JP2017199547A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】内部抵抗の増加を抑制するリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】正極、負極およびセパレータと、電解液と、を電池容器内に備えるリチウムイオン二次電池であって、前記電解液にビニレンカーボネート(VC)およびリン酸トリス(トリメチルシリル)を含み、負極活物質として易黒鉛化炭素及び黒鉛を含み、前記ビニレンカーボネートは、電解液の全量に対し0.3〜1.6質量%含み、前記リン酸トリス(トリメチルシリル)は、電解液の全量に対して0.1〜0.5質量%含むリチウムイオン二次電池。
【選択図】図1
【解決手段】正極、負極およびセパレータと、電解液と、を電池容器内に備えるリチウムイオン二次電池であって、前記電解液にビニレンカーボネート(VC)およびリン酸トリス(トリメチルシリル)を含み、負極活物質として易黒鉛化炭素及び黒鉛を含み、前記ビニレンカーボネートは、電解液の全量に対し0.3〜1.6質量%含み、前記リン酸トリス(トリメチルシリル)は、電解液の全量に対して0.1〜0.5質量%含むリチウムイオン二次電池。
【選択図】図1
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン電池(リチウムイオン二次電池)は、軽量で高エネルギー密度の二次電池であり、その特性を活かして、ノートパソコンや携帯電話等のポータブル機器の電源に使用されている。
近年では、ポータブル機器用等の民生用途にとどまらず、車載搭載用途や太陽光や風力発電といった自然エネルギー向け大規模蓄電システム用途としても展開されている。特に、自動車分野への適用において、回生によるエネルギーの利用効率向上のために優れた入力特性が要求されている。また、優れた長期寿命特性も要求されている。
特許文献1では、リチウムイオン二次電池用の電解液が開示されている。具体的には、第1添加剤としてトリメチルシリルリン酸(TMSP)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)からなる群から選択される一つ以上、第2添加剤としてビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチルカーボネート(FEC)からなる群から選択される一つ以上を含有したリチウムイオン二次電池用電解液とすることによって、サイクル寿命特性及び高温保存安定性が優れ、低温放電容量の下落を防止することが例示されている。
近年では、ポータブル機器用等の民生用途にとどまらず、車載搭載用途や太陽光や風力発電といった自然エネルギー向け大規模蓄電システム用途としても展開されている。特に、自動車分野への適用において、回生によるエネルギーの利用効率向上のために優れた入力特性が要求されている。また、優れた長期寿命特性も要求されている。
特許文献1では、リチウムイオン二次電池用の電解液が開示されている。具体的には、第1添加剤としてトリメチルシリルリン酸(TMSP)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)からなる群から選択される一つ以上、第2添加剤としてビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチルカーボネート(FEC)からなる群から選択される一つ以上を含有したリチウムイオン二次電池用電解液とすることによって、サイクル寿命特性及び高温保存安定性が優れ、低温放電容量の下落を防止することが例示されている。
特許文献1には、低温放電容量の低下と高温放置時のスエリングを抑制できると提案されているが、少なくとも2種類の添加剤を合計で2wt%以上も添加することが必要であり、初期抵抗上昇へと繋がる。さらに、容量寿命特性は向上するものの、抵抗値や抵抗上昇率が高く出力特性が悪化することが、本発明者らの検討の結果明らかとなった。本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1>正極、負極およびセパレータと、電解液と、を電池容器内に備えるリチウムイオン二次電池であって、前記電解液にビニレンカーボネートおよびリン酸トリス(トリメチルシリル)を含み、負極活物質として易黒鉛化炭素を含み、前記ビニレンカーボネートは、電解液の全量に対し0.3〜1.6質量%含み、前記リン酸トリス(トリメチルシリル)は、電解液の全量に対して0.1〜0.5質量%含むリチウムイオン二次電池。
<2>前記負極に黒鉛を含む<1>記載のリチウムイオン二次電池。
<3>前記電解液は非水溶媒として鎖状カーボネートおよび環状カーボネートを含む<1>又は<2>に記載のリチウムイオン二次電池。
<4>前記環状カーボネートはエチレンカーボネートであり、前記鎖状カーボネートとして少なくともジメチルカーボネート又はエチルメチルカーボネートのいずれかを含む<3>に記載のリチウムイオン二次電池。
<1>正極、負極およびセパレータと、電解液と、を電池容器内に備えるリチウムイオン二次電池であって、前記電解液にビニレンカーボネートおよびリン酸トリス(トリメチルシリル)を含み、負極活物質として易黒鉛化炭素を含み、前記ビニレンカーボネートは、電解液の全量に対し0.3〜1.6質量%含み、前記リン酸トリス(トリメチルシリル)は、電解液の全量に対して0.1〜0.5質量%含むリチウムイオン二次電池。
<2>前記負極に黒鉛を含む<1>記載のリチウムイオン二次電池。
<3>前記電解液は非水溶媒として鎖状カーボネートおよび環状カーボネートを含む<1>又は<2>に記載のリチウムイオン二次電池。
<4>前記環状カーボネートはエチレンカーボネートであり、前記鎖状カーボネートとして少なくともジメチルカーボネート又はエチルメチルカーボネートのいずれかを含む<3>に記載のリチウムイオン二次電池。
本発明によれば初期不可逆容量の増加、抵抗上昇率を抑制し、寿命特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更及び修正が可能である。
以下の実施の形態においてA〜Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上、B以下を示すものとする。
以下の実施の形態においてA〜Bとして範囲を示す場合には、特に明示した場合を除き、A以上、B以下を示すものとする。
(実施の形態)
まず、リチウムイオン電池の概要について簡単に説明する。リチウムイオン電池は、電池容器内に、正極、負極、セパレータ及び電解液を有している。正極と負極との間にはセパレータが配置されている。
リチウムイオン電池を充電する際には、正極と負極との間に充電器を接続する。充電時においては、正極活物質内に挿入されているリチウムイオンが脱離し、電解液中に放出される。電解液中に放出されたリチウムイオンは、電解液中を移動し、微多孔質膜からなるセパレータを通過して、負極に到達する。この負極に到達したリチウムイオンは、負極を構成する負極活物質内に挿入される。
まず、リチウムイオン電池の概要について簡単に説明する。リチウムイオン電池は、電池容器内に、正極、負極、セパレータ及び電解液を有している。正極と負極との間にはセパレータが配置されている。
リチウムイオン電池を充電する際には、正極と負極との間に充電器を接続する。充電時においては、正極活物質内に挿入されているリチウムイオンが脱離し、電解液中に放出される。電解液中に放出されたリチウムイオンは、電解液中を移動し、微多孔質膜からなるセパレータを通過して、負極に到達する。この負極に到達したリチウムイオンは、負極を構成する負極活物質内に挿入される。
放電する際には、正極と負極の間に外部負荷を接続する。放電時においては、負極活物質内に挿入されていたリチウムイオンが脱離して電解液中に放出される。このとき、負極から電子が放出される。そして、電解液中に放出されたリチウムイオンは、電解液中を移動し、微多孔質膜からなるセパレータを通過して、正極に到達する。この正極に到達したリチウムイオンは、正極を構成する正極活物質内に挿入される。このとき、正極活物質にリチウムイオンが挿入することにより、正極に電子が流れ込む。このようにして、負極から正極に電子が移動することにより放電が行われる。
このように、リチウムイオンを正極活物質と負極活物質との間で挿入・脱離することにより、充放電することができる。なお、実際のリチウムイオン電池の構成例については、後述する(例えば、図1参照)。
次いで、本実施の形態のリチウムイオン二次電池の構成要素である正極、負極、電解液、セパレータおよびその他の構成部材に関し順次説明する。
次いで、本実施の形態のリチウムイオン二次電池の構成要素である正極、負極、電解液、セパレータおよびその他の構成部材に関し順次説明する。
1.正極
本実施の形態においては、高容量で高入出力のリチウムイオン二次電池に適用可能な以下に示す正極を有する。本実施の形態の正極(正極板)は、集電体及びその上部に形成された正極合剤よりなる。正極合剤は、集電体の上部に設けられた少なくとも正極活物質を含む層である。
前記正極活物質としては、層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(以下、NMCという場合もある)を含む。NMCは、高容量であり、且つ安全性にも優れる。
安全性の更なる向上の観点からは、NMC及びスピネル型リチウムマンガン複合酸化物(以下、sp−Mnという場合もある)との混合活物質を用いることが好ましい。
NMCの含有量は、電池の高容量化の観点から、正極合剤全量に対して65質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。
本実施の形態においては、高容量で高入出力のリチウムイオン二次電池に適用可能な以下に示す正極を有する。本実施の形態の正極(正極板)は、集電体及びその上部に形成された正極合剤よりなる。正極合剤は、集電体の上部に設けられた少なくとも正極活物質を含む層である。
前記正極活物質としては、層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(以下、NMCという場合もある)を含む。NMCは、高容量であり、且つ安全性にも優れる。
安全性の更なる向上の観点からは、NMC及びスピネル型リチウムマンガン複合酸化物(以下、sp−Mnという場合もある)との混合活物質を用いることが好ましい。
NMCの含有量は、電池の高容量化の観点から、正極合剤全量に対して65質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましい。
前記NMCとしては、以下の組成式(化1)で表されるものを用いることが好ましい。
Li(1+δ)MnxNiyCo(1−x−y−z)MzO2…(化1)
