JP2017155174A - ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト - Google Patents

ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト Download PDF

Info

Publication number
JP2017155174A
JP2017155174A JP2016041847A JP2016041847A JP2017155174A JP 2017155174 A JP2017155174 A JP 2017155174A JP 2016041847 A JP2016041847 A JP 2016041847A JP 2016041847 A JP2016041847 A JP 2016041847A JP 2017155174 A JP2017155174 A JP 2017155174A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
rubber composition
mass
reinforcing material
parts
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016041847A
Other languages
English (en)
Inventor
元峰 高野
Motomine Takano
元峰 高野
常西 洋平
Yohei Tsunenishi
洋平 常西
秀洋 赤間
Hidehiro Akama
秀洋 赤間
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Bridgestone Corp
Original Assignee
Bridgestone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Bridgestone Corp filed Critical Bridgestone Corp
Priority to JP2016041847A priority Critical patent/JP2017155174A/ja
Publication of JP2017155174A publication Critical patent/JP2017155174A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】補強材との接着性が高く、且つ、高温環境下に置かれたとしても、補強材との高い接着性を長期的に維持することができるゴム組成物を提供する。【解決手段】ジエン系ゴムを含むゴム成分と、湿式シリカと、カーボンブラックと、炭酸カルシウムとを配合してなるゴム組成物であって、前記湿式シリカの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して3質量部以上であり、前記炭酸カルシウムの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して10質量部以上120質量部以下であり、前記カーボンブラックの窒素吸着によるBET比表面積が、50m2/g超90m2/g以下である、ゴム組成物である。【選択図】図1

Description

本発明は、ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルトに関する。
自動車用タイヤ、コンベアベルト、ホース等、特に強度が要求されるゴム製品には、ゴム部材を補強して強度を向上させる目的で、未処理の又はレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)等からなる接着成分を表面にディッピング処理した、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の有機繊維、及び/或いは、スチールコードのような無機繊維などの補強材が用いられている。
そして、このようなゴム製品の製造においては、しばしば、この補強材とゴム部材とを、及び/又は、この補強材同士を、ゴム組成物からなる接着剤を介して接着させることがある。例えば、コンベアベルトは、様々な産業分野で物品の輸送手段として多く使用され、被輸送物との摩擦や衝撃等に耐え得る高度な耐久性を有することが要求されることから、通常、1層又は複数層の補強材と、ゴム部材としてのカバーゴムとを用意し、ゴム組成物からなる接着剤を介して、カバーゴムが上下最外層となるようにこれらを積層した後、加硫接着することにより製造される。かかる状況下、高い補強効果を得るため、補強材間の高い接着性や、ゴム部材と補強材との間の高い接着性を発現することが可能なゴム組成物が求められている。
また、例えばコンベアベルトの使用においては、ゴム組成物からなる層及び補強材の層を備える1本の層状ベルトを作製したのち、その両端における層の一部を剥離し、エンドレス用接着剤及び/又はエンドレス用接着ゴム等を介して両端同士を接合して輪状とする加工(いわゆるエンドレス加工)を行うことがある。そして、この接合した両端部分(エンドレス部)には、実使用時において高い耐久性を有することが求められており、エンドレス部における部材同士、とりわけ補強材同士が強固に接合されていることが特に重要である。
ここで、ゴム組成物を用いたゴム部材と補強材との接着性という観点では、例えば、特許文献1は、天然ゴムやスチレンブタジエンゴム等のゴム100重量部に対し、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドを0.5〜10重量部、2価以上のカルボン酸又はその無水物を0.3〜3重量部、及び加熱によりホルムアルデヒドを発生する化合物を0.3〜10重量部含有してなるゴム組成物から製造され得るゴム部材が、補強材との加硫接着性能に優れることを開示している。
特開平6−306211号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、上記従来のゴム組成物を接着剤として用い、補強材同士を接着させて得られるコンベアベルト等のゴム製品は、使用初期においては、ゴム組成物の層及び補強材の層の間の接着性が確保され得るものの、使用期間が経つにつれて、その接着性が低下していくという問題が生じ、特に高温環境下で使用される場合に、その接着性が著しく低下することが分かった。かかる問題は、特に高温などの過酷な環境下でも頻繁に用いられるコンベアベルト等のゴム製品の耐久性に、多大な悪影響を及ぼす。そのため、ゴム製品の製造直後における接着性のみならず、実際の使用時における接着性を長期的に高く維持することができるゴム組成物が求められている。
