JP2018031323A - 圧縮機の製造方法及び圧縮機の軸受位置決め装置 - Google Patents

圧縮機の製造方法及び圧縮機の軸受位置決め装置 Download PDF

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Abstract

【課題】シリンダに対する主軸受と副軸受の位置決めが容易で、シリンダに対する歪の影響を抑制した圧縮機の製造方法及び圧縮機の軸受位置決め装置を得る。
【解決手段】主軸受2、シリンダ1、及び副軸受3を通しボルト5で共締め固定する圧縮機の製造方法であって、前記主軸受、シリンダ、及び副軸受からなる三部材の何れか一部材のみをベース61に固定し、他の二部材を、前記ベースに固定された一部材に対するそれぞれの配設位置において前記軸方向に直交する方向にのみ揺動可能に保持し、その状態で主軸を軸方向に対して傾斜させて回転させたときの、前記他の二部材の軸方向に直交する方向の振れをそれぞれ計測し、計測された振れ幅の中心位置に対して他の二部材をそれぞれ位置決めした後、通しボルトによって固定するようにした。
【選択図】図4

Description

本発明は圧縮機、特にロータリ圧縮機のクランク軸を主軸受と副軸受で支持する圧縮機の製造方法及び圧縮機の軸受位置決め装置に関するものである。
従来の圧縮機として、シリンダの両端面を数本のボルトにて締結される軸受を兼ねる主端板と補助端板に対し、ローラとシリンダ内径の隙間が最小となる位置付近を締結するボルトの締結力を他の箇所のボルトの締結力に対して小さくすることで、圧縮機の効率に大きく影響する最小隙間に対し、ボルト締結による歪を減少させ、最小隙間をさらに小さく設定して圧縮機の効率を上げるようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。また、主軸受を取付台に固定し、クランク軸(主軸)の長軸部に偏心部の偏心方向と同方向に偏心錘を取付け、モータによって主軸を振れ回り運動させることで副軸受を揺動運動させ、副軸受の揺動軌跡を副軸受計測機構で計測し、揺動軌跡の中心を求め、アクチュエータ及び背圧機構を用いてその中心位置に副軸受を調心するようにしたものがある(例えば特許文献2参照)。
特開2002−98075号公報 特開平9−32773号公報
上記特許文献1のような圧縮機にあっては、主軸受と副軸受をそれぞれシリンダにボルト締結する必要があり、シリンダ内径の歪量分はローラとシリンダ内径の隙間をあけることで、効率を低下させていた。また、シリンダに対し、主軸受と副軸受を別々に位置決めし固定する必要があるため、設備を複数台設けるため、設備費が高く、組立時間が増加するという問題があった。また、特許文献2の調心方法ではシリンダに固定された主軸受に対する副軸受の中心を正確に調芯できるものの、シリンダに対する主軸受と副軸受の固定手法に関しては特許文献1と同様の課題があり、また、偏心錘を主軸の偏心部の偏心方向と同方向に取付ける必要があるという課題があった。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、シリンダに対する主軸受と副軸受の位置決めを同時に行うことができ、しかもボルト締結によるシリンダに対する歪の影響を抑制することができる圧縮機の製造方法及び圧縮機の軸受位置決め装置を得ることを目的としている。
本発明に係る圧縮機の製造方法は、シリンダと、前記シリンダに対してその軸方向に挿通して設けられ該軸方向の中央部にローラが嵌装された偏芯部を有し、両端部が前記シリンダの外方に突出された主軸と、前記シリンダの一側部に配設され前記主軸の一端部を回転自在に支持する主軸受と、前記シリンダの他側部に配設されて前記主軸の他端部を回転自在に支持する副軸受と、を備え、前記主軸受、前記シリンダ、及び前記副軸受を、通しボルトによって共締め固定するようにした圧縮機の製造方法であって、前記主軸受、前記シリンダ、及び前記副軸受からなる三部材の何れか一部材のみをベースに対して固定し、他の二部材を、前記ベースに固定された前記一部材に対するそれぞれの配設位置において前記軸方向に直交する方向にのみ揺動可能に保持し、その状態で前記主軸を前記軸方向に対して傾斜させて回転させたときの、前記他の二部材の前記軸方向に直交する方向の振れをそれぞれ計測し、計測された振れ幅の中心位置に対して前記他の二部材をそれぞれ位置決めした後、前記通しボルトによって、前記主軸受、前記シリンダ、及び前記副軸受を固定するようにしたものである。
また、本発明に係る圧縮機の軸受位置決め装置は、シリンダと、前記シリンダに対してその軸方向に挿通して設けられ該軸方向の中央部にローラが嵌装された偏芯部を有し、両端部が前記シリンダの外方に突出された主軸と、前記シリンダの一側部に配設され前記主軸の一端部を回転自在に支持する主軸受と、前記シリンダの他側部に配設されて前記主軸の他端部を回転自在に支持する副軸受と、を備え、前記主軸受、前記シリンダ、及び前記副軸受を、通しボルトによって共締め固定するようにした圧縮機の軸受位置決め装置であって、ベースと、前記主軸受、前記主軸が挿通された前記シリンダ、及び前記副軸受からなる三部材の何れか一部材のみを基準部材として前記ベースに対して固定する基準部材固定手段と、他の二部材を前記ベースに固定された前記一部材に対するそれぞれの配設位置において前記軸方向に直交する径方向にのみ揺動可能に保持する保持手段と、前記主軸を前記軸方向に対して傾斜させて回転させる主軸傾斜回転手段と、前記主軸傾斜回転手段によって前記主軸を回転させたときの前記他の二部材の振れをそれぞれ計測する二組の変位センサと、前記変位センサによって計測された振れ幅の中心位置に対して前記他の二部材をそれぞれ移動させる移動手段と、を備えたものである。
