JP2017169821A - 歯科インプラントの製造方法および歯科インプラントの調整方法 - Google Patents

歯科インプラントの製造方法および歯科インプラントの調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】体内への埋め込み前に、ヒドロキシアパタイトコーティングに超親水性を発現させることのできる歯科インプラントの製造方法および歯科インプラントの調整方法を提供する。【解決手段】本発明の歯科インプラントの製造方法および調整方法は、外表面に前記被膜が形成された歯科インプラント1を、コンテナ容器10に収容する工程と、歯科インプラント1が収容されたコンテナ容器10に放射線を照射して歯科インプラント1を滅菌する工程と、滅菌済み歯科インプラント1を乾燥状態でコンテナ容器10中に密閉して保管する工程と、施術対象に埋め込まれる前に、コンテナ容器10の密閉を開放して歯科インプラント1を水または水系溶媒に浸漬し、さらにこれを振とうして、ヒドロキシアパタイト被膜の表面に付着した不純物を除去する不純物除去工程と、を含む。【選択図】図2

Description

本発明は、ヒドロキシアパタイトで被覆された歯科インプラントの製造方法および歯科インプラントの調整方法に関する。
歯を喪失した場合に、その機能を補うため、顎骨に、歯科インプラント等の人工歯根を埋入植立てし、これに歯科補綴物を固定するインプラント手術が実用化されている(特許文献1等を参照)。
前記歯科インプラントには、顎骨内に埋入されるフィクスチャー(顎骨埋入部)と、該フィクスチャーに取り付け、補綴物を取り付けるための支台(土台)として機能するアバットメント(補綴物指示部)とから構成されているツーピースタイプと、フィクスチャー部とアバットメント部が一体となったワンピースタイプがある。
また、歯科インプラントを構成する材料としては、骨癒合性に優れたチタンまたはチタン合金が用いられており、そのなかでも特に、歯槽骨に埋め込まれるフィクスチャー(またはフィクスチャー部)には、フィクスチャー表面の親水性を高めて、より生体への適合性を向上させるために、この部位に、ヒドロキシアパタイト(HA)からなる被膜がコーティングされたものが、広く用いられている(特許文献2〜4等を参照)。
ところで、前期歯科インプラントは感染症の防止のため、製造中または、施術前に滅菌処理を行う必要がある。そこで、前記歯科インプラントは、製造(前記HA被膜の形成)後に、医療用具の滅菌処理に耐え得る材質を用いて形成された専用パッケージ(搬送・保管用の透明なコンテナ容器)に収めて密封され、このパッケージごとガンマ線や電子線を照射する等の滅菌処理が施されるのが、一般的である(特許文献5を参照)。
この場合、その滅菌密封状態を維持したまま、保管や輸送が行われ、病院や歯科医院等の施術機関で、前記歯科インプラント施術の直前にパッケージが開封されて、患部に素早く施術(埋め込み)される。
特開2013−248052号公報 特開2000−24006号公報 特開2006−314760号公報 特開2007−143772号公報 実用新案登録第3184171号公報
前記ガンマ線等を照射する滅菌処理とその後の清潔な密封保管とは、前記歯科インプラントを始めとする、体内に埋め込まれる製品にとって、必要不可欠な処理である。しかしながら、前記ヒドロキシアパタイト(HA)がコーティングされた歯科インプラントにおいては、問題を生じる場合があった。
すなわち、HAコーティングされた体内埋め込み用製品は、滅菌処理時や保管中に、そのHA被膜表面に、包装(パッケージやコンテナ容器等)の材料に由来する有機物が付着し、元来、親水性(水の接触角5°以下の「超親水性」)であるはずのヒドロキシアパタイト表面が、疎水性あるいは撥水性に変質してしまう。
