JP2018054794A - マスクブランク用ガラス基板の再生方法、マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法 - Google Patents

マスクブランク用ガラス基板の再生方法、マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2018054794A
JP2018054794A JP2016189437A JP2016189437A JP2018054794A JP 2018054794 A JP2018054794 A JP 2018054794A JP 2016189437 A JP2016189437 A JP 2016189437A JP 2016189437 A JP2016189437 A JP 2016189437A JP 2018054794 A JP2018054794 A JP 2018054794A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass substrate
mask blank
film
mask
material layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016189437A
Other languages
English (en)
Inventor
誠治 坪井
Seiji Tsuboi
誠治 坪井
小池 今朝広
Kesahiro Koike
今朝広 小池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hoya Corp
Original Assignee
Hoya Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hoya Corp filed Critical Hoya Corp
Priority to JP2016189437A priority Critical patent/JP2018054794A/ja
Publication of JP2018054794A publication Critical patent/JP2018054794A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Preparing Plates And Mask In Photomechanical Process (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • ing And Chemical Polishing (AREA)

Abstract

【課題】クロム系材料層とケイ素系材料層が積層された薄膜付きガラス基板からクロム系材料層とケイ素系材料層を1回の処理で剥離でき、剥離後のガラス基板主表面の荒れや欠陥の発生を抑制できるマスクブランク用ガラス基板の再生方法を提供する。【解決手段】マスクブランク用ガラス基板上にクロムを含有するクロム系材料層とケイ素を含有するケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板から、上記クロム系材料層とケイ素系材料層とをエッチング剤を用いて剥離してマスクブランク用ガラス基板を再生する。上記エッチング剤として、少なくとも、フェリシアン化金属塩成分と、無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ成分とを含む水溶液を用いる。【選択図】図3

