JP2017172663A - 転がり軸受用保持器及び転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受用保持器及び転がり軸受 Download PDF

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Hiromichi Kunimai
広道 國米
奈央 林
Nao Hayashi
奈央 林
崇 西河
Takashi Nishikawa
崇 西河
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Abstract

【課題】高い固体潤滑性能を有しつつ、母材の摩耗を抑制する転がり軸受用保持器及び転がり軸受を提供することにある。【解決手段】一対の軌道輪の間に配され、複数の転動体を所定位置に保持する転がり軸受用保持器である。転動体を収容する複数のポケット穴を有する円環状の本体と、固体潤滑剤を含む樹脂からなり、本体のポケット穴の内周面に設けられる第1固体潤滑層と、本体よりも硬度が高く、本体の内周面及び外周面のいずれかで、一方の軌道輪と摺接する側の少なくとも一部に設けられる硬質部と、固体潤滑剤を含む樹脂からなり、本体の内周面側及び外周面側のいずれかで、硬質部が設けられる側の少なくとも一部に設けられ、硬質部の最表面よりも突出する第2固体潤滑層とを備えた。【選択図】図1

Description

本発明は、転がり軸受用保持器(以下、単に「保持器」と言う。)及びこれを有する転がり軸受に関する。
ロケットエンジンのターボポンプに用いられる転がり軸受は、液体推進剤中の高速回転環境下で使用される。特に、液体水素や液体酸素中で使用される場合は、極低温になるため、通常の転がり軸受で使用される油やグリース等の流動性潤滑剤が適用できない。そこで、固体潤滑性能が付加された保持器として、例えば、特許文献1に示すものが提案されている。
特許文献1には、母材表面に固体潤滑剤を射出成形した保持器が示されている。この保持器は、複数のポケット穴を有する円環状の本体と、本体をインサート部品として固体潤滑剤を含む樹脂で射出成形された樹脂部とを備えている。樹脂部は、本体のポケット穴の内周面に設けられてポケット面を形成するとともに、本体の外周面及び内周面のいずれかで、軌道輪(外輪又は内輪)と摺接する側に設けられて案内面を形成する。
前記保持器を備えた転がり軸受が回転すると、保持器のポケット面を構成する樹脂部と転動体とが摺接すると共に、保持器の案内面を構成する樹脂部と軌道輪の案内面とが摺接する。これにより、樹脂部の固体潤滑剤が転動体の表面や軌道輪の案内面に移着し、保持器と転動体及び軌道輪との間の潤滑が行われる。また、転動体に移着した固体潤滑剤により、転動体と軌道輪の軌道面との間の潤滑が行われる。
特開2014−234846号公報
前記のように、保持器に形成される樹脂部は、ポケット面において転動体による移着作用(潤滑剤供給作用)により軌道面との潤滑を確保している。このため、樹脂部は、移着性(潤滑剤供給性能)の高い樹脂を使用することが望ましい。
その一方、保持器の案内面は軌道輪の案内面と摺接するが、特許文献1に記載された保持器の案内面は、樹脂部にて形成されているため摩耗しやすい。樹脂部の摩耗が進展し、母材が摩耗すると、摩耗粉が異物となって軸受機能に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、保持器の案内面は、移着性に加えて高い耐摩耗性が必要となり、相反する性能が要求される。特に、特許文献1の保持器のようにインサート成形する場合は、ポケット面と案内面とで同一の樹脂部が形成されるため、案内面において、移着性と耐摩耗性とを同時に高めることが困難となる。
本発明が解決すべき課題は、高い固体潤滑性能を有しつつ、耐摩耗性の高い転がり軸受用保持器及びこれを備えた転がり軸受を提供することにある。
本発明の転がり軸受用保持器は、一対の軌道輪の間に配され、複数の転動体を所定位置に保持する転がり軸受用保持器であって、前記転動体を収容する複数のポケット穴を有する円環状の本体と、固体潤滑剤を含む樹脂からなり、前記本体のポケット穴の内周面に設けられる第1固体潤滑層と、前記本体よりも硬度が高く、前記本体の内周面及び外周面のいずれかで、一方の軌道輪と摺接する側の少なくとも一部に設けられる硬質部と、固体潤滑剤を含む樹脂からなり、前記本体の内周面側及び外周面側のいずれかで、前記硬質部が設けられる側の少なくとも一部に設けられ、前記硬質部の最表面よりも突出する第2固体潤滑層とを備えたものである。
