JP2017155371A - 防水透湿布帛および防水透湿衣 - Google Patents

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Abstract

【課題】エタノール消毒液に対しても撥水性/撥アルコール性や耐透過性の低下が抑制された防水透湿布帛および防水透湿衣を提供することを課題とする。【解決手段】ポリオレフィン微多孔性フィルムと撥水撥油性不織布との積層構造を有し、80%エタノール水溶液に対する耐透過性(JIS T 8030A法)がクラス1以上であり、前記撥水撥油性不織布が少なくとも一方の面の表面に配されており、前記撥水撥油性不織布の耐水圧が300mmH2O以上、かつ、撥水性/撥アルコール性が5以上である防水透湿布帛。【選択図】なし

Description

本発明は、防水透湿布帛および防水透湿衣に関する。
従来、レインコート等の雨具には、加工のし易さもあって、耐水性はあるが透湿性がないゴム引布やポリ塩化ビニル等を使用したレインコート等が多用されている。しかしながら、ゴム引布、あるいはポリ塩化ビニル等を用いた雨具は、高いバリア性を保つためバリア層の厚みを厚くしたり、透湿性がない無孔のバリア層を使用するため、通気性や透湿性に乏しく、着用時、蒸れ感を強く感じたり、柔軟性が悪いため着衣快適性が悪いという欠点がある。
そこで、最近では、耐水圧と透湿性を兼ね備えた素材として、炭酸カルシウムなどの無機フィラーを充填した微多孔性ポリオレフィンフィルムを防水透湿布帛として用いたレインコート等の防水透湿衣が開発され、蒸れ感を軽減し着衣快適性の向上が図られている。
しかしながら、無機フィラーを充填した微多孔性フィルムは、引張強度や突刺強度等の強度が弱いという欠点が知られており、上記の欠点を解消するために無機フィラーに替えて超高分子量ポリオレフィンを充填剤として用いた微多孔性ポリオレフィンフィルムを防水透湿布帛として用いた防水透湿衣が知られている(特許文献1)。
特開2003−328219号公報
しかしながら、上記の充填剤として超高分子量ポリオレフィンを用いた微多孔性ポリオレフィンフィルムは、耐水圧が2000mmHO以上を達成しているが、エタノール消毒液(80%エタノール水溶液)に対しては撥水性/撥アルコール性や耐透過性が十分でないという課題を見出した。
そこで、本発明は、エタノール消毒液に対しての撥水性/撥アルコール性や耐透過性に優れた防水透湿布帛および防水透湿衣を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために本発明は以下の手段をとる。
(1)ポリオレフィン微多孔性フィルムと撥水撥油性不織布との積層構造を有し、80%エタノール水溶液に対する耐透過性(JIS T 8030A法)がクラス1以上であり、前記撥水撥油性不織布が少なくとも一方の面の表面に配されており、前記撥水撥油性不織布の耐水圧が300mmHO以上、かつ、撥水性/撥アルコール性が5以上である防水透湿布帛。
(2)前記ポリオレフィン微多孔性フィルムの透湿度が200g/m・h以上であり、前記ポリオレフィン微多孔性フィルムの引張強度が20N/5cm以上であり、前記ポリオレフィン微多孔性フィルムの耐水圧が5000mmHO以上である(1)の防水透湿布帛。
(3)(1)または(2)の防水透湿布帛を用いた防水透湿衣。
本発明によれば、エタノール消毒液に対しての撥水性/撥アルコール性や耐透過性に優れた防水透湿布帛および防水透湿衣を提供することができる。
<ポリオレフィン微多孔性フィルム>
本発明のポリオレフィン微多孔性フィルムは、フィルムの両表面を貫通し、透気性を有する微細な貫通孔を多数有しているフィルムである。ポリオレフィン微多孔性フィルムに貫通孔を形成する方法としては、突刺強度や引張強度などの強度、透湿性、バリア性が担保できれば、湿式法、乾式法どちらでも構わないが、フィルム成型後にフィルム上の異物を溶液により洗い流すことができるため湿式法が好ましい。
湿式法とは、溶媒を用いて空隙を形成する方法である。具体的には、ポリオレフィン樹脂をマトリックス樹脂とし、シート化後に抽出する被抽出物を添加、混合し、シート化し、二軸延伸前もしくは二軸延伸後に被抽出物の良溶媒を用いて被抽出物のみを抽出することで、マトリックス樹脂中に空隙を生成せしめる方法が挙げられる。
ポリオレフィン微多孔性フィルムはポリオレフィンのみからなるものであってもよいし、本発明の効果を阻害しない範囲において酸化防止剤などを有していてもよい。
ポリオレフィンポリオレフィン微多孔性フィルムを形成するポリオレフィンには、本発明の効果を損なわない範囲において、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、中和剤、帯電防止剤や有機粒子からなる滑剤、さらにはブロッキング防止剤や充填剤、非相溶性ポリマーなどの各種添加剤を含有させてもよい。
ポリオレフィン微多孔性フィルムは、透湿性の評価尺度である透湿度の下限が200g/m・h以上であることが好ましい。一方で、その上限は、2000g/m・h以下であることが好ましい。ポリオレフィン微多孔性フィルムの透湿度が200g/m・h以上であると、その透湿性は優れたものとなり、そのポリオレフィン微多孔性フィルムを用いた防水透湿布帛を防水透湿衣などとした際に、その防水透湿衣などの着用快適性が向上する。上記の観点から、ポリオレフィン微多孔性フィルムの透湿性の下限は200g/m・h以上であることがより好ましく、300g/m・h以上であることがさらに好ましい。一方で、ポリオレフィン微多孔性フィルムの透湿度が2000g/m・h以下であると、そのバリア性がより優れたものとなる。なお、透湿度はJIS L 1099:2012に記載のA−1法で評価を行う。また、ポリオレフィン微多孔性フィルムの透湿度を上記の範囲とする手段は、一例として、ポリオレフィンに含まれる質量平均値が1×10以上の超高分子量のポリオレフィンの含有量をポリオレフィン全体に対し1〜15質量%とすることなどが挙げられる。
