JP2018053366A - 円筒型ターゲット - Google Patents

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瑞樹 白石
琢人 菅原
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琢人 菅原
宏司 西岡
Koji Nishioka
宏司 西岡
昌宏 藤田
Masahiro Fujita
昌宏 藤田
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Abstract

【課題】長さ方向にほぼ歪を有さない円筒型ターゲットを提供する。
【解決手段】ターゲット材料11が、アルミニウム、銀、銅、チタンおよびモリブデンからなる群より選択される少なくとも1種の金属からなる円筒型ターゲット11であって、円筒型ターゲット11を鉛直方向に設置し、円筒型ターゲット11を回転させながら、円筒型ターゲット11の上端部近傍に位置したダイヤルゲージ14を用いて測定された外観の長さ方向における真直度が2mm以下である円筒型ターゲット11。円筒形型ターゲット11の長さが700mm以上である円筒型ターゲット11。
【選択図】図4

Description

本発明は、スパッタリング法による成膜に用いられる円筒型ターゲットに関する。
従来、スパッタリング法による成膜には、平板型ターゲットが用いられている。しかし、近年、ターゲットの使用効率に優れる点で、特許文献1〜3に記載されるような円筒型ターゲットが用いられている。例えば、液晶ディスプレイ(LCD)用の配線材料などに用いられるアルミニウムターゲットは、通常、長さが1000〜3000mmの円筒型である。円筒型ターゲットは、ターゲットを回転させながらスパッタを行う成膜方法に用いられ、通常、複数本の円筒型ターゲットを1セットにしてスパッタ装置に鉛直方向に設置される。
このような円筒型ターゲットは歪を有していると、スパッタの際に異常放電の原因となったり、成膜される膜の厚みが不均一になったりすることがある。円筒型ターゲットは、一般に長いものが多く、長さ方向への歪が特に問題視されている。複数本の円筒型ターゲットの中で、1本でも長さ方向に歪が存在すると、円筒型ターゲット内部に挿入するマグネットとの接触による動作不良や、あるいは円筒型ターゲット外部に取り付けるシールドなどの周辺部材と円筒型ターゲットとの局所的な接近や接触により異常放電の原因となる。さらに、円筒型ターゲットは、上記のように回転させて使用するため、長さ方向に歪を有していると、円筒型ターゲットと膜が形成される基板との距離が不均一になるため、成膜される膜の厚みも不均一になったり、円筒型ターゲットとスパッタ装置との接続部に負荷が生じ、装置の破損や故障の原因となることがある。
また、長さが1mを超える大型の円筒型ターゲットは、スパッタ装置に用いる際、通常1本のみで用いられることはなく、3〜20本のターゲットセットで用いられる。しかし、そのターゲットセットの内、1本でも長さ方向に歪を有していると前述の動作不良や異常放電、成膜不均一性を招く。すべての円筒型ターゲットにおいて、長さ方向に歪のない物でそろえたターゲットセットを準備することはできなかった。
特開2013−57112号公報 特開2013−204052号公報 特開2014−105383号公報
本発明の課題は、長さ方向にほぼ歪を有さない円筒型ターゲットを製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)ターゲット材料が、アルミニウム、銀、銅、チタンおよびモリブデンからなる群より選択される少なくとも1種の金属からなる円筒型ターゲットであって、該円筒型ターゲットを鉛直方向に設置し、該円筒型ターゲットを回転させながら、該円筒型ターゲットの上端部近傍に位置したダイヤルゲージを用いて測定された外観の長さ方向における真直度が2mm以下である円筒型ターゲット。