本発明の圧縮機の製造方法によれば、主軸受、シリンダ、及び副軸受からなる三部材の何れか一部材のみをベースに対して固定し、他の二部材を、ベースに固定された前記一部材に対するそれぞれの配設位置において軸方向に直交する方向にのみ揺動可能に保持し、その状態で前記主軸を前記軸方向に対して傾斜させて回転させたときの、前記他の二部材の前記軸方向に直交する方向の振れをそれぞれ計測し、計測された振れ幅の中心位置に対して前記他の二部材をそれぞれ位置決めした後、通しボルトによって、前記主軸受、前記シリンダ、及び前記副軸受を固定するようにしたので、シリンダに対する主軸受と副軸受の同軸を確保するための理想的な位置を同時に検知することができると共に、ボルト締結によるシリンダの歪を抑制した効率の高い圧縮機を得ることができる。
また、本発明の圧縮機の軸受位置決め装置によれば、シリンダに対する主軸受と副軸受の同軸を確保するための理想的な中心位置を同時かつ容易に検知することができると共に、ボルト締結によるシリンダの歪を抑制した効率の高い圧縮機を得ることができる。
本発明の実施の形態1〜5による圧縮機の製造方法によって製造された圧縮機の要部を概念的に示す断面図である。 図1に示された圧縮機の径方向における断面構成図である。 シリンダに螺設されたネジ山に軸受をボルト締結した際に生じるシリンダの変形を説明する参考図である。 本発明の実施の形態1による圧縮機の軸受位置決め装置の全体的な概要構成を示す断面図である。 図4に示す軸受位置決め装置の第1の要部を概念的に示す断面図である。 図4に示す軸受位置決め装置の第2の要部を概念的に示す断面図である。 図4に示す軸受位置決め装置の変形例を概念的に示す要部断面図である。 図4に示す軸受位置決め装置の動作を概略的に示すフロー図である。 本発明の実施の形態2による圧縮機の製造方法に用いた軸受位置決め装置の要部を概念的に示す断面図である。 本発明の実施の形態3の製造方法における圧縮機の要部構成部材を説明する図である。 本発明の実施の形態4の製造方法における圧縮機の要部構成部分を示す図である。
実施の形態1.
先ず、本発明の圧縮機の製造方法によって製造された圧縮機における各実施の形態に共通した特徴について図1〜図3を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態1〜4による圧縮機の製造方法によって製造された圧縮機の要部を概念的に示す断面図、図2は図1に示された圧縮機の径方向における断面構成図、図3はシリンダに螺設されたネジ山に軸受をボルト締結した際に生じるシリンダの変形を説明する参考図である。図において、圧縮機は被固定部品であるシリンダ1と、シリンダ1の図1の姿勢における下端と上端に形成された固定面Aにそれぞれ固定された主軸受2及び副軸受3と、主軸受2と副軸受3に軸支されたクランク軸である主軸4を備えている。主軸4の軸方向中間部には偏芯部41が形成され、その偏芯部41の外周面には円筒状のローラ42が嵌装されている。主軸受2には周方向に複数(ここでは4か所)のネジ穴21が螺設されている。副軸受3とシリンダ1には主軸受2のネジ穴21に対応した位置に通しボルト5を挿通するための貫通穴31と貫通穴11がそれぞれ設けられている。通しボルト5は副軸受3の側から挿入され、主軸受2のネジ穴21に締結することで主軸受2と副軸受3にてシリンダ1を挟み込んだ状態で共締めされ固定される。なお、便宜上、主軸4の軸方向をZ軸、そのZ軸に直交した面における互いに直交した方向をX軸、Y軸とする。
シリンダ1の中央部には、圧縮用の空間を形成する円筒状の内周面12が軸方向の周りに設けられ、内周面12の周方向の所定部には、図2に示すように、冷媒を圧縮する際の高圧部と低圧部の隔壁となるベーン13が径方向に進退移動自在に設けられ、そのベーン13はバネ14にてローラ42の外周面に常時押し付けられるように付勢されている。偏芯部41を有する主軸4は主軸受2と副軸受3によって決められた中心軸を基準に、図2における時計方向(右回り)に回転することで、シリンダ1に形成された吸入口15から冷媒を吸入し、吸気後に主軸4の回転と共に、ベーン13とシリンダ1の内周面12とローラ42の外周面とシリンダ1の両端面を挟み込む主軸受2、及び副軸受3で囲まれた圧縮空間の容積が減少することで冷媒を圧縮し、高圧となった冷媒が吐出口16からシリンダ1の外部に吐出される。
次に、シリンダと軸受などの部材相互をボルトで締結する際に、一方の部材にネジ穴を設けてボルト締結するときに、ネジ穴を設けた部材に生じる歪について図3を用いて説明する。なお、図3(a)はボルト締結時にネジ部周辺に作用する力の方向を説明する図、図3(b)はボルト締結によるネジ部周辺の変形を説明する模式図である。一般的に、部材相互をボルト締結する際には、図3(a)のようにネジ部B周辺の部材はボルト締結の軸力F1によってネジ部B内周の山部が圧縮され、ネジ山の斜面を押し付ける力はネジ部Bの半径方向の分力F1rに分けられる。ネジ部Bが加工された部材には、ボルト締結によりネジ部外周部に半径方向の分力F1rが加わるため、図3(b)のようにネジ部Bの周辺は外側に変形する力Cを受け、剛性の弱い方向(図3(b)では左右方向)に破線で示すように変形する。
