JP2017508066A - 着色されたステンレス鋼表面の作製方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、高い耐性と広い応用範囲を有する着色されたステンレス鋼表面の作製方法、及び、そのようなステンレス鋼表面を有する物品に関する。
Description
本発明は、高い耐性と広い応用範囲を有する着色されたステンレス鋼表面の作製方法、及び、そのような表面を有する物品又はステンレス鋼に関する。
その魅力的な光沢、腐食耐性、及び、好都合な加工性により、ステンレス鋼は、技術的及び装飾的の両方で広い範囲の応用に用いられている。建築物、インテリアデザイン、家具、壁装材、台所設備、自動車製造、及び、鉄道建設のような装飾的な応用において、着色されたステンレス鋼表面の需要が増加している。しかしながら、それらは、「コーティングされた又はエナメル引きされた」外観を持つべきではなく、ステンレス鋼としてその固有の特性を維持するべきであり、着色されていない表面と比べて、少なくとも同等の機能的特徴と腐食耐性を示すべきである。
一般的にステンレス鋼としても呼ばれるさびない鋼は、鉄に加えて、クロム、ニッケル、モリブデン、銅などのような幾つかの他の合金元素を含みうる鉄合金である。ステンレス鋼合金における欠くことのできない成分は元素クロムであり、その鋼に増強した腐食耐性を与えるために、それは約13重量%の最小濃度で含まれる。鋼内に存在するクロムは、環境からの酸素と反応し、腐食からその表面を保護する、表面上の緻密な酸化物層(不動態層と呼ばれる)を形成する。不動態層の品質と腐食耐性は、それらの構造、及び、酸化クロムと酸化鉄の含有量に依存する。これは、伝統的に、ステンレス鋼内の合金元素の濃度によって制御される。WO2008/107082に記載されているように、不動態層は、腐食に対する耐性と熱による変色を最適化するために、特別な組み合わせのキレート化剤及び錯化剤を含む水溶液内でその後処理されうる。
着色された表面を作製する従来技術による方法は以下の通りである:
コーティング法:
コーティング層は、必要に応じて顔料を豊富にできる有機の母体からなる。
コーティング層は、必要に応じて顔料を豊富にできる有機の母体からなる。
コーティングは、溶媒で希釈された樹脂からなり、従って、伸縮可能又は吹き付け可能とされる。塗布後に、その溶媒は蒸発し、コーティング層の凝固が引き起こされる。2成分のコーティングは、塗布の直前に、反応性の物質(硬化剤)と混ぜ合わされる合成樹脂からなり、従って、コーティングを凝固させる重合プロセスが引き起こされる。
粉末コーティングは、コーティングされる金属表面に静電気的に塗布され、その後、熱的にベークされるプラスチック粉末からなる。このプロセスにおいて、粉末層は200℃から250℃の範囲の温度に加熱され、それらは溶融を引き起こされ、冷却の際に、それらは稠密で平滑、かつ閉じた層を形成する。
多くの理由で、コーティング層は、着色されたステンレス鋼表面の作製に、特に好適ではない:
ステンレス鋼表面上の酸化クロム層により、それらは一般的にその表面に対するコーティング層の要求される密着性を現出させておらず、そのため、これらは剥がれがちである。その表面が太陽光に晒される屋外の応用において、有機のコーティングと顔料が太陽光中のUV照射によって侵され、破壊される。そのコーティングは、もろく砕けやすくなり、顔料は色あせる。コーティング層は本発明による層より著しく厚い。このことは、表面の平坦化を引き起こし、ステンレス鋼表面の金属の特性と構造が失われる。コーティング層の光沢は、金属表面自身よりむしろコーティングの表面の光沢によって、生み出され決定される。金属性のコーティングは、金属性の効果を引き起こす金属の微粒子を含んでいる。
ステンレス鋼表面上の酸化クロム層により、それらは一般的にその表面に対するコーティング層の要求される密着性を現出させておらず、そのため、これらは剥がれがちである。その表面が太陽光に晒される屋外の応用において、有機のコーティングと顔料が太陽光中のUV照射によって侵され、破壊される。そのコーティングは、もろく砕けやすくなり、顔料は色あせる。コーティング層は本発明による層より著しく厚い。このことは、表面の平坦化を引き起こし、ステンレス鋼表面の金属の特性と構造が失われる。コーティング層の光沢は、金属表面自身よりむしろコーティングの表面の光沢によって、生み出され決定される。金属性のコーティングは、金属性の効果を引き起こす金属の微粒子を含んでいる。
上述した特性により、コーティング法は着色されたステンレス鋼表面を作製するのに好都合ではなく、従って、使用されない。
エナメル加工法:
エナメル加工においては、無機の顔料が混合された低融点ガラス粉末の懸濁物からなる層が、コーティングされる金属表面に塗布され、次いで、高温で溶融され、比較的厚く、ガラス状で不透明な表面層を生じる。エナメル加工のために必要な温度は、ステンレス鋼の構造と特性に重大かつ有害な影響を与える範囲内にある。従って、エナメル加工法は着色されたステンレス鋼表面の作製に適していない。
エナメル加工においては、無機の顔料が混合された低融点ガラス粉末の懸濁物からなる層が、コーティングされる金属表面に塗布され、次いで、高温で溶融され、比較的厚く、ガラス状で不透明な表面層を生じる。エナメル加工のために必要な温度は、ステンレス鋼の構造と特性に重大かつ有害な影響を与える範囲内にある。従って、エナメル加工法は着色されたステンレス鋼表面の作製に適していない。
無機の顔料を用いて金属表面上に着色されたゾルゲル層を製造する方法が、前記の特許文献に記載されている。一貫して、これらの層は、本発明による層よりも約10倍大幅に厚い。それらは、不透明で、透明ではなく、エナメルの外観に類似した外観を有している。それらは、ステンレス鋼についての、どのような既知の応用も未だ見出されていない。
化学的着色法:
80℃から100℃の範囲の温度での、高濃度のクロム酸と硫酸を含む水溶液での処理によって、幾つかの魅力的な色が、ステンレス鋼の表面に与えられうることが知られている。この場合、実現できる色のタイプと数は、狭い範囲内のみから選ばれ得るのみであり、これらは表面状態、構造、及び、合金と槽内液の正確な構成に依存する。
80℃から100℃の範囲の温度での、高濃度のクロム酸と硫酸を含む水溶液での処理によって、幾つかの魅力的な色が、ステンレス鋼の表面に与えられうることが知られている。この場合、実現できる色のタイプと数は、狭い範囲内のみから選ばれ得るのみであり、これらは表面状態、構造、及び、合金と槽内液の正確な構成に依存する。
浸漬槽内で行われる処理において、厚さが増加する透明な酸化クロム層が、その槽内の化学薬品と金属の化学反応により、ステンレス鋼表面上に時間につれて形成される。その層の個々の厚さが着色の効果を決定する。この効果は、水の上の油膜の効果と同様に、表面での入射及び反射光の干渉により発生する。その色は本質的にスペクトル色に一致し、見る角度に応じて変化し、そのため、広い表面は十分に大きい距離からのみ一様に知覚されうる。
