JP2017185690A - 導電性基板、導電性基板の製造方法 - Google Patents

導電性基板、導電性基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温、高湿度下に曝された場合でも安定した入力動作を行うことが可能な導電性基板を提供することを目的とする。【解決手段】透明基材と、前記透明基材の少なくとも一方の面上に配置された銅層と、前記銅層上に配置された黒化層と、を有し、前記銅層の平均厚さが0.2μm以上2.0μm以下であり、前記銅層の前記黒化層と対向する面の表面粗さRaが0.02μm以上0.06μm以下であり、初期の表面抵抗値をR0とし、85℃、85%RHの雰囲気下で1000時間放置した後の表面抵抗値をR1000とした場合に、0.8≦R0/R1000≦1.0を満たす導電性基板を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性基板、導電性基板の製造方法に関する。
静電容量式タッチパネルは、パネル表面に近接する物体により引き起こされる静電容量の変化を検出することにより、パネル表面上での近接する物体の位置の情報を電気信号に変換する。静電容量式タッチパネルに用いられる導電性基板は、ディスプレイの表面に設置されるため、導電性基板の導電層の材料には反射率が低く、視認されにくいことが要求されている。
そこで、静電容量式タッチパネルに用いられる導電性基板の導電層の材料としては、反射率が低く、視認されにくい材料が用いられ、透明基板または透明なフィルム上に配線が形成されている。
例えば、特許文献1には、高分子フィルムおよびその上に気相成膜法により設けられた金属酸化物からなる透明導電膜を含む透明導電性フィルムであって、金属酸化物からなる透明導電膜が、第一の金属酸化物からなる透明導電膜およびその上に設けられた第二の金属酸化物からなる透明導電膜からなり、かつ第二の金属酸化物からなる透明導電膜が第一の金属酸化物からなる透明導電膜の成膜条件と異なる条件で形成されていることを特徴とする透明導電性フィルムが開示されている。そして、金属酸化物からなる透明導電膜が酸化インジウム−酸化スズ(ITO)膜であることも開示されている。
ところで、近年タッチパネルを備えたディスプレイの大画面化や、高性能化が進んでおり、これに対応するために、導電層の材料として、電気抵抗が高いITOにかえて、銅等の金属を用いることが検討されている(例えば特許文献2、3を参照)。ただし、金属は金属光沢を有しているため、反射によりディスプレイの視認性が低下するという問題がある。このため、導電層となる銅等の金属層と共に、黒色の材料により構成される黒化層を有する導電性基板が検討されている。
また、これまでタッチパネルは、携帯情報端末やノートパソコン等の用途で主に用いられていたが、その優れた入力方式が認知され、屋外の自動販売機や、自動車等の各種用途にも採用されるようになってきている。そして、例えば屋外の自動販売機や、自動車等で用いる場合、高温、高湿度の環境下に曝されることもあるため、タッチパネルに適用する導電性基板については、係る環境下においても正常に動作することが求められる場合がある。
特開2003−151358号公報 特開2011−018194号公報 特開2013−069261号公報
しかしながら、既述の金属層と、黒化層とを備えた導電性基板を、高温、高湿度の環境下に長期間曝すと、安定した入力動作ができない場合があった。
上記従来技術の問題に鑑み、本発明の一側面では、高温、高湿度下に曝された場合でも安定した入力動作を行うことが可能な導電性基板を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の一態様によれば、
透明基材と、
前記透明基材の少なくとも一方の面上に配置された銅層と、
前記銅層上に配置された黒化層と、を有し、
前記銅層の平均厚さが0.2μm以上2.0μm以下であり、
前記銅層の前記黒化層と対向する面の表面粗さRaが0.02μm以上0.06μm以下であり、
初期の表面抵抗値をR0とし、85℃、85%RHの雰囲気下で1000時間放置した後の表面抵抗値をR1000とした場合に、0.8≦R0/R1000≦1.0を満たす導電性基板を提供する。
本発明の一態様によれば、高温、高湿度下に曝された場合でも安定した入力動作を行うことが可能な導電性基板を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る導電性基板の断面図。 本発明の実施形態に係る導電性基板の断面図。 本発明の実施形態に係るメッシュ状の配線を備えた導電性基板の上面図。 図3のA−A´線における断面図。
以下、本発明の導電性基板、および、導電性基板の製造方法の一実施形態について説明する。
(導電性基板)
本実施形態の導電性基板は、透明基材と、透明基材の少なくとも一方の面上に配置された銅層と、銅層上に配置された黒化層と、を有することができる。
そして、銅層は、平均厚さを0.2μm以上2.0μm以下、銅層の黒化層と対向する面の表面粗さRaを0.02μm以上0.06μm以下とすることができる。
また、本実施形態の導電性基板は、初期の表面抵抗値をR0とし、85℃、85%RHの雰囲気下で1000時間放置した後の表面抵抗値をR1000とした場合に、0.8≦R0/R1000≦1.0を満たすことができる。
なお、本実施形態における導電性基板とは、銅層等をパターニングする前の透明基材の表面に銅層や黒化層を有する基板と、銅層等をパターニングして配線の形状にした基板、すなわち、配線基板とを含む。
ここでまず、本実施形態の導電性基板に含まれる各部材について以下に説明する。
透明基材としては特に限定されるものではなく、可視光を透過する絶縁体フィルムや、ガラス基板等を好ましく用いることができる。
可視光を透過する絶縁体フィルムとしては例えば、ポリアミド系フィルム、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、シクロオレフィン系フィルム、ポリイミド系フィルム、ポリカーボネート系フィルム等から選択された1種以上の樹脂フィルム等を好ましく用いることができる。
特に、可視光を透過する絶縁体フィルムの材料として、ポリアミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、COP(シクロオレフィンポリマー)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリイミド、ポリカーボネート等から選択された1種以上をより好ましく用いることができる。
透明基材の厚さについては特に限定されず、導電性基板とした場合に要求される強度や静電容量、光の透過率等に応じて任意に選択することができる。透明基材の厚さとしては例えば10μm以上200μm以下とすることができる。特にタッチパネルの用途に用いる場合、透明基材の厚さは20μm以上120μm以下とすることが好ましく、20μm以上100μm以下とすることがより好ましい。タッチパネルの用途に用いる場合で、例えば特にディスプレイ全体の厚さを薄くすることが求められる用途においては、透明基材の厚さは20μm以上50μm以下であることが好ましい。
透明基材の全光線透過率は高い方が好ましく、例えば全光線透過率は30%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましい。透明基材の全光線透過率が上記範囲であることにより、例えばタッチパネルの用途に用いた場合にディスプレイの視認性を十分に確保することができる。
なお透明基材の全光線透過率はJIS K 7361−1に規定される方法により評価することができる。
次に銅層について説明する。
透明基材の少なくとも一方の面上に銅層を形成する際の銅層の構成は特に限定されるものではないが、光の透過率を低減させないため、銅層と透明基材との間、または、銅層と密着層との間に接着剤を配置しないことが好ましい。すなわち銅層は、他の部材の上面に直接形成されていることが好ましい。
