JP2018024824A - ポリオレフィン系樹脂組成物の製造法および該ポリオレフィン系樹脂組成物を用いたフィルム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明において、プロピレン系重合体(A)は、ポリオレフィン系樹脂組成物(X)を製造する際に有機リン酸系核剤(B)と共に用いられるプロピレン系重合体を指し、プロピレン系重合体(C)は、ポリオレフィン系フィルムを製造する際に上記ポリオレフィン系樹脂組成物(X)と共に用いられるプロピレン系重合体を指し、プロピレン系重合体(D)は、多層ポリオレフィン系フィルムを製造する際に表層および/または中間層として上記ポリオレフィン系樹脂組成物(X)と共に配合されるプロピレン系重合体を指す。後述するプロピレン系重合体は、プロピレン系重合体(A)、(C)及び(D)のいずれとしても使用できる。プロピレン系重合体(A)、(C)及び(D)の形状は、いずれもパウダーであってもペレットであってもよい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体は、プロピレンとプロピレンを除く炭素数2〜8のα−オレフィンをコモノマーとする共重合体、好ましくはプロピレン含量が97重量%以上、特に好ましくは99重量%以上のプロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体である。ここでは、α−オレフィンの異なるランダム共重合体の混合物であってもよい。
また、プロピレンと共重合させるプロピレンを除く炭素数2〜8のα−オレフィンであるコモノマーは、1種用いてもよいし、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1ランダム共重合体などが好ましい。
プロピレンを除く炭素数2〜8のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、2−メチル−1−プロペン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、メチル−1−ヘキセン、ジメチル−1−ペンテン、エチル−1−ペンテン、トリメチル−1−ブテン、1−オクテン等を挙げることができる。
本発明に用いられる有機リン酸系核剤(B)としては、例えば、下記一般式(I)
該有機アルカリ金属塩とは、アルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート及びアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩からなる群より選択される少なくとも一種の有機アルカリ金属塩を示すことができる。
該有機アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
上記アルカリ金属カルボン酸塩を構成するカルボン酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、オクチル酸、イソオクチル酸、ノナン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、メリシン酸、β−ドデシルメルカプト酢酸、β−ドデシルメルカプトプロピオン酸、β−N−ラウリルアミノプロピオン酸、β−N−メチル−ラウロイルアミノプロピオン酸等の脂肪族モノカルボン酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、クエン酸、ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸、ナフテン酸、シクロペンタンカルボン酸、1−メチルシクロペンタンカルボン酸、2−メチルシクロペンタンカルボン酸、シクロペンテンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、3,5−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ブチルシクロヘキサンカルボン酸、4−オクチルシクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等の脂環式モノ又はポリカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、キシリル酸、エチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、サリチル酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族モノ又はポリカルボン酸等が挙げられる。
上記アルカリ金属β−ジケトナートを構成するβ−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、ピバロイルアセトン、パルミトイルアセトン、ベンゾイルアセトン、ピバロイルベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等が挙げられる。
また、上記アルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩を構成するβ−ケト酢酸エステルとしては、例えば、アセト酢酸エチル、アセト酢酸オクチル、アセト酢酸ラウリル、アセト酢酸ステアリル、ベンゾイル酢酸エチル、ベンゾイル酢酸ラウリル等が挙げられる。
