JP2018027870A - 硫酸製造システム - Google Patents

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Abstract

【課題】、硫酸の製造にあたり、廃ガス中の二酸化硫黄の三酸化硫黄への転化率の低下を防ぐとともに、硫酸生産量の低下や廃ガス処理のための薬剤使用量の増加を抑えることができる方法を提供する。【解決手段】本発明は、廃ガス中に含まれる二酸化硫黄から硫酸を製造する硫酸製造システム1であって、転化吸収設備10,20を直列に2段で備えており、その転化吸収設備10,20は、廃ガス中の二酸化硫黄を三酸化硫黄に転化する転化器11,21と、転化器11,21で転化されて生成した三酸化硫黄を硫酸に吸収させる吸収塔12,22と、を有し、前段に位置する第1の転化吸収設備10の転化器11を通過した廃ガスが、後段に位置する第2の転化吸収設備20の転化器21に迂回して導入される迂回配管30が設けられており、さらに、第1の転化吸収設備10と、第2の転化吸収設備20との間には、第1の送風機32が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、硫酸製造システムに関するものであり、例えば銅製錬プロセスから排出された廃ガスに含まれる二酸化硫黄から硫酸を製造するプロセスにて使用する硫酸製造システムに関する。
硫化精鉱を原料として用いて粗銅を得る方法として、自熔炉等の熔錬炉と転炉とを用いる製錬方法がある。この製錬方法では、まず、熔錬炉で硫化精鉱を熔錬し、銅を含むマット、熔錬炉スラグ、及び二酸化硫黄を含む熔錬炉廃ガスを得る。次に、転炉において、熔錬炉にて得られたマットを吹練し、そのマットに含まれる不純物成分を転炉スラグとして除去する一方で、銅分を粗銅とする。このとき、マット中に含まれる硫黄分は、二酸化硫黄となって転炉廃ガスの主要成分として系外に排出される。したがって、硫化精鉱中の硫黄分は、そのほとんどが二酸化硫黄となり、熔錬炉廃ガスと転炉廃ガスとに分配されて系外に排出されることになる。
ここで、二酸化硫黄は、有害物質であることから、二酸化硫黄を含む廃ガスを大気に放出することができない。そのため、製錬設備に付属する硫酸製造設備に廃ガスを導入して、その廃ガス中の二酸化硫黄を硫酸として回収し、回収後の廃ガスをアルカリ溶液と接触させて無害化して大気中に放出している。
さて、熔錬炉と転炉とを用いた製錬方法より排出される廃ガス中の二酸化硫黄から硫酸を製造するにあたっては、例えば、大きく分けると、受け入れた廃ガスを清浄なものとする「ガス精製工程」と、二酸化硫黄を三酸化硫黄に転化して硫酸を得る「硫酸製造工程」と、その後の廃ガス中に含まれる微量の硫黄酸化物を吸収除去する「テールガス処理工程」とが行われる(例えば、特許文献1参照)。
具体的に、図4は、銅製錬プロセスから排出された、二酸化硫黄を含む廃ガスから硫酸を製造する流れを示したフロー図である。なお、この図4では、硫酸製造工程において、従来の硫酸製造システム(硫酸製造システム5)の構成を示している。
ガス精製工程S101では、製錬廃ガスが、硫酸製造設備に設けられた増湿塔と洗浄塔とを通過することにより、多量の水と接触して冷却されるとともに、その廃ガス中のダストが水に捕捉される。捕捉しきれなかったダストはミスト状となり、ミストコットレルで除去される。次に、乾燥塔において、濃硫酸と接触させることにより水分が除去され、精製ガス(廃ガス)として払い出される。
続いて、硫酸製造工程S102では、ガス精製工程S101で得られた廃ガスを転化器に送り、廃ガス中の二酸化硫黄を三酸化硫黄に転化する。その後、ガスの温度を調整(冷却)し、吸収塔において三酸化硫黄を98%濃硫酸に吸収させ、水や乾燥塔で発生する95%硫酸で希釈して98%濃硫酸を得る。なお、三酸化硫黄が硫酸により吸収されて除去された廃ガス(これを「テールガス」という)中には、微量の三酸化硫黄と未転化の二酸化硫黄とが存在する。