他の部材の上面に銅層を直接形成するため、銅層は銅薄膜層を有することが好ましい。また、銅層は銅薄膜層と銅めっき層とを有していてもよい。
例えば透明基材の少なくとも一方の面上に、乾式めっき法により銅薄膜層を形成し、該銅薄膜層を銅層とすることができる。これにより、透明基材または密着層上に接着剤を介さずに銅層を形成できる。
銅薄膜層を乾式めっき法により成膜する具体的な方法としては、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等が挙げられる。特に膜厚の制御が容易であることからスパッタリング法を用いることが好ましい。
また銅層をより厚くする場合には、乾式めっきにより銅薄膜層を成膜後に湿式めっき法により銅めっき層を成膜することもできる。すなわち、例えば透明基材または密着層上に、乾式めっき法により銅薄膜層を形成し、該銅薄膜層を給電層として、湿式めっき法により銅めっき層を形成することができる。この場合、銅層は銅薄膜層と、銅めっき層とを有することになる。そして、銅層が銅薄膜層と銅めっき層とを有することで、この場合も透明基材または密着層上に接着剤を介さずに直接銅層を形成できる。
ここまで説明したように、銅層を乾式めっき法のみ、または乾式めっき法と湿式めっき法とを組み合わせて形成することにより透明基材または密着層上に接着剤を介さずに直接銅層を形成できるため好ましい。
ただし、本実施形態の導電性基板においては、銅層はその表面、すなわち銅層上に形成する黒化層と対向する面について、所定の表面粗さを有することが好ましい。そして、湿式めっき法によれば、表面粗さを調整するためのさらなる工程を要することなく、特に容易に銅層表面の表面粗さを制御できる。このため、本実施形態の導電性基板において銅層は、湿式めっき法により成膜した銅めっき層を有することが好ましい。
銅層の厚さは特に限定されるものではなく、銅層を配線として用いた場合に、該配線に供給する電流の大きさや配線幅等に応じて任意に選択することができる。
ただし、銅層が厚くなると、配線パターンを形成するためにエッチングを行う際にエッチングに時間を要するためサイドエッチが生じ易くなり、細線が形成しにくくなる等の問題を生じる場合がある。このため、銅層の平均厚さは2.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましい。
また、導電性基板の抵抗値を低くし、十分に電流を供給できるようにする観点から、例えば銅層は平均厚さが0.2μm以上であることが好ましく、0.4μm以上であることがより好ましい。
銅層の平均厚さとは、例えば銅層表面の任意の複数点で測定した場合の厚さの平均値を意味し、例えば銅層の表面100cm当り、2点以上で測定した厚さの平均値であることが好ましく、3点以上で測定した厚さの平均値であることが好ましい。ただし、生産性の観点から、例えば銅層の表面100cm当り、5点以下で測定した厚さの平均値であることが好ましく、4点以下で測定した厚さの平均値であることがより好ましい。
なお、銅層が上述のように銅薄膜層と、銅めっき層を有する場合には、銅薄膜層と、銅めっき層との合計の平均厚さが上記範囲であることが好ましい。
銅層が銅薄膜層により構成される場合、または銅薄膜層と銅めっき層とにより構成される場合のいずれの場合でも、銅薄膜層の平均厚さは特に限定されるものではないが、例えば50nm以上200nm以下とすることが好ましい。
そして、本実施形態の導電性基板においては、銅層の、銅層上に配置する黒化層と対向する面の表面粗さRaを0.02μm以上0.06μm以下とすることができる。
本発明の発明者らは、銅層、及び該銅層上に配置した黒化層を有する従来の導電性基板が、高温、高湿度の環境下に長期間曝された場合に安定した入力動作ができなくなる原因について、鋭意検討を行った。
まず、タッチパネル用の導電性基板においては、入力した位置の検出を行う際、検出器から導電性基板までの回路抵抗値Rcと、導電性基板の銅層及び黒化層を有する表面層の回路抵抗値Rtとの合計であるRc+Rtを基準抵抗として用いている。
そして、本発明の発明者らの検討によれば、導電性基板が高温、高湿度の環境下に長期間曝されると、導電性基板の銅層及び黒化層を有する表面層の回路抵抗値、すなわちRtに変化が生じていた。そして、係る変化が大きいと、基準抵抗が大きく変化するため、タッチパネルの入力精度が不十分となり、安定した入力動作ができなくなっていた。
そこで、導電性基板が高温、高湿度の環境下に曝されて、導電性基板の銅層及び黒化層を有する表面層の表面抵抗値に変化が生じる原因についてさらに検討を行った。その結果、導電性基板が高温、高湿度の環境下に曝された場合に、銅層と、黒化層との界面に水分が侵入する等して、銅層から黒化層が一部剥離したり、銅層、及び黒化層について、該界面を構成する面が酸化等により変質し、表面抵抗値が変化することを見出した。
そこで、本実施形態の導電性基板においては、銅層の、黒化層と対向する面(第2の銅層表面)の表面粗さRaを0.02μm以上とすることで、銅層と、黒化層との密着性を高めている。このため、導電性基板が高温、高湿度の環境下に曝された場合でも銅層と、黒化層との界面に水分が侵入することを抑制できる。さらには、銅層から黒化層が一部剥離したり、銅層、及び黒化層について、該界面を構成する面が酸化等により変質することを抑制し、導電性基板の銅層及び黒化層からなる表面層の表面抵抗値が変化することを抑制できる。
銅層の、黒化層と対向する面の表面粗さRaは0.03μm以上とすることがより好ましい。
ただし、銅層の、黒化層と対向する面(第2の銅層表面)の表面粗さRaを0.06μmよりも大きくすると、黒化層の色味に影響を与える場合があるため、銅層の黒化層と対向する面の表面粗さRaは0.06μm以下が好ましい。特に、銅層の黒化層と対向する面の表面粗さRaは0.05μm以下とすることがより好ましい。
なお、表面粗さRaはJIS B 0601(2013)に算術平均粗さとして規定されている。表面粗さRaの測定方法としては、触針法もしくは光学的方法等により評価することができる。
次に、黒化層について説明する。
銅層は金属光沢を有するため、透明基材上に銅層をエッチングした配線を形成したのみでは銅層が光を反射し、例えばタッチパネル用の配線基板として用いた場合、ディスプレイの視認性が低下するという問題があった。そこで、銅層表面における光の反射を抑制するため、本実施形態の導電性基板においては、透明基材の少なくとも一方の面上に黒化層を設けることができる。
黒化層は例えば、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選ばれる少なくとも1種以上の金属を含むことが好ましい。また、黒化層は、炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素をさらに含むこともできる。
なお、黒化層は、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選ばれる少なくとも2種以上の金属を含む金属合金を含むこともできる。この場合についても、黒化層は炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素をさらに含むこともできる。この際、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選ばれる少なくとも2種以上の金属を含む金属合金としては、Cu−Ti−Fe合金や、Cu−Ni−Fe合金、Ni−Cu合金、Ni−Zn合金、Ni−Ti合金、Ni−W合金、Ni−Cr合金、Ni−Cu−Cr合金を好ましく用いることができる。
黒化層の成膜方法は特に限定されるものではなく、任意の方法により形成することができ、例えば乾式めっき法、または湿式めっき法により成膜することができる。