このように、ネジ部Bには半径方向外側に向かう力Cが発生し、ネジ締結後は図3(b)の破線で示したように変形する。このため、圧縮機の圧縮機構部については、従来装置のようにシリンダに(雌)ネジ部を螺設し、主軸受と副軸受をシリンダのネジ部に対してボルト締結する手法ではシリンダのボルト締結部分の半径方向への変形によってシリンダ内径の変形が避けられないが、本発明ではネジ穴を螺設する部材を歪の影響の少ない主軸受または副軸受にしたことで、シリンダにはネジ部が不要となり、ボルト締結によるシリンダの締結部分の半径方向への歪の影響が抑制される。なお、図1では主軸受2にネジ穴21を設け、副軸受3とシリンダ1には通しボルト5を挿通するための貫通穴31、貫通穴11を設けているが、副軸受3にネジ穴を設け、主軸受とシリンダに貫通穴を設けても同様の作用効果が得られる。また、主軸受2、シリンダ1、及び副軸受3に通し穴を設け、通しボルトとナットにより、主軸受と副軸受を介してシリンダを挟み込むように固定しても同等の作用効果が得られる。
前記のように、本発明に係る圧縮機は通しボルト5の締結力によって主軸受2と副軸受3にてシリンダ1を挟み込み、シリンダ1を共締めするようにしたものであり、シリンダ1には板厚方向の締結力が加わるのみとなるため、シリンダ1のネジ締結部周辺の歪を抑制でき、シリンダ内径の変形が抑制される。そのため、従来、シリンダ内径の変形量を見越して広く設定していたシリンダ内周とローラ外周の隙間について、隙間量を低減させることが可能となり、それにより主軸4の回転時にローラ42とシリンダ1の隙間からの冷媒の漏れを抑制し、圧縮機の効率を向上させることができる。
次に、上記のような本発明の圧縮機の実施の形態1による製造方法及びその製造方法に用いる軸受位置決め装置について図4〜図8を参照して説明する。なお、図4は本発明の実施の形態1による圧縮機の軸受位置決め装置の全体的な概要構成を示す断面図、図5は図4に示す軸受位置決め装置の第1の要部を概念的に示す断面図、図6は図4に示す軸受位置決め装置の第2の要部を概念的に示す図である。なお、実施の形態1の製造方法は、シリンダ1を基準部材として主軸受2及び副軸受3を同時に位置決めした後、通しボルト5によって固定することで、組立工数や加工コストを削減可能としたものである。なお、図5(a)はシリンダ1のみを軸受位置決め装置のベースに固定し、主軸受2及び副軸受3を、シリンダ1の軸方向に直交する方向にのみ揺動可能に保持するときの要部構成を示し、図5(b)は、主軸受2及び副軸受3には、その振れを計測するための変位センサ64が設けられていることを概念的に示している。また、各図とも摺動回転部分のクリアランスや傾斜角度などは何れも誇張して図示している。
図4において、圧縮機の軸受位置決め装置はワークを固定するためのベース61と、シリンダ1、主軸受2、及び副軸受3からなる三部材の何れか一部材のみを基準部材としてベース61に対して固定する基準部材固定手段62と、前記三部材の内の他の二部材をベース61に固定された前記基準部材に対するそれぞれの配設位置において軸方向に直交する径方向にのみ揺動可能に保持する保持手段63(63A、63B)と、主軸4を軸方向に対して傾斜させて回転させる主軸傾斜回転手段68と、主軸傾斜回転手段68によって主軸4を回転させたときの前記他の二部材の振れをそれぞれ計測する二組の変位センサ64と、変位センサ64によって計測された振れ幅の中心位置に対して前記他の二部材をそれぞれ移動させる二組の移動手段65、66(図6に図示)と、移動手段65、66によって相互に位置決めされた前記三部材を一体的に固定するためのナットランナからなるボルト締結装置69とを備え、更に、各要素の動作を個々にまたは連動して制御する機能、及び二組の変位センサ64の出力信号を演算処理して結果を出力する機能を有する制御装置(図示省略)を備えている。
ベース61の所定部には挿通孔61aが設けられ、その上方部に該ベース61と一体的に接続された上側支持部材611が設けられ、下方部には該ベース61と一体的に接続された下側支持部材612が設けられている。基準部材固定手段62は挿通孔61aの近傍に設けられ、平面視V字形状の内角側の係止面に基準部材として選択されたシリンダ1の外周面を係止することでシリンダ1の固定位置を定める係止プレート621と、シリンダ1の軸方向(図5におけるZ方向)の移動を拘束するエアシリンダ622と、係止プレート621に対してシリンダ1を介した反対側に配設されシリンダ1の径方向の移動を拘束するエアシリンダ623からなっている。なお、ベース61に対して固定されたシリンダ1には、その内周面12によって形成された圧縮空間部に、ローラ42が嵌装された偏芯部41が位置するように主軸4が挿通される。
ベース61の下側の保持手段63は、主軸4の下部側を回転自在に支持すると共にシリンダ1の圧縮空間の下面部を塞ぐようにシリンダ1の図における下側の固定面A(図5に図示)に配設された主軸受2を、軸方向上方向に押付けて軸方向の移動を規制し、軸方向に直交する径方向にのみ揺動移動可能に保持するものであり、圧縮ばねと同様の機能を有する押付け機構であるエアシリンダ63Aが用いられている。ベース61の上側の保持手段63は、主軸4の上部側を支持すると共にシリンダ1の圧縮空間の上面部を塞ぐようにシリンダ1の図における上側の固定面Aに配設された副軸受3を軸方向下方向に押付けて軸方向の移動を規制し、同様に軸方向に直交する径方向にのみ揺動移動可能に保持するものであり、エアシリンダ63Bが用いられている。なお、エアシリンダ63Bは上側支持部材611に対して固定されている。主軸受2及び副軸受3はそれぞれ予め設定された所定の加圧力でシリンダ1の方向に押え付けられている。
