以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第一の実施形態]
<全体構成>
まず、本実施形態に係るセンサネットワークシステム1の全体構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、第一の実施形態に係るセンサネットワークシステムの全体構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係るセンサネットワークシステム1には、コンセントレータ10と、複数のセンサネットワーク端末20とが含まれる。コンセントレータ10及びセンサネットワーク端末20並びにセンサネットワーク端末20同士は、無線通信より通信可能に接続されている。
各センサネットワーク端末20は、コンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20からの通信要求に応じて、要求元のコンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20に対して所定のデータを送信する。なお、送信されるデータの種類等は、予めセンサネットワーク端末20に設定したり、通信要求にて指定したりすることができる。送信されるデータの種類としては、例えば、センサネットワーク端末20が有するセンサによるセンシング結果を示すデータやセンサネットワーク端末20の状態を示すデータ等が挙げられる。
また、コンセントレータ10は、或るセンサネットワーク端末20を介して、別のセンサネットワーク端末20に通信要求を送信することができる。同様に、各センサネットワーク端末20は、他のセンサネットワーク端末20を介して、コンセントレータ10にデータを送信することができる。このように、各センサネットワーク端末20は、コンセントレータ10からの通信要求を他のセンサネットワーク端末20へ中継することができる。
このため、図1に示すセンサネットワークシステム10では、コンセントレータ10は、各センサネットワーク端末20に対して、直接的又は間接的に、通信要求を送信することで、これら各センサネットワーク端末20からデータを収集することができる。
ここで、センサネットワーク端末20は、例えば、製品を製造する産業用のプラント等のプラント機器に設置され、プラント機器によって製造、検査又は貯蔵される製品等の物理量や状態等をセンシングする。そして、センサネットワーク端末20は、センシング結果を示すデータを生成及び記憶する。また、センサネットワーク端末20は、コンセントレータ10等からの通信要求を受信すると、無線通信によりデータを送信する。なお、データの送信は、例えば、タイマ等によって定期的に行われても良い。
また、送信されるデータは、暗号化等が行われた状態で送信されるのが望ましい。すなわち、センサネットワーク端末20は、暗号化されたデータを送受信する、いわゆるセキュアな通信を行うのが望ましい。
なお、図1に示すセンサネットワークシステム1の構成は一例であって、他の構成であっても良い。例えば、センサネットワークシステム1には、更に、情報処理装置や中継機器等が含まれていても良い。
また、例えば、センサネットワークシステム1には、更に、コンセントレータ10に接続されるサーバ装置等が含まれていても良い。この場合、コンセントレータ10は、例えば、サーバ装置からの要求に応じて、各センサネットワーク端末20に通信要求を送信しても良い。すなわち、コンセントレータ10は、サーバ装置からの要求に応じて、各センサネットワーク端末20からデータを収集しても良い。なお、コンセントレータ10(又はコンセントレータ10とサーバ装置とを組み合わせた装置又はシステム)は収集装置又は収集システムとも称される。
<ハードウェア構成>
≪コンセントレータ10≫
次に、本実施形態に係るコンセントレータ10のハードウェア構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、第一の実施形態に係るコンセントレータ10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係るコンセントレータ10は、外部I/F101と、通信I/F102と、ROM(Read Only Memory)103と、RAM(Random Access Memory)104と、CPU(Central Processing Unit)105と、補助記憶装置106とを有する。これら各ハードウェアは、バスB1により相互に通信可能に接続されている。
外部I/F101は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体101a等がある。コンセントレータ10は、外部I/F101を介して、記録媒体101aの読み取りや書き込みを行うことができる。
記録媒体101aには、例えば、SDメモリカード(SD memory card)やUSB(Universal Serial Bus)メモリ、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)等がある。
通信I/F102は、センサネットワーク端末20や他の装置等と無線通信を行うためのインタフェースである。
ROM103は、電源を切ってもデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。RAM104は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。CPU105は、例えば、補助記憶装置106やROM103等からプログラムやデータをRAM104上に読み出して、各種処理を実行する演算装置である。なお、CPU105は、例えば、MPU(Micro Processing Unit)等の演算装置であっても良い。
補助記憶装置106は、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等であり、プログラムやデータを格納している不揮発性のメモリである。補助記憶装置106に格納されるプログラムやデータには、例えば、基本ソフトウェアであるOS(Operating System)、OS上で動作する各種プログラム等がある。
本実施形態に係るコンセントレータ10は、図2に示すハードウェア構成を有することにより、各種処理を実現することができる。なお、本実施形態に係るコンセントレータ10は、例えば各種ボタンやタッチパネル、キーボード、マウス等の入力装置107と、例えばディスプレイ等の表示装置108との少なくとも一方を有していても良い。
≪センサネットワーク端末20≫
次に、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20のハードウェア構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、第一の実施形態に係るセンサネットワーク端末20のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3に示すように、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20は、外部I/F201と、通信I/F202と、ROM203と、RAM204と、CPU205と、補助記憶装置206と、センサ207とを有する。これら各ハードウェアは、バスB2により相互に通信可能に接続されている。また、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20は、電池210を有する。
外部I/F201は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、記録媒体201a等がある。センサネットワーク端末20は、外部I/F201を介して、記録媒体201aの読み取りや書き込みを行うことができる。
記録媒体201aには、例えば、SDメモリカードやUSBメモリ、CD、DVD等がある。