ポリオレフィン微多孔性フィルムは、JIS L 1096に基づいて求められる引張強度がタテ方向およびヨコ方向において20N/5cm以上であることが好ましく、より好ましくは30N/5cm以上、さらにより好ましくは40N/5cm以上である。ポリオレフィン微多孔性フィルムの引張強度を20N/5cm以上とすることで、防水透湿布帛を防水透湿衣とし、その防水透湿衣の着用者が屈伸作業を行ったときなどに防水透湿布帛に力が加わっても、ポリオレフィン微多孔性フィルムが破れにくいため好ましい。また、ポリオレフィン微多孔性フィルムの引張強度の上限としては、特に限定されないが、防水透湿布帛を防水透湿衣などとする際の縫製時に防水透湿布帛を任意の形にはさみ等で切断する観点から500N/5cm以下が好ましい。ここで、タテ方向とは、ポリオレフィン微多孔性フィルムの製造時のロール出しの方向を指す。なお、ヨコは上記のタテ方向に直行する方向をいう。
ポリオレフィン微多孔性フィルムの引張伸度は、タテ方向およびヨコ方向において3%以上が好ましく、より好ましくは5%以上であり、上限については、20%以下が好ましく、より好ましくは15%以下である。微多孔性フィルムの引張伸度が20%以下であることで、防水透湿布帛を用いた防水透湿衣の着用者の作業時などに防水透湿不帛に力が加わりフィルムが伸びても微多孔性フィルムの細孔径が広がることを抑制でき、これによりウィルスや細菌が微多孔性フィルムを透過することを防止することができる。微多孔性フィルムの引張伸度が3%以上あることで、作業時に微多孔性フィルムが体の動きに合わせて伸びるため、着心地が良くなる。
ポリオレフィン微多孔性フィルムは、その厚みが10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましい。ポリオレフィン微多孔性フィルムの厚みが10μm以上あることで、優れた突刺強度、引張強度を得ることができる。一方、ポリオレフィン微多孔性フィルムの厚みの上限については特に限定されないが、50μm以下であることが好ましい。ポリオレフィン微多孔性フィルムの厚みを50μm以下とすることで、ポリオレフィン微多孔性フィルムの透湿性を向上させることができる。
ポリオレフィン微多孔性フィルムは、JIS L 1092A法に基づいて求められる耐水圧が5000mmH0以上であることが好ましく、6000mmH0以上であることがより好ましく、7000mmH0以上であることがさらに好ましい。なお、評価においては、ポリオレフィン微多孔性フィルムの伸びを抑制する支持体は用いずに評価を行う。また、フィルムの厚みを増すことや、フィルムの延伸倍率を調整することなどの手段によりポリオレフィン微多孔性フィルムの耐水圧を上記の範囲内とすることができる。
ポリオレフィン微多孔性フィルムは、コスト、生産性に優れ、バリア性に優れ、防水透湿布帛を用いた防水透湿衣を着用した際の蒸れ感を軽減し、その防水透湿衣の着衣快適性を優れたものとすることができる。
<撥水撥油性不織布>
続いて、撥水撥油性不織布について説明する。本発明の防水透湿布帛に用いられる撥水撥油性不織布は、防水透湿布帛に十分な引張強度ならびに摩耗強度、耐水圧および適切な手触りなどの風合いならびに柔らかさを与えるものである。撥水撥油性不織布としては、湿式不織布やレジンボンド式乾式不織布、サーマルボンド式乾式不織布、スパンボンド式乾式不織布、ニードルパンチ式乾式不織布、ウォータジェットパンチ式乾式不織紙布、メルトブロー不織布またはフラッシュ紡糸式乾式不織布等のほか、目付や厚みが均一にできる抄紙法により製造された不織布も好ましく使用できる。なかでも、スパンボンド式乾式不織布(スパンボンド層)とメルトブロー不織布(メルトブロー層)との積層構造を有する撥水撥油性不織布は耐水圧が高く好適に用いられる。
撥水撥油性不織布の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイト、フッ素系樹脂、およびこれらの混合物などを挙げることができる。これらの中でも、ポリオレフィン、特にポリプロピレンが、耐熱性、耐薬品性にすぐれるため好ましい。また、撥水撥油性不織布にホットメルト接着剤を塗布する場合において撥水撥油性不織布はの耐熱性の観点から、撥水撥油性不織布を構成する素材の融点の下限は、130℃以上であることが好ましく、140℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。一方、撥水撥油性不織布を構成する素材の融点の上限は、特に限定されないが、300℃以下であることが好ましい。
撥水撥油性不織布の引張強度は、防水透湿布帛の引張強度を優れたものとする観点から、5N/50mm以上が好ましい。さらに好ましくは、10N/50mm以上、さらに好ましくは15N/50mm以上である。一方、引張強度の上限は、防水透湿布帛の適度な柔らかさを担保する観点から300N/50mm以下が好ましい。
