JP2017165835A - ポリアセタール樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents

ポリアセタール樹脂組成物及びその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリアセタール樹脂組成物を成形する際の溶融粘度の低下が少なく、且つ耐湿熱性に優れたポリアセタール樹脂組成物及び成形体を提供する。
【解決手段】ポリアセタール樹脂(A)100質量部と、下記一般式(1)で表される有機リン酸化合物(B)0.001〜5.0質量部と、下記一般式(2)で表される層状複水酸化物(C)0.001〜5.0質量部とを含む、ポリアセタール樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアセタール樹脂組成物を成形する際の溶融粘度の低下が少なく、且つ耐湿熱性に優れたポリアセタール樹脂組成物及びその成形体に関するものである。
ポリアセタール樹脂は、機械的特性、熱的特性、電気的特性、摺動性、成形性などが優れるので、電気機器、自動車部品、精密機械部品などの構造材料や機構部品として広く使用されている。しかし、ポリアセタール樹脂は、単独では熱安定性に乏しく、ポリマー末端からの解重合反応や熱分解反応による主鎖切断によって容易に分解することが知られている。また、分解反応で生じたホルムアルデヒドの酸化反応によってギ酸が生成し、ポリアセタール樹脂の分解反応が促進される。
このため、ポリアセタール樹脂を含有する樹脂組成物、ペレット及び成形品の熱安定性向上、並びにホルムアルデヒドの発生抑制を目的に、従来から種々の添加剤の検討が行われている。例えば、熱安定性向上及びホルムアルデヒド発生抑制の手法としては、従来から、アミノ置換トリアジン化合物、ヒンダードアミン化合物等の窒素含有化合物などの添加が行われている。
特開平5−222268号公報 特開2014−148625号公報 特開平7−228752号公報 特開平8−302155号公報
大澤善次郎監修「高分子材料の長寿命化と環境対策」株式会社シーエムシー、2000年、p.138。
一方、市場においては、高温・多湿の環境下でも引張強度や引張伸びといった機械的特性や耐久性に優れるポリアセタール樹脂組成物が求められ、ポリアセタール樹脂組成物の熱安定性についても更なる向上が求められている。特に、ポリアセタール樹脂組成物の成形の際、成形体のサイズや形状によって押出機内の滞留時間が長くなることがあるが、これに対して、成形時の溶融粘度低下がより小さいポリアセタール樹脂組成物が望まれている。
ポリアセタール樹脂の物性改良を目的に、リン化合物やハイドロタルサイトも使用されている。例えば、特許文献1には、ポリオキシメチレンに対して、ヒンダードフェノール系化合物、特定のリン化合物、及び特定の窒素化合物又は金属含有化合物の少なくとも3成分を添加併用することで、水道水に殺菌剤として添加される次亜塩素酸塩を含む水溶液への耐性が向上することが開示されている。
また、特許文献2には、特定量のヒンダードフェノール系酸化防止剤、アルカリ土類金属酸化物、ホルムアルデヒド反応性窒素化合物、及びリン系酸化防止剤を含有するポリアセタール樹脂組成物が、硫黄含有量の多い燃料と接触してもクラックの発生が抑制できることが開示されている。
また、特許文献3には、ポリオキシメチレン共重合体に対して、ハイドロタルサイトに代表されるイオン吸着体と水及び/又は水酸基を有し沸点が250℃以下であるアルコール性化合物を併用することで、成形時のモールディングデポジットが改善されることが開示されている。
また、特許文献4には、ポリオキシメチレン樹脂と、酸化マグネシウムと酸化アルミニウムの固溶体とを含むポリオキシメチレン樹脂組成物が、水、水蒸気等に触れて使用する場合や高温高湿雰囲気下で長時間晒される場合であっても物性や耐久性が低下しないことが開示されている。
更に、有機リン酸化合物は、加水分解によって酸性の物質に変化して、ポリアセタール樹脂の劣化を促進するため、ポリアセタール樹脂への配合に適していないことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
しかし、ポリアセタール樹脂組成物を成形する際の溶融粘度の低下が少なく、且つ耐湿熱性に優れたポリアセタール樹脂組成物は、上述した文献には記載はなく、そのような樹脂組成物の報告例はない。
即ち、本発明の課題は、熱安定性に優れ、ポリアセタール樹脂組成物を成形する際の溶融粘度の低下が少なく、且つ耐湿熱性に優れたポリアセタール樹脂組成物及び成形体を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の有機リン酸化合物と層状複水酸化物を各々特定量含むポリアセタール樹脂組成物が、熱安定性に優れ、ポリアセタール樹脂組成物を成形する際の溶融粘度の低下が少なく、且つ高温・多湿の環境下でも引張降伏強度や引張破断伸びの低下が少なく耐湿熱性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下である。
〔1〕ポリアセタール樹脂(A)100質量部と、下記一般式(1)で表される有機リン酸化合物(B)0.001〜5.0質量部と、下記一般式(2)で表される層状複水酸化物(C)0.001〜5.0質量部とを含む、ポリアセタール樹脂組成物。
(1)・・・(RO)