(2)ターゲットの少なくとも一方の端部に取り付けられたアダプターを含む上記(1)に記載の円筒型ターゲット。
(3)ターゲットの長さが700mm以上である上記(1)または(2)に記載の円筒型ターゲット。
(4)ターゲット材料が、アルミニウム、銀、銅、チタンおよびモリブデンからなる群より選択される少なくとも1種の金属からなる円筒型ターゲット複数本を一組にした円筒型ターゲットセットであって、該円筒型ターゲットを鉛直方向に設置し、該円筒型ターゲットを回転させながら、該円筒型ターゲットの上端部近傍に位置したダイヤルゲージを用いて測定された外観の長さ方向における真直度が2mm以下である円筒型ターゲットセット。
(5)複数本の円筒型ターゲットのそれぞれが、少なくとも一方の端部に取り付けられたアダプターを含む上記(4)に記載の円筒型ターゲットセット。
(6)複数本の円筒型ターゲットのそれぞれの長さが700mm以上である上記(4)または(5)に記載の円筒型ターゲットセット。
本発明の円筒型ターゲットは、ほぼ歪を有さないため、スパッタ装置に設置させてもフランジへ局所的な荷重がかかることがないため、スパッタ装置への負荷を軽減し、耐久性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る円筒型ターゲットの製造方法を示すフローチャートである。 アダプターを有するターゲット材料の種々の形態を示す模式図であり、図2(A)は、一方にアダプター(フランジ)、他方にキャップを固定した形態を示し、図2(B)は、両端にアダプターを固定した形態を示し、図2(C)は円筒形状に加工されたターゲット材料の両端部をアダプター部に成形した形態を示し、図2(D)は円筒形状に加工されたターゲット材料の中空部にバッキングチューブを挿入し固定した形態を示す。 図3(A)〜図3(D)は、フランジが取り付けられたターゲット材料の外観の長さ方向における真直度を矯正する方法の一実施形態を説明するための説明図である。 実施例で行った、外観についての長さ方向における真直度を測定する方法について説明した説明図である。
本発明に係る円筒型ターゲットの製造方法は、下記の第1工程〜第3工程を含む。以下、図1に示すフローチャートに基づいて、各工程を詳細に説明する。
第1工程:ターゲット材料を円筒形状に加工する工程。
第2工程:円筒形状に加工されたターゲット材料に、スパッタ装置に取り付けるためのアダプターを設ける工程。
第3工程:アダプターを有するターゲット材料の真直度が、予め規定された範囲内であるか否かを確認するために、アダプターを有するターゲット材料の外観の長さ方向における真直度を測定する工程。
(第1工程)
本発明の製造方法に用いられるターゲット材料は、スパッタリング法による成膜に通常用いられるようなターゲット材料であれば、特に限定されない。このようなターゲット材料としては、例えば、アルミニウム、銀、銅、チタン、モリブデン、スズドープ酸化インジウム(ITO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)、チタンドープ酸化亜鉛、In−Ga−Zn系複合酸化物(IGZO)などが挙げられる。これらの中でもアルミニウムまたは銅が好ましい。
本発明の製造方法において、ターゲット材料は、円筒形状に加工される。円筒形状に加工する方法は特に限定されない。金属系のターゲット材料の場合は、円柱状のターゲット材料を、例えば押出加工に供したり、中心部をくり貫いたりして円筒形状に加工してもよく、また、鋳造によって円筒形状に成型してもよい。一方、酸化物や高融点金属の焼結体系のターゲット材料の場合も、円柱状のターゲット材料を、例えば押出加工に供し、中心部をくり貫いて円筒形状に加工してもよく、円筒形状となるような型にターゲット材料を充填して焼結させてもよい。加工された円筒ターゲット材の表面に凹凸やうねりが存在する場合には、表面を整えるための切削加工、研削加工を施すことが好ましい。
