JP2017188700A - 面発光量子カスケードレーザ - Google Patents
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Abstract
【課題】赤外線からテラヘルツ波の波長帯において、高出力化が容易な面発光量子カスケードレーザを提供する。【解決手段】面発光量子カスケードレーザは、活性層と、第1の半導体層と、第1の電極と、を有する。前記活性層は、複数の量子井戸層が積層され、サブバンド間遷移によりレーザ光を放出する。前記第1の半導体層は、前記活性層の上に設けられ、複数のピットが二次元の格子を構成するように設けられた第1の面を有する。前記第1の電極は、前記第1の半導体層の上に設けられ、周期的な開口部を有する。それぞれのピットは、前記格子の辺に平行な線に関して非対称である。前記レーザ光は、前記開口部に露出したピットから前記活性層に対して概ね垂直方向に出射される。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、面発光量子カスケードレーザに関する。
近赤外線からテラヘルツ波におけるレーザ発振は、ホールと電子との再結合発光では困難となる。
多重量子井戸構造をカスケード接続する構造を用いると、電子のサブバンド間遷移により赤外線からテラヘルツ波(30GHz−30THz)におけるレーザ発振が可能となる。
この場合、素子端面に形成されたミラーを用いるファブリペローレーザでは、端面出射面の厚さが小さくなり光密度が高くなる。このため、高出力化に限界がある。
赤外線からテラヘルツ波の波長帯において、高出力化が容易な面発光量子カスケードレーザを提供する。
実施形態の面発光量子カスケードレーザは、活性層と、第1の半導体層と、第1の電極と、を有する。前記活性層は、複数の量子井戸層が積層され、サブバンド間遷移によりレーザ光を放出する。前記第1の半導体層は、前記活性層の上に設けられ、複数のピットが二次元の格子を構成するように設けられた第1の面を有する。前記第1の電極は、前記第1の半導体層の上に設けられ、周期的な開口部を有する。それぞれのピットは、前記格子の辺に平行な線に関して非対称である。前記レーザ光は、前記開口部に露出したピットから前記活性層に対して概ね垂直方向に出射される。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる面発光量子カスケードレーザの部分模式斜視図である。
面発光量子カスケードレーザ5は、積層体20と、第1の電極50と、有する。積層体20は、活性層24と、第1の半導体層21と、を有する。なお、以下において、量子カスケードレーザは、QCL(Quantum Cascade laser)で表す。
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる面発光量子カスケードレーザの部分模式斜視図である。
面発光量子カスケードレーザ5は、積層体20と、第1の電極50と、有する。積層体20は、活性層24と、第1の半導体層21と、を有する。なお、以下において、量子カスケードレーザは、QCL(Quantum Cascade laser)で表す。
第1の半導体層21は、たとえば、第1クラッド層27と、第1ガイド層25と、を有する。また、積層体20は、第2ガイド層23と、第2クラッド層22と、をさらに有してもよい。第1クラッド層27の屈折率と、第2クラッド層22の屈折率と、は、第1ガイド層25、活性層24、および第2ガイド層23の屈折率のいずれよりも低い。このため、レーザ光60は、積層方向(Z)に沿って活性層24内に閉じ込められる。
活性層24は、井戸層と障壁層とを含む量子井戸層からなるサブバンド間遷移発光領域と、緩和領域と、が交互に積層された構成とされる。量子井戸は、たとえば、SiがドープされIn0.669Ga0.331Asからなる井戸層と、SiがドープされIn0.362Al0.638Asからなる障壁層と、を含む。量子井戸層は、さらに少なくとも2つの井戸層と複数の障壁層とが交互に積層された多重量子井戸(MQW:Multi−Quantum Well)構造であることがより好ましい。また、緩和領域も、量子井戸層を含むことができる。