(式(1)中、Rは、それぞれ独立に、フェニル基、又はフェニル基の水素原子のうち1〜3個が炭素数1〜4の有機基で核置換したフェニル基を表す。)
(2)・・・[(M2+(M3+y(OH)2(x+ y)](An−x/n・z(HO)
(式(2)中、M2+は2価の金属イオンを示し、M3+は3価金属イオンを示し、An-はn価のアニオンを示し、複数のアニオンを含んでいてもよい。また、xは0<x≦6.0の範囲であり、nは1〜3の整数、y、zは0以上の数である。)
〔2〕前記有機リン酸化合物(B)がトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトである、〔1〕に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔3〕前記層状複水酸化物(C)がハイドロタルサイトである、〔1〕又は〔2〕に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔4〕前記ハイドロタルサイトが、前記一般式(2)におけるM2+がMg2+であり、M3+がAl3+であり、An−がCO 2−及び/又はOHである、〔3〕に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔5〕ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、立体障害性フェノール(D)0.01〜10.0質量部及び/又は窒素含有化合物(E)0.01〜5.0質量部をさらに含む、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔6〕前記窒素含有化合物(E)が、アミノ置換トリアジン化合物、ポリアミド樹脂、及びヒンダードアミン化合物からなる群より選ばれる1種類以上である、〔5〕に記載のポリアセタール樹脂組成物。
〔7〕〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物を成形して得られる成形体。
〔8〕40℃以上の水又は水蒸気と接触する部品である、〔7〕に記載の成形体。
本発明によれば、熱安定性に優れ、ポリアセタール樹脂組成物を成形する際の溶融粘度の低下が少なく、且つ耐湿熱性に優れたポリアセタール樹脂組成物及び成形体を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明のポリアセタール樹脂組成物は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部と、特定の構造を有する有機リン酸化合物(B)0.001〜5.0質量部と、層状複水酸化物(C)0.001〜5.0質量部とを含むことを特徴とする。そのような樹脂組成物が、熱安定性に優れ、ポリアセタール樹脂組成物を成形する際の溶融粘度の低下が少なく、且つ耐湿熱性に優れる。また、そのような樹脂組成物から、耐湿熱性に優れた成形体を製造できる。なお、本発明において、耐湿熱性に優れることは、高温・多湿の環境下でも引張降伏強度や引張破断伸びの低下が少ないことを意味する。
ポリアセタール樹脂(A)に、特定の構造を有する有機リン酸化合物(B)と層状複水酸化物(C)をそれぞれ特定量添加すると、熱安定性、耐湿熱性、成形時の溶融粘度の低下に優れる理由は、特定できないが、以下のように考えられる。まず、ポリアセタール樹脂に特定の構造を有する有機リン酸化合物(B)を添加することにより、ポリアセタール樹脂組成物を成形する際の溶融粘度の低下を抑制できる傾向がある。一方、有機リン酸化合物(B)は、水分と接触する環境下又は高温・多湿の環境下では加水分解によってリン酸等の酸成分となり、ポリアセタール樹脂組成物の機械的特性(引張降伏強度、引張破断伸びなど)の低下原因となる。ところが、酸成分を不活性化する作用を持つ層状複水酸化物(C)を組合せて使用することで、ポリアセタール樹脂組成物を成形する際の溶融粘度の低下を抑制しつつ、水分と接触する環境下または高温・多湿の環境下においても前記機械的特性を維持でき、有機リン酸化合物(B)と層状複水酸化物(C)を各々特定量使用することによって、有機リン酸化合物(B)又は層状複水酸化物(C)のみを用いる場合に比べて、耐湿熱性、成形性のいずれにも優れたポリアセタール樹脂組成物が得られる。これにより、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、成形時の滞留時間が長くなりがちな、サイズが大きい成形体の押出し成形や複雑な構造の部品の加工が容易にでき、温水用の配管、コネクター、シャワーヘッド、食洗機部品、コーヒーメーカー部品のような、40℃以上の水(温水、熱水)又は水蒸気と接触する部品において好適に使用できる特徴がある。
以下に、本発明のポリアセタール樹脂組成物に用いられる各成分について、詳細に説明する。
<ポリアセタール樹脂(A)>