円筒形状に加工されたターゲット材料の大きさは特に限定されない。通常、長さが700〜3000mm、外径が150〜180mmおよび内径が100〜140mm程度である。円筒形状に加工されたターゲット材料は、図1に示すように、必要に応じて外径加工および内径加工に供される。外径加工および内径加工は、一般的なターゲット材料に施される加工であり、例えば、切削加工、陽極処理加工、腐食防止加工などが挙げられる。さらに、円筒形状に加工されたターゲット材料の少なくとも一方の端部に、後述のアダプターを固定するための段加工なども、必要に応じて施される。また、必要に応じてターゲット材を円筒形状に加工した後に外観の長さ方向における真直度を測定してもよい。ターゲット材料が円筒形状に加工された時点で、歪が大きい場合、真直度を矯正する工程をさらに含めてもよい。
また、円筒形状に加工されたターゲット材料は、図1に示すように、必要に応じて中空部の長さ方向における真直度が測定される。中空部の真直度を予め規定された範囲となるようにしておくことにより、円筒型ターゲットの中空部へのマグネット接触による動作不良や、ターゲット材質の厚さの不均一性によるスパッタ特性不良の発生を抑えることができる。中空部の長さ方向における真直度を測定する方法は特に限定されず、例えば下記のように測定される。
中空部の長さ方向における真直度は、例えば、円筒形状に加工されたターゲット材料の内径とほぼ同じ(好ましくは内径よりも0.1〜5%程度小さい)直径を有する円板などの部材を、円筒形状に加工されたターゲット材料の一端から他端まで挿入する方法などが挙げられる。所望の真直度によって、この円板の直径を変更すればよい。例えば、円板の直径を円筒形状に加工されたターゲット材料の内径に近づけるほど、円板と円筒形状に加工されたターゲット材料の内周面との隙間が狭まるため、より真直度が要求されることになる。
一端から他端まで、円板が引っ掛かることなくスムーズに挿入されれば、歪がないと判断することができる。一方、円板が途中で引っ掛かって動かなくなれば、中空が真っ直ぐではない(歪がある)と判断できる。円板が途中で引っ掛かって動かない場合、円筒形状に加工されたターゲット材料の内周面の真直度を矯正する加工(例えば切削加工、鍛金加工など)を行えばよい。
(第2工程)
円筒形状に加工されたターゲット材料には、必要に応じて上記のような外径加工および内径加工や、中空部の長さ方向における真直度の測定が行われた後、スパッタ装置に取り付けるためのアダプター(継ぎ手)が設けられる。アダプターとしては、例えば、フランジ、アダプターリング、バッキングチューブなどが挙げられ、特に限定されない。また、バッキングチューブのように、アダプター部を有する筒状のターゲット支持部材を円筒ターゲット材料の中空部に挿入することで装置との取付け部を設けてもよい。バッキングチューブは、円筒型ターゲットをスパッタ装置に設置する際に、円筒型ターゲットを支持したり、バッキングチューブ内に水を流して円筒型ターゲットを冷却したりするのに用いられる。あるいは、これらの部材を用いる以外にも、円筒形状に加工されたターゲット材料の少なくとも一方の端部を成形して得られるアダプター部を、アダプターとしてもよい。アダプターを有するターゲット材料の種々の形態を図2(A)〜(D)に示す。
図2(A)は、円筒形状に加工されたターゲット材料1の一方の端部に、アダプター2としてフランジ21を固定し、他方の端部にキャップ22を固定した形態を示す。すなわち、フランジ21およびキャップ22は、固定部3に固定されている。フランジ21およびキャップ22の固定方法は特に限定されず、例えば、タングステン−イナートガス溶接(TIG溶接)、電子ビーム溶接(EB溶接)、メタルイナートガス溶接(MIG溶接)、レーザー溶接などの溶接、摩擦撹拌接合、ろう付けなどが挙げられる。図2(B)は、アダプター2として、円筒形状に加工されたターゲット材料1の両端部にアダプターリング23を固定した形態を示す。すなわち、アダプターリング23は、固定部3に固定されている。アダプターリング23の固定方法についても特に限定されず、例えば、上述の溶接や摩擦撹拌接合などが挙げられる。