本発明の転がり軸受用保持器は、前記本体のポケット穴の内周面に、固体潤滑剤を含む樹脂からなる第1固体潤滑層が設けられるため、樹脂に含まれる固体潤滑剤を転動体に移着することで潤滑を行うことができる。また、本体の外周面(又は内周面)に硬質部を設けるとともに、硬質部の最表面よりも突出する第2固体潤滑層を設けているため、軌道輪は第2固体潤滑層と初期接触し、軌道輪に固体潤滑剤が移着される。第2固体潤滑層が摩耗して、第2固体潤滑層の外周面の位置が、硬質部の外周面の位置にまで達し、硬質部と軌道輪とが接触する段階では、軌道輪に固体潤滑剤が移着されて摺動特性が良好となった状態で、硬質部が摩耗を抑制する。すなわち、本発明の転がり軸受用保持器は、固体潤滑剤により高い固体潤滑性能(潤滑性及び移着性)を有しながらも、硬質部によって耐摩耗性が優れたものとなって、保持器の本体の摩耗を抑制することができる。
前記構成において、内周面及び外周面のいずれかで、一方の軌道輪と摺接する側を、前記硬質部と、前記第2固体潤滑層とで構成したり、全面を第2固体潤滑層にて構成したりすることができる。特に、全面が第2固体潤滑層にて構成されている場合は、初期接触の際、軌道輪への固体潤滑剤の移着量が多く、硬質部と軌道輪とが接触する段階では、軌道輪に十分な固体潤滑剤が移着されて摺動特性が一層良好なものとなる。
前記構成において、前記硬質部をDLC被膜にて構成したり、セラミック溶射被膜又はアルマイト被膜にて構成したりするのが好ましい。セラミック溶射被膜及びアルマイト被膜は、表面に微小凹部が存在するため、樹脂との密着性が高い。このため、硬質部が第2固体潤滑層に被覆された構成とする場合に、第2固体潤滑層を硬質部に密着させることができる。硬質部をDLC被膜にて構成する場合、樹脂との密着性の観点から、硬質部の表面が、ポーラス処理が施されたポーラス部又は粗面化処理が施された粗面化部を備えるのが好ましい。
前記構成において、前記硬質部は、前記本体に設けられた穴部に挿入されて、前記本体の内周面又は外周面の、いずれかの軌道輪と摺接する側から突出するピン部材としてもよい。ピン部材としては、前記軌道輪と同等の硬度を有する金属又は焼結体とするのが好ましい。
前記構成において、前記ピン部材は、前記穴部と嵌め合い、又はねじ止めしてもよい。
前記構成において、前記固体潤滑層にはフッ素系樹脂が配合されてもよい。これにより、固体潤滑層は、固体潤滑性能、つまり潤滑性及び移着性が優れたものとなる。
本発明の転がり軸受は、前記本発明の転がり軸受用保持器と、一対の軌道輪と、複数の転動体とを備えたものである。この転がり軸受は、極低温環境による高い固体潤滑性能、高速運転による高強度性能が要求される例えばロケットエンジンターボポンプに使用される場合に特に有効なものとなる。
以上のように、本発明の転がり軸受用保持器及びこれを備えた転がり軸受は、高い固体潤滑性能を有しつつ、耐摩耗性を高めることができる。
本発明の第1の実施形態を示す転がり軸受の断面図である。 前記図1の転がり軸受を構成する保持器であり、(a)は斜視図、(b)は断面図、(c)は一部を示す正面図、(d)は製造途中状態を示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態を示す転がり軸受用保持器であり、(a)は斜視図、(b)は断面図、(c)は製造途中状態を示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態を示す転がり軸受用保持器であり、(a)は斜視図、(b)は一部断面で示す要部斜視図、(c)は要部拡大断面図、(d)は製造途中状態を示す斜視図である。 本発明の転がり軸受が組み込まれたロケットエンジン用ターボポンプの断面図である。