そこで、本発明の目的は、補強材との接着性が高く、且つ、高温環境下に置かれたとしても、補強材との高い接着性を長期的に維持することができるゴム組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、ゴム製品の耐久性を長期的に高く維持することができる、上述したゴム組成物を用いた積層体、及び、長期的に高い耐久性を有する、上述した積層体を用いたコンベアベルトを提供することにもある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ジエン系ゴムを含むゴム成分に、特定の成分を特定量だけ配合してなるゴム組成物が、補強材との接着性が高く、且つ、高温環境下に置かれたとしても、補強材との高い接着性を長期的に維持することができることを見出した。
すなわち、本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴムを含むゴム成分と、湿式シリカと、カーボンブラックと、炭酸カルシウムとを配合してなるゴム組成物であって、
前記湿式シリカの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して3質量部以上であり、
前記炭酸カルシウムの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して10質量部以上120質量部以下であり、
前記カーボンブラックの窒素吸着によるBET比表面積が、50m2/g超90m2/g以下であることを特徴とする。かかるゴム組成物は、補強材との接着性が高く、且つ、高温環境下に置かれたとしても、補強材との高い接着性を長期的に維持することができる。
本発明のゴム組成物においては、前記湿式シリカの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して4質量部以上9質量部以下であることが好ましい。前記湿式シリカの配合量が前記範囲内であることにより、補強材と接着させて高温環境下に置いたとしても、補強材との接着性を長期的に高く維持することができるとともに、かかるゴム組成物を用いたゴム製品の生産性の低下を抑制することができる。
本発明のゴム組成物においては、前記ゴム成分が、天然ゴム及びスチレン−ブタジエンゴムを含むことが好ましい。これにより、補強材との接着性がより向上したゴム組成物とすることができる。
本発明のゴム組成物においては、前記天然ゴム及びスチレン−ブタジエンゴムの総配合量に対する前記天然ゴムの配合量の割合が、20質量%以上60質量%以下であることが好ましい。これにより、得られるゴム組成物を用いたゴム部材又はゴム製品の機械的強度、耐摩耗性、膜厚安定性、耐老化性及び耐屈曲亀裂性を向上させることができる。
本発明のゴム組成物においては、前記湿式シリカの窒素吸着によるBET比表面積が、80m2/g以上であることが好ましく、200m2/g超であることが更に好ましい。前記湿式シリカの窒素吸着によるBET比表面積が前記範囲内であることにより、ゴム組成物の極性が高くなり、ゴム組成物と補強材との接着性をより向上させることができるともに、補強材と接着させて高温環境下に置いたとしても、ゴム組成物と補強材との接着性を長期的に高く維持することができる。
また、本発明のゴム組成物は、ゴム部材と補強材との間、又は、補強材同士の間に介在させ、これらを接着するために用いられることが好ましい。これにより、ゴム部材と補強材とを、及び/又は、補強材同士を、強固に接着させることができる。
なお、本発明において「ゴム部材」とは、ゴム製品の製造に用いられ、少なくともゴム成分を含む任意の部材を指す。
本発明の積層体は、本発明のゴム組成物からなる層と補強材層とが、積層及び接着されていることを特徴とする。かかる積層体は、高温環境下に置かれたとしても、ゴム組成物からなる層と補強材層とが強固に接着されており、ゴム製品の耐久性を長期的に高く維持することができる。
そして、本発明のコンベアベルトは、本発明の積層体を含むことを特徴とする。かかるコンベアベルトは、高温環境下に置かれたとしても、ゴム組成物からなる層と補強材層とが強固に接着されているため、長期的に高い耐久性を有する。
本発明によれば、補強材との接着性が高く、且つ、高温環境下に置かれたとしても、補強材との高い接着性を長期的に維持することができるゴム組成物を提供することができる。また、本発明によれば、ゴム製品の耐久性を長期的に高く維持することができる、上述したゴム組成物を用いた積層体、及び、長期的に高い耐久性を有する、上述した積層体を用いたコンベアベルトを提供することができる。
本発明のゴム組成物からなる層と、補強材層との剥離試験における、剥離面の模式図である。 一比較例のゴム組成物からなる層と、補強材層との剥離試験における、剥離面の模式図である。 別の比較例のゴム組成物からなる層と、補強材層との剥離試験における、剥離面の模式図である。
<ゴム組成物>
以下に、本発明を、その一実施形態に基づき詳細に例示説明する。
本発明のゴム組成物は、少なくとも、ジエン系ゴムを含むゴム成分と、湿式シリカと、カーボンブラックと、炭酸カルシウムと、更に必要に応じてその他の成分とを配合してなる。
(ゴム成分)
本発明のゴム組成物は、ゴム成分としてジエン系ゴムを用いることを要する。ジエン系ゴムは、加硫により高弾性や高い耐熱性等の性能を呈し得る。前記ジエン系ゴムとしては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然ゴム(NR);ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)などのジエン系合成ゴム;等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
特に、本発明のゴム組成物は、補強材との接着性をより向上させる観点から、天然ゴム及びスチレン−ブタジエンゴムを含むことが好ましい。
本発明のゴム組成物のゴム成分におけるジエン系ゴムの割合としては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができるが、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。ゴム成分におけるジエン系ゴムの割合が80質量%以上であることにより、得られるゴム組成物と補強材との接着性が高くなり、当該ゴム組成物からなる層と補強材層との積層体を用いたゴム製品の耐久性を向上させることができる。