黒化層を乾式めっき法により成膜する場合、その具体的な成膜方法は特に限定されるものではないが、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等を好ましく用いることができる。黒化層を乾式めっき法により成膜する場合、膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。なお、黒化層には上述のように炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素を添加することができ、この場合は反応性スパッタリング法をさらに好ましく用いることができる。
反応性スパッタリング法により黒化層を成膜する場合、ターゲットとしては、黒化層を構成する金属種を含むターゲットを用いることができる。黒化層が合金を含む場合には、黒化層に含まれる金属種毎にターゲットを用い、基材等の被成膜体の表面で合金を形成してもよく、予め黒化層に含まれる金属を合金化したターゲットを用いることもできる。
また、炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素を含有する黒化層は、黒化層を成膜する際の雰囲気中に添加する元素を含有するガスを添加しておくことで成膜できる。例えば、黒化層に炭素を添加する場合には一酸化炭素ガスおよび/または二酸化炭素ガスを、酸素を添加する場合には酸素ガスを、水素を添加する場合には水素ガスおよび/または水を、窒素を添加する場合には窒素ガスを、乾式めっきを行う際の雰囲気中に添加しておくことができる。
炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素を含有するガスは、不活性ガスに添加し、乾式めっきの際の雰囲気ガスとすることが好ましい。不活性ガスとしては特に限定されないが、例えばアルゴンを好ましく用いることができる。
黒化層を湿式めっき法により成膜する場合には、黒化層の材料に応じためっき液を用い、例えば電解めっき法により成膜することができる。
黒化層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば15nm以上であることが好ましく、25nm以上であることがより好ましい。これは、黒化層の厚さが薄い場合には、金属層表面における光の反射を十分に抑制できない場合があるため、上述のように黒化層の厚さを15nm以上とすることにより金属層表面における光の反射を特に抑制できるように構成することが好ましいためである。
黒化層の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、必要以上に厚くしても成膜に要する時間や、配線を形成する際のエッチングに要する時間が長くなり、コストの上昇を招くことになる。このため、黒化層の厚さは90nm以下とすることが好ましく、70nm以下とすることがより好ましい。
本実施形態の導電性基板においては、黒化層を配置することにより、上述のように銅層表面における光の反射を抑制することができる。このため、例えばタッチパネル等の用途に用いた場合にディスプレイの視認性の低下を抑制することが可能になる。
また、導電性基板は上述の透明基材、銅層、黒化層以外に任意の層を設けることもできる。例えば密着層を設けることができる。
密着層の構成例について説明する。
上述のように銅層は透明基材上に形成することができるが、透明基材上に銅層を直接形成した場合に、透明基材と銅層との密着性は十分ではない場合がある。このため、透明基材の上面に直接銅層を形成した場合、製造過程、または、使用時に透明基材から銅層が剥離する場合がある。
そこで、本実施形態の導電性基板においては、透明基材と銅層との密着性を高めるため、透明基材上に密着層を配置することができる。
透明基材と銅層との間に密着層を配置することにより、透明基材と銅層との密着性を高め、透明基材から銅層が剥離することを抑制できる。
また、密着層は黒化層としても機能させることができる。このため、銅層の下面側、すなわち透明基材側からの光による銅層の光の反射も抑制することが可能になる。
密着層を構成する材料は特に限定されるものではなく、透明基材及び銅層との密着力や、要求される銅層表面での光の反射の抑制の程度、また、導電性基板を使用する環境(例えば湿度や、温度)に対する安定性の程度等に応じて任意に選択することができる。
密着層は例えば、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選ばれる少なくとも1種以上の金属を含むことが好ましい。また、密着層は炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素をさらに含むこともできる。
なお、密着層は、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選ばれる少なくとも2種以上の金属を含む金属合金を含むこともできる。この場合についても、密着層は炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素をさらに含むこともできる。この際、Ni,Zn,Mo,Ta,Ti,V,Cr,Fe,Co,W,Cu,Sn,Mnから選ばれる少なくとも2種以上の金属を含む金属合金としては、Cu−Ti−Fe合金や、Cu−Ni−Fe合金、Ni−Cu合金、Ni−Zn合金、Ni−Ti合金、Ni−W合金、Ni−Cr合金、Ni−Cu−Cr合金を好ましく用いることができる。
密着層の成膜方法は特に限定されるものではないが、乾式めっき法により成膜することが好ましい。乾式めっき法としては例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等を好ましく用いることができる。密着層を乾式めっき法により成膜する場合、膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。なお、密着層には上述のように炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素を添加することもでき、この場合は反応性スパッタリング法をさらに好ましく用いることができる。
反応性スパッタリング法により密着層を成膜する場合、ターゲットとしては、密着層を構成する金属種を含むターゲットを用いることができる。密着層が合金を含む場合には、密着層に含まれる金属種毎にターゲットを用い、基材等の被成膜体の表面で合金を形成してもよく、予め密着層に含まれる金属を合金化したターゲットを用いることもできる。
また、炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素を含有する密着層は、密着層を成膜する際の雰囲気中に添加する元素を含有するガスを添加しておくことで成膜できる。例えば、密着層に炭素を添加する場合には一酸化炭素ガスおよび/または二酸化炭素ガスを、酸素を添加する場合には酸素ガスを、水素を添加する場合には水素ガスおよび/または水を、窒素を添加する場合には窒素ガスを、乾式めっきを行う際の雰囲気中に添加しておくことができる。
炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素を含有するガスは、不活性ガスに添加し、乾式めっきの際の雰囲気ガスとすることが好ましい。不活性ガスとしては特に限定されないが、例えばアルゴンを好ましく用いることができる。
密着層を上述のように乾式めっき法により成膜することにより、透明基材と密着層との密着性を高めることができる。そして、密着層は例えば金属を主成分として含むことができるため銅層との密着性も高い。このため、透明基材と銅層との間に密着層を配置することにより、銅層の剥離を抑制することができる。
