JP2018028019A - ポリイソシアネート組成物、水性塗料組成物及びその硬化塗膜 - Google Patents

ポリイソシアネート組成物、水性塗料組成物及びその硬化塗膜 Download PDF

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和孝 竹野
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Abstract

【課題】低粘度であり、貯蔵安定性及び湿気安定性を有し、水性塗料として用いたときの主剤との混合安定性が良い、ポリイソシアネート組成物を提供すること。【解決手段】1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートから得られ、イソシアヌレート基、ウレトジオン基、ウレトンイミノ基、及びイミノオキサジアジンジオン基を含有し、前記ウレトンイミノ基/前記イソシアヌレート基のモル比率が0.0010〜0.0050であり、前記イミノオキサジアジンジオン基/前記イソシアヌレート基のモル比率が0.00050〜0.30であり、かつ、プラズマ発光分光分析におけるリン濃度が1〜50ppmである、ポリイソシアネート組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイソシアネート組成物、水性塗料組成物及びその硬化塗膜に関する。
ヒドロキシル基を有する主剤(いわゆるポリオール)と、硬化剤としてのポリイソシアネートからなる2成分型硬化樹脂は、常温でも硬化が可能であり、かつ優れた機械的性能や耐薬品性、耐久性などの性能を発現することから、各種の塗料や粘接着剤などの用途において幅広く使用されている。
近年、地球環境保護や労働安全衛生などの観点から、2成分型硬化樹脂のなかでも、水性化の開発が活発に行なわれている。例えば、特許文献1に記載されているように、ポリイソシアネート組成物に親水性成分を含有させることにより水系主剤への配合性を付与したものがある。例えば、特許文献2および3に記載されているように、特定構造・特定粘度を有する硬化剤を有することにより、水系主剤への配合性を付与したものがある。
特許第3491919号公報 特開2013−245341号公報 特開2016−53127号公報
特許文献1に記載されている技術を用いることにより、親水性成分を含有させたイソシアネート組成物は、水性塗料組成物として用いることが可能であるが、この技術で得られる該ポリイソシアネート組成物には親水性基が含まれていることにより、耐水性が低下する問題を有している。特許文献2および3に記載されている技術を用いることにより、低粘度のポリイソシアネートを得て、水性塗料組成物に用いることが可能である。しかしながら、この技術で得られるポリイソシアネート組成物は水性塗料に用いたときの主剤との混合安定性が不十分であるという問題を有している。
そこで、本発明は、低粘度であり、貯蔵安定性及び湿気安定性を有し、水性塗料として用いたときの主剤との混合安定性が良い、ポリイソシアネート組成物を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意研究した結果、少なくとも1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)を含む脂肪族ジイソシアネートから得られ、かつ、イソシアヌレート基、ウレトジオン基、ウレトンイミノ基、及びイミノオキサジアジンジオン基を含有し、当該イソシアヌレート基に対する当該ウレトンイミノ基、及び当該イソシアヌレート基に対する当該イミノオキサジアジンジオン基のモル比率が特定の範囲であり、リン濃度が特定の範囲であるポリイソシアネート組成物が、低粘度であり、貯蔵安定性及び湿気安定性に優れ、かつ、水性塗料の主剤と配合したときの安定性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートから得られ、
イソシアヌレート基、ウレトジオン基、ウレトンイミノ基、及びイミノオキサジアジンジオン基を含有し、
前記ウレトンイミノ基/前記イソシアヌレート基のモル比率が0.0010〜0.0050であり、前記イミノオキサジアジンジオン基/前記イソシアヌレート基のモル比率が0.00050〜0.30であり、かつ、
プラズマ発光分光分析におけるリン濃度が1〜50ppmである、
ポリイソシアネート組成物。
[2]
水性アクリルポリオール、表面張力調整剤、及び、[1]に記載のポリイソシアネート組成物を含む水性塗料組成物。
[3]
[2]に記載の水性塗料組成物を硬化させた塗膜。
本発明によれば、低粘度であり、貯蔵安定性及び湿気安定性に優れ、主剤との混合安定性に優れるポリイソシアネート組成物を提供可能である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、特に断りがない限り、「(メタ)アクリル」はメタクリルとアクリルを包含し、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートとアクリレートを包含するものとする。
〔ポリイソシアネート組成物〕
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、少なくとも1,6−ジイソシアナトヘキサン(以下、HDIとも称す)を含む脂肪族ジイソシアネートから得られ、かつ、イソシアヌレート基、ウレトジオン基、ウレトンイミノ基、及びイミノオキサジアジンジオン基を含有する。
また、上記ウレトンイミノ基/上記イソシアヌレート基、及び上記イミノオキサジアジンジオン基/上記イソシアヌレート基のモル比率が以下のとおり特定範囲内である。すなわち、本実施形態のポリイソシアナート組成物は、ウレトンイミノ基/イソシアヌレート基のモル比率が0.0010〜0.0050であり、イミノオキサジアジンジオン基/イソシアヌレート基のモル比率が0.00050〜0.30である。
さらに、本実施形態のポリイソシアナート組成物は、プラズマ発光分光分析におけるリン濃度が1〜50ppmである。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、上記構成を有しているため、低粘度であり、貯蔵安定性及び湿気安定性に優れ、水性塗料の主剤と配合したときの安定性に優れ、かつ、写像性に優れる塗膜を形成することができる。
(脂肪族ジイシソアネート)
本実施形態における脂肪族ジイソシアネートは、少なくともHDIを含む。工業的入手の容易さ、及びポリイソシアネート製造時の反応性の観点から、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、HDIを含む脂肪族ジイソシアネートから得られるポリイソシアネート組成物である。
脂肪族ジイソシアネートとして、HDIの他に、以下に限定されるものではないが、例えば、炭素数4〜30のもの(HDIを除く)を含んでいてもよい。具体的には、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、脂環族ジイソシアネートに由来する単位を一部含んでもよい。脂環族ジイソシアネートとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭素数8〜30のものが好ましく、具体的には、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと記載する。)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。中でも、耐候性、工業的入手の容易さの観点から、脂環族ジイソシアネートとしてはIPDIが好ましい。脂環族ジイソシアネートは1種のみを単独で使用してもいいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、イソシアヌレート基を含有する。本実施形態のポリイソシアネート組成物の構成成分の1つである、イソシアヌレート基とは、ジイソシアネート(以下、「ジイソシアネートモノマー」とも称す)3分子からなる、ポリイソシアネート由来の官能基であり、下記式(II)で示されるものである(以下、イソシアヌレート基を「イソシアヌレート3量体」とも称す)。
本実施形態のポリイソシアネート組成物におけるイソシアヌレート3量体の濃度は、特に限定されないが、該ポリイソシアネート組成物全量に対して、55〜95質量%であることが好ましく、60〜95質量%であることがより好ましい。本実施形態のポリイソシアネート組成物の粘度を低減する観点から、上記濃度は55質量%以上であることが好ましく、ポリイソシアネート組成物の収率を高く保つ観点から、95質量%以下であることが好ましい。イソシアヌレート3量体の濃度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と記載する場合がある。)により測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、ウレトジオン基を含有する。ウレトジオン基を含有することにより、ポリイソシアネート組成物の粘度を低下させることができる。本実施形態のポリイソシアネート組成物の構成成分の1つである、ウレトジオン基とは、ジイソシアネートモノマー2分子からなる、ポリイソシアネート由来の官能基であり、下記式(III)で示されるものである。
本実施形態のポリイソシアネート組成物において、ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率は、特に限定されるものではないが、0.010〜0.50であることが好ましい。上記モル比率の下限値は、より好ましくは0.15であり、さらに好ましくは0.20であり、さらにより好ましくは0.30である。上記モル比率の上限値は、より好ましくは0.45であり、さらに好ましくは0.40であり、さらにより好ましくは0.38である。本実施形態のポリイソシアネート組成物の粘度を低下させる観点から、上記モル比率は0.010以上であることが好ましく、架橋性を向上させる観点から0.50以上であることが好ましい。ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率は、13C−NMRの測定によって求めることができる。具体的には後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率を、0.010〜0.50の範囲に制御する方法としては、例えば、1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート化反応を実施した後、触媒を失活させ、その後に140〜160℃程度の温度、好ましくは145〜165℃で、数時間程度、好ましくは1時間〜3時間反応させることにより制御する方法や、1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート化反応を実施することにより得られたポリイソシアネート組成物に、1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートに対し、第3ホスフィン等のウレトジオン化触媒を添加し、20〜80℃程度の温度で、数時間から数十時間程度、反応させたポリイソシアネート組成物を一部混合される方法が挙げられる。上記方法の中でも、入手の容易さの観点から、前者の1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート化反応を実施した後、触媒を失活させ、その後に145〜165℃程度の温度で数時間程度反応させる方法が好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、ウレトンイミノ基を含有する。本実施形態のポリイソシアネート組成物の構成成分の1つである、ウレトンイミノ基とは、ジイソシアネートモノマー3分子からなる、ポリイソシアネート由来の官能基であり、下記式(IV)で示されるものである。
