JP2017177343A - 積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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和生 福田
義郎 室伏
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義郎 室伏
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Abstract

【課題】酸化アルミニウム蒸着膜の正確な組成を把握して、良好なガスバリア性と高い透明性の耐湿熱性ガスバリアフィルムとなる積層フィルムを提供する。【解決手段】高分子フィルムの少なくとも片側の表面に酸化アルミニウム膜が積層され、該酸化アルミニウム膜中の金属アルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムに起因するアルミニウム原子数の分率をそれぞれa、b、c(a+b+c=1)と表したとき、aが0〜0.07の範囲にあり、cが0〜0.17の範囲にあり、かつ該酸化アルミニウム膜の密度が2.5g/cm3以上であることを特徴とする積層フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、積層フィルムおよびその製造方法に関する。さらに詳細には、透明性が高く視認性が良好で、かつガスバリア性能が高く食品等の内容物の変質や劣化を抑制することができる耐湿熱性ガスバリアフィルム用積層フィルムおよびその製造方法に関する。
基材フィルムに真空蒸着法等の形成手段により、アルミニウム、酸化アルミニウムや酸化珪素などの金属や金属酸化物薄膜を形成したガスバリア性フィルムが包装材料として使用されている。基材フィルムとしては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムに代表されるポリエステルフィルムが、耐熱性、寸法安定性、厚さの均一性などに優れているため好適に用いられている。
このガスバリア性フィルムを積層した食品用包装材料は、ガスバリア性、耐水性、耐湿性に優れ、ボイル耐性、レトルト耐性、環境対応性にも優れた包装材料として好適に使用されている。なかでも金属酸化物薄膜を形成したものは、透明性により内容物が視認できる上、電子レンジ適性による利便性から広範に使用されている。
蒸着膜に酸化アルミニウムを用いたガスバリアフィルムは、高い光線透過率が得られるが、そのために酸化アルミニウムの酸化度合いを高めるとガスバリア性が低下するという問題があった。逆に、アルミニウムの酸化度合いを低く押さえるとガスバリア性は向上するが透過率が低くなり、そのために、酸化アルミニウムの完全酸化状態よりは酸素が少なめな組成とし、ガスバリア性と透過率の妥協点を見つけるといった方法が提案されている(特許文献1、2、3参照)。これらの方法は、未反応のアルミニウムが蒸着膜中に残存し、光吸収の原因となることを前提としていたので、透過率はやや低いものであった。
これに対して、透過率とガスバリア性のより良い組み合わせを得るために、膜厚方向でアルミニウムと酸素の比率に変化を持たせるという方法も提案されている(特許文献4参照)。
この様に、従来の酸化アルミニウム蒸着膜は透過率とガスバリア性とが両立しない問題について、その妥協点を見つける手法にて解決しようとしていたが、いずれの方法も透過性とガスバリア性のバランスが取れる製造条件範囲はせまく、条件のずれにより透過率とガスバリア性のどちらかが低下しやすいという問題点があった。
また、酸化度合いが低い状態で蒸着を終えて、高湿度中に放置して透過率を高める方法も提案されている(特許文献5参照)。また、酸化アルミニウム薄膜を設けた後、該酸化アルミニウム薄膜に水分を吸着させ、次いで熱処理することを特徴とする透明ガスバリアフィルムの製造方法も開示されている(先行文献6参照)。これらの方法によれば透明性は向上するが、このための工程およびガスバリア性能が発現するまでのリードタイムが必要となり、ガスバリア性能も不十分なものであった。
この様に酸化アルミニウムの酸化状態に着目して開発が進められる過程で、酸化アルミニウム中の酸素とアルミニウムの元素組成比率O/Alが0から1.7までを取り得るといった、1.5を超える例も報告されてきており(特許文献7)、更には、1.7から2.3(特許文献8)、1.3から2.0(特許文献9)までにも達してきている。
すなわち、酸化アルミニウム蒸着膜の組成は、酸化アルミニウムの化学量論的組成Alを基準に、AlOと記述されることが多く、酸化が不完全であればxは0から1.5未満であり、1.5に満たない部分は蒸着膜の酸化不足による酸素欠損を意味し、残存した金属アルミニウム成分が光吸収の原因になっていると考えられる。一方、1.5を超えた部分の化学的状態については具体的態様は示されておらず、測定法による各元素の感度の違いによるものと認識されている。