特に、前記歯科インプラントのフィクスチャーにおいては、前記表面有機物の影響でその表面が疎水性となった場合、人の血液がフィクスチャー表面に浸潤しにくくなり、施術後のタンパク吸着や細胞接着が低下すると考えられている。そのため、前記フィクスチャー表面の本来の親水性を、患者への施術時に発現させる方法が求められている。
本発明の目的は、体内への埋め込み前に、ヒドロキシアパタイトコーティングに超親水性を発現させることのできる歯科インプラントの製造方法および歯科インプラントの調整方法を提供することである。
本発明は、ヒドロキシアパタイトからなる被膜を有する歯科インプラントの製造方法であって、外表面に前記被膜が形成された歯科インプラントを、コンテナ容器に収容する工程と、前記コンテナ容器に収容された該歯科インプラントを滅菌する工程と、滅菌済み歯科インプラントを該コンテナ容器中に密閉して保管する工程と、前記コンテナ容器の密閉を開放して前記歯科インプラントを水または水系溶媒に浸漬し、さらにこれを振とうして、前記被膜の表面に付着した不純物を除去する不純物除去工程と、を含むことを特徴とする歯科インプラントの製造方法である。
また、本発明の歯科インプラントの製造方法は、前記不純物除去工程が、前記被膜の親水性を発現させる製品仕上げ工程を含むことを特徴とする。
さらに、本発明の歯科インプラントの製造方法は、前記歯科インプラントを浸漬する水または水系溶媒が、滅菌された室温以下の温度の、常水,精製水,酸素水,水素水,オゾン水,深層海洋水,炭酸水,生理食塩水,リン酸緩衝生理食塩水,洗口液,人工唾液からなる群から選択される1つである構成を、好適に採用する。なお、本願における常水とは、水道水,井戸水などを含む一般的な水全てを指す。また精製水とは、前記常水を濾過,蒸留,イオン交換などの方法で精製した水全てを包含する。
また、本発明の歯科インプラントの製造方法は、前記滅菌工程として、放射線滅菌を好適に採用する。
一方、本発明の歯科インプラントの調整方法は、ヒドロキシアパタイトからなる被膜を有する歯科インプラントの調整方法であって、前記埋め込みに用いる歯科インプラントを、生体内に埋め込む前に、水または水系溶媒に浸漬した状態で振とうして前記被膜表面の不純物を取り除き、該被膜の表面を、生体内に埋め込むのに適した状態にすることを特徴とする歯科インプラントの調整方法である。
また、本発明の歯科インプラントの調整方法は、前記生体内に埋め込むのに適した状態が、前記被膜表面における水の接触角が10°以下の親水性であることを特徴とする。
本発明の歯科インプラントの製造方法によれば、歯科インプラントが収容されたコンテナ容器の密閉を開放して前記歯科インプラントを水または水系溶媒に浸漬し、さらにこれを振とうする不純物除去工程を含むため、前記ヒドロキシアパタイト(HA)被膜の表面の一部の溶解(表面の更新)とともに、該HA被膜の表面に付着した有機物や不溶物等の不純物が除去され、その表面を、HA被膜が本来備える、生体内に埋め込むのに適した性質に戻すことができる。
また、本発明の歯科インプラントの製造方法のなかでも、前記不純物除去工程が、前記HA被膜の親水性を発現させる製品仕上げ工程を含む場合、この製品仕上げ工程を経た歯科インプラントは、埋め込み施術に適した、HA被膜形成直後のような親水性を、前記の簡単な手順で、いつでも容易に再現することができる。
さらに、本発明の歯科インプラントの製造方法において、前記歯科インプラントを浸漬する水または水系溶媒が、滅菌された室温以下の温度の、常水,精製水,酸素水,水素水,オゾン水,深層海洋水,炭酸水,生理食塩水,リン酸緩衝生理食塩水,洗口液,人工唾液からなる群から選択される1つである場合は、歯科医院または診療機関で容易に入手できる液体を用いて、特別な手間をかけることなく、前記のようなHA被膜表面の不純物除去とその表面更新(親水化)を、簡単に行うことができる。