なお、ジエン系ゴムとして天然ゴム及びスチレン−ブタジエンゴムを併用する場合、天然ゴム及びスチレン−ブタジエンゴムの総配合量に対する天然ゴムの配合量の割合は、20質量%以上が好ましく、また、60質量%以下が好ましい。上記天然ゴムの配合量の割合が20質量%以上であることにより、得られるゴム組成物を用いたゴム部材又はゴム製品の機械的強度を向上させることができ、一方、60質量%以下であることにより、得られるゴム組成物を用いたゴム部材又はゴム製品の耐摩耗性及び膜厚安定性を向上させることができる。同様の観点から、天然ゴム及びスチレン−ブタジエンゴムの総配合量に対する天然ゴムの配合量の割合は、30質量%以上がより好ましく、また、50質量%以下がより好ましい。
また、ジエン系ゴムとして天然ゴム及びスチレン−ブタジエンゴムを併用する場合、天然ゴム及びスチレン−ブタジエンゴムの総配合量に対するスチレン−ブタジエンゴムの配合量の割合は、40質量%以上が好ましく、また、80質量%以下が好ましい。上記スチレン−ブタジエンゴムの配合量の割合が40質量%以上であることにより、得られるゴム組成物を用いたゴム部材又はゴム製品の耐老化性を向上させることができ、一方、80質量%以下であることにより、得られるゴム組成物を用いたゴム部材又はゴム製品の耐屈曲亀裂性を向上させることができる。同様の観点から、天然ゴム及びスチレン−ブタジエンゴムの総配合量に対するスチレン−ブタジエンゴムの配合量の割合は、50質量%以上がより好ましく、また、70質量%質量%以下がより好ましい。
なお、本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴムの他、ゴム成分として非ジエン系ゴム(ジエン系ゴム以外のゴム成分)を含んでいてもよく、特に制限されることなくゴム製品に一般に用いられる非ジエン系ゴムを用いることができる。
また、本発明のゴム組成物には、ジエン系ゴム及び任意に非ジエン系ゴムを含む再生ゴムを用いることもできる。本発明のゴム組成物に再生ゴムを用いる場合、その配合量としては、得られるゴム組成物を用いたゴム製品の品質を十分に確保する観点から、再生ゴム中のポリマー成分が、配合するポリマー総量に対して20質量%以下であることが好ましい。
(湿式シリカ)
本発明のゴム組成物は、湿式シリカを用いることを要する。湿式シリカは、例えば、珪酸ソーダを原料とし、その水溶液を中和してシリカを析出させ、ろ過・乾燥して得ることができる。湿式シリカは、沈降法シリカとゲル法シリカに類別されるが、いずれの湿式シリカも用いることができる。湿式シリカをゴム組成物に用いることにより、かかるゴム組成物と、有機繊維などの補強材との接着性を向上させることができる。この理由は明らかではないが、湿式シリカ特有の高い極性が、接着性の向上に寄与しているものと考えられる。湿式シリカは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のゴム組成物に用いる湿式シリカの窒素吸着によるBET比表面積(N2SA)としては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができるが、80m2/g以上が好ましい。湿式シリカの窒素吸着によるBET比表面積が80m2/g以上であることにより、ゴム組成物の極性が高くなって、ゴム組成物と補強材との接着性をより高めることができるとともに、補強材と接着させて高温環境下に置いたとしても、ゴム組成物と補強材との接着性を長期的に高く維持することができる。同様の観点から、湿式シリカの窒素吸着によるBET比表面積は、120m2/g以上がより好ましく、150m2/g超がより好ましく、200m2/g超が更に好ましい。
なお、湿式シリカの窒素吸着によるBET比表面積は、例えば、ISO5794−1に準拠して測定することができる。
本発明のゴム組成物に用いる湿式シリカの平均一次粒子径としては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができるが、10nm以上が好ましい。湿式シリカの平均一次粒子径が10nm以上であることにより、混練時における飛散などによる生産性の低下を抑制することができる。
なお、湿式シリカの平均一次粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡像、及び/又はBET比表面積を用いた算出などにより求めることができる。BET比表面積を用いた算出の方法としては、例えば、経済産業省発行「ナノマテリアル情報提供シート:非晶質コロイダルシリカ(平成23年3月時点)参考資料6.」に記載された方法などの、従来公知の方法が挙げられる。
そして、本発明のゴム組成物における湿式シリカの配合量としては、ジエン系ゴム100質量部に対して3質量部以上である限り、特に制限はされないが、4質量部以上であることが好ましく、また、10質量部未満であることが好ましい。ゴム組成物における湿式シリカの配合量がジエン系ゴム100質量部に対して3質量部未満であると、補強材と接着させて高温環境下に置いた場合に、ゴム組成物と補強材との接着性が経時的に悪化する虞がある。一方、ゴム組成物における湿式シリカの配合量がジエン系ゴム100質量部に対して4質量部以上であることにより、補強材と接着させて高温環境下に置いたとしても、補強材との接着性を長期的に高く維持することができる。また、ゴム組成物における湿式シリカの配合量がジエン系ゴム100質量部に対して10質量部未満であることにより、加硫に要する時間が過度に長くなることによる、かかるゴム組成物を用いたゴム製品の生産性の低下を抑制することができる。同様の観点から、ゴム組成物における湿式シリカの配合量は、5質量部以上であることが更に好ましく、7質量部以上であることが一層好ましく、また、9質量部以下であることがより好ましい。
(カーボンブラック)
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを用いることを要する。カーボンブラックは、補強性充填剤として、ゴム組成物のモジュラスや耐摩耗性を高めるとともに、このゴム組成物と、補強材との接着性を適度に向上させる機能を有し得る。カーボンブラックは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のゴム組成物に用いるカーボンブラックの窒素吸着によるBET比表面積(N2SA)は、50m2/g超90m2/g以下であることを要する。カーボンブラックの窒素吸着によるBET比表面積が50m2/g以下であると、ゴム組成物と補強材との接着性そのものが十分ではない上、ゴム組成物と補強材とを接着させて高温環境下に置いた場合に、その接着性が経時的に大きく悪化する虞がある。また、カーボンブラックの窒素吸着によるBET比表面積が90m2/g超であると、ゴム組成物と補強材とを接着させて高温環境下に置いた場合に、その接着性が経時的に大きく悪化する虞がある。一方、カーボンブラックの窒素吸着によるBET比表面積は、ゴム組成物と補強材との接着性を高め、且つ当該接着性を長期的により高く維持する観点から、55m2/g以上が好ましく、また、80m2/g以下が好ましい。
