JP2017509435A - インプラント接続部 - Google Patents

Abstract

本発明は、少なくとも一つの接続区分を有するインプラント構成部品に関する。接続区分は、ＴｉＮｂ被覆で少なくとも部分的に被覆されており、被覆は、１μｍから２０μｍ、好ましくは１μｍから６μｍの厚さを有する。本発明はまた、この種のインプラント構成部品を含むモジュール型内部プロテーゼに関する。

Description

本発明は、モジュール方式のインプラントにおいて使用されるような接続部分を有するインプラント構成部品及びそのようなモジュール方式のインプラントに関する。

現代の内部プロテーゼは、しばしばモジュール型構造を有する。すなわち、それらは、少なくとも二つの別々に選択可能な部品から組み立てられる。そのような構造は、これらのプロテーゼに患者の治療に関する個々の要求への高い適応性を提供する。

モジュール型構造の利点は、患者の生体構造及び生体力学的状態への内部プロテーゼの多様な適応性に関わらず、比較的小さな数の異なるモジュールだけが利用可能に保持される必要があることである。これらのモジュールは、例えば、異なる形状及び／又は材料を考慮することができる。結果として、そのようなモジュール型構造は、任意の可能な配列のためのインプラントが在庫として保持されるか又は個別に製造される必要がないという利点を特に有する。

モジュール型構造を持つ内部プロテーゼは、接続部分を用いて組み立てられる。コーン接続（konusverbindungen）は、これに関して特に成功していると証明されている。コーン接続において、一方のインプラント構成部品は雌コーンを、他方は雄コーンを有する。この接続を一緒に適合させるときに、二つのコーンの間の摩擦接続を得るように、コーン角の結果として生じるてこ作用が、コーン表面上に垂直な力を加えるために利用される。それ故に、そのような実現されたインプラント構成部品は、一緒に締め付けられる。

例えば、コーン接続は、個々のインプラント構成部品を接続するために股関節内部プロテーゼにおいて見出され得る。ここで単純なモジュール型股関節内部プロテーゼは、プロテーゼシャフトと大腿骨骨頭との間にインプラント接続を有する。

しかしながら、そのようなモジュール型内部プロテーゼの導入の後に、コーン接続内で隙間腐食及び摩擦腐食の発生が観察された。それらは、最悪の場合にはインプラントの重大な損傷につながり得る。腐食は、二つのインプラント構成部品の接続表面の間の微小移動及びそれらの間に起こる伸張によって引き起こされると想定される。これは、インプラント材料の表面上の酸化保護層の割れ及び摩耗に結果し、上述の腐食現象につながる。

これは、プロテーゼ設計への変更及びより正確な製造工程によって対処された。形状精度に加えて、接触表面の表面状態が改良された。

その後に市場に置かれた複数のモジュール型内部プロテーゼは、プロテーゼシャフトと大腿骨骨頭との間に配置された接続ピースを更に有する。それ故に、プロテーゼシャフトと接続ピースとの間、及び接続ピースと大腿骨骨頭との間に、インプラント接続が存在する。そのような接続ピースを有するプロテーゼシステムは、患者のニーズへの、プロテーゼの傾斜／前傾、長さ及びオフセットのより良好な調節を可能にするために開発された。

これらの複数のモジュール型プロテーゼにおいて、腐食は、第一にプロテーゼシャフトと接続ピースとの間の接点において起こる。モジュール型プロテーゼにおいて、腐食現象は、金属‐金属の組み合わせだけでなく、金属‐セラミックの組み合わせ、例えば金属のシャフト及びセラミックの頭部を備えた股関節内部プロテーゼにおいても起こることも見出された。

腐食の結果として、金属イオン、金属酸化物、金属有機リン酸塩及び小さな金属粒の放出も観察され、今度はそれらが機械的な摩損の増加につながる。苦痛、活力のない弛緩及び周囲の組織に対する負の波及効果が結果として起こり得る。アレルギー反応も起こるかも知れず、それもまた、プロテーゼの改良を余儀なくさせ得る。

これに鑑みて、本発明の一つの目的は、更なるインプラント構成部品への接続を可能にし、そのため、しかしながら、モジュール型プロテーゼにおける患者にとっての既知の前述の欠点を打ち消すインプラント構成部品を提供することであった。

上記の目的を解決するために、本発明によって、請求項１によるインプラント構成部品、及び請求項８によるモジュール型内部プロテーゼが提供される。

本発明によるインプラント構成部品は、ＴｉＮｂ被覆で少なくとも部分的に被覆されている少なくとも一つの接続部分を有する。

驚くべきことに、本発明に従って被覆された接続部分は、二次的なアレルギー反応を防止するだけでなく、同時に厚さが適切に選択される場合には信頼性の高い摩擦固定を確かにし、より良好な腐食に対する保護に結果する。

チタニウム（チタン）と同様に、チタニウム‐ニオビウム（ニオブ）被膜は、高度の生体適合性を有する。しかしながら、この金属合金の機械的な特性は、本発明によって提供される被覆により適している。特に、その被覆は望ましい低硬度を有し、そのため、コーン接続の元の表面構造の協働によって硬い連結構成部品と被覆された雄コーンの間の膠着状態（デッドロック）が確かにされる。

既に上で述べたように、対応するように機械加工されたインプラント材料の表面によって、接続部分において信頼性の高い摩擦固定を得るために、典型的に試みが行われる。換言すれば、被覆の機械的な特性に起因して、接続部分が他のインプラント構成部品の補完する（相補う）接続部分と接触する場合に垂直な力が起こり、それは、それ故に結果として生じる複数の接続部分の間の摩擦力による十分な締め付け作用を引き起こす。