そして、本発明の歯科インプラントの製造方法において用いる滅菌工程が、放射線滅菌である場合、前記歯科インプラントをコンテナ容器中に密閉したままで、取り出すことなく滅菌処理を行うことができる点で有利である。
つぎに、本発明の歯科インプラントの調整方法によれば、その保管容器の形態や保管状態、あるいは滅菌処理等の前処理の有無に関わらず、ヒドロキシアパタイト(HA)被膜の表面に付着した不純物や細菌等を除去して、そのHA被膜表面を、生体内に埋め込むのに適した清潔な状態に調整することができる。
なお、本発明における前記生体内に埋め込むのに適した状態とは、前記HA被膜表面における水の接触角が10°以下の親水性である場合を含む。これにより、前記HA被膜表面が清潔なことと相俟って、感染症等を起こすことなく、歯科インプラントの歯槽骨内への生着率(成功率)を向上させることができる。
本発明の実施形態における歯科インプラントの構成を示す側面図である。 歯科インプラントを収容するコンテナ容器の構成を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる歯科インプラント1の構成を示す、縦方向(鉛直方向)の側面図である。
本実施形態にかかる歯科インプラント1は、図1に示すように、顎骨内に埋入される下部構造としてのフィクスチャー部1a(顎骨埋入部)と、上部のアバットメント部1c(補綴物支持部)とが、中間の太径の歯肉接触部1bを挟んで一体に形成された、ワンピースタイプの歯科インプラントである。
前記アバットメント部1cは、補綴物(人工歯冠)を取り付けるための支台(土台)として機能する部位であり、前記歯肉接触部1bから離れるにつれて、その外径が小さくなっている。また、前記歯肉接触部1bは、その外周面が外方に凸状の曲線状であり、前記フィクスチャー部1aから離れるにつれてその外径が大きくなっており、前記アバットメント部1cとの境界で、最大径となるようになっている。
さらに、顎骨内に埋入される前記フィクスチャー部1aは、その下端近傍まで外径の変わらない筒状であり、その外周面1dには、顎骨と螺合するためのねじ部(図示省略)が形成されている。そして、このねじ部を含む前記外周面1dには、フレーム溶射により、ヒドロキシアパタイト被膜(皮膜、以下HA被膜という)が形成されている。
前記歯科インプラント1を構成する材料(基体)としては、金属、セラミックスまたはプラスチック(樹脂)を用いることができる。金属としては、ステンレス鋼、コバルト・クロム合金、チタン、チタン合金、アルミナ、そしてジルコニア等を用いることができるが、チタンまたはチタン合金が好ましい。チタン合金としては、アルミニウム、スズ、ジルコニウム、モリブデン、ニッケル、パラジウム、タンタル、ニオブ、バナジウム、白金等の少なくとも1種を添加した合金を用いることができる。好ましくは、Ti−6Al−4V合金である。
また、セラミックスとしては、たとえば、アルミナ、ジルコニア、アルミナ・ジルコニア複合セラミックス等を用いることができる。また、樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ベークライト等を用いることができる。
また、前記HA被膜の形成には、前記フレーム溶射法の他、高速フレーム溶射法、プラズマ溶射法、コールドスプレー法、物理気相蒸着法、化学気相蒸着法および湿式法等を用いることができる。たとえば、前記フレーム溶射法では、酸素と可燃性ガスとのガス炎を熱源として溶射材料を溶融または溶融に近い状態にし、基体の表面に吹き付けて被膜を形成する。前記フレーム溶射法は、たとえば、溶射温度は約2700℃、溶射速度マッハ0.6、酸素ガス50psi、アセチレンガス43psiのガスフレームトーチ中に、100psiのドライエアーで溶射粉末を導入し、溶射距離60〜100mmで行う。