なお、カーボンブラックの窒素吸着によるBET比表面積は、例えば、従来公知の方法により測定することができる。
そして、本発明のゴム組成物におけるカーボンブラックの配合量としては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができるが、ジエン系ゴム100質量部に対して10質量部以上であることが好ましく、また、100質量部以下であることが好ましい。ゴム組成物におけるカーボンブラックの配合量がジエン系ゴム100質量部に対して10質量部以上であることにより、このゴム組成物と、補強材との間の剥離強度を効果的に向上させることができるとともに、経時的な接着性の低下を抑制することができる。また、カーボンブラックの配合量がジエン系ゴム100質量部に対して100質量部以下であることにより、例えばコンベアベルトの繰返し変形疲労試験を行った際のゴム組成物の破壊が抑制されて、良好な補強性を維持することができる。同様の観点から、ゴム組成物におけるカーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対して30質量部以上であることがより好ましく、また、50質量部以下であることがより好ましい。
また、本発明のゴム組成物においては、上述した湿式シリカ及びカーボンブラックの配合量の合計が、ジエン系ゴム100質量部に対して30質量部以上であることが好ましく、また、80質量部以下であることが好ましい。湿式シリカ及びカーボンブラックの配合量の合計がジエン系ゴム100質量部に対して30質量部以上であることにより、補強材との間の剥離強度に優れるとともに、高温環境下に置かれたとしても、補強材との接着性を長期的により高く維持することができるゴム組成物を得ることができる。また、湿式シリカ及びカーボンブラックの配合量の合計がジエン系ゴム100質量部に対して80質量部以下であることにより、加硫に要する時間が過度に長くなることによる、かかるゴム組成物を用いたゴム製品の生産性の低下を抑制することができる。同様の観点から、湿式シリカ及びカーボンブラックの配合量の合計は、ジエン系ゴム100質量部に対して40質量部以上であることがより好ましく、また、55質量部以下であることがより好ましい。
(炭酸カルシウム)
本発明のゴム組成物は、炭酸カルシウムを用いることを要する。炭酸カルシウムは、ゴム組成物の耐破壊性を低減し、それによって、当該ゴム組成物と、有機繊維などの補強材や、他のゴム部材との接着性を向上させる機能に加え、ゴム組成物と補強材とを接着させて高温環境下に置いたとしても、補強材との高い接着性を長期的に高く維持する機能をも有し得る。炭酸カルシウムは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のゴム組成物に用いる炭酸カルシウムの平均一次粒子径としては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5μm以上が好ましい。炭酸カルシウムの平均一次粒子径が0.5μm以上であることにより、ゴム組成物と、補強材との間の接着性を十分に向上させることができる。
また、炭酸カルシウムの平均一次粒子径は、0.8μm以上がより好ましく、また、13μm以下がより好ましい。炭酸カルシウムの平均一次粒子径が0.8μm以上であることにより、未加硫のゴム組成物の粘度の増加を抑制して、安定した膜厚安定性をもたらすことができ、また、13μm以下であることにより、加硫後のゴム組成物のモジュラス及び引裂き強さの低下を抑制して、安定した補強効果を得ることができる。加えて、炭酸カルシウムの平均一次粒子径が上記より好ましい範囲内にあることで、ゴム組成物と補強材とを接着させて高温環境下に置いたとしても、ゴム組成物と補強材との接着性を長期的に高く維持することができる。同様の観点から、炭酸カルシウムの平均一次粒子径は、1.0μm以上が更に好ましく、2.0μm以上が一層好ましく、また、12.0μm以下が更に好ましい。
なお、炭酸カルシウムの平均一次粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡観察などにより測定することができる。
なお、本発明のゴム組成物に用いる炭酸カルシウムとしては、ゴム組成物中での分散性を良好なものとするため、必要に応じて、有機物材料を用いて表面処理を施した炭酸カルシウムであってもよい。
そして、本発明のゴム組成物における炭酸カルシウムの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対して10質量部以上120質量部以下であることを要する。ゴム組成物における炭酸カルシウムの配合量がジエン系ゴム100質量部に対して10質量部未満であると、ゴム組成物のコストが高くなる虞や、未加硫のゴム組成物の粘度が低すぎることでバンバリーやロール等への密着による作業性の悪化が発生する虞や、ゴム組成物の凝集破壊力が高くなり過ぎて、ゴム組成物と補強材とを剥離する際の作業性が悪化してしまう虞がある。また、炭酸カルシウムの配合量がジエン系ゴム100質量部に対して120質量部超であると、ゴム組成物の凝集破壊力が下がり過ぎてしまい、ゴム組成物と補強材との間における剥離強度が不十分となってしまう虞や、ロールを使用した圧延において、未加硫のゴム組成物がロールから浮いてしまい、十分なせん断発熱が与えられない等に因る生産性の悪化の虞や、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー等を使用した混練において、ゴム組成物中の分散性を十分に高くできない虞がある。同様の観点から、ゴム組成物における炭酸カルシウムの配合量は、20質量部以上であることが好ましく、また、100質量部以下であることが好ましい。
更に、湿式シリカ及びカーボンブラックの配合量の合計が上記好ましい範囲にあり、且つ、炭酸カルシウムの配合量が上記の範囲にあることで、ゴム組成物と補強材とを接着させて高温環境下に置いた場合に、ゴム組成物と補強材との接着性を長期的に一層高く維持することができる。
なお、この理由は、明らかではないが、湿式シリカ、カーボンブラック及び炭酸カルシウムを含むフィラーの偏在作用により、加硫済みのゴム組成物と補強材との間の二重結合量が多く保たれて、帆布等の補強材が酸化されることなどによる接着性の低下を抑制しているものと考えられる。
(その他の成分)
本発明のゴム組成物には、上述のゴム成分、湿式シリカ、カーボンブラック、炭酸カルシウム以外にも、ゴム業界で通常使用される配合剤、例えば、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛などの加硫促進助剤、軟化剤、老化防止剤、スコーチ防止材、加工助剤、潤滑剤、乾式シリカ等の上述の湿式シリカ以外のシリカ、カーボンブラック及び炭酸カルシウム以外の充填剤、充填剤改質剤、粘着付与剤、着色剤などを、目的に応じて適宜用いることができる。