撥水撥油性不織布の破裂強度は、防水透湿布帛の破裂強度を優れたものとする観点から、300kPa以上、好ましくは400kPa以上、さらに好ましくは500kPa以上が好ましい、一方、破裂強度の上限は、3000kPa以下であることが好ましい。破裂強度が3000kPa以下であると、防水透湿布帛とした際の防水透湿布帛の柔軟性、軽量性を優れたものとすることができる。
撥水撥油性不織布の摩耗強度は、防水透湿布帛の摩耗強度を優れたものとする観点から、3級以上が好ましい。さらに好ましくは、4級以上である。
撥水撥油性不織布の厚みの下限は、0.01mm以上であることが好ましく、0.1mm以上であることがより好ましい。一方で、撥水撥油性不織布の厚みの上限は5mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましい。
また、撥水撥油性不織布の目付の下限は10g/m以上であることが好ましく、20g/m以上であることが好ましい。一方で、目付の上限は200g/m以下であることが好ましく、100g/m以下であることがより好ましい。
本発明に用いる撥水撥油性不織布は、撥水撥油加工がなされている。80%エタノール水溶液などの溶剤系の液体が微多孔性ポリエチレンフィルムへ接触するのを防止する観点から、撥水撥油性不織布の撥水/撥アルコール性は、5以上であることが重要であり、6以上が好ましい。撥水撥油性不織布の撥水/撥アルコール性を上記の範囲とする手段としては、表層の不織布に撥水撥油加工を施すことなどが挙げられる。ここで、撥水撥油加工は、フッ素樹脂やシリコーン樹脂など既存の薬品を使用することができる。フッ素樹脂としては、PTFE(四フッ化エチレン樹脂)、PFA(テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体)およびFEP(パーフルオロエチレン−プロペンコポリマー)などが挙げられる。また、この際、撥水撥油性不織布の微多孔性フィルムに接触する面の反対の面のみに撥水撥油加工を施すのが、ホットメルト接着剤とポリオレフィン微多孔性フィルムの接着性を良好なものとすることができるとの観点から好ましい。これは、撥水撥油加工をした撥水撥油性不織布の表面とホットメルト接着剤との親和性が低く、撥水撥油性不織布とポリオレフィン微多孔性フィルムとの接合面の剥離強度が低下しやすいためである。なお、撥水撥油加工においては、公知の加工条件で行えばよいが、ポリオレフィン微多孔性フィルムの収縮やホットメルト接着剤が劣化し撥水撥油性不織布とポリオレフィン微多孔性フィルムが剥離しない条件で行う必要がある。撥水撥油加工は、撥水撥油性不織布の少なくとも表面に塗布する方法が好ましく、不織布を薬剤に含浸するディップ法も不織布全体に撥水撥油性能を付与できる観点から好ましい。
撥水撥油性不織布の耐水圧は、溶剤系の液体が撥水撥油不織布へ接触し、圧力が加わった時に微多孔性ポリエチレンフィルムへ浸透するのを防止する観点から、300mmHO以上であることが重要であり、400mmHO以上が好ましく、500mmHO以上がより好ましい。耐水圧を達成する手段として、撥水撥油性の高い薬剤を使用することや、撥水撥油性不織布の目付を増やすこと、撥水撥油性不織布をエンボス加工することで上記の範囲内とすることができる。
<防水透湿布帛に用いる接着剤>
撥水撥油性不織布とポリオレフィン微多孔性フィルムとの積層に用いるホットメルト接着剤は、ポリオレフィン微多孔性フィルムの透湿度を低下させることがなく、防水透湿布帛の製造工程における撥水撥油性不織布とポリオレフィン微多孔性フィルムとの積層工程の工程速度を向上させることができるため、ホットメルト接着剤が好ましい。
ここで、ホットメルト接着剤は、既存のホットメルト接着剤が使用でき、合成ゴム系ホットメルト接着剤、オレフィン系ホットメルト接着剤、複合ホットメルト接着剤などが好ましく使用できる。
合成ゴム系ホットメルト接着剤は、熱可塑性エラストマー(以後、TPEとする)、粘着付与剤および鉱油からなるものをいう。ここで、合成ゴム系ホットメルト接着剤は、TPE、粘着付与剤および鉱油のみからなるものであってもよいし、本発明の効果を阻害しない範囲において、合成ゴム系ホットメルト接着剤は、TPE、粘着付与剤および鉱油の他に、フェノール系やリン系、硫黄系等の各種熱安定剤や紫外線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。
TPEとしては、スチレン系TPEを用いるのが、加工性に優れるとの観点から好ましい。スチレン系TPEは、ハードセグメントであるポリスチレンとソフトセグメントからなる。ソフトセグメントとしては、主に、SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン)、SIS(ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン)、SEBS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリブチレン−ポリスチレン)、SEPS(ポリスチレン−ポリエチレン/ポリプロピレン−ポリスチレン)が挙げられ、中でもSBS、SEBSが合成ゴム系ホットメルト接着剤の接着力が優れたものとなるとの観点から好ましい。SEBSは、SBSの水素添加反応によって合成される。
