JP2018054705A - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】色スジの発生が抑制される静電荷像現像用トナーの提供。【解決手段】トナー粒子と、潤滑剤粒子、及び前記潤滑剤粒子とは逆極の帯電性を有する逆極粒子を含有し、かつ前記潤滑剤粒子の表面に前記逆極粒子が固着して複合体を成す複合体粒子と、を含み、前記複合体粒子のうち、正帯電性である複合体粒子〔C+〕と負帯電性である複合体粒子〔C−〕との個数比(C+:C−)が30:70乃至70:30の範囲である静電荷像現像用トナー。【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
電子写真方式の画像形成においては、画像形成材料としてトナーが用いられ、例えば、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、このトナー粒子に外添される外添剤と、を含むトナーが多く使用されている。
例えば、特許文献1には、「結着樹脂、着色剤及び離型剤を含むトナー母粒子と、外添剤とを有し、前記外添剤が亜鉛含有粒子を含有し、全トナー粒子中の遊離亜鉛含有粒子の個数が0.2個数%以上1.0個数%以下であり、遊離亜鉛含有粒子の個数平均粒径が1.0μm以上3.0μm以下であり、かつ、遊離亜鉛含有粒子の平均円形度が0.2以上0.6以下である静電荷像現像用トナー」が開示されている。
また、特許文献2には、「トナー粒子と外添剤を含む静電荷像現像用トナーであって、前記外添剤が芯材粒子の表面に超臨界二酸化炭素中で形成された脂肪酸金属塩を含む被覆層を有する外添剤である、静電荷像現像用トナー」が開示されている。
また、特許文献3には、「酸価1から70mgKOH/gである結着樹脂と、ヨウ素価が25以下かつ、けん化価が30から300であるワックスとを含むトナー母体と、脂肪酸及び脂肪酸金属塩により処理された無機微粉末と、を含むトナー」が開示されている。
また、特許文献4には、「結着樹脂及び着色剤を含む着色粒子と、潤滑剤粒子及び研磨剤粒子を含み少なくとも該研磨剤粒子の一部が表面に露出した複合粒子と、を含有する静電潜像現像用トナー」が開示されている。
特開2010−185999号公報 特開2014−134594号公報 特開2003−84486号公報 特開2008−145749号公報
従来、トナー粒子と潤滑剤粒子とを含む静電荷像現像用トナーを用いた場合に、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成しその後放置した後に低温環境下で再び画像を形成したとき、記録媒体の搬送方向と直交する方向に色スジ(横スジ)が発生することがあった。
そこで本発明の第1の課題は、前記潤滑剤粒子に替えて又は加えて、潤滑剤粒子の表面に該潤滑剤粒子とは逆極の帯電性を有する逆極粒子が固着して複合体を成す複合体粒子を用い、かつ正帯電性である複合体粒子〔C〕の負帯電性である複合体粒子〔C〕に対する個数比(C/C)が30/70未満、又は70/30超えである場合に比べ、前記色スジの発生が抑制される静電荷像現像用トナーを提供することである。
また本発明の第2の課題は、前記潤滑剤粒子に替えて又は加えて、潤滑剤粒子の表面に該潤滑剤粒子とは逆極の帯電性を有する逆極粒子が固着して複合体を成す複合体粒子を用い、かつ潤滑剤粒子の表面における逆極粒子による被覆率が40%未満である複合体粒子〔C〕の前記被覆率が40%以上である複合体粒子〔C〕に対する個数比(C/C)が30/70未満、又は70/30超えである場合に比べ、前記色スジの発生が抑制される静電荷像現像用トナーを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
トナー粒子と、
潤滑剤粒子、及び前記潤滑剤粒子とは逆極の帯電性を有する逆極粒子を含有し、かつ前記潤滑剤粒子の表面に前記逆極粒子が固着して複合体を成す複合体粒子と、
を含み、
前記複合体粒子のうち、正帯電性である複合体粒子〔C〕と負帯電性である複合体粒子〔C〕との個数比(C:C)が30:70乃至70:30の範囲である静電荷像現像用トナー。
請求項2に係る発明は、
トナー粒子と、
潤滑剤粒子、及び前記潤滑剤粒子とは逆極の帯電性を有する逆極粒子を含有し、かつ前記潤滑剤粒子の表面に前記逆極粒子が固着して複合体を成す複合体粒子と、
を含み、
前記複合体粒子のうち、前記潤滑剤粒子の表面における前記逆極粒子による被覆率が40%未満である複合体粒子〔C〕と前記被覆率が40%以上である複合体粒子〔C〕との個数比(C:C)が30:70乃至70:30の範囲である静電荷像現像用トナー。
請求項3に係る発明は、
前記複合体粒子において、前記潤滑剤粒子の表面における前記逆極粒子による平均被覆率が20%以上60%以下である請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
請求項4に係る発明は、
前記複合体粒子における前記被覆率の個数分布をグラフ(横軸=被覆率、縦軸=個数)にしたとき、被覆率40%未満の領域及び被覆率40%以上の領域のいずれにもピークが存在する請求項2又は請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
請求項5に係る発明は、
前記複合体粒子において、下記式(1)の条件を満たす複合体粒子の前記トナー粒子の個数に対する比率が0.006個数%以上であり、かつ下記式(2)の条件を満たす複合体粒子の前記トナー粒子の個数に対する比率が0.001個数%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
式(1) 1μm≦R≦(0.45×RTN
式(2) R<1μm
(上記式(1)及び式(2)中、RTNは前記トナー粒子の体積平均粒径(μm)を、Rは前記複合体粒子の粒径(μm)を表す。)
請求項6に係る発明は、
前記潤滑剤粒子がステアリン酸亜鉛粒子であり、前記逆極粒子がシリカ粒子である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
請求項7に係る発明は、
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
請求項8に係る発明は、
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
請求項9に係る発明は、
請求項7に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
請求項10に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項7に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
前記像保持体にクリーニングブレードを接触させて前記像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、
を備える画像形成装置。
請求項11に係る発明は、
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項7に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
前記像保持体にクリーニングブレードを接触させて前記像保持体の表面をクリーニングするクリーニング工程と、
を有する画像形成方法。
請求項1、又は6に係る発明によれば、トナー粒子と、潤滑剤粒子の表面に該潤滑剤粒子とは逆極の帯電性を有する逆極粒子が固着して複合体を成す複合体粒子と、を含み、正帯電性である複合体粒子〔C〕の負帯電性である複合体粒子〔C〕に対する個数比(C/C)が30/70未満、又は70/30超えである場合に比べ、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成しその後放置した後に低温環境下で再び画像を形成したときに記録媒体の搬送方向と直交する方向に生じる色スジが抑制される静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項2、又は6に係る発明によれば、トナー粒子と、潤滑剤粒子の表面に該潤滑剤粒子とは逆極の帯電性を有する逆極粒子が固着して複合体を成す複合体粒子と、を含み、潤滑剤粒子の表面における逆極粒子による被覆率が40%未満である複合体粒子〔C〕の前記被覆率が40%以上である複合体粒子〔C〕に対する個数比(C/C)が30/70未満、又は70/30超えである場合に比べ、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成しその後放置した後に低温環境下で再び画像を形成したときに記録媒体の搬送方向と直交する方向に生じる色スジが抑制される静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項3に係る発明によれば、潤滑剤粒子の表面における逆極粒子による平均被覆率が20%未満、又は60%超えである場合に比べ、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成しその後放置した後に低温環境下で再び画像を形成したときに記録媒体の搬送方向と直交する方向に生じる色スジが抑制される静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項4に係る発明によれば、潤滑剤粒子の表面における逆極粒子による被覆率の個数分布をグラフ(横軸=被覆率、縦軸=個数)にしたときにピークが1つのみ存在する場合に比べ、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成しその後放置した後に低温環境下で再び画像を形成したときに記録媒体の搬送方向と直交する方向に生じる色スジが抑制される静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項5に係る発明によれば、前記式(1)の条件を満たす複合体粒子のトナー粒子の個数に対する比率が0.006個数%未満である場合に比べ、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成しその後放置した後に低温環境下で再び画像を形成したときに記録媒体の搬送方向と直交する方向に生じる色スジが抑制される静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項7、8、9、10、又は11に係る発明によれば、トナー粒子と、潤滑剤粒子の表面に該潤滑剤粒子とは逆極の帯電性を有する逆極粒子が固着して複合体を成す複合体粒子と、を含み、正帯電性である複合体粒子〔C〕の負帯電性である複合体粒子〔C〕に対する個数比(C/C)が30/70未満、又は70/30超えであり、かつ、潤滑剤粒子の表面における逆極粒子による被覆率が40%未満である複合体粒子〔C〕の前記被覆率が40%以上である複合体粒子〔C〕に対する個数比(C/C)が30/70未満、又は70/30超えである場合に比べ、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成しその後放置した後に低温環境下で再び画像を形成したときに記録媒体の搬送方向と直交する方向に生じる色スジが抑制される静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、又は画像形成方法が提供される。
本実施系に用いられる複合体粒子の一例を示す画像である。 本実施系に用いられる複合体粒子の一例を示す画像である。 本実施系における複合体粒子の好ましい粒径を説明するための概略図である。 本実施形態に係るトナーの製造に用いるスクリュー押出機の一例について、スクリューの状態を説明する図である。 本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
以下、本発明について、一例である実施形態を示し詳細に説明する。
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下単に「トナー」とも称す)は、トナー粒子と複合体粒子とを含む。この複合体粒子は、潤滑剤粒子と、前記潤滑剤粒子とは逆極の帯電性を有する逆極粒子と、を含有し、かつ前記潤滑剤粒子の表面に前記逆極粒子が固着して複合体を成す。
そして、本実施形態のうち第1実施形態に係るトナーは、前記複合体粒子のうち、正帯電性である複合体粒子〔C〕と負帯電性である複合体粒子〔C〕との個数比(C:C)が30:70乃至70:30の範囲である。
また、本実施形態のうち第2実施形態に係るトナーは、前記複合体粒子のうち、前記潤滑剤粒子の表面における前記逆極粒子による被覆率が40%未満である複合体粒子〔C〕と前記被覆率が40%以上である複合体粒子〔C〕との個数比(C:C)が30:70乃至70:30の範囲である。