密着層の厚さは特に限定されるものではないが、例えば3nm以上50nm以下とすることが好ましく、3nm以上35nm以下とすることがより好ましく、5nm以上33nm以下とすることがさらに好ましい。
密着層についても黒化層として機能させる場合、すなわち銅層における光の反射を抑制する場合、密着層の厚さを上述のように3nm以上とすることが好ましく、5nm以上とすることがより好ましい。
密着層の厚さの上限値は特に限定されるものではないが、必要以上に厚くしても成膜に要する時間や、配線を形成する際のエッチングに要する時間が長くなり、コストの上昇を招くことになる。このため、密着層の厚さは上述のように50nm以下とすることが好ましく、35nm以下とすることがより好ましく、33nm以下とすることがさらに好ましい。
次に、本実施形態の導電性基板の構成例について説明する。
上述のように、本実施形態の導電性基板は透明基材と、銅層と、黒化層と、を備えることができる。
具体的な構成例について、図1、図2を用いて以下に説明する。図1、図2は、本実施形態の導電性基板の、透明基材、銅層、黒化層の積層方向と平行な面における断面図の例を示している。
例えば、図1(a)に示した導電性基板10Aのように、透明基材11の一方の面11a側に銅層12と、黒化層13と、を一層ずつその順に積層することができる。
図1(a)に示した導電性基板10Aにおいて、銅層12の透明基材11と対向する面を第1の銅層表面12a、第1の銅層表面12aと反対側に位置する面、すなわち銅層12の、銅層12上に配置した黒化層13と対向する面を第2の銅層表面12bとすることができる。
そして、第2の銅層表面12bは既述のようにその表面粗さRaを所定の範囲とすることができる。
また、図1(b)に示した導電性基板10Bのように、透明基材11の一方の面11a側と、もう一方の面(他方の面)11b側と、にそれぞれ銅層121、122と、黒化層131、132と、を一層ずつその順に積層することができる。
この場合も、銅層121、122は、それぞれ透明基材11と対向する面を第1の銅層表面121a、122a、第1の銅層表面121a、122aの反対側に位置する面を第2の銅層表面121b、122bとすることができる。そして、第2の銅層表面121b、122bは、既述のようにその表面粗さRaを所定の範囲とすることができる。
また、既述のように、透明基材11と、銅層12との間にさらに密着層を有することもできる。
例えば図2(a)に示した導電性基板20Aのように、透明基材11の一方の面11a側に、密着層14と、銅層12と、黒化層13と、をその順に積層することができる。この場合も、銅層12の透明基材11と対向する面を第1の銅層表面12aとすることができ、第1の銅層表面12aの反対側に位置する面を第2の銅層表面12bとすることができる。そして、第2の銅層表面12bは、既述のようにその表面粗さRaを所定の範囲とすることができる。
また、図2(b)に示した導電性基板20Bのように、透明基材11の一方の面11a側と、もう一方の面(他方の面)11b側と、にそれぞれ密着層141、142、銅層121、122と、黒化層131、132と、を一層ずつその順に積層することができる。
この場合も、銅層121、122は、それぞれ透明基材11と対向する面を第1の銅層表面121a、122a、第1の銅層表面121a、122aの反対側に位置する面を第2の銅層表面121b、122bとすることができる。そして、第2の銅層表面121b、122bは、既述のようにその表面粗さRaを所定の範囲とすることができる。
なお、図1(b)、図2(b)では、透明基材の両面に銅層と、黒化層と、を積層した場合において、透明基材11を対称面として透明基材11の上下に積層した層が対称になるように配置した例を示したが、係る形態に限定されるものではない。例えば、図2(b)において、透明基材11の一方の面11a側の構成を図1(a)の構成と同様に、銅層12と、黒化層13と、をその順に積層した形態とし、透明基材11の上下に積層した層を非対称な構成としてもよい。
本実施形態の導電性基板はタッチパネル用の導電性基板として好ましく用いることができる。この場合、導電性基板はメッシュ状の配線を備えた構成とすることができる。
メッシュ状の配線を備えた導電性基板は、ここまで説明した本実施形態の導電性基板の銅層、黒化層をエッチングすることにより得ることができる。なお、エッチングによりメッシュ状の配線を備えた導電性基板とした場合でも、銅層の黒化層と対向する面の表面粗さRaはエッチング前の導電性基板の場合と同様に所定の範囲となっている。
例えば、二層の配線によりメッシュ状の配線とすることができる。具体的な構成例を図3に示す。図3はメッシュ状の配線を備えた導電性基板30を銅層等の積層方向の上面側から見た図を示しており、配線パターンが分かり易いように、透明基材11、及び銅層をパターニングして形成した配線311、312以外の層は記載を省略している。また、透明基材11を透過して見える配線312も示している。
図3に示した導電性基板30は、透明基材11と、図中Y軸方向に平行な複数の配線311と、X軸方向に平行な配線312とを有している。なお、配線311、312は銅層をエッチングして形成されており、該配線311、312の上面または下面には図示しない黒化層が形成されている。また、黒化層は、透明基材11の銅層等を配置した面(以下、主表面とする)と平行な面における断面形状が、配線311、312の透明基材11の主表面と平行な面における断面形状と同じ形状となるようにエッチングされている。
透明基材11と配線311、312との配置は特に限定されない。透明基材11と配線との配置の構成例を図4(a)、(b)に示す。図4(a)、(b)は図3のA−A´線での断面図に当たる。
まず、図4(a)に示したように、透明基材11の上下面にそれぞれ配線311、312が配置されていてもよい。なお、図4(a)では配線311の上面、及び312の下面には、透明基材11の主表面と平行な面における断面形状が配線311、312と同じ形状となるようにエッチングされた黒化層321、322が配置されている。
また、図4(b)に示したように、1組の透明基材111、112を用い、一方の透明基材111を挟んで上下面に配線311、312を配置し、かつ、一方の配線312は透明基材111、112間に配置されてもよい。この場合も、配線311、312の上面には透明基材111の主表面と平行な面における断面形状が配線311、312と同じ形状となるようにエッチングされた黒化層321、322が配置されている。
なお、既述のように、本実施形態の導電性基板は、銅層、黒化層以外に密着層を有することもできる。このため、図4(a)、(b)いずれの場合でも、例えば配線311および/または配線312と透明基材11(111、112)との間に密着層を設けることもできる。密着層を設ける場合、密着層も、透明基材11(111、112)の主表面と平行な面における断面形状が配線311、312と同じ形状となるようにエッチングされていることが好ましい。
図3及び図4(a)に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板は例えば、図1(b)のように透明基材11の両面に銅層121、122と、黒化層131、132とを備えた導電性基板から形成することができる。
図1(b)の導電性基板を用いて形成した場合を例に説明すると、まず、透明基材11の一方の面11a側の銅層121、黒化層131を、図1(b)中Y軸方向に平行な複数の線状のパターンがX軸方向に沿って所定の間隔をあけて配置されるようにエッチングを行う。なお、図1(b)中のX軸方向は、各層の幅方向と平行な方向を意味している。また、図1(b)中のY軸方向とは、図1(b)中の紙面と垂直な方向を意味している。
そして、透明基材11の他方の面11b側の銅層122、黒化層132を図1(b)中X軸方向と平行な複数の線状のパターンが所定の間隔をあけてY軸方向に沿って配置されるようにエッチングを行う。
