JP2018022839A - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンタクトが安定したコイル構造を有する半導体装置を実現する。【解決手段】基板10と、第1の磁性体膜201と第2の磁性体膜202とを有してなる磁性体膜20と、一面30bと他面30aとを有し、第2の磁性体膜から他面の一部が露出している絶縁膜30と、絶縁膜に覆われ、法線方向を軸として巻回されているコイル50と、コイルに接続され、法線方向から見て他面側から露出しているパッド部60と、を備え、絶縁膜は、貫通孔40及び堀41が形成され、第2の磁性体膜は、貫通孔を埋めつつ、法線方向から見て少なくとも絶縁膜のうち他面の一部が露出するように形成され、堀は、絶縁膜のうち他面の一部の領域内もしくは他面の一部の領域に接して設けられ、パッド部と絶縁膜を隔てて配置され、かつ、法線方向から見てパッド部と第2の磁性体膜との間に形成されている半導体装置。【選択図】図1
Description
本発明は、コイル構造を有する半導体装置およびその製造方法に関する。
従来より、基板の一面側にコイル構造を有する半導体装置が知られている。具体的には、このような半導体装置は、基板の一面に接して形成された絶縁膜と、該絶縁膜に埋められるように設けられ、該基板の一面に対する法線方向を軸として巻くように形成されたコイルと、該コイルに接続されたパッド部と、磁性体膜を有する。また、コイルについては基板と電気的に絶縁され、パッド部については該一面に対する法線方向から見て絶縁膜から露出している。さらに、基板の法線方向から見て、絶縁膜のうちコイルの内側の領域については、貫通孔が形成されており、当該貫通孔には磁性体材料が充填され、磁性体膜を形成している。また、該一面に対する法線方向から見て該コイルの外側であって、絶縁膜が形成されていない領域についても磁性体膜が形成されている。このような半導体装置におけるコイル構造は、電流を流すことで磁性体膜に作用する磁束がコイル周囲に発生し、インダクタやトランスとして機能する。
ここで、このような半導体装置を安価に製造する方法として、印刷やディスペンサーなどにより磁性体材料を塗布して磁性体膜を形成する方法が知られている。この場合において、パッド部の露出部分近傍に塗布された磁性体材料が濡れ広がると、パッド部の露出部分へ磁性体材料が混入しうる。磁性体材料が混入した場合、磁性体材料がパッド部の露出部分を覆ってしまうため、パッド部とコンタクトを取ることができず、コイルに通電できなくなり、コイルが機能を発揮できなくなる。
そこで、このような不具合の対応策として、上記のような磁性体材料の濡れ広がり、すなわち磁性体材料の滲みなどを考慮した構造設計にする、滲まない磁性体材料に変更する等が考えられる。しかし、滲みを考慮した構造設計とする場合には、コイルの仕様が制限されるため、コイルの特性悪化が懸念される。また、滲まない磁性体材料に変更する場合には、材料選択の余地が狭くなり、印刷やディスペンサーの塗布条件が制限され、工程設計の自由度が小さくなる。
このような滲みを抑制する構造としては、特許文献1に記載の封止構造が挙げられる。特許文献1に記載の封止構造は、一面を有する回路基板と、回路の一面側に実装された電子部品と、電子部品を封止する樹脂と、回路基板の一面側に設けられ、樹脂による封止領域の周囲を囲む二重の輪状突起部とを有する電子装置に採用されている。また、二重の輪状突起部は、実装された電子部品を中心としてその周囲を囲うように形成されている。具体的には、二重の輪状突起部は、電子部品側の輪状突起部(以下「内側輪状突起部」という。)および内側輪状突起部を囲む輪状突起部(以下「外側輪状突起部」という。)により構成されている。
特許文献1に記載の封止工程においては、外側輪状突起部と内側輪状突起部とに挟まれた領域を覆いつつ、内側輪状突起部により囲まれた領域を露出する貫通孔を有するマスクを用意する。そして、該マスクの貫通孔の外郭が内側輪状突起部から外側輪状突起部にはみ出さないようにしつつ、内側輪状突起部と重なるように基板の一面側に配置し、該貫通孔に樹脂を流し込んで電子部品を封止する。
これにより、内側輪状突起部がダムとしての役割を果たし、樹脂すなわち塗布材料が内側輪状突起部を超えて外側輪状突起部側へ濡れ広がることを抑制することができる。このような構造を備えることで、塗布工程における塗布材料の滲みを抑制できる構造となる。
特許文献1のようにダムとしての役割を果たす形状を設けた構造の半導体装置では、塗布材料の滲みを抑制することで塗布材料の滲みによるパッド部への塗布材料混入を抑制できる構造となる。しかしながら、この方法では、塗布材料の滲みを抑制するための膜の形成およびそのパターニングが必要となり、製造工程が増加してしまう。また、別の膜を追加した構造とすると、追加した膜と基板や塗布材料との密着性などの信頼性を確保しなければならなくなる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、別の膜を追加することなく、塗布材料の滲みによるパット部への塗布材料混入を抑制する構造を有する半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の半導体装置は、コイル(50)を備える半導体装置であって、表面(10a)を有する基板(10)と、表面に接して配置された第1の磁性体膜(201)と第1の磁性体膜上に接して設けられ、表面に対する法線方向から見てコイルの内側および外側に配置された第2の磁性体膜(202)とを有してなる磁性体膜(20)と、第1の磁性体膜と接する一面(30b)と一面の反対側に位置する他面(30a)とを有し、法線方向から見て、第1の磁性体膜が形成された領域内で第1の磁性体膜に接して配置され、第2の磁性体膜から他面の一部が露出している絶縁膜(30)と、絶縁膜に覆われ、法線方向を軸として巻回されており、基板と電気的に絶縁されているコイル(50)と、コイルに接続され、法線方向から見て他面側から露出しているパッド部(60)と、を備える。このような構成において、絶縁膜は、法線方向から見て、コイルの内側に一面と他面とを繋ぐ貫通孔(40)および他面から一面側に向かって凹んだ堀(41)が形成され、第2の磁性体膜は、貫通孔を埋めつつ、法線方向から見て少なくとも絶縁膜のうち他面の一部が露出するように形成され、堀は、絶縁膜のうち他面の一部の領域内もしくは他面の一部の領域に接して設けられ、パッド部から離れて配置され、かつ、法線方向から見てパッド部と第2の磁性体膜との間に形成されている。
これにより、絶縁膜に堀を有する構造とすることで、別途の膜を追加することなく、磁性体材料の滲みを抑制しつつ、コンタクトが安定したコイル構造を有する半導体装置とすることができる。