なお、本発明のゴム組成物に加硫剤として硫黄を用いる場合、その配合量としては、必要最小限の量で効果的に加硫する観点から、ジエン系ゴム100質量部に対して1.5質量部以上3質量部以下であることが好ましい。
(ゴム組成物の調製)
本発明のゴム組成物は、例えば、上述した成分を、バンバリーミキサー、ブラベンダー、ニーダー等を用いて混練することにより調製することができる。
このようにして調製されたゴム組成物は、以下のような特徴を有する。即ち、補強材との接着性が高い上、高温環境下に置かれたとしても、補強材との高い接着性を長期的に維持することができる。そして、本発明のゴム組成物は、このような特徴を有することから、ゴム製品の実際の使用時においても、補強材との高い接着性を安定して発現することができ、例えば、自動車用タイヤ、コンベアベルト、ホース等のゴム製品の製造に好適に用いることができる。具体的には、ゴム製品の製造の際、このゴム組成物を、補強材同士の間に介在させたり、ゴム部材と補強材との間に介在させたりし、これらの部材を強固に接着するのに用いることができる。言い換えれば、本発明のゴム組成物は、接着用ゴム組成物であってもよい。このゴム組成物は、例えば、層状にして、補強材層と積層することにより、コンベアベルトに用いることができる。そして、かかるコンベアベルトのエンドレス加工時において、上記のゴム組成物により接着した補強材同士を、又はゴム部材と補強材とを剥離した後に、エンドレス接着用ゴムなどを用いてこれらを再接着する際にも、強固に接着することができる。
<積層体>
本発明の積層体は、少なくとも本発明のゴム組成物からなる層(以下、「本ゴム組成物層」と称する場合がある。)と補強材層とを、積層し、接着させてなることを特徴とする。言い換えれば、本発明の積層体は、本ゴム組成物層と補強材層とが、積層及び接着されていることを特徴とする。なお、本発明の積層体は、複数の本ゴム組成物層と、1層又は複数の補強材層とを、それぞれ交互に積層し、接着させてなる積層体を包含するものとし、また、補強材層の両面に本ゴム組成物層を積層し、接着させたものを更に2つ以上積層してなる積層体をも包含するものとする。また、本発明の積層体は、本発明のゴム組成物からなる層に加え、本発明のゴム組成物からなる層以外のゴム層を含んでいてもよい。
(本ゴム組成物層)
本ゴム組成物層としては、上述した本発明のゴム組成物を、圧延ロールや、押出成形機等の装置によりシート状にしたものを用いることができる。
本ゴム組成物層の厚さとしては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができるが、成型中におけるゴム切れの抑制や、薄膜化の観点から、0.2mm以上2mm以下であることが好ましい。なお、複数の本ゴム組成物層を用いる場合、各本ゴム組成物層の厚さは、同一でも異なっていてもよい。
(補強材層)
補強材層は、自動車用タイヤ、コンベアベルト、ホース等のゴム製品の補強性を向上させる機能を有し得る。ここで、補強材層としては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができる。なお、本ゴム組成物層の接着の対象となる補強材層としては、特に、有機繊維からなる層(以下、「有機繊維層」と称する場合がある。)が好ましく、また、有機繊維の帆布の層がより好ましい。なお、本明細書において「帆布」とは、繊維と繊維とを織ってなる織物を指す。
有機繊維の材質としては、特に制限はされず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナイロン等の脂肪族ポリアミド、ケブラー等の芳香族ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリメチルメタクリレート等のポリエステル、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリスチレン、及びこれらの共重合体等からなる繊維などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、補強材層として有機繊維の帆布を用いる場合、当該帆布の縦糸と横糸とで材質が異なっていてもよい。
なお、補強材層は、未処理の有機繊維層であってもよいが、その表面の少なくとも一部、例えばその表面の全体に、レゾルシノール、ホルムアルデヒド、レゾルシノール及びホルムアルデヒドの縮合体、並びにラテックスを含む膜(以下、「RFL膜」と称することがある。)を備えるものであることが、本ゴム組成物層と補強材層との接着性向上の観点から好ましい。また、補強材の片面又は両面に未加硫のゴム組成物を配置させ、その状態で長時間放置した場合における、当該補強材と加硫後のゴム組成物との接着性の観点からも、好ましい。
RFL膜は、例えば、本ゴム組成物層との積層に先立って、有機繊維の少なくとも一部、例えばその全体を、レゾルシノール、ホルムアルデヒド、レゾルシノール及びホルムアルデヒドの一部縮合体、並びにラテックスを含む液(以下、「RFL分散液」と称することがある)に浸漬させ且つ熱処理することで、得ることができる。また、レゾルシノール及びホルムアルデヒドの一部縮合体は、レゾール化反応により得ることができる。RFL分散液に含まれるラテックスとしては、例えば、本ゴム組成物層と補強材層との接着性向上の観点から、ビニルピリジンラテックス、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(SBRラテックス)、天然ゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体系ラテックス、ブチルゴムラテックス、ニトリルゴムラテックス、クロロプレンラテックス等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、RFL分散液の調製の際は、必要に応じて酸・アルカリ等の反応触媒を併用してもよい。
なお、RFL分散液における、レゾルシノールと、ホルムアルデヒドと、レゾルシノール及びホルムアルデヒドの一部縮合体と、ラテックスとの質量比は、特に限定されない。
具体的に、RFL膜は、帆布などの有機繊維の一部又は全部を、上記RFL分散液に浸漬し、必要に応じて、ロール間を通す、或いはバキューム吸引するなどで余剰な付着液を除去し、次いで、1段階又は多段階の熱処理を施すことで、得ることができる。
ここで、熱処理における最終処理温度は、反応促進、および実使用時の熱収縮低減の為180℃以上が好ましく、特に200℃以上であることが好ましい。
(本ゴム組成物層以外のゴム層)
