JP2018028300A - スクロール流体機械およびこれに用いられるスクロール部材 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明にかかるスクロール流体機械は、第1端板上に渦巻状の第1壁体が設けられた第1スクロール部材と、前記第1端板に向かい合うように配置された第2端板上に渦巻状の第2壁体が設けられ、該第2壁体が前記第1壁体と噛み合って相対的に公転旋回運動を行う第2スクロール部材とを備えたスクロール流体機械であって、向かい合う前記第1端板と前記第2端板との対向面間距離が、前記第1壁体及び前記第2壁体の外周側から内周側に向かって、連続的に減少する傾斜部が設けられていることを特徴とする。
さらに、傾斜部が連続的に減少するようになっており、従来の壁体及び歯底に段部が設けられた段付きスクロール流体機械に比べて、流体漏れを少なくすることができる。
連続的な傾斜部とは、滑らかに接続された傾斜部に限定されるものではなく、小さな段差が階段状に接続されており、傾斜部を全体としてみれば連続的に傾斜しているものも含まれる。
壁体傾斜部および端板傾斜部は、第1スクロールおよび第2スクロールの両側に設けても良いし、いずれか一方に設けても良い。一方の壁体に壁体傾斜部を設け、他方の端板に端板傾斜部を設けた場合には、他方の壁体と一方の端板は平坦としても良いし、従来の段付き形状と組み合わせた形状としても良い。
また、平坦部の範囲が180°を大きく超えてしまうと、傾斜部の領域が減少し傾斜部の傾きが大きくなってしまう。傾きが大きくなると公転旋回運動時の旋回直径に起因するチップクリアランスの変化量が大きくなり流体漏れが大きくなるおそれがある。したがって、壁体平坦部および端板平坦部は180°の領域とすることが好ましい。ただし、180°は厳密なものではなく、流体漏れが大きくならない範囲で180°を多少超えた角度は許容される。
図1には、スクロール圧縮機(スクロール流体機械)1の固定スクロール(第1スクロール部材)3と旋回スクロール(第2スクロール部材)5が示されている。スクロール圧縮機1は、例えば空調機等の冷凍サイクルを行うガス冷媒(流体)を圧縮する圧縮機として用いられる。
旋回スクロール5の端板5aの歯底についても同様に、高さが一定とされた端板平坦部5a2,5a3が設けられている。これら端板平坦部5a2,5a3についても、旋回スクロール5の中心まわりに180°の領域にわたって設けられている。端板平坦部5a2,5a3と端板傾斜部5a1とが接続される位置には、それぞれ、屈曲部となる端板傾斜接続部5a4,5a5が設けられている。
φ=tan(h/D1) ・・・(1)
このように、傾斜部における傾きφは、渦巻状の壁体3b,5bが延在する周方向に対して一定とされている。
図示しない電動モータ等の駆動源によって、旋回スクロール5が固定スクロール3回りに公転旋回運動を行う。これにより、各スクロール3,5の外周側から流体を吸い込み、各壁体3b,5b及び各端板3a,5aによって囲まれた圧縮室に流体を取り込む。圧縮室内の流体は外周側から内周側に移動するに従い順次圧縮され、最終的に固定スクロール3に形成された吐出ポート3cから圧縮流体が吐出される。流体が圧縮される際に、端板傾斜部3a1,5a1及び壁体傾斜部3b1,5b1によって形成された傾斜部では壁体3b,5bの高さ方向にも圧縮されて、三次元圧縮が行われる。
端板3a,5a間の対向面間距離Lが壁体3b,5bの外周側から内周側に向かって連続的に減少する傾斜部を設けることとしたので、三次元圧縮が可能となり、小型化を実現することができる。
さらに、傾斜部が連続的に減少するようになっており、従来の壁体及び歯底に段部が設けられた段付きスクロール流体機械に比べて、流体漏れを少なくすることができる。
また、平坦部の範囲が180°を大きく超えてしまうと、傾斜部の領域が減少し傾斜部の傾きφが大きくなってしまう。傾きφが大きくなると公転旋回運動時の旋回直径に起因するチップクリアランスTの変化量が大きくなり流体漏れが大きくなるおそれがある。したがって、壁体平坦部3b2,3b3,5b2,5b3および端板平坦部3a2,3a3,5a2,5a3は180°の領域とされている。ただし、この180°は厳密なものではなく、流体漏れが大きくならない範囲で180°を多少(例えば30°程度)超えた角度は許容される。
図8に示すように、傾斜部の傾きφを、渦巻状の壁体3b,5bが延在する周方向に対して内周側の傾きφ1よりも外周側の傾きφ2が大きくなるように設定しても良い。これにより、流体の圧力差が内周側に比べて小さい外周側の流体漏れを必要最小限に止めつつ、流体の圧力差が外周側に比べて大きい内周側の流体漏れを抑制することができる。これにより、容積比を増大させ、押しのけ量も増大させることができる。
