JP2018035391A - スカンジウムの回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い品位でスカンジウムを含有し、さらにハンドリング性が良好な粗大な粒子形態をした酸化スカンジウムとしてスカンジウムを回収する方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るスカンジウムの回収方法は、スカンジウムを含有する溶液(スカンジウム含有溶液)にシュウ酸を用いて、スカンジウムをシュウ酸化する反応を生じさせるシュウ酸化処理を施す工程を含むスカンジウムの回収方法において、シュウ酸化処理に際して、処理中の反応溶液の温度を50℃以上80℃以下とすることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、スカンジウムの回収方法に関するものであり、スカンジウムを含有する溶液に対してシュウ酸化処理を施し、得られたシュウ酸スカンジウムを焙焼することによって酸化スカンジウムの形態でスカンジウムを回収する方法に関する。
近年、ニッケル酸化鉱石を硫酸と共に加圧容器に装入し、240℃〜260℃程度の高温に加熱して浸出処理を施し、ニッケルを含有する浸出液と浸出残渣とに分離する高圧酸浸出(High Pressure Acid Leaching;HPAL)プロセスが実用化されている。
HPALプロセスを用いる場合、ニッケル酸化鉱石に含まれるスカンジウムは、ニッケルと共に浸出液に含まれるようになる(例えば、特許文献1参照)。そして、得られた浸出液に対して、中和剤を添加して不純物を分離し、次いで硫化剤を添加して硫化反応を生じさせると、溶液中のニッケルはニッケル硫化物として回収される一方で、スカンジウムは、硫化剤添加後の酸性溶液に残存するため、ニッケルとスカンジウムとを効果的に分離することができる。なお、硫化反応により得られたニッケル硫化物は、既存のニッケル製錬プロセスで処理することで、電気ニッケルやニッケル塩の化合物が得られる。
ここで、上述した硫化剤添加後の酸性溶液から、例えば、イオン交換(IX)法、溶媒抽出法、シュウ酸化沈殿法、焙焼法を用いて、溶液中のスカンジウムを酸化スカンジウムとして回収する方法がある。スカンジウムは、高強度合金の添加剤や燃料電池の電極材料として極めて有用であり、今後の各方面への展開が期待されており、スカンジウムを効率的に回収することが求められている。
酸化スカンジウムに求められる特性としては、品位が重視されており、高純度化が一つの方向性であった。そして近年では、さらに、ハンドリング面から飛散しやすい細かな粒子よりも、むしろ粗大な酸化スカンジウム粒子が望まれるようになっている。しかしながら、単なる粒子の粗大化は不純物品位の増加をもたらすことになる。
特開2014−218719号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、高い品位でスカンジウムを含有し、さらにハンドリング性が良好な粗大な粒子形態をした酸化スカンジウムとしてスカンジウムを回収する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、スカンジウム含有溶液に対してシュウ酸化処理を施してシュウ酸スカンジウムを生成させるにあたり、その処理中における反応溶液の温度を所定の範囲に調整することによって、得られるシュウ酸スカンジウムの結晶成長を促進させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、スカンジウムを含有する溶液(スカンジウム含有溶液)にシュウ酸を用いて、該スカンジウムをシュウ酸化する反応を生じさせるシュウ酸化処理を施す工程を含むスカンジウムの回収方法において、前記シュウ酸化処理に際して、処理中の反応溶液の温度を50℃以上80℃以下とする、スカンジウムの回収方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記シュウ酸化処理によりシュウ酸スカンジウムを得て、該シュウ酸スカンジウムを焙焼することによって酸化スカンジウムを生成させる、スカンジウムの回収方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記シュウ酸として、温度を50℃以上80℃以下に調整したシュウ酸溶液を用いる、スカンジウムの回収方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記スカンジウム含有溶液が、スカンジウムを含有する溶液に対してイオン交換処理及び/又は溶媒抽出処理を施して得られたものである、スカンジウムの回収方法である。
本発明によれば、高い品位でスカンジウムを含有し、さらにハンドリング性が良好な粗大な粒子形態をしたスカンジウムを回収することができる。