前記HA被膜の溶射による形成厚さ(膜厚)は、1〜100μm、好ましくは10〜40μmである。膜厚が1μmより薄いと、溶射部位全域を覆うことができなくなり、100μmより厚いと、溶射時の残留応力で、被膜の密着強度が低下するからである。
また、前記溶射形成したHA被膜は、熱処理や水熱処理等を加えて、結晶化させることが望ましい。これは、HA(ヒドロキシアパタイト)の結晶度が増加して、被膜の安定性を向上させることができるからである。熱処理は、たとえば、1Pa以下の減圧下、400〜1000℃の温度範囲で、0.5〜7時間行う。好ましくは550〜850℃の温度範囲で、1〜5時間である。
また、前記結晶化熱処理後、溶射被膜を水和処理してもよい。水和処理は、たとえば、60〜100℃の水中に10〜60分間浸漬することで行うことができる。
そして、前記のようにして構成された、フィクスチャー部1aの外周面1dにヒドロキシアパタイト(HA)被膜を有する歯科インプラント1は、後記の専用パッケージ(搬送・保管用の透明なコンテナ容器10)に収めて密封され、このコンテナ容器10ごとガンマ線等を照射する滅菌処理が施された後、保管される。
図2は、そのような保管用のコンテナ容器10に、前記HA被膜を有する歯科インプラント1を収容した例である。
前記コンテナ容器10を簡単に説明すると、このコンテナ容器10は、中容器2,ケースリング3,ケースキャップ4,外容器本体5および外容器キャップ6を備えている。
中容器2は、略円筒状の胴部2aと略円盤状の底部2bとからなる有底筒状の部材であり、歯科インプラント1のうち、フィクスチャー部1aからアバットメント部1cの一部までを収容する。
ケースリング3は、前記中容器2の内部に挿入され、前記胴部2aの内周に設けられた段部(円周段部)に係合されて、中容器2の途中に保持される。ケースリング3の内周には、テーパ状の縮径部3aが設けられており、歯科インプラント1を収容した際、この縮径部3aに、歯科インプラント1の大径部(歯肉接触部1b)が係合する(引っ掛かる)ようになっている。
ケースキャップ4は、ケースリング3よりも上方に位置しており、中容器2の上開口部に取り付けられる。また、ケースキャップ4は、前記歯科インプラント1のアバットメント部1cの上端を下方に押圧して、歯肉接触部1bをケースリング3の縮径部3aに押し付けて固定している。
外容器本体5は、中容器2およびケースキャップ4の一部を収容する有底筒状の部材である。また、外容器キャップ6は、外容器本体5が有するねじ部に螺合可能なスクリューキャップであり、前記外容器本体5の上開口部を密栓することによって、気密状密閉状態(密封)のコンテナ容器10を形成している。
さて、本実施形態の歯科インプラント1の製造方法では、前記HA被膜が形成された歯科インプラント1を、前記コンテナ容器10に収容(図2参照)した後、このコンテナ容器10に収容したまま、前記歯科インプラント1に、ガンマ線等の放射線を照射して滅菌を行う。なお、前記滅菌用放射線の種類としては、自然界に存在する放射線に加え、人工的に作り出した放射線を使用することもできる。
そして、前記コンテナ容器10の外容器キャップ6を開放しなければ、コンテナ容器10の内が滅菌され乾燥した状態が維持され、これを長期(最大5年)間保管することができる。
つぎに、前記歯科インプラント1の製造方法では、前記コンテナ容器10に収容され、保管および搬送(輸送)等された後、施術対象に埋め込まれる前に、前記コンテナ容器10の密閉を開放して、歯科インプラント1を容器から取り出すとともに、該歯科インプラント1を水または水系溶媒に浸漬し、さらにこれを振とうして、前記HA被膜の表面に付着した不純物を除去する不純物除去工程を含むことを特徴とする。
また、前記歯科インプラント1の製造方法は、前記不純物除去工程が、前記HA被膜の親水性を発現させる製品仕上げ工程を含む。
