JP2017222811A - ゴム組成物及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、特許文献1では、少なくとも1種のジエン系ゴムを含み、かつ硬化剤系として、a) 硫黄と、b) 少なくとも1種の促進剤化合物と、c) 少なくとも1種の超−促進剤化合物と、d) 少なくとも1種の硬化用アミン活性化剤と、を含有することを特徴とする、新品の空気タイヤを製造するための結合用ゴム、または使用済空気タイヤを修理または再生するための結合用ゴムまたは再生用ゴムとして機能するゴム組成物が開示されている。
また、特許文献2では、タイヤ殻内部を形成するゴム部材として、ゴム成分100重量部に対して、チウラム類化合物及びジチオカルバミン酸塩化合物からなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物と、(2)ベンゾチアゾール系化合物と、(3)硬化用アミン活性化剤とを配合してなるゴム組成物を用いることが提案されている。
しかしながら、強力な促進剤を多量に使用することは、熱老化耐性の低下を招き、タイヤ耐久性との両立が難しい。また、粘度を低下させるためには、フィラー量を抑え、オイルなどの液状分が配合されてきた。これらの手法も、破壊抗力の低下を招きやすい。
すなわち、速い加硫速度が求められるゴム組成物において、加硫後の高い耐破壊特性を得ることは難易度の高い課題であった。
即ち、本発明は、
[1] ゴム成分と、チウラム類及びジチオカルバミン酸塩類から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、下記式(I)で表わされる化学構造を有する化合物Yとを配合してなり、かつ該化合物Yを該ゴム成分100質量部に対して0.05質量部以上配合してなることを特徴とするゴム組成物、
[2] 前記化合物Yが、下記式(II)で表わされる化合物であることを特徴とする上記[1]のゴム組成物、
[3] さらに、遷移金属塩及び遷移金属錯体から選ばれる少なくとも1種の遷移金属化合物Zを配合してなることを特徴とする上記[1]又は[2]のゴム組成物、
[4] ゴム組成物の製造方法であって、ゴム成分と、チウラム類及びジチオカルバミン酸塩類から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、下記式(I)で表わされる化学構造を有する化合物Yとを混練する工程Pと、工程Pで得られたゴム組成物に加硫剤を混練する工程Qとを含むことを特徴とするゴム組成物の製造方法、
[5] 前記化合物Yが、下記式(II)で表わされる化合物であることを特徴とする上記[4]のゴム組成物の製造方法、及び
[6] さらに、遷移金属塩及び遷移金属錯体から選ばれる少なくとも1種の遷移金属化合物Zを前記工程Pで配合することを特徴とする上記[4]又は[5]のゴム組成物の製造方法である。
<ゴム組成物>
本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、チウラム類及びジチオカルバミン酸塩類から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、下記式(I)で表わされる化学構造を有する化合物Yとを配合してなり、かつ該化合物Yを該ゴム成分100質量部に対して0.05質量部以上配合してなることを特徴とする。この発明の構成により、速い加硫速度を確保しつつ、加硫後の耐破壊特性を高めることができる。
前記化合物Yは、下記式(II)で表わされる化合物であることが好ましい。
本発明のゴム組成物に用いられるゴム成分は、ジエン系ゴムを含むことが好ましく、ゴム成分中、ジエン系ゴムを50質量%以上含むことが更に好ましく、ジエン系ゴムを70質量%以上含むことが特に好ましい。
ジエン系ゴムとして、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムが挙げられる。合成ジエン系ゴムとしては、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Cl−IIR、Br−IIR等)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム(EBR)及びプロピレン−ブタジエン共重合体ゴム(PBR)から選ばれる少なくとも1種のジエン系ゴムが好ましく挙げられる。天然ゴム及び合成ジエン系ゴムは、1種単独でも、2種以上のブレンドとして用いても良い。
本発明のゴム組成物に配合される、チウラム類及びジチオカルバミン酸塩類から選ばれる少なくとも1種の化合物X(以下、「化合物X」と略称することがある。)は、通常、ゴム組成物の加硫を促進する超促進剤として用いられるものである。本発明のゴム組成物が速い加硫速度を有するために、化合物Xを配合することが重要である。
化合物Xは、ゴム成分100質量部に対して、0.05〜5質量部配合することが好ましく、0.05〜3質量部配合することがより好ましく、0.05〜2質量部配合することが更に好ましい。
本発明のゴム組成物に配合される、上記式(I)で表わされる化学構造を有する化合物Y(以下、「化合物Y」と略称することがある。)は、上記の化合物Xと組み合わせて配合することにより、ゴム組成物の耐熱老化性を高めることが見出された。
