JP2017226099A - 積層フィルム - Google Patents

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雅資 井川
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Abstract

【課題】耐薬品性を持ちつつ、高い引裂き伸びを兼ね備える積層フィルムを提供する。【解決手段】表面層(A)と基材層(B)からなる積層フィルムであって、基材層(B)の少なくとも一方の表面に表面層(A)が積層されており、表面層(A)は、含まれるポリマー100質量%に対して15質量%以上70質量%以下の下記ポリマー(X)、及び、30質量%以上85質量%以下の下記ポリマー(Y)を含有する樹脂組成物からなり、ポリマー(X):フッ化ビニリデン系樹脂、ポリマー(Y):ポリマー(X)と相溶なドメイン(y1)、及び、ポリマー(X)と非相溶なドメイン(y2)を有するコポリマー、基材層(B)は熱可塑性樹脂からなる、積層フィルムにより耐薬品性と高い引裂き伸び特性が得られる。【選択図】なし

Description

本発明は、積層フィルムに関する。
アクリル樹脂は透明性、耐候性、加工性、耐薬品性に優れており、そのため樹脂成形品、木工製品、金属成形品の表面に貼り合わされ、車輌、家具、ドア材、窓枠、巾木、浴室内装等の建材用途等の表皮材、マーキングフィルム、高輝度反射材被覆用フィルムとして使用されている。特に耐候性や耐傷付性、耐薬品性に劣る材料の最表面に積層することにより、内部の材料の耐久性を高める効果を付与することが知られている。
しかしながら、従来のアクリル系材料は引き裂かれやすいフィルムで、伸展しながらフィルムを貼りつける等の作業を行うことが出来なかった。そのため、耐久性が低い農業用フィルムや、曲面使用のマーキングフィルム、印刷メディアフィルム等に積層して使用することが困難であった。
更にアクリル樹脂のフィルム性能を向上させるために、フッ化ビニリデン系樹脂、中でもポリフッ化ビニリデン(PVDF)を取り込んだ例が過去に報告されている。
フッ化ビニリデン系樹脂は、耐候性、難燃性、耐熱性、防汚性、平滑性、耐薬品性等の優れた特性を示し、屋外環境に晒される物品に積層することで材料の耐久性を高めることが知られている。
例えば、特許文献1ではフッ化ビニリデン系樹脂と主にメタクリレートからなるアクリル系樹脂を溶融混練させたフィルムの製造法が示されており、高い結晶性、透明性、及び表面平滑性を備えたフィルムが開示されている。
また、特許文献2ではPVDFに相溶、非相溶なドメインを共に有するアクリル系ポリマーを使用することで高い結晶性と透明性を併せ持つ樹脂組成物が示されている。
しかしながら、特許文献1ではフィルムとしての力学物性について言及されておらず、特に上述のような柔軟なフィルムの追従に必要な引裂き特性については言及されていない。また、特許文献1のようにPVDF量が多いフィルムでは、製造時の冷却温度などに制限があり、また、後工程において加温した際に結晶化に伴う白ムラが見られる恐れがあった。特許文献2では結晶化が早く、そのような白ムラは見られないが、フィルムや積層体の引裂き特性については言及されていない。
WO2011/142453 WO2015/146752
本発明の課題は、耐薬品性を持ちつつ、高い引裂き伸びを兼ね備える積層フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題が、結晶性の高い表面層、すなわち、一定量のフッ化ビニリデン系樹脂と、フッ化ビニリデン系樹脂に相溶なドメイン及び非相溶なドメインを有する一定量のコポリマーとを含有する樹脂組成物から形成される表面層を、熱可塑性樹脂からなる基材層に積層させたフィルムにより、達成されることを見いだした。
即ち、本発明は以下の特徴を有する。
(1)表面層(A)と基材層(B)からなる積層フィルムであって、
基材層(B)の少なくとも一方の表面に表面層(A)が積層されており、
表面層(A)は、含まれるポリマー100質量%に対して15質量%以上70質量%以下の下記ポリマー(X)、及び、30質量%以上85質量%以下の下記ポリマー(Y)を含有する樹脂組成物からなり、
ポリマー(X):フッ化ビニリデン系樹脂、
ポリマー(Y):ポリマー(X)と相溶なドメイン(y1)、及び、ポリマー(X)と非相溶なドメイン(y2)を有するコポリマー、
基材層(B)は熱可塑性樹脂からなる、積層フィルム。
(2)ポリマー(Y)がアクリル系ポリマー鎖を含むコポリマーである、(1)に記載の積層フィルム。
(3)ドメイン(y1)又はドメイン(y2)がマクロモノマー単位を含有する、(1)又は(2)に記載の積層フィルム。
(4)基材層(B)が、引裂き伸びが30%以上の熱可塑性樹脂からなる、(1)〜(3)のいずれか1に記載の積層フィルム。
