JP2018053285A - 高炉の操業方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コークスの使用量を低減するために、よりコストの低い水素源を用いて適正に高炉を操業する方法を提供する。
【解決手段】銑鉄1トンを生産するために使用するコークスの質量であるコークス比を300kg/tp以下で操業する高炉の操業方法であって、高炉内の羽口と炉頂の圧力差である全圧力損失が所定値で一定となる、コークス比と高炉内に投入されるHOの質量との対応関係を予め求めておき、前記対応関係に基づき高炉内に投入するHOの質量を決定することを特徴とする高炉の操業方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、装入するコークス量を低減した高炉の操業方法に関する。
高炉操業では、鉄鉱石、焼結鉱、ペレット等の鉄源からなる原料と、燃料となるコークスを交互に高炉に装入している。高炉操業におけるコスト低減の方法として、コークスの装入量を減らすことが挙げられる。
しかしコークスの装入量が低下すると、鉄鉱石が溶解して固体から液体に変わる融着帯においてコークス層の厚みが低下する。コークス層の厚みが低下すると、羽口から吹き込まれたガスの通り道である、いわゆるコークススリットが狭くなり、融着帯が形成される炉下部における圧力損失(以下、炉下部圧損)が大きくなる。
炉下部圧損が大きくなると高炉全体の圧力損失(以下、全圧損)も上昇するので、高炉の操業に制約となることがある。そのため、コークス量を減らした場合でも炉下部圧損の上昇を招かぬようにする必要がある。炉下部圧損を低減する方法として、高炉に導入する水素量を増やす方法が挙げられる。高炉に導入する水素量を増やすことで、炉内の鉄源が還元される速度を速くしてFeOからFeへの転換を促進して、FeOより融点の高いFeの量を増やし、融着帯の厚みを低下させることができる。融着帯の厚みを減らすことで、ガスが通り抜けるコークススリットの長さが短くなり、炉下部圧損の上昇を抑えることができる。
高炉に導入する水素量を調整する方法として、例えば天然ガス等の気体還元材や重油等の液体還元剤といった補助還元材を用いることが行われている(例えば、特許文献1参照。)これらの補助還元材は水素分を多く含む物質であるため、羽口から吹き込むことで高炉内のガス中の水素濃度を上昇させることができ、前記作用に基づいて炉下部圧損を低減できるとしている。
しかし、補助還元材自体のコストや、補助還元材の製造設備のコストが高いため、より安価に水素を供給する方法が必要であった。
特開2006−124769号公報
本発明は、コークスの使用量を低減するために、よりコストの低い水素源である水を用いて適正に高炉を操業する方法を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)銑鉄1トンを生産するために使用するコークスの質量であるコークス比を300kg/tp以下で操業する高炉の操業方法であって、
高炉内の羽口と炉頂の圧力差である全圧力損失が所定値で一定となる、コークス比と高炉内に投入されるHOの質量との対応関係を予め定めておき、前記対応関係に基づき高炉内に投入するHOの質量を決定することを特徴とする高炉の操業方法。(1)によれば、上記目的を達成することができる。
(2)上記(1)の高炉の操業方法において、前記対応関係に基づき決定される高炉内に投入するHOの質量が、以下の(1)式および(2)式の関係式を満たすことを特徴とする高炉の操業方法。
W≧F(CR) (1)
CR≦300 (2)
W:高炉内に投入するHOの質量[g/Nm
CR:コークス比[kg/tp]
ここで、F(CR)はコークス比CRの関数である。
(2)によれば、水を高炉に投入する高炉操業において全圧損の上昇を抑えつつ、コークス比を低減しコストを削減することができる。
(3)上記(2)の高炉の操業方法において、前記(1)式のF(CR)が、前記対応関係を回帰分析して求めたコークス比CRの関数であることを特徴とする高炉の操業方法。(3)によれば、より確実に、コークス比を低減し全圧損が一定となるコークス比に対応するHOの投入量を求めることができる。