第1の半導体層21は、活性層24の上に設けられる。その第1の面20aに開口端を有する複数のピット101が二次元格子状に設けられ、周期構造PC(フォトニック結晶)として作用する。たとえば、ピット101は、積層体20の第1の面20aから深さ方向に向かって円柱状の領域が切り出された形状とされる。レーザ光60は、周期構造PCによりモードが選択され、さらに回折効果により、第1の面20aに略垂直な光軸62に沿って、第1の面20a(光出射面となる)から放出される。なお、切り出される領域は、円錐や円錐台でもよい。
また、積層体20は、第1のコンタクト層28と、バッファ層26とをさらに有することができる。たとえば、第1のコンタクト層28は、第1の電極50に電気的に接続される。バッファ層26は、基板10の裏面に設けられる第2の電極52に電気的に接続される。
図2は、第1の実施形態にかかるQCLの部分拡大模式上面図である。
また、図3は、第1の電極のストライプ部の配置を表す部分模式上面図である。
周期構造PC(Photonic Crystal:フォトニック結晶)を構成する正方格子は、XY面内において2つの直交する辺D、Eの交点を格子点Gとし、その格子間隔をMとする。格子点Gは、たとえば、ピット101の平面形状の重心などと考えることができる。それぞれのピット101は、正方格子の2つの辺D、Eのうちの1辺に関してそれぞれ非線対称とされる。なお、格子は正方格子でなく、2辺が直交する格子でもよい。
また、図3は、第1の電極のストライプ部の配置を表す部分模式上面図である。
周期構造PC(Photonic Crystal:フォトニック結晶)を構成する正方格子は、XY面内において2つの直交する辺D、Eの交点を格子点Gとし、その格子間隔をMとする。格子点Gは、たとえば、ピット101の平面形状の重心などと考えることができる。それぞれのピット101は、正方格子の2つの辺D、Eのうちの1辺に関してそれぞれ非線対称とされる。なお、格子は正方格子でなく、2辺が直交する格子でもよい。
第1の電極50と基板10の裏面に設けられた第2の電極52との間で積層方向Zに沿って電流を流すと、第1のクラッド層27と第2のクラッド層22との間に光が閉じ込められるとともに、周期構造PCにより誘導放出の波長が選択されかつ光の回折を生じる。周期構造PCは、特定波長を通過させるバンド構造として作用するので、第1の半導体層21をフォトニック結晶と呼ぶことができる。
この場合、ピット101は正方格子の2辺D、Eに関して非線対称であると、光学異方性を生じる。ピット101の形状、配置、深さなどを適正に選択することにより、第1の面20aに直交する光軸62に沿ってレーザ光60を放出できる。もし、ピット101が正方格子の2辺D、Eに関して線対称であると、レーザ光は第1の面20aに直交する光軸62に交差する方向に出射される。
第1の電極50は、第1の半導体層21の上に設けられ、枠部50a、50bと、両端部が枠部50a、50bに連結された複数のストライプ部50cと、を有する。複数のストライプ部50cは、幅L1を有しかつ枠部50aに対して斜め(交差角α)に交差し、枠部50bに対して斜め(交差角β)にそれぞれ交差する。複数のストライプ部50cは、ピッチL2を有する。複数のストライプ部50cのそれぞれの幅L1は、同一であることが好ましい。また、複数のストライプ部50c間のピッチL2は、同一であることが好ましい。本図では、α=β=45°とするが、本発明ではこれに限定されない。レーザ光60は、第1の電極50の開口部50dから出射する。第1の電極50の周期的な開口部50dは、格子の辺D、Eに平行な線に関して非対称である。
第1の実施形態のQCLでは、領域P1、P2、P3は円柱がそれぞれ切り出された形状とされ、3つの円柱の中心Oが直角三角形をなすように配置される。QCLは、活性層24と第1クラッド層27と第1クラッド層22とを有する積層部20の積層方向(Z)と直交する方向に光を回折するピット101が設けられ活性層24で生ずる光に対して光を回折する機能を具備する。