ここで、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成し、その後放置した後に、低温環境下で再び画像を形成したときに、記録媒体の搬送方向と直交する方向に色スジ(横スジ)が発生することがある。しかし、上記の第1実施形態に係るトナーによれば、上記色スジ(横スジ)の発生が抑制される。また、上記の第2実施形態に係るトナーによれば、上記色スジ(横スジ)の発生が抑制される。
その理由は、次の通り推測される。
従来から、電子写真方式の画像形成において、像保持体表面の転写残トナーを除去する目的で、クリーニングブレードによるクリーニング手段が用いられている。また、このクリーニングブレードとの接触による像保持体の摩耗を抑制する観点で、トナー中に潤滑剤粒子を添加することが行われている。
しかし、トナー粒子と潤滑剤粒子とを含むトナーを用いた場合に、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像(例えば画像濃度100%のベタ画像部と画像濃度0%の非画像部とが隣接して存在する画像など)を連続(例えば1000枚連続)して形成し、その後放置(例えば一晩放置)した後に、低温環境(例として冬の朝などが挙げられる。例えば10℃環境)下で画像を形成したときに、記録媒体の搬送方向と直交する方向に色スジ(横スジ)が発生することがある。
この色スジ(横スジ)の発生原因としては、潤滑剤粒子の帯電性が寄与しているものと考えられる。例えば、トナー粒子が負(マイナス)帯電性である場合に、潤滑剤粒子として脂肪酸金属塩等の正(プラス)帯電性の粒子を用いたとき、この潤滑剤粒子の像保持体表面への供給は非画像部への供給の方が多くなる。また、潤滑剤粒子として負(マイナス)帯電性の粒子を用いたときであれば、潤滑剤粒子は画像部への供給の方が多くなる。その結果、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成した場合、像保持体の画像部に相当する領域又は非画像部に相当する領域の一方にのみ潤滑剤粒子が多量に存在し、他方の領域には潤滑剤粒子が存在しない又は少量しか存在しない状態となる。そして、その状態のまま放置された後に、低温環境下つまりクリーニングブレードの硬度がより硬くなり接触圧が高くなる環境下で画像を形成すると、前記他方の領域には潤滑剤粒子が存在しないか又は少量しか存在しないため、この領域でのクリーニングブレードとの摩擦力が上昇する。そして、摩擦力の上昇によってビビリと呼ばれるクリーニングブレードの振動(つまりクリーニングブレードが摩擦力によって像保持体の駆動方向に引っ張られ再び元の位置に戻ることを繰り返す現象)が生じ、クリーニングブレードが像保持体の駆動方向に引っ張られた状態のときにクリーニング性が低下してトナー等のすり抜けが発生する。このすり抜けたトナー等が画像において色スジ(横スジ)となって発生するものと考えられる。
これに対し、本実施形態では、潤滑剤粒子の表面にこの潤滑剤粒子とは逆極の帯電性を有する逆極粒子が固着して複合体を成す複合体粒子を含む。そして、上記第1実施形態に係るトナーでは、この複合体粒子のうち、正帯電性である複合体粒子〔C〕と負帯電性である複合体粒子〔C〕との個数比(C:C)が上記の範囲である。
前記個数比(C:C)が上記の範囲を満たすということは、画像部へ供給され易い複合体粒子と非画像部へ供給され易い複合体粒子とが混在し、かつどちらの複合体粒子もその含有量が少なくないことの指標であると言える。そのため、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成した場合であっても、第1実施形態に係るトナーを用いることで、像保持体の画像部に相当する領域及び非画像部に相当する領域のどちらにも複合体粒子が供給され易い。その結果、上記の画像を連続形成した後に放置しさらに低温環境下で再び画像を形成した場合でも、ビビリと呼ばれるクリーニングブレードの振動が抑制され、トナー等のすり抜けも低減されて、画像における色スジ(横スジ)の発生が抑制されるものと考えられる。
また、上記第2実施形態に係るトナーでは、前記複合体粒子のうち、潤滑剤粒子の表面における逆極粒子による被覆率が40%未満である複合体粒子〔C〕と前記被覆率が40%以上である複合体粒子〔C〕との個数比(C:C)が上記の範囲である。
前記個数比(C:C)が上記の範囲を満たすということは、潤滑剤粒子の表面を比較的少量の逆極粒子が覆っている複合体粒子と、比較的多量の逆極粒子が覆っている複合体粒子とが混在し、つまり帯電性が比較的正帯電よりである複合体粒子と負帯電よりである複合体粒子とが混在していることを表している。また、このどちらの複合体粒子もその含有量が少なくないことの指標であると言える。そのため、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成した場合であっても、第2実施形態に係るトナーを用いることで、像保持体の画像部に相当する領域及び非画像部に相当する領域のどちらにも複合体粒子が供給され易い。その結果、上記の画像を連続形成した後に放置しさらに低温環境下で再び画像を形成した場合でも、ビビリと呼ばれるクリーニングブレードの振動が抑制され、トナー等のすり抜けも低減されて、画像における色スジ(横スジ)の発生が抑制されるものと考えられる。
以下、本実施形態に係るトナーの詳細について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子と、複合体粒子とを含む。
(複合体粒子)
複合体粒子は、潤滑剤粒子と、前記潤滑剤粒子とは逆極の帯電性を有する逆極粒子と、を含有し、かつ潤滑剤粒子の表面に逆極粒子が固着して複合体を成す。
ここで、「固着」とは、逆極粒子が潤滑剤粒子の表面に対して離脱しづらい程度に付着していることを指し、具体的には、以下の超音波処理を施した後においても潤滑剤粒子の表面に逆極粒子が存在していることを表す。
−超音波処理−
トナー中に添加されている場合、まず、トナー4gをトリトン溶液(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、和光純薬工業(株)製)の0.2質量%水溶液100mL中に添加し、100rpmの条件で10分攪拌し、トナー粒子や他の外添剤から複合体粒子を脱離させる。これを遠心分離機((株)佐久間製作所製、商品名:M201−IVD)にて3000rpmの条件で2分処理し、トナー粒子、他の外添剤等を分離し、濾過して複合体粒子サンプルを得る。
次いで、複合体粒子サンプル4gをトリトン溶液(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、和光純薬工業(株)製)の0.2質量%水溶液100mL中に添加し、攪拌して分散させた後、超音波装置((株)日本精機製作所製、商品名:US−300TCVP)を使用し、出力20W、周波数20kHzの超音波振動を10分与える。これを遠心分離機((株)佐久間製作所製、商品名:M201−IVD)にて10000rpmの条件で30分処理し、超音波振動によって脱離した逆極粒子を分離して濾過し、複合体粒子を得る。
得られた複合体粒子を走査型電子顕微鏡(SEM、(株)日立製作所製:S−4100)により観察し、潤滑剤粒子の表面に存在する逆極粒子を、固着した逆極粒子とみなす。
−被覆率の測定方法−
なお、複合体粒子における「被覆率」(潤滑剤粒子の表面における固着した逆極粒子による被覆率)は、上記の超音波処理を行った後に走査型電子顕微鏡(SEM、(株)日立製作所製:S−4100)で撮影した画像から、複合体粒子における潤滑剤粒子表面の逆極粒子が付着していない領域の面積と、潤滑剤粒子に付着した逆極粒子の面積とを測定して、ここから被覆されている割合を算出することで行われる。
また、平均被覆率の測定は、任意の100個の複合体粒子について上記の方法で被覆率の測定を行って、その平均値を算出することで行われる。
・第1実施形態/個数比(C:C
第1実施形態に係るトナーでは、前記複合体粒子のうち、正帯電性である複合体粒子〔C〕と負帯電性である複合体粒子〔C〕との個数比(C:C)が30:70乃至70:30の範囲である。個数比(C:C)が上記範囲であることで、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成しその後放置した後に低温環境下で再び画像を形成したときに記録媒体の搬送方向と直交する方向に生じる色スジ(横スジ)が抑制される。
なお、上記個数比(C:C)は、より好ましくは40:60乃至60:40の範囲であり、さらに好ましくは45:55乃至55:45の範囲である。
なお、「負帯電性」及び「正帯電性」とは、現像装置内でトナーが帯電された際に、複合体粒子が負(−)に帯電するか正(+)に帯電するかを意味する。
ここで、正帯電性である複合体粒子〔C〕と負帯電性である複合体粒子〔C〕との個数比(C:C)の算出方法について説明する。
複合体粒子2.0gとキャリア28.0gとを60mL広口共栓瓶にいれて2分間攪拌し、この内容物を、高圧電源(商品名:FLUKE415B、FLUKE社製)に接続され200Vの電圧が印加された一対の極板(鋼製、クリアランス3mm)間に通過させる。極板を取り外しエアーブローにて付着したキャリアを除去後、プラス極極板、マイナス極極板それぞれの表面付着物を走査型電子顕微鏡(SEM、(株)日立製作所製:S−4100)を用いて倍率1000倍にて10視野撮影して、複合体粒子数をカウントし、マイナス極極板上の複合体粒子数を〔C〕、プラス極極板上の複合体粒子数を〔C〕として、個数比(C:C)を算出する。
なお、複合体粒子における個数比(C:C)を前記の範囲に制御する方法としては、特に限定されるものではないが、潤滑剤粒子の表面に固着した逆極粒子による被覆率の分布を調整する方法が挙げられる。つまり、潤滑剤粒子の表面がより多くの逆極粒子によって被覆された複合体粒子とより少ない逆極粒子によって被覆された複合体粒子とが混在する状態とし、その混在の割合を調整することで、個数比(C:C)が前記の範囲に制御される。
なお、特に潤滑剤粒子の表面における逆極粒子による被覆率が40%未満である複合体粒子〔C〕と被覆率が40%以上である複合体粒子〔C〕との個数比(C:C)を前述の範囲とする(つまり第2実施形態に係るトナーの要件を満たす範囲とする)ことで、個数比(C:C)が前記の範囲に制御され易くなる。
・第2実施形態/個数比(C:C
第2実施形態に係るトナーでは、前記複合体粒子のうち、潤滑剤粒子の表面における固着した逆極粒子による被覆率が40%未満である複合体粒子〔C〕と被覆率が40%以上である複合体粒子〔C〕との個数比(C:C)が30:70乃至70:30の範囲である。
例えば、潤滑剤粒子の一例であるステアリン酸亜鉛の表面に逆極粒子の一例であるシリカ粒子が固着して複合体をなす複合体粒子の画像を、図1A及び図1Bに示す。なお、図1Aはシリカ粒子による被覆率が15%である複合体粒子の画像であり、図1Bはシリカ粒子による被覆率が50%である複合体粒子の画像である。
個数比(C:C)が上記範囲であることで、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成しその後放置した後に低温環境下で再び画像を形成したときに記録媒体の搬送方向と直交する方向に生じる色スジ(横スジ)が抑制される。
なお、上記個数比(C:C)は、より好ましくは40:60乃至60:40の範囲であり、さらに好ましくは45:55乃至55:45の範囲である。
なお、被覆率が40%未満である複合体粒子〔C〕と被覆率が40%以上である複合体粒子〔C〕との個数比(C:C)の算出は、任意の100個の複合体粒子について前述の方法で被覆率の測定を行い、被覆率が40%未満である複合体粒子の個数と被覆率が40%以上である複合体粒子の個数とを数えることで行われる。
複合体粒子における個数比(C:C)を前記の範囲に制御する方法について説明する。
まず、潤滑剤粒子の表面に逆極粒子が固着した複合体粒子をトナー中に外添剤として含ませる方法としては、特に限定されるものではないが、例えばトナー粒子に対して外添される前の潤滑剤粒子と逆極粒子とを、予め混合して剪断力を掛けながら攪拌することで固着させ、逆極粒子が表面に固着した潤滑剤粒子(複合体粒子)をトナー粒子に対して外添する方法が、好ましい方法として挙げられる。
また、個数比(C:C)を前記の範囲に制御する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば下記(1)及び(2)の方法が挙げられる。
(1)平均被覆率が異なる複合体粒子を2以上準備して混合する方法