そして、テールガス処理工程S103では、排煙脱硫設備(除害塔)80を用い、テールガス中の微量の三酸化硫黄と未転化の二酸化硫黄とをアルカリで吸収固定することによって、廃ガスを無害化し、大気中に放出する。
ここで、硫酸製造工程S102においては、例えば硫酸製造システム5を用いて処理が実行される。具体的に、硫酸製造システム5は、廃ガス中の二酸化硫黄を三酸化硫黄に転化する転化器51と、転化器51で転化されて生成した三酸化硫黄を硫酸に吸収させる吸収塔52と、を有する転化吸収設備50を備えている。また、硫酸製造システム5においては、二酸化硫黄をできるだけ多く硫酸として回収するために、転化吸収設備50を直列に2段で設け、三酸化硫黄への転化と、三酸化硫黄の硫酸への吸収とを繰り返し行うようにしている。なお、図4に示すように、転化吸収設備を直列に2段で備えた硫酸製造システム5において、「転化吸収設備50」が前段の転化吸収設備であり、「転化吸収設備60」が後段の転化吸収設備である。また、転化吸収設備60を構成する転化器を「転化器61」とし、同じく吸収塔を「吸収塔62」とする。
また、硫酸製造システム5においては、前段に位置する転化吸収設備50の転化器51を通過した廃ガスが、後段に位置する転化吸収設備60の転化器61に迂回して導入される迂回配管70が設けられている。また、迂回配管70には、その途中の配管内に、遮断弁71が設けられている。
さて、粗銅の製錬プロセスは、小休止することがあり、その場合、二酸化硫黄を三酸化硫黄に転化して硫酸を得る硫酸製造工程S102での反応原料が不足して、硫酸製造システム5の転化器51,61の温度が低下することがある。転化器51,61が低温であると、その内部での反応速度が低くなってしまうため、十分に温度が高まるまでは吸収塔52,62の使用を一部省略し、迂回配管70を使用した非定常の経路(迂回路)に変更することによって、硫酸品質を維持することが一般的であった。例えば、変更の一例としては、特許文献2に開示されている技術が知られている。
このような迂回配管70を使用した非定常の経路は、通常は、遮断弁71によって閉鎖されており、廃ガスが通過しないようにされている。このとき、非定常の経路である迂回配管70の内部は淀んだ状態であり、廃ガスからの熱の供給も少ない。そして、遮断弁71の開閉を繰り返すうちに、弁体に対して、粉化した触媒や少量のミストが付着していくとともに、付着したミスト(三酸化硫黄や水)によってその弁体が腐食されてゆく。その結果、弁体の当たり面と配管の間に隙間が形成される。
隙間が形成されると、遮断弁71が閉じた状態であっても廃ガスの一部が非定常の迂回配管70を介して下流側に移行してしまい、その結果として、廃ガス中の二酸化硫黄の三酸化硫黄への転化率を低下させ、硫酸の生産量を減少させるとともに、テールガス処理工程でのアルカリ消費量を増加させることになる。ここで、転化率とは、転化器に流入する二酸化硫黄のモル数を分母とし、そのうち三酸化硫黄に変化せず残った二酸化硫黄のモル数を分子としたときの割合である。本明細書では、複数基の転化器を使用していることから、特に断り書きがない場合は、総合転化率を指して転化率という。なお、総合転化率とは、モル数として各転化器の合計値から転化器同士の間を移送される量を差し引いたものである。
また、このような事態に起因して、製錬プロセスでの鉱石処理量、ひいては粗銅生産量を低下させる可能性もある。これらのような問題は、遮断弁71の清掃や交換等の整備を行うことによって、形成された隙間を無くすことで解消できるものの、その整備作業においては作業場所への廃ガスの通過を遮断したり、冷却したりする必要があることから、一週間程度の長時間にわたり設備を停止しなければならない。
特開2001−130902号公報 特開平11−189404号公報