通常、インプラント構成部品の摩損特性を改善するために、窒化物被覆が使用される。したがって、それらは、例えば、内部プロテーゼの滑走面のために使用される。しかしながら、そこでは、他の摩耗状態が接続領域内よりも優勢である。これは、窒化物被覆が満足な結果を生み出さなかったことの一つの理由であり得る。

接続部分上の被覆は、好ましくは１μｍから２０μｍ、好ましくは１μｍから６μｍの厚さを有する。なぜなら、安定的、連続的及び耐性のインプラント構成部品の接続は、この範囲内で達成され得るからである。好ましくは、被覆は、当業者に知られるＰＶＤ法又は注入法によって適用される。

一つの特に好ましい実施形態において、被覆は、３μｍから６μｍの層厚さを有し、更に好ましくは３μｍから５μｍの層厚さを有する。

その目標は、層の厚さが、機械的な負荷に耐える被覆を得るために十分に高くなるように選択されることである。同時に、目標は、コーン表面の構造が妨害／阻害されず、それ故に接続領域の複数の表面の間の安定的な摩擦固定を不可能にすることがないように、厚過ぎる被覆を選択しないことである。

一つの更なる好ましい実施形態において、接続部分は、雌コーン及び／又は雄コーンによって形成されている。接続部分は、他の、更なるインプラント構成部品の補完的なコーンとそれが接続可能であるようなやり方で、それらを用いて実現される。

他のインプラント構成部品はまた、被覆された接続部分を有する、本発明によるインプラント構成部品であってもよいが、しかしながら、それはまた、従来技術からの任意の他のインプラント構成部品であってもよい。両方の場合において、接続部分の腐食防止の効果は、基本的に他のインプラント構成部品とは独立に得られる。

インプラント構成部品の一つの特に好ましい実施形態において、接続部分は、回転対称に実現される。

これは、接続部分の回転軸の回りのインプラント構成部品の整列を可能にし、それ故に患者特異的な生体構造及び生体力学的な要求へのより良好な適応を許容する。

しかしながら、その長手方向軸の回りでのインプラント構成部品の相対移動が、正確には望まれない場合もあり得る。そのような場合において、接続部分は、そのインプラント構成部品が接続される構成部品に対する、本発明によるインプラント構成部品の回転を防止するために、回転対称な接続部分を有しない。

一つの好ましい実施形態において、本発明による接続部分は、金属合金を含むインプラント構成部品において使用される。

これは、知られているように、切断されたか又は引き離された構成部品が影響を受ける患者にとって負の結果につながる金属合金の場合に、特に利点を有する。

それに応じて、一つの特に好ましい実施形態において、インプラント構成部品は、コバルト‐クロミウム（クロム）合金を含む。

本発明による接続部分は、好ましくは関節内部プロテーゼにおいて使用される。これは、プロテーゼシャフト、接続ピース、関節頭部及び／又はそのような関節内部プロテーゼの任意の構成部品であってもよい。

その上に、前述の実施形態の一つによる被覆された接続部分を備えた、本発明による少なくとも一つのインプラント構成部品を有するモジュール型内部プロテーゼが、本発明によって提供される。

そのようなモジュール型内部プロテーゼは、最初に述べたモジュール型構造の利点を有し、しかしながら、腐食による損傷及びそれを原因とする負の結果を回避する。

本発明はまた、インプラント構成部品の接続部分上の腐食を防止するためのＴｉＮｂ被覆の使用であって、その被覆は、１μｍから２０μｍ、好ましくは１μｍから６μｍの厚さを有する、ＴｉＮｂ被覆の使用を提供する。

被覆は、接続領域にだけではなく、接続領域を超えるインプラント表面に又はインプラント表面全体にも適用され得ることが、理解される。そのような被覆は、例えば、被覆されるべきでないインプラントの部分をマスキングする費用が必要とされないので、より容易で、それ故により高価でないやり方でそれが製造され得るという利点を有する。

Claims (9)

1. 少なくとも一つの接続部分を有するインプラント構成部品であって、前記接続部分は、ＴｉＮｂ被覆で少なくとも部分的に被覆されており、前記被覆は、１μｍから２０μｍ、好ましくは１μｍから６μｍの厚さを有する、インプラント構成部品。
2. 前記被覆は、３μｍから６μｍ、好ましくは３μｍから５μｍの厚さを有する、請求項１に記載のインプラント構成部品。
3. 前記接続部分は、雌コーン及び／又は雄コーンによって形成されている、請求項１又は請求項２に記載のインプラント構成部品。
4. 前記接続部分は、回転対称である、請求項１乃至３のいずれか一項に記載のインプラント構成部品。
5. 当該インプラント構成部品は、金属合金を有する、請求項１乃至４のいずれか一項に記載のインプラント構成部品。
6. 当該インプラント構成部品は、ＣｏＣｒ合金を有する、請求項１乃至５のいずれか一項に記載のインプラント構成部品。
7. 当該インプラント構成部品は、プロテーゼシャフト、接続ピース又は関節頭部である、請求項１乃至６のいずれか一項に記載のインプラント構成部品。
8. 請求項１乃至７のいずれか一項に記載の少なくとも一つのインプラント構成部品を備えた、モジュール型内部プロテーゼ。
9. インプラント構成部品の接続領域上の腐食を防止するためのＴｉＮＢ被覆の使用であって、前記被覆は、１μｍから２０μｍ、好ましくは１μｍから６μｍの厚さを有する、ＴｉＮＢ被覆の使用。