オレフィン系ホットメルト接着剤は、熱可塑性樹脂であるα−オレフィン、粘着付与剤および鉱油からなるものをいう。ここで、オレフィン系ホットメルト接着剤は、α−オレフィン、粘着付与剤および鉱油のみからなるものであってもよいし、本発明の効果を阻害しない範囲において、オレフィン系ホットメルト接着剤は、α−オレフィン、粘着付与剤および鉱油の他に、フェノール系やリン系、硫黄系等の各種熱安定剤や紫外線吸収剤等の添加剤および/またはオレフィン系ホットメルト接着剤の低温性や凝集力を向上させるためにスチレン系エラストマー等を含有してもよい。オレフィン系ホットメルト接着剤は、非極性材料(例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなど)からなるフィルムや布帛などのシートの表面への接着性が優れている。また、α−オレフィンとしては、低分子量のポリエチレン、ポリプロピレン(例えば、APP(アタックチックポリプロピレン)やAPAO(Amorphous Poly Alpha Olefin)など)、エチレン、および、ブテン−1をランダムに共重合した樹脂などが挙げられる。
複合ホットメルト接着剤は、TPE、α−オレフィン、粘着付与剤および鉱油からなるものをいう。ここで、複合ホットメルト接着剤は、TPE、α−オレフィン、粘着付与剤および鉱油のみからなるものであってもよいし、本発明の効果を阻害しない範囲において、複合ホットメルト接着剤は、TPE、α−オレフィン、粘着付与剤および鉱油の他に、フェノール系やリン系、硫黄系等の各種熱安定剤や紫外線吸収剤等の添加剤を含有してもよい。
ホットメルト接着剤は、ホットメルト接着剤の粘着力や接着力、保持力などを調整するために、粘着付与剤を含有していることが好ましい。粘着付与剤としては、ロジン誘導体、芳香族変性テルペン樹脂およびテルペンフェノール樹脂などのテルペン系樹脂などの天然系樹脂、水素添加石油樹脂などの炭化水素樹脂からなる石油樹脂が挙げられる。中でも、そのホットメルト接着剤の凝集力の低下の抑制、熱安定性の向上、臭気の抑制、および、そのホットメルト接着剤の色調の良好性を考慮すると、水素添加石油樹脂が好ましい。
本発明の防水透湿布帛に用いられるホットメルト接着剤に含まれる上記粘着付与剤の含有量は、そのホットメルト接着剤全体に対して、10質量%以上であることが好ましい。一方で、そのホットメルト接着剤に含まれる上記粘着付与剤の含有量は、そのホットメルト接着剤全体に対して、60質量%以下であることがより好ましい。粘着付与剤の含有量を10質量%以上とすることで、そのホットメルト接着剤の粘着性がより向上し、濡れ性がより良好となる。一方で、粘着付与剤の含有量を60質量%以下とすることで、そのホットメルト接着剤が柔軟なものとなり、接着力が向上する。
本発明の防水透湿布帛に用いられるホットメルト接着剤の粘着性や柔軟性などを調整するために、そのホットメルト接着剤は、鉱油を含有していることが好ましい。鉱油としては、液状ポリブテン系、流動パラフィンなどの石油系プロセスオイル類が挙げられる。
<防水透湿布帛>
本発明の防水透湿布帛は、撥水撥油性不織布とポリオレフィン微多孔性フィルムをホットメルト接着剤や熱ラミ、超音波接着により積層したものが挙げられる。また、本発明の防水透湿不帛では、この防水透湿不帛の少なくとも一方の面の最表面に撥水撥油性不織布が配されている。この構成により本発明の防水透湿不帛は水溶性の汚染水やエタノール消毒液に対して有効な撥水性/撥アルコール性や耐透過性を発揮する。
また、本発明の防水透湿不帛においては、その少なくとも一方の面の表面に耐水圧が300mmHO以上であり撥水性/撥アルコール性が5以上である撥水撥油性不織布が配されていることが重要である。このような構成とすることで、本発明の防水透湿不帛の80%エタノール水溶液に対する前記撥水撥油性不織布から前記ポリオレフィン微多孔性フィルムの方向への耐透過性(JIS T 8030A法)をクラス1以上とすることができる。そのメカニズムの詳細は不明であるが、上記の撥水撥油性不織布が配された防水透湿不帛の表面に80%エタノール水溶液が付着した場合に、上記の撥水撥油性不織布の耐水圧および撥水性/撥アルコール性により、上記の80%エタノール水溶液が上記の撥水撥油性不織布に浸透するのが抑制され、また、上記の撥水撥油性不織布が配された防水透湿不帛の表面上を容易に移動し長時間特定の場所に留まることが抑制されるためであると考えられる。
<防水透湿布帛等の諸特性>
本発明の防水透湿布帛の撥水/撥アルコール性は5以上であることが好ましく、6以上がより好ましい。防水透湿不帛の撥アルコール性が5以上であることで、この防水透湿不帛はエタノール消毒液(80%エタノール水溶液)に対して優れた撥水性/撥アルコール性を発揮する。ここで、防水透湿不帛の撥水性/撥アルコール性を上記の範囲とする手段としては、前述した撥水撥油性不織布を表層(液体に接触する面)に積層することなどが例示できる。
本発明の防水透湿布帛の80%エタノール水溶液に対する耐透過性(JIS T 8030A法)はクラス1以上であることが重要である。防水透湿不帛の表層に前述の撥水撥油不織布とし、前述のポリオレフィン微多孔性フィルムとを積層することなどの手段により、本発明の防水透湿布帛の80%エタノール水溶液に対する耐透過性(JIS T 8030A法)をクラス1以上とすることができる。本発明の防水透湿布帛の80%エタノール水溶液に対する耐透過性(JIS T 8030A法)がクラス1以上であることで、この防水透湿布帛の80%エタノール水溶液に対するバリア性が優れたものとなる。
本発明の防水透湿布帛の透湿性は、防水透湿布帛を防水透湿衣とした際に、その優れた着用性を担保する観点から、その評価尺度である透湿度が200g/m・h以上であり、好ましくは250g/m・h以上、さらに好ましくは300g/m・h以上である。一方、その上限については特に限定はされないが、バリア性をより優れたものとする観点から1000g/m・h以下が好ましい。なお、透湿度はJIS L 1099:2012に記載のA−1法で評価を行う。透湿度は、ホットメルト接着剤の塗布量を調整することなどにより、ポリオレフィン微多孔性フィルムがもつ透湿性を損なわずに、防水透湿不帛の透湿度を高く維持することができる。
