JP2017200765A - 熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物及び造形物 - Google Patents

熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物及び造形物 Download PDF

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Abstract

【課題】 流動性、耐衝撃性及び造形物の接着強度のバランスに優れた、熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物を提供する。【解決手段】 メルトボリュームレイト(220℃、10kgf)が20(cm3/10分)以上であるゴム強化スチレン系樹脂を含有し、該ゴム強化スチレン系樹脂が、共役ジエン系重合体と、芳香族ビニル系単量体を含む単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体を含む単量体を重合してなる共重合体(B)からなることを特徴とする熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、造形物の積層間の接着強度が改善された熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物及び造形物に関する。
コンピュータ支援設計(CAD)モデルに基づいて、造形用材料を三次元に配置して造形する3Dプリント技術が知られている。3Dプリント技術は、従来では困難であった形状や大きさの造形を可能にすることができ、さらに、金型を用いずに部品、治具、製品を作ることができることから幅広い分野で普及している。3Dプリント技術の1つの方法として、フィラメント形状の熱可塑性樹脂を溶融押出し積層させる方式(FDM法)がある。
FDM法に用いられる熱可塑性樹脂としては、例えば、改質アクリロニトリル−ブタジレンースチレン(ABS)樹脂(特許文献1)が開示されている。また、
特定のゴム質重合体の存在下に、芳香族ビニル化合物をグラフト共重合して得られる共重合体と、芳香族ビニル化合物を重合して得られる重合体とからなる組成物(特許文献2)が開示されている。
しかしながら、FDM法においてフィラメント形状の熱可塑性樹脂を溶融押出し積層させるため、強固な造形物を得るためには積層間の接着強度が十分であることが必要であるが、未だ満足できるものでなかった。
特表2010−521339号公報
特開2007−51237号公報
本発明は、造形物の積層間の接着強度が改善された熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物及び造形物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、共役ジエン系重合体と、芳香族ビニル系単量体を含む単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体と、芳香族ビニル系単量体を含む単量体を重合してなる共重合体からなるゴム強化スチレン系樹脂の流動性を特定範囲に規定することで、上記課題を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、メルトボリュームレイト(220℃、10kgf)が20(cm/10分)以上であるゴム強化スチレン系樹脂を含有し、該ゴム強化スチレン系樹脂が、共役ジエン系重合体と、芳香族ビニル系単量体を含む単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体を含む単量体を重合してなる共重合体(B)からなることを特徴とする熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物を提供する。
上記熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物は、ゴム強化スチレン系樹脂以外の樹脂を実質的に含まないことが好ましい。
さらに、熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物からなる造形物を提供する。
本発明によれば、造形物の積層間の接着強度が改善された熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物及び造形物を提供することができる。
以下、本発明につき詳細に説明する。
本発明の熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物は、メルトボリュームレイト(220℃、10kgf)が20(cm/10分)以上であるゴム強化スチレン系樹脂を含有し、該ゴム強化スチレン系樹脂が、共役ジエン系重合体と、芳香族ビニル系単量体を含む単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体を含む単量体を重合してなる共重合体(B)からなる。
グラフト共重合体(A)を構成する共役ジエン系重合体としては、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。
共役ジエン系重合体の重合方法ついては特に制限はなく、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合またはこれらの組み合わせにより製造することができる。
共役ジエン系重合体の重量平均粒子径に特に制限はないが、耐衝撃性、流動性及び発色性などの物性バランスから、0.01〜2.0μmが好ましく、0.1〜1.0μmがより好ましい。また、重量平均粒子径が0.05〜0.3μmのゴム状重合体を凝集肥大化させることで調整することもできる。
本発明のグラフト共重合体(A)は、上述の共役ジエン系重合体と、芳香族ビニル系単量体を含む単量体をグラフト重合して得られる。
グラフト共重合体(A)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
グラフト共重合体(A)は、芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体を用いることがでる。共重合可能な他の単量体としては、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、マレイミド系単量体、アミド系単量体、不飽和カルボン酸系単量体等が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等が例示でき、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸(ジ)ブロモフェニル、(メタ)アクリル酸クロルフェニル等が例示でき、マレイミド系単量体としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が例示でき、アミド系単量体としてはアクリルアミド、メタクリルアミド等が例示でき、不飽和カルボン酸系単量体としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が例示できる。
グラフト共重合体(A)中の共役ジエン系重合体の含有量は、耐衝撃性、流動性及び発色性などの物性バランスの観点から、20〜80重量%が好ましく、40〜70重量%がより好ましい。