請求項7に記載の半導体装置の製造方法は、表面(10a)を有する基板を用意することと、表面に接する第1の磁性体膜(201)を形成することと、第1の磁性体膜と接する一面(30b)と一面の反対側に位置する他面(30a)とを有し、表面に対する法線方向から見て、第1の磁性体膜が形成された領域内に配置されている絶縁膜(30)と、絶縁膜に覆われ、法線方向を軸として巻回されており、基板と電気的に絶縁されているコイル(50)と、コイルに接続されるパッド部(60)を形成することと、絶縁膜のうち法線方向から見てコイルの内側の領域に一面と他面とを繋ぐ貫通孔(40)を形成することと、法線方向から見て他面からパッド部が露出するように絶縁膜を部分的に除去することと、法線方向から見て絶縁膜のうち他面の一部が露出するように少なくともコイルの内側および外側の領域に第2の磁性体膜(202)を塗布により形成し、貫通孔を第2の磁性体膜で充填することと、を含む。加えて、第2の磁性体膜を塗布により形成する前に、法線方向から見て他面の一部の領域内のうちパッド部と第2の磁性体膜が形成される領域との間であって、パッド部から離れた領域に他面側から一面側へと凹む堀(41)を形成することを含む。
これにより、絶縁膜に堀を形成することにより、別途の膜を追加することなく、磁性体材料の塗布において磁性体材料の滲みを抑制でき、コイルへのコンタクトが安定したコイル構造を有する半導体装置を製造することができる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
第1実施形態のコイル構造を有する半導体装置について、図1〜図3を参照して説明する。図1、図3では、図1、図2に示す基板10の表面10aに対する法線方向Y1から見た際に、後述する露出していない絶縁膜30の一部を二点鎖線で示し、同様に露出していないコイル50については破線で示している。図2では、図1に示した上面レイアウト図において一点鎖線II−II面で半導体装置を切断した場合の断面を示している。なお、図1では、第1実施形態の半導体装置のうちコイル構造を形成する領域、すなわちコイル構造形成領域を示している。
第1実施形態のコイル構造を有する半導体装置について、図1〜図3を参照して説明する。図1、図3では、図1、図2に示す基板10の表面10aに対する法線方向Y1から見た際に、後述する露出していない絶縁膜30の一部を二点鎖線で示し、同様に露出していないコイル50については破線で示している。図2では、図1に示した上面レイアウト図において一点鎖線II−II面で半導体装置を切断した場合の断面を示している。なお、図1では、第1実施形態の半導体装置のうちコイル構造を形成する領域、すなわちコイル構造形成領域を示している。
本実施形態の半導体装置は、図1に示すように、表面10aを有する基板10と、磁性体膜20と、絶縁膜30と、絶縁膜30に埋めるように設けられたコイル50と、コイル50に接続されたパッド部60を有している。
基板10は、例えば表面10aを有する矩形板状とされ、例えばSiなどの半導体材料により構成されている。基板10の表面10a上には、磁性体膜20が設けられている。なお、基板10は、板状であれば、円状、楕円状などであってもよく、他の形状とすることもできる。
磁性体膜20は、基板10の表面10aに接して設けられ、例えばニッケル、マンガン亜鉛、フェライト系等の磁性体膜材料により構成されている。磁性体膜20は、図2に示すように基板10の表面10a上に設けられた第1の磁性体膜201と第1の磁性体膜201上に設けられた第2の磁性体膜202とを有してなる。また、磁性体膜20は、法線方向Y1から見て、コイル構造形成領域のうちコイル50の内側および外側に設けられ、かつ、絶縁膜30のうちコイル50の内側に設けられた後述する貫通孔40を埋めるように形成されている。
絶縁膜30は、図2に示すように、第1の磁性体膜201上に設けられ、例えばポリイミドやフェノール樹脂等の樹脂材料やSiO2、TiO2などの金属酸化物により構成されている。絶縁膜30は、本実施形態では、少なくともコイル50と2つのパッド部60a、60bの一部を覆っている。絶縁膜30は、絶縁膜30のうち第1の磁性体膜201と接する面を一面30bとして、該一面30bの反対側を他面30aとし、法線方向Y1から見てコイル50の内側に該一面30bと該他面30aとを繋ぐ貫通孔40が形成されている。絶縁膜30には、2つのパッド部60a、60bを囲むように他面30a側から一面30b側へ凹んだ後述する複数の堀41が形成されている。
コイル50は、法線方向Y1を軸として巻回された渦巻形状とされ、例えば銅、金、アルミニウム等で構成されている。コイル50は、絶縁膜30に埋められるように形成されており、周囲を絶縁膜30で覆われている。コイル50は、本実施形態では、表面10aに対して平行な平面上で広がる第1層平面コイル50aと第2層平面コイル50bとを有してなる。
具体的には、第1層平面コイル50aは、図2に示すように、第2層平面コイル50よりも一面30b側に設けられている。本実施形態では、コイル50をトランスとして機能させる構造とする例を示しており、第1層平面コイル50aと第2層平面コイル50bは、同じ向きに巻回されており、絶縁膜30を挟んで距離を隔てて配置されている。コイル50をトランスとして機能させる場合には、第1層平面コイル50aと第2層平面コイル50bは、互いに電気的に絶縁されるように形成されている。
なお、本実施形態では、渦巻形状の第1層平面コイル50aのうち次に説明するパッド部60aが接続された端部と反対側の端部に接続される配線等については省略しているが、製品等の仕様に合わせて適宜形成できる。
パッド部60は、本実施形態では、2つのパッド部60aとパッド部60bとを有してなる。そして、渦巻形状のコイル50の一方の端部および他方の端部にこれらのパッド部60a、60bが接続されている。法線方向Y1から見てコイル50の内側に配置されたパッド部60a(以下「内側パッド部60a」という。)は、法線方向Y1から見て後述する絶縁膜30の他面30aから露出している。また、コイル50の外側に配置されたパッド部60b(以下「外側パッド部60b」という。)についても、同様に法線方向Y1から見て絶縁膜30の他面30aから露出している。内側パッド部60aおよび外側パッド部60bは、給電配線等をコイル50に接続するためのコンタクト部として用いられる部位であり、例えば銅、金、アルミニウム等で構成されている。内側パッド部60aは、第1層平面コイル50aと同じく絶縁膜30の一面30b側に設けられている。外側パッド部60bは、第2層平面コイル50bと同じく絶縁膜30の他面30a側に設けられている。
次に、複数の堀41の詳細について説明する。複数の堀41は、本実施形態では、内側パッド部60aを部分的に囲うように設けられた堀41aa、41abと外側パッド部60bを部分的に囲うように設けられた堀41ba、41bbとによりなる。