本発明におけるポリアセタール樹脂(A)は、アセタール構造:−O−CRH−(ここで、Rは、水素原子、有機基を示す)を繰り返し単位に有する高分子であり、通常はRが水素原子であるオキシメチレン基(−OCH−)を主たる構成単位とするものである。本発明に用いるポリアセタール樹脂は、この繰り返し単位のみからなるアセタールホモポリマー以外に、前記オキシメチレン基以外の繰り返し構成単位を1種以上含むコポリマー(ブロックコポリマー)やターポリマー等も含み、更には線状構造のみならずグリシジルエーテル化合物、エポキシ化合物、アリルエーテル化合物などをコモノマー及び/又はターモノマーに用いることで生成する分岐、架橋構造を有していてもよい。前記オキシメチレン基以外の構成単位としては例えば、オキシエチレン基(−OCHCH−又は−OCH(CH)−)、オキシプロピレン基(−OCHCHCH−、−OCH(CH)CH−又は−OCHCH(CH)−)、オキシブチレン基(−OCHCHCHCH−、−OCH(CH)CHCH−、−OCHCH(CH)CH−、−OCHCHCH(CH)−、−OCH(C)CH−又は−OCHCH(C)−)等の炭素数2以上10以下の、分岐していてもよいオキシアルキレン基が挙げられ、中でも炭素数2以上4以下の、分岐していてもよいオキシアルキレン基が好ましく、特にオキシエチレン基(−OCHCH−)が好ましい。また、ポリアセタール樹脂(A)中における、オキシメチレン基以外の構成単位(オキシアルキレン基)の含有量は、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上15質量%以下である。
本発明におけるポリアセタール樹脂(A)の製造方法は任意であり、従来公知の任意の方法によって製造すればよい。例えば、オキシメチレン基と、炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基を構成単位とするポリアセタール樹脂(A)の製造方法としては、ホルムアルデヒドの3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のオキシメチレン基の環状アセタールと、エチレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキソカン、1,3−ジオキセパン等の炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基を含む環状アセタールとを共重合することによって製造することができる。中でも本発明に用いるポリアセタール樹脂(A)としては、トリオキサンやテトラオキサン等の環状アセタールと、エチレンオキサイド又は1,3−ジオキソランとの共重合体であることが好ましく、中でもトリオキサンと1,3−ジオキソランとの共重合体であることが特に好ましい。
例えば、本発明のポリアセタール樹脂(A)は、オキシメチレン基の環状アセタールと、コモノマーである炭素数2以上4以下のオキシアルキレン基を含む環状アセタールとを、重合触媒を用いて塊状重合させる方法で得ることができる。重合触媒及び重合成長末端の失活処理のために、必要に応じて反応停止剤を用いてもよい。また、ポリアセタール樹脂(A)の分子量調節のために、必要に応じて分子量調節剤を用いてもよい。本発明のポリアセタール樹脂(A)の製造に用いることができる重合触媒、反応停止剤、分子量調節剤の種類や量は、本発明の効果を阻害しない限りにおいては特に限定されるものではなく、従来公知の任意の重合触媒、反応停止剤、分子量調節剤を適宜使用することができる。
重合触媒としては特に限定されるものではないが、例えば、三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五塩化リン、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、及び五フッ化アンチモンなどのルイス酸、並びにこれらルイス酸の錯化合物又は塩化合物が挙げられる。また、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸などのプロトン酸;パークロル酸と低級脂肪族アルコールのエステルなどのプロトン酸のエステル;パークロル酸と低級脂肪族カルボン酸との混合無水物などのプロトン酸の無水物なども挙げられる。このほかに、トリエチルオキソニウムヘキサフルオロホスファート、トリフェニルメチルヘキサフルオロアルゼナート、アセチルヘキサフルオロボラート、ヘテロポリ酸又はその酸性塩、イソポリ酸又はその酸性塩、パーフルオロアルキルスルホン酸又はその酸性塩などが挙げられる。中でも、三フッ化ホウ素を含む化合物が好ましく、エ−テル類との配位錯体である三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート、三フッ化ホウ素ジブチルエーテラートが特に好ましい。
重合触媒の使用量は特に限定されるものではないが、トリオキサンとコモノマーの合計の全モノマー1molに対して、通常1.0×10−8〜2.0×10−3molであり、好ましくは5.0×10−8〜8.0×10−4mol、特に好ましくは5.0×10−8〜1.0×10−4molの範囲である。
反応停止剤としては特に限定されるものではないが、例えば、三価の有機リン化合物、アミン化合物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物が挙げられる。これらの反応停止剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。中でも、三価の有機リン化合物、三級アミン、ヒンダードアミンが好ましい。
反応停止剤の使用量は、重合触媒を失活させるのに十分な量であれば特に制限はないが、重合触媒に対するモル比として、通常1.0×10−1〜1.0×10の範囲である。