Description

本発明は、LSI等の半導体装置や、フラットパネルディスプレイ(FPD)等の製造に用いられるマスクブランク用ガラス基板の再生方法、再生されたガラス基板を用いるマスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法に関する。
一般に、LSI等の半導体装置の製造工程では、フォトリソグラフィー法を用いて微細パターンの形成が行われている。また、この微細パターンの形成には通常何枚ものフォトマスクと呼ばれている転写用マスクが使用される。この転写用マスクは、一般に透光性のガラス基板上に、金属薄膜等からなる微細パターンを設けたものであり、この転写用マスクの製造においてもフォトリソグラフィー法が用いられている。
フォトリソグラフィー法による転写用マスクの製造には、その原版となるガラス基板等の透光性基板上に転写パターン(マスクパターン)を形成するための薄膜(例えば遮光膜など)を有するマスクブランクが用いられる。このマスクブランクを用いた転写用マスクの製造は、マスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、所望のパターン描画を施す描画工程と、描画後、前記レジスト膜を現像して所望のレジストパターンを形成する現像工程と、このレジストパターンをマスクとして前記薄膜をエッチングするエッチング工程と、残存するレジストパターンを剥離除去する工程とを有して行われている。こうして、転写用マスクが出来上がる。
また、上記マスクブランクの種類としては、透光性基板上に例えばクロム系材料からなる遮光膜を設けたバイナリマスクブランクのほかに、位相シフト膜を設けた位相シフトマスクブランクが知られている。この位相シフトマスクブランクは、透光性基板上に位相シフト膜を有する構造のもので、この位相シフト膜は、所定の位相差を有するものであり、例えばモリブデンシリサイド化合物を含む材料等が用いられる。また、モリブデン等の金属のシリサイド化合物を含む材料を遮光膜として用いるバイナリマスクブランクも用いられるようになってきている。
また、以上のような半導体装置製造用のマスクブランクだけでなく、FPD製造用のマスクブランクや、ナノインプリントに使用するナノインプリントモールド製造用のブランクなどもある。
たとえば、ガラス基板上にパターン形成用の薄膜を成膜後、表面欠陥が発見されたマスクブランク、あるいは、マスクブランクを用いて作製された転写用マスクにおいて修正が困難なパターン欠陥が発見された当該転写用マスクを不良品としてそのまま廃棄せずに、ガラス基板上から薄膜を剥離除去してガラス基板を再生することが行われている。近年の半導体デバイス等の電子部品の低価格化競争は厳しくなる一方であり、転写用マスクの製造コストの抑制も重要な課題となっている。このような背景から、基板の再生(再利用)も重要な課題となっている。
従来、例えばクロム系材料からなる膜については、硝酸セリウム系のエッチング液(具体的には、硝酸第2セリウムアンモニウムと過塩素酸を含む水溶液など)を用いて剥離していた。また、モリブデンシリサイド系材料からなる膜については、例えば、弗化水素アンモニウム、弗化アンモニウム、珪弗化水素酸、弗化ホウ素酸のうちの少なくとも一つと、過酸化水素、硝酸のうちの少なくとも一つとを混合したエッチング液を用いることが知られていた(特許文献1など)。
特開昭62−218585号公報
近年では半導体装置等におけるパターンの高微細化に伴い、高精度の微細パターンが形成された転写用マスクが要求されている。微細パターンの形成のため、クロム系材料からなる例えば遮光膜上に、例えばケイ素系材料(SiON、SiOなど)からなるハードマスク膜(遮光膜にマスクパターンを形成する際のエッチングマスクとなる)を形成したマスクブランクが用いられるようになってきている。これにより、マスクブランク表面に形成するレジスト膜を薄膜化でき、更なる微細パターンの形成が可能になる。ところで、このようなクロム系材料からなる遮光膜上にケイ素系材料からなるハードマスク膜を形成したマスクブランクからガラス基板を再生する場合、ケイ素系材料からなるハードマスク膜は例えばフッ酸系のエッチング液で剥離し、クロム系材料からなる遮光膜は硝酸セリウム系のエッチング液で剥離することになり、異なる種類のエッチング液を用いた2回の処理が必要であった。つまり、作業が煩雑になり、製造コストの抑制を図れないという問題がある。
また、上記従来のように、ガラス基板上に形成されたクロム系材料からなる膜を硝酸セリウム系のエッチング液を用いて剥離した場合、剥離後のガラス基板主表面は荒れてしまい、表面欠陥も発生しやすいという問題があった。これは、硝酸セリウム系エッチング液とクロムとの反応過程においてCe(OH)4が生成されるため、ガラス基板の表面を浸食し、表面状態を劣化させてしまうからである。このような表面が荒れたガラス基板をマスクブランク用基板として再利用するためには、その荒れた表面を所定の鏡面になるまで精密研磨しなおす必要があるが、この研磨は、研磨取り代を大きく取らざるを得ず、複数段階の研磨工程を行う必要があるため、研磨時間及びコストが嵩んでしまう。
また、短波長のArFエキシマレーザー(波長193nm)を用いて更なる高解像度を達成するために、液浸露光技術や偏光照明技術が実用化されている。このような液浸露光技術や偏光照明技術に適用される転写用マスクのガラス基板においては高平坦性で低複屈折であることが要求される。近年、このように高精度、高品質の転写用マスクを製造するためのマスクブランクにおいても高品質、高付加価値を備えた高価な基板が多く用いられるようになってきており、転写用マスクの製造コストの抑制を図るうえで、マスクブランクの基板再生は、従来にも増して重要な課題となってきている。
そこで本発明は、このような従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、第一に、ガラス基板上に少なくともクロム系材料層とケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板から、前記クロム系材料層とケイ素系材料層とをエッチング剤を用いて1回の処理で剥離することができ、しかも剥離後のガラス基板主表面の荒れや欠陥の発生を抑制することができるマスクブランク用ガラス基板の再生方法を提供することであり、第二に、この再生されたガラス基板を使用するマスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、ガラス基板上に少なくともクロム系材料層とケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板から、特定のエッチング剤を用いることにより、前記クロム系材料層とケイ素系材料層とを1回の処理で剥離することができ、しかも従来の硝酸セリウム系エッチング液で剥離した場合の課題となっていた剥離後のガラス基板主表面の荒れや欠陥の発生を抑制することができることを見出した。
本発明者は、以上の解明事実に基づき、鋭意研究を続けた結果、本発明を完成したものである。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
マスクブランク用ガラス基板上に、少なくとも、クロムを含有するクロム系材料層とケイ素を含有するケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板から、前記クロム系材料層と前記ケイ素系材料層とをエッチング剤を用いて剥離してマスクブランク用ガラス基板を再生するマスクブランク用ガラス基板の再生方法であって、前記エッチング剤は、少なくとも、フェリシアン化金属塩成分と、無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ成分とを含む水溶液からなることを特徴とするマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
構成1のように、マスクブランク用ガラス基板上に、少なくとも、クロムを含有するクロム系材料層とケイ素を含有するケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板から、前記クロム系材料層と前記ケイ素系材料層とを剥離してマスクブランク用ガラス基板を再生する場合、特定のエッチング剤、すなわち、少なくとも、フェリシアン化金属塩成分と、無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ成分とを含む水溶液からなるエッチング剤を用いることにより、これらクロム系材料層とケイ素系材料層とを1回の処理で剥離することができるようになる。しかも、剥離後のガラス基板主表面の荒れや欠陥の発生を抑制することができ、良好な表面状態が得られるため、この再生された基板をマスクブランク用基板として再利用するに当たって、ガラス基板主表面を所定の鏡面に仕上げるための研磨工程では研磨取り代が少なくて済み、研磨工程の作業負荷を大幅に低減することができる。
(構成2)
前記フェリシアン化金属塩成分は、フェリシアン化カリウムであることを特徴とする構成1に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
(構成3)
前記アルカリ成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化テトラメチルアンモニウムから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする構成1又は2に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
本発明に用いる上記エッチング剤に含まれる上記フェリシアン化金属塩成分としては、構成2にあるように、例えばフェリシアン化カリウムであることが好ましい。また、上記エッチング剤に含まれる上記アルカリ成分としては、構成3にあるように、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化テトラメチルアンモニウムから選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
(構成4)
前記ケイ素系材料層は、さらに酸素を含有する材料であることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
構成4にあるように、前記ケイ素系材料層は、さらに酸素を含有する材料である場合、本発明に用いる上記エッチング剤によって良好に剥離することができるので、このようなケイ素系材料層が形成されている薄膜付きガラス基板に対して本発明を好ましく適用することができる。
(構成5)
前記ケイ素系材料層の膜厚は、0.5nm以上10nm以下であることを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
構成5にあるように、前記ケイ素系材料層の膜厚が、0.5nm以上10nm以下である場合、本発明に用いる上記エッチング剤によって良好に剥離することができるので、このような膜厚のケイ素系材料層が形成されている薄膜付きガラス基板に対して本発明を好ましく適用することができる。
(構成6)
前記薄膜付き基板は、さらに、レジスト組成物からなるレジスト層、ポリマーを含有するレジスト下地層の少なくとも何れかの層が形成されていることを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
