JP2017526616A - ハイスループットスクリーニングにおいて使用するのに適した新しい二重特異性フォーマット - Google Patents

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Abstract

本開示は新規の二重特異性タンパク質複合体、及び前記複合体を使用して相乗的又は新規の生物学的機能を求めてスクリーニングする方法に関する。二重特異性フォーマットはハイスループットなスクリーニングに特に適している。なぜならば、その成分のすべてが個々の単位として細胞から発現させることができ、単位はコンジュゲーションもカップリング化学反応も用いずに混合するだけで会合させることができるからである。

Description

本開示はヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異的タンパク質複合体における相乗的な生物学的機能を検出する方法、特に、in vitro/ex vivo方法、前記二重特異的タンパク質複合体のライブラリー/マルチプレックス、並びにそのキット及び組成物に関する。本開示は、前記新規二重特異性タンパク質複合体、並びに治療、研究及び実験目的における(特に、相乗的生物学的機能を探すアッセイにおける)前記新規二重特異性タンパク質複合体の使用にさらに関する。本開示は、前記二重特異性複合体を調製する方法にも及ぶ。
in vivoでの生物学的機構はシグナルの極端に複雑なカスケードであり、この絡まりを解いて理解するのは困難である。そのようなシグナル伝達の例はT細胞を活性化するのに必要なシグナル伝達である。www.cellsignal.com出典の図1を参照されたい。T細胞の活性化には少なくとも2つのシグナルが必要である。
T細胞受容体による抗原の認識は、第1のシグナルと見なされ、第2のシグナルは、T細胞上のさらなる表面分子と抗原提示細胞上のさらなる分子のライゲーションから生じる共刺激から発生する。
したがって、T細胞活性化を用いて、生物学的機能の調節が複数のシグナルを必要とすることがあることを説明することができる。他の生物学的過程は等しく複雑である又はもっと複雑である。細胞に基づくin vitroスクリーニングはin vivo機構についての洞察を有しており前記洞察を得るのに役立ち得るが、それでも生物学的機能を調節する適切なリガンド対をどのようにして同定するかという問題が生じる。
二重特異性抗体は次世代のバイオ薬物治療において大きな役割を果たすと広く予想されている(D. Holmes, Nature Rev Drug Disc Nov 2011:10; 798)。二重特異性抗体は、さらに大きな割合の患者において優れた長期にわたる広い効力をもたらす潜在力がある。これは、一般疾患経路内で異なる抗原に同時に共結合し、それによって多重度を減少させることにより、又は独立した経路由来の抗原を標的として相加的な若しくは相乗的な効果を提供することにより達成することが可能である。
二重特異性抗体は、
1)細胞上の受容体を架橋結合する、
2)細胞媒介効果を誘導する、
3)サイトカインを細胞に局在化してシグナル伝達を調節する又はサイトカイン機能を局所的に遮断する、
4)複数のエピトープに同時に結合して、単一のモノクローナル抗体も、実際、連結していない抗体の混合物(「ポリ−モノクローナル」)も示すことができない「新しい活性」を生み出し、機能又は特異性を増加させる、
などの新規の生物学の利用を促進する。
二重の標的に結合する現在の戦略は主に、既知の機構の合理的設計に基づいており、阻害性受容体を架橋結合すること、受容体の共結合/クラスター形成、複数の刺激性経路を遮断すること、阻害性受容体の選択的結合並びに共刺激及びサイトカインシグナル伝達などの個別の経路を遮断することが含まれる。しかし、既知の機構及び標的に関する技術の現状はこの分野の進歩にとって制限要因となっている。
二重特異性抗体は、生物学的治療法として極めて大きな潜在力を有するが、モノクローナル抗体と比べると発見と開発にはより多くの一連の難問がある。困難な、2つの鍵となる分野は、1)成功裏な二重特異性抗体フォーマットの開発、及び2)二重特異性抗体が架橋する又は共結合することになる対になった標的を選択することである。
DVD−Ig(Abbvie)、DuoBodies、(Genmab)、Knobs−in−Holes(Genentech)、Common light chain(Merus)を含む成功している治療薬として潜在的に機能することができると考えられる多くの有望な二重特異性抗体フォーマットが現在開発されている。しかし、こうした場合のそれぞれにおいて、これらのフォーマットは、二重特異性抗体と架橋結合するための新規の抗原対の発見を可能にするハイスループットな標的二重抗原発見スクリーニングに理想的には適していない。
典型的には、単一二重特異性抗体構築物では、少なくとも2つの可変領域を発見ベクターの元の供給源(例えば、ファージディスプレイ、ハイブリドーマ又は単一B細胞クローニング)から適切な二重特異性発現ベクターにサブクローニングする必要があり、二重特異性体のそれぞれのアームが発現され、こうして得られた二重特異性抗体は精製されなければならない。発見された可変領域のもっとも効果的な組合せを求めてスクリーニングする又は新規の抗原対を発見する試みにおいて多数の対になった可変領域を組み合わせるつもりであれば、このクローニング及びそれに続く発現努力はすぐに重大な実際上の障害になる。
例えば、50の独特の抗体が50の細胞表面標的のパネルに対して発見されたら、総数で2500の二重特異性抗体が潜在的に産生されると考えられる(X−Y格子として想定される)。上記の二重特異性抗体フォーマットを使えば、これは少なくとも100の個々のクローニング反応(50−Xと50−Y)と続いて2500の抗体発現実験が必要になると考えられる。開始のモノクローナル抗体の数を100まで増やせば、クローニング反応の最小数は200(100−Xと100−Y)まで、発現数は10,000まで増えることになる。
一般的に、この「発現障害」の根本原因は、上記のフォーマットは、最終二重特異性構築物の両方のタンパク質鎖「半分」が同じ細胞において単一発現実験内で同時に発現される必要があることである。したがって、多くのフォーマットでは、2500の二重特異性抗体を産生するためには、2500の発現実験が必要になる。
二重特異性抗体フォーマットがモノシストロン性(すなわち、単鎖タンパク質としてクローニングされ発現される)、例えば、単鎖ダイアボディである場合、クローニング実験の数が上に与えられた数についてそれぞれ2500及び10,000になると考えられるので、「発現障害」はさらに悪化する。
さらに、発現後、所望の構築物を単離するためには大規模な精製が必要になる可能性がある。
一部の二重特異性アプローチはクローニングの量を減らすために二重特異性構築物に共通の軽鎖を用いるが、これでは発現実験の数は減らない。さらに、共通の軽鎖などの共通鎖を使用すれば、抗体は重鎖などの1つの鎖のみを通じて十分高い親和性でその抗原に結合する必要があるので開始抗体可変ドメインを見つけるのがより困難になるために、抗体発見という難問はさらに難しくなる。
したがって、現在の大規模な二重特異性フォーマット及び新規の抗原対を同定するハイスループットなスクリーニングの使用は非現実的であり、仮説駆動型アプローチのみを二重特異的抗原ターゲティングに使用し続けることになっていた。
2つの既知の標的上の所与のエピトープに結合する、限られた数の二重特異性抗体を設計し試験するよりむしろ、二重特異性抗体を用いた新規の生物学へのアクセスを利用する真の潜在力は、二重特異性抗体又はタンパク質リガンドの大きく多様なコンビナトリアルパネルを用いた広い機能スクリーニング努力を通じてのみ達成することが可能であることを提案する。このスクリーニングを促進するためには、容易に構築され種々の機能スクリーンにおいて機能的効果を求めてスクリーニングすることが可能な多数の多様な二重特異性タンパク質を産生することを可能にするフォーマット及び方法が必要である。このアプローチにより、相乗的対についての新発見をもたらす能力のある同定が可能になる。
したがって、種々の抗原特異性の組合せとして存在する多数の二重特異性タンパク質複合体を産生しスクリーニングするのは有用だと考えられる。特に、多数の異なる二重特異性抗体複合体を迅速に効率的に産生しスクリーニングすることができるのは有用だと考えられる。すでに上に記載されている二重特異性抗体を製造するための様々な既存の方法が存在する。しかし、これらの方法はそれぞれが不利な点があり、下でもっと詳細にさらに説明される別の方法も同じである。
二重特異性及び多特異性構築物の標的を効率よく同定する方法という問題は当技術分野では十分に取り組まれていない。例えば、WO2014/001326は、タンパク質のDNA断片への化学的コンジュゲーションを用いており、DNA断片は、2つのそのようなタンパク質を互いに連結している相補的DNA配列にハイブリダイズして、少なくとも2つのターゲティング実体を含む個別化患者特異的多特異性分子を生ずる。このアプローチは、仮に新しい二重特異性組合せを同定することに用いられた場合、いくつかの困難が付随する。例えば、タンパク質をDNAにコンジュゲートすると、タンパク質の活性及び/又は構造に損傷を与えることがある。特に、タンパク質−DNAハイブリッドは天然には存在しておらず、したがって干渉が起こる可能性がある。さらに、タンパク質とDNAを結合させるのに必要な化学的コンジュゲーションは、複雑さも時間も経費もその工程に加えることになる。
カップリング及びコンジュゲーション技法は、抗体薬物コンジュゲートを作製すること及びin vivoターゲティング技術のために存在している。従来の化学的架橋結合は、関連する化学種をホモ二量体及び他の望ましくない副産物から精製する必要がある場合があるために多くの労力を要する。さらに、化学修飾ステップはタンパク質の整合性を変化させ、したがって、安定性が不十分になる又は生物学的機能が変わってしまうことがある。その結果、化学的架橋結合による二重特異性抗体の産生は多くの場合非効率的であり、抗体活性も消失してしまうことがある。
二重特異性抗体を製造する別の方法は、工学的に操作された細胞が無作為に会合する2つの重抗体鎖及び2つの軽抗体鎖を発現する、細胞融合(例えば、ハイブリッドハイブリドーマ)によるものである。選択するのに4つの可能な変異体が存在するので、これにより10の可能な二重特異性抗体組合せが作製され、そのうちのいくつか(多くの場合に、1つのみ)の組合せのみが望ましいと考えられる。したがって、細胞融合による二重特異性抗体の産生は、生産収率が低く、産生されたその他の二重特異性抗体から所望の二重特異性抗体を単離するためには追加の精製ステップも必要になる。これらの不利な点により製造時間及び経費が増加する。
組換えDNA技法も二重特異性抗体を産生するために用いられてきた。例えば、組換えDNA技法を使用して「ノブインツーホール(knob into hole)」二重特異性抗体も産生された。「ノブインツーホール」技法は、CH3ドメインインターフェイスで多量体化ドメインに立体的に相補的な突然変異を工学的に作製する(例えば、Ridgway et al., Protein Eng. 9:617-621 (1996); Merchant et al., Nat. Biotechnol. 16(7): 677-81 (1998)参照; 米国特許第5,731,168号及び米国特許第7,183,076号も参照)。この戦略の1つの制約は、同じ細胞で発現される場合、誤対合並びに望ましくない及び/又は不活性な分子の形成を防ぐためには2つの親抗体の軽鎖は同一でなければならない点である。それぞれの二重特異性体(その重及び軽鎖)は単一細胞で発現されなければならず、タンパク質産物は一般に約20%のホモ二量体を含有しており、これはその後に精製により取り除かれる。
他のアプローチは、完全長IgG4分子における鎖の自然な交換に基づいている(Genmab Dubody)。しかし、このアプローチもFc領域なしでは構築物を調製することができないので困難を抱えている。Fc領域は生物活性に寄与する可能性があるので、観察される活性がFcを含む二重特異性分子において可変領域、Fc又は両方の組合せに基づいているのかどうかを確証するのは困難な場合がある。さらに、交換は動力学的過程であり、このせいで試験されている実体が実際に何であるのかに関して困難が生じることがある。
したがって、二重特異性抗体のもっと効率的でもっとハイスループットなスクリーニングを可能にする二重特異性タンパク質複合体を作製する新たな方法の必要性が存在する。特に、利用可能な抗体又は抗体断片のプールからの任意の2つの抗体又は抗体断片の選択を容易に組み合わせて、例えば、ホモ二量体の形成を回避する又は最小化しつつ、異なる二重特異性抗体のマルチプレックスを効率的に産生することが可能になるフォーマット及び方法の必要性が存在する。抗原特異性の新たな組合せを求めて相乗的生物学的機能についてスクリーニングするときには、特に、ヘテロ二量体がその機能の発見に欠かせない場合には、異なる二重特異性抗体を効率よく会合させることは特に重要である。
一態様では、成分のすべてが基本的に凝集なしで個々のユニットとして細胞から発現されることが可能であり、コンジュゲーションもカップリング化学反応も用いず、ホモ二量体化は最小限であり、混合するだけでユニットを会合させることが可能であることにより、スクリーニングにおいて使用するのに特に適した新たな二重特異性フォーマットが提供される。
したがって、式A−X:Y−Bを有する二重特異性タンパク質複合体であって、
A−Xは第1の融合タンパク質であり、
Y−Bは第2の融合タンパク質であり、
X:Yはヘテロ二量体繋(heterodimeric-tether)であり、
:はXとYの間の結合相互作用であり、
Aは、Fab又はFab’断片から選択される、二重特異性タンパク質複合体の第1のタンパク質成分であり、
Bは、Fab又はFab’断片から選択される、二重特異性タンパク質複合体の第2のタンパク質成分であり、
Xは、抗原若しくは抗体又はその結合断片から独立して選択される、結合対の第1の結合パートナーであり、
Yは、抗原若しくは抗体又はその結合断片から独立して選択される、結合対の第2の結合パートナーであり、
ただし、Xが抗原である場合、Yは、Xにより表される抗原に特異的である抗体又はその結合断片であり、Yが抗原である場合、Xは、Yにより表される抗原に特異的である抗体又はその結合断片である、上記二重特異性タンパク質複合体が提供される。
一実施形態では、可変因子X又はYは、scFv、Fv、VH、VL又はVHHなどの抗体結合断片であり、一方の可変因子はペプチドである。
一実施形態では、可変因子X又はYはscFv又はVHHであり、一方の可変因子はペプチドである。したがって、二重特異性フォーマットは、例えば、そのC末端を経て、抗体結合断片(例えば、scFv又はVHH)及びペプチド結合相互作用により連結された異なる特異性を有する2つのFabアームを含む。この種の配置は、ユニットA−X又はユニットB−Yを発現するのに何の問題もないので、スクリーニングに使用するのに理想的である。Fab/Fab’断片は非常に安定しており不適切な二量体化に感受性ではない。したがって、それぞれのユニット(A−X又はB−Y)の発現後に必要とされる精製の量は最小限である又は事実上不必要である。二重特異性複合体は、関連するユニットを混合するだけで、すなわち、コンジュゲーション及びカップリング化学反応に頼らずとも1対1のモル比で形成することが可能である。Fab/Fab’断片中の定常領域はFab/Fab’成分の二量体化を推進し、結合パートナーのXとYは必要なヘテロ二量体二重特異性複合体を形成するのに有利になるようさらに平衡を推進する。さらに、ヘテロ二量体化後の複合体の形成の後には精製はほとんど必要としないか全く必要としない。したがって、多数のA−X及びB−Yを容易に調製し組み合わせることが可能である。
複合体中のFab/Fab’実体は、結合ドメインが古典的な抗体幾何学を模倣する生物学的に関連のある配向で保持されていることを意味し、これが本明細書で下に記載されているスクリーニング法により同定される可変領域の対を、活性を保持している他の二重特異性治療フォーマットに首尾よく変換するのに寄与する可能性がある。Fc断片CH2−CH3を欠く二重特異性複合体を調製しスクリーニングする能力は、観察される生物活性が実際に複合体中の可変領域対のみに起因することも保証する。本発明の二重特異性複合体の単純さ及びそれを調製する方法は、新たな標的抗原組合せを見つけるために、及び所与の組合せでの可変領域配列の最適化のために可変ドメイン対のハイスループットなスクリーニングを促進するという文脈では極めて有利である。
一実施形態では、AはFab断片である。一実施形態では、BはFab断片である。一実施形態では、AとBは両方ともFab断片(本明細書ではFab−Kd−Fabとも呼ばれる)である。
一実施形態では、XはFab又はFab’断片中の重鎖又は軽鎖のC末端、特に重鎖のC末端に融合している。
一実施形態では、YはFab又はFab’断片中の重鎖又は軽鎖のC末端、特に重鎖のC末端に融合している。
一実施形態では、Xは、scFv、VHH及びペプチドから独立して選択され、ただし、Xがペプチドである場合、Yは抗体又はscFv若しくはVHHなどのその結合断片であり、XがscFv又はVHHである場合、Yはペプチドなどの抗原である。
一実施形態では、Yは、scFv、VHH及びペプチドから独立して選択され、ただし、Yがペプチドである場合、Xは抗体又はscFv若しくはVHHなどの結合断片であり、YがscFv又はVHHである場合、Xはペプチドなどの抗原である。
一実施形態では、ペプチド(結合パートナーのうちの1つである)は5から25アミノ酸長の範囲である。
一実施形態では、XとYの間の結合親和性は5nM又はそれよりも強く、例えば、ヘテロ二量体繋の結合親和性は900pM又はそれよりも強い、例えば800、700、600、500、400又は300pMなどである。
一実施形態では、X又はYは、ペプチドGCN4に特異的であるscFv又はVHHであり、例えば、scFvは52SR4(配列番号3、又は配列番号3のアミノ酸1〜243)である。
一実施形態では、X又はYは、ペプチドGCN4(配列番号1、又は配列番号1のアミノ酸1〜38)である。
一実施形態では、A及び/又はBは、その翻訳後修飾バージョン、少なくとも1つのエピトープを含むその断片を含む、T細胞又はB細胞シグナル伝達受容体などの細胞表面受容体、共刺激分子、チェックポイント阻害因子、ナチュラルキラー細胞受容体、免疫グロブリン受容体、免疫グロブリン様受容体、メタロプロテアーゼのマトリックスメタロプロテアーゼ及び膜型マトリックスメタロプロテアーゼ組織阻害因子、TNFRファミリー受容体、B7ファミリー受容体、接着分子、インテグリン、サイトカイン/ケモカイン受容体、GPCR、増殖因子受容体、キナーゼ受容体、組織特異的抗原、がん抗原(腫瘍関連抗原及びペプチド)、病原体認識受容体、補体受容体、ホルモン受容体、スカベンジャー受容体又はサイトカイン、ケモカイン、ロイコトリエン、増殖因子、ホルモン若しくは酵素などの可溶性分子、若しくはイオンチャネルを含む群から選択される抗原に特異的である。
一実施形態では、組成物、例えば、本開示に従った1つ又は複数の二重特異性複合体を含む医薬組成物が提供される。
さらに、本発明者らは、式A−X:Y−Bのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出する方法であって、
X:Yはヘテロ二量体繋であり、例えば、X及びYがホモ二量体を形成するには不適切であり、
A及びBはそれぞれX及びYとの融合タンパク質の形態である二重特異性体の成分であり、
(i)少なくとも1つのヘテロ二量体的に繋がれた二重特異性タンパク質を含むマルチプレックスの一部又はすべてについての機能アッセイにおいて活性を試験するステップと、
(ii)機能アッセイからの読み出し情報を解析して、二重特異性タンパク質複合体における相乗的生物学的機能を同定するステップと
を含む上記方法を考案した。
本方法は、式A−X:Y−Bを有する新規の二重特異性タンパク質複合体フォーマットであって、
A−Xは第1の融合タンパク質であり、
Y−Bは第2の融合タンパク質であり、
X:Yはヘテロ二量体繋であり、
Aは二重特異性体の第1のタンパク質成分であり、
Bは二重特異性体の第2のタンパク質成分であり、
Xは結合対の第1の結合パートナーであり、
Yは結合対の第2の結合パートナーであり、
:はXとYの間の相互作用(例えば、結合相互作用)であり、特に、相互作用が複合体を形成し融合タンパク質を複合体化した形態で保持するのに十分である、上記二重特異性タンパク質複合体フォーマットを用いる。
特に、ヘテロ二量体的に繋がれた二重特異性タンパク質複合体は、A−XとB−Yをin vitroで混合することにより調製される。したがって、一実施形態では、方法はA−XとB−Yを接触させるin vitro混合ステップを含む。
したがって、一般的に、融合タンパク質A−X及びB−Yは同じ細胞で同時発現されることはない。これは、そのおかげで、例えば、100の融合タンパク質を発現し、場合によっては精製することが可能になり、100の融合タンパク質を種々の並べ替えで続いて混合すれば10,000のヘテロ二量体的に繋がれた二重特異性タンパク質複合体を提供することが可能になり、そのうちの5,000が類のない対であるので、有利である。
これとは対照的に、ある種の先行技術の方法では二重特異性の同時発現が必要であり、したがって、10,000の複合体では、10,000のトランスフェクション、発現及び精製が必要になる。
しかし、必要に応じて、A−X及びB−Yは同じ細胞で発現することができる。
結合パートナーX及びYは互いに対して親和性を有し、ベルクロ(登録商標)の生物学的等価物又はバーと磁石として機能し、複合体を1つに保持する。有利なことに、これは、融合タンパク質A−X及びY−YBは、その融合タンパク質を互いに混ぜ合わせるだけで容易に会合して二重特異性タンパク質複合体になることが可能であることを意味する。したがって、本開示の二重特異性タンパク質複合体はモジュラー構造体を有し、これのおかげで2つの異なるタンパク質を、例えば、格子状の様式で抗原特異性の異なる組合せを用いた二重特異性タンパク質複合体の並べ替えの大きなパネルを作製するために容易に会合させることが可能になる。これのおかげで、相加的、相乗的又は新規の生物学的機能を検出するための多数の二重特異性タンパク質複合体の効率的で系統的なスクリーニングが可能になる。
XとYが互いに対して特異的であることを考慮すると、このせいで、ホモ二量体を形成する能力が著しく減少する。本明細書ではXとYは合わせて結合対又は結合パートナーと呼ばれる。一実施形態では、Xは他のXに対して高い親和性を持たない。一実施形態では、Yは他のYに対して高い親和性を持たない。有利なことに、XとYがホモ二量体を形成しないとき、このことが望ましくない単一特異性タンパク質複合体の形成を妨げ、所望の二重特異性タンパク質複合体の収量を増やし、単一特異性タンパク質複合体を除去するための面倒な精製ステップの必要性をなくす。
これにより、大半の先行技術の方法では効率的に得ることができない収量及び/又は精度を持つ二重特異性タンパク質複合体の迅速な会合が可能になり、特に、先行技術の方法では一般に大規模な精製ステップが必要になる。本発明では二重特異性複合体の収量は典型的には75%又はそれよりも高い。
さらに有利なことに、二重特異性タンパク質複合体は、その成分タンパク質(成分タンパク質が結合している抗原を含む)が既知の関係を持たない、又は異なる潜在的には無関係な経路に存在する複合体のスクリーニングを可能にする。例えば、2つの別々の経路で機能し、例えば、当業者が通常であれば互いに接触するとは予想しない2つのタンパク質を相加的、相乗的及び/又は新規の機能を同定するために二重特異性タンパク質複合体において試験することが可能である。
さらに、所与の抗原又はエピトープに対する複数の結合領域(可変領域などの)を生物学的機能における微妙な差異を同定するために平行に調べることが可能である。これにより、所与の抗原対に対する可変領域配列の組合せを調査し最適化することが可能になる。
本方法によればその科学はその結果を示すことができ、本方法は生物学的機能についての先入観及び技術的偏見に頼ってはいない。このアプローチは潜在的に極めて強力である。
有利なことに、X及びY成分のせいで、融合タンパク質の異なる並び替えから構成される二重特異性タンパク質複合体を含むマルチプレックスを迅速に容易に会合させることができる。
一実施形態では、タンパク質A及びBは抗体又は抗体断片である。抗体又は抗体断はXとYを介して複合体として1つに保持されているとき、これは二重特異性抗体複合体を形成する。
T細胞の活性化に関与している主要な細胞シグナル伝達経路を示す模式図である。 本開示の二重特異性タンパク質複合体の構造と会合を示す模式図である。 本発明の二重特異性抗体を使用する機能スクリーニングのための例となる4×4格子を示す表である。この格子を使用すれば、16の異なる二重特異性タンパク質複合体を会合させ相乗的機能について効率的にスクリーニングすることが可能である。 本開示の代表的二重特異性抗体複合体を示す模式図である。図は2つの異なるFab断片がどのようにして一体となって、Fab断片に付加されている結合パートナー間の高親和性相互作用を介して二重特異性抗体複合体を形成するのかを描いている。 2つのFab断片が組み合わされて本開示の二重特異性抗体複合体を形成すると、2つの異なる標的抗原に特異的である2つのFab断片がその特異性を保持しその対応する標的抗原に同時に共結合することができることを実証するフローサイトメトリー実験の結果を示すグラフである。その結果は、Fab断片に結合している結合パートナーの結合を逆にしても、それぞれの標的抗原に特異的に結合するFab断片の能力に影響を与えないことをさらに実証している。両方の特異性がペプチドに融合しているとき(Y:Y)に検出される結合がないことを示す複合体形成対照はない。塗潰し領域=[抗抗原5Fab−ペプチド‘GCN4’]:[抗抗原6Fab−ペプチド‘GCN4’]:[ビオチン化抗原6]:[FITC−STREP]。複合体形成対照なし。薄い線=[抗抗原5Fab−scFV‘52SR4’]:[抗抗原6Fab−ペプチド‘GCN4’]:[ビオチン化抗原6]:[FITC−STREP]濃い線=[抗抗原5Fab−ペプチド‘GCN4’]:[抗抗原6Fab−scFv‘52SR4’]:[ビオチン化抗原6]:[FITC−STREP] BIAコアトレースを示すグラフ及び表である。これは互いに対する結合パートナーの高親和性を実証している。チップ上でペプチド‘GCN4’へのFabA−scFV‘52SR4’結合が検出される。 抗原3、抗原1、抗原4及び抗原2に対する特異性を有する抗体の二重特異性及び二価組合せについてのリン酸化Aktの阻害の相対的効力の棒グラフである。 抗原3、抗原1、抗原4及び抗原2に対する特異性を有する抗体の二重特異性及び二価組合せについてのリン酸化PLCg2の阻害の相対的効力の棒グラフである。 抗原3、抗原1、抗原4及び抗原2に対する特異性を有する抗体の二重特異性及び二価組合せについてのCD86発現の阻害の相対的効力の棒グラフである。 抗原1及び抗原2並びに単一Fab’対照に対する特異性を有する抗体の二重特異性、二価又は混合物についてのリン酸化Aktの阻害の相対的効力の棒グラフである。 抗原3及び抗原2に対する特異性を有する抗体の二重特異性、二価又は混合物についてのリン酸化Aktの阻害の相対的効力の棒グラフである。 抗原3及び抗原2に対する特異性を有する抗体の二重特異性、二価又は混合物についてのリン酸化PLCg2の阻害の相対的効力の棒グラフである。 抗IgM刺激B細胞における全IkBレベルに対する抗抗原3と抗抗原2の二重特異性組合せの効果の滴定を示すグラフである。 抗IgM刺激B細胞上でのCD86発現に対する抗原3と抗原2の二重特異性組合せの効果の滴定を示すグラフである。 抗原4及び抗原2に対する特異性を有する抗体の二重特異性、二価又は混合物についてのリン酸化Aktの阻害の相対的効力の棒グラフである。 抗原4及び抗原2に対する特異性を有する抗体の二重特異性、二価又は混合物についてのリン酸化PLCg2の阻害の相対的効力の棒グラフである。 抗IgM刺激B細胞上でのCD86発現に対する抗原4と抗原2の二重特異性組合せの効果の滴定を示すグラフである。 例11の実験1からの重ね合わせたサイズ排除A280シグナルトレースを示すグラフである。示されるトレースは、Fab−X(VR4247)対照、Fab−Y(VR4248)対照及び500μg/mlのFab−X(VR4247)とFab−Y(VR4248)複合体での1対1モル比混合物である。ピークは吸光度280nmで検出した。 例11の実験2からの重ね合わせたサイズ排除A214シグナルトレースを示すグラフである。示されるトレースは、Fab−X(VR4130)対照、Fab−Y(VR4131)対照及び500μg/mlのFab−X(VR4130)とFab−Y(VR4131)複合体での1対1モル比混合物である。ピークは吸光度214nmで検出した。 例11の実験2からの重ね合わせたサイズ排除A214シグナルトレースを示すグラフである。示されるトレースはすべて、指示されている500μg/ml、50μg/ml及び5μg/mlでのFab−X(VR4130)/Fab−Y(VR4131)1対1モル比混合物である。ピークは吸光度214nmで検出した。 抗原格子にわたる特異性についてのデータを示す表である。値はSykのリン酸化のパーセンテージ阻害(活性化では負の値)であり、評価された複数のV領域組合せの平均を表す。 抗原格子にわたる特異性についてのデータを示す表である。値はPLCg2のリン酸化のパーセンテージ阻害(活性化では負の値)であり、評価された複数のV領域組合せの平均を表す。 抗原格子にわたる特異性についてのデータを示す表である。値はAKTのリン酸化のパーセンテージ阻害(活性化では負の値)であり、評価された複数のV領域組合せの平均を表す。 Fab−Y中の抗原3と組み合わせたFab−X中の抗原2についてのV領域組合せごとのSyk、PLCg2及びAKTのリン酸化のパーセンテージ阻害を示すグラフである。 Fab−Y中の抗原2と組み合わせたFab−X中の抗原3についてのV領域組合せごとのSyk、PLCg2及びAKTのリン酸化のパーセンテージ阻害を示すグラフである。 Fab−Y中の抗原4と組み合わせたFab−X中の抗原2についてのV領域組合せごとのSyk、PLCg2及びAKTのリン酸化のパーセンテージ阻害を示すグラフである。 Fab−Y中の抗原2と組み合わせたFab−X中の抗原4についてのV領域組合せごとのSyk、PLCg2及びAKTのリン酸化のパーセンテージ阻害を示すグラフである。 精製Fab’として又は一過性上澄み由来の組合せのときの抗原3Fab’−X及び抗原2Fab’−YによるB細胞上での抗IgM誘導CD71発現のパーセンテージ阻害についてのデータを示すグラフである。円−精製抗原2Fab−Y+抗原3Fab−X IC50 0.3224nM四角−一過性上澄み抗原2−Y+抗原3−X IC50 0.2640nM三角−モックトランスフェクトされた上澄み対照 精製Fab’として又は一過性上澄み由来の組合せのときの抗原3Fab’−X及び抗原2Fab’−YによるB細胞におけるp38の抗IgM誘導リン酸化のパーセンテージ阻害についてのデータを示すグラフである。円−精製抗原2Fab−Y+抗原3Fab−X IC50 0.1413nM四角−一過性上澄み抗原2−Y+抗原3−X IC50 0.1861nM三角−モックトランスフェクトされた上澄み対照
図30から33についての記号表
1.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6066);
2.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6078);
3.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6079);
4.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6080);
5.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6082);
6.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6067);
7.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6068);
8.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6070);
9.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6071);
10.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6073);
11.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6075);
12.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6076);
13.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6077);
14.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6069);
15.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6072);
16.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6074);
17.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(VR6081);
18.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(TSUP−24117);
19.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(TSUP−24432);
20.モックの上澄み1;
21.モックの上澄み2;
22.抗原2Fab−Y(VR4447)+抗原3Fab−X(4126)精製。
UCB_Cone_172由来のIgM刺激B細胞上での抗原3特異的Fab−Xトランジエントと組み合わせた精製抗原2特異的Fab−Y(VR4447)によるリン酸読み出しの阻害を示すグラフである。 UCB_Cone_173由来のIgM刺激B細胞上での抗原3特異的Fab−Xトランジエントと組み合わせた精製抗原2特異的Fab−Y(VR4447)によるリン酸読み出しの阻害を示すグラフである。 UCB_Cone_172由来のIgM刺激B細胞上での抗原3特異的Fab−Xトランジエントと組み合わせた精製抗原2特異的Fab−Y(VR4450)によるリン酸読み出しの阻害を示すグラフである。 UCB_Cone_173由来のIgM刺激B細胞上での抗原3特異的Fab−Xトランジエントと組み合わせた精製抗原2特異的Fab−Y(VR4450)によるリン酸読み出しの阻害を示すグラフである。 抗原3及び抗原2特異的Fab−Kd−Fab又はBYbeによるB細胞における抗IgM誘導リン酸化PLCγ2のパーセンテージ阻害についてのデータを示す図である。 抗原3及び抗原2特異的Fab−Kd−Fab又はBYbeによるB細胞における抗IgM誘導リン酸化P38のパーセンテージ阻害についてのデータを示す図である。 抗原3及び抗原2特異的Fab−Kd−Fab又はBYbeによるB細胞における抗IgM誘導リン酸化Aktのパーセンテージ阻害についてのデータを示す図である。 抗原3及び抗原2特異的Fab−Kd−Fab又はBYbeによるB細胞上の抗IgM誘導CD71発現のパーセンテージ阻害についてのデータを示す図である。 抗原3及び抗原2特異的Fab−Kd−Fab又はBYbeによるB細胞上の抗IgM誘導CD40発現のパーセンテージ阻害についてのデータを示す図である。 抗原3及び抗原2特異的Fab−Kd−Fab又はBYbeによるB細胞上の抗IgM誘導CD86発現のパーセンテージ阻害についてのデータを示す図である。 VR4447/VR4126 BYbe及びVR4447/VR4126/VR645 BYbe/アルブミンによるB細胞上でのCD27発現の阻害を示す図である。 VR4447/VR4126 BYbe及びVR4447/VR4126/VR645 BYbe/アルブミンによるB細胞上でのCD71発現の阻害を示す図である。 VR4447/VR4126 BYbe及びVR4447/VR4126/VR645 BYbe/アルブミンによるB細胞上でのCD86発現の阻害を示す図である。 VR4447/VR4130 BYbe及びVR4447/VR4130/VR645 BYbe/アルブミンによるB細胞上でのCD27発現の阻害を示す図である。 VR4447/VR4130 BYbe及びVR4447/VR4130/VR645 BYbe/アルブミンによるB細胞上でのCD71発現の阻害を示す図である。 VR4447/VR4130 BYbe及びVR4447/VR4130/VR645 BYbe/アルブミンによるB細胞上でのCD86発現の阻害を示す図である。
本明細書で使用される「二重特異性タンパク質複合体」とは、ヘテロ二量体繋により一緒に保持される2つのタンパク質を含む分子(本明細書で二重特異性成分と呼ばれるA及びBは本明細書では二重特異性のそれぞれ第1のタンパク質成分及び第2のタンパク質成分とも呼ばれる)のことである。一実施形態では、タンパク質のうちの1つ又は両方は結合ドメインを有しており、例えば、タンパク質のうちの1つ又は両方は抗体又はその断片である(特に、Fab又はFab’断片、そのような複合体はFab−Kd−Fabとも呼ばれる)。
本明細書で用いられる「融合タンパク質」は、結合パートナーX又はYに融合しているタンパク質成分A又はBを含む(必要に応じて)。一実施形態では、融合タンパク質は、遺伝子構築物から組換え技法により発現される、例えば、DNA構築物から宿主において発現される翻訳タンパク質である。本開示の文脈では、融合タンパク質の鍵となる特徴の1つは、このタンパク質が細胞から「単一タンパク質/ユニット」として発現することが可能であることである(当然のことながら、Fab/Fab’断片を含む融合タンパク質の場合では、2つの鎖が存在することになるが、これは本明細書の目的のために、1つの鎖、場合によって本明細書で下に記載されるリンカーを介して、典型的には必要に応じてそのC末端でX又はYに融合されている重鎖を有する単一タンパク質と見なすことになる)。
ヘテロ二量体繋(tether)X:Yの機能は、AとBの相乗的機能をもたらす、又は例えば、本明細書に記載される方法を用いて、同定することができるように、タンパク質AとBを互いの近傍に保持することである。
本明細書で使用される「ヘテロ二量体繋(tether)」とは、2つの結合パートナーを一緒に保持するのに十分である全体的親和性を有する互いの間の相互作用:(結合などの)を形成する2つの異なる結合パートナーXとYを含む繋のことである。一実施形態では、X及び/又はYはホモ二量体を形成するには不適切である。
ヘテロ二量体的に繋がれたヘテロ二量体繋は本明細書では互換的に使用される。
一実施形態では、本明細書で用いられる「ホモ二量体を形成するには不適切な」とは、ホモ二量体よりもX−Yのヘテロ二量体の形成のほうが好ましい、例えば、形成された後は、熱力学的に安定ななどのより安定している形態のことである。一実施形態では、XとYの間の結合相互作用は一価である。
一実施形態では、X−Y相互作用はX−X又はY−Y相互作用よりも都合がよい。このせいで、融合タンパク質A−XとB−Yが混合されると、ホモ二量体X−X又はY−Yの形成は減少する。典型的には、1対1モル比の混合に続いて75%を超えるヘテロ二量体が形成される。
必要に応じて、例えば、本開示に従った融合タンパク質ユニット及び/又は二重特異性タンパク質複合体を精製するために、カラムクロマトグラフィーなどの精製ステップ(特に、1ステップ精製)を用いることができる。
一実施形態では、精製ステップはそれぞれの融合タンパク質の発現後に提供されるが、典型的には凝集体レベルは低い。したがって、一実施形態では、in vitro混合に先立って、融合タンパク質(単数又は複数)は実質的に純粋な形態で提供される。本明細書で用いられる実質的に純粋な形態とは、融合タンパク質が90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%単量体である場合のことである。
一実施形態では、融合タンパク質(単数又は複数)の精製は実施されない。
一実施形態では、それぞれの融合タンパク質ユニットは異なる発現実験/実行で発現される。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体を産生するために混合前には、融合タンパク質(単数又は複数)の精製は実施されない。一実施形態では、混合前及び/又は後には、融合タンパク質(単数又は複数)の精製は実施されない。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体形成後には精製は必要ではない。一実施形態では、混合後及び一般には追加の精製なしで、組成物の少なくとも50%は所望の二重特異性タンパク質複合体であり、例えば、組成物の少なくとも60、65、70、75、80%は必要とされる二重特異性タンパク質複合体である。
一実施形態では、本方法のin vitro混合ステップにおいて用いられる融合タンパク質の比は、1.5対1又は2対1などのA−X対B−Yで0.8対1から3対1である。
一実施形態では、本方法のin vitro混合ステップにおいて用いられる融合タンパク質の比は、特にモル比で、1.5対1又は2対1などのB−Y対A−Xで0.8対1から3対1である。
一実施形態では、in vitro混合ステップにおいて用いられるA−X対B−Yの比は、1対1、特に1対1モル比である。
本開示は、融合タンパク質A−XとB−Yを、例えば、1対1モル比で混合することを含む、本開示に従った二重特異性複合体を調製する方法までにも及ぶ。
一実施形態では、混合はin vitroで起こる。
一実施形態では、混合は細胞、例えば、宿主細胞において起こる。
一実施形態では、混合はin vivoで起こり、すなわち、融合タンパク質A−XとB−Yは対象の身体内で互いに相互作用してヘテロ二量体繋を、その結果、二重特異性タンパク質複合体を形成する。
一実施形態では、XとYは互いに完全に特異的であり、細胞内又は対象の身体内では他のいかなるペプチド/タンパク質とも結合しない。これは、例えば、XとYが標的細胞中にも標的対象身体中にも天然に存在しないことを保証することによって達成することが可能である。これは、例えば、対象にとっては異なっている種又は実体(例えば、酵母タンパク質)由来であるX又はYを選択し、それに対しもう1つの可変因子が特異的であることを保証することによって達成することが可能である。有利なことに、これにより融合タンパク質A−X及び/又はB−Yが望ましくない標的へ結合して、それによって望まれない非特異的な効果を生じるのが妨げられる。
一実施形態では、結合パートナーのうちの1つ(又は少なくとも1つ)はホモ二量体を形成することができず、例えば、結合パートナーのアミノ酸配列が突然変異してホモ二量体の形成を排除する又は最小化する。
一実施形態では、結合パートナーの両方がホモ二量体を形成することができず、例えば、ペプチド結合パートナーのアミノ酸配列が突然変異してホモ二量体の形成を排除する又は最小化し、それに特異的なVHHが用いられる。
本明細書で用いられるホモ二量体も凝集体も形成することができないとは、ホモ二量体又は凝集体を形成する傾向が低い又はないことである。本明細書で用いられる低いとは、例えば、混合又は発現又は精製後、4、3、2、1、0.5%若しくはそれ未満の凝集体などの、5%又はそれ未満のことである。
融合タンパク質中の少量の凝集体又はヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体中に残存するものは一般に本開示のスクリーニング法に最小限の効果を及ぼす。したがって、一実施形態では、融合タンパク質(単数又は複数)及び/又は二重特異性タンパク質複合体(単数又は複数)の精製は方法においては、特に混合ステップ後には用いない。
一実施形態では、:は、水素結合及び静電気相互作用などの、引力、例えば、ファンデルワールス力に基づく、特に、抗原(ペプチドなどの)に対する抗体特異性に基づく結合相互作用である。
一実施形態では、:は、クリックケミストリーなどの特定の化学的相互作用から形成される共有結合である。一実施形態では、:は共有結合ではない。一実施形態では、コンジュゲーション/カップリング化学反応は本開示の二重特異性タンパク質複合体を調製するのに用いられない。
本明細書で用いられる「複合体を形成する」とは、結合相互作用又は化学反応を含む相互作用のことであり、この相互作用は複合体が会合し融合タンパク質が一緒に保持される適切な条件下で融合タンパク質成分A−X及びB−Yが接触するときには十分に特異的で強力である。
本明細書で用いられる「一緒に保持される」とは、X:Y結合後、複合体を1つの分子であるかのように取り扱うことができ、多くの場合に単一分子のように振る舞い機能するようにその成分(融合タンパク質)を互いに近傍に保持することである。一実施形態では、保持によって複合体は本明細書で開示される方法において使用するのに適したものになる、すなわち、少なくとも1つの機能スクリーニングにおいて使用するのに適したものになる。
本明細書で用いられる特異性とは、例えば、相互作用におけるパートナー、例えば、X:Y若しくはAと抗原若しくはBと抗原が互いのみを認識する又は非パートナーと比べて互いに対して有意に高い親和性、例えば、無関係の非パートナータンパク質への結合のバックグランドレベルと比べて、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10倍の親和性を有する場合のことである。
本明細書で用いられるXとYに関する特異性とは、相互作用にある結合パートナーXとYが互いのみを認識する又は非パートナーと比べて互いに対して有意に高い親和性、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10倍の親和性を有する場合のことである。
一実施形態では、結合相互作用は可逆的である。一実施形態では、結合相互作用は基本的に非可逆的である。
本明細書で用いられる基本的に非可逆的であるとは、抗体又は結合断片の遅いオフレート(解離定数)のことである。
一実施形態では、XとYの間の結合相互作用は低い解離定数を有する。低い解離定数の例には、1〜9×10−2−1又はそれよりも少ない、例えば、1〜9×10−3−1、1〜9×10−4−1、1〜9×10−5−1、1〜9×10−6−1、1〜9×10−7−1が含まれる。特に適した解離定数には、2×10−4−1又はそれよりも少ない、例えば、1×10−5−1、1×10−6−1又は1×10−7−1が含まれる。
理論に縛られたくはないが、低い解離定数(オフレートとも呼ばれる)であれば分子は、二重特異性タンパク質複合体が特に機能スクリーニングアッセイにおいて有用になるほど安定していることができると考えられる。
一実施形態では、互いに対するXとYの親和性は5nM又はそれよりも強く、例えば、4nM、3nM、2nM、1nM又はそれよりも強い。
一実施形態では、互いに対するXとYの親和性は900pM又はそれよりも強く、例えば、800、700、600、500、400、300、200、100若しくは50pM又はそれよりも強い。
別の実施形態では、互いに対するXとYの親和性は10pM又はそれよりも強く、例えば、9、8、7、6、又は5pMである。
親和性は実体のオンレートとオフレートから計算される値である。本明細書で使用される用語「親和性」とは、分子(例えば、抗体)の単一の結合部位とその結合パートナー(例えば、ペプチド)の間の非共有結合的相互作用の総計の強さのことである。その結合パートナーに対する分子の親和性は一般に解離定数(KD)により表すことが可能である。親和性は、表面プラズモン共鳴法、特にBIAコアなどの本明細書に記載される方法を含む、当技術分野で公知の一般的方法により測定することが可能である。
しかし、複合体を1つにまとめておく能力は親和性のことだけではない。理論に縛られたくはないが、実際に、3つの重大な成分:オンレート、オフレート及び親和性があると本発明者らは仮定している。親和性の計算はオンレートとオフレートに基づいている。したがって、オンレートが低くオフレートが速い場合には、親和性は低くなり、それでは二重特異性タンパク質複合体を1つにまとめておくのに十分ではなくなる。しかし、遅いオンレートは遅いオフレートにより埋め合わせされて、全体的に適切な親和性をもたらすことができると考えられる。
いくつかの実施形態では、高いオンレートは複合体を1つにまとめておくのに十分である場合がある。
複合体で用いられる結合パートナー(X及びY)が遅いオンレートを有する場合、成分を混合して複合体を形成させた後に追加の時間が必要になる可能性がある。