上記組成式(化1)において、(1+δ)は、Li(リチウム)の組成比、xはMn(マンガン)の組成比、yはNi(ニッケル)の組成比、(1−x−y−z)はCo(コバルト)の組成比を示す。zは、元素Mの組成比を示す。O(酸素)の組成比は2である。
元素Mは、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)、Si(シリコン)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)及びSn(錫)よりなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
−0.15<δ<0.15、0.1<x≦0.5、0.6<x+y+z<1.0、0≦z≦0.1である。
Li(1+δ)MnxNiyCo(1−x−y−z)MzO2…(化1)
上記組成式(化1)において、(1+δ)は、Li(リチウム)の組成比、xはMn(マンガン)の組成比、yはNi(ニッケル)の組成比、(1−x−y−z)はCo(コバルト)の組成比を示す。zは、元素Mの組成比を示す。O(酸素)の組成比は2である。
元素Mは、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、W(タングステン)、Al(アルミニウム)、Si(シリコン)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)及びSn(錫)よりなる群から選択される少なくとも1種の元素である。
−0.15<δ<0.15、0.1<x≦0.5、0.6<x+y+z<1.0、0≦z≦0.1である。
また、前記sp−Mnとしては、以下の組成式(化2)で表されるものを用いることが好ましい。
Li(1+η)Mn(2−λ)M’λO4…(化2)
上記組成式(化2)において、(1+η)はLiの組成比、(2−λ)はMnの組成比、λは元素M’の組成比を示す。O(酸素)の組成比は4である。
元素M’は、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Al、Ga、Zn(亜鉛)、及びCu(銅)よりなる群から選択される少なくとも1種の元素であることが好ましい。
0≦η≦0.2、0≦λ≦0.1である。
上記組成式(化2)における元素M’としては、Mg又はAlを用いることが好ましい。Mg又はAlを用いることにより、電池の長寿命化を図ることができる。また、電池の安全性の向上を図ることができる。さらに、元素M’を加えることで、Mnの溶出を低減できるため、貯蔵特性や充放電サイクル特性を向上させることができる。
Li(1+η)Mn(2−λ)M’λO4…(化2)
上記組成式(化2)において、(1+η)はLiの組成比、(2−λ)はMnの組成比、λは元素M’の組成比を示す。O(酸素)の組成比は4である。
元素M’は、Mg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Al、Ga、Zn(亜鉛)、及びCu(銅)よりなる群から選択される少なくとも1種の元素であることが好ましい。
0≦η≦0.2、0≦λ≦0.1である。
上記組成式(化2)における元素M’としては、Mg又はAlを用いることが好ましい。Mg又はAlを用いることにより、電池の長寿命化を図ることができる。また、電池の安全性の向上を図ることができる。さらに、元素M’を加えることで、Mnの溶出を低減できるため、貯蔵特性や充放電サイクル特性を向上させることができる。
また、正極活物質としては、上記NMC及びsp−Mn以外のものを用いてもよい。
前記NMC及びsp−Mn以外の正極活物質としては、この分野で常用されるものを使用でき、NMC及びsp−Mn以外のリチウム含有複合金属酸化物、オリビン型リチウム塩、カルコゲン化合物、二酸化マンガン等が挙げられる。
リチウム含有複合金属酸化物は、リチウムと遷移金属とを含む金属酸化物又は該金属酸化物中の遷移金属の一部が異種元素によって置換された金属酸化物である。ここで、異種元素としては、例えば、Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、V、B等が挙げられ、Mn、Al、Co、Ni、Mgが好ましい。異種元素は1種又は2種以上を用いることができる。
前記NMC及びsp−Mn以外のリチウム含有複合金属酸化物としては、LixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCoyNi1−yO2、LixCoyM1−yOz、LixNi1−yMyOz(前記各式中、MはNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、VおよびBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を示す。x=0〜1.2、y=0〜0.9、z=2.0〜2.3である。)等があげられる。ここで、リチウムのモル比を示すx値は、充放電により増減する。
また、前記オリビン型リチウム塩としては、LiFePO4等が挙げられる。カルコゲン化合物としては、二硫化チタン、二硫化モリブデン等が挙げられる。正極活物質は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
前記NMC及びsp−Mn以外の正極活物質としては、この分野で常用されるものを使用でき、NMC及びsp−Mn以外のリチウム含有複合金属酸化物、オリビン型リチウム塩、カルコゲン化合物、二酸化マンガン等が挙げられる。
リチウム含有複合金属酸化物は、リチウムと遷移金属とを含む金属酸化物又は該金属酸化物中の遷移金属の一部が異種元素によって置換された金属酸化物である。ここで、異種元素としては、例えば、Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、V、B等が挙げられ、Mn、Al、Co、Ni、Mgが好ましい。異種元素は1種又は2種以上を用いることができる。
前記NMC及びsp−Mn以外のリチウム含有複合金属酸化物としては、LixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCoyNi1−yO2、LixCoyM1−yOz、LixNi1−yMyOz(前記各式中、MはNa、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、VおよびBよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を示す。x=0〜1.2、y=0〜0.9、z=2.0〜2.3である。)等があげられる。ここで、リチウムのモル比を示すx値は、充放電により増減する。
また、前記オリビン型リチウム塩としては、LiFePO4等が挙げられる。カルコゲン化合物としては、二硫化チタン、二硫化モリブデン等が挙げられる。正極活物質は1種を単独で使用でき又は2種以上を併用できる。
次に、正極合剤及び集電体について詳細に説明する。正極合剤は、正極活物質、結着剤等を含有し、集電体上に形成される。その形成方法に制限はないが、例えば、次のように形成される。正極活物質、結着剤、及び必要に応じて用いられる導電剤や増粘剤などの他の材料を乾式で混合してシート状にし、これを集電体に圧着する(乾式法)。また、正極活物質、結着剤、及び必要に応じて用いられる導電剤、増粘剤等の他の材料を分散溶媒に溶解又は分散させてスラリーとし、これを集電体に塗布し、乾燥する(湿式法)。
正極活物質としては、前述したように、層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(NMC)が用いられる。これらは粉状(粒状)で用いられ、混合される。
NMC、sp−Mn等の正極活物質の粒子としては、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等の形状を有するものを用いることができる。
NMC、sp−Mn等の正極活物質の粒子の平均粒子径(d50)(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子の平均粒子径(d50))は、タッブ密度(充填性)、電極の形成時における他の材料との混合性の観点から、1〜30μmが好ましく、3〜25μmがより好ましく、5〜15μmが更に好ましい。なお、平均粒子径はd50(メジアン径)は、レーザー回折・散乱法により求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
正極活物質としては、前述したように、層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(NMC)が用いられる。これらは粉状(粒状)で用いられ、混合される。
NMC、sp−Mn等の正極活物質の粒子としては、塊状、多面体状、球状、楕円球状、板状、針状、柱状等の形状を有するものを用いることができる。
NMC、sp−Mn等の正極活物質の粒子の平均粒子径(d50)(一次粒子が凝集して二次粒子を形成している場合には二次粒子の平均粒子径(d50))は、タッブ密度(充填性)、電極の形成時における他の材料との混合性の観点から、1〜30μmが好ましく、3〜25μmがより好ましく、5〜15μmが更に好ましい。なお、平均粒子径はd50(メジアン径)は、レーザー回折・散乱法により求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。
NMC、sp−Mn等の正極活物質の粒子のBET比表面積の範囲は、0.2〜4.0m2/gが好ましく、0.3〜2.5m2/gがより好ましく、0.4〜1.5m2/gが更に好ましい。
0.2m2/g以上であれば、優れた電池性能が得られる。また、4.0m2/g以下であると、タップ密度が上がりやすく、結着剤や導電剤などのほかの材料との混合性が良好である。BET比表面積は、BET法により求められた比表面積(単位gあたりの面積)である。
0.2m2/g以上であれば、優れた電池性能が得られる。また、4.0m2/g以下であると、タップ密度が上がりやすく、結着剤や導電剤などのほかの材料との混合性が良好である。BET比表面積は、BET法により求められた比表面積(単位gあたりの面積)である。
正極用の導電剤としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素質材料などが挙げられる。なお、これらのうち、1種を単独で用いてもよく、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
