JP2018050559A - 妊娠母体から採取された末梢血から胎児細胞を単離する方法、抗体セット、及び出生前遺伝学的検査方法 - Google Patents

妊娠母体から採取された末梢血から胎児細胞を単離する方法、抗体セット、及び出生前遺伝学的検査方法 Download PDF

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Abstract

【課題】妊娠母体から採取された末梢血から抗体を用いて胎児細胞を単離する新規な方法を提供する。【解決手段】抗HBG抗体、抗ALAS2抗体、抗HEMGN抗体、抗C9orf5抗体、抗GYPB抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、抗C4orf3抗体、抗IGF2抗体、抗GYPE抗体、抗CLIC6抗体、及び抗DDX3Y抗体からなる群から選ばれる少なくとも2種の抗体を血液細胞集団に接触させて少なくとも2種の抗体で細胞をマーキングする工程と、血液細胞集団から、少なくとも2種の抗体でマーキングされた細胞を単離する工程と、を有する胎児細胞の単離方法;少なくとも2種の抗体を含む抗体セット;及びその応用。【選択図】なし

Description

本発明は、妊娠母体から採取された末梢血から胎児細胞を単離する方法、抗体セット、及び出生前遺伝学的検査方法に関する。
出生前遺伝学的検査として、従来、羊水穿刺により採取した羊水から胎児細胞を単離し、胎児細胞中の染色体を調べる羊水染色体検査が行われてきた。しかし、羊水穿刺には流産を引き起こす可能性がある。
一方、妊娠母体の血液中に存在する胎児由来の無細胞DNA、又は、妊娠母体の血液中に存在する胎児細胞の染色体DNAを解析して、胎児染色体の異常を検出する検査が、非侵襲な出生前遺伝学的検査として知られている。
非侵襲な出生前遺伝学的検査の中でも、胎児由来の無細胞DNAを解析する検査は、既に実用化されている。一方、胎児細胞の染色体DNAを解析する検査は、いまだ実用に至っていない。その理由として、胎児細胞(例えば、胎児の有核赤血球)が母体血数mL中に1個程度しか存在しない希少細胞であることが挙げられる。しかし、胎児細胞の染色体DNAを解析できれば、より検査精度に優れた非侵襲な出生前遺伝学的検査が期待できる。
ところで、細胞を抗体を用いて免疫学的に識別し単離する方法は、細胞特異性の高い単離方法であり、臨床に普及している。こうした背景のもとに、妊娠母体の末梢血に含まれる胎児細胞を単離する方法として、胎児細胞に特有のタンパク質に結合する抗体を用いて胎児細胞を識別し単離する方法が、例えば特許文献1〜4に開示されている。胎児の赤血球に発現しているヘモグロビンのほとんどは、2個のサブユニットαと2個のサブユニットγとからなるヘモグロビンF(fetal hemoglobin)であるが、生後はサブユニットγよりもサブユニットβの発現が優位になり、成人の赤血球に発現しているヘモグロビンのほとんどは、2個のサブユニットαと2個のサブユニットβとからなるヘモグロビンA(adult hemoglobin)である。この現象を利用して、特許文献1〜4は、サブユニットγに対する抗体を用いて胎児の赤血球を識別し単離することを開示している。
特開2000−039433号公報 特表2001−502805号公報 特開2014−223082号公報 特表2014−533509号公報
出生前遺伝学的検査の精度を挙げるために、妊娠母体の末梢血から胎児細胞を確実に単離する免疫学的方法が求められている。
本開示の実施形態は、上記状況のもとになされた。
本開示の課題は、妊娠母体から採取された末梢血から抗体を用いて胎児細胞を単離する新規な方法を提供することである。
また、本開示の課題は、胎児細胞を単離するために用いる新規な抗体セットを提供することである。
また、本開示の課題は、単離された胎児細胞から染色体DNAを入手して行う、胎児の出生前遺伝学的検査方法を提供することである。
上記の課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
[1] 妊娠母体から採取された末梢血から胎児細胞を単離する方法であって、抗HBG抗体、抗ALAS2抗体、抗HEMGN抗体、抗C9orf5抗体、抗GYPB抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、抗C4orf3抗体、抗IGF2抗体、抗GYPE抗体、抗CLIC6抗体、及び抗DDX3Y抗体からなる群から選ばれる少なくとも2種の抗体を血液細胞集団に接触させて少なくとも2種の抗体で細胞をマーキングする工程と、血液細胞集団から、少なくとも2種の抗体でマーキングされた細胞を単離する工程と、を有する、胎児細胞の単離方法。
[2] 少なくとも2種の抗体が、抗HBG抗体を含む、[1]に記載の胎児細胞の単離方法。
[3] さらに、末梢血を密度勾配遠心分離に供して有核赤血球を含む画分を得る工程を有し、有核赤血球を含む画分が血液細胞集団である、[1]又は[2]に記載の胎児細胞の単離方法。
[4] さらに、抗CD45抗体を血液細胞集団に接触させて抗CD45抗体で細胞をマーキングする工程と、血液細胞集団から、抗CD45抗体でマーキングされていない細胞を単離する工程と、を有する、[1]〜[3]のいずれか1つに記載の胎児細胞の単離方法。
[5] さらに、核染色色素を血液細胞集団に接触させて細胞核を染色する工程と、血液細胞集団から、核染色色素によって核が染色された有核細胞を単離する工程と、を有する、[1]〜[4]のいずれか1つに記載の胎児細胞の単離方法。
[6] 血液細胞集団から細胞を単離することがフローサイトメトリーによって行われる、[1]〜[5]のいずれか1つに記載の胎児細胞の単離方法。
[7] 抗HBG抗体、抗ALAS2抗体、抗HEMGN抗体、抗C9orf5抗体、抗GYPB抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、抗C4orf3抗体、抗IGF2抗体、抗GYPE抗体、抗CLIC6抗体、及び抗DDX3Y抗体からなる群から選ばれる少なくとも2種の抗体を含む、胎児細胞の単離に用いるための抗体セット。
[8] 少なくとも2種の抗体が、抗HBG抗体を含む、[7]に記載の抗体セット。
[9] 少なくとも2種の抗体の一部又は全部がそれぞれ、蛍光色素、蛍光タンパク質、酵素、ビオチン、及び磁気ビーズから選ばれる少なくとも1種で標識された抗体である、[7]又は[8]に記載の抗体セット。
[10] [1]〜[6]のいずれか1つに記載の胎児細胞の単離方法により、妊娠母体から採取された末梢血から胎児細胞を単離し、単離された胎児細胞から染色体DNAを入手して行う、胎児の出生前遺伝学的検査方法。
本開示によれば、妊娠母体から採取された末梢血から抗体を用いて胎児細胞を単離する新規な方法が提供される。