該有機アルカリ金属塩の成分であるアルカリ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート又はアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩は、各々上記アルカリ金属とカルボン酸、β−ジケトン化合物又はβ−ケト酢酸エステルとの塩であり、従来周知の方法で製造することができる。また、これら各アルカリ金属塩化合物の中でも、アルカリ金属の脂肪族モノカルボン酸塩、特に、リチウムの脂肪族カルボン酸塩が好ましく、とりわけ炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸塩が好ましい。
この様な一般式(II)で表される化合物としては、有機アルカリ金属塩との混合物からなる複合型核剤として市販されているものを用いることができる。具体的には、株式会社ADEKA製、商品名「アデカスタブNA21」を挙げることができる。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂組成物(X)は、後述する製造法により得ることができる。ここで、ポリオレフィン系樹脂組成物(X)は、プロピレン系重合体(A)及び有機リン酸系核剤(B)を含有するが、ポリオレフィン系樹脂組成物(X)における有機リン酸系核剤(B)の含有量は、プロピレン系重合体(A)100重量部に対し、1〜50重量部である。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(X)には、上述した有機リン酸系核剤に加えて、他の付加的成分を、本発明の効果を著しく損なわない範囲で配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤を挙げることができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(X)の製造方法は、メインホッパーとサイドフィード供給口を備えた押出機において、メインホッパーからプロピレン系重合体(A)を100重量部供給し、サイドフィード供給口より以下の特徴を有する有機リン酸系核剤(B)を1〜50重量部供給することを特徴とする。このような製造法により得られるポリオレフィン系樹脂組成物(X)を配合してなるポリオレフィン系フィルムは、分散性、フィッシュアイ特性及び透明性などに優れる。ここで、ポリオレフィン系樹脂組成物(X)の製造方法においては、メインホッパーとサイドフィード供給口を備える限り、通常の単軸押出機、二軸押出機等を用いることができる。例えば、押出機に供給するべきプロピレン系重合体(A)のような主成分を投入するための容器(メインホッパーとも記す。)と、有機リン酸系核剤のような付加的成分をプロピレン系重合体(A)とは別に供給できる供給口(サイドフィード供給口とも記す。)とを備えた押出機を使用できる。このような押出機においては、上流にメインホッパーを備え、下流にサイドフィード供給口を備えるものが好ましい。より具体的には、所定量のプロピレン系重合体(A)およびその他の添加剤を、必要に応じてヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、リボンブレンダー等に投入して混合(ドライブレンド)された後、メインホッパーにより押出機へ投入し、このブレンド物を溶融後にサイドフィード供給口により有機リン酸系核剤(B)を所定量投入して100〜280℃程度の温度範囲でさらに混練することにより、ポリオレフィン系樹脂組成物(X)を得ることができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物(X)は、透明化核剤が必要な用途に適用可能であり、該ポリオレフィン系樹脂組成物(X)を、任意のプロピレン系樹脂またはプロピレン系樹脂組成物に任意の割合で添加した後、公知の射出成形機、押出成形機、フィルム成形機、ブロー成形機、繊維成形機等各種の成形機により成形することが可能である。
このようにして得られた好ましい成形品としては、具体的には、二軸延伸ポリプロピレンフィルムや未延伸ポリプロピレンフィルム、インフレーションポリプロピレンフィルムのようなポリプロピレンフィルムが挙げられる。
フィルムの層構成としては、単層構成でも多層構成でもよい。多層構成フィルムの場合、該ポリオレフィン系樹脂組成物(X)は表層と中間層のどちらに配合されてもよく、全層に配合されてもよい。なお、中間層とは、2枚の表層の間に位置する層である。
本発明の多層ポリオレフィン系フィルムは、その多層構造の表層および/または中間層が、プロピレン系重合体(D)100重量部に対してポリオレフィン系樹脂組成物(X)を0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜50重量部配合してなり、公知のフィルム作製方法により得ることができる。
(1)MFR(メルトフローレート)
JIS K−7210−1995に準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定した。
(2)融解ピーク温度
示差走査型熱量計(セイコー社製DSC)を用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度(Tm)を測定した。
(3)エチレン含有量
エチレンコモノマー由来の重合体中のエチレン含有量(単位:重量%)は、重合体をプレスし、シート状に成形したものをIR法により測定した。具体的には730cm−1付近に観測されるメチレン鎖由来のピーク高さから算出した。
(1)透明性(ヘーズ)
