JP2018041859A - 積層体、積層体の製造方法および貼着光半導体素子の製造方法 - Google Patents

積層体、積層体の製造方法および貼着光半導体素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】膜厚精度、積層体の界面における密着性に優れ、ボイドの発生を抑制することができる積層体、その製造方法および貼着光半導体素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】積層体1は、光半導体素子15に直接的または間接的に貼着するように使用される積層体1であって、蛍光体層2と、その厚み方向一方面に設けられる透明層3とを備える。蛍光体層2および透明層3を、周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線が、ともに、極小値を有する。蛍光体層2および透明層3について、極小値における温度Tが、ともに、40℃以上、200℃以下の範囲にある。蛍光体層2および透明層3について、前記極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にある。蛍光体層2および透明層3について、100℃における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、81,000Pa以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、積層体、積層体の製造方法および貼着光半導体素子、詳しくは、積層体、その積層体を製造する製造方法、および、その積層体を用いる貼着光半導体素子の製造方法に関する。
従来より、蛍光体層が透明層に積層された積層体を、LEDに貼着し、それによって、発光装置を得ることが知られている。
例えば、硬化性シリコーン組成物を含有する第1の単層シート(透明層)および硬化性シリコーン組成物を含有する第2の単層シート(蛍光体層)の積層体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。上記した積層体は、LEDチップに対して、熱プレスされる。
特表2016−504461号公報
しかし、特許文献1に記載される積層体は、膜厚が不均一になり易いという不具合がある。そのため、積層体に蛍光体などを含有していると、発光装置の色均一性が低下する。
また、積層体をLEDに熱プレスした発光装置においては、LEDと積層体との密着性が良好であり、その密着部分に空気などのボイドが生じていないことが求められる。
本発明の目的は、積層体の膜厚精度、および、積層体と光半導体素子との密着性が良好であり、ボイドの発生を抑制することができる積層体、その製造方法および貼着光半導体素子の製造方法を提供することにある。
本発明[1]は、光半導体素子に直接的または間接的に貼着するように使用される積層体であって、第1層と、その厚み方向一方面に設けられる第2層とを備え、前記第1層および前記第2層を、周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線が、ともに、極小値を有し、前記第1層および前記第2層について、前記極小値における温度Tが、ともに、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、前記第1層および前記第2層について、前記極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にあり、前記第1層および前記第2層について、100℃における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、81,000Pa以下である、積層体を含んでいる。
本発明[2]は、前記第1層が、蛍光体を含有する、[1]に記載の積層体を含んでいる。
本発明[3]は、前記第1層が、反射粒子を含有する、[1]に記載の積層体を含んでいる。
本発明[4]は、光半導体素子に直接的または間接的に貼着するように使用される積層体の製造方法であって、第1層および第2層を用意する用意工程、ならびに、前記第1層および前記第2層を、100℃以下の条件で、ロールラミネーターを用いて、積層する積層工程を備え、前記用意工程では、前記第1層および前記第2層を、周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線が、ともに、極小値を有し、前記第1層および前記第2層について、前記極小値における温度Tが、ともに、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、前記第1層および前記第2層について、前記極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にあり、前記第1層および前記第2層について、100℃における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、81,000Pa以下であるように調整する、積層体の製造方法を含んでいる。
本発明[5]は、光半導体素子に直接的または間接的に貼着するように使用される積層体の製造方法であって、第1層および第2層を用意する用意工程、ならびに、前記第1層および前記第2層を、100℃以下の条件で、真空プレスを実施して、積層する積層工程を備え、 前記用意工程では、前記第1層および前記第2層を、周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線が、ともに、極小値を有し、前記第1層および前記第2層について、前記極小値における温度Tが、ともに、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、前記第1層および前記第2層について、前記極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にあり、前記第1層および前記第2層について、100℃における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、81,000Pa以下であるように調整する、積層体の製造方法を含んでいる。
本発明[6]は、前記積層工程では、0.80MPa以下の圧力で、積層する、[4]または[5]に記載の積層体の製造方法を含んでいる。
本発明[7]は、[1]〜[3]のいずれかに記載の積層体を用意する用意工程、および、前記積層体を、前記光半導体素子に対して熱プレスすることにより、光半導体素子を貼着する熱プレス工程を備える、貼着光半導体素子の製造方法を含んでいる。
本発明の積層体を用いた本発明の貼着光半導体素子の製造方法によれば、積層体の膜厚精度が良好であり、積層体と光半導体素子との密着性が良好であり、さらに、ボイドの発生を抑制することができる貼着光半導体素子を得ることができる。本発明の積層体の製造方法によれば、積層体の膜厚精度が良好である積層体を得ることができる。
図1は、本発明の積層体の一実施形態の断面図を示す。 図2A〜図2Eは、図1の積層体の製造方法の第1実施形態の工程図を示し、図2Aは、蛍光体層シートを用意する工程、図2Bは、透明層シートを用意する工程、図2Cは、蛍光体層シートおよび透明層シートを対向配置する工程、図2Dは、蛍光体層シートおよび透明層シートをロールラミネーターにより積層する工程、図2Eは、積層体を得る工程を示す。 図3A〜図3Bは、図1の積層体の製造方法の第1実施形態の別例(真空プレスによる積層工程)の工程図を示し、図3Aは、蛍光体層シートおよび透明層シートをプレス機にセットする工程、図3Bは、蛍光体層を透明層シートに押圧する工程を示す。 図4A〜図4Eは、本発明の貼着光半導体素子の製造方法の第1実施形態の工程図を示し、図4Aは、封止光半導体素子を基材に仮固定する工程、図4Bは、積層体を封止光半導体素子に貼着する工程、図4Cは、剥離シートを積層体から引き剥がして、積層体を完全硬化させる工程、図4Dは、貼着光半導体素子を基材から引き剥がす工程、図4Eは、貼着光半導体素子を基板に実装する工程を示す。 図5A〜図5Eは、図4Aに示す封止光半導体素子を用意する工程図を示し、図5Aは、光半導体素子を複数用意する工程、図5Bは、複数の光半導体素子を基材の上に仮固定する工程、図5Cは、封止層を形成する工程、図5Dは、封止層の上側部分を除去する工程、図5Eは、封止光半導体素子を基材から引き剥がす工程を示す。 図6A〜図6Dは、本発明の貼着光半導体素子の製造方法の変形例(積層体を、光半導体素子に間接的に貼着する実施形態)の工程図を示し、図6Aは、封止光半導体素子を基材に仮固定する工程、図6Bは、積層体を封止光半導体素子に貼着する工程、図6Cは、剥離シートを積層体から引き剥がして、積層体を完全硬化させる工程、図6Dは、貼着光半導体素子を基材から引き剥がす工程、を示す。 図7は、各実施例および各比較例で用いた蛍光体層、透明層および反射層の貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す。
図1において、紙面上下方向は、上下方向(第1方向、厚み方向)であり、紙面下側が下側(第1方向一方側、厚み方向一方側)、紙面上側が上側(第1方向他方側、厚み方向他方側)である。
<本発明の積層体の一実施形態>
図1〜図3Bを参照して、本発明の一実施形態に係る積層体1を説明する。
1.積層体の製造方法
積層体1の製造方法の一実施形態を説明する。積層体1の製造方法は、例えば、用意工程、および、積層工程を備える。以下、各工程について順次説明する。
1−1.用意工程
用意工程では、第1層の一例としての蛍光体層2、および、第2層の一例としての透明層3を用意する。
具体的には、図2Aに示すように、第1剥離シート4と、その上面(厚み方向他方面)に配置される蛍光体層2とを備える蛍光体層シート5を作製する。別途、図2Bに示すように、第2剥離シート6と、その上面(厚み方向他方面)に配置される透明層3とを備える透明層シート7を作製する。
1−1−1.蛍光体層シート
(第1剥離シート)
第1剥離シート4は、図2Aに示すように、蛍光体層2に剥離可能に貼着される剥離層である。第1剥離シート4は、可撓性フィルムからなる。また、第1剥離シート4の上面、つまり、蛍光体層2に対する接触面は、必要によりフッ素処理などの剥離処理がなされている。
第1剥離シート4としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム(PETなど)などのポリマーフィルム、例えば、セラミクスシート、例えば、金属箔などが挙げられる。第1剥離シート4は、平面視略矩形状(短冊状、長尺状を含む)などを有している。
第1剥離シート4の平均膜厚は、例えば、1μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、2,000μm以下、好ましくは、1,000μm以下である。
(蛍光体層)
蛍光体層2は、第1剥離シート4の上面に設けられている。蛍光体層2は、蛍光組成物から形成される層(シート)状を有している。また、蛍光体層2は、後述する図4Bに示すように、光半導体素子15に直接的に貼着するように使用される。
蛍光組成物は、例えば、蛍光体および樹脂を含有している。
蛍光体としては、例えば、青色光を黄色光に変換することのできる黄色蛍光体、青色光を赤色光に変換することのできる赤色蛍光体などが挙げられる。
黄色蛍光体としては、例えば、(Ba,Sr,Ca)SiO;Eu、(Sr,Ba)SiO:Eu(バリウムオルソシリケート(BOS))などのシリケート蛍光体、例えば、YAl12:Ce(YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)、TbAl12:Ce(TAG(テルビウム・アルミニウム・ガーネット):Ce)などのガーネット型結晶構造を有するガーネット型蛍光体、例えば、Ca−α−SiAlONなどの酸窒化物蛍光体などが挙げられる。
赤色蛍光体としては、例えば、CaAlSiN:Eu、CaSiN:Euなどの窒化物蛍光体などが挙げられる。
蛍光体として、好ましくは、黄色蛍光体、より好ましくは、ガーネット型蛍光体が挙げられる。
蛍光体の形状としては、例えば、球状、板状、針状などが挙げられる。
蛍光体の最大長さの平均値(球状である場合には、平均粒子径)は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下でもある。
蛍光体は、単独使用または併用することができる。
蛍光体の含有割合は、蛍光組成物に対して、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下である。
樹脂としては、透明性および粘着性(すなわち、常温(25℃)での表面タック性)の樹脂が挙げられる。樹脂としては、具体的には、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられ、好ましくは、熱硬化性樹脂が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、好ましくは、Bステージとなることができる熱硬化性樹脂が挙げられる。このような熱硬化性樹脂としては、例えば、2段反応硬化性樹脂、1段反応硬化性樹脂が挙げられる。
2段反応硬化性樹脂は、2つの反応機構を有しており、第1段の反応で、AステージからBステージ化(半硬化)し、次いで、第2段の反応で、BステージからCステージ化(完全硬化)することができる。つまり、2段反応硬化性樹脂は、適度の加熱条件によりBステージとなることができる熱硬化性樹脂である。Bステージは、熱硬化性樹脂が、液状であるAステージと、完全硬化したCステージとの間の状態であって、硬化およびゲル化がわずかに進行し、圧縮弾性率がCステージの弾性率よりも小さい半固体または固体状態である。