また、本開示によれば、胎児細胞を単離するために用いる新規な抗体セットが提供される。
また、本開示によれば、単離された胎児細胞から染色体DNAを入手して行う、胎児の出生前遺伝学的検査方法が提供される。
有核赤血球画分の全細胞に占める抗体陽性細胞の割合を示すグラフである。
以下に、実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中の各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
<胎児細胞の単離方法>
本開示の単離方法は、妊娠母体から採取された末梢血から胎児細胞を単離する方法である。本開示において血液には、血液そのもの、及び、生理食塩水で希釈した血液;血液にグルコース、抗血液凝固剤等の添加剤を加えた保存血液;これらの分画物;などの血液試料が含まれる。本開示において血液細胞集団とは、血液を構成する細胞の集団を指す。
本開示の単離方法は、妊娠母体から採取された末梢血から、胎児細胞、望ましくは胎児の有核細胞を単離する。有核細胞には染色体が存在するため、胎児の有核細胞を単離することで、胎児染色体および胎児遺伝子の入手が可能となる。妊娠母体の末梢血に含まれる胎児の有核細胞としては、有核赤血球が挙げられる。
胎児の有核赤血球は、胎盤を通過して母体の血液中に移行する。胎児の有核赤血球は、妊娠後6週程度から母体血中に存在するといわれている。したがって、本開示の単離方法に供する血液は、妊娠後6週程度以降の妊娠母体から採取した末梢血、又は、妊娠後6週程度以降の妊娠母体から採取した末梢血から調製した血液試料であることが好ましい。
母体が妊娠中には、胎児の赤血球は有核であり得る。胎児の有核赤血球は、妊娠母体血中の細胞の約10個に1個の割合で存在しているといわれており、妊娠母体の抹消血中においては、非常に存在確率が低い。妊娠母体の末梢血には、胎児の有核赤血球のほかに、母親の白血球(好酸球、好中球、好塩基球、単球、リンパ球);母親の、核のない成熟した赤血球;母親の有核赤血球;等の血液細胞が含まれる。
上記の様々な細胞を含む血液細胞集団から、胎児細胞、望ましくは胎児の有核赤血球を効率よく単離するために、本開示の単離方法は、抗HBG抗体、抗ALAS2抗体、抗HEMGN抗体、抗C9orf5抗体、抗GYPB抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、抗C4orf3抗体、抗IGF2抗体、抗GYPE抗体、抗CLIC6抗体、及び抗DDX3Y抗体からなる群から選ばれる少なくとも2種の抗体を用いて細胞を選別する。上記12種の抗体が結合するヒトタンパク質の詳細を表1に示す。
ヒトのヘモグロビンサブユニットγ(hemoglobin subunit gamma;HBG)の遺伝子は2つあり、それぞれHBG1(hemoglobin subunit gamma 1)とHBG2(hemoglobin subunit gamma 2)とを発現する。本開示において、HBGは、HBG1とHBG2とを含む用語であり、抗HBG抗体とは、HBG1及びHBG2の少なくとも一方に結合する抗体を意味する。
本開示において、抗体は、免疫グロブリン分子そのもの(intact immunoglobulin)のみならず、その断片であって抗原への結合能を有する断片(例えば、Fab、F(ab')、Fab')をも包含する用語である。
本発明者の解析によって、HBG、ALAS2、HEMGN、C9orf5、GYPB、SLC1A5、EIF1AY、C4orf3、IGF2、GYPE、CLIC6、及びDDX3Yは、ヒト成人骨髄血に比べヒト臍帯血において高発現していることが確認された。これらヒトタンパク質に結合する抗体を少なくとも2種用いることによって、血液細胞集団から胎児細胞を効率的に単離することができる。
12種の抗体(抗HBG抗体、抗ALAS2抗体、抗HEMGN抗体、抗C9orf5抗体、抗GYPB抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、抗C4orf3抗体、抗IGF2抗体、抗GYPE抗体、抗CLIC6抗体、及び抗DDX3Y抗体。以下、同じ。)から少なくとも2種選択する組合せとしては、抗HBG抗体と、それ以外の11種の抗体から選ばれる少なくとも1種の抗体との組合せが挙げられる。抗HBG抗体を用いることにより、血液細胞集団から単離される細胞が、胎児の赤血球である確率が高まる。好ましい組合せとしては、抗HBG抗体と、抗ALAS2抗体、抗C9orf5抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、抗IGF2抗体、抗CLIC6抗体、及び抗DDX3Y抗体から選ばれる少なくとも1種の抗体との組合せが挙げられ、より好ましい組合せとしては、抗HBG抗体と、抗ALAS2抗体、抗C9orf5抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、及び抗CLIC6抗体から選ばれる少なくとも1種の抗体との組合せが挙げられ、更に好ましい組合せとしては、抗HBG抗体と、抗ALAS2抗体、抗C9orf5抗体、抗EIF1AY抗体、及び抗SLC1A5抗体から選ばれる少なくとも1種の抗体との組合せが挙げられる。
12種の抗体はそれぞれ、抗原を免疫された非ヒト動物の血液から精製する方法;抗原を免疫された非ヒト動物のB細胞とミエローマ細胞との融合細胞であるハイブリドーマを作製し、ハイブリドーマからモノクローナル抗体を得る方法;等の方法で製造可能である。12種の抗体は、市販品でもよい。
12種の抗体の一部又は全部はそれぞれ、蛍光色素、蛍光タンパク質、酵素、ビオチン、及び磁気ビーズから選ばれる少なくとも1種で標識された標識化抗体でもよい。
抗体を標識する蛍光色素としては、例えば、FITC(fluorescein isothiocyanate)、テキサスレッド、Cy3、Cy5、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 647等が挙げられる。抗体を標識する蛍光タンパク質としては、例えば、フィコシアニン、アロフィコシアニン、フィコエリスリン、フィコエリスロシアニン等が挙げられる。抗体を標識する酵素としては、例えば、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等が挙げられる。