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの流れを示すフロー図である。 硫化後液に対するイオン交換処理と、スカンジウム溶離液に対する溶媒抽出処理の流れを示すフロー図である。 シュウ酸化処理の流れを示すフロー図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.概要≫
本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法は、スカンジウムと不純物成分とを含有する酸性溶液からスカンジウムを回収する方法である。
具体的に、このスカンジウムの回収方法は、スカンジウムと不純物成分とを含有する溶液(以下、「スカンジウム含有溶液」ともいう)にシュウ酸を用いて、スカンジウムをシュウ酸化する反応を生じさせるシュウ酸化処理を施す工程を含む方法である。なお、例えば、このようなシュウ酸化処理を施して得られるシュウ酸スカンジウムを焙焼することによって、酸化スカンジウムの形態とすることができる。
ここで、シュウ酸化処理に供するスカンジウム含有溶液としては、ニッケル酸化鉱石に対する高圧酸浸出(HPAL)処理により得られた浸出液を硫化処理してニッケルを分離した後の硫化後液に対し、イオン交換処理及び/又は溶媒抽出処理によって不純物を分離してスカンジウムを濃縮させた溶液を用いることができる。なお、HPALプロセスにおいては、硫化処理によりニッケルを硫化物とする一方で、スカンジウムは溶液中に残留させることができ、ニッケルとスカンジウムを効果的に分離することができる。
本実施の形態においては、このようなスカンジウム含有溶液に対するシュウ酸を用いたシュウ酸化処理に際して、処理中の反応溶液の温度を所定の範囲に調整することを特徴としている。これにより、得られるシュウ酸スカンジウムの結晶成長を促進させることができ、粒子の大きなシュウ酸スカンジウムを得ることができる。そして、例えば、その得られたシュウ酸スカンジウムを焙焼することで、高い品位でスカンジウムを含有するものにすることができるとともに、所望とする粒径に粗大化させた酸化スカンジウムを得ることができ、ハンドリング性を向上させることができる。
≪2.スカンジウムの回収方法≫
本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法について、図面を参照しながら各工程について具体的に説明する。
<2−1.ニッケル酸化鉱の湿式製錬プロセス>
本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法では、上述したように、スカンジウムと、鉄等の不純物成分とを含有する溶液(スカンジウム含有溶液)として、ニッケル酸化鉱石を高圧酸浸出処理して得られた浸出液からニッケルを硫化物として分離した後の溶液に対して、イオン交換処理や溶媒抽出処理を行うことによって不純物成分を除去した溶液を用いることができる。以下では先ず、出発原料とするスカンジウム含有溶液を得るための、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスについて説明する。
図1は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの流れを示すフロー図である。図1に示すように、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスは、ニッケル酸化鉱石を高温高圧下で硫酸により浸出して浸出スラリーを得る浸出工程S11と、浸出スラリーを浸出液と浸出残渣とに固液分離する固液分離工程S12と、浸出液に中和剤を添加して不純物を含む中和澱物と中和後液とを得る中和工程S13と、中和後液に硫化剤を添加してニッケル硫化物と硫化後液とを得る硫化工程S14とを有する。
(1)浸出工程
浸出工程S11は、例えば高温加圧容器(オートクレーブ)等を用いて、ニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸を添加するとともに高圧蒸気と高圧空気を供給して、240℃〜260℃の温度下で攪拌処理を施し、ニッケルを含有する浸出液とヘマタイトを含む浸出残渣とからなる浸出スラリーを生成させる工程である。なお、スカンジウムは、ニッケルと共に浸出液に含まれる。
ここで、ニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱が挙げられる。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8〜2.5重量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、これらのニッケル酸化鉱石には、スカンジウムが含まれている。
(2)固液分離工程