以上の操作により図3、図4(a)に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板を形成することができる。なお、透明基材11の両面のエッチングは同時に行うこともできる。すなわち、銅層121、122、黒化層131、132のエッチングは同時に行ってもよい。また、図4(a)において、配線311、312と、透明基材11との間にさらに、透明基材11の主表面と平行な面における断面形状が、配線311、312と同じ形状にパターニングされた密着層を有する導電性基板は、図1(b)に示した導電性基板10Bに替えて、図2(b)に示した導電性基板20Bを用いて同様にエッチングを行うことで作製できる。
図3に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板は、図1(a)または図2(a)に示した導電性基板を2枚用いることにより形成することもできる。図1(a)の導電性基板を2枚用いて形成した場合を例に説明すると、図1(a)に示した導電性基板2枚についてそれぞれ、銅層12、黒化層13を、X軸方向と平行な複数の線状のパターンが所定の間隔をあけてY軸方向に沿って配置されるようにエッチングを行う。そして、上記エッチング処理により各導電性基板に形成した線状のパターンが互いに交差するように向きをあわせて2枚の導電性基板を貼り合せることによりメッシュ状の配線を備えた導電性基板とすることができる。2枚の導電性基板を貼り合せる際に貼り合せる面は特に限定されるものではない。例えば、銅層12等が積層された図1(a)における表面Aと、透明基材11の銅層12等が積層されていない図1(a)における他方の面11bとを貼り合せて、図4(b)に示した構造となるようにすることもできる。
また、例えば透明基材11の銅層12等が積層されていない図1(a)における他方の面11b同士を貼り合せて断面が図4(a)に示した構造となるようにすることもできる。
なお、図4(a)、図4(b)において、配線311、312と、透明基材11(111、112)との間にさらに、透明基材11(111、112)の主表面と平行な面における断面形状が、配線311、312と同じ形状にパターニングされた密着層を有する導電性基板は、図1(a)に示した導電性基板10Aに替えて、図2(a)に示した導電性基板20Aを用いることで作製できる。
図3、図4に示したメッシュ状の配線を有する導電性基板における配線の幅や、配線間の距離は特に限定されるものではなく、例えば、配線に流す電流量等に応じて選択することができる。
また、図3、図4においては、直線形状の配線を組み合わせてメッシュ状の配線(配線パターン)を形成した例を示しているが、係る形態に限定されるものではなく、配線パターンを構成する配線は任意の形状とすることができる。例えばディスプレイの画像との間でモアレ(干渉縞)が発生しないようメッシュ状の配線パターンを構成する配線の形状をそれぞれ、ぎざぎざに屈曲した線(ジグザグ直線)等の各種形状にすることもできる。
ここまで、本実施形態の導電性基板について説明してきたが、本実施形態の導電性基板においては、透明基材上に銅層と、黒化層とを設け、銅層の透明基材と対向する第1の銅層表面とは反対側に位置する第2の銅層表面の表面粗さを所定の範囲としている。このため、銅層と黒化層との密着性を高め、導電性基板が高温、高湿度の環境下に曝された場合でも、銅層と、黒化層との界面に水分が侵入することを抑制できる。その結果、銅層から黒化層が一部剥離したり、銅層、及び黒化層の界面を構成する面が酸化等により変質することを防ぎ、表面抵抗値が変化することを抑制できる。
そして、本実施形態の導電性基板は、初期の表面抵抗値をR0とし、85℃、85%RHの雰囲気下で1000時間放置した後の表面抵抗値をR1000とした場合に、0.8≦R0/R1000≦1.0を満たすことができる。
既述のように、タッチパネル用の導電性基板において、入力した位置を検出する際、検出器から導電性基板までの回路抵抗値Rcと、導電性基板の銅層及び黒化層を含む表面層の回路抵抗値Rtとの合計であるRc+Rtを基準抵抗として用いている。そして、従来は導電性基板が高温、高湿度の環境下に曝されて導電性基板の銅層及び黒化層を含む表面層の表面抵抗値、すなわちRtに変化が生じ、係る変化が大きいと、基準抵抗が大きく変化する。このため、タッチパネルの入力精度が不十分となり、安定した入力動作ができなくなっていた。
そこで、本実施形態の導電性基板においては、銅層の黒化層と対向する面の表面粗さRaを所定の範囲とすることで、銅層と黒化層との密着性を高めている。その結果、導電性基板が高温、高湿度の環境下に曝された場合の、表面抵抗値の変化を抑制しており、上述の導電性基板の銅層及び黒化層からなる表面層の回路抵抗値Rtの変化を抑制している。
特に、導電性基板の製造後、高温、高湿の環境下に放置する前の表面抵抗値R0に対する、温度が85℃、相対湿度が85%の雰囲気下に1000時間放置した後の表面抵抗値R1000の比であるR0/R1000が上記範囲を満たす場合、高温、高湿度の環境下に長期間曝された場合でも表面抵抗値の変化がほとんどないことを意味する。従って、回路抵抗値Rtの変化が特に抑制されることになる。
そして、検出器から導電性基板までの回路抵抗値Rcについては、上述のような高温、高湿度の環境下に曝された場合でも通常は大きな変化を示さない。このため、R0/R1000が上記範囲を満たす場合、特に高温、高湿度下に曝された場合でも安定した入力動作を行うことが可能な導電性基板とすることができる。
以上に本実施形態の導電性基板について説明したが、本実施形態の導電性基板によれば、高温、高湿度下に曝された場合でも安定した入力動作を行うことが可能な導電性基板とすることができる。
(導電性基板の製造方法)
次に本実施形態の導電性基板の製造方法の構成例について説明する。
本実施形態の導電性基板の製造方法は以下の工程を有することができる。
透明基材の少なくとも一方の面上に銅層を形成する銅層形成工程。
銅層上に黒化層を形成する黒化層形成工程。
そして、銅層形成工程は、0.5A/dm以上の電流密度で初期銅めっき層を成膜する初期銅めっき層形成ステップと、0.1A/dm以上0.5A/dm以下の電流密度で粗化銅めっき層を成膜する粗化銅めっき層形成ステップと、を有することができる。
以下に本実施形態の導電性基板の製造方法について説明するが、以下に説明する点以外については上述の導電性基板の場合と同様の構成とすることができるため説明を省略している。
まず、銅層形成工程について説明する。
なお、銅層形成工程に供する透明基材は予め準備しておくことができる(透明基材準備工程)。透明基材としては、既述のように例えば可視光を透過する絶縁体フィルムや、ガラス基板等を用いることができ、必要に応じて任意のサイズに切断等をしておくことができる。好適に用いることができる可視光を透過する絶縁体フィルムについては既述のため、説明を省略する。
そして、銅層は既述のように、銅薄膜層を有することが好ましい。また、銅層は銅薄膜層と銅めっき層とを有することもできる。このため、銅層形成工程は、例えば乾式めっき法により銅薄膜層を形成する銅薄膜層形成ステップを有することができる。また、銅層形成工程は、乾式めっき法により銅薄膜層を形成する銅薄膜層形成ステップと、該銅薄膜層を給電層として、湿式めっき法の一種である電解めっき法により銅めっき層を形成する銅めっき層形成ステップと、を有していてもよい。
上述のように乾式めっき法のみ、又は乾式めっき法と湿式めっき法とを組み合わせて銅層を形成することにより透明基材または密着層上に接着剤を介さずに直接銅層を形成できるため好ましい。
銅薄膜層形成ステップで用いる乾式めっき法としては、特に限定されるものではなく、例えば、蒸着法、スパッタリング法、またはイオンプレーティング法等を用いることができる。なお、蒸着法としては真空蒸着法を好ましく用いることができる。銅薄膜層形成ステップで用いる乾式めっき法としては、特に膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法が好ましい。