分子量調節剤としては特に限定されるものではないが、例えば、メチラール、メトキシメチラール、ジメトキシメチラール、トリメトキシメチラール、オキシメチレンジ−n−ブチルエーテルなどが挙げられる。中でもメチラールが好ましい。これらの分子量調節剤の使用量は、目標とする分子量に応じて適宜決められる。通常、全モノマーに対して0〜0.1質量%の範囲で添加量が調整される。
<有機リン酸化合物(B)>
本発明における有機リン酸化合物(B)は、下記一般式(1)で表される化合物である。
(1)・・・(RO)
(式(1)中、Rは、それぞれ独立に、フェニル基、又はフェニル基の水素原子のうち1〜3個が炭素数1〜4の有機基で核置換したフェニル基を表す。)
上記一般式(1)中のRは、それぞれ独立に、フェニル基、又はフェニル基の水素原子のうち1〜3個が炭素数1〜4の有機基で核置換したフェニル基を表す。これは、上記一般式(1)中の3つのRがフェニル基、又はフェニル基の水素原子のうち1〜3個が炭素数1〜4の有機基で核置換したフェニル基である有機リン酸化合物が、ポリアセタール樹脂組成物を成形する際の溶融粘度の低下を抑制する効果を有するからである。炭素数が1〜4の有機基としては、特に限定されるものではなく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの炭素数が1〜4のアルキル基が挙げられる。中でも、tert−ブチル基が特に好ましい。
上述した有機リン酸化合物(B)の中で、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトが、ポリアセタール樹脂組成物を成形する際の溶融粘度の低下を抑制する効果が高いので特に好ましい。
本発明のポリアセタール樹脂組成物中の前記有機リン酸化合物(B)の含有量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して0.001〜5.0質量部であり、好ましくは0.005〜3.0質量部であり、特に好ましくは0.01〜2.0質量部である。有機リン酸化合物(B)の含有量が0.001質量部以上であればポリアセタール樹脂組成物を成形する際の溶融粘度の低下を抑制でき、配合量が5.0質量部以下であれば著しい金型汚染を伴わずに成形時の溶融粘度の低下を抑制できる。
<層状複水酸化物(C)>
本発明における層状複水酸化物(C)とは、陰イオン交換能を持つ、金属水酸化物層を有する化合物であり、具体的には下記一般式(2)で表される化合物である。
(2)・・・[(M2+(M3+y(OH)2(x+ y)](An−x/n・z(HO)
(式(2)中、M2+は2価の金属イオンを示し、M3+は3価金属イオンを示し、An-はn価のアニオンを示し、複数のアニオンを含んでいてもよい。また、xは0<x≦6.0の範囲であり、nは1〜3の整数、y、zは0以上の数である。)
2価の金属イオン(M2+)としては、アルカリ土類金属イオン(Mg2+など)、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+が挙げられる。また、3価の金属イオン(M3+)としてはAl3+、Fe3+、Cr3+、Co3+、In3+が挙げられる。さらに、n価のアニオン(An−)としては、OH、F、Cl、Br、NO 、CO 2−、SO 2−、Fe(CN) 3−、CHCOO、シュウ酸イオン、サリチル酸イオンが挙げられる。
中でも、本発明における層状複水酸化物(C)は、上記した一般式(2)における2価の金属イオン(M2+)がアルカリ土類金属イオンであり、3価の金属イオン(M3+)がAl3+であり、n価のアニオン(An−)がCO 2−及び/又はOHである、ハイドロタルサイトであることが好ましい。さらに、ハイドロタルサイトの中でも、上記した一般式(2)における2価の金属イオン(M2+)がMg2+であり、3価の金属イオン(M3+)がAl3+であり、n価のアニオン(An−)がCO 2−及び/又はOHで表される化合物が特に好ましい。
上述したハイドロタルサイトとしては、例えば、Mg1.5Al0.5(OH)4(CO30.75・1.0HOで示される天然ハイドロタルサイト、Mg4.5Al(OH)13CO・1.5HOで示される合成ハイドロタルサイトを挙げることができる。ハイドロタルサイトは、市販品を使用することができ、例えば、BASF社製、Hycite713(MgAl(OH)12CO ・1.5HO)を使用することができる。
本発明のポリアセタール樹脂組成物中の前記層状複水酸化物(C)の含有量は、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して0.001〜5.0質量部であり、好ましくは0.005〜3.0質量部であり、特に好ましくは0.01〜2.0質量部である。層状複水酸化物(C)の含有量が0.001質量部以上であればポリアセタール樹脂組成物の耐湿熱性が向上し、5.0質量部以下であれば引張伸びの著しい低下を伴わずに耐湿熱性が向上する。
<その他の、添加してもよい成分>
また、本発明を実施するとき、本発明のポリアセタール樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、立体障害性フェノール(D);窒素含有化合物(E);層状複水酸化物(C)以外の、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、脂肪酸塩、炭酸塩、無機酸塩、アルコキシド及び鉱物からなる群から選ばれる1種以上の金属含有化合物を添加することができる。なかでも、本発明のポリアセタール樹脂組成物は、立体障害性フェノール(D)及び/又は窒素含有化合物(E)をさらに含むことが特に好ましい。これは、立体障害性フェノール(D)及び/又は窒素含有化合物(E)をさらに含むことによって、ポリアセタール樹脂組成物の熱安定性が向上するからである。