これら酸化不足の酸化アルミニウムの蒸着膜が形成されたフィルムが巻かれたロールの外観は、フィルムの重なりによって蒸着膜の色調が強調されて、黒色もしくは灰色となっている。そして、ロールの幅方向に蒸着膜の膜厚や酸化度合いの微妙なむらがあると、ロールに帯状のムラが現れて、包装材料の中間製品の外観として望ましくないものであった。
また、食品包装材として用いられるときに白い印刷であれば、白さが鈍い、黄色みがあるといった色調となり、商品の外観としての魅力を低下させる原因となっている。この様に、フィルム1枚の透過率の劣化としては大きくはないが、外観品質に対する要求が高まってきており、高度なガスバリア性と透明性を同時に安定して発現できる酸化アルミニウム蒸着膜によるガスバリア性フィルムの開発が待たれている。
特開平10−53861号公報 特開昭62−103359号公報 特開平5−338072号公報 特開平10−226012号公報 特開平11−262969号公報 特開昭63−223163号公報 特開2007−144845号公報 特開2012−56311号公報 特開2015−186904号公報
本発明は、このような従来技術の問題点を解決しようとするものであり、酸化アルミニウム蒸着膜の正確な組成を把握して、良好なガスバリア性と高い透明性の耐湿熱性ガスバリアフィルムとなる積層フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成をとる。
第1の発明は、高分子フィルムの少なくとも片側の表面に酸化アルミニウム膜が積層されてなり、該酸化アルミニウム膜中の金属アルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムに起因するアルミニウム原子数の分率をそれぞれa、b、c(a+b+c=1)で表したとき、aが0〜0.07の範囲にあり、cが0〜0.17の範囲にあり、該酸化アルミニウム膜の密度が2.5g/cm以上である積層フィルムである。
第2の発明は、前記酸化アルミニウム膜の膜厚が5〜100nmの範囲にあることを特徴とする。
第3の発明は、前記記載の積層フィルムの製造方法であって、アルミニウムの蒸発源と前記高分子フィルムの間の空間に高密度プラズマを発生させるプラズマ活性化蒸着法を用い、酸化アルミニウムの膜厚d(nm)に対して蒸着面積1m当たり2d〜4d(cc/m)の酸素ガスを供給しながら、酸化アルミニウム膜を高分子フィルムの表面に積層させることを特徴と積層フィルムの製造方法である。
第4の発明は、第3の発明において、高密度プラズマの発生方法がホローカソード式プラズマ源によることを特徴とする。
第5の発明は、第3または第4の発明において、高分子フィルムにプラズマまたは低エネルギーイオンを用いた表面処理を行い、その上に酸化アルミニウムを積層させることを特徴とする。
本発明により、酸化アルミニウム蒸着膜の正確な組成が把握でき、良好なガスバリア性と高い透明性の耐湿熱性ガスバリアフィルムが提供される。本発明にかかる酸化アルミニウム膜は、緻密であり、高い透明性とガスバリア性を同時に得ることができ、積層フィルムロールの色調も灰色のむらを持つことはない。
本発明の積層フィルムにおける金属アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムの関係を示す相図である。 本発明の積層フィルムの製造装置の一例である。
本発明の積層フィルムは、高分子フィルムの少なくとも片側の表面に酸化アルミニウム膜が積層され、該酸化アルミニウム膜中の金属アルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムに起因するアルミニウム原子数の分率をそれぞれa、b、c(a+b+c=1)で表したとき、aが0〜0.07の範囲にあり、cが0〜0.17の範囲にあり、かつ該酸化アルミニウム膜の密度が2.5g/cm以上である積層フィルムである。
本発明における高分子フィルムとしては、有機高分子化合物からなるフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体のケン化物、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール等の各種ポリマーからなるフィルムを使用することができるが、好ましくは、ポリエステルからなるポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルムのポリエステルとは、酸とアルコールによるエステル結合を有するポリマーの総称であるが、ジカルボン酸とジオールの縮合重合体が代表的なものであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などが工業的に安価に製造されている。中でもPETは成形性や物性バランスが優れており、常法により二軸延伸されたPETフィルムの使用が好ましい。