本発明のゴム組成物の耐熱老化性を高めるためには、化合物Yは、ゴム成分100質量部に対して、0.05質量部以上配合することを要し、0.08質量部以上がより好ましく、0.10質量部以上が更に好ましい。化合物Yの配合量の上限は特に制限するものではないが、通常、ゴム成分100質量部に対して5.00質量部以下であることが好ましく、3.00質量部以下であることがより好ましく、2.00質量部以下であることが更に好ましい。
質量比(化合物Xの配合量/化合物Yの配合量)は、(1/50)〜(50/1)が好ましく、(1/50)〜(20/1)が更に好ましく、(1/50)〜(10/1)が特に好ましい。
化合物Yは、加硫剤として用いられる場合があるが、本発明においては、加硫剤の用途とは、用いられ方が全く異なる。
上記式(I)で表わされる化学構造を有する化合物Yが、下記式(II)で表わされる化合物であることが好ましい。
上記式(II)中、A、D及び/又はEとして、N,O及びSからなる群から選ばれるヘテロ原子が窒素原子Nである場合は、A、D及び/又はEは−NH−、−N(R)−の2価の基であることが好ましい。ここで、Rは、炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。
上記式(II)中、−[CH(R)]−は、下記のように表わされる2価の基である。
また、上記式(II)中、−N(R)−は、下記のように表わされる2価の基である。
上記式(II)で表わされる化合物Yは、下記式(III)で表わされる化合物及び下記式(IV)で表わされる化合物からなる群から選ばれる化合物であることが更に好ましい。
式(III)中、Jは、=NH、=N(R)、=O及び=Sからなる群から選ばれる2価の基である。Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であるが、該炭化水素基の炭素数は、1〜15であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましい。該炭化水素基は、N,O及びSからなる群から選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。n及びmは上記式(II)と同じである。
式(IV)中、Jは、=NH、=N(R)、=O及び=Sからなる群から選ばれる2価の基である。Rは、炭素数1〜20の炭化水素基であるが、該炭化水素基の炭素数は、1〜15であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましい。該炭化水素基は、N,O及びSからなる群から選ばれるヘテロ原子を有していてもよい。n及びmは上記式(II)と同じである。
上記式(IV)で表わされる化合物としては、例えば、モルフォリンジスルフィド(4,4’−ジチオジモルホリンとも称する。大内新興化学株式会社製、商品名「バルノックR」等で市販される。)等が挙げられる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分、化合物X及び化合物Yに加えて、さらに、遷移金属塩及び遷移金属錯体から選ばれる少なくとも1種の遷移金属化合物Z(以下、「遷移金属化合物Z」と略称することがある。)を配合してなることが好ましい。遷移金属化合物Zを配合することにより、加硫速度が高くなり、未加硫ゴム組成物の加工性が向上する。
第一遷移元素としては、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、
鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及び亜鉛(Zn)が挙げられ、第二遷移元素としては、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、テクネチウム(Tc)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)及びカドミウム(Cd)が挙げられ、第三遷移元素としては、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)及び水銀(Hg)が挙げられる。第四遷移元素は、アクチニウム(Ac)からレントゲニウム(Rg)までの元素をいう。
これらの遷移金属の内、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)及びカドミウム(Cd)から選ばれる少なくとも1種の遷移金属が好ましく、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)が特に好ましい。
本発明のゴム組成物に好ましく配合される遷移金属化合物Zの内、遷移金属塩としては、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化マンガン等が挙げられ、遷移金属錯体としては、フタロシアニン鉄、フタロシアニン銅、二塩化チタノセン等が挙げられる。
本発明のゴム組成物には、所望により、充填材が配合されることが好ましい。充填材としては、カーボンブラック及び無機充填材から選ばれる少なくとも1種が用いられる。