また、図8のように傾きφを段階的に変化させることに代えて、内周側から外周側に向かって傾きφを連続的に大きくするようにしても良い。
具体的には、図9(a)に示すように、一方の壁体(例えば旋回スクロール5)に壁体傾斜部5b1を設け、他方の端板3aに端板傾斜部3a1を設けた場合には、他方の壁体と一方の端板5aは平坦としても良い。
また、図9(b)に示すように、従来の段付き形状と組み合わせた形状、すなわち、固定スクロール3の端板3aに端板傾斜部3a1を設ける一方で、旋回スクロール5の端板5aに段部が設けられた形状と組み合わせても良い。
3 固定スクロール(第1スクロール部材)
3a 端板(第1端板)
3a1 端板傾斜部
3a2 端板平坦部(内周側)
3a3 端板平坦部(外周側)
3a4 端板傾斜接続部(内周側)
3a5 端板傾斜接続部(外周側)
3b 壁体(第1壁体)
3b1 壁体傾斜部
3b2 壁体平坦部(内周側)
3b3 壁体平坦部(外周側)
3b4 壁体傾斜接続部(内周側)
3b5 壁体傾斜接続部(外周側)
3c 吐出ポート
3d チップシール溝
5 旋回スクロール(第2スクロール部材)
5a 端板(第2端板)
5a1 端板傾斜部
5a2 端板平坦部(内周側)
5a3 端板平坦部(外周側)
5b 壁体(第2壁体)
5b1 壁体傾斜部
5b2 壁体平坦部(内周側)
5b3 壁体平坦部(外周側)
5b4 壁体傾斜接続部(内周側)
5b5 壁体傾斜接続部(外周側)
7 チップシール
L 対向面間距離
T チップクリアランス
φ 傾き
Claims (9)
- 第1端板上に渦巻状の第1壁体が設けられた第1スクロール部材と、
前記第1端板に向かい合うように配置された第2端板上に渦巻状の第2壁体が設けられ、該第2壁体が前記第1壁体と噛み合って相対的に公転旋回運動を行う第2スクロール部材と、
を備えたスクロール流体機械であって、
向かい合う前記第1端板と前記第2端板との対向面間距離が、前記第1壁体及び前記第2壁体の外周側から内周側に向かって、連続的に減少する傾斜部が設けられていることを特徴とするスクロール流体機械。 - 前記第1壁体および前記第2壁体の少なくともいずれか一方は、前記傾斜部を形成するように外周側から内周側に向かって該壁体の高さが連続的に減少する壁体傾斜部を有し、
前記第1端板および前記第2端板の少なくともいずれか一方は、前記壁体傾斜部の歯先に対向する歯底面が該壁体傾斜部の傾斜に応じて傾斜する端板傾斜部を有していることを特徴とする請求項1に記載のスクロール流体機械。 - 前記傾斜部に対応する前記第1壁体及び前記第2壁体の歯先には、対向する歯底に接触して流体をシールするチップシールが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクロール流体機械。
- 前記傾斜部を構成する前記壁体の歯先及び/又は歯底には、コーティングが施されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスクロール流体機械。
- 前記第1壁体および前記第2壁体の最外周部および/または最内周部には、高さが変化しない壁体平坦部が設けられ、
前記第1端板および前記第2端板には、前記壁体平坦部に対応した端板平坦部が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のスクロール流体機械。 - 前記壁体平坦部および前記端板平坦部は、前記スクロール部材の中心回りに180°の領域にわたって設けられていることを特徴とする請求項5に記載のスクロール流体機械。
- 前記傾斜部の傾きは、渦巻状の前記壁体が延在する周方向に対して一定とされていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のスクロール流体機械。
- 前記傾斜部の傾きは、渦巻状の前記壁体が延在する周方向に対して、内周側よりも外周側が大きく設定されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のスクロール流体機械。
- 端板と、該端板上に設けられた渦巻状の壁体とを備えたスクロール流体機械に用いられるスクロール部材であって、
前記壁体は、外周側から内周側に向かって該壁体の高さが連続的に減少する壁体傾斜部を有し、
前記端板は、前記壁体傾斜部の高さの減少に応じて、外周側から内周側に向かって該端板の高さが連続的に増大する壁体傾斜部を有することを特徴とするスクロール部材。
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