結合パートナー間の親和性が十分に高い場合、二重特異性タンパク質複合体のタンパク質(A及びB)の親和性がその標的に弱い結合しかしなくても、二重特異性タンパク質複合体は、その所望の生物学的機能を実施することが可能である場合がある。逆に、タンパク質(A及びB)がその標的に強く結合することができる場合、結合パートナー(X及びY)の互いに対する親和性がさらに低くても同じ生物学的機能を達成することが可能である場合がある。言い換えると、結合パートナー間のさらに高い親和性が標的に対するもっと低い親和性の埋め合わせができる及び逆も同じであるように「三位一体」の関係が存在する。
一実施形態では、タンパク質Aのそのリガンド又は抗原に対する親和性は約100nM又はそれよりも強い、例えば、約50nM、20nM、10nM、1nM、500pM、250pM、200pM、100pM又はそれよりも強い、特に50pM又はそれよりも強い結合親和性である。
一実施形態では、タンパク質Bのそのリガンド又は抗原に対する親和性は約100nM又はそれよりも強い、例えば、約50nM、20nM、10nM、1nM、500pM、250pM、200pM、100pM又はそれよりも強い、特に50pM又はそれよりも強い結合親和性である。
一実施形態では、CH1などの重鎖中の定常ドメインとCKappaなどの軽鎖中の定常ドメインの間の相互作用は、本開示に従った二重特異性複合体の形成及び/又は安定性に寄与する。したがって、本開示の二重特異性複合体においてFab又はFab’断片を用いることは有益である。
一実施形態では、本開示の二重特異性複合体はエフェクター機能のある成分を含まない、例えば、複合体はCH1及びCKappa又はCLambda以外の定常ドメインを含まない、特にCH2、CH3、CH4及びその組合せを含む群から独立して選択される定常ドメインを含まない。一実施形態では、本開示の二重特異性複合体はFc領域を欠く。
一実施形態では、本明細書の方法は、ライブラリーから本開示の融合タンパク質を調製することによりナイーブファージライブラリーをスクリーニングするために用いられる。
本発明の二重特異性タンパク質複合体は、機能スクリーニングを含むいかなる適切な用途においても使用することができる。この新規のフォーマットは、機能に基づいてタンパク質標的及びその標的タンパク質上の最適エピトープを同定するための多重機能スクリーニングに特に有用であり、この標的タンパク質は二重特異性療法が標的とすることができると考えられる。さらに、タンパク質A及びBが抗体又はその結合断片である場合、二重特異性タンパク質複合体は、二重特異性抗体療法において使用するための最適の可変領域対を同定する多重機能スクリーニングのためにも使用することができる。
本明細書で用いる「マルチプレックス」は、
少なくとも1つのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体及び少なくとも1つの関連する生物学的コンパレーターを同じ若しくは異なるフォーマットで作製するよう組み合わされた少なくとも2つの成分融合タンパク質(A−X及びY−B)、又は
場合によって少なくとも1つの関連する生物学的コンパレーターを同じ若しくは異なるフォーマットで有する少なくとも2つのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体
を含む試験のための実体の集団である。
明らかに有用であるためには、コンパレーターとして用いられる異なるフォーマットは、本開示で用いられる機能in vitroアッセイにおいて試験するのに適していなければならない。一例では、マルチプレックス中のコンパレーターは、A−XとB−Xの一価混合物又はA−X−Y−Aの二価単一特異性複合体である。
一実施形態では、マルチプレックスは、特に、格子2から100の第1及び第2の融合タンパク質(A−X及びB−Y)において混合することから作製される、1から数十万のヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体、例えば、2から100,000又は2から10,000などの2から500,000の前記複合体を含む。一実施形態では、マルチプレックスは、例えば、2から900、2から800、2から700、2から600、2から500、2から400、2から300、2から200、2から100、2から90、3から80、4から70、5から60、6から50、7から40、8から30、9から25、10から20又は15などの2から1000の二重特異性タンパク質複合体を含む。そのような格子の例は図3を参照されたい。
一実施形態では、このマルチプレックス中のヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質の数はnであり、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又はそれよりも多い。
マルチプレックスはアレイ、例えば、マイクロタイタープレートの形態でもよく、マイクロプレートのそれぞれのウェルが異なった二重特異性タンパク質複合体を含有することができる。二重特異性タンパク質複合体は固体基材表面、例えば、ビーズに繋ぎ留めることができる、又は二重特異性タンパク質複合体は、例えば、ウェル内で若しくは液滴内で液体(例えば、溶液又は培養液)の形態で懸濁されることもできる。
一実施形態では、マルチプレックス中のすべての「A」は異なるタンパク質であり、好ましくは標的抗原に結合する抗体若しくはその結合断片であり、すべての「B」は異なるタンパク質であり、好ましくは標的抗原に結合する抗体若しくはその結合断片である。
一実施形態では、マルチプレックスは下で考察される格子、例えば、8×8、16×16又は16×20で提供され、これはそれぞれ64、256又は320試料に等しい。
本明細書で用いられる「格子」とは、タンパク質A(A−Xで)などの1つの可変因子はX軸(水平軸)などの1つの軸に沿って変え、タンパク質B(B−Yで)などの別の可変因子はY軸(垂直軸)などのもう1つの軸に沿って変える2次元プロット又はアレイのことである。この配置は可変因子の種々の組合せ(並べ替え)を系統的に評価することを支援する。
一実施形態では、マルチプレックスは96ウェルプレート上で提供され、分析される試料はその倍数、すなわち、96、192、384、等でもよい。
有利なことに、格子配置は、本開示に従った二重特異性タンパク質複合体の生物学的機能を効率的にスクリーニングするのに特に有利である。図3はそのような格子の例を示しており、4つの第1の融合タンパク質は4つの第2の融合タンパク質と容易に組み合わせて16の二重特異性タンパク質複合体を産生することが可能である。
スクリーニング格子の他の変動は当業者には明らかであり、例えば、第1の融合タンパク質(A−X)中の第1のタンパク質(A)は一定に保ち、第2の融合タンパク質(B−X)中の第2のタンパク質(B)は変化させる。これは、予め選択された第1のタンパク質との相乗的機能について多数の異なる第2のタンパク質を迅速にスクリーニングするために有用であり得る。
別の実施形態では、タンパク質Aは、それぞれの抗体変異体が同じ抗原に特異的であるが可変領域の異なる組合せを有するように、タンパク質Aの抗体可変領域を変えることにより1つの軸に沿って変化する。タンパク質Bは一定に保つことができる又は同じ様式で変化する若しくは抗原特異性がBタンパク質について変化する(格子を横切る又は下る)ように変化することもできる。
有利なことに、そのようなスクリーニング格子であれば、二重特異性タンパク質複合体が同じ抗原に特異的であるが可変領域の異なる組合せを有するときは、相乗的機能のわずかな違いの検出が潜在的に可能になる場合がある。
一実施形態では、本開示に従った「共通の」第1の融合タンパク質(A−X)がそれぞれのウェル内に存在することができる。次に、本開示に従った一定範囲の異なる第2の融合タンパク質(B−Y)をそれぞれのウェル内に分注することができる。それに続いて、2つの結合パートナー(X及びY)の特異的な結合相互作用は2つの融合タンパク質を物理的に近づけて二重特異性タンパク質複合体を形成させる。このために、すべて共通の第1の標的抗原(Aが結合している)に結合するが、二重特異性タンパク質複合体ごとに異なる可能性がある第2の標的抗原(Bが結合している)にも結合することができる二重特異性タンパク質複合体を含むマルチプレックスが生じる。
一実施形態では、B−Y融合タンパク質は、A−X中の可変領域と組み合わされた場合、可変領域及び/又はBが結合している所与の標的抗原のエピトープの最適化を可能にするために、同じ標的抗原に対して異なる可変領域を含む。
本明細書で用いられる「共通の」第1融合タンパク質とは、そのA又はB成分が同じタンパク質又はエピトープに結合する、特にA又はB成分が共通の融合タンパク質において完全な同一性を有する融合タンパク質のことであり、すなわち、共通の第1融合タンパク質は常に同じ可変領域配列を含む。
当業者であれば、マルチプレックス中のそれぞれの位置の二重特異性タンパク質複合体の所望の特異性を容易に制御することが可能であるように、上記の異なる変動も認識している。これにより、そのようなマルチプレックスを機能アッセイにおいて使用すると二重特異的タンパク質複合体の異なる組合せの効率的スクリーニングが可能になる。一実施形態では、要因計画を用いて格子で用いられる可変因子を定義する。
一実施形態では、本開示の方法はハイスループット分析に貢献する。
一実施形態では、複数の二重特異性タンパク質複合体は平行して又は基本的の同時に試験される。
本明細書で用いられる同時にとは、試料/分子/複合体が同じ分析で、例えば、同じ「ラン」で分析されることである。一般に所与の試料ランに用いられる試薬は同じバッチ、濃度、細胞源、等になり、したがって、同じ特性を有するので、これは有利になれる。さらに、温度及び湿度などの分析を実施する環境条件は類似する可能性がある。
一実施形態では、同時にとは、シグナル出力が基本的に同時刻に機器により分析される共存分析のことである。このシグナルは得られた結果を解釈するのにデコンボリューションが必要になる場合がある。
有利なことに、複数の二重特異性タンパク質複合体を試験すれば、多数の二重特異性タンパク質複合体のより効率的なスクリーニング及び新たな興味深い関係の同定が可能になる。
一実施形態では、複数の二重特異性タンパク質複合体は、上記のマルチプレックスを使用し同じものを1つ又は複数の機能アッセイに供することにより試験する。したがって、本発明は、式A−X:Y−Bのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的生物学的機能を検出するための方法であって、
X:Yはヘテロ二量体繋であり、
:はXとYの間の結合相互作用であり、
A及びBはそれぞれX及びYとの融合タンパク質の形態の二重特異性のタンパク質成分であり、
前記方法は、
(i)少なくとも1つのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体を含むマルチプレックスの一部又はすべてについて機能アッセイにおいて活性を試験するステップと、
(ii)機能アッセイからの読み出し情報(単数又は複数)を解析して、ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的生物学的機能を同定する又は検出するステップと
を含み、
Yは抗原でありXはYに特異的である抗体若しくはその結合断片である、又はXは抗原でありYはXに特異的である抗体若しくはその結合断片である、
上記方法を提供する。
本明細書で使用される用語「生物学的機能」とは、試験されている生物学的実体にとっては天然の又は目的とする活性、例えば、細胞、タンパク質若しくは類似のものの天然の活性のことである。理想的には、生物学的機能の存在は、B細胞若しくはT細胞などの生細胞などの哺乳動物細胞、又は組織をex vivoで用いるアッセイを含む、in vitro機能アッセイを使用して試験することが可能である。本明細書で用いられる天然の機能には、がんなどの疾患に関連する機能などの異常な機能も含まれる。
本明細書で用いられる関連する「生物学的コンパレーター」とは、ある変化又は新規の活性若しくは機能が存在するかどうかを確証するために二重特異性タンパク質複合体について用いられるのと同じアッセイにおいて活性を評価するのに適した実体のことである。A−X:Y−Bに適したコンパレーターには、天然の形態の又は二重特異性体と同じフォーマットで示される精製されたタンパク質(組換えタンパク質を含む)、例えば、AとBがA−X:Y−A若しくはB−X:Y−Bなどの同じ実体、すなわち二価単一特異性複合体である場合が含まれることがある。代わりに、複合体化されていない形態の融合タンパク質A−X又はB−Yは、コンパレーターとして単独で又はA−XとB−Xを一緒に若しくはA−YとB−Yを一緒になどの複合体化されていない混合物として用いることができる。代わりに、異なるフォーマットの複数のコンパレーター(特に本明細書に記載される)を用いることができる。当業者であれば、共通の一般的知識又は文献に見出される情報に基づいて適切な対照/コンパレーターを同定し含むことができる。
本明細書で使用される用語「相乗的機能」又は「相乗的生物学的機能」とは、
・二重特異性体が用いられるまでは個々の融合タンパク質成分を用いても観測されない(二重特異性フォーマット中には存在しない前記抗原に対する抗体の組合せを用いて観察される活性を含むことがあるが、特に、2つの結合ドメインが二重特異性フォーマットにおいて連結されているときにのみ観察される活性のことである)
生物活性若しくは生物活性のレベル又は生物学的機能若しくは生物活性に対する効果、又は
・本開示の二重特異性タンパク質複合体の第1と第2のタンパク質が個別に用いられるときに観察される活性と比べて高い若しくは低い活性、例えば、二重特異性形態でしか観察されない活性
のことである。
したがって、「相乗的」は新規の生物学的機能又は新規の活性を含む。本明細書で用いられる相乗的機能は一般には、単純なターゲティングは含まない、すなわち、結合のみに基づくが、一般に結合後の一部の阻害、活性化、シグナル伝達又は類似のものを含む。
本明細書で用いられる新規の生物学的機能又は新規の活性とは、2つ若しくはそれよりも多い相乗的実体(タンパク質A及びタンパク質B)が1つにまとめられる(二重特異性体として又は他の方法で)まで明らかではない若しくは存在しない生物学的機能若しくは活性又はこれまで同定されていない機能のことである。
本明細書で用いられるより高いとは、ゼロからの増加を含む活性の増加、例えば、個々の複合体化されていない二重特異性成分(単数又は複数)が関連する機能アッセイにおいて活性がない二重特異性体におけるある活性のことであり、本明細書では、新たな活性又は新規の生物学的機能とも呼ばれる。本明細書で用いられるより高いには、個々の複合体化されていない二重特異性成分(単独で試験される又は連結されていることと組み合わせて)と比べて関連する機能アッセイにおいて二重特異性体の相加的機能よりも大きい、例えば、関連する活性において10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300%又はそれよりも多いことも含む。
一実施形態では、一つに複合体化されていないタンパク質は二重特異性体と同じ活性を有し、この活性又は機能はこれまで未知であった。これも本明細書の文脈においては新規の相乗的機能である。
一実施形態では、相乗的機能はより高い機能である。
一実施形態では、相乗的機能はより低い機能である。
本明細書で用いられるより低い機能とは、関連する機能アッセイにおける二重特異性体が、関連する機能アッセイにおいて活性を有する個々の複合体化されていない二重特異性成分(単数又は複数)と比べてほとんど活性がないかまったくないことを言い、本明細書では、個々のタンパク質として分析される又は同じ条件下でタンパク質の混合物として分析される新たな活性又は新規の生物学的機能とも呼ばれ(天然のタンパク質、すなわち、融合タンパク質には存在しないし、前記タンパク質の活性ドメイン若しくは断片を含むin vivoで存在する複合体以外の他のいかなる複合体の一部でもない組換え単離タンパク質などの)、例えば、関連する活性の10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300%又はそれよりも多い減少のことである。活性の100%よりも多い減少とは、異なる方向でのプラスの活性の増加のことであり、例えば、実体がアゴニストである場合、100%を超える活性の減少は実体をアンタゴニストにすることができ逆もまた同じである。
一実施形態では、二重特異性複合体の活性はタンパク質Aとタンパク質Bの既知の機能の合計よりも低い。
いくつかの実施形態では、本開示の二重特異性タンパク質複合体は単に相加的生物学的機能を有する。本明細書で用いられる相加的生物学的機能とは、同じ条件下で試験された場合、成分A及びB個別のそれぞれの合計と同じである機能のことである。相加的機能は、活性又は機能がこれまで未知であった又は同定されていなかった場合には新規の機能になることができる。
スクリーニングは、同定される所望の機能に応じて、当技術分野では公知のいかなる適切なアッセイでも使用して実施される。
一実施形態では、本開示の方法において用いられる機能アッセイはin vitro又はex vivoアッセイである。
本明細書で使用される「機能アッセイ」は、アッセイ条件に曝される二重特異性タンパク質複合体、抗体複合体又は抗体の混合物の1つ又は複数の所望の特性又は活性を決定するために使用することが可能なアッセイである。適切な機能アッセイは、結合アッセイ、アポトーシスアッセイ、抗体依存性細胞傷害(ADCC)アッセイ、補体依存性細胞傷害(CDC)アッセイ、細胞成長又は増殖の阻害(細胞静止効果)アッセイ、細胞殺傷(細胞傷害効果)アッセイ、細胞シグナル伝達アッセイ、サイトカイン産生アッセイ、抗体産生及びアイソタイプスイッチ、細胞分化アッセイ、コロニー形成アッセイ、走化性アッセイ、細胞接着アッセイ、細胞遊走アッセイ、細胞周期アッセイ、代謝アッセイ(全細胞及びオルガネラ機能)、標的細胞への病原体の結合の阻害を測定するためのアッセイ、血管内皮増殖因子(VEGF)の分泌又は他の分泌された分子を測定するアッセイ、静菌、殺菌力、ウイルスの中和についてのアッセイ、in situハイブリダイゼーション法、標識化法などを含む、抗体が結合している部位への免疫系の成分の引力を測定するアッセイでもよい。
一実施形態では、マウス腫瘍モデル、自己免疫疾患のモデル、ウイルス感染若しくは細菌感染の齧歯類又は霊長類モデル、及び同類のものを含む動物モデルなどのin vivoアッセイを用いることができる。
当業者であれば調査している標的/タンパク質に基づいて適切な機能アッセイを選択することが十分にできる。しかし、複合体は、新たな機能性を同定する試みに関連していると考えられるアッセイを前選択せずに「標準」アッセイのパネルを受けさせることができる。
二重特異性抗体複合体の文脈では、本開示に従った二重特異性抗体複合体の効力は、当業者に一般的に知られている方法によってそのようなモデルにおいて個々の抗体又は抗体(又は断片)の混合物と比較することが可能である。
例えば、二重特異性抗体複合体は、抗原に結合する以外の特性を含む生物学的機能である、増殖を阻害する、細胞の生存能若しくは代謝活性に影響を及ぼす(例えば、アラマーブルーなどの染色を用いて、又は細胞により発現されるルシフェラーゼに起因する発光をモニターすることにより)、又はがん細胞のアポトーシスを引き起こす能力について試験することができる。
対象の特定の疾患に密接な関係のある機能アッセイを選択することによって、本開示の方法により既知の又は未知の標的分子に結合する潜在的な治療抗体を同定することが可能になる。したがって、本開示の方法を使用して新たな標的分子を同定する及び/又は潜在的な治療抗体を直接同定することが可能になる。有利なことに、本方法はいかなる特定のアッセイ(単数又は複数)にも限定されず、要件に応じてもっとも適切な機能アッセイを選択する完全な柔軟性を使用者に提供する。
所望の生物学的機能を求めて二重特異性抗体複合体をスクリーニングする場合、種々の戦略を用いることができる。例えば、抗体を含有する培地を生物活性について直接スクリーニングすることが可能である。代わりに、生物活性についてのスクリーニングに先立って抗体を被覆されたビーズに又はマイクロタイタープレートに結合させることが可能である。代わりに、融合タンパク質をニッケル捕捉精製ステップにおいてHisタグを介して精製することができる。そのような戦略により抗体の局所的濃度を増加させ、機能アッセイからさらに明確な結果を得ることができる。
機能アッセイは、結果の信頼性を高めるために特定の二重特異性抗体複合体の異なる試料を用いて又は用いずに必要に応じて何回か繰り返すことができる。当業者には公知の種々の統計検定を用いて統計的に有意な結果を同定し、このようにして、生物学的機能を有する二重特異性抗体複合体を同定することが可能である。
スクリーニングのための機能アッセイを確立すると、当業者であれば、それを超えると同定された活性が「ヒット」だと見なされる適切な閾値を設定することが可能である。1つよりも多い機能アッセイが使用されるところでは、管理しやすいヒット率を確立するためにアッセイごとの閾値を適切なレベルで設定することができる。一例では、ヒット率は3〜5%でもよい。一例では、B細胞機能を阻害する抗原の対を探索する際に設定される基準は、B細胞活性化アッセイにおいて少なくとも2つのリン酸読み出しの少なくとも30%阻害であってよい。
本発明の二重特異性タンパク質複合体では、以下のタンパク質及びペプチド成分を使用することができる。
一実施形態では、結合対の第1の結合パートナーXと第2の結合パートナーYのうちの少なくとも1つは、独立してペプチド及びタンパク質から選択され、例えば、第1の結合パートナー又は第2の結合パートナーはペプチドである。
適切なペプチドには、GCN4、Fos/Jun(ヒト及びマウスFosはそれぞれUniprot番号P01100及びP01101を有し、ヒト及びマウスJunはそれぞれUniprot番号05412及び05627を有する)、ヒトインフルエンザ赤血球凝集素のアミノ酸98から106に対応するHAタグ、ポリヒスチジン(His)、c−myc及びFLAGを含む群を含む。他のペプチドも本開示において使用するのに適切と予想されており、特に適切なペプチドはタンパク質精製のためのアフィニティータグである。なぜならば、そのようなペプチドはそのそれぞれの結合パートナーに高親和性で結合する傾向があるからである。
一実施形態では、ペプチドはE5B9ではない。
本明細書で使用される用語「ペプチド」とは、ペプチド結合により連結されたアミノ酸の短いポリマーのことであり、ペプチドは2〜100の範囲で、例えば、6から98、7から97、8から96又は5から25などの5から99のアミノ酸を含有する。一実施形態では、本開示で用いられるペプチドは50アミノ酸残基又はそれよりも少ない、例えば、40、30、20、10又はそれよりも少ないアミノ酸配列である。本開示で使用されるペプチドは目的に適合するのに十分な長さであり、例えば、ペプチドがリンカーである場合、ペプチドはそれが連結する断片がその生物学的機能を果たすことを可能にするのに適した長さである必要があり、代わりに、ペプチドが結合パートナーである場合、ペプチドは抗体などの別の実体に特異的に結合することができなければならない。
一実施形態では、結合対のもう一方の結合パートナー(別の第1又は第2の結合パートナー)はタンパク質である。
本明細書で用いられるタンパク質とは、100アミノ酸又はそれよりも多いアミノ酸配列のことである。一実施形態では、本明細書で用いられる「タンパク質」とは、二次又は三次構造を持つアミノ酸配列のことである。
ポリペプチドとタンパク質は本明細書では互換的に用いられる。しかし、ポリペプチドは通常、単純な構造を有し、例えば、二次及び/又は三次構造はほとんどないタンパク質である。
一実施形態では、ペプチドとタンパク質の間の違いは二次構造及び/又は三次構造の存在又は非存在に基づいており、ペプチドは二次構造がなく、二次構造及び/又は三次構造を持つアミノ酸はタンパク質と見なされる。
一実施形態では、タンパク質は抗体又は抗体断片である。
本明細書で使用される用語「抗体」とは、免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位(本明細書では結合部位とも呼ばれる)を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド、ペプチド、等などの標的抗原への特異的結合ができる免疫グロブリン分子のことである。
本明細書で使用されるように、「抗体分子」には抗体及びその結合断片が含まれる。
本明細書で用いられる「抗体断片」とは、Fab、改変Fab、Fab’、改変Fab’、F(ab’)2、Fv、単一ドメイン抗体、scFv、二価、三価又は四価抗体、Bis−scFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ及び上記のいずれかのエピトープ結合断片を含むがこれらに限定されない抗体結合断片のことである(例えば、Holliger and Hudson, 2005, Nature Biotech. 23(9):1126-1136; Adair and Lawson, 2005, Drug Design Reviews - Online 2(3), 209-217参照)。これらの抗体断片を作製し製造するための方法は当技術分野では周知である(例えば、Verma et al., 1998, Journal of Immunological Methods, 216:165-181参照)。本開示で使用するための他の抗体断片には、国際特許出願WO05/003169、国際特許出願WO05/003170及び国際特許出願WO05/003171に記載されるFab及びFab’断片が含まれる。多価抗体は複数の特異性体、例えば、二重特異性体を含んでいてもよく又は単一特異性であってもよい(例えば、WO92/22853、WO05/113605、WO2009/040562、及びWO2010/035012参照)。
本明細書で用いられる「結合断片」とは、断片をペプチド又は抗原に対して特異的であると特徴付けることができるほどの十分な親和性で標的ペプチド又は抗原に結合することができる断片のことである。
本明細書で使用される用語「Fab断片」とは、軽鎖(CL)のVL(可変軽)ドメイン及び定常ドメインを含む軽鎖断片並びに重鎖のVH(可変重)ドメイン及び第1の定常ドメイン(CH1)を含む抗体断片のことである。一例では、Fab断片の重鎖配列はCH1の鎖間システインで「終わる」。一実施形態では、A−X及び/又はB−Yなどの本開示の融合タンパク質で用いられるFab断片は一価である。
本明細書で用いられるFab’断片とは、ヒンジ領域の全て又は一部をさらに含むFab断片のことである。一実施形態では、A−X及び/又はB−Yなどの本開示の融合タンパク質で用いられるFab’断片は一価である。
本明細書で使用される用語「単鎖Fv」又は略記して「scFv」とは、(例えば、ペプチドリンカーにより)連結されたVHとVL抗体ドメインを含んだかたちで単一ポリペプチド鎖を形成する抗体断片のことである。重及び軽鎖の定常領域はこのフォーマットでは取り除かれている。本明細書で用いられる単鎖Fvには、そのジスルフィド安定化バージョンが含まれ、これはペプチドリンカーに加えてジスルフィド結合が可変領域間に存在する。
ジスルフィド安定化scFvは、可変領域が分離し再び一体となることに関係する動力学的に呼吸する一部の可変領域の傾向を取り除くことができる。本明細書で使用される用語「単一ドメイン抗体」とは、単一の単量体可変抗体ドメインからなる抗体断片のことである。単一ドメイン抗体の例には、VH又はVL又はVHHが含まれる。
一実施形態では、抗体結合断片及び/又は二重特異性抗体複合体はFc領域を含まない。本明細書で用いられる「Fc領域を含まない」とは、非存在であるCH2、CH3及びCH4などのもっと低い定常ドメインのことである。しかし、CH1、CKappa/CLambdaなどの定常ドメインは存在する場合がある。
一実施形態では、抗体重鎖はCH1ドメインを含み、抗体軽鎖はCLドメイン、カッパ又はラムダのいずれかを含む。
一実施形態では、抗体重鎖はCH1ドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含み、抗体軽鎖はCLドメイン、カッパ又はラムダのいずれかを含む。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体の第1のタンパク質A及び/又は第2のタンパク質Bは抗体又は抗体断片である。そのような二重特異性タンパク質複合体は二重特異性抗体複合体と呼ぶこともできる。
本明細書で用いられる「二重特異性抗体複合体」とは、少なくとも2つの抗体結合部位を含み、成分抗体、断片又は両方がヘテロ二量体繋により一つに複合体化されている二重特異性タンパク質複合体のことである。
二重特異性抗体複合体とは、通常、少なくとも2つの抗原結合部位を含み、結合部位が非同一特異性を有する分子のことである。
一実施形態では、2つのタンパク質(例えば、抗体、断片又は抗体と断片の組合せ)は同じ抗原を標的とし、例えば、本明細書では同じ標的抗原上の2つの異なるエピトープに結合し、バイパラトピック二重特異性体とも呼ばれる。
別の実施形態では、2つのタンパク質(例えば、抗体、断片又は抗体と断片の組合せ)は異なる抗原特異性を有することができ、例えば、2つの異なる標的抗原に結合する。
さらに別の実施形態では、2つのタンパク質は同一であり、すなわち、同じ標的抗原上の同じエピトープに結合し、したがって、複合体は単一特異性である。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体で用いられるそれぞれの抗体又は断片は1つの結合部位を含む、すなわち、それぞれの結合部位は標的抗原ごとに一価である。
融合タンパク質(A−X又はB−Y)で用いられる完全長抗体又は抗体断片は、単一特異性、一価、多価又は二重特異性でもよい。
有利なことに、2つの二重特異性抗体又は抗体断片を使用することにより、本開示の二重特異性抗体複合体は潜在的に最大4つの異なる抗原に特異的であることができる(すなわち、複合体は四重特異性であることができる)。これにより結合活性タイプ効果を調べることができる。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A−X)で用いられる抗体又は抗体断片は、単一特異性抗体又は抗体断片、特に、一価Fab、Fab’、scFv、Fv、VHH又は類似のものである。
一実施形態では、第2の融合タンパク質(B−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は、単一特異性抗体又は抗体断片、特に、一価Fab、Fab’、scFv又は類似のものである。
本明細書で用いられる「単一特異性」とは、1つの標的抗原のみに結合する能力のことである。
本明細書で用いられる「一価」とは、単一の結合部位を有し、したがって、標的抗原に1回のみ結合するだけである抗体又は抗体断片のことである。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A−X)で用いられる抗体又は抗体断片は多価である、すなわち、2つ又はそれよりも多い結合ドメインを有する。
一実施形態では、第2の融合タンパク質(B−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は多価である、すなわち、2つ又はそれよりも多い結合ドメインを有する。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A−X)で用いられる抗体又は抗体断片は一価であり、第2の融合タンパク質(B−X)で用いられる抗体又は抗体断片は一価である。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A−X)で用いられる抗体又は抗体断片は一価であり、第2の融合タンパク質(B−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は多価である。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A−X)で用いられる抗体又は抗体断片は多価であり、第2の融合タンパク質(B−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は一価である。
一実施形態では、第1の融合タンパク質(A−X)で用いられる抗体又は抗体断片は多価であり、第2の融合タンパク質(B−Y)で用いられる抗体又は抗体断片は多価である。
一実施形態では、A−X又はB−Yは、1つは抗原CD33に特異的であり1つは抗原CD3に特異的である2つのscFv又は代わりにこれら2つの抗原に特異的な二重特異性複合体フォーマットを含む融合タンパク質ではない。
一実施形態では、A−X又はB−Yは、ペプチドE5B9に連結されたCD3に特異的なscFv(又は代わりに別の抗体フォーマット)を含む融合タンパク質ではない。
本明細書で用いられる「結合ドメイン又は部位」は、抗体のうち抗原/エピトープに接触しそれとの結合相互作用に関与する部分である。一実施形態では、結合ドメインは少なくとも1つの可変ドメイン又はその誘導体、例えば、可変ドメイン又はその誘導体の同族対などの可変ドメイン又はその誘導体の対を含有する。
一実施形態では、結合ドメインは、特に、結合ドメインがVH、VL又はVHHなどのドメイン抗体である場合には、3つのCDRを含む。一実施形態では、結合ドメインは2つの可変ドメイン及び6つのCDR及びフレームワークを含み、合わせてこれらのエレメントは、抗原/エピトープとの抗体又は結合断片の結合相互作用の特異性に寄与する。
本明細書で用いられる「同族対」とは、前もって形成されたカップルとして宿主から単離される重軽鎖対のことである。この定義は、宿主由来の初めの対合が保持されていないライブラリーから単離される可変ドメインを含まない。同族対は有利である可能性がある。なぜならば、同族対は宿主において成熟された親和性である場合が多く、したがって、その対が特異的である抗原に対して高い親和性を有する可能性があるからである。
本明細書で用いられる「天然に存在するドメインの誘導体」は、例えば、望ましくない特性を取り除くことによりなどのドメインの特性を最適化するために、天然に存在する配列中の1つ、2つ、3つ、4つ又は5つのアミノ酸が置き換えられている又は欠失しているが、ドメインの特徴的な特色(単数又は複数)は保持されていることを指すことを意図している。改変の例は、グリコシル化部位、GPIアンカー、又は溶媒曝露リシンを取り除く改変である。これらの改変は、関連するアミノ酸残基を保存的アミノ酸置換で置き換えることにより達成することが可能である。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体又はその抗体/断片成分は処理されて、標的抗原(単数又は複数)に対する改善された親和性を提供する。そのような変異体は、CDRを突然変異する(Yang et al., J. Mol. Biol., 254, 392-403, 1995)、鎖シャフリング(Marks et al., Bio/Technology, 10, 779-783, 1992)、大腸菌(E.coli)の変異誘発菌種の使用(Low et al., J. Mol. Biol., 250, 359-368, 1996)、DNAシャフリング(Patten et al., Curr. Opin. Biotechnol., 8, 724-733, 1997)、ファージディスプレイ(Thompson et al., J. Mol. Biol., 256, 77-88, 1996)及び性的PCR(Crameri et al., Nature, 391, 288-291, 1998)を含むいくつかの親和性成熟プロトコールにより得ることが可能である。Vaughanら(上記)は親和性成熟のこれらの方法を考察している。
一実施形態では、第1の抗体又は抗体断片(A)は第1の抗原に特異的であり、第2の抗体又は抗体断片(B)は第2の抗原に特異的であり、第1と第2の抗原は異なっている。有利なことに、二重特異性抗体複合体は2つの異なる抗原に対して特異的であることができる。これは、それぞれ異なる実体上に位置している2つの異なる抗原へ抗体複合体が結合し、それによって2つの実体を物理的に互いにすぐ近傍に近づける可能性を表す。
代わりに、第1の抗体又は抗体断片(A)は第1のエピトープに対して特異的であることができ、第2の抗体又は抗体断片(B)は第2のエピトープに対して特異的であることができ、第1と第2のエピトープは両方とも同じ抗原上にある。これは、抗原と二重特異性抗体複合体の間の複数の相互作用のせいで抗原に対する二重特異性抗体複合体の結合活性を大いに増強することが可能である。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体の第1の抗体(A)又は第2の抗体(B)又は第1と第2の抗体の両方は、場合によって、不活性又は活性Fc領域を有するIgGであってもよい。
一実施形態では、第1(A)又は第2(B)抗体断片は、断片抗原結合(Fab)、Fab’、単鎖可変断片(scFv)及びVHHなどの単一ドメイン抗体(sdAb)からなる群から選択される。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体の第1の抗体/断片(A)、第2の抗体/断片(B)又は第1と第2の抗体/断片の両方はFabであってよい。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体の第1の抗体/断片(A)、第2の抗体/断片(B)又は第1と第2の抗体/断片の両方はFab’であってよい。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体の第1の抗体/断片(A)、第2の抗体/断片(B)又は第1と第2の抗体/断片の両方はscFvであってよい。
一実施形態では、本開示の二重特異性抗体複合体の第1(A)若しくは第2(B)の抗体/断片又は第1と第2の抗体/断片の両方はVHHである。
便宜上、本開示の二重特異性タンパク質複合体は本明細書ではA−X:Y−Bと呼ばれる。しかし、この命名法は、融合タンパク質A−X及びB−Yがどのように設計されるのかを限定することを意図してはいない。なぜならば、本発明者らの実験は結合パートナーXとYをその方法に不利な影響を与えることなく逆にすることが可能であること、すなわち、A−Y及びB−Xを示しているからである。したがって、A及びB並びにX及びYは本技術の説明を支援するために言及される名目ラベルである。
本明細書で用いられる「付加されている(attached)」とは、その例が下で考察されるペプチドリンカーなどのリンカーを介して直接的に又は間接的に連結している又は結合していることである。直接的に連結しているには、一つに融合している(例えば、ペプチド結合)又は化学的にコンジュゲートしているが含まれる。
本明細書で用いられる「結合パートナー」とは、結合対の1つの成分部分のことである。
一実施形態では、結合パートナーの親和性は高く、900、800、700、600、500、400、300pM又はそれよりも強いなどの5nM又はそれよりも強い。
本明細書で用いられる「結合対」とは、互いに特異的に結合する二つの結合パートナーのことである。結合対の例には、ペプチドとそれに特異的な抗体若しくは結合断片、又は酵素とリガンド、又は酵素とその酵素の阻害剤が含まれる。
一実施形態では、第1の結合パートナー(X)は、完全長抗体、Fab、Fab’、Fv、dsFv、scFv及びsdAbを含む群から選択され、sdAbの例にはVH又はVL又はVHが含まれる。
Xが抗体又はその結合断片である場合、Yはタンパク質又はペプチド、特に、ペプチドである。
一実施形態では、第2のパートナー(Y)は、完全長抗体、Fab、Fab’、Fv、dsFv、scFv及びsdAbを含む群から選択され、sdAbの例にはVH又はVL又はVHが含まれる。
Yが抗体又はその結合断片である場合、Xはタンパク質又はペプチド、特に、ペプチドである。
一実施形態では、Aが抗体又はその断片である場合、第1の結合パートナー(X)は第1の抗体又は抗体断片の重又は軽鎖のC末端に付加されており、例えば、第1の結合パートナー(X)は第1の抗体又は抗体断片(A)の重鎖のC末端に付加されている。
別の実施形態では、Bが抗体又はその断片である場合、第2の結合パートナー(Y)は第2の抗体又は抗体断片の重又は軽鎖のC末端に付加されており、例えば、第2の結合パートナー(Y)は第2の抗体又は抗体断片(B)の重鎖のC末端に付加されている。
一実施形態では、Xは抗体又は断片(タンパク質A)の重鎖のC末端に付加されており、Yは抗体又は断片(タンパク質B)の重鎖のC末端に付加されている。
一実施形態では、Xはリンカー(ASGGGG配列番号71又はASGGGGSG配列番号72などの)又は当技術分野で公知の若しくは本明細書の下で考察されている任意の他の適切なリンカーを介して、抗体又は断片(タンパク質A)の重鎖のC末端に付加されており、Yはリンカー(ASGGGG配列番号71又はASGGGGSG配列番号72などの)を介して、抗体又は断片(タンパク質B)の重鎖のC末端に付加されている。
適切な結合対(X又はY)の例には、GCN4(配列番号1又はHISタグを欠く、配列番号1のアミノ酸1〜38)又はその変異体、及びGCN4に対して特異的なscFvである52SR4(配列番号3又はHISタグを欠く配列番号3のアミノ酸1から243)又はその変異体を含むことができる。
一実施形態では、第1の結合パートナー(名目上X)はGCN4(例えば、配列番号1で示される)又はその断片若しくは変異体(例えば、Hisタグなし)であり、第2の結合パートナー(名目上Y)はGCN4に対して特異的なscFv若しくはVHH(例えば、配列番号3に示される)又はその変異体である。
一実施形態では、第1の結合パートナー(名目上X)はGCN4に対して特異的なsFv若しくはVHH(例えば、配列番号3に示される)又はその変異体であり、第2の結合パートナー(名目上Y)はGCN4(例えば、配列番号1で示される)又はその断片若しくは変異体である。
GCN4変異体には、配列番号1に少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%又は98%、又は99%同一性のアミノ酸配列が含まれる。GCN4変異体には、ヌクレオチド配列配列番号2によりコードされる配列に、又は厳密な条件下で配列番号2にハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされる配列に少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一性を有するアミノ酸配列も含まれる。
GCN4に特異的な適切なscFvは52SR4(配列番号3)又はその変異体である。52SR4の変異体には配列番号3に少なくとも80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は98%、又は99%同一性を有するアミノ酸配列が含まれる。52SR4の変異体には、ヌクレオチド配列配列番号4によりコードされる配列に、又は厳密な条件下で配列番号4にハイブリダイズするヌクレオチド配列によりコードされる配列に少なくとも80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は98%、又は99%同一性を有するアミノ酸配列も含まれる。
本発明者らは、単鎖抗体52SR4及びペプチドGCN4は本開示の二重特異性タンパク質複合体において使用するのに適した結合対であることを見出していた。
代わりに、いかなる適切な抗体/断片及び抗原(ペプチドなどの)でもX及びYとして用いることができる。好ましくは、そのようなXとYの対からは、A−XとY−Bが1対1のモル比で組み合わされると75%よりも多くのヘテロ二量体が得られる。
一実施形態では、第1の結合パートナー(X)及び第2の結合パートナー(Y)はタンパク質である。
一実施形態では、第1の結合パートナー(X)は酵素若しくはその活性断片であり第2の結合パートナー(Y)はリガンドである又はその逆もまた同じである。
一実施形態では、第1の結合パートナー(X)は酵素若しくはその活性断片であり第2の結合パートナー(Y)はその酵素の阻害剤である又はその逆もまた同じである。
本明細書で用いられる「活性断片」とは、アミノ酸断片のことであり、これは実体では全アミノ酸配列よりも少なく、基本的に同じ生物活性又は関連する生物活性、例えば、60%、70%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%などの50%を超える活性を保持している。
別の実施形態では、第1の結合パートナーXはグルタチオン(GSH)であり第2の結合パートナーYはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)である又はその逆もまた同じである。
別の実施形態では、XはFosでありYはJunである又はその逆もまた同じである。
別の実施形態では、XはHisでありYは抗Hisである又はその逆もまた同じである。
別の実施形態では、結合対はカルモジュリン結合ペプチドでありYはカルモジュリンである又はその逆もまた同じである。
別の実施形態では、Xはマルトース結合タンパク質でありYは抗マルトース結合タンパク質若しくはその断片である又はその逆もまた同じである。
他の酵素−リガンド組合せも結合パートナーにおいて使用するために想定している。タンパク質精製のための当技術分野で公知の親和性タグも適切である。なぜならば、これらのタグはそのそれぞれの結合パートナーに高親和性で結合する傾向があるからである。
「同一性」は、本明細書で使用されるように、整列させた配列中のいかなる特定の位置においてもアミノ酸残基が配列間で同一であることを示している。「類似性」は、本明細書で使用されるように、整列させた配列中のいかなる特定の位置においてもアミノ酸残基が配列間で類似する種類であることを示している。例えば、ロイシンはイソロイシン又はバリンの代わりに用いることができる。多くの場合互いに代わりに用いることが可能な他のアミノ酸には、
− フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファン(芳香族側鎖を有するアミノ酸)
− リシン、アルギニン及びヒスチジン(塩基性側鎖を有するアミノ酸)
− アスパラギン酸及びグルタミン酸(酸性側鎖を有するアミノ酸)
− アスパラギン及びグルタミン(アミド側鎖を有するアミノ酸);並びに
− システイン及びメチオニン(硫黄含有側鎖を有するアミノ酸)
が含まれるがこれらに限定されない。
同一性及び類似性の程度は容易に計算することが可能である(Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing. Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part 1, Griffin, A.M., and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987, Sequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991, the BLASTTM software available from NCBI (Altschul, S.F. et al., 1990, J. Mol. Biol. 215:403-410; Gish, W. & States, D.J. 1993, Nature Genet. 3:266-272. Madden, T.L. et al., 1996, Meth. Enzymol. 266:131-141; Altschul, S.F. et al., 1997, Nucleic Acids Res. 25:3389-3402; Zhang, J. & Madden, T.L. 1997, Genome Res. 7:649-656)。
一実施形態では、第1又は第2の結合パートナー(X又はY)はタンパク質又はペプチドである。
一実施形態では、第1及び第2の融合タンパク質は1つ又は複数のペプチドリンカーを含む。リンカーは融合タンパク質中の種々の位置に取り込むことができる。例えば、リンカーは結合パートナーとそれに付加されているタンパク質の間に導入することができる。
一実施形態では、リンカーはペプチドリンカーである。
本明細書で使用される用語「ペプチドリンカー」とは、アミノ酸配列を有するペプチドのことである。一定範囲の適切なペプチドリンカーは当業者には公知であろう。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体の結合パートナーはペプチドリンカーを介してそのそれぞれのタンパク質に結合されている。
一実施形態では、融合タンパク質は翻訳融合であり、すなわち、融合タンパク質が発現されるもとの遺伝子構築物を含む宿主細胞において発現される融合タンパク質である。
一実施形態では、融合タンパク質は、場合によってはペプチドリンカーを介してAの重鎖をXに及び/又はBの重鎖をYに融合させることにより調製される。
一実施形態では、ペプチドリンカーは50アミノ酸長又はそれよりも少なく、例えば、20アミノ酸又はそれよりも少ない。
一般に、融合タンパク質を組換え的に発現させるほうが効率的であり、したがって、宿主細胞において発現させることが可能な直接ペプチド結合又はペプチドリンカーが有利である可能性がある。
一実施形態では、リンカーは配列5から72に示される配列又はPPPから選択される。


