JP2017176123A - 生鮮魚肉加工食品用の魚由来成分含有植物油脂、油脂組成物、生鮮魚肉加工食品および酢飯食品 - Google Patents

生鮮魚肉加工食品用の魚由来成分含有植物油脂、油脂組成物、生鮮魚肉加工食品および酢飯食品 Download PDF

Info

Publication number
JP2017176123A
JP2017176123A JP2016072115A JP2016072115A JP2017176123A JP 2017176123 A JP2017176123 A JP 2017176123A JP 2016072115 A JP2016072115 A JP 2016072115A JP 2016072115 A JP2016072115 A JP 2016072115A JP 2017176123 A JP2017176123 A JP 2017176123A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
fish
fat
vegetable oil
fresh
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016072115A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6821937B2 (ja
Inventor
阿部 秀一
Shuichi Abe
秀一 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NOF Corp
Original Assignee
NOF Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NOF Corp filed Critical NOF Corp
Priority to JP2016072115A priority Critical patent/JP6821937B2/ja
Publication of JP2017176123A publication Critical patent/JP2017176123A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6821937B2 publication Critical patent/JP6821937B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)
  • Cereal-Derived Products (AREA)

Abstract

【課題】本発明の課題は、工業的に大量生産が可能で、流通時の風味劣化が抑制された生鮮魚肉加工食品であって、本物のネギトロに近い水溶性の旨みと油溶性の旨みの両方を有する生鮮魚肉加工食品を提供することにある。【解決手段】上記課題を解決する手段は、植物油脂による魚の水性エキスの抽出物である魚由来成分含有植物油脂であって、生鮮魚肉加工食品用の魚由来成分含有植物油脂を提供する。この魚由来成分含有植物油脂をマグロの赤身に添加すると、赤身に含まれる水溶性の旨みと、魚由来成分含有植物油脂に含まれる油溶性の旨みが相乗的に作用し、本物のネギトロのような風味を呈する生鮮魚肉加工食品を得ることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、マグロ等の魚の風味を有し、生鮮魚肉加工食品に用いる植物油脂およびそれを用いた生鮮魚肉加工食品に関する。
マグロ、サケ等の生鮮魚肉は、刺身、寿司の具材等の加工食品として広く使用されている。これら生鮮魚肉加工食品のうち、脂肪含有量の高い脂身は風味が良好で、コク味があるが、全魚体量に対して1/3〜1/4の割合しかなく、量的には不足している。一方、脂肪含有量の少ない赤身は魚体に対しての割合が多いものの、淡白な風味でコク味がなく、脂身と比較して付加価値の低い商品として扱われている。そこで従来より付加価値の低い赤身を風味良好でコク味がある生鮮魚肉加工食品とするため、赤身のミンチ状生肉に液状油、ショートニング等の油脂組成物を混合することによりコク味を付加し、ネギトロ様の生鮮魚肉加工食品とする方法が知られている。このような用途に用いられる油脂組成物としては、コーン油およびその水素添加油脂を用いたもの(特許文献1)、海産動物油脂と固形油脂の混合物を用いたもの(特許文献2)、パーム系油脂を含むエステル交換油脂と液状油を配合したもの(特許文献3)が知られている。
