JP2017155152A - ハードコート剤及び積層フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、端末の更なる薄型・軽量化が要求されており、近年においては、ガラス基板の代替材料として、ハードコート層を備えるハードコートフィルムが使用されるようになってきている。
このようなハードコートフィルムには、ガラス基板を用いた際に満たしていた耐熱性の基準が要求される。また、ITOのような透明導電材料がドライプロセスによってハードコートフィルム上に積層される場合には、プロセス中にハードコートフィルムが加熱され高温に曝されることがあり、より優れた耐熱性が要求される。
また、この文献には、得られるハードコート層の耐擦傷性及び耐候性の評価試験結果も記載されている。
しかしながら、この文献には、得られるハードコート層の鉛筆硬度及び耐熱性に関する評価については記載されていない。また、耐擦傷性の評価に関しては、スチールウール(#0000)にて擦るだけの試験の評価結果しか記載されていない。
しかしながら、この文献に記載されたハードコート剤組成物から得られるハードコート層であっても、耐熱性及び耐擦傷性が不十分な場合があった。
(A)成分:下記式(1)で表される繰り返し単位、及び下記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサン化合物であって、式(1)で表される繰り返し単位の含有割合が、全繰り返し単位中、10モル%以上90モル%以下であり、式(2)で表される繰り返し単位の含有割合が、全繰り返し単位中、10モル%以上90モル%以下であるポリシルセスキオキサン化合物
(B)成分:反応性官能基を有する無機フィラー
〔2〕前記(B)成分の含有量が、(A)成分に対して、10質量%〜70質量%である、〔1〕に記載のハードコート剤。
〔3〕基材層とハードコート層を有する積層フィルムであって、
前記ハードコート層が、〔1〕又は〔2〕に記載のハードコート剤を用いて形成されたものである積層フィルム。
本発明の第1は、前記(A)成分及び(B)成分を含有するハードコート剤である。
〔(A)成分〕
本発明のハードコート剤を構成する(A)成分は、下記式(1)で表される繰り返し単位、及び下記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリシルセスキオキサン化合物(以下、「ポリシルセスキオキサン化合物(A)」ということがある。)であって、式(1)で表される繰り返し単位の含有割合が、全繰り返し単位中、10モル%以上90モル%以下であり、式(2)で表される繰り返し単位の含有割合が、全繰り返し単位中、10モル%以上90モル%以下である化合物である。
式(1)中、R1の反応性官能基は、後述する(B)成分の無機フィラーが有する反応性官能基と反応して化学結合を形成し得る基である。
R1の反応性官能基としては、活性エネルギー線が照射されることにより反応する光反応性官能基、加熱されることにより反応する熱反応性官能基が挙げられ、光反応性官能基が好ましい。
反応性官能基の具体例としては、ビニル基、アリル基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等の炭素−炭素不飽和結合を有する基;エポキシ基、グリシジル基、グリシジルオキシ基等のエポキシ基を有する基;イソシアネート基;メルカプト基;等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリロイルとは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
これらの中でも、炭素−炭素不飽和結合を有する基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
Aの2価の有機基としては、下記式(3)で表されるアルキレン基、下記式(4)で表されるアリーレン基、オキシ基(−O−)、イミノ基(−NH−)、カルボニル基(>C=O)、スルホニル基(−SO2−)、アミド基(−NH−C(=O)−、−C(=O)−NH−)、又は、エステル基(−C(=O)−O−、−O−C(=O)−)、及び、これらの基の組み合わせ等が挙げられる。
前記式(4)で表されるアリーレン基の具体例としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基等が挙げられる。
前記式(4)で表されるアリーレン基は任意の位置に置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;等が挙げられる。
R5、R6は、それぞれ独立して、前記R3、R4と同様の、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
Ar’は、前記Arと同様の、アリーレン基を表す。
また、Ar’で表される基は任意の位置に置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基:等が挙げられる。
c〜lは、それぞれ独立して、1〜10の整数を表す。