(S)は配列17から20では自由選択である。
強固なリンカーの例には、ペプチド配列GAPAPAAPAPA(配列番号69)、PPPP(配列番号70)及びPPPが含まれる。
他のリンカーは表3に示されている。
一態様では、本開示の二重特異性タンパク質複合体を産生する方法であって、
(a)結合対の第1の結合パートナー(X)に付加されている第1のタンパク質(A)を含む、第1の融合タンパク質(A−X)を作製するステップと、
(b)結合対の第2の結合パートナー(Y)に付加されている第2のタンパク質(B)を含む、第2の融合タンパク質(B−Y)を作製するステップと、
(c)ステップa)及びb)において調製された第1(A−X)と第2(B−Y)の融合タンパク質を一緒に混合するステップと
を含む上記方法が提供される。
典型的にはステップ(c)におけるA−XとB−Yの混合は1対1のモル比である。
一実施形態では、本開示の複合体中で用いられるそれぞれの融合タンパク質は、発現実験において宿主細胞(単数又は複数)での発現により産生される。
一態様では、本開示の二重特異性タンパク質複合体を調製する方法であって、
(a)結合対の第1の結合パートナー(X)に付加されている第1のタンパク質(A)を含む、第1の融合タンパク質(A−X)を発現させるステップと、
(b)結合対の第2の結合パートナー(Y)に付加されている第2のタンパク質(B)を含む、第2の融合タンパク質(B−Y)を発現させるステップと、
を含み、
融合タンパク質A−X及びB−Yが同じ宿主細胞又は異なる宿主細胞から発現される上記方法が提供される。
本明細書で用いられる異なる宿主細胞とは、同じ種類(同じクローン種でさえ)の細胞を含む、個々の細胞のことである。
一実施形態では、発現は一過性発現である。一過性発現の使用は、精製に頼らずに二重特異性複合体を生成する能力と組み合わされると極めて有利である。これにより、一過性トランスフェクションは安定なトランスフェクションよりもはるかに簡単であり資源多消費ではないので、二重特異性タンパク質複合体を産生する迅速な方法が得られる。
一実施形態では、発現は安定な発現である、すなわち、そこでは問題になっている融合タンパク質をコードするDNAは宿主細胞ゲノム内に安定的に組み込まれている。
一実施形態では、同じ又は異なるポリヌクレオチド配列上のA−Xをコードするポリヌクレオチド及びB−Yをコードするポリヌクレオチドは機能アッセイの一部として細胞内にトランスフェクトされ、タンパク質が細胞内で発現される及び/又はそこから放出される。特に、ポリヌクレオチドは同じ又は異なるプラスミド上に一過性にトランスフェクトされる。
A−XとB−Yの混合は、一般的に、XとYが相互作用できる条件で成し遂げられる。一実施形態では、融合タンパク質は、細胞培養条件下で細胞培養培地においてインキュベートされ、例えば、融合タンパク質は37℃/5%CO環境において90分間インキュベートされる。
一実施形態では、本開示の融合タンパク質は水性環境で混合され、例えば、1つの融合タンパク質はビーズ又はプレートなどの固体表面に結合させることができ、もう一方の融合タンパク質は水溶液/懸濁液中でそれに対して導入することが可能である。固相であれば過剰な成分及び試薬は容易に洗い流すことができる。一実施形態では、どちらの融合物も固相に付加されておらず、液体/溶液/培養液中で混合しているだけである。したがって、一実施形態では、A−X及びB−Yは水性媒体中で遊離のタンパク質として混合している。
有利なことに、本開示の方法を用いれば、異種対間(すなわち、第1の融合タンパク質[A−X]と第2の融合タンパク質[B−Y]の間)で形成され、同種対間(すなわち、2つの第1の融合タンパク質[A−X]間又は2つの第2の融合タンパク質[B−Y]間)の相互作用が最小化されている複合体を調製することが可能である。したがって、本方法により、ホモ二量体複合体の混入を最小限にして又はなしで、多数の二重特異性タンパク質複合体を調製することが可能になる。本開示の構築物及び方法の利点は、A−XとB−Yの比がA−XとB−Yの特性により制御され、特に、モル比1対1を達成することが可能である点である。この制御の要素は、ある種に先行技術の方法よりも著しい改良点である。
一実施形態では、本開示の方法は、相乗活性を有すると確認されている対の可変領域(特に、2つの対の可変領域)を別の二重特異性フォーマットに移動させ、場合により必要ならば予め前記可変領域をヒト化しておく追加のステップを含み、このフォーマットは別の治療フォーマット及び/又はさらに長い期間の(例えば、1週間又はそれよりも長く行われる)アッセイにおいて試験するのに適している延長された半減期を有するフォーマットである。
多価フォーマットには、DVD−Ig、例えば、WO2009/040562及びWO2010/035012に開示されているFabFv、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディなどの当技術分野で公知のフォーマット及び本明細書に記載されるフォーマットが含まれる。
二重及び多特異性フォーマット(治療フォーマットを含む)の他の例には、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、タンデムscFv、タンデムscFv−Fc、FabFv、Fab’Fv、FabdsFv、Fab−scFv、Fab’−scFv、diFab、diFab’、scダイアボディ、scダイアボディ−Fc、scFv−Fc−scFv、scダイアボディ−CH、IgG−scFv、scFv−IgG、V−IgG、IgG−V、DVD−Ig、及びDuoBodyが含まれる。
本明細書で用いられるダイアボディとは、2つのFv対、すなわち、第1のFvのVHが第2のFvのVLに連結され、第1のFvのVLが第2のFvのVHに連結されるように2つのFv内リンカーを有するVH/VLと追加のVH/VL対のことである。
本明細書で用いられるトリアボディとは、3つのFv対と3つのFv内リンカーを含むダイアボディに類似するフォーマットのことである。
本明細書で用いられるテトラボディとは、4つのFv対と4つのFv内リンカーを含むダイアボディに類似するフォーマットのことである。
本明細書で用いられるタンデムscFvとは、単一のFv内リンカーが存在するように単一のリンカーを介して互いに連結されている2つのscFv(リンカーを含むそれぞれは通常の様式である)のことである。
本明細書で用いられるタンデムscFv−Fcとは、それぞれ1つが定常領域断片−CH2CH3のCH2ドメインのN末端に、例えば、ヒンジを介して付加している2つのタンデムscFvのことである。
本明細書で用いられるFabFvとは、可変領域が以下の重鎖のCH1及び軽鎖のCLのそれぞれのC末端に付加されているFab断片のことである。フォーマットはそのペグ化バージョンとして提供することができる。
本明細書で用いられるFab’FvはFabFvに類似しており、Fab部分がFab’で置き換えられている。フォーマットはそのペグ化バージョンとして提供することができる。
本明細書で用いられるFabdsFvとは、Fv内ジスルフィド結合が付加されたC末端可変領域を安定化しているFabFvのことである。フォーマットはそのペグ化バージョンとして提供することができる。
本明細書で用いられるFab−scFVは、scFvが軽又は重鎖のC末端に付加されているFab分子のことである。
本明細書で用いられるFab’−scFVは、scFvが軽又は重鎖のC末端に付加されているFab’分子のことである。
本明細書で用いられるDiFabとは、重鎖のC末端を介して連結されている2つのFab分子のことである。
本明細書で用いられるDiFab’とは、そのヒンジ領域において1つ又は複数のジスルフィド結合を介して連結されている2つのFab’分子のことである。
本明細書で用いられるように、scダイアボディは、分子が3つのリンカーを含みそのVHとVL末端のそれぞれが追加のFv対の可変領域の1つに連結されている正常なscFvを形成するように、Fv内リンカーを含むダイアボディである。
本明細書で用いられるscダイアボディ−Fcは、それぞれ1つが定常領域断片−CH2CH3のCH2ドメインのN末端に、例えば、ヒンジを介して付加されている2つのscダイアボディである。
本明細書で用いられるScFv−Fc−scFvとは、それぞれのうちの1つが−CH2CH3断片の重鎖と軽鎖の両方のN末端とC末端に付加されている4つのscFvのことである。
本明細書で用いられるscダイアボディ−CH3とは、例えば、ヒンジを介してCH3ドメインにそれぞれが連結されている2つのscダイアボディ分子のことである。
本明細書で用いられるIgG−scFvは、scFvが重鎖のそれぞれ又は軽鎖のそれぞれのC末端にある完全長抗体である。
本明細書で用いられるscFv−IgGは、scFvが重鎖のそれぞれ又は軽鎖のそれぞれのN末端にある完全長抗体である。
本明細書で用いられるV−IgGは、可変ドメインが重鎖のそれぞれ又は軽鎖のそれぞれのN末端にある完全長抗体である。
本明細書で用いられるIgG−Vは、可変ドメインが重鎖のそれぞれ又は軽鎖のそれぞれのC末端にある完全長抗体である。
DVD−Ig(デュアルVドメインIgGとしても知られる)は、それぞれの重鎖及びそれぞれの軽鎖のN末端に1つ、4つの付加的可変領域を有する完全長抗体である。
本明細書で用いられるDuobody又は「Fab−arm交換」は、2つの異なるモノクローナル抗体の定常領域(典型的にはCH3)においてマッチドした相補的な工学的に操作されたアミノ酸変化が、混合するとヘテロ二量体の形成をもたらす二重特異性IgG抗体フォーマットである。第1の抗体由来の重/軽鎖対は、残基の工学的操作の結果、第2の抗体の重:軽鎖対と会合するほうを好む。
存在する場合、本開示の二重特異性抗体複合体又は抗体分子の定常領域ドメインは、存在する場合、複合体又は抗体分子の提唱されている機能、特に、必要になる可能性のあるエフェクター機能を考慮して、選択することができる。例えば、定常領域ドメインはヒトIgA、IgD、IgE、IgG又はIgMドメインであってよい。特に、抗体分子が治療的使用を意図されており抗体エフェクター機能が必要とされるときは、特に、IgG1及びIgG3アイソタイプのヒトIgG定常領域ドメインを使用することができる。代わりに、抗体分子が治療目的を意図されており抗体エフェクター機能が必要とされないときは、IgG2及びIgG4アイソタイプを使用することができる。これらの定常領域ドメインの配列変異体も使用できることは認識されるであろう。例えば、Angal et al., 1993, Molecular Immunology, 1993, 30:105-108に記載されている241位のセリンがプロリンに交換されているIgG4分子を使用することができる。したがって、抗体がIgG4抗体である実施形態では、抗体は変異S241Pを含むことができる。
抗体は種々の翻訳後修飾を受けることができることも当業者であれば理解するであろう。これらの修飾の種類及び程度は多くの場合、抗体を発現するのに使用される宿主細胞系並びに培養条件に依拠する。そのような修飾には、グリコシル化、メチオニン酸化、ジケトピペラジン形成、アスパラギン酸異性化及びアスパラギン脱アミド化の変動が含まれる場合がある。頻繁な修飾は、カルボキシペプチダーゼの作用によるカルボキシ末端塩基残基(リシン又はアルギニンなどの)の喪失である(Harris, RJ. Journal of Chromatography 705:129-134, 1995に記載されている)。したがって、抗体重鎖のC末端リシンは非存在でもよい。
本開示は、上記の1つ又は複数の二重特異性タンパク質複合体を含む組成物であって、例えば、ホモ二量体複合体の混入を最小限にする又はなしで本開示に従ったヘテロ二量体二重特異性複合体を主に含む上記組成物も提供する。
一実施形態では、組成中の融合タンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%は二重特異性タンパク質複合体形態である。
一実施形態では、組成中の融合タンパク質の少なくとも60%は二重特異性タンパク質複合体形態である。
一実施形態では、形成された複合体はさらなる精製ステップを必要とせず、したがって、組成物は未精製二重特異性複合体を含む。
一実施形態では、形成された複合体は1回の精製ステップ、例えば、カラムクロマトグラフィーを必要とする。
一実施形態では、方法は、例えば、本開示に従った融合タンパク質の発現後及び融合タンパク質を混合する前に、少なくとも1回の精製ステップをさらに含む。
一態様では、本開示は、本明細書で定義される融合タンパク質、ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体、融合タンパク質又は前記二重特異性タンパク質複合体を含む組成物、マルチプレックス、アレイ、ライブラリーに関する。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体は溶液又は懸濁液中にある。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体は固体基材表面上に固定されている。
一実施形態では、マルチプレックスはアレイの形態、例えば、96又は384ウェルプレートなどのマイクロプレート中にある。そのようなアレイは、所望の機能性を備えた二重特異性タンパク質複合体を同定するためのスクリーニングアッセイにおいて容易に実行することが可能である。
別の実施形態では、二重特異性タンパク質複合体はビーズにコンジュゲートされている。
上で定義される融合タンパク質は、本開示に従った二重特異性タンパク質複合体の成分である。一態様では、本開示は本明細書に記載される融合タンパク質に関する。
追加の態様では、上で定義される2つ又はそれよりも多い融合タンパク質を含むライブラリーが提供される。
本明細書で使用される用語「ライブラリー」とは、組み合わせれば本開示に従った少なくとも2つの異なる二重特異性抗体複合体を形成することが可能な、本開示の2つ若しくはそれよりも多い二重特異性抗体複合体又は本開示の複数の融合タンパク質のことである。本明細書全体を通じて記載されるように、用語「ライブラリー」はその最も広い意味で使用され、サブライブラリーも包含することができる。
有利なことに、ライブラリーは、特定の結合対の第1の結合パートナー(X)又は第2の結合パートナー(Y)のいずれかが付加されている一定範囲の異なる融合タンパク質を含むことができる。一実施形態では、ライブラリーの一部は、それぞれが結合パートナーXに連結しているタンパク質/抗体/断片を含み、ライブラリーの残りはそれぞれが結合パートナーYに連結している同じタンパク質/抗体/断片を含む。したがって、これにより、1つの融合タンパク質に結合対の第1の結合パートナーが付加されておりもう一方の融合タンパク質に結合対の第2の結合パートナーが付加されている限り、任意の2つの融合タンパク質を容易に組み合わせて本開示の二重特異性タンパク質複合体を形成することが可能になる。
一実施形態では、本発明の二重特異性タンパク質複合体は治療応用に適しており、疾患の処置に新規の治療薬を提供することができる。したがって、追加の態様では、治療において使用するための上記の二重特異性タンパク質複合体が提供される。二重特異性タンパク質複合体は、自己免疫疾患及びがんなどの一定範囲の疾患を処置するのに適している。
逆に、Tリンパ球に対して特異的な1つの抗体又は抗体断片及びがん特異的抗原に対して特異的な別の抗体又は抗体断片を備えた本開示の二重特異性タンパク質複合体を工学的に作製することが可能である。その結果、本開示の二重特異性抗体複合体は、通常のモノクローナル抗体と比べた場合、より高い細胞傷害性潜在力を有することができて有利である。
本開示の二重特異性タンパク質複合体は、種々の自己免疫疾患において免疫及び自己免疫反応を制御するためにB細胞機能を阻害するのにも特に適している。
したがって、本開示は、本開示の二重特異性タンパク質複合体の投与を含む、患者において疾患を処置する方法にまで及ぶ。
一態様では、本開示の1つ又は複数の二重特異性タンパク質複合体を含む医薬組成物が提供される。
一実施形態では、本開示の方法のために入手される又は入手可能な融合タンパク質が提供される。
一実施形態では、本開示の方法から入手される又は入手可能な二重特異性抗体複合体が提供される。
一実施形態では、本開示に従った方法により同定される可変領域組合せを含む二重特異性又は多特異性抗体分子が提供される。
一実施形態では、本開示の方法から得られる融合タンパク質、二重特異性抗体複合体又は二重特異性/多特異性抗体分子を含む医薬組成物などの組成物が提供される。
薬学的に許容される担体、賦形剤及び/又は希釈剤を含む、種々の異なる成分を組成物に含めることが可能である。組成物は、場合により、本発明の抗体の集団の特徴を変えることができる追加の分子を含み、それによって、例えば、抗体の機能を減少する、安定化する、遅らせる、調節する及び/又は活性化することができる。組成物は、固体又は液体形態でもよく、なかんずく、粉末、錠剤、溶液又はエアロゾルの形態でもよい。
本開示は、本発明の二重特異性タンパク質複合体を、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体のうちの1つ又は複数と組み合わせて含む医薬又は診断組成物も提供する。したがって、処置において使用するための及び病態又は障害の処置用の薬物の製造のための本発明の二重特異性タンパク質複合体の使用が提供される。
病態又は障害は、例えば、感染症(ウイルス性、細菌性、真菌性及び寄生性)、感染に関連するエンドトキシンショック、関節リウマチなどの関節炎、重症喘息などの喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、骨盤内炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病(Pilonidal disease)、腹膜炎、乾癬、血管炎、外科的癒着(surgical adhesions)、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、髄膜脳炎、自己免疫ブドウ膜炎;多発性硬化症、ループス(全身性エリトマトーデスなどの)及びギランバレー症候群などの中枢及び末梢神経系の免疫媒介炎症性疾患;アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維性肺胞炎、グレーブス病、IgA腎炎、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、他の自己免疫疾患、膵炎、外傷(手術)、移植片対宿主病、移植片拒絶、心筋梗塞並びに粥状動脈硬化などの虚血性疾患を含む心疾患、血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、変形性関節炎、歯周炎、低酸症(hypochlorhydia)並びに乳がん、肺がん、胃がん、卵巣がん、肝細胞がん、結腸がん、膵がん、食道がん、頭頸部がん、腎がんなどのがん、特に、腎細胞癌、前立腺がん、肝がん、メラノーマ、肉腫、骨髄腫、神経芽細胞腫、胎盤性絨毛癌、子宮頸がん、及び甲状腺がん、並びにその転移型からなる群から選択することができる。
本開示は、本発明の二重特異性タンパク質複合体を、薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体のうちの1つ又は複数と組み合わせて含む医薬又は診断組成物も提供する。したがって、処置において及び薬物の製造において使用するための本発明の二重特異性タンパク質複合体の使用が提供される。
組成物は、通常薬学的に許容される担体を含むことになる無菌の医薬組成物の一部として普通、供給されることになる。本発明の医薬組成物は薬学的に許容されるアジュバントをさらに含むことができる。
本発明は、本発明の抗体分子又は二重特異性抗体複合体を薬学的に許容される賦形剤、希釈剤又は担体のうちの1つ又は複数と一緒に添加して混合することを含む、医薬又は診断組成物の調製のための工程も提供する。
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される賦形剤」とは、本発明の組成物の所望の特徴を増強する薬学的に許容される製剤担体、溶液又は添加物のことである。賦形剤は当技術分野では周知であり、緩衝剤(例えば、クエン酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤及び炭酸水素緩衝剤)、アミノ酸、尿素、アルコール、アスコルビン酸、リン脂質、タンパク質(例えば、血清アルブミン)、EDTA、塩化ナトリウム、リポソーム、マンニトール、ソルビトール、及びグリセロールが含まれる。溶液又は懸濁液はリポソーム又は生分解性マイクロスフェアに被包することが可能である。製剤は、一般に、無菌の製造工程を用いて実質的に無菌の形態で提供されることになる。
これには、製剤のために使用される緩衝溶媒溶液の濾過による生産及び無菌化、無菌緩衝溶媒溶液中での抗体の無菌懸濁、並びに当業者によく知られている方法による製剤の無菌容器中への分注が含まれることがある。
薬学的に許容される担体はそれ自体が、組成物を受ける個体にとって有害な抗体の産生を誘導するべきではないし、毒性を持つべきではない。適切な担体は、タンパク質、ポリペプチド、リポソーム、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合アミノ酸、アミノ酸共重合体及び不活性ウイルス粒子などの大きなゆっくり代謝される巨大分子であってよい。
薬学的に許容される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩及び硫酸塩などの鉱酸塩、又は酢酸、プロピオン酸、マロン酸及び安息香酸などの有機酸の塩を使用することが可能である。
治療組成物中の薬学的に許容される担体は、水、生理食塩水、グリセロール及びエタノールなどの液体をさらに含有することができる。そのような担体であれば、患者による摂取のために、医薬組成物を、錠剤、ピル、糖衣錠、カプセル、液剤、ジェル、シロップ、スラリー及び懸濁液として処方することができる。
本発明の二重特異性タンパク質複合体は溶媒中に分散させて、例えば、溶液又は懸濁液の形態で送達することが可能である。本発明の二重特異性タンパク質複合体は、適切な生理溶液、例えば、生理食塩水、薬学的に許容される溶媒又は緩衝液に懸濁することが可能である。当技術分野で公知の緩衝液は、約4.0から5.0のpHを達成するために1mlの水あたり0.05mgから0.15mgのエデト酸二ナトリウム、8.0mgから9.0mgのNaCl、0.15mgから0.25mgのポリソルベート、0.25mgから0.30mgの無水クエン酸、及び0.45mgから0.55mgのクエン酸ナトリウムを含有することができる。上記のように、懸濁液は、例えば、凍結乾燥した抗体から作ることが可能である。
薬学的に許容される担体の徹底的な検討はRemington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company, N.J. 1991)で入手可能である。
二重特異性抗体複合体(又は本開示の二重特異性/多特異性抗体分子)は医薬又は診断組成物中で唯一の活性成分であってもよく、或いは他の抗体成分、例えば、抗TNF、抗IL−1β、抗T細胞、抗IFNγ若しくは抗LPS抗体、又はキサンチンなどの非抗体成分を含む他の活性成分を伴うことができる。他の適切な活性成分には、トレランスを誘導することができる抗体、例えば、抗CD3又は抗CD4抗体が含まれる。
追加の実施形態では、本開示に従った抗体、断片又は組成物は、追加の医薬活性剤、例えば、コルチコステロイド(フルチカゾンプロピオン酸エステルなどの)及び/若しくはベータ2アゴニスト(サルブタモール、サルメテロール又はホルモテロールなどの)又は細胞成長及び増殖阻害剤(ラパマイシン、シクロホスファミド(cyclophosphmide)、メトトレキサートなどの)又は代わりにCD28及び/若しくはCD40阻害剤と組み合わせて用いられる。一実施形態では、阻害剤は小分子である。別の実施形態では、阻害剤は標的に特異的な抗体である。
医薬組成物は治療的有効量の本発明の二重特異性抗体複合体(又は本開示の二重特異性/多特異性抗体分子)を適切に含む。
本明細書で使用される用語「治療的有効量」とは、標的とされた疾患若しくは状態を処置する、寛解する若しくは予防する、又は検出可能な治療若しくは予防効果を示すのに必要な治療剤の量のことである。任意の抗体では、治療的有効量は、最初は細胞培養アッセイにおいて、又は動物モデルにおいて、通常、齧歯類、ウサギ、イヌ、ブタ若しくは霊長類においてのどちらかで推定することが可能である。動物モデルを使用して適切な濃度範囲及び投与経路を決定することもできる。次に、そのような情報を使用すればヒトにおける有用な用量及び投与のための経路を決定することが可能である。
ヒト対象についての正確な治療的有効量は、疾病状態の重症度、対象の全般的健康、対象の年齢、体重及び性別、食事、投与時間及び回数、薬物組合せ(単数又は複数)、反応感受性及び治療に対するトレランス/応答に依拠することになる。この量はルーチンな実験方法により決定することが可能であり、臨床医の判断の範囲内である。一般に、治療的有効量は0.01mg/kgから50mg/kg、例えば、0.1mg/kgから20mg/kgになる。代わりに、用量は1日あたり10から100、200、300又は400mgなどの1日あたり1から500mgであってよい。医薬組成物は、所定量の本発明の活性剤を含有する単位用量形態で都合よく提示することができる。
組成物は患者に独立して投与してもよいし、又は他の薬剤、薬物若しくはホルモンと組み合わせて(例えば、同時に、逐次又は別々に)投与してもよい。
本発明の抗体分子が投与される用量は、処置される状態の性質、存在する炎症の程度及び抗体分子が予防的に使用されているのか又は既存の状態を処置するために使用されているのかどうかに依拠する。投与回数は抗体分子の半減期及びその効果の持続時間に依拠することになる。抗体分子の半減期が短い(例えば、2から10時間)場合、1日あたり1又は複数用量を与える必要がある場合もある。代わりに、抗体分子の半減期が長い(例えば、2から15日)場合、1日あたり1回、1週間あたり1回又は1若しくは2か月ごとに1回でも用量を与えるだけでよい場合もある。
本開示では、最終製剤のpHは抗体又は断片の等電点の値に類似してはいない。なぜならば、製剤のpHが7である場合、8〜9又はそれよりも上のplが適切である場合があるからである。理論に縛られたくはないが、これは最終的に最終製剤に改善された安定性をもたらすことができる、例えば、抗体又は断片は溶液のままであると考えられる。
本発明の医薬組成物は、経口、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、くも膜下腔内、脳室内、経皮(transdermal)、経皮(transcutaneous)(例えば、WO98/20734参照)、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸内、局所的、舌下、膣内又は直腸経路を含むがこれらに限定されないいかなる数の経路によっても投与することができる。皮下噴射器を使用して本発明の医薬組成物を投与することもできる。
組成物の直接送達は、一般的には、皮下に、腹腔内に、静脈内に若しくは筋肉内に注射により実現される、又は組織の間質腔に送達されることになる。組成物は対象の特定の組織にも投与することが可能である。投薬処置は単回服用予定でも複数回服用予定でもよい。
生成物が注射又は注入目的である場合、油性又は水性溶媒中の懸濁液、水溶液又は乳化液の形態を帯びることができ、生成物は懸濁剤、保存剤、安定化剤及び/又は分散剤などの調合剤を含有することができる。代わりに、二重特異性タンパク質複合体(又は本開示の二重特異性/多特異性抗体分子)は、適切な無菌液体と一緒に使用する前の復元のために乾燥形態でもよい。消化管を使用する経路により組成物を投与するつもりであれば、組成物は抗体を分解から保護ししかし消化管から吸収された後は二重特異性タンパク質複合体を放出する薬剤を含有する必要があることになる。
本開示に従った噴霧可能な製剤は、例えば、ホイル包みに充填された単回用量単位(例えば、密封されたプラスチック容器又はバイアル)として提供することができる。それぞれのバイアルは、容積が、例えば、2mlの溶媒/溶液緩衝液中に単位用量を含有する。
本明細書で使用される用語「変異体」とは、対応する野生型ペプチド又はタンパク質のアミノ酸又はヌクレオチド配列と比べた場合、少なくとも1つのアミノ酸配列又はヌクレオチド配列変化を含有するペプチド又はタンパク質のことである。変異体は対応する野生型ペプチド又はタンパク質に少なくとも80%、又は85%、又は90%、又は95%、又は98%、又は99%配列同一性を含むことができる。しかし、変異体は、対応する野生型ペプチド又はタンパク質に実質的に類似する機能を示すのであれば、80%未満の配列同一性を含むことが可能である。
抗原には、T細胞若しくはB細胞シグナル伝達受容体などの細胞表面受容体、共刺激分子、チェックポイント阻害剤、ナチュラルキラー細胞受容体、免疫グロブリン受容体、TNFRファミリー受容体、B7ファミリー受容体、接着分子、インテグリン、サイトカイン/ケモカイン受容体、GPCR、成長因子受容体、キナーゼ受容体、組織特異的抗原、がん抗原、病原体認識受容体、補体受容体、ホルモン受容体又はサイトカイン、ケモカイン、ロイコトリエン、成長因子、ホルモン若しくは酵素などの可溶性分子又はイオンチャネル、そのエピトープ、断片及び翻訳後修飾形態が含まれる。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体は1つ又は2つの細胞表面受容体特異性を含む。
一実施形態では、二重特異性タンパク質複合体は1つ又は2つのサイトカイン又はケモカイン特異性を含む。
本開示に従った方法により同定される対になった標的に対する抗体又は断片は、実験用試薬、アッセイ用試薬又は治療薬として使用するのに適したいかなるフォーマットにも組み込むことができる。
したがって、一態様では、本開示は、任意のフォーマットの対としての抗体断片又はその組合せの使用に及び、その例は上に与えられている。
本開示は、特定の抗原特異性を備えた前記新規のフォーマットを含む医薬組成物などの組成物までも及ぶ。
追加の態様では、本開示は処置におけるフォーマット及び組成物の使用を含む。
一実施形態では、本開示の二重特異性タンパク質複合体を使用すれば、対象の抗原(単数又は複数)の活性を機能的に変えることができる。例えば、二重特異性タンパク質複合体は前記抗原(単数又は複数)の活性を直接的に又は間接的に中和する、拮抗する又は刺激することができる。
本開示は、例えば、
a)結合対の第1の結合パートナー(X)に付加されている第1の抗体又は抗体断片(A)を含む1つ又は複数の融合タンパク質(A−X)、及び
b)結合対の第2の結合パートナー(Y)に付加されている第2の抗体又は抗体断片(B)を含む1つ又は複数の融合タンパク質(B−Y)を含むキットであって、後者が第1の結合パートナーに対して特異的であり、
例えば、第1の結合パートナー(X)がペプチド又はポリペプチドであり第2の結合パートナー(Y)がそれに特異的な抗体又は抗体断片であり、
Yである第2の結合パートナーが第1の結合パートナーXに特異的であり、第2の結合パートナーが、例えば、それに特異的な抗体又は抗体断片であり、2つの結合パートナーの特異的相互作用(結合相互作用などの)が、a)とb)由来の2つの融合タンパク質を物理的に一つにまとめて二重特異性タンパク質複合体を形成するヘテロ二量体繋を形成し、
融合タンパク質(単数又は複数)が複合体化された又は非複合体形態である
上記キットにまでも及ぶ。
有利なことに、キットは本開示の二重特異性タンパク質複合体を含んでいてもよいし、又は複合体化された若しくは非複合体形態である融合タンパク質を含んでいてもよい。前者の場合では、二重特異性タンパク質複合体は便利さと使用のしやすさを提供する「枠を超える」使用の準備が整っており、後者の場合では、二重特異性タンパク質複合体は異なる融合タンパク質を組み合わせることにより使用者の要件に従って会合させることが可能である。
別の実施形態では、キットは使用のための説明書をさらに含む。
さらに別の実施形態では、キットは1つ又は複数の機能アッセイを実施するための1つ又は複数の試薬をさらに含む。
一実施形態では、本明細書に記載される融合タンパク質、二重特異性タンパク質複合体、マルチプレックス、格子、ライブラリー、組成物、等は実験用試薬としての使用を目的とする。
追加の態様では、ヌクレオチド配列、例えば、上で定義される融合タンパク質及び/又は二重特異性タンパク質複合体をコードするDNA配列が提供される。
一実施形態では、ヌクレオチド配列、例えば、本開示に従った二重特異性タンパク質複合体をコードするDNA配列が提供される。
一実施形態では、ヌクレオチド配列、例えば、本開示に従った二重特異性又は多特異性抗体分子をコードするDNA配列が提供される。
本明細書の開示は上で定義されるヌクレオチド配列を含むベクターにも及ぶ。
本明細書で使用される用語「ベクター」とは、それがすでに連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子のことである。ベクターの例は「プラスミド」であり、これは追加のDNAセグメントをそこにライゲートすることができる環状二本鎖DNAループである。別の種類のベクターはウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントをウイルスゲノムにライゲートすることができる。ある種のベクターは、それが導入されている宿主細胞内で自律複製することができる(例えば、細菌性の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は宿主細胞のゲノムに組み込むことが可能であり、そこではベクターはそれに続いて宿主ゲノムと一緒に複製される。プラスミドはもっとも一般的に使用されている形態のベクターであるので、本明細書では、用語「プラスミド」と「ベクター」は互換的に使用することができる。
ベクターを構築することができる一般的な方法、すなわち、トランスフェクション法及び培養法は当業者には周知である。これに関しては、"Current Protocols in Molecular Biology", 1999, F. M. Ausubel (ed), Wiley Interscience, New York and the Maniatis Manual produced by Cold Spring Harbor Publishingを参照する。
本明細書で使用される用語「選択可能なマーカー」とは、その発現によってマーカー遺伝子を含有するベクターを形質転換されている又はトランスフェクトされている細胞を同定することができるようになるタンパク質のことである。広範囲の選択マーカーが当技術分野では公知である。例えば、典型的には選択可能マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞にG418、ハイグロマイシン又はメトトレキサートなどの薬物に対する耐性を与える。選択可能マーカーは、例えば、蛍光マーカーなどの視覚的に同定可能なマーカーでも可能である。蛍光マーカーの例には、ローダミン、FITC、TRITC、Alexa Fluors及びその種々のコンジュゲートが含まれる。
本開示の抗体をコードする1つ又は複数のDNA配列を含む1つ又は複数のクローニング又は発現ベクターを含む宿主細胞も提供される。本開示の抗体分子をコードするDNA配列の発現のためにはいかなる適切な宿主細胞/ベクター系でも使用することができる。細菌、例えば、大腸菌及び他の微生物系を使用してもよいし、又は真核生物、例えば、哺乳動物宿主細胞発現系を使用してもよい。適切な哺乳動物宿主細胞にはCHO、骨髄腫又はハイブリドーマ細胞が含まれる。
本開示は、本開示に従った融合タンパク質の産生のための工程であって、本開示のベクターを含有する宿主細胞を、本開示の分子をコードするDNAからタンパク質を発現するのに適した条件下で培養し、分子を単離することを含む上記工程も提供する。
本開示の二重特異性タンパク質複合体は診断/検出キット中で使用することができ、抗原特異性の特定の組合せを備えた二重特異性タンパク質複合体が使用される。例えば、キットは、両方が同じ細胞型上に存在している2つの抗原に対して特異的である二重特異性抗体複合体を含み、両方の抗原が首尾よく検出される場合にのみ確定診断を下すことができる。非複合体形態の2つの別々の抗体又は抗体断片よりもむしろ本開示の二重特異性抗体複合体を使用することにより、検出の特異性を大いに増強することが可能になる。
一実施形態では、二重特異性抗体複合体は固体表面に固定される。固体表面は例えば、チップ又はELISAプレートであってもよい。
試料中で第1と第2のペプチドの存在を検出するための本開示の二重特異性タンパク質複合体の使用がさらに提供され、二重特異性複合体は検出剤として使用される。
本開示の二重特異性抗体複合体は、例えば、結合した抗体−抗原複合体の検出を促進する蛍光マーカーにコンジュゲートすることができる。そのような二重特異性抗体複合体は免疫蛍光顕微鏡のために使用することが可能である。代わりに、二重特異性抗体複合体はウェスタンブロッティング又はELISAのためにも使用することができる。
一実施形態では、抗体(特に、本発明に従った抗体又は断片)を精製するための工程が提供される。
一実施形態では、本開示に従った融合タンパク質又は二重特異性タンパク質複合体を精製するための工程であって、不純物がカラム上に保持され抗体は非結合画分に維持されるように、アニオン交換クロマトグラフィーを非結合モードで実施するステップを含む、上記工程が提供される。ステップは、例えば、pH約6〜8で実施することができる。
工程は、例えば、pH約4〜5で実施される、カチオン交換クロマトグラフィーを用いる最初の捕捉ステップをさらに含むことができる。
工程は、生成物及び工程関連不純物が生成物ストリームから適切に分離されることを確実にする追加のクロマトグラフィーステップ(単数又は複数)をさらに含むことができる。
精製工程は、濃縮及びダイアフィルトレーションステップなどの1つ又は複数の限外濾過ステップも含むことができる。
上で使用される「精製された形態」は、91、92、93、94、95、96、97、98、99%w/w又はそれよりも多い純度などの少なくとも90%純度を指すことを意図されている。
本明細書の文脈では、「含む(comprising)」は「含む(including)」と解釈するべきである。
ある種の要素を含む開示の態様は、関連する要素「からなる」又は「基本的にからなる」別の実施形態に及ぶことも意図されている。
本明細書で用いられるプラスの実施形態は本開示の排除的なある種の態様の土台の役を果たすことができる。
二重特異性複合体に関係する方法の文脈における開示は、複合体それ自体に等しく当てはまり、逆もまた同じである。
項:
1.式A−X:Y−Bのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出する方法であって、
X:Yはヘテロ二量体繋であり、
A及びBはそれぞれX及びYとの融合タンパク質の形態である二重特異性体の成分であり、
(i)少なくとも1つのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質を含むマルチプレックスの一部又は全てについての機能アッセイにおいて活性を試験するステップと、
(ii)機能アッセイからの読み出し情報を解析して、二重特異性タンパク質複合体における相乗的生物学的機能を同定するステップと
を含む上記方法。
2.項1に従ったヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出するための方法であって、ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体のマルチプレックスを形成する第1のステップをさらに含む上記方法。
3.項1又は2に従ったヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出するための方法であって、Xがペプチド又はタンパク質であり、YがXに特異的なペプチド又はタンパク質結合パートナーである、上記方法。
4.項3に従ったヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出するための方法であって、ヘテロ二量体繋の結合親和性が5nM又はそれよりも強い、上記方法。
5.項4に従ったヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出するための方法であって、ヘテロ二量体繋の結合親和性が900pM又はそれよりも強い、例えば800、700、600、500、400又は300pMなどである、上記方法。
6.項3に従ったヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出するための方法であって、Xが抗体又はその結合断片である、上記方法。
7.項6に従ったヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出するための方法であって、XがFab、Fab’、単鎖Fv、及びVHHなどの単一ドメイン抗体を含む群から選択される抗体断片である、上記方法。
8.項7に従ったヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出するための方法であって、Xが単鎖Fvである、上記方法。
9.項8に従ったヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出するための方法であって、単鎖FvがペプチドGCN4に特異的である、上記方法。
10.項9に従ったヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出するための方法であって、単鎖Fvが52SR4である、上記方法。
11.項3から10のいずれか一項に従ったヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出するための方法であって、Yがペプチドである、上記方法。
12.項11に従ったヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出するための方法であって、ペプチドが5から25アミノ酸長である、上記方法。
13.項1から12のいずれか一項に従ったヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出するための方法であって、Aが抗体又はその結合断片である、上記方法。
14.項1から13のいずれか一項に従ったヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出するための方法であって、Bが抗体又はその結合断片である、上記方法。
15.マルチプレックスが、少なくとも1つのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質に対する少なくとも1つの生物学的コンパレーターを含む、先行する項のいずれか一項に従った方法。
16.複数の二重特異性タンパク質複合体が同時に試験される、項1から15のいずれか一項に従った方法。
17.式A−X:Y−Bのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的機能を検出する方法であって、
A−Xは第1の融合タンパク質であり、
Y−Bは第2の融合タンパク質であり、
X:Yはヘテロ二量体繋であり、
Aは二重特異性体の第1のタンパク質成分であり、
Bは二重特異性体の第2のタンパク質成分であり、
Xは結合対の第1の結合パートナーであり、
Yは結合対の第2の結合パートナーであり、
:はXとYの間の相互作用(結合相互作用などの)である、上記二重特異性タンパク質複合体。
18.XとYの間の結合相互作用が低い解離定数を有する、項17に従った二重特異性タンパク質複合体。
19.解離定数が1〜9×10−3−1又はそれよりも少ない、例えば1〜9×10−3−1、1〜9×10−4−1、1〜9×10−5−1、1〜9×10−6−1又は1〜9×10−7−1の範囲である、項18に従った二重特異性タンパク質複合体。
20.解離定数が1×10−4−1又はそれよりも少ない、例えば1×10−5−1、1×10−6−1又は1×10−7−1である、項19に従った二重特異性タンパク質複合体。
21.互いに対するXとYの親和性が5nM又はそれよりも強く、900pM又はそれよりも強い、例えば800、700、600、500、400又は300pMなどである、項17から20のいずれか一項に従った二重特異性タンパク質複合体。
22.Yがペプチド又はタンパク質である、項17から21のいずれか一項に従った二重特異性タンパク質複合体。
23.ペプチドがGCN4である、項22に従った二重特異性タンパク質複合体。
24.Xが抗体又は抗体断片である、項16から23のいずれか一項に従った二重特異性タンパク質複合体。
25.抗体断片がFab、Fab’、単鎖可変断片(scFv)及びVHHなどの単一ドメイン抗体(sdAb)からなる群から選択される、項24に従った二重特異性タンパク質複合体。
26.抗体断片がscFvである、項25に従った二重特異性タンパク質複合体。
27.scFvが52SR4である、項26に従った二重特異性タンパク質複合体。
28.X又はYがペプチドであり、ペプチドがE5B9と呼ばれるペプチドエピトープ以外である、項17から27のいずれか一項に従った二重特異性複合体。
29.結合パートナー対が、
(i)Xはグルタチオン(GSH)でありYはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)である、
(ii)XはFosでありYはJunである、
(iii)XはFLAGでありYは抗FLAG抗体又はその断片である、
(iv)XはHisでありYは抗Hisである、
(v)Xはマルトース結合タンパク質でありYは抗マルトース結合タンパク質又はその断片である
から選択される、項17に従った二重特異性タンパク質複合体。
30.Aが、抗体又は抗体断片などの、抗体、抗体断片、リガンド、受容体、阻害剤及び酵素からなる群から選択される、項17から29のいずれか一項に従った二重特異性タンパク質複合体。
31.Bが、抗体又は抗体断片などの、抗体、抗体断片、リガンド、受容体、阻害剤及び酵素からなる群から選択される、項17から30のいずれか一項に従った二重特異性タンパク質複合体。
32.A及び/又はBが細胞表面受容体に対して特異的である抗体又は抗体断片である、項30又は31のいずれか一項に従った二重特異性タンパク質複合体。
33.A及び/又はBがサイトカイン又はケモカインに対して特異的である抗体又は抗体断片である、項29から30のいずれか一項に従った二重特異性タンパク質複合体。
34.Xが第1の抗体又は抗体断片の重又は軽鎖のC末端に付加されており、例えば、Xが第1の抗体又は抗体結合断片の重鎖のC末端に付加されている、項30から34のいずれか一項に従った二重特異性タンパク質複合体。
35.Yが第2の抗体又は抗体結合断片の重又は軽鎖のC末端に付加されており、例えば、Yが第2の抗体又は抗体断片の重鎖のC末端に付加されている、項31から35のいずれか一項に従った二重特異性タンパク質複合体。
36.Aが第1の抗原に特異的な抗体又は抗体結合断片であり、Bが第2の抗原に特異的な抗体又は抗体断片であり、第1と第2の抗原が異なっている、項17から36のいずれか一項に従った二重特異性タンパク質複合体。
37.項17から37のいずれか一項に従った1つ又は複数の二重特異性タンパク質複合体を含む組成物。
38.融合タンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%が二重特異性タンパク質複合体形態である、項38に従った組成物。
39.融合タンパク質の少なくとも60%が二重特異性タンパク質複合体形態である、項39に従った組成物。
40.項19から37のいずれか一項に従った少なくとも2つの二重特異性タンパク質複合体を含み、二重特異性タンパク質複合体が異なる特異性を有する、二重特異性タンパク質複合体のマルチプレックス。
41.二重特異性タンパク質複合体が溶液中にある又は固体基材表面に固定されている、項41に従ったマルチプレックス。
42.マルチプレックスがアレイ又は格子の形態であり、例えば、96ウェルプレート又は384ウェルプレートなどのマイクロプレート中にある、項42に従ったマルチプレックス。
43.二重特異性タンパク質複合体がビーズにコンジュゲートされている、項41から43のいずれか一項に従ったマルチプレックス。
44.項1から37のいずれか一項に定義されている融合タンパク質A−X又はB−Y。
45.項1から37のいずれか一項に定義されている2つ又はそれよりも多い融合タンパク質を含むライブラリー。
46.項1から37のいずれか一項に定義されている融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列。
47.項47に従ったヌクレオチド配列を含むベクター。
48.治療において使用するための、項17から37のいずれか一項に従った二重特異性タンパク質複合体又は項38から40のいずれか一項に従った組成物。
49.項7から36のいずれか一項に従った二重特異性タンパク質複合体又は項37から39のいずれか一項に従った組成物の投与を含む、患者を処置する方法。
50.a)1つ又は複数の融合タンパク質A−X、及び
b)1つ又は複数の融合タンパク質B−Y
を含むキットであって、
X:Yはヘテロ二量体繋であり、
Aは二重特異性体の第1のタンパク質成分であり、
Bは二重特異性体の第2のタンパク質であり、
Xは、ペプチド又はタンパク質などの結合対の第1の結合パートナーであり、
Yは、結合対の第2の結合パートナー、例えば、Xに特異的なペプチド又はタンパク質であり、
XとYの間の特異的結合相互作用がヘテロ二量体繋を形成し、2つの融合物を物理的に持ちより二重特異性タンパク質複合体を形成するように、X及びYはホモ二量体を形成することができず、
キット中の融合タンパク質(単数又は複数)は複合体化された又は非複合体形態である、上記キット。
51.使用するための説明書をさらに含む、項51に従ったキット。
52.1つ又は複数の機能アッセイを実施するための1つ又は複数の試薬をさらに含む、項50又は51に従ったキット。
本明細書で参照される全ての参考文献は、参照により具体的に組み込まれる。
参考文献
1.Ribosome display efficiently selects and evolves high-affinity antibodies in vitro from immune libraries. Hanes J, Jermutus L, Weber-Bornhauser S, Bosshard HR, Pluckthun A. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 95, 14130-14135
2.Directed in Vitro Evolution and Crystallographic Analysis of a Peptide-binding Single Chain Antibody Fragment (scFv) with Low Picomolar Affinity. Zhand C, Spinelli S, Luginbuhl B, Amstutz P, Cambillau C, Pluckthun A. (2004) J. Biol. Chem. 279, 18870-18877
3.Antigen recognition by conformational selection. Berger C, Weber-Bornhauser S, Eggenberger Y, Hanes J, Pluckthun A, Bosshard H. R. (1999) F.E.B.S. Letters 450, 149-153
いくつかの例において用いられる一般方法
一般方法1:血小板アフェレーシス円錐体由来のヒトPBMCを凍結アリコートとして預けた。アッセイを実施するのに先立って、細胞は解凍し、DMEM(Life Technologies)中で洗浄し、37℃、5%CO環境に順応させた。
一般方法2:Fab’A−X及びFab’B−Yは90分間一緒にインキュベートし(37℃/5%CO環境で)、その後V字型底96ウェルプレートにおいて2.5×10PBMCと混合した。次に、PBMCプラス二重特異性(Fab’A−X及びFab’B−Y)又は二価(例えば、Fab’A−X Fab’A−Y)組合せをさらに90分間一緒にインキュベートした。この時間の後、B細胞は、37℃で8分間、200nMのヤギF(ab’)抗ヒトIgM(Southern Biotechnology)の添加により活性化した。次に、シグナル伝達反応は等容積のCytofix緩衝液(BD Biosciences)を添加することにより停止させた。次に、プレートは15分間室温で放置し、その後500gで5分間遠心分離した。過剰な上澄みは細胞ペレットから捨て、このペレットはフロー緩衝液に再懸濁しもう1度洗浄した。次に、細胞は30分間、氷冷Perm Buffer III(BD Biosciences)に再懸濁し、その後フロー緩衝液で2度洗浄した。
一般方法3:細胞は一般方法2に記載される通りに活性化し、蛍光的に標識された抗CD20抗体(BD Biosciences)、473位の改変セリン残基を認識する抗リン酸Akt抗体、759位の改変されたチロシン残基を認識する抗リン酸PLCg2抗体及び全IkBを認識した抗IkB抗体で染色した。次にプレートは再懸濁し、暗所において室温で1時間インキュベートした。この時間の後、プレートはさらに2回洗浄し、25μlのフロー緩衝液に再懸濁した。CD20、Akt及びPLCg2の細胞発現は、Intellicyt HTFC(商標)フローサイトメトリーを使用して測定した。
(例1)
本開示の二重特異性抗体複合体FabB−GCN4(7P14P):52SR4−FabAの構築
図2及び4は本開示の代表的な二重特異性抗体複合体を示している。二重特異性抗体複合体は第1と第2の融合タンパク質で構成されている。
第1の融合タンパク質(A−X)は抗原6に対する特異性を備えたFab断片(FabA(Fab#1とも呼ばれる))を含み、この断片はペプチドリンカーASGGGG配列番号71を介してX scFv(クローン52SR4配列番号3)に付加されており、このリンカーはFab断片のCHドメインのC末端とscFvのVドメインに連結されている。scFvそれ自体もそのVとVドメインの間に位置するペプチドリンカーを含有している。
第2の融合タンパク質(B−Y)はFab断片(抗原5に対する特異性を備えたFabB[Fab#2とも呼ばれる])を含む。しかし、第1のタンパク質と比べて、Fab断片はペプチドリンカーASGGGG配列番号71を介してY ペプチドGCN4(クローン7P14P配列番号1)に付加されており、このリンカーはFab断片のCHドメインに連結されている。
scFv、Xは結合パートナーY、GCN4に対して特異的であり相補的である。その結果、2つの融合タンパク質が互いに接触すると、scFvとGCN4ペプチドの間の非共有結合相互作用が起こり、それによって2つの融合タンパク質が二重特異性抗体複合体の形態で物理的に保持される。
単鎖抗体(scFv)52SR4は、GCN4(7P14P)で免疫されたマウスの脾臓からリボソームディスプレイVL−リンカー−VH scFvライブラリーを構築しパニングすることにより得られた(参考文献1)。追加の2004年度出版物は、ランダム化されたライブラリーのリボソームディスプレイを再び使用して報告されている5pMへの52SR4の親和性成熟を報告している(参考文献2)。
GCN4ペプチドは7位及び14位にプロリン残基を含むことにより酵母転写因子GCN4に由来しており、したがってBerger et alによる1999年度出版物に記載されている通りに、scFv結合するとGCN4(7P14P)は単量体状態のままである(参考文献3)。
GCN4ペプチド及び52SR4 scFvをコードするヌクレオチド配列は、2つの別々のベクターの、CHを含有し抗体VH領域を受け入れるようにすでに設計されている社内重鎖Fab発現ベクターの下流にクローニングした。
次に、抗抗原6抗体及び抗抗原5抗体由来のVH領域はこれら2つの重鎖ベクターに別々にクローニングした。
GCN4ペプチド及び52SR4 scFvをコードするヌクレオチド配列は、それぞれ第1及び第2のベクターの、CKを含有し抗体VL領域を受け入れるように設計されている社内軽鎖Fab発現ベクターの下流に別々にクローニングした。
抗抗原6抗体及び抗抗原5抗体由来のVL領域は、適切な重鎖ベクターと同時発現してFab−scFv及びFab−ペプチドタンパク質を発現するために社内軽鎖発現ベクターのCKを備えたフレームに別々にクローニングした。
次に、ベクターを配列決定して、クローニングが成功しており、それに続いて細胞が、それぞれ抗抗原6抗体及び抗抗原5抗体由来のV領域を備えたFab−scFvとFab−ペプチドタンパク質を別々に発現したことを確認した。例1の抗原5及び6は、大きな格子フォーマットを備えた後の例において抗原5及び抗原6とラベルされた抗原ではない。
(例2)
2つの標的抗原に同時に共結合することが可能な非共有結合二重特異性抗体を形成するscFv:ペプチド相互作用のフローサイトメトリー実証
図5は、scFv:ペプチド結合相互作用を使用して形成される2つの異なる二重特異性抗体複合体の抗原特異性を実証するフローサイトメトリー実験の結果を示している。
第1の二重特異的抗体複合体は、以下の2つの融合タンパク質:
1.抗抗原5Fab−scFv(52SR4);及び
2.抗抗原6Fab−ペプチド(GCN4)
を使用して構築した。
第2の二重特異的抗体複合体は、以下の2つの融合タンパク質:
1.抗抗原5Fab−ペプチド(GCN4);及び
2.抗抗原6Fab−scFv(52SR4)
を使用して構築した。
したがって、2つの二重特異性抗体複合体は同じFab断片及び同じ結合パートナー(すなわち、52SR4及びGCN4)を有していた。2つの二重特異性抗体複合体間の違いは、どのFab断片がどの結合パートナーに付加されているかにあった。
複合体を形成しない対照混合物は以下の融合タンパク質:
1.抗抗原5Fab:GCN4;及び
2.抗抗原6Fab:GCN4
から作製した。
抗原5に結合する二重特異性抗体複合体の能力を実証するため、複合体を抗原5を発現するジャーカット細胞と一緒にインキュベートした。抗原6に結合する二重特異性抗体複合体の能力を実証するため、ジャーカット細胞上で一度抗原5に結合した複合体をそれに続いてビオチン化抗原6に接触させた。次に、ビオチン化抗原6は蛍光的に標識されたストレプトアビジンを使用して検出した。
次に、ジャーカット細胞をFacscaliburフローサイトメトリー装置にかけた。ジャーカット細胞は、自身は抗原6に結合している二重特異性抗体複合体に結合しているときだけ標識され得、これによって、二重特異性抗体複合体が抗原5と抗原6の両方に結合できることを示されるのであるが、このフローサイトメトリーでは、蛍光的に標識されたジャーカット細胞は、いずれも合体を形成することができないペプチドに融合されている2つの融合タンパク質と一緒にインキュベートされたジャーカット細胞から分離することが可能である。
図5のFACSプロットは、両方の二重特異性抗体複合体についての著しい移動(黒い背景の上の細い線及び太い線)を示しており、こうして二重特異性抗体複合体が両方の標的抗原に首尾よく結合できること、両方の標的抗原に結合する能力は、所与のFab断片がscFv又はペプチドに連結しているかどうかとは無関係に保持されることが実証されている。
抗抗体6FabにC末端で融合しているそれぞれペプチド又はscFvのそれに続く捕捉は、最終層において蛍光的に標識されたストレプトアビジンで検出されるビオチン化抗原6のさらなる捕捉を可能にする。したがって、FACSプロットに示されている結果は、本開示の二重特異性抗体複合体が2つの異なる標的抗原に同時に首尾よく結合できることを示している。
例2の抗原5及び抗原6は、下で大きな格子フォーマットを備えた後の例において抗原5及び抗原6とラベルされた抗原ではない。
(例3)
scFv:ペプチド相互作用のビアコア実証
図6は、scFv:ペプチド(すなわち、52SR4:GCN4)相互作用の親和性を実証する表面プラズモン共鳴トレースを示している。表面プラズモン共鳴はビアコア3000(GE Healthcare)を使用して実施した。実験はすべて25℃で実施した。ストレプトアビジン(社内で作製)はアミンカップリング化学反応を介してCM5 Sensor Chip(GE Healthcare)上に固定し、最終レベルはおおよそ1750応答単位であった。HBS−N緩衝液(10mM HEPES pH7.4、0.15M NaCl;GE Healthcare)は、固定化及びペプチド捕捉のためのランニング緩衝液として使用した。HBS−N中のビオチン−GCN4ペプチドの5μl注射液(10nM、M.W.4360)を使用して、固定化されたストレプトアビジン上でのおおよそ6RUの捕捉を達成した。ランニング緩衝液は、抗GCN4(52SR4)scFv結合動態学の測定のためにHBS−EP+緩衝液(10mM HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.05%(v/v)界面活性剤P20;GE Healthcare)に切り替えた。30nMからのFab−scFv(社内で作製)の3倍連続希釈、又はHBS−EP+緩衝液対照は、流速30μl/分で固定化GCN4ペプチド上に注入した(3分会合、15分解離)。表面は、2Mのグアニジン−HClの2回の連続60秒注入により流速10μl/分でそれぞれの注入後に再生した。標準手順に続いて、ダブル参照バックグランド減算結合曲線(Double referenced background subtracted binding curves)を3000 BIAEvalソフトウェア(バージョン4.1)を使用して解析した。動態学パラメータは、1対1結合モデルアルゴリズムをフィットさせることから決定した。データは、scFvがペプチドに対して516pMの親和性を有することを示している。
(例4)
機能アッセイのためのFab−A(Fab−scFv「A−X」)及びFab−B(Fab−ペプチド[B−Y])の作製
クローニング戦略:抗体可変領域DNAはPCR又は遺伝子合成隣接制限酵素部位DNA配列により作製した。これらの部位は可変重鎖ではHindIII及びXholであり、可変軽鎖ではHindIII及びBsiWIであった。これにより重可変領域は2つの重鎖ベクター(FabB−Yを備えたpNAFH及びFabA−Xを備えたpNAFH)へのライゲーションを受け入れやすくなる。なぜならば、ベクターが相補的制限部位を有するからである。これにより、可変領域はマウス定常領域及びペプチドY(GCN4)又はscFv X(52SR4)の上流(又は5’)にライゲートされ、全リーディングフレームが作製される。軽鎖は、再び同じ相補的制限部位を使用する標準社内マウス定常カッパベクター(pMmCK又はpMmCK S171C)にクローニングした。pMmCK S171Cベクターは可変領域がウサギから単離された場合に使用する。クローニング事象は、全オープンリーディングフレームに隣接するプライマーを使用する配列決定により確認した。
CHOSXEを培養する:浮遊CHOSXE細胞を、2mM(100×)glutamxを補充したCDCHO培地(Invitrogen)に前順応させた。細胞は、振盪インキュベーター器(Kuner AG、Birsfelden、Switzerland)上、140rpmで撹拌して対数増殖期に維持し、8%COを補充して37℃で培養した。
電気穿孔トランスフェクション:トランスフェクションに先立って、細胞数及び生存率をCEDEX細胞計数器(Innovatis AG.Bielefeld、Germany)を使用して決定し、必要量の細胞(2×10細胞/ml)を遠心コニカルチューブに移して1400rpmで10分間回転させた。ペレット状細胞は無菌Earls平衡塩類溶液に再懸濁させ、1400rpmでさらに10分間回転させた。上澄みは捨てペレットは所望の細胞密度まで再懸濁した。
最終濃度2×10細胞/ml混合で400μg及び800μlのベクターDNAはキュベット(Biorad)にピペットを使って入れ、社内電気穿孔システムを使用して電気穿孔した。
Fab−A(Fab−scFv「A−X」)及びFab−B(Fab−ペプチド[B−Y])は別々にトランスフェクトした
トランスフェクトされた細胞は、2mM glutamx及び抗生物質有糸***阻害剤(100×)溶液(500中1)で強化したProCHO5培養液を含有する1×3Lエルレンマイヤーフラスコに直接移し、細胞は37℃、5%CO及び140rpmに設定したKuhner振盪インキュベーター器で振盪しながら培養した。栄養補助剤2g/LのASF(味の素)をトランスフェクションの24時間後に添加し、さらに13日間の培養のために温度を32℃まで下げた。4日目、3mMの酪酸ナトリウム(n−酪酸ナトリウム塩、Sigma B−5887)を培養物に添加した。
14日目、培養物はチューブに移し、4000rpmでの30分間の遠心分離後上澄みを細胞から分離した。保持した上澄みは0.22μmのSARTOBRAN(登録商標)P Millipore、続いて0.22μmのガンマゴールド濾過器を通してさらに濾過した。最終発現レベルはプロテインG−HPLCにより決定した。
大規模(1.0L)精製:Fab−A及びFab−Bは、AKTA Xpressシステム及びHisTrap Excel前充填ニッケルカラム(GE Healthcare)を使用して親和性捕捉により精製した。培養上澄みは0.22μmの無菌濾過を行い、pHは必要な場合にはカラムに充填する前に弱酸又は弱塩基で中性に調整した。15〜25mMイミダゾールを含有する二次洗浄ステップを使用して、弱い結合の宿主細胞タンパク質/非特異的His結合物をいずれもニッケル樹脂から移動させた。溶出は、10mMのリン酸ナトリウム、pH7.4+1M NaCl+250mMイミダゾールを用いて実施し、2mlの画分を収集した。1カラム容積を溶出に入れ、系は10分間休止させて、溶出ピークを締め、したがって、全溶出量は減少する。一番きれいな画分をプールし、PBS(Sigma)、pH7.4に緩衝液交換し0.22μmの濾過を行った。最終プールはA280 Scan、SE−HPLC(G3000法)、SDS−PAGE(還元された及び非還元の)により、内毒素についてはPTS Endosafeシステムを使用してアッセイした。
(例5)
Aktシグナル伝達の阻害に基づく(B細胞活性化の尺度として)機能的二価及び二重特異性抗原標的組合せを選択するためのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体フォーマットにおけるFab−A(Fab−scFv「A−X」)及びFab−B(Fab−ペプチド[B−Y])の使用
ヒトPBMCを一般方法1に従って調製した。この期間中、二重特異性又は二価抗体の格子は、10%仔牛血清及び2mMグルタミンを含有するDMEMで細胞表面タンパク質抗原3、抗原1、抗原4及び抗原2に対する種々の抗原特異性を有する等モル(200nM)量のFab’−A(Fab−scFv)及びFab’−B(Fab−ペプチド)を希釈することにより作製した。この格子は表4に示されている。