ウレトンイミノ基/イソシアヌレート基のモル比率は、0.0010〜0.0050である。上記モル比率の下限値は、好ましくは0.0012であり、より好ましくは0.0015であり、さらに好ましくは0.0020である。上記モル比率の上限値は、好ましくは0.0045であり、より好ましくは0.0040であり、さらに好ましくは0.0035である。上記モル比率が0.0010以上であることで、本実施形態のポリイソシアネート組成物の湿気安定性が良好となり、0.0050以下であることで、貯蔵後のジイソシアネートモノマー濃度の増加を抑制することができる。ウレトンイミノ基/イソシアヌレート基のモル比率は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
ウレトンイミノ基/イソシアヌレート基のモル比率を、0.0010〜0.0050の範囲に制御する方法としては、例えば、1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート化反応を実施した後、触媒を失活させ、その後に140〜160℃程度の温度、好ましくは145〜155℃で、数時間程度、好ましくは1時間〜3時間反応させることにより制御する方法や、上記で得たポリイソシアネート組成物に、1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートに対し、1−ブチルホスホラン等のヘテロ環含有リン系化合物を触媒とし、20〜80℃程度の温度で、数時間から数十時間程度、反応させたポリイソシアネート組成物を一部混合される方法が挙げられる。上記方法の中でも、入手の容易さの観点から、前者の1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート化反応を実施した後、触媒を失活させ、その後に140〜160℃程度の温度で数時間程度反応させる方法が好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、イミノオキサジアジンジオン基を含有する。本実施形態のポリイソシアネート組成物の構成成分の1つである、イミノオキサジアジンジオン基とは、ジイソシアネートモノマー3分子からなる、ポリイソシアネート由来の官能基であり、下記式(V)で示されるものである。
本実施形態のポリイソシアネート組成物におけるイミノオキサジアジンジオン基/イソシアヌレート基のモル比率は、0.00050〜0.30である。上記モル比率の下限値は、好ましくは0.0010であり、より好ましくは0.0015であり、さらに好ましくは0.0020であり、さらにより好ましくは0.0025である。上記モル比率の上限値は、好ましくは0.20であり、より好ましくは0.10であり、さらに好ましくは0.050であり、さらにより好ましくは0.025である。上記モル比率が0.00050以上であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物の湿気安定性を発現でき、上記モル比率が0.30以下であることにより、写像性に優れた塗膜が形成可能なポリイソシアネート組成物となる。イミノオキサジアジンジオン基/イソシアヌレート基のモル比率は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
イミノオキサジアジンジオン基/イソシアヌレート基のモル比率を上記範囲に制御する方法としては、例えば、1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート化反応を実施した後、触媒を失活させ、その後に、140〜160℃程度の温度で、数時間程度反応させることにより制御する方法や、上記で得たポリイソシアネート組成物に、1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートに対し、1−ブチルホスホラン等のヘテロ環含有リン系化合物を触媒とし、20〜80℃程度の温度で、数時間から数十時間程度、反応させたポリイソシアネート組成物を一部混合される方法が挙げられる。上記の中でも、入手の容易さの観点から、前者の1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート化反応を実施した後、触媒を失活させ、その後に、140〜160℃程度の温度で、数時間程度反応させる方法が好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、下記式(I)で表される、イソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体をさらに含むことが好ましい。イソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体とは、ジイソシアネートモノマー4分子からなる、ポリイソシアネート由来の4分子構造であり、下記式(I)で示されるものである。
本実施形態のポリイソシアネート組成物においては、イソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体/イソシアヌレート3量体の存在比率は、特に限定されるものではないが、液体クロマトグラフィーにおける面積比率で、0.010〜0.10であることが好ましい。上記面積比率の下限値は、より好ましくは0.020であり、さらに好ましくは0.030であり、さらにより好ましくは0.050である。上記面積比率の上限値は、好ましくは0.090であり、さらに好ましくは0.085であり、さらにより好ましくは0.080である。上記面積比率が0.010以上であることで、ポリイソシアネート組成物を用いた塗膜の写像性がより良好となる傾向にあり、上記面積比率が0.10以下であることで、貯蔵後のジイソシアネートモノマーの増加をさらに低減することができる傾向にある。イソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体/イソシアヌレート3量体の存在比率は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
イソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体/イソシアヌレート3量体の存在比率、すなわち、液体クロマトグラフィーにおける面積比率を上記範囲に制御する方法としては、例えば、1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートのイソシアヌレート化反応を実施した後、触媒を失活させ、その後、140〜170℃程度の温度で数時間程度反応させることにより、制御する方法が挙げられる。
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物には、アロファネート基が含まれてもよい。アロファネート基は、アルコールの水酸基と、脂肪族ジイソシアネート中のイソシアネート基を反応させることによって形成され、下記式(VI)で示されるものである。
アロファネート基を形成するために用い得るアルコールとしては、炭素、水素及び酸素のみで形成されるアルコールが好ましく、より好ましくはモノアルコールである。分子量200以下のモノアルコールがさらに好ましい。上記アルコールとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチルヘキサンジオール等のジアルコール;等が挙げられる。これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルコールから誘導されるアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比率は、好ましくは0.010〜0.20であり、より好ましくは0.010〜0.10、さらに好ましくは0.010〜0.05である。架橋性を向上させる観点から、0.20以下であることが好ましい。アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比率は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物には、上記以外に、ウレタン基、ウレア基、ビュレット基、カルボジイミド基等が含まれてもよい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のリン濃度は、1ppm〜50ppmである。上記リン濃度の下限値は、好ましくは2ppm以上である。上記リン濃度の上限値は、好ましくは45ppm、より好ましくは40ppm、さらに好ましくは35ppmである。リン濃度の上限値を50ppmにすることで、本実施形態のポリイソシアネート組成物の主剤との混合安定性を向上させることができる。リン濃度の下限値を1ppmにすることで、ポリイソシアネート組成物の貯蔵安定性を向上させることができる。本実施形態のポリイソシアネート組成物のリン濃度は、プラズマ発光分光分析で測定された濃度であり、具体的には後述する方法により測定することができる。また、ポリイソシアネート組成物のリン濃度は、後述するポリイソシアネートの製造時に添加するリン化合物の添加量、濾過条件の調整等により調整することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のジイソシアネートモノマー濃度は、好ましくは1.0質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.3質量%以下であり、さらにより好ましくは0.2質量%以下である。架橋性を向上させる観点から、1.0質量%以下であることが好ましい。本実施形態のポリイソシアネート組成物中のジイソシアネートモノマー濃度は、後述するHDIモノマー質量濃度の測定に準じた方法により測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の、25℃における粘度は特に限定されないが、100〜1500mPa・sであることが好ましい。