JP2018004459A - 磁気センサおよび電流センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】数十mTまたはそれ以上の磁場が印加されても残留磁場が生じにくい磁気シールドを備える磁気センサおよび当該磁気センサを用いてなる電流センサを提供する。【解決手段】特定の方向に感度軸を持つ磁気抵抗効果素子11と、前記磁気抵抗効果素子に印加される被測定磁界の強度を低減させる磁気シールド15とを備えた磁気センサ1であって、前記磁気シールドは、軟磁性層SMと前記軟磁性層に接する反強磁性層AFとを備える単位積層体15−iが複数積層された積層構造を有し、前記単位積層体が備える前記軟磁性層は、前記単位積層体が備える前記反強磁性層と交換結合していることを特徴とする磁気センサ。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気センサおよび当該磁気センサを備えた電流センサに関する。
電気自動車やハイブリッドカーにおけるモータ駆動技術などの分野や、柱状トランスなどインフラ関連の分野では、比較的大きな電流が取り扱われるため、大電流を非接触で測定することが可能な電流センサが求められている。このような電流センサとしては、被測定電流からの誘導磁界を検出する磁気センサを用いたものが知られている。磁気センサ用の磁気検出素子として、例えば、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子などの磁気抵抗効果素子が挙げられる。
磁気抵抗効果素子は、検出感度が高いものの、線形性高く検出可能な磁界強度範囲が比較的狭いという特徴がある。このため、特許文献1の図3に示される電流センサのように、被測定電流と磁気抵抗効果素子との間に磁気シールドを配置して、磁気抵抗効果素子に実質的に印加される誘導磁界の強度を小さくして、被測定磁界の大きさを良好な検出特性を有する磁界強度範囲内とする方法が用いられる場合がある。
国際公開第2011/111493号
このように磁気シールドを用いることによって、磁気抵抗効果素子に実質的に印加される磁界の強度を低減させて、磁界強度の測定範囲を拡げることが実現されているが、磁気シールドに印加される磁場が数十mT程度と強い場合には、磁気シールドが軟磁性材料から構成されていても、磁気シールドに残留磁化が生じやすくなってしまう。こうして生じた磁気シールドの残留磁化に基づく磁界が磁気抵抗効果素子に印加されると、磁気抵抗効果素子のゼロ磁場ヒステリシスがマイナス側に大きくなるなどの磁気抵抗効果素子の測定精度に悪影響を与えてしまうおそれがある。
本発明は、かかる現状を鑑み、磁気シールドおよび磁気抵抗効果素子を備える磁気センサであって、磁気センサに印加される磁場が大きい場合であっても、磁気抵抗効果素子の測定精度が低下しにくい磁気センサを提供することを目的とする。本発明は、かかる磁気センサを備える電流センサを提供することをも目的とする。
上記の課題を解決するために提供される本発明は、一態様において、特定の方向に感度軸を持つ磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子に印加される被測定磁界の強度を低減させる磁気シールドとを備えた磁気センサであって、前記磁気シールドは、軟磁性層と前記軟磁性層に接する反強磁性層とを備える単位積層体が複数積層された積層構造を有し、前記単位積層体が備える前記軟磁性層は、前記単位積層体が備える前記反強磁性層と交換結合していることを特徴とする磁気センサである。
磁気シールドを構成する軟磁性材料、すなわち軟磁性層は、反強磁性層と交換結合している。このため、外部磁場が印加されていない状態において軟磁性層を単磁区化することができる。それゆえ、磁気シールドに印加される磁場が大きい場合であっても、磁気抵抗効果素子に影響を与えるような残留磁化が磁気シールドに生じにくくなって、磁気センサの測定精度が低下しにくい。
上記の磁気センサにおいて、前記積層構造に含まれる前記単位積層体の一つが備える前記軟磁性層における交換結合に基づく磁界の向きと、前記単位積層体の一つに最近位の前記単位積層体が備える前記軟磁性層における交換結合に基づく磁界の向きとは反平行の関係を有することが好ましい。この場合には、残留磁化により磁気シールドに生じた磁界は、上記の磁界の向きが反平行の関係を有する一群の単位積層体によって還流磁界となり、磁気シールドの残留磁化に基づく磁界の影響が磁気シールドから離れた位置に及ぶ可能性が特に低減される。このため、磁気抵抗効果素子が磁気シールドの残留磁化の影響を受けることがより安定的に回避され、好ましい。