正極合剤の質量に対する導電剤の含有量の範囲は、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%が更に好ましい。0.1質量%以上であると充分な導電性を得ることができ、50質量%以下であれば電池容量の低下を抑制することができる。
正極合剤の質量に対する導電剤の含有量の範囲は、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましく、1〜15質量%が更に好ましい。0.1質量%以上であると充分な導電性を得ることができ、50質量%以下であれば電池容量の低下を抑制することができる。
正極活物質の結着剤としては、特に限定されず、塗布法により正極合剤を形成する場合には、分散溶媒に対する溶解性又は分散性が良好な材料が選択される。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、セルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等のゴム状高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらのうち、1種を単独で用いてもよく、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
正極の安定性の観点から、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)又はポリテトラフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系高分子を用いることが好ましい。
正極合剤の質量に対する結着剤の含有量の範囲は、0.1〜60質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、3〜10質量%が更に好ましい。
結着剤の含有量が0.1質量%以上であると、正極活物質を充分に結着でき、充分な正極活物質の機械的強度が得られ、優れたサイクル特性等の電池性能が得られる。60質量%以下であると、充分な電池容量や導電性が得られる。
正極の安定性の観点から、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)又はポリテトラフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系高分子を用いることが好ましい。
正極合剤の質量に対する結着剤の含有量の範囲は、0.1〜60質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましく、3〜10質量%が更に好ましい。
結着剤の含有量が0.1質量%以上であると、正極活物質を充分に結着でき、充分な正極活物質の機械的強度が得られ、優れたサイクル特性等の電池性能が得られる。60質量%以下であると、充分な電池容量や導電性が得られる。
上記湿式法又は乾式法を用いて集電体上に形成された層は、正極活物質の充填密度を向上させるため、ハンドプレス又はローラープレス等により圧密化することが好ましい。
前記のように圧密化した正極合剤の密度は、入出力特性及び安全性の更なる向上の観点から、2.5〜2.8g/cm3の範囲が好ましく2.55〜2.75g/cm3がより好ましく、2.6〜2.7g/cm3が更に好ましい。
また、正極合剤の正極集電体への片面塗布量は、エネルギー密度及び入出力特性の観点から、110〜170g/m2であることが好ましく、120〜160g/m2であることがより好ましく、130〜150g/m2であることが更に好ましい。
上記のような正極合剤の正極集電体への片面塗布量及び正極合剤密度を考慮すると、正極合剤の正極集電体への片面塗布膜厚み([正極の厚み−正極集電体の厚み]/2)は、39〜68μmであることが好ましく、43〜64μmがより好ましく、46〜60μmが更に好ましい。
前記のように圧密化した正極合剤の密度は、入出力特性及び安全性の更なる向上の観点から、2.5〜2.8g/cm3の範囲が好ましく2.55〜2.75g/cm3がより好ましく、2.6〜2.7g/cm3が更に好ましい。
また、正極合剤の正極集電体への片面塗布量は、エネルギー密度及び入出力特性の観点から、110〜170g/m2であることが好ましく、120〜160g/m2であることがより好ましく、130〜150g/m2であることが更に好ましい。
上記のような正極合剤の正極集電体への片面塗布量及び正極合剤密度を考慮すると、正極合剤の正極集電体への片面塗布膜厚み([正極の厚み−正極集電体の厚み]/2)は、39〜68μmであることが好ましく、43〜64μmがより好ましく、46〜60μmが更に好ましい。
正極用の集電体の材質としては特に制限はないが、中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。集電体の形状としては特に制限はなく、種々の形状に加工された材料を用いることができる。金属材料については、金属箔、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル等が挙げられるが、中でも、金属薄膜を用いることが好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。
薄膜の厚さは任意であるが、集電体として必要な強度及び良好な可とう性が得られる観点から、1μm〜1mmが好ましく、3〜100μmがより好ましく、5〜100μmが更に好ましい。
薄膜の厚さは任意であるが、集電体として必要な強度及び良好な可とう性が得られる観点から、1μm〜1mmが好ましく、3〜100μmがより好ましく、5〜100μmが更に好ましい。
2.負極
本実施の形態における負極は、負極活物質として、黒鉛と、非晶質炭素と、を含む。負極の、リチウム電位に対して0.1Vとなる電位における充電状態(State of charge)が、40〜60%である。ここで、充電状態(State of charge)は、SOCという場合もある。なお、リチウム電位に対して0.1Vとなる電位におけるSOCが高いほど、正極でのIRドロップ(電圧降下)の影響を受けにくく、充電負荷特性が向上する。
本実施の形態における負極は、負極活物質として、黒鉛と、非晶質炭素と、を含む。負極の、リチウム電位に対して0.1Vとなる電位における充電状態(State of charge)が、40〜60%である。ここで、充電状態(State of charge)は、SOCという場合もある。なお、リチウム電位に対して0.1Vとなる電位におけるSOCが高いほど、正極でのIRドロップ(電圧降下)の影響を受けにくく、充電負荷特性が向上する。
まず、負極に含まれる黒鉛について説明する。本発明における黒鉛とは、例えば、X線広角回折法における炭素網面層間(d002)が0.34nm未満である。
塊状の天然黒鉛を粉砕したものには不純物が含まれていることがあるため、精製処理によって高純度化することが好ましい。前記天然黒鉛の純度は、質量基準で、99.8%以上(灰分0.2%以下)であることが好ましく、99.9%以上(灰分0.1%以下)であることがより好ましい。純度が99.8%以上であることで電池の安全性がより向上し、電池性能がより向上する。
エポキシ若しくはフェノール等の樹脂原料又は石油若しくは石炭から得られるピッチ系材料を原料として焼成して得られる人造黒鉛を用いてもよい。
前記人造黒鉛を得るための方法としては、特に制限はないが、例えば、熱可塑性樹脂、ナフタレン、アントラセン、フェナントロレン、コールタール、タールピッチ等を800℃以上の不活性雰囲気中でカ焼し、ついで、これをジェットミル、振動ミル、ピンミル、ハンマーミル等の既知の方法により粉砕し、5〜40μmに粒度を調整することで作製することができる。また、上記のカ焼する前に予め熱処理を施してもよい。熱処理を施す場合は、例えば、オートクレーブ等の機器により予め熱処理を施し、既知の方法により粗粉砕した後、上記と同様に800℃以上の不活性雰囲気中でカ焼し、粉砕して粒度を調整することで得ることができる。
黒鉛は他の材料によって改質されていてもよい。例えば、核となる黒鉛の表面に低結晶炭素層を有し前記黒鉛に対する前記炭素層の比率(質量比)は0.005〜0.1であることが好ましく、0.005〜0.09であることがより好ましく、0.005〜0.08であることが更に好ましい。前記炭素材料に対する前記炭素層の比率(質量比)は0.005以上であれば、初期効率及び寿命特性に優れる。また、0.1以下であれば、入出力特性に優れる。
負極に含まれる前記黒鉛としては、以下の(1)及び(2)に示す物性を有することが好ましい。
(1)ラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm−1の範囲にあるピーク強度(ID)とラマン分光スペクトルで測定される1580〜1620cm−1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比であるR値(IG/ID)が、3以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、50以上であることが更に好ましい。
なお、ラマン分光スペクトルは、ラマン分光装置(例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック製、DXR)を用いて測定することができる。
(2)平均粒子径(d50)は、2〜20μmであることが好ましく、2.5〜15μmであることがより好ましく3〜10μmであることが更に好ましい。20μm以下であると放電容量及び放電特性が向上する。また2μm以上であると初期充放電効率が向上する傾向にある。
なお、平均粒子径(d50)は、例えば、レーザー光散乱法を利用した粒子径分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所製、SALD−3000)を用い、d50(メジアン径)として測定される値である。
(1)ラマン分光スペクトルで測定される1300〜1400cm−1の範囲にあるピーク強度(ID)とラマン分光スペクトルで測定される1580〜1620cm−1の範囲にあるピーク強度(IG)との強度比であるR値(IG/ID)が、3以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、50以上であることが更に好ましい。
なお、ラマン分光スペクトルは、ラマン分光装置(例えば、サーモフィッシャーサイエンティフィック製、DXR)を用いて測定することができる。
(2)平均粒子径(d50)は、2〜20μmであることが好ましく、2.5〜15μmであることがより好ましく3〜10μmであることが更に好ましい。20μm以下であると放電容量及び放電特性が向上する。また2μm以上であると初期充放電効率が向上する傾向にある。