上記粘度の下限値は、好ましくは140mPa・sであり、さらに好ましくは180mPa・sであり、さらにより好ましくは200mPa・sであり、よりさらに好ましくは220mPa・sである。上記粘度の上限値は、好ましくは1000mPa・sであり、さらに好ましくは800mPa・sであり、さらにより好ましくは700mPa・sであり、よりさらに好ましくは600mPa・sである。架橋性を向上させる観点から、100mPa・s以上であることが好ましく、ポリイソシアネート組成物を使用した塗膜の写像性を高くできる観点から、1500mPa・s以下であることが好ましい。本実施形態のポリイソシアネート組成物の粘度は、不揮発性分を98質量%以上に精製したポリイソシアネート組成物を、E型粘度計(トキメック社製)を用いることによって測定することができ、具体的には後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の含有率(NCO含有率)は、好ましくは21〜25質量%である。NCO含有率の下限値は、より好ましくは22質量%であり、NCO含有率の上限値はより好ましくは24質量%である。塗膜硬度等の塗膜物性を良好とする観点から、NCO含有率は21質量%以上であることが好ましく、ジイソシアネートモノマー濃度を低減する観点から25質量%以下であることが好ましい。NCO含有率は、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めることができる。なお、NCO含有率は、ポリイソシアネート組成物の固形分に対する値であり、ポリイソシアネート組成物の固形分は、後述する不揮発分測定に記載の方法に準じて測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中の固形分の数平均分子量は、特に限定されないが、400〜1,000であることが好ましい。数平均分子量の下限値は、より好ましくは430であり、さらに好ましくは460であり、さらにより好ましくは480である。数平均分子量の上限値は、より好ましくは800であり、さらに好ましくは700であり、さらにより好ましくは600である。数平均分子量を400以上とすることで、得られるポリイソシアネート組成物の収率が一層向上する傾向にある。数平均分子量を1,000以下とすることで、得られる塗膜の写像性が一層向上する傾向にある。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めることができる。
〔ポリイソシアネート組成物の製造方法〕
以下、本実施形態のポリイソシアネート組成物の製造方法の一例を説明する。本実施形態のポリイソシアネート組成物の原料は、少なくともHDI(1,6−ジイソシアナトヘキサン)を用いる。本実施形態のポリイソシアネート組成物は、ジイソシアネートモノマー中のイソシアネート基から誘導されるイソシアヌレート基を形成するイソシアヌレート化反応、ウレトジオン基を形成するウレトジオン化反応、ウレトンイミノ基を形成するウレトンイミノ化反応、イミノオキサジアジンジオン基を形成するイミノオキサジアジンジオン化反応をそれぞれ逐次、またはそのいくつかを並行して、過剰のジイソシアネートモノマー存在下で行い、反応終了後、未反応のジイソシアネートモノマーを除去することにより得られる。また、上記の4反応を別々に実施させたものを混合することによっても得られる。入手の容易さから、上記4反応をそれぞれ逐次行う、あるいは、そのいくつかを並行して実施する方法が好ましい。さらに、副原料として、アルキルモノアルコール、アルキルジオール等のアルコール等も併用することができる、ここで、アルコールを用いる場合には、上述したように、ポリイソシアネート組成物におけるアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比率が0.010〜0.20の範囲となるように用いることが好ましい。
好ましくは、原料である、HDIを含むジイソシアネートモノマーや上記した副原料に重合触媒を添加し、所定の重合度に到達するまで反応を進行させた後、必要に応じて未反応のHDIを含むジイソシアネートモノマーを除去することによってポリイソシアネート組成物を得ることができる。
ジイソシアネートモノマーからイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを誘導する場合は、通常、イソシアヌレート化反応触媒を用いる。イソシアヌレート化反応触媒としては塩基性を有するものが好ましい。このようなイソシアヌレート化反応触媒の具体的な例を以下1)〜7)に示す。
1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのヒドロオキシドや、例えば、酢酸、カプリン酸等との有機弱酸塩;
2)トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのヒドロオキシドや、例えば、酢酸、カプリン酸等との有機弱酸塩;
3)酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の、例えば、錫、亜鉛、鉛、ナトリウム、カリウム等との金属塩;
4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート;
5)ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物;
6)マンニッヒ塩基類;
7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用;
触媒効率の観点から、上記1)、2)及び3)が好ましい。より好ましくは、1)の有機弱酸塩である。
上述した触媒を、仕込んだジイソシアネートの質量に対して10〜1000ppm、より好ましくは10〜500ppm、さらに好ましくは10〜100ppmの量で使用し、イソシアヌレート化反応温度を50〜120℃で行うことが好ましい。反応温度の下限値は、54℃であることがより好ましく、57℃であることがさらに好ましく、60℃であるさらにより好ましい。また、反応温度の上限値は、100℃であることがより好ましく、90℃であることがさらに好ましくは、80℃であることがさらにより好ましい。イソシアヌレート化反応温度が120℃以下であることにより、着色等の特性変化が抑制できる傾向にある。
本実施形態のポリイソシアネート組成物に存在するウレトジオン基は、ウレトジオン化反応触媒を用いることにより得られる。上記ウレトジオン化反応触媒の具体的な化合物としては、以下に限定されないが、例えば、第3ホスフィンである、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン;トリス−(ジメチルアミノ)ホスフィン等のトリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン;シクロヘキシル−ジ−n−ヘキシルホスフィン等のシクロアルキルホスフィンが挙げられる。これらの化合物の多くは、同時にイソシアヌレート化反応も促進し、ウレトジオン基含有ポリイソシアネートに加えてイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを生成する。所望の収率となった時点で、リン酸、パラトルエンスルホン酸メチル等のウレトジオン化反応触媒の失活剤を添加してウレトジオン化反応を停止する。上述した触媒は、仕込んだジイソシアネートの質量に対して、10〜10000ppm、好ましくは10〜1000ppm、より好ましくは10〜500ppmの量で使用される。ウレトジオン化は、反応温度を20〜120℃で行うことが好ましい。反応温度の下限値は、25℃であることがより好ましく、30℃であることがさらに好ましく、35℃であることがさらにより好ましい。また、反応温度の上限値は、110℃であることがより好ましく、100℃であることがさらに好ましく、90℃であることがさらにより好ましい。ウレトジオン化反応温度が120℃以下であることにより、着色等の特性変化が抑制できる傾向にある。
また、上記のようなウレトジオン化反応触媒を用いることなく、ジイソシアネートのモノマーを加熱することによりウレトジオン基を得ることもできる。その加熱温度としては、130℃〜180℃が好ましい。加熱温度の下限値としては、より好ましくは140℃であり、さらに好ましくは145℃であり、さらにより好ましくは150℃であり、よりさらに好ましくは155℃である。また、加熱温度の上限値としては、より好ましくは170℃であり、さらに好ましくは165℃であり、さらにより好ましくは162℃であり、よりさらに好ましくは160℃である。
また、加熱時間は0.2時間〜8.0時間であることが好ましい。加熱時間の下限値は、より好ましくは0.4時間であり、さらに好ましくは0.6時間であり、さらにより好ましくは0.8時間であり、よりさらに好ましくは1.0時間である。加熱時間の上限値は、より好ましくは6.0時間であり、さらに好ましくは4.0時間であり、さらにより好ましくは3.0時間であり、よりさらに好ましくは2.0時間である。加熱時間を0.2時間以上とすることで、低粘度化を発現できることができる傾向にあり、8.0時間以下とすることで、ポリイソシアネート自体の着色を抑制することができる傾向にある。
ウレトジオン化反応触媒を使用せずに、本実施形態のポリイソシアネート組成物を得る場合、加熱のみによるウレトジオン化反応と上述したイソシアヌレート化反応が終了した後、未反応ジイソシアネートモノマーを除去することが、未反応ジイソシアネートモノマー濃度の低減、得られたポリイソシアネート組成物の貯蔵後の分子量変化率の低減、高温焼付時の黄変性の低減の観点から好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物に存在するウレトンイミノ基は、ウレトンイミノ化反応触媒を用いて、反応させることにより得られる。上記ウレトンイミノ化反応触媒の具体的な化合物の例としては、以下に限定されないが、例えば、ヘテロ環含有リン系化合物である1−メチル−1−ホスホラン、1−エチル−1−ホスホラン、1−プロピル−1−ホスホラン、1−ブチル−1−ホスホラン、1−ペンチル−1−ホスホラン、1−ヘキシル−1−ホスホラン、1−オクチル−1−ホスホラン、9−メチル−9−ホスファビシクロノナン、9−エチル−9−ホスファビシクロノナン、9−プロピル−9−ホスファビシクロノナン、9−ブチル−9−ホスファビシクロノナン、9−ペンチル−9−ホスファビシクロノナン、9−ヘキシル−9−ホスファビシクロノナン、9−オクチル−9−ホスファビシクロノナン、9−ドデシル−9−ホスファビシクロノナン、9−エイコシル−9−ホスファビシクロノナンが挙げられる。これらの化合物の多くは、同時にイソシアヌレート化反応、ウレトジオン化反応も促進し、ウレトンイミノ基含有ポリイソシアネートに加えてイソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、ウレトジオン基含有ポリイソシアネートを生成する。所望の収率となった時点で、リン酸、メチルトルエンスルホネート、酸塩化物ならびに硫黄等のウレトンイミノ化反応触媒の失活剤を添加してウレトンイミノ化反応を停止する。上述した触媒は、仕込んだジイソシアネートの質量に対して、10〜10000ppm、好ましくは10〜1000ppm、より好ましくは10〜500ppmの量で使用される。ウレトンイミノ化は反応温度を20〜120℃で行うことが好ましい。反応温度の下限値は、より好ましく25℃であり、さらに好ましくは30℃であり、さらにより好ましくは35℃である。また、反応温度の上限値は、より好ましくは110℃であり、さらに好ましくは100℃であり、さらにより好ましくは90℃である。ウレトンイミノ化反応温度が120℃以下であることにより、着色等の特性変化が抑制できる傾向にある。