図1に、本発明の一実施形態に係る転がり軸受として、アンギュラ玉軸受を示す。アンギュラ玉軸受は、一対の軌道輪(内輪1及び外輪2)と、複数の転動体(ボール3)と、保持器4とを備える。アンギュラ玉軸受は、無潤滑環境、すなわち、油やグリース等の流動性潤滑剤を使用しない環境で用いられる。アンギュラ玉軸受は、図示するように接触角を有する。接触角とは、軸受中心軸に垂直な平面(ラジアル平面)と、軌道輪によって転動体へ伝えられる力の合力の作用線(図1に一点鎖線で示す)とがなす角度と定義されている。本実施形態のアンギュラ玉軸受は、保持器4の外周面と外輪2の内周面とを摺接させて保持器4を半径方向で案内する、いわゆる外輪案内の軸受である。
内輪1の外周面には、軌道面5が設けられる。外輪2の内周面には、軌道面6が設けられる。内輪1及び外輪2は金属で形成され、例えばマルテンサイト系ステンレス鋼(SUS440Cなど)で形成される。複数のボール3は、内輪1の軌道面5と外輪2の軌道面6との間に配される。ボール3は、例えばマルテンサイト系ステンレス鋼(SUS440Cなど)等の金属や、セラミックス材料で形成される。尚、内輪1の軌道面5、外輪2の軌道面6、及びボール3の表面には、摩擦低減を補助するためPTFEスパッタリング被膜を施してもよい。
保持器4は、外輪2と内輪1との間に配され、図2(a)(c)に示すように、本体7と硬質部8と第1固体潤滑層9と第2固体潤滑層10とから構成される。本体7は、図2(a)に示すように環状を成している。本体7には、複数のポケット穴11が円周方向等間隔に設けられ、各ポケット穴11にボール3が1つずつ収容される。図2(c)(d)に示すように、本体7の外周面において、夫々のポケット穴11に対応する全ての位置に、スリット状溝12が設けられている。すなわち、スリット状溝12は、周方向に沿ってポケット穴11と等しいピッチで間欠的に配設される。
本体7は、第1固体潤滑層9及び第2固体潤滑層10よりも高強度の材料で形成され、例えば樹脂複合材や金属で形成される。樹脂複合材としては、CFRPやGFRP等の繊維強化プラスチック材を使用できる。また、金属としては、例えばアルミニウム合金、マグネシウム合金、炭素鋼、ステンレス鋼、銅合金等の溶製材や、焼結金属を使用できる。特に、高速回転環境下で使用される軸受の場合、比強度の高い材料を使用することが好ましい。このような材料として、例えばCFRP、GFRP、アルミニウム合金、チタン合金、マグネシウム合金が挙げられる。また、液体水素ターボポンプ用に使用される軸受の場合、水素反応性の低い材料を使用することが好ましい。このような材料として、例えばCFRP、GFRP、アルミニウム合金が挙げられる。さらに、液体酸素ターボポンプに使用される軸受の場合、酸化反応性の低い材料を使用することが好ましい。このような材料として、例えばGFRPが挙げられる。
硬質部8は、図2(c)(d)に示すように、本体7の外周面において、スリット状溝12の非形成部(隣合うスリット状溝12間)の全てに設けられている。すなわち、硬質部8は、周方向に沿って等ピッチで間欠的に配設される。硬質部8は、本体7よりも硬度(例えば、ビッカース硬さ、ロックウェル硬さ、等のいずれかの尺度における測定値)が高く、例えば、DLC被膜、セラミック溶射被膜、又はアルマイト被膜のいずれかにて構成するのが好ましい。
固体潤滑層9、10は、本体7をインサート部品とした射出成形で形成される。第1固体潤滑層9は、図2(a)(b)(c)に示すように、本体7の各ポケット穴11の内周面に設けられ、図示例では第1固体潤滑層9がポケット穴11の円筒面状内周面の全面を覆っている。各ポケット穴11に設けられた第1固体潤滑層9の表面(内周面)は、各転動体3と摺接するポケット面13として機能する。第1固体潤滑層9の厚さは均一になっており、射出成形時の流動性を考慮すると0.1mm以上が好ましく、さらに、摩耗に対する信頼性を考慮すると0.2mm以上がより好ましい。
第2固体潤滑層10は、図2(a)(b)(c)に示すように、スリット状溝12に設けられる。すなわち、第2固体潤滑層10は、周方向に沿ってポケット穴11と等しいピッチで間欠的に配設される。夫々の第2固体潤滑層10は、図2(c)に示すように、周方向両端部側で最も薄肉となる凸形状をなし(ただし、ポケット穴11に対応する位置では第2固体潤滑層10は存在しない)、硬質部8の最表面よりも突出している。一のポケット穴11に対応する位置では、夫々、第1固体潤滑層9と第2固体潤滑層10とは連続して一体的に設けられている。