本発明の積層フィルムにおいて、高分子フィルムの少なくとも片側の表面に酸化アルミニウム膜が積層されている。酸化アルミニウム膜はアルミニウム原子と酸素原子だけでなく、水素原子によっても構成されている。
アルミニウムと酸素の比率を測定するには、従来はX線光電子分光法やオージェ電子分光法が用いられてきたが、水素を含めた組成の測定には、HR−RBS/HR−HFS(High−Resolution Rutherford Back Scattering/High−Resolution Hydrogen Forward Scattering)法を用いることで、水素、酸素、アルミニウムの組成比CAl、C、C(CAl+C+C=1、単位 原子数分率)を測定することができる。
酸化アルミニウム膜は、金属アルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの混合物からなる。過去、蒸着による酸化アルミニウムの構造として、AlO、Al、Alなどの不完全酸化の原子状態が提案されたり(例えば特許文献6)、またAlOといった表現で化学量論的なAlとは異なった酸化状態のものが示唆されてきたが、アルミニウムに関してはこういった不完全酸化の原子状態は取りえず、金属アルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの混合物で記述することが適当である。
酸化アルミニウム膜中の金属アルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムに起因するアルミニウム原子数の分率をそれぞれa、b、c(a+b+c=1)と表したとき、酸化アルミニウム膜の組成は、aAl+bAlO1.5+cAl(OH)で表現できる。
この式は、(a+b+c)Al+(1.5b+3c)O+3cHすなわち、Al+(1.5b+3c)O+3cHと変形できるので、上記組成としたときのアルミニウム原子数に対する酸素原子数の比率(O/Al)は1.5b+3c、アルミニウム原子数に対する水素原子数の比率(H/Al)は3cとなり、前述のHR−RBS/HR−HFS法によりCAl、C、Cを求めることでa、b、cの分率を以下の様に決定できる。
c=C/3CAl
b=(C−C)/1.5CAl
a=1−(b+c)
酸化アルミニウムの蒸着膜の透明性の阻害要因は、金属アルミニウムが残存することである。上記式でaは金属アルミニウムに相当する量である。このaが0であればアルミニウムはすべて反応した状態にあり、金属アルミニウムに起因する光吸収はなくなる。aが大きくなるに従って金属アルミニウムの割合が増えることから、本発明においては、aは0.07以下であることを光の吸収が少ない適性範囲とする。すなわち本発明において、aは0〜0.07の範囲である。0から0.05の範囲が透明性を向上させるためにより好ましく。0から0.03の範囲にあることがさらに好ましい。
さらに本発明において、水酸化アルミニウムの分率cは0〜0.17の範囲である。酸化アルミニウム膜中の水酸化アルミニウム部分は酸化アルミニウム部分に比べてガスバリア性能が十分でなく、特に耐湿熱性ガスバリア性能に劣るため、水酸化アルミニウム部分は少ないことが重要である。cは0〜0.10の範囲がより好ましく、0〜0.08の範囲がさらに好ましい。
1.5b+3cは、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムとして含まれる酸素原子数とアルミニウム原子数との比率(O/Al)に相当する。この値がこれまで、先行文献でAlOのxの値として示されていたものである。
従来の表現として、水素が存在していながらそれに気づかずAlOと表現した場合の化学量論的なx=1.5の状態を考える。以下、図1に示す相図を用いて説明をする。すなわち図1は、a+b+c=1を前提に、(a、b、c)のとり得る範囲を示した相図であって、底辺左端頂点はa=1すなわち金属アルミニウム100%、上部頂点b=1はAlO1.5100%、底辺右端頂点c=1はAl(OH)100%の状態を示す。線11は、x=1.5b+3c=1.5すなわちb+2c=1の状態を示す。b+2c=1は、完全な酸化アルミニウムAlO1.5から、酸化アルミニウムのないb=0である底辺(15に示す底辺)上の中点に至るまで連続的に存在する。b=1のAlO1.5であれば完全な酸化アルミニウムであり、本発明では望ましい組成である。しかしながら、このx=1.5の関係を保ちながら水酸化アルミニウムの増加によってcが増えると、Al(OH)1.5というものに移行するのではなく、0.5×Al+0.5×Al(OH)に移行するのである(12に示す点)。例えばc=0.15であれば、b=0.7、a=0.15となり、本発明では適正範囲外となる(13に示す点)。すなわちこれまでは、xが決まったとしても、(a、b、c)の組み合わせは無限にあり、酸化アルミニウム膜の組成を一義的に決定することはできなかった。