また、上記のようなウレトンイミノ化反応触媒を用いることなく、ジイソシアネートのモノマーを加熱することによりウレトンイミノ基を得ることもできる。その加熱温度としては、130℃〜180℃が好ましい。上記加熱温度の下限値としては、より好ましくは140℃であり、さらに好ましくは145℃であり、さらにより好ましくは150℃であり、よりさらに好ましくは155℃である。また、上記加熱温度の上限値は、より好ましくは170℃であり、さらに好ましくは165℃であり、さらにより好ましくは162℃であり、よりさらに好ましくは160℃である。加熱温度を120℃以上とすることにより、ウレトンイミノ化反応を効率よく進行させることができる傾向にある。また、加熱温度を180℃以下とすることにより、ポリイソシアネート自体の着色を抑制することができる傾向にある。
また、設定温度での加熱時間は、0.2時間〜8.0時間であることが好ましい。加熱時間の下限値は、より好ましくは0.4時間であり、さらに好ましくは0.6時間であり、さらにより好ましくは0.8時間であり、よりさらに好ましくは1.0時間である。加熱時間の上限値は、より好ましくは6.0時間であり、さらに好ましくは5.0時間であり、さらにより好ましくは4.0時間であり、よりさらに好ましくは3.0時間である。加熱時間を0.2時間以上とすることで、低粘度化を発現できることができる傾向にあり、加熱時間を8.0時間以下とすることで、ポリイソシアネート自体の着色を抑制することができる傾向にある。
さらに、ウレトンイミノ化反応温度に昇温、降温させる速度は、0.5℃/分〜2.5℃/分であることが好ましい。上記速度の下限値としては、より好ましくは0.6℃/分であり、さらに好ましくは0.8℃/分であり、さらにより好ましくは1.0℃/分である。また、上記速度の上限値としては、より好ましく2.3℃/分であり、さらに好ましくは2.15℃/分であり、さらにより好ましくは2.0℃/分である。昇温、降温させる速度が0.5℃/分以上であることにより、製造時間を短時間で終了することが可能である傾向にある。昇温、降温させる速度が2.5℃/分以下であることにより、ウレトンイミノ化反応を効率よく進行させることができる傾向にある。ウレトンイミノ化反応触媒を使用せずに、本実施形態のポリイソシアネート組成物を得る場合、加熱のみによるウレトンイミノ化反応と上述したイソシアヌレート化反応、ウレトジオン化反応が終了した後、未反応ジイソシアネートモノマーを除去することが、未反応ジイソシアネートモノマー濃度の低減、得られたポリイソシアネート組成物の貯蔵後のジイソシアネートモノマー増加量の低減の観点から好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物に存在するイソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体は、以下に示すウレトジオン化反応触媒を用いることにより得られる。上記ウレトジオン化反応触媒の具体的な化合物としては、以下に限定されないが、例えば、第3ホスフィンである、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン;トリス−(ジメチルアミノ)ホスフィン等のトリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン;シクロヘキシル−ジ−n−ヘキシルホスフィン等のシクロアルキルホスフィンが挙げられる。これらの化合物の多くは、ウレトジオン化反応に加えて、イソシアヌレート化反応も促進する。そのため、ウレトジオン基含有ポリイソシアネート、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート、イソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体を生成する。所望の収率となった時点で、リン酸、パラトルエンスルホン酸メチル等のウレトジオン化反応触媒の失活剤を添加してウレトジオン化反応を停止する。上述した触媒は、仕込んだジイソシアネートの質量に対して、10〜10000ppm、より好ましくは10〜1000ppm、さらに好ましくは10〜500ppmの量で使用される。ウレトジオン化は反応温度を20〜120℃で行うことが好ましい。反応温度の下限値としては、より好ましくは25℃であり、さらに好ましくは30℃であり、さらにより好ましくは35℃である。また、反応温度の上限値は、より好ましくは110℃であり、さらに好ましくは100℃であり、さらにより好ましくは90℃である。ウレトジオン化反応温度が120℃以下であることにより、着色等の特性変化が抑制できる傾向にある。
また、上記のようなウレトジオン化反応触媒を用いることなく、上記イソシアヌレート化反応後に、120〜180℃で加熱することにより、イソシアヌレート・ウレトジオン結合構造を得ることもできる。加熱温度の下限値としては、より好ましくは130℃であり、さらに好ましくは140℃であり、さらにより好ましくは145℃である。また、加熱温度の上限値としては、より好ましくは175℃であり、さらに好ましくは170℃であり、さらにより好ましくは165℃である。
また、加熱時間は0.2時間〜8.0時間であることが好ましい。加熱時間の下限値は、より好ましくは0.4時間であり、さらに好ましくは0.6時間であり、さらにより好ましくは0.8時間であり、よりさらに好ましくは1.0時間である。加熱時間の上限値は、より好ましくは6.0時間であり、さらに好ましくは4.0時間であり、さらにより好ましくは3.0時間であり、よりさらに好ましくは2.0時間である。加熱時間を0.2時間以上とすることで、低粘度化を発現できることができる傾向にあり、8.0時間以下とすることで、ポリイソシアネート自体の着色を抑制することができる傾向にある。ウレトジオン化反応触媒を使用せずに、本実施形態のポリイソシアネート組成物を得る場合、イソシアヌレート化反応後、加熱することにより、イソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体を形成された後、未反応ジイソシアネートモノマーを除去することが、未反応ジイソシアネートモノマー濃度の低減、得られたポリイソシアネート組成物の貯蔵後のジイソシアネートモノマー増加量の低減の観点から好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物に存在するアロファネート基は、HDIを含むジイソシアネートモノマーにアルキルモノアルコール、アルキルジオール等のアルコール等を併用し、アロファネート化反応触媒を用いることにより得られる。本実施形態に用いることのできるアルコールとは、以下に限定されないが、炭素、水素及び酸素のみで形成されるアルコールが好ましく、モノアルコールがより好ましい。さらに好ましくは分子量200以下のアルコールである。上記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチルヘキサンジオール等のジアルコール;等が挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。
アルコールの添加量は、以下に限定されないが、HDIを含むジイソシアネートモノマーのイソシアネート基とアルコールの水酸基との当量比で、1000/1から10/1であり、好ましくは1000/1から100/1である。上記当量比の上限値が10/1以上であることで、イソシアネート基平均数を確保することができる傾向にある。上記アロファネート化反応触媒の具体的な化合物としては、以下に限定されないが、例えば、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、ジルコニウム、ジルコニル等のアルキルカルボン酸塩である、2−エチルヘキサン酸錫、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物;2−エチルヘキサン酸鉛等の有機鉛化合物;2−エチルヘキサン酸亜鉛等の有機亜鉛化合物;2−エチルヘキサン酸ビスマス;2−エチルヘキサン酸ジルコニウム;2−エチルヘキサン酸ジルコニル;等が挙げられる。
アロファネート化反応は、所望の収率となった時点で、リン酸、パラトルエンスルホン酸メチル等のアロファネート化反応触媒の失活剤を添加して停止される。上述した触媒は、仕込んだジイソシアネートの質量に対して、10〜10000ppm、より好ましくは10〜1000ppm、さらに好ましくは10〜500ppmの量で使用される。アロファネート化は、反応温度を60〜160℃で行うことが好ましい。反応温度の下限値は、より好ましくは70℃であり、さらに好ましくは80℃であり、さらにより好ましくは90℃である。また、反応温度の上限値は、より好ましくは155℃であり、さらに好ましくは150℃であり、さらにより好ましくは145℃である。アロファネート化反応温度が160℃以下であることにより、着色等の特性変化を抑制できる傾向にある。
また、加熱時間は0.2時間〜8.0時間であることが好ましい。加熱時間の下限値は、より好ましくは0.4時間であり、さらに好ましくは0.6時間であり、さらにより好ましくは0.8時間であり、よりさらに好ましくは1.0時間である。加熱時間の上限値は、より好ましくは6.0時間であり、さらに好ましくは4.0時間であり、さらにより好ましくは3.0時間であり、よりさらに好ましくは2.0時間である。加熱時間を0.2時間以上とすることで、低粘度化を発現できることができる傾向にあり、加熱時間を8.0時間以下とすることで、ポリイソシアネート自体の着色を抑制することができる傾向にある。
また、上記のイソシアヌレート化反応触媒もアロファネート化反応触媒となり得る。上記のイソシアヌレート化反応触媒を用いて、アロファネート化反応を行う場合、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネートも当然のことながら生成する。アロファネート化反応触媒として、上記したイソシアヌレート化反応触媒を用い、アロファネート化反応とイソシアヌレート反応を同時に行うことは、経済的生産性の観点から、好ましい。
上述した、イソシアヌレート化反応、ウレトジオン化反応、ウレトンイミノ化反応、イソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体形成反応は、それぞれを逐次行うこともできるし、そのいくつかを並行して行うこともできる。