次に銅めっき層形成ステップにおいて湿式めっき法により銅めっき層を形成する際の条件、すなわち、電解めっき処理の条件は、特に限定されるものではなく、常法による諸条件を採用すればよい。例えば、銅めっき液を入れためっき槽に銅薄膜層を形成した基材を供給し、電流密度や、基材の搬送速度を制御することによって、銅めっき層を形成できる。
本実施形態の導電性基板の製造方法において、銅層形成工程で形成する銅層は、透明基材と対向する第1の銅層表面と、第1の銅層表面の反対側に位置する第2の銅層表面とを有することができる。そして、第2の銅層表面の表面粗さRaは0.02μm以上0.06μm以下とすることが好ましい。
銅層のうち、第2の銅層表面は、銅層の表面のうち、導電性基板の表層側に位置する表面になる。そして、第2の銅層表面を所望の表面粗さRaとする方法は特に限定されるものではなく、任意の方法を用いることができる。
第2の銅層表面を所望の表面粗さとする方法としては、例えば、成膜した銅層の表面をエッチング、化学研磨、またはブラスト等によって表面処理することにより所望の表面粗さとする方法が挙げられる(以下、「形成した銅層の表面処理をする方法」とも記載する)。この場合、銅層形成工程後に、銅層の表面処理を行う表面処理工程をさらに有することができる。
また、銅薄膜層を成膜する際のスパッタリング条件を選択することにより、銅薄膜層の最表面の表面粗さを所望の表面粗さとする方法が挙げられる(以下、「銅薄膜層のスパッタリング条件を選択する方法」とも記載する)。なお、銅層が銅薄膜層のみから構成される場合には、銅薄膜層の最表面が、銅層についての所望の表面粗さとなるようにスパッタリングの条件を選択することができる。また、銅層が銅薄膜層と銅めっき層とを有する場合には、銅薄膜層上に銅めっき層を成膜した際に、銅めっき層の表面粗さが銅層についての所望の表面粗さとなるように銅薄膜層を成膜する際のスパッタリングの条件を選択することができる。
その他の方法として、銅層が銅薄膜層と、銅めっき層とを含む場合に、銅めっき層を成膜する際のめっき条件を選択することにより、銅層の最表面を所望の表面粗さとすることができる。
具体的には例えば、銅めっき層を成膜する銅めっき層形成ステップにおいて、後半の任意のタイミングでPR電流(Periodic Reverse電流)めっきを行うことにより銅層の表面粗さを所望の表面粗さとする方法(以下、「PR電流を用いためっき法」とも記載する)が挙げられる。PR電流めっきは銅めっき層を成膜する際に電流の方向を任意のタイミングで反転させるめっき方法であり、電流の方向は周期的に反転させることができる。PR電流めっきにおいて、電流の向きを反転させることで、成膜した銅めっきの一部が溶解する。このため、銅めっき層の表面粗さを容易に調整することができる。
この場合、銅めっき層形成ステップは、一定方向に電流を供給して初期銅めっき層を成膜する定方向電流銅めっき層形成ステップと、定方向電流銅めっき層形成ステップの後、電流の向きを周期的に反転させるPR電流めっきを行うPR電流銅めっき層形成ステップとを有することができる。
そして、銅層形成工程は、銅薄膜層形成ステップと、定方向電流銅めっき層形成ステップと、PR電流銅めっき層形成ステップとを有することができる。
また、例えば銅めっき層を成膜する銅めっき層形成ステップにおいて、後半の任意のタイミングで、通常のめっき時よりも電流密度(Dk値)を低下させ、低電流密度で銅めっき層を成膜する方法(以下、「低電流密度を用いためっき法」とも記載する)が挙げられる。低電流密度で銅めっき層を成膜することで、電流密度を下げる前よりも成膜した銅めっき層の表面を粗くすることができるため、電流密度を調整することで、所望の表面粗さとすることができる。
この場合、銅めっき層形成ステップは、0.5A/dm以上の電流密度で初期銅めっき層を成膜する初期銅めっき層形成ステップと、初期銅めっき層形成ステップの後、0.1A/dm以上0.5A/dm以下の電流密度で粗化銅めっき層を成膜する粗化銅めっき層形成ステップとを有することができる。そして、初期銅めっき層と、粗化銅めっき層とで銅めっき層を構成することができる。
そして、銅層形成工程は、銅薄膜層形成ステップと、初期銅めっき層形成ステップと、粗化銅めっき層形成ステップとを有することができる。
以上に、第2の銅層表面を所望の表面粗さとする方法として、形成した銅層の表面処理をする方法、銅薄膜層のスパッタリング条件を選択する方法、PR電流を用いためっき法、低電流密度を用いためっき法を挙げたが、これらはいずれか1つの方法選択して実施することができる。または2つ以上の方法を選択し、組み合わせることで、第2の銅層表面を所望の表面粗さとすることもできる。
第2の銅層表面を所望の表面粗さとする方法として、上述の方法の中では特に低電流密度を用いためっき法を採用することが好ましい。これはめっき時に供給する電流密度を任意のタイミングで変更することで比較的容易に銅層の表面を所望の表面粗さとすることができるからである。
ここで、低電流密度を用いためっき法により、第2の銅層表面の表面粗さを所望の範囲とする方法について以下に具体的に説明する。
この場合、既述のように銅層形成工程は、銅薄膜層形成ステップと、初期銅めっき層形成ステップと、粗化銅めっき層形成ステップとを有することができる。
まず銅薄膜層形成ステップでは、乾式めっき法により銅薄膜層を成膜することができる。好適に用いることができる乾式めっき法については既述のため、説明を省略する。また、銅薄膜層を形成する際の具体的な条件は特に限定されるものではなく、選択した乾式めっき法に応じた条件により任意に選択することができる。
初期銅めっき層形成ステップでは、通常の電流密度で初期銅めっき層を成膜することができる。ここでいう通常の電流密度とは特に限定されるものではないが、例えば、0.5A/dm以上とすることができる。初期銅めっき層形成ステップの間の電流密度の制御については特に限定されないが、例えば電流密度を徐々に上げることができる。初期銅めっき層形成ステップにおける最大電流密度は、後述する粗化銅めっき層形成ステップの電流密度よりも大きくなるように設定することが好ましい。また、初期銅めっき層形成ステップにおける電流密度の上限値は必要な銅厚、めっき処理槽長、めっき浴の耐電流密度性能等により決まり、特に限定されないが、例えば4A/dm以下とすることが好ましい。
次いで、粗化銅めっき層形成ステップでは、電流密度を0.1A/dm以上0.5A/dm以下として、粗化銅めっき層を成膜することができる。なお、粗化銅めっき層形成ステップにおける電流密度の制御についても特に限定されないが、例えば設定した粗化銅めっき層形成ステップでの電流密度で一定に保ち、銅めっき層の成膜を行うことができる。
初期銅めっき層形成ステップと、粗化銅めっき層形成ステップとは連続して実施することもできる。例えば初期銅めっき層形成ステップにおいて、まず開始時の開始時電流密度から目標とする最大電流密度まで電流密度を上げ、初期銅めっき層を成膜できる。そして、設定した最大電流密度に到達後、場合によってはさらに該最大電流密度で一定時間保持した後、例えば粗化銅めっき層形成ステップでの設定電流密度まで電流密度を下げ、該粗化銅めっき層形成ステップを実施できる。
初期銅めっき層形成ステップと、粗化銅めっき層形成ステップとを実施する時間の割合等は特に限定されるものではなく、形成する銅層の第2の銅層表面について要求される表面粗さRa等に応じて任意に選択することができる。ただし、形成する銅層の、第2の銅層表面の表面粗さRaを十分に高めるため、一定時間以上粗化銅めっき層形成ステップを実施することが好ましい。具体的には例えば、粗化銅めっき層形成ステップにおいて形成する銅めっき層の膜厚が0.02μm以上0.04μm以下となるように粗化銅めっき層形成ステップを実施することが好ましい。