<立体障害性フェノール(D)>
立体障害性フェノール(D)としては、一般に酸化防止剤として使用されるものであれば特に限定されず、例えば、トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート及び1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの立体障害性フェノールは、1種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアセタール樹脂組成物中の立体障害性フェノール(D)の含有量は特に限定されないが、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜10.0質量部であり、より好ましくは0.01〜2.0質量部であり、特に好ましくは0.02〜1.0質量部である。立体障害性フェノール(D)の含有量が0.01質量部以上であればポリアセタール樹脂組成物の熱安定性が向上し、含有量が10.0質量部以下であれば顕著な金型汚染を伴わずに熱安定性が向上する。
<窒素含有化合物(E)>
窒素含有化合物(E)としては特に限定されないが、例えば、アミノ置換トリアジン化合物、ポリアミド樹脂、ヒンダードアミン化合物が挙げられる。
ポリアセタール樹脂組成物中の窒素含有化合物(E)の含有量は特に限定されないが、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜5.0質量部であり、より好ましくは0.01〜3.0質量部であり、特に好ましくは0.02〜2.0質量部である。窒素含有化合物(E)の含有量が0.01質量部以上であればポリアセタール樹脂組成物の熱安定性が向上し、含有量が5.0質量部以下であれば引張伸びや耐衝撃性の著しい低下を伴わずに熱安定性が向上する。
アミノ置換トリアジン化合物としては特に限定されないが、例えば、グアナミン、メラミン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、N,N’,N”−トリフェニルメラミン、N,N’,N”−トリメチロールメラミンなどのメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミンなどのアルキル化メラミン類、ベンゾグアナミン、2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ベンジルオキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−ブトキシ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−シクロヘキシル−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−クロロ−sym−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メルカプト−sym−トリアジン、アメリン(N,N,N’,N’−テトラシアノエチルベンゾグアナミン)などが挙げられる。中でも、メラミン、メチロールメラミン、アルキル化メラミン、ベンゾグアナミン、及び水溶性のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂が好ましい。上記したアミノ置換トリアジン化合物は、1種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらのアミノ置換トリアジン化合物は、熱安定剤として使用される。
ポリアミド樹脂は、分子中に2個以上のアミド結合を有する樹脂であれば特に限定されないが、例えばナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、これらの3元共重合体、重合脂肪酸系ポリアミド樹脂及びポリアミドエラストマー等が挙げられる。これらの中では、重合脂肪酸系ポリアミド樹脂又はポリアミドエラストマーが特に好ましい。これらのポリアミド樹脂は1種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、重合脂肪酸系ポリアミド樹脂とは、重合脂肪酸とジアミンとの重縮合体で構成されるポリアミド樹脂を言う。
重合脂肪酸とは、不飽和脂肪酸の重合体、又はこの重合体を水素添加して得られるものであり、重合脂肪酸としては、例えば10〜24の炭素数を有し、二重結合又は三重結合を1個以上有する一塩基性脂肪酸の二量体(ダイマー酸)又はその水素添加物が挙げられる。ダイマー酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸及びエルカ酸等の二量体が挙げられる。
ジアミンとしては、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン及びメタキシリレンジアミン等が挙げられる。