本来、ネギトロとは、本マグロの骨の隙間にある赤身、皮の裏にある脂身などを包丁でこそぎ落とし(この行為を「ねぎる」と言い、ネギトロの語源となっている)、さらにミンチ状にして混ぜ合わせたものである。そして、マグロの脂身には、それ自身が独特の味(油溶性の旨み)を有しており、本来のネギトロは、赤身由来の水溶性の旨みと脂身由来の油溶性の旨みを相乗的に感じることができるものである。
一方、赤身のミンチ状生肉に油脂組成物を添加してコク味を付加したネギトロ様の生鮮魚肉加工食品は、精製されて無味無臭となった食用油脂を添加しているため、油溶性の旨みが乏しく、本来のネギトロより旨みが劣るものであった。
また、ネギトロは、そのまま食べられるより巻き寿司、握り寿司(軍艦巻き)、ネギトロ丼などのように酢飯と一緒に食べられることが多いが、酢飯には酢、砂糖、塩などの味の強い水溶性調味料が含まれているため、ネギトロと一緒に食べると水溶性の旨みが競合してしまい、ネギトロの水溶性の旨みが感じにくくなる。本来のネギトロは水溶性の旨みと油溶性の旨みの両方を有しているため、酢飯と一緒に食べても油溶性の旨みをしっかりと旨みとして感じることができる。しかし、従来のネギトロ様の生鮮魚肉加工食品では油溶性の旨みが乏しいため、酢飯と一緒に食べると本来のネギトロとの味の差がよりいっそう鮮明になる。
本来のネギトロの風味に近づけるため、ネギトロ様の生鮮魚肉加工食品に用いる油脂としてマグロ油を用いた方法(特許文献4)が開示されている。これは本来のネギトロに近い油脂組成のようであるが、マグロ油は食用にする過程で工業的に精製されており、その工程で油溶性の旨みは除去されてしまっているため風味が乏しいものとなっている。また、魚体から搾油したマグロ油を精製せずに用いた方法(特許文献5)も開示されている。この技術では製造直後のみ本来のネギトロに近い風味が得られるが、マグロ油は酸化安定性が悪いため風味劣化が早く、工業的に大量に製造し、流通する製品では安定した品質を維持することができない。
その他、精製された無味無臭の油脂を用いたネギトロ様の生鮮魚肉加工食品の風味を補うため、水溶性成分であるグルタミン酸ソーダを直接ネギトロ様の生鮮魚肉加工食品に添加する方法(特許文献6)、水溶性の旨み成分(魚介類の呈味成分、たんぱく質加水分解物など)と油脂を乳化して生鮮魚肉加工食品に添加する方法(特許文献7、特許文献8)が開示されている。しかし、これら調味料は水溶性の旨み成分であるため油溶性の旨み成分の代替にはならず、さらには、調味料の人工的な味ばかりが強調され、本来のネギトロの味とは異なるものであった。
精製油に特定の風味をつけた油脂は、香味油あるいはシーズニングオイルと呼ばれている。シーズニングオイルは、揮発性の香りを特徴とする香料あるいはフレーバーとは異なり、油溶性の旨みに優れた油脂である。従来の技術で作られたネギトロ様の生鮮魚肉加工食品の風味を本来のネギトロに近づけるためには、このシーズニングオイルを用いることができる。シーズニングオイルの工業的な製造法としては、野菜、香辛料、水産物、畜産物などの被抽出物を、直接抽出溶媒である油脂に接触させる方法(特許文献9)、あるいは被抽出物を水の存在下で油脂に接触させる方法(特許文献10)などが開示されている。しかしこれら従来の技術では、被抽出物から油溶性の旨みを抽出するとともに、被抽出物由来の油脂もシーズニングオイルに混入する。すなわち、生鮮マグロ自体を被抽出物として直接抽出溶媒である油脂に接触させると、酸化安定性が悪いマグロ油がシーズニングオイルに混入し、油の風味劣化が早くなり好ましくない。そのため、マグロ油を混入させずにマグロの風味を植物油脂に移行させたシーズニングオイルが、本来のネギトロの味に近いネギトロ様の生鮮魚肉加工食品を工業的に生産するために必要であった。
以上のような背景のもと、ネギトロ様の生鮮魚肉加工食品においても、工業的に大量生産が可能で、流通時に風味劣化することがなく、本来のネギトロの味に近い水溶性の旨みと油溶性の旨みの両方を有する生鮮魚肉加工食品が求められている。