化学的に着色されたステンレス鋼表面は、金属光沢を示さずに、入射光の80%までを吸収してそれを熱に変換する。そのため、それらは、暗い室内用になり、太陽光に晒された際に急激に加熱される。それらの温度耐性は、約180℃に制限される。より高い温度では、着色効果は失われる。
層の成長の速度は、能動的に制御することはできず、合金と構造の正確な構成、ステンレス鋼の表面状態、及び、浸漬槽の温度と構成とによって決定される。最小の局所的な偏りでさえ、層の成長の速度差を生じ、従って、その表面内の色の偏りを生ずる。
2つ以上の構成部分からなる構造要素は、この方法によって均等に着色されることはできず、ひずんだ表面もできない。従って、この方法は、さらなる加工を行う前のシートのような半加工された材料の処理に対してのみ適している。作製される正確な色、色の深み、及び連続する中での再現性は、制御されることができない。さらに、合金の要求されるクロム含有量と表面状態の要求される同質性は、着色の適合性を著しく制限する。
化学的に着色された表面の有用性は、汚れと擦りにそれらが影響されやすいことによって、著しく制限される。指紋等による汚れは、即座に明白かつ見苦しい変色の原因となる、付加的な汚れた被膜を生じる。その表面は柔らかく、擦りによって容易に損傷を受ける。
着色ステンレス鋼に使用される化学薬品は、極端に腐食性、有毒性、発癌性、かつ、突然変異誘発性である。それらの使用は、作業員を高い危険に晒し、従って、欧州化学物質規則(European Chemicals Ordinance)(REACH)の枠組み内では禁止されることが予期されている。従って、将来、ステンレス鋼の化学的な着色法は、EU圏内では、もはや使えなくなることが予期されうる。
公知のゾルゲル層法:
従来技術による着色されたゾルゲル層は、以下の不都合を有している:
ゾルゲル層は、それらがセラミック化されるために、塗布後にベークされねばならない。ベーキングに用いられる温度は、少なくとも30分の持続時間で、220℃から400℃の範囲内である。これらの条件の下で、ステンレス鋼は黄色から茶色がかった表面の変色を発現する。従来技術によれば、透明なゾルゲル層は、特別な表面前処理が実行されない限り、表面の変色なしにはステンレス鋼上に作製されることができない。不透明に着色された層は可能である。それらは比較的高い層厚を示し、ステンレス鋼表面の変色を包み隠し、エナメルの外観と類似の外観を有している。対応する方法が、DE 197 15 940に記載されている。そのような表面は市場の要求に合わず、従って、受け入れられない。
従来技術による着色されたゾルゲル層は、以下の不都合を有している:
ゾルゲル層は、それらがセラミック化されるために、塗布後にベークされねばならない。ベーキングに用いられる温度は、少なくとも30分の持続時間で、220℃から400℃の範囲内である。これらの条件の下で、ステンレス鋼は黄色から茶色がかった表面の変色を発現する。従来技術によれば、透明なゾルゲル層は、特別な表面前処理が実行されない限り、表面の変色なしにはステンレス鋼上に作製されることができない。不透明に着色された層は可能である。それらは比較的高い層厚を示し、ステンレス鋼表面の変色を包み隠し、エナメルの外観と類似の外観を有している。対応する方法が、DE 197 15 940に記載されている。そのような表面は市場の要求に合わず、従って、受け入れられない。
本発明は、高い耐性と広い応用範囲を有する着色されたステンレス鋼表面の作製方法及び、そのようなステンレス鋼表面を有する物品に関する。この場合の「着色された」という表現は、表面の色が未処理のステンレス鋼の色と異なることを意味する。例えば、その表面は、無機の顔料とその混合物によって得ることができる、着色された層の下にある不動態層を有するステンレス鋼表面によって生み出される構造と金属光沢とを有する青、茶色、赤、緑、黄色、白、灰色、又は黒のような全ての色を示すことができる。本発明により製造された着色されたステンレス鋼表面は、化学的に最適化された不動態層上に、無機の(一般的に透明でない)着色顔料を含む透明なガラスセラミックコーティングを備え、かつ、ゾルゲルコーティングの熱硬化によって作製される。第1の工程として、その製造のために、ステンレス鋼表面上の自然ステンレス鋼表面が、その表面に熱による脱色に対する必要な耐性を付与するために、特別な組み合わせのキレート化剤と錯化剤を含む水溶液で処理される。次の工程において、透明な二酸化ケイ素を主体としたゾルゲルコーティングが、最初に、例えば、吹き付け法、噴霧法、又は、ローラー法によって塗布され、次に、完成後のゾルゲルコーティングが好ましくは熱硬化後に1から3μmの層厚さを有するように、塗布の際のゾルゲルコーティングの層厚さが選択されて熱的に硬化される。そのコーティングは、特別な着色と光沢の効果を生じるように、それらの配置と数において、選択的に追加され、分布されている無機の着色顔料を含む。着色顔料の直径は、1μm未満であることが好ましく、従って、一貫してゾルゲル層の厚さ未満である。着色顔料の通常の直径は、500から1,500nmの範囲内である。コーティングされた単位領域当たりの顔料の数と分布は、可変であり、かつ、下にあるステンレス鋼表面が顔料によって完全には覆われずに、透明なコーティングを通して実質的な領域の全体を見ることが維持されるように、選択される。このことは、その表面に、ステンレス鋼表面の本来の金属光沢と表面構造とに結び付けられた選択可能な色の深みを有する色を付与する。
本発明により作製された表面は、着色され、透明/反射性であり、無機物であり、かつ、UV照射、400℃までの温度、及び腐食に耐性を有する。それらは食品安全性があり、水と汚れをはじき、かつ、抗落書き及び抗指紋特性を有する。
従来技術による着色されたステンレス鋼表面の欠点を克服し、着色設計と有用性に関して著しく改善された特性を有する、着色されたステンレス鋼表面、着色されたステンレス鋼表面の作製方法、及び、着色されたステンレス鋼表面を有する物品が、本発明の主題である。本発明による方法は、完全に又は部分的に着色されたステンレス鋼の物品に用いられうる。特に、その表面は、全体又は特定の領域のみが覆われうる。従って、本発明の範囲内では、「着色される表面」が指すことは、着色される表面がステンレス鋼の物品の異なる領域に配置されうること、又は、その1つ以上の領域の特定の場所にのみ構成されうることを意味するものとして理解されるべきである。
本発明により着色されるステンレス鋼表面は、それらが300℃までの温度による熱変色に耐性を有するように、最初に前処理によって調整される。この前処理は、例えば、特許出願WO2008/107082 A1に記載されているもののような錯化剤、好ましくは、キレート化剤と錯化剤の混合物を含む水溶液内で実行される。この場合、特別な参照がWO2008/107082 A1に記載された錯化剤を含む水溶液とその使用方法に対してなされ、その溶液は本発明による方法にも適している。