主軸傾斜回転手段68は、下側支持部材612に取付けられた駆動モータ681と、駆動モータ681の出力軸と主軸4との間に介装されたオルダム継手682と、主軸4の一端部に取付けられた錘683とを備えている。なお、本発明ではシリンダに対する軸受の位置決めの際に主軸4を傾斜させ、いわゆる「すりこぎ運動」ないしは「振れ回り」の状態で回転させることを特徴の1つとしている。主軸4はローラ42が嵌装された偏芯部41を有していることにより、組み合わされた各要素部材のサイズやクリアランスなどによって個々に決まる角度で、偏芯部41の外周面の上端と下端の2点がローラ42の内周面に接触した状態で傾斜して回転され、傾斜方向の位相が360度回されるいわゆる「すりこぎ運動」、または「振れ回り」の状態となる。このとき、偏芯部41の回転に伴って、その偏芯部41に嵌装されたローラ42は、その上端面が副軸受3の下面に沿って摺動され、ローラ42の下端面は主軸受2の上面に沿って摺動される。錘683は主軸4を傾斜回転させるのに有利ではあるが、必ずしも必須のものではないので、図5、図6では錘683を取付けていない場合を例示している。
次に、二組の変位センサ64と移動手段65、66の構成について、図6を参照して説明する。なお、図6(a)は理想的な位置決めの中心位置D、Eに対して主軸受2及び副軸受3をそれぞれ移動させるためのアクチュエータを用いた移動手段の設置状態の要部構成を概念的に示す断面図、図6(b)は図6(a)を上面から見たときに副軸受3の側の変位センサ64と移動手段66が何れも半径方向に対して直交する2方向に向けて副軸受3の外周面に設置されていることを示し、図6(c)は移動手段による位置決めの後、通しボルトで固定するときの状態を概念的に示す断面図である。
図6に示すように、二組の変位センサ64の一方は主軸受2の軸心方向に向けて直交する2方向から該主軸受2の外周面に当接するように取付けられ、他方は図6(b)に例示するように、副軸受3の軸心方向に向けて直交する2方向からその副軸受3の外周面に当接するように取付けられる。
二組の移動手段65、66は、軸受位置決め装置のベース61に設けられており、図6(a)、図6(b)に示すように主軸受2または副軸受3をそれぞれ直交するX方向とY方向の2軸方向に任意の寸法だけ微小寸法で移動可能な、何れも直交された一対のエアシリンダなどを用いたアクチュエータからなっている。なお、移動手段65、66に対して主軸受2または副軸受3を挟んだ反対側にはバネ等の弾性部材65a、66aで一定の押付け力で主軸受2と副軸受3を移動手段65、66の側に押し付ける背圧付与機構がそれぞれ設けられている。また、移動手段65、66、弾性部材65a、66a、及び変位センサ64、64は、互いに干渉することがないように、ここでは図5に示す基準部材固定手段62や保持手段63とは周方向にずらした位置に設置されている。
また、移動手段65、66と弾性部材65a、66aは、主軸4が「すりこぎ運動」するように回転され、2組の変位センサ64によって主軸受2及び副軸受3の振れ幅を測定する際には、主軸受2と副軸受3から退避できる構造となっている。
ボルト締結装置69は上側支持部材611に固定され、各通しボルト5の頭部を回転させるソケットが下方向に伸びるように複数設置されている。
次に、上記のように構成された実施の形態1における圧縮機の軸受位置決め装置の動作及び圧縮機の製造方法について図8に示すフロー図も参照して説明する。
ステップS1:まず、基準部材として選択したシリンダ1を用意し、図5(a)に示すようにベース61における挿通孔61aの上縁部に設けられたワーク固定部であるV字形状の係止プレート621の内角側にシリンダ1を載置する。なお、このとき、シリンダ1に対して、ローラ42を嵌装した偏芯部41がシリンダ1の内周面12の内側に収容されるように主軸4を挿入した後、主軸受2及び副軸受3を装着し、更に通しボルト5によってシリンダ1に対して主軸受2及び副軸受3が径方向に揺動可能に仮止めしたものを載置するようにしても良い。
ステップS2:基準部材固定手段62を構成するエアシリンダ623によって、シリンダ1の外周面が係止プレート621のV字形状の内角側の係止面(図示省略)に当接するように半径方向に押し付け、その後、エアシリンダ622を作動させてシリンダ1を軸方向に押し付けることで、シリンダ1をベース61に対して径方向及び軸方向に確実に固定する。なお、図5における係止プレート621、エアシリンダ622、623の位置関係は図4とは左右逆に示している。
なお、ステップS1にてシリンダ1のみを載置し、基準部材固定手段62によって固定した場合は、前述の基準部材固定手段62によってベース61に固定されたシリンダ1に対してローラ42を嵌装した偏芯部41がシリンダ1の内周面12の内側に収容されるように主軸4を挿入した後、その主軸4の下部側に主軸受2を装着し上部側に副軸受3を装着して仮組立状態とする。