まず、潤滑剤粒子と、比較的少量の(平均被覆率が40%未満となるよう量を調整した)逆極粒子と、を混合して剪断力を掛けながら攪拌し、逆極粒子を固着させることで平均被覆率が40%未満の複合体粒子を調製する。またこれとは別に、潤滑剤粒子と、比較的多量の(平均被覆率が40%以上となるよう量を調整した)逆極粒子と、を混合して剪断力を掛けながら攪拌し、逆極粒子を固着させることで平均被覆率が40%以上の複合体粒子を調製する。この両者をトナー粒子に対して外添すると共に、両者の添加の比率を調整することで個数比(C:C)を前記の範囲に制御する方法が挙げられる。
なお、上記のように平均被覆率が異なる複合体粒子を2種準備してこの両者をトナー粒子に外添する方法には限られず、平均被覆率が異なる3種以上の複合体粒子を準備しこれらをトナー粒子に外添すると共にその添加比を調整することで個数比(C:C)を前記の範囲に制御してもよい。
上記(1)の方法によれば、複合体粒子における被覆率の個数分布において、2つ以上のピーク(極大値)を有する複合体粒子、つまり複合体粒子における被覆率の個数分布をグラフ(横軸=被覆率、縦軸=個数)にしたときに被覆率40%未満の領域及び被覆率40%以上の領域のいずれにもピーク(極大値)が存在する複合体粒子が外添されたトナーを作製し得る。
ここで、被覆率40%未満の領域及び被覆率40%以上の領域のいずれにもピーク(極大値)が存在する、との構成についてより詳しく説明する。通常、潤滑剤粒子の表面における逆極粒子による被覆率の分布を緻密に制御することは容易でない。したがって、本明細書で述べている「被覆率の個数分布」とは、被覆率の大まかな個数分布を取った場合を指す。例えば「被覆率の間隔10%毎に個数(総数)をまとめた場合の分布」を表し、つまり被覆率0%以上10%未満、10%以上20%未満、20%以上30%未満、30%以上40%未満、40%以上50%未満、50%以上60%未満、60%以上70%未満、70%以上80%未満、80%以上90%未満、及び90%以上100%以下」の各範囲に入る複合体粒子の個数をそれぞれ算出し、それをグラフ(横軸=被覆率、縦軸=個数)にプロットしたときに、被覆率40%未満の領域及び被覆率40%以上の領域のいずれにもピーク(極大値)が存在する、との態様が挙げられる。
被覆率40%未満の領域及び被覆率40%以上の領域のいずれにもピークが存在する(つまり全体として少なくとも2つのピークが存在する)複合体粒子とすることで、全体としてピークが1つしか存在しない複合体粒子である場合に比べ、画像部へ供給され易い複合体粒子と非画像部へ供給され易い複合体粒子とがそれぞれより多く存在し易くなる。その結果、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成しその後放置した後に低温環境下で再び画像を形成したときに、記録媒体の搬送方向と直交する方向に生じる色スジ(横スジ)をより抑制し易い。
(2)一括で混合する方法
潤滑剤粒子と逆極粒子とを混合して剪断力を掛けながら攪拌して固着させ、その際に例えば以下の項目を調整することで個数比(C:C)を前記の範囲に制御する方法が挙げられる。その後、個数比(C:C)が調整された上記の複合体粒子をトナー粒子に対して外添することで本実施形態に係るトナーが得られる。
・潤滑剤粒子に対する逆極粒子の量を調整する
・攪拌時の剪断力及び攪拌時間を調整する
・潤滑剤粒子を複数に分け時間差を置いて添加し、その剤の分割量及び分割数を調整する
また、複合体粒子全体における平均被覆率は20%以上60%以下であることが好ましく、より好ましくは23%以上57%以下であり、さらに好ましくは26%以上54%以下である。
複合体粒子全体における平均被覆率が上記の範囲であることで、複合体粒子における被覆率の分布の釣り合いが取れ、つまり画像部へ供給され易い複合体粒子と非画像部へ供給され易い複合体粒子との釣り合いが取り易い。その結果、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成しその後放置した後に低温環境下で再び画像を形成したときに記録媒体の搬送方向と直交する方向に生じる色スジ(横スジ)をより抑制し易い。
・複合体粒子の粒径
複合体粒子としては、クリーニングブレードでの複合体粒子のすり抜けを抑制する観点から、粒径が1μm以上のものが好ましい。
一方で、本実施形態では像保持体の転写手段との接触位置よりも下流側(像保持体駆動方向の下流側)において、表面に転写されずに残存した残留トナー等をクリーニングするため、像保持体の表面にクリーニングブレードが配置される。クリーニングブレードの像保持体との接触部の上流側(像保持体駆動方向の上流側)の領域には、トナー粒子による堆積物(所謂トナーダム)が形成され、さらにこのトナーダムよりも内側つまりクリーニングブレードと像保持体との接触部側には、トナー粒子よりも小径である外添剤による堆積物(所謂外添剤ダム)が形成される。この両堆積物の形成によって、クリーニングブレードによるクリーニングが良好に行われる。そのため、複合体粒子の粒径は、トナーダムよりも内側(接触部側)に入り込んで外添剤ダムを形成し易い大きさであることが好ましい。
具体的には、例えばクリーニングブレードと像保持体との接触角αが45°である場合を想定すると、図2に示すように、トナーダムよりも接触部側に入り込み得る複合体粒子Cの粒径(2×r)は、トナー粒子TNの粒径(2×R)に対して0.45倍以下となる。したがって、複合体粒子の粒径は「0.45×RTN」(RTN:トナー粒子の体積平均粒径)以下のものが好ましい。
以上の点より、クリーニング性の向上の観点から、下記式(1)の条件を満たす複合体粒子のトナー粒子の個数に対する比率は0.006個数%以上であることが好ましく、より好ましくは0.010個数%以上である。
また、その上限値としては、複合体粒子が過剰であるとクリーニングブレードをすり抜け易くなるため、0.1個数%以下であることが好ましく、より好ましくは0.08個数%以下である。
式(1) 1μm≦R≦(0.45×RTN
(上記式(1)中、RTNはトナー粒子の体積平均粒径(μm)を、Rは複合体粒子の粒径(μm)を表す。)
また、クリーニングブレードでの複合体粒子のすり抜けを抑制する観点から、下記式(2)の条件を満たす複合体粒子のトナー粒子の個数に対する比率が0.001個数%以下であることが好ましく、より好ましくは0.0008個数%以下であり、量が少ないほど好ましい。
式(2) R<1μm
(上記式(2)中、Rは複合体粒子の粒径(μm)を表す。)
なお、複合体粒子の粒径(R(μm)/個々の複合体粒子の粒径)は、前述の超音波処理を施して得られた複合体粒子について走査型電子顕微鏡(SEM、(株)日立製作所製:S−4100)で画像を撮影し、この画像を画像解析装置(LUZEXIII、(株)ニレコ製)に取り込み、一次粒子の画像解析によって粒子ごとの面積を測定し、この面積値から円相当径を算出する。
トナー粒子の体積平均粒径(RTN(μm))の測定方法については、後述する。
複合体粒子の粒径は、主に潤滑剤粒子の粒径を調整することで制御し得る。また、固着させる逆極粒子の粒径の調整によっても制御される。
次いで、複合体粒子を構成する潤滑剤粒子及び逆極粒子について説明する。
・潤滑剤粒子
複合体粒子には、負帯電性の潤滑剤粒子Nと正帯電性の潤滑剤粒子Pとのいずれを用いてもよい。ここで、「負帯電性」及び「正帯電性」とは、仮に現像装置内で潤滑剤粒子が複合体粒子としてでなく単独で存在した場合に、トナーが帯電された際、負(−)に帯電するか正(+)に帯電するかを意味する。
正帯電性の潤滑剤粒子Pとしては、例えば、脂肪酸金属塩粒子等が挙げられる。脂肪酸金属塩粒子は、脂肪酸と金属とからなる塩の粒子である。
脂肪酸は、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の何れでもよい。脂肪酸の炭素数は、10以上25以下(好ましくは、12以上22以下)の脂肪酸が挙げられる。なお、脂肪酸の炭素数は、カルボキシ基の炭素を含む。
脂肪酸としては、例えば、ベヘン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リシノール酸等の不飽和脂肪酸;が挙げられる。これらの脂肪酸の中でも、ステアリン酸、ラウリン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。
金属としては、2価の金属がよい。金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、バリウム、亜鉛が挙げられる。これらの中でも、金属は、亜鉛が好ましい。
脂肪酸金属塩粒子としては、例えば、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸銅、ステアリン酸鉛、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸ナトリウム等のステアリン酸の金属塩;パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸コバルト、パルミチン酸銅、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸アルミニウム、パルミチン酸カルシウム等のパルミチン酸の金属塩;ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸マンガン、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸鉄、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸アルミニウム等のラウリン酸の金属塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸アルミニウム、オレイン酸銅、オレイン酸マグネシウム、オレイン酸カルシウム等のオレイン酸の金属塩;リノール酸亜鉛、リノール酸コバルト、リノール酸カルシウム等のリノール酸の金属塩;リシノール酸亜鉛、リシノール酸アルミニウム等のリシノール酸の金属塩;などの各粒子が挙げられる。
脂肪酸金属塩粒子の中でも、ステアリン酸の金属塩、又はラウリン酸の金属塩の各粒子が好ましく、ステアリン酸亜鉛、又はラウリン酸亜鉛の各粒子がより好ましく、ステアリン酸亜鉛粒子がさらに好ましい。
正帯電性の潤滑剤粒子Pの平均粒径は0.5μm以上3.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.6μm以上2.9μm以下であり、さらに好ましくは0.7μm以上2.85μm以下である。
なお、潤滑剤粒子の平均粒径の測定は、後述する無機粒子における測定方法に即して行われる。
負帯電性の潤滑剤粒子Nとしては、例えば、フッ素樹脂粒子、シリコン樹脂、無機粒子、又はワックス樹脂粒子等が挙げられる。
フッ素樹脂粒子としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、「4フッ化エチレン樹脂」)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体等の粒子が挙げられる。
これらの中でも、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
負帯電性の潤滑剤粒子Nの平均粒径は0.5μm以上3.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.6μm以上2.9μm以下であり、さらに好ましくは0.7μm以上2.85μm以下である。
なお、潤滑剤粒子の平均粒径の測定は、後述する無機粒子における測定方法に即して行われる。
・逆極粒子
逆極粒子には、用いる潤滑剤粒子と逆の帯電性の粒子を用いる。
負帯電性の逆極粒子としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO(シリカ粒子)、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
これらの中でも、シリカ粒子がより好ましい。
シリカ粒子としては、シリカ、すなわちSiOを主成分とする粒子であればよく、結晶性でも非晶性でもよい。また、シリカ粒子としては、水ガラス、アルコキシシラン等のケイ素化合物を原料に製造された粒子であってもよいし、石英を粉砕して得られる粒子であってもよい
具体的には、シリカ粒子としては、例えば、ゾルゲルシリカ粒子、水性コロイダルシリカ粒子、アルコール性シリカ粒子、気相法により得られるフュームドシリカ粒子、溶融シリカ粒子が挙げられる。その中でも、シリカ粒子としては、下記特性を満たす観点から、ゾルゲルシリカ粒子が好ましい。