1段反応硬化性樹脂は、1つの反応機構を有しており、第1段の反応で、AステージからCステージ化(完全硬化)することができる。このような1段反応硬化性樹脂として、好ましくは、第1段の反応の途中で、その反応が停止して、AステージからBステージとなることができ、その後のさらなる加熱によって、第1段の反応が再開されて、BステージからCステージ化(完全硬化)することができる熱硬化性樹脂である。
熱硬化性樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、好ましくは、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂が挙げられ、より好ましくは、シリコーン樹脂が挙げられる。
上記した熱硬化性樹脂は、同一種類または複数種類のいずれでもよい。
シリコーン樹脂としては、透明性、耐久性、耐熱性、耐光性の観点から、例えば、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物などのシリコーン樹脂組成物が挙げられ、好ましくは、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられる。シリコーン樹脂は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、1段反応硬化性樹脂組成物であって、例えば、アルケニル基含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンと、ヒドロシリル化触媒とを含有する。
アルケニル基含有ポリシロキサンは、分子内に2個以上のアルケニル基および/またはシクロアルケニル基を含有する。アルケニル基含有ポリシロキサンは、具体的には、下記平均組成式(1)で示される。
平均組成式(1):
SiO(4−a−b)/2
(式中、Rは、炭素数2〜10のアルケニル基および/または炭素数3〜10のシクロアルケニル基を示す。Rは、非置換または置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基(ただし、アルケニル基およびシクロアルケニル基を除く。)を示す。aは、0.05以上、0.50以下であり、bは、0.80以上、1.80以下である。)
式(1)中、Rで示されるアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基などの炭素数2〜10のアルケニル基が挙げられる。Rで示されるシクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル基、ノルボルネニル基などの炭素数3〜10のシクロアルケニル基が挙げられる。
として、好ましくは、アルケニル基、より好ましくは、炭素数2〜4のアルケニル基、さらに好ましくは、ビニル基が挙げられる。
で示されるアルケニル基は、同一種類または複数種類のいずれでもよい。
で示される1価の炭化水素基は、アルケニル基およびシクロアルケニル基以外の非置換または置換の炭素原子数1〜10の1価の炭化水素基である。
非置換の1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基などの炭素数1〜10のアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの炭素数3〜6のシクロアルキル基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基などの炭素数6〜10のアリール基、例えば、ベンジル基、ベンジルエチル基などの炭素数7〜8のアラルキル基が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、より好ましくは、メチル基および/またはフェニル基が挙げられる。
一方、置換の1価の炭化水素基は、上記した非置換の1価の炭化水素基における水素原子を置換基で置換したものが挙げられる。
置換基としては、例えば、塩素原子などのハロゲン原子、例えば、グリシジルエーテル基などが挙げられる。
置換の1価の炭化水素基としては、具体的には、3−クロロプロピル基、グリシドキシプロピル基などが挙げられる。
1価の炭化水素基は、非置換および置換のいずれであってもよく、好ましくは、非置換である。
で示される1価の炭化水素基は、同一種類または複数種類であってもよい。好ましくは、メチル基および/またはフェニル基が挙げられ、より好ましくは、メチル基およびフェニル基の併用が挙げられる。
aは、好ましくは、0.10以上、0.40以下である。
bは、好ましくは、1.5以上、1.75以下である。
アルケニル基含有ポリシロキサンの重量平均分子量は、例えば、100以上、好ましくは、500以上であり、また、例えば、10,000以下、好ましくは、5,000以下である。アルケニル基含有ポリシロキサンの重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定される標準ポリスチレンによる換算値である。
アルケニル基含有ポリシロキサンは、適宜の方法によって調製され、また、市販品を用いることもできる。
また、アルケニル基含有ポリシロキサンは、同一種類または複数種類であってもよい。
ヒドロシリル基含有ポリシロキサンは、例えば、分子内に2個以上のヒドロシリル基(SiH基)を含有する。ヒドロシリル基含有ポリシロキサンは、具体的には、下記平均組成式(2)で示される。
平均組成式(2):
SiO(4−c−d)/2
(式中、Rは、非置換または置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基(ただし、アルケニル基および/またはシクロアルケニル基を除く。)を示す。cは、0.30以上、1.0以下であり、dは、0.90以上、2.0以下である。)
式(2)中、Rで示される非置換または置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基は、式(1)のRで示される非置換または置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基と同一のものが例示される。好ましくは、非置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基、より好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、さらに好ましくは、メチル基および/またはフェニル基が挙げられる。
cは、好ましくは、0.5以下である。
dは、好ましくは、1.3以上、1.7以下である。
ヒドロシリル基含有ポリシロキサンの重量平均分子量は、例えば、100以上、好ましくは、500以上であり、また、例えば、10,000以下、好ましくは、5,000以下である。ヒドロシリル基含有ポリシロキサンの重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定される標準ポリスチレンによる換算値である。
ヒドロシリル基含有ポリシロキサンは、適宜の方法によって調製され、また、市販品を用いることもできる。
また、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンは、同一種類または複数種類であってもよい。
上記した平均組成式(1)および平均組成式(2)中、RおよびRの少なくともいずれか一方の炭化水素基は、好ましくは、フェニル基を含み、より好ましくは、RおよびRの両方の炭化水素が、フェニル基を含む。なお、RおよびRの少なくともいずれか一方の炭化水素基がフェニル基を含む場合には、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、フェニル系シリコーン樹脂組成物とされる。
ヒドロシリル基含有ポリシロキサンの配合割合は、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基およびシクロアルケニル基のモル数の、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンのヒドロシリル基のモル数に対する割合(アルケニル基およびシクロアルケニル基のモル数/ヒドロシリル基のモル数)が、例えば、1/30以上、好ましくは、1/3以上、また、例えば、30/1以下、好ましくは、3/1以下となるように、調整される。
ヒドロシリル化触媒は、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基および/またはシクロアルケニル基と、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンのヒドロシリル基とのヒドロシリル化反応(ヒドロシリル付加)の反応速度を向上させる物質(付加触媒)であれば、特に限定されず、例えば、金属触媒が挙げられる。金属触媒としては、例えば、白金黒、塩化白金、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−カルボニル錯体、白金−アセチルアセテートなどの白金触媒、例えば、パラジウム触媒、例えば、ロジウム触媒などが挙げられる。
ヒドロシリル化触媒の配合割合は、金属触媒の金属量(具体的には、金属原子)として、アルケニル基含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル基含有ポリシロキサンに対して、質量基準で、例えば、1.0ppm以上であり、また、例えば、10,000ppm以下、好ましくは、1,000ppm以下、より好ましくは、500ppm以下である。
付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、アルケニル基含有ポリシロキサン、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を、上記した割合で配合することにより、調製される。
上記した付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、まず、アルケニル基含有ポリシロキサン、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を配合することによって、Aステージ(液体)状態として調製されて使用される。
上記したように、フェニル系シリコーン樹脂組成物は、所望条件の加熱により、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基および/またはシクロアルケニル基と、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンのヒドロシリル基とのヒドロシリル化付加反応を生じ、その後、ヒドロシリル化付加反応が、一旦、停止する。これによって、AステージからBステージ(半硬化)状態となることができる。
その後、フェニル系シリコーン樹脂組成物は、さらなる所望条件の加熱により、上記したヒドロシリル化付加反応が再開されて、完結する。これによって、BステージからCステージ(完全硬化)状態となることができる。
縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、2段反応硬化性樹脂であって、具体的には、例えば、特開2010−265436号公報、特開2013−187227号公報などに記載される第1〜第8の縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物、例えば、特開2013−091705号公報、特開2013−001815号公報、特開2013−001814号公報、特開2013−001813号公報、特開2012−102167号公報などに記載されるかご型オクタシルセスキオキサン含有シリコーン樹脂組成物などが挙げられる。なお、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物は、固体状であって、熱可塑性および熱硬化性を併有する。
そして、上記した樹脂は、少なくともBステージ(半硬化)状態にあるとき、すなわち、蛍光体層2を形成しているときの樹脂は、固体状である。そして、このようなBステージとなる樹脂は、熱可塑性および熱硬化性を併有する。つまり、樹脂は、加熱により、一旦、可塑化した後、完全硬化する。より具体的には、樹脂は、昇温とともに、粘度が次第に下降し、その後、昇温を継続すると、粘度が次第に上昇する。
なお、フェニル系シリコーン樹脂組成物は、Bステージにおいて、さらなる加熱において、軟化する(極小点を示す)ものの、そのBステージ状態は、縮合・付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物などの一般的なシリコーン樹脂よりも硬い。
樹脂(好ましくは、熱硬化性樹脂)の屈折率R1は、例えば、1.45以上、好ましくは、1.50以上であり、また、例えば、1.75以下、好ましくは、1.65以下である。
樹脂の含有割合は、蛍光組成物に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、99質量%以下、好ましくは、95質量%以下である。
さらに、蛍光組成物は、チクソ付与粒子、充填材(後述)などの粒子を含有することもできる。好ましくは、蛍光組成物は、チクソ付与粒子を含有する。
チクソ付与粒子は、光拡散組成物にチクソ性を付与または向上させるための粒子であって、好ましくは、光拡散性の観点から、ヒュームドシリカ(煙霧シリカ)などのナノシリカなどが挙げられる。
ヒュームドシリカとしては、例えば、ジメチルジクロロシラン、シリコーンオイルなどの表面処理剤により表面が疎水化された疎水性煙霧シリカ、および、表面処理されていない親水性煙霧シリカのいずれであってもよい。