通信I/F202は、コンセントレータ10や他のセンサネットワーク端末20等と無線通信を行うためのインタフェースである。
ROM203は、電源を切ってもデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリである。RAM204は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリである。CPU205は、例えば、補助記憶装置206やROM203等からプログラムやデータをRAM204上に読み出して、各種処理を実行する演算装置である。なお、CPU205は、例えば、MPU等の演算装置であっても良い。
補助記憶装置206は、プログラムやデータを格納している不揮発性のメモリである。補助記憶装置206に格納されるプログラムやデータには、例えば、基本ソフトウェアであるOS、OS上で動作する各種プログラム等がある。
センサ207は、センシング対象(例えば、プラント機器によって製造、検査又は貯蔵される製品等)をセンシングする各種センサである。センサ207としては、例えば、温度センサや圧力センサ、流量計等の様々なものが挙げられる。
電池210は、センサネットワーク端末20が有する各ハードウェアに対して電力を供給する電源である。なお、センサネットワーク端末20の製品寿命は、例えば、電池210の容量に基づいて決定される。具体的には、例えば、センサネットワーク端末20の製品寿命は、センサネットワーク端末20の年間消費電力と、電池210の容量とに基づいて決定される。
本実施形態に係るセンサネットワーク端末20は、図3に示すハードウェア構成を有することにより、各種処理を実現することができる。なお、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20は、例えば各種ボタンやタッチパネル、キーボード、マウス等の入力装置208と、例えばディスプレイ等の表示装置209との少なくとも一方を有していても良い。
<機能構成>
次に、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20の機能構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、第一の実施形態に係るセンサネットワーク端末20の機能構成の一例を示す図である。
図4に示すように、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20は、通信部301と、要求内容確認部302と、通信判定部303と、通信回数カウント部304と、センシング判定部305と、センシング部306と、センシング回数カウント部307とを有する。これら各部は、センサネットワーク端末20にインストールされた1以上のプログラムが、CPU205に実行させる処理により実現される。
また、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20は、記憶部310を有する。記憶部310は、例えば補助記憶装置206を用いて実現可能である。
記憶部310は、通信回数カウンタ値と、通信回数閾値と、センシング回数カウンタ値と、センシング回数閾値とを記憶する。
通信回数カウンタ値とは、単位時間の間に、コンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20との間で通信を行った回数である。通信回数閾値とは、単位時間あたりの通信可能な回数の閾値である。また、センシング回数カウンタ値とは、単位時間の間に、センシングを行った回数である。センシング回数閾値とは、単位時間あたりにセンシング可能な回数の閾値である。なお、以降では、単位時間とは、例えば1時間である。ただし、単位時間は、1時間に限られず、任意の時間(例えば、「数秒」、「数分」、「数時間」、「1日」、「1週間」、「1か月」、「1年」等)を単位時間とすることができる。
通信部301は、コンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20からの通信要求を受信する。また、通信部301は、通信判定部303による判定結果に応じて、要求元のコンセントレータ10又はセンサネットワーク端末20に対して所定のデータを送信する。
要求内容確認部302は、通信部301が受信した通信要求の内容を確認する。より具体的には、要求内容確認部302は、通信部301が受信した通信要求に基づいて、当該通信要求に対する応答(例えば、通信状態やセンサネットワーク端末20の状態等を示すデータの応答)等の通信が必要であるか否かを確認する。また、要求内容確認部302は、通信部301が受信した通信要求に基づいて、センシングが必要であるか否かを確認する。
通信判定部303は、通信要求の要求元のコンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20と通信が必要であるか否かを判定する。より具体的には、通信判定部303は、当該通信要求が自端末宛であるか否かを判定する。また、通信判定部303は、当該通信要求が自端末宛である場合に、要求内容確認部302の確認結果(当該通信要求に対する応答が必要であるか否かを示す確認結果)から、要求元との通信が必要であるか否かを判定する。
通信回数カウント部304は、通信部301が通信を行った場合(すなわち、通信判定部303により通信要求の要求元との通信が必要であると判定された場合)、記憶部310に記憶されている通信回数カウンタ値に1を加算する。
センシング判定部305は、要求内容確認部302による確認結果から、センシングが必要であるか否かを判定する。
センシング部306は、センシング判定部305によりセンシングが必要であると判定された場合、センシング対象(例えば、プラント機器によって製造、検査又は貯蔵される製品等)をセンシングする。
センシング回数カウント部307は、センシング部306がセンシングを行った場合(すなわち、センシング判定部305によりセンシングが必要であると判定された場合)、記憶部310に記憶されているセンシング回数カウンタ値に1を加算する。
<センサネットワーク端末20が実行する処理>
次に、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20が実行する全体処理について、図5を参照しながら説明する。図5は、第一の実施形態に係るセンサネットワーク端末20が実行する全体処理の一例を示すフローチャートである。各センサネットワーク端末20は、図5に示す処理をそれぞれ実行する。
まず、通信部301は、コンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20からの通信要求を受信する(ステップS501)。
次に、通信判定部303は、通信部301が受信した通信要求が自端末宛であるか否かを判定する(ステップS502)。
ここで、コンセントレータ10は、1以上の特定のセンサネットワーク端末20のみからデータを収集する場合もあれば、全てのセンサネットワーク端末20からデータを収集する場合もある。このため、各センサネットワーク端末20は、コンセントレータ10(又はコンセントレータ10からの通信要求を中継する他のネットワーク端末20)から通信要求を受信した場合、当該通信要求が自端末宛であるか否かを判定する。
ステップS502において、通信要求が自端末宛でないと判定された場合、センサネットワーク端末20は、処理を終了する。したがって、この場合、センサネットワーク端末20は、要求元のコンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20と通信を行わない。このように、自端末宛でない通信要求を受信した場合、センサネットワーク端末20は、要求元との間で通信を行わないことで、通信回数を制限することができる。しかも、通信回数を制限することで、通信に伴う消費電力も少なくすることができる。