ステップS3:主軸受2及び副軸受3がシリンダ1から軸方向に離れるのを防ぐため、主軸受2を保持手段63としてのエアシリンダ63Aによって図の軸方向上方向に押付け、副軸受3を保持手段63としてのエアシリンダ63Bによって図の軸方向下方向に押付ける。なお、何れのエアシリンダも予め設定された所定の押付け力を保持するように制御される。これにより、主軸受2と副軸受3は軸方向には移動が規制され径方向には揺動自在の状態となる。なお、摺動部分には潤滑油の膜が形成されている。
ステップS4:主軸4に錘683を取付ける(図7に示す変形例の場合)。なお、図5、図6は錘683を取付けずに実施する場合を示している。
ステップS5:主軸4の図における下端部をオルダム継手682を介して駆動モータ681の出力軸に接続する。そして、主軸受2と副軸受3の外周面に、図5(b)に示す変位センサ64を、図6(b)に示すように互いに直交する2方向の変位を計測できるように、それぞれ1対ずつ合計2組設置する。なお、アクチュエータを用いた移動手段65、66と弾性部材65a、66aは退避させ、主軸受2と副軸受3の揺動を変位センサ64にて計測できる状態としておく。
ステップS6:次に、駆動モータを回転させて主軸4を振れ回り運動、ないしは「すりこぎ運動」させる。そのとき、シリンダ1の固定面Aに対して油膜を介して径方向に自由に摺動し得るように当接された主軸受2と副軸受3は、円を描くような軌跡でそれぞれ径方向に揺動する。
ステップS7:そのときの主軸4の回転位相に対する主軸受2及び副軸受3の径方向の振れ幅を、直交する2方向に設けられた1対ずつ2組の変位センサ64によって検出する。
ステップS8:それぞれの変位センサの検出信号を基に振れの中心位置が図示省略している制御装置の演算機能によって演算処理され、振れ幅のXY座標上の中心位置D、Eをそれぞれ求める。前記中心位置D、Eが、シリンダ1に対する主軸受2と副軸受3の理想的な位置決め位置となる。
ステップS9:退避させていた移動手段65、66と弾性部材65a、66aを、図6(a)のように、軸受けの外周面に当接させた後、移動手段65、66を動作させ、主軸受2と副軸受3の中心が演算によって求められた回転中心に合致するように、主軸受2と副軸受3をそれぞれ移動させる。
例えば副軸受3の場合、図6(b)に示すように、副軸受3の上部に配設された互いに直交する二本の変位センサ64、64をそれぞれF、Gとし、その変位センサF、Gに対して周方向にずらして設けられた、互いに直交する移動手段66、66をそれぞれH、Iとする。そして、主軸を傾斜させて回転させたときに測定された、変位センサFの最大変位をXmax、最小変位をXminとし、変位センサGの最大変位をYmax、最小変位をYminとした場合、変位センサFの値が(Xmax−Xmin)/2、変位センサGの値が(Ymax−Ymin)/2になるように移動手段HとIを押し込む。主軸受2についても同様である。
なお、図6(b)では変位センサ64と位置決め用のアクチュエータからなる移動手段66の配置上、周方向に45度ずらせた位置でそれぞれを直交させたが、変位センサ64と移動手段66を同じ回転位相、例えば変位センサFと移動手段H、変位センサGと移動手段Iに設けるようにしても良い。その場合、それぞれの移動手段66の押込み量PHとPIは、それぞれ、
PH=(Xmax−Xmin)/2
PI=(Ymax−Ymin)/2
となる。
ステップS10:その押込み量PHを保った状態で、ナットランナからなるボルト締結装置69によって通しボルト5を副軸受3側から貫通穴31、11に挿通し、主軸受2のネジ穴21に対して予め設定された所定のトルクで締結する。これにより、主軸受2と副軸受3によってシリンダ1を挟み込んで固定することができ、シリンダ1の内径歪を抑制し、かつ、シリンダ内径に対する主軸受2と副軸受3の同軸を確保することができる。
ステップS11:ベース61上の圧縮機の固定箇所、保持手段63、変位センサ64、移動手段65、66などを全て解放する。
ステップS12:主軸受2と副軸受3が組付けられた圧縮機を軸受位置決め装置から搬出する。
なお、主軸4を傾斜させて回転させる際、偏芯部41に嵌装されたローラ42が主軸受2と副軸受3をシリンダ1に対して軸方向に押し上げるように変位されて、シリンダ1と主軸受2や副軸受3の間に隙間ができると、主軸受2と副軸受3の変位量が大きくなり、正確な振れ幅を測定できなくなるため、バネやエアシリンダ等による軸方向の押し付け力は、主軸4を傾斜させた状態で回転した際に主軸受2と副軸受3にかかる力に対して、主軸受2とシリンダ1、及び副軸受3とシリンダ1の摩擦力が小さくなるように設定すると良い。また、主軸受2と副軸受3の調整時にシリンダ1の位相に対する主軸受2と副軸受3の位相がずれることで、ボルト締結時にボルト位置ずれによる取付け不良が発生するため、シリンダ1と副軸受3のボルト固定用の貫通穴11、31は、測定時の振れ幅以上に広げておく方が良い。
また、主軸4を傾斜させる際、図7の変形例に示すように、主軸4の下端部に錘683を取付けて回転させる場合においては、錘683を取付けることで、回転による錘683の遠心力で主軸4が傾斜した状態で回転運動する「すりこぎ運動」を起こし易くなる。錘683を取付ける軸方向の位置、錘683の重量、偏芯部41の偏芯方向に対する錘683の取付け位置の位相などを調節することにより、変位センサ64、64による理想的な中心位置の測定が容易となる。なお、錘683を取付ける際の偏芯部41の偏芯方向に対する周方向の取付位置は特に限定されないので、錘683を取付ける際の操作が容易である。