ナノシリカ(特にヒュームドシリカ)の平均粒子径は、例えば、1nm以上、好ましくは、5nm以上であり、また、例えば、200nm以下、好ましくは、50nm以下である。また、ナノシリカ(特にヒュームドシリカ)の比表面積(BET法)は、例えば、50m/g以上、好ましくは、200m/g以上であり、また、例えば、500m/g以下である。
蛍光組成物がチクソ付与粒子を含有する場合、チクソ付与粒子の含有割合は、蛍光組成物に対して、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上であり、また、例えば、10質量%以下、好ましくは、3質量%以下である。
さらに、蛍光組成物は、上記粒子以外にもその他の添加剤などを含有することもできる。
蛍光体層2の平均膜厚は、例えば、30μm以上、好ましくは、40μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、300μm以下である。
(蛍光体層シートの作製)
蛍光体層シート5を作製するには、例えば、蛍光体と、樹脂と、必要により配合される粒子とを配合して、蛍光組成物(ワニス)を調製し、続いて、それを、第1剥離シート4の上面に塗布する。次いで、蛍光組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合には、蛍光組成物を、Bステージ化する。具体的には、蛍光組成物を、加熱(ベイク)する。
加熱(ベイク)条件は、蛍光体層2において動的粘弾性測定における貯蔵剪断弾性率G’が後述する所望の範囲となるように、適宜設定される。
つまり、加熱温度は、蛍光組成物における熱硬化性樹脂の組成によって適宜設定され、具体的には、例えば、50℃以上、好ましくは、70℃以上であり、また、例えば、120℃以下、好ましくは、100℃以下である。加熱温度が上記下限以上、および/または、加熱温度が上記上限以下であれば、上記した貯蔵剪断弾性率G’の極小値を所望の範囲に設定することができる。
加熱時間は、例えば、2.5分以上、好ましくは、5.5分以上であり、また、例えば、4時間以下、好ましくは、1時間以下である。特に、蛍光組成物が、フェニル系シリコーン樹脂組成物を含有する場合、加熱温度が70〜100℃(特に、80℃)であれば、加熱時間は、好ましくは、12〜15分程度である。加熱時間が上記下限以上、および/または、上記上限以下であれば、上記した貯蔵剪断弾性率G’の極小値を所望の範囲に設定することができる。
これにより、図2Aに示すように、第1剥離シート4と、その上面に形成される蛍光体層2とを備える蛍光体層シート5が得られる。なお、蛍光体層2が熱硬化性樹脂を含有する場合は、蛍光体層2は、Bステージである。
(蛍光体層の物性)
(1) 動的粘弾性
このような蛍光体層2を、周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線は、図7が参照されるように、極小値を有する。なお、極小値を複数有する場合には、極小値は、貯蔵剪断弾性率G’が最も低い値に位置する極小値を意味する。
そして、そのような極小値における温度Tが、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、上記した極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にある。また、上記した極小値における貯蔵剪断弾性率G’は、好ましくは、2,000Pa以上であり、また、好ましくは、85,000Pa以下の範囲にある。
極小値における温度Tが40℃未満であれば、後述する積層工程において、蛍光体層2と透明層3との界面の密着力が低下する不具合が生じる。極小値における温度Tが200℃超過であれば、後述する積層工程において、蛍光体層2と透明層3との界面の密着力が低下する不具合が生じる。
極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、上記した下限を下回れば、蛍光体層2が過度に柔らかいため、蛍光体層2の膜厚(厚み)が不均一となる。すなわち、膜厚精度が低下する。そのため、その後の熱プレス工程によって得られる貼着光半導体素子8(図4D参照)においても、蛍光体層2や透明層3の膜厚が不均一になり、貼着光半導体素子8の色均一性が低下する不具合がある。
極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、上記した上限を上回れば、蛍光体層2の粘度が十分に下降しないので、後述する積層工程において、蛍光体層2と透明層3との界面の密着力が低下する不具合が生じる。また、貼着光半導体素子8においても、蛍光体層2と光半導体素子15との間にボイドが発生したり、蛍光体層2の光半導体素子15に対する密着力が低下したり、色均一性が低下する不具合がある。
100℃における貯蔵剪断弾性率G’は、81,000Pa以下であり、好ましくは、80,000Pa以下である。また、例えば、1,000Pa以上、好ましくは、2,000Pa以上である。
100℃における貯蔵剪断弾性率G’が、上記した上限を上回れば、蛍光体層2の粘度が十分に下降しないので、後述する積層工程において、蛍光体層2と透明層3との界面の密着力が低下する不具合が生じる。また、貼着光半導体素子8においても、蛍光体層2と光半導体素子15との間にボイドが発生する不具合がある。また、蛍光体層2の光半導体素子15に対する密着力が低下する不具合がある。また、100℃における貯蔵剪断弾性率G’が、上記した下限を下回れば、蛍光体層2の膜厚精度が低下し、貼着光半導体素子8の色均一性が低下する場合がある。
80℃における貯蔵剪断弾性率G’は、例えば、2,000Pa以上、好ましくは、3,000Pa以上であり、また、例えば、100,000Pa以下、好ましくは、90,000Pa以下である。
60℃における貯蔵剪断弾性率G’は、例えば、5,000Pa以上、好ましくは、10,000Pa以上であり、また、例えば、150,000Pa以下、好ましくは、130,000Pa以下である。
25℃における貯蔵剪断弾性率G’は、例えば、50,000Pa以上、好ましくは、100,000Pa以上であり、また、例えば、300,000Pa以下、好ましくは、150,000Pa以下である。
80℃、60℃、25℃における貯蔵剪断弾性率G’が上記した下限以上であれば、積層体1の膜厚精度をより一層向上させることができる。80℃、60℃、25℃における貯蔵剪断弾性率G’が上記した上限以下であれば、貼着光半導体素子8において、ボイドの発生をより一層抑制することができ、また、蛍光体層2の光半導体素子15に対する密着力をより一層向上させることができる。
また、LOG10(25℃の貯蔵剪断弾性率G’)−LOG10(貯蔵剪断弾性率G’の極小値)は、例えば、0.20以上、好ましくは、0.25以上であり、また、例えば、2.00以下、好ましくは、1.70以下、より好ましくは、1.00以下である。
「LOG10(25℃の貯蔵剪断弾性率G’)−LOG10(貯蔵剪断弾性率G’の極小値)」は、図7に示され、貯蔵剪断弾性率G’が対数で表される曲線において、25℃における貯蔵剪断弾性率G’と、貯蔵剪断弾性率G’の極小値との間の長さを意味する。
「LOG10(25℃の貯蔵剪断弾性率G’)−LOG10(貯蔵剪断弾性率G’の極小値)」が上記上限以下、および/または、上記下限以上であれば、蛍光体層2が優れた密着力で光半導体素子15に貼着しながら、光半導体素子15に貼着した蛍光体層2の膜厚を均一にすることができる。
(2) 圧縮弾性率
蛍光体層2の25℃における圧縮弾性率は、例えば、1.0MPa以上、好ましくは、5.0MPa以上であり、また、例えば、40MPa以下、好ましくは、25MPa以下である。
(3) トルエン可溶分
蛍光体層2に含有される樹脂のトルエン可溶分は、例えば、5質量%以上、好ましくは、10質量%以上、より好ましくは、25質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、60質量%以下、より好ましくは、50質量%以下である。
樹脂のトルエン可溶分が上記上限以下、および/または、上記下限以上であれば、貯蔵剪断弾性率G’の極小値を所望の範囲に設定でき、それによって、蛍光体層2が優れた密着力で光半導体素子15に貼着しながら、光半導体素子15に貼着した蛍光体層2の膜厚を均一にすることができる。
樹脂のトルエン可溶分は、下記式により算出される。
樹脂のトルエン可溶分(質量%)=トルエン可溶分の質量/樹脂の質量×100
樹脂のトルエン可溶分は、蛍光体層2を用いて測定される。そのため、蛍光体層2における蛍光組成物が蛍光体および/または粒子を含有する場合には、下記の手順(1)〜(6)に従って、蛍光体および粒子の質量を差し引いて、樹脂のトルエン可溶分を算出する。
手順(1):樹脂組成物シートの断面SEM観察を行い、蛍光体および粒子の有無、および、粒子の種類(無機粒子および有機粒子のいずれか)を確認する。
(1−1)無機粒子が確認された場合は、蛍光体層2を焼成して、残渣として無機粒子の質量を測定する。
(1−2)有機粒子が確認された場合は、有機粒子の断面SEMの体積分率に有機粒子の一般的な密度1.25g/cmを乗じて有機粒子の質量を算出する。
手順(2):蛍光体層2を精秤して、PTFEシートに包み、25℃で、トルエンで24時間浸漬、振とうさせる。
手順(3):トルエン不溶分を分離し、乾燥によりトルエンを除去した後、トルエン不溶分の質量を測定する。
手順(4):精秤した試料質量からトルエン不溶分の質量を差し引くことにより、トルエン可溶分の質量を算出する。
手順(5):仕込みの蛍光体層2の質量から、蛍光体および粒子の質量を差し引いて、樹脂の質量を算出する。
手順(6):下記式により、トルエン可溶分を算出する。
トルエン可溶分(質量%)=トルエン可溶分の質量/樹脂の質量×100
なお、蛍光組成物が、トルエンに可溶な有機粒子を含有する場合は、試料質量からトルエン不溶分の質量および有機粒子の質量を差し引くことにより、樹脂におけるトルエン可溶分の質量を算出する。
(4) アルケニル基およびヒドロシリル基の含量
樹脂が、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物を含有する場合には、蛍光体層2におけるアルケニル基(具体的には、ビニル基:CH=CH−基)の蛍光体層2における含量は、例えば、4%以上であり、また、例えば、20%以下、好ましくは、10%以下である。また、ヒドロシリル基(H−Si基)の蛍光体層2における含量は、例えば、2%以上、好ましくは、5%以上、より好ましくは、10%以上であり、また、例えば、30%以下、好ましくは、20%以下である。
アルケニル基および/またはヒドロシリル基の含量が、上記下限以上、および/または、上記上限以下であれば、蛍光体層2が優れた密着力で光半導体素子15に貼着しながら、光半導体素子15に貼着した蛍光体層2の膜厚を均一にすることができる。
上記したビニル基およびヒドロシリル基の算出方法は、後述する実施例において、詳述される。
1−1−2.透明層シート
(第2剥離シート)
第2剥離シート6は、図2Bに示すように、透明層3に剥離可能に貼着される剥離層である。第2剥離シート6は、可撓性フィルムからなり、具体的には、第1剥離シート4と同様のものを用いることができる。
(透明層)
透明層3は、第2剥離シート6の上面に設けられている。透明層3は、透明組成物から形成される層(シート)状を有している。
透明組成物は、例えば、透明樹脂を含有している。
透明樹脂としては、透明性および粘着性(すなわち、常温(25℃)での表面タック性)の樹脂が挙げられる。樹脂としては、蛍光組成物で上述した樹脂が挙げられ、好ましくは、熱硬化性樹脂が挙げられ、より好ましくは、シリコーン樹脂が挙げられ、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられ、さらに好ましくは、フェニル系シリコーン樹脂組成物が挙げられる。また、好ましくは、透明組成物における樹脂は、蛍光組成物における樹脂と同一である。これにより、積層体1において、蛍光体層2と透明層3との界面の密着力をより一層向上させることができる。
透明樹脂の含有割合は、透明組成物に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、100質量%以下、好ましくは、99質量%以下、より好ましくは、95質量%以下である。
さらに、透明組成物は、充填材、チクソ付与粒子などの粒子を含有することもできる。
充填材としては、例えば、無機粒子、有機粒子などが挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ(SiO)、タルク(Mg(Si10)(HO))、アルミナ(Al)、酸化ホウ素(B)、酸化カルシウム(CaO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化バリウム(BaO)、酸化アンチモン(Sb)などの酸化物、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si)などの窒化物などの無機物粒子(無機物)が挙げられる。また、無機粒子として、例えば、上記例示の無機物から調製される複合無機物粒子が挙げられ、具体的には、酸化物から調製される複合無機酸化物粒子(具体的には、ガラス粒子など)が挙げられる。
有機粒子の有機材料としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などが挙げられる。
これら無機粒子および有機粒子は、例えば、後述するトルエンなどの溶剤に不溶である。なお、有機粒子は、例えば、溶剤に溶解するものを含むこともできる。
充填材は、単独使用または併用することができる。
充填材としては、好ましくは、無機粒子が挙げられ、より好ましくは、シリカ粒子、ガラス粒子が挙げられ、さらに好ましくは、ガラス粒子が挙げられる。
充填材の屈折率R2は、樹脂の屈折率R1との差の絶対値(|R1−R2|)が、例えば、0.03以下、好ましくは、0.01以下となるように設定される。これにより、透明層3の透明性を確保しつつ、完全硬化(キュア)後の透明層3の硬度を向上させることができる。