固液分離工程S12は、上述した浸出工程S11で生成した浸出スラリーを多段洗浄して、ニッケル及びコバルトを含む浸出液と、ヘマタイトである浸出残渣とを固液分離する工程である。
この固液分離工程S12では、浸出スラリーを洗浄液と混合した後、シックナー等の固液分離装置を用いて固液分離処理を施す。具体的には、先ず、スラリーが洗浄液により希釈され、次に、スラリー中の浸出残渣がシックナーの沈降物として濃縮される。これにより、浸出残渣に付着するニッケル分をその希釈の度合に応じて減少させることができる。実操業では、このような機能を持つシックナーを多段に連結して用いる。
(3)中和工程
中和工程S13は、浸出液に中和剤を添加してpHを調整し、不純物元素を含む中和澱物と中和後液とを得る工程である。この中和工程S13における中和処理により、ニッケルやコバルト、スカンジウム等の有価金属は中和後液に含まれるようになり、アルミニウムをはじめとした不純物の大部分が中和澱物となる。
中和工程S13では、中和剤としては公知のもの使用することができ、例えば、石灰石、消石灰、水酸化ナトリウム等が挙げられる。また、中和処理においては、分離された浸出液の酸化を抑制しながら、pHを1〜4の範囲に調整することが好ましく、pHを1.5〜2.5の範囲に調整することがより好ましい。pHが1未満であると、中和が不十分となり、中和澱物と中和後液とに分離できない可能性がある。一方で、pHが4を超えると、アルミニウムをはじめとした不純物のみならず、スカンジウムやニッケル等の有価金属も中和澱物に含まれる可能性がある。
(4)硫化工程
硫化工程S14は、上述した中和工程S13により得られた中和後液に硫化剤を添加してニッケル硫化物と、硫化後液とを得る工程である。この硫化工程S14における硫化処理により、ニッケル、コバルト、亜鉛等は硫化物となって回収され、スカンジウム等は硫化後液に残留することになる。したがって、このニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける硫化処理により、ニッケルとスカンジウムとを効果的に分離することができる。
具体的に、硫化工程S14では、得られた中和後液に対して、硫化水素ガス、硫化ナトリウム、水素化硫化ナトリウム等の硫化剤を吹きこみ、不純物成分の少ないニッケルを含む硫化物(ニッケル硫化物)と、ニッケル濃度を低い水準で安定させ、スカンジウム等を含有させた硫化後液とを生成させる。
硫化工程S14における硫化処理では、ニッケル硫化物のスラリーをシックナー等の沈降分離装置を用いて分離処理し、ニッケル硫化物をシックナーの底部より分離回収する一方で、水溶液成分である硫化後液はオーバーフローさせて回収する。
本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法では、例えば、上述したようなニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける各工程を経て得られる、硫酸酸性溶液である硫化後液を回収して、その硫化後液に対して後述するイオン交換処理及び溶媒抽出処理を施して得られた溶液(スカンジウムと不純物成分とを含有する溶液)を出発原料とすることができ、この溶液から酸化スカンジウムを生成させる。
<2−2.イオン交換処理、溶媒抽出処理>
本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法においては、上述したように、スカンジウム含有溶液として、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの硫化工程を経て得られた硫化後液に対してイオン交換処理及び溶媒抽出処理を施して得られた溶液を用いることができる。このように、硫化後液に対してイオン交換処理及び/又は溶媒抽出処理を施すことで、溶液中の不純物を分離除去することができ、スカンジウムを濃縮させることができる。以下では、イオン交換処理、溶媒抽出処理についてそれぞれ説明する。なお、溶媒抽出処理について、イオン交換処理を経て得られた溶離液に対して処理を施す態様を例にして説明しているが、イオン交換処理を行わず溶媒抽出処理のみを行うようにしてもよい。
(1)イオン交換処理
硫化後液には、不純物としてアルミニウムやクロム等が含まれている。このことから、溶液中のスカンジウムを酸化スカンジウムとして回収するにあたり、それら不純物を除去してスカンジウムを濃縮させることが好ましい。スカンジウムを濃縮させる方法としては、キレート樹脂を使用したイオン交換処理による方法が挙げられる。
図2は、キレート樹脂を使用したイオン交換反応により行うイオン交換処理の流れの一例を示すフロー図である。なお、この図2では、イオン交換処理により得られたスカンジウム溶離液を溶媒抽出処理に付すまでの流れを併せて示す。図2に一例を示すイオン交換処理では、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける硫化工程S14(図1)を経て得られた硫化後液をキレート樹脂に接触させることによって、その硫化後液中のスカンジウムをキレート樹脂に吸着させ、スカンジウム(Sc)溶離液を得るというものである。