また、本発明の積層体は、所望のゴム製品の要求に応じ、少なくとも一方の最外層に、本ゴム組成物層以外のゴム層を備えていてもよい。例えば、本発明の積層体をコンベアベルトに用いる場合、当該積層体は、最外層に、カバーゴムとして機能し得るゴム層を備えていてもよい。ここで、カバーゴムとして機能し得るゴム層としては、特に制限はされず、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等、又はこれらの混合物からなるポリマー成分に対して、必要に応じて硫黄などの加硫剤、加硫促進剤、酸化亜鉛などの加硫促進助剤、軟化剤、老化防止剤、スコーチ防止材、加工助剤、潤滑剤、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、充填剤改質剤、粘着付与剤、着色剤などを、目的に応じて適宜混練したものを用いることができる。なお、カバーゴムとしては、上面カバーゴム及び下面カバーゴムが挙げられ、それぞれ同種のゴム部材を用いても良いし、異種のゴム部材を用いても良い。
また、本発明の積層体が最外層に本ゴム組成物層以外のゴム層を備える場合、かかるゴム層は、その内側で本ゴム組成物層と隣接していることが好ましい。
(積層体の調製)
本ゴム組成物層と補強材層と、任意で本ゴム組成物層以外のゴム層とを積層する方法としては、特に限定はされず、常法に従って積層することができる。
ここで、本ゴム組成物層と補強材層とを用い、従来から知られているカレンダー工程を使用して積層する場合、まずゴム組成物層−補強材層−ゴム組成物層からなる積層体Aを作製することができ、この積層体Aのままでも使用できるが、コンベアベルト等のゴム製品の必要特性に応じ、積層体Aを2個以上重ねた積層体Bとして使用することもできる(即ち、積層体Aを2個重ねた場合には、[ゴム組成物層−補強材層−ゴム組成物層−ゴム組成物層−補強材層−ゴム組成物層]の積層体Bが得られる)。そして、例えばコンベアベルトの製造においては、積層体A又は積層体Bの最外面に対し、上述したカバーゴムとして機能し得るゴム層を常法に従って積層することにより、本発明の積層体を調製することができる。なお、コンベアベルトの製造の際に用いられる上記積層体Bとしては、積層体Aを2〜8個重ねたものが挙げられる。
また、積層した本ゴム組成物層と補強材層、及び任意で本ゴム組成物層と本ゴム組成物層以外のゴム層を接着する方法としては、特に限定はされないが、例えば、積層した本ゴム組成物層、補強材層及び任意で本ゴム組成物層以外のゴム層を、所定のモールド内に配置し、加硫することにより接着する方法(いわゆる加硫接着)が挙げられる。
加硫の温度としては、特に限定はされず、目的に応じて適宜選択することができるが、本ゴム組成物層と補強材層とを十分に接着させつつ、過加硫を抑制する観点から、130〜170℃であることが好ましい。また、加硫時間としては、特に限定はされないが、本ゴム組成物層と補強材層とを十分に接着させるべく、積層体の中心部付近にも十分に熱が伝達され、加硫されるように適宜設定することが好ましい。
このようにして調製された積層体は、高温環境下に置かれたとしても、本ゴム組成物層と補強材層、及び任意で本ゴム組成物層と本ゴム組成物層以外のゴム層が強固に接着されているので、ゴム製品の一部材として用いられた場合にゴム製品の耐久性を長期的に高く維持することができ、高い耐久性が要求される自動車用タイヤ、コンベアベルト、ホース等のゴム製品の部材として、好適に用いることができる。
<コンベアベルト>
本発明のコンベアベルトは、上述した本発明の積層体を含むことを特徴とする。本発明のコンベアベルトは、本発明の積層体を用いる以外、特に制限はされない。
本発明のコンベアベルトは、上述の通り、本ゴム組成物層と補強材層、及び任意で本ゴム組成物層と本ゴム組成物層以外のゴム層が強固に接着されているため、高温環境下に置かれたとしても、長期的に高い耐久性を有する。また、本発明のコンベアベルトは、同様の理由で、高い補強性をも有する。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は下記の実施例になんら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
<ゴム組成物の調製>
バンバリーミキサーを用い、表1〜4に示す配合(単位:質量部)に、常法に従って選択された量の加工助剤、潤滑剤、硫黄、加硫促進剤、及び酸化亜鉛を加えて、未加硫のゴム組成物を調製した。
<補強材層の調製>
ポリエチレンテレフタレート製の縦糸(撚数:17T/10cm、打込み数:82本/5cm)と、ナイロン製の横糸(撚数:13T/10cm、打込み数:31本/5cm)とからなる帆布を準備した。一方で、レゾルシノール、ホルマリン、水、アルカリ系反応触媒を順次混合・撹拌し、レゾルシノールとホルムアルデヒドの縮合反応を一部進行させた後、SBRラテックス、ビニルピリジンラテックス、水を混合・撹拌して、RFL分散液を調製した。そして、上述の帆布の全体を、得られたRFL分散液中に浸漬させた。浸漬後の帆布に対し、最終処理温度が210℃〜240℃の範囲となるように乾燥及び熱処理を行い、表面にRFL膜を備える「未劣化の補強材層」を得た。なお、未劣化の補強材層中のRFL膜の形成にあたっては、RFL膜におけるSBRラテックス及びビニルピリジンラテックスの合計で表されるラテックス濃度が83重量%になるように、RFL分散液を調整した。
<積層体サンプルの調製>
まず、積層体サンプル用とは別に、上述の未加硫のゴム組成物を、8±1gの重量で塊状に切り出し、キュラストメータ(JSR株式会社製、「CURELASTOMETER7」)により、JIS K6300−2及びISO6502に準拠して、当該未加硫のゴム組成物の155℃における90%加硫時間(tc(90))を求めた。
次に、上述の未加硫のゴム組成物を用い、6インチ径の圧延ロールで、厚さ0.7mmのゴム組成物層を作製した。次いで、このゴム組成物層と上述の補強材層とを用い、[ゴム組成物層A−未劣化の補強材層−ゴム組成物層B−未劣化の補強材層−ゴム組成物層C−未劣化の補強材層−ゴム組成物層D]の7層構造の未加硫の積層体サンプルを調製した。この未加硫の積層体サンプルを、所定のモールド内で、148℃で、上述のようにして求めたtc(90)の1.5倍の時間だけ加硫し、室温下で一晩放置して、加硫済み積層体サンプルIを得た。
また、上記の加硫済み積層体サンプルIと同様のものを調製した後、70℃のオーブン
中に144時間放置し、加硫済み積層体サンプルIIを得た。
なお、上記のゴム組成物層A〜Dは、同種のゴム組成物から調製したものである。
これらの加硫済み積層体サンプルI,IIを用い、以下の手順により、ゴム組成物層と補強材層との接着性を評価した。
<ゴム組成物層と補強材層との剥離試験>