図2(C)は、アダプター2として、円筒形状に加工されたターゲット材料1の両端部をアダプター部24に成形した形態を示す。アダプター部24の成形方法は特に限定されず、好ましくはターゲット材料を円筒形状に加工する際に、一体的に成形される。
図2(D)は、アダプター2として、円筒形状に加工されたターゲット材料1の中空部にバッキングチューブ25を挿入し、固定部3に固定した形態を示す。バッキングチューブ25の固定方法は特に限定されず、例えば、ハンダ接合などが挙げられる。ハンダ接合時の加熱によりバッキングチューブ25に歪が生じることがあるため、バッキングチューブとの接合後、外観長さ方向の真直度を測定し、切削加工による端部の矯正を行うことが好ましい。また、バッキングチューブ25を用いる場合、円筒形状に加工されたターゲット材料1の中空部が歪を有していると、バッキングチューブ25の挿入が困難となる。そのため、バッキングチューブ25を用いる場合は、上述のように、円筒形状に加工されたターゲット材料1の中空部の長さ方向における真直度を測定しておくことが好ましい。
その後、アダプターを有するターゲット材料を仕上げ加工に供し、最終製品に近い形態に仕上げてもよい。この仕上げ工程では、次工程でスパッタ面に打痕や疵が入るリスクや、真直度の測定精度を高めることを考慮し、スパッタ面以外が仕上げ加工に供されることが好ましい。仕上げ加工としては、例えば、長尺旋盤による切削加工などが挙げられる。
(第3工程)
次に、第2工程で得られたアダプターを有するターゲット材料が、予め規定された真直度を有しているか否かを確認する。そのために、アダプターを有するターゲット材料の外観の長さ方向における真直度を測定する。外観の長さ方向における真直度の測定方法は特に限定されず、例えば、下記の(1)〜(6)に示す方法が挙げられる。
(1)アダプターを有するターゲット材料を、アダプターを有する端部を底部として鉛直方向に設置し、ダイヤルゲージを用いて円周方向について数ヶ所のずれを測定する方法。
(2)アダプターを有するターゲット材料を、アダプターを有する端部を底部として鉛直方向に設置し、最上部の外周面に錘をつけた糸を垂らして、アダプターを有するターゲット材料の最下部の外周面と糸(錘)との隙間を測定する方法。
(3)(1)において、ダイヤルゲージの代わりに、L字型定規やレーザービームで撓みを測定する方法。
(4)水平台にアダプターを有するターゲット材料を設置し、隙間ゲージで撓みを測定する方法。
(5)アダプターを有するターゲット材料の等身大の写真(X線写真など)を撮影して、定規で撓みを測定する方法。
(6)アダプターを有するターゲット材料を水平方向に設置し、ダイヤルゲージを用いて円周方向について数ヶ所のずれを測定する方法。
これらの(1)〜(6)に記載の方法の中でも、測定方法の簡便さの観点からダイヤルゲージを用いた(1)に記載の方法が好ましい。また、この測定方法は、円筒型ターゲットがスパッタリングされる際と同じように鉛直方向に設置して真直度を測定するため、より精度高く真直度を確認することができる。この(1)に記載の測定方法の概略を説明する。まず、アダプターを有するターゲット材料を、アダプターを有する端部を底部として鉛直方向に設置して固定し、固定部がアダプターを有するターゲット材料を円周方向に回転させることができるように構成されている。検査治具には、ダイヤルゲージが、アダプターを有するターゲット材料の上端部近傍に位置するように備えられている。