Eは、オキシ基(−O−)、イミノ基(−NH−)、カルボニル基(>C=O)、スルホニル基(−SO2−)、アミド基(−NH−C(=O)−、−C(=O)−NH−)、又は、エステル基(−C(=O)−O−、−O−C(=O)−)を表す。
c〜lがそれぞれ2以上のとき、式:−C(R3)(R4)−で表される繰り返し単位同士、式:−C(R5)(R6)−で表される繰り返し単位同士、式:−Ar−で表される繰り返し単位同士、式:−Ar’−で表される繰り返し単位同士は、それぞれ互いに同一であっても、相異なっていてもよい。
これらの中でも、本発明においては、前記式(3)で表されるアルキレン基、式(4)で表されるアリーレン基が好ましく、前記式(3)で表されるアルキレン基がより好ましい。
式(2)中、R2はアリール基を表す。アリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。
また、R2のアリール基は、任意の位置に置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;等が挙げられる。
ポリシルセスキオキサン化合物(A)中の、前記式(1)、(2)で表される繰り返し単位の含有割合は、例えば、ポリシルセスキオキサン化合物(A)の1H−NMRおよび29Si−NMRを測定することにより求めることができる。
また、ポリシルセスキオキサン化合物(A)の構造は、ラダー型構造、ダブルデッカー型構造、籠型構造、部分開裂籠型構造、環状型構造、ランダム型構造のいずれの構造であってもよいが、ラダー型構造のものが好ましい。
質量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値として求めることができる。
ポリシルセスキオキサン化合物(A)の製造方法は特に限定されない。例えば、下記式(1−1)
R7、R8の炭素数2〜10のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
X1、X2のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリアセトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリブロモシラン、アリルトリアセトキシシラン等のアリル基含有シラン化合物;
γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリクロロシラン、γ−アクリロキシプロピルトリブロモシラン、γ―アクリロキシプロピルトリアセトキシシラン等のγ−アクリロキシアルキル基含有シラン化合物;
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリブロモシラン、γ−メタクリロキシトリアセトキシシラン等のγ−メタクリロキシアルキル基含有シラン化合物;
α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリクロロシラン、α−グリシドキシエチルトリブロモシラン、α−グリシドキシトリアセトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリクロロシラン、β−グリシドキシエチルトリブロモシラン、β−グリシドキシトリアセトキシシラン等のエポキシ基含有シラン化合物;等が挙げられる。
これらの中でも、シラン化合物(1−1)としては、ビニル基含有シラン化合物が好ましい。
シラン化合物(1−1)は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
フェニルトリアセトキシシラン、4−メチルフェニルトリアセトキシシラン、3−クロロフェニルトリアセトキシシラン、3,5−ジメトキシトリアセトキシシラン、1−ナフチルトリアセトキシシラン、2−ナフチルトリアセトキシシラン等のアリールトリアシルオキシシラン化合物類;
フェニルクロロジメトキシシラン、フェニルクロロジエトキシシラン、フェニルジクロロメトキシシラン、フェニルブロモジメトキシシラン、4−メチルフェニルクロロジメトキシシラン、4−メチルフェニルクロロジエトキシシラン、1−ナフチルジクロロメトキシシラン、2−ナフチルブロモジメトキシシラン等のアリールハロゲノアルコキシシラン化合物類;
フェニルトリクロロシラン、フェニルトリブロモシラン、4−メチルフェニルトリクロロシラン、4−メチルフェニルトリブロモシラン、1−ナフチルトリクロロシラン、2−ナフチルトリブロモシラン等のアリールトリハロゲノシラン化合物類;等が挙げられる。
これらの中でも、シラン化合物(2−1)としては、耐熱性及び耐擦傷性により優れる硬化物を与えるハードコート剤が得られることから、アリールトリアルコキシシラン化合物類が好ましい。
シラン化合物(2−1)は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