また、アロファネート化反応を伴う場合には、好ましくは、イソシアヌレート化反応とアロファネート化反応を並行して先行させ、その後、ウレトジオン化反応、ウレトンイミノ化反応、イソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体形成反応を行う。
イソシアヌレート化反応とアロファネート化反応を共通した触媒を用いて同時に行い、その後、熱によるウレトジオン化反応、ウレトンイミノ化反応、イソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体形成反応を行うことは、製造工程の簡略化の観点から、より好ましい。
重合反応が所望の重合度に達した時点で、重合反応を停止させる。重合反応の停止は、以下に限定されないが、例えば、リン酸、酸性リン酸エステル、硫酸、塩酸、スルホン酸化合物の酸性化合物を反応液に添加して重合反応触媒を中和することや、あるいは、重合反応触媒を熱分解、化学分解すること等により不活性化させることで達成できる。
反応停止直後の反応液は、通常未反応のジイソシアネートモノマーを含むため、これを薄膜蒸発缶、抽出等の後処理で除去することが好ましい。ポリイソシアネート組成物に含有されるジイソシアネートモノマー濃度は、上記後処理を行うことで、1.0質量%以下に制御することが好ましい。本実施形態のポリイソシアネート組成物におけるジイソシアネートモノマー濃度の上限値は、より好ましくは0.7質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下であり、さらにより好ましくは0.3質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.2質量%以下である。ジイソシアネートモノマー濃度を上記上限値以下とすることで、本実施形態のポリイソシアネート組成物の毒性を一層低減でき、安全性を向上させることができる傾向にある。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、反応停止後、あるいは薄膜蒸発缶、抽出等で未反応のポリイソシアネートモノマーを除去した後に、濾過させて得られる。濾過をすることにより、ポリイソシアネート組成物に含まれるリン濃度を1ppm〜50ppmにすることができる。濾過には、例えば、メンブレンフィルターや、デプスプリーツ等のフィルターを用いることができる。前記フィルターのポアサイズは1μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜8μmであることがより好ましい。ポアサイズを1μm以上とすることで、ポリイソシアネート組成物の生産性を向上でき、10μm以下とすることで、リン濃度をより低減することができる。素材としては特に限定されないが、PTFE、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステルなどを用いることができる。濾過は、1回又は2回以上行ってもよい。濾過を行う温度は、フィルターの素材にもよるが、30℃〜100℃で行うことが好ましい。濾過を行う温度を30℃以上とすることで、ポリイソシアネート組成物やポリイソシアネート組成物の反応液の粘度を下げることができ、生産性を落とすことなく濾過することができる。濾過を行う温度を100℃以下とすることで、リン濃度をより低減することができる。
〔水性塗料組成物〕
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、水性塗料組成物の硬化剤等として好適に用いることができる。本実施形態の水性塗料組成物は、上述した本実施形態のポリイソシアネート組成物と、水性アクリルポリオール、表面張力調整剤を含有することが好ましい。
本実施形態の水性塗料組成物における水性アクリルポリオールは、耐候性、耐薬品性、及び硬度の観点から、好適に用いられ、種類は特に限定されない。上記水性アクリルポリオールとしては、主成分である水、及び、必要に応じて少量の有機溶剤を含有する媒体中に、水性アクリルポリオールが分散もしくは乳化された樹脂が好適に用いられる。上記樹脂の組成、ガラス転移温度、粒子径、分子量、並びにヒドロキシル基濃度などは、水性塗料組成物の用途や目的によって設計することができ、上記樹脂は、数多くの製品として市販されている。また、水性アクリルポリオールに、ポリエステル系樹脂、及びポリウレタン系樹脂などが複合したものも用いることができる。
前記樹脂のガラス転移温度は、水性塗料組成物の用途や目的によって様々であり、限定されないが、一般に、弾性塗料など柔軟性が必要な用途では低い値に設定され、硬質塗料など硬さが必要な用途では高い値に設定される。通常、ガラス転移温度は−50℃から80℃程度である。
前記樹脂の粒子径は、分散安定性や粘度及び形成される水性塗料組成物の各種性能の観点から、通常、平均粒子径として、おおよそ50nm以上400nm以下に設定される。本実施形態における主剤との混合安定性の観点から、前記樹脂の粒子径は200nm以下が好ましい。
前記樹脂のヒドロキシル基濃度は、用途や目的から適宜設定され、樹脂分中のヒドロキシル基の重量%として、通常0.5%以上5%以下程度である。
水性アクリルポリオールは、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体の1種又は2種以上と、これと共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体の1種又は2種以上とを共重合させることにより得られる。
上記共重合は、一般的な溶液重合あるいは乳化重合によって行なわれ、分子量の調節にはメルカプタン類などの連鎖移動剤が用いられる。乳化重合による場合は水に乳化した樹脂が直接得られるが、溶液重合による場合は、重合の後で行なわれる水分散化に必要な量のカルボキシル基含有モノマーを共重合させることが必要である。重合終了後にそのカルボキシル基をアンモニアやアミンなどの塩基性化合物で中和し、水を加えることによってポリオールの水分散体を得ることができる。好ましくはその後に蒸留により溶液重合時に用いた有機溶剤を除去する。
ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体としては、例えば、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチルなどが挙げられる。中でも、好ましくは、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルである。
上記共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、などのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリルなどのメタクリル酸エステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドなどの不飽和アミド;メタクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有単量体;スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチルなどのビニル系単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの加水分解性シリル基含有単量体などが挙げられる。
市販されている水性アクリルポリオールとしては、Setaqua6510、Setaqua6515、Setaqua6520(Nuplex Resin社製)、Macrynal VSM2521w、Macrynal VSM6299w、Macrynal SM6810、Macrynal SM6825、Macrynal SM6826w(Allnex Belgium SA/NV社製)などが挙げられる。
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などのカルボン酸の群から選ばれた二塩基酸の単独又は混合物、及び必要に応じてスルホン酸塩含有のポリカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセリンなどの群から選ばれた多価アルコールなどの単独又は混合物との縮合反応や、例えば多価アルコールを用いたε−カプロラクトンの開環重合により得られる。分子量の調節は重合度の調節により行なわれる。重合終了後にポリエステル系樹脂中のカルボキシル基をアンモニアやアミンなどの塩基性化合物で中和するなどし、水を加えることによってポリエステル系樹脂の水分散体として得ることができる。重合や水分散化に際して有機溶剤を用いる場合、好ましくは水分散した後に蒸留により有機溶剤を除去する。
前記ポリウレタン系樹脂としては、一般にポリウレタンディスパージョンと言われるものが用いられ、例えば、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、水添メチレンジフェニルジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物とポリエステルジオールやポリカーボネートジオールなどとの反応によるプレポリマー化反応を、ジメチロールプロピオン酸などのカルボキシル基含有ジオールの必要量の存在下で行ない、カルボキシル基を三級アミンなどで中和した後、水を加えることにより水分散化させ、その後速やかにエチレンジアミンやイソホロンジアミンなどのジアミン化合物などを加えて鎖伸長を行なうことにより得ることができる。分子量の調節はプレポリマー化反応時のイソシアネート基とヒドロキシル基の比率や鎖伸長の条件によって行なわれる。プレポリマー化反応に際して有機溶剤を用いる場合、好ましくは鎖伸長した後に蒸留により有機溶剤を除去する。なお、ポリウレタンディスパージョンは、それ自体が強靭な樹脂であるため、本実施形態における水系2成分型硬化樹脂用の主剤としては、所定量のヒドロキシル基を導入させたものに加え、ヒドロキシル基を有しないか、有する場合でもヒドロキシル基含有量が小さなものも用いることができる。
本実施形態の水性塗料組成物の製造に際しては、硬化剤であるポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基と水との反応を考慮し、イソシアネート基と水性アクリルポリオール中のヒドロキシル基の比率は、イソシアネート基が過剰となる条件で行なうことが好ましい。通常、ヒドロキシル基に対するイソシアネート基のモル比率は、1.1倍から1.5倍に設定される。また、ポリイソシアネート組成物を、イソシアネート基との反応性を有さない有機溶剤で予め希釈することは、水系主剤との配合安定性を改良する効果があるため好ましい。