上記の磁気センサにおいて、前記反強磁性層は不規則系反強磁性材料からなることが好ましい場合がある。反強磁性層が不規則系反強磁性材料からなる場合には、反強磁性層とこれに接する軟磁性層との交換結合を生じさせるために磁場中の加熱処理が必要とされない。このため、磁気シールドが備える複数の単位積層体のそれぞれに生じる交換結合を個別に制御することが容易となる。
前記反強磁性層は、白金族元素およびMnを含有することが好ましい場合があり、IrMnからなることが好ましい場合がある。IrMnは不規則系反強磁性材料の具体例である。
上記の磁気センサにおける前記積層構造は、前記反強磁性層と前記軟磁性層との交互積層構造を有していてもよい。この場合には、単位積層体は反強磁性層と軟磁性層とから構成される。
上記の磁気センサにおいて、前記磁気抵抗効果素子は、異方性磁気抵抗効果素子、巨大磁気抵抗効果素子およびトンネル磁気抵抗効果素子からなる群から選ばれる1種以上の素子から構成されていてもよい。
上記の磁気センサの前記磁気抵抗効果素子は、巨大磁気抵抗効果素子からなり、前記巨大磁気抵抗効果素子はセルフピン構造を有する固定層を備えていてもよい。
上記の磁気センサは、基板の上に前記磁気抵抗効果素子が形成され、その上に前記磁気シールドが形成された構造を備え、前記磁気シールドの最下層に位置する前記単位積層体は、NiFeからなる前記軟磁性層とその上に形成された前記反強磁性層とを備えていてもよい。この場合において、前記磁気シールドは、前記磁気抵抗効果素子から最遠位に設けられた酸化保護層を備えていてもよい。
上記の磁気センサにおいて、前記軟磁性層における交換結合に基づく磁界の向きは、前記磁気抵抗効果素子の前記感度軸に沿った方向に対して直交していることが好ましい場合がある。
上記の磁気センサは磁気平衡用コイルをさらに備えていてもよく、前記磁気平衡用コイルに流れる電流に基づき前記被測定磁界の強度を測定するものであってもよい。この場合における磁気平衡用コイルの配置は任意であるが、前記磁気平衡用コイルはスパイラルコイルであって、前記磁気抵抗効果素子と前記磁気シールドとの間に位置していることが好ましい場合がある。
本発明は、他の一態様として、上記の磁気センサを備え、前記磁気センサは被測定電流の誘導磁界を前記被測定磁界とする電流センサを提供する。
本発明によれば、磁気シールドおよび磁気抵抗効果素子を備える磁気センサであって、印加磁場が大きい場合であっても、磁気抵抗効果素子の測定精度が低下しにくい磁気センサが提供される。また、かかる磁気センサを用いてなる電流センサも提供される。
本発明の一実施形態に係る磁気センサの構造を概念的に示す断面図である。 図1に示す磁気シールドの部分拡大図である。 本発明の他の一実施形態に係る磁気センサの構造を概念的に示す断面図である。 ゼロ磁場ヒステリシスと最大印加磁場との関係を示すグラフである。
図1は、本発明の一実施形態に係る磁気センサの構造を概念的に示す断面図である。
本発明の一実施形態に係る磁気センサ1は、図1に示されるように、磁気抵抗効果素子11および磁気シールド15を備える。
本発明の一実施形態に係る磁気センサ1の磁気抵抗効果素子11は、ミアンダ形状(複数の長尺パターンが折り返すようにつながって構成される形状)を有する巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)を備える。図1は、ミアンダ形状を構成する複数の長尺パターンの長軸方向に沿った方向を法線とする面で磁気センサ1を切断して得られる断面図である。この断面内方向の1つであるX1−X2方向が磁気抵抗効果素子11の感度軸方向である。磁気抵抗効果素子11は、基板29上に設けられた絶縁材料(アルミナ)からなる層IM1上に形成され、図1では3層構造を有する電極EL1に電気的に接続される。電極EL1は接点用の電極EL2に電気的に接続される。磁気抵抗効果素子11および電極EL1は、絶縁材料(アルミナ)からなる層IM1によって覆われている。この絶縁材料(アルミナ)からなる層IM1を覆うように、他の絶縁材料(窒化ケイ素)からなる層IM2が設けられる。