次に、アダプターを有するターゲット材料の最上部から0〜100mm程度、好ましくは1〜50mm程度、より好ましくは5〜20mm程度下部を測定できるように、ダイヤルゲージの位置を調節する。アダプターを有するターゲット材料を1回転させて振れ幅が最小値の位置を確認し、その位置を基準とする(ダイヤルゲージを0mmに設定する)。基準となる位置以外に数ヶ所、例えば基準となる位置から、90度間隔で3ヶ所の値を測定し、その最大値が大きいほど、歪が大きいと判断できる。全ての測定位置において0mmであることが理想であるが、通常、最大値が2mm程度(すなわち、外観の長さ方向における真直度が2mm以下)であれば、長さ方向にほぼ歪を有さないと見なすことができ、好ましくは1.8mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。
アダプターを有するターゲット材料の外観の長さ方向における真直度が、予め規定された範囲内であれば、円筒型ターゲットが得られるが、再度スパッタ面の仕上げ加工に供してもよい。スパッタ面の仕上げ加工としては、例えば、切削加工などが挙げられ、ターゲット材料の外周面が所望の厚みを有するように切削される。その後、必要に応じて、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、ヘキサン、トルエン、キシレン、塩化メチレン、酢酸エチルなどの有機溶剤や、市販されている洗浄剤などを用いて洗浄してもよい。
一方、アダプターを有するターゲット材料の外観の長さ方向における真直度が、予め規定された範囲外であった場合、アダプターを有するターゲット材料は、外観の長さ方向における真直度を矯正する工程に供される。この矯正は、例えば、旋盤による切削加工や、鍛金加工などによって行われる。図3(A)〜図3(D)に、フランジが取り付けられたターゲット材料の外観の長さ方向における真直度を矯正する方法の一実施形態を示す。なお、図2(A)と同じ部材については同じ符号を付して、詳細な説明は省略する。
図3(A)は、円筒形状に加工されたターゲット材料1にフランジ21を取り付ける前の状態を示す。円筒形状に加工されたターゲット材料1にフランジ21を、上述の溶接や摩擦撹拌接合などによって固定すると、図3(B)に示すように、固定部3で屈折して歪が発生する場合がある。この歪を矯正するために、図3に示すように、フランジ21の端面を、例えば旋盤加工に供して切削する。図3(D)に示すように、フランジ21の端面と円筒形状に加工されたターゲット材料1の長さ方向とが垂直になるように矯正すると、歪はなくなるか、あるいは僅かに残る程度まで低減される。その結果、最終的に得られる円筒型ターゲットを回転させた際に生じる振れがなくなるか、あるいは支障をきたさない程度の振れに低減される。
矯正後、再度、外観の長さ方向における真直度を測定し、予め規定された範囲内であれば、上述のようにスパッタ面の仕上げ加工に供される。もし、範囲外であれば、規定された範囲内となるまで矯正が繰り返される。また、図2(B)に示すように、ターゲット材料の両端にアダプターを有している場合は、一方の端部を底部として鉛直方向に設置し、上述の様に外観の長さ方向における真直度を測定する。その後、必要に応じて矯正し、他方の端部を底部として外観の長さ方向における真直度を測定し、必要に応じて矯正を行うことが好ましい。
このように、本発明によれば、長さ方向にほぼ歪を有さない円筒型ターゲットが得られる。したがって、得られた円筒型ターゲットは、円筒型ターゲット内部に挿入するマグネットとの接触による動作不良が発生しにくい。あるいは、円筒型ターゲット周辺に存在するシールドなどの周辺部材と円筒型ターゲットとの局所的な接近または接触を抑えることができるので、異常放電が生じにくい。また、ほぼ歪を有していないため、円筒型ターゲットを回転させた際に振れが生じないか、生じても支障をきたさない程度である。その結果、円筒型ターゲットと膜が形成される基板との距離が一定となり、成膜される膜の厚みが均一になる。さらに、円筒型ターゲットをスパッタ装置に設置させても長さ方向にほぼ歪みを有さない。そのため、円筒型ターゲットとスパッタ装置との接続部に局所的な荷重がかかることがなく、スパッタ装置への負荷が軽減され、耐久性を向上させることができる。