また、シリカ粒子は、単分散且つ球状であることが好ましい。単分散球状シリカ粒子は、潤滑剤粒子表面に均一に近い状態で分散し、安定した帯電性が得られる。
ここで、単分散の定義としては、凝集体を含め平均粒径に対する標準偏差で議論することができ、標準偏差として体積平均粒径D50×0.22以下であることが好ましい。また、球状の定義としては、後述する平均円形度で議論することができる。
無機粒子(特にシリカ粒子)の平均粒径は8nm以上120nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以上110nm以下であり、さらに好ましくは15nm以上100nm以下である。
無機粒子(特にシリカ粒子)の平均粒径は、次の方法により測定される。
無機粒子の一次粒子を、走査型電子顕微鏡SEM(Scanning Electron Microscope)装置((株)日立製作所製:S−4100)により観察して画像を撮影し、この画像を画像解析装置(LUZEXIII、(株)ニレコ製)に取り込み、一次粒子の画像解析によって粒子ごとの面積を測定し、この面積値から円相当径を算出する。この円相当径の算出を、無機粒子100個について実施する。そして、得られた円相当径の体積基準の累積頻度における50%径(D50)を無機粒子の平均一次粒径(平均円相当径D50)とする。なお、電子顕微鏡は1視野中に無機粒子が10個以上50個以下程度写るように倍率が調整され、複数視野の観察を合わせて一次粒子の円相当径が求められる。
逆極粒子として挙げた前記無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
正帯電性の逆極粒子としては、例えば、特定の表面処理剤で処理されたシリカ粒子が挙げられる。
シリカ粒子としては、シリカ、すなわちSiOを主成分とする粒子であればよく、結晶性でも非晶性でもよい。また、シリカ粒子としては、水ガラス、アルコキシシラン等のケイ素化合物を原料に製造された粒子であってもよいし、石英を粉砕して得られる粒子であってもよい。
具体的には、シリカ粒子としては、例えば、ゾルゲルシリカ粒子、水性コロイダルシリカ粒子、アルコール性シリカ粒子、気相法により得られるフュームドシリカ粒子、溶融シリカ粒子が挙げられる。その中でも、シリカ粒子としては、下記特性を満たす観点から、ゾルゲルシリカ粒子が好ましい。
また、シリカ粒子は、単分散且つ球状であることが好ましい。単分散球状シリカ粒子は、潤滑剤粒子表面に均一に近い状態で分散し、安定した帯電性が得られる。ここで、単分散の定義及び球状の定義は前記の通りであり、標準偏差として体積平均粒径D50×0.22以下であることが好ましい。
特定の表面処理剤としてはヘキサメチルジシラザン、ポリジメチルシロキサン、オクチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
このなかでもヘキサメチルチジラザンがより好ましい。
上記正帯電性の逆極粒子の平均粒径は8nm以上120nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以上110nm以下であり、さらに好ましくは15nm以上100nm以下である。
なお、上記平均粒径の測定は、前記無機粒子における測定方法に即して行なわれる。
・含有量
複合体粒子の含有量は、潤滑性確保と像保持体へのフィルミング抑制の両立の観点から、トナー粒子の量に対して0.8質量%以上2.0質量%以下であることが好ましく、0.9質量%以上1.9質量%以下がより好ましく、1.0質量%以上1.8質量%以下が更に好ましい。
(トナー粒子)
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
−結着樹脂−
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知の非晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂は、非晶性ポリエステル樹脂と共に、結晶性ポリエステル樹脂を併用してもよい。但し、結晶性ポリエステル樹脂は、全結着樹脂に対して、含有量が2質量%以上40質量%以下(好ましくは2質量%以上20質量%以下)の範囲で用いることがよい。
なお、樹脂の「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内であることを指す。
一方、樹脂の「非晶性」とは、半値幅が10℃を超えること、階段状の吸熱量変化を示すこと、又は明確な吸熱ピークが認められないことを指す。
・非晶性ポリエステル樹脂
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
なお、ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
非晶性ポリエステル樹脂は、周知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
ここで、ポリエステル樹脂としては、上述した未変性ポリエステル樹脂以外に、変性ポリエステル樹脂も挙げられる。変性ポリエステル樹脂とは、エステル結合以外の結合基が存在するポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂成分とは異なる樹脂成分が共有結合又はイオン結合等で結合されたポリエステル樹脂である。変性ポリエステルとしては、例えば、末端に酸基又は水酸基と反応するイソシアネート基等の官能基を導入したポリエステル樹脂と、活性水素化合物と反応させて、末端を変性した樹脂が挙げられる。
変性ポリエステル樹脂としては、ウレア変性ポリエステル樹脂が特に好ましい。ウレア変性ポリエステル樹脂の含有量は、全結着樹脂に対して2質量%以上25質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
ウレア変性ポリエステル樹脂は、用いられる単量体の種類、配合量等にもよるが、非晶性樹脂の1種であることが多い。
ウレア変性ポリエステル樹脂は、イソシアネート基を有するポリエステル樹脂(ポリエステルプレポリマー)とアミン化合物との反応(架橋反応及び伸長反応の少なくとも一方の反応)により得られるウレア変性ポリエステル樹脂がよい。なお、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとしては、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合物であるポリエステルであって、活性水素を有するポリエステルに多価イソシアネート化合物を反応させたプレポリマー等が挙げられる。ポリエステルの有する活性水素を有する基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられ、アルコール性水酸基が好ましい。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーにおいて、多価カルボン酸及び多価アルコールは、ポリエステル樹脂で説明した多価カルボン酸及び多価アルコールと同様な化合物が挙げられる。
多価イソシアネート化合物としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等のブロック化剤でブロックしたものが挙げられる。
多価イソシアネート化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価イソシアネート化合物の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルプレポリマーの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、好ましくは1/1以上5/1以下、より好ましくは1.2/1以上4/1以下、さらに好ましくは1.5/1以上2.5/1以下である。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーにおいて、多価イソシアネート化合物に由来する成分の含有量は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー全体に対して、好ましくは0.5質量%以上40質量%以下、より好ましくは1質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは2質量%以上20質量%以下である。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーの1分子当たりに含有するイソシアネート基の数は、好ましくは平均1個以上、より好ましくは平均1.5個以上3個以下、さらに好ましくは平均1.8個以上2.5個以下である。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーと反応するアミン化合物としては、ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、これらのアミノ基をブロックした化合物等が挙げられる。
ジアミンとしては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上のポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコールとしては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタンとしては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
アミノ酸としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
これらのアミノ基をブロックしたものとしては、ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸などのアミン化合物とケトン化合物(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)とから得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミン化合物のうち、ケチミン化合物が好ましい。
アミン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、ウレア変性ポリエステル樹脂は、架橋反応及び伸長反応の少なくとも一方の反応を停止する停止剤(以下「架橋/伸長反応停止剤」とも称する)により、イソシアネート基を有するポリエステル樹脂(ポリエステルプレポリマー)とアミン化合物との反応(架橋反応及び伸長反応の少なくとも一方の反応)を調整して、反応後の分子量が調整された樹脂であってもよい。
架橋/伸長反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
アミン化合物の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、好ましくは1/2以上2/1以下、より好ましくは1/1.5以上1.5/1以下、さらに好ましくは1/1.2以上1.2/1以下である。
なお、ウレア変性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は40℃以上65℃以下が好ましく、45℃以上60℃以下がさらに好ましい。数平均分子量は、2500以上50000以下であることが好ましく、2500以上30000以下がさらに好ましい。重量平均分子量は、1万以上50万以下であることが好ましく、3万以上10万以下がさらに好ましい。
・結晶性ポリエステル樹脂
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。なお、結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成するため、芳香族を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族を有する重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、これらジカルボン酸と共に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールとしては、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、多価アルコールは、脂肪族ジオールの含有量を80モル%以上とすることがよく、好ましくは90モル%以上である。