充填材の平均粒子径は、例えば、1.0μm以上、好ましくは、2.0μm以上、より好ましくは、4.0μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、25μm以下、より好ましくは、10μm以下である。本発明において、平均粒子径は、粒度分布測定装置により、体積基準のD50値として求められる。
透明組成物が充填材を含有する場合、充填材の含有割合は、透明組成物に対して、例えば、1質量%以上、より好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、90質量%以下、好ましくは、80質量%以下である。
チクソ付与粒子としては、蛍光組成物で上記したものと同様のものが挙げられ、好ましくは、ヒュームドシリカが挙げられる。
透明組成物がチクソ付与粒子を含有する場合、チクソ付与粒子の含有割合は、透明組成物に対して、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.5質量%以上であり、また、例えば、10質量%以下、好ましくは、3質量%以下である。
なお、透明組成物は、粒子として、光拡散粒子を含有することもできる。これにより、光半導体素子15から発光された光を、透明層3において散乱させ、均一に発光させることができる。
光拡散粒子では、その屈折率R3と樹脂の屈折率R1との差の絶対値(|R1−R3|)が、例えば、0.04以上、好ましくは、0.11以上であり、また、例えば、0.25以下、好ましくは、0.20以下となるように設定される。光拡散粒子の材料としては、例えば、上記した充填材と同様のものが挙げられる。
透明層3の平均膜厚は、例えば、40μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、300μm以下である。
蛍光体層2の平均膜厚に対する、透明層3の平均膜厚の比(透明層/蛍光体層)は、例えば、0.08以上、好ましくは、0.17以上であり、また、例えば、16以下、好ましくは、7.5以下である。
(透明層シートの作製)
透明層シート7を作製するには、例えば、樹脂と、必要により配合される粒子とを配合して、透明組成物(ワニス)を調製し、続いて、それを、第2剥離シート6の上面に塗布する。次いで、透明組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合には、透明組成物を、Bステージ化する。具体的には、透明組成物を、加熱(ベイク)する。
加熱(ベイク)条件は、透明層3において動的粘弾性測定における貯蔵剪断弾性率G’が後述する所望の範囲となるように、適宜設定される。
具体的には、加熱条件は、蛍光体層シート5の作製と同様の条件が挙げられる。
これにより、図2Bに示すように、第2剥離シート6と、その上面に形成される透明層3とを備える透明層シート7が得られる。なお、透明層3が、熱硬化性樹脂を含有する場合は、透明層3は、Bステージである。
(透明層の物性:動的粘弾性)
このような透明層3は、上記した蛍光体層2と同様の物性を有する。
具体的には、透明層3を、周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線は、極小値を有する。
そして、そのような極小値における温度Tが、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、上記した極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にある。また、上記した極小値における貯蔵剪断弾性率G’は、好ましくは、2,000Pa以上であり、また、好ましくは、85,000Pa以下、より好ましくは、30,000Pa以下の範囲にある。
極小値における温度Tが40℃未満であれば、後述する積層工程において、蛍光体層2と透明層3との界面の密着力が低下する不具合が生じる。極小値における温度Tが200℃超過であれば、後述する積層工程において、蛍光体層2と透明層3との界面の密着力が低下する不具合が生じる。
極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、上記した下限を下回れば、透明層3が過度に柔らかいため、透明層3の膜厚(厚み)が不均一となる。すなわち、膜厚精度が低下する。そのため、その後の熱プレス工程によって得られる貼着光半導体素子8(図4D参照)においても、透明層3や蛍光体層2の膜厚が不均一になり、貼着光半導体素子8の色均一性が低下する不具合がある。
極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、上記した上限を上回れば、透明層3の粘度が十分に下降しないので、後述する積層工程において、蛍光体層2と透明層3との界面の密着力が低下する不具合が生じる。
100℃における貯蔵剪断弾性率G’は、81,000Pa以下であり、好ましくは、80,000Pa以下である。また、例えば、1,000Pa以上、好ましくは、2,000Pa以上である。
100℃における貯蔵剪断弾性率G’が、上記した上限を上回れば、透明層3の粘度が十分に下降しないので、後述する積層工程において、蛍光体層2と透明層3との界面の密着力が低下する不具合が生じる。また、100℃における貯蔵剪断弾性率G’が、上記した下限を下回れば、透明層3の膜厚精度が低下する。そのため、その後の熱プレス工程によって得られる貼着光半導体素子8(図4D参照)においても、透明層3や蛍光体層2の膜厚が不均一になり、貼着光半導体素子8の色均一性が低下する不具合がある。
80℃、60℃、25℃における貯蔵剪断弾性率G’、LOG10(25℃の貯蔵剪断弾性率G’)−LOG10(貯蔵剪断弾性率G’の極小値)、圧縮弾性率、トルエン可溶分などの他の物性も、上記した蛍光体層2における値(好ましい値を含めて)と同様である。
1−2.積層工程
積層工程では、蛍光体層2と透明層3とを積層させる。
具体的には、まず、図2Cに示すように、蛍光体層シート5および透明層シート7を、蛍光体層2および透明層3が対向するように配置する。続いて、透明層3および蛍光体層2のいずれか一方を他方に対して押圧する。
押圧方法としては、好ましくは、ロールラミネーターによる方法、真空プレスによる方法が挙げられる。
(1)ロールラミネーター
この方法では、2つの回転可能なロール30が互いに僅かな隙間を隔てるように対向配置されたロールラミネーターを用意する(図2D参照)。ロール30には、加熱装置(図示しない)が設けられており、ロール30を所定の温度に加熱する。
加熱温度は、100℃以下であり、好ましくは、80℃以下、より好ましくは、60℃以下である。また、例えば、25℃以上、好ましくは、40℃以上である。加熱温度を上記した上限以下とすることにより、積層時における蛍光体層2および透明層3の物性の変化を抑制することができ、積層後の蛍光体層2および透明層3も、積層前の蛍光体層2および透明層3の物性を維持することができる。
続いて、図2Dに示すように、蛍光体層2および透明層3が接触するように、蛍光体層シート5および透明層シート7を2つのロール30の隙間を通過させる。
ロール30を通過する際の圧力は、例えば、0.80MPa以下、好ましくは、0.50MPa以下であり、また、例えば、0.01MPa以上、好ましくは、0.10MPa以上である。
圧力を上記した上限以下とすることにより、積層前後の蛍光体層2および透明層3の膜厚を精度よく維持することができる。
このようにして、図2Eに示すように、蛍光体層2と、その下面(厚み方向一方面)に設けられる透明層3とを備える積層体1が、第1剥離シート4および第2剥離シート6に挟まれた状態で、得られる。
ロールラミネーターによる方法では、比較的低温かつ短時間で積層工程を完了させることができるため、積層時における蛍光体層2および透明層3の物性の変化を抑制することができ、積層後の蛍光体層2および透明層3の物性を、積層前の蛍光体層2および透明層3の物性を維持することができる。また、積層後の蛍光体層2および透明層3の膜厚も、積層前の蛍光体層2および透明層3の膜厚を精度よく維持することができる。
(2)真空プレス
この方法では、下板31と、下板31の上に間隔を隔てて対向配置され、プレス時には下板31の上面まで移動可能な上板32とを備える熱プレス機33を用意する(図3A参照)。下板31および上板32には、加熱装置(図示しない)が設けられている。
続いて、蛍光体層シート5を、透明層シート7に直接配置する。具体的には、蛍光体層2の表面が透明層3の表面に接触するように、蛍光体層シート5を、透明層シート7に、載置する。
続いて、図3Aに示すように、蛍光体層シート5および透明層シート7を、透明層シート7が下板31に載置されるように、プレス機33にセットする。
続いて、図3Bに示すように、上板32を下方に移動し、蛍光体層2を透明層3に対して押圧する。このとき、蛍光体層シート5、透明層シート7およびプレス機33を含む空間を、真空または低圧にし、別途、加熱装置を用いて、下板31および上板32を加熱する。
真空度は、例えば、10kPa以下、好ましくは、1kPa以下であり、例えば、0.1kPa以上である。
加熱温度は、100℃以下であり、好ましくは、80℃以下、より好ましくは、60℃以下である。また、例えば、25℃以上、好ましくは、40℃以上である。加熱温度を上記した上限以下とすることにより、積層時における蛍光体層2および透明層3の物性の変化を抑制することができ、積層後の蛍光体層2および透明層3も、積層前の蛍光体層2および透明層3の物性を維持することができる。
プレス圧力は、例えば、0.80MPa以下、好ましくは、0.50MPa以下であり、また、例えば、0.01MPa以上、好ましくは、0.10MPa以上である。圧力を上記した上限以下とすることにより、積層前後の蛍光体層2および透明層3の膜厚を精度よく維持することができる。
プレス時間は、例えば、300秒以下、好ましくは、60秒以下であり、また、例えば、5秒以上である。
このようにして、蛍光体層2と透明層3とを備える積層体1が、第1剥離シート4および第2剥離シート6に挟まれた状態で、得られる。
真空プレスによる方法では、積層体1の蛍光体層2と透明層3との界面のボイドの発生を抑制できるため、積層時における蛍光体層2および透明層3の物性の変化を抑制することができ、積層後の蛍光体層2および透明層3は、積層前の蛍光体層2および透明層3の物性を維持することができる。また、積層後の蛍光体層2および透明層3の膜厚も、積層前の蛍光体層2および透明層3の膜厚を精度よく維持することができる。
2.積層体
このようにして得られる積層体1は、後述する貼着光半導体素子8(図4D参照)ではなく、また、光半導体装置21(図4E参照)でもない。すなわち、積層体1は、貼着光半導体素子8および光半導体装置21の一部品であり、すなわち、貼着光半導体素子8および光半導体装置21を作製するための部品である。そのため、積層体1は、光半導体素子15および電極基板16(図4E参照)を含まず、積層体1そのものが、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
積層体1における蛍光体層2の物性は、蛍光体層シート5における蛍光体層2(すなわち、積層前の蛍光体層2)の物性と同一であり、積層体1における透明層3の物性は、透明層シート7における透明層3(すなわち、積層前の透明層3)の物性と同一である。
具体的には、蛍光体層2および透明層3が、熱硬化性樹脂を含有する場合は、積層体における蛍光体層2および透明層3は、Bステージである。
また、積層体1において、蛍光体層2および透明層3のそれぞれを、周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線が、ともに、極小値を有し、その極小値における温度Tが、ともに、40℃以上、200℃以下の範囲にある。
また、積層体1における蛍光体層2および透明層3のそれぞれについて、極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にある。これらの好ましい値も、蛍光体層シート5における蛍光体層2、および、透明層シート7における透明層3にて上述した値と同様である。
また、積層体1における蛍光体層2および透明層3のそれぞれについて、100℃における貯蔵剪断弾性率G’は、ともに、81,000Pa以下である。これらの好ましい値も、蛍光体層シート5における蛍光体層2、および、透明層シート7における透明層3にて上述した値と同様である。
積層体1における蛍光体層2および透明層3のそれぞれについて、これらの80℃、60℃および25℃における貯蔵剪断弾性率G’も、蛍光体層シート5における蛍光体層2、および、透明層シート7における透明層3にて、上述した値(好ましい値を含めて)と同様である。
積層体1全体(すなわち、蛍光体層2および透明層3)を、周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線も、極小値を有する。
そして、そのような極小値における温度Tは、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、上記した極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、例えば、1,000Pa以上、好ましくは、2,000Pa以上であり、また、例えば、90,000Pa以下、好ましくは、85,000Pa以下の範囲にある。
極小値における温度Tが40℃以上200℃以下とすることにより、後述する熱プレス工程において、積層体1と光半導体素子15との密着力が向上する。
極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、上記した下限以上とすることにより、熱プレス工程において、積層体1の膜厚を均一に維持することができ、貼着光半導体素子8の色均一性を良好にすることができる。
