JP2017187561A - 反射型スクリーン - Google Patents

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Abstract

【課題】観察者に対する輝度が充分に高い投影画像を提供できる、表面微細凹凸シートを用いた反射型スクリーンを提供する。【解決手段】少なくとも(1)反射層30、(2)フレネルレンズ形状層20、及び(3)表面微細凹凸シート10A、を順に有する反射型スクリーン100であって、反射型スクリーン100の表面に、不規則な波状凹凸パターン10AAが形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、フロントプロジェクターに好適に用いる反射型スクリーンに関する。
プロジェクターは、展示会や会議室のプレゼンテーションに使用されたり、また、一般家庭用に液晶を用いたビデオプロジェクターなどが普及しつつある。プロジェクターにはリアプロジェクターとフロントプロジェクターとがあり、特にフロントプロジェクタースクリーンの裏側にプロジェクターを配置する必要がないことから、会議室や一般家庭の限られた空間を有効に利用できるという利点がある。さらに近年、注目されているプロジェクションマッピングもフロントプロジェクタータイプが主に使用される。
フロントプロジェクターからの投射光を反射して投影画像を映し出す反射型スクリーンとして、特許文献1には、画像投影における基準面に平行な方向のうち所定の異方性拡散方向について他の方向よりも大きい拡散特性を示す拡散構造と、前記拡散構造に対して裏側の外形形状を形成し前記基準面に対して傾いた複数の傾斜面を含む凹凸形状部と、を有する本体部分と、前記凹凸形状部の表面上に前記複数の傾斜面の分布に応じて部分的に形成され、前記拡散構造の表側から入射して前記本体部分を経た入射光を反射する複数の光反射面を有する光反射部とを備えるものが記載されている(特許文献1参照。)。
特開2012-252132号公報
特許文献1に記載の凹凸形状部と光反射部の作用は、プロジェクターからの投射光をひ、「基準面の法線方向」あるいは「基準面の法線方向から鉛直方向に対してある角度傾いた方向に位置する観察者に対する法線方向」に投影することであるが、特許文献1に記載のスクリーンでは、前記プロジェクターからの投射光の一部が前記異方性拡散構造に入射し、前記光反射部に到達する前に前記異方性拡散構造で反射してしまうため、前記凹凸形状部と光反射部とで所望の方向に投影させることのできる光の量が減少し、観察者に対する輝度が低下するという課題に本発明者等は気づいた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、観察者に対する輝度が充分に高い投影画像を提供できる、表面微細凹凸シートを用いた反射型スクリーンの提供を目的とする。
本発明は以下の構成を有する。
[1] 少なくとも(1)反射層、(2)フレネルレンズ形状層、及び(3)表面微細凹凸シート、を順に有する反射型スクリーンであって、
前記反射型スクリーンの表面に、不規則な波状凹凸パターンが形成されている
反射型スクリーン。
[2] 前記表面微細凹凸シートが、基材及び波状凹凸パターン層から構成されており、
前記波状凹凸パターン層の一方の表面に、前記不規則な波状凹凸パターンが形成されている、[1]に記載の反射型スクリーン。
[3] フロントプロジェクター用である、[1]又は[2]に記載の反射型スクリーン。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の反射型スクリーンの使用方法であって、
前記反射型スクリーンの前記波状凹凸パターンとフロントプロジェクターとが対向するように前記反射型スクリーンを配置し、
前記表面微細凹凸シートの主拡散方向が水平方向と略一致するように、前記反射型スクリーンを配置する、
反射型スクリーンの使用方法。
本発明によれば、フロントプロジェクターと組み合わせて使用した場合に、観察者に対する輝度が高い表面微細凹凸シートを用いた反射型スクリーンを提供できる。
本発明の反射型スクリーンをX軸方向から見た模式図である。 第1実施形態例の表面微細凹シートを模式的に示す拡大斜視図である。 第1実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが500μmである。)。 第1実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の原子間力顕微鏡による三次元画像である(画像の各辺のフルスケールが200μmである。)。 第1実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンを示す縦断面図である。 第2実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが300μmである。)。 第3実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが60μmである。)。 第3実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンを示す縦断面図である。 第4実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが300μmである。)。 第4実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンを示す縦断面図である。 第4実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンにおける凸部の平均高さを求める方法の説明図である。 第5実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である(画像の左右方向の辺のフルスケールが250μmである。)。 第5実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面側からの概略平面図、(b)波状凹凸パターン(1−b)の凸条部の配列方向に平行な側面を示す側面図、(c)波状凹凸パターン(1A)の凸条部の配列方向に平行な側面を示す側面図である。 (a)本発明の反射型スクリーンにプロジェクターから映像を投射した際の光跡の一例をY軸方向から見た模式図、(b)本発明の反射型スクリーンにプロジェクターから映像を投射した際の光跡の一例をX軸方向から見た模式図である。 (a)本発明の反射型スクリーンにプロジェクターから映像を投射した際の光跡の別の一例をY軸方向から見た模式図、(b)本発明の反射型スクリーンにプロジェクターから映像を投射した際の光跡の別の一例をX軸方向から見た模式図である。 不規則な波状凹凸パターンがプロジェクターからの映像が投射される側と反対側に形成されている反射型スクリーンをX軸方向から見た模式図である。 (a)本発明の反射型スクリーンで、表面微細凹凸シートがない場合の、プロジェクターから映像を投射した際の光跡の一例をY軸方向から見た模式図、(b)本発明の反射型スクリーンにで、表面微細凹凸シートがない場合の、プロジェクターから映像を投射した際の光跡の一例をX軸方向から見た模式図である。 (a)本発明の反射型スクリーンで、表面微細凹凸シートがない場合の、プロジェクターから映像を投射した際の光跡の別の一例をY軸方向から見た模式図、(b)本発明の反射型スクリーンにで、表面微細凹凸シートがない場合の、プロジェクターから映像を投射した際の光跡の別の一例をX軸方向から見た模式図である。 本発明の一部である表面微細凹凸シートの不規則な波状凹凸パターンが形成された側の面から光を入射させた場合、および、不規則な波状凹凸パターンが形成された側と反対側の面から光を入射させた場合の全光線透過率のプロットである。
本発明の反射型スクリーンは、少なくとも(1)反射層、(2)フレネルレンズ形状層、及び(3)表面微細凹凸シート、を順に有する反射型スクリーンであって、前記反射型スクリーンの表面に、不規則な波状凹凸パターンが形成されている反射型スクリーンに関する。当該反射型スクリーンは、「一方の表面に不規則な波状凹凸パターンを有する表面微細凹凸シートと前記表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンを有する面と反対側の表面にフレネルレンズ形状、反射層がこの順に形成されている反射型スクリーン」、ともいえる。ここで、フレネルレンズ形状層をフレネルレンズ形状(20)ともいう。当該反射型スクリーンは、主にフロントプロジェクター用として使用することが可能であり、前記反射型スクリーンをフロントプロジェクターと合わせて使用する場合、前記表面微細凹凸シートの不規則な波状凹凸パターンが前記フロントプロジェクターに対向して配置され、前記表面微細凹凸シートの主拡散方向が水平方向と略一致するように使用することが好ましい。
上述のように、本発明の反射型スクリーンは、少なくとも反射層、フレネルレンズ形状層、及び表面微細凹凸シートの3つを順に有する。
「不規則な波状凹凸パターン」とは、表面微細凹凸シートの法線方向に平行な少なくとも一つの面に沿って切断した際に得られる切断面において、波状凹凸パターンに対応する部分の形状が、不規則な微細な波状の凹凸形状であるパターンのことをいう。
たとえば、下記の〔1〕、〔2〕のパターンが挙げられる。
〔1〕波状凹凸パターン形成面に沿って筋状に延びる複数の凸条部と、該複数の凸条部間の複数の凹条部とが、波状凹凸パターン形成面に沿う一方向に交互に繰り返されるパターンを少なくとも有し、以下の(a)および(b)の特徴を有するパターン(以下、「波状凹凸パターン(1)」ともいう。)。
なお、波状凹凸パターン(1)では、少なくとも、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、凸条部と凹条部とが交互に繰り返される上記一方向(以下、「凸条部の配列方向」ともいう。)に沿って切断した際に得られる切断面において、波状凹凸パターンに対応する部分の形状が、不規則な波状の凹凸形状となる。
(a)各凸条部が蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凸条部の稜線が蛇行し、隣接する凸条部の稜線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に稜線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の稜線が途中で枝分かれしたり、複数の稜線が途中で合一していてもよい。
(b)各凹条部が蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凹条部の谷線が蛇行し、隣接する凹条部の谷線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に谷線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の谷線が途中で枝分かれしたり、複数の谷線が途中で合一していてもよい。
波状凹凸パターン(1)では、上記切断面における各凸条部の縦断面形状(表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、凸条部の配列方向に沿って切断される切断面における形状。)は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。
以上のような波状凹凸パターン(1)の不規則性により、該波状凹凸パターン(1)は、後述する主拡散方向だけでなく、該主拡散方向に対して直交する低拡散方向にも、適度に光を拡散させる。
また、詳しくは後述するが、波状凹凸パターン(1)は、1軸延伸フィルム(1軸方向収縮フィルム)からなる加熱収縮性樹脂フィルムを加熱収縮することにより形成されるパターンである。
〔2〕波状凹凸パターン形成面上に、特定の方向に沿わない微細な凹凸が形成されたパターン(以下、「波状凹凸パターン(2)ともいう。」)。
波状凹凸パターン(2)では、表面微細凹凸シートの法線方向に平行な任意の方向に沿って切断した際に得られる切断面において、波状凹凸パターンに対応する部分の形状が、不規則な波状の凹凸形状となる。
波状凹凸パターン(2)では、上記切断面における各凸部の縦断面形状(表面微細凹凸シートの法線方向に平行な任意の方向に沿って切断される切断面における形状。)は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。
以上のような波状凹凸パターン(2)の不規則性により、該波状凹凸パターン(2)は、主拡散方向および低拡散方向に光を拡散させる。また、凹凸が上述のように特定の方向に沿わないため、主拡散方向と低拡散方向の拡散角度の差は小さい。
また、詳しくは後述するが、波状凹凸パターン(2)は、2軸延伸フィルム(2軸方向収縮フィルム)からなる加熱収縮性樹脂フィルムを加熱収縮することにより形成されるパターンである。