イオン交換処理の態様(各工程)としては特に限定されないが、例えば図2に示すように、硫化後液をキレート樹脂に接触させてスカンジウムをキレート樹脂に吸着させる吸着工程S21と、そのキレート樹脂に硫酸を接触させてキレート樹脂に吸着したアルミニウムを除去するアルミニウム除去工程S22と、アルミニウム除去工程S22を経たキレート樹脂に硫酸を接触させてスカンジウム溶離液を得るスカンジウム溶離工程S23と、スカンジウム溶離工程S23を経たキレート樹脂に硫酸を接触させて吸着工程S21にてキレート樹脂に吸着したクロムを除去するクロム除去工程S24とを有するものを例示できる。以下、それぞれの工程の概要を説明する。
[吸着工程]
吸着工程S21では、硫化後液をキレート樹脂に接触させてスカンジウムをキレート樹脂に吸着させる。キレート樹脂の種類は特に限定されず、例えばイミノジ酢酸を官能基とする樹脂を用いることができる。
[アルミニウム除去工程]
アルミニウム除去工程S22では、吸着工程S21でスカンジウムを吸着したキレート樹脂に0.1N以下の硫酸を接触させ、キレート樹脂に吸着したアルミニウムを除去する。なお、アルミニウムを除去する際、pHを1以上2.5以下の範囲に維持することが好ましく、1.5以上2.0以下の範囲に維持することがより好ましい。
[スカンジウム溶離工程]
スカンジウム溶離工程S23では、アルミニウム除去工程S22を経たキレート樹脂に0.3N以上3N未満の硫酸を接触させ、スカンジウム溶離液を得る。スカンジウム溶離液を得るに際して、溶離液に用いる硫酸の規定度を0.3N以上3N未満の範囲に維持することが好ましく、0.5N以上2N未満の範囲に維持することがより好ましい。
[クロム除去工程]
クロム除去工程S24では、スカンジウム溶離工程S23を経たキレート樹脂に3N以上の硫酸を接触させ、キレート樹脂に吸着したクロムを除去する。クロムを除去する際に、溶離液に用いる硫酸の規定度が3Nを下回ると、クロムが適切にキレート樹脂から除去されないため、好ましくない。
このようなイオン交換処理により、アルミニウムやクロム等の不純物が除去されてスカンジウムが濃縮されたスカンジウム溶離液を得ることができる。なお、得られたスカンジウム溶離液に対して再び同様のイオン交換処理を繰り返すことで、スカンジウム溶離液の濃度を高めることができる。繰り返し回数としては、その回数が多いほど回収されるスカンジウムの濃度が高まるが、多く繰り返し過ぎても回収されるスカンジウムの濃度上昇の程度は小さくなるため、工業的には8回以下程度であることが好ましい。
(2)溶媒抽出処理
溶媒抽出処理は、上述したイオン交換処理を経て得られたスカンジウム(Sc)溶離液を所定の抽出剤に接触させて、スカンジウムを抽出する。
ここで、溶媒抽出に使用する抽出剤としては、特に限定されず、アミン系抽出剤、リン酸系抽出剤等を使用することができる。また、その抽出剤に応じて、抽出対象のスカンジウムを、抽出剤を含む有機溶媒中に抽出することができ、あるいは、抽出剤に不純物成分を選択的に抽出させ、抽残液中にスカンジウムを残存させるようにすることもできる。例えば、アミン系抽出剤を用いた場合には、スカンジウムとの選択性が低い抽出剤であることから、有機溶媒中に不純物成分が選択的に抽出され、抽残液にスカンジウムが濃縮されて含まれるようになる。
溶媒抽出処理の態様(各工程)としては特に限定されないが、スカンジウム溶離液と抽出剤とを混合して、不純物を抽出した抽出後有機溶媒とスカンジウムを含む抽残液とに分離する抽出工程S31と、抽出後有機溶媒に塩酸溶液又は硫酸溶液を混合して抽出後有機溶媒に微量含まれるスカンジウムを分離するスクラビング工程S32と、洗浄後有機溶媒に逆抽出始液を混合して洗浄後有機溶媒から不純物を逆抽出し、逆抽出液を得る逆抽出工程S33とを有するものを例示できる。このように、溶媒抽出処理を行うことで、スカンジウム溶離液に含まれるスカンジウムの純度をより高めることができる。
[抽出工程]
抽出工程S31では、スカンジウム含有溶液と、抽出剤を含む有機溶媒とを混合して、有機溶媒中に不純物を選択的に抽出し、不純物を含有する有機溶媒と、スカンジウムを濃縮させた抽残液とを得る。
抽出剤としては、例えばアミン系抽出剤を用いる。アミン系抽出剤としては、1級アミンであるPrimeneJM−T、2級アミンであるLA−1、3級アミンであるTNOA(Tri−n−octylamine)、TIOA(Tri−i−octylamine)等の商品名で知られるアミン系抽出剤を用いることができる。