希釈に用いることができる有機溶剤としては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、及びブチルカルビトールアセテートなどを、単独あるいは混合して用いることができる。中でもエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルは、水性塗料組成物から得られる塗膜の写像性を改良する効果が高いため好ましい。ただし、地球環境保護や労働安全衛生などの観点から、これら有機溶剤の使用量は可能な限り少なくすることが望ましく、希釈に用いる有機溶剤量は、硬化剤との合計量に基づき、50質量%以下であることが好ましい。
また、水性塗料組成物から得られる塗膜の外観を改良するため、本実施形態のポリイソシアネート組成物に、親水基を含有する、いわゆる水分散性のポリイソシアネートを予め混合することも可能であるが、形成される硬化樹脂組成物の耐水性や耐候性の観点からは、本実施形態のポリイソシアネート組成物との合計量に基づき、50質量%以下であることが好ましい。なお、このような水分散性ポリイソシアネートを混合する場合においても、粘度を下げて取り扱い上の利便性を向上させるため、上記の有機溶剤を用いて予め希釈することも可能である。この場合も有機溶剤の使用量は可能な限り少なくすることが望ましく、希釈に用いる有機溶剤量は、本実施形態のポリイソシアネート組成物と水分散性ポリイソシアネートとの合計量に基づき、30質量%以下であることが好ましい。
水性塗料組成物は、手撹拌や撹拌機を用いて製造できる。配合に要する時間は、配合方法にもよるが、通常1分から30分程度である。
本実施形態の水性塗料組成物に、表面張力調整剤を用いることは、塗膜外観性を付与する上で好ましい。表面張力調整剤の種類は、特に限定されず、シリコン系、アクリル系などを用いることができる。表面張力調整剤は、水性ポリオールの樹脂分に対して0.05質量%〜5質量%用いることが好ましい。表面張力調整剤が0.05質量%以上であることで、塗膜外観性を付与でき、表面張力調整剤が5質量%以下であることで、耐水性を付与できる。
上記シリコン系としては、市販品を用いることができ、例えば、BYK−302、BYK−307、BYK−325、BYK−331、BYK−333、BYK−342、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−378、BYK−3455(BYK社製)、Tego wet KL245、Tego wet 250、Tego wet 260、Tego wet 265、Tego wet 270、Tego wet 280(Evonic Tego Chemie社製)が挙げられる。これらは単独でも構わないし、複数を併用しても構わない。
上記アクリル系としては、市販品を用いることができ、例えば、BYK−381、BYK−3441(BYK社製)などが挙げられる。これらは単独でも構わないし、複数を併用しても構わない。
水性塗料組成物の製造に際しては、必要に応じて、例えば、錫、亜鉛、鉛等のカルボン酸等の有機金属化合物などの硬化促進剤;例えば、ヒンダードフェノールなどの酸化防止剤;例えば、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;例えば、ヒンダードアミンなどの光安定剤;例えば、酸化チタン、カーボンブラック、インジゴ、キナクリドン、パールマイカ、アルミペーストなどの顔料;その他レオロジーコントロール剤;分散剤;消泡剤;などの添加剤を配合することが可能である。
紫外線吸収剤および/または光安定剤を水性塗料組成物中に含有させることは、高耐候性を付与する上で好ましい。紫外線吸収剤と光安定剤を併用すると、水性塗料組成物を硬化させた塗膜が特に耐候性に優れるため好ましい。紫外線吸収剤および/または光安定剤は、水性ポリオールの樹脂分に対して0.1質量%〜5質量%用いることが好ましい。
ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール)、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとポリエチレングリコール(分子量300)との縮合物(BASF社製、製品名:TINUVIN1130)、イソオクチル−3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート(BASF社製、製品名:TINUVIN384)、2−(3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(BASF社製、製品名:TINUVIN571)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(BASF社製、製品名:TINUVIN900)などが挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、TINUVIN400(製品名、BASF社製)などが挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)サクシネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−ブチルマロネート、1−[2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートとメチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−セバケートの混合物(BASF社製、製品名:TINUVIN292)、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、TINUVIN123(製品名、BASF社製)などが挙げられる。
本実施形態の水性塗料組成物を硬化させて得られた塗膜は、写像性に優れる。そのため、自動車、バス、鉄道車両、建築機械、農業機械、建築物の床や壁や屋根、金属製品、モルタルやコンクリート製品、木工製品、プラスチック製品、ケイ酸カルシウム板や石膏ボードなどの窯業系建材など好ましく利用でき、スプレー塗装、ローラー塗装、カーテンフロー塗装、エアーナイフ塗装、グラビア塗装、ハケ塗りなどの一般的な方法を用いることができる。
本実の施形態における水性塗料組成物は、比較的長い可使時間を有しているが、製造後は、雰囲気温度によっても異なるが、1時間から3時間程度の間に使用することが好ましい。
〔塗膜の製造方法〕
本実施形態の塗膜は、本実施形態の水性塗料組成物を硬化させた塗膜である。また、本実施形態の塗膜の製造方法は、本実施形態の塗料組成物を硬化させる工程を有する。硬化は自然乾燥により行なうことができるし、温風や赤外線などによる加熱乾燥も可能である。このように構成されているため、本実施形態の塗膜は、写像性に優れる。
〔湿気安定化方法〕
本実施形態のポリイソシアネート組成物の湿気安定化方法とは、1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートから得られ、かつ、イソシアヌレート基、ウレトジオン基、ウレトンイミノ基、及びイミノオキサジアジンジオン基を含有するポリイソシアネート組成物の湿気安定化方法である。また、上記イソシアヌレート基に対する上記ウレトンイミノ基のモル比(ウレトンイミノ基/イソシアヌレート基)を0.0010〜0.0050とし、かつ、上記イソシアヌレート基に対する上記イミノオキサジアジンジオン基のモル比(イミノオキサジアジンジオン基/イソシアヌレート基)を0.00050〜0.30とする。上記(ウレトンイミノ基/イソシアヌレート基)のモル比と、上記(イミノオキサジアジンジオン基/イソシアヌレート基)のモル比を、上記数値範囲内とすることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物において、湿気安定性の向上が図られる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の湿気安定化を図る観点から、上記(ウレトンイミノ基/イソシアヌレート基)のモル比は、0.0012〜0.0045が好ましく、0.0015〜0.0040がより好ましく、0.0020〜0.0035であることがさらに好ましい。また、(イミノオキサジアジンジオン基/イソシアヌレート基)のモル比は、0.0008〜0.20が好ましく、0.0012〜0.10がより好ましく、0.0016〜0.050がさらに好ましく、0.0020〜0.025であることがさらにより好ましい。なお、「湿気安定性」とは、本実施形態のポリイソシアネート組成物を、飽和湿度条件下で放置したとき、長時間ゲル状態にならずに維持し得る性質をいう。具体的には、後述する実施例に記載する方法により検証することができる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例に基づいてさらに詳しく説明するが、本実施形態は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
〔特性の測定方法〕
<粘度>
粘度は、E型粘度計(トキメック社製)を用いて25℃で測定した。測定に際しては、標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下のとおりとした。
100rpm (128mPa・s未満の場合)
50rpm (128mPa・s以上256mPa・s未満の場合)
20rpm (256mPa・s以上640mPa・s未満の場合)
10rpm (640mPa・s以上1280mPa・s未満の場合)
5rpm (1280mPa・s以上2560mPa・s未満の場合)
なお、後述する各実施例及び各比較例で製造したポリイソシアネート組成物の不揮発分を以下に記載の方法によって調べ、その値が98質量%以上であったものは、そのまま測定に供した。
<不揮発分>
不揮発分は、ポリイソシアネート組成物を、105℃、3時間加熱した場合の残存量から、下記式により求めた。
不揮発分(質量%)=(105℃、3時間加熱後のポリイソシアネート組成物の質量)/(加熱前のポリイソシアネート組成物の質量)×100
<NCO含有率>
NCO含有率(質量%)は、測定試料中のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。なお、後述する実施例及び比較例で製造したポリイソシアネート組成物の不揮発分を上述した方法によって調べ、その値が98質量%以上であったものは、そのまま測定に供した。
<HDIモノマー質量濃度>
まず、20mLサンプル瓶をデジタル天秤に乗せ試料を約1g精秤した。次に、ニトロベンゼン(内部標準液)を0.03〜0.04g加え精秤した。さらに、酢酸エチルを約9mL加えた後、蓋をしっかりしてよく混合し、サンプルを調製した。上記調製液を以下の条件で、ガスクロマトグラフィー分析し、定量した。
装置:SHIMADZU(株)GC−8A
カラム:信和化工(株)Silicone OV−17
カラムオーブン温度;120℃
インジェクション/ディテクター温度;160℃
<ウレトジオン基/イソシアヌレート基、ウレトンイミノ基/イソシアヌレート基、イミノオキサジアジンジオン基/イソシアヌレート基、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比率>