スパッタの際、通常、スパッタ装置に複数の円筒型ターゲットが設置される。そのため、円筒型ターゲットは、複数本をそろえて円筒型ターゲットセットとして出荷される場合がある。通常、3〜20本を一組(例えば、3本、9本または12本)にして円筒型ターゲットセットとして出荷される。
本発明の製造方法によって得られる円筒型ターゲットは、上記のように、ほぼ歪を有さない(すなわち、外観の長さ方向における真直度が2mm以下)。そのため、複数本をそろえて一組としてスパッタ装置へ設置することができる。歪を有する円筒型ターゲットがスパッタ装置内に1本でもあると異常放電や装置との接続部への負荷が生じやすいが、本発明の製造方法であれば、ほぼ歪を有さない円筒型ターゲットをスパッタ装置の設置本数にあわせ用意することが可能である。したがって、本発明の製造方法によって得られる円筒型ターゲットは、複数本の円筒型ターゲットを一組にし、円筒型ターゲットセットとして出荷しやすい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、ターゲット材料として、高純度(99.999%)のアルミニウムを用い、このターゲット材料(アルミニウム)を円筒形状に加工した。円筒形状に加工されたターゲット材料は、外径が165mm、内径が126mm、および長さが2750mmであった。
次に、円筒形状に加工されたターゲット材料の中空部について(内径基準)、長さ方向における真直度を測定した。測定方法は次のとおりである。まず、円筒形状に加工されたターゲット材料の内径よりも0.2mm小さい直径のアルミニウム製の円板(高さ110mm)を用意した。この円板の中心部に3m程度の棒を取り付け、円筒形状に加工されたターゲット材料の一端から、この円板を円筒形状に加工されたターゲット材料の中空部に挿入した。円板を他端に向けて押し、途中で引っ掛からずに他端までスムーズに挿入できれば合格とした。途中で引っ掛かり動かなくなった場合は、円筒形状に加工されたターゲット材料の内周面を切削加工に供して、再度、円板を挿入した。円板が一端から他端まで引っ掛からずにスムーズに挿入されるまで、この作業を繰り返し行った。
その後、円筒形状に加工されたターゲット材料の一端にアルミニウム合金製のフランジおよび他端にアルミニウム合金製のキャップを溶接するため、中空状ターゲット材料の両端のそれぞれをフランジまたはキャップの形状に合うように切削加工した後、TIG溶接によって溶接し、フランジおよびキャップが溶接されたターゲット材料を得た。
(実施例2〜12)
実施例1と同様の手順で、フランジおよびキャップが溶接されたターゲット材料を得た。
実施例1〜12で得られたフランジおよびキャップが溶接されたターゲット材料の外観について(外径基準)、フランジを有する端部を底部として長さ方向における真直度を測定した。この真直度は、図4に示す説明図のようにダイヤルゲージを用いて測定した。図4に示すように、フランジ121およびキャップ122が取り付けられた円筒形状に加工されたターゲット材料11を、検査治具7に設置した。円筒形状に加工されたターゲット材料11は、フランジ121で検査治具13に固定されている。検査治具13は、円筒形状に加工されたターゲット材料11を回転させることができるように構成されている。検査治具13には、ダイヤルゲージ14が備えられている。このダイヤルゲージ14を、キャップ122の上端部から10mmの位置に接触するように調節した。
まず、円筒形状に加工されたターゲット材料11を1回転させて振れ幅が最小値の位置を確認した。この振れ幅が最小値の位置を基準位置(A点)とし、ダイヤルゲージ14を0mmに設定した。次に、円筒形状に加工されたターゲット材料11を基準位置から右回りに90度回転させた位置(B点)の値を、ダイヤルゲージ14で測定した。B点からさらに右回りに90度回転させた位置(C点)の値、およびC点からさらに右回りに90度回転させた位置(D点)の値を、ダイヤルゲージ14で測定した。B点〜D点の測定値のうち、最大値が2mm以下(振れ値が2mm以下)を合格とした。