共役ジエン系重合体にグラフト重合される、上記単量体の組成比率に特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体50〜90重量%、シアン化ビニル系単量体10〜50重量%及び共重合可能な他の単量体0〜40重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体30〜80重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体20〜70重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体0〜50重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体20〜70重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体20〜70重量%、シアン化ビニル系単量体10〜60重量%及び共重合可能な他の単量体0〜50重量%の組成比率であることが好ましい(共役ジエン系重合体にグラフト重合される単量体合計量を100重量%とする)。
グラフト共重合体(A)のグラフト率及びアセトン可溶分の還元粘度に特に制限はないが、グラフト率は10〜150%であることが好ましく、20〜100%がより好ましい。アセトン可溶分の還元粘度は、0.1〜0.8dl/gであることが好ましく、0.2〜0.7dl/gであることがより好ましい。上記範囲となるように調整することにより流動性、耐衝撃性及び発色性のバランスを向上させることができる。
上記グラフト率及びアセトン可溶分の還元粘度は、下記により求めることができる。
<グラフト率>
約2g秤量した該当グラフト共重合体(A)パウダーをアセトン60mLに24時間浸漬後、ガラスフィルターでアセトン不溶部とアセトン可溶部に分離する。分離したアセトン不溶部を24時間真空乾燥後、その重量を測定した。
グラフト率(%)=(X―Y)/Y×100
X:真空乾燥後のアセトン不溶部量(g)
Y:グラフト共重合体中のゴム状重合体量(g)
<アセトン可溶分の還元粘度(dl/g)>
アセトン可溶分を乾燥後、N,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、0.4g/100mlの濃度の溶液とした後、キャノンフェンスケ型粘度管を用い30℃で測定した流下時間より還元粘度を求める。
上述のようにして得られるグラフト共重合体(A)には、通常、共役ジエン系重合体に芳香族ビニル系単量体を含む単量体がグラフトしたグラフト化重合体が主として含まれる他、共役ジエン系重合体にグラフトしていない芳香族ビニル系単量体を含む単量体が共重合された共重合体が含まれる。本発明においては、共役ジエン系重合体にグラフトしていない共重合体も共重合体(B)に含まれる。
共重合体(B)は、芳香族ビニル系単量体を含む単量体を重合して得られる。
共重合体(B)を構成する芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
共重合体(B)は、芳香族ビニル系単量体と共重合可能な他の単量体を用いることができる。共重合可能な他の単量体としては、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、マレイミド系単量体、アミド系単量体、不飽和カルボン酸系単量体等が挙げられ、1種又は2種以上用いることができる。シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル、フマロニトリル等が例示でき、(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸(ジ)ブロモフェニル、(メタ)アクリル酸クロルフェニル等が例示でき、マレイミド系単量体としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が例示でき、アミド系単量体としてはアクリルアミド、メタクリルアミド等が例示でき、不飽和カルボン酸系単量体としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が例示できる。
共重合体(B)を構成する単量体の組成比率に特に制限はないが、芳香族ビニル系単量体50〜90重量%、シアン化ビニル系単量体10〜50重量%及び共重合可能な他の単量体0〜40重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体30〜80重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体20〜70重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体0〜50重量%の組成比率、芳香族ビニル系単量体20〜70重量%、(メタ)アクリル酸エステル系単量体20〜70重量%、シアン化ビニル系単量体10〜60重量%及び共重合可能な他の単量体0〜50重量%の組成比率であることが好ましい。
共重合体(B)のアセトン可溶分の還元粘度に特に制限はないが、0.1〜0.8dl/gが好ましく、0.2〜0.7dl/gがより好ましい。上記範囲となるように調整することにより流動性と耐衝撃性とのバランスを向上させることができる。
上記還元粘度は、下記式により求めることができる。
共重合体(B)を、N,N−ジメチルホルムアミドに溶解し、0.4g/100mlの濃度の溶液とした後、キャノンフェンスケ型粘度管を用い30℃で測定した流下時間より還元粘度を求める。
上記グラフト共重合体(A)及び共重合体(B)の重合方法には特に制限はなく、例えば乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法及びこれらを組み合わせた方法により製造することができる。
本発明の熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)と共重合体(B)からなるゴム強化スチレン系樹脂を含有するものであり、熱可塑性樹脂組成物中の共役ジエン系重合体の含有量は5〜30重量%であることが好ましく、10〜20重量%であることがより好ましく、13〜19重量%であることがもっとも好ましい。上記範囲となるように調整することにより流動性と耐衝撃性とのバランスを向上させることができる。
本発明の熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物を構成するゴム強化スチレン系樹脂の流動性としては、メルトボリュームレイト(220℃、10kgf)が20(cm/10分)以上である必要がある。上記範囲となるように調整することにより、熱溶融積層方式3Dプリンターのフィラメントに使用した際、溶融押出しされたストランドの接着強度が高くなり、積層間の空隙がなくなることで強固な造形物を得ることができる。さらに、積層速度が速くなり造形時間も短くすることができる。好ましくは50(cm/10分)以上であり、より好ましくは60(cm/10分)以上である。また、流動性の上限については、耐衝撃性とのバランスから150(cm/10分)以下であることが好ましく、120(cm/10分)以下であることがより好ましく、100(cm/10分)以下であることがもっとも好ましい。