(5)基材層(B)が、ポリ塩化ビニル系樹脂またはポリエステル系樹脂のいずれかからなる、請求項(1)〜(4)のいずれか1に記載の積層フィルム。
本発明の積層フィルムは、結晶性の高いポリマーを表面層として用い、かつ熱可塑性樹脂からなる基材層と組み合わせることにより、高い耐薬品性と引裂き伸びを兼ね備える。
<ポリマー(X)>
本発明のポリマー(X)はフッ化ビニリデン系樹脂である。フッ化ビニリデン系樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン単位70質量%以上、好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上を含むコポリマー、又は、フッ化ビニリデンのホモポリマー(PVDF)が挙げられる。フッ化ビニリデン系樹脂は、フッ化ビニリデン単位の含有率が高いほど結晶性が良好となり、好ましい。
フッ化ビニリデン系樹脂がコポリマーである場合の、フッ化ビニリデンと共重合させる単量体としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンなどの炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5パーフルオロアルキレン(パーフルオロアルケン)が挙げられる。
フッ化ビニリデン系樹脂の重合方法としては、懸濁重合、乳化重合等、公知の重合方法が挙げられる。重合方法により、得られる樹脂の結晶化度や力学的性質が異なる。本発明では懸濁重合や乳化重合が力学強度の観点から好ましい。
フッ化ビニリデン系樹脂としては、融点と分解温度の差が大きく、成形加工に適することから、PVDFが好ましい。
また、本発明においては、フッ化ビニリデン系樹脂として、高い結晶融点を有するものが好ましい。尚、本発明において結晶融点は、JIS K7121、3.(2)に記載の方法に準拠して測定したときの結晶融解ピーク温度を意味する。
フッ化ビニリデン系樹脂の結晶融点は150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましい。また、結晶融点の上限は、PVDFの結晶融点に等しい170℃が好ましい。
フッ化ビニリデン系樹脂の質量平均分子量は、成形加工に適した溶融粘度を得るために10万〜100万が好ましく、15万〜80万がより好ましく、18万〜70万が更に好ましい。
フッ化ビニリデン系樹脂の市販品としては、例えば、アルケマ(株)製のKynar720、Kynar710、Kynar740、Kynar760;(株)クレハ製のKF#850;ソルベイスペシャリティポリマーズ(株)製のSolef1006、Solef1008、Solef1015、Solef6010、Solef6012、Solef6008が挙げられる。
フッ化ビニリデン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
<ポリマー(Y)>
本発明のポリマー(Y)は、前記ポリマー(X)に相溶なドメイン(y1)(以下、「相溶ドメイン(y1)」とも記す。)と、ポリマー(X)に非相溶なドメイン(y2)(以下、「非相溶ドメイン(y2)」とも記す。)を有するコポリマーからなる。
本発明において「相溶」とは、異種ポリマーをブレンドした成形品で単一のTgが観測されるケースを指す。尚、異種ポリマーとは、互いに組成が異なるポリマーを指す。また、本発明において「非相溶」とは、異種ポリマーをブレンドした成形品で各ポリマーに由来するTgが観測されるケースを指す。
本発明において「ドメイン」とは、相分離構造を構成する一つの相を指す。異種ポリマーをブレンドした成形品または異種ポリマー鎖を含むポリマーの成形品が相分離構造をとる場合、各ドメインに由来するTgが観測される。
ポリマー(X)に相溶なポリマー(Y)のドメイン(y1)とは、ポリマー(Y)の相分離構造を構成する一つの相であって、その相の組成から構成されるポリマーを作成した場合、当該ポリマーとポリマー(X)とをブレンドした成形品で単一のTgが観測されることを意味する。
同様に、ポリマー(X)に非相溶なポリマー(Y)のドメイン(y2)とは、ポリマー(Y)の相分離構造を構成する一つの相であって、その相の組成から構成されるポリマーを作成した場合、当該ポリマーとポリマー(X)とをブレンドした成形品で各ポリマーに由来するTgが観測されることを意味する。
したがって、相溶ドメイン(y1)と非相溶ドメイン(y2)を含むポリマー(Y)と、ポリマー(X)とをブレンドした成形品では、通常、少なくとも2つのTgが観測されることになる。
但し、Tgの数のみでは相溶/非相溶の判断が困難な場合もある。例えば、相溶ドメイン(y1)とフッ化ビニリデン系樹脂が相溶した後のTgと、非相溶ドメイン(y2)のTgが偶然同じ温度の時には、ブレンドした成形体はあたかも単一のTgを持つように見える。そのため、相溶/非相溶は、ブレンド比を変える等して確かめる必要がある。