本発明は、このように従来の実情に鑑みて提案されたものであり、硫酸の製造にあたり、廃ガス中の二酸化硫黄の三酸化硫黄への転化率の低下を防ぐとともに、硫酸生産量の低下や廃ガス処理のための薬剤使用量の増加を抑えることができる硫酸製造システムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、非定常の迂回路として用いられる迂回配管が、第2の転化吸収設備の転化器に導入される配管に連結される付近の位置において送風機を設けるようにし、その送風機の稼働により、送風機の出口側圧力が、第1の転化吸収設備の吸収塔における入口側圧力よりも大きくなるように制御することで、迂回配管の遮断弁に生じた隙間に対する整備を施さなくても、転化率の低下やそれに伴う硫酸生産量の低下、廃ガス処理のための薬剤使用量の増加を抑えることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、廃ガス中に含まれる二酸化硫黄から硫酸を製造する硫酸製造システムであって、転化吸収設備を直列に2段で備え、前記転化吸収設備は、上流側から順に、前記廃ガス中の二酸化硫黄を三酸化硫黄に転化する転化器と、前記転化器で転化されて生成した三酸化硫黄を硫酸に吸収させる吸収塔と、を有し、前段に位置する第1の転化吸収設備の前記転化器を通過した廃ガスが、後段に位置する第2の転化吸収設備の前記転化器に迂回して導入される迂回配管が設けられており、さらに、前記第1の転化吸収設備と、前記第2の転化吸収設備との間には、第1の送風機が設けられている、硫酸製造システムである。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記迂回配管には、遮断弁が備えられている、硫酸製造システムである。
(3)本発明の第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記第1の送風機の稼働により、前記第1の送風機の出口側圧力が、前記第1の転化吸収設備の前記吸収塔における入口側圧力よりも大きくなるとともに、前記第2の転化吸収設備の前記転化器の内部における圧力が大気圧以上となる、硫酸製造システムである。
(4)本発明の第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1項の発明において、前記第1の転化吸収設備の前記転化器よりも上流に、前記第1の送風機により生じる仕事量に応じて羽根の回転数を制御可能な第2の送風機が設けられており、前記第2の送風機の稼働により、前記第1の転化吸収設備の前記転化器の内部における圧力が大気圧以上となる、硫酸製造システムである。
本発明によれば、廃ガス中の二酸化硫黄の三酸化硫黄への転化率の低下を防ぐとともに、硫酸生産量の低下や廃ガス処理のための薬剤使用量の増加を抑えることができる。
硫酸の製造の流れを示すフロー図であり、硫酸製造工程において使用する硫酸製造システムの構成を示す図である。 実施例1における、操業の経過時間に対するガス圧力(圧力P1、圧力P2)の推移を示すグラフである。 実施例1における、二酸化硫黄から三酸化硫黄への転化率(%)、後工程で行う排煙脱硫設備でのアルカリ使用量の推移を示すグラフである。 硫酸の製造の流れを示すフロー図であり、硫酸製造工程において使用する従来の硫酸製造システムの構成を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。また、本明細書において、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
図1は、本実施の形態に係る硫酸の製造の流れを示すフロー図である。なお、図1には、銅製錬プロセスから排出された廃ガスから硫酸を製造するプロセスを示している。硫酸製造プロセスは、銅製錬プロセスから排出された廃ガスを清浄なものとするガス精製工程S1と、精製された廃ガスに含まれる二酸化硫黄を三酸化硫黄に転化して硫酸を得る硫酸製造工程S2と、その後の廃ガス中に含まれる微量の硫黄酸化物を吸収除去するテールガス処理工程S3とを有する。なお、テールガス処理工程S3は、例えば排煙脱硫設備45を用いて行われる。
その中で、硫酸製造工程S2における処理は、硫酸製造システム1を用いて行われる。図1には、硫酸製造工程S2で用いられる硫酸製造システム1の構成ブロックを併せて示す。なお、硫酸製造システム1は、それぞれの構成設備が配管により直列に連結されており、図中の矢印は、廃ガスの流れを示している。