抽出時においては、そのアミン系抽出剤等の抽出剤を、例えば炭化水素系の有機溶媒等で希釈して使用することが好ましい。有機溶媒中の抽出剤濃度としては、特に限定されないが、抽出時、後述する逆抽出時における相分離性等を考慮すると、1体積%以上10体積%以下程度であることが好ましく、特に5体積%程度であることがより好ましい。また、抽出時における、有機溶媒とスカンジウム含有溶液との体積割合としては、特に限定されないが、スカンジウム含有溶液中のメタルモル量に対して有機溶媒モル量を0.01倍以上0.1倍以下程度にすることが好ましい。
[スクラビング(洗浄)工程]
上述した抽出工程S31において、スカンジウム含有溶液から不純物を抽出させた有機溶媒中にスカンジウムが僅かに共存する場合には、抽出工程S31にて得られた抽出液を逆抽出する前に、その有機溶媒(有機相)に対してスクラビング(洗浄)処理を施し、スカンジウムを水相に分離させて抽出剤から回収することが好ましい(スクラビング工程S32)。このようにしてスクラビング工程S32を設けて有機溶媒を洗浄し、抽出剤により抽出された僅かなスカンジウムを分離させることによって、洗浄液中にスカンジウムを分離させることができ、スカンジウムの回収率をより一層に高めることができる。
スクラビングに用いる溶液(洗浄溶液)としては、硫酸溶液や塩酸溶液等を使用することができる。また、水に可溶性の塩化物や硫酸塩を添加したものを使用することもできる。具体的に、洗浄溶液として硫酸溶液を用いる場合には、1.0mol/L以上3.0mol/L以下の濃度範囲のものを使用することが好ましい。
洗浄段数(回数)としては、不純物元素の種類、濃度にも依存することからそれぞれの抽出剤や抽出条件によって適宜変更することができる。例えば、有機相(O)と水相(A)の相比O/A=1とした場合、3〜5段程度の段数とすることにより、有機溶媒中に抽出されたスカンジウムを分析装置の検出下限未満まで分離することができる。
[逆抽出工程]
逆抽出工程S33では、抽出工程S31にて不純物を抽出した有機溶媒から、その不純物を逆抽出する。具体的に、この逆抽出工程S33では、抽出剤を含む有機溶媒に逆抽出溶液(逆抽出始液)を添加して混合することによって、抽出工程S31における抽出処理とは逆の反応を生じさせて不純物を逆抽出し、その不純物を含む逆抽出後液を得る。
逆抽出溶液である炭酸塩を含有する溶液の濃度としては、過剰な使用を抑制する観点から、例えば0.5mol/L以上2mol/L以下程度とすることが好ましい。
なお、上述したスクラビング工程S32にて抽出剤を含む有機溶媒に対してスクラビング処理を施した場合には、同様に、スクラビング後の抽出剤に対して逆抽出溶液を添加して混合することによって逆抽出処理を行うことができる。
このようにして抽出後の抽出剤又はスクラビング後の抽出剤に炭酸ナトリウム等の炭酸塩溶液を添加し、逆抽出処理を行って不純物を分離させた後の抽出剤は、再び、抽出工程S31における抽出処理に用いる抽出剤として繰り返して使用することができる。
<2−3.シュウ酸化処理>
上述した溶媒抽出処理を経て得られた逆抽出物であるスカンジウム含有溶液を用いて、スカンジウムをシュウ酸塩(シュウ酸スカンジウム)とするシュウ酸化処理を行う。このようにスカンジウムをシュウ酸塩とすることによって、濾過性等のハンドリング性を向上させることができ、スカンジウムを効率的に回収することができる。
シュウ酸化処理の方法としては、スカンジウム含有溶液に対してシュウ酸を添加して、スカンジウム含有溶液中のスカンジウムに基づいてシュウ酸スカンジウムの固体結晶を析出生成させる方法を用いることができる。使用するシュウ酸としては、固体であっても溶液であってもよい。なお、このシュウ酸化処理の方法において、スカンジウム含有溶液中に不純物成分として2価鉄イオンが含まれる場合には、シュウ酸鉄(II)の沈殿生成を防止するために、シュウ酸化処理に先立ち、酸化剤を添加して酸化還元電位(ORP,参照電極:銀/塩化銀)を500mV〜600mV程度の範囲に制御して酸化処理を施すことが好ましい。
あるいは、シュウ酸化処理の方法として、スカンジウム含有溶液を、反応容器に満たしたシュウ酸溶液の中に徐々に添加して、シュウ酸スカンジウムの固体結晶を析出生成させる方法を用いることができる。このとき、シュウ酸化処理に先立ち、スカンジウム含有溶液のpHを−0.5以上1以下の範囲に調整することが好ましい。このようなシュウ酸化処理方法によれば、シュウ酸鉄(II)等の沈澱生成を防止することができ、また高価な酸化剤等を用いることなく、より高純度のスカンジウムを回収することができる。
ここで、本実施の形態に係るスカンジウムの回収方法においては、上述したシュウ酸化処理に際して、処理中の反応溶液の温度を、50℃以上80℃以下の範囲に調整することを特徴としている。また、好ましくは55℃以上70℃以下の範囲、より好ましくは60℃に溶液の温度を調整する。