このように、銅層形成工程が、銅薄膜層形成ステップと、初期銅めっき層形成ステップと、粗化銅めっき層形成ステップとを有する場合に、初期銅めっき層形成ステップと、粗化銅めっき層形成ステップとは、単一のめっき槽で実施することが好ましい。
本発明の発明者らの検討によると、銅めっき層は、成膜された直後から、銅めっき層内で銅の結晶が徐々に成長して大きくなる。そして、銅めっき層内の銅の結晶サイズが大きくなることにより銅層の表面抵抗値を特に下げることができる。
ところが、銅めっき層を湿式めっき法により成膜する際、基材の搬送方向に沿って2以上の複数のめっき槽を直列に配列し、各めっき槽で銅めっき膜を成膜、積層して銅めっき層を形成した場合、銅めっき膜間に微細な結晶の層が形成される場合がある。そして、各銅めっき膜を成膜後、各銅めっき膜内では銅結晶の成長が進行するものの、銅めっき膜間に微細な結晶の層が形成されると、銅めっき膜を超えて結晶成長することが阻害されると考えられる。このため、多槽のめっき槽を用いて銅めっき槽を成膜した場合、銅結晶の成長は十分に進行しない。
これに対して、上述の様に初期銅めっき層形成ステップと、粗化銅めっき層形成ステップとを単一のめっき槽を用いて成膜した場合、銅めっき層は1つの層から構成できる。このため、銅めっき層全体に渡って銅結晶の成長が進行するため、成膜後に銅結晶の成長が十分に進行し、銅層の表面抵抗値を下げることができる。このように、初期銅めっき層形成ステップと、粗化銅めっき層形成ステップとを単一のめっき槽を用いて実施することで、得られる銅層の表面抵抗値を特に低くすることができ、好ましい。
なお、初期銅めっき層形成ステップ、及び粗化銅めっき層形成ステップについても、上述の理由と同じ理由から、ステップ全体を単一のめっき槽で実施することが好ましい。
ここでは、低電流密度を用いためっき法の構成例について説明したが、例えばPR電流を用いためっき法においても、定方向電流銅めっき層形成ステップと、PR電流銅めっき層形成ステップとを連続して実施することができる。また、低電流密度を用いためっき法の場合と同様の理由から、定方向電流銅めっき層形成ステップと、PR電流銅めっき層形成ステップとは、単一のめっき槽で実施することが好ましい。
次に、黒化層形成工程について説明する。
黒化層形成工程において黒化層は任意の方法により形成することができる。黒化層は、例えば乾式めっき法、または湿式めっき法により成膜することができる。
黒化層を乾式めっき法により成膜する場合、その具体的な方法は特に限定されるものではないが、例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等を好ましく用いることができる。黒化層を乾式めっき法により成膜する場合、膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。なお、黒化層には既述のように炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素を添加することもできるが、この場合は反応性スパッタリング法をさらに好ましく用いることができる。
黒化層を湿式めっき法により成膜する場合には、黒化層の材料に応じためっき液を用い、例えば電解めっき法により成膜することができる。
本実施形態の導電性基板の製造方法においては、上述の工程に加えてさらに任意の工程を実施することもできる。
例えば透明基材と銅層との間に密着層を形成する場合、透明基材の銅層を形成する面上に密着層を形成する密着層形成工程を実施することができる。密着層形成工程を実施する場合、銅層形成工程は、密着層形成工程の後に実施することができ、銅層形成工程では、本工程で透明基材上に密着層を形成した透明基材に銅層を形成できる。
密着層形成工程において、密着層の成膜方法は特に限定されるものではないが、乾式めっき法により成膜することが好ましい。乾式めっき法としては例えばスパッタリング法、イオンプレーティング法や蒸着法等を好ましく用いることができる。密着層を乾式めっき法により成膜する場合、膜厚の制御が容易であることから、スパッタリング法を用いることがより好ましい。なお、密着層には既述のように炭素、酸素、水素、窒素から選ばれる1種以上の元素を添加することもでき、この場合は反応性スパッタリング法をさらに好ましく用いることができる。
密着層に好適に用いることができる材料や、密着層の好適な厚さ等については既述のため、ここでは説明を省略する。
本実施形態の導電性基板の製造方法で得られる導電性基板は例えばタッチパネル等の各種用途に用いることができる。そして、各種用途に用いる場合には、本実施形態の導電性基板に含まれる銅層、及び黒化層がパターニングされていることが好ましい。なお、密着層を設ける場合は、密着層についてもパターニングされていることが好ましい。銅層、及び黒化層、場合によってはさらに密着層は、例えば所望の配線パターンにあわせてパターニングすることができ、銅層、及び黒化層、場合によってはさらに密着層は、透明基材の主表面と平行な面における断面が同じ形状となるようにパターニングされていることが好ましい。
このため、本実施形態の導電性基板の製造方法は、銅層、及び黒化層をパターニングするパターニング工程を有することができる。なお、密着層を形成した場合には、パターニング工程は、密着層、銅層、及び黒化層をパターニングする工程とすることができる。
パターニング工程の具体的手順は特に限定されるものではなく、任意の手順により実施することができる。例えば図1(a)のように透明基材11上に銅層12、黒化層13が積層された導電性基板10Aの場合、まず黒化層13上の表面Aに所望のパターンを有するレジストを配置するレジスト配置ステップを実施することができる。次いで、黒化層13上の表面A、すなわち、レジストを配置した面側にエッチング液を供給するエッチングステップを実施できる。
エッチングステップにおいて用いるエッチング液は特に限定されるものではなく、エッチングを行う層を構成する材料に応じて任意に選択することができる。例えば、層毎にエッチング液を変えることもでき、また、同じエッチング液により同時に銅層及び黒化層、場合によってはさらに密着層をエッチングすることもできる。
また、図1(b)のように透明基材11の一方の面11a、他方の面11bに銅層121、122、黒化層131、132を積層した導電性基板10Bについてもパターニングするパターニング工程を実施できる。この場合例えば黒化層131、132上の表面A、及び表面Bに所望のパターンを有するレジストを配置するレジスト配置ステップを実施できる。次いで、黒化層131、132上の表面A、及び表面B、すなわち、レジストを配置した面側にエッチング液を供給するエッチングステップを実施できる。
エッチングステップで形成するパターンについては特に限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。例えば図1(a)に示した導電性基板10Aの場合、既述のように銅層12、黒化層13を複数の直線や、ぎざぎざに屈曲した線(ジグザグ直線)を含むようにパターンを形成することができる。
また、図1(b)に示した導電性基板10Bの場合、銅層121と、銅層122とでメッシュ状の配線となるようにパターンを形成することができる。この場合、黒化層131と、銅層121とは、透明基材11の一方の面11aと平行な面での断面形状が同様の形状となるようにパターニングを行うことが好ましい。また、黒化層132と銅層122とは、透明基材11の他方の面11bと平行な面での断面形状が同様の形状になるようにパターニングを行うことが好ましい。
また、例えばパターニング工程で上述の導電性基板10Aについて銅層12等をパターニングした後、パターニングした2枚以上の導電性基板を積層する積層工程を実施することもできる。積層する際、例えば各導電性基板の銅層のパターンが交差するように積層することにより、メッシュ状の配線を備えた積層導電性基板を得ることもできる。