本発明において、ポリマー(Y)がポリマー(X)に相溶なドメイン(y1)及び非相溶なドメイン(y2)を有することは、例えば以下のようにして確認することができる。
ポリマー(Y)のTgは通常、各ドメイン由来の2つのピークを示す(例えば20℃と100℃)。これをポリマー(X)とブレンドすると、例えば高い温度のTg(100℃)が低温(60℃)のみがシフトする。これは高い温度を示していたドメインがポリマー(X)と相溶であり、他のドメインは非相溶であることを示している。
ポリマー(Y)としては、例えば、マクロモノマー共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体が挙げられる。生産性の点から、マクロモノマーを用いた重合で得られるマクロモノマー共重合体が好ましい。
また、マクロモノマーの合成は、触媒連鎖移動重合(CCTP)法が、二重結合導入率や合成の容易さの点から好ましい。
ポリマー(Y)は、単独で成形したときにミクロ相分離するものである。
ポリマー(Y)とポリマー(X)とをブレンドしたときに、ポリマー(X)は相溶ドメイン(y1)と相溶し、冷却したときに相溶ドメイン(y1)近傍で結晶化が進行する。
ポリマー(Y)の相分離構造は、ドメインサイズが小さいほど好ましい。フッ化ビニリデン系樹脂の結晶の微細化が起こりやすく、高い結晶性と高い透明性が簡便に両立し得る。更に、相のドメイン間の屈折率差による光学性能の低下も起こり難くなる。
各ドメインのサイズは500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。ドメインサイズが500nm以下であれば、可視光域の波長が散乱し難く、高い透明性が得られる。各ドメインのサイズの下限は、5nm程度である。
ドメインのサイズとは、例えば海島構造の相分離構造の場合には、島部にあたる部分の最も長い直径を意味する。共連続構造の場合には、ドメインのサイズとは、相間距離(横幅)を意味する。ドメインサイズは、TEM観察などにより測定する。
ポリマー(Y)単独の相分離構造は、海島構造でも共連続構造でもどちらでもよい。成形体の諸物性は、フッ化ビニリデン系樹脂と混合した後の相分離構造に左右される。
ポリマー(Y)の質量平均分子量(g/mol)は、4万以上100万以下が好ましい。成形体としたときの力学強度を保つには質量平均分子量が高い方が好ましいが、質量平均分子量が高すぎると流動性が低下し、成形性の低下を招く。力学強度と成形性を両立する観点から、5万以上75万以下がより好ましく、5万以上50万以下が更に好ましい。
<ドメイン(y1)>
本発明のポリマー(Y)のドメイン(y1)は、フッ化ビニリデン系樹脂(ポリマー(X))に相溶である。
ドメイン(y1)を構成するポリマー鎖としては、例えば、フッ化ビニリデン系樹脂と相溶するセグメントを51質量%以上含むものが挙げられる。フッ化ビニリデン系樹脂との相溶性を確保するため、60質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。
前記セグメントとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、ビニルメチルケトン等のモノマーを由来源とするモノマー単位が挙げられる。相溶ドメイン(y1)を構成するポリマー鎖は、前記セグメントの1種を単独で含んでもよく2種以上を含んでもよい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」又は「メタクリレート」を示す。
相溶ドメイン(y1)をポリマー(Y)に導入する方法としては、ブロック共重合体やグラフト共重合体のブロック鎖とすることや、それらの混合物とブレンドする等、公知の方法を用いることができる。
更にそれらを合成する方法としては、ATRP等のリビングラジカル重合やアニオン重合、マクロモノマーを用いた重合等があり、重合速度や工程数等の生産性の点から、マクロモノマーを用いた重合が好ましい。
共重合によって簡単にポリマー(Y)に導入でき、ドメインサイズや非相溶ドメイン(y2)との相分離構造を簡便に調整できる点で、ドメイン(y1)はマクロモノマー単位を含有することが好ましい。ただし、相分離構造を形成できる範囲においてドメイン(y2)においてもマクロモノマー単位を含んでいてもよい。
ドメイン(y1)中のマクロモノマー単位の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