特開昭63−181979号公報 特開平7−39348号公報 国際公開第2012/105548号 特開平10−84915号公報 特開昭63−167764号公報 特開平1−95747号公報 特開昭64−2556号公報 特開2000−60495号公報 特開昭58−31938号公報 特開昭57−33542号公報
本発明の課題は、工業的に大量生産が可能で、流通時の風味劣化が抑制された生鮮魚肉加工食品であって、本物のネギトロに近い水溶性の旨みと油溶性の旨みの両方を有する生鮮魚肉加工食品を提供することにある。
本発明者は、魚の水性エキスを植物油脂で抽出した魚由来成分含有植物油脂を、マグロの赤身等の生鮮魚肉に添加することにより、魚由来の水溶性の旨みと油溶性の旨みの両方を有する生鮮魚肉加工食品を得ることができること見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の(1)〜(4)である。
(1)植物油脂による魚の水性エキスの抽出物である魚由来成分含有植物油脂であって、生鮮魚肉加工食品用の魚由来成分含有植物油脂。
(2)前記の(1)に記載の魚由来成分含有植物油脂を含有する、生鮮魚肉加工食品用の油脂組成物。
(3)前記の(2)に記載の油脂組成物を含む、生鮮魚肉加工食品。
(4)前記の(3)に記載の生鮮魚肉加工食品を用いた、酢飯食品。
本発明により、工業的に大量生産が可能で、流通時における風味劣化が抑制された生鮮魚肉加工食品であって、魚の水溶性の旨みと油溶性の旨みの両方を有する生鮮魚肉加工食品、ならびにその生鮮魚肉加工食品を用いた酢飯食品を提供することができる。
[魚由来成分含有植物油脂]
本発明の生鮮魚肉加工食品用の魚由来成分含有植物油脂は、魚の水性エキスを植物油脂で抽出した魚の水性エキスの植物油脂抽出物である。
本発明の生鮮魚肉加工食品用の魚由来成分含有植物油脂は、魚の水性エキスとして抽出した旨み成分を、さらに植物油脂に移行させることにより、酸化安定性の悪い魚油を混入させることなく油溶性の旨み成分を含む植物油脂を得ることができる。
<魚の水性エキス>
本発明の魚由来成分含有植物油脂の原料として用いる魚の水性エキスは、魚の魚体から水性溶媒により抽出されたエキスから油分を分離したものである。魚体としては、特に制限されないが、例えば、頭部、内臓、肉、皮、骨、ヒレ、えら、うろこ、目等の魚体の部位または全部を利用することができる。また、水性溶媒としては、水溶性の溶媒であれば特に制限されないが、例えば、水、エタノール、含水エタノール等を利用することができる。作業の安全性、製造コスト等において優れるという観点から、好ましくは、水である。
水性エキスの製法の一例としては、例えば、魚のあら(頭部、ヒレ、皮、内臓などの混合物を細かく裁断したもの)の煮汁から油分を分離したのち濃縮することにより得ることができる。魚の水性エキスはタンパク質の分解が促進されているため、旨みのある原料として本発明の魚由来成分含有植物油脂に好ましく用いることができる。
水性エキスの原料として用いる魚の種類は、特に制限されないが、例えば、マグロ、サケ、サバ、カツオ、イワシ、ブリ、サンマ、アナゴ、カレイ、ヒラメ、タラ、タイ、マス等が挙げられる。旨み成分を多く含むという観点から、赤身の魚が好ましく、マグロ、サケが特に好ましい。生鮮魚肉加工食品への添加を勘案すると、生鮮魚肉と同じ種類の魚を原料とすることが好ましく、生鮮魚肉がマグロであればマグロエキス、サケであればサケエキスとするのが好ましい。また、他の種類の魚をエキス原料として用いてもかまわない。
植物油脂による抽出操作に用いる水性エキスの形態としては、どのような形態でもよく、例えば、魚体から水性溶媒により抽出した抽出液をそのまま使用しても、これを濃縮した濃縮液体や、乾燥した乾燥固体でもよい。また、抽出液にデキストリンや澱粉等の賦形剤を添加して、乾燥、粉砕した粉末等でもよい。未濃縮液体、濃縮液体は、乾燥の作業が不要となるため、作業性の観点において優れている。また、水性エキスの保存安定性の観点からみれば、固体、粉末の状態が好ましい。
水性エキス中の全窒素含量は、特に制限されないが、好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上8質量%以下である。