極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、上記した上限以下とすることにより、熱プレス工程において、積層体1と光半導体素子15との界面の密着力との密着力が向上する。また、貼着光半導体素子8において、ボイドの発生を抑制したり、色均一性を良好にすることができる。
積層体1全体において、100℃における貯蔵剪断弾性率G’は、例えば、81,000Pa以下、好ましくは、80,000Pa以下である。また、例えば、1,000Pa以上、好ましくは、2,000Pa以上である。また、80℃における貯蔵剪断弾性率G’は、例えば、2,000Pa以上、好ましくは、3,000Pa以上であり、また、例えば、100,000Pa以下、好ましくは、90,000Pa以下である。また、60℃における貯蔵剪断弾性率G’は、例えば、5,000Pa以上、好ましくは、10,000Pa以上であり、また、例えば、150,000Pa以下、好ましくは、130,000Pa以下である。
100℃、80℃、60℃における貯蔵剪断弾性率G’が上記した下限以上であれば、積層体1の膜厚精度をより一層向上させることができる。100℃、80℃、60℃における貯蔵剪断弾性率G’が上記した上限以下であれば、貼着光半導体素子8において、ボイドの発生をより一層抑制することができ、また、蛍光体層2の、光半導体素子15に対する密着力をより一層向上させることができる。
積層体1の平均膜厚は、例えば、60μm以上、好ましくは、100μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
<本発明の貼着光半導体素子の製造方法の一実施形態>
図4A〜図4Eを参照して、本発明の一実施形態に係る貼着光半導体素子8の製造方法を説明する。
貼着光半導体素子8の製造方法は、例えば、シート用意工程、素子用意工程、熱プレス工程、個片化工程、剥離工程を備える。以下、各工程について順次説明する。
1−1.シート用意工程
シート用意工程では、図1に示すように、上記した積層体1の製造方法で記載したように、積層体1を用意する。
1−2.素子用意工程
素子用意工程では、図4Aに示すように、基材12に配置される光半導体素子15を用意する。
具体的には、まず、基材12と、基材12に仮固定される封止光半導体素子25とを用意する。
基材12は、支持板13と、支持板13の上面に配置される粘着シート14とを備えている。
支持板13は、上記した第1剥離シート4と同様の材料から形成されている。また、支持板13は、ガラス、シリコンウエハなどの無機材料から形成されていてもよい。支持板13の膜厚は、例えば、10μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、1,200μm以下、好ましくは、1,000μm以下である。
粘着シート14は、例えば、加熱および/または紫外線照射により、後で詳述する封止光半導体素子25が容易に剥離できるシート(すなわち、封止光半導体素子25を仮固定できる仮固定シート)から形成されている。粘着シート14の膜厚は、例えば、10μm以上、好ましくは、15μm以上であり、また、例えば、300μm以下、好ましくは、250μm以下である。
基材12は、支持板13の表面に、粘着シート14を配置することにより得られる。基材12の膜厚は、例えば、200μm以上、好ましくは、300μm以上であり、また、例えば、5,000μm以下、好ましくは、4,000μm以下である。
封止光半導体素子25は、図5Eに示すように、光半導体素子15と、封止層24とを備える。
光半導体素子15は、例えば、電気エネルギーを光エネルギーに変換するLEDやLDである。好ましくは、光半導体素子15は、青色光を発光する青色LED(発光ダイオード素子)である。一方、光半導体素子15は、光半導体素子とは技術分野が異なるトランジスタなどの整流器を含まない。
光半導体素子15は、上下方向に直交する面方向に沿う略平板形状を有している。光半導体素子15は、電極側面17と、対向面としての露出面18と、周側面19とを有している。
電極側面17は、図5Eに示す光半導体素子15における上面(図4Aに示す光半導体素子15における下面)である。電極側面17には、電極22が設けられている。電極22は、電極側面17から上側に突出する形状を有している。
露出面18は、図5Eに示す光半導体素子15における下面(図4Aに示す光半導体素子15における上面)であって、電極側面17に対して下側に間隔を隔てて対向配置されている。
周側面19は、電極側面17の周端縁と、露出面18の周端縁とを連結している。
光半導体素子15の寸法は、適宜設定されており、具体的には、厚み(上下方向長さ)が、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.2μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、200μm以下である。また、光半導体素子15を厚み方向に投影したときの投影面積(すなわち、露出面18の面積)は、例えば、0.01mm以上、好ましくは、0.02mm以上であり、また、例えば、4mm以下、好ましくは、3mm以下である。
封止層24は、図4Aに示すように、基材12の上において、光半導体素子15の電極側面17および周側面19を被覆している。これによって、封止層24は、電極側面17および周側面19を封止している。一方、封止層24は、光半導体素子15の露出面18を露出している。
また、封止層24は、電極22の周側面を被覆している。図5Eに示す封止層24は、電極22の上面を露出している。
封止層24は、例えば、特開2012−175068号公報などに記載される封止樹脂組成物から形成されている。また、封止層24は、白色粒子(後述)などの反射粒子を含有させた反射層とすることもできる。
封止光半導体素子25は、特開2012−175068号公報の記載に準拠して得られる。
具体的には、まず、図5Aに示すように、電極22が設けられた光半導体素子15を複数用意する。
次いで、図5Bに示すように、複数の光半導体素子15を、仮固定基材23に仮固定する。
仮固定基材23は、上記した図4Aに示す基材12と同様に構成されており、具体的には、支持板13および粘着シート14を備える。
具体的には、複数の光半導体素子15の露出面18を、粘着シート14の上面に接触させる。
次いで、図5Cに示すように、封止樹脂組成物を、電極22を含む複数の光半導体素子15を被覆するように、つまり、電極22を含む光半導体素子15の厚みより厚く、基材12の上に塗布する。その後、封止樹脂組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合には、封止樹脂組成物を、加熱により硬化させる。
これによって、封止層24を、電極22および光半導体素子15を埋設するように、基材12の上に配置する。
なお、上記した塗布に代えて、圧縮成形によって、封止樹脂組成物からなる封止層24を、電極22および光半導体素子15を埋設するように、基材12の上に配置することができる。あるいは、封止樹脂組成物からなるシート状の封止層24によって、電極22および光半導体素子15を埋設して、封止層24を基材12の上に配置することもできる。
次いで、図5Dに示すように、封止層24の上側部分を、電極22の上面が露出するように、例えば、グラインド加工などによって、除去する。
これによって、上面が露出する電極22が設けられた光半導体素子15と、光半導体素子15の電極側面17および周側面19を被覆する封止層24とを備える封止光半導体素子25を、仮固定基材23によって仮固定された状態で、得る。
その後、図5Eに示すように、封止光半導体素子25を、仮固定基材23から引き剥がす。
これによって、光半導体素子15の露出面18、および、電極22の上面が封止層24から露出する封止光半導体素子25を得る。
続いて、図4Aに示すように、図5Eに示す封止光半導体素子25を上下反転させて、封止光半導体素子25の下面を、基材12に配置する。具体的には、電極22の下面、および、電極22から露出する封止層24の下面を、粘着シート14の上面に仮固定する。
1−3.熱プレス工程
熱プレス工程では、まず、積層体1から第1剥離シート4を剥離して蛍光体層2表面を露出させ、続いて、積層体1を、基材12に仮固定された封止光半導体素子25の上面に直接的に配置する。具体的には、蛍光体層2の表面が、光半導体素子15の露出面18、および、封止層24の上面(露出面18と面一に形成されている上面)に接触するように、積層体1を載置する。
続いて、封止光半導体素子25および積層体1を、下板31と上板32との間に配置して、プレス機33にセットする。
続いて、図4Bに示すように、上板32を下方に移動し、積層体1を封止光半導体素子25に対して押圧する。
熱プレス条件は、蛍光体層2における貼着組成物が可塑化し、続いて、蛍光組成物の硬化がわずかに進行する条件に適宜設定される。
具体的には、熱プレスの温度は、40℃以上、好ましくは、50℃以上であり、また、200℃以下、好ましくは、180℃以下、より好ましくは、150℃以下である。
熱プレスの圧力は、例えば、0.01MPa以上、好ましくは、0.10MPa以上であり、また、例えば、10.00MPa以下、好ましくは、5.00MPa以下、より好ましくは、3.00MPa以下である。熱プレスの圧力が上記上限以下であれば、熱プレス工程後における積層体1の膜厚を均一にすることができる。熱プレスの圧力が上記下限以上であれば、熱プレス工程後における蛍光体層2の封止光半導体素子25に対する良好な密着性を確保することができる。
とりわけ、蛍光体層2および透明層3の上記した極小値における温度Tが、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、上記した極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、10,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にある場合において、熱プレスの圧力を比較的高く設定することができる。具体的には、0.10MPa以上、好ましくは、0.50MPa以上、より好ましくは、1.00MPa以上、さらに好ましくは、2.00MPa以上で、例えば、10.00MPa以下に設定することができる。
熱プレスの時間は、例えば、0.2分以上、好ましくは、5分以上であり、また、例えば、30分以下、好ましくは、10分以下である。
また、熱プレスは、複数回実施することができる。
上記した熱プレスによって、蛍光体層2は、まず、樹脂が可塑化することに基づいて、封止光半導体素子25の上面(光半導体素子15の露出面18、および、封止層24の上面)に直接的に貼着する。続いて、蛍光体層2は、樹脂がわずかに硬化することに基づいて、封止光半導体素子25の上面に対して、強固に密着する。また、透明層3も、蛍光体層2と同様に、蛍光体層2に対して強固に密着する。
続いて、図4Cに示すように、封止光半導体素子25、積層体1および基材12をプレス機33から取り出した後に、第2剥離シート6を積層体1から剥離する。
その後、封止光半導体素子25、積層体1および基材12を、例えば、オーブンなどによって、加熱する。蛍光組成物および/または透明組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合には、熱硬化性樹脂が完全硬化(Cステージ化)する。
加熱温度は、例えば、100℃以上、好ましくは、120℃以上であり、また、例えば、200℃以下、好ましくは、160℃以下である。また、加熱時間が、例えば、10分以上、好ましくは、30分以上であり、また、例えば、480分以下、好ましくは、300分以下である。なお、加熱を、異なる温度で複数回実施することもできる。
これによって、樹脂が熱硬化性樹脂である場合には、熱硬化性樹脂を硬化(Cステージ化)させる。これによって、熱硬化性樹脂を完全に反応させて生成物を生成する。
(生成物)
シリコーン樹脂組成物の反応(Cステージ化反応)では、アルケニル基含有ポリシロキサンのアルケニル基および/またはシクロアルケニル基と、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンのヒドロシリル基とのヒドロシリル付加反応がさらに促進される。その後、アルケニル基および/またはシクロアルケニル基、あるいは、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンのヒドロシリル基が消失して、ヒドロシリル付加反応が完結することによって、Cステージのシリコーン樹脂組成物、つまり、生成物(あるいは硬化物)が得られる。つまり、ヒドロシリル付加反応の完結により、シリコーン樹脂組成物において、硬化性(具体的には、熱硬化性)が発現する。
上記した生成物は、下記平均組成式(3)で示される。
平均組成式(3):
SiO(4−e)/2
(式中、Rは、フェニル基を含む、非置換または置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基(ただし、アルケニル基およびシクロアルケニル基を除く。)を示す。eは、1.0以上、3.0以下である。)
で示される非置換または置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基としては、式(1)のRで示される非置換または置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基、および、式(2)のRで示される非置換または置換の炭素数1〜10の1価の炭化水素基と同一のものが例示される。好ましくは、非置換の1価の炭化水素基、より好ましくは、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基が挙げられ、さらに好ましくは、フェニル基およびメチル基の併用が挙げられる。