マクロモノマーは、市販品を用いてもよく、公知の方法で単量体から製造してもよい。マクロモノマーの製造方法としては、例えば、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法、α−ブロモメチルスチレン等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として用いる方法、重合性基を化学的に結合させる方法、熱分解による方法が挙げられる。
ドメイン(y1)を製造するためのマクロモノマーの平均分子量(Mw)は、5000〜100000程度であることが好ましく、10000〜50000程度であることがさらに好ましい。
ドメイン(y1)が含有するマクロモノマー単位は、フッ化ビニリデン系樹脂との相溶性の点から、メチルメタクリレート単位を含有することが好ましい。
マクロモノマー単位中のメチルメタクリレート単位の含有率は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
ポリマー(Y)内のドメイン(y1)の質量割合は、相分離の観点から、15〜60質量%が好ましく、20〜55質量%がより好ましく、25〜50質量%がさらに好ましい。
<非相溶ドメイン(y2)>
非相溶ドメイン(y2)を構成するポリマー鎖としては、例えば、ポリマー(X)と非相溶なセグメントを50質量%以上含むものが挙げられる。ポリマー(X)との非相溶性を充分に確保する点で、ポリマー(X)と非相溶なセグメントの含有率は、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましい。
非相溶ドメイン(y2)を構成するセグメントとしては、例えば、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートを由来源とするモノマー単位;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル単量体を由来源とするモノマー単位;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体を由来源とするモノマー単位;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有単量体を由来源とするモノマー単位;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル単量体を由来源とするモノマー単位;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン単量体を由来源とするモノマー単位;ブタジエン、イソプレン等のジエン系単量体を由来源とするモノマー単位;マレイン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸単量体を由来源とするモノマー単位が挙げられる。
また、相分離構造を形成できる範囲においてドメイン(y2)においても、ドメイン(y1)において説明したようなマクロモノマー単位を含んでいてもよい。
ドメイン(y2)を構成するポリマー鎖は、これらのモノマー単位の1種を含んでもよく2種以上を含んでもよい。
<ポリマー(Y)の製造方法>
本発明のポリマー(Y)は、相溶ドメイン(y1)を構成するポリマー鎖と非相溶ドメイン(y2)を構成するポリマー鎖を含有する。
ポリマー(Y)の製造方法としては、例えば、ATRP等のリビングラジカル重合、アニオン重合、マクロモノマーを用いた重合等、公知の方法が使用できる。中でも、重合速度や工程数等の生産性の点から、マクロモノマーを用いる重合方法が好ましく、有機溶媒を用いず環境適合性に優れることから、マクロモノマーを用いる懸濁重合がより好ましい。
以下、一例としてマクロモノマーを用いた懸濁重合によりポリマー(Y)を得る方法を詳述するが、他の方法によりポリマー(Y)を得ても本発明を逸脱するものではない。
マクロモノマーとその他モノマーの懸濁重合によりポリマー(Y)が得られる。これによりマクロモノマー単位を有する相溶ドメイン(y1)と非相溶ドメイン(y2)をポリマー(Y)に導入できる。
このとき、マクロモノマーとモノマーとの混合は加温することが好ましい。上記混合時の加熱温度は30〜90℃が好ましい。加熱温度が30℃以上であれば、マクロモノマーがその他モノマーに溶解しやすくなる。また、加熱温度が90℃以下であれば、モノマーの揮発を抑制できる。
加熱温度の下限値は35℃以上がより好ましい。また、加熱温度の上限値は75℃以下がより好ましい。
ポリマー(Y)の製造においてラジカル重合開始剤を使用する際、ラジカル重合開始剤は、全モノマーを混合した後に添加することが好ましい。