水性エキスにおいて、全窒素量を1質量%以上とすることにより、植物油脂へ油溶性の旨みを十分に移行することができる。一方、10質量%を超える場合には、油溶性の旨みを素早く植物油脂へ移行されるものの、水性エキスに油溶性の旨みが残りやすく、抽出歩留まりが低下する。
水性エキス中の油分含量は、特に制限されないが、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%であり、特に好ましくは3質量%である。
水性エキス中の油分含量を10質量%以下とすることにより、水性エキスを植物油脂で抽出した際に、植物油脂に混入する魚油が少量となるため、酸化安定性に優れた魚由来成分含有植物油脂を得ることができる。
<植物油脂>
魚の水性エキスから油溶性の旨み成分を抽出するための植物油脂は、植物から搾油された後、精製された植物油脂である。植物油脂はラード、牛脂などの動物油脂と比較して淡白な風味である。また、魚油と比較してはるかに酸化安定性が良いので工業的に製造し、流通させる製品に向いており、魚の風味を移行する油脂として好ましく用いられる。
植物油脂の種類としては特に限定はなく、具体的には、コーン油、ナタネ油、大豆油、紅花油、ヒマワリ油、米油、オリーブ油、綿実油、太白ゴマ油、ハイオレイック紅花油、ハイオレイックヒマワリ油、パーム油などの抽出、精製した精製油脂が用いられる。さらに、これら植物油脂を原料として製造した分別油脂、硬化油脂、エステル交換油脂等の加工油脂を用いてもよい。
分別油脂とは、油脂を乾式分別、溶剤分別、乳化分別などの方法により、1つの油脂から高融点部と低融点部に分けられた油脂のことである。硬化油脂とは金属触媒下で油脂の二重結合に水素を付加した油脂のことである。エステル交換油脂とは、化学触媒あるいは酵素触媒を用いて、グリセリン骨格に結合している脂肪酸を相互変換させることにより得られる油脂のことである。
また、植物油脂は、上記の植物油脂の精製油脂又は加工油脂を単一で用いても、種々の油脂を配合した配合油脂として用いてもよい。植物油脂の融点は、水性溶媒の沸点より低い温度であればよく、好ましくは40℃以下であり、より好ましくは20℃以下であり、更に好ましくは5℃以下である。配合油脂を用いる場合には、配合油脂としての融点を調整すればよい。
<魚由来成分含有植物油脂>
本発明の魚由来成分含有植物油脂は、魚の水性エキスの植物油脂による抽出物である。ここで抽出物とは抽出に用いた植物油脂を含めての総体をいう。
本発明の魚由来成分含有植物油脂は、魚の水性エキスに含まれる旨み成分を油溶性の旨み成分として植物油脂で抽出することにより製造することができる。抽出操作における水性エキスと植物油脂の混合比については、特に制限されないが、魚の水性エキス中の全窒素含量や油分含量をもとに、所定の混合比で使用することにより風味等の品質を一定に維持することができる。
抽出操作における水性エキスと植物油脂の混合比において、抽出する植物油脂100質量部に対する水性エキス中の全窒素含量は、0.05質量部以上0.5質量部以下であることが好ましい。0.05質量部以上とすることにより、植物油脂へ油溶性の旨みが十分に移行し、本発明の効果をより発揮することができる。0.5質量部を超えると、油溶性の旨み成分の移行に時間がかかるため作業性が低下する。
抽出操作における水性エキスと植物油脂の混合比において、抽出する植物油脂100質量部に対する水性エキス中の油分含量は、3質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましく、1質量部以下であることが特に好ましい。3質量部以下とすることにより、酸化安定性の悪い魚油の混入量が低下し、安定性に優れた魚由来成分含有植物油脂を得ることができる。
また、抽出操作における植物油脂と水性エキスの質量比は、植物油脂100質量部に対して水性エキスを2質量部以上10質量部以下とすることが好ましい。この範囲とすることにより、植物油脂と水性エキスの接触が良好となり、水性エキスの油溶性の旨み成分が植物油脂に移行しやすい。