測定した結果を表1に示す。表1に示すように、実施例2、3および5で得られたフランジおよびキャップが溶接されたターゲット材料は最大値が2mm以下であった。実施例1、4および6〜12で得られたフランジおよびキャップが溶接されたターゲット材料については、最大値が2mmを超えていた。そこで、フランジ121を旋盤加工に供して、フランジ121の端面(検査治具13との接触面)の一部を切削して矯正した。矯正後、再度、同様の手順で長さ方向における真直度を測定した。測定した結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1、4および6〜12で得られたフランジおよびキャップが溶接されたターゲット材料も、最大値が2mm以下となった。
Figure 2018053366
表1に示すように、最終的に実施例1〜12で得られたフランジおよびキャップが溶接されたターゲット材料は、振れ値の最大値がいずれも2mm以下であり、ほぼ歪みを有していないことがわかる。次いで、実施例1〜12で得られたフランジおよびキャップが溶接されたターゲット材料を、スパッタ面の仕上げ加工(切削加工)に供した。その後、エタノールで洗浄して、円筒型ターゲットを得た。
(実施例13)
ターゲット材料として無酸素銅(99.99%)を用い、このターゲット材料(無酸素銅)を円筒形状に加工した。円筒形状に加工されたターゲット材料は、外径が165mm、内径が126mm、および長さが2750mmであった。高純度無酸素銅製のフランジおよびキャップを用いた以外は、実施例1と同様の手順で、円筒型ターゲットを製造した。フランジおよびキャップが溶接されたターゲット材料の矯正前後についての測定結果を表2に示す。
Figure 2018053366
(実施例14)
実施例1とはLot No.の異なるアルミニウム(ターゲット材料)を用い、このターゲット材料(アルミニウム)を円筒形状に加工した。円筒形状に加工されたターゲット材料は、外径が165mm、内径が132mm、および長さが2750mmであった。
キャップおよびフランジ部を有するSUS304製のバッキングチューブ(外径130mm、内径122mm、および長さ3000mm)を、円筒形状に加工されたターゲット材料の中空部に挿入した。円筒形状に加工されたターゲット材料の両端から、キャップ側およびフランジ側のそれぞれが100mmおよび150mm出るように、バッキングチューブをインジウムにてハンダ接合した。さらに、ハンダ接合後、所定の寸法となるように円筒形状に加工されたターゲット材料全体に旋盤加工を施した。
得られたターゲット材料に対し、実施例1と同様の方法で長さ方向における真直度を測定した。その結果、予め規定された範囲(2mm以下)内であった。したがって、矯正加工を施さず、円筒型ターゲットとした。測定結果を表3に示す。
(実施例15および16)
実施例1および14とは、Lot No.の異なるアルミニウム(ターゲット材料)を用いた以外は、実施例14と同様の手順で円筒形状に加工されたターゲット材料を得た。次いで、実施例14と同様の手順で、SUS304製のバッキングチューブをハンダ接合した。さらに、ハンダ接合後、所定の寸法となるように円筒形状に加工されたターゲット材料全体に旋盤加工を施した。
得られたターゲット材料に対し、実施例1と同様の方法で長さ方向における真直度を測定した。その結果、いずれのターゲット材料も、予め規定された範囲(2mm以下)内であった。したがって、矯正加工を施さず、円筒型ターゲットとした。測定結果を表3に示す。
Figure 2018053366
(実施例17〜19)
実施例1および14〜16とは、Lot No.の異なるアルミニウム(ターゲット材料)を用い、このターゲット材料(アルミニウム)を円筒形状に加工した。円筒形状に加工されたターゲット材料は、いずれも外径が165mm、内径が126mm、および長さが2200mmであった。