BrukerBiospin社製 Avance600(商品名)を用いた、13C−NMRの測定により、ウレトジオン基/イソシアヌレート基、ウレトンイミノ基/イソシアヌレート基、イミノオキサジアジンジオン基/イソシアヌレート基、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比率をそれぞれ求めた。具体的な測定条件は以下のとおりとした。
13C−NMR装置:AVANCE600(ブルカーバイオスピン社製)
クライオプローブ:CP DUL 600S3 C/H−D−05 Z
(ブルカーバイオスピン社製)
共鳴周波数:150MHz
濃度:60wt/vol%
シフト基準:CDCl3(77ppm)
積算回数:10000回
パルスプログラム:zgpg30(プロトン完全デカップリング法、待ち時間2秒)
なお、上記測定においては、以下のシグナルの積分値を、測定している炭素の数で除し、その値から各モル比率を求めた。
イソシアヌレート基:148.6ppm付近:積分値÷3
ウレトジオン基:157.5ppm付近:積分値÷2
アロファネート基:154ppm付近:積分値÷1
ウレトンイミノ基:159.5ppm付近:積分値÷1
イミノオキサジアジンジオン基:137.3ppm付近:積分値÷1
<イソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体/イソシアヌレート3量体の比率>
ポリイソシアネート組成物における、3個の1,6−イソシアナトヘキサンが重合したイソシアヌレート3量体(化合物αとも称す)に対する、4個の1,6−イソシアナトヘキサンが重合したイソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体(化合物βとも称す)の存在比率を以下の方法に準拠して求めた。具体的には、ポリイソシアネート組成物中の化合物α及び化合物βの末端イソシアナト基をメタノールでウレタン化し、それを液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS)で分析した。以下に、サンプルの調製方法、測定方法を記載する。
(1)サンプルの調製方法
ポリイソシアネート組成物100mgを秤量し、10mg/mLになるようにメタノールを添加した。その後、2日間静置して、存在するイソシアネート基を完全にメタノールと反応させて、メタノール溶液を準備した。
(2)測定方法
上記で得たメタノール溶液について、以下の装置を用いて測定した。
・LC
装置:Waters ACQUITY UPLC
カラム:Phenomenex,Kinetex 2.6μ XB−C18 100A
(内径2.1mm、長さ50mm)
カラム温度:40℃
検出:220nm
流速:0.3mL/分
移動相:以下、A、B液のグラジェント
A=水(0.05%ギ酸)、B=アセトニトリル(0.05%ギ酸)
グラジェント条件
時間(分) A% B%
0 60 40
12 0 100
12.1 60 40
20 60 40
注入量:1μL
・MS
装置:Waters,Synapt G2
イオン化:ESI
モード:Positive
スキャンレンジ:m/z250〜2000
3個のHDIが重合したイソシアヌレート3量体のメタノール付加体(化合物α;下記式(VII))に対する、4個のHDIが重合したイソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体のメタノール付加体(化合物β;下記式(VIII))のピーク面積比(β/α)で算出した。化合物αは、リテンションタイム1.55分付近に、検出イオン(m/z)601で検出された。化合物βは、リテンションタイム3.44分付近に、検出イオン(m/z)769で検出された。なお、下記式(VII)、(VIII)において、Meはメチル基を示す。
<貯蔵後ジイソシアネートモノマー(DI)増加量>
ポリイソシアネート組成物を窒素雰囲気下、40℃で30日間貯蔵後、上記HDIモノマー質量濃度の測定条件のガスクロマトグラフ測定によりジイソシアネートモノマー濃度を測定した。貯蔵後のジイソシアネートモノマー濃度増加が0.15質量%以下を「◎」、0.15質量%超0.20質量%以下を「○」、0.20質量%超0.25質量%以下を「△」、0.25質量%を超える場合を「×」で表した。
<湿気安定性>
ポリイソシアネート組成物5.0g、酢酸ブチル5.0gを混合し、20℃、飽和湿度条件にて、ゲル化状態になるまでの日数を評価した。ゲル化状態になるまでの日数が2日未満の場合を「×」、2日以上3日未満の場合を「△」、3日以上4日未満の場合を「○」とし、4日以上の場合を「◎」とした。
<ポリイソシアネート組成物中のリン濃度の測定>
ポリイソシアネート組成物中のリン濃度(質量基準)は、以下の方法によって測定した。まず、試料約1.5gをコニカルビーカーに秤量し、濃硫酸20mLを加え、ヒーター上で加熱した。分解終了後、過酸化水素水を5mL加えた。その後、分解液が3〜5mL程度になるまでヒーター上で濃縮した。放冷後、純水で50mL容量のデジチューブに流し込み、25mLにメスアップし、混合し、測定試料とした。波長213.618nmに設定したプラズマ発光分光分析装置に測定試料を導入し定量した。
装置:プラズマ発光分光分析装置 サーモフイッシャーサイエンティフィック社製
型式:iCAP6300Duo
測定波長:213.618nm
<主剤混合安定性>
後述の水性塗料組成物を乾燥膜厚が約40μmになるようにガラス板に塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で7日間乾燥させた。5cm×5cmの塗膜表面に存在する凝集物を確認し、1個以下を○、2〜5個を△、6個以上を×とした。
<光沢>
脱油したアルミニウム板上に予め市販の溶剤系2液アクリルウレタン白エナメル塗料をスプレー塗装してセッティングし、その後80℃2時間乾燥し、室温で2週間以上養生させ、60度光沢値が10%以下になるまで表面を#1000のサンドペーパーで研磨したものを基材として準備した。その基材上に、後述の水性塗料組成物を乾燥膜厚が約40μmになるようにエアースプレーを用いて塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で7日間乾燥させた。その後、光沢計(スガ試験機株式会社製デジタル変角光沢計UDV−6P(商品名))を用い、JIS Z8741の条件で60度光沢値を測定した。
60度光沢値が90%以上を○、90%未満80%以上を△、80%未満を×と評価し
た。
<写像性>
軟鋼板(SPCC SB)をアセトンで脱油し、脱油した軟鋼板上に、後述の水性塗料組成物を乾燥膜厚が約40μmになるようにエアースプレーを用いて塗装し、23℃/50%RHの雰囲気下で7日間乾燥させた。その後、写像測定計(コニカミノルタ株式会社製ローポイントIQ−S(商品名))を用い、ASTM−D5767の条件で写像性(DOI値)を測定した。
写像性が80以上を◎、60以上80未満を○、60未満を×と評価した。
〔ポリイソシアネート組成物の調製〕
(実施例1)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、及び滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 6,000g、イソブタノール7.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化触媒トリメチル−2−メチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液5.0gを加え、イソシアヌレート化反応を行い、反応液のNCO含有率が44.6質量%になった時点でリン酸を添加し反応を停止した。この反応で増加したウレトジオン2量体濃度は1.0質量%以下であった。この後、昇温速度1.6℃/分の速度で、160℃まで昇温させ、160℃で、1時間保持した。その後、降温速度1.5℃/分の速度で、40℃まで降温させた。この加熱によりウレトジオン基並びに、ウレトンイミノ基、イソシアヌレート・ウレトジオン結合構造が生成した。得られた反応液をポアサイズ3μmのPTFEフィルター(商品名:T300A090C、ADVANTEC社製)を用いて濾過した。薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.5質量%、粘度520mPa・s(25℃)、NCO含有率23.1質量%、HDIモノマー濃度0.11質量%、リン濃度4ppmのポリイソシアネート組成物P−1を得た。
また、13C−NMR測定によりウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率は0.32、ウレトンイミノ基/イソシアヌレート基のモル比率は0.0022、イミノオキサジアジンジオン基/イソシアヌレート基のモル比率は0.0038、アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比率は0.07であった。また、液体クロマトグラフィーによるイソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体/イソシアヌレート3量体の面積比は0.065であった。その後、ポリイソシアネート組成物の貯蔵後ジイソシアネート(DI)増加量、湿気安定性を評価した。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 6,000g、イソブタノール11.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化触媒トリメチル−2−メチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液5.0gを加え、イソシアヌレート化反応を行い、反応液のNCO含有率が45.5質量%になった時点でリン酸を添加し反応を停止した。この反応で増加したウレトジオン2量体濃度は1.0質量%以下であった。この後、昇温速度1.6℃/分の速度で、160℃まで昇温させ、160℃で、1時間保持した。その後、降温速度1.5℃/分の速度で、40℃まで降温させた。この加熱によりウレトジオン基並びに、ウレトンイミノ基、イソシアヌレート・ウレトジオン結合構造が生成した。得られた反応液をポアサイズ3μmのPTFEフィルター(商品名:T300A090C、ADVANTEC社製)を用いて濾過した。薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.5質量%、粘度280mPa・s(25℃)、NCO含有率23.2質量%、HDIモノマー濃度0.11質量%、リン濃度3ppmのポリイソシアネート組成物P−2を得た。その後の測定、評価は実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