堀41aa、41abは、図1に示すように、絶縁膜30のうち内側パッド部60aを含む領域であって、法線方向Y1から見て磁性体膜20から露出している領域R1内に形成されている。堀41ba、41bbは、図1に示すように、絶縁膜30のうち外側パッド部60bを含む領域であって、法線方向Y1から見て磁性体膜20から露出している領域R2内に形成されている。
具体的には、堀41aaは、法線方向Y1から見て、内側パッド部60aと磁性体膜20のうちコイル50の内側の部位に位置する磁性体膜20a(以下、「内側磁性体膜20a」という。)との間に形成されている。堀41abは、法線方向Y1から見て内側パッド部60aと磁性体膜20のうちコイル50の外側の部位に位置する磁性体膜20b(以下、「外側磁性体膜20b」という。)との間に形成されている。また、堀41abは、コイル50を挟んで内側パッド部60aの反対側の位置に形成されている。つまり、内側パッド部60aを部分的に囲うように、堀41aa、41abが形成されている。
堀41baは、法線方向Y1から見て外側パッド部60bと外側磁性体膜20bとの間に形成されている。堀41bbは、法線方向Y1から見て外側パッド部60bと内側磁性体膜20aとの間に形成されている。また、堀41bbは、法線方向Y1から見てコイル50を挟んで外側パッド部60bの反対側の位置に形成されている。つまり、外側パッド部60bを部分的に囲うように堀41ba、41bbが形成されている。
次に、堀41の配置について、図3を参照して説明する。図3では、図1に示した領域R1のみを示している。なお、領域R2についても領域R1とほぼ同様の構造であるため、領域R1を主に説明する。
堀41aa、41abは、内側パッド部60aを囲うように配置するが、図3に示すように、法線方向Y1から見て絶縁膜30の他面30aからコイル50が露出しないように形成されることが好ましい。コイル50をトランスとして動作させたい場合においては、第1層平面コイル50aと第2層平面コイル50bとが第2の磁性体膜201の磁性体材料を介して電気的に接続されると短絡してしまい、コイル50がトランスとして機能しなくなるためである。
このようにパッド部60a、60bを囲うように複数の堀41を設けた構造とすると、磁性体膜20を構成する磁性体材料が滲んでもパッド部60a、60bの露出部へと流れ込みにくくなる。これにより、磁性体材料によるパッド部60a、60bの被覆を抑制しつつ、コンタクトが安定したコイル構造を有する半導体装置となる。
次に、本実施形態の半導体装置の製造方法について、図4を参照して説明する。
まず、表面10aを有する基板10を用意し、図4(a)に示すように、表面10a上に第1の磁性体膜201を例えばスクリーン印刷などの塗布法により形成する。
続いて、図4(b)に示すように、第1の磁性体膜201を設けた領域内に絶縁膜30の一部である第1の絶縁膜301を例えばスクリーン印刷などの塗布法により形成する。
第1の絶縁膜301を形成した後、図4(c)に示すように、第1層平面コイル50aおよび内側パッド部60aを例えば電解メッキなどにより形成する。
次に、図4(d)に示すように、第1層平面コイル50aおよび内側パッド部60aを覆うように絶縁膜30の一部である第2の絶縁膜302を例えばスクリーン印刷などの塗布法により形成する。続いて、第2の絶縁膜302の上に例えば電解メッキにより第2層平面コイル50bおよび外側パッド部60bを形成する。これにより、第1層平面コイル50aと第2層平面コイル50bとを有するコイル50が形成されるとともに、第1層平面コイル50aに接続された内側パッド部60aや第2層平面コイル50bに接続された外側パッド部60bが形成される。
続いて、図4(e)に示すように、第2層平面コイル50bおよび外側パッド部60bを埋めるように絶縁膜30の一部である第3の絶縁膜303を例えばスクリーン印刷などの塗布法により形成する。これにより、コイル50およびパッド部60a、60bを覆う絶縁膜30が形成される。
次に、図5(a)に示すように、コイル50の内側に後述する図6(a)、(b)で示す磁性体材料20cを充填するための貫通孔40を形成する。また、パッド部60a、60bを部分的に囲む複数の堀41aa、41ab、41ba、41bbと、パッド部60a、60bを露出するための堀42a、42bを形成する。これらについては、例えばレーザー加工やRIE(Reactive Ion Etchig:反応性イオンエッチングの略)により形成する。なお、これらをすべて同時に形成してもよいし、これらのうちの一部を同時に形成してもよいし、それぞれを別々に形成してもよい。
次に、図5(b)に示すように、堀41aa、41ab、41ba、41bbおよびパッド部60a、60bを含む領域を覆うマスク70を用意し、第2の磁性体膜202を例えばスクリーン印刷などの塗布法により形成する。このとき、マスク70は、堀41aa、41ab、41ba、41bbを覆っている。この状態で第2の磁性体膜202の材料である磁性体材料20cの塗布を行うことで、絶縁膜30のうち図1の領域R1、R2とは異なる領域、すなわち貫通孔40およびコイル50の外側の領域に磁性体膜材料20cが塗布される。
その結果、図5(c)に示すように、第2の磁性体膜202を塗布した後にマスク70を除去することで、コイル構造形成領域のうち領域R1、R2とは異なる領域に第2の磁性体膜202が形成される。また、必要に応じてコイル構造形成領域とは異なる領域に図示しない回路素子等を形成するが、コイル構造を形成した後に回路素子等を形成してもよいし、コイル構造を形成する前に回路素子等を形成してもよい。
このような製造方法により、コンタクトが安定したコイル構造を有する半導体装置を製造できる。ここで、堀41が形成されていない従来の構造と堀41が形成された本実施形態の構造との違いについて、図6を参照して説明する。図6(a)では、堀41が形成されていない従来の構造を示し、図6(b)では、堀41が形成された本実施形態の構造を示している。なお、図6では、内側パッド部60a付近の断面図を示しており、ほぼ同様の構造である外側パッド部60b付近の構成については省略している。
図6(a)に示した従来の構造においては、第2の磁性体膜を構成する磁性体材料20cを図5(b)で説明したように塗布すると、図6(a)で示すように、絶縁膜30の他面30a上で磁性体材料20cが滲むことがある。具体的には、磁性体材料20cがマスク70と絶縁膜30の他面30aとの間の隙間を通じて滲んだり、マスク70を除去後に磁性体材料20cが絶縁膜30の他面30a上で濡れ広がるように滲んだりすることが想定される。また、内側パッド部60aを露出するために設けられた堀42a内に、他面30a上で滲んだ磁性体材料20cが流れ込み得る。このような場合、図6(a)で示すように、内側パッド部60aの露出部を磁性体材料20cが覆ってしまい、内側パッド部60aとコンタクトを取ることができなくなる。
