を表し、上段の左から2番目の写真はSox2とKi67との二重染色の結果を表し、上段の左から3番目の写真はSox2とNestinとの二重染色の結果を表している。また、図9中に示した写真の内、下段の左から1番目の写真はSox2とOct4との二重染色の結果を表し、下段の左から2番目の写真はNanogとKi67との二重染色の結果を表し、下段の左から3番目の写真はIba1とNG2との二重染色の結果を表し、下段の左から4番目の写真はCD11bとKi67との二重染色の結果を表している。形成されたスフェアはNestin、Sox2、GFAP、Oct4の陽性細胞が観察され、そのなかでも、Oct4及びSox2の二重陽性細胞が存在していた。Nanog陽性細胞はこの染色では明確にはわからなかった。また、スフェアの中心部はNG2が陽性であり、スフェアの周囲はIba1陽性細胞が観察された。Oct4及びSox2の二重陽性細胞が存在している点は、プラズマを照射後の脳組織片における局在と似ていた。
プラズマ処理によって、スフェア形成能を有する細胞が出現した。特に、Oct4陽性細胞が存在することから、プラズマ照射によって非常に未分化性の高い細胞が現れていることが明らかになった。
(ニューロンへの分化誘導)
FBS不含培地で1週間浮遊培養した後、ニューロンへの分化誘導試験を行った。クリーンベンチ内で、肉眼でウェル内のスフェアをピペットで採取し、サンプルチューブに回収した。ノンコーティング12ウェルディッシュ(Thermofisher Scientific製)のウェル内に、poly−L−lysineコーティングしたカバーガラスを敷き、B−27サプリメント(Thermofisher Scientific製、50×)、All-trans-retinoic acid(和光純薬製、最終濃度0.2μM)を加えたNeurobasal medium(登録商標)を加え、10〜15個のスフェアを各ウェルに沈めた。37℃のCOインキュベーター内で7日間培養を行った後、培養液を静かに吸引し、カバーガラスに接着したスフェアを4%ホルムアルデヒド溶液で固定し、その後、免疫染色を行った。
ニューロンへの分化誘導後のスフェアの免疫染色は、Pan Neuronal Marker(Millipore製 MAB2300)によって行った。
結果を図8に示す。図8は、プラズマ照射3日後の大脳皮質について、5〜7日間接着培養の後に1週間浮遊培養した後に、ニューロンへの分化誘導試験を行ったスフェアの免疫染色の結果を示す図である。1週間浮遊培養したスフェアをニューロンに分化誘導させたところ、Pan-Neuronal Marker陽性のニューロンに分化することが確認できた。
以上の結果から、最終分化組織である(未分化な幹細胞がほとんど含まれていない)大脳皮質から、ニューロスフェアを作製することができたことから、プラズマ照射された大脳皮質において、神経細胞などへ分化する分化能を具備した幹細胞または前駆細胞の性質を獲得した幹細胞様細胞が誘導されたと考えられた。
(アストロサイト及びオリゴデンドロサイトへの分化誘導)
上述のプラズマ処理により得られたスフェア形成細胞について、FBS不含培地で1週間浮遊培養した後、ニューロンへの分化誘導試験と同様の条件下で処理したところ、ニューロンに分化したものの他に、アストロサイトに分化したスフェア、及び、オリゴデンドロサイトに分化したスフェアが確認された。これらのスフェアについて、ニューロンへの分化誘導試験と同様にして、4%ホルムアルデヒド溶液で固定し、免疫染色を行った。
アストロサイトへの分化誘導後のスフェアの免疫染色は、抗GFAP抗体(SIGMA製 G9269)によって行った。
オリゴデンドロサイトへの分化誘導後のスフェアの免疫染色は、抗O4抗体(Millipore製 MAB345)によって行った。
結果を図11(a)及び(b)に示す。図11(a)及び(b)は、プラズマ照射3日後の大脳皮質について、5〜7日間接着培養の後に1週間浮遊培養した後に、(a)アストロサイト及び(b)オリゴデンドロサイトへの分化誘導試験を行ったスフェアの免疫染色の結果を示す図である。
1週間浮遊培養したスフェアをアストロサイトに分化誘導させたところ、GFAP陽性のアストロサイトに分化することが確認できた。オリゴデンドロサイトへの分化誘導についても同様に、O4陽性のオリゴデンドロサイトへの分化が確認できた。
〔実施例1−2〕