抽出温度は、抽出に使用する植物油脂の融点以上であれば特に制限されないが、好ましくは40〜150℃、より好ましくは60〜130℃であり、特に好ましくは80〜110℃である。この範囲とすることにより、加熱による植物油脂の劣化を抑制しつつ、水性エキス中の油溶性の旨みを効率よく植物油脂へ移行することができる。
水性エキスに水性溶媒を含む場合には、水性エキスから油溶性の旨みを植物油脂に移行後、水性溶媒を除去する。除去方法としては、比重差を利用した油水分離方法や、加熱により水性溶媒を揮発させる方法等が挙げられる。
水性エキスに含まれる油溶性の旨みを植物油脂に十分に移行させるという観点から、加熱して水性溶媒を揮発させる方法が好ましい。具体例としては、水性溶媒が揮発する温度、例えば水分であれば95℃以上110℃未満で加熱して水性エキス由来の水分を0.3質量%未満になるまで揮発させることが好ましい。魚由来成分含有植物油脂の水分含量を0.3質量%未満とすると、油溶性の旨み成分を十分に植物油脂に移行することができる。
なお、水性溶媒の揮発操作における温度は、植物油脂の融点以上であれば、水性溶媒の沸点、雰囲気圧に応じて適宜設定すればよい。
抽出操作後、不溶物を遠心分離、ろ過などにより分離して魚由来成分含有植物油脂を得ることができる。
本発明の魚由来成分含有植物油脂における全窒素含量は、特に制限されないが、0.05〜0.5質量%であることが好ましい。0.05質量%以上の場合には、安定性を高めるために他の精製油脂と混合して油脂組成物としても十分に油溶性の旨みを感じることができる。0.5質量%を超えると、油溶性の旨みが高まるものの、油溶性の旨みの移行に多大な時間を要したり、移行する割合が少なく歩留まりが低下したりする等、作業性や製造コスト等に不都合が生じる。また、抽出操作における加熱によりロースト風味が生じる恐れがある。
本発明の魚由来成分含有植物油脂における水分量は、特に制限されないが、植物油脂に旨みを閉じ込めるため、好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%である。
[生鮮魚肉加工食品用の油脂組成物]
本発明の魚由来成分含有植物油脂は、他の精製植物油脂と混合して生鮮魚肉加工食品用の油脂組成物とすることが好ましい。他の精製植物油脂を混合して油脂組成物とすると、抽出時に加熱履歴のある魚由来成分含有植物油脂の含有量が低下するため、魚由来成分含有植物油脂の保存安定性を高めるという効果を奏する。
油脂組成物中における魚由来成分含有植物油脂の含有量は、特に制限されないが、好ましくは3〜10質量%である。この範囲内であれば、生鮮魚肉加工食品に添加される油溶性の旨みが乏しくなることがなく、酸化安定性に優れた油脂組成物を得ることができる。
生鮮魚肉加工食品用の油脂組成物に配合する植物油脂は、上記の魚由来成分含有植物油脂に使用される植物油脂を利用することができる。なお、魚由来成分含有植物油脂に使用した植物油脂と同じ種類の植物油脂を配合してもよいし、異なる種類の植物油脂を配合してもよい。また、2種以上の植物油脂を配合してもよい。
油脂組成物は液状油として用いても、急冷捏和したショートニングとして用いても、いかような状態で用いてもかまわない。
[生鮮魚肉加工食品]
本発明の生鮮魚肉加工食品は、生鮮魚肉と、魚由来成分含有植物油脂又はこれを含む油脂組成物を混合することにより製造することができる。生鮮魚肉は、マグロ、サケ等の魚の魚肉であり、好ましくは脂肪分の少ない部位の魚肉である。形状は特に制限されないが、例えば、ミンチ状、ブロック状、平板状等が挙げられる。魚肉に含まれる水溶性の旨みと魚由来成分含有植物油脂に含まれる油溶性の旨みがよく混合されることから、ミンチ状が好ましい。魚由来成分含有植物油脂又はこれを含む油脂組成物の含有量は、生鮮魚肉100質量部に対して好ましくは5〜20質量部、より好ましくは8〜15質量部である。この範囲内であれば、魚由来成分含有植物油脂又はこれを含む油脂組成物の量が少なすぎて風味が乏しいものとなったり、量が多すぎて油っぽく感じたりすることがない。
生鮮魚肉加工食品には、更に各種食品、添加物を混合しても差し支えない。特に制限されないが例えば、調味料、pH調整剤、タンパク質加水分解物、ゲル化剤、増粘多糖類、糖類、食塩、香料、香辛料、保存料等が挙げられる。これらは単独で用いることもでき、又は2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