(4)上記(2)又は(3)の高炉の操業方法において、前記(1)式のF(CR)が、以下の(3)式であることを特徴とする高炉の操業方法。
F(CR) = - 0.0043 × (CR)3+ 3.9712 × (CR)2 - 1229.8 × (CR) + 127005 (3)
(4)によれば、水を高炉に投入する高炉操業において低コークス比でより適切な操業を行うことができる。
(5)上記(1)から(4)のいずれかの高炉の操業方法において、投入するHOと熱風とを高炉内に供給する羽口の前方における温度がHOの投入により低下することに対して、前記熱風の温度を上昇させる羽口先燃焼温度制御を行うことを特徴とする高炉の操業方法。(5)によれば、より安定した高炉の操業が可能になる。
(6)上記(5)の高炉の操業方法において、前記羽口先燃焼温度制御が、前記羽口から供給する熱風の温度を以下の(4)式に基づき決定することを特徴とする高炉の操業方法。
Tb = a (W - 30) + 1200 (4)
Tb:熱風の温度[℃]
W:高炉内に投入するHOの質量[g/Nm
ここで、aは以下の(5)式である。
a = - [(b + d) × H/18/1000 + (b + d) × c × 1175/18 × 22.4/1000]/e (5)
b:羽口からの送風量[Nm/h]
d:酸素富化流量[Nm/h]
H:水の熱分解潜熱[kcal/kmol]
c:空気中のHOの比熱[kcal/(℃・Nm)]
e:ボッシュガスの熱容量[kcal/(h・℃)]
(6)によれば、より確実に安定した操業ができる。
本発明によれば、コークスの使用量を低減するために、よりコストの低い水素源を用いて適正に高炉を操業する方法を提供することができる。
本実施形態の高炉の断面図である。 本実施形態の高炉の操業方法におけるコークス比と導入H量との関係を示すグラフである 本実施形態の高炉の操業方法におけるコークス比と投入HO量との関係を示すグラフである。 本実施形態の高炉の操業方法における投入HO量と導入H量との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、実施形態について説明する。図1は、実施形態に係る高炉1の構成を示す高炉の断面図である。高炉1では、原料として焼結鉱やペレットや塊鉱石などの鉱石が用いられ、燃料としてコークスおよび微粉炭が用いられて操業される。鉱石とコークスは別々に高炉内に投入されて、それぞれ鉱石層とコークス層が交互に積層される。本実施形態では鉱石層とコークス層の形成方法は特に限定されない。そして高炉内は、塊状帯や、鉱石が溶解して固体から液体に変わる融着帯や、液体になった溶鉄や溶融スラグがコークス層を滴下する滴下帯などで構成される。
高炉1は設備として、羽口2と、送風本管3と、送風管4と、ランス5と、蒸気吹き込み管6と、出銑口7等を備える。
羽口2は高炉内に熱風を吹き込むための吹き込み口である。羽口2から吹き込まれる熱風は熱風炉で生成され、熱風炉から送風本管3に送られて、送風管4から羽口に供給される。熱風炉は内部に例えば珪石レンガを格子状に組んだ蓄熱室を持つ円筒状の炉である。熱風の温度を測定し、その測定データに基づき熱風炉における蓄熱量や供給する空気の量を制御して熱風の温度が調整され、送風本管3に送られる。羽口2から供給する熱風の温度は、例えば、熱風炉の設備改造、増築や、送風本管3内の耐火レンガの機能アップ等により行うことができる。また、熱風の温度は、本実施形態においては熱風炉から送風本管3に入る直前の位置に設置した熱電対により測定した熱風の温度である。
送風本管3は、高炉1の周囲に形成される環状管であり、熱風炉から熱風が供給される。送風管4は送風本管3から熱風を羽口2に供給するための管である。ランス5は微粉炭を高炉1内に供給するための管である。ランス5は例えば送風管4を貫通して羽口2内に開口する。出銑口7は、炉底にたまった溶銑を排出する孔である。