それに続く工程において、無機のゾルゲルコーティング、好ましくはシリコン酸化物に基づくものが、調整された表面、すなわち、0.5から5.0μmの好ましい層厚さ(より好ましくは1から3μm)の処理された不動態層に塗布される。コーティングのタイプは、透明であり、ベーキングの間のステンレス鋼表面の変色を防ぐために、300℃未満、好ましくは200℃から250℃のベーキング温度を有するように選択される。選択されたゾルゲルコーティングは、化学薬品、温度及び腐食に際立った耐性を示さねばならない。それは、400℃までの温度に持続的な耐性を示さねばならず、塩吹き付け法によるテストにおいて、損傷なしに少なくとも200時間の暴露に耐えねばならない。
色が自由に選択可能な無機の顔料がゾルゲルコーティングに加えられる。
顔料の欠くことのできない特性は、その顔料の微粒の大きさである。それらは、好ましくは直径が1μm未満であるべきである。顔料の大きさは、例えば、ボールミルを用いて、予め粉砕することによって必要に応じて調整されることができ、かつ、濾過法によって確実にされうる。このことにより、全ての顔料粒子がゾルゲル層内に含まれ、かつ、腐食性の攻撃に対してそれらを保護するために適切に覆われることを、その後確実にすることができる。このことは、着色されたガラスセラミックコーティングの特性が、硬化されたゾルゲルそれ自体によって排他的に決定され、顔料は着色されたコーティングの使用特性に影響を与えないことも確実にする。
コーティングプロセスの間に、顔料の微粒の特定の大きさが、コーティングされる表面上の顔料の一様な分布を可能にし、入射光と下にあるステンレス鋼表面からの反射光の散乱を改善し、色の光学的な強度を増す。無機の着色顔料は500nmから1,500nmの直径を有するべきであることが見いだされた。
ゾルゲル層の塗布における顔料の微粒の量と分布は、それらが下にあるステンレス鋼表面を完全には覆い隠さずに、部分的のみであり、その表面が部分的覆われずに、その特徴的な光沢と構造が見えるままになるように選択される。このことは、コーティングされた表面の金属性の特徴を変えずにそのままにしておく。
単位領域当たりの微粒の数によって、色の深みと色の強度が、かすかに光る色合いを備えるステンレス鋼表面から金属光沢を有し強く着色された表面までの広い範囲にわたって自由に選択されうる。
その結果は、どのような従来知られた方法によっても実現できない、又は、似せることさえできない、極端に広い範囲の大いに魅力的な着色されたステンレス鋼表面である。
本発明による方法によって、無機の着色顔料の密度及び/又は分布により、これらの顔料がコーティング内に一様に配置されることを可能にする。その結果は、コーティングされたステンレス鋼表面が金属光沢を保有するように、金属表面が顔料粒子の間で部分的に見えるままとされることである。本発明による方法においては、顔料とコーティング物質との大規模かつ自然に起こる分離が発生することが大いに起こりうる。この分離の結果として、顔料は金属表面上に堆積しうる。この沈降分離は、コーティング物質の塗布後すぐに発生し、コーティング物質内に含まれる溶媒の蒸発による同時又は直後におけるコーティングの硬化を伴う。その結果として、顔料を覆う、透明で平滑なゾルゲル物質の層が得られる。このゾルゲルコーティングは、(腐食を含む)環境の影響をその後はもはや受けやすくはない、顔料についての保護効果を発揮する。
方法
従って、本発明は、以下の工程を有する、透明であり着色されたステンレス鋼表面の作製方法に関する:
・錯化剤を含む水溶液で表面を処理する工程、
・無機の着色顔料を含む透明な二酸化ケイ素のゾルゲルコーティングを表面に塗布する工程、及び、
・塗布されたコーティングの熱硬化を行い、その際、透明なガラスセラミックコーティングが、コーティングされるステンレス鋼表面が着色顔料によって完全には覆われずに作製される工程
従って、本発明は、以下の工程を有する、透明であり着色されたステンレス鋼表面の作製方法に関する:
・錯化剤を含む水溶液で表面を処理する工程、
・無機の着色顔料を含む透明な二酸化ケイ素のゾルゲルコーティングを表面に塗布する工程、及び、
・塗布されたコーティングの熱硬化を行い、その際、透明なガラスセラミックコーティングが、コーティングされるステンレス鋼表面が着色顔料によって完全には覆われずに作製される工程
換言すると、本発明による方法は透明であり着色されたステンレス鋼表面の作製方法又は透明であり着色されたステンレス鋼表面を有する物品の製造方法としても記載されることができ、以下の工程を有している:
(i)ステンレス鋼表面の作製と着色されるステンレス鋼の任意選択のクリーニング、
(ii)
・ステンレス鋼表面上の不動態層から酸化鉄と鉄原子を取り除くために、錯化剤、好ましくは組み合わされた錯化剤、好ましくは少なくとも1種類の酸化剤を含む水溶液で着色される表面を処理、
・処理された表面の水でのリンス、及び、
・乾燥、
を含む方法によって、着色されるステンレス鋼(不動態層)を処理
(iii)
・工程(ii)の処理された表面(処理された不動態層)に無機の着色顔料を含む透明な二酸化ケイ素のゾルゲルコーティングを塗布、及び、
・熱硬化、その際に透明なガラスセラミックコーティングがゾルゲルコーティングから作製される、
を有する方法によって透明なガラスセラミックコーティングを作製
(i)ステンレス鋼表面の作製と着色されるステンレス鋼の任意選択のクリーニング、
(ii)
・ステンレス鋼表面上の不動態層から酸化鉄と鉄原子を取り除くために、錯化剤、好ましくは組み合わされた錯化剤、好ましくは少なくとも1種類の酸化剤を含む水溶液で着色される表面を処理、
・処理された表面の水でのリンス、及び、
・乾燥、
を含む方法によって、着色されるステンレス鋼(不動態層)を処理
(iii)
・工程(ii)の処理された表面(処理された不動態層)に無機の着色顔料を含む透明な二酸化ケイ素のゾルゲルコーティングを塗布、及び、
・熱硬化、その際に透明なガラスセラミックコーティングがゾルゲルコーティングから作製される、
を有する方法によって透明なガラスセラミックコーティングを作製
「不動態層」という表現は、ステンレス鋼表面上に形成する酸化物層を指すと理解される。その酸化物層は無色、透明であり、主に酸化鉄と酸化クロムからなる。ここで用いられる「透明であり着色されたステンレス鋼表面」という表現は、着色の印象がガラスセラミックコーティング内の無機の顔料によって生み出され、しかしながら、顔料を含んでいない領域において、光がガラスセラミックコーティングを通して通過することが可能であり、下にあるステンレス鋼表面に達し、そこから反射され、従って、金属性の印象が生み出されることを意味している。
着色されたステンレス鋼表面の作製のための本発明による方法は、従って、工程(i)から(iii)を有し、好ましくは排他的に以下の工程からなる:
工程(i)において、ステンレス鋼が作製される。本発明による好ましいステンレス鋼は、主に鉄からなり、少なくとも13重量%のクロムを含む。クロムの含有量に上限はなく、ニッケル、モリブデン、マンガン、シリコン、銅、硫黄、又はリンのような他の合金元素に関しても制限はない。
本発明によるステンレス鋼は、オーステナイトの、フェライトの、若しくは、マルテンサイトの構造、又は、フェライトオーステナイトの混合構造(二重構造)を持ちうる。