[酢飯食品]
本発明の酢飯食品とは、生鮮魚肉加工食品を握り寿司(軍艦寿司)、巻き寿司、酢飯を用いたネギトロ丼などのネタに用いたものである。本発明の生鮮魚肉加工食品は水溶性の旨みと油溶性の旨みが含まれているので、水溶性の味の強い酢飯食品の材料の一部であっても、存在感のあるしっかりした味を得ることができる。
以下に、実施例及び比較例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。
なお、実施例、比較例において、全窒素含量は大十六改正日本薬局法、窒素定量法(セミミクロケルダール法)、油分含量は基準油脂分析試験法2013、参2.1.2脂質定量法、水分含量は基準油脂分析試験法、2.1.3.4水分(カールフィッシャー法)に準じて測定した。
<魚由来成分含有植物油脂の製造>
開封加熱容器に水1000gを入れ、さらにキハダマグロのあら(頭部、ヒレ、皮、内臓などの混合物を細かく裁断したもの)300gを入れ、80〜90℃で攪拌しながら煮出した。水の量が目視にて半量になるまで加熱したのち、あら熱を取り、フィルターで濾して固形物を除去して、魚の水性エキスである魚エキスAを得た。魚エキスAの全窒素含量は3.0%、油分含量は1.0%であった。
開放加熱容器にコーン油100gを入れ、さらにこの魚エキスAを10.0g入れ、90℃〜95℃で攪拌しながら加熱して油中への抽出操作を行った。45分間の加熱抽出で水分を蒸発させた後、ろ紙でろ過して魚由来成分含有植物油脂(実施例1−1)を得た。このようにして得られた魚由来成分含有植物油脂(実施例1−1)の水分含量は0.06%であった。
同様にして、実施例(1−2〜1−4)の魚由来成分含有植物油脂を表1に示した組成に従い製造した。
Figure 2017176123
<油脂組成物の製造>
実施例および比較例に用いる油脂組成物を表2に示した油脂組成に従い製造した。なお、実施例2−1、実施例2−2、比較例2−1以外の油脂組成物は配合した油脂を70〜75℃まで昇温して完全溶解し、さらに急冷練り合わせ装置を行いて、練り合わせをしながら2分間で18〜22℃まで冷却してガス入りショートニングとして製造した。
Figure 2017176123
<生鮮魚肉加工食品の製造>
フードプロセッサーによりミンチにしたキハダマグロの赤身に、上記の油脂組成物を添加して実施例(3−1〜3−4)、比較例(3−1〜3−2)の生鮮魚肉加工食品を製造した。ミンチにしたキハダマグロと油脂組成物の配合は、表3に示した。
<生鮮魚肉加工食品の評価>
得られたそれぞれの生鮮魚肉加工食品の風味について、よく訓練されたパネラー10名により評価を行った。結果を、表3に示した。
(風味の評価基準)
3点:油にマグロの旨みを感じる。
2点:油にマグロの旨みを少し感じる。
1点:油にマグロの旨みを感じない。
(評価結果の記載)
各評価項目につき、10名の平均点を下記の4段階にて評価した。
◎:2.7〜3.0
○:2.2〜2.7未満
△:1.7〜2.2未満
×:1.7未満
Figure 2017176123
<生鮮魚肉加工食品を用いた酢飯食品の製造>
実施例(3−1〜3−4)、比較例(3−1〜3−2)の油脂組成物を用いて製造した生鮮魚肉加工食品を具材として、実施例(4−1〜4−4)、比較例(4−1〜4−2)の海苔巻き寿司を製造した。
<酢飯の評価>
得られたそれぞれの生鮮魚肉加工食品含有酢飯食品の風味について、よく訓練されたパネラー10名により評価を行った。結果を、表4に示した。
(風味の評価基準)
3点:油にマグロの旨みを感じる。
2点:油にマグロの旨みを少し感じる。
1点:油にマグロの旨みを感じない。
(評価結果の記載)
各評価項目につき、10名の平均点を下記の4段階にて評価した。
◎:2.8〜3.0
○:2.2〜2.8未満
△:1.7〜2.2未満
×:1.7未満
Figure 2017176123
表3から分かるように、本発明の魚由来成分含有植物油脂を生鮮魚肉加工食品に添加すると、油溶性の旨みを感じる風味豊かな生鮮魚肉加工食品を得ることができる。
また、表4から分かるように、本発明の魚由来成分含有植物油脂は酢飯食品で特にその効果が顕著であった。