ASTM D1003に準拠し、成形したフィルムの透明性をヘーズメータで測定した。得られた値が小さいほど、透明性に優れるものと評価した。
(2)分散性(フィッシュアイ)
得られたフィルム15cm(幅)×20cm(長)に存在するフィッシュアイ(個数/300cm2)を、目視でカウントした。
カウントされたフィッシュアイの個数に応じて、その分散性を以下の基準により、評価した。
◎:20個未満。
○:20個以上50個未満。
△:50個以上100個未満。
×:100個以上又は個数が多すぎて測定不可。
(1)プロピレン系重合体
プロピレン系重合体として、下記のものを使用した。
A−1:日本ポリプロ株式会社製、商品名「WINTEC WFX4」ペレット(プロピレン−エチレンランダム共重合体、MFR=7.0g/10分、Tm=125℃)
A−2:プロピレン−エチレンランダム共重合体パウダー(MFR=7.0g/10分、Tm=145℃、エチレン含有量=2.5重量%)
(2)有機リン酸系核剤(B)
有機リン酸系核剤(B)として、下記のものを使用した。
B−1:株式会社ADEKA製、商品名「アデカスタブNA11UY」
B−2:株式会社ADEKA製、商品名「アデカスタブNA21」
[MB−1]
30mmφの2軸押し出し機を用いて、メインホッパーよりWFX4を投入し、190℃で溶融後にWFX4 100重量部に対して5重量部になるようにサイドフィード供給口よりNA11UYを投入して混練することによりMB−1を得た。
[MB−2]
30mmφの2軸押し出し機を用いて、メインホッパーよりWFX4を投入し、190℃で溶融後にWFX4 100重量部に対して10重量部になるようにサイドフィード供給口よりNA11UYを投入して混練することによりMB−2を得た。
[MB−3]
プロピレン−エチレンランダム共重合パウダー100重量部に、酸化防止剤としてイルガノックス1010 0.05重量部とイルガフォス168を0.05重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.05重量部、有機リン酸系核剤としてNA11UYを0.9重量部加え、ヘンシェルミキサーにてブレンドした。30mmφの2軸押し出し機を用いて、メインホッパーより該ブレンドを投入し、190℃で溶融混練してMB−3を得た。
[MB−4]
30mmφの2軸押し出し機を用いて、メインホッパーよりWFX4を投入し、190℃で溶融後にWFX4 100重量部に対して5重量部になるようにサイドフィード供給口よりNA21を投入して混練することによりMB−4を得た。
[MB−5]
30mmφの2軸押し出し機を用いて、メインホッパーよりWFX4を投入し、190℃で溶融後にWFX4 100重量部に対して10重量部になるようにサイドフィード供給口よりNA21を投入して混練することによりMB−5を得た。
WFX4 100重量部にMB−1 1重量部を加え、ヘンシェルミキサーにてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイを測定した。
[実施例2]
WFX4 100重量部にMB−2 0.5重量部を加え、ヘンシェルミキサーにてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイを測定した。
[実施例3]
WFX4 100重量部にMB−4 1重量部を加え、ヘンシェルミキサーにてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイを測定した。
[実施例4]
WFX4 100重量部にMB−5 0.5重量部を加え、ヘンシェルミキサーにてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイを測定した。
[比較例1]
プロピレン−エチレンランダム共重合体パウダー 100重量部にMB−3 5.6重量部を加え、ヘンシェルミキサーにてブレンドした。該ブレンド物を口径35mmの単軸押出機を用いて、開口長300mm、Lip幅0.7mmのダイから、樹脂温度240℃で溶融押出し、エアナイフ及び表面温度30℃の冷却ロールで急冷して、フィルム状に形成し、厚み30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPPフィルム)を得た。得られたフィルムのヘーズ、フィッシュアイを測定した。
Claims (3)
- メインホッパーとサイドフィード供給口を備えた押出し機において、メインホッパーからプロピレン系重合体(A)を100重量部供給し、サイドフィード供給口より有機リン酸系核剤(B)を1〜50重量部供給する、ポリオレフィン系樹脂組成物(X)の製造法。
- プロピレン系重合体(C)100重量部にポリオレフィン系樹脂組成物(X)を0.01〜50重量部配合してなるポリオレフィン系フィルムであって、前記ポリオレフィン系樹脂組成物(X)が、プロピレン系重合体(A)100重量部に対して有機リン酸系核剤(B)を1〜50重量部含有する、ポリオレフィン系フィルム。
- 多層構造を有する多層ポリオレフィン系フィルムであって、多層構造の表層および/または中間層は、プロピレン系重合体(D)100重量部に対してポリオレフィン系樹脂組成物(X)を0.01〜50重量部配合してなり、ここで、前記ポリオレフィン系樹脂組成物(X)が、プロピレン系重合体(A)100重量部に対して有機リン酸系核剤(B)を1〜50重量部含有する、多層ポリオレフィン系フィルム。
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