なお、平均粒子径(d50)は、例えば、レーザー光散乱法を利用した粒子径分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所製、SALD−3000)を用い、d50(メジアン径)として測定される値である。
精製処理の方法は特に制限されず、通常用いられる精製処理方法から適宜選択することができる。例えば、浮遊選鉱、電気化学処理、薬品処理等を挙げることができる。
次に、負極に含まれる非晶質炭素について説明する。
前記非晶質炭素は、X線広角回折法における炭素網面層間(d002)が、0.34〜0.39nmであることが好ましく、0.341〜0.385nmであることがより好ましく、0.342〜0.37nmであることが更に好ましい。なお、前記非晶質炭素が、易黒鉛化炭素である場合には、X線広角回折法における炭素網面層間(d002)が、0.34〜0.36nmであることが好ましく、0.341〜0.355nmであることがより好ましく、0.342〜0.35nmであることが更に好ましい。
また、前記非晶質炭素として、熱重量測定で、空気気流中550℃での質量が25℃での質量に対して70質量%以上であり、650℃での質量が25℃での質量に対して20質量%以下である材料を用いることが好ましい。熱重量測定は、例えば、TG分析(Thermo Gravimetry Analysis)装置(例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、TG/DTA6200)で測定することができる。例えば、10mgの試料を採取し、乾燥空気300mL/分の流通下で、アルミナをリファレンスとして、昇温速度を1℃/分とした測定条件で、測定を行うことができる。
なお、入出力特性をより向上できる観点からは、空気気流中550℃での質量が25℃での質量の90%以上であり、650℃での質量が25℃での質量の10%以下である非晶質炭素がより好ましい。
なお、入出力特性をより向上できる観点からは、空気気流中550℃での質量が25℃での質量の90%以上であり、650℃での質量が25℃での質量の10%以下である非晶質炭素がより好ましい。
また、前記非晶質炭素の平均粒子径(d50)は、5〜30μmであることが好ましく、10〜25μmであることがより好ましく、12〜23μmであることが更に好ましい。平均粒子径が5μm以上であれば、比表面積を適正な範囲とすることができ、リチウムイオン電池の初回充放電効率が優れると共に、粒子同士の接触が良く入出力特性に優れる傾向がある。
一方、平均粒子径が30μm以下であれば、電極面に凸凹が発生しにくく電池の短絡を抑制できると共に、粒子表面から内部へのLiの拡散距離が比較的短くなるためリチウムイオン電池の入出力特性が向上する傾向がある。
なお、例えば、粒度分布は界面活性剤を含んだ精製水に試料を分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所製、SALD−3000J)で測定することができ、平均粒子径はd50(メジアン径)として算出される。
一方、平均粒子径が30μm以下であれば、電極面に凸凹が発生しにくく電池の短絡を抑制できると共に、粒子表面から内部へのLiの拡散距離が比較的短くなるためリチウムイオン電池の入出力特性が向上する傾向がある。
なお、例えば、粒度分布は界面活性剤を含んだ精製水に試料を分散させ、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所製、SALD−3000J)で測定することができ、平均粒子径はd50(メジアン径)として算出される。
前記黒鉛と前記非晶質炭素とを混合することで、入力特性を保持しつつ、出力特性、及びエネルギー密度をより向上することができる。黒鉛と非晶質炭素との含有比((黒鉛)/(非晶質炭素))は、10/90〜70/30が好ましく、15/85〜65/35であることがより好ましく、20/80〜50/50が更に好ましい。黒鉛の配合比が10%以上であれば出力特性及び過充電耐性が向上し、70%以下であれば入力特性の保持と過充電耐性を両立できる。
また、負極活物質として、非晶質炭素、黒鉛以外の炭素質材料、酸化錫や酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、SnやSi等のリチウムと合金形成可能な材料等を併用してもよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。前記金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能なものであれば特に制限はないが、Ti(チタン)、Li(リチウム)又はTi及びLiの双方を含有するものが、放電特性の観点で好ましい。
負極活物質を用いて形成した負極合剤の構成に特に制限はないが、負極合剤密度の範囲は0.7〜2g/cm3あることが好ましく、0.8〜1.9g/cm3であることがより好ましく、0.9〜1.8g/cm3であることが更に好ましい。
0.7g/cm3以上であると、負極活物質間の導電性が向上し電池抵抗の増加を抑制することができ、単位容積あたりの容量を向上できる。2g/cm3以下であると、初期の不可逆容量の増加や集電体と負極活物質との界面付近への非水電解液への浸透性の低下による放電特性の劣化を招く恐れが少なくなる。
0.7g/cm3以上であると、負極活物質間の導電性が向上し電池抵抗の増加を抑制することができ、単位容積あたりの容量を向上できる。2g/cm3以下であると、初期の不可逆容量の増加や集電体と負極活物質との界面付近への非水電解液への浸透性の低下による放電特性の劣化を招く恐れが少なくなる。
導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素等を用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。このように、導電剤を添加することにより、電極の抵抗を低減する等の効果を奏する。
負極合剤の重量に対する導電剤の含有量の範囲は、導電性の向上、初期不可逆容量低減の観点から、1〜45重量%の範囲であることが好ましく、2〜42重量%であることがより好ましく、3〜40重量%であることが更に好ましい。
負極用の集電体の材質としては特に制限はなく、具体例としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられる。中でも、加工のし易さとコストの観点から銅が好ましい。
集電体の形状としては特に制限はなく、種々の形状に加工された材料を用いることができる。具体例としては、金属箔、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル等が挙げられる。中でも、金属薄膜が好ましく、銅箔がより好ましい。銅箔には、圧延法により形成された圧延銅箔と、電解法により形成された電解銅箔とがあり、どちらも集電体として用いて好適である。
集電体の厚さに制限はないが、厚さが25μm未満の場合、純銅よりも強銅合金(リン青銅、チタン銅、コルソン合金、Cu−Cr−Zr合金等)を用いることでその強度を向上させることができる。
集電体の厚さに制限はないが、厚さが25μm未満の場合、純銅よりも強銅合金(リン青銅、チタン銅、コルソン合金、Cu−Cr−Zr合金等)を用いることでその強度を向上させることができる。
負極活物質の結着剤としては、非水系電解液や電極の形成時に用いる分散溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限はない。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)等のゴム状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらのうち、1種を単独で用いてもよく、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
また、結着剤として、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素系高分子を主要成分として用いる場合の負極合剤の質量に対する結着剤の含有量の範囲は、1〜15質量%であることが好ましく、2〜10質量%であることがより好ましく、3〜8質量%であることが更に好ましい。
増粘剤は、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限はないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
増粘剤は、スラリーの粘度を調製するために使用される。増粘剤としては、特に制限はないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
負極合剤の質量に対する結着剤の含有量の範囲は、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましく、0.6〜10質量%が更に好ましい。
結着剤の含有量が0.1質量%以上であると、負極活物質を充分に結着でき、充分な負極活物質の機械的強度が得られる。20質量%以下であると、充分な電池容量や導電性が得られる。
結着剤の含有量が0.1質量%以上であると、負極活物質を充分に結着でき、充分な負極活物質の機械的強度が得られる。20質量%以下であると、充分な電池容量や導電性が得られる。
スラリーを形成するための分散溶媒としては、負極活物質、結着剤、及び必要に応じて用いられる導電剤又は増粘剤等を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に制限はなく、水系溶媒又は有機系溶媒のどちらを用いてもよい。水系溶媒の例としては、水、アルコール及び水との混合溶媒等が挙げられ、有機系溶媒の例としては、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド、ベンゼン、キシレン、ヘキサン等が挙げられる。特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤を用いることが好ましい。この増粘剤に併せて分散材等を加え、SBR等のラテックスを用いてスラリー化する。なお、上記分散溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
増粘剤を用いる場合の負極合剤の質量に対する増粘剤の含有量の範囲はレート特性及び
電池容量の観点から、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましく、0.6〜2質量%であることが更に好ましい。