磁気シールド15は、他の絶縁材料(窒化ケイ素)からなる層IM2の上に設けられる。磁気シールド15と磁気抵抗効果素子11との離間距離は、絶縁材料(アルミナ)からなる層IM1の厚さおよび他の絶縁材料(窒化ケイ素)からなる層IM2の厚さによって調整される。
本発明の一実施形態に係る磁気センサ1では、磁気シールド15は、軟磁性層SMとこの軟磁性層SMに接する反強磁性層AFとからなる単位積層体15−i(15−1〜15−6)が6層積層されてなる積層構造を有し、これらの軟磁性層SMと反強磁性層AFとは交換結合している。図1に示される磁気センサ1では、磁気シールド15は6層の単位積層体15−1〜15−6を備えるが、これに限定されない。単位積層体15−iの積層数は、磁気シールド15に求められる特性に応じて適宜設定される。
軟磁性層SMはFe,Co,Niなど鉄族元素を含む軟磁性材料から構成される。軟磁性層SMの厚さは限定されない。3〜30nmとすることが例示される。
反強磁性層AFは、Ir,Ptなどの白金族元素およびMnを含む反強磁性材料から構成される。反強磁性層AFの厚さは構成材料によって適宜設定される。反強磁性層AFがIrMnからなる場合には4〜10nmとすることが例示され、反強磁性層AFがPtMnからなる場合には10〜30nmとすることが例示される。反強磁性層AFを構成する材料が不規則系反強磁性材料からなる場合(具体例としてIrMnからなる場合が挙げられる。)には、磁場中成膜によって反強磁性層AFの交換結合の向きを設定できるため、複数の単位積層体15−1〜15−6のそれぞれの反強磁性層AFの交換結合の向きを個別に設定することができる。その結果として、複数の単位積層体15−1〜15−6のそれぞれの軟磁性層SMにおける反強磁性層AFとの交換結合により生じる磁化の向きも、個別に設定することが可能である。
軟磁性層SMおよび反強磁性層AFはいずれもスパッタリングなどの公知の技術により成膜することができる。最下層(基板29に最近位)に位置する単位積層体15−1の軟磁性層SMの結晶構造は、fcc構造で(111)配向させるために、NiFeから構成されることが好ましい。
複数の単位積層体15−1〜15−6のそれぞれを構成する軟磁性層SMと反強磁性層AFとの積層方向はY1−Y2方向であり、軟磁性層SMがY1−Y2方向Y1側(磁気抵抗効果素子11に近位側)に位置し、反強磁性層AFがY1−Y2方向Y2側(磁気抵抗効果素子11に遠位側)に位置する。複数の単位積層体15−1〜15−6のそれぞれの積層方向もY1−Y2方向である。磁気シールド15は、磁気抵抗効果素子11に最遠位な位置(Y1−Y2方向Y2側端部)にTaなどから構成される酸化保護層PLを有する。酸化保護層PLもスパッタリングなどの公知の技術により成膜することができる。
磁気シールド15において、上記のように軟磁性層SMと反強磁性層AFとが交換結合していることにより、磁気センサ1に対して外部磁場が印加されていない状態において軟磁性層SMを単磁区化することができる。このため、磁気シールド15に印加される磁場が大きい場合であっても、磁気抵抗効果素子11に影響を与えるような残留磁化が磁気シールド15に生じにくくなって、磁気センサ1の測定精度が低下しにくい。
図2は、図1における磁気シールド15の部分を拡大した図である。磁気シールド15の単位積層体15−1〜15−6の軟磁性層SMにおいて反強磁性層AFとの交換結合により生じる磁化の向きは限定されない。図2に示されるように、X1−X2方向およびY1−Y2方向に垂直な方向(紙面に垂直な方向であり、「Z1−Z2方向」という。)、すなわち、感度軸方向に対して直交していてもよい。この場合には、外部磁場が印加されていない状態において磁気シールド15の単位積層体15−1〜15−6からの漏れ磁界が磁気抵抗効果素子11に影響を及ぼすことがあっても、磁気センサ1のゼロ磁場ヒステリシスを大きくする要因にはなりにくい。
図2に示されるように、磁気シールド15の単位積層体15−1の軟磁性層SMは、軟磁性層SMに接するように積層されてなる反強磁性層AFとの交換結合により、紙面に垂直方向手前側(この向きを「Z1−Z2方向Z1側」という。)に磁化されている。そして、単位積層体15−1に最近位に位置する単位積層体15−2における軟磁性層SMの交換結合に基づく磁界の向きは、紙面に垂直方向奥側(この向きを「Z1−Z2方向Z2側」という。)であり、単位積層体15−1の軟磁性層SMの交換結合に基づく磁界の向きと反平行の関係にある。