このように、シュウ酸化処理に際してスカンジウム含有溶液とシュウ酸とを含む反応溶液の温度を所定の範囲に調整することで、生成するシュウ酸化スカンジウムの粒子を大きくすることができる。そして、その得られたシュウ酸スカンジウムを焙焼することで、高い品位でスカンジウムを含有するものとなるとともに、所望とする大きさに有効に粗大化した酸化スカンジウムを得ることができ、ハンドリング性を向上させることができる。
図3に、本実施の形態におけるシュウ酸化処理のフロー図を示す。上述したように、本実施の形態においては、スカンジウム含有溶液を特定の温度範囲、すなわち50℃以上80℃以下の範囲に調整する温度調整工程S41と、温度調整した溶液(シュウ酸化始液)にシュウ酸を用いてシュウ酸化処理を施し、スカンジウムのシュウ酸塩の沈殿を生じさせる晶析工程S42とを有する。なお、得られたシュウ酸スカンジウムの結晶は、濾過・洗浄処理を行う濾過・洗浄工程S43を経ることによって回収する。
(温度調整工程)
温度調整工程S41では、シュウ酸化処理に供するスカンジウム含有溶液の温度を、50℃以上80℃以下の範囲、好ましくは55℃以上70℃以下の範囲、より好ましくは60℃に調整する。このように、スカンジウム含有溶液の温度を50℃以上に調整し、その温度を維持させて次の晶析工程S42で反応を生じさせることで、生成するスカンジウムのシュウ酸塩の結晶成長を速くすることができ、粒子を粗大化させることができる。
スカンジウム含有溶液の温度調整方法としては、特に限定されず、例えばヒーター等を用いて調整することができる。
(晶析工程)
晶析工程S42では、温度を50℃以上80℃以下の範囲に調整し維持させたスカンジウム含有溶液(シュウ酸始液)にシュウ酸を用いてスカンジウムをシュウ酸化する反応を生じさせるシュウ酸化処理を施し、スカンジウムのシュウ酸塩(シュウ酸スカンジウムの結晶)を得る。このように、本実施の形態においては、処理中の反応溶液の温度を50℃以上80℃以下の状態としてシュウ酸化の反応を生じさせる。このことにより、シュウ酸スカンジウムの結晶成長を速くすることができ、粒子を粗大化させることができる。
処理中の反応溶液の温度が50℃未満であると、結晶成長が遅く、ハンドリング性が良好なような粒子にまで十分に成長せず粗大化させることができない。一方で、処理中の反応溶液の温度が80℃を超えても、それ以上粒子を粗大化させることができず、むしろ必要なエネルギーコストや設備コスト等が増加して非効率となる。
シュウ酸化処理において、使用するシュウ酸としては、固体のものであっても、溶液(シュウ酸溶液)であってもよい。また、上述したように、スカンジウム含有溶液に対してシュウ酸溶液を添加してシュウ酸スカンジウムの結晶を生成させるようにしてもよく、あるいは、反応容器にシュウ酸溶液を収容し、そこにスカンジウム含有溶液を添加して結晶を生成させるようにしてもよい。
シュウ酸化処理にシュウ酸の水溶液(シュウ酸溶液)を用いる場合には、スカンジウム含有溶液と同様に、50℃以上80℃以下の範囲に液温を調整したものを用いることが好ましい。このように、温度を調整したシュウ酸溶液を用いることで、シュウ酸化処理中の反応溶液の温度を50℃以上80℃以下に確実に維持させることができ、十分に結晶成長させたシュウ酸スカンジウムの結晶をより効率的に生成させることができ、所望の大きさに粗大化させた酸化スカンジウムを回収することができる。
また、シュウ酸としては、スカンジウム含有溶液中のスカンジウムをシュウ酸塩として析出させるのに必要な当量の1.05倍〜1.2倍の範囲の量を使用することが好ましい。使用量が必要な当量の1.05倍未満であると、スカンジウムを有効に全量回収できなくなる可能性がある。一方で、使用量が必要な当量の1.2倍を超えると、シュウ酸スカンジウムの溶解度が増加することでスカンジウムが再溶解して回収率が低下し、また過剰なシュウ酸を分解するために次亜塩素ソーダのような酸化剤の使用量が増加するため好ましくない。
また、シュウ酸溶液を用いる場合、そのpHを−0.5以上1以下の範囲に調整したものを用いることが好ましい。特に、スカンジウム含有溶液のpHを−0.5以上1以下の範囲に調整したものを用いる場合には、シュウ酸溶液のpHも併せて調整することで、より不純物品位を低減させることができ、高純度のスカンジウムを回収することができる。
なお、上述した例では、スカンジウム含有溶液を予め50℃以上80℃以下の温度に調整し、その温度を維持しながら、処理中の反応溶液の温度を50℃以上80℃以下とする態様について説明したが、これに限らず、スカンジウム含有溶液とシュウ酸とを混合させて反応を生じさせるときの反応溶液の温度が50℃以上80℃以下の範囲に維持されていればよい。
<2−4.酸化スカンジウムの生成(焙焼)>
本実施の形態においては、上述のようにしてシュウ酸化処理を行って得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を焙焼することによって酸化スカンジウムとする。