Claims (4)

  1. 植物油脂による魚の水性エキスの抽出物である魚由来成分含有植物油脂であって、生鮮魚肉加工食品用の魚由来成分含有植物油脂。
  2. 請求項1に記載の魚由来成分含有植物油脂を含有する、生鮮魚肉加工食品用の油脂組成物。
  3. 請求項2に記載の油脂組成物を含む、生鮮魚肉加工食品。
  4. 請求項3に記載の生鮮魚肉加工食品を用いた、酢飯食品。
JP2016072115A 2016-03-31 2016-03-31 生鮮魚肉加工食品用の魚由来成分含有植物油脂、油脂組成物、生鮮魚肉加工食品および酢飯食品 Active JP6821937B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016072115A JP6821937B2 (ja) 2016-03-31 2016-03-31 生鮮魚肉加工食品用の魚由来成分含有植物油脂、油脂組成物、生鮮魚肉加工食品および酢飯食品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016072115A JP6821937B2 (ja) 2016-03-31 2016-03-31 生鮮魚肉加工食品用の魚由来成分含有植物油脂、油脂組成物、生鮮魚肉加工食品および酢飯食品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017176123A true JP2017176123A (ja) 2017-10-05
JP6821937B2 JP6821937B2 (ja) 2021-01-27

Family

ID=60003002

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016072115A Active JP6821937B2 (ja) 2016-03-31 2016-03-31 生鮮魚肉加工食品用の魚由来成分含有植物油脂、油脂組成物、生鮮魚肉加工食品および酢飯食品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6821937B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108835489A (zh) * 2018-07-07 2018-11-20 詹林安 一种酵素饮品及其制备方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108835489A (zh) * 2018-07-07 2018-11-20 詹林安 一种酵素饮品及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP6821937B2 (ja) 2021-01-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20110143002A1 (en) Method of application of body taste enhancer comprising long-chain highly unsaturated fatty acid and/or its ester
JP7051713B2 (ja) 不快臭抑制剤
DE102009023481A1 (de) Emulsion oder Gel als Zusatz in auf zerkleinerten Rohmassen wie Wurstbrätmassen oder Hackfleischmassen basierenden Nahrungsmitteln
JP4404213B2 (ja) 調味液油脂混合物
JP6962933B2 (ja) うま味増強剤
DE102009023482A1 (de) Emulsion oder Gel zur Herstellung von Omega-3-Fettsäure-haltigen Nahrungsmitteln
JP7110158B2 (ja) 卵風味付与剤およびその製造方法
JP6821937B2 (ja) 生鮮魚肉加工食品用の魚由来成分含有植物油脂、油脂組成物、生鮮魚肉加工食品および酢飯食品
JP4974302B2 (ja) 香味抽出物の製造方法
JPS62100258A (ja) 辛味性食品の風味改善剤
JP2018139534A (ja) 油脂組成物、生鮮魚肉加工食品および酢飯食品
RU2683862C1 (ru) Продукт пищевой жировой животного происхождения с экстрактом жгучих перцев
JP4039713B2 (ja) 酸化防止剤組成物及びこれを含有した食品又は飼料
JP2005213333A (ja) 油溶性フレーバーの製造方法
JP2020150871A (ja) 即席食品用濃縮スープ及びその喫食方法
JP6719432B2 (ja) 水中油型乳化組成物、食肉食品及びマスキング方法
RU2680296C1 (ru) Способ получения жирового продукта с экстрактом жгучих перцев чили
JP7504673B2 (ja) 魚肉粉砕物加工食品の製造方法、及び、魚肉粉砕物の風味と旨味の向上方法。
JP7147415B2 (ja) 生鮮魚肉加工食品用の油脂組成物及び生鮮魚肉加工食品
JP2006204196A (ja) 魚肉加工食品及びその製造方法
WO2023032659A1 (ja) 肉様風味付与剤、トマト風味油の肉様風味付与のための使用、食品への肉様風味の付与方法、及び肉様風味付与剤の製造方法
García-Moreno et al. Recent patents on the upgrading of fish by-products
JP2022127908A (ja) 香味抽出物の製造方法
JP2021193949A (ja) 魚肉粉砕物加工食品の製造方法、及び、魚肉粉砕物の風味と旨味の向上方法。
JPH06197693A (ja) 甲殻類のシーズニングオイルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200127

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200207

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20200207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200207

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200519

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200817

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20200817

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20200825

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20200901

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201027

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201117

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201208

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201221

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6821937

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250