図1に示すように、硫酸製造システム1は、上流側から順に、廃ガス中の二酸化硫黄を三酸化硫黄に転化する転化器11と、転化器11で転化されて生成した三酸化硫黄を硫酸に吸収させる吸収塔12と、を有する転化吸収設備10を備えている。なお、転化器11に導入される二酸化硫黄を含む廃ガスとは、ガス精製工程S1を経て得られた精製ガスである。硫酸製造システム1においては、ガス精製工程S1から得られた廃ガスを吸引し、転化吸収設備10の転化器11に送り込むためのメインブロワー(第2の送風機)33を備えている。
ここで、硫酸製造システム1においては、二酸化硫黄をできるだけ多くの硫酸として回収する必要があることから、三酸化硫黄への転化と、三酸化硫黄の硫酸への吸収とを繰り返し行う。そのため、この硫酸製造システム1では、転化吸収設備10を直列に2段で備えている。なお、図1に示すように、転化吸収設備を直列に2段で備えた硫酸製造システム1において、前段に位置する転化吸収設備10を「第1の転化吸収設備10」とし、後段に位置する転化吸収設備を「第2の転化吸収設備20」とする。また、第2の転化吸収設備20を構成する転化器を「転化器21」とし、吸収塔を「吸収塔22」とする。
また、硫酸製造システム1においては、前段に位置する第1の転化吸収設備10の転化器11を通過した廃ガスが、後段に位置する第2の転化吸収設備20の転化器21に迂回して導入される迂回配管30が設けられている。
さらに、硫酸製造システム1においては、第1の転化吸収設備10と、第2の転化吸収設備20との間に、第1の送風機32が設けられている。
[転化吸収設備]
上述したように、転化吸収設備10は、上流側から順に、廃ガス中の二酸化硫黄を三酸化硫黄に転化する転化器11と、転化器11で転化されて生成した三酸化硫黄を硫酸に吸収させる吸収塔12と、を有している。転化吸収設備10は、直列に2段設けられており、それぞれの設備を構成する装置は、第1の転化吸収設備10と第2の転化吸収設備20とで同じである。
転化吸収設備10においては、それぞれの構成装置が配管で接続されており、例えば転化器11から排出された廃ガスは、吸収塔12に接続される配管を通って、その吸収塔12に移行する。
(1)転化器
転化器11は、ガス精製工程S1を経て得られた精製ガス(廃ガス)中の二酸化硫黄(SO)を三酸化硫黄(SO)に転化するための装置である。転化器11は、例えば、五酸化バナジウムを活物質とするような酸化触媒が充填されてなる触媒層が複数積層されて構成されており、上部から導入されるガスを、その複数の触媒層に通すことによって、ガス中の二酸化硫黄を酸化させて三酸化硫黄に転化する。転化器11の排出口からは、三酸化硫黄を含有するガスが排出される。
なお、転化器11と、後述する吸収塔12との間には、熱交換器を設けることができる。鉄交換器は、転化器11から排出された、三酸化硫黄を含有する廃ガスの温度を所定の温度に調整し、後段の吸収塔12での硫酸への効率的な吸収を可能にする。
(2)吸収塔
吸収塔12は、転化して生成した三酸化硫黄を含有する廃ガスを導入し、その三酸化硫黄を硫酸に吸収させる。具体的に、吸収塔12では、導入された廃ガスに対して硫酸を噴霧することによって廃ガスと硫酸とを接触させ、その硫酸に廃ガス中の三酸化硫黄を吸収させて回収する。これにより、吸収塔12では、高濃度の硫酸が製造され、一方で、SOが回収された後の廃ガスが排出口から排出される。
ここで、上述したように、少なくとも、転化器11と、吸収塔12とを備えた転化吸収設備10は、直列に2段設けられており、廃ガスに対する転化処理と、転化処理後の硫酸への三酸化硫黄の吸収処理とは、繰り返し行われるようになっている。なお、設置段数としては、2段のみに限定されず、3段以上であってもよい。
[迂回配管]
迂回配管30は、前段に位置する第1の転化吸収設備10の転化器11を通過した廃ガスを、後段に位置する第2の転化吸収設備20の転化器21に迂回して導入させるための配管である。具体的に、迂回配管30は、第1の転化吸収設備10における転化器11と吸収塔12とを接続する配管から分岐し、第2の転化吸収設備20における転化器21への廃ガスの導入配管に連結されている。