また、主軸4を傾斜させて回転させる際、主軸4は自転させずに傾斜方向のみを回転させて、「すりこぎ運動」させるようにしても良い。その場合、主軸4の偏芯部41の真円度の影響を抑制できる。
更に、主軸受2と副軸受3に位相決めの穴や切欠きなどの目印(図示省略)を設けて、軸受位置決め装置の側には主軸受2と副軸受3の回転位相を調整できるアクチュエータを設け、それぞれの位置決め時に前述の切欠きなどの目印を利用して位相を決めた後、シリンダの中心位置に位置決めしても良い。
また、位置決めする際の手順として、例えば、1)主軸受2、シリンダ1、主軸4、副軸受3を設置、2)主軸受2、副軸受3のそれぞれに設けた切欠きなどの目印に合わせて回転位相を決め、3)主軸受2、副軸受3を軸方向に圧縮、4)変位センサ64をセット、5)主軸4を傾斜させて回転させ変位を計測、6)変位量を基に計算した値になるようにアクチュエータにより押付け、7)通しボルト5を主軸受2、シリンダ1、副軸受3の穴に通し、ナットに対してネジ締結、8)変位センサ64とアクチュエータを退避させ、ワークを搬出する、という1)〜8)のステップによって構成しても良い。
上記のように、実施の形態1による圧縮機の製造方法は、主軸受2、シリンダ1、及び副軸受3からなる三部材の内、シリンダ1を軸受位置決め装置のベース61に固定し、主軸受及び副軸受の二部材を、ベースに固定されたシリンダに対して軸方向に直交する径方向にのみ揺動可能に保持し、その状態で主軸4を軸方向に対して傾斜させて回転させたときの、主軸受及び副軸受の軸方向に直交する径方向の振れを二組の変位センサ64によってそれぞれ同時に計測し、計測された振れ幅の中心位置に対して主軸受及び副軸受をそれぞれ位置決めした後、通しボルト5によって、主軸受2、シリンダ1、及び副軸受3を固定するようにしたものである。
この実施の形態1に係る圧縮機の製造方法によれば、シリンダ1に対する主軸受2と副軸受3の同軸を同時に決めることができる。そのため、ネジ穴21が螺設された主軸受2に対して副軸受3側から挿通された通しボルト5によってシリンダ1を共締めする構造の圧縮機を組立てることが可能となる。シリンダには軸受固定用のネジ穴を螺設する必要がないため、ボルト締結によるシリンダ内径歪量を低減した効率の優れた圧縮機を得ることができる。また、主軸受2と副軸受3を1台の設備で位置決めできるため、設備費用の抑制や組立時間の短縮を実現できる。
なお、従来技術による2部品ずつの位置決めでは主軸受側にネジ穴を設ける場合、主軸受とシリンダを位置決めしてボルト固定した後、その主軸受、シリンダが一体となったものと副軸受を位置決めしてボルト固定せねばならないため組立工数が増加する。さらに、シリンダ内径の歪を抑制するために、締結用のネジ穴を主軸受や副軸受側に設けて、2部品ずつの位置決めを行う従来の手法では、主軸受に設けられたネジ部を利用してシリンダ側からボルトを挿入して主軸受とシリンダを固定した後、副軸受を固定する際に、主軸受を固定したボルト頭と副軸受の干渉を防ぐために、副軸受側にボルト頭を逃がす加工が必要であった。さらに、主軸受側も同様に副軸受とシリンダを固定するボルト頭を逃がす加工が必要なため、加工コストが増加する。これに対し、本発明の実施の形態1はそれらの問題をすべて解消することができるものである。
また、上記のように、実施の形態1による圧縮機の軸受位置決め装置は、ベース61と、主軸受2、主軸4が挿通されたシリンダ1、及び副軸受3からなる三部材の内、シリンダ1のみを基準部材としてベースに固定する基準部材固定手段62と、主軸受2と副軸受3の二部材をベースに固定されたシリンダ1に対するそれぞれの配設位置において径方向にのみ揺動可能に保持する二組の保持手段63と、主軸4を軸方向に対して傾斜させて回転させる主軸傾斜回転手段68と、主軸傾斜回転手段によって主軸を回転させたときの主軸受2と副軸受3の径方向の振れをそれぞれ計測する二組の変位センサ64と、変位センサによって計測された振れ幅の中心位置に対して主軸受2と副軸受3をそれぞれ移動させる二組の移動手段65、66と、主軸傾斜回転手段68と、ボルト締結装置69と、を備えたものである。
実施の形態1に係る圧縮機の軸受位置決め装置によれば、シリンダ1の内周面12に対する主軸受2や副軸受3の内径の同軸を確保する位置を同時に決めることができるため、ネジ穴21が螺設された主軸受2に対して副軸受3の側から挿通された通しボルト5によってシリンダ1を共締めする構造の圧縮機を組立てることが可能となり、シリンダ1には軸受固定用のネジ穴を螺設する必要がなくなるのでシリンダ歪を低減した効率の高い圧縮機を得ることができる。また、主軸受2と副軸受3を1台の設備で位置決めできるため、装置コストの抑制や組立時間を抑制できる。
また、前述の三部材の内、被固定部品であるシリンダ1を基準部材としてベースに固定するので、主軸受2と副軸受3の位置決めが容易となり、精度も高めることができる。
また、実施の形態1によって製造された圧縮機は、シリンダ1にボルト締結用のネジ部Bを設けていないので、ボルト締結によるシリンダ1の内径の変形量が無く、ローラ42とシリンダ1の内径との隙間量を低減させることで、主軸回転時にローラ42とシリンダ1の隙間からの冷媒の漏れが抑制され、圧縮機の効率を向上させることができる。
実施の形態2.