このQCLに電流を流すと、第1クラッド層27と第2クラッド層22により導波構造が構成され、活性層24に光が閉じ込められ、周期的に設けられたピット101により、誘導放出の波長選択が生じるとともに干渉が生じる。この際、発振の方向と交差する方向に光を取り出せるように周期的なピット101が設けられているので、活性層24で発光した光をピット101を介して外部に取り出すことにより、光軸62に沿った方向にレーザ光60を出射することが可能となる。光軸62は、活性層24に対して概ね垂直方向となる。なお、本明細書において、概ね垂直方向とは、活性層25の表面に対して、81度以上、99度以下であるものとする。
ピット101は円柱形とされ、中心Oが直角三角形をなすように配置された3つを一組として、その形状が正方格子に配置される。この配置により面内において導波された光は、面とは垂直な方向に放射される。
QCLは偏光方向が活性層24の表面と平行なTM(Transverse Magnetic)偏光であり、pn接合面発光レーザのように活性層を表面と裏面で挟むように共振器ミラーでは偏光と光の進行方向が一致するために誘導放出は生じない。すなわち、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:面発光型レーザ)の実現が不可能であった。
これに対して、第1の実施形態にかかるQCLは、誘導放出光の進行方向は活性層24の表面と平行な方向であるので、誘導放出光が共振かつ増幅することが可能である。さらに、周期的にかつ周期構造に異方性を持った構造の場合、誘導放出光を活性層24の表面とは概ね垂直方向に取り出すことが可能となる。つまり、これまでQCLでのみ実現可能である中赤外領域よりも長い波長領域で、面発光型のレーザを実現可能となる。
面発光型レーザは、端面発光レーザのようなへき開による共振器の形成が必要なく、へき開による歩留まりの低下を防ぐことができる。さらに端面発光レーザはへき開によって始めて共振器が形成されるため、検査をへき開後に行う必要があり、ウェーハのまま、オートプローバ等で検査ができるLED等に比べ、検査のコストがかかる。これに対して第1の実施形態にかかるQCLは、ウェーハ状態でオートプローバによる評価が可能であり、検査コストや歩留まりの面で、コストを下げる大きな効果が期待でき、これまで高価であったQCLの低価格化、量産化が容易になる。
さらにまた、通常半導体レーザでは電極を発光層の上下に形成する必要があり、面発光型の場合には、光の出射方向に電極があるために光の取り出しを阻害することとなる。第1の実施形態では、ピット101が存在しない領域に電極を波長以下の幅で配置し、電流注入とレーザ光の取り出しを両立できる。図3に表すように、第1の電極50は3つの円柱を配置した正方格子とは、たとえば、略45度の角度をなすストライプ部50cを有する。このように電極を配置することにより、正方格子で配置された3つの円柱を45度方向に1列形成しない領域を設けて、最大の幅を持つ電極を形成することができる。このため広いコンタクト面積を確保することができ、金属と半導体との界面の接触抵抗が低減され、QCLの動作電圧が低減される。なお、本明細書において、正方格子に対して略45度をなすとは、正方格子の1つの辺に対して角度が40度以上、かつ50度以下であるものとする。
図4は、素子の電極配置を示す模式平面図である。
ストライプ部50cを斜めに設ける領域は、図1〜図3に限定されない。図3とは異なり、4組の繰り返しのうち1組を、電極を形成する領域としてもよい。この電極を形成する領域は、3つの円柱を1組とし2組に1組を電極を形成する領域とすることも可能である。
ストライプ部50cを斜めに設ける領域は、図1〜図3に限定されない。図3とは異なり、4組の繰り返しのうち1組を、電極を形成する領域としてもよい。この電極を形成する領域は、3つの円柱を1組とし2組に1組を電極を形成する領域とすることも可能である。
図5は、電極ストライプ部の1周期内のピット数に対する電流注入の均一度、および相対光取り出し効率のグラフ図である。
横軸は電極ストライプ部の1周期内のピット数、縦軸は電流注入の均一度、および相対光取り出し効率、を表す。電流注入の均一度は、電極50のストライプ部50cが1次元周期構造を有する場合、ストライプ部50cに直交する方向に沿った1周期内に2つのピットが含まれる場合を100として規格化した。また、相対光取り出し効率は、電極50のストライプ部50cが1次元周期構造を有する場合、ストライプ部50cに直交する方向に沿った1周期内に50のピットが含まれる場合を100として規格化した。