そして、生成物の平均組成式(3)のRにおけるフェニル基の含有割合は、例えば、30モル%以上、好ましくは、35モル%以上であり、また、例えば、55モル%以下、好ましくは、50モル%以下である。
生成物の平均組成式(3)のRにおけるフェニル基の含有割合は、生成物のケイ素原子に直接結合する1価の炭化水素基(平均組成式(3)においてRで示される)におけるフェニル基濃度である。
生成物の平均組成式(3)のRにおけるフェニル基の含有割合は、H−NMRおよび29Si−NMRにより算出される。Rにおけるフェニル基の含有割合の算出方法の詳細は、例えば、WO2011/125463などの記載に基づいて、H−NMRおよび29Si−NMRにより算出される。
これによって、積層体1の蛍光体層2が封止光半導体素子25の上面に対して貼着する。
そして、封止光半導体素子25と、封止光半導体素子25の上面に貼着する積層体1とを備える貼着光半導体素子8が、基材12によって支持された状態で、得られる。
1−4.個片化工程
個片化工程では、図4Dの1点破線で示すように、隣接する光半導体素子15間における封止層24および積層体1を、ダイシングなどによって切断する。これによって、光半導体素子15を個片化する。
これによって、1つの光半導体素子15と、光半導体素子15の電極側面17および周側面19を封止する封止層24と、光半導体素子15および封止層24の上面に貼着する積層体1とを備える貼着光半導体素子8が、基材12に支持された状態で、複数得られる。
1−5.剥離工程
剥離工程では、図4Dの矢印および仮想線で示すように、貼着光半導体素子8を基材12から引き剥がす。具体的には、電極22の下面および封止層24の下面を、粘着シート14の上面から引き剥がす。
これによって、1つの光半導体素子15と、封止層24と、積層体1とを備える貼着光半導体素子8が、複数得られる。
貼着光半導体素子8は、光半導体装置21(図4E参照)ではなく、つまり、光半導体装置21に備えられる電極基板16を含まない。つまり、貼着光半導体素子8は、電極22が、光半導体装置21の電極基板16に設けられる端子(図示せず)とまだ電気的に接続されないように、構成されている。また、貼着光半導体素子8は、光半導体装置21の一部品、すなわち、光半導体装置21を作製するための部品であり、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
貼着光半導体素子8は、好ましくは、光半導体素子15と、封止層24と、積層体1とのみからなる。
なお、図4Eが参照されるように、貼着光半導体素子8を、ダイオード基板などの電極基板16に実装することにより、発光ダイオード装置などの光半導体装置21が得られる。
電極基板16は、略平板形状を有し、具体的には、絶縁基板の上面に、導体層が回路パターンとして積層された積層板から形成されている。絶縁基板は、例えば、シリコン基板、セラミックス基板、プラスチック基板(例えば、ポリイミド樹脂基板)などからなる。導体層は、例えば、金、銅、銀、ニッケルなどの導体から形成されている。導体層は、単数の光半導体素子15と電気的に接続するための電極(図示せず)を備えている。電極基板16の膜厚は、例えば、25μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、2000μm以下、好ましくは、1000μm以下である。
貼着光半導体素子8を電極基板16に実装するには、貼着光半導体素子8における電極22を、電極基板16の端子(図示せず)と接触させて、電気的に接続させる。つまり、貼着光半導体素子8の光半導体素子15を電極基板16に対してフリップチップ実装する。これとともに、封止層24の下面を、電極基板16の上面に接触させる。
これにより、電極基板16と、電極基板16に実装される貼着光半導体素子8とを備える光半導体装置21を得る。好ましくは、光半導体装置21は、電極基板16と、貼着光半導体素子8とのみからなる。
<作用効果>
この積層体1は、蛍光体層2および透明層3を備え、蛍光体層2および透明層3を、周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線が、ともに、極小値を有している。また、蛍光体層2および透明層3について、極小値における温度Tが、ともに、40℃以上、200℃以下の範囲にある。また、極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にある。また、100℃における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、81,000Pa以下である。このため、蛍光体層2および透明層3との界面の密着力に優れる。また、積層体1を光半導体素子15に貼着する場合、積層体1の膜厚精度が良好であるため、貼着光半導体素子8の色均一性を良好にできる。また、積層体1の蛍光体層2が光半導体素子15に強固に密着しつつ、積層体1と光半導体素子15との間にボイドの発生を抑制することができる。結果、この積層体1を用いれば、層間剥離が生じにくく、色均一性などに優れた貼着光半導体素子8および光半導体装置21を得ることができる。
また、この積層体1では、蛍光体層2が、蛍光体を含有しているので、光半導体素子15から発光される光を波長変換して、所望の色(特に、白色)を発光できる貼着光半導体素子8を得ることができる。特に、色のばらつきを抑制できているため、貼着光半導体素子8は、均一な白色を発光できる。
また、この積層体1の製造方法によれば、積層工程において、蛍光体層2および透明層3を、100℃以下の条件で、ロールラミネーターを用いて、積層しているか、または、100℃以下の条件で、真空プレスを実施して、積層している。そのため、積層体1について、積層前の透明層3および蛍光体層2の膜厚を精度よく維持して、より一層均一な膜厚とすることができる。
この貼着光半導体素子8の製造方法によれば、積層体1を用意し、封止光半導体素子25に対して熱プレスする。そのため、層間剥離が生じにくく、色均一性などに優れた貼着光半導体素子8を、容易に得ることができる。
<変形例>
第1実施形態では、図4Aに示すように、光半導体素子15の電極側面17および周側面19の両面を、封止層24によって封止している。しかし、光半導体素子15の少なくとも周側面19を封止層24によって封止すればよく、例えば、図示しないが、光半導体素子15の電極側面17を被覆せず、光半導体素子15の周側面19のみを封止層24によって封止することもできる。
第1実施形態では、積層体1を、光半導体素子15に直接的に貼着するように使用している。しかし、図6A〜図6Dに示すように、積層体1を、光半導体素子15に間接的に貼着するように使用することもできる。
具体的には、図6Aが示すように、基材12に仮固定された複数の光半導体素子15における少なくとも対向面18(具体的には、対向面18および周側面19、または、電極側面17、対向面18および周側面19)が封止層24によって被覆された貼着光半導体素子8を用意する。
熱プレス工程では、図6Bが示すように、積層体1を、貼着光半導体素子8の封止層24の上面に直接的に貼着する。つまり、積層体1を、光半導体素子15に対して間接的に貼着する。すなわち、積層体1を、光半導体素子15に対して、対向面18の上側に位置する封止層24を介して、貼着する。その後、積層体1を、封止層24に対して熱プレスする。
その後、第1実施形態と同様にして、図6Cが示すように、第2剥離シート6を積層体1から剥離し、必要に応じて加熱する。続いて、図6Dが示すように、個片化工程および剥離工程を実施する。
<積層体の第2実施形態>
第1実施形態の積層体1では、第1層が、蛍光体層2であるが、例えば、図示しないが、第1層を、透明層3とすることもできる。
すなわち、第2実施形態の積層体1は、第1層としての透明層3と、その厚み方向一方面に設けられる第2層としての透明層3とを備えている。
この第2実施形態の積層体1も、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、各透明層3間の界面の密着力に優れる。また、積層体1を光半導体素子15に貼着する場合、積層体1の膜厚精度が良好である。また、積層体1の透明層3が光半導体素子15に強固に密着しつつ、積層体1と光半導体素子15との間にボイドの発生を抑制することができる。
<積層体の第3実施形態>
第3実施形態の積層体1では、第1層が、蛍光体層2であるが、例えば、図示しないが、第1層を、反射層とすることもできる。
すなわち、第2実施形態の積層体1は、第1層としての反射層と、その厚み方向一方面に設けられる第2層としての透明層3とを備えている。
反射層は、反射組成物から形成されている。反射組成物は、例えば、反射粒子および樹脂を含有している。
反射粒子としては、好ましくは、反射性および非発光時の外観の観点から、白色粒子が挙げられる。白色粒子としては、例えば、白色無機粒子、白色有機粒子が挙げられ、好ましくは、放熱性、耐久性の観点から、白色無機粒子が挙げられる。
白色無機粒子を構成する材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムなどの酸化物、例えば、鉛白(塩基性炭酸鉛)、炭酸カルシウムなどの炭酸塩、例えば、カオリンなどの粘土鉱物などが挙げられる。明るさ、放熱性の観点から、好ましくは、酸化物が挙げられ、より好ましくは、酸化チタンが挙げられる。
白色粒子の平均粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.2μm以上であり、また、例えば、10μm以下、好ましくは、2.0μm以下である。白色粒子の平均粒子径を上記範囲内とすることにより、反射性をより一層向上させることができる。
白色粒子の含有割合は、反射組成物に対して、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上であり、また、例えば、30質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。
樹脂としては、透明性および粘着性(すなわち、常温(25℃)での表面タック性)の樹脂が挙げられる。樹脂としては、蛍光組成物で上述した樹脂が挙げられ、好ましくは、熱硬化性樹脂が挙げられ、より好ましくは、シリコーン樹脂が挙げられ、付加反応硬化型シリコーン樹脂組成物が挙げられ、さらに好ましくは、フェニル系シリコーン樹脂組成物が挙げられる。また、好ましくは、透明組成物における樹脂は、蛍光組成物における樹脂と同一である。
樹脂の含有割合は、反射組成物に対して、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、99質量%以下、好ましくは、95質量%以下である。
さらに、反射組成物は、上述した充填材、光拡散性粒子、チクソ付与粒子などの粒子を含有することもできる。反射組成物は、好ましくは、充填材を含有する。
充填材としては、好ましくは、無機粒子が挙げられ、より好ましくは、ガラス粒子が挙げられる。
反射組成物が充填材を含有する場合、充填材の含有割合は、反射組成物に対して、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、80質量%以下、好ましくは、50質量%以下である。
この第3実施形態の積層体1も、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。すなわち、蛍光体層2と白色層との界面の密着力に優れる。また、積層体1を光半導体素子15に貼着する場合、積層体1の膜厚精度が良好である。また、積層体1の白色層が光半導体素子15に強固に密着しつつ、積層体1と光半導体素子15との間にボイドの発生を抑制することができる。
また、この第3実施形態の積層体1では、第1層が、反射粒子を含有する反射層であり、積層体1の膜厚精度が良好であるため、光半導体素子15からの光を均一に反射・拡散させて、色均一性をより一層良好にすることができる。また、反射粒子として、白色顔料を用いると、反射層が白色層として、非発光時の外観(白色性)に優れる。
<積層体の第4実施形態>
第1〜3実施形態の積層体1では、第2層が、透明層3であるが、例えば、図示しないが、第2層を、蛍光体層2または反射層、特に、反射層とすることもできる。この第4実施形態の積層体1も、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
<積層体の製造方法の第2実施形態>
第1実施形態では、積層工程において、蛍光体層2および透明層3を、ロールラミネーターを用いて、または、真空プレスを実施しているが、例えば、図示しないが、蛍光体層シート5の蛍光体層2の表面に、透明組成物(ワニス)を塗布し、乾燥してもよい。または、透明層シート7の透明層3の表面に、蛍光組成物(ワニス)を塗布し、乾燥してもよい。
好ましくは、第1実施形態の製造方法が挙げられる。第1実施形態の製造方法によれば、透明層3を蛍光体層2の表面に均一に形成できる。すなわち、膜厚精度を良好にすることができる。一方、第2実施形態の製造方法である場合、例えば、蛍光体層シート5の蛍光体層2の表面に、蛍光組成物(ワニス)を塗布する場合、蛍光組成物の塗膜表面が、塗布面(透明層表面)の影響を大きく受け、膜厚精度が低下する。その結果、色均一性が低下する場合が生じる。
以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
<アルケニル基含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル基含有ポリシロキサンの合成>
合成例1