図9は本発明の実施の形態2による圧縮機の製造方法に用いた軸受位置決め装置の要部を概念的に示す断面図である。なお、本実施の形態2は、シリンダ1に対して主軸受2、及び副軸受3を位置決めする際に、主軸受2を基準部材としてベース61に固定し、その主軸受2に対してシリンダ1と副軸受3を、保持手段63によって径方向にのみ揺動自在に係止した状態で主軸4を「すりこぎ運動」するように回転させ、直交するように設けた一対、2組の変位センサ64によって、シリンダ1と副軸受3の振れ幅を同時に測定し、その振れ幅の中心位置によって主軸受2に対するシリンダ1と副軸受3の同軸位置を求めるように構成したものである。なお、簡素化のため、軸受位置決め装置を構成するベース61や基準部材固定手段62など実施の形態1と同様の部材の多くを図示省略している。
図9に示すように、主軸4が挿通されたシリンダ1は主軸受2の上面に載置される如く当接され、その外周面には互いに直交する一対のアクチュエータからなる移動手段67の反対側にシリンダ1を介して設置されシリンダ1を移動手段67の側に押し付ける背圧付与機構である圧縮ばねなどの弾性部材67aと、移動手段67及び弾性部材67aに対して周方向に異なる位相で設けられた一対の変位センサ64(図示省略)とが設けられている。なお、図9において、主軸受2はベース61に対して実施の形態1と同様の基準部材固定手段62によって径方向及び軸方向に固定されている。
また、シリンダ1の上面には副軸受3が載置される如く当接され、実施の形態1と同様にその外周面には互いに直交する一対のアクチュエータからなる移動手段66と、移動手段66の反対側に副軸受3を介して設置されその副軸受3を移動手段66の側に押し付ける背圧付与機構である圧縮ばねなどの弾性部材66aと、移動手段66及び弾性部材66aに対して周方向に異なる位相で設けられた一対の変位センサ64(図示省略)とが設けられている。
なお、主軸受2を軸受位置決め装置のベースに固定する際に、主軸受2には回転方向の位相を決める構造(例えば基準穴)を設けておき、ベース61内にて位相決め部を基準に主軸受2を取付けるようにしておくと良い。
主軸受2の下端部には、「すりこぎ運動」させる際に主軸が効果的に傾斜するようにする錘683が取付けられ、実施の形態1と同様、カップリングを介して駆動モータに接続される。また、「すりこぎ運動」によってシリンダ1と副軸受3の振れを計測する際には移動手段66、67と弾性部材66a、67aは退避できるように構成され、また、シリンダ1と副軸受3は軸方向への移動が規制され、半径方向にのみ揺動可能に構成されている。
前記のように構成された実施の形態2においては、シリンダ1、主軸受2、及び副軸受3からなる三部材の内、主軸受2を軸受位置決め装置のベース61に固定し、主軸4を傾斜させて回転させることによるシリンダ1と副軸受3の振れ幅の中心位置にて、三部材を通しボルト5によってそれぞれを固定する。これにより、主軸受2に対してシリンダ1や副軸受3の同軸を確保する位置を同時に決めることができる。また、通しボルト5を取付けるネジ穴21を螺設した主軸受2について、その主軸受2をベース61に固定するため、主軸受2のネジ穴21位置と回転方向の位相を設備上の決められた位置に固定できるため、シリンダ1と主軸受2、副軸受3を固定する際に、決められたネジ穴位置を狙って通しボルト5を挿入することができる。その結果、ボルト締結時にボルト位置のずれによる取付け不良を抑制することができる。
なお、図9では主軸受2を固定して、主軸受2に対する副軸受3とシリンダ1の位置を決めるようにしたが、基準部材として副軸受3を固定して、その副軸受3に対する主軸受2とシリンダ1の位置を決めても同様の効果が得られる。要するに、本発明では、主軸受、シリンダ、及び副軸受からなる三部材の何れか一部材のみをベース61に対して固定し、他の二部材を、61ベースに固定された一部材に対するそれぞれの配設位置において軸方向に直交する方向にのみ揺動可能に保持し、その状態で主軸4を軸方向に対して傾斜させて回転させたときの、前記他の二部材の軸方向に直交する方向の振れをそれぞれ計測し、計測された振れ幅の中心位置に対して他の二部材をそれぞれ位置決めした後、通しボルトによって、前記三者を共締め固定するようにしたものであり、これにより、シリンダに対する主軸受と副軸受の理想位置を同時に検知することができると共に、ボルト締結による被固定部品であるシリンダの歪を抑制することができることを特徴としている。
実施の形態3.
図10は本発明の実施の形態3の製造方法における圧縮機の要部構成部材を説明する図である。本実施の形態3は、圧縮機の組立予定数などに応じて製作された所定数のシリンダ1、主軸4、及びローラ42の各構成部品の全数について、シリンダ内径J、ローラ外径Kとローラ内径L、主軸4の偏芯部外径Mと偏芯量Nを、それぞれ予め測定しておき、シリンダ内径Jとローラ外径Kの目標隙間量Tを確保するように、圧縮機構部を組立てる前に下記計算式を用いて各部品を選別して組み合わせられるように寸法毎に区分しておくようにしたものである。
T=J−((K−L)/2+M/2+N)
それらの部材を用いて、例えば実施の形態1、2の軸受位置決め装置にてシリンダ1をベース61に固定し、主軸4を傾斜させた状態で回転運動させ、主軸受2と副軸受3の振れ幅を基に得られた回転中心位置にそれぞれを位置決めして主軸受2に設けられたネジ穴21を用いてシリンダ1と副軸受3を通しボルト5の締結により固定する。
このような構成によれば、シリンダ1の歪が低減した状態にて主軸4の回転時に全ての回転位相に対してローラ42外周とシリンダ1内周の隙間を均一に、かつ最小にすることができるため、冷媒を圧縮する際のローラ外周とシリンダ内周からの冷媒の漏れ量を抑制することができ、圧縮機の効率を向上させることができる。
なお、組み合わせする部品が多い場合、各部品それぞれを測定した結果、数ミクロンごとに大きさが異なる部品を保管するために必要なスペースが増大するため、調整する部品は例えば1部品に絞っても良い。例えば、ローラは圧縮機構部の構成部品の内最も小さく、また内周と外周を切削加工後、研磨して精度を出すため、容易に数ミクロンごとに外周の異なるローラを準備できる。そこで、シリンダ内径J、主軸4の偏芯部外径Mと偏芯量Nを予め測定していた部品を組み立て、最後に必要な目標隙間に対して、隙間寸法を満足するようなローラ外周・内周の組み合わせを調べて、数ミクロンごとにストックされたローラを選択して組立てることで、シリンダ内周とローラ外周の隙間を管理することができ、効率の高い圧縮機を得ることができる。
実施の形態4.