構成6のように、レジスト組成物からなるレジスト層、ポリマーを含有するレジスト下地層の少なくとも何れかの層がさらに形成されている薄膜付き基板に対しても、これらレジスト層やレジスト下地層を上記エッチング剤を用いて良好に剥離することができるので、このようなレジスト層やレジスト下地層が形成されている薄膜付きガラス基板に対して本発明を好ましく適用することができる。
(構成7)
前記レジスト組成物は、重量平均分子量が7000以下の化学増幅型レジストを含むことを特徴とする構成6に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
構成7にあるように、前記レジスト組成物が、重量平均分子量が7000以下の化学増幅型レジストを含む場合、本発明に用いる上記エッチング剤によって良好に剥離することができるので、このようなレジスト組成物からなるレジスト層が形成されている薄膜付きガラス基板に対して本発明を好ましく適用することができる。
(構成8)
前記レジスト下地層に含有されるポリマーは、ラクトン環を有する単位構造及び水酸基を有する単位構造を含むアクリル系樹脂を含むことを特徴とする構成6又は7に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
構成8にあるように、前記レジスト下地層に含有されるポリマーが、ラクトン環を有する単位構造及び水酸基を有する単位構造を含むアクリル系樹脂を含む場合、本発明に用いる上記エッチング剤によって良好に剥離することができるので、このようなレジスト下地層が形成されている薄膜付きガラス基板に対して本発明を好ましく適用することができる。
(構成9)
前記レジスト下地層の膜厚は、0.5nm以上20nm以下であることを特徴とする構成6乃至8のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
構成9にあるように、前記レジスト下地層の膜厚は、0.5nm以上20nm以下であることが好ましい。このような膜厚によって十分なレジスト下地層による効果が得られる上に、上記エッチング剤を用いて良好に剥離することができる。
(構成10)
構成1乃至9のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法によって再生されたマスクブランク用ガラス基板上にマスクパターン形成用薄膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
上記のようにして再生されたマスクブランク用ガラス基板を使用し、その上にマスクパターン形成用薄膜を形成することにより、ガラス基板主表面の欠陥のないマスクブランクを製造することができる。
(構成11)
構成10に記載のマスクブランクの製造方法によって得られるマスクブランクにおける前記薄膜をパターニングして薄膜パターンを形成することを特徴とする転写用マスクの製造方法。
構成10により得られるマスクブランクを用いて、そのマスクブランクにおける前記薄膜をパターニングして薄膜パターンを形成することにより、ガラス基板主表面の欠陥に起因するパターン欠陥の発生しない転写用マスクを製造することができる。
本発明のマスクブランク用ガラス基板の再生方法によれば、ガラス基板上に少なくともクロム系材料層とケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板から、前記クロム系材料層とケイ素系材料層とをエッチング剤を用いて1回の処理で剥離することができ、しかも剥離後のガラス基板主表面の荒れや欠陥の発生を抑制することができる。また、基板を再生するのに必要な剥離後のガラス基板主表面の研磨工程の負担を大幅に低減することができる。
また、本発明によれば、この再生されたガラス基板を使用することにより、ガラス基板主表面の欠陥のないマスクブランクを製造することができ、さらに、このマスクブランクを用いて、ガラス基板主表面の欠陥に起因するパターン欠陥の発生しない転写用マスクを製造することができる。
本発明に係る基板再生方法を適用するバイナリマスクブランクの断面図である。 本発明に係る基板再生方法を適用する位相シフト型マスクブランクの断面図である。 本発明に係る基板再生方法を適用する位相シフト型マスクブランクの断面図である。 本発明に係る基板再生方法を適用するFPD用マスクブランクの断面図である。 本発明に係る基板再生方法を適用する転写用マスクの断面図である。
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
上記のとおり(構成1)、本発明に係るマスクブランク用ガラス基板の再生方法(以下、単に「本発明の基板再生方法」と呼ぶこともある。)は、マスクブランク用ガラス基板上に、少なくとも、クロムを含有するクロム系材料層とケイ素を含有するケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板から、前記クロム系材料層と前記ケイ素系材料層とをエッチング剤を用いて剥離してマスクブランク用ガラス基板を再生するマスクブランク用ガラス基板の再生方法であって、前記エッチング剤は、少なくとも、フェリシアン化金属塩成分と、無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ成分とを含む水溶液からなることを特徴とするものである。
本発明の基板再生方法を適用する対象は、マスクブランク用ガラス基板上に、少なくとも、クロムを含有するクロム系材料層とケイ素を含有するケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板である。ここでいうクロムを含有するクロム系材料層とは、例えば遮光膜、位相シフト膜、透過率調整膜などである。また、上記のケイ素を含有するケイ素系材料層とは、例えばハードマスク膜(エッチングマスク膜)、エッチングストップ膜(エッチング阻止膜)などである。
具体的には、例えば、LSI等の半導体装置製造に使用される転写用マスクの原版となるマスクブランクで、ガラス基板上に遮光膜、又は、遮光膜及びハードマスク膜を備えたバイナリマスクブランク、ガラス基板上に位相シフト膜、又は、位相シフト膜及び遮光膜、或いは、位相シフト膜、遮光膜及びハードマスク膜を備えた位相シフトマスクブランクである。また、レベンソン型マスク用のマスクブランクや、クロムレスマスク用のマスクブランクなども対象となる。さらには、以上のような半導体装置製造用のマスクブランクだけでなく、例えばFPD製造に用いられるマスクの原版となるマスクブランクや、ナノインプリントに使用されるナノインプリントモールド製造用のブランクなども対象となる。
また、以上のようなマスクブランクだけでなく、ガラス基板上に薄膜パターンが形成された転写用マスクも対象となる。
そして、ガラス基板上にパターン形成用の薄膜を成膜後、表面欠陥が発見されたマスクブランク、あるいは、マスクブランクを用いて作製された転写用マスクにおいて修正が困難なパターン欠陥が発見された当該転写用マスクに対して、本発明の基板再生方法を適用し、ガラス基板上から薄膜を剥離除去してガラス基板を再生する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の基板再生方法を適用するバイナリマスクブランクの断面図である。また、図2は、本発明の基板再生方法を適用する位相シフト型マスクブランクの断面図である。
図1に示されるように、バイナリマスクブランクの一例としては、ガラス基板1の転写パターンが形成される側の主表面上に、上記クロム系材料層からなる遮光膜2及び上記ケイ素系材料層からなるハードマスク膜3が積層された構造のものが挙げられる。
上記ガラス基板1は、バイナリマスクブランクまたは位相シフト型マスクブランクなどに使用する場合、使用する露光波長に対して透明性を有するものであれば特に制限されず、合成石英基板、その他各種のガラス基板(例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス等)が用いられるが、この中でも合成石英基板は、ArFエキシマレーザー又はそれよりも短波長の領域で透明性が高いので、特に好ましく用いられる。
上記ガラス基板1の転写パターンが形成される側の主表面は、少なくともパターン転写精度、位置精度を得る観点から高平坦度となるように表面加工されている。例えば、ArFエキシマレーザー露光用の場合、ガラス基板1の転写パターンが形成される側の主表面142mm×142mmの領域において、平坦度が0.3μm以下であることが好ましく、特に好ましくは0.1μm以下である。また、マスクブランク用ガラス基板として要求される表面平滑度に関しては、上記ガラス基板1の転写パターンが形成される側の主表面の表面粗さは、二乗平均平方根粗さ(Rq)で0.2nm以下であることが好ましい。
上記遮光膜2は、クロムを含有するクロム系材料層から形成されているが、上記クロムを含有するクロム系材料としては、例えばクロム(Cr)単体、あるいはクロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物(例えばCrN,CrC,CrO,CrON,CrCN,CrOC,CrOCNなど)が挙げられる。
上記遮光膜2は、単層構造でも、積層構造でもよい。例えば、遮光層と表面反射防止層の2層構造や、さらに裏面反射防止層を加えた3層構造(例えば、CrCON/CrN/CrOCNの積層構造など)とすることができる。
上記遮光膜2の膜厚は特に制約される必要はないが、所定の遮光性を確保する観点から、通常、例えば30nm以上80nm以下の範囲であることが好ましい。また、露光光に対する光学濃度(OD)が2.0よりも大きいことが求められ、2.5以上であると好ましく、2.8以上であるとより好ましく、3.0以上であるとさらに好ましい。
また、上記ハードマスク膜3は、直下の遮光膜2とエッチング選択性の高い素材であることが必要であり、本実施の形態ではハードマスク膜3にケイ素を含有する材料を選択することにより、クロム系材料からなる遮光膜2との高いエッチング選択性を確保することができる。このため、レジスト膜の薄膜化のみならずハードマスク膜3の膜厚も薄くすることが可能である。したがって、マスクブランク表面に形成された転写パターンを有するレジストパターンのハードマスク膜3への転写精度が向上する。
上記ハードマスク膜3は、ケイ素を含有するケイ素系材料層から形成されるが、上記ケイ素を含有する材料としては、ケイ素(Si)単体のほか、ケイ素(Si)に、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、ホウ素(B)および水素(H)から選ばれる1以上の元素を含有する材料が挙げられる。また、さらに微量のモリブデン(Mo)等の遷移金属を含んでいてもよい。ハードマスク膜3を構成する材料の具体例としては、例えば酸化シリコン(SiO)、酸化窒化シリコン(SiON)などが好ましく挙げられる。特に、上記ケイ素系材料が、さらに酸素を含有する材料である場合、本発明に用いる上記エッチング剤によって良好に剥離することができるので、このようなケイ素系材料層が形成されている薄膜付きガラス基板に対して本発明を好ましく適用することができる。
上記ハードマスク膜3の膜厚は特に制約される必要はないが、少なくとも直下の遮光膜2のエッチングが完了する前に消失しない程度の膜厚が必要である。一方、ハードマスク膜3の膜厚が厚いと、直上のレジストパターンを薄膜化することが困難である。このような観点から、例えば0.5nm以上10nm以下の範囲であることが好ましい。上記ケイ素系材料層の膜厚が、0.5nm以上10nm以下である場合、本発明に用いる上記エッチング剤によって良好に剥離することができるので、このような膜厚のケイ素系材料層が形成されている薄膜付きガラス基板に対して本発明を好ましく適用することができる。