無機の顔料の均一な分布を実現するために、幾つかの場合において、1つ以上の以下の要件を考慮する必要があるかもしれない。例えば、安定な懸濁液が特定の粒子の重量と大きさにより形成されえないように、着色された顔料の粒子の大きさを選択することが好都合であるかもしれない。本発明による方法において、最も適した懸濁液(すなわち、ゾルゲルコーティングを形成するためにステンレス鋼の表面に塗布される溶液)は、その懸濁液がステンレス鋼表面に塗布されるまで着色顔料が均一に分布し、安定した懸濁液のままであることを確実にするための常時の撹拌又は他の手段が行われないならば、分離するものであることが見出された。この場合、吹き付け法によって塗布を実行することは好都合である。この変形の方法において、懸濁液が塗布の間に既に分離することは大いに起こりうる。
ステンレス鋼に塗布されうる類似のガラス状のコーティングが、DE 43 38 360 A1から一般に知られている。この発行済の特許出願の実施例4によれば、例えば、光沢のないコーティングがステンレス鋼上に作製される。これは引き出しプロセスでコーティングを塗布することによって実現される。その結果は、その全断面を通して及び表面上に顔料を有する層であり、従って、それを光沢なくかつ粗くする。このタイプの表面は金属性の外観を示しえない。そのような表面はその粗い表面により見苦しく清浄にするのが困難であるので、それらは本発明により得られた透明であり着色されたステンレス鋼表面とは容易に区別されうる。この場合、本発明により得られる所望の金属光沢を有する滑らかな表面は観察されない。
従来技術による上述した方法においては、この場合、むしろ好ましい分離プロセスは、一般的に発生しないであろう。その理由は、DE 43 38 360 A1によれば、通常使用される金属化合物は1から100nmの粒子直径を有し、又は、透明層の場合は1から20nmであるからである。従って、懸濁液は安定であると考えられべきであり、そのため、本発明による、望ましい、表面へのコーティングの塗布の際の分離挙動は観察されない。
ステンレス鋼の実例は、1.4で始まる材料番号を有する原材料である。
様々な程度の光沢と構造がステンレス鋼表面に着色前の処理によって与えられうる。そのような前処理方法の実例は、研削、照射、機械又は電解研磨、パターンニング、及びエッチングを含む。
ステンレス鋼は、原材料/開始材料の形式、すなわちシート状の鋼又は製品のような、すなわち完成した構造の部品のようなものであることができる。着色されるステンレス鋼の表面は、コーティングされるべきではなく、特に清浄で、油脂フリーで、かつ、腐食されていないものであるべきである。任意選択的に、現存製品のどのようなコーティング又は腐食も、本発明による方法が適用される前に、機械的又は化学的に除去されてよい。
工程(ii)において、着色される表面は、水溶液中に、好ましくは1〜4時間の間、より好ましくは3〜4時間浸漬され、その水溶液は特許WO2008/107082 A1及び本出願に記載されているように、特別な組み合わせの有機のキレート化剤と錯化剤を含んでいる。これは、任意選択のリンス工程をその後に伴う。この処理によって、熱変色に対するステンレス鋼表面の耐性は、後のゾルゲル層の熱硬化の間に、露出しているステンレス表面の変色が起こらない程度にまで増加される。
水溶液中の錯化剤のタイプと量は、好ましくは、不動態層内の酸化クロム対酸化鉄の比が増加するように、好ましくは少なくとも4:1の比まで増加するように、選択される。
工程(ii)における本発明による化学処理は、金属が金属製のワークの表面から選択的に除去される際の従来技術のエッチングプロセス(DE 92 14 890 U1及びWO88/00252 A1参照)と混同されるべきではない。本発明による方法の特別な効果は、最初に不動態層を作製するというよりむしろ、既に存在する不動態層が、本発明による構成と構造におけるプロセス工程(工程(ii))によって、その構成と構造において改質されるという事実に由来する。
ステンレス鋼表面上の損なわれていない被覆された不動態層の存在が、その腐食耐性の前提条件である。不動態層のない金属合金のみでは、腐食耐性がない。
化学処理に用いられる水溶液は、錯化剤、好ましくは少なくとも2種類の錯化剤と、好ましくは1種類の酸化剤を含んでいる。
キレート化剤としても呼ばれる多座錯化剤が、好ましくは錯化剤として使用される。これらの多座錯化剤は、鉄イオンを有するキレート錯体を形成することによって、不動態層から鉄を取り除くことができ、不動態層内の酸化鉄に対する酸化クロムの比を大いに増すことに対して貢献する。ヒドロキシカルボン酸、ホスホン酸、及び有機ニトロスルホン酸が、好ましくは錯化剤として使用される。
化学処理に用いられる水溶液のさらなる好ましい成分が、酸化剤である。この酸化剤の量は、好ましくは、その溶液が少なくとも+300mVの標準的な電極電位を有することを確実にするために十分とされるべきである。適切な酸化剤の実例は、硝酸塩、ペルオキソ化合物、ヨウ素塩、及びセリウム(IV)化合物を、それぞれの酸又は対応する水溶性の塩の形式で含む。ペルオキソ化合物の実例は、過酸化物、過硫酸塩、過ホウ酸塩、又は、過酢酸塩のような過カルボン酸塩である。これらの酸化剤は、個別的に、又は混合物の形式で使用されうる。
本発明による処理の工程(ii)において使用されうる水溶液の特に好適な実例は、以下の組成を含む:
・少なくとも1種の、1〜3個のヒドロキシル基と1〜3個のカルボキシル基とを有するヒドロキシカルボン酸又はその塩を0.5〜10重量%、特には3.0〜5.0重量%、
・少なくとも1種の、一般構造R’−PO(OH)2(ここで、R’は1価のアルキル、ヒドロキシアルキル、若しくは、アミノアルキル基である。)を有するホスホン酸若しくはその塩、及び/又は、一般構造R’’[−PO(OH)2]2(ここで、R’’は2価のアルキル、ヒドロキシアルキル、若しくは、アミノアルキル基である。)を有するホスホン酸若しくはその塩を0.2〜5.0重量%、特には0.5〜3.0重量%、
・少なくとも1種の、ニトロアリールスルホン酸若しくはニトロアルキルスルホン酸又はその塩を0.1〜5.0重量%、特には0.5〜3.0重量%、
・少なくとも1種の、一般構造H−(O−CHR−CH2)n−OH(ここで、Rは水素又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり、nは1〜5である。)を有するアルキルグリコールを0.05〜1.0重量%、特には0.1〜0.5重量%、並びに、
・酸化剤を0.2〜20重量%、特には0.5〜15重量%(少なくとも+300mVの溶液中の標準的な電極電位を確実にするのに十分な量である)、
ここで、溶液の残りは水である。ここに与えられた百分率はそれぞれの純粋な物質又はイオンを指すものである。対イオン、結晶水、溶媒等のような他の物質を含む塩又は化合物が用いられる場合は、重量による、対応するより高い百分率が用いられるべきである。
・少なくとも1種の、1〜3個のヒドロキシル基と1〜3個のカルボキシル基とを有するヒドロキシカルボン酸又はその塩を0.5〜10重量%、特には3.0〜5.0重量%、