横軸は電極ストライプ部の1周期内のピット数、縦軸は電流注入の均一度、および相対光取り出し効率、を表す。電流注入の均一度は、電極50のストライプ部50cが1次元周期構造を有する場合、ストライプ部50cに直交する方向に沿った1周期内に2つのピットが含まれる場合を100として規格化した。また、相対光取り出し効率は、電極50のストライプ部50cが1次元周期構造を有する場合、ストライプ部50cに直交する方向に沿った1周期内に50のピットが含まれる場合を100として規格化した。
ストライプ部50cに直交する方向に沿った1周期内のピット101の数が増加するに従って、電流注入の均一度が低下するが相対光取り出し効率が増加する。すなわち、1周期内のピット101の数を5以上かつ20以下とすることにより、電流注入の均一度とレーザ光の取り出し効率とが両立できる。このように、第1の電極50の開口面積と電流注入の効率の関係、および第1の電極50の周期構造が光取り出し時の回折効果に影響を与える関係より最適解が求まる。
図6は、第1の実施形態にかかる面発光QCLの製造方法のフロー図である。
n形InPからなる基板10を結晶成長装置の中に配置して、この基板10上にMBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いた結晶成長により、Siがドープされn形InGaAsからなるバッファ層26、Siがドープされたn形InPからなる第2クラッド層22、アンドープInGaAsからなる第2ガイド層23、In0.669Ga0.331Asからなる井戸層およびIn0.362Al0.638Asからなる障壁層とを含む多重量子井戸からなる活性層24、アンドープInGaAs第1ガイド層25、Siがドープされたn形InPからなる第1クラッド層27、Siがドープされたn形InGaAsからなる第1コンタクト層28をこの順に結晶成長する(S100)。
n形InPからなる基板10を結晶成長装置の中に配置して、この基板10上にMBE(Molecular Beam Epitaxy)法などを用いた結晶成長により、Siがドープされn形InGaAsからなるバッファ層26、Siがドープされたn形InPからなる第2クラッド層22、アンドープInGaAsからなる第2ガイド層23、In0.669Ga0.331Asからなる井戸層およびIn0.362Al0.638Asからなる障壁層とを含む多重量子井戸からなる活性層24、アンドープInGaAs第1ガイド層25、Siがドープされたn形InPからなる第1クラッド層27、Siがドープされたn形InGaAsからなる第1コンタクト層28をこの順に結晶成長する(S100)。
なお、活性層24は厚さの異なる量子井戸層の組み合わせにより量子準位が動作時に重なるように設計する。たとえば、20層の量子井戸の組み合わせを1組として、これを40組重ねた積層構造とすることができる。
次に、結晶成長を行った基板10を結晶成長装置から取り出し、第1コンタクト層28上にSiO2などの絶縁膜40を形成する(S102)。絶縁膜40の表面に第1電極形成用のレジストパターンを形成する。第1の電極50は、フォトレジストパターンが設けられない領域に形成される。絶縁膜40がSiO2の場合、フッ化アンモニウム液などによりエッチング除去される。この状態で電子ビーム蒸着装置にウェーハを導入し、電極金属Ti/Alを蒸着する。蒸着装置よりウェーハを取り出し、フォトレジストを除去液で除去すると、スペーサリフトオフにより第1の電極50が形成される(S104)。
次に、再度絶縁膜(図示せず)を積層する(S106)。その後フォトレジストを塗布し、3つの円を配置した正方格子のパターンを形成し、このフォトレジストパターンを用いて絶縁膜をウェットエッチングでパターニングする。絶縁膜に3つの円からなる開口部を形成する(S108)。
フォトレジストを除去したのち、絶縁膜をマスクとしてドライエッチングにより第1クラッド層27の中間部まで到達するピット101を形成する(S110)。さらに積層体20の表面を10nm程度ウェットエッチングで除去し、ドライエッチングによるダメージ層を除去する(S112)。