「波状凹凸パターンの主拡散方向」とは、以下の方法で決定される方向である。
(1)拡散角度測定用として、一方の面が波状凹凸パターン形成面であり、他方の面が平滑な面(平滑面)であるサンプルシートを用意する。
(2)ゴニオメータ(たとえば、型式:GENESIA Gonio/FFP、ジェネシア社製)を用いて、上記サンプルシートの平滑面側から測定光を入射させ、波状凹凸パターン形成面からの透過散乱光を測定し、照度曲線を得る。
具体的には、サンプルシートから垂直に出射する光(出光角度=0°)の照度を1とした際の相対照度を、波状凹凸パターン形成面上のある方向(α方向)において、出光角度−90°から90°まで1°間隔で測定する。これによりα方向における照度曲線が得られる。
このような操作および照度曲線の作製を、波状凹凸パターン形成面において、α方向から1°ずらした方向(β方向)において行う。
ついで、このような操作および照度曲線の作製を、波状凹凸パターン形成面において、β方向から1°ずらした方向(γ方向)において行う。
このように相対照度を測定する方向を波状凹凸パターン形成面内で1°ずつずらし、1°毎の照度曲線を得る。これにより、合計180種の照度曲線が得られる。
(3)180種の各照度曲線のそれぞれにおいて、相対照度が0.5以上となる角度範囲を求める。その範囲が拡散角度である。たとえば、α方向について得られた照度曲線において、相対照度が0.5以上となる角度範囲が−13°〜+17°である場合には、α方向における拡散角度は、13°+17°=30°となる。
(4)180種の各方向について、上記のようにして拡散角度を求め、180種の拡散角度のうち、最も大きな拡散角度が得られた方向が、主拡散方向である。
(5)低拡散方向は、「主拡散方向に直交する方向」と定義する。
主拡散方向および低拡散方向は、いずれも、波状凹凸パターン形成面上の方向である。
なお、本明細書において、平滑とは、JIS B0601に記載の方法により測定される中心線平均粗さが0.1μm以下であることをいう。
本明細書において、X、Y、Z軸方向とは、それぞれ表面微細凹凸シートの低拡散方向、主拡散方向、法線方向を示す。また、反射型スクリーンの基準面とは、X軸方向および
Y軸方向をともに含む面とする。さらに、本明細書の反射型スクリーンの設置、使用において、X軸方向は鉛直方向とほぼ一致する。
<第1〜第5実施形態例>
〔第1実施形態例〕
図1は、本実施形態例の反射型スクリーンを模式的に示す図である。本実施形態における反射スクリーン100は、X、Y軸方向のいずれにも平行な基準面に、プロジェクターからの投射光が投影される側から、表面微細凹凸シート10A、前記表面微細凹凸シートの投射光が投影される側と反対側の面に前記表面微細凹凸シート10Aと一体化したフレネルレンズ形状20、および、前記フレネルレンズ形状20の表面に形成された金属製の反射層30、がこの順に積層されたものである。
また、図1に示すように、表面微細凹凸シート10Aはプロジェクターからの投射光が投影される側に波状凹凸パターン層10AAを有し、前記波状凹凸パターン層10AAの波状凹凸パターンが形成されていない側に透明な樹脂製の基材10ABを有する。
また、フレネルレンズ形状20は前記表面微細凹凸シート10Aの基材10ABの波状凹凸パターン層10AAと反対側の面に一体化し、前記フレネルレンズ形状20がプロジェクターからの投射光が投影される側と反対側に形成されている。
[表面微細凹凸シート]
図2は、第1実施形態例の表面微細凹凸シートを模式的に示す斜視図である。
第1実施形態例の表面微細凹凸シート10Aは、波状凹凸パターン形成面11に、先に説明した波状凹凸パターン(1)に該当する波状凹凸パターン(1A)が形成されている。
図3は、本実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像であり、図4は、波状凹凸パターン形成面の原子間力顕微鏡による三次元画像である。
図5は、本実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン(1A)を示すものであって、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、波状凹凸パターン(1A)の凸条部の配列方向に沿って切断した縦断面図である。
図5に示すように、凸条部11aの上記縦断面形状は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。また、各凸条部11aの上記縦断面形状は、それぞれが基端側から先端側に向かって細くなる先細り形状であるとともに、先端が丸みを帯びている。また、各凸条部11aの上記縦断面形状において、先端側と基端側とを結ぶ線は、先端側から基端側に向けて滑らかに連続的に下降している。また、各凸条部11aは、上述の縦断面形状およびその面積のうちの少なくとも一方が、当該凸条部11aの延在方向(筋状に延びている方向)に沿って変化しており、一定でない。
また、各凸条部11aにおいて、稜線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
また、隣り合う凸条部11a間の各凹条部において、谷線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの平均ピッチは、1〜50μmであることが好ましく、5〜30μmであることがより好ましく、8〜20μmであることがより好ましい。平均ピッチが上記範囲の下限値以上であると、表面微細凹凸シート10Aを容易に製造できる。平均ピッチが上記範囲の上限値以下であると、表面微細凹凸シート10Aを照明装置に使用した場合に、波状凹凸パターン(1A)が好ましくない輝線として視認されにくい。また、平均ピッチが上記範囲内であると、主拡散方向に充分な拡散角度を示す。
なお、平均ピッチは、図3のような、凸条部11aが20本以上含まれる波状凹凸パターン形成面11の平面画像を得て、隣り合う凸条部11aの20本分について、凸条部11aの配列方向に沿う長さを5箇所測定し、測定値の平均値を20で割ることにより求めることができる。
また、平均ピッチは、次の方法でも求められる。
すなわち、光学顕微鏡または電子顕微鏡により波状凹凸パターン形成面11の上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(例えば、tiff形式等。)に変換し、次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換し、フーリエ変換画像の画像解析によりピッチを求める。この方法は、たとえば特開2008−302591号公報(特許第4683011号公報)等に記載されており、これを参照できる。なお、該公報の段落[0024]にも記載のとおり、当該方法で求められる最頻ピッチと、上記平均ピッチは、同等に扱うことができる。以下、各実施形態例においても同様である。
波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの平均ピッチに対する平均高さの比、すなわちアスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)は、0.05〜3.0であることが好ましく、0.1〜2.0であることがより好ましく、0.3〜1.0であることがさらに好ましい。アスペクト比が上記範囲の下限値以上であると、波状凹凸パターン(1A)により視野角確保効果、輝度ムラ解消効果が充分に得られる。アスペクト比が上記範囲の上限値以下であると、波状凹凸パターン(1A)を容易に形成できる。
凸条部11aの平均高さは次のように求める。
たとえばミクロトームを用いて、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、凸条部の配列方向に沿って切断した切断面を有する薄片サンプルを得て、該薄片サンプルの切断面の光学顕微鏡画像を得る。そして、該光学顕微鏡画像の切断面から、ランダムに50個の凸条部を選択し、これら各凸条部の高さHを求める。
具体的には、図5に示すように、1つの凸条部11aの頂部Tと該凸条部11aの一方側に位置する凹条部の底部B1との垂直距離をLiとし、該凸条部11aの頂部Tと該凸条部11aの他方側に位置する凹条部の底部B2との垂直距離をRiとした場合に、H=(Li+Ri)/2で求められるのが、その凸条部11aの高さである。
このようにして求めた50個の凸条部の高さの平均値が「凸条部の平均高さ」である。
本実施形態例の表面微細凹凸シート10Aにおいて、波状凹凸パターン(1A)の主拡散方向は、先に説明した方法により求めることができ、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの配列方向に平行な方向(図2中のA方向)である。
主拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、たとえば10°以上であることが好ましく、15°以上であることがより好ましい。また、たとえば50°以下であることが好ましく、40°以下であることがより好ましい。
一方、主拡散方向に対して直交する方向は、拡散角度の低い「低拡散方向」である。
低拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、主拡散方向の拡散角度よりも小さいことが望ましく、たとえば10°以下であることが好ましい。
主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、凸条部の平均ピッチ、アスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)等を調整すること等により制御できる。
以上の主拡散方向の拡散角度の好ましい範囲は、後に説明する各実施形態例2〜5までも上記実施形態1と同様である。その理由は、以下のようである。
主拡散方向の拡散角度が10°以上であれば、後述するように、反射型ディスプレイの拡散シートして 使用する場合、光が斜めから入射しても、正反射方向以外の方向にも光が拡散反射するため 正面輝度が高くなる。この正面輝度が高くなる点で主拡散方向の拡散角度が15°以上がより好ましい。なお、主拡散方向の拡散角度が50°を越えるような表面微細凹凸シートは、表面の波状凹凸パターンの作製が困難になる場合がある点で好ましくない。
以上の低拡散方向の拡散角度の好ましい範囲は、後に説明する各実施形態例2〜5までも上記実施形態1と同様である。その理由は、以下のようである。
低拡散方向の拡散角度が10°以下であれば、後述するように不要な方向への光の拡散反射が軽減されるため、正面輝度の低下が軽減される。
表面微細凹凸シート10Aの厚みは、接触式膜厚計で測定した厚みとして、20〜5000μmの範囲が好ましく、50〜3000μmがより好ましい。
表面微細凹凸シート10Aの材質については、後述する。
[表面微細凹凸シートの製造方法]
本実施形態例の1層構造の表面微細凹凸シート10Aは、たとえば、以下の製造方法(A)により製造できる。また、多層構造の表面微細凹凸シートは、たとえば、以下の製造方法(B)により製造できる。また、製造方法(A)の一部と製造方法(B)の一部とを組み合わせた方法によっても製造できる。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(1A)の形成には、特開2008−302591号公報(特許第4683011号公報)等を参照できる。
(製造方法)
製造方法は、以下の工程(a1)および工程(a2)を有する。
工程(a1):
波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)を表面に有する原版(W)を製造する工程(a1)。
工程(a2):
原版(W)の上記転写形状を電離放射線硬化性樹脂を用いたナノインプリント法を用いてシートに転写し、一方の面に波状凹凸パターン(1A)が形成された表面微細凹凸シートを得る工程(a2)。
工程(a1):
工程(a1)としては、たとえば、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、表面が平滑で少なくとも1種の樹脂から構成される硬質層を少なくとも1層積層させて、積層フィルムを得る工程(a1−1)と、積層フィルムを加熱して加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、硬質層を折り畳むように変形させて、表面に波状凹凸パターン(1A)が形成された凹凸パターン形成シートを得る工程(a1−2)と、該凹凸パターン形成シートの硬質層側の表面にニッケル等の金属を堆積させた後に剥離し、波状凹凸パターン(1A)の転写形状が転写された原版(W)を得る工程(a1−3)とを有する工程等が挙げられる。
なお、硬質層は、加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させる温度条件下で軟化しない層である。軟化しないとは、硬質層のヤング率が100MPa以上であることを意味する。