ここで、二酸化硫黄を含む廃ガスを排出する、例えば粗銅の製錬プロセス等においては、定期的なメンテナンスや設備補修等によりその操業を小休止することがある。そのような場合、硫酸製造システム1では、硫酸を製造するための反応原料である二酸化硫黄を含む排ガスが一時的に不足した状態となり、その結果、転化器11の温度が低下することがある。転化器11が低温になると、その転化器11での反応速度が低くなるため、十分に温度が高まるまでは吸収塔12の使用を一部省略した非定常の経路(迂回路)に変更して、製造する硫酸の品質を維持することが行われる。このときの非定常の迂回路として迂回配管30を経由した廃ガスの移行が行われる。
迂回配管30には、配管内の廃ガスの通過、非通過を制御するための遮断弁31が設けられている。迂回配管30は、上述したように非定常の迂回路を構成するものであるため、通常、その遮断弁は閉じた状態となっており、廃ガスの通過は行われない。なお、遮断弁31は、廃ガスの通過のON/OFFを制御可能な一般的な弁であればよく、例えばボールバルブ、バタフライバルブ等が使用可能である。
[第1の送風機]
第1の送風機32は、第1の転化吸収設備10と、第2の転化吸収設備20との間に設けられており、例えば軸流送風機から構成される。なお、以下では、第1の送風機32を適宜「ブースターファン32」ともいい、図1も同様とする。
具体的に、ブースターファン32は、第1の転化吸収設備10における吸収塔12から排出された廃ガスを排出し、第2の転化吸収設備20における転化器21に導入するための配管の途中であって、転化器21への廃ガスの導入配管と、その導入配管に連結されている迂回配管30との連結点よりも上流側に設けられている。
ここで、上述したように、迂回配管30は、定常状態において遮断弁で遮断された状態となっているが、非定常時のみ開口されるものであるために淀んだ状態にあり、廃ガスからの熱の供給も少なく、その遮断弁の開閉を繰り返すうちに、遮断弁の弁体に、粉化した触媒や少量のミスト等が付着する。また、その付着したミストには、三酸化硫黄や水が含まれているため、その付着により弁体に腐食を生じさせる。すると、ミストの付着により、次第に弁体の当たり面と配管との間に一部隙間が形成されることがあり、形成された隙間を介し、定常時であっても非定常の迂回路を経由して廃ガスの一部が通過してしまう。
迂回路を経由して移行してきた廃ガスは、第1の転化吸収設備10の転化器11を経て排出されたものであり、二酸化硫黄から転化した三酸化硫黄が含まれている。このような三酸化硫黄が含まれる廃ガスが、迂回路を経ることで吸収塔12にて硫酸に吸収されずに移行して、第2の転化吸収設備20の転化器21に導入されると、その転化器21での廃ガス中の二酸化硫黄の三酸化硫黄への転化率の低下を招く。その結果、硫酸の生産量が減少してしまうとともに、最終的に第2の転化吸収設備20から排出された廃ガスの処理のための薬剤使用量を増加させる。
本実施の形態に係る硫酸製造システム1では、ブースターファン32を設けていることにより、迂回配管30の遮断弁において一部に隙間が形成された場合であっても、その迂回配管30を介した迂回路を経由して廃ガスが通過することを防ぐことができる。
具体的に説明すると、硫酸製造システム1においては、第1の転化吸収設備10と、第2の転化吸収設備20との間に設けられたブースターファン32を稼働することにより、そのブースターファン32の出口側圧力が、第1の転化吸収設備10の吸収塔12における入口側圧力よりも大きくなる。より具体的には、図1に示すように、迂回配管30の遮断弁の前後(遮断弁を挟んだ上流側と下流側)のそれぞれに設けた2つの圧力計41,42においては、遮断弁の上流側の圧力計41が示す圧力P1(吸収塔12における入口側圧力)と、下流側の圧力計42が示す圧力P2(ブースターファン32の出口側圧力)とが、『P2>P1』の関係を示すようになる。