再度絶縁膜を積層し、積層体20が露出している部分を覆う(S114)。フォトレジストを塗布して、ボンディングパッド(図示せず)を形成する部分のみ開口したパターンを作成し、その部分の絶縁膜のみを除去して、この状態で電子ビーム蒸着装置にウェーハを導入し、電極金属Ti/Pt/Auを蒸着する。蒸着装置よりウェーハを取り出し、フォトレジストを除去すると、電極金属が電極形成領域に残り、ボンディングパッドを形成できる(S116)。以上により、ウェーハステップが終了する。
次に、それぞれの素子をプローバなどを用いて電流を通電し、検査を行うことが出来る。製品に近い状態で検査が可能である。次に基板10の裏面を研磨(S120)により100μm程度に薄層化したのち、電子ビーム蒸着装置にウェーハを導入し、電極金属Ti/Pt/Auを蒸着する(S122)。なお、裏面電極形成ステップ(S122)ののち、基板10の裏面側を金属に接触させることで検査を行ってもよい(S124)。
次に基板側とは反対の表面よりダイシングのためのスクライブを行う。各素子の大きさになるようスクライブを行い、ブレーキングマシーンで素子を分割する。スクライブの際に伸縮性のある粘着シートに貼り付けており、ブレーキングの後シートを伸ばして素子と素子の間を広げ、素子のピックアップ性を向上させる。最終的にこの状態でプローバで全数検査を行う。この前に行っているいくつかの検査はこの工程で行ってもよい。素子を粘着シートから取り出し、CuWなどのヒートシンクに実装する。実装は、検査ステップでのデータを用いて選別して行うことで、歩留まりの良い生産が可能となる。実装する際の接合はAuSnでもよい。熱伝導の良いAgがより好ましい。工程数も少なく、検査に要する時間も少なくすることができる。
ヒートシンクに実装した素子を測定したところ4.355μmの波長で100mWの出力が得られ、モードは単一モードであった。他方、端面発光型では、高出力を得るために高電流注入を行うとモードが単一でなく、QCLから照射されたレーザ光は複数のピークを持つために、高出力を得ることが困難であった。
図7は、第2の実施形態にかかる面発光量子カスケードレーザの部分拡大模式斜視図である。
また、図8は、図7のA−A線に沿って切断した模式斜視図である。第2の実施形態の面発光量子カスケードレーザは、第1の実施形態の積層体20と同一の組成であるものとする。
また、図8は、図7のA−A線に沿って切断した模式斜視図である。第2の実施形態の面発光量子カスケードレーザは、第1の実施形態の積層体20と同一の組成であるものとする。
ピット101は、積層体20の第1の面20aの側から下方に向かって三角錘や三角錐台が切り出されて形状となる。図7において、ピット101の開口端は直角三角形で表される。直角を挟む2つの辺は枠部50a、50bの2つの辺にそれぞれ平行であり、斜辺は、第1電極50のストライプ部50cに平行である。
次に、本実施形態の半導体発光素子の製造方法について説明する。
図6に表した絶縁膜形成ステップ(S106)までのステップは、第1の実施形態と共通とする。絶縁膜形成ステップ(S106)ののち、直角三角形のレジストパターンを形成し、SiO2などの絶縁膜40をウェットエッチングし、絶縁膜40に開口部(図示せず)を形成する。
図6に表した絶縁膜形成ステップ(S106)までのステップは、第1の実施形態と共通とする。絶縁膜形成ステップ(S106)ののち、直角三角形のレジストパターンを形成し、SiO2などの絶縁膜40をウェットエッチングし、絶縁膜40に開口部(図示せず)を形成する。
フォトレジストを除去後、絶縁膜40をマスクとして第1クラッド層27の中間までウェットエッチングを行い三角錐が切り出された領域であるピット101を形成する。図6に表すステップ114以降は、第1の実施形態と略同様である。
図9は、第3の実施形態にかかる面発光量子カスケードレーザの部分模式斜視図である。
ピット101は三角柱が切り出された形状となり、正方格子状に配置される。この配置により第1の面20aに沿って導波された光は、第1の面20aとは垂直な光軸62の方向に放射される。