12種の抗体から少なくとも2種の抗体を選択して組み合せることによって、血液細胞集団から胎児細胞を単離するために用いる抗体セットが提供される。本抗体セットの一つの実施形態例は、少なくとも抗HBG抗体を含み、抗HBG抗体と、それ以外の11種の抗体から選ばれる少なくとも1種の抗体とを含む。本抗体セットの好ましい実施形態例は、抗HBG抗体と、抗ALAS2抗体、抗C9orf5抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、抗IGF2抗体、抗CLIC6抗体、及び抗DDX3Y抗体から選ばれる少なくとも1種の抗体とを含む。本抗体セットのより好ましい実施形態例は、抗HBG抗体と、抗ALAS2抗体、抗C9orf5抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、及び抗CLIC6抗体から選ばれる少なくとも1種の抗体とを含む。本抗体セットの更に好ましい実施形態例は、抗HBG抗体と、抗ALAS2抗体、抗C9orf5抗体、抗EIF1AY抗体、及び抗SLC1A5抗体から選ばれる少なくとも1種の抗体とを含む。
本抗体セットに含まれる少なくとも2種の抗体の一部又は全部はそれぞれ、蛍光色素、蛍光タンパク質、酵素、ビオチン、及び磁気ビーズから選ばれる少なくとも1種で標識された標識化抗体でもよい。
以下、本開示の単離方法を、工程を説明することによって、詳細に説明する。
[胎児細胞マーキング工程、胎児細胞単離工程]
本開示の単離方法は、
抗HBG抗体、抗ALAS2抗体、抗HEMGN抗体、抗C9orf5抗体、抗GYPB抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、抗C4orf3抗体、抗IGF2抗体、抗GYPE抗体、抗CLIC6抗体、及び抗DDX3Y抗体からなる群から選ばれる少なくとも2種の抗体を血液細胞集団に接触させて少なくとも2種の抗体で細胞をマーキングする工程(「胎児細胞マーキング工程」という。)と、
血液細胞集団から、少なくとも2種の抗体でマーキングされた細胞を単離する工程(「胎児細胞単離工程」という。)と、を有する。
HBG、ALAS2、HEMGN、C9orf5、GYPB、SLC1A5、EIF1AY、C4orf3、IGF2、GYPE、CLIC6、及びDDX3Yは、ヒト成人骨髄血に比べヒト臍帯血において高発現していることから、12種の抗体の少なくとも2種の陽性細胞は、胎児細胞である確率が高い。したがって、胎児細胞マーキング工程及び胎児細胞単離工程によって、妊娠母体から採取された末梢血に由来する血液細胞集団から、高確率で胎児細胞が単離される。
胎児細胞マーキング工程は、12種の抗体から選ばれる少なくとも2種の抗体を血液細胞集団に接触させて少なくとも2種の抗体で細胞をマーキングする工程であり、抗体を血液細胞集団に接触させる方法は制限されない。抗体と血液細胞集団との接触は、例えば、血液細胞集団の細胞懸濁液に抗体を添加し、又は、抗体を含有するリン酸緩衝液若しくは生理食塩水に血液細胞集団を添加し、4℃〜室温で30分間〜120分間インキュベートすることによって行われる。12種の抗体から選ばれる少なくとも2種の抗体は、血液細胞集団に、同時に接触させてもよく、順次接触させてもよい。12種の抗体から選ばれる少なくとも2種の抗体の一部又は全部が、蛍光色素、蛍光タンパク質、酵素、ビオチン、磁気ビーズ等で標識されていない場合には、これら抗体に対する標識化二次抗体を、血液細胞集団にさらに接触させてもよい。二次抗体の標識としては、蛍光色素、蛍光タンパク質、酵素、ビオチン、磁気ビーズ等が挙げられる。
胎児細胞マーキング工程において抗体を接触させる血液細胞集団は、抗体が細胞膜を通過して細胞質に至ることを可能にする目的で、細胞膜透過処理を施された血液細胞集団であることが好ましい。細胞膜透過処理は、例えば、TritonX100等の界面活性剤を含有するリン酸緩衝液又は生理食塩水と、血液細胞集団とを混合し、4℃〜室温で1分間〜30分間インキュベートすることによって行われる。血液細胞集団に細胞膜透過処理を施す場合、血液細胞集団は、細胞内からタンパク質が失われることを抑制する目的で、細胞膜透過処理の前に固定化処理を施された血液細胞集団であることが好ましい。細胞の固定化処理は、例えば、グルタルアルデヒドを含有するリン酸緩衝液又は生理食塩水と、血液細胞集団とを混合し、4℃〜室温で1分間〜30分間インキュベートすることによって行われる。
胎児細胞単離工程は、少なくとも2種の抗体でマーキングされた細胞を単離する工程であり、単離する方法は制限されない。
胎児細胞マーキング工程に用いる抗体(12種の抗体から選ばれる少なくとも2種の抗体、又は、これら抗体に対する二次抗体)が、蛍光色素、蛍光タンパク質、酵素、ビオチン、磁気ビーズ等で標識された標識化抗体である場合には、その標識に応じた光学的方法、化学的方法、電気的方法、又は磁気的方法によって胎児細胞単離工程が行われる。胎児細胞単離工程は、効率の観点から、フローサイトメトリーによって行うことが好ましく、したがって、胎児細胞マーキング工程に用いる抗体(12種の抗体から選ばれる少なくとも2種の抗体、又は、これら抗体に対する二次抗体)は、蛍光色素、蛍光タンパク質、又はビオチンで標識された抗体であることが好ましい。
[有核赤血球濃縮工程]
胎児細胞マーキング工程において抗体を接触させる血液細胞集団は、妊娠母体から採取された末梢血から、有核赤血球を多く含む集団に濃縮された細胞集団であることが好ましい。したがって、本開示の単離方法は、さらに、末梢血を密度勾配遠心分離に供して有核赤血球を含む画分を得る工程(「有核赤血球濃縮工程」という。)を有し、この有核赤血球を含む画分が、胎児細胞マーキング工程における血液細胞集団であることが好ましい。
有核赤血球は、密度勾配遠心分離により、血液中に存在する血漿成分やその他の血液細胞と分離され得る。有核赤血球を分離するための密度勾配遠心分離は、公知の方法を適用してよい。例えば、密度の異なる2種類の媒体を遠沈管に重層した不連続密度勾配の上に、生理食塩水で希釈した血液を重層して遠心を行うことにより、有核赤血球を分画し濃縮できる。
国際公開第2012/023298号に、胎児の有核赤血球を含めた母体の血球の密度が記載されている。その記載によると、想定される胎児の有核赤血球の密度は、1.065g/mL〜1.095g/mL程度、母親の血球の密度は、赤血球が1.070g/mL〜1.120g/mL程度、好酸球が1.090g/mL〜1.110g/mL程度、好中球が1.075g/mL〜1.100g/mL程度、好塩基球が1.070g/mL〜1.080g/mL程度、リンパ球が1.060g/mL〜1.080g/mL程度、単球が1.060g/mL〜1.070g/mL程度である。