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、55℃以上90℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下がさらに好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下が好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、非晶性ポリエステル樹脂と同様に、周知の製造方法により得られる。
結着樹脂の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下がさらに好ましい。
−着色剤−
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−離型剤−
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121−1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
−その他の添加剤−
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
−トナー粒子の特性等−
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
なお、トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON−II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
トナー粒子の平均円形度としては、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方法で測定される値である。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA−2100)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
なお、トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理をおこなって外添剤を除去したトナー粒子を得る。
(外添剤)
本実施形態に係るトナーでは、前述の複合体粒子に加えて、さらに他の外添剤を添加してもよい。
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、前述の複合体粒子を含む外添剤を外添することで得られる。
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
例えば、溶解懸濁法は、トナー粒子を構成する原料(結着樹脂及び着色剤等)を、結着樹脂が溶解可能な有機溶媒中に溶解又は分散させた液を、粒子分散剤を含有する水系溶媒に分散させた後、有機溶媒を除去することでトナー粒子を造粒して得る方法である。
また、凝集合一法は、トナー粒子を構成する原料(樹脂粒子及び着色剤等)の凝集体を形成する凝集工程と、凝集体を融合させる融合工程とを経て、トナー粒子を得る方法である。
[溶解懸濁法]
これらの中でも、結着樹脂としてウレア変性ポリエステル樹脂を含むトナー粒子は、次に示す溶解懸濁法により得ることがよい。なお、次に示す溶解懸濁法の説明では、結着樹脂として未変性ポリエステル樹脂とウレア変性ポリエステル樹脂を含むトナー粒子を得る方法について示すが、トナー粒子は結着樹脂としてウレア変性ポリエステル樹脂のみを含んでもよい。
−油相液調製工程−
未変性ポリエステル樹脂、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、アミン化合物、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子材料を有機溶媒に溶解又は分散させた油相液を調製する(油相液調製工程)。この油相液調製工程では、トナー粒子材料を有機溶媒中に溶解又は分散させて、トナー材料の混合液を得る工程である。
油相液は、1)トナー材料を一括して有機溶媒に溶解又は分散して、調製する方法、2)予めトナー材料を混練した後、この混練物を有機溶媒に溶解又は分散して、調製する方法、3)未変性ポリエステル樹脂、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、アミン化合物を有機溶媒に溶解させた後、この有機溶媒に、着色剤、及び離型剤を分散させて、調製する方法、4)着色剤、及び離型剤を有機溶媒に分散させた後、この有機溶媒に、未変性ポリエステル樹脂、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、アミン化合物を溶解して、調製する方法、5)イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー及びアミン化合物以外のトナー粒子材料(未変性ポリエステル樹脂、着色剤、及び離型剤)を有機溶媒に溶解又は分散させた後、この有機溶媒に、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー及びアミン化合物を溶解して調製する方法、6)イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー又はアミン化合物以外のトナー粒子材料(未変性ポリエステル樹脂、着色剤、及び離型剤)を有機溶媒に溶解又は分散させた後、この有機溶媒に、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー又はアミン化合物を溶解して調製する方法等が挙げられる。なお、油相液の調製方法は、これらに限られるわけではない。
油相液の有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系溶媒;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらの有機溶媒は、結着樹脂を溶解するものであって、かつ、水に溶解する割合が0質量%以上30質量%以下程度のものであり、沸点が100℃以下であることが好ましい。これらの有機溶媒の中でも、酢酸エチルが好ましい。
−懸濁液調製工程−
次に、得られた油相液を水相液中に分散させて懸濁液を調製する(懸濁液調製工程)。
そして、懸濁液の調製と共に、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン化合物との反応を行う。そして、この反応によりウレア変性ポリエステル樹脂を生成する。なお、この反応は、分子鎖の架橋反応及び伸長反応の少なくとも一方の反応が伴う。なお、このイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン化合物との反応は、後述する溶媒除去工程と共に行ってもよい。
ここで、反応条件は、ポリエステルプレポリマーの有するイソシアネート基構造とアミン化合物との反応性により選択される。一例として、反応時間は、10分以上40時間以下が好ましく、2時間以上24時間以下が好ましい。反応温度は、0℃以上150℃が好ましく、40℃以上98℃以下が好ましい。なお、ウレア変性ポリエステル樹脂の生成には、必要に応じて公知の触媒(ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート等)を使用してもよい。つまり、油相液、又は懸濁液に、触媒を添加してもよい。
水相液は、有機粒子分散剤、無機粒子分散剤等の粒子分散剤を水系溶媒に分散させた水相液が挙げられる。また、水相液は、粒子分散剤を水系溶媒に分散させると共に、高分子分散剤を水系溶媒に溶解させた水相液も挙げられる。なお、水相液には、界面活性剤等の周知の添加剤を添加してもよい。
水系溶媒は、水(例えば、通常、イオン交換水、蒸留水、純水)が挙げられる。水系溶媒は、水と共に、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含む溶媒であってもよい。
有機粒子分散剤としては、親水性の有機粒子分散剤が挙げられる。有機粒子分散剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂)、ポリスチレン樹脂、ポリ(スチレン−アクリロニトリル)樹脂等の粒子が挙げられる。有機粒子分散剤としては、スチレンアクリル樹脂の粒子も挙げられる。
無機粒子分散剤としては、親水性の無機粒子分散剤が挙げられる。無機粒子分散剤としては、具体的には、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム、粘土、珪藻土、ベントナイト等の粒子が挙げられ、炭酸カルシウムの粒子が好ましい。無機粒子分散剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
粒子分散剤は、その表面がカルボキシル基を有する重合体で表面処理されていてもよい。
上記カルボキシル基を有する重合体としては、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸またはα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のカルボキシル基がアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アミン等により中和された塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等)から選ばれる少なくとも1種と、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの共重合物が挙げられる。上記カルボキシル基を有する重合体としては、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸とα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸エステルとの共重合物のカルボキシル基がアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、アミン等により中和された塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等)も挙げられる。上記カルボキシル基を有する重合体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸の代表的なものとしては、α,β−不飽和モノカルボン酸(アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等)、α,β−不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等)などが挙げられる。また、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸エステルの代表的なものとしては、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類、アルコキシ基を有する(メタ)アクリレート、シクロヘキシル基を有する(メタ)アクリレート、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
高分子分散剤としては、親水性の高分子分散剤が挙げられる。高分子分散剤としては、具体的には、カルボキシル基を有し、かつ親油基(ヒドロキシプロポキシ基、メトキシ基等)を有さない高分子分散剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース等の水溶性のセルロースエーテル)が挙げられる。
−溶媒除去工程−
次に、得られた懸濁液から有機溶媒を除去してトナー粒子分散液を得る(溶媒除去工程)。この溶媒除去工程では、懸濁液に分散した水相液の液滴中に含まれる有機溶媒を除去してトナー粒子を生成する工程である。懸濁液からの有機溶媒除去は、懸濁液調製工程の直後に行ってもよいが、懸濁液調製工程終了後、1分以上経過した後に行ってもよい。
溶媒除去工程では、得られた懸濁液を例えば0℃以上100℃以下の範囲に冷却または加熱することにより、懸濁液から有機溶媒を除去することがよい。
有機溶媒除去の具体的な方法には、次の方法が挙げられる。
(1)懸濁液に気流を吹き付けて、懸濁液面上の気相を強制的に更新する方法。この場合には、懸濁液中に気体を吹き込んでもよい。
(2)圧力を減圧する方法。この場合には、気体の充填により懸濁液面上の気相を強制的に更新してもよいし、さらに懸濁液中に気体を吹き込んでもよい。
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