このように最近位に位置する2つの単位積層体における軟磁性層SMの交換結合に基づく磁界の向きが反平行の関係を有していることにより、これらの2つの単位積層体(具体的には単位積層体15−1および単位積層体15−2)の軟磁性層SMが磁気的に結合して、還流磁界が形成される。このため、磁気シールド15の軟磁性層SMの交換結合に基づく磁界の影響は磁気シールド15の近傍に制限される。それゆえ、外部磁場が印加されていない状態において、磁気シールド15の周囲に位置する要素、特に、磁気抵抗効果素子11は、磁気シールド15からの磁気的影響を受けにくい。最近位に位置する一組の軟磁性層SMの交換結合に基づく磁界の向きを反平行とすることを容易にする観点から、磁気シールド15が備える反強磁性層AFをIrMnのような不規則系反強磁性材料から構成することが好ましい。前述のように、不規則系反強磁性材料からなる反強磁性層AFの交換結合の向きは磁場中成膜時の磁場の向きによって設定可能であるから、単位積層体15−2の反強磁性層AFを磁場中成膜することにより、下層の単位積層体15−1の軟磁性層SMへの影響を抑えて、単位積層体15−1の軟磁性層SMの磁化の方向と反平行の関係を有するように、単位積層体15−2の軟磁性層SMを磁化することが可能である。
図2に示される磁気シールド15では、単位積層体15−2の上に積層される単位積層体15−3〜15−6のそれぞれについても、軟磁性層SMの交換結合に基づく磁界の向きが、最近位の単位積層体における軟磁性層SMの交換結合に基づく磁界の向きと反平行の関係となるように、軟磁性層SMの交換結合に基づく磁化が行われている。こうして、磁気シールド15は、軟磁性層SMが反強磁性層AFとの交換結合に基づいて磁化していても、磁気シールド15の外部に流れ出る漏れ磁界は限定的となる。それゆえ、磁気シールド15の周りに位置する要素がこの漏れ磁界により磁気的影響を受けることが抑制されている。
なお、図2に示される磁気シールド15は、6つの単位積層体15−1〜15−6が積層した積層構造を有し、単位積層体15−1〜15−6のそれぞれは軟磁性層SMと反強磁性層AFとからなるため、図2に示される磁気シールド15は軟磁性層SMと反強磁性層AFとが交互に積層する構造を有しているともいえる。
図3は、本発明の他の一実施形態に係る磁気センサの構造を概念的に示す断面図である。図3に示される磁気センサ1Aは、図1に示される磁気センサ1と同様に磁気抵抗効果素子11および磁気シールド15を備え、さらに磁気抵抗効果素子11と磁気シールド15との間にスパイラル形状を有する磁気平衡用コイル16を備える。磁気平衡用コイルは、磁気抵抗効果素子11と磁気シールド15との間に位置することにより、磁気シールド15により減衰した状態で印加される外部磁場をキャンセルするような誘導磁界を比較的小電流により生じさせることが可能となる。このため、磁気平衡型の磁気センサを省電力で動作させることが可能である。
以上の実施形態では、磁気センサ1が備える磁気抵抗効果素子11がGMR素子からなる場合を具体例としているが、これに限定されない。限定されない一例において、磁気抵抗効果素子は、異方性磁気抵抗効果素子(AMR素子)、巨大磁気抵抗効果素子(GMR素子)およびトンネル磁気抵抗効果素子(TMR素子)からなる群から選ばれる1種以上の素子からなる。
なお、磁気センサ1が備える磁気抵抗効果素子11を構成するGMR素子の固定層がセルフピン構造を有する場合には、固定層の磁化は磁場中成膜によって行うことができ、成膜後に磁場中の加熱処理が必要とされない。このため、同一基板上に固定層の磁化の向きが異なるGMR素子を配置でき、一基板上にフルブリッジ回路を構成することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサは、電流センサとして好適に使用されうる。
本発明の一実施形態に係る電流センサの具体例として、磁気比例式電流センサおよび磁気平衡式電流センサが挙げられる。
磁気比例式電流センサの具体例は、図1に示される磁気センサ1を用いる場合であり、かかる電流センサでは、図1の上方(磁気抵抗効果素子11からみて磁気シールド15の酸化保護層PLよりもさらに遠位)において、被測定電流が流れる電流線がZ1−Z2方向に延びるように位置する。被測定磁界となる被測定電流の誘導磁界は、磁気抵抗効果素子11に対して感度軸方向(X1−X2方向)に沿った方向に印加される。被測定磁界の一部はより透磁率の高い磁気シールド15を通るため、磁気抵抗効果素子11に実質的に印加される被測定磁界の強度を低減させることができる。それゆえ、磁気センサ1の測定範囲を拡げることが可能となる。しかも、磁気シールド15の軟磁性層SMがこれに接するように位置する反強磁性層AFとの交換結合により磁化するため、被測定電流の誘導磁界からなる被測定磁界の印加が終了したときに、磁気抵抗効果素子11に悪影響を及ぼす残留磁化が磁気シールド15に生じにくい。