上述の加硫済み積層体サンプルI,IIをそれぞれ25mm幅で縦糸方向に切断した後、ゴム組成物層Bの部分にナイフで10〜20mmの切り込みを入れ、株式会社ティー・エス・イー製の「オートコム万能試験機AC−10kN」を用い、切り込み部から剥離する試験を行った。ここで、剥離角度は90°、剥離速度は50mm/分とし、この試験時における剥離強度(N/25mm)を測定した。このときの、加硫済み積層体サンプルIに係る剥離強度を「剥離強度I」とし、加硫済み積層体サンプルIIに係る剥離強度を「剥離強度III」とした。そして、剥離強度Iの値から、以下の基準に従って初期接着性の評価を行い、また、[{(剥離強度I)−(剥離強度II)}÷(剥離強度I)×100]の算出値(初期対比剥離強度変化率)から、以下の基準に従って接着耐久性の評価を行った。これらの結果を表1〜4に示す。
−初期接着性の評価−
剥離強度Iが100N/25mmより大きい・・・◎
剥離強度Iが100〜80N/25mm・・・○
剥離強度Iが80N/25mmより小さい・・・×
−接着耐久性の評価−
初期対比剥離強度変化率が25%より小さい・・・◎
初期対比剥離強度変化率が35〜25%・・・○
初期対比剥離強度変化率が35%より大きい・・・×
更に、この試験後における、補強材層上に残るゴム量(ゴム付き量)を、以下に示す方法で評価した。即ち、剥離後のゴム組成物層Bに隣接する2つの補強材層のうち、目視にてゴム付き量が少ないと判断された補強材層を選択し、そのゴム付き面のサンプル写真を撮影した。次いで、撮影したサンプル写真を用い、画像処理ソフトによりゴム分と補強材層分への2値化処理および面積計算を行い、60%より大きい面積でゴムが残っている場合を◎、60〜40%の面積でゴムが残っている場合を○、40%より小さい面積でゴムが残っている場合を×とした。これらの結果を表1〜4に示す。
参考のため、実施例3の加硫済み積層体サンプルIを用いた試験における剥離面の模式図を図1(a)に示し、実施例3の加硫済み積層体サンプルIIを用いた試験における剥離面の模式図を図1(b)に示す。同様に、比較例3の加硫済み積層体サンプルIを用いた試験における剥離面の模式図を図2(a)に示し、比較例3の加硫済み積層体サンプルIIを用いた試験における剥離面の模式図を図2(b)に示す。また同様に、比較例5の加硫済み積層体サンプルIを用いた試験における剥離面の模式図を図3(a)に示し、比較例5の加硫済み積層体サンプルIIを用いた試験における剥離面の模式図を図3(b)に示す。ここで、剥離面の色が濃いほど、より多くのゴム組成物が残留しており、ゴム組成物層−補強材層間での界面剥離が発生しておらず接着性が良好であることを示す。
*1 天然ゴム・・・グレード;RSS−4号
*2 スチレン−ブタジエンゴム・・・旭化成ケミカルズ株式会社製「タフデン2000R」
*3 炭酸カルシウム・・・日東粉化株式会社製「NS#100」、平均一次粒子径:約2μm
*4 カーボンブラック1・・・旭カーボン株式会社製「旭#15」、窒素吸着によるBET比表面積:12m2/g
*5 カーボンブラック2・・・東海カーボン株式会社製「シーストSP」、窒素吸着によるBET比表面積:23m2/g
*6 カーボンブラック3・・・東海カーボン株式会社製「シーストS」、窒素吸着によるBET比表面積:27m2/g
*7 カーボンブラック4・・・旭カーボン株式会社製「旭#60HN」、窒素吸着によるBET比表面積:48m2/g
*8 カーボンブラック5・・・旭カーボン株式会社社製「旭F−200」、窒素吸着によるBET比表面積:51m2/g
*9 カーボンブラック6・・・キャボットジャパン株式会社製「N550」、窒素吸着によるBET比表面積:53m2/g
*10 カーボンブラック7・・・東海カーボン株式会社製「シースト116HM」、窒素吸着によるBET比表面積:56m2/g
*11 カーボンブラック8・・・キャボットジャパン株式会社製「ショウブラックN330」、窒素吸着によるBET比表面積:78m2/g
*12 カーボンブラック9・・・東海カーボン株式会社製「シースト3」、窒素吸着によるBET比表面積:79m2/g
*13 カーボンブラック10・・・東海カーボン株式会社製「シースト3H」、窒素吸着によるBET比表面積:82m2/g
*14 カーボンブラック11・・・東海カーボン株式会社製「シースト300」、窒素吸着によるBET比表面積:84m2/g
*15 カーボンブラック12・・・東海カーボン株式会社製「シーストKH」、窒素吸着によるBET比表面積:93m2/g
*16 カーボンブラック13・・・東海カーボン株式会社製「シースト5H」、窒素吸着によるBET比表面積:99m2/g
*17 カーボンブラック14・・・東海カーボン株式会社製「シースト600」、窒素吸着によるBET比表面積:106m2/g
*18 湿式シリカ1・・・東ソー・シリカ株式会社製「Nipsil AQ」、窒素吸着によるBET比表面積:205m2/g、平均一次粒子径:16nm
*19 湿式シリカ2・・・東ソー・シリカ株式会社製「Nipsil SS−50F」、窒素吸着によるBET比表面積:82m2/g
*20 湿式シリカ3・・・東ソー・シリカ株式会社製「Nipsil SS−70」、窒素吸着によるBET比表面積:42m2/g
*21 湿式シリカ4・・・エボニックデグサ社製「ウルトラシルVN3」、窒素吸着によるBET比表面積:175m2/g
*22 湿式シリカ5・・・東ソー・シリカ株式会社製「Nipsil NA」、窒素吸着によるBET比表面積:135m2/g
*23 湿式シリカ6・・・東ソー・シリカ株式会社製「Nipsil ER」、窒素吸着によるBET比表面積:95m2/g
*24 乾式シリカ・・・日本アエロジル株式会社性「AEROSIL 130」、窒素吸着によるBET比表面積:130m2/g
表1〜4より、ジエン系ゴムを含むゴム成分と、湿式シリカと、カーボンブラックと、炭酸カルシウムとを配合してなり、湿式シリカの配合量が、ジエン系ゴム100質量部に対して3質量部以上であり、炭酸カルシウムの配合量が、ジエン系ゴム100質量部に対して10質量部以上120質量部以下であり、カーボンブラックの窒素吸着によるBET比表面積が、50m2/g超90m2/g以下である本発明のゴム組成物は、初期接着性の評価結果が非常に良好である上、接着耐久性の評価結果も非常に良好であった。また、上記本発明のゴム組成物は、製造後初期及び高温環境下に置かれた後のいずれにおいても、剥離試験後に補強材層上に残るゴム量が多かった。従って、本発明のゴム組成物は、補強材との接着性が高いだけでなく、高温環境下に置かれたとしても、補強材との高い接着性が長期的に維持されることがわかる。このことは、図1(a)及び図1(b)の両方において剥離面の色が濃いことからも、明らかである(一方、図2(b)及び図3(b)においては、剥離面の色が薄い)。