電池容量の観点から、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましく、0.6〜2質量%であることが更に好ましい。
3.電解液
リチウムイオン二次電池の非水電解液は、一般的に、非水溶媒と支持塩とを含む。まず、非水溶媒について説明する。本発明に係るリチウムイオン二次電池の非水溶媒は、リン酸シリルエステル化合物及びビニレンカーボネートを含む。
リン酸シリルエステル化合物の具体例としては、たとえばリン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルビス( トリメチルシリル)、リン酸ジエチルトリメチルシリル、リン酸ジエチルトリメチルシリル、リン酸エチルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジプロピルトリメチルシリル、リン酸プロピルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジブチル(トリメチルシリル)、リン酸ブチルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジオクチルトリメチルシリル、リン酸オクチルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジフェニルトリメチルシリル、リン酸フェニルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジ(トリフルオロエチル)(トリメチルシリル)、リン酸トリフルオロエチルビス(トリメチルシリル、前述のリン酸シリルエステルのトリメチルシリル基をトリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルシリル基などで置換した化合物、リン酸エステル同士が縮合してリン原子が酸素を介して結合した、いわゆる縮合リン酸エステルの構造を有する化合物などが挙げられる。この中でもリン酸トリス(トリメチルシリル)(TMSP)を用いることが好ましい。リン酸トリス(トリメチルシリル)は、他のリン酸シリルエステル化合物と比較して、より少ない添加量で、抵抗上昇を抑制することができる。これらのリン酸シリルエステルは1種または混合して用いても良い。
リン酸トリス(トリメチルシリル)(TMSP)の含有率は、電解液の全量に対して0.1〜0.8質量%が好ましく、0.1〜0.6質量%がより好ましく、0.2〜0.4質量%が更に好ましい。
上記範囲であると、安定した薄いSEI(Solid Electrolyte Interphase:固体電解質層)によって、寿命特性を向上させることができる。
リチウムイオン二次電池の非水電解液は、一般的に、非水溶媒と支持塩とを含む。まず、非水溶媒について説明する。本発明に係るリチウムイオン二次電池の非水溶媒は、リン酸シリルエステル化合物及びビニレンカーボネートを含む。
リン酸シリルエステル化合物の具体例としては、たとえばリン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルビス( トリメチルシリル)、リン酸ジエチルトリメチルシリル、リン酸ジエチルトリメチルシリル、リン酸エチルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジプロピルトリメチルシリル、リン酸プロピルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジブチル(トリメチルシリル)、リン酸ブチルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジオクチルトリメチルシリル、リン酸オクチルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジフェニルトリメチルシリル、リン酸フェニルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジ(トリフルオロエチル)(トリメチルシリル)、リン酸トリフルオロエチルビス(トリメチルシリル、前述のリン酸シリルエステルのトリメチルシリル基をトリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルシリル基などで置換した化合物、リン酸エステル同士が縮合してリン原子が酸素を介して結合した、いわゆる縮合リン酸エステルの構造を有する化合物などが挙げられる。この中でもリン酸トリス(トリメチルシリル)(TMSP)を用いることが好ましい。リン酸トリス(トリメチルシリル)は、他のリン酸シリルエステル化合物と比較して、より少ない添加量で、抵抗上昇を抑制することができる。これらのリン酸シリルエステルは1種または混合して用いても良い。
リン酸トリス(トリメチルシリル)(TMSP)の含有率は、電解液の全量に対して0.1〜0.8質量%が好ましく、0.1〜0.6質量%がより好ましく、0.2〜0.4質量%が更に好ましい。
上記範囲であると、安定した薄いSEI(Solid Electrolyte Interphase:固体電解質層)によって、寿命特性を向上させることができる。
また、非水電解液の添加剤として、ビニレンカーボネート(VC)を含有する。VCを用いることにより、リチウムイオン二次電池の充電時に負極の表面に安定な被膜が形成される。この被膜は負極表面での非水電解液の分解を抑制する効果を有する。ビニレンカーボネートの含有率は、電解液の全量に対し0.3〜1.6質量%であることが好ましく、0.3〜1.5質量%がより好ましく、0.3〜1.3質量%が更に好ましい。ビニレンカーボネートの含有量が上記範囲であると、寿命特性を向上させることができ、リチウムイオン電池の充放電時に過剰のVCが分解されて充放電効率を低下させる作用を防ぐことができる。
次にリチウム塩(電解質)について説明する。リチウム塩としては、リチウムイオン電池用の電解液の電解質として使用可能なリチウム塩であれば特に制限はないが、以下に示す無機リチウム塩、含フッ素有機リチウム塩やオキサラトボレート塩等が挙げられる。
無機リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6等の無機フッ化物塩や、LiClO4、LiBrO4、LiIO4等の過ハロゲン酸塩や、LiAlCl4等の無機塩化物塩等が挙げられる。
含フッ素有機リチウム塩としては、LiCF3SO3等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO9)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩;LiC(CF3SO2)3等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩;Li[PF5(CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF3)2]、Li[PF3(CF2CF2CF3)3]、Li[PF5(CF2CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF2CF3)2]、Li[PF3(CF2CF2CF2CF3)3]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩等が挙げられる。
オキサラトボレート塩としては、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等が挙げられる。
これらのリチウム塩は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、溶媒に対する溶解性、二次電池とした場合の充放電特性、出力特性、サイクル特性等を総合的に判断すると、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)が好ましい。
無機リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6等の無機フッ化物塩や、LiClO4、LiBrO4、LiIO4等の過ハロゲン酸塩や、LiAlCl4等の無機塩化物塩等が挙げられる。
含フッ素有機リチウム塩としては、LiCF3SO3等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩;LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO9)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩;LiC(CF3SO2)3等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩;Li[PF5(CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF3)2]、Li[PF3(CF2CF2CF3)3]、Li[PF5(CF2CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF2CF3)2]、Li[PF3(CF2CF2CF2CF3)3]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩等が挙げられる。
オキサラトボレート塩としては、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート等が挙げられる。
これらのリチウム塩は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、溶媒に対する溶解性、二次電池とした場合の充放電特性、出力特性、サイクル特性等を総合的に判断すると、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)が好ましい。
非水系電解液中の電解質の濃度に特に制限はないが、電解質の濃度範囲は次のとおりである。濃度の下限は、0.5mol/L以上、好ましくは0.6mol/L以上、より好ましくは0.7mol/L以上である。また、濃度の上限は、2mol/L以下、好ましくは1.8mol/L以下、より好ましくは1.7mol/L以下である。濃度が低すぎると、電解液の電気伝導率が不充分となる可能性がある。また、濃度が高すぎると、粘度が上昇するため電気伝導度が低下する可能性がある。このような電気伝導度の低下により、リチウムイオン電池の性能が低下する可能性がある。
非水系溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状スルホン酸エステル及びビニレンカーボネートを含む。