(皮膚へのプラズマ照射)
イソフルレン麻酔下に、ラット背部の毛をバリカンで剃り落とした後、皮膚表面にプラズマ照射を行なった。プラズマ照射条件は、脳へのプラズマ照射と同様に、皮膚表面から上方2.5cmの位置に、プラズマヘッド先端を固定し、照射時間は60秒間とした。ヘリウムガスの流量も、脳へのプラズマ照射と同様に、2.5L/分とした。プラズマ照射後、ラットを麻酔から回復させた。
(皮膚組織切片の作製)
プラズマ照射から3日後に、ラットをペントバルビタール麻酔下にて、4%ホルムアルデヒド溶液を心臓より全身灌流することにより固定を行った。皮膚を摘出後、4%ホルムアルデヒド溶液に浸し、4℃で一晩、後固定を行った。4%ホルムアルデヒド溶液を30%スクロース溶液に置換し、組織が沈んだ後、ミクロトームを用いて、厚さ50μmの浮遊組織切片を作製し、免疫染色に供した。
(皮膚組織片の染色)
皮膚組織片の蛍光免疫組織染色は、一次抗体として、Sox2抗体(Santacruz製、型番sc-17320)、Ki67抗体(Novocastra製、型番Ki67p)、Iba1抗体(和光純薬製、型番019-19741)、NG2抗体(millipore製、型番MAB5384)を用いた。コントロールとして、プラズマを照射していない皮膚組織片の蛍光免疫組織染色を行った。
結果を図10に示す。図10は、プラズマ照射3日後の皮膚の免疫染色の結果を示す図である。図10の各写真は、NG2とKi67との二重染色の結果を示している。プラズマ照射3日後の皮膚及び真皮、脂肪組織では、多くのKi67陽性の核を有する増殖細胞が確認された。また、その一部は、中枢神経組織でもプラズマ照射後に発現が確認された、幼若細胞マーカー(グリア前駆細胞マーカーあるいはペリサイトマーカー)であるNG2を発現していた。
〔実施例2〕
(実験動物)
本実施例では、8週齢のC57BL/6雄性マウスを用いた。
(大気圧非平衡プラズマ発生装置)
実施例1と同様の大気圧非平衡プラズマ発生装置を用いた。
(脳への大気圧非平衡プラズマ照射)
イソフルレン吸入麻酔1〜1.5%下に、マウスの頭皮を切開し、歯科用ドリルで頭蓋骨のブレグマ(bregma)から後方(posterior)1.5mm、且つ側方(lateral)1.5mmの位置に直径約1mmの穴を開け、大脳皮質表面の一部を露出させた。
脳組織へのプラズマ照射は、ヘリウム大気圧非平衡プラズマにより施した。ヘリウム(He)ガスから大気圧プラズマ電源制御ユニット(NUグローバル社製)を用いてプラズマジェットを発生させ、露出した大脳皮質表面の上方2.5cmの位置に、プラズマヘッド先端を固定し、下記の照射条件で、30秒間プラズマ照射を行った。ヘリウムガスの流量は2.5L/分(2.5slm)とした。
実施例1と同様の照射条件を用い、プラズマ照射後、頭皮を縫合し、患部を消毒した後、マウスを麻酔から回復させた。
(スフェアの形成)
プラズマ照射3日後に、マウスをペントバルビタール麻酔下にて速やかに断頭し、脳を摘出した。
実施例1と同様にして、脳のプラズマ照射部位をピンセットで摘出し、37℃のCOインキュベーター内で培養後、接着し十分に増殖した細胞を、ノンコーティング12ウェルマルチディッシュ(Thermofisher Scientific製)にて1〜4週間、浮遊培養を行った。
図12は、プラズマ照射3日後の大脳皮質を5〜7日間接着培養を行なった後、3日間、5日間又は7日間(一週間)浮遊培養した後の細胞を位相差顕微鏡下で観察した結果を示す図である。
図12に示すように、プラズマ照射3日後の大脳皮質をFBSを含むメディウムで5〜7日間培養した後、FBSを含まないメディウムで浮遊培養すると、3日目にはスフェアの形成が確認できた。また、浮遊培養7日目に、15個のスフェアをランダムに選び、顕微鏡画像上でスフェアサイズを測定したところ、ラットと同様に大型(150〜200μm)であった。
〔実施例3〕
(実験動物)
本実施例では、8〜10週齢の雄性SDラットを用いた。
(大気圧非平衡プラズマ発生装置)
実施例1と同様の大気圧非平衡プラズマ発生装置を用いた。
(頭蓋骨上方からの大気圧非平衡プラズマ照射)
マウスの頭皮を切開後、頭蓋骨に貫通孔を設けず、頭蓋骨の上方2.5cmの位置から大気圧非平衡プラズマを照射した以外は、実施例1と同様にして、ラットの脳組織にプラズマ照射を行った。