工程(a1−1):
加熱収縮性樹脂フィルムとは、80〜180℃の温度で加熱した際、特定の方向に収縮(シュリンク)するフィルムのことを意味する。このようなフィルムとしては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート系シュリンクフィルム、ポリスチレン系シュリンクフィルム、ポリオレフィン系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニル系シュリンクフィルム、ポリ塩化ビニリデン系シュリンクフィルムなどを用いることができる。また、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリシクロオレフィンなどの樹脂から構成されるフィルムも挙げられる。
耐熱性の点では、ポリエチレンテレフタレート系シュリンクフィルム、ポリスチレン系シュリンクフィルムが好ましい。
本実施形態例では、加熱収縮性樹脂フィルムとして、1軸延伸フィルムを用いる。1軸延伸は、縦延伸、横延伸のいずれであってもよい。
加熱収縮性樹脂フィルムは、延伸倍率1.1〜15倍で延伸されていることが好ましく、1.3〜10倍で延伸されていることがより好ましい。
また、加熱収縮性樹脂フィルムとしては、収縮率が20〜90%のフィルムが好ましく、30〜80%のフィルムがより好ましい。収縮率が前記下限値以上であれば、凹凸パターン形成シートをより容易に製造できる。収縮率が上限値を超える加熱収縮性樹脂フィルムは製造が困難である。
本明細書において、収縮率とは、下記で定義される。
(収縮率[%])={(収縮前の長さ)−(収縮後の長さ)}×100/(収縮前の長さ)(ただし、長さは加熱収縮性樹脂フィルムの収縮方向の長さである。)
加熱収縮性樹脂フィルムは、硬質層を容易に形成できることから、表面が平滑であることが好ましい。
加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂(以下、「樹脂L」ともいう。)のガラス転移温度Tgは、−40〜200℃であることが好ましく、60〜150℃であることがより好ましい。ガラス転移温度は示差熱分析等により測定できる。ガラス転移温度Tgが上記範囲内であれば、より容易に凹凸パターン形成シートを製造できる。すなわち、Tgが上記範囲内であれば、樹脂Lから構成される加熱収縮性樹脂フィルムを80〜180℃の温度で加熱収縮させることができるため、より容易に凹凸パターン形成シートを製造できる。
加熱収縮性樹脂フィルムの厚みは30〜500μmであることが好ましい。上記範囲内であれば、破れにくく薄型化もできる。なお、厚みは、得られた凹凸パターン形成シートをシート面に対して垂直に切った断面(縦断面)の顕微鏡写真から、10カ所以上無作為に抽出して、加熱収縮性樹脂フィルムの厚さを測定した際の、得られた各数値の平均値である。
樹脂Lのヤング率は、加熱収縮させる工程(a1−2)の温度、すなわち、80〜180℃の温度範囲において、0.01〜100MPaであることが好ましく、0.1〜10MPaであることがより好ましい。樹脂Lのヤング率が前記下限値以上であれば、実用上使用可能な硬さであり、前記上限値以下であれば、硬質層が変形する際に同時に追従して変形可能な軟らかさである。
上述のようなTgおよびヤング率を有する樹脂としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂およびポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられ、これらの1種以上を好適に使用できる。
硬質層を構成する樹脂(以下、「樹脂M」ともいう。)としては、たとえば、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体などの1種以上を使用できる。
樹脂Mは、凹凸パターン形成シートを容易に形成できる点では、樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mと樹脂Lのガラス転移温度Tgとの差(Tg2M−Tg)が10℃以上であることが好ましく、15℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることが特に好ましい。
樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mは、40〜400℃の範囲内にあることが好ましく、80〜250℃の範囲内にあることがより好ましい。Tg2Mが前記範囲内であれば、凹凸パターン形成シートを容易に製造できる。
樹脂Mのヤング率は、加熱収縮させる工程(a1−2)の温度(80〜180℃)において、0.01〜300GPaの範囲内にあることが好ましく、0.1〜10GPaの範囲内にあることがより好ましい。樹脂Mのヤング率が上記下限値以上であれば、波状凹凸パターン(1A)の形状を維持するのに充分な硬さであり、上限値以下であれば、より容易に凹凸パターン形成シートを製造できる。
硬質層の厚さは、0.05μmを超え10.0μm以下とすることが好ましく、0.5〜3.0μmとすることがより好ましい。硬質層の厚さを上記範囲にすることにより、光拡散性の点で、波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチが適切な範囲となる。
硬質層の厚さは連続的に変化していても構わない。硬質層の厚さが連続的に変化している場合には、工程(a1−2)後に形成される波状凹凸パターン(1A)のピッチおよび深さが連続的に変化するようになる。
硬質層を設け、積層フィルムを得る方法としては、樹脂Mを含む硬質層形成用塗料を加熱収縮性樹脂フィルムに連続的に塗工し、乾燥する方法が挙げられる。
硬質層形成用塗料の調製方法としては、トルエン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等の1種以上の溶媒で、樹脂Mを希釈する方法等が挙げられる。硬質層形成用塗料の固形分濃度(樹脂Mの濃度:硬質層形成用塗料の質量(100質量%)に対して、該塗料中の溶媒が揮発した後に残る固形分の質量の比率)は、塗料の総質量に対して1〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。
塗料の塗工方法としては、たとえば、エアナイフコーティング、ロールコーティング、ブレードコーティング、メイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、キャストコーティング、カーテンコーティング、ダイスロットコーティング、ゲートロールコーティング、サイズプレスコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング等が挙げられる。
乾燥方法としては、熱風、赤外線等を用いた加熱乾燥法が挙げられる。
加熱収縮性樹脂フィルムへの樹脂溶液の乾燥塗工量は、1〜10g/mにすることが好ましい。上記範囲内であれば、硬質層の厚みを上記好ましい範囲にとすることができ、硬質層に、波状凹凸パターン(1A)を形成しやすい。
工程(a1−2):
工程(a1−2)では、工程(a1−1)で得られた積層フィルムを加熱して加熱収縮性樹脂フィルムを収縮させることにより、硬質層を折り畳むように変形させて、表面に波状凹凸パターン(1A)と同じパターンが形成された凹凸パターン形成シートを得る。
工程(a1−2)では、30%以上の収縮率で収縮させることが好ましい。収縮率を30%以上にすると、収縮不足の部分(たとえば凹凸が充分に形成されない部分、アスペクト比が充分には大きくない部分等。)を小さくすることができる。一方、収縮率を大きくし過ぎると、得られる凹凸パターン形成シートの面積が小さくなり、歩留まりが低下するため、収縮率の上限は80%が好ましい。
積層フィルムを加熱する方法としては、熱風、蒸気、熱水または遠赤外線中に通す方法等が挙げられ、中でも、均一に収縮させることができることから、熱風または遠赤外線に通す方法が好ましい。
加熱収縮性樹脂フィルムを熱収縮させる際の加熱温度は、使用する加熱収縮性樹脂フィルムの種類、目的とする凹凸パターン形成シートの凸条部の平均ピッチやアスペクト比に応じて適宜設定することが好ましい。
具体的には、該加熱温度は、加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂Lのガラス転移温度Tg以上の温度にすることが好ましい。Tg以上の温度で熱収縮させると、波状凹凸パターン(1A)を容易に形成できる。
また、該加熱温度は、(樹脂Mのガラス転移温度Tg2M+15℃)未満であることが好ましい。
工程(a1−2)の好適な一例としては、上述の工程(a1−1)で得られた積層フィルムを好ましくは80〜180℃、より好ましくは120〜170℃の熱風の中を通過させることにより、加熱収縮性フィルムと硬質層とを変形させて、凹凸パターン形成シートを得る工程であることが好ましい。
積層フィルムを加熱する時間は、1〜3分間が好ましく、1〜2分間がより好ましい。熱風の風速は、1〜10m/sが好ましく、2〜5m/sがより好ましい。
工程(a1−3)
工程(a1−3)は、上述の工程(a1−2)で得られた凹凸パターン形成シートの硬質層側の表面に、たとえばニッケル等の金属を公知の電気鋳造法等で堆積させ、その後、該金属を剥離し、波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)が転写された金属製の原版(W)を得る工程である。
なお、耐熱性等の観点からは、原版(W)の材質はニッケル等の金属が好適であるが、樹脂等であってもよい。また、原版(W)は、波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)を有しているものであればよく、上記のような転写を2回以上繰り返して得たもの等であってもよい。
原版(W)が樹脂製である場合は、以下に示す工程にて製造する。上述の工程a1−1およびa1−2と同様の工程により凹凸パターン形成シートを得る。ついで、該凹凸パターン形成シートにおける波状凹凸パターン(1A)が形成された面に、離型剤を含む未硬化の透明な電離放射線硬化性樹脂を例えば3〜30μmの厚さに収まるように、Tダイコーター、ロールコーター、バーコーターなどのコーターで塗布し、その上に、PET等の基材を配置する。そして、電離放射線を照射して硬化させた後、凹凸パターン形成シートを剥離して、波状凹凸パターン(1A)の転写形状(反転形状)が形成された、電離放射線硬化性樹脂硬化物と基材とからなる樹脂製の原版(W)を得る。
工程(a2):
工程(a2)としては、PET等を材料とする透明な基材を別途用意し、その片面に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗布する。ここで塗布する厚さは、上記原版(W)における波状凹凸パターン(1A)の転写形状の凹凸を充分に覆える厚さとする。そして、塗布された未硬化の電離放射線硬化性樹脂の層に対して、上記原版(W)における波状凹凸パターン(1A)の転写形状が形成された面を押し当て、その状態のまま、電離放射線を照射して硬化させた後、原版(W)を剥離する。
このように原版(W)を使用することにより、PETを材料とする透明な基材と、その片面上に形成された透明な電離放射線硬化性樹脂硬化物の層から構成される2層構造のシートが得られる。電離放射性硬化性樹脂硬化物の層の表面には、波状凹凸パターン(1A)が形成されている。なお、ここでの原版(W)としては、1次転写品に限定されず、転写をさらに繰り返して得たものであってもよい。
電離放射線としては、一般には紫外線および電子線を意味することが多いが、本明細書においては、可視光線、X線、イオン線等も含む。
未硬化の電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニル/アクリレート、ポリエン/アクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルメチルメタクリレート等のプレポリマー、脂肪族アクリレート、脂環式アクリレート、芳香族アクリレート、水酸基含有アクリレート、アリル基含有アクリレート、グリシジル基含有アクリレート、カルボキシ基含有アクリレート、ハロゲン含有アクリレート等のモノマーの中から選ばれる1種類以上の成分を含有するものが挙げられる。未硬化の電離放射線硬化性樹脂は溶媒等で希釈することが好ましい。未硬化の電離放射線硬化性樹脂には、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を添加してもよい。また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性である場合には、未硬化の電離放射線硬化性樹脂にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等の光重合開始剤を添加することが好ましい。