焙焼処理は、シュウ酸化処理により得られたシュウ酸スカンジウムの結晶を水で洗浄し、また乾燥させた後に焙焼する処理である。この焙焼処理を経ることで、スカンジウムを酸化スカンジウムとして回収することができる。特に、本実施の形態においては、上述したシュウ酸処理において、処理中の反応溶液の温度を所定の範囲に調整し維持させているため、生成するシュウ酸スカンジウムの不純物品位を低減させ、所望とする大きさにまで結晶成長させることができる。そしてこれにより、焙焼を経て得られる酸化スカンジウムの粒径を有効に粗大化することができる。したがって、高い品位でスカンジウムを含有するとともに、ハンドリング性が向上した酸化スカンジウムを得ることができる。
焙焼処理の条件としては、特に限定されないが、例えば管状炉に入れて約900℃で2時間程度加熱すればよい。なお、工業的には、ロータリーキルン等の連続炉を用いることによって、乾燥と焙焼とを同じ装置で行うことができるため好ましい。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して、本発明についてより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に何ら限定されない。
[実施例1]
(ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセス)
オートクレーブを用いてニッケル酸化鉱石を硫酸で浸出し、得られた浸出液に消石灰を添加して中和した。次いで、得られた中和後液に硫化剤を添加して硫化反応を生じさせ、ニッケルやコバルト等を硫化物として分離し、スカンジウムを含有する硫化後液を得た。
(イオン交換処理、中和処理)
次に、得られた硫化後液に対してキレート樹脂を用いたイオン交換処理に付し、溶液中の不純物を分離するとともに、キレート樹脂から溶離したスカンジウムを含む溶離液(スカンジウム溶離液)を得た。その後、スカンジウム溶離液に対して中和剤を添加して、水酸化スカンジウムの沈殿物を生成させた。
(溶媒抽出処理)
次に、水酸化スカンジウムの沈殿物に硫酸を添加して再度溶解して溶解液(スカンジウム溶解液)とし、このスカンジウム溶解液に対してアミン系抽出剤を用いた溶媒抽出処理に付し、抽残液として硫酸スカンジウム溶液を得た。
(シュウ酸化処理)
次に、硫酸スカンジウム溶液に含まれるスカンジウム濃度が5g/L程度になるように、水を加えて希釈した。また、希釈時には硫酸を添加して、pHを1前後に調整して維持した。なお、pHが0〜1程度の範囲では、得られる精製物の粒径には相違はなかった。
続いて、pH調整後の硫酸スカンジウム溶液に過酸化水素を添加して、この溶液の酸化還元電位(ORP)が銀/塩化銀を参照電極とする値で500mV〜600mVの範囲に調整し、シュウ酸化始液とした。
続いて、シュウ酸化始液を1試験条件につき1.3リットル分取した。また、シュウ酸化に用いるシュウ酸溶液として、シュウ酸を100g/Lの濃度で含有する溶液を1試験条件につき0.54リットル用意した。なお、このシュウ酸溶液の量は、シュウ酸化始液中に含まれるスカンジウムに対して2.7当量のシュウ酸を添加する量に相当する。
そして、シュウ酸化始液とシュウ酸溶液とをそれぞれ60℃に昇温し維持して、反応容器内に収容されたシュウ酸溶液を撹拌しながら、そのシュウ酸溶液の中に約0.5リットル/minの流量でシュウ酸化始液を添加した。なお、処理中の反応溶液の温度は、60℃に維持した。下記表1に、シュウ酸化処理の条件をまとめて示す。
Figure 2018035391
シュウ酸化始液を全量添加した後、10分間撹拌状態を継続した。続いて、全量を濾過して固液分離し、分離したシュウ酸スカンジウムの結晶に対して純水によるレパルプ洗浄を50g/Lとなる量で3回繰り返した。得られたシュウ酸スカンジウムの結晶の平均粒径を、マイクロトラックを用いて測定した。下記表2に、測定結果を示す。
(焙焼処理)
その後、得られた洗浄後のシュウ酸スカンジウムの結晶を、炉に入れて約900℃で焼成し、酸化スカンジウムを得た。このようにして得られた酸化スカンジウムの平均粒径を、マイクロトラックを用いて測定した。下記表2に、測定結果を示す。
Figure 2018035391
表2に示す粒径測定結果からわかるように、生成した酸化スカンジウムは、平均粒径(D90)が29μm〜32μmの大きさのものとなった。
[実施例2]
実施例1と同様にしてニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスを行ったのち、イオン交換処理及び溶媒抽出処理を行って、硫酸スカンジウム溶液を得た。得られた硫酸スカンジウム溶液について、スカンジウム濃度が10g/Lとなるように調整し、硫酸を用いてpH0に調整した。この溶液をシュウ酸化始液とした。
次に、シュウ酸化始液を1試験条件につき1.3リットル分取した。また、シュウ酸化に用いるシュウ酸溶液として、シュウ酸を100g/Lの濃度で含有する溶液を1試験条件につき0.54リットル用意した。なお、このシュウ酸溶液の量は、シュウ酸化始液中に含まれるスカンジウムに対して2.7当量のシュウ酸を添加する量に相当する。