上記遮光膜2および上記ハードマスク膜3を形成する方法についても特に制約される必要はないが、なかでもスパッタリング成膜法が好ましく挙げられる。スパッタリング成膜法によると、均一で膜厚の一定な膜を形成することが出来るので好適である。
また、図2に示されるように、位相シフト型マスクブランクの一例としては、ガラス基板1の転写パターンが形成される側の主表面上に、例えば金属シリサイド系材料からなる位相シフト膜4、上記クロム系材料層からなる遮光膜2及び上記ケイ素系材料層からなるハードマスク膜3が積層された構造のものが挙げられる。
上記位相シフト膜4は、例えば遷移金属とケイ素を含有する材料のほか、遷移金属及びケイ素に、膜の光学特性、物性(エッチングレート、他の膜(層)とのエッチング選択性など)等を改良するために、さらに窒素、酸素及び炭素のうち少なくとも1つの元素を含む材料で形成される。具体的には、遷移金属シリサイド、または遷移金属シリサイドの窒化物、酸化物、炭化物、酸窒化物、炭酸化物、あるいは炭酸窒化物を含む材料が好適である。遷移金属には、モリブデン、タンタル、タングステン、チタン、クロム、ハフニウム、ニッケル、バナジウム、ジルコニウム、ルテニウム、ロジウム、ニオブ等が適用可能である。この中でも特にモリブデンが好適である。
上記位相シフト膜4の好ましい膜厚は、材質によっても異なるが、特に位相シフト機能、光透過率の観点から適宜調整されることが望ましい。通常は、たとえば100nm以下、さらに好ましくは80nm以下の範囲である。上記位相シフト膜4を形成する方法についても特に制約される必要はないが、スパッタリング成膜法が好ましく挙げられる。
次に、本発明の基板再生方法について説明する。
上述したような図1のバイナリマスクブランクや図2の位相シフト型マスクブランクにおいて、ガラス基板上にパターン形成用の薄膜を成膜後、表面欠陥が発見されたマスクブランクに対して、本発明の基板再生方法を適用し、ガラス基板上から薄膜を剥離除去してガラス基板を再生する。
本発明の基板再生方法は、マスクブランク用ガラス基板上に少なくともクロム系材料層とケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板に対して、少なくとも、フェリシアン化金属塩成分と、無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ成分とを含む水溶液からなるエッチング剤を用いて、上記クロム系材料層とケイ素系材料層を剥離してマスクブランク用ガラス基板を再生するものである。
本発明で用いる上記エッチング剤の主剤である上記フェリシアン化金属塩成分としては、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられるが、エッチング速度の点で、特にフェリシアン化カリウムが好ましく用いることができる。
このフェリシアン化金属塩の濃度は、剥離の対象となる上記クロム系材料層やケイ素系材料層の膜厚、エッチング工程に要する時間等によっても異なるが、通常、10〜25重量%の範囲であることが好適である。この濃度が10重量%未満であると、エッチング速度が遅くなりエッチング時間が長時間となるおそれがある。他方、この濃度が25重量%を超えると、エッチング速度が速くなりすぎてエッチング終了の判断が難しくなる。
また、上記アルカリ成分は、上記エッチング剤のpHを調整するために添加するものであり、無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を使用することができる。無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物であれば特に制約される必要はないが、pHの調整のし易さ、安定性の観点から、本発明においては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化テトラメチルアンモニウムから選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
このアルカリ成分の添加量は、上記エッチング剤を所望のpH(例えばpH12以上)に調整できるように適宜調節して添加すればよい。
また、上記エッチング剤は、上記のフェリシアン化金属塩成分とアルカリ成分のほかに、必要に応じて他の成分を添加することができる。たとえば、エッチング速度の微調整のために、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオ岸エチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールプロピレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物などのノニオン性界面活性剤成分を添加してもよい。また、使用中のエッチング剤中の例えばクロムイオン濃度が上がりすぎるのを抑えるために、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシルエチルエチレンジアミン三酢酸、グルコン酸などのキレート剤成分を添加することもできる。
本発明の基板再生方法は、欠陥の発見された薄膜付きガラス基板、たとえば図1のバイナリマスクブランクや図2の位相シフト型マスクブランクを上記エッチング剤の収容された槽中に浸漬させることで行うことができる。本発明においては、薄膜付きガラス基板から薄膜を剥離する際のエッチング温度は、例えば40℃〜70℃の範囲で調整して使用する。エッチング温度の好ましい範囲は、50℃〜60℃である。なお、エッチング中は、必要に応じて、マスクブランクを槽中で適宜揺動させるようにしてもよい。
本発明の基板再生方法によれば、マスクブランク用ガラス基板上に、少なくともクロム系材料層とケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板に対して、少なくとも、フェリシアン化金属塩成分と、無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ成分とを含む水溶液からなる上記エッチング剤を用いることにより、これらクロム系材料層とケイ素系材料層とを1回の処理で剥離することができるようになる。つまり、図1のバイナリマスクブランクの場合、上記ハードマスク膜3と遮光膜3とが1回の処理で剥離することができる。また、図2の位相シフト型マスクブランクの場合においても、上記ハードマスク膜3と遮光膜3とが1回の処理で剥離することができる。従来は、このようなクロム系材料からなる遮光膜上にケイ素系材料からなるハードマスク膜を形成したマスクブランクからガラス基板を再生する場合、ケイ素系材料からなるハードマスク膜は例えばフッ酸系のエッチング液で剥離し、クロム系材料からなる遮光膜は硝酸セリウム系のエッチング液で剥離することになり、異なる種類のエッチング液を用いた2回の処理が必要であったため、本発明によれば、従来と比較すると、エッチングに要する時間が大幅に短縮され、1回の処理で済むので作業も簡単になり、製造コストも抑制できるようになる。
しかも、本発明の基板再生方法によれば、上記フェリシアン化金属塩成分を含むエッチング剤を用いることにより、剥離後のガラス基板主表面の荒れや欠陥の発生を抑制することができ、剥離後のガラス基板主表面は良好な表面状態が得られる。
この再生された基板をマスクブランク用基板として再利用するに当たって、ガラス基板主表面を所定の鏡面に仕上げるための研磨工程では研磨取り代が少なくて済み、研磨工程の作業負荷を大幅に低減することができる。前述したように、従来は、ガラス基板上に形成されたクロム系材料からなる膜を硝酸セリウム系のエッチング液を用いて剥離していたが、剥離後のガラス基板主表面は荒れてしまい、表面欠陥も発生しやすいという問題があった。このような表面が荒れたガラス基板をマスクブランク用基板として再利用するためには、その荒れた表面を所定の鏡面(例えば、二乗平均平方根粗さ(Rq)で0.2nm以下)になるまで精密研磨しなおす必要があるが、この研磨は、研磨取り代を大きく取らざるを得ず、通常、例えば酸化セリウムの研磨剤を使用した研磨工程と、コロイダルシリカの研磨剤を使用した精密研磨工程の複数段階の研磨工程を行う必要があった。これに対し、本発明の基板再生方法によれば、剥離後のガラス基板主表面の荒れや欠陥の発生を抑制することができ、剥離後のガラス基板主表面は良好な表面状態が得られるため、ガラス基板を再利用するに当たっては、研磨取り代は少なくて済み、少なくとも上記の酸化セリウムの研磨剤を使用した研磨工程が省略でき、コロイダルシリカの研磨剤を使用した精密研磨工程のみでよいので、従来と比べると研磨工程の作業負担を大幅に低減することができる。
なお、図2の位相シフト型マスクブランクにおける金属シリサイド系材料からなる上記位相シフト膜4については、例えば、フッ化水素酸、珪フッ化水素酸、フッ化水素アンモニウムから選ばれる少なくとも1つのフッ化化合物と、過酸化水素、硝酸、硫酸から選ばれる少なくとも1つの酸化剤とを含む水溶液のエッチング剤や、過酸化水素成分と、フッ化アンモニウム成分と、リン酸、硫酸及び硝酸から選ばれる少なくとも1種の酸成分とを含む水溶液のエッチング剤などを用いて剥離することがエッチング速度の点では有利である。図2の位相シフト型マスクブランクの場合において、本発明のエッチング剤を用いて上記ハードマスク膜3と遮光膜3とを1回の処理で剥離した後、上記位相シフト膜4はフッ化物系のエッチング剤を用いて剥離した場合においても、剥離後のガラス基板主表面の荒れや欠陥の発生を抑制することができ、剥離後のガラス基板主表面は良好な表面状態が得られる。
また、ガラス基板上に、例えば上記クロム系材料からなる位相シフト膜を備えた位相シフト型マスクブランクに対しては、本発明の基板再生方法を好ましく適用することができ、上記クロム系材料の位相シフト膜を剥離除去してガラス基板を再生することができる。
以上は、バイナリマスクブランクや位相シフト型マスクブランクなどのマスクブランクにおいて、基板を再生する方法を説明したが、これに限らず、例えば図1のバイナリマスクブランクから作製されたガラス基板1上に薄膜パターン(遮光膜パターン)10を有する転写用マスク(図5参照)や、図2の位相シフト型マスクブランクから作製された転写用マスク(位相シフト型マスク)も対象となる。すなわち、マスクブランクを用いて作製された転写用マスクにおいて修正が困難なパターン欠陥が発見された当該転写用マスクに対して、本発明の基板再生方法を適用し、ガラス基板上から薄膜パターンを剥離除去してガラス基板を再生することができる。
また、本発明は、上記のようにして再生されたマスクブランク用ガラス基板を用いたマスクブランクの製造方法についても提供する。
すなわち、本発明の基板再生方法によって再生されたマスクブランク用ガラス基板を使用し、その上にマスクパターン形成用薄膜(上記遮光膜2、ハードマスク膜3、位相シフト膜4など)を形成することにより、ガラス基板主表面の欠陥のないマスクブランクを製造することができる。
また、本発明は、上記マスクブランクを用いた転写用マスクの製造方法についても提供する。
すなわち、上記マスクブランクを用いて、そのマスクブランクにおける前記薄膜をパターニングして薄膜パターンを形成することにより、ガラス基板主表面の欠陥に起因するパターン欠陥の発生しない転写用マスクを製造することができる。