図1を用いて本発明におけるaが0〜0.07、cが0〜0.17の範囲を確認する。線17はa=0.07を示す線であり、この右側がaの0〜0.07の範囲である。線18はc=0.17を示す線であり、この左側がcが0〜0.17の範囲である。すなわちひし形19で示す領域がaが0〜0.07でありcが0〜0.17の範囲である。
図1によればb+2c=1すなわち線11より右の領域はb+2c>1であってO/Al>1.5である。先行文献7から9で触れられている、x>1.5の組成は、c>0であって水酸基の混在により膜中の酸素の総量が多い状態により実現できる。そして、必ずしもアルミニウムの反応した割合が高いわけではなく、金属アルミニウムの残存した透過率の低い状態も有り得る。
O/Alの値は先行文献8では1.7〜2.3、先行文献9では1.3〜2.0である。本発明におけるO/Al(=1.5b+3c)は、本発明における0≦a≦0.07、0≦c≦0.17の範囲でとり得る最大値は1.76であり、最小値は1.40であり比較的低い数値となることを特徴とする。
このように、従来の技術におけるO/Alの値だけでは金属アルミニウムの割合を把握できておらず、高い透過率を得るための酸化アルミニウム蒸着膜の指標としては不十分であった。この様な認識となった原因は前述のように測定方法にあると考えられる。これまでアルミニウムの酸化状態は、X線光電子分光法(XPS)やオージェ電子分光法によって測定されており、これらの方法では水素を検出しないので水酸化アルミニウムに起因する水酸基が認識されず、アルミニウムと酸素のみを酸化アルミニウム蒸着膜の組成として評価していたことが原因であると思われる。
上記の水酸化アルミニウムが生成される理由としては、真空蒸着機内の残留気体に含まれる水分の分圧が高い場合に、アルミニウムと水が反応して膜中に取り込まれることが考えられるが、その影響を防ぐため、通常、蒸着の開始前は一定の真空度まで排気して残留ガスを除去した後で開始するといった処置を講じているので、主な生成理由とはなっていないと思われる。むしろ、主に、蒸着時の酸化が不十分で金属アルミニウムが残存した状態で真空蒸着機から取り出された後で、自然に大気中の水分と反応し、水酸化するためと思われる。特許文献5、6ではこのプロセスを積極的に利用している。同時に若干の酸素も取り込んでいると思われるが、蒸着時の取り込み量との内訳を把握するのは困難である。
こうした蒸着後の反応により、すべての金属アルミニウムの反応が完結するわけではなく、金属アルミニウムの残留は避けがたい。また、蒸着時の酸化度合いが低いほど残存する金属アルミニウムの量が多く、それに応じて蒸着後の水酸化の度合いが大きくなり、金属アルミニウムと水酸化アルミニウムの量が共に多い膜となる。そのために前述のように水酸化アルミニウムの割合が小さいことが重要であり、本発明では、cは0.17以下である。
このように、本発明においては、アルミニウム、酸素、水素で記述される組成を把握して、従来は一括で認識されていた酸素分を酸化分と水酸化分に判別することにより、水酸化の度合いが低くて高い酸化度で、かつ未反応のアルミニウムの少ないことによって、高い透過率を持つ酸化アルミニウム膜を得る。
本発明において、ガスバリア性を確保するためには、酸化アルミニウム膜の密度を2.5g/cm以上とすることが必要である。密度が低いと膜中にボイド、あるいはポーラスな部分が散在し、これらを通じて膜中を気体分子が通過する。高密度な膜を形成することで、こうした気体を通過させる要因が少なくなり、ガスバリア性を確保できる。本発明における酸化アルミニウム膜の密度の上限は特に規定はされないが、α−アルミナ(鋼玉石、サファイヤ、ルビー等)の密度4.0g/cmが実質的な上限であり、あまり高すぎると酸化アルミニウム膜にクラックが発生しやすく、耐屈曲性が劣ったものとなりやすい。2.5〜3.2g/cmの範囲が好ましい。
酸化アルミニウム膜の膜厚は、ガスバリア性にとっては厚いほうが良いが、厚すぎると光吸収が無視できなくなることと、膜にクラックが発生しやすくなるので、上限を100nmとすることが好ましい。透明性を確保するには、30nm以下がより好ましい。
また、薄ければ透過率は上がるものの、バリア性が確保できなくなるので、5nmを下限とすることが好ましい。8nm以上あれば実用的なバリア性は得られる。すなわち5〜100nmの範囲が好ましく、8〜30nmの範囲がさらに好ましい。
次に、本発明の積層フィルムの製造方法について説明する。
本発明に係る組成の酸化アルミニウム膜は蒸着により製造することができる。そのためには、蒸着機内での酸化反応を高いレベルまで進めることが必要であり、従来技術に比べて充分な酸素を供給することが重要である。
本発明において、酸化アルミニウムの蒸着時に、酸化アルミニウムの膜厚d(nm)に対して蒸着面積1m当たり2d〜4d(cc/m)の酸素ガスを供給することが、本発明の積層フィルムを耐湿熱性ガスバリアフィルム用途とさいて使用するためには好ましい。