本発明の熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物には、ゴム強化スチレン系樹脂以外の樹脂を混合することもできる。このような他の樹脂として、例えば、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ乳酸樹脂等を使用することができる。なお、流動性、耐衝撃性及び発色性のバランスを向上させる観点からゴム強化スチレン系樹脂以外の樹脂を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、熱可塑性樹脂組成物全体に対して、ゴム強化スチレン系樹脂以外の樹脂含有量が5重量%未満であることを意味する。
さらに、本発明の熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物には、ヒンダードアミン系の光安定剤、ヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン有機化合物系等の酸化防止剤、フェノール系、アクリレート系等の熱安定剤、ベンゾエート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系の紫外線吸収剤、有機ニッケル系、高級脂肪酸アミド類等の滑剤、リン酸エステル類等の可塑剤、ポリブロモフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、臭素化エポキシオリゴマー、臭素化等の含ハロゲン系化合物、リン系化合物、三酸化アンチモン等の難燃剤・難燃助剤、臭気マスキング剤、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料、及び染料等を添加することもできる。更に、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスウール、炭素繊維、金属繊維等の補強剤や充填剤を添加することもできる。なお、熱溶融積層方式3Dプリンターのフィラメントに使用した際、溶融押出しされたストランドの接着強度をさらに向上させる観点から高級脂肪酸アミド類の滑剤を熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、0.5〜5重量部含有することが好ましく、0.7〜3重量部含有することがより好ましい。高級脂肪酸アミド類の滑剤としては、エチレン・ビスステアリン酸アマイド等が挙げられる。
本発明の熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物は、通常使用されるロール、バンバリーミキサー、押出機、ニーダー等を用い、各成分を混練することで得られる。
本発明の熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物をFDM法で使用する場合、フィラメント化される。フィラメント化は、公知の押出成形により得ることができる。
本発明の熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物は、熱溶融積層方式3Dプリンターにより造形物を得ることができる。
以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。なお、実施例中にて示す部及び%は重量に基づくものである。
グラフト共重合体(A)の製造
ガラスリアクターに、凝集肥大化スチレン−ブタジエンゴムラテックス(重量平均粒子径0.25μm)を固形分換算で50重量部仕込み、窒素置換を行った。窒素置換後、槽内を昇温し65℃に到達したところで、ラクトース0.2重量部、無水ピロリン酸ナトリウム0.1重量部及び硫酸第1鉄0.005重量部を脱イオン水10重量部に溶解した水溶液を添加した後に、70℃に昇温した。その後、アクリロニトリル15重量部、スチレン35重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.05部、クメンハイドロパーオキサイド0.3重量部の混合液及びオレイン酸カリウム1.0重量部を脱イオン水20重量部に溶解した乳化剤水溶液を4時間かけて連続的に滴下した。滴下後、3時間保持してグラフト共重合体ラテックスを得た。その後、塩析、脱水、乾燥し、グラフト共重合体(A)のパウダーを得た。上述した方法でグラフト率及びアセトン可溶部の還元粘度を測定したところ、グラフト率は37.0%、アセトン可溶部の還元粘度は0.39dl/gであった。
共重合体(B−1)の製造
反応器にイオン交換水120部を添加した後、窒素置換を行った。その後、反応器を60℃に昇温し、重合開始剤として過硫酸カリウム0.3重量部を溶解した3%水溶液を添加した。その後、スチレン75重量部、アクリロ二トリル25重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.3重量部からなる混合液とオレイン酸カリウム1.5重量部を溶解した5%水溶液を65℃で4時間かけて連続的に滴下した。その後、65℃で3時間保持し、重合を終了した。得られた共重合体ラテックスを塩析・脱水・乾燥することで、共重合体(B−1)パウダーを得た。上述した方法で測定した還元粘度は、0.60dl/gであった。
共重合体(B−2)の製造
ターシャリードデシルメルカプタン0.48重量部に変更した以外は、共重合体(B−1)と同様に重合を行い、上述した方法で測定した還元粘度は、0.42dl/gであった。
滑剤(C)
エチレン・ビスステアリン酸アマイド:花王(株)製 カオーワックスEB−FF
実施例1〜2及び比較例1
グラフト共重合体(A)、共重合体(B)及び滑剤(C)を表1記載の配合割合で混合した後、シリンダー温度250℃に設定したφ35mm2軸押出機にて主スクリュー回転数300rpm、吐出量15kg/hrの条件で溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを用いて、下記評価を行った。
<流動性の評価>
ISO 1133に準拠してメルトボリュームレイト(220℃、10kgf)を測定して評価した。
単位:cm/10分
<耐衝撃性の評価>
ISO 294に準拠して試験片を成形した。
ISO179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きシャルピー衝撃値を測定した。単位:kJ/m
<造形物の剥離性の評価>
得られたペレットを直径1.8mmのフィラメントに成形し、FDM法の3Dプリンターを用いて、大きさ40mm×40mm×70mm(縦×横×高さ)の中空の長方体造形物を得た。得られた造形物を目視にて観察し、積層間に空隙があるか確認した。
○:空隙がない
×:空隙がある
<接着強度の評価>
ISO 294に準拠して得た試験片(I)と、これと同じ形状をFDM法の3Dプリンターを用いて得た試験片(P)を、それぞれISO179に準拠し、4mm厚みで、ノッチ付きシャルピー衝撃値を測定した。そして、下記式(1)で求まる試験片(I)のシャルピー衝撃値に対する試験片(P)のシャルピー衝撃値を衝撃性保持率(%)とした。この衝撃性保持率が高いほど、射出成形品に近い衝撃値が得られていることを示し、FDM法の3Dプリンターから溶融押出しされたストランドの接着強度が高く、より強固な造形物が得られたことを示す。