好ましい一例において、磁気比例式電流センサは、4つの磁気抵抗効果素子11を備え、被測定電流の誘導磁界からなる被測定磁界に応じた電位差を生じる2つの出力を備える磁界検出ブリッジ回路を有する。このブリッジ回路を有する磁気比例式電流センサでは、被測定磁界に応じて磁界検出ブリッジ回路から出力される電位差により、被測定電流が測定される。
磁気平衡式電流センサの具体例は、図3に示される磁気センサ1Aを用いる場合であり、かかる電流センサでは、図3の上方(磁気抵抗効果素子11からみて磁気シールド15の保護層PLよりもさらに遠位)において、被測定電流が流れる電流線がZ1−Z2方向に延びるように位置する。被測定磁界である被測定電流の誘導磁界は、磁気抵抗効果素子11に対して感度軸方向(X1−X2方向)に沿った方向に印加される。被測定磁界の一部はより透磁率の高い磁気シールド15を通るため、磁気抵抗効果素子11に実質的に印加される被測定磁界の強度を低減させることができる。それゆえ、磁気抵抗効果素子11に実質的に印加される被測定電流による磁界をキャンセルするような誘導磁界を発生させるべく磁気平衡用コイル16に流される電流量を少なくすることができ、電流センサの省電力化が実現される。しかも、磁気シールド15の軟磁性層SMがこれに接するように位置する反強磁性層AFとの交換結合により磁化するため、被測定電流の誘導磁界からなる被測定磁界の磁気センサ1への印加が終了したときに、磁気抵抗効果素子11に悪影響を及ぼす残留磁化が磁気シールド15に生じにくい。
好ましい一例において、磁気平衡式電流センサは、4つの磁気抵抗効果素子11を備え、被測定電流からの誘導磁界からなる被測定磁界およびこの被測定磁界をキャンセルするように印加された磁気平衡用コイル16からの誘導磁界に応じた電位差を生じる2つの出力を備える磁界検出ブリッジ回路を有する。このブリッジ回路を有する磁気平衡式電流センサでは、磁界検出ブリッジ回路から出力される電位差がゼロとなったときに磁気平衡用コイル16に流れる電流に基づいて、被測定電流が測定される。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示される断面構造と同様の構造を有する磁気センサを作製した。磁気抵抗効果素子はGMR素子であった。磁気シールドの形状は、平面形状が650μm×100μmであり、NiFeからなり厚さ10nmの軟磁性層とその上に積層されたIrMnからなり厚さ6nmの反強磁性層とからなる単位積層体を30層積層し、さらにTaからなり厚さ10nmの酸化保護層を積層することにより形成した。軟磁性層、反強磁性層、および酸化保護層はスパッタリングにより形成した。
(比較例1)
実施例1と同様の構造であるが、積層構造を有する磁気シールドに代えて、厚さ300nmのNiFeからなるめっき層を磁気シールドとする磁気センサを作製した。
(測定例1)ゼロ磁場ヒステリシスの測定
実施例1により作製した磁気センサおよび比較例1により作製した磁気センサのそれぞれについて、印加した外部磁場の最大強度(最大印加磁場)を変化させながらヒステリシスループを測定した。このヒステリシスループから、ゼロ磁場ヒステリシスZH(単位:%/FS)を測定した。ゼロ磁場ヒステリシスZHは、フルブリッジ出力曲線における出力の最大値(正の最大磁場を印加したときの値−負の最大磁場を印加したときの値)に対するゼロ磁場における出力の大きさ(正の最大磁場の印加から印加磁場ゼロまで変化させたときの値−負の最大磁場の印加から印加磁場ゼロまで変化させたときの値)の割合である。測定結果を図4に示す。
図4に示されるように、実施例1に係る磁気センサでは最大印加磁場が大きくなっても、ゼロ磁場ヒステリシスに変化は認められなかった。これに対し、比較例1に係る磁気センサでは最大印加磁場が100mTを超えて大きくなると、ゼロ磁場ヒステリシスがマイナス側に大きな値となった。これは、印加した外部磁場によって磁気シールドにおいて外部磁場の向きと等しい向きに残留磁化が生じ、この残留磁場に基づく還流磁場が磁気センサに印加された(還流磁場であるから、印加の向きは外部磁場の印加の向きと反対向きである。)ためであると考えられる。