一方で、ステップS502において、通信要求が自端末宛であると判定された場合、要求内容確認部302は、通信部301が受信した通信要求の内容を確認する(ステップS503)。
通信要求には、例えば、センサネットワーク端末20に行わせる処理の内容(例えば、センシング等)やセンサネットワーク端末20から収集するデータの種類(例えば、センシング結果を示すデータや通信状態を示すデータ等)等が指定される。したがって、要求内容確認部302は、これらの処理内容やデータ種類等を確認する。
次に、通信判定部303は、要求内容確認部302の確認結果から、通信部301が受信した通信要求の要求元のコンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20との通信が必要であるか否かを判定する(ステップS504。)
ここで、要求内容確認部302の確認結果によっては、要求元のコンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20と通信を行わなくても良い処理を実行する場合がある。このような場合には、通信判定部303は、通信が必要でないと判定する。
一方で、例えば、データの種類として、センシング結果を示すデータや通信状態を示すデータ等が指定されている場合、これらのデータを要求元に送信するための処理を実行する必要がある。このため、このような場合には、通信判定部303は、通信が必要であると判定する。
ステップS504において、通信が必要でないと判定された場合、センサネットワーク端末20は、処理を終了する。したがって、この場合、センサネットワーク端末20は、要求元のコンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20と通信を行わない。
一方で、ステップS504において、通信が必要であると判定された場合、通信判定部303は、通信回数カウンタ値及び通信回数閾値を記憶部310から読み出す(ステップS505)。
通信回数カウンタ値は、上述したように、単位時間の間に、コンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20との間で通信を行った回数である。通信回数カウンタ値は、例えば、単位時間が経過する毎に、その値がリセットされる。なお、通信回数カウンタ値は、センサネットワーク端末20の電源投入の際にリセットされても良い。
通信回数閾値とは、上述したように、単位時間あたりの通信可能な回数の閾値である。通信回数閾値は、例えば、センサネットワークシステム1の管理者ユーザ等により設定される。
なお、通信回数閾値は、センサネットワーク端末20毎に異なる値が設定されていても良い。例えば、或るセンサネットワーク端末20が他のセンサネットワーク端末20へ通信要求を中継する場合、当該或るセンサネットワーク端末20は、自端末宛の通信要求の他に、当該他のセンサネットワーク端末20宛の通信要求も受信する。このため、他のセンサネットワーク端末20への通信要求を中継するセンサネットワーク端末20では、通信回数が多くなることがある。そこで、他のセンサネットワーク端末20への通信要求を中継するセンサネットワーク端末20(すなわち、他のセンサネットワーク端末20の通信経路となるセンサネットワーク端末20)では、通信回数閾値に高い値が設定される等、センサネットワークシステム1の構成によって閾値が設定されても良い。
ただし、センサネットワーク端末20は、他のセンサネットワーク端末20への通信要求を中継する場合には、自端末宛の通信とは別に通信回数カウンタ値をカウントし、自端末宛の通信回数閾値とは別の通信回数閾値を、他のセンサネットワーク端末20への中継用に設定しても良い。
次に、通信判定部303は、上記のステップS505で読み出した通信回数カウンタ値及び通信回数閾値を用いて、通信回数カウンタ値が通信回数閾値以上であるか否かを判定する(ステップS506)。
ステップS506において、通信回数カウンタ値が通信回数閾値以上であると判定された場合、センサネットワーク端末20は、処理を終了する。したがって、この場合、センサネットワーク端末20は、要求元のコンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20と通信を行わない。このように、通信回数カウンタ値が通信回数閾値以上である場合(すなわち、例えば、単位時間あたりの通信回数が通信回数閾値以上である場合)、センサネットワーク端末20は、要求元との間で通信を行わないことで、通信回数を制限することができる。しかも、通信回数を制限することで、通信に伴う消費電力も少なくすることができる。
一方で、ステップS506において、通信回数カウンタ値が通信回数閾値以上であると判定されなかった場合、通信部301は、要求元のコンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20と通信を行う(ステップS507)。すなわち、例えば、通信部301は、通信要求の内容に応じて、センシング結果を示すデータや通信状態を示すデータ等を要求元のコンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20に送信する。
次に、通信回数カウント部304は、記憶部310に記憶されている通信回数カウンタ値に1を加算する(ステップS508)。
次に、センシング判定部305は、要求内容確認部302による確認結果から、センシングが必要であるか否かを判定する(ステップS509)。
ここで、要求内容確認部302の確認結果によっては、センサネットワーク端末20は、センシングを行わなくても良い処理を実行する場合がある。このような場合には、センシング判定部305は、センシングが必要でないと判定する。
ステップS509において、センシングが必要でないと判定された場合、センサネットワーク端末20は、処理を終了する。したがって、この場合、センサネットワーク端末20は、センシング対象のセンシングを行わない。
一方で、ステップS509において、センシングが必要であると判定された場合、センシング判定部305は、センシング回数カウンタ値及びセンシング回数閾値を記憶部310から読み出す(ステップS510)。
センシング回数カウンタ値は、上述したように、単位時間の間に、センサネットワーク端末20がセンシングを行った回数である。センシング回数カウンタ値は、例えば、単位時間が経過する毎に、その値がリセットされる。なお、センシング回数カウンタ値は、センサネットワーク端末20の電源投入の際にリセットされても良い。
センシング回数閾値とは、上述したように、単位時間あたりのセンシング可能な回数の閾値である。センシング回数閾値は、例えば、センサネットワークシステム1の管理者ユーザ等により設定される。
次に、センシング判定部305は、上記のステップS510で読み出したセンシング回数カウンタ値及びセンシング回数閾値を用いて、センシング回数カウンタ値がセンシング回数閾値以上であるか否かを判定する(ステップS511)。
ステップS511において、センシング回数カウンタ値がセンシング回数閾値以上であると判定された場合、センサネットワーク端末20は、処理を終了する。したがって、この場合、センサネットワーク端末20は、センシング対象のセンシングを行わない。
一方で、ステップS511において、センシング回数カウンタ値がセンシング回数閾値以上であると判定されなかった場合、センシング部306は、センシング対象(例えば、プラント機器によって製造、検査又は貯蔵される製品等)をセンシングする(ステップS512)。
次に、センシング回数カウント部307は、記憶部310に記憶されているセンシング回数カウンタ値に1を加算する(ステップS513)。
なお、例えば、センサネットワーク端末20が、例えば、所定の間隔毎に常時センシングを行っている場合も有り得る。この場合、センサネットワーク端末20は、上記のステップS510〜ステップS513の処理を実行せずに、センシング部306により、当該所定の間隔毎にセンシング対象のセンシングを行えば良い。