XはscFv(52SR4)でありYはペプチド(GCN4)である。
Fab’A−X及びFab’B−Yは、例4に記載される精製に続いて一般方法2に従ってPMBCと一緒にインキュベートした。
次に、細胞は、蛍光的に標識された抗CD20抗体(BD Biosciences)及びタンパク質上の473位の改変されたセリン残基を認識する蛍光的に標識された抗リン酸Akt抗体で染色した。次にプレートは再懸濁し、暗室において室温で1時間インキュベートした。この時間の後、プレートはさらに2回洗浄し25μlのフロー緩衝液に再懸濁した。CD20及びAktの細胞発現はIntellicyt HTFC(商標)フローサイトメトリーを使用して測定した。
データ解析ソフトウェアパッケージForecyt(商標)(Intellicyt)を使用して、B細胞は他の細胞集団とは異なると同定され、Aktレベルの幾何平均はウェルごとに計算した。次に、データはすべて最大限応答(抗IgMのみ)マイナスバックグランド(細胞のみ)のパーセンテージ阻害として表した。抗体と抗原3(VR0982)、抗体と抗原1(VR4247)、抗体と抗原4(VR4248)及び抗体と抗原2(VR4246)の組合せの相対的効果は表5に示されている(↓=阻害、↑=刺激及び⇔=総合効果なし)。矢の数は活性の強度を示している。