環状カーボネートとしては、環状カーボネートを構成するアルキレン基の炭素数が2〜6のものが好ましく、2〜4のものがより好ましい。エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジアルキルカーボネートが好ましく、2つのアルキル基の炭素数が、それぞれ1〜5のものが好ましく、1〜4のものがより好ましい。ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート等の対称鎖状カーボネート類;エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート等の非対称鎖状カーボネート類等が挙げられる。中でも、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好ましい。ジメチルカーボネートはジエチルカーボネートよりも耐酸化性及び耐還元性に優れるためサイクル特性を向上させることができる。エチルメチルカーボネートは、分子構造が非対称であり、融点が低いため低温特性を向上させることができる。エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートを組み合わせた混合溶媒が、広い温度範囲で電池特性を確保できるため特に好ましい。
環状カーボネートとしては、環状カーボネートを構成するアルキレン基の炭素数が2〜6のものが好ましく、2〜4のものがより好ましい。エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジアルキルカーボネートが好ましく、2つのアルキル基の炭素数が、それぞれ1〜5のものが好ましく、1〜4のものがより好ましい。ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート等の対称鎖状カーボネート類;エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート等の非対称鎖状カーボネート類等が挙げられる。中でも、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好ましい。ジメチルカーボネートはジエチルカーボネートよりも耐酸化性及び耐還元性に優れるためサイクル特性を向上させることができる。エチルメチルカーボネートは、分子構造が非対称であり、融点が低いため低温特性を向上させることができる。エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートを組み合わせた混合溶媒が、広い温度範囲で電池特性を確保できるため特に好ましい。
環状カーボネート及び鎖状カーボネートの含有量は、電池特性の観点から、非水系溶媒全量を基準として、85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。
また、前記環状カーボネートと前記鎖状カーボネートの混合割合は、電池特性の観点から、環状カーボネート/鎖状カーボネート(体積比)が1/9〜6/4であることが好ましく、2/8〜5/5であることがより好ましい。
環状スルホン酸エステルとしては、1,3−プロパンスルトン、1−メチル−1,3−プロパンスルトン、3−メチル−1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブテンスルトン等が挙げられる。中でも、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンがより直流抵抗を低減できる観点から特に好ましい。
非水系電解液は、更に、鎖状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、環状スルホン等を含んでいてもよい。
前記鎖状エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。中でも、低温特性改善の観点から酢酸メチルを用いることが好ましい。
前記環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等が挙げられる。前記環状スルホンとしては、スルホラン、3−メチルスルホラン等が挙げられる。
また、前記環状カーボネートと前記鎖状カーボネートの混合割合は、電池特性の観点から、環状カーボネート/鎖状カーボネート(体積比)が1/9〜6/4であることが好ましく、2/8〜5/5であることがより好ましい。
環状スルホン酸エステルとしては、1,3−プロパンスルトン、1−メチル−1,3−プロパンスルトン、3−メチル−1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロペンスルトン、1,4−ブテンスルトン等が挙げられる。中でも、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンがより直流抵抗を低減できる観点から特に好ましい。
非水系電解液は、更に、鎖状エステル、環状エーテル、鎖状エーテル、環状スルホン等を含んでいてもよい。
前記鎖状エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル等が挙げられる。中でも、低温特性改善の観点から酢酸メチルを用いることが好ましい。
前記環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。
前記鎖状エーテルとしては、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等が挙げられる。前記環状スルホンとしては、スルホラン、3−メチルスルホラン等が挙げられる。
4.セパレータ
セパレータは、正極及び負極間を電子的には絶縁しつつもイオン透過性を有し、かつ、正極側における酸化性及び負極側における還元性に対する耐性を備えるものであれば特に制限はない。このような特性を満たすセパレータの材料(材質)としては、樹脂、無機物、ガラス繊維等が用いられる。
樹脂としては、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン等が用いられる。非水系電解液に対して安定で、保液性の優れた材料の中から選ぶのが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等を用いることが好ましい。
無機物としては、アルミナや二酸化珪素等の酸化物類、窒化アルミニウムや窒化珪素等の窒化物類などが用いられる。例えば、繊維形状又は粒子形状の上記無機物を、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状の基材に付着させたものをセパレータとして用いることができる。薄膜形状の基材としては、孔径が0.01〜1μm、厚さが5〜50μmのものが好適に用いられる。また、繊維形状又は粒子形状の上記無機物を、樹脂等の結着剤を用いて複合多孔層としたものをセパレータとして用いることができる。さらに、この複合多孔層を、正極又は負極の表面に形成し、セパレータとしてもよい。
セパレータは、正極及び負極間を電子的には絶縁しつつもイオン透過性を有し、かつ、正極側における酸化性及び負極側における還元性に対する耐性を備えるものであれば特に制限はない。このような特性を満たすセパレータの材料(材質)としては、樹脂、無機物、ガラス繊維等が用いられる。
樹脂としては、オレフィン系ポリマー、フッ素系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリイミド、ナイロン等が用いられる。非水系電解液に対して安定で、保液性の優れた材料の中から選ぶのが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布等を用いることが好ましい。
無機物としては、アルミナや二酸化珪素等の酸化物類、窒化アルミニウムや窒化珪素等の窒化物類などが用いられる。例えば、繊維形状又は粒子形状の上記無機物を、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状の基材に付着させたものをセパレータとして用いることができる。薄膜形状の基材としては、孔径が0.01〜1μm、厚さが5〜50μmのものが好適に用いられる。また、繊維形状又は粒子形状の上記無機物を、樹脂等の結着剤を用いて複合多孔層としたものをセパレータとして用いることができる。さらに、この複合多孔層を、正極又は負極の表面に形成し、セパレータとしてもよい。
5.その他の構成部材
リチウムイオン電池のその他の構成部材として、開裂弁を設けてもよい。開裂弁が開放することで、電池内部の圧力上昇を抑制でき、安全性を向上させることができる。
また、温度上昇に伴い不活性ガス(例えば、二酸化炭素など)を放出する構成部を設けてもよい。このような構成部を設けることで、電池内部の温度が上昇した場合に、不活性ガスの発生により速やかに開裂弁を開けることができ、安全性を向上させることができる。上記構成部に用いられる材料としては、炭酸リチウム、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネートが好ましい。
リチウムイオン電池のその他の構成部材として、開裂弁を設けてもよい。開裂弁が開放することで、電池内部の圧力上昇を抑制でき、安全性を向上させることができる。
また、温度上昇に伴い不活性ガス(例えば、二酸化炭素など)を放出する構成部を設けてもよい。このような構成部を設けることで、電池内部の温度が上昇した場合に、不活性ガスの発生により速やかに開裂弁を開けることができ、安全性を向上させることができる。上記構成部に用いられる材料としては、炭酸リチウム、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネートが好ましい。
負極容量とは、[負極の放電容量]を示し、正極容量とは、[正極の初回充電容量−負極又は正極のどちらか大きい方の不可逆容量]を示す。ここで、[負極の放電容量]とは、負極活物質に挿入されているリチウムイオンが脱離されるときに充放電装置で算出されるものと定義する。また、[正極の初回充電容量]とは、正極活物質からリチウムイオンが脱離されるときに充放電装置で算出されるものと定義する。