以上のように、本実施形態に係るセンサネットワークシステム1におけるセンサネットワーク端末20は、コンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20から通信要求を受信した場合に、単位時間あたりの通信回数が閾値以上であるか否かを判定する。そして、センサネットワーク端末20は、単位時間あたりの通信回数が閾値以上であると判定した場合、要求元のコンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20と通信を行わない。
これにより、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20は、単位時間あたりの通信回数が過剰となるのを押さえることができる。一方で、センサネットワーク端末20が消費する電力は、例えば、「1回の通信で消費する消費電力×通信回数」で定まる。したがって、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20では、単位時間あたりの通信回数を制限することで、消費電力を少なくすることができる。
ここで、例えばスリープ拒否攻撃と呼ばれるサイバー攻撃では、例えば、センサネットワーク端末20に対する通信要求を多数行って、消費電力を多くすることで、製品寿命を短くしたり、センサネットワーク端末20を使用不能にしたりする。センサネットワーク端末20が使用不能になった場合、センシング対象のプラント機器を停止させる必要が生じたり、プラント機器の故障を検出できなくなったり等の悪影響がある。
これに対して、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20では、単位時間あたりの通信回数の閾値未満に抑えることができる。このため、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20によれば、通信に伴う消費電力の増加を少なくすることができ、上記のようなサイバー攻撃によるプラント機器の悪影響を防止することができる。
[第二の実施形態]
次に、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、時間帯によって異なる通信回数閾値及びセンシング回数閾値が設定されている場合について説明する。これにより、例えば、工場やプラントが操業している時間帯では、比較的高い値を通信回数閾値及びセンシング回数閾値に設定する一方で、工場やプラントが操業していない時間帯では、比較的低い値を通信回数閾値及びセンシング回数閾値に設定することができる。これにより、第一の実施形態と比べて、工場やプラントの操業時間に応じて、単位時間あたりの通信回数をより柔軟に制限することができる。
なお、第二の実施形態では、主に、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の構成要素については、その説明を省略する。
<機能構成>
まず、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20の機能構成について、図6を参照しながら説明する。図6は、第二の実施形態に係るセンサネットワーク端末20の機能構成の一例を示す図である。
図7に示すように、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20は、更に、時刻取得部308を有する。時刻取得部308は、センサネットワーク端末20にインストールされた1以上のプログラムが、CPU205に実行させる処理により実現される。
時刻取得部308は、現在の時刻を取得する。現在の時刻は、例えば、センサネットワーク端末20が有する時計(内部タイマ)から取得されても良いし、例えば時刻サーバ等から取得されても良い。
また、本実施形態に係る記憶部310に記憶されている通信回数閾値及びセンシング回数閾値は、時間帯毎に設定されている。
ここで、本実施形態に係る通信回数閾値及びセンシング回数閾値の一例を図7に示す。図7は、第二の実施形態に係る通信回数閾値及びセンシング回数閾値の一例を説明する図である。
図7に示す例では、所定の時間帯として、「09:00〜17:00」における単位時間あたりの通信回数閾値及びセンシング回数閾値と、「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」における単位時間あたりの通信回数閾値及びセンシング回数閾値とが設定されている。
具体的には、「09:00〜17:00」における通信回数閾値には「10」が設定されている。これは、「09:00〜17:00」の時間帯では、例えば1時間あたり10回が通信回数の閾値となることを示している。
同様に、「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」における通信回数閾値には「5」が設定されている。これは、「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」の時間帯では、例えば1時間あたり5回が通信回数の閾値となることを示している。このように、ユーザは、時間帯毎に、通信回数閾値が設定できる。
これにより、例えば、工場やプラントの稼働時間帯である「09:00〜17:00」では、通信回数閾値を比較的高い値に設定する一方で、工場やプラントの非稼働時間帯である「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」では、通信回数閾値を比較的低い値に設定することができる。これは、工場やプラントの稼働時間帯に比べて、非稼働時間帯では、通信が発生する回数が少ないためである。
また、「09:00〜17:00」におけるセンシング回数閾値には「10」が設定されている。これは、「09:00〜17:00」の時間帯では、例えば1時間あたり10回がセンシング回数の閾値となることを示している。
同様に、「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」におけるセンシング回数閾値には「5」が設定されている。これは、「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」の時間帯では、例えば1時間あたり5回がセンシング回数の閾値となることを示している。このように、ユーザは、時間帯毎に、センシング回数閾値が設定できる。
これにより、例えば、工場やプラントの稼働時間帯である「09:00〜17:00」では、センシング回数閾値を比較的高い値に設定する一方で、工場やプラントの非稼働時間帯である「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」では、センシング回数閾値を比較的低い値に設定することができる。これは、工場やプラントの稼働時間帯に比べて、非稼働時間帯では、センシングが発生する回数が少ないためである。
また、本実施形態に係る通信回数閾値及びセンシング回数閾値の他の例を図8に示す。図8は、第二の実施形態に係る通信回数閾値及びセンシング回数閾値の他の例を説明する図である。
図8に示す例では、所定の時間帯として、「09:00〜17:00」における累積の通信回数閾値及びセンシング回数閾値と、「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」における累積の通信回数閾値及びセンシング回数閾値とが設定されている。
具体的には、「09:00〜17:00」における通信回数閾値には「80」が設定されている。これは、「09:00〜17:00」の時間帯では、累積で80回が通信回数の閾値となることを示している。