蒸気吹き込み管6は、本実施形態において水素源として供給するHOである水蒸気を熱風に投入するための管である。蒸気吹き込み管6は送風本管3に差し込まれて送風本管3内に開口している。蒸気吹き込み管6の数は特に限定されないが、本実施形態では1本の蒸気吹き込み管6により送風本管3内に水蒸気を供給している。蒸気吹き込み管6から供給される水蒸気の供給装置の構成は特に限定されないが、風湿計により蒸気吹き込み管6における送風湿度をチェックして、所定の湿度の水蒸気になるように水蒸気量を調整できる装置であればよい。
高炉の圧力損失は、高炉1に複数箇所に設置された圧力計によって測定される圧力に基づいて求められる。高炉の圧力損失は通常、圧力計8aで測定される羽口前圧力A(たとえば、送風管4での圧力)、圧力計8bで測定される炉腹部圧力B(たとえば、炉腹部上段ステーブでの圧力)、炉頂圧力C(たとえば、炉頂部高炉ガス回収設備(不図示)での圧力)の3箇所の圧力測定値から、炉下部圧損(=A−B)、炉上部圧損(=B−C)および全圧損(全圧力損失)(=A−C)として管理される。本実施形態の高炉操業方法の課題は、融着帯における圧損の低減を本質的な技術課題とする。その融着帯における圧損の低減は炉下部圧損に反映する。そして炉下部圧損は高炉の全圧損と相関関係があるため、融着帯における圧損は結果的に全圧損として把握、管理される。
以上の高炉1の設備の構成は一例であり、これらの構成に限定されない。
次に、本実施形態における操業方法を説明する。本実施形態は、コークス比(以下、「CR」ともいう。)を低減してコストを抑えた操業を行うことで発生する融着帯における圧力損失の上昇を抑制するために、炉内に水素を導入する。そして、この水素源としてコストの低い水を用いた高炉の操業方法である。なお、コークス比CR[kg/tp]は、銑鉄1tを製造するのに必要なコークスの質量である。
従来、燃料コストを削減するために、コークスの代わりに微粉炭を用いることによりコークス比を低減して操業を行っていた。しかし、微粉炭を増加してコークス比を低下させていくと、コークス層の厚みが低下して融着帯におけるコークス量が低下するため、そこでガスの流れが阻害されて融着帯付近の炉下部における圧力損失が上昇する。炉下部圧損の上昇により安定した操業が困難になる場合がある。特に、コークス比が300kg/tp以下となる微粉炭の比率が高い高微粉炭吹き込み操業を実施する場合、結果として全圧損が非常に高くなってしまい高炉の操業が難しかった。
本実施形態では、水素源となる水を水蒸気で熱風と共に羽口から吹き込み、全圧損が所定の値で一定となるコークス比と水の投入量との関係に基づき、水の投入量を決定する。ここに所定の値とは、前提となる高炉の設備諸元、出銑比[t/m・日](高炉の1日の1立方メートル当たりの銑鉄生産量)などの操業条件によって定められる値である。水の投入量を増やしつつCRを低下させようとするために、本実施形態に係る操業方法に基づいて決定される操業条件で操業を開始する前の状態において、その高炉の適正な条件として予め定められる全圧損の値である。本実施形態における方法により決定された水の投入量で水が投入されることで、炉内に導入される水素量が上昇し、炉内の還元率が上昇して炉下部圧損の上昇を防げ、結果として全圧損の上昇を防ぐことができる。それにより、低コークス比での安定した操業を実現することができる。
本実施形態において、水の投入量を決定するための、全圧損が所定値で一定となるコークス比と高炉内に投入されるHOの質量との対応関係は、高炉炉内の全体の操業諸元及び操業結果をシミュレート可能な高炉の数学モデルを用いて決定できる。高炉の数学モデルは、高炉全体の操業状態をシミュレート可能であればどのような数学モデルを用いてもよい。本実施形態では一例として、山岡秀行・亀井康夫、「数学モデルによる酸素高炉プロセスの解析」、鉄と鋼、日本鉄鋼協会、1991年、第77巻、第10号、p.1601−1608に記載の高炉数学モデルを利用した。本明細書において特別な場合を除き、数学モデルはこの文献に記載の高炉数学モデルを指すものとする。