また、電離放射線硬化性樹脂の代わりに、例えば、未硬化のメラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を用いて転写を行ってもよく、転写できる限り、その具体的方法、転写する材料に制限はない。
熱硬化性樹脂を用いる場合には、例えば液状の未硬化の熱硬化性樹脂を塗布し、加熱により硬化させる方法が挙げられ、熱可塑性樹脂を用いる場合には、熱可塑性樹脂のシートを用い、転写対象の面に押し当てながら加熱して軟化させた後、冷却する方法が挙げられる。
スタンパによる転写の具体的な方法については、たとえば、特開2012−022292号公報等を参照できる。
[フレネルレンズ形状]
第1実施形態例のフレネルレンズ形状20は、プロジェクターからの投射光が表面微細凹凸シートを通過して拡散し前記フレネルレンズ形状20を通過し、さらに反射層30で反射し前記フレネルレンズ形状20を再度通過した後で、観察者に対して平行な光になるように(以後、フレネルレンズ形状I)、または観察者に集光する光になるように(以後、フレネルレンズ形状II)設計されている。
フレネルレンズ形状20の形成は、例えば、表面微細凹凸シート10Aの基材10ABの、波状凹凸パターン層10AAが形成されている面と反対側の面に、前述の未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗布し、その塗布面にフレネルレンズ形状20の反転凹凸形状が表面に形成された金属製等の原版を、前記反転凹凸形状面が接触するように押し当て、その状態のまま、表面微細凹凸シート10Aの波状凹凸パターン層10AA側から電離放射線を照射して硬化させた後、原版を剥離する方法などを使用することができる。
[反射層]
第1実施形態例の反射層30は、プロジェクターから反射型スクリーンに入射した投射光を反射させて、観察者側に出射させることができる。
反射層30の形成は、例えば、フレネルレンズ形状20の表面に形状の効果を損なわない程度の厚みで、アルミニウムや銀などの金属を蒸着する方法などを使用することができる。
〔第2実施形態例〕
本発明の第2実施形態例は、前記第1実施形態と表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンのみが異なり、それ以外は第1実施形態と同様の構成を有する。
図6は、第2実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である。
第2実施形態例の表面微細凹凸シートは、波状凹凸パターン形成面に形成されている波状凹凸パターンが、上述の波状凹凸パターン(1)に該当するパターンではなく、上述の波状凹凸パターン(2)(すなわち、特定の方向に沿わない凹凸が形成されたパターン)に該当する波状凹凸パターン(2A)である点のみで、第1実施形態例の表面微細凹凸シートと異なる。
第2実施形態例の表面微細凹凸シートが有する波状凹凸パターン(2A)は、図6に示すように、波状凹凸パターン形成面に沿って折れ曲がりながら、特定の方向に沿わずに延びる複数の凸条部と、該複数の凸条部間の複数の凹条部とにより形成されている。凸条部は、稜線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。また、各凹条部は、谷線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
波状凹凸パターン(2)の凸条部の平均ピッチおよびアスペクト比等の好ましい範囲、求め方等は、第1実施形態例と同様である。
なお、平均ピッチは、次の方法で求めることが好適である。
すなわち、光学顕微鏡または電子顕微鏡により波状凹凸パターン形成面の上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(例えば、tiff形式等。)に変換し、次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換し、フーリエ変換画像の画像解析によりピッチを求める。この方法は、たとえば特開2008−279597号公報の段落[0002]等に記載されており、これを参照できる。
波状凹凸パターン(2A)は、上述のように、特定の方向に沿わない凹凸が形成されたパターンであり、光拡散性の異方性が弱められている。そのため、第1実施形態例と比較すると、波状凹凸パターンの主拡散方向と低拡散方向とにおける拡散角度の差は小さい。
主拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、たとえば10°以上であることが好ましく、15°以上であることがより好ましい。また、たとえば50°以下であることが好ましく、40°以下であることがより好ましい。
低拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、主拡散方向の拡散角度よりも小さいことが望ましく、たとえば10°以下であることが好ましい。
第2実施形態例の波状凹凸パターンの主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、上記平均ピッチ、アスペクト比等を調整すること等により制御できる。
第2実施形態例の表面微細凹凸シートの好ましい厚み等は、第1実施形態例の表面微細凹凸シート10Aと同程度である。
第2実施形態例の表面微細凹凸シートは、1層構造でも、2層以上の多層構造であってもよい。
また、第2実施形態例の表面微細凹凸シートは、概略、第1実施形態例と同様の方法で製造できる。ただし、第2実施形態例では、工程(a1−1)において、加熱収縮性樹脂フィルムとして、2軸延伸フィルムを用いる。2軸延伸フィルムを用いることにより、図6に示すような特定の方向に沿わない凹凸が形成される。また、使用する2軸延伸フィルムの縦延伸倍率および横延伸倍率を調整し、縦収縮率および横収縮率を調整することにより、主拡散方向の拡散角度と、低拡散方向の拡散角度とのバランスが適宜調整された波状凹凸パターン(2A)を形成できる。縦収縮率および横収縮率の好ましい各範囲は、各々、第1実施形態例における収縮率の好ましい範囲と同じである。加熱収縮性樹脂フィルムの材質(樹脂L)、収縮率、樹脂Lのガラス転移温度、ヤング率等の好ましい態様および範囲は、第1実施形態例と同様である。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(2A)の形成には、特開2008−304651号公報(特許第5098450号公報)等を参照できる。
〔第3実施形態例〕
本発明の第3実施形態例は、前記第1実施形態と表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンのみが異なり、それ以外は第1実施形態と同様の構成を有する。
図7は、第3実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である。第3実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面に形成されている波状凹凸パターンは、第1実施形態例と同様に、先に説明した波状凹凸パターン(1)に該当する。
第3実施形態例の表面微細凹凸シートにおける波状凹凸パターンは、波状凹凸パターン(1)に該当するが、第1実施形態例の波状凹凸パターン(1A)は、図5に示したように、凸条部11aの縦断面形状において、先端側と基端側とを結ぶ線は、先端側から基端側に向けて滑らかに連続的に下降しているのに対して、本実施形態例の波状凹凸パターン(1B)は、図8に示すように、凸条部11bの縦断面形状において、先端側(頂部)と基端側とを結ぶ線が、微細な多数の凹凸を有する微細凹凸状である点で、第1実施形態例の表面微細凹凸シート10Aと異なる。微細な多数の凹凸は、後述の波状凹凸パターン(1−a)によるものである。
図8に示すように、波状凹凸パターン(1B)は、凸条部32aと凹条部32bとから構成される波状凹凸パターン(1A)と、その上に形成された、凸条部33aと凹条部33bとから構成される別の微細な波状凹凸パターン(1−a)により形成されている。
波状凹凸パターン(1−a)は、筋状に延びる複数の凸条部33aと、該複数の凸条部33a間の複数の凹条部33bとが一方向に交互に繰り返されるパターンであって、波状凹凸パターン(1A)の凸条部32aの配列方向と、波状凹凸パターン(1−a)の凸条部33aの配列方向とはほぼ同じ方向である。
波状凹凸パターン(1−a)は、以下の特徴を有する。
(a’)各凸条部33aが蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凸条部33aの稜線が蛇行し、隣接する凸条部33aの稜線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に稜線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の稜線が途中で枝分かれしたり、複数の稜線が途中で合一していてもよい。
(b’)各凹条部33bが蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凹条部33bの谷線が蛇行し、隣接する凹条部33bの谷線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に谷線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の谷線が途中で枝分かれしたり、複数の谷線が途中で合一していてもよい。
また、波状凹凸パターン(1−a)では、各凸条部33aの縦断面形状(表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、凸条部の配列方向に沿って切断される切断面における形状。)は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。
また、各凸条部33aの上記縦断面形状は、それぞれが基端側から先端側に向かって細くなる先細り形状であるとともに、先端が丸みを帯びている。なお、波状凹凸パターン(1−a)は、各凸条部33aの上記縦断面形状において、先端側と基端側を結ぶ線は、滑らかであり、先端側から基端側に向けて連続的に下降している。また、各凸条部33aは、上述の縦断面形状およびその面積のうちの少なくとも一方が、当該凸条部33aの延在方向(筋状に延びている方向)に沿って変化しており、一定でない。
また、各凸条部33aにおいて、稜線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
また、各凹条部33bにおいて、谷線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
凸条部32aの平均ピッチおよびアスペクト比の好ましい範囲、求め方等は、第1実施形態例で説明したとおりである。
波状凹凸パターン(1−a)の凸条部33aの平均ピッチは、0.3〜2.0μmであることが好ましく、0.4〜1.0μmであることがより好ましく、0.5〜0.8μmであることがさらに好ましい。平均ピッチが上記範囲内であると、光拡散性が損なわれない。
凸条部33aの平均ピッチは、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11aの平均ピッチと同様の方法で求めることができる。すなわち、隣り合う凸条部33aが20本以上含まれる平面画像を得て、凸条部33aの20本分について、凸条部33aの配列方向に沿う長さを5箇所測定し、測定値の平均値を20で割ることにより求められる。
また、平均ピッチは、次の方法でも求められる。
すなわち、光学顕微鏡または電子顕微鏡により波状凹凸パターン形成面の上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(例えば、tiff形式等。)に変換し、次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換し、フーリエ変換画像の画像解析によりピッチを求める。この方法は、最頻ピッチの求め方として、たとえば国際公開第2014/002850号等に記載されており、これを参照できる。最頻ピッチと平均ピッチは、同等に扱うことができる。
波状凹凸パターン(1−a)の凸条部33aの平均ピッチに対する平均高さの比、すなわちアスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)は、0.25〜0.35であることが好ましく、0.28〜0.33であることがさらに好ましい。アスペクト比が上記範囲内であると、光拡散性が損なわれない。
波状凹凸パターン(1−a)のアスペクト比Aは、凸条部33aの平均高さ/平均ピッチで求められる値であって、概略、第1実施形態例において説明した波状凹凸パターン(1A)のアスペクト比と同様の方法で求められる。