密度1.065g/mL〜1.095g/mL程度の胎児の有核赤血球を、ほかの血液細胞と分離するために、積層する媒体の密度が設定される。胎児の有核赤血球の中心の密度は1.080g/mL程度であるため、この密度をはさむ2つの異なる密度の媒体を隣接して重層することで、その界面に胎児の有核赤血球を有する画分を集めることが可能となる。好ましくは、下層の媒体の密度を1.08g/mL〜1.10g/mL(より好ましくは1.080g/mL〜1.095g/mL)、上層の媒体の密度を1.06g/mL〜1.08g/mL(より好ましくは1.065g/mL〜1.080g/mL)とする。本開示の単離方法においては、下層の媒体と上層の媒体は同じ種類でも異なる種類でもよく、同じ種類の媒体を用いることが好ましい。
媒体としては、ポリビニルピロリドンでコートされた直径15nm〜30nmのケイ酸コロイド粒子分散液であるPercoll(登録商標)、ショ糖から作られた側鎖に富んだ中性の親水性ポリマーであるFicoll-Paque(登録商標)、ポリスクロースとジアトリゾ酸ナトリウムを含むHistopaque(登録商標)等が挙げられる。本開示の単離方法においては、Percoll及び/又はHistopaqueを使用することが好ましい。Percollは、密度1.130g/mLの製品が市販されており、水で希釈することで密度勾配を調製することが可能である。Histopaqueは、市販されている密度1.077g/mLの媒体及び密度1.119g/mLの媒体と水とを用いて密度勾配を調製することが可能である。
2層の不連続密度勾配は、例えば以下のようにして遠沈管に形成する。まず、凝固点以上かつ14℃以下(好ましくは8℃以下)の温度状態にある下層の媒体を遠沈管の底部に収容する、又は、下層の媒体を遠沈管の底部に収容したのち14℃以下(好ましくは8℃以下)の温度下で保存して冷却する。次に、下層の媒体の上に上層の媒体を重層する。
[白血球マーキング工程、白血球除外工程]
本開示の単離方法は、赤血球の単離効率を向上させる観点から、さらに、
抗CD45抗体を血液細胞集団に接触させて抗CD45抗体で細胞をマーキングする工程(「白血球マーキング工程」という。)と、
血液細胞集団から、抗CD45抗体でマーキングされていない細胞を単離する工程(「白血球除外工程」という。)と、を有することが好ましい。
白血球共通抗原であるCD45は、白血球全般、即ち、好酸球、好中球、好塩基球、単球、及びリンパ球に発現していることから、血液細胞集団に含まれるCD45陰性細胞は、赤血球である確率が高い。したがって、白血球マーキング工程及び白血球除外工程によって、妊娠母体から採取された末梢血に由来する血液細胞集団から、高確率で赤血球が単離される。
白血球マーキング工程は、抗CD45抗体を血液細胞集団に接触させて抗CD45抗体で細胞をマーキングする工程であり、抗CD45抗体を血液細胞集団に接触させる方法は制限されない。抗CD45抗体と血液細胞集団との接触は、例えば、血液細胞集団の細胞懸濁液に抗CD45抗体を添加し、又は、抗CD45抗体を含有するリン酸緩衝液若しくは生理食塩水に血液細胞集団を添加し、4℃〜室温で30分間〜120分間インキュベートすることによって行われる。白血球マーキング工程は、胎児細胞マーキング工程と同時に行ってもよく、胎児細胞マーキング工程の前又は後に行ってもよい。胎児細胞マーキング工程と白血球マーキング工程との同時実施は、例えば、血液細胞集団の細胞懸濁液に、12種の抗体から選ばれる少なくとも2種の抗体及び抗CD45抗体を添加する、又は、12種の抗体から選ばれる少なくとも2種の抗体及び抗CD45抗体を含有するリン酸緩衝液若しくは生理食塩水に、血液細胞集団を添加することによって行われる。
抗CD45抗体は、白血球除外工程を光学的方法、化学的方法、電気的方法、又は磁気的方法によって行う観点から、蛍光色素、蛍光タンパク質、酵素、ビオチン、又は磁気ビーズ等で標識された標識化抗体であることが好ましく、白血球除外工程をフローサイトメトリーによって行う観点から、蛍光色素、蛍光タンパク質、又はビオチンで標識された抗体であることが好ましい。
白血球除外工程は、抗CD45抗体の標識に応じた光学的方法、化学的方法、電気的方法、又は磁気的方法によって行われる。白血球除外工程は、胎児細胞単離工程の前に行ってもよく、胎児細胞単離工程の後に行ってもよい。
[細胞核染色工程、有核細胞単離工程]
本開示の単離方法は、有核細胞の単離効率を向上させる観点から、さらに、
核染色色素を血液細胞集団に接触させて細胞核を染色する工程(「細胞核染色工程」という。)と、
血液細胞集団から、核染色色素によって核が染色された有核細胞を単離する工程(「有核細胞単離工程」という。)と、を有することが好ましい。
細胞核染色工程及び有核細胞単離工程によって、妊娠母体から採取された末梢血に由来する血液細胞集団から、高確率で有核細胞が単離される。
細胞核染色工程は、核染色色素を血液細胞集団に接触させて細胞核を染色する工程であり、核染色色素を血液細胞集団に接触させる方法は制限されない。核染色色素と血液細胞集団との接触は、例えば、血液細胞集団の細胞懸濁液に核染色色素を添加し、又は、核染色色素を含有するリン酸緩衝液若しくは生理食塩水に血液細胞集団を添加し、4℃〜室温で30分間〜120分間インキュベートすることによって行われる。細胞核染色工程は、胎児細胞マーキング工程の前に行ってもよく、胎児細胞マーキング工程の後かつ胎児細胞単離工程の前に行ってもよく、胎児細胞単離工程の後に行ってもよい。本開示の単離方法が白血球マーキング工程及び白血球除外工程を有する場合、細胞核染色工程は、白血球マーキング工程の前に行ってもよく、白血球マーキング工程の後かつ白血球除外工程の前に行ってもよく、白血球除外工程の後に行ってもよい。
核染色色素としては、クロマチン、核タンパク質、DNA等を染色する色素のいずれでもよく、具体的には、DAPI(4',6-diamidino-2-phenylindole)、ヨウ化プロピジウム、7−AAD(7-Amino-Actinomycin D)、ヘキスト33342、DRAQ5、メチレンブルー、ヘマトキシリン、チオニン等が挙げられる。
核染色色素が非蛍光色素の場合、有核細胞単離工程は、例えば、細胞集団を光学顕微鏡で観察し、核が染色された細胞を単離することにより行われる。
核染色色素が蛍光色素の場合、有核細胞単離工程は、例えば、フローサイトメトリーにより行われる。
有核細胞単離工程は、胎児細胞単離工程の前に行ってもよく、胎児細胞単離工程の後に行ってもよい。本開示の単離方法が白血球マーキング工程及び白血球除外工程を有する場合、有核細胞単離工程は、白血球除外工程の前に行ってもよく、白血球除外工程の後に行ってもよい。
本開示の単離方法の一例としては、胎児細胞マーキング工程、白血球マーキング工程、細胞核染色工程、胎児細胞単離工程、白血球除外工程、及び有核細胞単離工程を有し、胎児細胞マーキング工程及び白血球マーキング工程を行い(その順番は制限されない)、次いで細胞核染色工程を行い、次いで3つの単離工程をフローサイトメトリーによって順次行う(その順番は制限されない)実施形態が挙げられる。本実施形態例によれば、胎児の有核赤血球を効率よく単離することができる。