面積1m、膜厚d(nm)の酸化アルミニウム膜に取り込まれる酸素ガスの体積は、下記の通り算出される。2.5g/cmは本発明において規定する酸化アルミニウムの密度の範囲における最低値であり、102g/molは酸化アルミニウムAlの式量、1.5は酸化アルミニウムにおける酸素ガスの当量比(3×O/Al=1.5×(O/Al))、22400(cc/mol)は1mol当たりの酸素ガスの体積である。
d×10−9(m)×1(m)×10(cc/m)×2.5(g/cm)÷102(g/mol)×1.5×22400(cc/mol)=0.82d(cc)。
実際には、フィルム以外に付着するアルミニウムの酸化、真空ポンプによって排気される分などがあって、蒸着膜を完全に酸化するための酸素ガスの体積は、2d(cc/m)以上必要である。2.5d(cc/m)付近は最も適した量であり、多すぎると排気系への負担が増えるので4d(cc/m)を上限とする。
2.5d(cc/m)の酸素ガスとは、幅2mのフィルムに20nmの膜厚の酸化アルミニウム膜を6m/秒のフィルム速度で生産する場合には、36L/分の酸素ガス供給量となる。
以上の酸化アルミニウムの膜厚と酸素ガス量の関係を、アルミニウム蒸発量A(モル/分)、酸素ガス導入量B(モル/分)の比率B/Aを用いて、従来技術と比較する。
本発明においては、蒸着にボートを用い、フィルムに付着する酸化アルミニウムの量を基準に酸素ガス量を規定している。ボートからのアルミニウムの総蒸発量は、ボート蒸着法における付着効率を80%とすれば、フィルムに付着する量の1.25倍程度となる。従来技術で用いられているるつぼ蒸着法では付着効率は約60%と低いので、この倍率はより大きくなる。
本発明によるB/Aは以下の計算により、1.46から2.91と算出される。
A=d×10−9(m)×分あたり蒸着面積(m/分)×10(cc/m)×2.5(g/cm)÷102(g/mol)×2×1.25
B=2d〜4d×分あたり蒸着面積(m/分)/22400。
従って、B/A=2〜4/{10−9(m)×10(cm/m)×2.5(g/cm)÷102(g/mol)×2×1.25×22400}=2〜4/1.37=1.46〜2.91。
特許文献2においてはB/Aは0.2から0.75の範囲であり、特許文献1においてはB/Aは0.12から0.19の範囲である。本発明のB/Aに対して極めて低い数値であり、本願発明のアルミニウム量に対する酸素ガス量は著しく高いことが判る。
上記に示した量で供給した酸素ガスをアルミニウムと効率的に反応させ、高い酸化状態と高透過率を得るとともに、高い密度で優れたバリア性を得るために、蒸着時のアルミニウム蒸気と酸素ガスを高度に活性化することが好ましい。
活性化の方法としては、プラズマやイオン、光、熱など様々な励起方法があるが、プラズマを用いると比較的効率的に活性化することができるため、プラズマ活性化蒸着法によることが好ましい。プラズマ発生手段としては、ホロ−カソード放電、マイクロ波プラズマ、ICPプラズマ、ヘリコン波プラズマなどが採用できる。
図2は本発明の酸化アルミニウム膜を製造するための蒸着機を示しており、33のロールフィルムから巻き出したフィルムは冷却ドラム35に導かれ蒸着された後、34に巻き取られる。37に示されるプラズマ源を蒸着源36の斜め上に配置して、プラズマ38を蒸着源と冷却ドラムの間の空間に送り込み、この領域に存在する気体や蒸発物などに作用させ、活性化させる。また、蒸着中のフィルム表面にもプラズマは到達し活性化蒸着が促がされる。
これらのプラズマ発生手段の中でも、ホローカソード放電が大容量のプラズマ発生手段として適している。ホローカソード放電とは、空洞状の陰極内にプラズマを発生させ、空洞内壁に沿って形成されるシース内に一次電子を閉じ込めることにより電離効率を向上させ、空洞の開口部に対向する陽極との間に強力なプラズマを発生させる方法である。アルミニウムの蒸発源の幅や数に応じて、フィルムの幅方向にホローカソードのプラズマ源を1m当たり5本程度並べ、幅方向に一様な活性化を行う。
本発明の耐湿熱性ガスバリアフィルムは、上記の様に、アルミニウムの蒸発源と高分子フィルムの間の空間に高密度プラズマを発生させるプラズマ活性化蒸着法において、酸化アルミニウムの膜厚d(nm)に対して蒸着面積1m当たり2d〜4d(cc/m)の酸素ガスを供給しながら、酸化アルミニウム膜を高分子フィルムの表面に蒸着することにより作製されるが、酸化アルミニウム膜中の金属アルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの割合を本発明における特定の範囲にすることは、上記蒸着後大気中に取り出すことで達成でき、さらにはこれら組成が確認できる。また、本発明における酸化アルミニウム膜中の金属アルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムの割合を特定の範囲とすることが、蒸着後に大気中に取り出した直後に達成できる。