すなわち、図8において、波状凹凸パターン(1−a)の凸条部33aの高さは、両隣の2つの凹条部33bの底部から、凸条部33aの頂部までの距離の和の1/2である。ここで、凹条部33bの底から凸条部33aの頂部までの距離は、凸条部32aの頂部と、凹条部32bを結ぶ線に平行であり、かつ、凸条部33aの頂部を通過する仮想線に対して垂直方向の距離である。すなわち、波状凹凸パターン(1−a)を形成する凸条部33aの高さは、凸条部33aに対して一方側の凹条部33bの底部から計測した凸条部33aの高さをL、他方側の凹条部33bの底部から計測した高さをRとした際に、b=(L+R)/2となる。このようにして各凸条部33aの高さbを求める。そして、50個の凸条部33aの高さRを測定し、それらの高さを平均して平均高さを求める。
本実施形態例の表面微細凹凸シートにおいて、波状凹凸パターンの主拡散方向は、先に説明した方法により求めることができ、波状凹凸パターン(1A)の凸条部32aの配列方向にほぼ平行な図8中A方向である。
主拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、たとえば10°以上であることが好ましく、15°以上であることがより好ましい。また、たとえば50°以下であることが好ましく、40°以下であることがより好ましい。
低拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、主拡散方向の拡散角度よりも小さいことが望ましく、たとえば10°以下であることが好ましい。
主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、波状凹凸パターン(1A)および(1−a)それぞれの凸条部11b,33aの平均ピッチ、アスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)等を調整すること等により制御できる。
第3実施形態例の表面微細凹凸シートの好ましい厚み等は、第1実施形態例の表面微細凹凸シートと同程度である。
第3実施形態例の表面微細凹凸シートは、概略、第1実施形態例の表面微細凹凸シート10Aと同様の製造方法で製造できる。
ただし、上述の工程(a1−1)では、硬質層を形成するために使用する硬質層形成用塗料として、硬質層を形成するための樹脂を2種類(以下、「樹脂M1」および「樹脂N1」という。)使用する。このように2種類の樹脂を使用することにより、波状凹凸パターン(1A)および(1−a)から構成される波状凹凸パターン(1B)を形成できる。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(1B)の形成には、国際公開第2014/002850号等を参照できる。
加熱収縮性樹脂フィルムとしては、1軸延伸フィルムを用いる。その材質(樹脂L)、収縮率、樹脂Lのガラス転移温度、ヤング率等の好ましい態様および範囲は、第1実施形態例と同様である。
硬質層の形成に用いる樹脂M1および樹脂N1としては、各々、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、アクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂などを使用することができる。
樹脂M1および樹脂N1は、波状凹凸パターン(1B)の形成しやすさの点から、ガラス転移温度が互いに異なることが好ましく、具体的には、樹脂M1のガラス転移温度Tg2Mが樹脂N1のガラス転移温度Tg2Nよりも高いことが好ましい。さらには、(樹脂M1のガラス転移温度Tg2M)−(樹脂N1のガラス転移温度Tg2N)が10℃以上であることが好ましく、12℃以上であることがより好ましい。
一方、Tg2M−Tg2Nが20℃以下であることが好ましく、18℃以下であることがより好ましい。すなわち、樹脂M1のガラス転移温度Tg2Mと、樹脂N1のガラス転移温度Tg2Nとの差は、10〜20℃であることが好ましい。より好ましくは、12〜18℃である。
波状凹凸パターン(1B)の形成しやすさの点から、樹脂M1のガラス転移温度Tg2Mと樹脂L1のガラス転移温度Tgとの差(Tg2M−Tg)、樹脂N1のガラス転移温度Tg2Nと樹脂L1のガラス転移温度Tgとの差(Tg2N−Tg)が共に10℃以上であることが好ましく、15℃以上であることがより好ましく、20℃以上であることが特に好ましい。
樹脂M1および樹脂N1のガラス転移温度Tg2M,Tg2Nは共に40〜400℃の範囲内にあることが好ましく、80〜250℃の範囲内にあることがより好ましい。Tg2M,Tg2Nが上記範囲内であれば、より容易に波状凹凸パターン(1B)を形成できる。
樹脂M1および樹脂N1のヤング率は、工程(a1−2)の温度、すなわち80〜180℃において、0.01〜300GPaの範囲内にあることが好ましく、0.1〜10GPaの範囲内にあることがより好ましい。樹脂M1および樹脂N1のヤング率が上記範囲の下限値以上であれば、波状凹凸パターン(1B)の形状を維持するのに充分な硬さであり、ヤング率が上記範囲の上限値以下であれば、より容易に波状凹凸パターン(1B)を形成できる。
硬質層の厚さは、第1実施形態例と同じ範囲が好ましく、厚さが連続的に変化していても構わない点も同様である。
硬質層を設ける方法としては、硬質層形成用塗料として、樹脂M1および樹脂N1を含む塗料を使用する点以外は、第1実施形態例と同様である。
なお、上記製造方法において、波状凹凸パターン(1B)の特性(ピッチ、アスペクト比等。)は、たとえば樹脂M1と樹脂N1の配合比率、加熱収縮性樹脂フィルムの収縮率を調整することで制御できる(たとえば、国際公開第2014/002850号等参照。)。
〔第4実施形態例〕
本発明の第4実施形態例は、前記第1実施形態と表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンのみが異なり、それ以外は第1実施形態と同様の構成を有する。
図9は、第4実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である。第4実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面に形成されている波状凹凸パターンは、第1実施形態例と同様に、先に説明した波状凹凸パターン(1)に該当する。
図10は、本実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン(1C)を示すものであって、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、波状凹凸パターン(1C)の凸条部の配列方向に沿って切断した縦断面図である。
第4実施形態例の表面微細凹凸シートにおける波状凹凸パターン(1C)は、上述のとおり、波状凹凸パターン(1)に該当するが、第1実施形態例の波状凹凸パターン(1A)は、図5に示したように、凸条部の縦断面形状11aにおいて、先端側と基端側とを結ぶ線は、先端側から基端側に向けて滑らかに連続的に下降しているのに対して、本実施形態例の波状凹凸パターン(1C)は、図10に示すように、凸条部42aの縦断面形状において、先端側と基端側を結ぶ線の途中に、外方に突出する複数の凸部43がランダムに形成されている点で、第1実施形態例の表面微細凹凸シートと異なる。凸部43は、凹条部42b上や凸条部42aの頂部上に形成されていてもよい。
その他の点は第1実施形態例と同様である。
波状凹凸パターン(1C)は、凸条部42aおよび凹条部42bによる波状凹凸パターン(1A)とその上にランダムに形成された多数の凸部43とからなり、波状凹凸パターン(1A)は、主拡散方向への拡散を主に担い、該波状凹凸パターン(1A)上に形成された凸部43は、該波状凹凸パターン(1A)による光拡散性の異方性を適度に弱め、低拡散方向の拡散角度を増加させる作用を奏する。
主拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、たとえば10°以上であることが好ましく、15°以上であることがより好ましい。また、たとえば50°以下であることが好ましく、40°以下であることがより好ましい。
低拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、主拡散方向の拡散角度よりも小さいことが望ましく、たとえば10°以下であることが好ましい。
なお、本実施形態例では、波状凹凸パターン(1A)上に凸部43が形成された態様が示されているが、凸部の代わりに凹部が形成されていてもよく、凹部も凸部と同じ作用を奏する。
凸条部42aの平均ピッチおよびアスペクト比の好ましい範囲、求め方等は、第1実施形態例で説明したとおりである。
波状凹凸パターン(1A)上に形成された凸部43の平均径は、1〜10μmが好ましく、3〜8μmがより好ましく、4〜6μmがさらに好ましい。
凸部の平均径Dは、図10の凸条部42aの配列方向に沿って、各凸部43の径(凸条部42aの配列方向に沿う最大長さ)を測定した各値を平均することで求められる。
平均径Dは、次の方法で求めることもできる。
すなわち、光学顕微鏡または電子顕微鏡により波状凹凸パターン形成面の上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(例えば、tiff形式等。)に変換し、次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換し、フーリエ変換画像の画像解析により求める。この方法は、最頻径の求め方として、たとえば特開2014−206728号公報(特許第5660235号公報)に記載されており、これを参照できる。平均径と最頻径は、同等に扱うことができる。
波状凹凸パターン(1A)の凸条部42aの平均ピッチ、凸部43の平均径をそれぞれ上記範囲内で調整することにより、主拡散方向および低拡散方向それぞれの拡散角度を適度に制御できる。
凸条部42aの平均高さは、3〜7μmが好ましく、4〜6μmがより好ましい。凸条部42aの平均高さが上記範囲であると、光拡散性が充分に得られる。
本実施形態例において、凸条部42aの平均高さは、以下のように測定、定義される。
まず、図10のような縦断面図を得て、凸部43が存在していない部分の凸条部42aの断面図から、該凸条部42aの高さHを求める。具体的には、凸条部42aの高さHは、該凸条部42aの頂部Tと該凸条部42aの一方側に位置する凹条部42bの底部B11との垂直距離をH1とし、該凸条部42aの頂部Tと該凸条部42aの他方側に位置する凹条部42bの底部B21との垂直距離をH2とした場合に、H=(H1+H2)/2で求められる。
このような計測を凸部43が存在していない凸条部42aの50箇所に対して行い、50のデータの平均値を「凸条部の平均高さ」と定義する。
一方、凸部43の平均高さは、0.5〜3μmが好ましく、より好ましくは1〜2μmである。凸部43の平均高さが上記範囲であると、波状凹凸パターンの光拡散性の異方性を適度に弱めることができ、主拡散方向および低拡散方向の両方の拡散角度を制御しやすい。
本実施形態例において、凸部43の平均高さは、以下のように測定、定義される。
まず、図10のような断面図を得て、波状の凹凸パターン(1A)に由来する形状と、凸部43に由来する形状とに波形分離する。なお、波形分離は、波状凹凸パターン(1A)に由来する形状をサインカーブとして行う。ついで、図10の断面図から、波状凹凸パターン(1A)に由来する形状を差し引き、図11に示すように、凸部43に由来する形状のみの断面図を得る。そして、図11の断面図において、凸部43の高さH’を、H’=(H1’+H2’)/2として求める。H1’は、図11の断面図において、凸部43の頂部T’と該凸部43の一方側のベースラインLαとの垂直距離であり、H2’は、凸部43の頂部T’と該凸部43の他方側のベースラインLβとの垂直距離である。
このような計測を50個の凸部43に対して行い、50のデータの平均値を「凸部の平均高さ」と定義する。
波状凹凸パターン形成面における凸部43の占有面積割合は、10〜70%が好ましく、より好ましくは20〜60%、さらに好ましくは30〜55%である。凸部43の占有面積割合が上記範囲であると、波状凹凸パターン(1A)の光拡散性の異方性を適度に弱めることができ、主拡散方向および低拡散方向の両方の拡散角度を上記範囲に制御しやすい。
波状凹凸パターン形成面における凸部43の占有面積割合γ(%)は、以下のように測定、定義される。
まず、図9のような光学顕微鏡画像を得て、視野全体の面積S2(例えば縦0.4〜1.6mm、横0.5〜2mm)中に認められる凸部43の個数nを数え、視野全体において、n個の凸部43によって占有されている面積S1=nrπを求める。占有面積割合γ(%)は以下の式により求められる。
γ(%)=S1×100/S2(ただし、式中のrは、凸部の平均径の1/2(すなわち半径)である。)
本実施形態例の表面微細凹凸シートにおいて、波状凹凸パターンの主拡散方向は、先に説明した方法により求めることができ、波状凹凸パターン(1A)の凸条部42aの配列方向にほぼ平行な図10中A方向である。一方、主拡散方向に対して垂直な方向は、拡散角度の低い「低拡散方向」である。