・少なくとも1種の、一般構造R’−PO(OH)2(ここで、R’は1価のアルキル、ヒドロキシアルキル、若しくは、アミノアルキル基である。)を有するホスホン酸若しくはその塩、及び/又は、一般構造R’’[−PO(OH)2]2(ここで、R’’は2価のアルキル、ヒドロキシアルキル、若しくは、アミノアルキル基である。)を有するホスホン酸若しくはその塩を0.2〜5.0重量%、特には0.5〜3.0重量%、
・少なくとも1種の、ニトロアリールスルホン酸若しくはニトロアルキルスルホン酸又はその塩を0.1〜5.0重量%、特には0.5〜3.0重量%、
・少なくとも1種の、一般構造H−(O−CHR−CH2)n−OH(ここで、Rは水素又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり、nは1〜5である。)を有するアルキルグリコールを0.05〜1.0重量%、特には0.1〜0.5重量%、並びに、
・酸化剤を0.2〜20重量%、特には0.5〜15重量%(少なくとも+300mVの溶液中の標準的な電極電位を確実にするのに十分な量である)、
ここで、溶液の残りは水である。ここに与えられた百分率はそれぞれの純粋な物質又はイオンを指すものである。対イオン、結晶水、溶媒等のような他の物質を含む塩又は化合物が用いられる場合は、重量による、対応するより高い百分率が用いられるべきである。
特に好ましい実施態様において、少なくとも1種のヒドロキシカルボン酸はクエン酸を含み、及び/又は、少なくとも1種のホスホン酸若しくはヒドロキシエタンジホスホン酸はHEDPを含み、及び/又は、少なくとも1種のニトロアリールスルホン酸若しくはニトロアルキルスルホン酸はm−ニトロベンゼンスルホン酸を含み、及び/又は、少なくとも1種のアルキルグルコールはエチレングリコール及び/又はブチルグリコールを含み、及び、酸化剤は硝酸塩、過酸化物、過硫酸塩、及び/又は、セリウム(IV)イオンを含み、各々の場合において、重量比は上述した。
水溶液は好ましくは7未満のpHを有し、好ましくは4未満である。これは、その水溶液が少なくとも1種類の酸を含むことで実現されうる。好ましい方法においては、少なくとも1種類の錯化剤、及び/又は、少なくとも1種類の酸化剤は、酸の形式でその溶液に少なくとも部分的に添加される。
本発明による処理の工程(ii)は、約70℃の最高温度の水溶液における好ましい実施態様に従って起こる。より好ましくは、その処理は室温と60℃の間の温度で水溶液中にて起こる。水溶液中の化学処理は、好ましくは、少なくとも60分の間実行され、例えば、水溶液でのその化学処理は1〜4時間の間実行されうる。
不動態化水溶液での処理に続いて、ワークが、その不動態化溶液を取り除くために、水で、好ましくは脱イオン水でリンスされ、そのワークが工程(iii)による処理を受ける前に乾燥される。
工程(iii)は、ガラスセラミックの着色されたゾルゲルゴーティングの作製を含む。
ゾルゲルコーティングは、一般的に処理直前に固定的な比率で混合される2種類の反応性成分からなる。最終的に、希釈溶液は、通常アルコールであり、この混合物に第3の成分として混ぜ合わされる。反応性混合物の濃度と仕上がった反応性バッチの粘度は希釈溶液によって調整される。
ゾルゲルは最初に懸濁したコロイド粒子を含む液体のゾルの形式で塗布され、次にゲルに変換され、熱硬化後に、個体の固い被覆層を形成することが、当業者には明らかである。従って、「ゾルゲルコーティングの塗布」又は「ゾルゲルコーティングの熱硬化」という表現が使われるとき、当業者はこれがゾルゲル系のどのような状態を指すのか分かる。
そのゾルゲルは、好ましくは、溶媒に溶解しているシランに基づくシリカゾルであり、シリカゾルは、好ましくは1つ又は複数のさらなるゾル形成元素も含んでおり、好ましくはAl、Ti、Zr、Mg、Ca及びZnからなる群からの1つ又は複数の元素を含み、これらの元素はコロイド構造においてSi原子を置換する。好ましいゾルゲルコーティング/ゾルゲル塗料は、EP2145980に記載されている。ここでは、EP2145980に記載されたゾルゲルコーティングとそれらの使用法への特別な参照がなされる。
好ましいゾル及び最終的にゾルゲルコーティングを形成する開始化合物は、好ましくは式SiR4の加水分解可能なシランであり、ここで4つの基Rは2〜4個の加水分解可能なOR’と0〜2個の加水分解不可の基R’’を有している。従って、開始のシランはSi(OR’)4−nR’’nとして表しうる(ここで、n=0、1又は2である。)。もしちょうど記載したもののような追加的なゾル形成元素が用いられるならば、AlR3等のような対応する化合物が、それぞれの元素の原子価に従って開始の化合物として選択されるべきである。
加水分解可能な基OR’は、ヒドロキシ、アルコキシ、及び/又は、シクロアルコキシ基である。その適切な実例は、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、i−ブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシ、シクロペンチルオキシ、及びシクロヘキシルオキシ基を含み、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ基が特に好ましい。加水分解可能な基OR’は、互いに同じ又は異なってよい。
加水分解不可の基R’’は、もし存在するならば、アルキル及び/又はシクロアルキル基である。その適切な実例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、及びシクロヘキシル基を含み、メチル、エチル、n−プロピル、及びイソプロピル基が特に好ましい。加水分解不可の基R’’は、互いに同じ又は異なってよい。
好ましいゾルの開始化合物は、単一の型のシランからなりうるが、それらはしばしば複数のシランの混合物(及び任意選択的に、他の元素の追加的なゾル形成開始化合物)を含む。開始化合物の少なくとも1種類の成分は、好ましくは、式Si(OR’)4−nR’’n、ここでn=0、すなわち、Si(OR’)4のシランであるべきである。例えば、好ましいゾルゲルコーティングは、開始物質TEOS(テトラエトキシオルトシラン)及びMTES(メチルトリエトキシシラン)及び/又はDMDES(ジメチルジエトキシシラン)を含むことができる。
もちろん、追加的な網状組織形成剤、例えば、アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン又はメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランのようなゾルゲル系の分野において一般的に使用される他の添加剤も用いられることができ、特にかなりの部分の開始化合物が式Si(OR’)4−nR’’n(ここで、n=1又は2である。)のいわゆる網状組織改質化合物からなるときに、さらなる有機架橋結合を提供することができる。