<胎児の出生前遺伝学的検査方法>
本開示の検査方法は、妊娠母体から採取された末梢血から胎児細胞を単離し、単離された胎児細胞から染色体DNAを入手して行う、胎児の出生前遺伝学的検査の方法である。本開示の検査方法は、ヒト個体が生来的に保有する遺伝情報を明らかにする検査であり、例えば、染色体の異数性の有無の検出、遺伝子多型の検出、及び、遺伝子変異の検出の少なくともいずれかを行う検査である。本開示の検査方法は、例えば、13番染色体、18番染色体、及び21番染色体のトリソミー;性染色体の過剰;等の染色体の異数性の有無の検出に適用される。
本開示の検査方法は、公知の遺伝子検査の方法、及び公知の遺伝子解析技術を適用して実施してよい。本開示の検査方法は、染色体DNAの解析を容易にする目的で、胎児細胞から全ゲノム増幅(whole genome amplification;WGA)を行う工程を有することが好ましい。さらに、本開示の検査方法は、例えば、全ゲノム増幅の増幅産物を鋳型にして、染色体上の目的領域をポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction;PCR)により増幅する増幅工程と、増幅した目的領域の塩基配列及び量を決定する配列解析工程と、を有することが好ましい。以下、上記の工程を説明することによって、本開示の検査方法の実施形態例を詳細に説明する。
[全ゲノム増幅]
全ゲノム増幅の方法は、特に制限されず、公知の方法で行ってよい。全ゲノム増幅は、例えば、界面活性剤とタンパク質分解酵素とを用いて細胞を溶解させる工程と、細胞から溶出したゲノムDNAを鋳型にしてDNAポリメラーゼによってDNAを増幅する工程と、を有する。
全ゲノム増幅は、市販の試薬を適用して行ってよい。PCRに基づく試薬としては、例えば、PicoPLEX WGA Kit(New England Biolabs社)、GenomePlex Single Cell Whole Genome Amplification Kit(Sigma-Aldrich社)、国際公開第2012/166425号に開示のMALBAC法(Multiple Annealing and Looping-Based Amplification Cycles)に係る試薬が挙げられる。鎖置換型DNA合成反応に基づく試薬としては、例えば、GenomiPhi DNA Amplification Kit(GEヘルスケア社、GenomiPhiは登録商標)、REPLI-g Single Cell Kit(QIAGEN社、REPLI-gは登録商標)が挙げられる。
全ゲノム増幅は、その終了後にアガロースゲル電気泳動を行って、増幅の有無を確認することが好ましい。全ゲノム増幅の増幅産物は、精製することが好ましい。精製は、例えば、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN社、QIAquickは登録商標)を用いて行う。増幅産物の量は、例えば、NanoDrop(登録商標、Thermo Fisher Scientific社)、BioAnalyzer(Agilent社)、Quantus Fluorometer(Promega社)を用いて濃度を測定することで確認し得る。
[PCRによる目的領域の増幅工程]
本増幅工程は、全ゲノム増幅で得た増幅産物を鋳型にして、目的領域をPCRにより増幅する工程である。目的領域(増幅される領域)は、遺伝学的検査の目的に応じて選択される、染色体上の領域である。PCRに使用するプライマー対の塩基配列は、目的領域の塩基配列とシークエンサーの解析原理とに従って設計される。増幅工程は、染色体上の複数の領域を解析する目的で、複数のプライマー対を用いて複数の目的領域の多重増幅を行う多重PCR(マルチプレックスPCR)としてもよい。増幅工程は、シークエンサーの解析原理に従って、PCRを1回行ってもよく2回以上行ってもよい。
PCR試薬としては、例えば、Multiplex PCR Assay Kit(タカラバイオ社)、Multiplex PCR Assay Kit ver2(タカラバイオ社)、KAPA Library Amplification Kit(日本ジェネティクス社)、Platinum Multiplex PCR Master Mix Kit(ライフテクノロジーズ社、Platinumは登録商標)が挙げられる。マルチプレックスPCRを行う場合には、プライマー対ごとにアニーリングの至適温度が異なることがあるため、反応条件の検討をすることが好ましい。PCRのサイクル数は、リアルタイムPCRによる検討を予め行って、その結果に基づき設定してよい。PCRは、その途中で、反応温度及び/又は反応時間を変更してもよい。
増幅工程で得た増幅産物は、精製することが好ましく、精製は、例えば、QIAquick PCR Purification Kit(QIAGEN社)、AMPure XP Kit(BECKMAN COULTER社)を用いて行う。増幅産物の量は、例えば、NanoDrop(Thermo Fisher Scientific社)、BioAnalyzer(Agilent社)、Quantus Fluorometer(Promega社)、KAPA Library Quantification Kits(日本ジェネティクス社)を用いて濃度を測定することで確認し得る。
[配列解析工程]
配列解析工程は、増幅された目的領域の塩基配列と量とを決定する工程である。配列解析工程は、各種のシークエンサーによって行われる。PCRによる増幅工程で得た増幅産物の全部又は一部が、配列解析工程でシークエンサーにかけられる物質であり、PCRによる増幅工程で得た増幅産物が、いわばシークエンス用ライブラリである。
配列解析工程は、解析の精度及び速さ、1度に処理可能な試料数の多さ等の点で、次世代シークエンサーによって行われることが好ましい。次世代シークエンサー(Next Generation Sequencer;NGS)とは、サンガー法を利用したキャピラリーシークエンサー(第一世代シークエンサーと呼ばれる)に対比して分類されるシークエンサーを意味する。次世代シークエンサーは、第二世代、第三世代、第四世代、及び今後開発されるシークエンサーを含む。現時点で最も普及している次世代シークエンサーは、DNAポリメラーゼによる相補鎖合成又はDNAリガーゼによる相補鎖結合に連動した蛍光又は発光をとらえ塩基配列を決定する原理のシークエンサーである。具体的には、MiSeq(Illumina社)、HiSeq2000(Illumina社、HiSeqは登録商標)、Roche454(Roche社)等が挙げられる。