XはscFv(52SR4)でありYはペプチド(GCN4)である。
このデータは、平均値としてヒストグラムの形態でも示しており(図7)、エラーバーは95%信頼区間を示している。データは、抗原3(VR0982)に対するFabと抗原2(VR4246)に対するFab、抗原1(VR4247)に対するFabと抗原2(VR4246)に対するFab、及び抗原4(VR4248)に対するFabと抗原2(VR4246)に対するFabの組合せすべてが、抗IgMで刺激されたB細胞においてリン酸−Akt発現を阻害することが可能であることを示している。これとは対照的に、抗原3(VR0982)に対するFabと抗原3(VR0982)に対するFab、及び抗原3(VR0982)に対するFabと抗原4(VR4248)に対するFabの組合せは上昇したレベルのリン酸−Akt発現を示した。試験した他のすべての組合せは効果を示さなかった。
(例6)
PLCg2シグナル伝達の阻害に基づく(B細胞活性化の尺度として)機能的二価及び二重特異性抗原標的組合せを選択するためのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体フォーマットの使用
ヒトPBMCを一般方法1に従って調製した。この期間中、二重特異性又は二価抗体の格子は、10%仔牛血清及び2mMグルタミンを含有するDMEMで細胞表面タンパク質抗原3、抗原1、抗原4及び抗原2に対する抗原特異性を有する等モル(200nM)量のFab’−A(Fab−scFv[A−X])及びFab’−B(Fab−ペプチド[B−Y])を希釈することにより作製した。この格子は表6に示している。
Fab’A−X及びFab’B−Yは一般方法2に従ってインキュベートした。
次に、細胞は、蛍光的に標識された抗CD20抗体(BD Biosciences)及びタンパク質上の759位の改変されたチロシン残基を認識する蛍光的に標識された抗リン酸PLCg2抗体で染色した。次にプレートは再懸濁し、暗室において室温で1時間インキュベートした。この時間の後、プレートは2回洗浄し25μlのフロー緩衝液に再懸濁した。CD20及びPLCg2の細胞発現はIntellicyt HTFC(商標)フローサイトメトリーを使用して測定した。
データ解析ソフトウェアパッケージForecyt(商標)(Intellicyt)を使用して、B細胞は他の細胞集団とは異なると同定され、PLCg2レベルの幾何平均はウェルごとに計算した。次に、データはすべて最大限応答(抗IgMのみ)マイナスバックグランド(細胞のみ)のパーセンテージ阻害として表した。抗原3、抗原1、抗原4及び抗原2の「抗体」組合せの相対的効果は表6に示されている(↓=阻害、↑=刺激及び⇔=総合効果なし)。矢の数は活性の強度を示している。