ラジカル重合開始剤を添加する際の単量体の混合物の温度は、0℃以上が好ましい。ラジカル重合開始剤を添加する際の温度が0℃以上であれば、ラジカル重合開始剤の単量体への溶解性が良好となる。また、ラジカル重合開始剤を添加する際の単量体の混合物の温度は、ラジカル重合開始剤固有の10時間半減期温度より15℃以上低い温度が好ましい。ラジカル重合開始剤を添加する際の温度が、ラジカル重合開始剤固有の10時間半減期温度より15℃以上低ければ、安定して重合することができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物及びアゾ化合物が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤の中では、入手しやすさの点から、ベンゾイルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)が好ましい。
ラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤の添加量は、重合発熱制御の点で、全モノマーの合計100質量部に対して0.0001〜10質量部が好ましい。
懸濁重合における重合温度は、一般的に50〜120℃である。
以上のような製造方法で得たポリマー(Y)は、水から濾取した後に乾燥することでビーズとして容易に取り扱うことができる。
<表面層(A)>
本発明の表面層(A)は、含まれるポリマー100質量%に対して15質量%以上70質量%以下のポリマー(X)、及び、30質量%以上85質量%以下のポリマー(Y)を含有する樹脂組成物である。良好な引裂き特性を有するという点において、ポリマー(X)の含有率は20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物を用いた成形体の光学性能や機械特性を損なわない範囲で、必要に応じて添加剤を含有させることができる。添加剤の量は少ないほど好ましく、添加剤の含有量は樹脂組成物100質量部に対して0質量部以上20質量部以下が好ましく、0質量部以上10質量部以下がより好ましく、0質量部以上5質量部以下が更に好ましい。
添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、合成シリカやシリコン樹脂粉末等のブロッキング防止剤、可塑剤、抗菌剤、防カビ剤、ブルーイング剤、帯電防止剤が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、サリチレート系化合物、アクリロニトリル系化合物、金属錯塩系化合物、ヒンダードアミン系化合物;粒子径が0.01〜0.06μm程度の超微粒子酸化チタン、粒子径が0.01〜0.04μm程度の超微粒子酸化亜鉛等の無機系粒子が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、例えば樹脂組成物100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
光安定剤としては、例えば、N−H型、N−CH3型、N−アシル型、N−OR型等のヒンダードアミン系又はフェノール系の光安定剤が挙げられる。
耐熱安定剤としては、例えば、フェノール系、アミン系、硫黄系又は燐酸系の酸化防止剤が挙げられる。
紫外線吸収剤又は酸化防止剤として、例えば、重合体を構成する主鎖又は側鎖に、前記の紫外線吸収剤又は酸化防止剤を化学結合させた重合体型のものを使用することもできる。
上記の必須成分及び所望により任意成分を所定量配合し、ロール、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機等の通常の混練機で混練して樹脂組成物を調製することができる。
<基材層(B)>
本発明の基材層(B)は熱可塑性樹脂である。引裂き伸びが30%以上である熱可塑性樹脂であることがより好ましい。ここでいう引裂き伸びとは、JIS−K7128−3の直角形引裂法において、引き裂かれるまでの引張り方向への伸び率のことをさす。
基材層(B)を構成する樹脂組成物としては、公知の熱可塑性樹脂が使用できる。例えば以下のようなものが挙げられる。アクリル樹脂;ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体);AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体);ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酸ビニル共重合体またはその鹸化物、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のポリオレフィン系共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート等のポリエステル系樹脂;6−ナイロン、6,6−ナイロン、10−ナイロン、12−ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリスチレン樹脂;セルロースアセテート、ニトロセルロース等の繊維素誘導体;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系樹脂等;またはこれらから選ばれる2種、または3種以上の共重合体または混合物、複合体、積層体等。表面層(A)との接着性と引裂き伸びが良好な点から、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂のいずれかが好ましい。