通常、圧力P1と圧力P2とは、P1>P2の関係となるが、ブースターファン32の稼働により『P2>P1』の関係を成り立たせることができる。これにより、第1の転化吸収設備10の転化器11を経て生じた三酸化硫黄を含有する廃ガスが、その迂回配管30を介した迂回路を経由して第2の転化吸収設備20の転化器21に直接流入することを防ぐことができる。そして、転化率の低下を防ぐことができるとともに、硫酸生産量の低下や廃ガス処理のための薬剤使用量の増加を抑えることができる。
このとき、ブースターファン32の稼働により、第2の転化吸収設備20の転化器21の内部における圧力が大気圧以上となるようにする。これにより、ガスの溶解(吸収)による減圧が生じたり温度低下が生じたとしても、大気圧に負けて転化器21がつぶれてしまうことを防ぐことができ(外殻保護)、また、後段の第2の転化吸収設備20の転化器21を構成する触媒において、大気からの水分が混入して損傷してしまうことを防ぐことができる(触媒保護)。
また、ブースターファン32としては、メインブロワー(以下、「第2の送風機」ともいう)よりも吸引能力が小さいファンにより構成することが好ましい。これにより、ブースターファン32の回転数を高くしても、ブースターファン32の吐出側はもちろんのこと、その吸入側を大気圧よりも高い圧力に保つことができる。
[第2の送風機(メインブロワー)]
第2の送風機33は、上述したように、硫酸製造システム1におけるメインブロワーを構成するものであり、ガス精製工程S1から生じた精製ガス(廃ガス)を引き込むとともに、その廃ガスを第1の転化吸収設備10の転化器11に吹き込んで導入する。
ここで、硫酸製造システム1においては、ブースターファン32の稼働に伴って、消費電力は従来よりも増加する。このことから、第2の送風機33としては、例えばインバーターが設けられて、ブースターファン32の稼働により生じる仕事量に応じて、その羽根の回転数等を適切に制御できるものであることが好ましい。このように、羽根の回転数を制御可能な第2の送風機33を備え、稼働させることにより、ブースターファン32の稼働に伴う仕事量増加分を、例えばその第2の送風機33のインバーター出力を低下させることにより緩和させることができ、また、第1の転化吸収設備10の転化器11の内部における圧力が大気圧以上となる。
ただし、ブースターファン32の稼働に伴う消費電力量のすべてを、第2の送風機33のインバーター出力の低下により相殺することは、引き込む廃ガス量を減らさずにはできない。そのため、ブースターファン32として、その稼働により『P2>P1』の圧力関係を実現できる範囲で、極力消費電力の小さいファンにより構成されるものを用いることが望ましい。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
図1に示すような硫酸製造システムを用いて、粗銅の製錬プロセスから排出された廃ガス中の二酸化硫黄から硫酸を製造して回収した。
具体的に、実施例1にて用いた硫酸製造システム1は、転化器11と吸収塔12とを備える転化吸収設備10を直列に2段設けている(第1の転化吸収設備10,第2の転化吸収設備20)。また、硫酸製造システム1では、第1の転化吸収設備10の転化器11から排出された廃ガスが、第2の転化吸収設備20の転化器21に導入される配管に迂回して流入する迂回配管30が設けられている。さらに、硫酸製造システム1では、第1の転化吸収設備10と第2の転化吸収設備20との間に、ブースターファン(第1の送風機32)が設けられている。
硫酸製造システム1においては、迂回配管30の途中に遮断弁を設け、その遮断弁の前後(上流側と下流側)に圧力計41,42を設置し、遮断弁の上流側の圧力計41が示す圧力P1と、下流側の圧力計42が示す圧力P2とを測定した。
図2は、操業の経過時間に対するガス圧力(圧力P1、圧力P2)の推移を示すグラフであり、図2中の矢印Aで示す時間からブースターファン32を稼働させた。また、図3は、図2で示すものと同じ時系列での二酸化硫黄から三酸化硫黄への転化率(%)、後工程(テールガス処理工程)の排煙脱硫設備(廃ガス処理設備)でのアルカリ使用量の推移を示すグラフである。アルカリ使用量は、硫酸生産1tあたりの苛性ソーダの使用量(kg)で示す。なお、転化率及びアルカリ使用量は、処理対象の二酸化硫黄を含有する廃ガスの量に応じて増減するため、ブースターファン稼働前後でその廃ガス量を一定とした。廃ガス量は、メインブロワー(第2の送風機)の出口付近で測定した。