主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、波状凹凸パターン(1A)の凸条部42aの平均ピッチ、平均高さ、凸部43の平均径、平均高さ、占有面積等を調整すること等により制御できる。
第4実施形態例の表面微細凹凸シートの好ましい厚み等は、第1実施形態例の表面微細凹凸シートと同程度である。
第4実施形態例の表面微細凹凸シートは、概略、第1実施形態例の表面微細凹凸シートと同様の製造方法で製造できる。
ただし、上述の工程(a1−1)において、硬質層を形成するために使用する硬質層形成用塗料として、硬質層を形成するための樹脂Mとともに粒子を含有する塗料を用いる点で異なる。粒子を用いることにより、凸部43を有する波状凹凸パターン(1A)を形成できる。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(1C)の形成には、特開2014−206728号公報(特許第5660235号公報)を参照できる。
加熱収縮性樹脂フィルムとしては、1軸延伸フィルムを用いる。その材質(樹脂L)、収縮率、樹脂Lのガラス転移温度、ヤング率等の好ましい態様および範囲は、第1実施形態例と同様である。
硬質層やその材質(樹脂M)、樹脂Mのガラス転移温度およびヤング率等も、第1実施形態例と同様である。
粒子を構成する材料には、樹脂Lのガラス転移温度Tgより10℃高い温度未満では、熱により粒子形状が変化しない材料の1種以上を用いることができる。
例えば、粒子を構成する材料が、ガラス転移温度を有する樹脂およびガラス転移温度を有する無機材料からなる群から選ばれる1種以上である場合、そのガラス転移温度Tgが、樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mと同様の条件を満たすこと、すなわち、(Tg−Tg)が10℃以上となるように選択されることが必要であり、(Tg−Tg)が20℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。(Tg−Tg)が10℃以上であると、上述の加工温度において、粒子が変形した溶融したりしない。
粒子を構成する材料が、ガラス転移温度を有さない材料、例えば内部架橋型樹脂などである場合には、そのビカット軟化温度(JIS K7206に規定)が、上述の条件を満たすこと、すなわち、樹脂Lのガラス転移温度より10℃以上高いことが好ましく、20℃以上高いことが好ましく、30℃以上高いことがより好ましい。
本明細書において、ガラス転移温度Tgについての好ましい温度範囲などの記載は、粒子がガラス転移温度を有さず、ビカット軟化温度を有する材料からなる場合、そのビカット軟化温度にも該当するものとする。
さらに、粒子を構成する材料としては、ガラス転移温度、ビカット軟化温度が測定できないものであっても、加熱収縮性樹脂フィルムを構成する樹脂Lのガラス転移温度Tgより10℃高い温度未満において、熱により粒子形状が変化しない材料であれば、使用可能である。
Tgは、40〜400℃であることが好ましく、80〜250℃であることがより好ましい。Tgが40℃以上であれば、工程(a1−2)の温度を室温またはそれ以上にすることができて有用であり、Tgが400℃を超えるような粒子を使用することは、経済性の面から必要性に乏しい。
粒子を構成する樹脂としては、そのガラス転移温度Tg(またはビカット軟化点。)が上述の条件を満たすように、加熱収縮性樹脂フィルムの種類等に応じて選択され、例えば、アクリル系熱可塑性樹脂粒子、ポリスチレン系熱可塑性樹脂粒子、アクリル系架橋型樹脂粒子、ポリスチレン系架橋型樹脂粒子などが挙げられる。また、無機材料としては、ガラスビーズなどが挙げられる。
粒子の粒径dは、形成される硬質層の厚みtより大きいことが必要であり、硬質層の厚みtに応じて設定される。また、凸部43の平均径が、上述の好適な範囲となるように、適宜設定される。好ましい粒径dは、例えば、5〜10μmで、より好ましくは5〜8μmである。
工程(a1−1)においては、硬質層形成用塗料として、樹脂Mおよび粒子を含む塗料を使用し、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、厚みt’が0.05μmを超え、10μm以下である硬質層を形成する。この時点での硬質層は、折り畳むように変形していない。すなわち、厚みt’は変形前の硬質層の厚さである。
硬質層は、このように硬質層形成用塗料を加熱収縮性樹脂フィルムに直接塗工して設ける代わりに、あらかじめ作製した硬質層(樹脂M中に粒子が分散してなるフィルム)を加熱収縮性フィルムに積層する方法で設けてもよい。
樹脂Mおよび粒子を構成する樹脂としては、それぞれすでに例示したものを使用できるが、樹脂Mのガラス転移温度Tg2Mと、粒子のガラス転移温度Tgとが、樹脂Lのガラス転移温度Tgよりも10℃以上高くなるように各材質を選択し、組み合わせることが重要である。このようにそれぞれの材質を選択したうえで、厚みt’が0.05μmを超え10μm以下である硬質層を加熱収縮性樹脂フィルムの片面に設けると、次の工程(a1−2)を経ることにより、凸条部42aの平均ピッチ、平均高さが上記範囲の波状凹凸パターン(1C)が形成されやすい。
本実施形態例において、硬質層形成用塗料中の樹脂Mの好ましい固形分濃度の範囲は、第1実施形態例と同様である。粒子の量は、樹脂Mの正味量100質量部に対して、10〜50質量部であることが好ましく、20〜30質量部であることがより好ましい。このような範囲であると、形成される凸部43の占有面積割合を上述の好適な範囲内に制御することができる。
なお、塗工する硬質層の厚みt’は、0.05μmを超え10μm以下の範囲内であれば、連続的に変化していても構わない。その場合、変形工程により形成される凸条部42aのピッチおよび深さが連続的に変化するようになる。硬質層の厚みt’は、次の工程(a1−2)を経てもほとんど変化せす、t’=tと考えることができる。
硬質層の厚さが薄いほど、また、硬質層のヤング率が低いほど、波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチが小さくなり、また、加熱収縮性樹脂フィルムの収縮率が高いほど、凸条部42aの高さが大きくなる。したがって、これらの条件を調整すれば、波状凹凸パターン(1A)の凸条部42aのピッチおよび高さを所望の値に制御できる。
工程(a1−1)以外は、第1実施形態例と同様に行う。
〔第5実施形態例〕
本発明の第5実施形態例は、前記第1実施形態と表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンのみが異なり、それ以外は第1実施形態と同様の構成を有する。
図12は、第5実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面の光学顕微鏡画像である。第5実施形態例の表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面に形成されている波状凹凸パターンは、第1実施形態例と同様に、先に説明した波状凹凸パターン(1)に該当する。
第5実施形態例の表面微細凹凸シートにおける波状凹凸パターン(1D)は、上述の波状凹凸パターン(1A)に加えて、別の波状凹凸パターン(1−b)を有する。
図13(a)は、第5実施形態例の表面微細凹凸シート10Dについて、法線方向から観察した様子を示す模式的な平面図、図13(b)は、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、後述の波状凹凸パターン(1−b)の凸条部11cの配列方向に平行な側面を示す側面図、図13(c)は、表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11dの配列方向に平行な側面の側面図である。
波状凹凸パターン(1A)における凸条部11dの配列方向と、波状凹凸パターン(1−b)における凸条部11cの配列方向とは、ほぼ直交し、これらの配列方向のなす角度は、波状凹凸パターンを平面視した場合において90±10°の範囲内である。
その他の点は第1実施形態例と同様である。
波状凹凸パターン(1D)は、凸条部11dと凸条部11cとが互いにほぼ直交(±10°の範囲内)しているパターン、すなわち、波状凹凸パターン(1A)と波状凹凸パターン(1−b)とが重畳したパターンであるため、光拡散性の異方性が弱められており、波状凹凸パターンの主拡散方向と低拡散方向とにおける拡散角度の差は小さい傾向にある。
波状凹凸パターン(1−b)は、波状凹凸パターン(1A)と同様に、以下の特徴を有する。
(a’)各凸条部11cが蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凸条部11cの稜線が蛇行し、隣接する凸条部11cの稜線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に稜線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の稜線が途中で枝分かれしたり、複数の稜線が途中で合一していてもよい。
(b’)各凹条部11eが蛇行しており、かつ、互いに非平行である。すなわち、各凹条部11eの谷線が蛇行し、隣接する凹条部11eの谷線の間隔が一定ではなく、連続的に変化している。ただし、部分的に谷線の間隔が一定である部分を含んでいてもよい。また、1本の谷線が途中で枝分かれしたり、複数の谷線が途中で合一していてもよい。
また、波状凹凸パターン(1−b)において、各凸条部11cの縦断面形状(表面微細凹凸シートの法線方向に平行で、かつ、凸条部11cの配列方向に沿って切断される切断面における形状。)は、互いに異なっており一律ではなく、不規則である。
また、各凸条部11cの上記縦断面形状は、それぞれが基端側から先端側に向かって細くなる先細り形状であるとともに、先端が丸みを帯びている。なお、波状凹凸パターン(1−b)は、各凸条部11cの上記縦断面形状において、先端側と基端側を結ぶ線は、滑らかであり、先端側から基端側に向けて連続的に下降している。また、各凸条部11cは、上述の縦断面形状およびその面積のうちの少なくとも一方が、当該凸条部11cの延在方向(筋状に延びている方向)に沿って変化しており、一定でない。
また、各凸条部11cにおいて、稜線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
また、各凹条部11eにおいて、谷線の高さが一定しておらず、連続的に変化する高低差を有している。ただし、部分的に高低差のない部分を含んでいてもよい。
波状凹凸パターン(1D)を構成している波状凹凸パターン(1A)の凸条部11dの平均ピッチおよびアスペクト比の求め方等は、第1実施形態例で説明したとおりであり、波状凹凸パターン(1−b)の凸条部11cについても同様である。波状凹凸パターン(1A)および(1−b)の平均ピッチおよびアスペクト比は、適宜調整できるが、波状凹凸パターン(1A)よりも波状凹凸パターン(1−b)の方が、小さいことが好ましい。
たとえば本実施形態例においては、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11dの平均ピッチは、5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましく、15〜30μmであることがさらに好ましい。平均ピッチが上記範囲の下限以上であると、表面微細凹凸シートを容易に製造できる。平均ピッチが上記範囲の上限値以下であると、表面微細凹凸シートを照明装置に使用した場合に、波状凹凸パターン(1A)が好ましくない輝線として視認されにくい。
一方、波状凹凸パターン(1−b)の凸条部11cの平均ピッチは、1〜25μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましく、5〜15μmであることがさらに好ましい。平均ピッチが上記範囲内であると、表面微細凹凸シート10Dを容易に製造できる。
波状凹凸パターン(1A)および(1−b)の各凸条部11c,11dのアスペクト比は、それぞれ、0.1〜1.0であることが好ましく、0.2〜0.8であることがより好ましく、0.3〜0.6であることがさらに好ましい。
波状凹凸パターン(1A)のアスペクト比が、上記範囲の下限値以上であると、波状凹凸パターン(1A)により視野角確保効果、輝度ムラ解消効果が充分に得られ、上記範囲の上限値以下であると、波状凹凸パターン(1A)を容易に形成できる。波状凹凸パターン(1−b)のアスペクト比が上記範囲内であると、光拡散性が損なわれない。
本実施形態例の表面微細凹凸シート10Dにおいて、波状凹凸パターンの主拡散方向は、先に説明した方法により求めることができる。