上記数学モデルを用いて、コークス比(CR)が312から290kg/tpの範囲の種々の条件において、高炉の全圧損値が128kPa(所定の値)となるような、送風湿分(投入するHO量に対応)の値を試行錯誤で求めた例を以下に示す。このとき、出銑比を9535t/d、RARを485.2kg/tpと高炉の操業において代表的な数値とした。その他の設定条件を含めて表1に計算に用いた諸元の値を示す。なお、PCRは、RAR(=485.2)−CRとして調整した。送風温度は、羽口先燃焼温度が2241度で一定となるように調整した(その詳細は後述する)。送風量は、上記のように調整したRAR等の諸元を基に高炉における熱物質バランスが合うように上記数学モデルによって調整した。CRは290kg/tpより更に低い条件も計算を試みたが、炉頂温度が100℃以上という条件を保てなくなったために、本実施形態におけるCRの低減はここが限界となった。
計算結果を図2、図3に示す。両図の○印は、各計算点を示す。図2は、種々のCRにおいて全圧損が所定の値となる導入H量を示す。図3は、種々のCRにおいて全圧損が所定の値となる投入HO量(解決手段で言う「対応関係」)を示す。投入するHO量[g/Nm]は、本実施形態において蒸気吹き込み口6から投入する水蒸気に含まれるHOと、熱風として吹き込まれる空気中に含まれるHOの標準状態における空気1mあたりの質量の合計である。導入H量[kg/tp]は、銑鉄を1t製造するのに導入されるHの質量[kg]である。そして、導入H量は、羽口から高炉に吹き込まれる送風中の湿分が分解することによって発生する水素ガスの質量と、微粉炭中の水素分がガス化して発生する水素ガスの質量の合計値である。
図2および図3はCRに対して同様の傾向を示す。これは、図4に示すように、基本的には投入するHOからHが生成されるので、投入するHO量と導入されるH量とはほぼ比例関係になるためである。
図3のグラフにおける、コークス比が300kg/tpより大きくて、且つ、投入HO量が30g/Nm未満の範囲が、従来行われている条件での操業範囲(通常操業範囲)である。これに対して、図3のコークス比が300kg/tp以下の範囲における、グラフの線上のコークス比と投入HO量が、コークス比が300以下で圧力損失が所定値で一定となる操業条件として求められる。なお本実施形態では、コークス比が300以下の範囲では投入HO量が30g/Nm以上となる。
さらに、コークス比が300kg/tp以下で投入HO量が30g/Nm以上の範囲において、グラフの線より上の範囲(コークス比の値に対応する投入HO量が、グラフの曲線上の数値より大きい範囲)は、圧力損失が所定値よりも低い範囲である。この圧力損失が所定値よりも低い範囲においても低コークス比で高炉の操業を適正に行うことができる。そのため、コークス比が300kg/tp以下で、投入HO量が30g/Nm以上の範囲においてグラフの線上を含むグラフの線より上の範囲における、コークス比とそれに対応する投入HO量が本実施形態における低コークス比での操業条件となる。
この図3のグラフは、上記表1の設定条件において、数学モデルによってシミュレーションして求めたコークス比と投入HO量との複数の計算点の回帰線である。すなわち、この線は、CRの回帰関数Fの数式として、
W = F(CR) (1)
となる。Wは投入HO量[g/Nm]である。F(CR)はCRの関数である。
本実施形態において、三次関数で回帰して求めたこのグラフの数式は、
F(CR) = - 0.0043 × (CR)3+ 3.9712 × (CR)2 - 1229.8 × (CR) + 127005 (2)
である。CRはコークス比[kg/tp]の値である。
そして、コークス比が300kg/tp以下の範囲において、上記式(1)で示されるグラフより上の範囲(図3においてハッチングされた範囲)が、本実施形態において求められる圧力損失が所定値以下となる、コークス比が300以下の範囲における操業条件となる。よって、本実施形態の操業条件は、
W≧F(CR) (3)
且つ、
CR≦300 (4)
となる。
この(3)式及び(4)式の条件を満たせば、安価な水素源である水から供給される十分な水素が高炉内に導入され、コークス比を300以下に低減しつつ圧力損失が所定値より高くならずに、安定した高炉操業が可能である。