<積層フィルム>
本発明の積層フィルムは、基材層(B)の少なくとも一方の表面に表面層(A)を積層して得られる。(A)と(B)の間には接着剤層や印刷層(インク層)を介していてもよい。
積層比は、基材層(B)の厚み100に対して、表面層(A)は5以上200以下が好ましい。表面層(A)が薄すぎると耐薬品性が発現しにくくなるし、厚すぎると引裂き特性が悪くなる。より好ましくは10以上180以下である。
本発明の積層フィルムの引裂き伸びは、好ましくは30%以上であり、より好ましくは40%以上である。従来のアクリル樹脂では高い引裂き伸びを示す基材層(B)と積層しても低い引裂き伸びしか得られなかったが、本発明の積層フィルムは従来よりも極めて高い引裂き伸びを達成する。
また、本発明の積層フィルムは高い耐薬品性を有する。耐薬品性としては、特にエタノール、ヘキサン等の汎用される有機溶剤に対する耐性が挙げられる。
積層する方法としては、共押出法、接着剤塗布、熱ラミネーション、ドライラミネーション、ウェットラミネーション、ホットメルトラミネーション等の公知の方法が挙げられる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。
[評価方法]
実施例、比較例における各評価は、以下の方法により実施した。
(樹脂組成物の評価方法)
(1)分子量及び分子量分布
Mw及びMnは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製、商品名:HLC−8220)を使用し、以下の条件にて測定した。
カラム:TSK GUARD COLUMN SUPER HZ−L(4.6×35mm)と2本のTSK−GEL SUPER HZM−N(6.0×150mm)を直列に接続
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流速:0.6mL/分
尚、Mw及びMnは、Polymer Laboratories製のポリメチルメタクリレート(Mp(ピークトップ分子量)=141,500、55,600、10,290及び1,590の4種)を用いて作成した検量線を使用して求めた。
(フィルムの評価方法)
(1)引裂き試験
フィルムをMD方向に打ち抜いた直角型試験片を用いて、JIS−K7128−3に準拠して、テンシロン万能試験機RTC−1250A(オリエンテック製)にて引張試験を行った。室温23℃及び引張速度200mm/分で試験を実施し完全に破断するまでの伸び率を引裂き伸びとした。一サンプルあたり五本ずつ試験し、平均値を求めた。
(2)耐薬品試験
フィルム上に試験薬品を乗せ、常温で1時間後の表面を観察した。薬品は直径約2cmのスポット状にして乗せた。1時間後に薬品をふき取り、表面を観察し、変化がないものを耐薬品性「○」、表面が濁ったり、ざらざらするものを耐薬品性「×」とした。エタノールとn−ヘキサンについて試験を行った。
<製造例1>
[分散剤]
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた容量1200Lの反応容器内に、17%水酸化カリウム水溶液61.6部、メチルメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルM)19.1部及び脱イオン水19.3部を仕込んだ。次いで、反応装置内の液を室温にて撹拌し、発熱ピークを確認した後、更に4時間撹拌した。この後、反応装置内の反応液を室温まで冷却してメタクリル酸カリウム水溶液を得た。
次いで、撹拌機、冷却管及び温度計を備えた容量1050Lの反応容器内に、脱イオン水900部、メタクリル酸2−スルホエチルナトリウム(三菱レイヨン(株)製、商品名:アクリエステルSEM−Na)60部、上記のメタクリル酸カリウム水溶液10部及びメチルメタクリレート(アクリエステルM)12部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、50℃に昇温した。その中に、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩(和光純薬工業(株)製、商品名:V−50)0.08部を添加し、更に60℃に昇温した。昇温後、滴下ポンプを利用してメチルメタクリレート(アクリエステルM)を0.24部/分の速度で75分間連続的に滴下した。反応溶液を60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分10%の分散剤を得た。