ピット101は三角柱が切り出された形状となり、正方格子状に配置される。この配置により第1の面20aに沿って導波された光は、第1の面20aとは垂直な光軸62の方向に放射される。
図10(a)はピット形成後の図9のBーB線に沿った模式断面図、図10(b)は電極形成後のB−B線に沿った模式断面図、である。
図6に表す表面ウェットエッチングプロセス(S112)により、図10(a)に表すように、ピット101が形成される。CVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いてピット101内をSiO2のような絶縁膜42で充填する。このあと、絶縁膜42の厚さがピットの深さと同一になるように、ドライエッチングを行う。
図6に表す表面ウェットエッチングプロセス(S112)により、図10(a)に表すように、ピット101が形成される。CVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いてピット101内をSiO2のような絶縁膜42で充填する。このあと、絶縁膜42の厚さがピットの深さと同一になるように、ドライエッチングを行う。
さらに、図10(b)に表すように、絶縁膜42の表面と第1の面20aの表面20aとで構成される略平坦な面を覆うようにAuを含む金属を蒸着し、第1の電極70とする。なお、外周部には、Ti/Auを設けると、Auのみの場合よりも密着性が良くなる。また、たとえば、窒素雰囲気中でシンタリングを行うとAuとInGaAsとが合金化するので密着性はさらに増す。
図11(a)は第3の実施形態にかかるQCL素子の模式下面図、図11(b)は基板側からみたQCL素子の模式斜視図、である。
図10に表すステップののち、基板10を研磨により100μm程度に薄層化し、フォトレジストを塗布し、両面マスクアライナーでQCLの表面に合わせてパターニング露光を行う。電子ビーム蒸着装置にウェーハを導入したのち、電極金属Ti/Pt/Auを蒸着し、光の取り出しを妨げないよう外周部に第2の電極52を形成する。
図10に表すステップののち、基板10を研磨により100μm程度に薄層化し、フォトレジストを塗布し、両面マスクアライナーでQCLの表面に合わせてパターニング露光を行う。電子ビーム蒸着装置にウェーハを導入したのち、電極金属Ti/Pt/Auを蒸着し、光の取り出しを妨げないよう外周部に第2の電極52を形成する。
次に基板とは反対の側の表面よりダイシングのためのスクライブを行う。各素子の所定のサイズになるようスクライブを行い、ブレーキングマシーンで素子を分割して行く。スクライブの際に伸縮性のある粘着シートに貼り付けており、ブレーキングの後シートを伸ばして素子と素子の間を広げ、素子のピックアップ性を向上させる。最終的にこの状態でプローバで全数検査を行う。
図12(a)、(b)は、QCL素子の組み立て工程を説明する模式断面図である。
QCL素子を粘着シートから取り出し、基板10と反対側の表面の第1の電極70と、CuWなどのヒートシンク72の上の導電部74と、を向かい合わせて(図12(a))、接合する(図12(b))。第3の実施形態は、第1の電極70により光が反射され、基板10の側から光を取り出す構造となる。接合はAuSnでもよいが、熱伝導の良いAuナノ粒子ペーストがより好ましい。
QCL素子を粘着シートから取り出し、基板10と反対側の表面の第1の電極70と、CuWなどのヒートシンク72の上の導電部74と、を向かい合わせて(図12(a))、接合する(図12(b))。第3の実施形態は、第1の電極70により光が反射され、基板10の側から光を取り出す構造となる。接合はAuSnでもよいが、熱伝導の良いAuナノ粒子ペーストがより好ましい。
図13は、第4の実施形態にかかる量子カスケードレーザを部分切断した模式斜視図である。
また、図14は、図13のC−C線に沿った模式断面図である。
ピット101は3つの所定領域P1、P2、P3が切り出された円柱状であり、図13に表すように円の中心が直角三角形を構成する3つの領域を一組として、正方格子に配置される。この配置により面内において導波された光は活性層24の表面に垂直な方向に放射される。
また、図14は、図13のC−C線に沿った模式断面図である。