同様に、「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」における通信回数閾値には「20」が設定されている。これは、「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」の時間帯では、累積で20回が通信回数の閾値となることを示している。
また、「09:00〜17:00」におけるセンシング回数閾値には「80」が設定されている。これは、「09:00〜17:00」の時間帯では、累積で80回がセンシング回数の閾値となることを示している。
同様に、「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」におけるセンシング回数閾値には「20」が設定されている。これは、「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」の時間帯では、累積で2回がセンシング回数の閾値となることを示している。
このように、通信回数閾値及びセンシング回数閾値は、所定の時間帯における累積が設定されていても良い。
<センサネットワーク端末20が実行する処理>
次に、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20が実行する全体処理について、図9を参照しながら説明する。図9は、第二の実施形態に係るセンサネットワーク端末20が実行する全体処理の一例を示すフローチャートである。各センサネットワーク端末20は、図5に示す処理をそれぞれ実行する。なお、図9におけるステップS501〜ステップS504、ステップS506〜ステップS509、及びステップS511〜ステップS513の処理は、図5と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS504において、通信が必要であると判定された場合、時刻取得部308は、現在の時刻を取得する(ステップS901)。現在の時刻が取得されることで、センサネットワーク端末20は、現在の時刻がどの時間帯に属するのかを特定することができる。現在の時刻が取得されることで、センサネットワーク端末20は、単位時間あたりに行った通信回数を算出することもできる。
次に、通信判定部303は、通信回数カウンタ値及び通信回数閾値を記憶部310から読み出す(ステップS902)。このとき、通信判定部303は、上記のステップS901で取得した現在の時刻が属する時間帯の通信回数閾値を記憶部310から取得する。これにより、現在の時刻が属する時間帯に応じた通信回数閾値を用いて、単位時間あたりの通信回数(又は現在の時刻が属する時間帯における累積の通信回数)をより柔軟に制限することができる。
ステップS509において、センシングが必要であると判定された場合、時刻取得部308は、現在の時刻を取得する(ステップS903)。現在の時刻が取得されることで、センサネットワーク端末20は、現在の時刻がどの時間帯に属するのかを特定することができる。現在の時刻が取得されることで、センサネットワーク端末20は、単位時間あたりに行ったセンシング回数を算出することもできる。
なお、ステップS903の処理は必ずしも実行されなくても良い。この場合、上記のステップS901で取得した現在の時刻を用いれば良い。
次に、センシング判定部305は、センシング回数カウンタ値及びセンシング回数閾値を記憶部310から読み出す(ステップS904)。このとき、センシング判定部305は、上記のステップS903(又は上記のステップS901)で取得した現在の時刻が属する時間帯のセンシング回数閾値を記憶部310から取得する。これにより、現在の時刻が属する時間帯に応じたセンシング回数閾値を用いて、単位時間あたりのセンシング回数(又は現在の時刻が属する時間帯における累積のセンシング回数)をより柔軟に制限することができる。
以上のように、本実施形態に係るセンサネットワークシステム1におけるセンサネットワーク端末20は、現在時刻が属する時間帯に応じた通信回数閾値及びセンシング回数閾値を用いて、通信回数及びセンシング回数を制限することができる。これにより、例えば、工場やプラント等が稼働している時間帯では通信回数閾値を比較的高く設定する一方で、工場やプラント等が稼働していない時間帯では通信回数閾値を比較的低く設定する等、センサネットワーク端末20の通信回数をより柔軟に制限することができる。同様に、例えば、工場やプラント等が稼働している時間帯ではセンシング回数閾値を比較的高く設定する一方で、工場やプラント等が稼働していない時間帯ではセンシング回数閾値を比較的低く設定する等、センサネットワーク端末20のセンシング回数をより柔軟に制限することができる。
[第三の実施形態]
次に、第三の実施形態について説明する。第三の実施形態では、過去の通信回数の履歴に基づいて、今後の通信回数の傾向を分析した上で、当該傾向に基づいて通信回数閾値の値を更新する場合について説明する。これにより、今後の通信回数の傾向(例えば増加傾向や減少傾向等)に応じて、通信回数閾値の値を更新することができる。
なお、第三の実施形態では、主に、第二の実施形態との相違点について説明し、第二の実施形態と同様の構成要素については、その説明を省略する。
<機能構成>
まず、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20の機能構成について、図10を参照しながら説明する。図10は、第三の実施形態に係るセンサネットワーク端末20の機能構成の一例を示す図である。
図10に示すように、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20は、更に、傾向分析部309と、閾値設定部311とを有する。傾向分析部309及び閾値設定部311は、センサネットワーク端末20にインストールされた1以上のプログラムが、CPU205に実行させる処理により実現される。また、本実施形態に係る記憶部310には、通信回数の履歴が記憶されている。
傾向分析部309は、記憶部310に記憶されている通信回数の履歴に基づいて、今後の通信回数の傾向を分析する。ここで、本実施形態に係る通信回数の履歴について、図11を参照しながら説明する。図11は、第三の実施形態に係る通信回数の履歴の一例を説明する図である。
図11に示す例では、単位時間毎に、過去の通信回数の履歴が記憶されている。例えば、単位時間「09:00〜10:00」における通信回数「20」が記憶されている。これは、単位時間「09:00〜10:00」における通信回数が20回であったことを示している。
同様に、例えば、単位時間「10:00〜11:00」における通信回数「30」、単位時間「11:00〜12:00」における通信回数「40」等が記憶されている。
このように、本実施形態に係る記憶部310には、例えば単位時間毎の過去の通信回数の履歴が記憶されている。なお、通信回数の履歴は、例えば、単位時間毎に、通信回数カウンタ値を用いて作成することができる。
閾値設定部311は、傾向分析部309により分析された傾向に基づいて、記憶部310に記憶されている通信回数閾値を更新する。
<センサネットワーク端末20が実行する処理>
次に、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20が実行する全体処理について、図12を参照しながら説明する。図12は、第三の実施形態に係るセンサネットワーク端末20が実行する全体処理の一例を示すフローチャートである。なお、図12におけるステップS501〜ステップS504、ステップS506〜ステップS509、ステップS511〜ステップS513、及びステップS901〜ステップS904の処理は、図9と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS506において、通信回数カウンタ値が通信回数閾値以上であると判定された場合、傾向分析部309は、記憶部310に記憶されている通信回数の履歴を読み出す(ステップS1201)。