XはscFvでありYはペプチドである。
このデータはヒストグラムとしても表され(図8)、平均値を示しておりエラーバーは95%信頼区間である。データは、抗原3(VR0982)に対するFabと抗原2(VR4246)に対するFab、抗原1(VR4247)に対するFabと抗原2(VR4246)に対するFab、及び抗原4(VR4248)に対するFabと抗原2(VR4246)に対するFabの組合せすべてが、抗IgMで刺激されたB細胞においてリン酸−PLCg2発現を阻害することが可能であることを示している。これとは対照的に、抗原3(VR0982)に対するFabと抗原3(VR0982)に対するFab、及び抗原3(VR0982)に対するFabと抗原4(VR4248)に対するFabの組合せは上昇したレベルのリン酸−PLCg2発現を示した。抗原1に対するFabと抗原1に対するFabの組合せは効果を示さなかった。
(例7)
CD86発現の阻害に基づく(B細胞活性化の尺度として)機能的二価及び二重特異性抗原標的組合せを選択するためのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体フォーマットの使用
ヒトPBMCを一般方法1に従って調製した。この期間中、二重特異性又は二価抗体の格子は、10%仔牛血清及び2mMグルタミンを含有するDMEMで細胞表面タンパク質抗原3、抗原1、抗原4及び抗原2に対する抗原特異性を有する等モル(200nM)量のFab’−X(Fab−scFv)及びFab’−Y(Fab−ペプチド)を希釈することにより作製した。この格子は表7に示している。
Fab’A−X及びFab’B−Yは90分間一緒にインキュベートし(37℃及び5%CO環境で)、その後V字型底96ウェルプレートにおいて2.5×10PBMCと混合した。次に、PBMCプラス二重特異性又は二価組合せをさらに90分間一緒にインキュベートした。この時間の後、B細胞は37℃で24時間200nMのヤギF(ab’)2抗ヒトIgM(Southern Biotechnology)の添加により活性化された。この時間の後、プレートは氷上に置き、氷冷フロー緩衝液(PBS+1%BSA+0.01%NaN)で1度洗浄した。次に、細胞は蛍光的に標識された抗CD19抗体(BD Biosciences)及び蛍光的に標識された抗CD86抗体で染色し、暗室において氷上で1時間インキュベートした。この時間の後、プレートはさらに2度洗浄し25μlのフロー緩衝液に再懸濁した。CD19及びCD86の細胞発現はIntellicyt HTFC(商標)フローサイトメトリーを使用して測定した。
データ解析ソフトウェアパッケージForecyt(商標)(Intellicyt)を使用して、B細胞は他の細胞集団とは異なると同定され、CD86レベルの幾何平均はウェルごとに計算した。次に、データはすべて最大限応答(抗IgMのみ)マイナスバックグランド(細胞のみ)のパーセンテージ阻害として表した。抗原3(VR0982)に対するFab、抗原1(VR4247)に対するFab、抗原4(VR4248)に対するFab、及び抗原2(VR4246)に対するFabの組合せの相対的効果は表7に示されている(↓=阻害、↑=刺激及び⇔=総合効果なし)。矢の数は活性の強度を示している。

XはscFv(52SR4)でありYはペプチド(GCN4)である。
このデータは、平均値としてヒストグラムとしても示され(図9)、エラーバーは95%信頼区間である。データは、抗原3(VR0982)に対するFabと抗原2(VR4246)に対するFab、抗原1(VR4247)に対するFabと抗原2(VR4246)に対するFab、抗原4(VR4248)に対するFabと抗原2(VR4246)に対するFab、及び抗原2(VR4246)に対するFabと抗原2(VR4246)に対するFabの組合せすべてが、抗IgMで刺激されたB細胞上でCD86発現を阻害することが可能であることを示している。これとは対照的に、抗原3(VR0982)に対するFabと抗原3(VR0982)に対するFab、及び抗原1(VR4247)に対するFabと抗原4(VR4248)に対するFabの組合せは上昇したレベルのCD86発現を示した。試験したその他の組合せはすべて効果を示さなかった。
(例8)
抗原1(VR4247)に対するFabと抗原2(VR4246)に対するFabの阻害効果は抗体が二重特異性配向に配置された場合のみ再現することができる
ヒトPBMCを一般方法1に従って調製した。この期間中、抗体の二重特異性、二価又は混合物の組合せは、10%仔牛血清及び2mMグルタミンを含有するDMEMで細胞表面タンパク質抗原1及び抗原2に対する抗原特異性を有する等モル(200nM)量のFab’A−X(Fab−scFv)及び/又はFab’B−Y(Fab−ペプチド)を希釈することにより作製した。さらに、単一Fab対照(Fab’−X及びFab’−Y)も加えた。これらの組合せは表8に示している。

XはscFv(52SR4)でありYはペプチド(GCN4)である。
Fab’A−X及び/又はFab’B−Yは一般方法2に従ってインキュベートした。
次に、細胞は、蛍光的に標識された抗CD20抗体(BD Biosciences)及びタンパク質上の473位の改変されたセリン残基を認識する蛍光的に標識された抗リン酸Akt抗体で染色した。次にプレートは再懸濁し、暗室において室温で1時間インキュベートした。この時間の後、プレートはさらに2回洗浄し25μlのフロー緩衝液に再懸濁した。CD20及びAktの細胞発現はIntellicyt HTFC(商標)フローサイトメトリーを使用して測定した。
データ解析ソフトウェアパッケージForecyt(商標)(Intellicyt)を使用して、B細胞は他の細胞集団とは異なると同定され、Aktレベルの幾何平均はウェルごとに計算した。次に、データはすべて最大限応答(抗IgMのみ)マイナスバックグランド(細胞のみ)のパーセンテージ阻害として表した。図10は、抗原1(VR4247)に対するFabと抗原2(VR4246)に対するFabの二重特異性組合せのみがB細胞リン酸−Aktレベルを調節でき、他のどの組合せもできないことを示している(データは平均値を表しており、エラーバーは95%信頼区間である)。
(例9)
抗抗原3(VR0982)及び抗抗原2(VR4246)の阻害効果は抗体が二重特異性配向に配置された場合のみ再現することができる
ヒトPBMCを一般方法1に従って調製した。この期間中、抗体の二重特異性、二価又は混合物の組合せは、10%仔牛血清及び2mMグルタミンを含有するDMEMで細胞表面タンパク質抗原1及び抗原2に対する抗原特異性を有する等モル(200nM)量のFab’−X(Fab−scFv)及び/又はFab’−Y(Fab−ペプチド)を希釈することにより作製した。これらの組合せは表9に示している。

XはscFv(52SR4)でありYはペプチド(GCN4)である。
Fab’A−X及び/又はFab’B−Yは一般方法2に従ってインキュベートした。
次に、細胞は一般方法3に従って染色した。
データ解析ソフトウェアパッケージForecyt(商標)(Intellicyt)を使用して、B細胞は他の細胞集団とは異なると同定され、Akt及びPLCg2レベルの幾何平均はウェルごとに計算した。次に、データはすべて最大限応答(抗IgMのみ)マイナスバックグランド(細胞のみ)のパーセンテージ阻害として表した。図11及び12は、抗原3と抗原2の二重特異性組合せのみがリン酸化されたAkt及びPLCg2発現を阻害し、抗抗原3(VR0982)と抗抗原2(VR4246)抗体の混合物では阻害しなかったことを示している(データは平均値を表しており、エラーバーは95%信頼区間である)。
抗原3と抗原2に対する二重特異性組合せを用いて見られる阻害を確証するため、この組合せを抗抗原3(VR0982)と抗抗原2(VR4246)抗体の混合物と一緒に滴定し、全細胞内IkB(シグナル伝達読み取り)及びCD86(24時間後の活性化マーカー)の阻害をB細胞において測定した。
図13で見ることができるように、全IkBタンパク質のレベルにより測定した場合、抗原−3−X/抗原−2−Yの組合せは抗IgM刺激後NF−kBシグナル活性化を阻害することができたが、抗原−3−X/抗原−2−Xの組合せ(すなわち、単純な非連結混合物として)は阻害できなかった。Graphpad Prism 6を使用する4パラメータロジスティック曲線フィットを使用して外挿したIC50は、7.5nMであった(データは平均値を表し、エラーバーは標準偏差である)。さらに、抗原−3−X/抗原−2−Yの組合せの滴定は、24時間後のB細胞上での抗IgM誘導CD86発現を阻害することができたが、抗原−3−X/抗原−2−Xの組合せは阻害できなかった(図14参照)。Graphpad Prism 6を使用する4パラメータロジスティック曲線フィットを使用して外挿したIC50は、10.3nMであった(データは平均値を表し、エラーバーは標準偏差である)。
(例10)
抗抗原4及び抗抗原2の阻害効果は抗体が二重特異性配向に配置された場合のみ再現することができる
ヒトPBMCを一般方法1に従って調製した。この期間中、抗体の二重特異性、二価又は混合物の組合せは、10%仔牛血清及び2mMグルタミンを含有するDMEMで細胞表面タンパク質抗原4及び抗原2に対する抗原特異性を有する等モル(200nM)量のFab’A−X(Fab−scFv)及び/又はFab’B−Y(Fab−ペプチド)を希釈することにより作製した。これらの組合せは表10に示している。