なお、数学モデルによってシミュレーションして求めた、高炉における全圧損が所定の値で一定となる、コークス比と投入HO量との関係を表す回帰曲線は、操業条件や高炉の形状、大きさ等の諸元(上記の設定条件)によって異なる。したがって、設定条件に応じて圧力損失が一定となるコークス比と投入HO量との対応関係を求め、その対応関係から最適なF(CR)を求めて、投入HO量を決定すればよい。
さらに本実施形態においては、羽口2から吹き込む熱風の温度を、投入するHOの量に基づき調整する操業を行うことが好ましい。これは、水素を高炉内に導入するための水素源として水を用いて、投入するHO量が上昇すると、従来のように水を投入しない場合における高炉操業時よりも羽口先(炉内における羽口の先端の前方)の燃焼温度が低下する場合がある。羽口先燃焼温度が低下すると、微粉炭の燃焼率が低下し、燃え残り物質が炉下部に蓄積しやすくなる。燃え残り物質が炉下部に蓄積すると、炉下部の圧力損失が上昇する可能性がある。
そのため、本実施形態の高炉の操業方法においては、投入HO量を従来より多くすることによる羽口先温度の低下を補償するために、熱風炉から供給される熱風温度を上げて羽口先の燃焼温度を調整する羽口先燃焼温度制御を行うことが好ましい。具体的には、本実施形態においては羽口先燃焼温度を表1に示したように2241℃に設定しているため、羽口先燃焼温度が2241℃で一定になるように熱風温度を調整する。なお、熱風温度は、上述のように熱風炉から送風本管3に入る直前の位置に設置した熱電対で測定した温度である。また、上述の羽口先燃焼温度の2241℃は一例であり、当該温度に限定されず、様々な条件に応じて適切な羽口先燃焼温度が設定されればよい。
そして本実施形態においては、以上の羽口先燃焼温度が一定となる投入HO量と熱風温度との関係は、以下の式(5)のような関係を満たすことが見いだされた。
Tb = a (W - 30) + 1200 (5)
ここで、Tbは熱風温度[℃]、Wは投入HO量[g/Nm]である。
また、式(5)における係数aは以下の式(6)で表される。
a = - [(b + d) × H/18/1000 + (b + d) × c × 1175/18 × 22.4/1000]/e (6)
ここで、b:送風量[Nm/h]、d:酸素富化流量[Nm/h]、H:水の熱分解潜熱[kcal/kmol]、c:空気中のHOの比熱[kcal/(℃・Nm)]、e:ボッシュガスの熱容量[kcal/(h・℃)]である。
送風量bは羽口2から1時間あたりに吹き込まれる熱風の体積である。酸素富化流量dは、羽口2から吹き込まれる熱風に対して1時間あたりに追加された酸素ガスの体積である。ボッシュガスの熱容量eは、羽口2から吹き込まれた熱風により炉内のコークスが燃焼して発生したガス及び投入した湿分が分解して発生したガスとNガスを足したボッシュガスの熱容量である。具体的にはボッシュガスの熱容量は炉内に導入されるCOガス、Hガス、Nガス量に対して、それぞれの気体の平均比熱をかけて合計することによって求められた値である。
よって、本実施形態の方法で決定した投入HO量において操業を行う場合に、その投入HO量と式(5)に基づき適切な熱風温度を求めて、その温度の熱風を供給して羽口2から吹き込むことで、投入HO量が増えたことによる羽口先燃焼温度の低下が補償され、羽口先燃焼温度の低下が起こらずにさらに安定した高炉の操業が可能となる。
以上の本実施形態の高炉の操業方法は、高炉の管理者が本実施形態の方法によって、コークス比、水の投入量、熱風温度などを決定し、その決定した値を高炉操業の制御を行う装置に対して入力することにより高炉の操業を行ってもよいし、コンピュータ等の制御装置が本実施形態の方法に基づき処理を行ってコークス比や水の投入量等の数値を決定して高炉の操業の全部または一部を制御してもよい。
以上より、本実施形態によれば、炉内に導入される水素量がより増加して炉内の還元率を上昇させることができ、炉下部での圧力損失を低下させることができる。そして本実施形態では、水素源として安価な水を用いているため、より低コストでコークスの装入量を低減しつつ、炉下部における圧力損失の上昇を抑制した高炉の操業を実現することができる。