ゾルにおいて、開始化合物は(オルトケイ酸、トリヒドロキシアルキルシラン等のような)対応するヒドロキシ化合物に部分的に加水分解され、反応は酸のような触媒を添加することによって促進されうる。これらのヒドロキシ化合物は凝縮に向かう強い傾向を示すので、それらは水の分離のもとで、より小さなシロキサン網状組織に凝縮することのみ可能である。ゾルはシロキサン結合を有するコロイド粒子を既に含んでいる。シロキサン結合は、≡Si−O−Si≡の形式の結合であり、(ここで、「≡」は互いに独立しており、他の元素、特にOH、OR’及びR’’を備える任意の3つの結合を表す。)コロイド粒子の三次元の網状組織化された構造を生じる。ここで、OR’とR’’は上述したのと同じ意味を有している。
ゾルゲルコーティングは好ましくは300℃未満のベーキング温度を伴い、好ましくは200℃から250℃である。好ましくは、そのゾルゲルコーティングは、無機の着色顔料の添加前は無色である。着色顔料は好ましくは懸濁物質としてゾルゲルに添加される。着色顔料の量は、好ましくは、コーティングされた表面が顔料によって部分的にだけ覆われ、その結果、ガラスセラミック層の下に配置されたステンレス鋼は、その不動態層により、どのような無機の着色顔料も含んでいない領域においてガラスセラミック層を通して見ることができるように、調整される。色の強度と深みは、無機の着色顔料による被覆の程度、すなわち、ゾルゲル内の無機の着色顔料の重量の百分率によって調整されうる。
ゾルゲルコーティングの粘性は、当業者によって設定されうる。相対的に高い希釈で、溶媒内のゾルは吹き付け法、噴霧法、ローラー法又は刷毛塗り法によって塗布されるのに十分に薄くなることが公知である。
ゾルに対する適切な溶媒は水、及び、とりわけ、メタノール、エタノール、n−プロパノール、又はイソプロパノールのような上述の全てのアルコールであり、エタノールとイソプロパノールがそれらの物理的特性とそれらの蒸気の低い毒性により好ましい。
工程(iii)において用いられるゾルゲルは、例えば、BASFによって製造されたSicocer(登録商標) Black 10901、Sicocer(登録商標) Blue 2502、又は、Sicocer(登録商標) Red 2355のような無機の着色顔料を含む。1つ又は複数のタイプの無機の着色顔料が本発明に従って用いられてよい。異なるタイプの着色顔料が用いられる場合には、それらは同量又は異なる量で用いられてよい。用いられる顔料の量(g/kg)は、ゾルゲルの量に基づいて、10g/kgから300g/kgの範囲であり、好ましくは40g/kgから200g/kgである。顔料の量(g/kg)は、単位領域当たりの顔料の微粒(顔料密度)の同じ数が常に実現できるように、顔料の比重によって規格化される。
無機の着色顔料は好ましくは1μmの最大直径を有する。好ましくは、所望の最大直径はふるいにかけること又は濾過プロセスによって得られる。
顔料の混合は、希釈溶液内で起こり、仕上がった混合物内の顔料の所望の濃度を選択的に調整することを容易にする。混合プロセスにおいて、顔料の懸濁液は強い撹拌によって生み出され、その同質性はコーティングされた表面の均一性にとって極めて重要である。希釈溶液と顔料の密度は大きく異なるので、十分に強い撹拌が、懸濁液を安定に保つために、全作製及びコーティングプロセスを通して継続されなければならない。
塗布前、ゾルゲルコーティングは、水のそれと類似の低い粘性と懸濁された顔料より著しく低い比重を備える。この理由により、懸濁液は塗布後すぐに分離し、顔料がステンレス鋼表面上に堆積される。従って、顔料微粒の小さなサイズが、ゾルゲル層による顔料微粒の十分な被覆を確実にする。
従って、コーティングされたステンレス鋼表面の特性は、処理された顔料の特性によってというよりはむしろ、用いられたゾルゲルコーティングの特性によって排他的に決定される。
工程(iii)のゾルゲルコーティングは、好ましくは吹き付け法又はローラー法によって塗布され、噴霧法又は刷毛塗り法も可能である。しかしながら、吹き付け法は単位領域当たりに塗布される量を正確に制御することが可能であるので、吹き付け法による塗布が好ましい。
塗布後、その表面は溶媒が蒸発するまで乾燥されうる。次に、乾燥された表面が熱的に硬化される。好ましくは、コーティングは硬化の間に変色されない。工程(iii)の熱硬化は、好ましくは300℃未満の温度で、好ましくは200℃から300℃の範囲で起こる。好ましくは、硬化は約20から60分の間、好ましくは30分、160℃から280℃の範囲内の温度で、好ましくは200℃から250℃で空気中にて実行される。本発明による方法において、ゾルゲルは(もし着色顔料を無視するならば)無色で透明なガラス状の層に変換される。
本発明による方法における熱硬化は、ゾルゲルコーティング又はその下にあるステンレス鋼表面の色に変化がないように、一貫して実行されることができる。これは、ゾルゲルとステンレス鋼表面の両方に加わる熱応力が、着色顔料自体によって引き起こされる以外の変色を結果として起こさないことを意味する。
ガラスセラミックコーティングは、好ましくは0.5〜5.0μm、好ましくは1.0〜5.0μm又は0.5〜3.0μm、最も好ましくは1.0〜3.0μmの厚さを有する。好ましくは、ガラスセラミックコーティングは、一様な厚さ、好ましくはその層の厚さの10%未満の偏りであることが好ましい。特に、無機の着色顔料/顔料の直径は、ゾルゲルから作製されたガラスセラミックコーティングの直径未満である。
ゾルゲル層の層の厚さより大きい又は等しい直径を有する顔料は、被覆しないか又は不適切な程度に被覆するかのいずれかであり、従って、コーティングの表面から突き出る。そのような顔料は、表面を粗くさせ、腐食の影響に晒され、コーティング内に小孔を生じうり、下にあるステンレス鋼表面の局所的な腐食を結果として生じる。
本発明による方法は、ステンレス鋼の合金と構造から大部分は独立している。実施態様において、本発明による方法は、複合部分からなるステンレス鋼材料に用いられ、その複合部分は本発明による方法によって一様に着色される。この場合、それらの部分はそれらの形状と種類から大部分は独立して一様に着色されうる。
本発明による表面は、好ましくは項目1〜11の以下に列挙された、1つ以上の機能的な特徴を有している。
1.着色された表面は、光沢と表面の構造に関して、元のステンレス鋼表面の特有の特徴を示し続ける。
2.着色は自由に選択可能であり、この選択はいつでも繰り返されることができる。
3.色の強度と深みは自由に選択されうる。
4.着色は表面の全体に渡って一様である。
5.着色は下にある材料から大部分は独立している。
6.結合された構造的な部品及び仕上がった部分がコーティング可能であり、シート状の金属及び他の半加工製品も可能である。
7.着色された表面は、腐食及びUV照射への耐性がある。
8.着色された表面は、約400℃までの温度耐性がある。
9.着色された表面は、疎水性であり、汚れを落としやすく、かつ、抗落書き及び抗指紋特性を有する。
10.例えば、前面をコーティングされたシートの反対側のような非コーティング表面の腐食耐性も著しく改善され、より高合金の部類のそれにほぼ等しい。これはベーキングと結びつけた前処理の効果から生じる。