ポリアミドエラストマーとは、ハードセグメントとソフトセグメントとを有し、ハードセグメントがポリアミドで構成され、ソフトセグメントがポリアミド以外のポリマーで構成されるポリアミド樹脂を言う。ハードセグメントを構成するポリアミドとしては、例えばナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、これらの3元共重合体、重合脂肪酸系ポリアミド樹脂等が挙げられる。ポリアミド以外のポリマーとしては、例えば脂肪族ポリエステル及び脂肪族ポリエーテルが挙げられる。脂肪族ポリエステルとしては、例えばポリ(ε−カプロラクトン)、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート及びポリブチレンサクシネート等が挙げられる。脂肪族ポリエーテルとしては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等のポリオキシアルキレングリコールが挙げられる。
ヒンダードアミン化合物としては特に限定されないが、例えば、N,N’,N”,N”−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物(BASF,Chimassorb(登録商標) 2020 FDL)、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ)ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物(BASF,Tinuvin(登録商標) 622 SF)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、及び1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが挙げられる。その中でも、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート及びコハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物が好ましい。上記したヒンダードアミン化合物は、1種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらのヒンダードアミン化合物は、光安定剤、酸化防止剤として使用される。
<層状複水酸化物(C)以外の、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、脂肪酸塩、炭酸塩、無機酸塩、アルコキシド及び鉱物からなる群から選ばれる1種以上の金属含有化合物>
上述した層状複水酸化物(C)以外のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、脂肪酸塩、炭酸塩、無機酸塩、アルコキシド及び鉱物からなる群から選ばれる1種以上の金属含有化合物としては、リン酸塩、ケイ酸塩、ほう酸塩などが挙げられ、アルコキシドとしてはメトキシド、エトキシドなどが挙げられる。これらの中で好ましいものは、層状複水酸化物(C)以外のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、脂肪酸塩、炭酸塩、無機酸塩、アルコキシドであり、より好ましいものは、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カリウム、炭酸カルシウム、又は炭酸マグネシウムである。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、脂肪酸塩、炭酸塩、無機酸塩、アルコキシド及び鉱物からなる群から選ばれる1種以上の金属含有化合物の添加量は特に限定されるものではないが、ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.001〜5.0質量部、より好ましくは0.01〜3.0質量部である。
また、本発明を実施するとき、本発明のポリアセタール樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、各種の酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、核剤、充填剤、顔料、界面活性剤、帯電防止剤などを添加することができる。
<ポリアセタール樹脂組成物の製造方法>
本発明のポリアセタール樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、上記したポリアセタール樹脂(A)、有機リン酸化合物(B)、層状複水酸化物(C)及び必要に応じて添加されるその他の成分(その他の、添加してもよい成分)を、任意の順序で混合、混練することによって製造できる。混合・混練の温度、圧力等の条件は、従来公知のポリアセタール樹脂組成物の製造方法にしたがって適宜選択すればよい。例えば、混練はポリアセタール樹脂(A)の溶融温度以上で行えばよく、通常は180℃以上260℃以下で行うのが好ましい。ポリアセタール樹脂組成物の製造装置も特に限定されるものではなく、従来からこの種の樹脂組成物の製造に用いられている混合、混練装置などを用いることができる。