ここで、溶媒除去工程終了後は、トナー粒子分散液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子として得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。
また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、前述の複合体粒子を含む外添剤を添加し、混合することにより製造される。
混合は、例えば、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。
更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
[混練粉砕法]
混練粉砕法は、着色剤等の各材料を混合した後、ニーダー、押し出し機などを用いて上記材料を溶融混練して、得られた溶融混練物を粗粉砕した後、ジェットミル等で粉砕し、風力分級機により、目的とする粒子径のトナー粒子を得る方法である。
混練粉砕法は、より詳細には、着色剤及び結着樹脂を含むトナー形成材料を混練する混練工程と、前記混練物を粉砕する粉砕工程とに分けられる。必要に応じて、混練工程により形成された混練物を冷却する冷却工程等、他の工程を有してもよい。
混練粉砕法に係る各工程について詳しく説明する。
−混練工程−
混練工程は、着色剤及び結着樹脂を含むトナー形成材料を混練する。
混練工程においては、トナー形成材料100質量部に対し、0.5質量部以上5質量部以下の水系媒体(例えば、蒸留水やイオン交換水等の水、アルコール類等)を添加することが望ましい。
混練工程に用いられる混練機としては、例えば、1軸押出し機、2軸押出し機等が挙げられる。以下、混練機の一例として、送りスクリュー部と2箇所のニーディング部とを有する混練機について図を用いて説明するが、これに限られるわけではない。
図3は、本実施形態に係るトナーの製造方法における混練工程で用いるスクリュー押出機の一例について、スクリューの状態を説明する図である。
スクリュー押出し機11は、スクリュー(図示せず)を備えたバレル12と、バレル12にトナーの原料であるトナー形成材料を注入する注入口14と、バレル12中のトナー形成材料に水系媒体を添加するための液体添加口16と、バレル12中でトナー形成材料が混練されて形成された混練物を排出する排出口18と、から構成されている。
バレル12は、注入口14に近いほうから順に、注入口14から注入されたトナー形成材料をニーディング部NAに輸送する送りスクリュー部SA、トナー形成材料を第1の混練工程により溶融混練するためのニーディング部NA、ニーディング部NAにおいて溶融混練されたトナー形成材料をニーディング部NBに輸送する送りスクリュー部SB、トナー形成材料を第2の混練工程により溶融混練し混練物を形成するニーディング部NB、及び形成された混練物を排出口18に輸送する送りスクリュー部SCに分かれている。
またバレル12の内部には、ブロックごとに異なる温度制御手段(図示せず)が備えられている。すなわち、ブロック12Aからブロック12Jまで、それぞれ異なる温度に制御してもよい構成となっている。なお図3は、ブロック12A及びブロック12Bの温度をt0℃に、ブロック12Cからブロック12Eの温度をt1℃に、ブロック12Fからブロック12Jの温度をt2℃に、それぞれ制御している状態を示している。そのため、ニーディング部NAのトナー形成材料はt1℃に加熱され、ニーディング部NBのトナー形成材料はt2℃に加熱される。
結着樹脂、着色剤、及び必要に応じて離型剤等を含むトナー形成材料を、注入口14からバレル12へ供給すると、送りスクリュー部SAによりニーディング部NAへトナー形成材料が送られる。このとき、ブロック12Cの温度がt1℃に設定されているため、トナー形成材料は加熱されて溶融状態へと変化した状態で、ニーディング部NAに送り込まれる。そして、ブロック12D及びブロック12Eの温度もt1℃に設定されているため、ニーディング部NAではt1℃の温度でトナー形成材料が溶融混練される。結着樹脂及び離型剤は、ニーディング部NAにおいて溶融状態となり、スクリューによりせん断を受ける。
次に、ニーディング部NAにおける混練を経たトナー形成材料は、送りスクリュー部SBによりニーディング部NBへと送られる。
ついで、送りスクリュー部SBにおいて、液体添加口16からバレル12に水系媒体を注入することにより、トナー形成材料に水系媒体を添加する。また図3では、送りスクリュー部SBにおいて水系媒体を注入する形態を示しているが、これに限られず、ニーディング部NBにおいて水系媒体が注入されてもよく、送りスクリュー部SB及びニーディング部NBの両方において水系媒体が注入されてもよい。すなわち、水系媒体を注入する位置及び注入箇所は、必要に応じて選択される。
上記のように、液体添加口16からバレル12に水系媒体が注入されることにより、バレル12中のトナー形成材料と水系媒体とが混合し、水系媒体の蒸発潜熱によりトナー形成材料が冷却され、トナー形成材料の温度が保たれる。
最後に、ニーディング部NBにより溶融混練されて形成された混練物は、送りスクリュー部SCにより排出口18に輸送され、排出口18から排出される。
以上のようにして、図3に示したスクリュー押出機11を用いた混練工程が行われる。
−冷却工程−
冷却工程は、上記混練工程において形成された混練物を冷却する工程であり、冷却工程では、混練工程終了の際における混練物の温度から4℃/sec以上の平均降温速度で40℃以下まで冷却することが好ましい。混練物の冷却速度が遅い場合、混練工程において結着樹脂中に細かく分散された混合物(着色剤と、必要に応じてトナー粒子内に内添される離型剤等の内添剤との混合物)が再結晶化し、分散径が大きくなる場合がある。一方、上記平均降温速度で急冷すると、混練工程終了直後の分散状態がそのまま保たれるため好ましい。なお上記平均降温速度とは、混練工程終了の際における混練物の温度(例えば図3のスクリュー押出し機11を用いた場合は、t2℃)から40℃まで降温させる速度の平均値をいう。
冷却工程における冷却方法としては、具体的には、例えば、冷水又はブラインを循環させた圧延ロール及び挟み込み式冷却ベルト等を用いる方法が挙げられる。なお、前記方法により冷却を行う場合、その冷却速度は、圧延ロールの速度、ブラインの流量、混練物の供給量、混練物の圧延時のスラブ厚等で決定される。スラブ厚は、1mm以上3mm以下の薄さであることが好ましい。
−粉砕工程−
冷却工程により冷却された混練物は、粉砕工程により粉砕され、粒子が形成される。粉砕工程では、例えば、機械式粉砕機、ジェット式粉砕機等が使用される。
−分級工程−
粉砕工程により得られた粒子は、必要に応じて、目的とする範囲の体積平均粒子径のトナー粒子を得るため、分級工程により分級を行ってもよい。分級工程においては、従来から使用されている遠心式分級機、慣性式分級機等が使用され、微粉(目的とする範囲の粒径よりも小さい粒子)及び粗粉(目的とする範囲の粒径よりも大きい粒子)が除去される。
−外添工程−
得られたトナー粒子は、前述の複合体粒子が外添される。また、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、シリカ、チタニア、酸化アルミに代表される無機粒子等の外添剤を添加付着してもよい。これらは、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等によって行われ、段階を分けて付着させてもよい。
−篩分工程−
上記外添工程の後に、必要に応じて篩分工程を設けてもよい。篩分方法としては、具体的には、例えば、ジャイロシフター、振動篩分機、風力篩分機等が挙げられる。篩分することにより、外添剤の粗粉等が取り除かれ、感光体上の筋の発生、装置内のぼた汚れなどが抑制される。
[凝集合一法]
本実施形態においては、トナー粒子の形状やトナー粒子の粒子径を制御しやすく、コアシェル構造などトナー粒子構造の制御範囲も広い凝集合一法を用いてもよい。以下、凝集合一法によるトナー粒子の製造方法について詳しく説明する。
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
−樹脂粒子分散液準備工程−
まず、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA−700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
なお、樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
−凝集粒子形成工程−
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度−30℃以上ガラス転移温度−10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
−融合・合一工程−
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、前述の複合体粒子を含む外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリアおよび樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
<画像形成装置/画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して脱着されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容した現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図4に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーを含むトナーの供給がなされる。
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
なお、一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用され、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー画像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。なお、この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体は記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑が好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限られず、現像装置と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図5は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図5に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
なお、図5中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
なお、図4に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。また、「部」及び「%」は特に断りがない限り質量基準である。
(複合体粒子の作製)
−複合体粒子1の調製−
・潤滑剤粒子(正帯電性)
脂肪酸金属塩粒子、ステアリン酸亜鉛粒子、商品名:ステアリン酸亜鉛,1.5μm、和光純薬工業(株)製、平均粒径=1.5μm
・逆極粒子(負帯電性)
シリカ粒子、商品名:RY50、日本アエロジル社製、平均粒径=40nm
上記の潤滑剤粒子(ステアリン酸亜鉛)100部と、逆極粒子(シリカ粒子)6.0部とを混合し、粉体処理装置(ノビルタNOB130、ホソカワミクロン社製)でクリアランス3mm、周速1500rpmでジャケットに冷却水を流しながら10分間ブレンドを行った後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去し、低被覆率の複合体粒子を得た。
一方、逆極粒子(シリカ粒子)の量を9.5部に変更した以外は、上記低被覆率の複合体粒子と同様にして、高被覆率の複合体粒子を得た。
次いで、上記低被覆率の複合体粒子及び高被覆率の複合体粒子を、比率50:50で混合して複合体粒子1を得た。