これら不純物除去工程と製品仕上げ工程とは、同時に並行して行うことが可能で、具体的には、たとえば、前記コンテナ容器10を密閉しているスクリューキャップ(外容器キャップ6)を開け、内側のケースキャップ4を取り除いて、露出した歯科インプラント1の上部(アバットメント部1c)をピンセット等で把持して持ち上げる。
ついで、前記歯科インプラント1の下側に露呈した中容器2の内部に、純水等の処理用(不純物除去用または製品仕上げ用)の液体を注入して満たした後、前記歯科インプラント1を元のケースリング3内の位置に戻す。そして、開封したのと逆順に、内側のケースキャップ4、外側の外容器キャップ6を取り付け、前記中容器2内を純水で満たした状態で、コンテナ容器10を再度密閉する。
つぎに、この内部が純水で満ちたコンテナ容器10を、数秒〜数分間、手動により振とうさせることにより、前記不純物除去工程と製品仕上げ工程とを完了することができる。
その後、前記不純物除去工程と製品仕上げ工程とが完了した歯科インプラント1は、顎骨等の生体内に埋め込む準備ができているため、施術の進行等にタイミングを合わせ、前記コンテナ容器10から再び取り出したうえで、処理溶液にぬれたまま、あるいは、これを乾燥させて、前記顎骨等の患者の患部に、直接埋め込み(植え込み)することが可能である。
上記構成により、本実施形態の歯科インプラント1は、前記HA被膜の表面の一部の溶解(表面の更新)とともに、該HA被膜の表面に付着した有機物や不溶物等の不純物が除去され、その表面を、HA被膜が本来備える、生体内に埋め込むのに適した性質に戻すことができるとともに、埋め込み施術に適した、HA被膜形成直後のような親水性を、前記の簡単な手順で、いつでも容易に再現することができる。
なお、前記コンテナ容器10の中容器2の内部に注入する処理用の液体としては、前記純水の他、滅菌された室温以下の温度の、常水,精製水,酸素水,水素水,オゾン水,深層海洋水,炭酸水,生理食塩水,リン酸緩衝生理食塩水,洗口液,人工唾液等を用いることもできる。これらは、必要に応じて複数種を組み合わせて使用することもできる。また、これらの処理用の液体は、使用前に、特に加熱も冷却もする必要はなく、室温(10〜35℃程度)下のものを、そのまま用いればよい。各種処理用の液体に用いた結果については、後記の実施例で説明する。
一方、前記実施形態においては、HA被膜を有する歯科インプラント1が、医療用具の滅菌処理に耐え得る材質を用いて形成された専用パッケージ(搬送・保管用の透明なコンテナ容器10)に収容されている例を用いて説明したが、本発明の歯科インプラントの調整方法を用いれば、前記歯科インプラント1の保管容器の形態や保管状態、あるいは放射線滅菌等の前処理の有無に関わらず、HA被膜の表面に付着した不純物や細菌等を除去して、そのHA被膜表面を、生体内に埋め込むのに適した清潔な状態に調整することができる。すなわち、本実施形態の歯科インプラントの製造方法と同等の効果を奏することができる。
さらに、前記HA被膜表面における水の接触角を10°以下とすれば、前記HA被膜表面が清潔なことと相俟って、感染症等を起こすことなく、歯槽骨内への生着率(成功率)を向上させることもできる。
以下に、チタン合金製あるいは純チタン製の基体の上に、前記実施形態のヒドロキシアパタイト(HA)被膜を形成した実施例と、前記HA被膜以外で歯科インプラントに適用されている代表的な表面処理を基体表面に施した比較例と、を作製し、これらに、本発明の歯科インプラントの調整方法(本発明の歯科インプラントの製造方法の一部)を実施して、純水中での振とう前後の「水の接触角」の変化(表面親水性の変化)を測定した。なお、表面処理と対比する参考として、ヒドロキシアパタイト(HA)粉末を焼結したサンプル(HA自体が基体となっているもの)を、参考例Aとして加えている。
基体:チタン合金として、Ti−6Al−4V ELIを用いた。また、チタン合金製または純チタン製の基体として、直径φ14mm×厚さ2mmの円板状の試験片を用意した。