主拡散方向の拡散角度は、適宜調整できるが、たとえば10°以上であることが好ましく、たとえば15°以上であることがより好ましい。また、たとえば40°以下であることが好ましく、たとえば30°以下であることがより好ましい。
一方、主拡散方向に対して垂直な方向は、拡散角度の低い「低拡散方向」である。
低拡散方向における光の拡散角度は、適宜調整できるが、主拡散方向の拡散角度よりも小さく、かつ、たとえば2°以上であることが好ましい。また、15°以下であることが好ましい。
主拡散方向の拡散角度、低拡散方向の拡散角度は、波状凹凸パターン(1A)および(1−b)それぞれの凸条部11c,11dの平均ピッチ、アスペクト比(平均高さ/平均ピッチ)等を調整すること等により制御できる。
第5実施形態例の表面微細凹凸シート10Dの好ましい厚み等は、第1実施形態例の表面微細凹凸シートと同程度である。
第5実施形態例の表面微細凹凸シート10Dは、概略、第1実施形態例の表面微細凹凸シートと同様の製造方法で製造できる。
ただし、上述の工程(a1)のうちの工程(a1−1)のみ異なる。
すなわち、第1実施形態例の工程(a1−1)では、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、表面が平滑な硬質層を積層させるが、本実施形態例の製造方法における工程(a1−1)では、加熱収縮性樹脂フィルムの片面に、表面に波状凹凸パターン(1−b)が形成された硬質層を形成する。硬質層の形成には、未硬化の透明な電離放射線硬化性樹脂を用いる。
また、本実施形態例の波状凹凸パターン(1D)の形成には、特開2012−252149号公報(特許第5637074号公報)等を参照できる。
以下に本実施形態例における工程(a1−1)を説明する。
加熱収縮性樹脂フィルムとしては、1軸延伸フィルムを用いる。その材質(樹脂L)、収縮率、樹脂Lのガラス転移温度、ヤング率等の好ましい態様および範囲は、第1実施形態例と同様である。加熱収縮性樹脂フィルムとしては、透光性(透明)のものを用いる。
ついで、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター等のコーターで、未硬化の電離放射線硬化性樹脂のうちの1種以上を加熱収縮性樹脂フィルムの片面に塗工し、塗工層を形成する。そして、表面に波状凹凸パターン(1−b)の転写形状を有するスタンパを用意し、該スタンパを塗工層に押し当て、その状態のまま、加熱収縮性樹脂フィルム側から電離放射線を照射し、電離放射線硬化性樹脂を硬化させ、硬化層を形成する。その後、スタンパを剥離する。
この際、スタンパにおける凸条部の延在方向と、加熱収縮性樹脂フィルムの加熱収縮の方向とが一致するように、スタンパを押し当てる。
これにより、加熱収縮性フィルムの片面に、波状凹凸パターン(1−b)が形成された硬質層を有する積層フィルムが得られる。
未硬化の電離放射線硬化性樹脂としては、第1実施形態例の製造方法(B)で例示したものを好適に使用できるが、なかでも、硬化後のガラス転移温度が、加熱収縮性樹脂フィルムを構成している樹脂Lよりも10℃以上高く、また、ヤング率が0.01〜300GPa、好ましくは0.1〜10GPaの樹脂が好適である。
硬質層の厚さは、0.5μmを超え、20μm以下とすることが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
ガラス転移温度およびヤング率が上記の条件を満たし、かつ、硬質層の厚さが上記範囲内であれば、本実施形態例における波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチを上記範囲内に調整しやすい。硬質層の厚さが上記範囲の下限値未満であると、波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチが小さくなり過ぎる傾向にあり、上記範囲の上限値を超えると、加熱収縮性樹脂フィルムの収縮が阻害され、波状凹凸パターン(1A)が良好に形成されない傾向にある。
なお、電離放射線硬化性樹脂は溶媒等で希釈することが好ましい。また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂には、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を添加してもよい。また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性である場合には、未硬化の電離放射線硬化性樹脂にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等の光重合開始剤を添加することが好ましい。
また、電離放射線硬化性樹脂の代わりに、例えば、未硬化のメラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂や、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を用いて転写を行ってもよく、転写できる限り、その具体的方法、転写する材料に制限はない。
熱硬化性樹脂を用いる場合には、例えば液状の未硬化の熱硬化性樹脂を塗布し、加熱により硬化させる方法が挙げられ、熱可塑性樹脂を用いる場合には、熱可塑性樹脂のシートを用い、転写対象の面に押し当てながら加熱して軟化させた後、冷却する方法が挙げられる。
工程(a1−1)の後、第1実施形態例と同様にして工程(a1−2)を行い、加熱収縮性フィルムを収縮させることにより、表面に、波状凹凸パターン(1D)が形成された凹凸パターン形成シートを得る。
ついで、第1実施形態例と同様にして工程(a1−3)を行い、波状凹凸パターン(1D)の転写形状が転写された原版(W)を得る。
硬質層の厚さが薄いほど、また、硬質層のヤング率が低いほど、波状凹凸パターン(1A)の平均ピッチが小さくなり、また、加熱収縮性樹脂フィルムの収縮率が高いほど、凸条部11dの高さが大きくなる。したがって、これらの条件を調整すれば、波状凹凸パターン(1A)の凸条部11dのピッチおよび高さを所望の値に制御できる。
なお、表面に波状凹凸パターン(1−b)の転写形状を有するスタンパは、第1実施形態例における工程(a1)と同様の手法で製造できる。また、たとえば特開2012−252149号公報(特許第5637074号公報)を参照できる。
<作用効果>
以上、各実施形態例を示して説明した本発明の反射型スクリーンは、フロントプロジェクターから投射された映像を投影するスクリーンとして好適に使用できる。
図14および図15は本発明の反射型スクリーンの、それぞれフレネルレンズ形状Iを用いたタイプおよびフレネルレンズ形状IIを用いたタイプの使用方法の一例について説明するための模式図である。
図14(a)および図15(a)は、反射型スクリーン100、プロジェクター200、および観察者(F)をY軸方向から見た場合の模式図であり、図14(b)および図15(b)はそれらをX軸方向から見た場合の模式図である。反射型スクリーン100は鉛直方向とX軸方向がほぼ一致するように、また、プロジェクター200と観察者(F)(1人の場合)とを含む面がX軸方向およびZ軸方向を含む面とほぼ一致するように設置されている。また、プロジェクター200は観察者(F)の斜め上方後方に設置されている。
図14のようにフレネルレンズ形状Iを用いた反射型スクリーン100Iは、プロジェクター200から投射された光を、フレネルレンズ形状Iの作用により、波状凹凸パターンから出射する直前に、反射型スクリーン100Iの基準面の法線方向と等しい方向の光つまり平行光にすることができる。前記平行光は波状凹凸パターンから出射する際に、Y軸方向が主拡散方向となるように拡散し、観察者(F)にとどく。この場合、観察者(F)が1人ではなく、Y軸方向とZ軸方向とを含む面上に複数存在するような場合でも映像を観察することができる。
一方、図15のようにフレネルレンズ形状IIを用いた反射型スクリーン100IIは、プロジェクター200から投射された光を、フレネルレンズ形状IIの作用により、波状凹凸パターンから出射する直前に、観察者(F)に対して集光する光にすることができる。前記集光された光は波状凹凸パターンから出射する際に、Y軸方向が主拡散方向となるように拡散し、観察者(F)にとどく。この場合、観察者(F)が1人ではなく、Y軸方向とZ軸方向とを含む面上に複数存在するような場合でも映像を観察することができる。ただし、図14の反射型スクリーン100Iとの違いは、複数の観察者(F)はY軸方向とZ軸方向とを含む面の中でも、映像が集光され焦点を結ぶ場所、つまり、反射型スクリーン100IIと観察者(F)との距離がほぼ一定となる円周上に位置する必要がある。それ以外の場所では例えY軸方向とZ軸方向とを含む面内でも、映像の一部または全ての部分で輝度が低下する。
反射型スクリーン100Iは観察者(F)が複数おり、また、それぞれの反射型スクリーン100Iからの距離が一定ではない場合に有効であるが、その分、様々な位置でも映像の輝度を低下させないため、投射光の強度を強くする必要がある。
それに対して、反射型スクリーン100IIは、観察者(F)が複数いても、それぞれの反射型スクリーンIIからの距離を一定に出来るような比較的少人数の場合に、映像の円周上焦点以外に配光させる必要がないため、投射光の強度を軽減可能である。
前述のように、本発明の反射型スクリーンを構成する表面微細凹凸シートは、Y軸方向が主拡散方向であり、X軸方向が低拡散方向であることにより、反射型スクリーンとして使用した場合に、鉛直方向であるX軸方向の拡散性が相対的に小さいため、斜め上方から入射した外光がX軸方向に拡散され、つまり方向以外の方向に拡散され、観察者(F)に視認されることにより、プロジェクターからの投射映像のコントラストが低下する恐れが少ない。
また、前述のように、本発明の反射型スクリーンを構成する表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンは、Z軸方向から見た場合に互いに非平行で、また、Y軸とZ軸とを含む平面で切断した場合の断面形状が波状で互いに不規則な形状であるため、例えば、本表面微細凹凸シートの代わりに断面が円の一部である複数の凹凸形状がX軸方向に互いに平行に延在し、一定間隔で配列しているレンチキュラーレンズシートと比較して、モアレ干渉縞を発生しにくい、という特徴を有する。
さらに、本発明の反射型スクリーンを構成する表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンは、プロジェクターからの投射光が入射する側に形成される場合(本発明)とその反対側に形成される場合とで、前記投射光の取り込み効率が異なり、その結果として、観察者(F)に届く光量つまり観察者(F)から見た場合の輝度が異なることを見出した。
本発明の反射型スクリーン(図1参照)との比較のために、図16に示すように、表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンが、プロジェクターからの投射光が入射する側と反対側に形成された反射型スクリーンを考える。ここで、図1および図16の反射型スクリーンに使用する表面微細凹凸シートの拡散角度は、主拡散方向が33°であり、低拡散方向が3°である。
また、フレネルレンズ形状は図17に示すようなフレネルレンズ形状I、および図18に示すようなフレネルレンズ形状IIの2ケースについて述べる。
図17は本発明の反射型スクリーンIにおいて、表面微細凹凸シートがない場合(厳密には、プロジェクターからの投射光が入射する際には表面微細凹凸シートがあり、前記入射光がフレネルレンズ形状Iを通過、反射層で反射し、さらにフレネルレンズ形状Iを再通過し、反射型スクリーンから出射する際に表面微細凹凸シートがない場合)の反射型スクリーンIからの出射光の光跡を示しており、図17(a)および(b)はそれぞれ、Y軸方向から見た場合およびX軸方向から見た場合である。斜め上方に設置されたプロジェクターから投射された光は、X軸方向から見た場合にθの角度で広がりながら反射型スクリーンIに入射する。入射光は、反射型スクリーンIから出射する際、表面微細凹凸シートがない状態では、X、Y軸いずれの方向から見た場合も、ほぼ平行光になる。
以上から、反射型スクリーンIの表面微細凹凸シートにプロジェクターからの投射光が入射し、フレネルレンズ形状Iと反射層で偏向・反射した光が表面微細凹凸シートから出射する場合の投射光の取り込み効率を評価する場合、表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンの影響が大きい主拡散方向、つまりY方向について考えると、下記≪1≫、≪2≫それぞれの場合の取り込み効率を測定すればいいことがわかる。
≪1≫表面微細凹凸シートのプロジェクター側の面にθの角度で広がる光が入光し、反対面から出光する場合
≪2≫表面微細凹凸シートの反対面に平行光が入光し、プロジェクター側の面から出光する場合