充填材としては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、特に制限はなく、例えば高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック、特にSAF、ISAF、IISAF、HAF、FEFグレードのカーボンブラックを用いるのが好ましい。窒素吸着比表面積(N2SA、JISK 6217−2:2001に準拠して測定する)が30〜250m2/gであることが好ましい。このカーボンブラックは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明において、カーボンブラックは無機充填材に含まれない。
無機充填材としては、シルカ、炭酸カルシウム、クレー、水酸化アルミニウム等が挙げられるが、シリカが好ましい。シリカとしては市販のあらゆるものが使用でき、なかでも湿式沈殿法シリカ、湿式ゲル化法シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカを用いるのが好ましく、湿式沈殿法シリカを用いるのが特に好ましい。シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に準拠して測定する)は40〜350m2/gであるのが好ましい。BET表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET表面積が80〜350m2/gの範囲にあるシリカが更に好ましく、BET表面積が120〜350m2/gの範囲にあるシリカが特に好ましい。このようなシリカとしては東ソー・シリカ株式会社製、商品名「Nipsil AQ」(BET比表面積 =205m2/g)、「Nipsil KQ」、デグッサ社製商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積 =175m2/g)等の市販品を用いることができる。
本発明のゴム組成物に用いられる充填材は、ゴム成分100質量部に対して、10〜150質量部配合されることが好ましく、10〜100質量部配合されることがより好ましく、20〜80質量部配合されることが更に好ましい。本発明においては、充填材中、カーボンブラックが50〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%であることが更に好ましい。
本発明のゴム組成物は、通常、加硫性ゴム組成物であり、加硫性ゴム組成物の場合は、加硫剤が配合される。ここで、加硫剤とは、可塑性体である共役ジエン系ゴムの高分子鎖を網目状に架橋結合しうる物質であり、硫黄はその代表である。加硫剤は、無機系加硫剤と有機系加硫剤とに大別され、前者の具体例としては、硫黄(粉末硫黄、硫黄華、脱酸硫黄、沈殿硫黄、コロイド硫黄、高分子性硫黄、不溶性硫黄)、一塩化硫黄が挙げられ、又、後者の具体例としては、モルフォリジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド等の熱解離により活性硫黄を放出しうるものが挙げられる。その他の有機系含硫黄加硫剤の具体例は、社団法人日本ゴム協会編、「ゴム工業便覧 第4版」(平成6年1月、日本ゴム協会発行)III配合薬品 1.加硫剤に記載されている。
加硫剤は、ゴム成分100質量部に対して、硫黄分として0.1〜10質量部配合されることが好ましく、硫黄分として0.2〜10質量部配合されることが更に好ましい。
本発明において、通常、ゴム組成物に配合される、加硫促進剤、ステアリン酸、樹脂酸、亜鉛華等の加硫活性剤、老化防止剤、軟化剤等の各種配合剤が、必要に応じ配合される。
<ゴム組成物の製造方法>
本発明の製造方法は、ゴム組成物の製造方法であって、ゴム成分と、チウラム類及びジチオカルバミン酸塩類から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、上記式(I)で表わされる化学構造を有する化合物Yとを混練する工程Pと、工程Pで得られたゴム組成物に加硫剤を混練する工程Qとを含むことを特徴とする。
上記式(I)中、2つの窒素原子Nはそれぞれ炭素原子を有する環状構造を形成し、該環状構造は、N,O及びSからなる群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を有し、nは、平均値として1〜10であることは、上述の通りである。
また、前記化合物Yが、上記式(II)で表わされる化合物であることが好ましく、A、D、E、G、R、n及びmの詳細は、上述の通りである。
マスターバッチ練り工程の第二工程又は第三工程以降の中間工程におけるゴム組成物の最高温度及び混練時間は、上述のマスターバッチ練り工程の第一工程と同じである。
素練り工程及びマスターバッチ練り工程において、混練の前工程から次の工程に進む場合は、前工程混練終了直後のゴム組成物の温度から10℃以上低下させてから、好ましくは室温(23℃)まで低下させてから、より好ましくはゴム組成物を室温で養生させてから、次の混練工程へ進むことが望ましい。
混練のマスターバッチ練り工程から工程Qに進む際には、マスターバッチ練り工程の混練終了直後のゴム組成物の温度を好ましくは室温(23℃)まで低下させてから、より好ましくはゴム組成物を室温で養生させてから、工程Qへ進むことが望ましい。