[実施例1]
チタン合金製の試験片表面に、ヒドロキシアパタイト(HA)をフレーム溶射にてコーティング(溶射膜厚:約20μm)し、加熱処理を行って、HA被膜を結晶化させた。
[比較例1]
チタン合金製の試験片の作製(形状加工)時に、試験片の表面に旋盤加工(表面仕上げ)の加工跡が残った状態のもの(いわゆる、生成りのチタン合金表面)。
[比較例2]
チタン合金製の試験片に、リン酸溶液中で約50Vの電圧を印加して、陽極酸化処理を施し、表面に、厚さ約150nmのチタニア被膜を形成した。
[比較例3]
純チタン製の試験片を、硫酸および塩酸の混酸液(沸騰温度)に約5分間浸漬し、表面に、微細な凹凸形状を付与した。
[参考例A]
粒径約2μmのHA粉末を冷間等方圧加圧法(CIP)にて圧粉成形し、1200℃×2時間の大気焼成を行った。得られた結晶化度100%に近い焼結体を、#1200までのSiC研磨紙にて湿式研磨し、参考例Aの試験片とした。なお、試験片の形状は、前記と同様、直径φ14mm×厚さ2mmの円板状とした。
<試験片(歯科インプラント)の保管>
実施例1,比較例1〜3および参考例Aの試験片は、各種表面処理後、エタノール中で超音波を当てて洗浄した後、滅菌バッグに封入した。そして、滅菌バッグごと、ガンマ線を照射して滅菌処理を行い、前記滅菌バッグで密封された状態で、大気中室温下(特別な保管条件を設けていない状態)で1ヶ月保管した。
<試験片(歯科インプラント)の調整>
まず、調整前に、前記保管状態から開封した直後の水の接触を測定し、「滅菌保管後」の値(初期値)とした。ついで、試験片の調整を行った。
試験片の調整は、1.純水で満たした試験容器(サンプル瓶)に試験片を入れ、2.容器に蓋をして密閉し、3.試験片入り容器を手で保持して、約10秒間、腕を上下に振って容器を振とうした。なお、振とうの程度は、特に容器を転倒させたりする必要はなく、試験片が容器底部から何度か水中に浮き上がる程度のスピードで十分である。4.振とう完了後、容器を開蓋して試験片を取り出し、付着した水を高圧の窒素ガスのブローにより吹き飛ばして、試験片の表面を乾燥させた。
その後、「調整後」の水の接触角を測定した。
[水の接触角の測定]
水の接触角の測定は、JIS R 3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」を準用し、室温(25±5℃)下で、純水1μLを、試験片上に滴下して行った。なお、測定は、水滴を試験片上に静置してから1分後に行った。
試験機器:表面接触角測定装置 DM300型 (協和界面化学社製)
測定結果を以下の「表1」に示す。
Figure 2017169821
結果は、チタン合金表面が露出している比較例1、チタニア被膜が露出する比較例2および酸エッチング処理した純チタン表面の比較例3は、いずれも、調整(純水振とう操作)前後の水の接触角は、ほぼ変化がなく、疎水性であることが判る。
一方で、HA被膜表面の実施例1は、調整(純水振とう操作)後の水の接触角が、著しく低下し、接触角が5°以下の「超親水」表面に戻る変化することが判った。これは、HA被膜(層)の表面が純水に接することで、HA層の極表層が速やかに溶解し、極表層部に付着している有機物とともに除去され、水酸基を有する、新生なHA層が新たに露出したためと考えられる。なお、実施例1のHA被膜の溶解度に関しては、純水中(室温)で振とう器をもちいて連続振とうした別の試験で、24時間連続振とうさせても、HA被膜の厚みに変化がない(測定限界以下の溶出量である)ことを、確認している。
また、HA焼結体(参考例A)の結果から、ヒドロキシアパタイトにおいては、全ての表面で実施例1(本発明)のような超親水となるわけではなく、結晶化度、表面の溶解性、表面形態、表面水酸基量等の違いが関与すると考えられる。