次に、円筒形状に加工されたターゲット材料それぞれの両端を、アダプターリングの形状に合うように切削加工した。切削加工した部分に、アルミニウム合金製の円筒形の装置設置用継手であるアダプターリングを、TIG溶接によって溶接した。溶接処理後、所定の寸法となる様に両端にアダプターリングを有するターゲット材料に、旋盤加工を施した。
得られたターゲット材料に対し、実施例1と同様の方法で長さ方向における真直度を測定した。真直度は、各端部を底部として2回測定した。その結果、いずれのターゲット材料も、予め規定された範囲(2mm以下)内であった。したがって、矯正加工を施さず、円筒型ターゲットとした。測定結果を表4に示す。結果は、2回測定したうちの歪の大きい方のみを示す。
Figure 2018053366
以上のように、本発明の製造方法によれば、ほとんど歪を有さない円筒型ターゲットを得ることができる。したがって、得られた円筒型ターゲットは、円筒型ターゲット内部に挿入するマグネットとの接触による動作不良が生じにくい。あるいは、円筒型ターゲット外部に取り付けるシールドなどの周辺部材と円筒型ターゲットとの局所的な接近または接触による異常放電が生じにくい。また、ほぼ歪を有していないため、円筒型ターゲットを回転させた際に振れが生じないか、生じても支障をきたさない程度である。その結果、円筒型ターゲットと膜が形成される基板との距離が一定となり、成膜される膜の厚みが均一になる。さらに、円筒型ターゲットをスパッタ装置に設置させても長さ方向にほぼ歪みを有さない。そのため、円筒型ターゲットとスパッタ装置との接続部に局所的な荷重がかかることがなく、スパッタ装置への負荷が軽減され、耐久性を向上させることができる。
さらに、複数本をそろえて一組にした円筒型ターゲットセットは、スパッタ装置内に設置するすべての円筒型ターゲットをほぼ歪を有さないものとすることができる。その結果、異常放電や接続部への局所的負荷を防ぐことができる。したがって、本発明の製造方法によって得られる円筒型ターゲットは、複数本の円筒型ターゲットを一組にし、円筒型ターゲットセットとして出荷しやすい。
1 円筒形状に加工されたターゲット材料
2 アダプター
21 フランジ
22 キャップ
23 アダプターリング
24 アダプター部
25 バッキングチューブ
3 固定部
11 円筒形状に加工されたターゲット材料
121 フランジ
122 キャップ
13 検査治具
14 ダイヤルゲージ

Claims (6)

  1. ターゲット材料が、アルミニウム、銀、銅、チタンおよびモリブデンからなる群より選択される少なくとも1種の金属からなる円筒型ターゲットであって、該円筒型ターゲットを鉛直方向に設置し、該円筒型ターゲットを回転させながら、該円筒型ターゲットの上端部近傍に位置したダイヤルゲージを用いて測定された外観の長さ方向における真直度が2mm以下である円筒型ターゲット。
  2. 前記ターゲットの少なくとも一方の端部に取り付けられたアダプターを含む請求項1に記載の円筒型ターゲット。
  3. 前記ターゲットの長さが700mm以上である請求項1または2に記載の円筒型ターゲット。
  4. ターゲット材料が、アルミニウム、銀、銅、チタンおよびモリブデンからなる群より選択される少なくとも1種の金属からなる円筒型ターゲット複数本を一組にした円筒型ターゲットセットであって、該円筒型ターゲットを鉛直方向に設置し、該円筒型ターゲットを回転させながら、該円筒型ターゲットの上端部近傍に位置したダイヤルゲージを用いて測定された外観の長さ方向における真直度が2mm以下である円筒型ターゲットセット。
  5. 前記複数本の円筒型ターゲットのそれぞれが、少なくとも一方の端部に取り付けられたアダプターを含む請求項4に記載の円筒型ターゲットセット。
  6. 前記複数本の円筒型ターゲットのそれぞれの長さが700mm以上である請求項4または5に記載の円筒型ターゲットセット。
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