11.有毒な又は危険な物質は本発明による着色された表面の作製において使用されない。その表面は環境に優しく、持続可能性を有する。
2.着色は自由に選択可能であり、この選択はいつでも繰り返されることができる。
3.色の強度と深みは自由に選択されうる。
4.着色は表面の全体に渡って一様である。
5.着色は下にある材料から大部分は独立している。
6.結合された構造的な部品及び仕上がった部分がコーティング可能であり、シート状の金属及び他の半加工製品も可能である。
7.着色された表面は、腐食及びUV照射への耐性がある。
8.着色された表面は、約400℃までの温度耐性がある。
9.着色された表面は、疎水性であり、汚れを落としやすく、かつ、抗落書き及び抗指紋特性を有する。
10.例えば、前面をコーティングされたシートの反対側のような非コーティング表面の腐食耐性も著しく改善され、より高合金の部類のそれにほぼ等しい。これはベーキングと結びつけた前処理の効果から生じる。
11.有毒な又は危険な物質は本発明による着色された表面の作製において使用されない。その表面は環境に優しく、持続可能性を有する。
ゾルゲルコーティングから作製される、本発明によるガラスセラミックコーティングは、透明であり、不透明ではない。特に、それは金属光沢を示し、顔料の密度とは独立して、入射光のかなりの部分を反射する。このことは、その表面を化学的に着色された表面より著しくより明るく見えさせる。
そのコーティングは、熱耐性があり、色の効果は180℃を超える温度で、300℃まで、特には200℃又は250℃で、失われることがない。そのコーティングは、400℃までの温度にも耐性があり、損傷なしに、塩吹き付けテストにおける少なくとも200時間の暴露に耐えることができる。
冷却後、着色されたステンレス鋼表面は使用の準備ができている。
本発明は、着色された表面を有するステンレス鋼、及び、ステンレス鋼からなる若しくはステンレス鋼表面を有する物品にも関し、そのステンレス鋼表面が無機の着色顔料を含む透明なガラスセラミックコーティングを有している。着色された表面は、ここに記載された方法に従って作製されうる。本発明による方法に関連して記載された全ての実施態様は、着色された表面を備える製品にも適用可能である。特に、その方法に関係して記載された不動態層とガラスセラミック層は、着色された表面を有するステンレス鋼上に存在している。
一貫して、ステンレス鋼表面は、無機の着色顔料によって、部分的にのみ覆われるか又は光学的に隠され、そのため、ガラスセラミック層の下に配置された金属表面は、どのような無機の着色顔料も含んでいない領域において、そのガラスセラミック層を通して見ることができる。着色されたステンレス鋼表面の光沢と構造は、その下にあるステンレス鋼表面の光沢と構造を本質的には示す。
本発明は、透明であり着色されたガラスセラミックコーティングが設けられた、最も広い意味の表現におけるステンレス鋼表面に関する。コーティングの色は、選択された無機の着色顔料に由来する。これらの着色顔料は、一般的に、500から1,500nmの直径を有している。そのような直径の顔料は、特に、ほとんど確実に、そのコーティングの下にある金属の表面に由来する金属光沢を保持することが、本発明において見出された。これは、例えば、より小さな直径の顔料を含むコーティングにおいては、その場合、光沢が隠されるので不可能であろう。
本発明は、本発明の方法によって製造される又は製造できる着色されたステンレス鋼表面にも関する。
(実施例1)
むきだしでアニールされた表面(プロセス)を有し測定寸法が800×800mmの等級1.4016の、厚さ1.0mmのステンレス鋼板が、15分間浸漬されて、アルカリ性の高温脱脂によって汚れを落とされ、その後、水でリンスされた。次に、その金属シートが錯化剤及びキレート化剤(Polinox−Protect、 Poligrat GmbH)を含む水溶液に3時間、55℃で浸漬された。
次に、そのシートは、水平にされ、2μmの層厚さで、吹き付け法によってコーティングされた。使用されたコーティングは、二酸化ケイ素を主体としたゾルゲルコーティング(Poliant、 Poligrat GmbH)であり、100.g/kgの青色顔料(Sicocer(登録商標) Blau 2502)が混合された。混合される前に、顔料は希釈溶液内で1μm未満の粒子サイズにすり砕かれた。
その後、その表面は10分間乾燥され、次に、220℃で30分間、炉内でベークされた。
冷却後、その表面は金属性の、光沢のある、深い青色の外観を示し、自然な色の、周囲の明瞭な反射が表面に見られた。その表面は、滑らかで疎水性であり、触った後に指紋は見られなかった。
むきだしでアニールされた表面(プロセス)を有し測定寸法が800×800mmの等級1.4016の、厚さ1.0mmのステンレス鋼板が、15分間浸漬されて、アルカリ性の高温脱脂によって汚れを落とされ、その後、水でリンスされた。次に、その金属シートが錯化剤及びキレート化剤(Polinox−Protect、 Poligrat GmbH)を含む水溶液に3時間、55℃で浸漬された。
次に、そのシートは、水平にされ、2μmの層厚さで、吹き付け法によってコーティングされた。使用されたコーティングは、二酸化ケイ素を主体としたゾルゲルコーティング(Poliant、 Poligrat GmbH)であり、100.g/kgの青色顔料(Sicocer(登録商標) Blau 2502)が混合された。混合される前に、顔料は希釈溶液内で1μm未満の粒子サイズにすり砕かれた。
その後、その表面は10分間乾燥され、次に、220℃で30分間、炉内でベークされた。
冷却後、その表面は金属性の、光沢のある、深い青色の外観を示し、自然な色の、周囲の明瞭な反射が表面に見られた。その表面は、滑らかで疎水性であり、触った後に指紋は見られなかった。
(実施例2)
研磨された表面を備える等級1.4301の厚さ1.5mmのステンレス鋼板が、実施例1に記載されたように前処理され、次に、二酸化ケイ素を主体としたゾルゲルコーティング(Poliant、 Poligrat GmbH)により、水平にされてコーティングされ、その際、黒色顔料(Sicocer(登録商標) Schwarz 10901)が50.g/kgの量で薄められ、これがその製品に混合された。顔料の粒子サイズは、直径1μm未満であった。10分間乾燥された後、200℃で30分間ベークされ、次に、冷却され、その表面は濃い灰色で、はっきりと目に見える研磨構造を備えた、わずかに光沢のある外観を示した。
その表面は、研磨された部分の像に対応する構造を示し、滑らかで金属性の仕上げであった。それは疎水性であり、触った後に指紋は見られなかった。
研磨された表面を備える等級1.4301の厚さ1.5mmのステンレス鋼板が、実施例1に記載されたように前処理され、次に、二酸化ケイ素を主体としたゾルゲルコーティング(Poliant、 Poligrat GmbH)により、水平にされてコーティングされ、その際、黒色顔料(Sicocer(登録商標) Schwarz 10901)が50.g/kgの量で薄められ、これがその製品に混合された。顔料の粒子サイズは、直径1μm未満であった。10分間乾燥された後、200℃で30分間ベークされ、次に、冷却され、その表面は濃い灰色で、はっきりと目に見える研磨構造を備えた、わずかに光沢のある外観を示した。