つぎに、実施例1のサンプル(試験片)を用いて、純水以外の水溶液(水系溶媒)が調整用の液体として使用可能かどうかを、検証した。
<調整用の液体>
調整用の液体としては、歯科医院等において一般的に使用されており、入手の容易なものを選択した。
前述の実験で用いた、滅菌済み純水(pH6.0)の他、
a.生理食塩水(pH5.3)
b.リン酸緩衝生理食塩水(pH7.0)
c.洗口液(オゾンナノバブル水、商品名:ナノデンタルα)(pH6.0)
を用意した。
<試験片(歯科インプラント)の調整>
試験片の調整は、試験片として実施例1の試験片を用い、試験容器(サンプル瓶)に満たす液体を、上記a〜cとしたこと以外、前記の実験と同様にして、各種液体で「調整後」の水の接触を測定した。
結果は、a.生理食塩水(pH5.3)、b.リン酸緩衝生理食塩水(pH7.0)およびc.洗口液(オゾンナノバブル水、商品名:ナノデンタルα)(pH6.0)のいずれの液体を調整用に用いても、先の実験と同様の、試験片表面が接触角が5°以下の「超親水」表面になることが、確認できた。
以上のように、本発明の歯科インプラントの調整方法によれば、その保管容器の形態や保管状態、あるいは放射線滅菌等の前処理の有無に関わらず、歯科医院等で入手可能な種々の液体を用いて、ヒドロキシアパタイト(HA)被膜の表面に付着した不純物や細菌等を除去して、そのHA被膜表面を、生体内に埋め込むのに適した清潔な状態に調整することができる。
1 歯科インプラント
1a フィクスチャー部
1b 歯肉接触部
1c アバットメント部
1d 外周面
2 中容器
2a 胴部
2b 底部
3 ケースリング
3a 縮径部
4 ケースキャップ
5 外容器本体
6 外容器キャップ

Claims (6)

  1. ヒドロキシアパタイトからなる被膜を有する歯科インプラントの製造方法であって、
    外表面に前記被膜が形成された歯科インプラントを、コンテナ容器に収容する工程と、
    前記コンテナ容器に収容された該歯科インプラントを滅菌する工程と、
    滅菌済み歯科インプラントを該コンテナ容器中に密閉して保管する工程と、
    前記コンテナ容器の密閉を開放して前記歯科インプラントを水または水系溶媒に浸漬し、さらにこれを振とうして、前記被膜の表面に付着した不純物を除去する不純物除去工程と、を含むことを特徴とする歯科インプラントの製造方法。
  2. 前記不純物除去工程が、前記被膜の親水性を発現させる製品仕上げ工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の歯科インプラントの製造方法。
  3. 前記歯科インプラントを浸漬する水または水系溶媒が、滅菌された室温以下の温度の、常水,精製水,酸素水,水素水,オゾン水,深層海洋水,炭酸水,生理食塩水,リン酸緩衝生理食塩水,洗口液,人工唾液からなる群から選択される1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の歯科インプラントの製造方法。
  4. 前記滅菌工程が、放射線滅菌であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の歯科インプラントの製造方法。
  5. ヒドロキシアパタイトからなる被膜を有する歯科インプラントの調整方法であって、
    前記埋め込みに用いる歯科インプラントを、生体内に埋め込む前に、水または水系溶媒に浸漬した状態で振とうして前記被膜表面の不純物を取り除き、該被膜の表面を、生体内に埋め込むのに適した状態にすることを特徴とする歯科インプラントの調整方法。
  6. 前記生体内に埋め込むのに適した状態が、前記被膜表面の水の接触角が10°以下の親水性であることを特徴とする請求項5に記載の歯科インプラントの調整方法。
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