固体潤滑層9、10は、固体潤滑剤を含む樹脂で形成され、第1固体潤滑層9及び第2固体潤滑層10は、同一材料から構成される。主成分樹脂としては、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)等の熱可塑性樹脂が使用できる。特に、極低温環境下で使用される場合、耐衝撃性、耐薬品性、本体7との密着性の観点から、線膨張係数が小さいPEEKを使用することが望ましい。固体潤滑剤としては、フッ素樹脂(例えばPTFE、ETFE、PFA)、二硫化モリブデン、黒鉛などが使用できるが、本実施形態ではフッ素樹脂を使用している。これにより、固体潤滑層9、10は、潤滑性と移着性とが優れたものとなる。
固体潤滑層9、10を形成する樹脂には、強化材を配合してもよい。強化材としては、保持器の耐摩耗性を高め、線膨張係数を抑える効果のあるものを使用することが望ましく、例えばガラス繊維(GF)、炭素繊維(CF)、酸化マグネシウム等が使用できる。尚、強化材は省略することもできる。
上記のアンギュラ玉軸受が回転すると、保持器4の第1固体潤滑層9とボール3とが摺接し、樹脂に含まれる固体潤滑剤をボール3に移着することで潤滑を行うことができる。それと同時に、本実施形態では、本体7の外周面に硬質部8を設けるとともに、硬質部8の最表面よりも突出する第2固体潤滑層10を設けているため、外輪2は第2固体潤滑層10と初期接触し、外輪2の案内面(内周面)に固体潤滑剤が移着される。このようにして、固体潤滑剤がボール3の表面や外輪2の案内面(内周面)に移着し、保持器4とボール3及び外輪2との間の潤滑が行われる。さらに、ボール3に移着した固体潤滑剤により、ボール3と内輪1の軌道面5及び外輪2の軌道面6との間の潤滑が行われる。
第2固体潤滑層10が摩耗して、第2固体潤滑層10の外周面の位置が、硬質部8の外周面の位置にまで達し、硬質部8と外輪2とが接触する段階では、外輪2に固体潤滑剤が移着されて摺動特性が良好となった状態で、硬質部8が摩耗を抑制する。すなわち、本実施形態の保持器4は、固体潤滑剤により高い固体潤滑性能(潤滑性及び移着性)を有しながらも、硬質部8によって耐摩耗性が優れたものとなって、保持器4の本体7の摩耗を抑制することができる。
図3は、本発明の第2実施形態の転がり軸受用保持器を示す。第2本実施形態の転がり軸受用保持器20は、図3(a)(b)に示すように、複数のポケット穴21が円周方向等間隔に設けられた本体22と硬質部23と第1固体潤滑層24と第2固体潤滑層25とからなる。硬質部23は、図3(c)に示すように、周方向に沿って連続的に設けられる層であり、図示例では硬質部23が本体22の円筒面状外周面の全面を覆っている。
硬質部23の表面(外周面)は、微小凹部が形成されたポーラス部又は粗面化部を備えている(図示省略)。ポーラス部とは、微小な孔を有する多孔質体であり、粗面化部とは、微小な凹凸を有するものである。硬質部23は、セラミック溶射被膜やアルマイト被膜等のように、それ自体に微小凹部を有するものにて構成できる。また、DLC被膜等のように微小凹部を有さないものにて硬質部23を構成する場合は、エッチング処理(ナトリウムエッチング、プラズマエッチング等)、ショットブラストなど、ポーラス処理や粗面化処理を施すことにより微小凹部を形成すればよい。
第1固体潤滑層24は、本体22の各ポケット穴21の内周面に設けられる。第2固体潤滑層25は、硬質部23の外周面に設けられて、保持器20の外周面の全面を構成している。このとき、硬質部23の表面には前記した微小凹部が設けられているため、この微小凹部によって、第2固体潤滑層25は硬質部23に密着している。第1固体潤滑層24と第2固体潤滑層25とは連続して一体的に設けられている。
このように、第2実施形態の転がり軸受用保持器は、外周面の全面が第2固体潤滑層25にて構成されているため、初期接触の際、外輪への固体潤滑剤の移着量が多く、硬質部23と外輪とが接触する段階では、外輪に十分な固体潤滑剤が移着されて摺動特性が一層良好なものとなる。