本発明の防水透湿布帛の引張強度は、それを用いた防水透湿衣などの着用時に作業する際の実用性の観点から、40N/50mm以上が好ましい。より好ましくは60N/50mm以上、さらに好ましくは80N/50mm以上である。一方、上限については特に限定はされないが、防水透湿布帛の適度な柔らかさを担保する観点から500N/50mm以下が好ましい。なお、引張強度はJIS L 1096に記載の方法で評価を行う。
本発明の防水透湿布帛の引張伸度は、防水透湿布帛を用いた防水透湿衣の着用時に作業する際、着心地やポリオレフィン微多孔性フィルムの伸びを抑制する観点から、50%未満が好ましく、より好ましくは40%未満、さらに好ましくは30%未満である。一方、下限については、着心地を改善する観点から10%以上が好ましい。
本発明の防水透湿布帛の破裂強度は、防水透湿布帛を用いた防水透湿衣の着用時の外部応力による破れをより抑制する観点から、400kPa以上が好ましく、500kPa以上がより好ましく、600kPa以上がさらに好ましい、一方、その上限については特に限定はされないが、2000kPa以下が好ましい。破裂強度が2000kPa以下であると、防水透湿布帛の柔軟性、軽量性により優れたものとなる。
本発明の防水透湿布帛の摩耗強度は、防水透湿布帛を用いた防水透湿衣の着用時の外部応力による表面の耐擦過性をより優れたものとする観点から、防水透湿布帛の表面を摩耗させたときの外観評価が3級以上であることが好ましい。さらに好ましくは、4級以上である。
本発明の防水透湿布帛の耐水圧は、防水透湿布帛を用いた防水透湿衣の着用時に外部からの水の浸入を防ぐ観点から、50kPa以上が好ましく、70kPa以上がより好ましく、90kPa以上がさらに好ましい。一方、耐水圧の上限は300kPa以下が好ましい。耐水圧が300kPa以下であると、微多孔性フィルムの貫通孔を適当数設けることができ、防水透湿布帛の透湿性をより優れたものとすることができる。また、防水透湿布帛にさらに積層する不織布等の枚数を変更することでも、防水透湿布帛の耐水圧を調整することができる。
本発明の防水透湿布帛は、目付が15〜250g/mであることが好ましい。目付を15g/m以上とすることで、防水透湿布帛の引張強度、破裂強度、摩耗強度、および、耐水圧がより優れたものとなる。かかる観点から、防水透湿布帛の目付は、20g/m以上がより好ましく、30g/m以上がさらに好ましい。一方、防水透湿布帛の目付を250g/m以下とすることで、その防水透湿布帛を防水透湿衣等にした場合、防水透湿衣がより軽量となり、その着心地が向上する。かかる観点から、防水透湿布帛の目付は、150g/m以下がより好ましく、100g/m以下がさらに好ましい。
本発明の防水透湿布帛が有する撥水撥油性不織布は、その撥水撥油性不織布を構成する素材の融点はホットメルト接着剤の塗工温度よりも高いことが好ましい。ホットメルト接着剤は、撥水撥油性不織布側に塗工を行うのが好ましく、ホットメルト接着剤の塗工温度よりも撥水撥油性不織布を構成する素材の融点を大きくすることで、ホットメルト接着剤を撥水撥油性不織布側に塗布しても不織布などの撥水撥油性不織布の熱による収縮やダメージを抑えることができる。不織布層などの撥水撥油性不織布を構成する素材と微多孔性フィルムを構成する素材の融点は、(株)島津製作所製示差走査型熱量計DSC−60型を用いて測定することができる。
また、本発明の防水透湿布帛は複数の撥水撥油性不織布や複数のポリオレフィン微多孔性フィルムを有していてもよい。また、防水透湿布帛が複数の撥水撥油性不織布を有する場合、それらの撥水撥油性不織布は同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、防水透湿布帛が複数のポリオレフィン微多孔性フィルムを有する場合、それらのポリオレフィン微多孔性フィルムは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。本発明の防水透湿布帛は下記の構成を取り得る。(i)撥水撥油性不織布/ポリオレフィン微多孔性フィルム、(ii)撥水撥油性不織布/ポリオレフィン微多孔性フィルム/撥水撥油性不織布、(iii)撥水撥油性不織布/ポリオレフィン微多孔性フィルム/不織布、(iv)撥水撥油性不織布/ポリオレフィン微多孔性フィルム/ポリオレフィン微多孔性フィルム/不織布など。
中でも、上記の(iii)の様に、撥水撥油性不織布、ポリオレフィン微多孔性フィルムおよび不織布の順となり、ポリオレフィン微多孔性フィルムの表層に撥水撥油性不織布がある3層構成が好ましい。上記の3層構成とすることで、溶剤系の液体が積層体に接触しても、撥水撥油性不織布により、溶剤系の液体が液滴化し、ポリオレフィン微多孔性フィルムまで溶剤系の液体が到達せず、バリア性が失われにくくする効果を有する。
また、上記の(i)様に、撥水撥油性不織布およびポリオレフィン微多孔性フィルムの2層構成も防水透湿布帛の所望の引張強度および破裂強度を担保しつつ、防水透湿布帛の透湿性および軽量性をより優れたものとすることができる観点から好ましい。
本発明の防水透湿布帛は、撥水撥油性不織布とポリオレフィン微多孔性フィルムとが、ホットメルト接着剤により接着されてなる。