従来技術による金属アルミニウムが多く残存した酸化アルミニウム膜は、大気中に取り出し後徐々に酸化および、または水酸化が進行し、ロールの状態では季節によるが2日〜1週間程度で透明化が終結する。金属アルミニウム量が多い場合は完全に透明化しないことは前述の通りである。一方、本発明の積層フィルムは大気取り出し直後に物性が安定する。ロールの状態でも24時以内で安定化する。蒸着後の反応の原因となる金属アルミニウムの量が蒸着直後に少ないこと、酸化アルミニウム膜の密度が高く、膜の構造が緻密で反応の余地がないことによると思われる。
本発明の耐湿熱性ガスバリアフィルムは、ボイル、レトルト用途に最適で、その耐久性を強める上で蒸着前の高分子フィルム表面へのプラズマまたはイオンを用いた表面処理は有効である。表面処理を行った後に酸化アルミニウムを蒸着することでウェット密着力が向上し、ボイルまたはレトルト処理における高温高圧状態に曝された後も充分なウェット密着力を保持するだけの耐湿性を備える。
フィルム表面の改質方法としては、プラズマ処理、リアクティブイオンエッチング処理、イオンビーム処理などが適用可能である。その中でも、マグネトロンカソードに放電ガスとして酸素を供給し発生させた酸素プラズマをフィルム面に作用させるプラズマ処理は簡便な構造で効果的な表面改質が期待できる。その他にリアクティブイオンエッチング処理やイオンビーム処理は、高分子フィルムの表層だけでなく有限な深さまで改質することで、効果的な耐湿性向上効果が期待できる。
図2に示すとおり、フィルムの巻き出しロールと蒸着部の間に、プラズマ処理用カソードを配置する。処理に適したガス圧は必ずしも蒸着機内の圧力と合致しないので、42によってその周囲を囲い、差動排気によって圧力を低く保つ、もしくはガス供給により高めの圧力に保つなどの調整を行っても良い。こうした表面処理部は、蒸着の前であれば特に制限はなく、設置する空間があれば蒸着室でも良いし、すでに処理済の原反のロールを巻き出し部に設置して蒸着しても良い。
この処理によりフィルム表面は正に帯電して支障の出る場合、必要に応じてニュートライザーから電子を照射して打ち消しても良い。このような設置に関わる配慮は、リアクティブイオンエッチング処理、イオンビーム処理にも有効である。
本発明の積層フィルムはボイルレトルト用に高いバリア性能と耐久性を発揮する。この用途のために、蒸着後に保護コートを行う事が有効である。その一例として、金属アルコキシドとポリビニルアルコールからなる液を塗布した後に加熱硬化させてなる保護膜は良好な特性を発揮する。そして、その上にナイロンフィルムとポリプロピレンなどのヒートシール性フィルムを接着剤を用いてラミネートする事で、優れたボイルレトルト向け包装材として使用できる。
本発明により、高品質の耐湿熱性の透明ガスバリアフィルムが高い生産性で製造できる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお実施例および比較例中の物性は次のようにして測定した。
(1)全光線透過率
積層フィルムの全光線透過率(%)を、日本電色工業(株)製ヘイズメーターNDH2000により測定した。蒸着前の高分子フィルムの全光線透過率に対して1.0%以内の低下であれば合格とした。本検討で用いた高分子フィルムであるポリエステルフィルムの蒸着前の全光線透過率は89.0%であったため、88.0%以上を合格とした。
(2)酸素透過率
積層フィルムから幅100×100mmに切断したサンプルを作成し、酸素透過率(cc/(mday・atm))をJISK7126−2(制定2006年8月20日)に準じて、モダンコントロール社製酸素透過率測定装置OX−TRAN2/20を用いて、23℃、0%RHの条件にて測定した。サンプル3点の平均値を求めた。酸素透過率2cc/(mday・atm)以下を合格範囲とした。
(3)水蒸気透過率
積層フィルムから幅100×100mmに切断したサンプルを作成し、水蒸気透過率(g/(mday))をJISK7129B(制定2008年3月20日)に準じて、モダンコントロール社製水蒸気透過率測定装置Permatran−W3/30を用いて、40℃、90%RHの条件にて測定した。サンプル3点の平均値を求めた。水蒸気透過率2g/(mday)以下を合格範囲とした。
(4)低速ウェット密着強度
東洋モートン(株)製ドライラミネート用接着剤AD−503タイプ20重量部、東洋モートン(株)製硬化剤CAT−10タイプ1重量部、および酢酸エチル20重量部を混合し、30分攪拌して固形分濃度19重量%のドライラミネート用接着剤溶液を調整した。次に積層フィルムの酸化アルミニウム積層面にバーコート法により上記接着剤溶液を塗工し、80℃で45秒間乾燥して3.5μmの接着剤層を形成した。接着剤層面に東レフィルム加工(株)製無延伸ナイロンフィルム「レイファン」(登録商標)NO1401タイプ(厚さ30μm)を重ね、富士テック(株)製「ラミパッカー」(LPA330)を用いてヒートロールを40℃に加熱して貼り合わせた。次に未延伸ポリプロピレンフィルム「トレファン」(登録商標)NO ZK100タイプ(厚さ70μm)を同じ方法で貼り合わせた。このラミネートフィルムを40℃に加熱したオーブン内で2日間エージングして接着剤を硬化させた。