<製造例2>
[マクロモノマー]
(コバルト錯体の合成)
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物(和光純薬(株)製、和光特級)2.00g(8.03mmol)及びジフェニルグリオキシム(東京化成(株)製、EPグレード)3.86g(16.1mmol)及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル100mlを入れ、室温で2時間攪拌した。
次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(東京化成(株)製、EPグレード)20mlを加え、更に6時間攪拌した。得られたものを濾過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、20℃において12時間真空乾燥し、茶褐色固体のコバルト錯体5.02g(7.93mmol、収率99%)を得た。
(マクロモノマーの合成)
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム(Na2SO4)0.1部及び製造例1で製造した分散剤(固形分10%)0.26部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。次に、メチルメタクリレート(アクリエステルM)95部、アクリル酸メチル(三菱化学(株)製)5部、上記方法で製造したコバルト錯体0.0016部及び重合開始剤としてパーオクタO(日油(株)製1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、商品名)0.1部を加え、水性分散液とした。次いで、重合装置内を充分に窒素置換し、水性分散液を80℃に昇温してから4時間保持した後に95℃に昇温し1時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーの水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で12時間乾燥して、マクロモノマーを得た。GPCで分析したところ、Mwは31,500、Mnは14,000であった。
<製造例3>
[ポリマー(Y1)]
脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.1部及び製造例1で製造した分散剤0.26部を混合して分散剤の水溶液を調製した。
冷却管付セパラブルフラスコに、製造例2で合成したマクロモノマー(以下「MM」とも記す。)40部、メチルメタクリレート(アクリエステルM)24部及びアクリル酸n−ブチル(三菱化学(株)製)36部及びn−オクタンチオール(東京化成(株)製)0.1部を攪拌しながら50℃に加温し、原料シラップを得た。
原料シラップを40℃以下に冷却した後、原料シラップにAMBN(大塚化学(株)製2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、商品名)0.3部を溶解させ、シラップを得た。
次いで、シラップに分散剤の水溶液を加えた後、窒素バブリングによりセパラブルフラスコ内の雰囲気を窒素置換しながら、攪拌回転数を上げてシラップ分散液を得た。
シラップ分散液を75℃に昇温し、重合発熱ピークが出るまでセパラブルフラスコの外温を保持した。重合発熱ピークが出た後、シラップ分散液が75℃になったところで、シラップ分散液を85℃に昇温し、30分保持して重合を完結させ、懸濁液を得た。
懸濁液を40℃以下に冷却した後に、懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥してポリマー(Y1)を得た。
ポリマー(Y1)のMwは252,000、Mnは40,500、分子量分布(PDI)は6.2であった。
ポリマー(Y1)をPTFE製の型に入れて200℃でプレス成形(東洋精機(株)製 MINI TEST PRESS−10)することで、フィルム状の成形体を得た。得られたフィルムはミクロ相分離(共連続構造)構造をとった。ドメインサイズは平均で10μmであった(顕微鏡観察)。得られた成形体は単独ではTgが100℃および20℃に観察された。ポリマー(X)であるPVDFとブレンドして同様に成形して得られたフィルムではTgが60℃および20℃に観察された。これはポリマー(Y1)の100℃のTgを示すドメインがポリマー(X)と相溶なドメイン(y1)であり、ポリマー(Y1)の20℃のTgを示すドメインがポリマー(X)と非相溶ドメイン(y2)に相当することを示している。