次に、傾向分析部309は、通信回数の履歴に基づいて、今後の通信回数の傾向を分析する(ステップS1202)。例えば、傾向分析部309は、単位時間あたりの通信回数をy、所定の時間帯における単位時間数をxとして、通信回数の履歴に基づいて、各単位時間あたりの通信回数を近似する1次式y=ax+bを、今後の通信回数の傾向を表す式として算出する。
より具体的には、例えば図11に示す通信回数の履歴では、単位時間「09:00〜10:00」では通信回数「20」、単位時間「10:00〜11:00」では通信回数「30」、単位時間「11:00〜12:00」では通信回数「30」である。したがって、時間帯「09:00」〜「17:00」における通信回数を近似する1次式は、x=0を単位時間「09:00〜10:00」、x=1を単位時間「10:00〜11:00」、x=2を単位時間「11:00〜12:00」とすれば、y=10x+20となる。したがって、この場合、1次式y=10x+20が今後の通信回数の傾向を表す式となる。
なお、傾向分析部309は、通信回数の履歴に基づいて、近似式として1次式を算出したが、これに限られず、任意の近似式(例えば2次式等)を算出して、算出した近似式を今後の傾向を表す式としても良い。
次に、傾向分析部309は、上記のステップS1202で分析した傾向から算出される想定通信回数が、通信回数閾値以下であるか否かを判定する(ステップS1203)。
例えば、上記のステップS1202で分析した傾向を表す式がy=10x+20であり、かつ、通信回閾値が時間帯「09:00〜17:00」における単位時間あたりの通信回数の閾値であるものとする。このとき、y=10x+20で算出される単位時間あたりの想定通信回数が通信回数閾値以下であるか否かを判定する。
より具体的には、例えば、通信回数閾値が「80」である場合、x=7(すなわち、単位時間「16:00」〜「17:00」)のとき、y=90となり、想定通信回数が通信回数閾値より大きくなる。一方で、例えば、通信回数閾値が「100」である場合、x=0,・・・,x=7(すなわち、単位時間「09:00」〜「10:00」,・・・,単位時間「16:00」〜「17:00」)のいずれでも、想定通信回数は、通信回数閾値以下となる。
ステップS1203において、想定通信回数が通信回数閾値以下であると判定された場合、センサネットワーク端末20は、ステップS507に進む。すなわち、この場合、センサネットワーク端末20は、要求元のコンセントレータ10又は他のセンサネットワーク端末20と通信を行う。
一方で、想定通信回数が通信回数閾値以下でないと判定された場合、閾値設定部311は、傾向分析部309により分析された傾向に基づいて、記憶部310に記憶されている通信回数閾値を更新(設定)する(ステップS1204)。
より具体的には、例えば、上述したように、通信回数閾値が「80」、x=7における想定通信回数が「90」であった場合、閾値設定部311は、記憶部310に記憶されている通信回数閾値を、「90」に更新(設定)すれば良い。
なお、上記では、1次式y=ax+bが単位時間あたりの通信回数を近似する式であるものとして説明したが、傾向分析部309は、累積通信回数を近似する1次式を算出しても良い。この場合、当該1次式の傾きaが単位時間あたりの通信回数となる。したがって、この場合、上記のステップS1204で、閾値設定部311は、単位時間あたりにa回の通信が行えるように通信回数閾値を更新(設定)しても良い。
以上のように、本実施形態に係るセンサネットワークシステム1におけるセンサネットワーク端末20は、過去の通信回数に基づき算出された今後の通信回数の傾向に応じて、通信回数閾値を動的に更新することができる。これにより、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20は、今後の通信回数の傾向に応じた適切な通信回数閾値を設定することができる。
[第四の実施形態]
次に、第四の実施形態について説明する。第四の実施形態では、センシング対象及び時間帯によって異なる通信回数閾値及びセンシング回数閾値が設定されている場合について説明する。これにより、例えば、センシング対象である或る製品と、別の或る製品とでセンシングデータの特性(例えば、センシング頻度やセンシングする時間帯等)が異なる場合に、センシング対象及び時間帯に応じた適切な通信回数閾値及びセンシング回数閾値を設定することができる。
なお、第四の実施形態では、主に、第二の実施形態との相違点について説明し、第二の実施形態と同様の構成要素については、その説明を省略する。
ここで、本実施形態に係る記憶部310に記憶されている通信回数閾値及びセンシング回数閾値の一例を図13に示す。図13は、第四の実施形態に係る通信回数閾値及びセンシング回数閾値の一例を説明する図である。
図13に示す例では、センシング対象である製品Aの時間帯「09:00〜17:00」における単位時間あたり通信回数閾値と、センシング対象である製品Bの時間帯「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」における単位時間あたり通信回数閾値とが設定されている。
同様に、センシング対象である製品Aの時間帯「09:00〜17:00」における単位時間あたりセンシング回数閾値と、センシング対象である製品Bの時間帯「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」における単位時間あたりセンシング回数閾値とが設定されている。このように、ユーザは、センシング対象毎及び時間帯毎に、単位時間あたりの通信回数閾値及びセンシング対象閾値が設定できる。
また、本実施形態に係る通信回数閾値及びセンシング回数閾値の他の例を図14に示す。図14は、第四の実施形態に係る通信回数閾値及びセンシング回数閾値の他の例を説明する図である。
図14に示す例では、センシング対象である製品Aの時間帯「09:00〜17:00」における累積の通信回数閾値と、センシング対象である製品Bの時間帯「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」における累積の通信回数閾値とが設定されている。
同様に、センシング対象である製品Aの時間帯「09:00〜17:00」における累積のセンシング回数閾値と、センシング対象である製品Bの時間帯「17:00〜24:00」及び「00:00〜09:00」における累積のセンシング回数閾値とが設定されている。このように、ユーザは、センシング対象毎及び時間帯毎に、当該時間帯における累積の通信回数閾値及びセンシング対象閾値を設定しても良い。
<センサネットワーク端末20が実行する処理>
次に、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20が実行する全体処理について、図15を参照しながら説明する。図15は、第四の実施形態に係るセンサネットワーク端末20が実行する全体処理の一例を示すフローチャートである。なお、図15におけるステップS501〜ステップS504、ステップS506〜ステップS509、ステップS511〜ステップS513、及びステップS901及びステップS903の処理は、図9と同様であるため、その説明を省略する。
まず、通信判定部303は、通信部301が受信した通信要求からセンシング対象情報を取得する(ステップS1501)。センシング対象情報とは、センシング対象を識別する情報であり、例えば、センシング対象を識別する製品コードや製品名等の情報である。
なお、要求内容確認部302による確認結果によっては、センシングが不要である場合がある。この場合には、センシング対象情報が通信要求に含まれないことも有り得る。以降では、通信要求からセンシング対象情報が取得されたものとする。
ステップS901に続いて、通信判定部303は、通信回数カウンタ値及び通信回数閾値を記憶部310から読み出す(ステップS1502)。このとき、通信判定部303は、上記のステップS1501で取得したセンシング対象情報が示すセンシング対象であって、かつ、ステップS901で取得した現在の時刻が属する時間帯の通信回数閾値を記憶部310から取得する。これにより、センシング対象及び時間帯に応じた通信回数閾値を用いて、単位時間あたりの通信回数(又は当該時間帯における累積の通信回数)をより柔軟に制限することができる。