撹拌機、還流冷却管、投入口および温度計が装備された四ツ口フラスコに、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン93.2g、水140g、トリフルオロメタンスルホン酸0.38gおよびトルエン500gを投入して混合し、撹拌しつつメチルフェニルジメトキシシラン729.2gとフェニルトリメトキシシラン330.5gとの混合物を1時間かけて滴下し、その後、1時間加熱還流した。その後、冷却し、下層(水層)を分離して除去し、上層(トルエン溶液)を3回水洗した。水洗したトルエン溶液に水酸化カリウム0.40gを加え、水分離管から水を除去しながら還流した。水の除去完了後、さらに5時間還流し、冷却した。その後、酢酸0.6gを投入して中和した後、ろ過して得られたトルエン溶液を3回水洗した。その後、減圧濃縮することにより、液体状のアルケニル基含有ポリシロキサンAを得た。アルケニル基含有ポリシロキサンAの平均単位式および平均組成式は、以下の通りである。
平均単位式:
((CH=CH)(CHSiO1/20.15(CHSiO2/20.60(CSiO3/20.25
平均組成式:
(CH=CH)0.15(CH0.90(C0.85SiO1.05
つまり、アルケニル基含有ポリシロキサンAは、Rがビニル基、Rがメチル基およびフェニル基であり、a=0.15、b=1.75である上記平均組成式(1)で示される。
また、ゲル透過クロマトグラフィーによって、アルケニル基含有ポリシロキサンAのポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、2,300であった。
合成例2
撹拌機、還流冷却管、投入口および温度計が装備された四ツ口フラスコに、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン93.2g、水140g、トリフルオロメタンスルホン酸0.38gおよびトルエン500gを投入して混合し、撹拌しつつジフェニルジメトキシシラン173.4gとフェニルトリメトキシシラン300.6gとの混合物を1時間かけて滴下し、滴下終了後、1時間加熱還流した。その後、冷却し、下層(水層)を分離して除去し、上層(トルエン溶液)を3回水洗した。水洗したトルエン溶液に水酸化カリウム0.40gを加え、水分離管から水を除去しながら還流した。水の除去完了後、さらに5時間還流し、冷却した。酢酸0.6gを投入して中和した後、ろ過して得られたトルエン溶液を3回水洗した。その後、減圧濃縮することにより、液体状のアルケニル基含有ポリシロキサンBを得た。アルケニル基含有ポリシロキサンBの平均単位式および平均組成式は、以下の通りである。
平均単位式:
(CH=CH(CHSiO1/20.31((CSiO2/20.22(CSiO3/20.47
平均組成式:
(CH=CH)0.31(CH0.62(C0.91SiO1.08
つまり、アルケニル基含有ポリシロキサンBは、Rがビニル基、Rがメチル基およびフェニル基であり、a=0.31、b=1.53である上記平均組成式(1)で示される。
また、ゲル透過クロマトグラフィーによって、アルケニル基含有ポリシロキサンBのポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、1,000であった。
合成例3
撹拌機、還流冷却管、投入口および温度計が装備された四ツ口フラスコに、ジフェニルジメトキシシラン325.9g、フェニルトリメトキシシラン564.9g、およびトリフルオロメタンスルホン酸2.36gを投入して混合し、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン134.3gを加え、撹拌しつつ酢酸432gを30分かけて滴下した。滴下終了後、混合物を撹拌しつつ50℃に昇温して3時間反応させた。室温まで冷却した後、トルエンと水を加え、よく混合して静置し、下層(水層)を分離して除去した。その後、上層(トルエン溶液)を3回水洗した後、減圧濃縮することにより、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンC(架橋剤C)を得た。
ヒドロシリル基含有ポリシロキサンCの平均単位式および平均組成式は、以下の通りである。
平均単位式:
(H(CHSiO1/20.33((CSiO2/20.22(CSiO3/20.45
平均組成式:
0.33(CH0.66(C0.89SiO1.06
つまり、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンCは、Rがメチル基およびフェニル基であり、c=0.33、d=1.55である上記平均組成式(2)で示される。
また、ゲル透過クロマトグラフィーによって、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンCのポリスチレン換算の重量平均分子量を測定したところ、1,000であった。
<その他の原料>
アルケニル基含有ポリシロキサンおよびヒドロシリル基含有ポリシロキサン以外の原料について、以下に詳述する。
[その他、使用した材料]
白金カルボニル錯体:
商品名「SIP6829.2」、Gelest社製、白金濃度2.0質量%
蛍光体:
商品名「Y468」、YAG:Ce、平均粒子径17μm、ネモト・ルミマテリアル社製
ガラス粒子:
屈折率1.55、組成および組成比率(質量%):SiO/Al/CaO/MgO=60/20/15/5の無機粒子、屈折率1.55、平均粒子径:20μm
ヒュームドシリカ:
商品名「R976S」、屈折率1.46、平均粒子径7nm、エボニック社製
白色粒子:
酸化チタン、平均粒子径0.5μm、堺化学社製
<シリコーン樹脂組成物の調製>
調製例1
アルケニル基含有ポリシロキサンA 20g、アルケニル基含有ポリシロキサンB 25g、ヒドロシリル基含有ポリシロキサンC 25g、白金カルボニル錯体5mgを混合させて、シリコーン樹脂組成物を調製した。シリコーン樹脂組成物のCステージにおける屈折率は、1.56であった。
<積層体の作製>
実施例1
(蛍光体層シートAの作製)
第1層として、蛍光体層を下記のように作製した。
シリコーン樹脂組成物39質量%、蛍光体60質量%、ヒュームドシリカ1質量%を加えて、それらを3分間撹拌し、蛍光組成物Aを調製した。
次に、蛍光組成物を、第1剥離シート(セパレータ、品名「SE−1」、膜厚50μm、フジコー社製)の表面に、膜厚(平均膜厚)145μmとなるようにコンマコーターで塗布し、続いて、80℃で12分加熱(ベイク)した。これにより、第1剥離シートと、Bステージの蛍光体層Aとを備える蛍光体層シートAを得た(図2A参照)。
(透明層シートBの作製)
第2層として、透明層Bを下記のように作製した。
シリコーン樹脂組成物69質量%、ガラス粒子30質量%、ヒュームドシリカ1質量%を加えて、それらを3分間撹拌し、透明組成物を調製した。
次に、透明組成物を、第2剥離シート(上記と同一)の表面に、膜厚152μmとなるようにコンマコーターで塗布し、続いて、80℃で13分加熱(ベイク)した。これにより、第2剥離シートと、Bステージの透明層Bとを備える透明層シートBを得た(図2B参照)。
(積層体の作製)
蛍光体層シートAおよび透明層シートBを、蛍光体層Aおよび透明層Bが接触するように、ロールラミネーターを用いて、積層した(図2D参照)。このとき、ロールの加熱温度を60℃、ロールを通過する際にかかる圧力を0.20MPa、各シートの搬送速度を0.5m/minとなるように設定した。これにより、積層体を作製した(図2E参照)。
実施例2
第1層として、蛍光体層Cを作製した。具体的には、加熱(ベイク)条件および膜厚を表1に示す条件および膜厚に変更した以外は、実施例1の第1層と同様にして、剥離シートと、蛍光体層Cとを備える蛍光体層シートCを得た。
第2層として、透明層Bを作製した。具体的には、実施例1の第2層と同様にして、透明層シートBを得た。ただし、透明層Bの膜厚は、表1に記載の膜厚とした。
次いで、蛍光体層シートCおよび透明層シートBを、積層条件を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして、積層体を作製した。
実施例3
第1層として、蛍光体層Dを作製した。具体的には、加熱(ベイク)条件および膜厚を表1に示す条件および膜厚に変更した以外は、実施例1の第1層と同様にして、剥離シートと、蛍光体層Dとを備える蛍光体層シートDを得た。
第2層として、透明層Bを作製した。具体的には、実施例1の第2層と同様にして、透明層シートBを得た。ただし、透明層Bの膜厚は、表1に記載の膜厚とした。
次いで、蛍光体層シートDおよび透明層シートBを、積層条件を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして、積層体を作製した。
実施例4
第1層として、蛍光体層Eを作製した。具体的には、加熱(ベイク)条件を表1に示す条件に変更した以外は、実施例1の第1層と同様にして、剥離シートと、蛍光体層Eとを備える蛍光体層シートEを得た。
第2層として、透明層Bを作製した。具体的には、実施例1の第2層と同様にして、透明層シートBを得た。ただし、透明層Bの膜厚は、表1に記載の膜厚とした。
次いで、蛍光体層シートEおよび透明層シートBを、積層条件を表1に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして、積層体を作製した。
実施例5
第1層として、蛍光体層Cを作製した。具体的には、実施例2の第1層と同様にして、蛍光体層シートCを得た。ただし、蛍光体層Cの膜厚は、表1に記載の膜厚とした。
第2層として、透明層Bを作製した。具体的には、実施例1の第2層と同様にして、透明層シートBを得た。ただし、透明層Bの膜厚は、表1に記載の膜厚とした。
蛍光体層シートCおよび透明層シートBを、蛍光体層および透明層が接触するように、プレス機を用いて、積層した(図3A、図3B参照)。このとき、加熱温度60℃、圧力0.20MPa、真空度0.5kPa、プレス時間10秒となるように設定した。これにより、積層体を作製した。
実施例6
第1層として、蛍光体層Cを作製した。具体的には、実施例2の第1層と同様にして、蛍光体層シートCを得た。ただし、蛍光体層Cの膜厚は、表1に記載の膜厚とした。
次いで、蛍光体層シートCの蛍光体層Cの表面に、透明組成物を、膜厚153μmとなるようにコンマコーターで塗布し、続いて、80℃で13分間乾燥して、透明層Bを形成することにより、積層体を作製した。
実施例7
第1層として、透明層Bを作製した。具体的には、実施例1の第2層と同様にして、透明層シートBを得た。ただし、透明層Bの膜厚は、表2に記載の膜厚とした。
第2層として、透明層Bを作製した。具体的には、実施例1の第2層と同様にして、透明層シートBを得た。ただし、透明層Bの膜厚は、表2に記載の膜厚とした。
次いで、これら2つの透明層シートBを、実施例1と同様の条件で積層して、積層体を作製した。
実施例8
第1層として、反射層Fを下記のように作製した。
シリコーン樹脂組成物69質量%、酸化チタン粒子1質量%、ガラス粒子30質量%を加えて、それらを3分間撹拌し、反射組成物を調製した。
次に、反射組成物Fを、剥離シート(上記と同一)の表面に、膜厚151μmとなるようにコンマコーターで塗布し、続いて、80℃で13分加熱(ベイク)した。これにより、剥離シートと、反射層Fとを備える反射層シートFを得た。
第2層として、透明層Bを作製した。具体的には、実施例1の第2層と同様にして、透明層シートBを得た。
次いで、反射層シートFおよび透明層シートBを、実施例1と同様の条件で積層して、積層体を作製した。
実施例9
第1層として、蛍光体層Gを下記のように作製した。
シリコーン樹脂組成物59質量%、蛍光体40質量%、ヒュームドシリカ1質量%を加えて、それらを3分間撹拌し、蛍光組成物Gを調製した。
次に、蛍光組成物Gを、第1剥離シートの表面に、膜厚145μmとなるようにコンマコーターで塗布し、続いて、80℃で12分加熱(ベイク)した。これにより、第1剥離シートと、Bステージの蛍光体層Gとを備える蛍光体層シートGを得た(図2A参照)。
第2層として、反射層Fを作製した。具体的には、実施例8の第1層と同様にして、反射シートFを得た。
次いで、蛍光体層シートGおよび反射層シートFを、実施例1と同様の条件で積層して、積層体を作製した。
比較例1〜3
第1層として、蛍光体層H,IまたはJを作製した。具体的には、加熱(ベイク)条件および膜厚を表2に示す条件および膜厚に変更した以外は、実施例1の第1層と同様にして、剥離シートと、蛍光体層H,IまたはJとを備える蛍光体層シートH,I,Jを得た。
第2層として、透明層Bを作製した。具体的には、実施例1の第2層と同様にして、透明層シートBを得た。ただし、透明層Bの膜厚は、表2に記載の膜厚とした。
次いで蛍光体層シートH,I,Jおよび透明層シートBを、積層条件を表2に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして、積層体を作製した。
比較例4
第1層として、蛍光体層Kを作製した。具体的には、加熱(ベイク)条件を80℃、13分の加熱、および、その後、150℃、8時間の加熱に変更し、膜厚を147μmに変更した以外は、実施例1の第1層と同様にして、剥離シートと、蛍光体層Kとを備える蛍光体層シートKを得た。
第2層として、上記と同様にして、蛍光体層Kを作製した。ただし、この蛍光体層Kの膜厚は、表2に記載の膜厚とした。
次いで、これら2つの蛍光体層シートKを、積層条件を表2に示す条件に変更した以外は実施例1と同様にして、積層体を作製した。
<貼着光半導体素子の製造>
実施例1
<素子用意工程>
まず、特開2012−175068号公報の実施例3の方法に準拠して、封止層と、光半導体素子とを備える封止光半導体素子を用意した(図5E参照)。