具体的には、例えば、ポリアセタール樹脂(A)に対して、所定量の、有機リン酸化合物(B)、層状複水酸化物(C)、立体障害性フェノール(D)、窒素含有化合物(E)を、同時に又は任意の順序で添加し、所望により更に他の添加剤等を添加した後、タンブラー型ブレンダー等によって混合し、次いで得られた混合物を1軸又は2軸押出し機で溶融混練してストランド状に押出し、ペレット化することにより、所望の組成のポリアセタール樹脂組成物を得ることができる。その際、ペレットを経由せずに、押出機で溶融混練されたポリアセタール樹脂組成物を直接、射出成形品、ブロー成形品、又は押出成形品などの成形体にすることもできる。
また、別法として、ポリアセタール樹脂(A)に対して、立体障害性フェノール(D)、窒素含有化合物(E)を添加・混合した後、溶融混練してペレット化し、これに所定量の、有機リン酸化合物(B)、層状複水酸化物(C)を添加し、所望により更に他の添加剤等を添加した後、再度混合、溶融混練して再びペレット化することにより、所望の組成のポリアセタール樹脂組成物を得ることもできる。その際、ペレットを経由せずに、押出機で溶融混練されたポリアセタール樹脂組成物を直接、射出成形品、ブロー成形品、又は押出成形品などの成形体にすることもできる。
<ポリアセタール樹脂組成物の成形体>
本発明のポリアセタール樹脂組成物は、公知のポリアセタール樹脂の成形加工法に従って、成形加工することができる。本発明のポリアセタール樹脂組成物からなる成形体としては、ペレット、丸棒、厚板、シート、チューブ、円筒状や方形状の容器といった形状が挙げられるがこれに限定されるものではない。特に本発明で得られる好適な成形体の形状は、成形時の滞留時間が長くなりがちなサイズが大きい成形体や複雑な構造の部品である。これは、上述した本発明のポリアセタール樹脂組成物は、熱安定性に優れ、成形する際の溶融粘度の低下が少ないからである。
本発明の成形体は、従来からポリアセタール樹脂組成物の用途として知られる、機械、電気、自動車、建材その他の各種部品等へ使用できる。特に本発明の成形体は、耐湿熱性に優れ、水分と接触する環境下又は高温多湿の環境下においても引張降伏強度、引張破断伸びといった機械的特性を維持できるので、温水用の配管、コネクター、シャワーヘッド、食洗機部品、コーヒーメーカー部品のような、40℃以上の水(温水、熱水)又は水蒸気と接触する部品において好適に使用できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物は、以下の方法で評価した。
<耐湿熱性試験:引張降伏強度保持率および引張破断伸び保持率>
実施例および比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物を、型締圧力90トンの射出成形機を用いてISO527に従ってダンベル型成形片に成形し、得られた成形片を、プレッシャークッカー(トミー株式会社製)を用いて、121℃、2atmの水蒸気雰囲気下300時間処理して、耐湿熱性試験を行った。その後、成形片を取り出して、乾燥して、成形片の引張降伏強度、引張破断伸びの測定を行った。引張降伏強度、引張破断伸びの測定は、ともにISO527に準拠した。引張降伏強度保持率および引張破断伸び保持の評価は、プレッシャークッカーを用いた耐湿熱製試験前の成形片の引張降伏強度、引張破断伸びを100%として、耐湿熱製試験前の成形片の引張降伏強度、引張破断伸びに対する保持率を算出して行った。ともに数値が大きいほど、耐湿熱性に優れることを意味する。
<成形機滞留試験>
実施例および比較例で得られたポリアセタール樹脂組成物を、型締圧力70トンの射出成形機を用いて75×50×5mmのプレート型成形片に成形する工程において、前記ポリアセタール樹脂組成物を240℃に設定したシリンダー内に滞留させて、24、48、60分経過後のMI上昇値を評価した。MI上昇値は、成形に用いたポリアセタール樹脂組成物の原料ポリアセタール樹脂(A)のMI値(8.0g/10min)を1(基準)として、その倍数で評価した。
MI(メルトインデックス)値はASTM D1238に準拠して190℃、2.16kg加重下で測定した。MI上昇値が小さいほど、溶融粘度の変化が小さく、優れていることを意味する。
<ポリアセタール樹脂(A)の製造>
ポリアセタール樹脂(A)は次のようにして製造した。温度を65℃に設定したジャケットを有するセルフクリーニング型パドルを有する二軸の連続重合機に、トリオキサン100質量部と1,3−ジオキソラン4質量部、触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートを全モノマー(トリオキサンおよび1,3−ジオキソラン)1molに対して0.05mmolとなる量をベンゼン溶液として、並びに分子量調節剤としてメチラールを全モノマーに対して500ppmとなる量をベンゼン溶液として、連続添加し、連続重合機内の滞在時間が20分となるようにして連続的に重合を行った。
得られた重合物に対して、トリフェニルホスフィンを、使用した三フッ化ホウ素ジエチルエーテラート1molに対して2molとなる量をベンゼン溶液として添加した。触媒を失活させた後、粉砕して、ポリアセタール樹脂(A)を得た。ポリアセタール樹脂(A)の収率は95%であり、メルトインデックス(MI)値は、8.0g/10minであった。
<実施例1〜8、比較例1〜7>
実施例および比較例のポリアセタール樹脂組成物は、次のようにして得た。上述した方法で得たポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、有機リン酸化合物(B)、層状複水酸化物(C)、立体障害性フェノール(D)、窒素含有化合物(E)を、表1に示す割合で添加し、二軸押出機を用いて210〜230℃の温度範囲で加熱溶融しながら、21.3kPaの減圧下で脱揮して、ポリアセタール樹脂組成物のペレットを調製した。得られたペレットを用いて、前記評価法にて評価した。なお、表1中の記号は、下記のとおりである。