防水透湿布帛の剥離強度は、接着された撥水撥油性不織布とポリオレフィン微多孔性フィルムとの界面で剥がして剥離強度を測定し、その剥離強度は1.0N/50mm以上が好ましく、1.4N/50mm以上がより好ましく、1.8N/50mm以上がさらに好ましい。その上限については特に限定されないが、ホットメルト接着剤の塗布量が減少すると防水透湿布帛の透湿性が向上するとの観点から、50N/50mmが好ましい。
なお、防水透湿布帛の剥離強度が上記の範囲内であれば、防水透湿布帛の単位面積あたりの接着面積は限定されない。
また、50℃における防水透湿布帛の加温試験実施後(50℃、湿度30%、24時間保持)においても、防水透湿布帛の剥離強度は0.8N/50mm以上が好ましい。より好ましくは1.0N/50mm以上、さらに好ましくは1.2N/50mm以上である。さらに、60℃における防水透湿布帛の加温試験実施後(60℃、湿度30%、24時間保持)においても、防水透湿布帛の剥離強度は0.8N/50mm以上であることがより好ましい。
<防水透湿布帛の製造方法>
本発明の防水透湿布帛の製造方法は、ホットメルト接着剤による接着剤ラミや熱ラミ、超音波ラミなど既存の貼り合せ加工が例示できる。撥水撥油性不織布とポリオレフィン微多孔性フィルムの層間を接着する方法として、ポリプロピレンスパンボンド不織布およびポリプロピレンメルトブロー不織布の積層構造(以下、ポリプロピレンSMS不織布等とすることがある)とポリオレフィン微多孔性フィルムの接着を例に挙げ説明する。
ホットメルト接着剤による2層の接着のための機器は、大別して、ホットメルトメルター、ホース、ノズルヘッド、および、パターンコントローラーからなる。これらの設備については、公知の技術や設備を利用できる。パターン形状は、カーテンスプレー、スパイラルスプレー、スロットコート、ZIP(Z状パターン)など様々種類がある、中でも、カーテンスプレーやスパイラルスプレーが、透湿性、接着強度、柔らかさの面から好ましい。ホットメルト接着剤加工においては、ホットメルト接着剤塗工後に、カレンダーロールや3本ロール、エンボスロールなど加圧・プレスを行わないのが好ましい。
また、ホットメルト接着剤は、ポリプロピレンスパンボンド不織布等に塗工した方が、ポリオレフィン微多孔性フィルムの熱による収縮やダメージが少ないため好ましく、ポリオレフィン微多孔性フィルムに熱がかかることによる防水透湿布帛の収縮などをより抑制することができる。また、カーテンスプレーで塗工する場合、供給するホットエアーが不織布を通り抜けるため、ホットメルト接着剤の跳ね返りが少ないため好ましい。
本発明の防水透湿布帛は、溶剤に対する撥水/発アルコール性が高く、強度が強く、かつ透湿性に優れるので、カバーオール、上下セパレートタイプ、ガウン等の形に縫製することで医療用衣服などのエタノール消毒や防水透湿衣などの防水透過衣として好適に使用することができる。特に、汚染物質の進入を防ぐ上で、カバーオール型が好ましい。
各特性は以下の方法により測定、評価を行った。
(1)透湿度
JIS L 1099:2012に記載のA−1法(塩化カルシウム法)に基づき、透湿度を測定し、単位:g/m・hで評価した。
(2)厚み
ポリオレフィン微多孔性フィルムの厚みは以下の測定方法で評価した。ダイヤルゲージ式厚み計(JIS B 7503:1997、PEACOCK製UPRIGHT DIAL GAUGE(0.001×2mm)、No.25、測定子10mmφ平型、50gf荷重)を用いて、厚み(μm)を測定した。測定は各サンプル10回ずつ行い、その平均値で評価を行った。
撥水撥油性不織布および防水透湿布帛の厚みは以下の測定方法で評価した。JIS L 1913:2010の6.1.1項に記載のA法に基づき測定した。試料から2500mm以上の大きさの試験片を10枚採取し、厚さ測定器の上側円形水平板に0.5kPaの圧力をかけ、0点を調整した。その後、厚さ測定器を用いて,標準状態で試験片に0.5kPaの圧力を10秒間かけて、厚さを0.01mmまで測定した。試験片10枚の平均値を求めた。
(3)破裂強度
JIS L 1096:1999の8.16.1項に記載のA法に基づき測定した。15cm×15cmの試験片を5枚採取し、ミューレン形破裂試験機を用い、試験片を上にして、しわ及びたるみを生じないように均一な張力を加えてクランプでつかみ圧力を加えてゴム膜が試験片を突き破る強度及び破断時のゴム膜だけの強度を測り、次の式によって破裂強度を求め、その平均値を算出した。破裂強度が400N以上を合格(○)、400N未満を不合格(×)、と判定した。
=A−B
:破裂強度(kPa)
A :ゴム膜が試験片を突き破る強度
B :破断時のゴム膜だけの強度。
(4)単位面積当たりの質量(目付:g/m
JIS L 1913:2010の6.2項に基づいて測定した。試料から25cm×25cmの大きさの試験片を5枚採取し、その重さを測定し、平均値を求めた。その平均値を16倍し、単位面積当たりの質量(g/m)とした。
(5)引張強度と引張伸度
JIS L 1913:2010の6.3.1項に基づき測定した。幅50mm、長さ300mmに切り出した試験片を、つかみ間隔200mm、引張速度100mm/分の条件でシート縦方向、横方向とも3個のサンプルについて定速伸長型引張試験機にて引張試験を行い、サンプルが破断するまで引っ張ったときの最大強力を引張強度、その時の伸び率を引張伸度とし、シート縦方向、横方向それぞれの平均値について算出し、縦方向、横方向の引張強度のうち、低い方を繊維層の引張強度(N/50mm)と引張伸度(%)とした。
(6)摩耗強度