ステップS903に続いて、センシング判定部305は、センシング回数カウンタ値及びセンシング回数閾値を記憶部310から読み出す(ステップS1503)。このとき、センシング判定部305は、上記のステップS1501で取得したセンシング対象情報が示すセンシング対象であって、かつ、ステップS903(又はステップS901)で取得した現在の時刻が属する時間帯のセンシング回数閾値を記憶部310から取得する。これにより、センシング対象及び時間帯に応じたセンシング回数閾値を用いて、単位時間あたりのセンシング回数(又は当該時間帯における累積のセンシング回数)をより柔軟に制限することができる。
以上のように、本実施形態に係るセンサネットワークシステム1におけるセンサネットワーク端末20は、センシング対象及び時間帯に応じた通信回数閾値及びセンシング回数閾値を用いて、通信回数及びセンシング回数を制限することができる。これにより、例えば、或る時間帯におけるセンシング頻度が高く、かつ、データ収集を頻繁に行う必要がある製品では通信回数閾値及びセンシング回数閾値を比較的高く設定する一方で、或る時間帯におけるセンシング頻度が低く、かつ、データ収集の頻度も低い製品では通信回数閾値及びセンシング回数閾値を比較的低く設定する等、センシング対象及び時間帯に応じて、センサネットワーク端末20の通信回数(及びセンシング回数)を柔軟に制限することができる。
[第五の実施形態]
次に、第五の実施形態について説明する。第五の実施形態では、過去のセンシング結果を示すデータ(以降、センシングデータと表す。)の履歴に基づいて、センシングデータの変化率を分析した上で、当該変化率に基づいてセンシング回数閾値を更新する場合について説明する。これにより、今後予想されるセンシング回数に応じて、センシング回数閾値の値を更新することができる。
なお、第五の実施形態では、主に、第二の実施形態との相違点について説明し、第二の実施形態と同様の構成要素については、その説明を省略する。
<機能構成>
まず、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20の機能構成について、図16を参照しながら説明する。図16は、第五の実施形態に係るセンサネットワーク端末20の機能構成の一例を示す図である。
図16に示すように、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20は、更に、閾値設定部311と、変化率分析部312とを有する。閾値設定部311及び変化率分析部312は、センサネットワーク端末20にインストールされた1以上のプログラムが、CPU205に実行させる処理により実現される。また、本実施形態に係る記憶部310には、センシングデータの履歴が記憶されている。
変化率分析部312は、記憶部310に記憶されているセンシングデータの履歴に基づいて、センシングデータの変化率を分析する。ここで、本実施形態に係るセンシングデータの履歴について、図17を参照しながら説明する。図17は、第五の実施形態に係るセンシングデータの履歴の一例を説明する図である。
図17に示す例では、N個のセンシングデータがリングバッファに格納されている場合を示している。センシングデータをリングバッファに格納することにより、直近のN個のセンシングデータを保持することができる。すなわち、リングバッファにセンシングデータが格納される際において、リングバッファに空きが無い場合、最も古いセンシングデータが削除される。
したがって、変化率分析部312は、これら直近のN個のセンシングデータを用いて変化率を分析することができる。なお、Nはリングバッファに格納可能な数であり、例えばユーザ等により予め設定されても良い。
閾値設定部311は、変化率分析部312により分析された変化率に基づいて、記憶部310に記憶されているセンシング回数閾値を更新する。
<センサネットワーク端末20が実行する処理>
次に、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20が実行する全体処理について、図18を参照しながら説明する。図18は、第五の実施形態に係るセンサネットワーク端末が実行する全体処理の一例を示すフローチャートである。なお、図18におけるステップS501〜ステップS504、ステップS506〜ステップS509、ステップS511〜ステップS513、及びステップS901〜ステップS904の処理は、図9と同様であるため、その説明を省略する。
ステップS512に続いて、センシング部306は、センシング結果を示すセンシングデータを記憶部310に格納する(ステップS1801)。このとき、センシング部306は、記憶部310内のリングバッファに当該センシングデータを格納する。
ステップS513に続いて、変化率分析部312は、記憶部310からセンシングデータを読み出す(ステップS1802)。このとき、変化率分析部312は、記憶部310内のリングバッファに格納されているセンシングデータを、例えば、新しい順にN個読み出す。
次に、変化率分析部312は、上記のステップS1802で読み出したセンシングデータに基づいて変化率を分析する(ステップS1803)。例えば、変化率分析部312は、センシングデータの値をy、リングバッファへの格納順をx(古い順にx=1,2,・・・,N)として、センシングデータの値を近似する1次式y=ax+bを算出し、傾きaを変化率とする。
より具体的には、例えば図17に示すセンシングデータの履歴では、古い順に「20」、「30」、「40」等のセンシングデータの値が格納されているため、センシングデータの値を近似する1次式はy=10x+10となる。したがって、変化率は「10」となる。
なお、変化率分析部312は、センシングデータの履歴に基づいて、近似式として1次式を算出したが、これに限られず、任意の近似式(例えば2次式等)を算出しても良い。
次に、閾値設定部311は、変化率分析部312により分析された変化率に基づいて、記憶部310に記憶されているセンシング回数閾値を更新(設定)する(ステップS1804)。ここで、変化率に基づくセンシング回数閾値の設定方法の一例について、図19を参照しながら説明する。図19は、第五の実施形態に係るセンシングデータの変化率に基づく閾値の設定の一例を説明する図である。
図19に示すように、例えば、変化率>5である場合、閾値設定部311は、センシング回数閾値を「5」に設定する。一方で、例えば、変化率≦5である場合、閾値設定部311は、センシング回数閾値を「10」に設定する。このように、閾値設定部311は、変化率が比較的大きい場合、センシング回数閾値が小さくなるように設定する一方、変化率が比較的小さい場合、センシング回数閾値が大きくなるように設定することが好ましい。
以上のように、本実施形態に係るセンサネットワークシステム1におけるセンサネットワーク端末20は、過去のセンシングデータに基づき算出されたセンシングデータの値の変化率に応じて、センシング回数閾値を動的に更新することができる。これにより、本実施形態に係るセンサネットワーク端末20は、センシングデータのデータ特性(すなわち、センシングデータの値の変化率)に応じて、適切なセンシング回数閾値を設定することができる。
[第六の実施形態]
次に、第六の実施形態について説明する。第六の実施形態では、コンセントレータ10が、センサネットワーク端末20がセンシングするセンシング対象に応じて、通信回数閾及びセンシング回数閾値を当該センサネットワーク端末20に設定する場合について説明する。
すなわち、上述したように、センサネットワーク端末20は、工場やプラント等において、プラント機器によって製造等される製品の物理量や状態等をセンシングするが、当該プラント機器によって製造等される製品は、時間帯よって変わる場合がある。