さらに、水の投入量が増えることにより発生する羽口先の燃焼温度の低下を、熱風温度の調整によって抑制することにより、炉熱の低下を招くことなくコークスの装入量を低減したより安定した低コークス比での高炉の操業を実現することができる。
なお、本実施形態において使用した数学モデルは一例であり、当該数学モデルに限定されない。高炉の操業状態や結果を計算可能な数学モデルであれば、本実施形態の高炉の操業方法に適用することができる。
全圧損が所定値で一定となる、コークス比と高炉内に投入されるHOの質量との対応関係は、本実施形態で説明した数学モデルを用いて求める方法に限定されない。従来の操業実績から、投入HO量と全圧損(又は炉下部圧力損失)の関係を抽出して求めてもよい。すなわち、様々な条件での実際の操業時のデータから、全圧損が所定値である、コークス比と投入HO量との関係を複数抽出し、上記式(2)のような回帰線を求めることで、実際の操業実績から操業条件を求めてもよい。
本実施形態では、全圧損が所定値の場合における、コークス比と投入HOの量との関係を求めたがこれに限られない。コークス比と高炉内に投入されるHOの質量との対応関係を、全圧損に代えて、炉下部圧損が所定値で一定となるように決めてもよく、上述の実施形態によって得られる効果を損なうことなく同様に適正な操業を実施できる。
1 高炉
2 羽口
3 送風本管
4 送風管
5 ランス
6 蒸気吹き込み管

Claims (6)

  1. 銑鉄1トンを生産するために使用するコークスの質量であるコークス比を300kg/tp以下で操業する高炉の操業方法であって、
    高炉内の羽口と炉頂の圧力差である全圧力損失が所定値で一定となる、コークス比と高炉内に投入されるHOの質量との対応関係を予め求めておき、前記対応関係に基づき高炉内に投入するHOの質量を決定することを特徴とする高炉の操業方法。
  2. 前記対応関係に基づき決定される高炉内に投入するHOの質量が、以下の(1)式および(2)式の関係式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の高炉の操業方法。
    W≧F(CR) (1)
    CR≦300 (2)
    W:高炉内に投入するHOの質量[g/Nm
    CR:コークス比[kg/tp]
    ここで、F(CR)はコークス比CRの関数である。
  3. 前記(1)式のF(CR)が、前記対応関係を回帰分析して求めたコークス比CRの関数であることを特徴とする請求項2に記載の高炉の操業方法。
  4. 前記(1)式のF(CR)が、以下の(3)式であることを特徴とする請求項2又は3に記載の高炉の操業方法。
    F(CR) = - 0.0043 × (CR)3+ 3.9712 × (CR)2 - 1229.8 × (CR) + 127005 (3)
  5. 投入するHOと熱風とを高炉内に供給する羽口の前方における温度がHOの投入により低下することに対して、前記熱風の温度を上昇させる羽口先燃焼温度制御を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。
  6. 前記羽口先燃焼温度制御が、前記羽口から供給する熱風の温度を以下の(4)式に基づき決定することを特徴とする請求項5に記載の高炉の操業方法。
    Tb = a (W - 30) + 1200 (4)
    Tb:熱風の温度[℃]
    W:高炉内に投入するHOの質量[g/Nm
    ここで、aは以下の(5)式である。
    a = - [(b + d) × H/18/1000 + (b + d) × c × 1175/18 × 22.4/1000]/e (5)
    b:羽口からの送風量[Nm/h]
    d:酸素富化流量[Nm/h]
    H:水の熱分解潜熱[kcal/kmol]
    c:空気中のHOの比熱[kcal/(℃・Nm)]
    e:ボッシュガスの熱容量[kcal/(h・℃)]
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