遷移金属化合物Zと化合物Yとを予め混合する場合は、すり鉢、ボールミル等の混合装置で、十分に攪拌すれば良い。
また、工程Pにおいて、前記化合物Yを前記ゴム成分100質量部に対して0.05質量部以上配合することが好ましく、0.08質量部以上がより好ましく、0.10質量部以上が更に好ましい。工程Pにおける化合物Yの配合量の上限は特に制限するものではないが、ゴム成分100質量部に対して5.00質量部以下であることが好ましく、3.00質量部以下であることがより好ましく、2.00質量部以下であることが更に好ましい。
工程Pにおいて、質量比(化合物Xの配合量/化合物Yの配合量)は、(1/50)〜(50/1)が好ましく、(1/50)〜(20/1)が更に好ましく、(1/50)〜(10/1)が特に好ましい。
本発明の製造方法における混練装置として、バンバリーミキサー、噛合い式インターナルミキサー、ロール、インテンシブミキサー、ニーダー、二軸押出機等が用いられる。
なお、未加硫特性である加硫速度、及び加硫物性である引張強さ(TS)を下記の方法により評価した。
(1)加硫速度
JIS K 6300−2:2001に基づき、120℃にて、90%加硫時間(最適加硫点)であるtc(90)を測定した。
<加硫物性>
(2)耐破壊特性{引張強さ(TS)}
各ゴム組成物を、加硫温度145℃において、加硫時間として、tc(90)値(分)×1.5倍で規定した{JIS K 6300−2:2001において規定されたtc(90)値}で加硫した後、JIS K 6251:2010に基づき、ダンベル状3号形の加硫ゴム試料を作製し、熱老化前及び熱老化後(熱老化条件:空気雰囲気のギヤオーブン中で100℃、24時間熱老化させた。)について引張強さ(TS)を測定した。併せて、引張強さ(TS)保持率={(熱老化後の引張強さ(TS)/(熱老化前の引張強さ(TS)}×100を算出した。
第1表に示す配合処方及び混練方法により、実施例1〜12及び比較例1〜4の16種のゴム組成物を調製し、未加硫特性である加硫速度及び加硫物性である引張強さ(TS)を評価した。結果を第1表に示す。
実施例1においては、工程Pを素練り工程において行った。すなわち、素練り工程において(化合物X+化合物Y+遷移金属化合物Z)を配合し、最高温度100℃で、5分間混練した。素練り工程の後、ゴム組成物の温度を室温(23℃)まで低下させ、ゴム組成物を室温で養生させてから、マスターバッチ練り工程へ進めた。マスターバッチ練り工程では最高温度145℃で、4分間混練し、工程Qでは最高温度100℃で、2分間混練した。
実施例2〜3においては、工程Pをマスターバッチ練り工程において行った。すなわち、マスターバッチ練り工程において(化合物X+化合物Y+充填材+軟化剤+老化防止剤)を配合し、最高温度145℃で、4分間混練した。マスターバッチ練り工程の後、ゴム組成物の温度を室温(23℃)まで低下させ、ゴム組成物を室温で養生させてから、工程Qへ進めた。工程Qでは最高温度100℃で、2分間混練した。
実施例4〜12においては、工程Pをマスターバッチ練り工程において行った。すなわち、マスターバッチ練り工程において(化合物X+化合物Y+遷移金属化合物Z+充填材+軟化剤+老化防止剤)を配合し、最高温度160℃で、5分間混練した。マスターバッチ練り工程の後、ゴム組成物の温度を室温(23℃)まで低下させ、ゴム組成物を室温で養生させてから、工程Qへ進めた。工程Qでは最高温度100℃で、2分間混練した。
実施例13においては、工程Qにおいて、加硫剤、ステアリン酸及び亜鉛華と共に(化合物X+化合物Y+遷移金属化合物Z)を配合し、最高温度100℃で、2分間混練した。
比較例1〜2においては、化合物X、充填材、軟化剤及び老化防止剤をマスターバッチ練り工程において配合した。マスターバッチ練り工程では最高温度145℃で、4分間混練し、工程Qでは最高温度100℃で、2分間混練した。
比較例3〜4においては、チアゾール系化合物又はスルフェンアミド系化合物からなる化合物W、化合物Y及び遷移金属化合物Z、並びに充填材、軟化剤及び老化防止剤をマスターバッチ練り工程において配合した。マスターバッチ練り工程では最高温度145℃で、4分間混練し、工程Qでは最高温度100℃で、2分間混練した。
なお、実施例4〜11及び13並びに比較例3〜4においては、遷移金属化合物Zと化合物Yとをすり鉢で、十分に事前混合した。
第1表において、「素練」とは、素練り工程を表わし、「NP」とは、単一のマスターバッチ練り工程を表わし、「Pro」とは、工程Qを表わす。
天然ゴム: RSS#1
カーボンブラック N550: 旭カーボン株式会社製、商品名「#60」
プロセスオイル: 三共油化工業株式会社製、商品名「」A/Oミックス」
TOT: テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、大内新興化学株式会社製、商品名「ノクセラーTOT−N」
TBzTD: テトラベンジルチウラムジスルフィド、三新化学株式会社製、商品名「サンセラーTBZTD」
ZTC: ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、大内新興化学株式会社製、商品名「ノクセラーZTC」