[フィルム(a)]
ポリマー(X)としてPVDF(アルケマ(株)製、商品名:kynar720)40部と、ポリマー(Y)として製造例3で作製したポリマー(Y1)60部を60℃で一晩予備乾燥させた後、ドライブレンドして、φ30mm二軸混練押出機(Werner&Pfleiderer社製)により最高温度220℃で押出し、ペレット状の成形材料(樹脂組成物)を得た。
用いたPVDF(アルケマ(株)製、商品名:kynar720)は、フッ化ビニリデン単位からなるホモポリマーであり、結晶融点は169℃であり、質量平均分子量は257000であった。
上記手法で得られたペレットを60℃で一晩予備乾燥させた後、150mm幅のTダイが搭載されたφ30mm単軸押出機(GMエンジニアリング社製)により押出温度180〜200℃、Tダイ温度200℃で一本の冷却ロール温度40℃でして厚さ130μmのフィルム(a)を得た(厚さ112μm)。
<実施例1>
表面層(A)として上で製造したフィルム(a)を、また基材層(B)として塩ビフィルム(三菱樹脂アグリドリーム(株)製、表品名:ノービエース みらい、厚さ103μm、引裂き伸び95%)を用いて積層フィルムを作製した。積層フィルムの作製は真空ラミネーター(株式会社 エヌ・ピー・シー製、LM−50×50−S)を用い、140℃で真空10分、プレス1分、保持10分の条件で行った。評価結果を表1に示す。
表面層(A)であるフィルム(a)は相分離構造(顕微鏡観察により共連続構造)を有していた。ドメインサイズは平均で10μmであった(顕微鏡観察)。ドメイン(y1)には38%程度のマクロモノマーが含まれていた。
表面層(A)と基材層(B)の厚さの比率は112:103であった。
Figure 2017226099
<比較例1>
表面層(A)としてアクリルフィルム(三菱レイヨン(株)製、アクリプレンHBS、厚さ127μm)(相溶性/非相溶性ドメイン構造が観察されない。Tgは単一の100℃であった)を用いた以外は、実施例1と同様にして比較例1を得た。評価結果を表1に示す。
<比較例2>
表面層(A)なしで、基材層(B)として塩ビフィルム(三菱樹脂アグリドリーム(株)製、表品名:ノービエース みらい、厚さ103μm)のみで比較例2とした。評価結果を表1に示す。
実施例と比較例1との比較から分かるように、表面層(A)として従来のアクリルフィルムを用いた場合、基材層(B)単独よりも引裂き伸びが小さくなったが、表面層(A)を本発明の所定のポリマー組成とすると、基材層(B)と組み合わせた時、高い引裂き伸びと耐薬品性を兼ね備えたフィルムを作成することができた。
また、実施例と比較例2との比較から分かるように、表面層(A)が無ければ、フィルムは耐薬品性が不充分である。
以上に例示したように、表面層(A)と基材層(B)からなり、所定の組成であれば、得られた積層フィルムは高い引裂き伸びと耐薬品性を兼ね備える。
本発明の積層フィルムは、光学シート材、食品フィルム・意匠用フィルム・農業用フィルム、印刷メディアフィルム、マーキングフィルム、ラッピングフィルム等のフィルム材、自動車用内装材、自動車用外装材、医療用部材、建築用内装材、建築用外装材に好適である。

Claims (5)

  1. 表面層(A)と基材層(B)からなる積層フィルムであって、
    基材層(B)の少なくとも一方の表面に表面層(A)が積層されており、
    表面層(A)は、含まれるポリマー100質量%に対して15質量%以上70質量%以下の下記ポリマー(X)、及び、30質量%以上85質量%以下の下記ポリマー(Y)を含有する樹脂組成物からなり、
    ポリマー(X):フッ化ビニリデン系樹脂
    ポリマー(Y):ポリマー(X)と相溶なドメイン(y1)、及び、ポリマー(X)と非相溶なドメイン(y2)を有するコポリマー
    基材層(B)は熱可塑性樹脂からなる、積層フィルム。
  2. ポリマー(Y)がアクリル系ポリマー鎖を含むコポリマーである、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. ドメイン(y1)又はドメイン(y2)がマクロモノマー単位を含有する、請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 基材層(B)が、引裂き伸びが30%以上の熱可塑性樹脂からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  5. 基材層(B)が、ポリ塩化ビニル系樹脂またはポリエステル系樹脂のいずれかからなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
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