具体的には、まず、電極が上面に設けられた光半導体素子(1.1mm角、高さ(厚み)180μm、エピスター社製)を複数用意した(図5A参照)。次いで、支持板(ステンレスキャリア)と、支持板の上面に配置される粘着シート(「リバアルファ」、日東電工社製)とを備える仮固定基材の上に、1.64mmピッチで、前後方向に20個、左右方向に20個、整列配置した(図5B参照)。このとき、光半導体素子の下面(対向面)を粘着シートの上面に接触させた。
次いで、封止層を、電極および光半導体素子を被覆するように、粘着層の上に形成した(図5C参照)。なお、封止層を、封止材として東レダウコーニング社製から販売される「OE−6630」から、調製した。
続いて、封止層の上側部分を、電極の上面(露出面)が露出するように、グラインド加工した(図5D参照)。これによって、封止層と、封止層によって、周側面および上面(電極面)が被覆された封止光半導体素子を、仮固定基材に支持された状態で、得た。
その後、封止光半導体素子を、粘着シートから引き剥がした(図5E参照)。
そして、上記の仮固定基材と同様の構成を有する基材を別途用意し、次いで、封止光半導体素子(図5E参照)を基材に配置した(図4A参照)。具体的には、上記した封止光半導体素子における電極の露出面と、上記した露出面と面一に形成された封止層の下面を、粘着シートの上面に仮固定した。
<熱プレス工程>
次いで、各実施例および各比較例の積層体を封止光半導体素子に貼着した(図4B参照)。
具体的には、まず、各実施例および各比較例において、第1剥離シートを剥がした。次いで、第1層を、光半導体素子の上面(対向面)と、上記した上面と面一に形成されている封止層の上面とに対向配置し、続いて、平板熱プレス機によって、60℃、5分間、0.48MPaの圧力で熱プレスした。
<完全硬化工程>
その後、第2剥離シートを第2層から引き剥がし、次いで、基材、封止光半導体素子および積層体を、100℃のオーブンに10分間放置し、その後、オーブンの温度を150℃に設定し、その後、8時間、放置することにより、積層体を完全硬化させた(図4C参照)。
<個片化工程>
次いで、隣接する光半導体素子間における封止層および積層体を、切断して、光半導体素子を個片化した。これにより、1つの光半導体素子、封止層および積層体を備える貼着光半導体素子を、基材に支持された状態で、得た(図4Dの1点破線参照)。
<剥離工程>
続いて、貼着光半導体素子を基材から引き剥がした(図4Dの矢印および仮想線参照)。
<実装工程>
その後、貼着光半導体素子を、基板に実装した。
具体的には、貼着光半導体素子における光半導体素子を、基板に対して、フリップチップ実装した(図4E参照)。
これによって、基板と、貼着光半導体素子とを備える光半導体装置を得た。
実施例2〜9および比較例1〜4
実施例2〜9および比較例1〜4の積層体についても、実施例1と同様にして、貼着光半導体素子を得、続いて、光半導体装置を得た。
<評価>
(貯蔵剪断弾性率G’)
各実施例および各比較例にて作製した蛍光体層シート、透明層シートおよび反射層シートにおける第1層および第2層(蛍光体層A〜K、透明層Bおよび反射層F)を、それぞれ、下記の条件で動的粘弾性測定した。
また、各実施例および各比較例で得られた積層体(第1層および第2層の積層体)についても、下記の条件で、動的粘弾性測定した。
[条件]
粘弾性装置:回転式レオメータ(C−VOR装置、マルバーン社製)
サンプル形状:円板形状
サンプル寸法:膜厚150μm、直径8mm
歪量:10%
周波数:1Hz
プレート径:8mm
プレート間ギャップ:130μm
昇温速度:20℃/分
温度範囲:20〜200℃
貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線を図7に示す。
また、貯蔵剪断弾性率G’の極小値、および、25、60、80、100℃における貯蔵剪断弾性率G’を表1〜2に示す。
(圧縮弾性率)
蛍光体層A〜K、透明層Bおよび反射層Fの25℃における圧縮弾性率を、精密荷重測定機(アイコーエンジニアリング社製)により、測定した。
(トルエン可溶分)
各層(蛍光体層A〜K、透明層Bおよび反射層F)における樹脂のトルエン可溶分を、下記の手順に従って、算出した。
手順(1):積層体を焼成して、残渣の質量(無機粒子の質量)を計量した。
手順(2):各層1.1g(試料質量)を精秤し、これをPTFEシート(孔径0.2μm)で包み、25℃で、トルエン100gで24時間浸漬、振とうさせた。
手順(3):トルエン不溶分を分離して採取し、これを乾燥させた後、トルエン不溶分の質量を測定した。
手順(4):試料質量からトルエン不溶分の質量を差し引くことにより、トルエン可溶分の質量を算出した。
手順(5):仕込みの試料質量から、蛍光体および粒子の質量を差し引いて、樹脂の質量を算出した。
手順(6):下記式により、トルエン可溶分を算出した。
トルエン可溶分(質量%)=トルエン可溶分の質量/樹脂の質量×100
つまり、トルエン可溶分の質量を各層における熱硬化性樹脂の質量(試料質量から無機粒子の質量を差し引いた質量)で除して得られた百分率をトルエン可溶分(質量%)として算出した。その結果を表1〜2に示す。
(NMR測定)
1.CH=CH−基の含量
蛍光体層A〜K、透明層Bおよび反射層FにおけるCH=CH−基(ビニル基)の含有量を固体NMR測定により算出した。具体的には、ワニスの状態での含有量を100%として計算した。その結果を表1〜2に示す。
2.H−Si基の含量
蛍光体層A〜K、透明層Bおよび反射層FにおけるH−Si基の含有量(ヒドロシリル基)を固体NMR測定により算出した。具体的には、ワニスの状態での含有量を100%として計算した。その結果を表1〜2に示す。
(積層前後の物性)
実施例1において、積層後における積層体の蛍光体層Aおよび透明層Bのそれぞれの物性を測定したところ、積層前の蛍光体層シートにおける蛍光体層Aおよび透明層Bのそれぞれの物性と同一であった。その他の実施例および比較例についても、同様の評価であった。
(膜厚の測定)
各実施例および各比較例で用いた蛍光体層シート、透明層シートおよび反射層シートにおける第1層および第2層(蛍光体層A〜K、透明層Bおよび反射層F)の膜厚(平均膜厚)を、リニアゲージにより測定した。なお、膜厚の測定に関し、面方向に等間隔となるように10箇所を選択し、その10箇所の膜厚を測定し、その平均値を膜厚とした。
また、各実施例および各比較例で得られた積層体(第1層および第2層の積層体)の膜厚(平均膜厚)についても、同様に測定した。
積層体の膜厚のばらつきをリニアゲージにより測定した。具体的には、上記積層体で測定した10箇所の膜厚のうち、最大値と最小値との差をばらつきとして、算出した。
これらの結果を表1〜2に示す。
(積層体における第1層と第2層との密着性)
各実施例および各比較例で得られた積層体について、第1層と第2層とを手作業で剥離した。このときの第1層と第2層との界面における破壊モードを測定した。凝集破壊を○と評価し、界面破壊を×と評価した。なお、比較例4については、第1層と第2層とが貼着しておらず、容易に剥離した。結果を表1〜2に示す。
(貼着光半導体素子における積層体と光半導体素子との密着性)
各実施例および各比較例で得られた貼着光半導体素子について、第1層と光半導体素子とを手作業で剥離した。このときの第1層と光半導体素子との界面における破壊モードを測定した。凝集破壊であった場合を○と評価し、界面剥離であった場合を×と評価した。結果を表1〜2に示す。
(貼着光半導体素子におけるボイドの発生)
各実施例および各比較例で得られた貼着光半導体素子について、第1層と光半導体素子との界面にボイド(空隙)が発生しているか否かを目視にて確認した。ボイドの発生が確認されなかった場合を○と評価し、ボイドの発生が確認された場合を×と評価した。結果を表1〜2に示す。
(貼着光半導体素子における色度の検査)
各実施例および各比較例で得られた光半導体装置における光半導体素子を300mAで発光させた。
このときの発光の色度CIE(x,y)をマルチチャンネル分光器(MCPD−9800、大塚電子社製)により測定し、CIE,y値の幅を測定した。結果を表1〜2に示す。なお、幅が0.009以下であると、色均一性が良好である。
(シリコーン樹脂組成物の反応により得られる生成物の炭化水素基(R)におけるフェニル基の含有割合の測定)
シリコーン樹脂組成物(つまり、蛍光体および粒子が含まれていないシリコーン樹脂組成物)の反応により得られる生成物中、ケイ素原子に直接結合する炭化水素基(平均組成式(3)のR)におけるフェニル基の含有割合(モル%)を、H−NMRおよび29Si−NMRにより算出した。
具体的には、Aステージのシリコーン樹脂組成物を、蛍光体および粒子を添加せずに、100℃1時間で、反応(完全硬化、Cステージ化)させて、生成物を得た。
次いで、得られた生成物のH−NMRおよび29Si−NMRを測定することで、ケイ素原子に直接結合している炭化水素基(R)におけるフェニル基が占める割合(モル%)を算出した。
その結果、シリコーン樹脂組成物の反応により得られる生成物の炭化水素基(R)におけるフェニル基の含有割合は、48%であった。
Figure 2018041859
Figure 2018041859
なお、実施例1〜8および比較例1〜3における第2層としての蛍光体層Bの物性は、実施例7で用いた第1層としての透明層Bと同一の物性を示しているので、表への記載を省略している。実施例9における第2層としての反射層Fの物性は、実施例8で用いた第1層としての反射層Fと同一物性を示しているので、表への記載を省略している。比較例4において、第2層の蛍光体層Kの物性も、第1層の蛍光体層Kの物性と同一であるため、省略している。
1 積層体
2 蛍光体層
3 透明層
8 貼着光半導体素子
30 ロールラミネーター

Claims (7)

  1. 光半導体素子に直接的または間接的に貼着するように使用される積層体であって、
    第1層と、その厚み方向一方面に設けられる第2層とを備え、
    前記第1層および前記第2層を、周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線が、ともに、極小値を有し、
    前記第1層および前記第2層について、前記極小値における温度Tが、ともに、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、
    前記第1層および前記第2層について、前記極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にあり、
    前記第1層および前記第2層について、100℃における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、81,000Pa以下であることを特徴とする、積層体。
  2. 前記第1層が、蛍光体を含有することを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記第1層が、反射粒子を含有することを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
  4. 光半導体素子に直接的または間接的に貼着するように使用される積層体の製造方法であって、
    第1層および第2層を用意する用意工程、ならびに、
    前記第1層および前記第2層を、100℃以下の条件で、ロールラミネーターを用いて、積層する積層工程
    を備え、
    前記用意工程では、
    前記第1層および前記第2層を、周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線が、ともに、極小値を有し、
    前記第1層および前記第2層について、前記極小値における温度Tが、ともに、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、
    前記第1層および前記第2層について、前記極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にあり、
    前記第1層および前記第2層について、100℃における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、81,000Pa以下であるように調整することを特徴とする、積層体の製造方法。
  5. 光半導体素子に直接的または間接的に貼着するように使用される積層体の製造方法であって、
    第1層および第2層を用意する用意工程、ならびに、
    前記第1層および前記第2層を、100℃以下の条件で、真空プレスを実施して、積層する積層工程
    を備え、
    前記用意工程では、
    前記第1層および前記第2層を、周波数1Hzおよび昇温速度20℃/分の条件で動的粘弾性測定することにより得られる貯蔵剪断弾性率G’と温度Tとの関係を示す曲線が、ともに、極小値を有し、
    前記第1層および前記第2層について、前記極小値における温度Tが、ともに、40℃以上、200℃以下の範囲にあり、
    前記第1層および前記第2層について、前記極小値における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、1,000Pa以上、90,000Pa以下の範囲にあり、
    前記第1層および前記第2層について、100℃における貯蔵剪断弾性率G’が、ともに、81,000Pa以下であるように調整することを特徴とする、積層体の製造方法。
  6. 前記積層工程では、0.80MPa以下の圧力で、積層することを特徴とする、請求項4または5に記載の積層体の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の積層体を用意する用意工程、および、
    前記積層体を、前記光半導体素子に対して熱プレスすることにより、光半導体素子を貼着する熱プレス工程
    を備えることを特徴とする、貼着光半導体素子の製造方法。
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