一方、堀41が形成された本実施形態の構造とし、磁性体材料20cを図5(b)で説明したように塗布した場合でも、磁性体材料20cが絶縁膜30の他面30a上で滲み得る。しかし、この場合、図6(b)に示すように、滲んだ磁性体材料20cが内側パッド部60aに到達する前に、内側パッド部60aを囲うように形成されている堀41aa、41abに流れ込むこととなる。つまり、内側パッド部60aを囲うように複数の堀41aa、41abを形成することにより、磁性体材料20cがパッド部60aを露出させるために形成された堀42aに流れ込むこと、すなわちパッド部60aの被覆を抑制できる。これは、外側パッド部60bであっても同様である。
このようにして、第1実施形態のコイル構造を有する半導体装置を製造することができる。これにより、滲み抑制のための新たな膜を追加することなく、塗布工程において、磁性体材料20cが滲むことによるパッド部60a、60bの被覆を抑制しつつ、コンタクトが安定したコイル構造を有する半導体装置を製造できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のコイル構造を有する半導体装置について図7〜図10を参照して説明する。図7、図9、図10では、図1と同様に、法線方向Y1から見た際に、露出していない絶縁膜30の一部を二点鎖線で示し、同様に露出していないコイル50については、破線で示している。図8では、図7に示した上面レイアウト図において一点鎖線VIII−VIII面で半導体装置を切断した場合の断面を示している。
次に、第2実施形態のコイル構造を有する半導体装置について図7〜図10を参照して説明する。図7、図9、図10では、図1と同様に、法線方向Y1から見た際に、露出していない絶縁膜30の一部を二点鎖線で示し、同様に露出していないコイル50については、破線で示している。図8では、図7に示した上面レイアウト図において一点鎖線VIII−VIII面で半導体装置を切断した場合の断面を示している。
本実施形態の半導体装置は、法線方向Y1から見て、内側パッド部60aをコイル50の内側の中心付近に配置し、外側パッド部60bをコイル50の周方向から外れた位置に配置した点で、上記第1実施形態の半導体装置と異なる。また、内側パッド部60aと内側磁性体膜20aとの間に設けた堀41aが、直線状に形成されている点が上記第1実施形態の半導体装置と異なる。同様に、外側パッド部60bと外側磁性体膜60bとの間に設けた堀41bが、直線状に形成されている点が上記第1実施形態の半導体装置と異なる。さらに、堀41a、41bが絶縁膜30を貫通しないように形成されている点が上記第1実施形態の半導体装置と異なる。本実施形態の半導体装置では、これらの相違点について主に説明する。
本実施形態の半導体装置におけるコイル50は、図7に示すように、渦巻形状の部位と、渦巻形状から外れるように伸びつつ内側パッド部60aまたは外側パッド部60bに接続される部位とにより構成されている。そして、内側パッド部60aが法線方向Y1から見てコイル50の内側の中心付近に設けられており、コイル50のうち渦巻形状の部位と距離を隔てて配置されている。また、外側パッド部60bが法線方向Y1から見てコイル50の外側であって、コイル50の渦巻形状の部位から離れて配置されている。
内側パッド部60aおよび外側パッド部60bは、コイル50のうち渦巻形状の部位と最も近い位置であっても少なくとも300μm以上離れて配置されていることが好ましい。内側パッド部60a、60bがコイル50に電流を流した際に生じる磁束の一部を吸収してエネルギーを損失すること、すなわち渦電流損の発生を避けるためである。
具体的には、コイル50に電流を印加すると、法線方向Y1から見たときのコイル50の内側と外側を通って、コイル50の渦巻形状の部位を周回するような磁束が生じる。コイル50付近に近い位置ほどこの磁束が強いため、パッド部60a、60bをコイル50から遠い位置に配置することで、パッド部60a、60bがコイル50から生じる磁束の一部を吸収する作用を低減できる。これにより、コイル50から生じる磁束の損失を抑え、コイル50の磁気特性を高めることができる。なお、シミュレーションによりコイル50から生じる磁束の強さを算出したところ、コイル50の渦巻形状の部位から300μm以上離れた位置ではコイル50の磁束の強さが大きく減衰する結果であった。すなわち、パッド部60a、60bをコイル50のうち渦巻形状の部位から少なくとも300μm離れた位置に配置することで、コイル50から生じる磁束の一部をパッド部60a、60bが吸収する作用を大きく低減できることを意味する。
次に、堀41a、41bの深さについて、本実施形態では、これらの深さについては絶縁膜30を貫通しないという点で同じであることから、ここでは堀41bを例に図8を参照して説明する。上記のように、堀41bの法線方向Y1に沿った深さは、図8に示すように絶縁膜30を貫通しない程度とされている。堀41bの深さが絶縁膜30を貫通しない程度であっても、上記第1実施形態と同様に磁性体材料20cによる外側パッド部60bの被覆を抑制することができる。これは堀41aについても同様である。
このとき、図8に示すように堀41bの底面と絶縁膜30の一面30bとの距離をD1として、堀41bの深さは、D1が少なくとも50μm以上となる程度とすることが好ましい。パッド部60bから生じる磁束を絶縁膜30が妨げることにより、磁性体材料20cによる外側パッド部60bの被覆を抑制しつつ、コイル50の磁気特性の低下を抑制できるためである。
具体的には、コイル50に電流を流すと、コイル50に接続されているパッド部60a、60bにも必然的に電流が流れるため、コイル50のみならず、パッド部60a、60bにも磁束が生じる。ここで、堀41a、41bが絶縁膜30を貫通するように形成され、かつ、堀41a、41bに磁性体材料20cが入って第1の磁性体膜201と第2の磁性体膜202とが堀41a、41b内で繋がった場合について考える。このような場合、パッド部60a、60bで発生する磁束が堀41a、41bを通り抜けてしまい、コイル50から生じる磁束に対する反磁場が生じる。しかし、コイル50で生じた磁束を妨げる働きをする反磁場が生じるのは、コイル50の磁気特性を高める観点で好ましくない。
そこで、絶縁膜30を貫通しないように堀41a、41bを形成し、堀41a、41bの底部に絶縁膜30が残るようにする。これにより、パッド部60a、60bにより発生する磁束を絶縁膜30により遮蔽でき、コイル50から生じる磁束に対する反磁場が形成されることを抑制できる。なお、堀41a、41bの底部に残される絶縁膜30の厚みについては任意であるが、50μm程度の厚みがあれば、所望の磁気抵抗を得ることができる。