イソシアヌレート化反応後の反応液の昇温速度、降温速度をそれぞれ、2.2℃/分、2.4℃/分に変更した。その他の条件は実施例1と同様に行い、ポリイソシアネート組成物P−3を得た。また、その後の測定、評価は実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
イソシアヌレート化反応後の反応液の加温条件を155℃、1.0時間に変更した。
その他の条件は実施例1と同様に行い、ポリイソシアネート組成物P−4を得た。
また、その後の測定、評価は実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
イソシアヌレート化反応後の反応液の加温条件を165℃、5.0時間に変更した。その他の条件は実施例1と同様に行い、ポリイソシアネート組成物P−5を得た。また、その後の測定、評価は実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
(比較例1)
イソシアヌレート化反応後の反応液の昇温速度、降温速度をそれぞれ、2.6℃/分、4.5℃/分に変更した。その他の条件は実施例1と同様に行い、ポリイソシアネート組成物C−1を得た。また、その後の測定、評価は実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
(比較例2)
イソシアヌレート化反応後、昇温速度0.3℃/分の速度で、165℃まで昇温させ、165℃で、8時間保持した。その後、降温速度0.3℃/分の速度で、40℃まで降温させた。その他の条件は実施例1と同様に行い、ポリイソシアネート組成物C−2を得た。また、その後の測定、評価は実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
(比較例3)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 6,000g、イソブタノール7.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化触媒トリメチル−2−メチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで5質.0量%に希釈した溶液5.0gを加え、イソシアヌレート化反応を行い、反応液のNCO含有率が44.1質量%になった時点でリン酸を添加し、反応を停止した。この反応で増加したウレトジオン2量体濃度は1.0質量%以下であった。反応液を更に100℃、1時間保持した。得られた反応液をポアサイズ3μmのPTFEフィルター(商品名:T300A090C、ADVANTEC社製)を用いて濾過した。薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.5質量%、粘度1050mPa・s(25℃)、NCO含有率23.1質量%、HDIモノマー濃度0.09質量%、リン濃度20ppmのポリイソシアネート組成物C−3を得た。また、その後の測定、評価は実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
(比較例4)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 6,000gを仕込み、撹拌下反応器内温度を30℃、2時間保持した。その後、14.8g(0.1mol)の1−ブチルホスホランを添加し、15時間保持した。その後、3.6g(0.11mol)の元素状硫黄の添加により、反応を停止した。得られた反応液をポアサイズ3μmのPTFEフィルター(商品名:T300A090C、ADVANTEC社製)を用いて濾過した。薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.5質量%、粘度1000mPa・s(25℃)、NCO含有率23.3質量%、HDIモノマー濃度0.12質量%、リン濃度100ppm超のポリイソシアネート組成物C−4を得た。また、その後の測定、評価は実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
(比較例5)
撹拌機、温度計、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、比較例1で得たポリイソシアネート組成物C−1 700g、比較例5で得たポリイソシアネート組成物C−4 300gを仕込み、40℃、2時間撹拌し、ポリイソシアネート組成物C−5を得た。また、その後の測定、評価は実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
(実施例6)
撹拌機、温度計、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、比較例1で得たポリイソシアネート組成物C−1 820g、比較例4で得たポリイソシアネート組成物C−4 180gを仕込み、40℃、2時間撹拌し、ポリイソシアネート組成物P−6を得た。また、その後の測定、評価は実施例1と同様に行った。評価結果を表1に示す。
(比較例6)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、及び滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 6,000g、イソブタノール7.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化触媒トリメチル−2−メチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液5.0gを加え、イソシアヌレート化反応を行い、反応液のNCO含有率が44.6質量%になった時点でリン酸を添加し反応を停止した。この反応で増加したウレトジオン2量体濃度は1.0質量%以下であった。この後、昇温速度1.6℃/分の速度で、160℃まで昇温させ、160℃で、1時間保持した。その後、降温速度1.5℃/分の速度で、40℃まで降温させた。この加熱によりウレトジオン基並びに、ウレトンイミノ基、イソシアヌレート・ウレトジオン結合構造が生成した。薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.5質量%、粘度520mPa・s(25℃)、NCO含有率23.1質量%、HDIモノマー濃度0.11質量%、リン濃度100ppm超のポリイソシアネート組成物C−6を得た。また、その後の測定、評価は実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
(比較例7)
イソシアヌレート化反応後の反応液を、ポアサイズ0.1μmのPTFEフィルター(商品名:T010A090C、ADVANTEC社製)を用いて濾過した。濾過に、実施例1の10倍以上の時間を要した。その他の条件は実施例1と同様に行い、ポリイソシアネート組成物C−7を得た。また、その後の測定、評価は実施例1と同様に行った。評価結果を表2に示す。
以下、表1及び表2において、「B/Aモル比率」は13C−NMRにおける積分値より算出した(ウレトジオン基吸収×1/2)/(イソシアヌレート基吸収×1/3)を示し、「C/Aモル比率」は13C−NMRにおける積分値より算出した(ウレトンイミノ基吸収)/(イソシアヌレート基吸収×1/3)を示し、「D/Aモル比率」は13C−NMRにおける積分値より算出した(イミノオキサジアジンジオン基吸収)/(イソシアヌレート基吸収×1/3)を示し、「E/Aモル比率」は13C−NMRにおける積分値より算出した(アロファネート基吸収)/(イソシアヌレート基吸収×1/3)を示し、「F/A比率」は液体クロマトグラフィーにおける面積比より算出した(イソシアヌレート・ウレトジオン結合4量体)/(イソシアヌレート3量体)を示した。
〔水性塗料組成物の作製〕
(実施例7)
水性アクリルポリールSetaqua6515(OH含有量3.3%、不揮発分45%)62.23gを容器に計り取り、撹拌しながらレベリング剤BYK−348(BYK社製)を0.10g、Tego Wet 270(Evonic Tego Chemie社製)を0.10g、紫外線吸収剤Tinuvin 1130(BASF社製)を0.65g、光安定剤Tinuvin 292(BASF社製)を0.32g、水を4.51g添加し、5分間撹拌した。これに、実施例1で作製したポリイソシアネート組成物P−1の64重量部を、希釈溶剤としてブチルグリコールアセテート36重量部で予め混合したものを、イソシアネート基とヒドロキシル基のモル比が、NCO/OH=1.5になるように(22.7g)加え、10分間撹拌することにより、水性塗料組成物を作製した。主剤との混合安定性の評価結果を表3に示す。また、基材に塗布、乾燥させた後の塗膜物性を表3に示す。
(実施例8〜12、比較例8〜14)
実施例7と同様の手順で水性塗料組成物を作製した。主剤との混合安定性の評価結果を表3および表4に示す。また、基材に塗布、乾燥させた後の塗膜物性を表3および表4に示す。
実施例1〜6のポリイソシアネート組成物は、低粘度であり、貯蔵安定性、湿気安定性に優れ、実施例7〜12の水性塗料組成物は、主剤との混合安定性、光沢、写像性に優れることが確認された。
本発明に係るポリイソシアネート組成物を硬化剤として用いた水性塗料組成物は、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の塗料として利用することができる。また、鋼板、表面処理鋼板等の金属、及びプラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材へのプライマーや上中塗り塗料として用いることもできる。さらに、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装等に耐熱性、美粧性(表面平滑性、鮮鋭性)等を付与する塗料としても有用である。またさらに、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。

Claims (3)

  1. 1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネートから得られ、
    イソシアヌレート基、ウレトジオン基、ウレトンイミノ基、及びイミノオキサジアジンジオン基を含有し、
    前記ウレトンイミノ基/前記イソシアヌレート基のモル比率が0.0010〜0.0050であり、前記イミノオキサジアジンジオン基/前記イソシアヌレート基のモル比率が0.00050〜0.30であり、かつ、
    プラズマ発光分光分析におけるリン濃度が1〜50ppmである、
    ポリイソシアネート組成物。
  2. 水性アクリルポリオール、表面張力調整剤、及び、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物を含む水性塗料組成物。
  3. 請求項2に記載の水性塗料組成物を硬化させた塗膜。
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