ピット101は3つの所定領域P1、P2、P3が切り出された円柱状であり、図13に表すように円の中心が直角三角形を構成する3つの領域を一組として、正方格子に配置される。この配置により面内において導波された光は活性層24の表面に垂直な方向に放射される。
次に、第4の実施形態のQCLの製造方法について説明する。まず、n形InPからなる基板(図示せず)を結晶成長装置の中に配置して、基板上にMBE法を用いて、Siがドープされn形InGaAsからなるバッファ層26、第2クラッド層22、第2光ガイド層23、活性層24、第1光ガイド層25、第1クラッド層27、Siがドープされn形InGaAsからなる第1コンタクト層28をこの順に結晶成長する。
次に、ウェーハを結晶成長装置から取り出し、第1コンタクト層28上にTi/Pt/Au層からなる電極60を形成する。さらにInPからなる他の基板80を用意して表面にTi/Pt/Au層61を形成する。この2枚のウェーハのTi/Pt/Auを、真空中で結晶方位を合わせて重ね合わせ、加熱することにより、ウェーハ接合を行う。この接合はAu−Au接合と呼ばれ、接合金属層62によりウェーハが接合されている。
次に接合されたウェーハの表面側を研磨により10μm程度まで薄くしてその後塩酸で除去する。InGaAsは塩酸ではエッチングされないためバッファ層26でエッチングがストップする。このウェーハを電子ビーム蒸着機に導入し、Ti/Auを蒸着する。電子ビーム蒸着機から取り出し、フォトレジストによりパターニングを行う。パターンは円形で円の中心が直角三角形の配置を持つ3つを一組として、その形状を正方格子に配置する。
次に、パターニングしたウェーハをドライエッチング装置に導入し、Ti/Auをエッチングしピット101を形成する。なお、第1の電極54に設けられたピットにより露出した積層体20にドライエッチングなどでさらにピットを設けることができる。ドライエッチング装置より取り出し、次に基板80を研磨により100μm程度に薄膜化したのち、電子ビーム蒸着装置にウェーハを導入し、電極金属Ti/Pt/Auを蒸着し、第2の電極56を形成する。
図15(a)は、第4の実施形態の第1変形例にかかるQCLの部分模式上面図、図15(b)は第4の実施形態の第2変形例にかかるQCLの部分模式上面図、である。
ピット101は、平面視において、三角形(図15(a))や菱形(図15(b))、平行四辺形などでもよい。
ピット101は、平面視において、三角形(図15(a))や菱形(図15(b))、平行四辺形などでもよい。
第1の電極50と第1の半導体層20との界面は、プラズモン導波路であってもよい。たとえば、レーザ光がテラヘルツ波であるものとすると、第1の電極50と第1の半導体層20との界面を、表面プラズモン導波路とすることができる。このため、第1の電極50の誘電率の実部がマイナスとなり、屈折率を虚数にできる。この場合、レーザ光は第1の電極50に侵入しないので、クラッド層を設けなくてもレーザ光を閉じ込めることができる。
第1〜第4の実施形態およびそれに付随する変形例によれば、赤外線からテラヘルツ波の波長帯において、高出力化が容易な面発光量子カスケードレーザが提供される。これらの面発光カスケードレーザは、レーザ加工、環境測定、呼気分析などに広く利用できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
5 面発光量子カスケードレーザ、20a 第1の面、21 第1の半導体層、24 活性層、40、42 絶縁膜、50、70 第1の電極、50a、50b 枠部、50c ストライプ部、50d 開口部、60 レーザ光、101 ピット、L2 (ストライプ部の)ピッチ、D 正方格子の1辺、E 正方格子の1辺
Claims (20)
- 複数の量子井戸層が積層され、サブバンド間遷移によりレーザ光を放出可能な活性層と、
前記活性層の上に設けられ、複数のピットが二次元の格子を構成するように設けられた第1の面を有する第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の上に設けられ、周期的な開口部を有する第1の電極と、
を備え、
それぞれのピットは、前記格子の辺に平行な線に関して非対称であり、