負極と正極の容量比は、例えば、「負極の放電容量/リチウムイオン電池の放電容量」からも算出することもできる。リチウムイオン電池の放電容量は、例えば、4.2V、0.1〜0.5C、終止電流0.01C(又は終止時間を2〜5時間)とする定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、0.1〜0.5Cで2.7Vまで定電流(CC)放電したときの条件で測定できる。前記負極の放電容量は、前記リチウムイオン電池の放電容量を測定した負極を所定の面積に切断し、対極としてリチウム金属を用い、電解液を含浸させたセパレータを介して単極セルを作製し、0V、0.1C、終止電流0.01Cで定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、0.1Cで1.5Vまで定電流(CC)放電したときの条件で、所定面積当たりの放電容量を測定し、これを前記リチウムイオン電池の負極として用いた総面積に換算することで算出できる。この単極セルにおいて、負極活物質にリチウムイオンが挿入される方向を充電、負極活物質に挿入されているリチウムイオンが脱離する方向を放電、と定義する。なお、Cとは“電流値(A)/電池の放電容量(Ah)”を意味する。
負極と正極の容量比は、例えば、「負極の放電容量/リチウムイオン電池の放電容量」からも算出することもできる。リチウムイオン電池の放電容量は、例えば、4.2V、0.1〜0.5C、終止電流0.01C(又は終止時間を2〜5時間)とする定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、0.1〜0.5Cで2.7Vまで定電流(CC)放電したときの条件で測定できる。前記負極の放電容量は、前記リチウムイオン電池の放電容量を測定した負極を所定の面積に切断し、対極としてリチウム金属を用い、電解液を含浸させたセパレータを介して単極セルを作製し、0V、0.1C、終止電流0.01Cで定電流定電圧(CCCV)充電を行った後、0.1Cで1.5Vまで定電流(CC)放電したときの条件で、所定面積当たりの放電容量を測定し、これを前記リチウムイオン電池の負極として用いた総面積に換算することで算出できる。この単極セルにおいて、負極活物質にリチウムイオンが挿入される方向を充電、負極活物質に挿入されているリチウムイオンが脱離する方向を放電、と定義する。なお、Cとは“電流値(A)/電池の放電容量(Ah)”を意味する。
(リチウムイオン二次電池)
次に、図面を参照して、本発明を18650タイプの円柱状リチウムイオン二次電池に適用した実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、ニッケルメッキが施されたスチール製で有底円筒状の電池容器6を有している。電池容器6には、帯状の正極板2および負極板3がセパレータ4を介して断面渦巻状に電極捲回群5が収容されている。電極捲回群5は、正極板2および負極板3がポリエチレン製多孔質シートのセパレータ4を介して断面渦巻状に捲回されている。セパレータ4は、例えば、幅が58mm、厚さが30μmに設定される。電極捲回群5の上端面には、一端部を正極板2に固定されたアルミニウム製でリボン状の正極タブ端子が導出されている。正極タブ端子の他端部は、電極捲回群5の上側に配置され正極外部端子となる円盤状の電池蓋の下面に超音波溶接で接合されている。一方、電極捲回群5の下端面には、一端部を負極板3に固定された銅製でリボン状の負極タブ端子が導出されている。負極タブ端子の他端部は、電池容器6の内底部に抵抗溶接で接合されている。従って、正極タブ端子および負極タブ端子は、それぞれ電極捲回群5の両端面の互いに反対側に導出されている。なお、電極捲回群5の外周面全周には、図示を省略した絶縁被覆が施されている。電池蓋は、絶縁性の樹脂製ガスケットを介して電池容器6の上部にカシメ固定されている。このため、リチウムイオン二次電池1の内部は密封されている。また、電池容器6内には、図示しない非水電解液が注液されている。
次に、図面を参照して、本発明を18650タイプの円柱状リチウムイオン二次電池に適用した実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、ニッケルメッキが施されたスチール製で有底円筒状の電池容器6を有している。電池容器6には、帯状の正極板2および負極板3がセパレータ4を介して断面渦巻状に電極捲回群5が収容されている。電極捲回群5は、正極板2および負極板3がポリエチレン製多孔質シートのセパレータ4を介して断面渦巻状に捲回されている。セパレータ4は、例えば、幅が58mm、厚さが30μmに設定される。電極捲回群5の上端面には、一端部を正極板2に固定されたアルミニウム製でリボン状の正極タブ端子が導出されている。正極タブ端子の他端部は、電極捲回群5の上側に配置され正極外部端子となる円盤状の電池蓋の下面に超音波溶接で接合されている。一方、電極捲回群5の下端面には、一端部を負極板3に固定された銅製でリボン状の負極タブ端子が導出されている。負極タブ端子の他端部は、電池容器6の内底部に抵抗溶接で接合されている。従って、正極タブ端子および負極タブ端子は、それぞれ電極捲回群5の両端面の互いに反対側に導出されている。なお、電極捲回群5の外周面全周には、図示を省略した絶縁被覆が施されている。電池蓋は、絶縁性の樹脂製ガスケットを介して電池容器6の上部にカシメ固定されている。このため、リチウムイオン二次電池1の内部は密封されている。また、電池容器6内には、図示しない非水電解液が注液されている。
以下、実施例に基づき本実施の形態をさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
(実施例1〜7、比較例1〜4)
[正極板の作製]
正極板の作製を以下のように行った。正極活物質として層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(NMC、BET比表面積が0.4m2/g、平均粒径(d50)が6.5μm)を用いた。この正極活物質の混合物に、導電材としてアセチレンブラック(商品名:HS−100、平均粒径48nm(電気化学工業株式会社カタログ値)、電気化学工業株式会社製)と、結着材としてポリフッ化ビニリデンとを順次添加し、混合することにより正極材料の混合物を得た。質量比は、活物質:導電材:結着材=90:5:5とした。さらに上記混合物に対し、分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、混練することによりスラリーを形成した。このスラリーを正極用の集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に実質的に均等かつ均質に塗布した。その後、乾燥処理を施し、密度2.7g/cm3までプレスにより圧密化した。正極合材の片面塗布量は120g/m2とした。
(実施例1〜7、比較例1〜4)
[正極板の作製]
正極板の作製を以下のように行った。正極活物質として層状型リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト複合酸化物(NMC、BET比表面積が0.4m2/g、平均粒径(d50)が6.5μm)を用いた。この正極活物質の混合物に、導電材としてアセチレンブラック(商品名:HS−100、平均粒径48nm(電気化学工業株式会社カタログ値)、電気化学工業株式会社製)と、結着材としてポリフッ化ビニリデンとを順次添加し、混合することにより正極材料の混合物を得た。質量比は、活物質:導電材:結着材=90:5:5とした。さらに上記混合物に対し、分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、混練することによりスラリーを形成した。このスラリーを正極用の集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に実質的に均等かつ均質に塗布した。その後、乾燥処理を施し、密度2.7g/cm3までプレスにより圧密化した。正極合材の片面塗布量は120g/m2とした。
[負極板の作製]
負極板の作製を以下のように行った。負極活物質として易黒鉛化炭素(C軸方向の面間隔d002=0.35nm、平均粒径(d50)=17μm)を用いた。この負極活物質に結着材としてポリフッ化ビニリデンを添加した。これらの質量比は、負極活物質:結着材=92:8とした。これに分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、混練することによりスラリーを形成した。このスラリーを負極用の集電体である厚さ10μmの圧延銅箔の両面に実質的に均等かつ均質に所定量塗布した。負極合材密度は1.15g/cm3とした。
負極板の作製を以下のように行った。負極活物質として易黒鉛化炭素(C軸方向の面間隔d002=0.35nm、平均粒径(d50)=17μm)を用いた。この負極活物質に結着材としてポリフッ化ビニリデンを添加した。これらの質量比は、負極活物質:結着材=92:8とした。これに分散溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加し、混練することによりスラリーを形成した。このスラリーを負極用の集電体である厚さ10μmの圧延銅箔の両面に実質的に均等かつ均質に所定量塗布した。負極合材密度は1.15g/cm3とした。
[リチウムイオン二次電池の作製]
上記正極及び負極をそれぞれ所定の大きさに裁断し、裁断した正極と負極とを、その間に厚さ30μmのポリエチレンの単層セパレータ(商品名:ハイポア、旭化成株式会社製、「ハイポア」は登録商標)を挟装して捲回し、ロール状の電極体を形成した。このとき電極体の直径は、17.15mmになるよう、正極、負極、セパレータの長さを調整した。この電極体に集電用リードを付設し、18650型電池ケースに挿入し、その後その電池ケース内に非水電解液を注入した。非水電解液には環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と、鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、それぞれの体積比2:3:2で混合した混合溶媒に、リチウム塩(電解質)としてヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を1.2mol/Lの濃度で溶解させたものを用い、表1に示すビニレンカーボネート(VC)、リン酸トリス(トリメチルシリル)(TMSP)を所定量添加した。最後に電池ケースを密封して、リチウムイオン二次電池を完成させた。
上記正極及び負極をそれぞれ所定の大きさに裁断し、裁断した正極と負極とを、その間に厚さ30μmのポリエチレンの単層セパレータ(商品名:ハイポア、旭化成株式会社製、「ハイポア」は登録商標)を挟装して捲回し、ロール状の電極体を形成した。このとき電極体の直径は、17.15mmになるよう、正極、負極、セパレータの長さを調整した。この電極体に集電用リードを付設し、18650型電池ケースに挿入し、その後その電池ケース内に非水電解液を注入した。非水電解液には環状カーボネートであるエチレンカーボネート(EC)と、鎖状カーボネートであるジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを、それぞれの体積比2:3:2で混合した混合溶媒に、リチウム塩(電解質)としてヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を1.2mol/Lの濃度で溶解させたものを用い、表1に示すビニレンカーボネート(VC)、リン酸トリス(トリメチルシリル)(TMSP)を所定量添加した。最後に電池ケースを密封して、リチウムイオン二次電池を完成させた。