衝撃性保持率(%)=試験片(P)のシャルピー衝撃値/試験片(I)のシャルピー衝撃値×100・・・式(1)
これらの評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の熱可塑性樹脂組成物を使用した実施例1〜2はいずれも、流動性、耐衝撃性及び造形物の接着強度のバランスに優れるものが得られた。そして、剥離性(空隙がない)に優れ、衝撃性保持率にも優れるため、強固な造形物が得られた。
比較例1は、流動性が本発明の規定より低く、剥離性(空隙がある)に劣り、衝撃性保持率も劣るため、強固な造形物が得られなかった。
上記のとおり、本発明の熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物は、流動性、耐衝撃性及び造形物の接着強度のバランスに優れることから、3Dプリンター用のフィラメントとして好適に使用することができる。






















Claims (3)

  1. メルトボリュームレイト(220℃、10kgf)が20(cm/10分)以上であるゴム強化スチレン系樹脂を含有し、該ゴム強化スチレン系樹脂が、共役ジエン系重合体と、芳香族ビニル系単量体を含む単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体(A)と、芳香族ビニル系単量体を含む単量体を重合してなる共重合体(B)からなることを特徴とする熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物。
  2. ゴム強化スチレン系樹脂以外の樹脂を実質的に含まないことを特徴とする請求項1に記載の熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の熱溶融積層方式三次元造形用熱可塑性樹脂組成物からなる造形物。














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"プラスチック物性一覧表 (熱可塑性)", 華陽物産株式会社ホームページ, JPN6017033618, ISSN: 0003671901 *

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2022086389A (ja) * 2020-11-30 2022-06-09 日本エイアンドエル株式会社 ブロー成形用熱可塑性組成物およびブロー成形品

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