次に、堀41a、41bの形成位置について図9を参照して説明する。図9では、上記第1実施形態の半導体装置の製造方法で説明した図5(b)に相当する第2の磁性体膜202を塗布で成膜する工程を示している。図9では、第2の磁性体膜202の塗布方向Y2を矢印で示し、図5(b)で示したマスク70については省略している。
図9で示すように、堀41a、41bは、法線方向Y1から見て直線状に伸びるように形成されている。また、例えばスクリーン印刷においては、第2の磁性体膜202を構成する磁性体材料20cの溶液を図9では図示しないマスク70上から基板10の表面10a側に送り出されるが、この溶液を送出する送出部を進行させる方向が塗布方向Y2である。そして、直線状の堀41a、41bが、法線方向Y1から見て塗布方向Y2に対して垂直方向に伸びるように、基板10が配置されている。
このように、直線状の堀41a、41bは、法線方向Y1から見て塗布方向Y2に対して垂直方向に伸びるように形成されることが好ましい。これは、例えばスクリーン印刷の際に磁性体材料20cにかかるスクリーン印刷のスキージ圧が塗布方向Y2に対して垂直方向にかかり、磁性体材料20cが当該垂直方向に滲みやすいためである。つまり、磁性体材料20cが滲みやすい当該垂直な方向に沿って伸びるように堀41a、41bが形成されていれば、第2の磁性体膜202を成膜する際に図6(b)で示したのと同様に磁性体材料20cが堀41a、41bへ流れ込む。これにより、磁性体材料20cによるパッド部60a、60bの被覆を抑制できる。
また、第2の磁性体膜202の塗布の際において、少なくとも第2の磁性体膜202の塗布開始位置から内側パッド部60aとの間に直線状の堀41aが配置されるように、基板10を配置することが好ましい。このような位置に堀41aが形成されていれば、磁性体材料20cが滲んだ場合でも堀41aに流れ込み、磁性体材料20cによるパッド部60aの被覆を抑制できるためである。これは、堀41bもついても同様である。
具体的には、例えばスクリーン印刷においては、磁性体材料20cは、印刷マスクのメッシュからスキージにより押し出され、塗布方向Y2に沿って流動する。言い換えると、スキージが内側パッド部60aを通過した後に塗布された磁性体材料20cは、塗布方向Y2に沿って流動するものの、塗布方向Y2の反対方向には逆流しにくい。そのため、少なくとも堀41aが上記のように配置されていれば、絶縁膜30の他面30a上で滲んだ磁性体材料20cが堀41aで受け止められるため、磁性体材料20cによるパッド部60aの被覆を抑制できる。これは、堀41bについても同様である。
なお、塗布方向Y2と平行な方向については、例えばスクリーン印刷の場合には、スクリーン印刷におけるスキージ圧がかからないため、磁性体材料20cが滲みにくい。そのため、法線方向Y1から見て塗布方向Y2に対して垂直方向に直線状に伸びる堀41a、41bが少なくとも1つずつ形成されていればよい。このように直線状の堀41a、41bが塗布方向Y2に対して垂直方向に伸びるように基板10を配置することで、堀41a、41bをより小さく形成できるため、レーザー加工やRIEによる堀41a、41bの形成工程を必要最小限に抑えることができる。これにより、磁性体材料20cによるパッド部60a、60bの被覆を抑えつつ、半導体装置の製造コストを低く抑えることが可能となる。
なお、図10に示すように、第2の磁性体膜202の塗布方向をY3のように変更した場合には、法線方向Y1から見て塗布方向Y3に対して垂直方向に伸びる直線状の堀41a、41bが配置されるように、基板10を配置することが好ましい。このような場合、パッド部60aは、パッド部60aの外郭線の一部が法線方向Y1から見て塗布方向Y3に対して垂直方向に向くように形成されることがより好ましい。このような配置とすることで、堀41a、41bの形成を必要最小限に抑えることができるためである。
具体的には、法線方向Y1から見て四角形状のパッド部60aの一方の対角線が直線状の堀41aに対して平行となる場合について検討する。このような場合において、磁性体材料20cが滲んだとき、パッド部60aに向かう磁性体材料20cをすべて受け止める幅、すなわち少なくともパッド部60aの角のうち対角線上の2つを結ぶ幅の堀41aが必要となる。これに対して、上記のような配置とすれば、少なくともパッド部60aの該外郭線の一辺と同じ幅の堀41aを形成すれば、磁性体材料20cがパッド部60aの方向へ滲んでも、磁性体材料20cが堀41aにすべて流れ込むこととなる。つまり、堀41aの長手方向の幅を最小限に抑えることができる。これは、堀41bについても同様である。
このように、堀41a、41bが必要最小限の位置に形成される構造とすることにより、磁性体材料20cによるパッド部60a、60bの被覆を抑制しつつ、コンタクトが安定したコイル構造を有する安価な半導体装置となる。また、パッド部60a、60bをコイル50による磁気特性を考慮した配置とすることで、パッド部60a、60bによる磁気特性の低下を抑えたコイル構造を有する半導体装置となる。
(第2実施形態の変形例)
次に、第2実施形態の変形例について、図11、図12を参照して説明する。図11では、図1と同様に、法線方向Y1から見た際に、露出していない絶縁膜30の一部を二点鎖線で示し、同様に露出していないコイル50については、破線で示している。図12では、図11に示した上面レイアウト図において一点鎖線XII−XII面で半導体装置を切断した場合の断面を示している。
次に、第2実施形態の変形例について、図11、図12を参照して説明する。図11では、図1と同様に、法線方向Y1から見た際に、露出していない絶縁膜30の一部を二点鎖線で示し、同様に露出していないコイル50については、破線で示している。図12では、図11に示した上面レイアウト図において一点鎖線XII−XII面で半導体装置を切断した場合の断面を示している。
当該変形例の半導体装置は、図11に示すように、法線方向Y1から見て該塗布方向Y4、Y5に対して垂直方向に伸びる直線状の堀41ac、41ad、41bc、41bdが形成された構造である点で上記第2実施形態と異なる。また、当該変形例の半導体装置は、これらの堀41ac、41ad、41bc、41bdは、基板10の表面10aに対して傾いたテーパ角が設けられた構造である点で上記第2実施形態と異なる。当該変形例では、これらの相違点を主に説明する。