前記レーザ光は、前記開口部に露出したピットから前記活性層に対して概ね垂直方向に出射される、面発光量子カスケードレーザ。 - 前記二次元格子は、前記第1の半導体層のうちの所定領域を前記第1の面から深さ方向に向かって切り出された形状からなるピットにより構成された、請求項1記載の面発光量子カスケードレーザ。
- 前記所定領域は、複数の円柱または複数の円錐を含む請求項2記載の面発光量子カスケードレーザ。
- 前記所定領域は、m(mは3以上の整数)角柱またはn角錐(nは3以上の整数)である請求項2記載の面発光量子カスケードレーザ。
- 前記第1の電極は、枠部と両端部が枠部に連結された複数のストライプ部とを有し、
前記複数のストライプ部は、所定のピッチを有しつつ互いに平行に配置され、かつ前記枠部と斜めに交差する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の面発光量子カスケードレーザ。 - 前記第1の電極の開口部は、前記格子の辺に平行な線に関して非対称である、請求項5記載の面発光量子カスケードレーザ。
- 前記二次元格子は正方格子である請求項1〜5のいずれか1つに記載の面発光量子カスケードレーザ。
- 前記正方格子の2つの辺は、前記枠部の前記2つの辺とそれぞれ直交する請求項7記載の面発光量子カスケードレーザ。
- 前記枠部の前記2つの辺は、前記ストライプ部とそれぞれ略45度で交差する請求項8記載の面発光量子カスケードレーザ。
- 前記ストライプ部は、前記ピットの非形成領域に設けられた請求項5〜9のいずれか1つに記載の面発光量子カスケードレーザ。
- 複数の量子井戸構造が積層され、サブバンド間遷移によりレーザ光を放出可能な活性層と、
前記活性層の上に設けられ、複数のピットが二次元格子を構成するように設けられた第1の面を有する第1の半導体層と、
前記複数のピット内に充填された絶縁膜であって、前記絶縁膜の厚さは前記ピットの深さと同一である、絶縁膜と、
前記第1の半導体層の前記第1の面と前記絶縁膜の上面とを覆い、前記レーザ光を前記活性層の側に反射する第1の電極と、
を備え、
それぞれのピットは、前記二次元格子の1辺に平行な線に関して非対称であり、
前記第1の電極により反射された前記レーザ光は、前記活性層を通過し、前記活性層に対して概ね垂直方向に出射する、面発光量子カスケードレーザ。 - 前記二次元格子は、前記第1の半導体層のうちの所定領域を前記第1の面から深さ方向に向かって切り出された形状からなるピットにより構成された、請求項11記載の面発光量子カスケードレーザ。
- 前記所定領域は、複数の円柱、複数の円錐、複数の円錐台、m(mは3以上の奇数)角柱、m角錐(mは3以上の奇数)、m角錐(mは3以上の奇数)台のいずれかを含む請求項11記載の面発光量子カスケードレーザ。
- 前記二次元格子は正方格子である請求項11〜13のいずれか1つに記載の面発光量子カスケードレーザ。
- 前記第1の電極とは反対となる前記活性層の側に設けられ、開口部を有する枠部を含む第2の電極をさらに備え、
前記レーザ光は、前記活性層に対して概ね垂直方向に出射し、前記第2の電極の前記開口部を通過する、請求項11〜14のいずれか1つに記載の面発光量子カスケードレーザ。 - 複数の量子井戸構造が積層され、サブバンド間遷移によりレーザ光を放出可能な活性層と、
前記活性層の上に設けられた第1の半導体層と、
前記第1の半導体層の上に設けられ、複数のピットが二次元格子を構成するように設けられた第1の電極と、
を備え、
それぞれのピットは、前記格子の1辺に平行な線に関して非対称であり、
前記複数のピットを通過した前記レーザ光は、前記第1の電極の表面に対して概ね垂直方向に出射する、面発光量子カスケードレーザ。 - 前記ピットは、円孔である請求項14記載の面発光量子カスケードレーザ。
- 前記ピットは、s(sは3以上の整数)角孔である請求項14記載の面発光量子カスケードレーザ。
- 前記第1の半導体層の前記第1の電極の前記ピットの下方の領域には、ピットが設けられた請求項16〜18のいずれか1つに記載の面発光量子カスケードレーザ。
- 前記二次元格子は、正方格子である請求項16〜19のいずれか1つに記載の面発光量子カスケードレーザ。
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