XはscFv(52SR4)でありYはペプチド(GCN4)である。
Fab’A−X及び/又はFab’B−Yは一般方法2に従ってインキュベートした。次に、細胞は一般方法3に従って染色した。
データ解析ソフトウェアパッケージForecyt(商標)(Intellicyt)を使用して、B細胞は他の細胞集団とは異なると同定され、Akt及びPLCg2レベルの幾何平均はウェルごとに計算した。次に、データはすべて最大限応答(抗IgMのみ)マイナスバックグランド(細胞のみ)のパーセンテージ阻害として表した。
図15及び16は、抗抗原4(VR4248)と抗抗原2(VR4246)の二重特異性組合せのみがリン酸化されたAkt及びPLCg2発現を阻害し、抗抗原4(VR4248)と抗抗原2(VR4246)抗体の混合物では阻害しなかったことを示している(データは平均値を表しており、エラーバーは95%信頼区間である)。
抗抗原4(VR4248)と抗抗原2(VR4246)の二重特異性組合せを用いて見られる阻害を確証するため、この組合せをB細胞上で抗IgM誘導CD86発現を測定するアッセイシステムにおいて滴定した。
図17で見ることができるように、抗原4−X/抗原2−Yの組合せの滴定は、24時間後のB細胞上での抗IgM誘導CD86発現を阻害することができた。Graphpad Prism 6を使用する4パラメータロジスティック曲線フィットを使用して外挿したIC50は、4.7nMであった(データは平均値を表し、エラーバーは標準偏差である)。
(例11)
二重特異性複合体特徴付け
機能的スクリーニング試薬の精製:機能的スクリーニングフォーマットFab−X(Fab−scFv−His)及びFab−Y(Fab−ペプチド−His)を標準CHO発現後以下の通りに精製した。浄化した細胞培養上澄みは1Lのステリカップを使用して0.22μm無菌濾過した。pHを測定し必要な場合にはpH7.4に調整した。調製された上澄みは、10mMのリン酸ナトリウム、0.5M NaCl、pH7.4に平衡化された5ml HisTrapニッケルエクセル(GE Healthcare)カラム上に5ml/分で充填した。カラムは15mMイミダゾール、10mMリン酸ナトリウム、0.5M NaCl、pH7.4で洗浄し、その後、250mMイミダゾール、10mMリン酸ナトリウム、0.5M NaCl、pH7.4で溶出した。溶出に続いて280nmでの吸光度及び溶出ピークを収集した。ピーク溶出液はTSKgel G3000SWXL上サイズ排除クロマトグラフィーにより分析され;5μm、7.8×300mmカラムは1ml/分で均一濃度勾配の0.2Mリン酸、pH7.0を用いて展開させ、280nmの吸光度により検出した。十分な純度の試料は、10kDa分子量カットオフ膜付きのAmicon Ultra−15濃縮器を使用して>1m/mlまで濃縮し、PBS pH7.4(Sigma Aldrich Chemicals)中に透析濾過し、スイングアウトローターにおいて4000×gで遠心分離した。生成物品質が十分でない場合は、ニッケルカラム溶出液を濃縮し、PBS、pH7.4(Sigma Aldrich Chemicals)で平衡化されたXK16/60又はXK16/60 Superdex200(GE Healthcare)カラムのいずれかに適用した。カラムは、それぞれ1ml/分又は2.6ml/分で均一濃度勾配のPBS pH7.4(Sigma Aldrich Chemicals)を用いて展開させた。画分を収集し、TSKgel G3000SWXL上サイズ排除クロマトグラフィーにより分析され;5μm、7.8×300mmカラムは1ml/分で均一濃度勾配の0.2Mリン酸、pH7.0を用いて展開させ、280nmの吸光度により検出した。選択した画分はプールし、10kDa分子量カットオフ膜付きのAmicon Ultra−15濃縮器を使用して>1mg/mlまで濃縮し、スイングアウトローターにおいて4000×gで遠心分離した。
溶液中の二重特異性製剤の分析
実験1
精製したFab−X(VR4247)及び精製したFab−Y(VR4248)を1対1モル比で混合し、全タンパク質濃度は500μg/mlにして、環境温度で一晩インキュベートした。対照は、混合している場合と同じ濃度の混合物の個々の部分からなっていた。100μlの試料及びそれぞれの対照をTSKgel G3000SWXL上に注入し;5μm、7.8×300mmカラムは1ml/分で均一濃度勾配の0.2Mリン酸、pH7.0を用いて展開させた。検出は280nmの吸光度によった(図18参照)。
図18のサイズ排除クロマトグラムは、Fab−X(VR4247)対照は全ピーク面積の92%の主ピークを有し、保持時間は8.610計量分であることを示している。Fab−Y(VR4248)対照は全ピーク面積の94%の主ピークを有し、保持時間は10.767計量分である。Fab−X及びFab−Y対照について測定された保持時間は、同じ条件下で実行したBioRadゲル濾過標準(151−1901)の保持時間から作成した標準曲線を使用することによりそれぞれ95kDa及び35kDaの見かけ分子量に変換された。これらの見かけ分子量は、Fab−scFv及びFab−ペプチド分子について予想される見かけ分子量と一致している。Fab−X(VR4247)/Fab−Y(VR4248)混合物の主ピークは9.289計量分の保持時間を有している。これは上記と同じく、187kDaの見かけ分子量に変換される。この見かけ分子量は1つのFab−X(VR4247)と1つのFab−Y(VR4248)の対合について予想される見かけの分子量と一致している。この主ピークは全ピーク面積の84%でもあり、Fab−X(VR4247)とFab−Y(VR4248)の大半が1対1の二重特異性タンパク質複合体を形成していることが示唆される。主ピークの後で溶出している小さな追加の肩部及びピークは、Fab−X(VR4247)及びFab−Y(VR4248)開始物質と一致している。
実験2
精製したFab−X(VR4130)とFab−Y(VR4131)を1対1モル比で混合し、全タンパク質濃度は500μg/mlにした。次に、この混合物のアリコートは、濃度50μg/mlと5μg/mlまでPBS pH7.4で希釈した。500μg/mlの混合物に混合している場合と同じ濃度の混合物の個々の部分からなる対照も設定した。混合物及び対照はすべて環境温度で一晩インキュベートした。100μlのすべての試料及び対照をTSKgel G3000SWXL上に注入し;5μm、7.8×300mmカラムは1ml/分で均一濃度勾配の0.2Mリン酸、pH7.0を用いて展開させた。検出は214nmの吸光度によった(図19、図20及び表11参照)。
図19のサイズ排除クロマトグラムは、Fab−X(VR4130)対照が全ピーク面積の91%の主ピークを有し、保持時間は8.634計量分であることを示している。Fab−Y(VR4131)対照は全ピーク面積の97%の主ピークを有し、保持時間は9.361計量分である。Fab−X及びFab−Y対照について測定された保持時間は、同じ条件下で実行したBioRadゲル濾過標準(151−1901)の保持時間から作成した標準曲線を使用することによりそれぞれ109kDa及び55kDaの見かけ分子量に変換された。これらの見かけ分子量は、Fab−scFv及びFab−ペプチド分子について予想される見かけ分子量と一致している。Fab−X(VR4130)/Fab−Y(VR4131)混合物の主ピークは8.016計量分の保持時間を有している。これは上記と同じく、198kDaの見かけ分子量に変換された。この見かけ分子量は1つのFab−X(VR4130)と1つのFab−Y(VR4131)の対合について予想される見かけの分子量と一致している。この主ピークは全ピーク面積の82%でもあり、Fab−X(VR4130)とFab−Y(VR4131)の大半が1対1の複合体を形成していることが示唆される。主ピークの後で溶出している2つの小さなピークは、Fab−X(VR4130)及びFab−Y(VR4131)開始物質と一致している。
図20のサイズ排除クロマトグラムは、500μg/ml、50μg/ml及び5μg/ml濃度でのFab−X(VR4130)/Fab−Y(VR4131)1対1混合物についてである。トレースはすべて、類似する保持時間並びに類似する相対的ピーク高及び面積を有する試料間で対応するピークについて類似している。パーセントピーク面積を表11に要約しており、それぞれのピークの%は混合物を希釈してもかなり一定のままである。これは、Fab−X/Fab−Y1対1複合体が試験されたすべての濃度で複合体として残っていることを示している。Fab−XとFab−Yの75%は、複合体では40nMの濃度に相当する5μg/mlまで混合物を希釈した場合でも1対1複合体として存在している。
したがって、これらの実験の結果は、高割合のFab−XとFab−Yの融合タンパク質が所望の二重特異性複合体を形成しており、残存する単量体は最小限の割合であり、ホモ二量体形成の証拠はないことを示している。
(例12)
新規の二重特異性抗体標的を同定するためのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされたタンパク質複合体の大きなパネルの格子スクリーニング
序論:前の例における二重特異性フォーマット及びスクリーニング法が首尾よく確証されたことを受けて、スクリーニングを多数の抗原対にまで広げた。B細胞上で発現される23の異なる抗原に対する抗体可変(V)領域対のパネルを作製した。Fab−Kd−Fab[すなわち、A−X:Y−B A及びBはFab断片]フォーマットを使用して、315の異なる抗原対組合せのそれぞれの複数のV領域組合せを表すヘテロ二量体的に繋ぎ合わされたタンパク質複合体の格子を形成した。これらの組合せは、二重特異性抗体を用いた介入治療のための新規の標的対を選択するため、ハイスループットフローサイトメトリーアッセイにおいてBCR(B細胞受容体)シグナル伝達を調節するその能力についてスクリーニングした。
免疫化:選択された抗原をコードするDNAは、遺伝子合成又は商業的供給源により入手し、強力な構成的プロモーターを備えた発現ベクター中にクローニングした。次に、社内電気穿孔システムを使用して、プラスミドDNAをRab−9ウサギ線維芽細胞(ATCC(登録商標)CRL−1414(商標))にトランスフェクトした。24時間後、細胞はフローサイトメトリーにより抗原発現について調べ、使用するまで液体窒素中にアリコートで凍結した。同じ細胞上での同時発現、又は単一若しくは複数をトランスフェクトされた細胞の混合物を作ることによりウサギあたり最大6抗原を免疫化した。ウサギは3用量の細胞で免疫化した。
抗体発見:B細胞培養物はZublerら(1985)により記載された方法に類似する方法を使用して調製した。手短に言えば、免疫化ウサギからの脾臓又はPBMC由来B細胞を、10%FCS(PAA laboratories ltd)、2%HEPES(Sigma Aldrich)、1%L−グルタミン(Gibco BRL)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン溶液(Gibco BRL)、0.1%βメルカプトエタノール(Gibco BRL)、3%活性化脾細胞培養上澄み及びガンマ線照射突然変異EL4マウス胸腺腫細胞(5×10/ウェル)を補充した200μl/ウェル RPMI 1640培地(Gibco BRL)を備えたバーコード化96ウェル組織培養プレートにおいてウェル当たりおおよそ2000〜5000細胞の密度で、5%CO環境において37℃で7日間培養した。
B細胞培養上澄み中の抗原特異的抗体の存在は、ウサギを免疫化するのに用いた抗原を同時トランスフェクトされたHEK293細胞を使用する均一蛍光ベースの結合アッセイを使用して判定した。スクリーニングは、バーコード化96ウェル組織培養プレート由来の10μlの上澄みを、標的抗原をトランスフェクトされたHEK293細胞を含有する(おおよそ3000細胞/ウェル)バーコード化384ウェル黒壁アッセイプレートにMatrix Platemateリキッドハンドラを使用して移すことを含んでいた。結合はヤギ抗ウサギIgG Fcγ特異的Cy−5コンジュゲート(Jackson)を用いて明らかにした。プレートはApplied Biosystems 8200細胞検出システム上で読み取った。
一次スクリーニングに続いて、陽性上澄みはAviso Onyx hit−picking robotを使用して96ウェルバーコード化マスタープレート上にまとめ、細胞培養プレート中のB細胞は−80℃で凍結した。次に、マスタープレートは、抗原で別々にトランスフェクトしたHEK293細胞及び抗原供給源として組換えタンパク質で被覆したSuperavidin(商標)ビーズ(Bangs Laboratories)上での均一蛍光ベースの結合アッセイにおいてスクリーニングした。これはウェルごとの抗原特異性を判定することが目的であった。
対象のウェルの選択からの抗体可変領域遺伝子の回収を可能にするために、デコンボリューションを実施してB細胞の不均一集団を含有する所与のウェルにおいて抗原特異的B細胞の同定を可能にした。これは蛍光フォーカス法(Clargo et al., 2014.Mabs 2014 Jan 1: 6(1) 143-159; EP1570267B1)を使用して達成した。手短に言えば、陽性ウェル由来の免疫グロブリン分泌B細胞を、標的抗原をトランスフェクトしたHEK293細胞又はビオチン化標的抗原及びヤギ抗ウサギFcγ断片特異的FITCコンジュゲート(Jackson)の1対1200最終希釈で被覆したストレプトアビジンビーズ(New England Biolabs)のいずれかと混合した。37℃での1時間の静置インキュベーション後、抗原特異的B細胞はそのB細胞を取り囲んでいる蛍光ハローの存在のために同定することができた。いくつかのこれらの個々のB細胞クローンは、Olympus顕微鏡を使用して同定されたが、次に、Eppendorfマイクロマニュピレーターを用いて選び取り、PCRチューブ内に蓄積した。蛍光フォーカス法を使用して、直接免疫化ウサギの骨髄由来のB細胞の不均一集団からも抗原特異的B細胞を同定した。
抗体可変領域遺伝子は、重及び軽鎖可変領域特異的プライマーを使用して逆転写(RT)PCRにより単細胞から回収した。2ラウンドのPCRを実施し、3’及び5’末端に制限部位を組み込んでいるネステッド二次PCRにより可変領域をマウスFab−X及びFab−Y(VH)又はマウスカッパ(VL)哺乳動物発現ベクターにクローニングすることができた。Fab−X及びFab−Y発現ベクターのための重及び軽鎖構築物は、Fectin293(Life Technologies)を使用してHEK293細胞に又はExpifectamine(Life Technologies)を使用してExpi293細胞に同時トランスフェクトし、組換え抗体が容積5mlの6ウェル組織培養プレートで発現された。発現の5〜7日後、上澄みを収穫した。上澄みは、抗原をトランスフェクトしたHEK293細胞及び組換えタンパク質で被覆したSuperavidin(商標)ビーズ(Bangs Laboratories)又は抗原トランスフェクトHEK細胞上での均一蛍光ベースの結合アッセイにおいて試験した。これはクローン化された抗体の特異性を確認するために実行した。
小規模FabA−X及びFabB−Yの作製(小規模(50mL)Expi293トランスフェクション)
Expi293細胞はExpi293(商標)発現培養液において、最終濃度0.5×10生細胞/mLまでルーチン的に継代し、軌道振盪インキュベーター(Multitron、Infors HT)において120rpmで8%CO及び37℃でインキュベートした。
トランスフェクションの日、自動細胞計測器(Vi−CELL、Beckman Coulter)を使用して細胞生存率及び濃度を測定した。最終細胞濃度2.5×10生細胞/mLを達成するため、適切な容積の細胞懸濁系を無菌250mLエルレンマイヤー振盪フラスコに添加し、50mLトランスフェクションごとに新鮮な予熱したExpi293(商標)発現培養液を添加することにより42.5mLの容積まで養育した。
トランスフェクションごとに脂質DNA複合体を調製するため、全体で50μgの重鎖及び軽鎖プラスミドDNAを全容積2.5mLまでOpti−MEM(登録商標)I培養液(Life Technologies)に希釈し、135μLのExpiFectamine(商標)293試薬(Life Technologies)を全容積2.5mLまでOpti−MEM(登録商標)I培養液に希釈した。全ての希釈物を穏やかに混合し室温で長くても5分間インキュベートし、その後それぞれのDNA溶液をそれぞれの希釈したExpiFectamine(商標)293試薬に添加して、全容積5mLを得た。DNA−ExpiFectamine(商標)293試薬混合物は穏やかに混合し、室温で20〜30分間インキュベートしてDNA−ExpiFectamine(商標)293試薬複合体を形成させた。
DNA−ExpiFectamine(商標)293試薬複合体インキュベーションを終わらせた後、5mLのDNA−ExpiFectamine(商標)293試薬複合体をそれぞれの振盪フラスコに添加した。振盪フラスコは軌道振盪インキュベーター(Multitron、Infors HT)において120rpmで8%CO及び37℃でインキュベートした。
トランスフェクションのおおよそ16〜18時間後、250μLのExpiFectamine(商標)293トランスフェクションエンハンサー1(Life Technologies)及び2.5mLのExpiFectamine(商標)293トランスフェクションエンハンサー2(Life Technologies)をそれぞれの振盪フラスコに添加した。
細胞培養物はトランスフェクション7日後に収穫した。細胞は50mL回転チューブ(Falcon)に移し、4000rpmで30分間回転させ、その後0.22μm Stericup(Merck Millipore)を通して無菌濾過した。浄化し無菌濾過した上澄みは4℃で保存した。最終発現レベルはプロテインG−HPLCにより判定した。
小規模(50ml)精製:Fab−XとFab−Yの両方を、小規模真空ベースの精製システムを使用する親和性捕捉により別々に精製した。手短に言えば、50mlの培養上澄みを0.22μm無菌濾過し、その後500μLのNiセファロースビーズ(GE Healthcare)を添加した。次に、上澄みビーズ混合物は約1時間転がし、その後上澄みは吸引を適用して取り除いた。次に、ビーズはWash1(50mMリン酸ナトリウム、1M NaCl pH6.2)及びWash2(0.5M NaCl)で洗浄した。溶出は50mM酢酸ナトリウム、pH4.0+1M NaClを用いて実施した。溶出画分はPBS(Sigma)、pH7.4に緩衝液交換し0.22μm濾過した。最終プールはA280スキャン、SE−UPLC(BEH200法)、SDS−PAGE(還元及び非還元)により、内毒素ではPTS Endosafeシステムを使用してアッセイした。
スクリーニングアッセイ
ドナーPBMCを37℃に設定した水浴を使用して急速解凍し、50mlFalconチューブに慎重に移した。次に、PBMCは、浸透圧ショックを最小化するためアッセイ培養液で5mlまで液滴で希釈した。次に、細胞は20mlまで慎重に希釈し、その後最終培養液希釈液を添加して、容積を50mlにした。次に、細胞は500gで5分間回転させ、その後上澄みを取り除いて細胞を1ml培養液に再懸濁した。次に、細胞は計数し1.66×10細胞/mlまで希釈し、その後ウェル当たり30μlをV字型底TCプレートに分注し、最終アッセイ濃度5.0×10細胞/ウェルを与える。次に、細胞プレートは必要になるまで37℃、5%COインキュベーター中にカバーして保存し、最小限1時間休ませる。
Fab−X及びFab−Y試薬はアッセイ培養液において、等モル比、最終アッセイ濃度の5倍で混合し、37℃、5%COで90分間インキュベートした。試料は96ウェルU字型底ポリプロピレンプレートにおいて調製し、インキュベーション中はカバーした。
10μlの5×Fab−KD−Fab混合物を、細胞を含有する適切な試験ウェルに添加し、1000rpmで30秒間振盪することにより混合し、その後37℃、5%COで90分間インキュベートした。
次に、細胞は10μlの抗ヒトIgMで刺激した。刺激の最終アッセイ濃度は、アッセイパネル読み出し情報により変動し、3つの抗体カクテルA、B及びC(下で詳述)は、50μg/ml(カクテルA及びC)又は25μg/ml(カクテルB)のいずれかの最終アッセイ濃度で刺激した。次に、アッセイプレートは1000rpmで30秒間穏やかに混合し、その後37℃、5%COで5分間(抗体カクテルA及びC)又は2分間(抗体カクテルB)インキュベートした。アッセイは、150μlの氷冷BD CytoFixをすべてのウェルの添加することにより停止し、室温で15分間インキュベートした。次に、固定された細胞は500gで5分間回転させて細胞をペレット状にし、BioTek ELx405プレート洗浄機を使用して上澄みを除去させた。ペレットはプレートを2400rpmで30秒間ボルテックスすることにより再懸濁した。次に、細胞は、100μlの氷冷BD細胞透過処理緩衝液IIIを30分間添加することにより4℃で透過処理した。次に、細胞は100μlのFACS緩衝液で洗浄し500gで5分間回転させた。上澄みはELx405により再び取り除き、その後それを使用して残っている透過処理緩衝剤はいずれも洗い流すために200μlのFACS緩衝液を迅速に分注した。細胞は500gで再び回転させ、上澄みは反転により取り除いた。先行する回転ステップ中、抗体カクテルはFACS緩衝液で調製し、光を遮断したままにした。次に、細胞はボルテックスする(2400rpm、30秒間)ことにより再懸濁し、その後20μlの抗体カクテルをすべてのウェルの添加し、プレートは1000rpmで30秒間振盪させた。次に、細胞は暗所において室温で60分間インキュベートした。
次に、細胞は500gの回転をかけて200μlのFACS緩衝液で2回洗浄し、それぞれのステップ後に上澄みを取り除いた。最後に、細胞は2400rpmで30秒間ボルテックスすることにより再懸濁し、その後最終20μlのFACS緩衝液を添加した。次に、プレート(単数又は複数)はIntellicyt HTFC/iQue装置上で読み取った。
FACS緩衝液=PBS+1% BSA+0.05% NaN+2mM EDTA
抗体カクテルA=1対2 CD20 PerCp−Cy5.5(BD Biosciences)+1対5 PLCganma2 AF88+1対10 Akt AF647+1対50 ERK1/2 PE(FACS緩衝液で希釈)。
抗体カクテルB=1対2 CD20 PerCp−Cy5.5(BD Biosciences)+1対5 Syk PE+1対5 BLNK AF647(FACS緩衝液で希釈)
抗体カクテルC=1対5 CD20 PerCp−Cy5.5(Biolegend)+1対5 PLCganma2 AF488+1対10 Akt AF647+1対5 Syk PE(FACS緩衝液で希釈)