第2の磁性体膜202の塗布において塗布方向Y4、Y5と複数ある場合、磁性体材料20cが塗布により複数の方向に滲み得る。そこで、法線方向Y1から見て第2の磁性体膜202を塗布する際における塗布方向Y4、Y5に対して垂直方向に複数の堀41を形成する。そして、これらの複数の堀41が塗布方向Y4、Y5に対して垂直方向となるように基板10を配置して、第2の磁性体膜202を塗布する。これにより、上記第2実施形態で説明したのと同様に、必要最小限の堀41の形成により、磁性体材料20cによるパッド部60a、60bの被覆を抑制できる。
次に、堀41ac、41ad、41bc、41bdのテーパ角について、堀41bc、41bdを例に図12を参照して説明する。
堀41bc、41bdは、上記のように塗布方向Y4、Y5に対して垂直方向に配置されるように形成された結果、外側パッド部60bを挟んで向き合うように形成されている。そして、それぞれ外側パッド部60bの反対側の側壁が基板10の表面10aに対して傾くテーパ角が設けられている。
具体的には、図12に示すように堀41bcの側壁のうち外側パッド部60bの反対側を側壁K1とし、外側パッド部60b側を側壁K2として、側壁K1が外側パッド部60bの反対側に倒れ込むように基板10の表面10aに対して傾くように形成されている。また、堀41bdの側壁のうち外側パッド部60bの反対側の側壁をK4とし、外側パッド部60b側の側壁をK3として、側壁K4が外側パッド部60bの反対側に倒れ込むように基板10の表面10aに対して傾くように形成されている。
このように側壁K1、K4は、外側パッド部60bの反対側に倒れ込むような傾斜、すなわち順テーパの傾斜とされていることが好ましい。側壁K1、K4が順テーパの傾斜となると、磁性体材料20cが滲んだ際に、磁性体材料20cが堀41bcまたは堀41bdへと流れ込みやすい形状となる。これにより、堀41bcまたは堀41bdに流れ込まずに、外側パッド部60bへ回り込むような磁性体材料20cの流れが生じることを防ぎ、磁性体材料20cによる外側パッド部60bの被覆を抑制できるためである。これは、堀41ac、41adについても同様である。
一方、側壁K2、K3は、基板10の表面10aに対して垂直または外側パッド部60bの反対側に倒れ込むような傾斜、すなわち逆テーパの傾斜とされていることが好ましい。外側パッド部60bやコイル50の一部が必要以上に露出することを防ぎつつ、法線方向Yから見て堀41bc、41bdから外側パッド部60bの露出部までの距離を稼ぐことで、磁性体材料20cによる外側パッド部60bの被覆を抑制できるためである。これは、堀41ac、41adについても同様である。
次に、堀41ac、41ad、41bc、41bdの幅と絶縁膜30のうちこれらの堀41ac、41ad、41bc、41bdと貫通孔40との間の幅について説明する。
ここで、例えば堀41bdの幅とは、図12に示すように、基板10の表面10aに対して平行な方向における堀41bdの底面の幅W1(以下「堀幅W1」という。)をいう。また、絶縁膜30のうち例えば堀41bcと貫通孔40との間の幅とは、外側パッド部60bの反対側の側壁K4と絶縁膜30の側面30cとの基板10の表面10aに対して平行な方向における最短距離W2(以下「土手幅W2」という。)をいう。堀幅および土手幅については、堀41ac、41ad、41bc、41bdのいずれも同様に考えることができることから、堀41bc、41bdを主に説明する。
堀幅W1は、100〜200μm程度であることが好ましい。磁性体材料20cとして磁性体粒子材料を含むものを用いた場合において、一般的に用いられる磁性体粒子の粒径が200μm以下であることから、磁性体材料20cが確実に流れ込めるようにするためである。なお、堀幅W1が200μmを超えるように堀41bdを形成しても、磁性体材料20cによる外側パッド部60bの被覆を抑制することができるが、必要以上に堀41bdを形成する意義が薄いため、堀幅W1は200μm以下が好ましい。
土手幅W2は、100〜200μm程度であることが好ましい。例えばスクリーン印刷により、第2の磁性体膜202を塗布する場合において、マスク70の位置決めが行いやすく、また、堀41bc内に磁性体材料20cが直接塗布されるのを防ぐためである。
具体的には、第2の磁性体膜202を塗布する場合、図11に示す内側パッド部60aと堀41ac、41adとを含む領域R3および外側パッド部60bと堀41bc、41bdとを含む領域R4とは異なる領域に磁性体材料20cを塗布する。このとき、マスク70のうち絶縁膜30を露出させる領域が領域R3、R4に重なるように配置し、堀41ac、41ad、41bc、41bd内に磁性体材料20cが直接塗布されないようにする必要がある。つまり、土手幅W2が100μm未満となるとマスク70の位置合わせが困難になり、堀41ac、41ad、41bc、41bd内に磁性体材料20cが直接塗布されるおそれがある。このような場合、滲んだ磁性体材料20cが堀41ac、41ad、41bc、41bdを乗り越えて、パッド部60a、60bの露出部まで流れ込みかねない。一方で、土手幅W2が200μmを超えるように堀41ac、41ad、41bc、41bdが形成されてもこれらの堀に磁性体材料20cが直接塗布されるのを抑制できるが、必要以上に土手幅W2を広くする意義が薄い。
このように、堀41ac、41ad、41bc、41bdが必要最小限に形成される構造とすることにより、磁性体材料20cによるパッド部60a、60bの被覆を抑制しつつ、コンタクトが安定したコイル構造を有する安価な半導体装置となる。また、堀41ac、41ad、41bc、41bdの側壁にテーパ角を設けることで、磁性体材料20cによるパッド部60a、60bの被覆をより抑えつつ、コンタクトが安定したコイル構造を有する半導体装置となる。
(他の実施形態)
なお、上記した各実施形態に示した半導体装置は、本発明の半導体装置の一例を示したものであり、上記の各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
なお、上記した各実施形態に示した半導体装置は、本発明の半導体装置の一例を示したものであり、上記の各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記第1実施形態、第2実施形態で示した複数の堀41の形成例の他に、図13〜図15のように堀41を形成することもできる。図13〜図15では、パッド部60を囲むように複数の堀41を形成した場合において、法線方向Y1から見て絶縁膜30が露出する領域R5の上面レイアウトを示している。また、図13〜図15では、法線方向Y1から見て露出していないコイル50については破線で示している。なお、ここでのパッド部60とは、内側パッド部60aまたは外側パッド部60bを指し、堀41とはパッド部60を囲うように形成される堀を指す。