[第2の実施の形態]
本発明の基板再生方法は、上述のバイナリマスクブランクや位相シフト型マスクブランクの表面に、さらにレジスト組成物からなるレジスト層、ポリマーを含有するレジスト下地層の少なくとも何れかの層が形成されているマスクブランク(薄膜付き基板)に対しても適用することができる。
図3は、上述の図2の位相シフト型マスクブランク上に、さらにレジスト下地層5及びレジスト層6が形成されている構造のマスクブランクの断面図である。なお、本発明においてマスクブランクとは、このようなレジスト組成物からなるレジスト層、ポリマーを含有するレジスト下地層の少なくとも何れかの層が形成されている構造のものも含むものとする。すなわち、図3に示される位相シフト型マスクブランクは、ガラス基板1の転写パターンが形成される側の主表面上に、例えば金属シリサイド系材料からなる位相シフト膜4、クロム系材料層からなる遮光膜2、ケイ素系材料層からなるハードマスク膜3、レジスト下地層5及びレジスト層6が順に積層された構造のものである。
上記遮光膜2、ハードマスク膜3、及び位相シフト膜4については既に説明したとおりであるので、ここでは重複説明を省略する。
上記レジスト下地層5は、その直上のレジスト層6との高い密着性を備え、微細パターンが形成されたレジストパターン倒れを防止するために設けられる。このレジスト下地層5は、レジスト層6にパターンを形成する際に用いる現像液に対しては溶解しない(耐性を有する)が、レジスト層6をマスクとして例えばハードマスク膜3をドライエッチングする際にエッチングされるような材料が選択される。このレジスト下地層5は、たとえばベースポリマー、架橋剤、界面活性剤等の添加剤、溶媒等を含有するレジスト下地組成物を塗布、加熱乾燥することにより形成される。
上記ベースポリマーとしては、例えばノボラック系樹脂やアクリル樹脂等が挙げられるが、このレジスト下地層5に含有されるベースポリマーが、例えばラクトン環を有する単位構造及び水酸基を有する単位構造を含むアクリル系樹脂を含むことが好ましい。この場合、本発明に用いる上記エッチング剤によって良好に剥離することができるので、このようなレジスト下地層5が形成されているマスクブランク等に対して本発明を好ましく適用することができる。なお、上記のラクトン環を有する単位構造及び水酸基を有する単位構造を含むアクリル系樹脂の具体例としては、たとえば特開2016−66019号公報に記載されている物質が好ましく挙げられる。また、レジスト下地組成物に含有される上記架橋剤、界面活性剤等の添加剤、溶媒等については、公知のものから適宜選択して用いることができる。
このレジスト下地層5の膜厚は、0.5nm以上20nm以下であることが好ましい。このような膜厚によって十分なレジスト下地層による効果が得られる上に、上記エッチング剤を用いて良好に剥離することができる。
また、上記レジスト層6を構成するレジスト組成物は、例えば重量平均分子量が7000以下の化学増幅型レジストを含むことが好ましい。このレジスト組成物が、特に重量平均分子量が7000以下の化学増幅型レジストを含む場合、アルカリ現像液で溶解可能であり、本発明に用いる上記エッチング剤によって良好に剥離することができるので、このようなレジスト組成物からなるレジスト層が形成されているマスクブランク等に対して本発明を好ましく適用することができる。
なお、上記のレジスト組成物を上記レジスト下地層5の上に塗布し、加熱乾燥(ベーク処理)することにより上記レジスト層6が形成されるが、このときレジスト層6とレジスト下地層5との界面に、上記のレジスト下地組成物とレジスト組成物との混合成分からなる混合膜が形成される。
本発明のマスクブランク用ガラス基板の再生方法で使用するエッチング剤は、アルカリ成分が含まれた水溶液のため、これらレジスト層6やレジスト下地層5についても、良好に剥離することができる。本実施形態においても、本発明のエッチング剤については、第1の実施形態で説明したとおりであり、エッチング条件等についても第1の実施形態の場合と同様である。
つまり、図3に示すようなレジスト層6及びレジスト下地層5が表面に形成されている位相シフト型マスクブランクの場合においても、本発明の基板再生方法を適用することにより、上記レジスト層6、レジスト下地層5、ハードマスク膜3及び遮光膜3の全体を1回の処理で剥離することができる。従来であれば、別々のエッチング剤を使用して複数回の処理が必要であったが、本発明によれば、エッチングに要する時間が大幅に短縮され、1回の処理で済むので作業も簡単になり、製造コストも抑制できるようになる。しかも、本発明の基板再生方法によれば、上記フェリシアン化金属塩成分を含むエッチング剤を用いることにより、剥離後のガラス基板主表面の荒れや欠陥の発生を抑制することができ、剥離後のガラス基板主表面は良好な表面状態が得られる。
[第3の実施の形態]
図4は、FPD製造に用いられるマスクの原版となるマスクブランクの一例を示す断面図である。
図4に示されるマスクブランクは、ガラス基板1の主表面上に、半透光膜7、エッチングストップ膜8および遮光膜9が積層されている。このマスクブランクを用いて、例えば2回のパターニングを実施することにより、ガラス基板上に、ガラス基板が露出した透光部と、半透光膜からなる半透光部と、少なくとも遮光膜からなる遮光部とを有する多階調のマスクができあがる。そして、この多階調のマスクがFPD製造に用いられる。
上記半透光膜7は、クロムを含有するクロム系材料層からなり、FPD製造の際に使用される露光装置の露光光源波長に対して、所定の透過率と位相差を備えるようにクロム系材料の組成が調整されている。
上記遮光膜9についても、クロムを含有するクロム系材料層からなり、上記露光光源波長に対して遮光性(例えば光学濃度(O.D.)2.5以上)を備えるようにクロム系材料の組成が調整されている。
上記エッチングストップ膜8は、上記半透光膜7、遮光膜9がともにクロム系材料で形成されているため、上記半透光膜7と遮光膜9との間に設けられている。そのため、このエッチングストップ膜8は、クロム系材料とはエッチング選択性のあるケイ素を含有するケイ素系材料で形成されている。
これら半透光膜7、エッチングストップ膜8および遮光膜9はいずれも、クロム系材料層またはケイ素系材料層で形成されているため、本発明のエッチング剤を用いて良好に剥離することができる。なお、本実施形態においても、本発明のエッチング剤については、第1の実施形態で説明したとおりであり、エッチング条件等についても第1の実施形態の場合と同様である。
つまり、図4に示されるような構成のFPD製造用のマスクブランクの場合においても、本発明の基板再生方法を適用することにより、上記半透光膜7、エッチングストップ膜8、及び遮光膜9の全部を1回の処理で剥離して、ガラス基板を再生することができる。本発明によれば、エッチングに要する時間が大幅に短縮され、1回の処理で済むので作業も簡単になり、製造コストも抑制できるようになる。しかも、本発明の基板再生方法によれば、上記フェリシアン化金属塩成分を含むエッチング剤を用いることにより、剥離後のガラス基板主表面の荒れや欠陥の発生を抑制することができ、剥離後のガラス基板主表面は良好な表面状態が得られる。
以上の実施形態の説明では、バイナリマスクブランク、位相シフト型マスクブランク、FPD製造用マスクブランクなどを例示して説明したが、本発明は、ガラス基板上に少なくともクロム系材料層とケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板からクロム系材料層とケイ素系材料層とを剥離してガラス基板を再生する場合に適用することができるので、上記薄膜付きガラス基板の構成を有するものであれば、上記の例示に限らず、たとえばナノインプリントに用いるナノインプリントモールド作製用のブランクについても本発明の基板再生方法を適用してガラス基板の再生を行うことができる。
以上詳細に説明したように、本発明によれば、ガラス基板上に少なくともクロム系材料層とケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板から、前記クロム系材料層とケイ素系材料層とをエッチング剤を用いて1回の処理で剥離することができ、しかも剥離後のガラス基板主表面の荒れや欠陥の発生を抑制することができる。また、基板を再生するのに必要な剥離後のガラス基板主表面の研磨工程の負担を大幅に低減することができる。また、本発明によれば、この再生されたガラス基板を使用することにより、ガラス基板主表面の欠陥のないマスクブランクを製造することができ、さらに、このマスクブランクを用いて、ガラス基板主表面の欠陥に起因するパターン欠陥の発生しない転写用マスクを製造することができる。
以下、実施例により、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。
(実施例1)
<マスクブランクの作製>
本実施例では、波長193nmのArFエキシマレーザーを露光光として用いる位相シフト型マスクの製造に使用するマスクブランクを作製した。
このマスクブランクは、図2に示すような、ガラス基板1上に、位相シフト膜4、遮光膜2、ハードマスク膜3を順に積層した構造のものである。
ガラス基板1として合成石英基板(大きさ約152mm×152mm×厚み6.35mm)を準備した。このガラス基板1の上記の各膜が形成される側の主表面は、二乗平均平方根粗さ(Rq)で0.2nm以下に仕上げておいた(原子間力顕微鏡にて測定した。測定領域は1μm×1μm。)。
次に、位相シフト膜4を形成した。
まず、枚葉式DCスパッタリング装置内に上記ガラス基板1を設置し、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合焼結ターゲット(Mo:Si=12原子%:88原子%)を用い、アルゴン(Ar)、窒素(N)およびヘリウム(He)の混合ガス(流量比 Ar:N:He=8:72:100,圧力=0.2Pa)をスパッタリングガスとし、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、上記ガラス基板1上に、モリブデン、シリコンおよび窒素からなるMoSiN位相シフト膜4を69nmの厚さで形成した。次いで、このMoSiN位相シフト膜を形成した基板を、酸素雰囲気中で高温(450℃)アニール処理を行った。
形成したMoSiN位相シフト膜の組成は、Mo:Si:N=4.1:35.6:60.3(原子%比)であった。この組成はXPSにより測定した。形成した位相シフト膜4は、波長193nmの露光光に対する位相差が174.3度、透過率が6.44%であった。
次に、上記位相シフト膜4の上に、CrOCN膜からなる下層、CrN膜からなる中間層、CrOCN膜からなる上層の3層構造の遮光膜2を形成した。具体的には、クロムからなるターゲットを用い、アルゴン(Ar)と二酸化炭素(CO)と窒素(N)とヘリウム(He)の混合ガス雰囲気(流量比 Ar:CO:N:He=20:25:13:30、圧力0.3Pa)中で、反応性スパッタリングを行うことにより、上記位相シフト膜上に厚さ30nmのCrOCN膜からなる遮光膜下層を形成した。続いて、同じくクロムターゲットを用い、アルゴン(Ar)と窒素(N)の混合ガス雰囲気(流量比 Ar:N=25:5、圧力0.3Pa)中で、反応性スパッタリングを行うことにより、上記下層の上に厚さ4nmのCrN膜からなる遮光膜中間層を形成した。続いて、同じくクロムターゲットを用い、アルゴン(Ar)と二酸化炭素(CO)と窒素(N)とヘリウム(He)の混合ガス雰囲気(流量比 Ar:CO:N:He=20:24:22:30、圧力0.3Pa)中で、反応性スパッタリングを行うことにより、上記中間層の上に厚さ14nmのCrOCN膜からなる遮光膜上層を形成した。