プラズマ照射3日後に、実施例1と同様にして、プラズマ照射部位の脳を摘出し、接着培養、浮遊培養、並びに、ニューロン、アストロサイト及びオリゴデンドロサイトへの分化誘導を行った。
結果を図13に示す。図13は、プラズマ照射3日後の大脳皮質について、接着培養後、浮遊培養後及び分化誘導後の細胞を、位相差顕微鏡下で観察した結果を示す図である。
図13に示すように、貫通孔を設けずに頭蓋骨上方からプラズマ照射を行った場合についても、頭蓋骨を削って大脳皮質を露出させた場合と同様に、大型のスフェアの形成が確認された。また、形成されたスフェアについて、ニューロン、アストロサイト及びオリゴデンドロサイトへの分化誘導を行ったところ、これらの細胞への分化能が確認された。
〔まとめ〕
本発明を以下のように表現することもできる。
本発明の態様1に係る、幹細胞様細胞の調製方法は、動物の組織に対して、非平衡プラズマを照射するプラズマ照射工程を含む方法である。
本発明の態様2に係る調製方法は、上記の態様1において、上記プラズマ照射工程においてプラズマが照射された上記組織の一部又は全部を、生体外で培養する培養工程をさらに含む方法としてもよい。
本発明の態様3に係る調製方法は、上記の態様2において、上記培養工程において、上記幹細胞様細胞を含むニューロスフィアを得る方法としてもよい。
本発明の態様4に係る調製方法は、上記の態様3において、上記ニューロスフィアとして、直径が200マイクロメートル以上のものを得る方法としてもよい。
本発明の態様5に係る調製方法は、上記の態様1〜4の何れかにおいて、幹細胞様細胞は、Sox2、Oct4及びNG2の少なくとも一つが陽性の細胞である方法としてもよい。
本発明の態様6に係る調製方法は、上記の態様1〜5の何れかにおいて、上記プラズマは、大気圧非平衡プラズマである方法としてもよい。
本発明の態様7に係る調製方法は、上記の態様1〜6の何れかにおいて、上記プラズマ照射工程において、上記プラズマは、プラズマ照射ヘッドと動物の上記組織との間に所定の間隔をおいた状態で照射される方法としてもよい。
本発明の態様8に係る調製方法は、上記の態様1〜7の何れかにおいて、動物の上記組織は、中枢神経組織である方法としてもよい。
本発明の態様9に係る調製方法は、上記の態様1〜8の何れかにおいて、動物の上記組織は、非ヒト動物の組織にヒトの組織が移植されたものである方法としてもよい。
本発明の態様10に係る調製方法は、上記の態様1〜9の何れかにおいて、上記動物は、非ヒト動物である方法としてもよい。
本発明は、幹細胞様細胞の新規な調製方法を提供することが出来る。本発明によって調製された幹細胞様細胞は、再生医療に使用する細胞製剤の調製、移植材料の調製等に使用することができる。よって、本発明は、再生医療に関わる産業において利用可能である。
1 大気圧非平衡プラズマ発生装置
11 マイクロホロー電極
12 電極
13 セラミック管
14 ガス供給路
15 交流電源

Claims (10)

  1. 動物の組織に対して、非平衡プラズマを照射するプラズマ照射工程を含む、幹細胞様細胞の調製方法。
  2. 上記プラズマ照射工程においてプラズマが照射された上記組織の一部又は全部を、生体外で培養する培養工程をさらに含む、請求項1に記載の調製方法。
  3. 上記培養工程において、上記幹細胞様細胞を含むニューロスフィアを得る、請求項2に記載の調製方法。
  4. 上記ニューロスフィアとして、直径が200マイクロメートル以上のものを得る、請求項3に記載の調製方法。
  5. 幹細胞様細胞は、Sox2、Oct4及びNG2の少なくとも一つが陽性の細胞である、請求項1〜4の何れか一項に記載の調製方法。
  6. 上記プラズマは、大気圧非平衡プラズマである、請求項1〜5の何れか一項に記載の調製方法。
  7. 上記プラズマ照射工程において、上記プラズマは、プラズマ照射ヘッドと動物の上記組織との間に所定の間隔をおいた状態で照射される、請求項1〜6の何れか一項に記載の調製方法。
  8. 動物の上記組織は、中枢神経組織である、請求項1〜7の何れか一項に記載の調製方法。
  9. 動物の上記組織は、非ヒト動物の組織にヒトの組織が移植されたものである、請求項1〜8の何れか一項に記載の調製方法。
  10. 上記動物は、非ヒト動物である、請求項1〜9の何れか一項に記載の調製方法。
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