シークエンサーで得られた配列データをアライメントする手段としては、Burrows-Wheeler Aligner(BWA)が挙げられ、BWAによって既知のヒトゲノム配列へ配列データをマッピングすることが好ましい。遺伝子を解析する手段としては、SAMtools及びBEDtoolsが挙げられ、これらの解析手段により遺伝子多型、遺伝子変異、及び/又は染色体数を解析することが好ましい。
配列解析工程で解析した、増幅された目的領域の塩基配列と量とから、染色体の異数性の有無、遺伝子多型、及び/又は遺伝子変異が検出される。染色体の異数性の検出方法の一例を、以下に説明する。
胎児の有核赤血球から得た染色体について、増幅産物の量をシークエンサーで解析する。基準(あるいは参照)として、母親の細胞から得た染色体について、増幅産物の量をシークエンサーで解析する。胎児が染色体の異数性を有しなければ、母親由来の増幅産物の量と胎児由来の増幅産物の量とは、ほぼ1:1の量比になると予想される。増幅領域が位置する染色体が胎児においてトリソミーである場合には、母親由来の増幅産物の量と胎児由来の増幅産物の量とは、ほぼ1.0:1.5(あるいは2:3)の量比になると予想される。
以下に、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例により限定されるものではない。
下記において、物質濃度に関し「M」はモル濃度を表し、1M=1mol/Lである。また、物質濃度に関し、特に断りのない限り「%」は「v/v%」である。
下記において、「EDTA」とは、エチレンジアミン四酢酸(ethylenediaminetetraacetic acid)を意味し、「BSA」とは、ウシ血清アルブミン(bovine serum albumin)を意味し、「PBS」とは、リン酸緩衝液(phosphate buffered saline)を意味、「PE」とは、フィコエリスリンを意味する。PBSは、特に断りのない限り、pH7.4である。
<実施例1>
胎児細胞において発現頻度が高い遺伝子を探索する目的で、トランスクリプトーム解析を行った。
[血液試料]
VERITAS社から、ヒト臍帯血(商品番号C−CB101)を購入した。
抗凝固剤としてEDTAのナトリウム塩10.5mg入りの7mL採血管に、妊婦ボランティア2名からそれぞれ末梢血7.0mLを採取した。妊婦ボランティアからの採血は、インフォームドコンセントを得た上で行った。
血液はそれぞれ、生理食塩水を用いて2倍に希釈し、以下の工程に供した。
[全RNA抽出]
各血液からTotal RNAをNucleoSpin RNA Blood kit(MACHEREY-NAGEL社)を用いて回収した。Total RNAの回収量は、臍帯血(1.2mL)から2340ng、母体末梢血A(7.0mL)から5985ng、母体末梢血B(7.0mL)から5355ngであった。RNAの分解度を示すRIN値(RNA Integrity Number)は、それぞれ9.5(臍帯血)、7.9(母体末梢血A)、7.7(母体末梢血B)であり、顕著な分解がないことを確認した。
[RNAシークエンス解析]
シークエンス用ライブラリは、各血液から抽出したTotal RNA のうち1μgを出発材料とし、TruSeq RNA Sample Preparation Kit v2(Illumina社)を用いて調製した。調製したライブラリにおけるポリヌクレオチドの長さは382bp〜385bp(アダプター配列を含む)であった。シークエンス解析は次世代シークエンサーHiSeq2500(Illumina社)を用いて行い、リード長101bp、Paired-end、Multiplexにて配列情報を取得した。
[バイオインフォマティクス解析]
次世代シークエンサーにて得られた配列情報を、下記のフローに従い解析した。
フロー:(1)リードデータのクオリティチェック、(2)リードデータのクリーニング、(3)poly-A/T tailの除去、(4)リファレンス配列にマッピング、(5)ジャンクション構造予測、(6)アセンブリング及び発現レベル比較
各フローの詳細は、下記のとおりである。
(1)リードデータのクオリティチェック、(2)リードデータのクリーニング
cutadaptプログラムによって、以下の手順で行った。
・3’端の混入してしまったアダプター配列を除去。
・3’端のクオリティ値が5未満の塩基の除去。
・クオリティの低いリードの除去。
・クオリティ値が5未満の塩基が全塩基の10%より多いリードの除去。
・Nが全塩基の10%より多いリードの除去。
・1種類の塩基が、「リードの全塩基数−3」個以上を占めているリードの除去。
・3’端に頻出する6bpのアダプター配列の除去。
・塩基長が20bp未満になったリードの除去。
・Paired-endのリードのみを抽出。
(3)poly-A/T tailの除去
PRINSEQプログラムによって、以下の手順で行った。
・3’端又は5’端に10塩基以上連続するA又はTを除去。
・塩基長が20bp未満になったリードの除去。
・Paired-endのリードのみを抽出。
(4)リファレンス配列へのマッピング、(5)ジャンクション構造予測
TopHatプログラムを、コマンド「tophat -o $SAMPLE -G ref_genes.gtf -p 2 --solexa1.3-quals bowtie-indexed-genome fastq1 fastq2」にて実行した。
(6)アセンブリング及び発現レベル比較
Cufflinksプログラムを以下の手順で実行した。
・cufflinks:サンプルごとに転写物をアセンブリングする。ミトコンドリア由来転写物及びリボソーマルRNAを除去する。コマンド「cufflinks -o $SAMPLE -M mask.gtf -g ref_genes.gtf -b genome.fasta -u -p 2 $SAMPLE.bam」
・cuffmerge:全サンプルの転写物をマージして、コンセンサスな転写物を作成する。コマンド「cuffmerge -o merge_all -g ref_genes.gtf -s genome.fasta -p 8 gtflist」
・cuffcompare:サンプルごとの転写物とコンセンサス転写物とを比較する。コマンド「cuffcompare -o $SAMPLE -r merged.gtf $SAMPLE.transcripts.gtf」
・cuffquant:サンプルごとにコンセンサス転写物の発現レベルを算出する。コマンド「cuffquant -o $SAMPLE -b genome.fasta -u merged.gtf $SAMPLE.bam」
・cuffdiff:サンプル間で発現レベル及び構造を比較する。コマンド「cuffdiff merged.gtf $SAMPLE1.bam $SAMPLE2.bam -M mask.gtf -b genome.fasta -u -p 2 -o $GROUP1_$GROUP2 -L $GROUP1,$GROUP2」