(1)図13に示すように、例えばパッド部60を囲むように複数の堀411、412、413を形成してもよい。この場合、パッド部60に近い堀ほど幅を広くすることが好ましい。粒径が異なる磁性体粒子を含む材料を磁性体材料20cとして用いる場合に、磁性体材料20cによるパッド部60の被覆を抑制しつつ、パッド部60から生じる磁束の発生を抑制してコイル50の磁気特性を高めることができるためである。
具体的には、パッド部60で生じる磁束については、パッド部60に近いほど高く、これを遮蔽することが好ましい。また、粒径の大きい磁性体粒子ほど複素透磁率が高く、複素透磁率が高いほど磁束をシールドする効果が高い。そのため、パッド部60に近い位置ほど粒径の大きい磁性体粒子を配置したほうが、パッド部60で生じる磁束を効果的に遮蔽できる。
つまり、図13で示した複数の堀411、412、413の堀幅については、最もパッド部60から遠い堀411、堀411の次にパッド部60から遠い堀412、パッド部60に最も近い堀413の順に広くすればよい。例えば、堀411の堀幅を10μm程度、堀412の堀幅を50〜60μm程度、堀413の堀幅を100〜200μm程度とすることなどが考えられる。
なお、パッド部60の周囲に複数の堀41が3つ形成された例を挙げたが、これに限られず、2つ形成されたものであってもよいし、4つ以上形成されたものであってもよい。
(2)図13に示すように、1つの堀41がパッド部60を囲むような形状としてもよいが、図14に示すように、パッド部60が複数の堀41によって囲まれるような構造としてもよい。これにより、磁性体材料20cによるパッド部60の被覆を抑制しつつ、パッド部60で生じる磁束を効果的に遮蔽できるためである。
具体的には、法線方向Y1から見て1つの堀41がパッド部60を囲むように形成され、基板10の表面10aに対して平行な平面上で繋がっていると、磁性体材料20cが堀41に流れ込んだ場合に磁路が形成される。この磁路では、パッド部60で生じる磁束が遮蔽されるものの、電磁誘導により当該磁路内で誘導電流が流れると、さらに別の磁束が生じることとなる。このような磁束が生じると、コイル50の磁気特性を低下させる要因となりうることから、パッド部60を部分的に囲む堀41内に広い面積を有する磁路が形成されるのを防ぐことが好ましい。したがって、図14に示すように、細かく分断された複数の堀41がパッド部60を囲うような構造とすると余計な磁路が形成されないことから、磁性体材料20cによるパッド部60の被覆を抑制しつつ、コイル50の磁気特性の高い半導体装置となる。
なお、図14では、法線方向Y1から見て堀41が円形状となる例を示しているが、四角形状、多角形状、楕円状などの形状としてもよく、他の形状とすることもできるが、角のない形状とすることが絶縁膜30の応力緩和の観点から好ましい。これは、上記第1実施形態、第2実施形態などで示した堀41についても同様である。
(3)図14の配置の変形例として、図15に示すようにパッド部60を囲みつつ、パッド部60を中心として放射状に広がるように複数の堀41が形成された構造としてもよい。この場合においても、図13で説明したのと同様の理由により、パッド部60に近い堀41ほど堀幅を広くすることが好ましい。また、図14での説明と同様の理由により、磁路が形成されないことから、パッド部60で生じる磁束の遮蔽効果を高めることができる。よって、このような構造とすることで、磁性体材料20cによるパッド部60の被覆を抑制しつつ、コイル50の磁気特性の高い半導体装置となる。
(4)磁性体材料20cの塗布方法として、スクリーン印刷を挙げたが、これに限られず、ディスペンサー、インクジェットなどの方法であってもよく、他の塗布方法であってもよい。なお、磁性体材料20cの塗布方法として何を選択しても、磁性体材料20cが滲みやすい方向とパッド部60との間に堀41を1つまたは複数設ければよい。また、第2の磁性体膜202をスクリーン印刷により塗布する場合には、印刷マスクの位置合わせを考慮して、堀41に嵌まるような形状に加工した印刷マスクを用いてもよい。
(5)絶縁膜30の他面30aのうち第2の磁性体膜202の塗布領域から囲まれている領域については、堀41を形成することに加えて、例えばレーザー加工によって表面を粗くしたり、単分子膜を形成したりすることにより撥水処理がされていてもよい。これにより、磁性体材料20cが絶縁膜30の他面30a上で滲みにくくなり、磁性体材料20cによるパッド部60の被覆をより抑制できる構造を有する半導体装置となるからである。
(6)上記第1実施形態、第2実施形態の半導体装置では、トランスとして機能させるコイル50の構造例を示したが、コイル50をインダクタとして機能させる構造としてもよい。具体的には、コイル50のうち第2層平面コイル50bを第1層平面コイル50aの逆巻きとして、これらが接続された構造としてもよい。
また、このようにコイル50をインダクタとして機能させる構造とする場合には、法線方向Y1から見てパッド60とコイル50とが接続される方向に堀41を形成してもよい。この場合、コイル50をトランスとして機能させる場合とは異なり、そもそも第1層平面コイル50aと第2層平面コイル50bとが電気的に接続された構造であるためである。
このように、インダクタとして機能させたい場合やトランスとして機能させたい場合などの製品等の仕様に応じて、コイル50の構造を適宜変更することができる。
(7)コイル50の巻き数については、上記第1実施形態、第2実施形態では第1層平面コイル50aと第2層平面コイル50bとがそれぞれ2巻きの例を挙げたが、これに限られず、巻き数を半導体装置の仕様等に合わせて適宜増減させてもよい。また、コイル50の形状については、上記第1実施形態、第2実施形態では複数の長方形状を延設してつなげた渦巻形状の例を挙げたが、角が出来ないように接続された形状であってもよく、適宜他の形状とすることができる。
(8)パッド部60の配置については、上記第1実施形態、第2実施形態で示した例に限らず、適宜、他の配置としてもよい。パッド部60a、60bがコイル50の螺旋形状の部位から少なくとも300μm以上離して配置される場合には、パッド部60a、60bの配置には特に制限はなく、どの位置に配置してもよい。例えば、法線方向Y1から見て内側パッド部60aをコイル50の内側中心付近に配置しつつ、外側パッド部60bをコイル50の渦巻形状の部位に沿って配置することなどが考えられる。
(9)上記第1実施形態、第2実施形態の半導体装置では、内側パッド部60aと外側パッド部60bとを有する構造を例として挙げた。しかし、上記(4)の例のように、コイル50をインダクタとして機能させる構造とする場合には、法線方向Y1から見て2つのパッド部60をコイル50の内側と外側にそれぞれ配置しなくてもよく、2つともパッド部60をコイル50の外側に配置してもよい。