そして、シュウ酸化始液とシュウ酸溶液とを、それぞれ60℃に昇温し維持した。実施例2では、これらの溶液を用いて、下記表3に示すように、シュウ酸溶液の中にシュウ酸化始液を添加してシュウ酸化する方法(実施例2−1)と、シュウ酸化始液の中にシュウ酸溶液を添加してシュウ酸化する方法(実施例2−2)と、の2通りの方法でシュウ酸化処理を行った。具体的に、方法1のシュウ酸化処理では、反応容器に収容したシュウ酸溶液を撹拌しながら、その中に約0.5リットル/minの流量でシュウ酸化始液を添加した。一方、方法2のシュウ酸化処理では、シュウ酸化始液を撹拌しながら、その中に約0.5リットル/minの流量でシュウ酸溶液を添加した。なお、処理中の反応溶液の温度は、60℃に維持した。
Figure 2018035391
いずれの方法においても、液の混合が終わった後に10分間撹拌状態を継続した。続いて、全量を濾過して固液分離し、分離したシュウ酸スカンジウムの結晶に対して純水によるレパルプ洗浄を50g/Lとなる量で3回繰り返した。
その後、得られた洗浄後のシュウ酸スカンジウムの結晶を、炉に入れて約900℃で焼成し、酸化スカンジウムを得た。このようにして得られた酸化スカンジウムの平均粒径を、マイクロトラックを用いて測定した。下記表4に、測定結果を示す。
Figure 2018035391
表4に示す粒径測定結果からわかるように、生成した酸化スカンジウムは、平均粒径(D90)が25μm〜27μmの大きさのものとなり、シュウ酸化処理の方法によって差がないことが確認された。
[比較例1]
実施例1と同様にしてニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスを行ったのち、イオン交換処理及び溶媒抽出処理を行って、硫酸スカンジウム溶液を得た。得られた硫酸スカンジウム溶液について、スカンジウム濃度が10g/Lとなるように調整し、硫酸を用いてpH0に調整した。この溶液をシュウ酸化始液とした。
次に、シュウ酸化始液を1試験条件につき1.3リットル分取した。また、シュウ酸化に用いるシュウ酸溶液として、シュウ酸を100g/Lの濃度で含有する溶液を1試験条件につき0.54リットル用意した。なお、このシュウ酸溶液の量は、シュウ酸化始液中に含まれるスカンジウムに対して2.7当量のシュウ酸を添加する量に相当する。
そして、比較例1では、シュウ酸化始液とシュウ酸溶液とをそれぞれ2つに分け、常温(25℃)の温度条件に維持するもの(比較例1−1)と、40℃に昇温し維持するもの(比較例1−2)とを用意した。これらの溶液を用いて、反応容器内に収容されたシュウ酸溶液を撹拌しながら、そのシュウ酸溶液の中に約0.5リットル/minの流量でシュウ酸化始液を添加した。なお、下記表5に、シュウ酸化処理の条件をまとめて示す。
Figure 2018035391
シュウ酸化始液を全量添加した後、30分間〜120分間撹拌状態を継続した。続いて、全量を濾過して固液分離し、分離したシュウ酸スカンジウムの結晶に対して純水によるレパルプ洗浄を50g/Lとなる量で3回繰り返した。
その後、得られた洗浄後のシュウ酸スカンジウムの結晶を、炉に入れて約900℃で焼成し、酸化スカンジウムを得た。このようにして得られた酸化スカンジウムの平均粒径を、マイクロトラックを用いて測定した。下記表6に、測定結果を示す。
Figure 2018035391
表6に示す粒径測定結果からわかるように、生成した酸化スカンジウムは、平均粒径(D90)が実施例で得られた酸化スカンジウムよりもはるかに小さいものしか得られず、有効に粗大化することができなかった。

Claims (4)

  1. スカンジウムを含有する溶液(スカンジウム含有溶液)にシュウ酸を用いて、該スカンジウムをシュウ酸化する反応を生じさせるシュウ酸化処理を施す工程を含むスカンジウムの回収方法において、
    前記シュウ酸化処理に際して、処理中の反応溶液の温度を50℃以上80℃以下とする
    スカンジウムの回収方法。
  2. 前記シュウ酸化処理によりシュウ酸スカンジウムを得て、該シュウ酸スカンジウムを焙焼することによって酸化スカンジウムを生成させる
    請求項1に記載のスカンジウムの回収方法。
  3. 前記シュウ酸として、温度を50℃以上80℃以下に調整したシュウ酸溶液を用いる
    請求項1又は2に記載のスカンジウムの回収方法。
  4. 前記スカンジウム含有溶液が、スカンジウムを含有する溶液に対してイオン交換処理及び/又は溶媒抽出処理を施して得られたものである
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスカンジウムの回収方法。
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