・cummeRbund:cuffdiffの統計結果をグラフ化する。
[発現レベルの比較]
以上の解析の結果、臍帯血においては515,217種、母体末梢血Aにおいては583,632種、母体末梢血Bにおいては579,043種の転写物がアセンブルされ、コンセンサス転写物は631,932種であった。発現レベルをサンプル間で比較する指標として、FPKM(fragments per kilobase of exon per million fragments mapped)を用いた。コンセンサス転写物のうち、臍帯血と母体末梢血Aの間で15,157種の発現レベルを比較し、臍帯血と母体末梢血Bの間で14,436種の発現レベルを比較し、母体末梢血Aと母体末梢血Bの間で20,508種の発現レベルを比較した。臍帯血において特異的に発現している遺伝子の抽出を以下の手順で実施した。
まず、下記の要件(a)と要件(b)を設定し、要件(a)を満たす転写物と要件(b)を満たす転写物を、臍帯血と母体末梢血Aの間と、臍帯血と母体末梢血Bの間とからそれぞれ抽出した。
・要件(a):FPKM値が、臍帯血で5以上且つ母体末梢血で0.1以下(臍帯血のみで発現が認められる)。
・要件(b):FPKM値が、臍帯血で200以上且つ母体末梢血で50以下(母体末梢血でも発現が認められるが、臍帯血で高発現している)。
次に、抽出された遺伝子のうち、2グループに共通な転写物を抽出した。その結果、要件(a)を満たす遺伝子が68種、要件(b)を満たす遺伝子が123種、合計191種抽出された。191種の遺伝子のなかから、臍帯血のFPKM値が特に高く、且つ、遺伝子がコードするタンパク質に対する抗体が市販されている16種を選択した。この16種について、遺伝子がコードするタンパク質名とFPKM値とを表2に示す。
<実施例2>
実施例1において選択した16種のタンパク質に対する抗体を用いて、ヒト臍帯血とヒト成人骨髄血とから胎児細胞の単離を試みた。16種のタンパク質に対する抗体として、表3に示す抗体を用意した。
[血液試料]
VERITAS社から、ヒト臍帯血(商品番号C−CB101)とヒト成人骨髄血(商品番号ABM001)を購入した。血液はそれぞれ、生理食塩水を用いて2倍に希釈し、以下の工程に供した。
[密度勾配遠心分離による有核赤血球の濃縮]
Percoll液(登録商標、シグマアルドリッチ社製)と水を使用して、密度1.070g/mLの液と、密度1.095g/mLの液を調製した。遠沈管に密度1.095g/mLの液2mLを入れ、4℃下に30分間置き冷却した。次いで、密度1.095g/mLの液の上に、密度1.070g/mLの液2mLを、界面が乱れないようにゆっくり重層した。次いで、密度1.070g/mLの液の上に、希釈した血液11mLをゆっくり重層し、遠心分離を2000rpmで20分間行った。次いで、密度1.070g/mLの液と密度1.095g/mLの液の間に沈積した画分を、ピペットを用いて採取した。採取した画分を、洗浄液(2mM EDTA,0.1%BSA−PBS)にて2回洗浄し、有核赤血球を含む画分を得た。
[免疫染色]
上記で得た画分の細胞数をセルカウンター(Bio-Rad Laboratories社、TC20全自動セルカウンター)で計測し、細胞濃度が1×10個/mLになるように0.1%BSA−PBSで希釈した。この細胞懸濁液1mLに、白血球を染色する目的でBV421標識抗CD45抗体(ホスト動物:マウス、BD biosciences社)を10μL添加し、4℃で30分間インキュベートした。次いで、0.1%BSA−PBSで1回洗浄し、0.025%グルタルアルデヒド−PBSを1mL添加し、25℃で10分間転倒混和することで細胞を固定化した。次いで、固定化処理後の細胞を0.1%BSA−PBSで1回洗浄し、1mLの0.1%BSA−PBSで懸濁し、0.1%TritonX100−PBSを100μL添加し、25℃で5分間静置することで細胞膜透過処理を行った。次いで、細胞膜透過処理後の細胞を0.1%BSA−PBSで1回洗浄し、1mLの0.1%BSA−PBSで懸濁し、1.5mLチューブに100μLずつ分注した。各チューブに、表3に示す各抗体(一次抗体。抗HBG抗体としては、FITCで標識された抗体を用いた。)を添付文書に記載される推奨量または希釈率となるように添加し、25℃で60分間インキュベートした。一次抗体処理後の細胞を0.1%BSA−PBSで1回洗浄し、100μLの0.1%BSA−PBSで懸濁した。一次抗体が直接蛍光標識されている場合(HBG、C4orf3、GYPE、CD71)は、後述する核染色の工程に進んだ。一次抗体が標識されていない場合は、蛍光標識された二次抗体を用いて標識反応を行った。一次抗体のホスト動物種に対応した二次抗体としてPE標識抗ラビットIgG(Thermo Fisher Scientific)を用いた。抗体濃度が10μg/mLになるように希釈した二次抗体溶液を各チューブに200μL添加し、25℃で30分間インキュベートすることで標識反応を行った。
[核染色]
抗体処理後の細胞を0.1%BSA−PBSで1回洗浄し、核染色剤としてDRAQ5(Cell Signaling Technology社)を5μM含む0.1%BSA−PBS 1mLに置換して5分間静置し、細胞核を染色した。核染色後の細胞懸濁液を次工程に供した。
[有核赤血球の単離]
フローサイトメータ(SONY(株)社製SH800ZP)を用いて、前方散乱光と側方散乱光にて、細胞懸濁液から細胞をゲーティングした。次いで、ゲーティングした細胞画分からCD45陰性細胞をゲーティングすることで白血球を除き、赤血球を主成分とするCD45陰性画分を得た。次いで、CD45陰性画分からDRAQ5陽性細胞をゲーティングすることで、有核赤血球画分を得た。
[抗体陽性細胞の単離]
フローサイトメータ(SONY(株)社製SH800ZP)を用いて、有核赤血球画分から抗体陽性細胞をゲーティングし、有核赤血球画分の全細胞に占める抗体陽性細胞の割合(%、個数基準)を求めた。その結果を、表4及び図1に示す。図1の横軸は、臍帯血を試料にした場合の、有核赤血球画分の全細胞に占める抗体陽性細胞の割合であり、図1の縦軸は、成人骨髄血を試料にした場合の、有核赤血球画分の全細胞に占める抗体陽性細胞の割合である。
臍帯血に含まれる赤血球のほとんどが、胎児の有核赤血球であり、成人骨髄血に含まれる赤血球のほとんどが、成熟した無核の赤血球であるところ、
抗HBG抗体、抗ALAS2抗体、抗HEMGN抗体、抗C9orf5抗体、抗GYPB抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、抗C4orf3抗体、抗IGF2抗体、抗GYPE抗体、抗CLIC6抗体、及び抗DDX3Y抗体は、成人骨髄血に比べ臍帯血において、抗体陽性細胞の割合が多かった。