形成した遮光膜下層のCrOCN膜の組成は、Cr:O:C:N=55.2:22.1:11.6:11.1(原子%比)であった。また、遮光膜中間層のCrN膜の組成は、Cr:N=76.2:23.8原子%比)、遮光膜上層のCrOCN膜の組成は、Cr:O:C:N=49.2:23.8:13.0:14.0(原子%比)であった。これらの組成はXPSにより測定した。
次いで、上記遮光膜2の上に、SiON膜からなるハードマスク膜3を形成した。具体的には、ケイ素(Si)ターゲットを用い、アルゴン(Ar)と一酸化窒素(NO)とヘリウム(He)の混合ガス雰囲気(流量比 Ar:NO:He=8:29:32、圧力0.3Pa)中で、反応性スパッタリングを行うことにより、上記遮光膜2の上に厚さ5nmのSiON膜からなるハードマスク膜3を形成した。ハードマスク膜3の組成は、Si:O:N=37:44:19(原子%比)であった。これらの組成はXPSにより測定した。
上記位相シフト膜4と遮光膜2の積層膜の光学濃度は、ArFエキシマレーザーの波長(193nm)において3.0以上(透過率0.1%以下)であった。
<欠陥検査>
以上のようにして本実施例の位相シフトマスクブランクを作製した。そして、この作製したマスクブランクをブランクス欠陥検査装置(レーザーテック社製MAGICS M1350)で欠陥検査したところ、修正が困難な膜欠陥が検出されたため、本発明の基板再生方法を適用して、ガラス基板の再生を行った。
<基板再生>
まず、エッチング液として、フェリシアン化カリウムを25重量%、水酸化カリウムを5重量%含有する水溶液を準備した。
次に、このエッチング液を収容した槽内に、上記の欠陥が見つかったマスクブランクを浸漬させ、ガラス基板上に形成されている上記ハードマスク膜3及び遮光膜2のエッチング処理を行った。エッチング温度は、55℃とし、処理中は、槽内のマスクブランクを適宜揺動させるようにした。
予め、ガラス基板上に上記MoSiN位相シフト膜を形成した状態で当該MoSiN膜の透過率スペクトル(193nm)を測定しておき、このMoSiN膜の透過率スペクトルと合致した時点で、上記ハードマスク膜3及び遮光膜2がエッチングにより剥離除去され、MoSiN位相シフト膜4が露出したものと判定し、エッチング処理の終了を確認した。本実施例では、エッチング時間は、35分であった。
次に、フッ化水素アンモニウム(0.46重量%)と過酸化水素(2.3重量%)と水(97重量%)の混合水溶液をエッチング液(42℃)として用いて、ガラス基板上に残っている上記MoSiN位相シフト膜4を剥離除去した。
以上のようにして、上記マスクブランクから上記ハードマスク膜3と遮光膜2と位相シフト膜4を剥離して、ガラス基板1を再生した。
本実施例の位相シフト型マスクブランクの場合、本発明のフェリシアン化金属塩系のエッチング液を用いて上記ハードマスク膜3と遮光膜3とが1回の処理で剥離することができ、従来は異なる種類のエッチング液を用いた2回の処理が必要であったことと比較すると、エッチングに要する時間が大幅に短縮され、1回の処理で済むので作業も簡単になった。また、位相シフト膜剥離後の再生されたガラス基板主表面は、荒れが少なく(Rqで3.0nm)、欠陥の発生も見られず。剥離後のガラス基板主表面は良好な表面状態が得られた。
次に、この再生されたガラス基板を再利用し、位相シフトマスクブランクを再度製造した。
上記のようにして再生されたガラス基板を再利用するに当たって、主表面を二乗平均平方根粗さ(Rq)で0.2nm以下にするため、コロイダルシリカ(平均粒径:100nm)を研磨剤として使用し、精密研磨を行った。再生されたガラス基板表面は荒れが少なかったため、この精密研磨による研磨取り代は3μm以下と非常に小さく、研磨作業の負担は少なくて済む。
次いで、研磨後のガラス基板の主表面上に、上記とまったく同様にして、位相シフト膜4、遮光膜2及びハードマスク膜3を順次形成して、位相シフトマスクブランクを製造した。
製造した位相シフトマスクブランクについて、上記のブランクス欠陥検査装置で欠陥検査したところ、基板主表面の欠陥及び膜欠陥はいずれも検出されなかった。さらに、この位相シフトマスクブランクを用いて、位相シフト型マスクを作製したところ、パターン欠陥のない転写用マスクを製造することができた。
(実施例2)
本実施例では、図3に示すようなレジスト膜付きの位相シフトマスクブランクを作製した。上記実施例1と同様にして、鏡面研磨後のガラス基板の主表面上に、位相シフト膜4、遮光膜2及びハードマスク膜3を順次形成した。
次に、ラクトン環を有する単位構造及び水酸基を有する単位構造を含むポリマーを含有するレジスト下地組成物を上記ハードマスク膜3上にコーターで塗布し、乾燥させることにより、膜厚20nmのレジスト下地層5を形成した。
次いで、ネガ型の化学増幅型レジスト(重量平均分子量が3600)をスピンコーターで上記レジスト下地層5の表面に塗布し、加熱乾燥させることにより、膜厚160nmのレジスト層6を形成した。
以上のようにして、図3に示すようなレジスト膜付きの位相シフトマスクブランクを作製した。
そして、この作製したマスクブランクに欠陥が存在すると仮定して、実施例1と同様に、基板の再生を行った。
エッチング液としては、実施例1と同様のフェリシアン化カリウムを25重量%、水酸化カリウムを5重量%含有する水溶液を準備した。
次に、このエッチング液を収容した槽内に、上記のレジスト膜付きのマスクブランクを浸漬させ、ガラス基板上に形成されている上記レジスト層6、レジスト下地層5、ハードマスク膜3及び遮光膜2のエッチング処理を行った。エッチング温度は、55℃とし、処理中は、槽内のマスクブランクを適宜揺動させるようにした。
予め、ガラス基板上に上記MoSiN位相シフト膜を形成した状態で当該MoSiN膜の透過率スペクトル(193nm)を測定しておき、このMoSiN膜の透過率スペクトルと合致した時点で、上記レジスト層6、レジスト下地層5、ハードマスク膜3及び遮光膜2がエッチングにより剥離除去され、MoSiN位相シフト膜4が露出したものと判定し、エッチング処理の終了を確認した。本実施例では、エッチング時間は、20分であった。
次に、実施例1と同様、フッ化水素アンモニウム(0.46重量%)と過酸化水素(2.3重量%)と水(97重量%)の混合水溶液をエッチング液(42℃)として用いて、ガラス基板上に残っている上記MoSiN位相シフト膜4を剥離除去した。
以上のようにして、レジスト膜付きのマスクブランクから上記レジスト層6、レジスト下地層5、ハードマスク膜3、遮光膜2及び位相シフト膜4を剥離して、ガラス基板1を再生した。
本実施例のレジスト膜付き位相シフト型マスクブランクの場合、本発明のフェリシアン化金属塩系のエッチング液を用いて上記レジスト層6、レジスト下地層5、ハードマスク膜3及び遮光膜3の全部の膜を1回の処理で剥離することができ、従来であれば異なる種類のエッチング液を用いた少なくとも4回の処理が必要であったことと比較すると、エッチングに要する時間が大幅に短縮され、少なくとも上記レジスト層6、レジスト下地層5、ハードマスク膜3及び遮光膜3の剥離は1回の処理で済むので作業も簡単になった。また、位相シフト膜剥離後の再生されたガラス基板主表面は、荒れが少なく(Rqで4.5nm)、欠陥の発生も見られず。剥離後のガラス基板主表面は良好な表面状態が得られた。
このように、マスクブランク表面にレジスト下地層やレジスト層を形成したマスクブランクに対しても、本発明の基板再生方法を適用してガラス基板の再生を行うことが好適である。
次に、この再生されたガラス基板を再利用し、レジスト膜付き位相シフトマスクブランクを再度製造した。
上記のようにして再生されたガラス基板を再利用するに当たって、主表面を二乗平均平方根粗さ(Rq)で0.2nm以下にするため、コロイダルシリカ(平均粒径100nm)を研磨剤として使用し、精密研磨を行った。再生されたガラス基板表面は荒れが少なかったため、この精密研磨による研磨取り代は3μm以下と非常に小さく、研磨作業の負担は少なくて済む。
次いで、研磨後のガラス基板の主表面上に、上記とまったく同様にして、位相シフト膜4、遮光膜2、ハードマスク膜3を順次形成し、さらにその上に、レジスト下地層5及びレジスト層6を形成して、レジスト膜付きの位相シフトマスクブランクを製造した。
なお、製造した位相シフトマスクブランクについて、ブランクス欠陥検査装置で欠陥検査したところ、基板主表面の欠陥及び膜欠陥はいずれも検出されなかった。さらに、この位相シフトマスクブランクを用いて、位相シフト型マスクを作製したところ、パターン欠陥のない転写用マスクを製造することができた。
(比較例)
上記実施例1と同様にして作製した位相シフトマスクブランクに対して、従来方法により、基板の再生を行った。
まず、フッ酸水溶液をエッチング剤として用いて、上記ハードマスク膜3をエッチングにより剥離した。
次いで、硝酸第2アンモニウムと過塩素酸とを含む水溶液をエッチング剤として用いて、上記遮光膜2をエッチングにより剥離した。
続いて、フッ化水素アンモニウムと過酸化水素の混合水溶液をエッチング剤として用いて、ガラス基板上に残っているMoSiN位相シフト膜4を剥離除去した。
以上のようにしてガラス基板の再生を行ったが、このような従来方法によると、異なるエッチング剤を用いて3回の処理が必要であった。
また、このようにして再生されたガラス基板の表面は、全体的に表面荒れが発生しており、目視で白濁状態となっていた。
このような表面が荒れたガラス基板をマスクブランク用基板として再利用するに当たって、その荒れた表面を鏡面(二乗平均平方根粗さ(Rq)で0.2nm以下)になるまで精密研磨するため、酸化セリウムの研磨剤を使用した研磨工程と、コロイダルシリカの研磨剤を使用した精密研磨工程の複数段階の研磨工程を行う必要があった。また、研磨取り代も30μmと非常に大きく取らざるを得なかった。実施例のように本発明の基板再生方法によれば、ガラス基板を再利用するに当たっては、研磨取り代は少なくて済み、少なくとも上記の酸化セリウムの研磨剤を使用した研磨工程が省略でき、コロイダルシリカの研磨剤を使用した精密研磨工程のみでよいのと比べると研磨工程の作業負担の差は明らかである。
なお、上記実施例1、2と比較例では、いずれもMoSiN位相シフト膜については同じエッチング液で処理しているが、このMoSiN位相シフト膜剥離後のガラス基板表面は、実施例では荒れが少なく良好な表面状態が得られるのに対し、比較例では全体的に表面が荒れていた。この理由は次のように推察される。
ガラス基板上に成膜されたMoSiN膜はアニール処理されるため、その表面には酸化層による凹凸が出来ている。実施例で用いたフェリシアン化カリウム系のエッチング剤の場合、このMoSiN膜表面の凹凸を溶解してしまうため、MoSiN膜剥離後のガラス基板表面においても荒れの少ない平滑な表面が得られる。一方、比較例では、従来の硝酸セリウム系のエッチング剤を用いてクロム系遮光膜を剥離しても、その直下のMoSiN膜表面の凹凸は溶解されないためそのまま残ってしまう。このMoSiN膜表面の凹凸によるエッチングむらがそのままガラス基板表面にも反映されてしまい、表面の荒れたガラス基板が得られる。
1 ガラス基板
2 遮光膜
3 ハードマスク膜
4 位相シフト膜
5 レジスト下地層
6 レジスト層
7 半透光膜
8 エッチングストップ膜
9 遮光膜
10 薄膜パターン