<有機リン化合物(B)>
B−1:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト(Addivant社製、Alkanox240)
B−2:2,2'-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)2-エチルヘキシルホスフィン、(和光純薬株式会社製)
<層状複水酸化物(C)>
C−1:ハイドロタルサイト(BASF社製、Hycite713))
BASF社製、Hycite713は、下記式(3)で表されるハイドロタルサイトである。
(3)・・・MgAl(OH)12CO・1.5H
<立体障害性フェノール(D)>
D−1:トリエチレングリコール−ビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート(BASF社製、Irganox(登録商標)245)
D−2:ペンタエリスリチル−テトラキス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製、Irganox(登録商標)1010)
<窒素含有化合物(E)>
E−1:メラミン(三井化学株式会社製)
Figure 2017165835
有機リン酸化合物(B)と層状複水酸化物(C)の両方を使用した実施例1のポリアセタール樹脂組成物は、有機リン酸化合物(B)又は層状複水酸化物(C)のいずれか一方しか用いなかった比較例2と3のポリアセタール樹脂組成物に比べて、耐湿熱性試験後の引張降伏強度、引張破断伸びの保持率が高く、成形時の溶融粘度(MI値)の変化が小さく、耐湿熱性及び成形性に優れていることがわかる。同様に、実施例2における耐湿熱性及び成形性は、比較例2と4に比べて大きく優れていることがわかる。
また、実施例3〜7は、有機リン酸化合物(B)、層状複水酸化物(C)、窒素含有化合物(E)の添加量を所定量の範囲内で変えた例であるが、有機リン酸化合物(B)、層状複水酸化物(C)のいずれか一方又は両方を含まない比較例1〜4、有機リン酸化合物(B)の添加量が所定量外である比較例5と6、層状複水酸化物(C)の添加量が所定量外である比較例7に比べて、いずれも耐湿熱性及び成形性に優れていることがわかる。
実施例8は、実施例1において立体障害性フェノール(D)の種類を変えた例であるが、実施例1と同様の効果を示した。比較例8は、層状複水酸化物(C)の構造において、上述した一般式(2)のRのうちひとつが芳香環を有しない2−エチルヘキシル基である例であるが、耐湿熱性、成形性とも、実施例1に比べて劣っていることがわかる。

Claims (8)

  1. ポリアセタール樹脂(A)100質量部と、下記一般式(1)で表される有機リン酸化合物(B)0.001〜5.0質量部と、下記一般式(2)で表される層状複水酸化物(C)0.001〜5.0質量部とを含む、ポリアセタール樹脂組成物。
    (1)・・・(RO)
    (式(1)中、Rは、それぞれ独立に、フェニル基、又はフェニル基の水素原子のうち1〜3個が炭素数1〜4の有機基で核置換したフェニル基を表す。)
    (2)・・・[(M2+(M3+y(OH)2(x+ y)](An−x/n・z(HO)
    (式(2)中、M2+は2価の金属イオンを示し、M3+は3価金属イオンを示し、An-はn価のアニオンを示し、複数のアニオンを含んでいてもよい。また、xは0<x≦6.0の範囲であり、nは1〜3の整数、y、zは0以上の数である。)
  2. 前記有機リン酸化合物(B)がトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイトである、請求項1に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  3. 前記層状複水酸化物(C)がハイドロタルサイトである、請求項1又は2に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  4. 前記ハイドロタルサイトが、前記一般式(2)におけるM2+がMg2+であり、M3+がAl3+であり、An−がCO 2−及び/又はOHである、請求項3に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  5. ポリアセタール樹脂(A)100質量部に対して、立体障害性フェノール(D)0.01〜10.0質量部及び/又は窒素含有化合物(E)0.01〜5.0質量部をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  6. 前記窒素含有化合物(E)が、アミノ置換トリアジン化合物、ポリアミド樹脂、及びヒンダードアミン化合物からなる群より選ばれる1種類以上である、請求項5に記載のポリアセタール樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂組成物を成形して得られる成形体。
  8. 40℃以上の水又は水蒸気と接触する部品である、請求項7に記載の成形体。
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