一方、抗CD71抗体、抗SNCA抗体、抗AHSP抗体、及び抗HMBS抗体は、臍帯血と成人骨髄血とで抗体陽性細胞の割合に差はなかった。
<実施例3>
表3に示す抗体を2種組み合わせて、ヒト臍帯血とヒト成人骨髄血とから胎児細胞の単離を試みた。
実施例2と同様にして、ヒト臍帯血とヒト成人骨髄血とから、密度勾配遠心分離によって有核赤血球を含む画分を得た。次いで、有核赤血球を含む画分を、実施例2と同様にして、BV421標識抗CD45抗体で処理した。次いで、一次抗体による処理を実施例2と同様にして、但し、表5に示す組合せの2種の抗体を用いて行った。この際、抗HBG抗体としては、抗C4orf3抗体又は抗GYPE抗体と組み合せる場合には、RPEで標識された抗体を用い、上記以外の抗体と組み合せる場合には、FITCで標識された抗体を用いた。次いで、標識されていない一次抗体に対して、実施例2と同様にして、二次抗体としてPE標識抗ラビットIgG(Thermo Fisher Scientific)を反応させた。次いで、実施例2と同様にして、DRAQ5で細胞核の染色を行い、核染色後の細胞懸濁液を次工程に供した。
実施例2と同様にして、フローサイトメータ(SONY(株)社製SH800ZP)を用いて、細胞懸濁液から細胞をゲーティングした。次いで、ゲーティングした細胞画分からCD45陰性細胞をゲーティングすることで白血球を除き、赤血球を主成分とするCD45陰性画分を得た。次いで、CD45陰性画分からDRAQ5陽性細胞をゲーティングすることで、有核赤血球画分を得た。次いで、有核赤血球画分から抗体陽性細胞をゲーティングした。有核赤血球画分の全細胞に占める抗体(1)陽性かつ抗体(2)陽性の細胞の割合(%、個数基準)を計測した。その結果を、表5に示す。
抗HBG抗体と、抗ALAS2抗体、抗HEMGN抗体、抗C9orf5抗体、抗GYPB抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、抗C4orf3抗体、抗IGF2抗体、抗GYPE抗体、抗CLIC6抗体、及び抗DDX3Y抗体のいずれか1つとで免疫染色した場合、成人骨髄血よりも臍帯血において、抗体(1)陽性かつ抗体(2)陽性である細胞の割合が多く、臍帯血/成人骨髄血が2.8〜39.2であった。
一方、抗CD71抗体と、抗SNCA抗体、抗AHSP抗体、及び抗HMBS抗体のいずれか1つとで免疫染色した場合、臍帯血と成人骨髄血とで、抗体(1)陽性かつ抗体(2)陽性である細胞の割合に差はなかった。
実施例1〜3の結果は、抗HBG抗体、抗ALAS2抗体、抗HEMGN抗体、抗C9orf5抗体、抗GYPB抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、抗C4orf3抗体、抗IGF2抗体、抗GYPE抗体、抗CLIC6抗体、及び抗DDX3Y抗体からなる群から選ばれる少なくとも2種の抗体を用いて細胞を免疫染色することによって、妊娠母体の末梢血から胎児細胞を単離することが可能であることを示している。

Claims (10)

  1. 妊娠母体から採取された末梢血から胎児細胞を単離する方法であって、
    抗HBG抗体、抗ALAS2抗体、抗HEMGN抗体、抗C9orf5抗体、抗GYPB抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、抗C4orf3抗体、抗IGF2抗体、抗GYPE抗体、抗CLIC6抗体、及び抗DDX3Y抗体からなる群から選ばれる少なくとも2種の抗体を血液細胞集団に接触させて前記少なくとも2種の抗体で細胞をマーキングする工程と、
    前記血液細胞集団から、前記少なくとも2種の抗体でマーキングされた細胞を単離する工程と、
    を有する、胎児細胞の単離方法。
  2. 前記少なくとも2種の抗体が、抗HBG抗体を含む、請求項1に記載の胎児細胞の単離方法。
  3. さらに、前記末梢血を密度勾配遠心分離に供して有核赤血球を含む画分を得る工程を有し、
    前記有核赤血球を含む画分が前記血液細胞集団である、
    請求項1又は請求項2に記載の胎児細胞の単離方法。
  4. さらに、
    抗CD45抗体を前記血液細胞集団に接触させて前記抗CD45抗体で細胞をマーキングする工程と、
    前記血液細胞集団から、前記抗CD45抗体でマーキングされていない細胞を単離する工程と、
    を有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の胎児細胞の単離方法。
  5. さらに、
    核染色色素を前記血液細胞集団に接触させて細胞核を染色する工程と、
    前記血液細胞集団から、前記核染色色素によって核が染色された有核細胞を単離する工程と、
    を有する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の胎児細胞の単離方法。
  6. 前記血液細胞集団から細胞を単離することがフローサイトメトリーによって行われる、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の胎児細胞の単離方法。
  7. 抗HBG抗体、抗ALAS2抗体、抗HEMGN抗体、抗C9orf5抗体、抗GYPB抗体、抗SLC1A5抗体、抗EIF1AY抗体、抗C4orf3抗体、抗IGF2抗体、抗GYPE抗体、抗CLIC6抗体、及び抗DDX3Y抗体からなる群から選ばれる少なくとも2種の抗体を含む、胎児細胞の単離に用いるための抗体セット。
  8. 前記少なくとも2種の抗体が、抗HBG抗体を含む、請求項7に記載の抗体セット。
  9. 前記少なくとも2種の抗体の一部又は全部がそれぞれ、蛍光色素、蛍光タンパク質、酵素、ビオチン、及び磁気ビーズから選ばれる少なくとも1種で標識された抗体である、請求項7又は請求項8に記載の抗体セット。
  10. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の胎児細胞の単離方法により、妊娠母体から採取された末梢血から胎児細胞を単離し、単離された前記胎児細胞から染色体DNAを入手して行う、胎児の出生前遺伝学的検査方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021009682A1 (en) * 2019-07-15 2021-01-21 Menarini Biomarkers Singapore Pte Ltd Compositions and methods for isolating, detecting, and analyzing fetal cells

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