Fab-X+Fab-Y組合せは、抗体カクテルA及びB又はC単独のいずれかを用いてスクリーニングされた。スクリーニングはすべて2つの異なる血液ドナー由来の錐体細胞上で行った。データは市販のソフトウェアツールを使用して取得し評価した。総数で2500のFab-X+Fab-Y組合せは315の異なる抗原組合せまでスクリーニングした。
結果
それぞれのFab−Kd−Fab[すなわち、A−X:Y−BでA及びBはFab断片]組合せによるBCRシグナル伝達カスケードタンパク質のリン酸化の誘導のパーセンテージ阻害を計算し、この例では、B細胞機能を阻害する抗原の新たな組合せを探して、陽性組合せの基準を、V領域の少なくとも1つの組合せによる少なくとも2つのリン酸読み取りの少なくとも30%阻害として設定した。この閾値に従えば、試験した315から11の新たな抗原対組合せが必要とされる基準を満たした。これは3.5%のヒット率を表しており、所望の活性の組合せを見つけるためには多数の組合せをスクリーニングするのが重要であることを実証している。
図21〜23は抗原格子クロス特異性についてのデータを示している。値はそれぞれSyk、PLCg2及びAktのリン酸化のパーセント阻害(活性化に対してマイナスの値)であり、評価された複数のV領域組合せの平均を表している。315の異なる抗原組合せを試験し、図に示すように、抗体の異なる組合せによるBCRシグナル伝達に対する効果は強い阻害、例えば、Fab−Y上の抗原3及び4と組み合わせたFab−X上の抗原2(リン酸Sykの69.66%及び70.4%阻害、図21)から活性化、例えば、X上の抗原6とY上の抗原11(マイナス118.10%リン酸Syk、図21)まで著しく変化した。
図21〜23に表される平均%値を表すそれぞれのデータポイントは、図24ではFab−X上の抗原2とFab−Y上の抗原3について示されている。この場合、異なる抗体V領域の23の異なる組合せを評価した。同じ抗原組合せであるが配向が別である、すなわち、Fab−Y上の抗原2とFab−X上の抗原3は図25に示されている。この場合、異なる抗体V領域の9つの異なる組合せを評価した。V領域すべてが阻害を示しているが、有利なことに、この方法は最適V領域組合せの選択においても使用することが可能である。
同様に、図21〜23に表される平均%値を表すそれぞれのデータポイントは、図26ではFab−X上の抗原組合せ2とFab−Y上の抗原4について示されている。この場合、異なる抗体V領域の10の異なる組合せを評価した。同じ抗原組合せであるが配向が別である、すなわち、Fab−Y上の抗原2とFab−X上の抗原4は図27に示されている。この場合、異なる抗体V領域の6つの異なる組合せを評価した。再び、V領域すべてが阻害を示しているが、最適V領域組合せは本方法を使用して同定し選択することが可能である。
(例13)
FabA−X:Y−FabB格子スクリーニングがタンパク質精製に頼らなくても新規の二重特異性抗体標的を同定できるかどうかを評価するための一過性に発現されたヘテロ二量体的に繋ぎ合わされたタンパク質複合体の評価
序論:Fab−Kd−Fab[FabA−X:Y−FabB]フォーマット及びヘテロ二量体的に繋ぎ合わされたタンパク質複合体格子スクリーニングを使用して同定された二重特異性抗体としてのB細胞シグナル伝達を阻害する2つの異なる抗原、2及び3に対するV領域はFabA−X及びFabB−Yとして一過性に発現された。一過性に発現され(それに続く精製なしで)及び精製されたFabA−XとFabB−Y組合せの活性を比較して、精製された成分の代わりに一過性発現の直接の生成物を用いて格子スクリーニングを行うことが可能かどうかを評価した。
免疫化:抗原発現細胞の調製及びウサギの免疫化は、例12と同じように実行した。
抗体発見
B細胞培養物は例12に記載されるのと同じように調製した。
B細胞培養上澄み中の抗原特異的抗体のスクリーニング及び抗原特異的B細胞の同定のためのデコンボリューションステップは例12に記載されるのと同じように決定した。
抗体可変領域遺伝子は、重及び軽鎖可変領域特異的プライマーを使用する逆転写(RT)PCRにより単細胞から回収した。2ラウンドのPCRを実施し、3’及び5’末端に制限部位を組み込んでいるネステッド二次PCRにより可変領域をマウスFab−X及びFab−Y(VH)又はマウスカッパ(VL)哺乳動物発現ベクターにクローニングすることができた。次に、増幅された可変領域、ヒトCMVプロモーター断片及びウサギガンマ1重定常又はウサギカッパ定常断片を組み合わせると別々の重及び軽転写的に活性なPCR(TAP)断片を作製することができる三次PCRを実施した。これらのDNA断片は、293Fectin(Life Technologies)を使用してHEK293細胞において又はExpifectamine(Life Technologies)を使用してExpi293細胞においてウサギ完全長IgG抗体の組換え発現のために直接使用した。次に、こうして得られた組換え抗体は、抗原をトランスフェクトしたHEK293細胞及び組換えタンパク質で被覆したSuperavidin(商標)ビーズ(Bangs Laboratories)上での均一蛍光ベースの結合アッセイを使用して抗原結合についてスクリーニングした。TAPトランジエントで特異性を確かめた後、抗体遺伝子はFab−X及びFab−Y発現ベクター内にクローニングした。重及び軽鎖構築物は、Fectin293(Life Technologies)を使用してHEK293細胞に又はExpifectamine(Life Technologies)を使用してExpi293細胞に同時トランスフェクトし、組換え抗体は5mlの容積の6ウェル組織培養プレートにおいて発現させた。5〜7日発現後、上澄みを収穫した。上澄みは、抗原をトランスフェクトしたHEK293細胞及び組換えタンパク質で被覆したSuperavidin(商標)ビーズ(Bangs Laboratories)又は抗原トランスフェクトHEK細胞上での均一蛍光ベースの結合アッセイにおいて試験した。これはクローン化された抗体の特異性を確認するために実行した。
Fab−X及びFab−Yを含有する一過性上澄みの作製
例12に記載されるのと同じExpi293トランスフェクション法を使用してFab−X及びFab−Yを含有する一過性上澄みを作製した。
精製されたFab−X及びFab−Yの作製
浮遊CHOSXE細胞を、2mM(100×)glutamxを補充したCDCHO培地(Invitrogen)に前順応させた。細胞は、振盪インキュベーター器(Kuner AG、Birsfelden、Switzerland)上、140rpmで撹拌して対数増殖期に維持し、8%COを補充して37℃で培養した。
トランスフェクションに先立って、細胞数及び生存率をCEDEX細胞計数器(Innovatis AG.Bielefeld、Germany)を使用して決定し、必要量の細胞(2×10細胞/ml)を遠心コニカルチューブに移して1400rpmで10分間回転させた。ペレット状細胞は無菌Earls平衡塩類溶液に再懸濁させ、1400rpmでさらに10分間回転させた。上澄みは捨てペレットは所望の細胞密度まで再懸濁した。
最終濃度2×10細胞/ml混合で400μg及び800μlのベクターDNAはキュベット(Biorad)にピペットを使って入れ、社内電気穿孔システムを使用して電気穿孔した。
トランスフェクトされた細胞は、2mM glutamx及び抗生物質有糸***阻害剤(100×)溶液(500中1)で強化したProCHO5培養液を含有する1×3Lエルレンマイヤーフラスコに直接移し、細胞は37℃、5%CO及び140rpmに設定したKuhner振盪インキュベーター器で振盪しながら培養した。栄養補助剤2g/LのASF(味の素)をトランスフェクションの24時間後に添加し、さらに13日間の培養のために温度を37℃まで下げた。4日目、3mMの酪酸ナトリウム(n−酪酸ナトリウム塩、Sigma B−5887)を培養物に添加した。
14日目、培養物はチューブに移し、4000rpmでの30分間の遠心分離後上澄みを細胞から分離した。保持した上澄みは0.22μmのSARTOBRAN(登録商標)P Millipore、続いて0.22μmのガンマゴールド濾過器を通してさらに濾過した。最終発現レベルはプロテインG−HPLCにより決定した。
Fab−X及びFab−Yは、AKTA Xpressシステム及びHisTrap Excel前充填ニッケルカラム(GE Healthcare)を使用して親和性捕捉により精製した。培養上澄みは0.22μmの無菌濾過を行い、pHは必要な場合にはカラムに充填する前に弱酸又は弱塩基で中性に調整した。15〜25mMイミダゾールを含有する二次洗浄ステップを使用して、弱い結合の宿主細胞タンパク質/非特異的His結合物をいずれもニッケル樹脂から移動させた。溶出は、10mMのリン酸ナトリウム、pH7.4+1M NaCl+250mMイミダゾールを用いて実施し、2mlの画分を収集した。1カラム容積を溶出に入れ、系は10分間休止させて、溶出ピークを締め、したがって、全溶出量は減少する。一番きれいな画分をプールし、PBS(Sigma)、pH7.4に緩衝液交換し0.22μmの濾過を行った。最終プールはA280 Scan、SE−HPLC(G3000法)、SDS−PAGE(還元された及び非還元の)により、内毒素についてはPTS Endosafeシステムを使用してアッセイした。
機能アッセイ
活性化マーカーアッセイ:抗原2特異的Fab’−Y及び抗原3特異的Fab’−Xは、精製されたものでも一過性上澄み中でも、等モル濃度で60分間(37℃及び5%CO環境で)一緒にインキュベートした。組合せは、1対4連続希釈で開始モル濃度185nMから滴定した。モックの上澄みもインキュベートし、原液から滴定した。V字型底96ウェルプレートにおいて、1.5×10PBMCをウェルに添加し、それに滴定されたFab’−X及びFab’−Y組合せ又はモックの上澄みを添加した。次に、組合せ及び細胞はさらに90分間一緒にインキュベートした。この時間の後、B細胞は、37℃及び5%COで24時間、12.5μg/mLのヤギF(ab’)抗ヒトIgM(Southeren Biotechnology)を添加することにより活性化した。
ウェルに100μLの氷冷FACS緩衝液(PBS+1%BSA+0.1%NaN+2mM EDTA)を添加し、プレートは密封しておおよそ15分間湿った氷でカバーし、その後500×gで、4℃、5分間遠心分離した。過剰な上澄みは細胞ペレットから破棄し、プレートは2000rpmで30秒間振盪させた。
次に、細胞は蛍光的に標識された抗CD19、抗CD20及び抗CD71抗体(BD Biosciences)のカクテルで染色した。プレートは手短に振盪し、暗所において湿った氷上で1時間インキュベートした。この時間の後、プレートは2度洗浄し、20μLのFACS緩衝液に再懸濁した。CD19、CD20及びCD71の細胞発現はIntellicyt iQUE(登録商標)スクリーナーフローサイトメーターを使用して測定した。
データ解析ソフトウェアパッケージForecyt(商標)(Intellicyt)を使用して、B細胞は他の細胞集団とは異なると同定され、CD71レベルの幾何平均はウェルごとに計算した。次に、データはすべて最大限応答(抗IgMのみ)マイナスバックグランド(細胞のみ)のパーセンテージ阻害として表した。
PhosFlowアッセイ:抗原2特異的Fab’−Y及び抗原3特異的Fab’−Xは、精製されたものでも一過性上澄み中でも、等モル濃度で60分間(37℃及び5%CO環境で)一緒にインキュベートした。組合せは、1対4連続希釈で開始モル濃度185nMから滴定した。モックの上澄みもインキュベートし、原液から滴定した。V字型底96ウェルプレートにおいて、5.0×10PBMCをウェルに添加し、それに滴定されたFab’−X及びFab’−Y組合せ又はモックの上澄みを添加した。次に、組合せ及び細胞はさらに90分間一緒にインキュベートした。この時間の後、B細胞は、37℃及び5%COで15分間、25μg/mLのヤギF(ab’)抗ヒトIgM(Southern Biotechnology)を添加することにより活性化した。次に、シグナル伝達反応は等容積のCytofix緩衝液(BD Biosciences)を添加することにより停止した。次に、プレートは15分間室温に放置し、その後500×gで、5分間遠心分離した。過剰な上澄みは細胞ペレットから破棄し、ペレットはFACS緩衝液(PBS+1%BSA+0.01%NaN+2mM EDTA)に再懸濁して、もう1度洗浄した。次に、細胞は氷冷Perm緩衝液III(BD Biosciences)に30分間再懸濁し、その後フロー緩衝液で2度洗浄した。
次に、細胞は蛍光的に標識された抗CD20抗体(BD Biosciences)及び保存された二重リン酸化部位pT180/pY182を認識する抗リン酸化p38抗体で染色した。次に、プレートは再懸濁し、暗所において室温で1時間インキュベートした。この時間の後、プレートはさらに2度洗浄し、20μLのFACS緩衝液に再懸濁した。CD20及びホスホ−p38の細胞発現はIntellicyt iQUE(登録商標)フローサイトメトリーを使用して測定した。
データ解析ソフトウェアパッケージForecyt(商標)(Intellicyt)を使用して、B細胞は他の細胞集団とは異なると同定され、p38レベルの幾何平均はウェルごとに計算した。次に、データはすべて最大限応答(抗IgMのみ)マイナスバックグランド(細胞のみ)のパーセンテージ阻害として表した。
結果
活性化マーカーアッセイ:図28において見られるように、データは、抗原3と抗原2の組合せが、精製されたものでも一過性上澄み由来でも、抗IgMで刺激されたB細胞上でCD71発現を阻害できることを示している。
PhosFlowアッセイ:図29のデータは、抗原3と抗原2の組合せが、精製されたものでも一過性上澄み由来でも、抗IgMで刺激されたB細胞においてリン酸化p38を阻害できることを示している。
精製に頼らずに一過性に発現された培養物に直接由来する本発明の二重特異性複合体を構築することができる驚くべき能力のおかげで、精製された成分を使用した場合よりも二重特異性複合体のはるかにハイスループットなスクリーニングを達成することができる。
(例14)
最適抗原3抗体V領域を選択するためのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされたタンパク質複合体中の精製された抗抗原2Fab−Yと一緒のFab−Xとしての抗原3に対する一過性に発現されたV領域のスクリーニング
序論:抗原2特異的V領域と組み合わせた二重特異性抗体としてB細胞シグナル伝達を阻害する抗原3に対する新しいV領域は、ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされたタンパク質複合体の格子スクリーニングを使用して同定した。抗原3 V領域は、Fab−Xとして一過性に発現され、精製した抗抗原2 Fab−Yと組み合わされた。B細胞シグナル伝達の活性化の阻害を測定してもっとも強力な抗原3及び抗原2 V領域を選択した。
抗原発現細胞の調製及びウサギの免疫化は例12に記載されるのと同じように実行した。
抗体発見:B細胞培養物は例12に記載されるのと同じように調製した。
B細胞培養上澄み中の抗原特異的抗体のスクリーニング及び抗原特異的B細胞の同定のためのデコンボリューションステップは例12と同じように決定した。
追加の可変領域は免疫化マウスの脾臓及び骨髄由来B細胞から直に直接フォーカス法により発見した。手短に言えば、4×10から8×10細胞/mlの最終密度の細胞を、ビオチン化抗原及び1対1200最終希釈のヤギ抗マウスFcγ断片特異的FITCコンジュゲート(Jackson)で被覆したストレプトアビジンビーズ(New England Biolabs)と混合した。37℃での1時間の静置インキュベーション後、抗原特異的B細胞はそのB細胞を取り囲んでいる蛍光ハローの存在のために同定することができた。いくつかのこれらの個々のB細胞クローンは、Olympus顕微鏡を使用して同定されたが、次に、Eppendorfマイクロマニュピレーターを用いて選び取り、PCRチューブ内に蓄積した。
抗体可変領域遺伝子は、重及び軽鎖可変領域特異的プライマーを使用して逆転写(RT)PCRにより単細胞から回収した。2ラウンドのPCRを実施し、3’及び5’末端に制限部位を組み込んでいるネステッド二次PCRにより可変領域をマウスFab−X及びマウスカッパ(VL)哺乳動物発現ベクターにクローニングすることができた。次に、これらのベクターは、293Fectin(Life Technologies)を使用してHEK293細胞に又はExpifectamine(Life Technologies)を使用してExpi293細胞に同時トランスフェクトし、6日間発現させておいた。上澄みは、抗原をトランスフェクトしたHEK293細胞及び組換えタンパク質で被覆したSuperavidin(商標)ビーズ(Bangs Laboratories)又は抗原トランスフェクトHEK細胞上での均一蛍光ベースの結合アッセイにおいて試験した。これはクローン化された抗体の特異性を確認するために実行した。
Fab−X一過性上澄みに加えて、陰性対照であるモックの上澄みを無関係な対照DNAを使用して同じように調製した。
Fab−Xの発現レベルはプロテインG−HPLCにより決定した。
精製されたFab−Yの作製:精製されたFab−Yは例13に記載されるのと同じ方法を使用して調製した。
機能アッセイ
3つの異なる抗体カクテルの代わりに、例12において抗体カクテルAについて記載されたのと同じアッセイ濃度及びインキュベーション条件を用いて1カクテルのみを使用することを除いて、例12に記載されるのと同じ機能アッセイを使用した。
抗体カクテル=1対3 CD20 PerCp−Cy5.5+1対5 PLCganma2 AF88+1対10 Akt AF647+1対5 p38 MAPK PE(FACS緩衝液に希釈した)
結果
図30〜33に見られるように、データは、Fab−X中の異なる一過性に発現された抗原3マウスV領域とFab−Y中の2つの異なる精製された抗原2 V領域(VR447及びVR4450)の組合せがB細胞活性化を異なるレベルにまで阻害することが可能であり、したがって、スクリーニングは最適V領域の選択を促進することを示している。一過性Fab−Xとの組合せは、精製されたFab−X(VR4126)との基準組合せと比べた。
(例15)
分子的に連結された二重特異性BYbeフォーマットとのFab−Kd−Fabスクリーニングフォーマットにおける抗原2プラス抗原3同時ターゲティングの活性の比較
序論:Fab−Kd−Fabヘテロ二量体的に繋ぎ合わされたスクリーニング複合体において同定された標的対活性が、別の治療的分子的に連結されたフォーマットにおける類似する所望の活性に変換可能であることを調べるために、抗原2特異性(VR4447)及び抗原3特異性(VR4130)をBYbeフォーマットで生じさせた。このBYbeフォーマットは、抗抗原2Fab(VR4447)の重鎖に融合されたジスルフィド安定化(ds)単鎖(sc)−Fvとしての抗抗原3 V領域(VR4130)からなる。
方法
機能スクリーニングのためのBYbeの精製を以下の通りに実施することを除いて例13に記載の通りである:
機能スクリーニングBYbe(Fab−dsscFv[Fab重鎖のC末端からのscFv])フォーマットは以下の通りに精製した。標準expiHEK又はCHO発現由来の澄んだ細胞培養上澄みを0.22μm無菌濾過した。濾過した上澄みは、PBS pH7.4(Sigma Aldrich Chemicals)で平衡化した50mlのGammabindPlus Sepharose XK26カラム(GE Healthcare)上に2ml/分で充填した。充填後、カラムはPBS pH7.4で洗浄し、次に0.1M グリシン/HCl pH2.7で溶出させた。溶出に続いて280nmで吸光度を測り、溶出ピークを収集し、次に1/25容積の2M Tris/HCl pH8.5で中和した。中和された試料はAmicon Ultra−15濃縮器を使用して濃縮し、10kDa(BYbe)分子量は膜から切り離し、スイングアウトルーターにおいて4000×gで遠心分離した。濃縮した試料は、PBS pH7.4で平衡にしたXK16/60又はXK26/60Superdex200カラム(GE Healthcare)のいずれかに適用した。カラムは、それぞれ1ml/分又は2.6ml/分のいずれかで均一濃度勾配のPBS、pH7.4を用いて展開させた。画分を収集し、TSKgel G3000SWXL上サイズ排除クロマトグラフィーにより分析し;5μm、7.8×300mmカラムは1ml/分で均一濃度勾配の0.2Mリン酸、pH7.0を用いて展開させ、280nmの吸光度により検出した。選択された単量体画分はプールし、Amicon Ultra−15濃縮器を使用して>1mg/mlまで濃縮し、10kDa(BYbe)分子量は膜から切り離し、スイングアウトルーターにおいて4000×gで遠心分離した。最終試料は、A280Scanning UV−可視光分光光度計(Cary 50Bio)により濃度について;TSKgel G3000SWXL上サイズ排除クロマトグラフィーにより%単量体について;5μm、7.8×300mmカラムは1ml/分で均一濃度勾配の0.2Mリン酸、pH7.0を用いて展開させ、280nmの吸光度により検出;50mA(ゲルあたり)で53分間4〜20% Tris−グリシン1.5mmゲル(Novex)上で実行される還元性及び非還元性SDS−PAGEにより;並びにカブトガニアメボサイトライセート(LAL)試験カートリッジを用いるCharles River’s EndoSafe(登録商標)携帯型試験システムにより内毒素についてアッセイした。
機能アッセイ
活性化マーカーアッセイ:抗原2特異的Fab’−Y及び抗原3特異的Fab’−Xは、等モル濃度で60分間(37℃及び5%CO環境で)一緒にインキュベートした。組合せは、1対4連続希釈で開始モル濃度100nMから滴定した。抗原2及び3特異的BYbeも1対4連続希釈で開始モル濃度100nMから滴定した。V字型底96ウェルプレートにおいて、1.5×10PBMCをウェルに添加し、それに滴定されたFab’−X及びFab’−Y組合せ又は滴定されたBybeを添加した。Fab’−X及びFab’−Y組合せ又はBybeはさらに90分間細胞と一緒にインキュベートした。この時間の後、B細胞は、37℃及び5%COで24時間、25μg/mLのヤギF(ab’)抗ヒトIgM(Southern Biotechnology)を添加することにより活性化した。
ウェルに100μLの氷冷FACS緩衝液(PBS+1%BSA+0.1%NaN+2mM EDTA)を添加し、プレートは密封しておおよそ15分間湿った氷でカバーし、その後500×gで、4℃、5分間遠心分離した。過剰な上澄みは細胞ペレットから破棄し、プレートは2000rpmで30秒間振盪させた。
次に、細胞は蛍光的に標識された抗CD19、抗CD20及び抗CD71抗体、並びに抗CD40及び抗CD86抗体(BD Biosciences)のカクテルで染色した。プレートは手短に振盪し、暗所において湿った氷上で1時間インキュベートした。この時間の後、プレートは2度洗浄し、20μLのFACS緩衝液に再懸濁した。CD19、CD20及びCD71、CD40及びCD86の細胞発現はIntellicyt iQUE(登録商標)スクリーナーフローサイトメトリーを使用して測定した。
データ解析ソフトウェアパッケージForecyt(商標)(Intellicyt)を使用して、B細胞は他の細胞集団とは異なると同定され、CD71、CD40及びCD86レベルの幾何平均はウェルごとに計算した。次に、データはすべて最大限応答(抗IgMのみ)マイナスバックグランド(細胞のみ)のパーセンテージ阻害として表した。
PhosFlowアッセイ:抗原2特異的Fab’−Y及び抗原3特異的Fab’−Xは、等モル濃度で60分間(37℃及び5%CO環境で)一緒にインキュベートした。組合せは、1対4連続希釈で開始モル濃度100nMから滴定した。抗原2及び抗原3特異的BYbeも1対4連続希釈で開始モル濃度100nMから滴定した。V字型底96ウェルプレートにおいて、5.0×10PBMCをウェルに添加し、それに滴定されたFab’−X及びFab’−Y組合せ又は滴定されたBYbeを添加した。Fab’−X及びFab’−Y組合せ又はBybeはさらに90分間細胞と一緒にインキュベートした。この時間の後、B細胞は、37℃及び5%COで15分間、25μg/mLのヤギF(ab’)抗ヒトIgM(Southern Biotechnology)を添加することにより活性化した。次に、シグナル伝達反応は等容積のCytofix緩衝液(BD Biosciences)を添加することにより停止した。次に、プレートは15分間室温に放置し、その後500×gで、5分間遠心分離した。過剰な上澄みは細胞ペレットから破棄し、ペレットはFACS緩衝液(PBS+1%BSA+0.01%NaN+2mM EDTA)に再懸濁して、もう1度洗浄した。次に、細胞は氷冷Perm緩衝液III(BD Biosciences)に30分間再懸濁し、その後フロー緩衝液で2度洗浄した。
次に、細胞は蛍光的に標識された抗CD20抗体(BD Biosciences)並びに抗リン酸化PLCγ2、抗リン酸化Akt及び抗リン酸化p38抗体(BD Biosciences)で染色した。次に、プレートは再懸濁し、暗所において室温で1時間インキュベートした。この時間の後、プレートはさらに2度洗浄し、20μLのFACS緩衝液に再懸濁した。CD20並びにホスホ−PLCγ2、ホスホ−Akt及びホスホ−p38抗体の細胞発現はIntellicyt iQUE(登録商標)フローサイトメーターを使用して測定した。
データ解析ソフトウェアパッケージForecyt(商標)(Intellicyt)を使用して、B細胞は他の細胞集団とは異なると同定され、PLCγ2、Akt及びp38レベルの幾何平均はウェルごとに計算した。次に、データはすべて最大限応答(抗IgMのみ)マイナスバックグランド(細胞のみ)のパーセンテージ阻害として表した。
結果
PhosFlowアッセイ:図34のデータは、Fab−Kd−Fab又はBybeフォーマットのいずれかで抗原3と抗原2をターゲティングすると、抗IgMで刺激されたB細胞においてリン酸化PLCγ2を阻害できることを示している。図35のデータは、Fab−Kd−Fab又はBybeフォーマットのいずれかで抗原3と抗原2をターゲティングすると、抗IgMで刺激されたB細胞においてリン酸化p38を阻害できることを示している。図36のデータは、Fab−Kd−Fab又はBybeフォーマットのいずれかで抗原3と抗原2をターゲティングすると、抗IgMで刺激されたB細胞においてリン酸化Aktを阻害できることを示している。
活性化マーカーアッセイ:図37で見ることができるように、データは、Fab−Kd−Fab又はBybeフォーマットのいずれかで抗原3と抗原2をターゲティングすると、抗IgMで刺激されたB細胞上でCD71発現を阻害できることを示している。図38のデータは、Fab−Kd−Fab又はBybeフォーマットのいずれかで抗原3と抗原2をターゲティングすると、抗IgMで刺激されたB細胞上でCD40発現を阻害できることを示している。図39のデータは、Fab−Kd−Fab又はBybeフォーマットのいずれかで抗原3と抗原2をターゲティングすると、抗IgMで刺激されたB細胞上でCD86発現を阻害できることを示している。
(例16)
in vivo半減期の延長のための分子的に連結された二重特異性Bybeフォーマットにおける抗原2プラス抗原3同時ターゲティングの活性の抗アルブミン結合ドメインのさらなる付加との比較
序論:Fab−Kd−Fabヘテロ二量体的に繋ぎ合わされたスクリーニング複合体において同定された標的対活性が、抗アルブミン標的in vivo半減期延長を有する潜在的な治療的分子的に連結されたフォーマットにおける類似する所望の活性に変換可能であることを調べるために、抗アルブミン抗体断片を例15に記載されるBybeフォーマットの抗原3Fabの軽鎖に融合させた。抗原2特異性(VR4447)及び抗原3特異性(VR4130及びVR4126)を、抗アルブミン断片(VR0645)を付加して及び付加なしでBYbeフォーマットで生じさせた。
方法
機能スクリーニングのためのBYbeの精製
機能スクリーニングBYbe(Fab−dsscFv[Fab重鎖のC末端からのscFv])フォーマットは以下の通りに精製した。標準expiHEK又はCHO発現由来の澄んだ細胞培養上澄みを0.22μm無菌濾過した。濾過した上澄みは、PBS pH7.4(Sigma Aldrich Chemicals)で平衡化した50mlのGammabindPlus Sepharose XK26カラム(GE Healthcare)上に2ml/分で充填した。充填後、カラムはPBS pH7.4で洗浄し、次に0.1M グリシン/HCl pH2.7で溶出させた。溶出に続いて280nmで吸光度を測り、溶出ピークを収集し、次に1/25容積の2M Tris/HCl pH8.5で中和した。中和された試料はAmicon Ultra−15濃縮器を使用して濃縮し、10kDa又は30kDaいずれかの分子量は膜から切り離し、スイングアウトルーターにおいて4000×gで遠心分離した。濃縮した試料は、PBS pH7.4で平衡にしたXK16/60又はXK26/60Superdex200カラム(GE Healthcare)のいずれかに適用した。カラムは、それぞれ1ml/分又は2.6ml/分のいずれかで均一濃度勾配のPBS、pH7.4を用いて展開させた。画分を収集し、TSKgel G3000SWXL上サイズ排除クロマトグラフィーにより分析し;5μm、7.8×300mmカラムは1ml/分で均一濃度勾配の0.2Mリン酸、pH7.0を用いて展開させ、280nmの吸光度により検出した。選択された単量体画分はプールし、Amicon Ultra−15濃縮器を使用して>1mg/mlまで濃縮し、10kDa又は30kDa分子量は膜から切り離し、スイングアウトルーターにおいて4000×gで遠心分離した。最終試料は、A280Scanning UV−可視光分光光度計(Cary 50Bio)により濃度について;TSKgel G3000SWXL上サイズ排除クロマトグラフィーにより%単量体について;5μm、7.8×300mmカラムは1ml/分で均一濃度勾配の0.2Mリン酸、pH7.0を用いて展開させ、280nmの吸光度により検出;50mA(ゲルあたり)で53分間4〜20%Tris−グリシン1.5mmゲル(Novex)上で実行される還元性及び非還元性SDS−PAGEにより;並びにカブトガニアメボサイトライセート(LAL)試験カートリッジを用いるCharles River’s EndoSafe(登録商標)携帯型試験システムにより内毒素についてアッセイした。
100nMのそれぞれの構築物精製タンパク質を、RMPI 1640培地プラス10%ウシ胎仔血清及び2mM Glutamax(R10培地)において37℃/5%COで60分間5つの別々のドナー由来のヒトPBMCと一緒に前インキュベートした。60分後、細胞は、B細胞のみを刺激するように設計された25μg/mlのヤギ抗IgM抗体で刺激した。24時間後、プレートは氷上に置いてそれ以上のいかなる活性化も停止させ、その後氷冷フローサイトメトリー緩衝液(PBS+1%BSA+0.01%NaN)で1度洗浄した。上澄みはすべて取り除き細胞ペレットは再懸濁した。細胞は氷上に置き、抗CD19、抗CD20、抗CD27、抗CD71及びCD86抗体のカクテルを添加した。細胞は60分間インキュベートし、その後フローサイトメトリー緩衝液で2度洗浄した。抗CD27、抗CD71及びCD86のCD19/CD20陽性B細胞への結合に関するデータは、iQUEハイスループットフローサイトメトリーを使用して作成した。Forecytソフトウェアを使用してヒストグラムを作成し、抗CD27、抗CD71及びCD86抗体のB細胞への結合について幾何平均強度の記録値を得た。このデータをExcelに取り込み、組合せごとにパーセンテージ阻害値を得た。次に、データはGraphpad Prismに取り込み、平均を「+」で示して組合せごとに箱ヒゲチャートを作成した。
図40は、VR4447/VR4126 BYbe及びVR4447/VR4126/VR645 BYbe/アルブミンにより誘導されるB細胞上のCD27発現の阻害を示している。試験された5件のドナーにわたり、両方が抗IgM誘導CD27の一貫して類似するレベルの阻害を示した。図41は、VR4447/VR4126 BYbe及びVR4447/VR4126/VR645 BYbe/アルブミンにより誘導されるB細胞上のCD71発現の阻害を示している。5件のドナーにわたり、両方が抗IgM誘導CD71の一貫して類似するレベルの阻害を示した。図42は、VR4447/VR4126 BYbe及びVR4447/VR4126/VR645 BYbe/アルブミンにより誘導されるB細胞上のCD86発現の阻害を示している。5件のドナーにわたり、両方が抗IgM誘導CD86の一貫して類似するレベルの阻害を示した。
GCN4(7P14P) 配列

ボールド(全角)のアミノ酸は任意であり、下線部のアミノ酸は連結配列である。

GCTAGCGGAGGCGGAAGAATGAAACAACTTGAACCCAAGGTTGAAGAATTGCTTCCGAAAAATTATCACTTGGAAAATGAGGTTGCCAGATTAAAGAAATTAGTTGGCGAACGCCATCACCATCACCATCAC 配列番号2
52SR4 ds scFv配列
DAVVTQESALTSSPGETVTLTCRSSTGAVTTSNYASWVQEKPDHLFTGLIGGTNNRAPGVPARFSGSLIGDKAALTITGAQTEDEAIYFCVLWYSDHWVFGCGTKLTVLGGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSDVQLQQSGPGLVAPSQSLSITCTVSGFLLTDYGVNWVRQSPGKCLEWLGVIWGDGITDYNSALKSRLSVTKDNSKSQVFLKMNSLQSGDSARYYCVTGLFDYWGQGTTLTVSSAAAHHHHHHEQKLISEEDL−配列番号3
GATGCGGTGGTGACCCAGGAAAGCGCGCTGACCAGCAGCCCGGGCGAAACCGTGACCCTGACCTGCCGCAGCAGCACCGGCGCGGTGACCACCAGCAACTATGCGAGCTGGGTGCAGGAAAAACCGGATCATCTGTTTACCGGCCTGATTGGCGGCACCAACAACCGCGCGCCGGGCGTGCCGGCGCGCTTTAGCGGCAGCCTGATTGGCGATAAAGCGGCGCTGACCATTACCGGCGCGCAGACCGAAGATGAAGCGATTTATTTTTGCGTGCTGTGGTATAGCGACCATTGGGTGTTTGGCTGCGGCACCAAACTGACCGTGCTGGGTGGAGGCGGTGGCTCAGGCGGAGGTGGCTCAGGCGGTGGCGGGTCTGGCGGCGGCGGCAGCGATGTGCAGCTGCAGCAGAGCGGCCCGGGCCTGGTGGCGCCGAGCCAGAGCCTGAGCATTACCTGCACCGTGAGCGGCTTTCTCCTGACCGATTATGGCGTGAACTGGGTGCGCCAGAGCCCGGGCAAATGCCTGGAATGGCTGGGCGTGATTTGGGGCGATGGCATTACCGATTATAACAGCGCGCTGAAAAGCCGCCTGAGCGTGACCAAAGATAACAGCAAAAGCCAGGTGTTTCTGAAAATGAACAGCCTGCAGAGCGGCGATAGCGCGCGCTATTATTGCGTGACCGGCCTGTTTGATTATTGGGGCCAGGGCACCACCCTGACCGTGAGCAGCGCGGCCGCCCATCACCATCACCATCACGAACAGAAACTGATTAGCGAAGAAGATCTGTAATAG
配列番号4

Claims (38)

  1. 式A−X:Y−Bを有する二重特異性タンパク質複合体であって、
    A−Xは第1の融合タンパク質であり、
    Y−Bは第2の融合タンパク質であり、
    X:Yはヘテロ二量体繋であり、
    :はXとYの間の結合相互作用であり、
    Aは、Fab又はFab’断片から選択される、二重特異性タンパク質複合体の第1のタンパク質成分であり、
    Bは、Fab又はFab’断片から選択される、二重特異性タンパク質複合体の第2のタンパク質成分であり、
    Xは、抗原若しくは抗体又はその結合断片から独立して選択される、結合対の第1の結合パートナーであり、
    Yは、抗原若しくは抗体又はその結合断片から独立して選択される、結合対の第2の結合パートナーであり、
    ただし、Xが抗原である場合、Yは、Xにより表される抗原に特異的である抗体又はその結合断片であり、Yが抗原である場合、Xは、Yにより表される抗原に特異的である抗体又はその結合断片である、上記二重特異性タンパク質複合体。
  2. AがFab断片である、請求項1に記載の二重特異性タンパク質複合体。
  3. BがFab断片である、請求項1又は2に記載の二重特異性タンパク質複合体。
  4. XがFab又はFab’断片中の重鎖のC末端に、場合によってリンカーを介して、融合している、請求項1から3までのいずれか一項に記載の二重特異性タンパク質複合体。
  5. YがFab又はFab’断片中の重鎖のC末端に、場合によってリンカーを介して、融合している、請求項1から4までのいずれか一項に記載の二重特異性タンパク質複合体。
  6. Xが、scFv、VHH及びペプチドから独立して選択され、ただし、Xがペプチドである場合、Yは抗体又はscFv若しくはVHHなどのその結合断片であり、XがscFv又はVHHである場合、Yはペプチドなどの抗原である、請求項1から5までのいずれか一項に記載の二重特異性タンパク質複合体。
  7. YがscFv、VHH及びペプチドから独立して選択され、ただし、Yがペプチドである場合、Xは抗体又はscFv若しくはVHHなどのその結合断片であり、YがscFv又はVHHである場合、Xはペプチドなどの抗原である、請求項1から6までのいずれか一項に記載の二重特異性タンパク質複合体。
  8. ペプチドが5から25アミノ酸長の範囲である、請求項6又は7に記載の二重特異性タンパク質複合体。
  9. XとYの間の結合親和性が5nM又はそれよりも強い、請求項1から8までのいずれか一項に記載の二重特異性タンパク質複合体。
  10. XとYの間の結合親和性が900pM又はそれよりも強い、例えば800、700、600、500、400又は300pMなどである、請求項9に記載の二重特異性タンパク質複合体。
  11. X又はYが、ペプチドGCN4(配列番号、1又は配列番号1のアミノ酸1から38)に特異的であるscFv又はVHHである、請求項1から10までのいずれか一項に記載の二重特異性タンパク質複合体。
  12. scFvが52SR4(配列番号3、又は配列番号3のアミノ酸1〜243)である、請求項11に記載の二重特異性タンパク質複合体。
  13. X又はYがペプチドGCN4(配列番号1、又は配列番号1のアミノ酸1〜38)である、請求項1から12までのいずれか一項に記載の二重特異性タンパク質複合体。
  14. A及び/又はBが、T細胞又はB細胞シグナル伝達受容体などの細胞表面受容体、共刺激分子、チェックポイント阻害因子、ナチュラルキラー細胞受容体、免疫グロブリン受容体、TNFRファミリー受容体、B7ファミリー受容体、接着分子、インテグリン、サイトカイン/ケモカイン受容体、GPCR、増殖因子受容体、キナーゼ受容体、組織特異的抗原、がん抗原、病原体認識受容体、補体受容体、ホルモン受容体又はサイトカイン、ケモカイン、ロイコトリエン、増殖因子、ホルモン、酵素などの可溶性分子、及びイオンチャネルを含む群から選択される抗原に対して特異的である、請求項1から13までのいずれか一項に記載の二重特異性タンパク質複合体。
  15. 請求項1から14までのいずれか一項に定義される1つ又は複数の二重特異性タンパク質複合体を含む組成物。
  16. 治療において使用するための請求項1から15までのいずれか一項に記載の二重特異性タンパク質複合体又は請求項15に記載の組成物。
  17. 請求項1から15までのいずれか一項に記載の二重特異性タンパク質複合体における相乗的生物学的機能を検出する方法であって、1つ又は複数の機能アッセイにおいて二重特異性タンパク質複合体を試験することを含む、上記方法。
  18. 式A−X:Y−Bのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的生物学的機能を検出するための方法であって、
    X:Yはヘテロ二量体繋であり、
    :はXとYの間の結合相互作用であり、
    A及びBはそれぞれX及びYとの融合タンパク質の形態の二重特異性のタンパク質成分であり、前記方法は、
    (i)少なくとも1つのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体を含むマルチプレックスの一部又はすべてについて機能アッセイにおいて活性を試験するステップと、
    (ii)機能アッセイからの読み出し情報(単数又は複数)を解析して、ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体における相乗的生物学的機能を検出するステップと
    を含み、
    Yは抗原でありXはYに特異的である抗体若しくはその結合断片である、又はXは抗原でありYはXに特異的である抗体若しくはその結合断片である、上記方法。
  19. マルチプレックスが格子の形態である、請求項18に記載の方法。
  20. マルチプレックスが少なくとも2つのヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体を含む、請求項18又は請求項19に記載の方法。
  21. ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体(単数又は複数)がFc領域を含有しない、請求項18から20までのいずれか一項に記載の方法。
  22. Aが、Fab断片、Fab’断片、VHH、VH、VL及びscFvから独立して選択される、請求項18又は21のいずれか一項に記載の方法。
  23. AがFabなどのFab又はFab’断片である、請求項22に記載の方法。
  24. Bが、抗体、Fab断片、Fab’断片、VHH、VH、VL及びscFvから独立して選択される、請求項18から23までのいずれか一項に記載の方法。
  25. BがFab断片などのFab又はFab’断片である、請求項24に記載の方法。
  26. Xが抗体、Fab又はFab’断片中の重鎖のC末端に、場合によってリンカーを介して、融合している、請求項18から25までのいずれか一項に記載の方法。
  27. Yが抗体、Fab又はFab’断片中の重鎖のC末端に、場合によってリンカーを介して、融合している、請求項18から26までのいずれか一項に記載の方法。
  28. Xが、scFv、VHH及びペプチドから独立して選択され、ただし、Xがペプチドである場合、Yは抗体又はscFv若しくはVHHなどのその結合断片であり、XがscFv又はVHHである場合、Yはペプチドなどの抗原である、請求項18から27までのいずれか一項に記載の方法。
  29. Yが、scFv、VHH及びペプチドから独立して選択され、ただし、Yがペプチドである場合、Xは抗体又はscFv若しくはVHHなどのその結合断片であり、YがscFv又はVHHである場合、Xはペプチドなどの抗原である、請求項18から28までのいずれか一項に記載の方法。
  30. ペプチドが5から25アミノ酸長の範囲である、請求項28又は29に記載の方法。
  31. XとYの間の結合親和性が5nM又はそれよりも強い、請求項18から30までのいずれか一項に記載の方法。
  32. XとYの間の結合親和性が900pM又はそれよりも強い、例えば800、700、600、500、400又は300pMなどである、請求項31に記載の方法。
  33. X又はYが、ペプチドGCN4(配列番号1、又は配列番号1のアミノ酸1から38)に特異的であるscFv又はVHHである、請求項18から32までのいずれか一項に記載の方法。
  34. scFvが52SR4(配列番号3、又は配列番号3のアミノ酸1〜243)である、請求項33に記載の方法。
  35. X又はYがペプチドGCN4(配列番号1、又は配列番号1のアミノ酸1〜38)である、請求項18から34までのいずれか一項に記載の方法。
  36. A及び/又はBが、T細胞又はB細胞シグナル伝達受容体などの細胞表面受容体、共刺激分子、チェックポイント阻害因子、ナチュラルキラー細胞受容体、免疫グロブリン受容体、TNFRファミリー受容体、B7ファミリー受容体、接着分子、インテグリン、サイトカイン/ケモカイン受容体、GPCR、増殖因子受容体、キナーゼ受容体、組織特異的抗原、がん抗原、病原体認識受容体、補体受容体、ホルモン受容体又はサイトカイン、ケモカイン、ロイコトリエン、増殖因子、ホルモン若しくは酵素などの可溶性分子、若しくはイオンチャネルを含む群から選択される抗原に対して特異的である、請求項18から35までのいずれか一項に記載の方法。
  37. ヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体が試験に先立って精製されない、請求項18から36までのいずれか一項に記載の方法。
  38. A−X及びY−B融合タンパク質が一過性に発現され、1対1モル比で混合されてヘテロ二量体的に繋ぎ合わされた二重特異性タンパク質複合体をそれぞれ生成する前に精製されない、請求項37に記載の方法。
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