MBT: 2-メルカプトベンゾチアゾール、大内新興化学株式会社製、商品名「ノクセラーM−P」
CBS: N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学株式会社製、商品名「ノクセラーCZ」
ジチオジカプロラクタム: ラインケミー社製、商品名「RHENOCURE S」(ジチオジカプロラクタムを80質量%含有する。)
モルフォリンジスルフィド: 4,4’−ジチオジモルホリン、大内新興化学株式会社製、商品名「バルノックR」
フタロシアニン鉄: 東京化成工業株式会社製、製品コード「P0774」
ZnCl2: 東京化成工業株式会社製、製品コード「Z0014」
老化防止剤 6PPD: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
Claims (8)
- ゴム成分と、チウラム類及びジチオカルバミン酸塩類から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、下記式(I)で表わされる化学構造を有する化合物Yとを配合してなり、かつ該化合物Yを該ゴム成分100質量部に対して0.05質量部以上配合してなることを特徴とするゴム組成物。
(式(I)中、2つの窒素原子Nはそれぞれ炭素原子を有する環状構造を形成し、該環状構造は、N,O及びSからなる群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を有する。nは、平均値として1〜10である。) - 前記化合物Yが、下記式(II)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
(式(II)中、A、D及びEは、それぞれ独立に、N,O及びSからなる群から選ばれるヘテロ原子、−CH2−、並びに−[CH(R)]−からなる群から選ばれる。Gは、−CH2−、−[CH(R)]−、−(C=O)−及び−(C=S)−からなる群から選ばれる2価の基である。A、D、E及びGにおけるRは炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。式(II)中の2つの環状構造は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし、A、D及びEの少なくとも1つが該ヘテロ原子であるか、又はGが−(C=O)−もしくは−(C=S)−である。nは、平均値として1〜10であり、mは1〜5の整数である。) - さらに、遷移金属塩及び遷移金属錯体から選ばれる少なくとも1種の遷移金属化合物Zを配合してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム組成物。
- ゴム組成物の製造方法であって、ゴム成分と、チウラム類及びジチオカルバミン酸塩類から選ばれる少なくとも1種の化合物Xと、下記式(I)で表わされる化学構造を有する化合物Yとを混練する工程Pと、工程Pで得られたゴム組成物に加硫剤を混練する工程Qとを含むことを特徴とするゴム組成物の製造方法。
(式(I)中、2つの窒素原子Nはそれぞれ炭素原子を有する環状構造を形成し、該環状構造は、N,O及びSからなる群から選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子を有する。nは、平均値として1〜10である。) - 前記化合物Yが、下記式(II)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項4に記載のゴム組成物の製造方法。
(式(II)中、A、D及びEは、それぞれ独立に、N,O及びSからなる群から選ばれるヘテロ原子、−CH2−、並びに−[CH(R)]−からなる群から選ばれる。Gは、−CH2−、−[CH(R)]−、−(C=O)−及び−(C=S)−からなる群から選ばれる2価の基である。A、D、E及びGにおけるRは炭素数1〜20の1価の炭化水素基である。式(II)中の2つの環状構造は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし、A、D及びEの少なくとも1つが該ヘテロ原子であるか、又はGが−(C=O)−もしくは−(C=S)−である。nは、平均値として1〜10であり、mは1〜5の整数である。) - さらに、遷移金属塩及び遷移金属錯体から選ばれる少なくとも1種の遷移金属化合物Zを前記工程Pで配合することを特徴とする請求項4又は5に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記遷移金属化合物Zと前記化合物Yとを予め混合した後に、前記工程Pで配合することを特徴とする請求項6に記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記工程Pにおいて、前記化合物Yを前記ゴム成分100質量部に対して0.05質量部以上配合することを特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
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