Claims (11)

  1. マスクブランク用ガラス基板上に、少なくとも、クロムを含有するクロム系材料層とケイ素を含有するケイ素系材料層とが積層された薄膜付きガラス基板から、前記クロム系材料層と前記ケイ素系材料層とをエッチング剤を用いて剥離してマスクブランク用ガラス基板を再生するマスクブランク用ガラス基板の再生方法であって、
    前記エッチング剤は、少なくとも、フェリシアン化金属塩成分と、無機アルカリ化合物及び有機アルカリ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のアルカリ成分とを含む水溶液からなることを特徴とするマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
  2. 前記フェリシアン化金属塩成分は、フェリシアン化カリウムであることを特徴とする請求項1に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
  3. 前記アルカリ成分は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化テトラメチルアンモニウムから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
  4. 前記ケイ素系材料層は、さらに酸素を含有する材料であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
  5. 前記ケイ素系材料層の膜厚は、0.5nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
  6. 前記薄膜付き基板は、さらに、レジスト組成物からなるレジスト層、ポリマーを含有するレジスト下地層の少なくとも何れかの層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
  7. 前記レジスト組成物は、重量平均分子量が7000以下の化学増幅型レジストを含むことを特徴とする請求項6に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
  8. 前記レジスト下地層に含有されるポリマーは、ラクトン環を有する単位構造及び水酸基を有する単位構造を含むアクリル系樹脂を含むことを特徴とする請求項6又は7に記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
  9. 前記レジスト下地層の膜厚は、0.5nm以上20nm以下であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載のマスクブランク用ガラス基板の再生方法によって再生されたマスクブランク用ガラス基板上にマスクパターン形成用薄膜を形成することを特徴とするマスクブランクの製造方法。
  11. 請求項10に記載のマスクブランクの製造方法によって得られるマスクブランクにおける前記薄膜をパターニングして薄膜パターンを形成することを特徴とする転写用マスクの製造方法。