図4は、本発明の第3実施形態の転がり軸受用保持器を示す。第3本実施形態の転がり軸受用保持器30は、図4(a)(b)(c)に示すように、複数のポケット穴31が円周方向等間隔に設けられた本体32と硬質部33と第1固体潤滑層34と第2固体潤滑層35とからなる。図4(c)(d)に示すように、硬質部33は、本体32の外周面から突出する(突出量T1)ピン部材36にて構成されている。すなわち、本体32には、隣合うポケット穴間の全てにおいて、軸方向両端部側に貫通穴からなる穴部37が設けられており、この穴部37にピン部材36が挿入されている。ピン部材36は穴部37に対して、嵌め合い、又はねじ止めにより固定することが好ましく、圧入による本体32の変形を防止するという観点からは、ねじ止めされているのがより好ましい。
ピン部材36は、本体32よりも硬度(例えば、ビッカース硬さ、ロックウェル硬さ、等のいずれかの尺度における測定値)が高く、さらに、外輪と同等の硬度を有する金属又は焼結体から構成するのが好ましい。具体的には、ピン部材36は、合金鋼、黄銅系合金、ジュラルミン等にて構成される。
第1固体潤滑層34は、本体32の各ポケット穴31の内周面に設けられる。第2固体潤滑層35は、本体32の外周面側に設けられて、保持器30の外周面の全面を構成している。すなわち、図4(c)に示すように、第2固体潤滑層35の厚みT2はピン部材36の突出量T1よりも大きく、ピン部材36が第2固体潤滑層35に埋設された状態となっている。第1固体潤滑層34と第2固体潤滑層35とは連続して一体的に設けられている。
第3実施形態の転がり軸受用保持器も、第2固体潤滑層35が摩耗して、第2固体潤滑層35の外周面の位置が、ピン部材36の表面の位置にまで達し、ピン部材36と外輪とが接触する段階では、外輪に固体潤滑剤が移着されて摺動特性が良好となっている。この状態で、ピン部材36が摩耗を抑制する。すなわち、本実施形態の保持器30は、固体潤滑剤により高い固体潤滑性能(潤滑性及び移着性)を有しながらも、ピン部材36によって耐摩耗性が優れたものとなって、保持器30の本体32の摩耗を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、第1及び第2実施形態の転がり軸受用保持器のように、硬質部が層状のものである場合は、硬質部を周方向に沿って間欠的に形成し、第2固体潤滑層を周方向に沿って連続的に形成してもよい。逆に、硬質部を周方向に沿って連続的に形成し、第2固体潤滑層を周方向に沿って断続的に形成してもよい。これらの場合、硬質部に第2固体潤滑層を密着させる必要があるため、硬質部の表面に、ポーラス部又は粗面化部を備えるのが好ましい。第1実施形態において、硬質部は、隣合うスリット状溝間の全てに設けたが、必ずしも全てに設けなくてもよいし、第2固体潤滑層は、必ずしも全てのポケット穴11に対応した位置に設けなくてもよい。また、第1実施形態において、硬質部と第2固体潤滑層との配置が逆であってもよい。要は、本体の外周面の少なくとも一部に硬質部が設けられており、第2固体潤滑層が硬質部の最表面よりも突出するものであれば、硬質部及び第2固体潤滑層の夫々の形状や、硬質部と第2固体潤滑層との配置は任意に設定することができる。
第3実施形態の転がり軸受用保持器において、ピン部材は、隣合うポケット穴間の全てに設けたが、必ずしも全てに設けなくてもよい。穴部は貫通穴でなくてもよい。
上記の各実施形態では、保持器を外輪の内周面と摺接させて案内する外輪案内の転がり軸受を示したが、これに限らず、保持器を内輪の外周面と摺接させて案内する内輪案内の転がり軸受に本発明を適用してもよい。この場合、硬質部及び第2固体潤滑層は、保持器の本体の内周面側に設けられる(図示省略)。
図5に、上記のアンギュラ玉軸受を組み込んだロケットエンジン用ターボポンプを示す。このターボポンプは液体水素/液体酸素2段燃焼式ロケットエンジンのうち、液体酸素ガスを圧縮するものである。尚、図示は省略するが、この2段燃焼式ロケットエンジンには、液体水素ガスを圧縮する同様のターボポンプも備えている。ターボポンプのタービン軸71は、プリバーナポンプ入口からプリバーナポンプ出口へと流れる液体燃料の燃焼ガスで初期駆動された後、タービンガス入口からタービンガス出口へと流れる液体燃料の燃焼ガスで本格駆動される。そして、主ポンプ入口から流入した液体酸素ガスを圧縮して主ポンプ出口から排出し、燃焼室に供給する。タービン軸71は、極低温における疲労強度の高いニッケル基の超合金、例えばインコネル材で形成される。タービン軸71は、アンギュラ玉軸受を2つ組み合わせてなる複列アンギュラ玉軸受72で支持される。複列アンギュラ玉軸受72を構成する一対のアンギュラ玉軸受は、接触角が軸直交平面に関して対称となっている。