複合体粒子1に対して前述の超音波処理を施した後、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像から各複合体粒子の被覆率を求め、「個数比(C:C)」を算出した。また、この走査型電子顕微鏡(SEM)による画像から、個々の複合体粒子の粒径を求め、式(1)(1μm≦R≦(0.45×RTN))を満たす複合体粒子、及び式(2)(R<1μm)を満たす複合体粒子の、トナー粒子に対する比率を、前述の方法により求めた。
さらに、前述の方法により「個数比(C:C)」を求めた。
−複合体粒子2〜4の調製−
複合体粒子1の調製において、低被覆率の複合体粒子及び高被覆率の複合体粒子の混合の比率を変更して「個数比(C:C)」が下記表1又は表2に記載の値となるよう調整した以外は、複合体粒子1と同様にして複合体粒子を得た。
−複合体粒子5〜6の調製−
複合体粒子1又は2の調製において、用いた潤滑剤粒子(ステアリン酸亜鉛)をより径の小さい下記のものに変更し、かつ低被覆率の複合体粒子における逆極粒子の量を9.0部に、高被覆率の複合体粒子における逆極粒子の量を14.2部に変更した以外は、複合体粒子1又は2と同様にして複合体粒子を得た。
・潤滑剤粒子(正帯電性)
脂肪酸金属塩粒子、ステアリン酸亜鉛粒子、商品名:ニッサンエレクトールMZ−2、日油(株)製、平均粒径=1.0μm
−複合体粒子7の調製−
複合体粒子1の調製において、用いた逆極粒子(シリカ)を下記のものに変更し、かつ低被覆率の複合体粒子における逆極粒子の量を4.5部に、高被覆率の複合体粒子における逆極粒子の量を7.1部に変更した以外は、複合体粒子1と同様にして複合体粒子を得た。
・逆極粒子(負帯電性)
酸化チタン粒子、商品名:MT150AW、テイカ(株)製、平均粒径=20nm
−複合体粒子8の調製−
複合体粒子1の調製において、用いた潤滑剤粒子(ステアリン酸亜鉛)を下記のものに変更し、かつ逆極粒子(シリカ)を下記のものに変更し、かつ低被覆率の複合体粒子における逆極粒子の量を9.5部に、高被覆率の複合体粒子における逆極粒子の量を15.3部に変更した以外は、複合体粒子1と同様にして複合体粒子を得た。
・潤滑剤粒子(負帯電性)
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子、商品名:L173JE、旭硝子社製、平均粒径=0.7μm
・逆極粒子(正帯電性)
表面処理シリカ粒子、商品名:NA50Y、日本アエロジル社製、平均粒径=30nm
−複合体粒子9の調製−
複合体粒子1の調製において、低被覆率の複合体粒子及び高被覆率の複合体粒子を準備せずに、潤滑剤粒子(ステアリン酸亜鉛)と逆極粒子(シリカ)とを以下の方法により一括で混合攪拌した。
つまり、潤滑剤粒子(ステアリン酸亜鉛)50部と、逆極粒子(シリカ粒子)7.8部とを混合し、粉体処理装置(ノビルタNOB130、ホソカワミクロン社製)でクリアランス3mm、周速1500rpmでジャケットに冷却水を流しながら5分間ブレンドを行った後、粉体処理装置を一旦停止し潤滑剤粒子(ステアリン酸亜鉛)50部を追加投入し、再度クリアランス3mm、周速1500rpmでジャケットに冷却水を流しながら5分間ブレンドを行った。その後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去し、複合体粒子を得た。
−複合体粒子10〜11(比較例用複合体粒子)の調製−
複合体粒子1の調製において、低被覆率の複合体粒子及び高被覆率の複合体粒子の混合の比率を変更して「個数比(C:C)」が下記表1又は表2に記載の値となるよう調整した以外は、複合体粒子1と同様にして複合体粒子を得た。
(トナー粒子の作製)
−トナー粒子1の作製−
〔非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製〕
・ビスフェノールAエチレンオキサイド2.2モル付加物:40モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド2.2モル付加物:60モル部
・テレフタル酸:47モル部
・フマル酸:40モル部
・ドデセニルコハク酸無水物:15モル部
・トリメリット酸無水物:3モル部
攪拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上記モノマー成分のうちフマル酸とトリメリット酸無水物以外を投入し、かつジオクタン酸スズを上記モノマー成分の合計100部に対して0.25部投入した。窒素ガス気流下、235℃で6時間反応させた後、200℃に降温して、上記フマル酸とトリメリット酸無水物を投入し1時間反応させた。温度を更に220℃まで4時間かけて昇温し、10kPaの圧力下で求められる分子量になるまで重合させ、淡黄色透明な非晶性ポリエステル樹脂1を得た。
得られた非晶性ポリエステル樹脂1は、DSCによるガラス転移温度Tgが59℃、GPCによる重量平均分子量Mwが25,000、数平均分子量Mnが7,000、フローテスターによる軟化温度が107℃、酸価AVが13mgKOH/gであった。
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械(株)製:BJ−30N)を水循環式恒温槽にて40℃に維持しながら、該反応槽に酢酸エチル160部とイソプロピルアルコール100部との混合溶剤を投入し、これに上記非晶性ポリエステル樹脂1を300部投入して、スリーワンモーターを用い150rpmで攪拌を施し、溶解させて油相を得た。この攪拌されている油相に10%アンモニア水溶液を、滴下時間5分間で14部滴下し、10分間混合した後、更にイオン交換水900部を毎分7部の速度で滴下して転相させて、乳化液を得た。
すぐに、得られた乳化液800部とイオン交換水700部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械(株)製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1,100部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。
この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは130nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20%になるように調製し、これを非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液とした。
〔結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液の調製〕
・1,10−ドデカン二酸:50モル部
・1,9−ノナンジオール:50モル部
攪拌器、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に上記モノマー成分を入れ、反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、チタンテトラブトキサイド(試薬)を前記モノマー成分100部に対して0.25部投入した。窒素ガス気流下、170℃で3時間攪拌反応させた後、温度を更に210℃まで1時間かけて昇温し、反応容器内を3kPaまで減圧し、減圧下で13時間攪拌反応させて、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
得られた結晶性ポリエステル樹脂1は、DSCによる融解温度が73.6℃、GPCによる重量平均分子量Mwが25,000、数平均分子量Mnが10,500、酸価AVが10.1mgKOH/gであった。
コンデンサー、温度計、水滴下装置、アンカー翼を備えたジャケット付き3リットル反応槽(東京理化器械(株)製:BJ−30N)に、前記結晶性ポリエステル樹脂1を300部と、メチルエチルケトン(溶剤)160部と、イソプロピルアルコール(溶剤)100部とを入れ、水循環式恒温槽にて70℃に維持しながら、100rpmで攪拌混合しつつ樹脂を溶解させた(溶解液調製工程)。その後、攪拌回転数を150rpmにし、水循環式恒温槽を66℃に設定し、10%アンモニア水(試薬)17部を10分間かけて投入した後、66℃に保温されたイオン交換水を7部/分の速度で、合計900部滴下し転相させて、乳化液を得た。
すぐに、得られた乳化液800部とイオン交換水700部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械(株))にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1,100部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。
この分散液における樹脂粒子の体積平均粒径D50vは130nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20%になるように調製し、これを結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液とした。
〔着色剤粒子分散液の調製〕
・シアン顔料〔PigmentBlue15:3、大日精化工業(株)製〕:10部
・アニオン性界面活性剤〔ネオゲンSC、第一工業製薬(株)製〕:2部
・イオン交換水:80部
上記の成分を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー〔HJP30006、(株)スギノマシン製〕により1時間分散し、体積平均粒径180nm、固形分20%の着色剤粒子分散液を得た。
〔離型剤粒子分散液の調製〕
・パラフィンワックス〔HNP9、日本精鑞社製〕:50部
・アニオン性界面活性剤〔ネオゲンSC、第一工業製薬製〕:2部
・イオン交換水:200部
上記成分を120℃に加熱して、IKA社製、ウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒径が200nm、固形分20%の離型剤粒子分散液を得た。
〔トナー粒子1の作製〕
・非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液:700部
・結晶性ポリステル樹脂粒子分散液:50部
・着色剤粒子分散液:133部
・離型剤粒子分散液:100部

・イオン交換水:350部
上記成分を、温度計、pH計、攪拌器を具備した3リットルの反応容器に入れ、温度25℃にて、1.0%硝酸を加えてpHを3.0にした後、ホモジナイザー(IKAジャパン(株)製:ウルトラタラクスT50)にて5,000rpmで分散しながら、硫酸アルミニウム水溶液を130部添加して6分間分散した。
その後、反応容器に攪拌器、マントルヒーターを設置し、スラリーが充分に攪拌されるように攪拌器の回転数を調整しながら、温度40℃までは0.2℃/分の昇温速度、40℃を超えてからは0.05℃/分の昇温速度で昇温し、10分ごとにコールターマルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、ベックマン・コールター社製)にて粒径を測定した。体積平均粒径が5.0μmになった時点で温度を保持し、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液:50部を5分間かけて投入した。
30分間保持した後、1%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.0にした。その後、5℃ごとにpHが9.0になるように同様にして調整しながら、昇温速度1℃/分で90℃まで昇温し、98℃で保持した。光学顕微鏡と走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて粒子形状及び表面性を観察したところ、10.0時間目で粒子の合一が確認されたので、冷却水にて容器を30℃まで5分間かけて冷却した。
冷却後のトナースラリーを、目開き15μmのナイロンメッシュに通過させ粗大粉を除去し、メッシュを通過したトナースラリーをアスピレータで減圧ろ過した。ろ紙上に残ったトナースラリーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した。引き続き、アスピレータで減圧ろ過し、ろ紙上に残ったトナースラリーを手でできるだけ細かく砕いて、温度30℃でトナー量の10倍のイオン交換水に投入し、30分間攪拌混合した後、再度アスピレータで減圧ろ過し、ろ液の電気伝導度を測定した。ろ液の電気伝導度が10μS/cm以下になるまでこの操作を繰り返し、トナースラリーを洗浄した。
洗浄されたトナースラリーを湿式乾式整粒機(コーミル)で細かく砕いてから、35℃のオーブン中で36時間真空乾燥して、トナー粒子を得た。
得られたトナー粒子は、体積平均粒径D50が5.8μm、形状係数が0.960(シスメックス(株)製、FPIA−3000)であった。なお、トナーのSEM画像を観察したところ、滑らかな表面を持ち、離型剤の突き出しや表面層の剥がれ等の不具合は見られなかった。