より具体的には、(a)前記シラン化合物の混合物に所定量の酸触媒を添加し、所定温度で撹拌する方法、(b)前記シラン化合物の混合物に、所定量の塩基触媒を添加し、所定温度で撹拌する方法、(c)前記シラン化合物の混合物に、所定量の酸触媒を添加し、所定温度で撹拌した後、過剰量の塩基触媒を添加して、反応系を塩基性とし、所定温度で撹拌する方法、(d)溶媒中、又は無溶媒で、シラン化合物(1−1)に、所定量の重縮合触媒を添加し、所定温度で撹拌した後、シラン化合物(2−1)の所定量を添加して、全容を所定温度で攪拌する方法、(e)溶媒中、又は無溶媒で、シラン化合物(2−1)に、所定量の重縮合触媒を添加し、所定温度で撹拌した後、シラン化合物(1−1)の所定量を添加して、全容を所定温度で攪拌する方法;が挙げられる。
これらの中でも、効率よく目的とするポリシルセスキオキサン化合物(A)を得ることができることから、(a)又は(c)の方法が好ましい。
酸触媒としては、リン酸、塩酸、ホウ酸、硫酸、硝酸等の無機酸;クエン酸、酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸;等が挙げられる。これらの中でも、リン酸、塩酸、ホウ酸、硫酸、クエン酸、酢酸、及びメタンスルホン酸から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
本発明のハードコート剤は、(B)成分として、反応性官能基を有する無機フィラー(以下、この(B)成分を「無機フィラー(B)」ということがある。)を含有する。
(B)成分を含有するハードコート剤は、塗布工程における作業性に優れる。
無機フィラー(B)を構成する無機成分(修飾処理前の無機フィラーの構成成分)としては、金属酸化物、金属水酸化物、金属塩等が挙げられる。
金属水酸化物としては、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
金属塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の金属硫酸塩;珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム等の金属珪酸塩;等が挙げられる。
これらの中でも、無機フィラー(B)を構成する無機成分としては、金属酸化物が好ましく、シリカがより好ましい。
無機フィラー(B)の平均粒径が上記範囲内にあることで、透明性に優れ、かつ、耐擦傷性に優れるハードコート層を効率よく形成することができる。
無機フィラー(B)の平均粒径は、BET法により得られた比表面積を利用して算出することができる。
また、本発明においては、無機フィラー(B)として、市販品をそのまま用いることもできる。
特に、無機フィラー(B)の含有量が、(A)成分に対して10〜70質量%のハードコート剤を使用すると、硬度が高いハードコート層を形成し易くなる。
また、無機フィラー(B)の含有量が、(A)成分に対して10〜70質量%のハードコート剤を使用すると、耐擦傷性に優れるハードコート層を形成し易くなる。
溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、メチルイソブチルケトン、イソホロン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒等が挙げられる。
溶媒は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリ−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル等が挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の積層フィルムは、基材層とハードコート層を有する積層フィルムであって、前記ハードコート層が、本発明のハードコート剤を用いて形成されたものであることを特徴とする。
基材層の種類は特に限定されない。例えば、合成樹脂フィルムを基材層として利用することができる。
合成樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリスチレン、三酢酸セルロース、セロファン、ポリカーボネート等のフィルムが挙げられる。
基材層の厚みは、通常、10〜500μm、好ましくは20〜200μmである。
ハードコート層の厚みは、通常、0.1〜50μm、好ましくは0.5〜20μmである。
紫外線照射は、高圧水銀ランプ、フュージョンHランプ、キセノンランプ等によって行うことができる。紫外線の照射量は、照度50〜1000mW/cm2、光量50〜1000mJ/cm2程度が好ましい。一方、電子線照射は、電子線加速器等によって行うことができる。電子線の照射量は、10〜1000krad程度が好ましい。
乾燥処理条件は特に限定されない。乾燥温度は、例えば、40〜150℃、好ましくは60〜140℃であり、乾燥時間は、例えば、30秒から1時間、好ましくは1〜30分である。
本発明のハードコート剤から得られるハードコート層の5%重量減少温度は、通常350℃以上、好ましくは360℃以上、より好ましくは370℃以上である。
本発明の積層フィルムのハードコート層が、耐擦傷性に優れることは、例えば、スチールウール#0000を用いて、本発明の積層フィルムのハードコート層の表面を、250g/cm2荷重で、50mm、10往復擦った後においても、その表面に全く傷がないことで確認することができる。