例えば、図20に示すように、或る時間t1〜t2ではプラント機器によって製造等される製品(センシング対象)は「製品A」である一方、別の或る時間t3〜t4では同一のプラント機器によって製造等される製品(センシング対象)が「製品B」である場合が有り得る。このような場合、時間t1〜t2では、センサネットワーク端末20には、製品Aに応じた通信回数閾値及びセンシング回数閾値が設定されることが好ましい。同様に、時間t3〜t4では、センサネットワーク端末20には、製品Bに応じた通信回数閾値及びセンシング回数閾値が設定されることが好ましい。
したがって、本実施形態では、プラント機器によって生産又は製造等される製品等のスケジュールを示す生産スケジュール情報に基づいて、コンセントレータ10が通信回数閾及びセンシング回数閾値の情報を作成し、センサネットワーク端末20に送信することで、これら通信回数閾及びセンシング回数閾値を設定する場合について説明する。
なお、第六の実施形態では、主に、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の構成要素については、その説明を省略する。
<全体構成>
まず、本実施形態に係るセンサネットワークシステム1の全体構成について、図21を参照しながら説明する。図21は、第六の実施形態に係るセンサネットワークシステム1の全体構成の一例を示す図である。
図21に示すように、本実施形態に係るセンサネットワークシステム1には、更に、生産管理システム30が含まれる。また、コンセントレータ10及び生産管理システム30は、LAN(Local Area Network)等のネットワークにより通信可能に接続されている。
生産管理システム30は、工場やプラント等のプラント機器における生産を管理するコンピュータ又はコンピュータシステムである。生産管理システム30は、プラント機器で生産又は製造等される製品等の生産スケジュール情報を管理する。そして、生産管理システム30は、生産スケジュール情報をコンセントレータ10に送信する。
なお、生産スケジュール情報は、例えば、生産スケジュールが変更されたタイミングで生産管理システム30からコンセントレータ10に送信される。ただし、これに限られず、例えば、コンセントレータ10の要求に応じて送信されても良いし、所定の時間毎に送信されても良い。
<機能構成>
次に、本実施形態に係るコンセントレータ10の機能構成について、図22を参照しながら説明する。図22は、第六の実施形態に係るコンセントレータ10の機能構成の一例を示す図である。
図22に示すように、本実施形態に係るコンセントレータ10は、通信部401と、閾値情報作成部402とを有する。これら各部は、コンセントレータ10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU105に実行させる処理により実現される。
通信部401は、生産管理システム30から生産スケジュール情報を受信する。また、通信部401は、閾値情報作成部402により作成された閾値情報をセンサネットワーク端末20に送信する。
閾値情報作成部402は、通信部401が受信した生産スケジュール情報に基づいて、センサネットワーク端末20が用いる通信回数閾値及びセンシング回数閾値が含まれる閾値情報を作成する。
ここで、生産スケジュール情報の一例について、図23を参照しながら説明する。図23は、生産スケジュール情報の一例を説明する図である。
図23に示すように、生産スケジュール情報には、プラント機器で行われるバッチ処理の名称(バッチ処理名)と、当該バッチ処理で生産等される製品名及びそのロット(ロット・製品名)と、当該バッチ処理の開始時間及び終了時間と、センシングデータ収集ルートとが含まれる。センシングデータ収集ルートとは、センシングデータがコンセントレータ10まで送信される通信経路に含まれるセンサネットワーク端末20の端末名である。
例えば、センシングデータ収集ルートが「端末A⇒端末B⇒端末D」である場合、端末名「端末A」であるセンサネットワーク端末20でセンシングされたセンシングデータは、端末名「端末B」であるセンサネットワーク端末20と、端末名「端末D」であるセンサネットワーク端末20とを経由してコンセントレータ10まで送信される。
以降では、端末名「端末A」であるセンサネットワーク端末20を「センサネットワーク端末20A」、端末名「端末B」であるセンサネットワーク端末20を「センサネットワーク端末20B」等と表す。
<コンセントレータ10が実行する処理>
次に、本実施形態に係るコンセントレータ10が実行する全体処理について、図24を参照しながら説明する。図24は、第六の実施形態に係るコンセントレータ10が実行する全体処理の一例を示すフローチャートである。
まず、通信部401は、生産管理システム30から生産スケジュール情報を受信する(ステップS2401)。
次に、閾値情報作成部402は、通信部401が受信した生産スケジュール情報に基づいて、閾値情報を作成する(ステップS2402)。
ここで、図23に示す生産スケジュール情報を受信した場合に作成される閾値情報の一例を図25に示す。図25に示す閾値情報は、例えば、次のようにして作成される。
(1)生産スケジュール情報のセンシングデータ収集ルートから端末名「端末A」、「端末B」及び「端末D」を取得する。
(2)次に、生産スケジュール情報から開始時間「10:00」及び終了時間「11:00」を取得する。
(3)次に、端末名「端末A」、「端末B」及び「端末D」のそれぞれに対して、開始時間「10:00」から終了時間「11:00」までの時間帯「10:00〜11:00」の通信回数閾値とセンシング回数閾値とを設定する。これにより、端末名「端末A」、「端末B」及び「端末D」の時間帯「10:00〜11:00」(すなわち、工場やプラント等が稼働している時間帯)における閾値情報が作成される。なお、具体的な値(すなわち、通信回数閾値「60」及びセンシング回数閾値「60」)は、予め管理者ユーザ等により決定される。
(4)次に、端末名「端末A」、「端末B」及び「端末D」のそれぞれに対して、開始時間「10:00」から終了時間「11:00」以外の時間帯「11:00〜24:00,00:00〜10:00」の通信回数閾値とセンシング回数閾値とを設定する。これにより、端末名「端末A」、「端末B」及び「端末D」の時間帯「11:00〜24:00,00:00〜10:00」(すなわち、工場やプラント等が稼働していない時間帯)における閾値情報が作成される。なお、具体的な値(すなわち、通信回数閾値「1」及びセンシング回数閾値「1」)は、予め管理者ユーザ等により決定される。
次に、通信部401は、閾値情報作成部402が作成した閾値情報をセンサネットワーク端末20に送信する(ステップS2403)。より具体的には、通信部401は、閾値情報作成部402が作成した閾値情報のうち、端末名「端末A」の閾値情報をセンサネットワーク端末20Aに送信する。なお、このとき、通信部401は、センサネットワーク端末20Dと、センサネットワーク端末20Bとを経由する通信経路により、当該閾値情報をセンサネットワーク端末20Aに送信しても良い。
同様に、通信部401は、閾値情報作成部402が作成した閾値情報のうち、端末名「端末B」の閾値情報をセンサネットワーク端末20Bに送信し、端末名「端末D」の閾値情報をセンサネットワーク端末20Dに送信する。
閾値情報が各センサネットワーク端末20に送信されるとことで、当該センサネットワーク端末20では通信回閾値及びセンシング回数閾値が設定される。
以上のように、本実施形態に係るセンサネットワークシステム1におけるコンセントレータ10は、生産管理システム30から受信した生産スケジュール情報に基づいて、各センサネットワーク端末20の閾値情報を作成する。これにより、バッチ処理で生産等される製品のスケジュールに応じた適切な通信回数閾値及びセンシング回数閾値を各センサネットワーク端末20に設定することができる。
なお、本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。