上記ラミネートフィルムから15cm角に切り出してカットサンプルを作成した。2枚のカットサンプルを未延伸ポリプロピレンフィルム面が対向するようにして重ね、ヒートシーラーを用いて3辺の端部10mmを熱シールして150mm角のパッケージを作成した。
次にそのパッケージを、(株)トミー精工製オートクレーブ(SR−24タイプ)を用いて温度135℃で30分間レトルト処理した。
レトルト処理後、パッケージを幅15mm、長さ150mmに切断してカットサンプルを作成し、(株)オリエンテック製「テンシロン」(PTM50タイプ)を使用して積層フィルムとナイロンフィルム間を界面としてその界面に水を綿棒で塗工しながら、180°ピール法により、引っ張り速度50mm/minで剥離し強度を測定した。これらの測定を異なる2枚のカットサンプルを使用して行い、得られた値の平均値をレトルト処理後低速ウェット密着強度(N/15mm)とした。1.5N/15mm以上を合格とした。
(5)組成分析
高分解能ラザフォード後方散乱および高分解能水素前方散乱(HR−RBS/HR−HFS)を用いて酸化アルミニウム膜の組成を測定した。測定装置は(株)神戸製鋼所製HRBS500を用い、HR−RBSにおいては、ヘリウムイオンを打ち込んでその後方散乱を測定した。HR−HFSにおいては、窒素イオンを用い、前方に散乱される水素原子を測定した。
散乱強度の分布から膜厚方向の組成分布が得られるので、その中心付近の比較的安定した領域での平均値を組成値とした。20nmの膜厚の試料においては、6nm〜11nmを算出領域とした。そして、膜厚の異なる試料については、これに準じた算出領域とした。
(6)密度測定
酸化アルミニウム膜の密度の測定には、全反射X線法を用いた。試料の平面性を確保するために厚さ125μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製「ルミラー」(登録商標)T60)をロールフィルムに接続し、連続した同じロールフィルムとして蒸着した。測定には(株)リガク製ATX−G型表面構造評価用多機能X線評価装置を用いた。X線としては銅ターゲットから発生する波長0.15405nmのCuKα線を用いた。2θの角度0.05゜から4゜までの表面反射を測定し、全反射臨界角から密度を算出した。
(参考 表和彦 Journal of Surface Analysis Vol.9, No.2(2002) P.203)。
(実施例1)
フィルム巻き出し部には、高分子フィルムとして、包装用の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製「ルミラー」(登録商標)P60、厚さ12μm、幅2000mm)をセットし、到達圧力8×10−3Paまで真空引きした。
薄膜形成機構としては抵抗加熱したボート上にアルミニウムワイヤーを送って蒸発させ、酸素ガスを36L/分の流量で流し反応性蒸着とした。フィルム速度を6m/秒で走行させ、アルミニウムワイヤーの供給速度を調節して酸化アルミニウム膜の膜厚を20nmの厚さとした。酸化アルミニウム膜1m当りの酸素ガス量は50ccであり、酸化アルミニウムの膜厚(nm)に対して2.5cc/nmの関係であった。この時のフィルム冷却ドラムの温度は−20℃であった。
フィルムの巻き出しロールと蒸着部の間に、銅をターゲットとしたマグネトロンカソードを配置して酸素を供給し500kHzの高周波電圧を印加して放電させて、酸素プラズマを励起した。このプラズマをポリエステルフィルム表面に作用させて、蒸着前のフィルム表面にプラズマ処理を行った。
蒸着源の斜め上にはプラズマ発生部があり、ホローカソード方式のプラズマ源にアルゴンガスを流し放電させてプラズマを励起した。そのプラズマを対向するアノードによりボートの直上に引き出しフィルム面に向かうアルミニウム原子および酸素ガスを活性化した。
蒸着後は88.7%と透明性が高く、ガスバリア性能にも優れた耐湿熱性ガスバリアフィルムとすることができた。a、b、cの値を図1の点20で示した。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、フィルム速度を4m/秒とし、酸素ガス流量を24L/分と下げて酸化アルミニウム膜1m当りの酸素ガス量は50ccのままとし、酸化アルミニウム膜の膜厚を22nmに調節した。ホローカソード方式のプラズマ源への投入電力は実施例1と同じとしたため、実施例1に比べて強い活性化条件で酸化アルミニウム膜を蒸着した。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で、フィルム速度を8m/秒とし、酸素ガス流量を48L/分と上げて酸化アルミニウム膜1m当りの酸素ガス量は50ccのままとし、酸化アルミニウム膜の膜厚を19nmに調節した。ホローカソード方式のプラズマ源への投入電力は実施例1と同じとしたため、実施例1に比べて弱い活性化条件で酸化アルミニウム膜を蒸着した。