本発明の一実施形態に係る磁気抵抗効果素子を備えた磁気センサは、柱状トランスなどのインフラ設備の電流センサの構成要素や、電気自動車、ハイブリッドカーなどの電流センサの構成要素として好適に使用されうる。
1,1A 磁気センサ
11 磁気抵抗効果素子
IM1 絶縁材料からなる層
IM2 他の絶縁材料からなる層
EL1 電極
EL2 接点用の電極
15 磁気シールド
15−1〜15−6 単位積層体
16 磁気平衡用コイル
SM 軟磁性層
AF 反強磁性層
PL 酸化保護層
29 基板

Claims (14)

  1. 特定の方向に感度軸を持つ磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子に印加される被測定磁界の強度を低減させる磁気シールドとを備えた磁気センサであって、
    前記磁気シールドは、軟磁性層と前記軟磁性層に接する反強磁性層とを備える単位積層体が複数積層された積層構造を有し、
    前記単位積層体が備える前記軟磁性層は、前記単位積層体が備える前記反強磁性層と交換結合していること
    を特徴とする磁気センサ。
  2. 前記積層構造に含まれる前記単位積層体の一つが備える前記軟磁性層における交換結合に基づく磁界の向きと、前記単位積層体の一つに最近位の前記単位積層体が備える前記軟磁性層における交換結合に基づく磁界の向きとは反平行の関係を有する、請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 前記反強磁性層は不規則系反強磁性材料からなる、請求項2に記載の磁気センサ。
  4. 前記反強磁性層は白金族元素およびMnを含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  5. 前記反強磁性層はIrMnからなる、請求項1から4のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  6. 前記積層構造は、前記反強磁性層と前記軟磁性層との交互積層構造を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  7. 前記磁気抵抗効果素子は、異方性磁気抵抗効果素子、巨大磁気抵抗効果素子およびトンネル磁気抵抗効果素子からなる群から選ばれる1種以上の素子からなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  8. 前記磁気抵抗効果素子は、巨大磁気抵抗効果素子からなり、前記巨大磁気抵抗効果素子はセルフピン構造を有する固定層を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  9. 前記磁気センサは、基板の上に前記磁気抵抗効果素子が形成され、その上に前記磁気シールドが形成された構造を備え、前記磁気シールドの最下層に位置する前記単位積層体は、NiFeからなる前記軟磁性層とその上に形成された前記反強磁性層とを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  10. 前記磁気シールドは、前記磁気抵抗効果素子から最遠位に設けられた酸化保護層を備える、請求項9に記載の磁気センサ。
  11. 前記軟磁性層における交換結合に基づく磁界の向きは、前記磁気抵抗効果素子の前記感度軸に沿った方向に対して直交する、請求項1から10のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  12. 磁気平衡用コイルをさらに備え、前記磁気平衡用コイルに流れる電流に基づき前記被測定磁界の強度を測定する、請求項1から11のいずれか一項に記載の磁気センサ。
  13. 前記磁気平衡用コイルはスパイラルコイルであって、前記磁気抵抗効果素子と前記磁気シールドとの間に位置する、請求項12に記載の磁気センサ。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載される磁気センサを備え、前記磁気センサは被測定電流の誘導磁界を前記被測定磁界とする電流センサ。
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