図18は本発明の反射型スクリーンIIにおいて、表面微細凹凸シートがない場合(厳密には、プロジェクターからの投射光が入射する際には表面微細凹凸シートがあり、前記入射光がフレネルレンズ形状IIを通過、反射層で反射し、さらにフレネルレンズ形状IIを再通過し、反射型スクリーンから出射する際に表面微細凹凸シートがない場合)の反射型スクリーンIIからの出射光の光跡を示しており、図18(a)および(b)はそれぞれ、Y軸方向から見た場合およびX軸方向から見た場合である。斜め上方に設置されたプロジェクターから投射された光は、X軸方向から見た場合にθの角度で広がりながら反射型スクリーンIIに入射する。入射光は、反射型スクリーンIIから出射する際、表面微細凹凸シートがない状態では、X、Y軸いずれの方向から見た場合も、ほぼ観察者(F)の位置が焦点となるようにθの角度で集光する。
以上から、反射型スクリーンIIの表面微細凹凸シートにプロジェクターからの投射光が入射し、フレネルレンズ形状IIと反射層で偏向・反射した光が表面微細凹凸シートから出射する場合の投射光の取り込み効率を評価する場合、表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンの影響が大きい主拡散方向、つまりY方向について考えると、下記≪3≫、≪4≫それぞれの場合の取り込み効率を測定すればいいことがわかる。
≪3≫表面微細凹凸シートのプロジェクター側の面にθの角度で広がる光が入光し、反対面から出光する場合
≪4≫表面微細凹凸シートの反対面にθの角度で集光する光が入光し、プロジェクター側の面から出光する場合
また、本発明の表面微細凹凸シートの主拡散方向における照度曲線は+方向、−方方向で分布に差がないことから、表面微細凹凸シート上の波状凹凸パターンはマクロでみると+方向、−方向で対称である。つまり、前記≪4≫の取り込み効率を考える場合、「θの角度で集光する光」≒「θの角度で広がる光」と考えてよい。
ここで、θおよびθの角度範囲について考える。一般的にスクリーンサイズとプレプロジェクターからスクリーンまでの距離との比率の最適値は、スクリーンサイズが変わっても概ね一定であり、θの角度範囲は〜36°とされている。また、一般的にスクリーンサイズとスクリーンから観察者(F)までの距離との比率の最適値も、スクリーンサイズが変わっても概ね一定であり、θの角度範囲は26°〜40°とされている。
つまり、反射型スクリーンIおよびII両者について、プロジェクターからの投射光の取り込み効率を考える場合は、「表面微細凹凸シートのプロジェクター側の面にθの角度で広がる光(≒照射角0〜36°の光)を入光させ反対面から出光させる場合」と「表面微細凹凸シートの反対面に平行光またはθの角度で広がる光(≒照射角0〜40°の光)を入光させ、プロジェクター側の面から出光させる場合」とのトータルの取り込み効率(≒全光線透過率)を評価すればよい。
図19に、前記、主拡散方向および低拡散方向の拡散角度がそれぞれ33°、3°の表面微細凹凸シートに、照射角の異なる光を、「波状凹凸パターン面から入射させ、反対面から出射させた場合(図19の●)」および「反対面から入射させ、波状凹凸パターン面から出射させた場合(図19の○)」の全光線透過率を示す。
照射角が0〜60°の範囲では、波状凹凸パターン面から入射させ、反対面から出射させた場合の方が、全光線透過率が高いことがわかる。
波状パターン面または反対面から入射させた場合の全光線透過率が異なる(反対面から入射させた場合の全光線透過率が低い)理由としては、波状凹凸パターン面の反対面から入射した光は、波状凹凸パターン面から出射する際、その一部が屈折率が相対的に大きい波状凹凸パターンと屈折率が相対的に小さい空気層との界面で全反射し、前記反対面から出射してしまいロスになるためと考えられる。
一方、波状凹凸パターン面から光が入射する場合は、屈折率が相対的に小さい空気層から屈折率が相対的に大きい波状凹凸パターンへの入射となるため、全反射は起きない。
なお、全光線透過率は、ヘーズメーター(例えば株式会社村上色彩技術研究所製HM−150)にて、各照射角の異なる光を表面微細凹凸シートに入射させた場合の出射光が全て検出できるようにアパーチャー等を調整することで測定した。
ここで、前記全光線透過率と、図1(本発明)および図16の場合のプロジェクターからの光の取り込み効率との関係について考察する。
図1(本発明)の場合、プロジェクターから投射された光は全反射によるロスなく表面微細凹凸シートに取り込まれる。その後、フレネルレンズ形状、反射層を通過した光が表面微細凹凸シートから出射する際に、その一部は全反射によりフレネルレンズ形状に戻されるが、戻された光も反射層にて再度反射するため、最終的には、表面微細凹凸シートから出射可能な角度の光となり出射し、観察者(F)に届けられる。つまり、最終的には、表面微細凹凸シートに取り込まれた光はほぼ全て観察者(F)に届くため、映像の輝度の低下がない。
それに対して、図16の場合、プロジェクターから投射された光の一部は波状凹凸パターンと空気層界面での全反射により、フレネルレンズ形状まで届く前に表面凹凸パターンシートから出射する。そのように出射した光はフレネルレンズ形状で、観察者(F)にとって最適角度に調整されることなく表面微細凹凸シートから出射するため、観察者(F)に届かないものも含まれ、その結果、観察者(F)にとって映像の輝度が低下する、と考えられる。
以下、本発明について、実施例を例示して具体的に説明する。
(実施例1)
[波状凹凸パターンのニッケル2次原版]
下記塗工液(1)をポリエチレンテレフタレート一軸方向加熱収縮性フィルム(三菱樹脂株式会社製「LX-18S」、厚さ:60μm、ガラス転移温度Tg=75℃)の片面に、塗工乾燥後の硬質層の厚みt’が2.5μmになるようにバーコーター (メイヤーバー♯18)により塗工し、積層シートを得た。
塗工液(1):
アクリル樹脂A(ガラス転移温度Tg2M=105℃)をトルエンに加え、固形分濃度7質量%の塗工液(1)を得た。なお、上記アクリル樹脂Aは固形分濃度20質量%であるが、本例での質量比および濃度は、正味量(固形分量)で計算した値である。以下の例についても、正味量で計算している。
次いで、該積層シートを熱風式オーブンを用いて100℃で30秒間加熱することにより、ポリエチレンテレフタレート一軸方向加熱収縮性フィルムを、加熱前の長さの45%に熱収縮させ(変形率として55%)、硬質層を折り畳むように変形させた。これにより、波状の凹凸パターンが層の表面に形成された波状凹凸パターンシート(原版)を得た。
形成された波状凹凸パターンの凸条部は、それぞれが略平行であるが蛇行して、不規則に形成されていた。
また、フーリエ変換画像の画像解析により求めた凸条部の平均ピッチは、20μmであり、平均高さは11μmであった。
次いで、得られた波状凹凸パターンシート(原版)の表面に、ニッケル電気鋳造法にて、ニッケルを500μmの厚さになるように堆積させた。ついで、堆積させたニッケルを波状凹凸パターンシート(原版)から剥離し、表面に波状凹凸パターンシートの波状凹凸の反転パターンが転写されたニッケル2次原版を得た。
[表面微細凹凸シート]
次いで、透明PET基材(東洋紡株式会社製「A4300」、厚さ:188μm)の片面に未硬化の紫外線硬化性樹脂B(ソニーケミカル社製)を厚さ20μmとなるように塗布し、塗布された紫外線硬化性樹脂Bに対して、ニッケル2次原版の上記反転パターンを有する面を押し当て、紫外線を照射して硬化させ、硬化後、ニッケル2次原版を剥離して、透明PET基材上に、紫外線硬化性樹脂の硬化物からなる表面層が形成され、該表面層の表面に、上記の波状凹凸パターンシート(原版)と同じ微細凹凸が形成された表面微細凹凸シートを得た。
[反射型スクリーン]
次いで、前記表面微細凹凸シートの波状凹凸パターンが形成された面の反対側の面に未硬化の紫外線硬化性樹脂B(ソニーケミカル社製)を厚さ100μmとなるように塗布し、塗布された紫外線硬化性樹脂Bに対して、別途準備したフレネルレンズ形状(前記Iのタイプ)を有する金属型のフレネルレンズ形状を有する面を押し当て、波状凹凸パターン形成面側から紫外線を照射して硬化させ、硬化後、前記フレネルレンズ形状を有する金属型を剥離して、前記表面微細凹凸シートの波状凹凸パターン形成面と反対面にフレネルレンズ形状を形成した。
次いで、前記表面微細凹凸シートのフレネルレンズ形状が形成された面にアルミニウムを厚さ200nmとなるように蒸着し、透明PET基材上の片方の面に波状凹凸パターンが形成され、もう片方の面にフレネルレンズ形状I、反射層がこの順に形成された反射型スクリーン(前記Iのタイプ)を得た。
(実施例2)
[反射型スクリーン]
別途準備したフレネルレンズ形状が前記IIのタイプである以外は、実施例1と同様にして、反射型スクリーン(前記IIのタイプ)を得た。
(比較例1)
[反射型スクリーン]
実施例1と同様にして表面微細凹凸シートを得た。
次いで、別途用意した透明PET基材(東洋紡株式会社製「A4300」、厚さ:188μm)の片方の面に実施例1と同様にしてフレネルレンズ形状IIおよび反射層を形成し、前記表面微細凹凸シートの透明PET基材、波状凹凸パターンがこの順に積層し、さらに透明PET基材、フレネルレンズ形状II、反射層がこの順に積層した反射型スクリーンを得た。
このようにして得た反射スクリーンは、表面微細凹凸シートの透明PET基材と波状凹凸パターンは一体化しており、また、別の透明PET基材とフレネルレンズ形状IIと反射層からなる積層体は一体化しているが、表面微細凹凸シートと積層体は接触しているが一体化はしていない。
(比較例2)
[反射型スクリーン]
波状凹凸パターンの代わりに、レンチキュラーレンズパターンを使用する以外は実施例1と同様にして、反射型スクリーンを得た。
(評価)
上記の各例で得られた反射型スクリーンの主拡散方向(Y軸方向)の照射角を表1に示す。
ここで、主拡散方向の照射角とは、図14(実施例1、比較例1および2の場合)および図15(実施例2の場合)に示すような反射型シート、プロジェクターおよび観察者(F)の位置関係にて、θが30°、反射型スクリーンサイズがY軸方向1,100mm、X軸方向620mmで反射型スクリーンと観察者(F)との距離が1,500mmで、プロジェクターおよび観察者(F)は、反射型スクリーンのY軸方向中心から伸ばした法線上に配置される場合、プロジェクターから反射型スクリーンに白色光を投射し、Y軸方向における照度曲線を前述の方法にて測定し、反射型スクリーンの基準面の法線方向における照度を1とした時、照度が0.5以上となる角度範囲のことである。
上記の各例で得られた反射型スクリーンにプロジェクターから白色光を投射し、観察者(F)の位置にて、正面輝度を測定し、また、モアレ干渉縞を目視評価した。
その測定および評価結果を表1に示す。モアレ干渉縞の目視評価基準は下記とした。
モアレ干渉縞がない場合:○
モアレ干渉縞がある場合:×
Figure 2017187561
実施例1および2の反射型スクリーンはプロジェクターからの投射光の入射側に波状凹凸パターンを有することで、投射光の取り込み効率が大きくなるため、相対正面輝度が高く、また、モアレ干渉縞もないが、比較例1の反射型スクリーンはプロジェクターからの投射光の入射側に波状凹凸パターンがなく、投射光の取り込み効率が小さくなるため、相対正面輝度が低下し、また、比較例2はプロジェクターからの投射光の入射側に波状凹凸パターンではなく規則形状であるレンチキュラーレンズパターンを有するため、モアレ干渉縞がある。
10A、10D:表面微細凹凸シート
10AA:波状凹凸パターン層(波状凹凸パターンが形成された表面層)
10AB:基材
11:波状凹凸パターン形成面
11a、11b、11c、11d、32a、33a、42a:凸条部
11e、32b、33b、42b:凹条部
20:フレネルレンズ形状
30:反射層
43:凸部
100、100I、100II:反射型スクリーン
200:プロジェクター
(F)(図14、図15、図17及び図18においてFを○で囲った記号):観察者
θ、θ:光の広がる角度

Claims (4)

  1. 少なくとも(1)反射層、(2)フレネルレンズ形状層、及び(3)表面微細凹凸シート、を順に有する反射型スクリーンであって、
    前記反射型スクリーンの表面に、不規則な波状凹凸パターンが形成されている
    反射型スクリーン。
  2. 前記表面微細凹凸シートが、基材及び波状凹凸パターン層から構成されており、
    前記波状凹凸パターン層の一方の表面に、前記不規則な波状凹凸パターンが形成されている、
    請求項1に記載の反射型スクリーン。
  3. フロントプロジェクター用である、請求項1又は2に記載の反射型スクリーン。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の反射型スクリーンの使用方法であって、
    前記反射型スクリーンの前記波状凹凸パターンとフロントプロジェクターとが対向するように前記反射型スクリーンを配置し、
    前記表面微細凹凸シートの主拡散方向が水平方向と略一致するように、前記反射型スクリーンを配置する、
    反射型スクリーンの使用方法。
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