(実施例4)
実施例1において、酸素ガス流量のみ32L/分と減らし、酸化アルミニウム膜1m当りの酸素ガス量を44ccとし、酸化アルミニウムの膜厚(nm)に対して2.2cc/nmと酸素ガスが少なめの条件で酸化アルミニウム膜を蒸着した。全光線透過率は下がったが、合格範囲内であった。
(実施例5)
実施例1において、フィルム速度を10m/秒とし、酸素ガス流量を30L/分として酸化アルミニウム膜1m当りの酸素ガス量を25ccとし、酸化アルミニウム膜の膜厚を10nmとすることで酸化アルミニウムの膜厚(nm)に対して2.5cc/nmと実施例1と同じ酸化条件として酸化アルミニウム膜を蒸着した。膜厚が低い分、ガスバリア性が低下したが、合格範囲内であった。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で、ホローカソードプラズマ源による活性化を行わない条件で酸化アルミニウム膜を蒸着した。密度が2.2g/cmと低く、ガスバリア性にて不合格となった。a、b、cの値を図1の点21で示した。
(比較例2)
実施例1において、ホローカソードプラズマ源による活性化の代わりに、ボート上に平行平板のステンレス電極を対向させ、電極間に高周波電圧を印加して電極間をプラズマ化し、その間をアルミニウム蒸気を通過させて酸化アルミニウム膜を蒸着した。密度が2.4g/cmと低く、ガスバリア性にて不合格となった
(比較例3)
実施例1において、酸素流量を25L/分とし、酸化アルミニウム膜1m当りの酸素ガス量を35ccとし、酸化アルミニウムの膜厚(nm)に対して1.7cc/nmと酸素ガスが少ない条件で酸化アルミニウム膜を蒸着した。aの値が大きく、金属アルミニウムが多い膜となり、全光線透過率が下がり、不合格となった。
(比較例4)
実施例1において、酸素流量を22L/分とし、酸化アルミニウム膜1m当りの酸素ガス量を31ccとし、酸化アルミニウムの膜厚(nm)に対して1.5cc/nmと酸素ガスが少ない条件で酸化アルミニウム膜を蒸着した。大気中にロールを取り出し後、65%RH、25℃の雰囲気下で巻き返しを行い、同雰囲気下で5日間エージングを行い、透明化を進行させたが、全光線透過率が不十分なものとなった。
実施例、比較例の製造条件、積層フィルムの酸化アルミニウム膜の物性、組成、組成分率、積層フィルムの特性を表1に示した。
Figure 2017177343
11 b+2c=1を示す線
12 0.5×Al+0.5×Al(OH)
13 0.15×Al+0.7×AlO1.5+0.15×Al(OH)
14 a=0
15 b=0
16 c=0
17 a=0.07
18 c=0.17
19 本発明における(a、b、c)の範囲
20 実施例1
21 比較例1
31 真空槽
32 真空ポンプ
33 巻き出しロール
34 巻き取りロール
35 冷却ドラム
36 蒸発源
37 プラズマ発生部ホローカソード
38 プラズマ
39 アノード
40 酸素ノズル
41 プラズマ処理用カソード
42 プラズマ処理部の囲い

Claims (5)

  1. 高分子フィルムの少なくとも片側の表面に酸化アルミニウム膜が積層され、該酸化アルミニウム膜中の金属アルミニウム、酸化アルミニウムおよび水酸化アルミニウムに起因するアルミニウム原子数の分率をそれぞれa、b、c(a+b+c=1)で表したとき、aが0〜0.07の範囲にあり、cが0〜0.17の範囲にあり、かつ該酸化アルミニウム膜の密度が2.5g/cm以上である積層フィルム。
  2. 前記酸化アルミニウム膜の膜厚が5〜100nmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の積層フィルムの製造方法であって、アルミニウムの蒸発源と前記高分子フィルムの間の空間に高密度プラズマを発生させるプラズマ活性化蒸着法を用い、酸化アルミニウムの膜厚d(nm)に対して蒸着面積1m当たり2d〜4d(cc/m)の酸素ガスを供給しながら、酸化アルミニウム膜を高分子フィルムの表面に積層させることを特徴とする積層フィルムの製造方法。
  4. 前記高密度プラズマの発生方法がホローカソード式プラズマ源によることを特徴とする請求項3に記載の積層フィルムの製造方法。
  5. 前記高分子フィルムにプラズマまたは低エネルギーイオンを用いた表面処理を行い、その上に酸化アルミニウムを積層させることを特徴とする請求項3または4に記載の積層フィルムの製造方法。
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