その表面は、研磨された部分の像に対応する構造を示し、滑らかで金属性の仕上げであった。それは疎水性であり、触った後に指紋は見られなかった。
(実施例3)
材料1.4301の矩形の管と滑らかに研磨された溶接された継ぎ目を備える材料1.4571の金属シートからなる測定寸法500×600mmの溶接されたフレーム構造が、全ての面について電界研磨された。
次に、そのワークが3時間不動態化され、リンスされ、乾燥された。
乾燥したワークが、スプレーピストルを用いて、二酸化ケイ素を主体としたゾルゲルコーティング(Poliant、 Poligrat GmbH)を全ての面に吹き付けられた。希釈された希釈液において、赤褐色の顔料(Sicocer(登録商標) Rot 2355)が、75g/kgの濃度でコーティング物質の中に混ぜられた。乾燥後、その表面は220℃で30分間ベークされた。冷却後、その構造的な部品は全ての面上に一様に光沢があり、銅色に着色された表面を示した。溶接された継ぎ目を含む様々な材料が、一様な色と表面を有していた。
その表面は、滑らかで、光沢があり、疎水性で、かつ、指紋に耐性があった。
材料1.4301の矩形の管と滑らかに研磨された溶接された継ぎ目を備える材料1.4571の金属シートからなる測定寸法500×600mmの溶接されたフレーム構造が、全ての面について電界研磨された。
次に、そのワークが3時間不動態化され、リンスされ、乾燥された。
乾燥したワークが、スプレーピストルを用いて、二酸化ケイ素を主体としたゾルゲルコーティング(Poliant、 Poligrat GmbH)を全ての面に吹き付けられた。希釈された希釈液において、赤褐色の顔料(Sicocer(登録商標) Rot 2355)が、75g/kgの濃度でコーティング物質の中に混ぜられた。乾燥後、その表面は220℃で30分間ベークされた。冷却後、その構造的な部品は全ての面上に一様に光沢があり、銅色に着色された表面を示した。溶接された継ぎ目を含む様々な材料が、一様な色と表面を有していた。
その表面は、滑らかで、光沢があり、疎水性で、かつ、指紋に耐性があった。
Claims (15)
- 透明であり着色されたステンレス鋼表面の作製方法であって、
錯化剤を含む水溶液で前記表面を処理する工程と、
無機の着色顔料を含む透明な二酸化ケイ素のゾルゲルコーティングを前記表面に塗布する工程と、
前記塗布されたコーティングの熱硬化を行い、その際、透明なガラスセラミックコーティングが、前記コーティングされるステンレス鋼表面が前記着色顔料によって完全には覆われずに作製される工程とを有することを特徴とする方法。 - 前記無機の着色顔料は、1μmの最大直径を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記ガラスセラミックコーティングは、0.5〜5.0μm、好ましくは1.0〜5.0μm又は0.5〜3.0μm、最も好ましくは1.0〜3.0μmの厚さを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
- 工程(ii)における前記水溶液は、ヒドロキシカルボン酸、ホスホン酸、及び、ニトロアリールスルホン酸若しくはニトロアルキルスルホン酸又はその塩を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の方法。
- 工程(ii)の前記水溶液は、以下の錯化剤:
少なくとも1種の、1〜3個のヒドロキシル基と1〜3個のカルボキシル基とを有するヒドロキシカルボン酸又はその塩、
少なくとも1種の、一般構造R’−PO(OH)2(ここで、R’は1価のアルキル、ヒドロキシアルキル、若しくは、アミノアルキル基である。)を有するホスホン酸若しくはその塩、及び/又は、一般構造R’’[−PO(OH)2]2(ここで、R’’は2価のアルキル、ヒドロキシアルキル、若しくは、アミノアルキル基である。)を有するホスホン酸若しくはその塩、及び、
少なくとも1種の、ニトロアリールスルホン酸若しくはニトロアルキルスルホン酸又はその塩を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の方法。 - 工程(iii)の前記ゾルゲルコーティングは、吹き付け法、噴霧法、又は、ローラー法によって塗布されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の方法。
- 工程(iii)の前記熱硬化は、300℃未満の温度、好ましくは200℃から300℃の範囲内の温度で実行されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ゾルゲルは、溶媒に溶解しているシランに基づくシリカゾルであり、前記シリカゾルは、好ましくは1つ又は複数のさらなるゾル形成元素も含んでおり、好ましくはAl、Ti、Zr、Mg、Ca及びZnからなる群からの1つ又は複数の元素を含み、これらの元素はコロイド構造においてSi原子を置換しうることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の方法。
- 着色された表面を備えるステンレス鋼であって、
前記ステンレス鋼表面が無機の着色顔料を含む透明なガラスセラミックコーティングを備えているものであることを特徴とするステンレス鋼。 - 前記無機の着色顔料は、500nmから1,500nmの直径を有することを特徴とする請求項9に記載のステンレス鋼。
- 前記ガラスセラミックコーティングは、0.5〜5.0μm、好ましくは1.0〜5.0μm又は0.5〜3.0μm、最も好ましくは1.0〜3.0μmの厚さを有することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のステンレス鋼。
- 前記無機の着色顔料は、1μmの最大直径を有することを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか一項に記載のステンレス鋼。
- 前記着色されたステンレス鋼表面は、前記着色されたガラスセラミックコーティングの下に配置された前記ステンレス鋼表面の光沢と構造によって決定される金属性の光沢と構造を有することを特徴とする請求項9から請求項12のいずれか一項に記載のステンレス鋼。
- 前記ガラスセラミックコーティングの下に不動態層が配置されており、前記不動態層は酸化クロムを含み、前記不動態層内の酸化クロム対酸化鉄の比が好ましくは4:1より大きいことを特徴とする請求項9から請求項13のいずれか一項に記載のステンレス鋼。
- 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の方法によって製造される又は製造できる着色されたステンレス鋼表面。
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