[電池特性の評価]
作製した電池は、25℃の環境下において、0.5CAで4.2Vまで定電流充電し、4.2Vに到達した時からその電圧で電流値が0.01CAになるまで定電圧充電した。その後、0.5CAの定電流放電で、2.7Vまで放電した。また、充放電間には15分の休止を入れた。これを3サイクル実施した。この状態を初期状態とした。
作製した電池は、25℃の環境下において、0.5CAで4.2Vまで定電流充電し、4.2Vに到達した時からその電圧で電流値が0.01CAになるまで定電圧充電した。その後、0.5CAの定電流放電で、2.7Vまで放電した。また、充放電間には15分の休止を入れた。これを3サイクル実施した。この状態を初期状態とした。
[初期不可逆容量の測定]
得られた各電池について、充放電装置を用いて、以下の条件で充放電試験を行った。
充電:定電流定電圧充電、電流値0.5CA、電圧4.2V、終止電流0.01CA、休止時間15分
放電:電流値 0.5CA、終止電圧2.7V
この後、上記充放電試験における1サイクル目の不可逆容量率を次式により求めた。
初期不可逆容量(mAh)=初回充電容量(mAh)−初回放電容量(mAh)
得られた各電池について、充放電装置を用いて、以下の条件で充放電試験を行った。
充電:定電流定電圧充電、電流値0.5CA、電圧4.2V、終止電流0.01CA、休止時間15分
放電:電流値 0.5CA、終止電圧2.7V
この後、上記充放電試験における1サイクル目の不可逆容量率を次式により求めた。
初期不可逆容量(mAh)=初回充電容量(mAh)−初回放電容量(mAh)
[初期抵抗及び抵抗上昇率の測定]
初期抵抗は、まず環境温度25℃に設定した恒温槽内に電池内部の温度と環境温度が同等になるように静置した後、電流値0.5CAで4.2Vまで定電流充電し、4.2Vに到達した時からその電圧で電流値が0.01CAになるまで定電圧充電を行い、満充電とした電池を、0.5CA(2.7V)まで放電した。同様に、満充電とした電池を、1CA、3CA、5CAで放電を行った。各放電時の放電開始直後の10秒間の電圧変化量を縦軸、そのときの放電電流値を横軸としてプロットし、原点を通る直線の傾きを初期抵抗とした。そして、初期抵抗に対する300サイクル試験後の抵抗の比率を抵抗上昇率とした。
抵抗上昇率(%)=300サイクル後の抵抗(mΩ)/初期抵抗(mΩ)サイクル試験は、上記の電池について、25℃環境下において電流値1CAで4.2Vまで定電流充電し、4.2Vに到達した時から定電圧で電流値が0.1CAになるまで定電圧充電を行い満充電とした後で、2.7Vまで放電させることを300回繰り返した。また、充放電の間には30分の休止を入れた。
初期抵抗は、まず環境温度25℃に設定した恒温槽内に電池内部の温度と環境温度が同等になるように静置した後、電流値0.5CAで4.2Vまで定電流充電し、4.2Vに到達した時からその電圧で電流値が0.01CAになるまで定電圧充電を行い、満充電とした電池を、0.5CA(2.7V)まで放電した。同様に、満充電とした電池を、1CA、3CA、5CAで放電を行った。各放電時の放電開始直後の10秒間の電圧変化量を縦軸、そのときの放電電流値を横軸としてプロットし、原点を通る直線の傾きを初期抵抗とした。そして、初期抵抗に対する300サイクル試験後の抵抗の比率を抵抗上昇率とした。
抵抗上昇率(%)=300サイクル後の抵抗(mΩ)/初期抵抗(mΩ)サイクル試験は、上記の電池について、25℃環境下において電流値1CAで4.2Vまで定電流充電し、4.2Vに到達した時から定電圧で電流値が0.1CAになるまで定電圧充電を行い満充電とした後で、2.7Vまで放電させることを300回繰り返した。また、充放電の間には30分の休止を入れた。
(比較例5)
負極板の作製において、負極活物質を易黒鉛化炭素から難黒鉛化炭素にした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
負極板の作製において、負極活物質を易黒鉛化炭素から難黒鉛化炭素にした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表1に示す。
(実施例8〜実施例14、比較例6)
負極板の作製において、負極活物質として易黒鉛化炭素(C軸方向の面間隔d002=0.35nm、平均粒径(d50)=17μm)と、黒鉛(d002=0.337nm、平均粒径(d50)=18μm)を混合比(易黒鉛化炭素/黒鉛)7:3で混合した以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
負極板の作製において、負極活物質として易黒鉛化炭素(C軸方向の面間隔d002=0.35nm、平均粒径(d50)=17μm)と、黒鉛(d002=0.337nm、平均粒径(d50)=18μm)を混合比(易黒鉛化炭素/黒鉛)7:3で混合した以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
(比較例7、8)
負極板の作製において、負極活物質を易黒鉛化炭素から黒鉛にした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
負極板の作製において、負極活物質を易黒鉛化炭素から黒鉛にした以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
実施例1〜7に示したように、負極活物質として易黒鉛化炭素を用い、ビニレンカーボネート(VC)及びリン酸トリス(トリメチルシリル)(TMSP)を上記範囲とすると、TMSPが負極表面に薄いSEIを形成し、VCがSEIを安定化することによって、抵抗上昇率を抑制することができる。VCを含まない比較例1は、SEIが安定化しにくくなるため、抵抗上昇率が増加した。比較例2は、VCを含むものの、0.3質量%未満であるため、比較例1と同様安定したSEIが形成されず、抵抗上昇率が増加したと考えられる。TMSPを含まない比較例3は、VCによって負極表面にSEIが形成されているものの、SEIの被膜が剥がれやすく、抵抗上昇率が増加したとみられる。
VCを2質量%含む比較例4は、充放電時のVCの分解量が増加したことによって、初期抵抗及び初期不可逆容量が高くなったと考えられる。
また、比較例5に示すように負極活物質として難黒鉛化炭素を用いると、電解液と負極活物質との界面の反応が増加し、初期不可逆容量が増加した。活物質表面が微細孔であり比表面積が増加するためだと推測される。
VCを2質量%含む比較例4は、充放電時のVCの分解量が増加したことによって、初期抵抗及び初期不可逆容量が高くなったと考えられる。
また、比較例5に示すように負極活物質として難黒鉛化炭素を用いると、電解液と負極活物質との界面の反応が増加し、初期不可逆容量が増加した。活物質表面が微細孔であり比表面積が増加するためだと推測される。
負極活物質として易黒鉛化炭素及び黒鉛を併用した場合でも、ビニレンカーボネートが電解液の全量に対し0.3〜1.6質量%含み、リン酸トリス(トリメチルシリル)は、電解液の全量に対して0.1〜0.5質量%含むことで、抵抗上昇率を抑制しつつ、初期不可逆容量も低く抑えることができることがわかった。しかしながら、比較例6に示すようにVCが1.6質量%を超えると、充放電時のVCの分解量が増加したことによって、初期抵抗及び初期不可逆容量が高くなったと考えられる。
比較例7、8に示すように、負極活物質として黒鉛のみを用いると初期不可逆容量は低下するものの、抵抗上昇率が増加する傾向にあることがわかった。
比較例7、8に示すように、負極活物質として黒鉛のみを用いると初期不可逆容量は低下するものの、抵抗上昇率が増加する傾向にあることがわかった。
すなわち、正極、負極およびセパレータと、電解液と、を電池容器内に備えるリチウムイオン二次電池であって、前記電解液にビニレンカーボネート(VC)及びリン酸トリス(トリメチルシリル)(TMSP)を含み、負極活物質として易黒鉛化炭素を含むときに、抵抗上昇率及び初期不可逆容量の増加を抑制し、寿命特性に優れたリチウムイオン電池を提供することができる。
1…リチウムイオン二次電池、2…正極板、3…負極板、4…セパレータ、5…電極捲回群、6…電池容器
Claims (4)
- 正極、負極およびセパレータと、電解液と、を電池容器内に備えるリチウムイオン二次電池であって、前記電解液にビニレンカーボネートおよびリン酸トリス(トリメチルシリル)を含み、負極活物質として易黒鉛化炭素を含み、前記ビニレンカーボネートは、電解液の全量に対し0.3〜1.6質量%含み、前記リン酸トリス(トリメチルシリル)は、電解液の全量に対して0.1〜0.5質量%含むリチウムイオン二次電池。
- 前記負極に黒鉛を含む請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記電解液は非水溶媒として鎖状カーボネートおよび環状カーボネートを含む請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
- 前記環状カーボネートはエチレンカーボネートであり、前記鎖状カーボネートとして少なくともジメチルカーボネート又はエチルメチルカーボネートのいずれかを含む請求項3に記載のリチウムイオン二次電池。
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JP2019179611A (ja) * | 2018-03-30 | 2019-10-17 | 三井化学株式会社 | 電池用非水電解液及びリチウム二次電池 |
CN113937361A (zh) * | 2021-11-16 | 2022-01-14 | 远景动力技术(江苏)有限公司 | 储能电芯长循环非水电解液的制备方法和应用 |
CN114597496A (zh) * | 2022-03-24 | 2022-06-07 | 湖北亿纬动力有限公司 | 一种电解液及含有其的锂离子电池 |
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2016
- 2016-04-27 JP JP2016089219A patent/JP2017199547A/ja active Pending
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