上記のアンギュラ玉軸受は、ロケットエンジン用ターボポンプだけでなく、他の用途に適用することも可能である。例えば、人工衛星などの宇宙用機器のように、真空環境下で使用される機器に組み込むことができる。また、上記のアンギュラ玉軸受は、極低温環境下で使用する用途に限らず、例えば常温以上の環境下で使用することもできる。
また、上記の各実施形態では、本発明に係る固体潤滑転がり軸受としてアンギュラ玉軸受を説明したが、これに限らず、本発明は、他の種類の玉軸受や、円筒ころ軸受や円すいころ軸受などのころ軸受に適用することも可能である。
1 内輪
2 外輪
3 ボール
4 保持器
7、22、32 本体
8、23、33 硬質部
9、24、34 第1固体潤滑層
10、25、35 第2固体潤滑層
11、21、31 ポケット穴
36 ピン部材
37 穴部

Claims (12)

  1. 一対の軌道輪の間に配され、複数の転動体を所定位置に保持する転がり軸受用保持器であって、
    前記転動体を収容する複数のポケット穴を有する円環状の本体と、
    固体潤滑剤を含む樹脂からなり、前記本体のポケット穴の内周面に設けられる第1固体潤滑層と、
    前記本体よりも硬度が高く、前記本体の内周面及び外周面のいずれかで、一方の軌道輪と摺接する側の少なくとも一部に設けられる硬質部と、
    固体潤滑剤を含む樹脂からなり、前記本体の内周面側及び外周面側のいずれかで、前記硬質部が設けられる側の少なくとも一部に設けられ、前記硬質部の最表面よりも突出する第2固体潤滑層とを備えたことを特徴とする転がり軸受用保持器。
  2. 内周面及び外周面のいずれかで、一方の軌道輪と摺接する側が、前記硬質部と、前記第2固体潤滑層とで構成されたことを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
  3. 内周面及び外周面のいずれかで、一方の軌道輪と摺接する側の全面が、前記第2固体潤滑層にて構成されたことを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
  4. 前記硬質部がDLC被膜にて構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転がり軸受用保持器。
  5. 前記硬質部の表面にポーラス部又は粗面化部を備えたことを特徴とする請求項4に記載の転がり軸受用保持器。
  6. 前記硬質部がセラミック溶射被膜又はアルマイト被膜にて構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転がり軸受用保持器。
  7. 前記硬質部は、前記本体に設けられた穴部に挿入されて、前記本体の内周面及び外周面のいずれかで、一方の軌道輪と摺接する側から突出するピン部材としたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転がり軸受用保持器。
  8. 前記ピン部材は、前記軌道輪と同等の硬度を有する金属又は焼結体としたことを特徴とする請求項7に記載の転がり軸受用保持器。
  9. 前記ピン部材は、前記穴部と嵌め合い又はねじ止めされたことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の転がり軸受用保持器。
  10. 前記固体潤滑層にはフッ素系樹脂が配合されたことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の転がり軸受用保持器。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載の転がり軸受用保持器と、一対の軌道輪と、複数の転動体とを備えた転がり軸受。
  12. ロケットエンジンターボポンプに使用されることを特徴とする請求項11に記載の転がり軸受。
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