JP2016189437A 2016-09-28 2016-09-28 マスクブランク用ガラス基板の再生方法、マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法 Pending JP2018054794A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016189437A JP2018054794A (ja) 2016-09-28 2016-09-28 マスクブランク用ガラス基板の再生方法、マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016189437A JP2018054794A (ja) 2016-09-28 2016-09-28 マスクブランク用ガラス基板の再生方法、マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018054794A true JP2018054794A (ja) 2018-04-05

Family

ID=61836599

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016189437A Pending JP2018054794A (ja) 2016-09-28 2016-09-28 マスクブランク用ガラス基板の再生方法、マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018054794A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020086087A (ja) * 2018-11-22 2020-06-04 アルバック成膜株式会社 マスクブランクスおよびマスク
US11654671B2 (en) 2021-04-26 2023-05-23 Samsung Display Co., Ltd. Method for manufacturing a display device

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08272071A (ja) * 1995-03-30 1996-10-18 Toppan Printing Co Ltd 位相シフトマスクとその製造方法、ならびにマスクブランク
JPH11202474A (ja) * 1998-01-13 1999-07-30 Hitachi Ltd レチクルの欠陥修正方法及びレチクル並びに半導体製造方法
JP2003084436A (ja) * 2001-09-10 2003-03-19 Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd 化学増幅型レジスト組成物
JP2005026645A (ja) * 2002-10-15 2005-01-27 Shinko Electric Ind Co Ltd 回路基板及びその製造方法
JP2012022124A (ja) * 2010-07-14 2012-02-02 Toppan Printing Co Ltd フォトマスクブランク、フォトマスクおよび基板再生方法
JP2012053120A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Hoya Corp マスクブランク用基板及びマスクブランクの製造方法
JP2016066019A (ja) * 2014-09-25 2016-04-28 Hoya株式会社 マスクブランク、マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08272071A (ja) * 1995-03-30 1996-10-18 Toppan Printing Co Ltd 位相シフトマスクとその製造方法、ならびにマスクブランク
JPH11202474A (ja) * 1998-01-13 1999-07-30 Hitachi Ltd レチクルの欠陥修正方法及びレチクル並びに半導体製造方法
JP2003084436A (ja) * 2001-09-10 2003-03-19 Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd 化学増幅型レジスト組成物
JP2005026645A (ja) * 2002-10-15 2005-01-27 Shinko Electric Ind Co Ltd 回路基板及びその製造方法
JP2012022124A (ja) * 2010-07-14 2012-02-02 Toppan Printing Co Ltd フォトマスクブランク、フォトマスクおよび基板再生方法
JP2012053120A (ja) * 2010-08-31 2012-03-15 Hoya Corp マスクブランク用基板及びマスクブランクの製造方法
JP2016066019A (ja) * 2014-09-25 2016-04-28 Hoya株式会社 マスクブランク、マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020086087A (ja) * 2018-11-22 2020-06-04 アルバック成膜株式会社 マスクブランクスおよびマスク
JP7217620B2 (ja) 2018-11-22 2023-02-03 アルバック成膜株式会社 マスクブランクスおよびマスク
US11654671B2 (en) 2021-04-26 2023-05-23 Samsung Display Co., Ltd. Method for manufacturing a display device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9535320B2 (en) Mask blank, method of manufacturing the same, transfer mask, and method of manufacturing the same
US9104112B2 (en) Mask blank, method of manufacturing the same, and transfer mask
TWI640826B (zh) 光罩基底、轉印用光罩之製造方法及半導體裝置之製造方法
US10571797B2 (en) Mask blank, transfer mask, method for manufacturing transfer mask, and method for manufacturing semiconductor device
JP6389375B2 (ja) マスクブランクおよび転写用マスク並びにそれらの製造方法
JP6084391B2 (ja) マスクブランク、転写用マスク、転写用マスクの製造方法および半導体デバイスの製造方法
WO2004070472A1 (ja) フォトマスクブランク及びフォトマスク、並びにフォトマスクを用いたパターン転写方法
JP5677812B2 (ja) 基板の再生方法、マスクブランクの製造方法、多層反射膜付き基板の製造方法、及び反射型マスクブランクの製造方法
JP2013178371A (ja) 薄膜付き基板の薄膜の除去方法、転写用マスクの製造方法、基板の再生方法、及びマスクブランクの製造方法
JP2009206339A (ja) インプリントモールド用マスクブランク及びインプリントモールドの製造方法
JP2016188958A (ja) マスクブランク、位相シフトマスクの製造方法、及び、半導体デバイスの製造方法
JP5221168B2 (ja) インプリントモールド用マスクブランク及びインプリントモールドの製造方法
JP5997530B2 (ja) マスクブランク、転写用マスク、および半導体デバイスの製造方法
US20150293441A1 (en) Mask blank, transfer mask, method of manufacturing mask blank, method of manufacturing transfer mask and method of manufacturing semiconductor device
JP2018054794A (ja) マスクブランク用ガラス基板の再生方法、マスクブランクの製造方法及び転写用マスクの製造方法
JP7130577B2 (ja) フォトマスクブランク、フォトマスクブランクの製造方法、フォトマスクの製造方法及び表示装置の製造方法
JP5635839B2 (ja) マスクブランク用基板の製造方法及びマスクブランクの製造方法
JP7371198B2 (ja) フォトマスクブランク、フォトマスクの製造方法及び表示装置の製造方法
JP2022171560A (ja) フォトマスクブランク及びそれを用いたフォトマスク
JP5920965B2 (ja) マスクブランクの製造方法、転写用マスク用の製造方法、および半導体デバイスの製造方法
JP4497909B2 (ja) マスクブランクス用ガラス基板の再生方法、マスクブランクスの製造方法及び転写用マスクの製造方法
JP4437507B2 (ja) マスクブランクス用ガラス基板の再生方法、マスクブランクスの製造方法及び転写用マスクの製造方法
JP2016188882A (ja) 掘込レベンソン型位相シフトマスクの製造方法及び半導体装置の製造方法
JP2005191352A (ja) 多層反射膜付き基板の再生方法、多層反射膜付き基板の製造方法及び反射型マスクブランクスの製造方法
JP2016145993A (ja) マスクブランクの製造方法、転写用マスク用の製造方法、および半導体デバイスの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190925

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200807

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200819

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20201015

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210302