図11は本発明の実施の形態4の製造方法における圧縮機の要部構成部分を示す図である。なお、本実施の形態4は、実施の形態1、2に例示された方法によって同時に得られた主軸受2と副軸受3の中心位置に対し、圧縮機効率が最も向上する位置、例えばベーン13の溝を時計の文字盤の12時の位相に配置したときの10時の位相に、図示されていない主軸受2と副軸受3をオフセットして組立てるようにしたものである。例えば、組立前に予め測定した図10に示すシリンダ内径J、ローラ外径Kとローラ内径L、主軸4の偏芯部外径Mと偏芯量Nを基に、主軸4を傾斜した状態で回転させて得られた主軸受2と副軸受3の振れ幅を用いてシリンダ1に対してそれぞれ求められた理想的な中心位置を基準として、圧縮時にローラ42とベーン13とシリンダ1と主軸受2、副軸受3で構成される最も冷媒を圧縮する主軸4の位相、例えば図11にて時計回りに主軸が回転するときの10時の位相にて、シリンダ内径Jとローラ外径Kの間隙が最も狭くなるように、主軸受2と副軸受3の固定位置をオフセットして位置決めし、主軸受2に設けられたネジ穴を用いてシリンダ1と副軸受3を固定する。
このような構成になる実施の形態4によれば、圧縮機の運転時に冷媒を圧縮する際に最も高圧となり、ローラ外周とシリンダ内周からの冷媒の漏れ量が多い主軸の回転位相にて、ローラ外周とシリンダ内周の間隙を最小にできるため、ローラ外周とシリンダ内周からの冷媒の漏れ量を抑制でき、圧縮機の効率を向上させることができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 シリンダ、2 主軸受、3 副軸受、4 主軸、5 通しボルト、11 貫通穴、12 内周面、13 ベーン、14 バネ、15 吸入口、16 吐出口、
21 ネジ穴、31 貫通穴、41 偏芯部、42 ローラ、61 ベース、
61a 挿通孔、62 基準部材固定手段、63 保持手段、
63A、63B エアシリンダ、64 変位センサ、65、66、67 移動手段、
65a、66a、67a 弾性部材、68 主軸傾斜回転手段、69 ボルト締結装置、
611 上側支持部材、612 下側支持部材、621 係止プレート、
622、623 エアシリンダ、681 駆動モータ、682 オルダム継手、
683 錘、A 固定面、B ネジ部、D 回転中心(主軸受)、
E 回転中心(副軸受)、J シリンダ内径、K ローラ外径、L ローラ内径、
M 偏芯部外径、N 偏芯量、T 目標隙間量。

Claims (6)

  1. シリンダと、前記シリンダに対してその軸方向に挿通して設けられ該軸方向の中央部にローラが嵌装された偏芯部を有し、両端部が前記シリンダの外方に突出された主軸と、前記シリンダの一側部に配設され前記主軸の一端部を回転自在に支持する主軸受と、前記シリンダの他側部に配設されて前記主軸の他端部を回転自在に支持する副軸受と、を備え、前記主軸受、前記シリンダ、及び前記副軸受を、通しボルトによって共締め固定するようにした圧縮機の製造方法であって、前記主軸受、前記シリンダ、及び前記副軸受からなる三部材の何れか一部材のみをベースに対して固定し、他の二部材を、前記ベースに固定された前記一部材に対するそれぞれの配設位置において前記軸方向に直交する方向にのみ揺動可能に保持し、その状態で前記主軸を前記軸方向に対して傾斜させて回転させたときの、前記他の二部材の前記軸方向に直交する方向の振れをそれぞれ計測し、計測された振れ幅の中心位置に対して前記他の二部材をそれぞれ位置決めした後、前記通しボルトによって、前記主軸受、前記シリンダ、及び前記副軸受を固定することを特徴とする圧縮機の製造方法。
  2. 前記ベースに対して前記シリンダを固定することを特徴とする請求項1記載の圧縮機の製造方法。
  3. 前記ベースに対して前記主軸受を固定することを特徴とする請求項1記載の圧縮機の製造方法。
  4. 圧縮機の組立予定数に応じて製作された所定数の前記シリンダ、前記主軸、及び前記ローラの各構成部品について、前記シリンダの内径、前記ローラの外径及び内径、並びに前記主軸の偏芯部の外径及び偏芯量を個々に予め測定し、少なくとも1種類の前記各構成部品については測定された寸法に応じて区分して保管しておき、組立時に前記シリンダ内周と前記ローラ外周の最小隙間が確保されるように保管された前記構成部品を前記区分された集団から選択して組合わせ組立てることを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の圧縮機の製造方法。
  5. 前記主軸受と前記副軸受の前記シリンダに対する固定位置を、計測された前記振れ幅の中心位置に対して、前記シリンダの周方向における前記主軸の回転位相が圧縮機の運転時冷媒を最も圧縮する状態となる角度の方向に、前記ローラと前記シリンダとの間隙が最小となるようにオフセットして固定することを特徴とする請求項1から請求項4までの何れかに記載の圧縮機の製造方法。
  6. シリンダと、前記シリンダに対してその軸方向に挿通して設けられ該軸方向の中央部にローラが嵌装された偏芯部を有し、両端部が前記シリンダの外方に突出された主軸と、前記シリンダの一側部に配設され前記主軸の一端部を回転自在に支持する主軸受と、前記シリンダの他側部に配設されて前記主軸の他端部を回転自在に支持する副軸受と、を備え、前記主軸受、前記シリンダ、及び前記副軸受を、通しボルトによって共締め固定するようにした圧縮機の軸受位置決め装置であって、ベースと、前記主軸受、前記主軸が挿通された前記シリンダ、及び前記副軸受からなる三部材の何れか一部材のみを基準部材として前記ベースに対して固定する基準部材固定手段と、他の二部材を前記ベースに固定された前記一部材に対するそれぞれの配設位置において前記軸方向に直交する径方向にのみ揺動可能に保持する保持手段と、前記主軸を前記軸方向に対して傾斜させて回転させる主軸傾斜回転手段と、前記主軸傾斜回転手段によって前記主軸を回転させたときの前記他の二部材の振れをそれぞれ計測する二組の変位センサと、前記変位センサによって計測された振れ幅の中心位置に対して前記他の二部材をそれぞれ移動させる移動手段と、を備えた圧縮機の軸受位置決め装置。
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