−トナー粒子2の作製−
トナー粒子1の作製において、「非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液:50部」の投入を、体積平均粒径が5.0μmになった時点ではなく、体積平均粒径が4.0μmになった時点に変更した以外は、トナー粒子1と同様にしてトナー粒子2を作製した。
<実施例1>
(トナー及び現像剤の作製)
トナー粒子1:100部に、複合体粒子1:1.5部、及びコロイダルシリカR972(日本アエロジル社製):1.5部を添加し、ヘンシェルミキサーにて周速22m/sで3分間混合し、トナー1を得た。
得られたトナー1と、下記の方法により作製されたキャリアと、をトナー:キャリア=5:95(質量比)の割合でVブレンダーに入れ、20分間攪拌し、現像剤1を得た。
なお、キャリアは次のように作製されたものを用いた。
・フェライト粒子(体積平均粒子径:50μm):100部
・トルエン:14部
・スチレン−メチルメタクリレート共重合体:2部
(成分比:90/10、Mw=80000)
・カーボンブラック(R330:キャボット社製):0.2部
まず、フェライト粒子を除く上記成分を10分間スターラーで攪拌させて、分散した被覆液を調製し、次にこの被覆液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分攪拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを得た。
<実施例2〜12>
実施例1において、用いたトナー粒子及び複合体粒子を下記表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を得た。
<比較例1>
実施例1において、複合体粒子1を添加せず、シリカ粒子のみを外添(潤滑剤粒子外添せず)してトナーを得た。
具体的には、トナー粒子1:100部に、シリカ粒子(商品名:RY50、日本アエロジル社製、平均粒径=40nm)3.0部を添加し、ヘンシェルミキサーにて周速22m/secで3分間混合し、トナーを得た。
このトナーを用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤を得た。
<比較例2〜3>
実施例1において、用いた複合体粒子を下記表2に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーおよび現像剤を得た。
<比較例4>
実施例1において、複合体粒子1を添加せず、潤滑剤粒子とシリカ粒子とを外添してトナーを得た。
具体的には、トナー粒子1:100部に、ステアリン酸亜鉛粒子(商品名:ステアリン酸亜鉛,1.5μm、和光純薬工業(株)製、平均粒径=1.5μm)1.5部、及びシリカ粒子(商品名:RY50、日本アエロジル社製、平均粒径=40nm)1.5部を添加し、ヘンシェルミキサーにて周速22m/secで3分間混合し、トナーを得た。
このトナーを用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤を得た。
<比較例5>
〔チタン酸ストロンチウム粒子の作製〕
酸化チタン400gと炭酸ストロンチウム750gをボールミルにて、5時間湿式で混合した後、乾燥した混合物を成形して1300℃で7時間焼成した。これを、機械粉砕し、分級することで、チタン酸ストロンチウム粒子1を得た。体積平均粒径は4.3nm、形状係数(SF2)は370であった。
前述のトナー粒子1:20部に、外添剤としての、チタン酸ストロンチウム粒子0.4質量部、複合体粒子1に用いた潤滑剤粒子(ステアリン酸亜鉛粒子)0.2質量部、複合体粒子1に用いたシリカ粒子2.5質量部を、添加し、ヘンシェルミキサーにて2000rpmで3分間混合し、トナーを得た。
このトナーを用いた以外は、実施例1と同様にして現像剤を得た。
<評価>
−異音発生評価−
画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成し、その後放置した後に、低温環境下で再び画像を形成したときに、ビビリと呼ばれるクリーニングブレードの振動に起因する異音の発生の有無を評価した。
具体的には、各例の現像剤を画像形成装置「DocuCentre−III C7600(富士ゼロックス社製)」の現像装置に収容した。この画像形成装置を用い、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像として右半分がベタ、左半分が非画像部である画像をA4紙に連続1000枚出力し、その後一晩放置した。翌朝、低温(10℃)環境で全面ベタ画像をA4紙に10枚出力した際、クリーニングブレードと、回転駆動する感光体(像保持体)との摩擦による異音の発生の有無を、以下の評価基準に従って評価した。
・評価基準
A(◎) :異音未発生(聞き取れない)
B+(○+):回転開始時及び停止時に極軽微な異音発生
B(○) :回転開始時に軽微な異音、低速回転時及び停止時に極軽微な異音発生
B−(○−):回転開始時及び停止時に軽微な異音、低速回転時に極軽微な異音発生
C(△) :回転開始時、停止時及び低速回転時に軽微な異音発生
D(×) :回転開始時、低速回転時及び停止時いずれも異音発生
−色スジ発生評価−
画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成し、その後放置した後に、低温環境下で再び画像を形成したときに、記録媒体の搬送方向と直交する方向に色スジ(横スジ)の発生の有無を評価した。
具体的には、異音発生評価で最後に形成した画像について、記録媒体の搬送方向と直交する方向に色スジ(横スジ)の発生の有無を、以下の評価基準に従って評価した。
・評価基準
A(◎):画像に色スジは確認されない
B(○):画像に極軽微な色スジが確認されるが、許容できる程度
C(△):画像に軽微な色スジが確認されるが、許容できる程度
D(×):画像に明確な色スジが確認され、許容できない
−画像部/非画像部潤滑剤量差評価−
異音発生評価で、一晩放置した後における感光体(像保持体)の表面を観察し、画像部に相当する箇所と非画像部に相当する箇所とでの潤滑剤粒子の存在量の差を、以下の評価基準に従って評価した。
感光体表面のブレードニップ部の画像部に相当する箇所と非画像部に相当する箇所をそれぞれテープ転写し走査型電子顕微鏡(SEM、(株)日立製作所製:S−4100)を用い倍率1000倍にて10視野観察し、潤滑剤粒子の数をカウントし、画像部に相当する箇所と非画像部に相当する箇所とでの潤滑剤粒子数を比較した。
・評価基準
A(◎):画像部に相当する箇所の潤滑剤粒子数が、非画像部に相当する箇所の潤滑剤粒子数の±10%の範囲
B(○):画像部に相当する箇所の潤滑剤粒子数が、非画像部に相当する箇所の潤滑剤粒子数の70%以上90%未満、もしくは110%よりも多く130%以下
C(△):画像部に相当する箇所の潤滑剤粒子数が、非画像部に相当する箇所の潤滑剤粒子数の50%以上70%未満、もしくは130%よりも多く150%以下
D(×):画像部に相当する箇所の潤滑剤粒子数が、非画像部に相当する箇所の潤滑剤粒子数の50%未満、もしくは150%よりも多い
なお、上記表中において、式(1)は「1μm≦R≦(0.45×RTN)」を、式(2)は「R<1μm」を指す。
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、画像部と非画像部とが明確に分かれた画像を連続して形成し、その後放置した後に、低温環境下で再び画像を形成したときに、色スジ(横スジ)の発生が抑制されていることがわかる。
1Y、1M、1C、1K 感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
11 スクリュー押出機
12 バレル
14 注入口
16 液体添加口
18 排出口
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
30 中間転写体クリーニング装置
107 感光体(像保持体の一例)
108 帯電ロール(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
118 露光のための開口部
117 筐体
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)
P 記録紙(記録媒体の一例)
TN トナー粒子
C 複合体粒子

Claims (11)

  1. トナー粒子と、
    潤滑剤粒子、及び前記潤滑剤粒子とは逆極の帯電性を有する逆極粒子を含有し、かつ前記潤滑剤粒子の表面に前記逆極粒子が固着して複合体を成す複合体粒子と、
    を含み、
    前記複合体粒子のうち、正帯電性である複合体粒子〔C〕と負帯電性である複合体粒子〔C〕との個数比(C:C)が30:70乃至70:30の範囲である静電荷像現像用トナー。
  2. トナー粒子と、
    潤滑剤粒子、及び前記潤滑剤粒子とは逆極の帯電性を有する逆極粒子を含有し、かつ前記潤滑剤粒子の表面に前記逆極粒子が固着して複合体を成す複合体粒子と、
    を含み、
    前記複合体粒子のうち、前記潤滑剤粒子の表面における前記逆極粒子による被覆率が40%未満である複合体粒子〔C〕と前記被覆率が40%以上である複合体粒子〔C〕との個数比(C:C)が30:70乃至70:30の範囲である静電荷像現像用トナー。
  3. 前記複合体粒子において、前記潤滑剤粒子の表面における前記逆極粒子による平均被覆率が20%以上60%以下である請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記複合体粒子における前記被覆率の個数分布をグラフ(横軸=被覆率、縦軸=個数)にしたとき、被覆率40%未満の領域及び被覆率40%以上の領域のいずれにもピークが存在する請求項2又は請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記複合体粒子において、下記式(1)の条件を満たす複合体粒子の前記トナー粒子の個数に対する比率が0.006個数%以上であり、かつ下記式(2)の条件を満たす複合体粒子の前記トナー粒子の個数に対する比率が0.001個数%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
    式(1) 1μm≦R≦(0.45×RTN
    式(2) R<1μm
    (上記式(1)及び式(2)中、RTNは前記トナー粒子の体積平均粒径(μm)を、Rは前記複合体粒子の粒径(μm)を表す。)
  6. 前記潤滑剤粒子がステアリン酸亜鉛粒子であり、前記逆極粒子がシリカ粒子である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
  8. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
    画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
  9. 請求項7に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
    画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
  10. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    請求項7に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
    前記像保持体にクリーニングブレードを接触させて前記像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段と、
    を備える画像形成装置。
  11. 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
    請求項7に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
    前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
    前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
    前記像保持体にクリーニングブレードを接触させて前記像保持体の表面をクリーニングするクリーニング工程と、
    を有する画像形成方法。
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