本発明によれば、補強材との接着性が高く、且つ、高温環境下に置かれたとしても、補強材との高い接着性を長期的に維持することができるゴム組成物を提供することができる。また、本発明によれば、ゴム製品の耐久性を長期的に高く維持することができる、上述したゴム組成物を用いた積層体、及び、長期的に高い耐久性を有する、上述した積層体を用いたコンベアベルトを提供することができる。

Claims (9)

  1. ジエン系ゴムを含むゴム成分と、湿式シリカと、カーボンブラックと、炭酸カルシウムとを配合してなるゴム組成物であって、
    前記湿式シリカの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して3質量部以上であり、
    前記炭酸カルシウムの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して10質量部以上120質量部以下であり、
    前記カーボンブラックの窒素吸着によるBET比表面積が、50m2/g超90m2/g以下であることを特徴とする、ゴム組成物。
  2. 前記湿式シリカの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して4質量部以上9質量部以下である、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記ゴム成分が、天然ゴム及びスチレン−ブタジエンゴムを含む、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
  4. 前記天然ゴム及びスチレン−ブタジエンゴムの総配合量に対する前記天然ゴムの配合量の割合が、20質量%以上60質量%以下である、請求項3に記載のゴム組成物。
  5. 前記湿式シリカの窒素吸着によるBET比表面積が、80m2/g以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. 前記湿式シリカの窒素吸着によるBET比表面積が、200m2/g超である、請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
  7. ゴム部材と補強材との間、又は、補強材同士の間に介在させ、これらを接着するために用いられる、請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなる層と補強材層とが、積層及び接着されていることを特徴とする、積層体。
  9. 請求項8に記載の積層体を含むことを特徴とする、コンベアベルト。
JP2016041847A 2016-03-04 2016-03-04 ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト Pending JP2017155174A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016041847A JP2017155174A (ja) 2016-03-04 2016-03-04 ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016041847A JP2017155174A (ja) 2016-03-04 2016-03-04 ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017155174A true JP2017155174A (ja) 2017-09-07

Family

ID=59808133

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016041847A Pending JP2017155174A (ja) 2016-03-04 2016-03-04 ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017155174A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023054341A1 (ja) * 2021-09-30 2023-04-06 住友理工株式会社 防振ゴム組成物および防振ゴム部材

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023054341A1 (ja) * 2021-09-30 2023-04-06 住友理工株式会社 防振ゴム組成物および防振ゴム部材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2016208100A1 (ja) ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト
WO2017150643A1 (ja) ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト
JP6620040B2 (ja) ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト
JP2017008207A (ja) ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト
JP6628799B2 (ja) ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト
JP6628798B2 (ja) ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト
JP2017155174A (ja) ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト
JP2017155177A (ja) ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト
JP6828006B2 (ja) ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト
JP6725965B2 (ja) ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト
JP6710207B2 (ja) ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト
JP6703902B2 (ja) ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト
JP6758027B2 (ja) ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト
JP2017222755A (ja) ゴム組成物、積層体、及びコンベアベルト