図2に示すように、ブースターファン32を稼働させることにより、上流側の圧力P1と下流側の圧力P2の圧力関係は逆転し、P2>P1という圧力関係を実現させた。この操作によって、図3に示すように、ブースターファン稼働後の転化率は平均で約0.04%向上し、さらには、後工程の排煙脱硫設備でのアルカリ使用量が低減した。この結果から、ブースターファン32を設け、稼働させることにより、転化率を有効に改善できることが分かった。
[参考例]
図4に示すような従来の硫酸製造システムを用いた場合を例とし、迂回配管70の遮断弁71の一部に隙間が生じたことにより、処理対象である廃ガス(所定の割合で1段目の転化により生成した三酸化硫黄を含む)の質量割合で1%分がその隙間からリークして迂回経路を経て下流側に移行したと仮定する。
このような場合、そのリークした廃ガス中に含まれる三酸化硫黄が2段目の転化器61(転化吸収設備60の転化器)に導入されることにより、その2段目の転化率が0.5%程度悪化することになり、結果として、総合転化率が0.03%〜0.05%程度悪化する計算となる。このように、総合転化率が悪化すると、後工程の排煙脱硫設備でのアルカリ使用量が増加するほか、ガス処理量の減少に伴って製錬操業での鉱石処理量が減少することも有りうる。
本発明に係る硫酸製造システムによれば、迂回配管に設けられた遮断弁に隙間が形成された場合でも、閉止不良による廃ガスの意図しない迂回を確実に防止でき、転化率の低下を防ぐことができる。これにより、硫酸の生産量低下を抑制し、また、テールガスの処理に使用する薬剤使用量の増加を抑えることができるため、その工業的価値は極めて大きい。
1 硫酸製造システム
10 転化吸収設備(第1の転化吸収設備)
20 転化吸収設備(第2の転化吸収設備)
11,21 転化器
12,22 吸収塔
30 迂回配管
31 遮断弁
32 第1の送風機(ブースターファン)
33 第2の送風機(メインブロワー)
41,42 圧力計
45 排煙脱硫設備

Claims (4)

  1. 廃ガス中に含まれる二酸化硫黄から硫酸を製造する硫酸製造システムであって、
    転化吸収設備を直列に2段で備え、
    前記転化吸収設備は、上流側から順に、
    前記廃ガス中の二酸化硫黄を三酸化硫黄に転化する転化器と、
    前記転化器で転化されて生成した三酸化硫黄を硫酸に吸収させる吸収塔と、を有し、
    前段に位置する第1の転化吸収設備の前記転化器を通過した廃ガスが、後段に位置する第2の転化吸収設備の前記転化器に迂回して導入される迂回配管が設けられており、
    さらに、前記第1の転化吸収設備と、前記第2の転化吸収設備との間には、第1の送風機が設けられている
    硫酸製造システム。
  2. 前記迂回配管には、遮断弁が備えられている
    請求項1に記載の硫酸製造システム。
  3. 前記第1の送風機の稼働により、
    前記第1の送風機の出口側圧力が、前記第1の転化吸収設備の前記吸収塔における入口側圧力よりも大きくなるとともに、前記第2の転化吸収設備の前記転化器の内部における圧力が大気圧以上となる
    請求項1又は2に記載の硫酸製造システム。
  4. 前記第1の転化吸収設備の前記転化器よりも上流に、前記第1の送風機により生じる仕事量に応じて羽根の回転数を制御可能な第2の送風機が設けられており、
    前記第2の送風機の稼働により、
    前記第1の転化吸収設備の前記転化器の内部における圧力が大気圧以上となる
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硫酸製造システム。
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