JIS L 1913:2010の6.6.2項に基づき測定した。直径13cmの円形試験片を5枚採取し、各試験片の中心に直径約6mmの孔を開け、テーバー形摩耗試験機を用い、試験片の表面を上にして荷重2.45N、摩耗輪(CS−10)を用い、約70min−1で100回、回転摩擦し、外観を限度写真(JIS L1913:2010の図14)により級判定した。摩耗強度が3級以上を合格(○)、3級未満を不合格(×)、と判定した。
(7)耐水圧
JIS L 1092:2009の7.1.1項に記載のB法に基づき測定した。試料から約150mm×150mmの試験片を5枚採取し、耐水度試験装置の表側に水があたるよう取り付け、シリンダに水を入れ、ピストンハンドルを回して1分間に100kPaの割合で水圧を加えて、試験片の裏側に3か所から水が出たときまたは防水・透湿材料が破裂した際の水圧(kPa)を測定し、5回の平均値を耐水圧とした。
(8)剥離強度
JIS L 1089:2007に記載の方法に準拠して測定した。接着された不織布と微多孔性フィルムとの界面で剥がしてきっかけを作り、万能試験機(島津製作所製オートグラフAG−IS)を用いて、幅50mm、長さ300mmに切り出した試験片を、つかみ間隔50mm、引張速度150mm/分の条件でシート縦方向、横方向とも3個のサンプルについて定速伸長型引張試験機にてT字(180°)に剥離した時の剥離試験を行った。評価は、JIS L 1089:2007の図5に示すように、剥離するときに示す極大値の大きいものから順次3個、小さいものから順次3個を採り、計6個の平均値を算出した。
(9)撥水性/撥アルコール性
撥水性/撥アルコール性は、INDA Standard Test for Water/Alcohol Repellency Test Metthod,IST80.6−92に従い測定した。表1に示す割合のイソプロピルアルコール(IPA)と水との混合液(約50μl)をスポイトで試験片上に滴下し、直径が約5mmの液滴を作成した。この水滴を5滴作成し、5分間放置した後、液滴の形状を目視観察し、液体の侵入も部分的な吸収も認められない場合を合格とし、試験片にしけ値紀が侵入しなかった最大の番号を試験結果とした。評点が高いほど反発率が高いことを示す。
(10)80%エタノール水溶液に対する耐透過性
JIS T 8030A法(2008)に基づき評価を行った。装置は、JIS T 8030A法の図2に開示された開放回路系透過試験装置、透過テストセルはJIS T 8030A法の図C.1に開示されたものを使用した。耐透過性の分類は、JIS T 8115(2015)の表5に開示された透過速度に基づく破過時間から分類した。クラス1以上を○とし、クラス1未満を×とした。
(11)消毒に対する実用性
防水透湿衣を着用し、80%エタノール水溶液を乾電池式スプレー(除草名人(登録商標) JS−10、株式会社工進製、噴霧圧力0.15MPa)を用いて全身から1m離れた位置から1分間噴霧し、防水透湿衣内部への漏れやヌレがないものを○、漏れやヌレが生じたものを×とした。
<ホットメルト接着剤>
ホットメルト接着剤は、合成ゴム系ホットメルト接着剤として、鉱油(流動パラフィン)10質量%、合成ゴム(SBS(ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン))30質量%、粘着付与剤(水素化テルペン樹脂)35質量%および粘着付与剤(石油系炭化水素樹脂)25質量%から構成され、軟化点は104℃、温度140℃における溶融粘度(ブルックフィールド粘度)は14000mPa・sである。
<積層シートの材料>
<微多孔性フィルム>
ポリオレフィン微多孔性フィルム:ポリエチレン(厚み20μm、融点137℃、微多孔の細孔径32μm、透湿度350g/m・h、引張強さ(タテ)44N/50mm、引張強さ(ヨコ)45N/50mm、引張伸度(タテ)10%、引張伸度(ヨコ)8%、耐水圧5500mmHO、)。
<撥水撥油性不織布>
(A)SMS不織布A:スパンボンド/メルトブロー/スパンボンド不織布(ポリプロピレン、目付35g/m、厚み0.2mm、融点165℃、引張強さ(タテ)61N/50mm、引張強さ(ヨコ)41N/50mm、耐水圧400mmHO、撥水性/撥アルコール性2)。
(B)SMS不織布B:SMS不織布Aを撥水撥油加工したもの(耐水圧450mmHO、撥水性/撥アルコール性6)。撥水撥油加工は、不織布をフッ素系撥水撥油剤(TG-5601、ダイキン製)に含浸し、130℃で乾燥した。
(C)スパンボンド不織布C:ポリプロピレンスパンボンド不織布(目付35g/m
厚み0.2mm、融点165℃、引張強さ(タテ)68N/50mm、引張強さ(ヨコ)40N/50mm、耐水圧120mmHO、撥水性/撥アルコール性1)。
(D)スパンボンド不織布D:スパンボンド不織布Cを撥水撥油加工したもの(耐水圧150mmHO、撥水性/撥アルコール性5)。撥水撥油加工は、不織布をフッ素系撥水撥油剤(TG-5601、ダイキン製)に含浸し、130℃で乾燥した。
<接着方法>
ホットメルト接着剤を用いた撥水撥油性不織布とポリオレフィン微多孔性フィルムとの接着方法は、カーテンスプレーにてホットメルト接着剤を不織布の片面上に2g〜3g/mとなるように塗布して、その不織布の面にポリオレフィン微多孔性フィルムを貼り合せた。
<防水透湿衣の作製方法>
実施例および比較例の防水透湿布帛を、型紙に合わせて切り出した。切り出した防水透湿布帛の縫製部分を超音波にて縫製し、防水透湿衣を作製した。
以下に実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