積層した2枚以上の導電性基板を固定する方法は特に限定されるものではないが、例えば接着剤等により固定することができる。
以上の本実施形態の導電性基板の製造方法により得られる導電性基板によれば、高温、高湿度下に曝された場合でも安定した入力動作を行うことが可能な導電性基板とすることができる。
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によって、なんら限定されるものではない。
(評価方法)
以下の実施例、比較例において作製した導電性基板の評価方法について説明する。
(1)表面粗さ
以下の実施例、比較例では、図2(a)に示した導電性基板を作製した。そして、導電性基板を作製する際、銅層12の成膜後、黒化層13を成膜する前に、銅層12の黒化層13と対向する面となる第2の銅層表面12bの表面粗さRaを評価した。
表面粗さRaは、形状解析レーザー顕微鏡(キーエンス社製 型式:VK―X150)を用いて測定しており、表1中Raとして示している。
(2)表面抵抗値
低抵抗率計(株式会社ダイアインスツルメンツ製 型番:ロレスターEP MCP−T360)を用いて、以下の実施例、比較例で作製した直後の導電性基板の表面抵抗値(R0)を測定した。測定は四探針法により行い、導電性基板を作製後、黒化層13の表面13bに探針が接触するようにして測定を行った。
また、作製した導電性基板について、温度が85℃、相対湿度が85%に保たれた恒温槽内に設置し、1000時間放置した後、再度同様にして表面抵抗値(R1000)を測定した。
測定したR1000と、R0とから、R0/R1000を算出した。
(導電性基板の作製条件)
以下に各実施例、比較例における導電性基板の作製条件、及び評価結果を示す。
[実施例1]
図2(a)に示した構造を有する導電性基板を作製した。
(透明基材準備工程、密着層形成工程)
まず、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)製の透明基材の一方の面上に密着層を形成した。
なお、透明基材として用いたポリエチレンテレフタレート樹脂製の透明基材について、可視光透過率をJIS K 7361−1に規定された方法により評価を行ったところ97%であった。
密着層は、ニッケル70wt%と、銅30wt%とを含有するニッケル−銅合金のターゲットを用い、スパッタリング法により成膜した。成膜に当たっては、予め60℃まで加熱して水分を除去した上記透明基材をスパッタリング装置のチャンバー内にセットし、チャンバー内を1×10−4Pa以下まで排気した後、チャンバー内に、酸素ガスを30体積%含む、酸素−アルゴンガスを導入し、チャンバー内の圧力を0.3Paとした。
そして係る雰囲気下でターゲットに電力を供給し、透明基材の一方の主表面上に厚さが15nmとなるように酸素を含有するNi−Cu合金から構成される密着層を成膜した。
(銅層形成工程)
続いて、密着層を成膜した透明基材の密着層上に銅層を成膜した。
銅層は、銅薄膜層形成ステップ、初期銅めっき層形成ステップ、粗化銅めっき層形成ステップを実施することで成膜した。以下、各ステップについて説明する。
銅薄膜層は、ターゲットとして銅のターゲットを用い、チャンバー内を排気後、酸素−アルゴンガスではなくアルゴンガスを導入した点以外は密着層の場合と同様にして密着層の上面に平均厚さが80nmの銅薄膜層を成膜した。
初期銅めっき層形成ステップ、及び粗化銅めっき層形成ステップは、透明基材上に密着層、銅薄膜層が形成された基材を銅めっき槽に供給して、単一のめっき槽で連続して実施した。
めっき液には、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−SO共重合体を添加した銅めっき液を用いて実施した。具体的には、銅、硫酸、及び塩素についての濃度が、銅30g/L、硫酸80g/L、塩素50mg/Lとなるように調製した銅めっき液を用いた。用いた銅めっき液には、添加剤として上述のDDAC−SO共重合体(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−SO共重合体)を20mg/Lとなるように添加している。また、めっき液にはDDAC以外に、ポリマー成分としてPEG(ポリエチレングリコール)が650mg/L、ブライトナー成分としてSPS(ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド)が15mg/Lとなるように添加している。
そして、まず初期銅めっき層形成ステップとして、電流密度を0.5A/dmから開始し、めっき厚が厚くなるに従って、電流密度を2.0A/dmまで上げ、2分間保持し、銅めっき層形成ステップを終了した。
続けて、電流密度を0.1A/dmとし、粗化銅めっき層形成ステップを実施した。粗化銅めっき層形成ステップの時間は0.5分間とした。
なお、初期銅めっき層形成ステップと、粗化銅めっき層形成ステップとを実施することで、粗化銅めっき層を含む厚さ0.5μmの銅めっき層を形成した。
銅層形成工程後、黒化層形成工程を実施する前に、既述の方法により、銅層の表面、すなわち第2の銅層表面の表面粗さの評価を行った。結果を表1に示す。
また、銅層の平均厚さを測定したところ、0.58μmであった。なお、平均厚さは、銅層表面100cm当り、任意の3点で厚さを測定し、その平均値を示している。
(黒化層形成工程)
密着層形成工程と同様の条件で、銅層上に黒化層を成膜した。
得られた導電性基板について表面抵抗値の評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例2、3]
粗化銅めっき層形成ステップを実施する時間を表1に示したように変更した点以外は、実施例1と同様にして、導電性基板の作製、及び評価を行った。結果を表1に示す。
なお、いずれの実施例でも銅層の平均厚さは0.58μmであった。
[比較例1]
銅層形成工程において、粗化銅めっき層形成ステップを実施せずに、銅薄膜層形成ステップと、銅めっき層形成ステップのみを実施した点以外は実施例1と同様にして導電性基板の作製、及び評価を行った。結果を表1に示す。
なお、銅層の平均厚さは0.58μmであった。
Figure 2017185690
表1に示した結果から、銅層の第2の銅層表面について、表面粗さを0.02μm以上とすることで、高温、高湿度下に放置した場合でも表面抵抗値の低下しない、すなわち安定した入力動作を行うことが可能な導電性基板とすることができることを確認できた。
10A、10B、20A、20B、30 導電性基板
11、111、112 透明基材
12、121、122 銅層
13、131、132、321、322 黒化層

Claims (3)

  1. 透明基材と、
    前記透明基材の少なくとも一方の面上に配置された銅層と、
    前記銅層上に配置された黒化層と、を有し、
    前記銅層の平均厚さが0.2μm以上2.0μm以下であり、
    前記銅層の前記黒化層と対向する面の表面粗さRaが0.02μm以上0.06μm以下であり、
    初期の表面抵抗値をR0とし、85℃、85%RHの雰囲気下で1000時間放置した後の表面抵抗値をR1000とした場合に、0.8≦R0/R1000≦1.0を満たす導電性基板。
  2. 透明基材の少なくとも一方の面上に銅層を形成する銅層形成工程と、
    前記銅層上に黒化層を形成する黒化層形成工程と、を有しており、
    前記銅層形成工程は、0.5A/dm以上の電流密度で初期銅めっき層を成膜する初期銅めっき層形成ステップと、0.1A/dm以上0.5A/dm以下の電流密度で粗化銅めっき層を成膜する粗化銅めっき層形成ステップと、を有する導電性基板の製造方法。
  3. 前記初期銅めっき層形成ステップと、前記粗化銅めっき層形成ステップとは、単一のめっき槽で実施する請求項2に記載の導電性基板の製造方法。
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