(10)上記第1実施形態では、複数の堀41のすべてが、絶縁膜30を貫通するように形成された例を挙げたが、絶縁膜30を貫通しないように複数の堀41が形成されていてもよい。また、絶縁膜30を貫通するように形成された堀41と絶縁膜30を貫通しないように形成された堀41とが混在していてもよい。さらに、複数の堀41の内部に磁性体膜材料20cが入り込んでいてもよい。また、上記第2実施形態の変形例で示したのと同様に、複数の堀41の一部または全部にテーパ角が設けられていてもよい。これは、上記第2実施形態および他の実施形態(1)ないし(3)についても同様である。
(11)上記第1実施形態、第2実施形態等では、コイル50が絶縁膜30から露出しないように形成した例を挙げたが、磁性体膜20の絶縁性を確保できる場合には、コイル50が絶縁膜30から露出するような堀41が形成されていてもよい。具体的には、堀41が磁性体材料20cを絶縁性の樹脂などをコンポジットした材料とすることで、磁性体膜20の絶縁性が確保できる場合には、絶縁膜30の他面30aからコイル50が露出するような堀41が形成されていてもよい。このような場合には、パッド部60をすべて包囲するように堀41が形成されていてもよい。
10 基板
20 磁性体膜
30 絶縁膜
40 貫通孔
41 堀
50 コイル
60 パッド部
70 マスク
20 磁性体膜
30 絶縁膜
40 貫通孔
41 堀
50 コイル
60 パッド部
70 マスク
Claims (10)
- コイル(50)を備える半導体装置であって、
表面(10a)を有する基板(10)と、
前記表面に接して配置された第1の磁性体膜(201)と前記第1の磁性体膜上に接して設けられ、前記表面に対する法線方向から見て前記コイルの内側および外側に配置された第2の磁性体膜(202)とを有してなる磁性体膜(20)と、
前記第1の磁性体膜と接する一面(30b)と前記一面の反対側に位置する他面(30a)とを有し、前記法線方向から見て、前記第1の磁性体膜が形成された領域内で前記第1の磁性体膜に接して配置され、前記第2の磁性体膜から前記他面の一部が露出している絶縁膜(30)と、
前記絶縁膜に覆われ、前記法線方向を軸として巻回されており、前記基板と電気的に絶縁されているコイル(50)と、
前記コイルに接続され、前記法線方向から見て前記他面側から露出しているパッド部(60)と、を備え、
前記絶縁膜は、前記法線方向から見て、前記コイルの内側に前記一面と前記他面とを繋ぐ貫通孔(40)および前記他面から前記一面側に向かって凹んだ堀(41)が形成され、
前記第2の磁性体膜は、前記貫通孔を埋めつつ、前記法線方向から見て少なくとも前記絶縁膜のうち前記他面の一部が露出するように形成され、
前記堀は、前記絶縁膜のうち前記他面の一部の領域内もしくは前記他面の一部の領域に接して設けられ、前記パッド部から離れて配置され、かつ、前記法線方向から見て前記パッド部と前記第2の磁性体膜との間に形成されている半導体装置。 - 前記堀は、前記法線方向から見て前記パッド部を中心として放射状に広がる方向のうち前記パッド部が前記コイルと接続されている方向とは異なる方向の少なくとも一部に設けられ、前記パッド部を囲むように形成されている請求項1に記載の半導体装置。
- 前記堀は、複数個設けられ、前記法線方向から見て前記パッド部を中心として同心状に広がるように形成されている請求項1または2に記載の半導体装置。
- 前記法線方向から見て前記パッド部から放射状に広がる方向を幅方向として、前記堀のうち前記他面に面する開口部の幅を堀幅とし、前記複数個の堀のうち前記パッド部に近い位置に形成された前記堀ほど前記堀幅が広い請求項3に記載の半導体装置。
- 前記堀の壁面のうち前記法線方向から見て前記パッド部側をパッド側壁面として、前記堀の壁面のうち前記パッド側壁面の反対方向側を磁性体側壁面とし、少なくとも前記磁性体側壁面は前記一面に対して垂直または前記パッド部の反対方向へ倒れるように傾斜している請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体装置。
- 前記パッド側壁面が前記一面に対して垂直もしくは前記パッド部の反対方向へ倒れるように傾斜している請求項1ないし5のいずれか1つに記載の半導体装置。
- 表面(10a)を有する基板を用意することと、
前記表面に接する第1の磁性体膜(201)を形成することと、
前記第1の磁性体膜と接する一面(30b)と前記一面の反対側に位置する他面(30a)とを有し、前記表面に対する法線方向から見て、前記第1の磁性体膜が形成された領域内に配置されている絶縁膜(30)と、前記絶縁膜に覆われ、前記法線方向を軸として巻回されており、前記基板と電気的に絶縁されているコイル(50)と、前記コイルに接続されるパッド部(60)を形成することと、
前記絶縁膜のうち前記法線方向から見て前記コイルの内側の領域に前記一面と前記他面とを繋ぐ貫通孔(40)を形成することと、
前記法線方向から見て前記他面から前記パッド部が露出するように前記絶縁膜を部分的に除去することと、
前記法線方向から見て前記絶縁膜のうち前記他面の一部が露出するように少なくとも前記コイルの内側および外側の領域に第2の磁性体膜(202)を塗布により形成し、前記貫通孔を前記第2の磁性体膜で充填することと、を含み、
前記第2の磁性体膜を塗布により形成する前に、前記法線方向から見て前記他面の一部の領域内のうち前記パッド部と前記第2の磁性体膜が形成される領域との間であって、前記パッド部から離れた領域に前記他面側から前記一面側へと凹む堀(41)を形成する半導体装置の製造方法。 - 前記堀を形成することにおいては、一方向に直線的に伸びる前記堀を少なくとも1つ形成し、
前記第2の磁性体膜を塗布により形成することにおいては、第2の磁性体膜の塗布に用いる塗布装置のうち第2の磁性体膜の材料を含む溶液を前記表面側へ送り出す送出部を進行させる方向を塗布方向として、前記塗布方向に対して垂直方向に伸びるように直線状の前記堀を配置しつつ、前記塗布方向に対して前記堀、前記パッド部の順に配置されるように前記基板を配置する請求項7に記載の半導体装置の製造方法。 - 前記堀を形成することにおいては、前記法線方向から見て前記パッド部を中心として放射状に広がる方向のうち前記パッド部が前記コイルと接続されている方向とは異なる方向の少なくとも一部に、前記パッド部を囲む前記堀を形成する請求項7または8に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記堀を形成することにおいては、前記法線方向から見て前記パッド部を中心として同心状に広がるように複数個の前記堀を形成する請求項7ないし9のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
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