表層の不織布としてSMS不織布B(撥水撥油性不織布)の片面にホットメルト接着剤を塗布(塗布量2.5g/m、塗布温度140℃、加工速度30m/分)した後、そのSMS不織布Bのホットメルト接着剤を塗布した片面とポリエチレン微多孔性フィルムの一方の面とを接着した。次いで、同条件にて裏層の不織布としてスパンボンド不織布Cの片面にホットメルト接着剤を塗布した後、そのスパンボンド不織布Cのホットメルト接着剤を塗布した片面と微多孔性フィルムの他方の面とを接着し、SMS不織布B/微多孔性フィルム/第二のスパンボンド不織布Cの構成の防水透湿不帛を得た。この防水透湿不帛は、耐水圧が10000mmHO、撥水性/撥アルコール性が6、80%エタノール水溶液に対するSMS不織布Bからポリエチレン微多孔性フィルムの方向への耐透過性がクラス1合格であった。なお、80%エタノール水溶液に対するポリエチレン微多孔性フィルムからSMS不織布Bの方向への耐透過性はクラス1不合格であった。
本防水透湿不帛を、型紙に合わせて切り出し、表層が防水透湿衣外側、裏層が防水透湿衣内部側になるように切り出した防水透湿不帛の縫製部分を超音波にて縫製し、上下セパレートつなぎ服タイプの防水透湿衣を得た。消毒に対する実用性は、防水透湿衣内部への漏れやヌレがなかった。なお、防水透湿不帛の80%エタノール水溶液に対する耐透過性については、防水透湿不帛の表層から裏層への方向についての耐透過性を評価した。
(実施例2)
表層の不織布をスパンボンド不織布D(撥水撥油性不織布)、裏層の不織布をSMS不織布Bにした以外は実施例1と同じである。この防水透湿不帛は、耐水圧が10000mmHO、撥水性/撥アルコール性が5、80%エタノール水溶液に対するSMS不織布Bからポリエチレン微多孔性フィルムの方向への耐透過性がクラス1合格であった。なお、80%エタノール水溶液に対するポリエチレン微多孔性フィルムからSMS不織布Bの方向への耐透過性はクラス1不合格であった。
本防水透湿不帛を、型紙に合わせて切り出し、表層が防水透湿衣外側、裏層が防水透湿衣内部側になるように切り出した防水透湿不帛の縫製部分を超音波にて縫製し、上下セパレートつなぎ服タイプの防水透湿衣を得た。なお、防水透湿不帛の80%エタノール水溶液に対する耐透過性については、防水透湿不帛の表層から裏層への方向についての耐透過性を評価した。
(比較例1)
表層の不織布をSMS不織布Aにした以外は実施例1と同じである。この防水透湿不帛は、耐水圧が10000mmHO、撥水性/撥アルコール性が2、80%エタノール水溶液に対するSMS不織布Aからポリエチレン微多孔性フィルムの方向への耐透過性がクラス1不合格であった。
本防水透湿不帛を、型紙に合わせて切り出し、表層が防水透湿衣外側、裏層が防水透湿衣内部側になるように切り出した防水透湿不帛の縫製部分を超音波にて縫製し、上下セパレートつなぎ服タイプの防水透湿衣を得た。消毒に対する実用性は、防水透湿衣内部への漏れはなかったがヌレがみられた。なお、防水透湿不帛の80%エタノール水溶液に対する耐透過性については、防水透湿不帛の表層から裏層への方向についての耐透過性を評価した。
(比較例2)
表層の不織布をスパンボンド不織布Cにした以外は実施例1と同じである。この防水透湿不帛は、耐水圧が11000mmHO、撥水性/撥アルコール性が1、80%エタノール水溶液に対するスパンボンド不織布Cからポリエチレン微多孔性フィルムの方向への耐透過性がクラス1不合格であった。
本防水透湿不帛を、型紙に合わせて切り出し、表層が防水透湿衣外側、裏層が防水透湿衣内部側側になるように切り出した防水透湿不帛の縫製部分を超音波にて縫製し、上下セパレートつなぎ服タイプの防水透湿衣を得た。消毒に対する実用性は、防水透湿衣内部への漏れはなかったがヌレがみられた。消毒に対する実用性は、防水透湿衣内部への漏れはなかったがヌレがみられた。なお、防水透湿不帛の80%エタノール水溶液に対する耐透過性については、防水透湿不帛の表層から裏層への方向についての耐透過性を評価した。
撥水性/撥アルコール性試験液を表1に示す。
Figure 2017155371
微多孔性フィルムの物性を表2に示す。
Figure 2017155371
不織布の物性を表3に示す。
Figure 2017155371
防水透湿布帛の物性を表4に示す。
Figure 2017155371

Claims (3)

  1. ポリオレフィン微多孔性フィルムと撥水撥油性不織布との積層構造を有し、
    前記撥水撥油性不織布が少なくとも一方の面の表面に配されており、
    前記撥水撥油性不織布の耐水圧が300mmHO以上であり、
    前記撥水撥油性不織布の撥水性/撥アルコール性が5以上である、防水透湿布帛。
  2. 前記ポリオレフィン微多孔性フィルムの透湿度が200g/m・h以上であり、
    前記ポリオレフィン微多孔性フィルムの引張強度が20N/5cm以上であり、
    前記ポリオレフィン微多孔性フィルムの耐水圧が5000mmHO以上である、請求項1の防水透湿布帛。
  3. 請求項1または2の防水透湿布帛を用いた、防水透湿衣。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111424377A (zh) * 2020-03-30 2020-07-17 吉安市三江超纤无纺有限公司 用于防护服的超纤抗菌无纺布及其制造方法和应用

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