本発明の積層フィルムを構成するハードコート層は、実施例に記載の方法に従って鉛筆硬度試験を行うと、通常、F以上の硬度を示し、H以上が好ましい。
本発明の積層フィルムを構成するハードコート層は、実施例に記載の方法に従って耐擦傷性を評価した場合、通常は傷が観察されない。
本発明の積層フィルムの全光線透過率は、通常89%以上、好ましくは90%以上である。
本発明の積層フィルムのヘイズは、通常0.75以下、好ましくは0.72以下である。
また、本発明の積層フィルムのb*は、通常0.3以下、好ましくは0.25以下である。
各例中の部及び%は、特に断りのない限り、質量基準である。
500mlのナス型フラスコに、炭酸カリウム0.12g(0.86mmol)、精製水14.4g、及びテトラヒドロフラン24.0gを加え、全容を室温(25℃、以下にて同じ)で、5分間撹拌した。そこへ、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製 製品名:KBM−503)29.86g(120mmol)、及びフェニルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、製品名:KBM−103)23.78g(120mmol)を、滴下ロートを用いて滴下した。滴下終了後さらに室温で、96時間撹拌した。反応終了後、反応液に酢酸エチルを加えて分液し、酢酸エチル層を分取した。有機層をpH=7になるまで精製水にて洗浄を繰り返し、有機層を無水硫酸マグネチウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾別後、濾液をエバポレーターで濃縮した。得られた濃縮物を大量のメタノール中へ加え、目的物を再沈殿させた。得られた沈殿物を真空乾燥することにより、ラダー型シラン化合物重合体(1)を24.0g得た。
質量平均分子量は、31,600、分子量分布(PDI)は1.87であった。
得られたラダー型シラン化合物重合体(1)のIRスペクトル図を図1、29Si−NMRスペクトル図を図2、1H−NMRスペクトル図を図3にそれぞれ示す。図1中、横軸はcm−1、縦軸は透過率(MT%)を示し、図2、3中、横軸はケミカルシフト(ppm)、縦軸はピーク強度を示す。
ラダー型シラン化合物重合体(1)のメチルエチルケトン希釈液(濃度50質量%)100質量部、アクリロイルオキシ基修飾シリカナノフィラー[日産化学工業社製、「AC−4130Y」、濃度30質量%、平均粒径40〜50nm]30質量部、光重合開始剤[BASF社製、「IRGACURE184」、濃度100質量%]2.5質量部の混合液をメチルエチルケトンで希釈して、濃度40質量%のハードコート塗工液1を調製した。
アクリロイルオキシ基修飾シリカナノフィラー[日産化学工業社製、「AC−4130Y」、濃度30質量%、平均粒径40〜50nm]の添加量を、50質量部、70質量部、100質量部とした以外は、[製造例2]と同様にして、ハードコート塗工液2〜4を調製した。
ラダー型シラン化合物重合体(1)のメチルエチルケトン希釈液(濃度50質量%)100質量部、光重合開始剤[BASF社製、「IRGACURE184」、濃度100質量%]5質量部の混合液をメチルエチルケトンで希釈して、濃度40質量%のハードコート塗工液5を調製した。
片面易接着層付PETフィルム[東洋紡績社製、「PET50A4100」、膜厚 50μm]に、硬化後の膜厚が5μmとなるように、マイヤーバー#10を用いてハードコート塗工液1を塗布し、100℃で1分間乾燥させて、ハードコート塗工液1の塗膜を形成した。
次いで、前記塗膜に紫外線照射を照射(光量:500mJ/cm2)して、硬化させてハードコート層1を形成し、実施例1のハードコートフィルム1を得た。
また、剥離層付PETフィルム[リンテック社製、「PET381130」、膜厚38μm]に、塗工液1を用いて同様にハードコート層を形成した後に、剥離層付PETフィルムを剥離除去することで、硬化層を回収した。このものを耐熱性評価サンプル1とした。
実施例1において、ハードコート塗工液1に変えて、ハードコート塗工液2〜4を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜4のハードコートフィルム2〜4を得た。
また、剥離層付PETフィルム[リンテック社製、「PET381130」、膜厚38μm]に、塗工液2〜4を用いて同様にハードコート層を形成した後に、剥離層付PETフィルムを剥離除去することで、硬化層を回収した。このものを耐熱性評価サンプル2〜4とした。
実施例1において、ハードコート塗工液1に変えて、ハードコート塗工液5を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1のハードコートフィルム5を得た。
また、剥離層付PETフィルム[リンテック社製、「PET381130」、膜厚38μm]に、塗工液5を用いて同様にハードコート層を形成した後に、剥離層付PETフィルムを剥離除去することで、硬化層を回収した。このものを耐熱性評価サンプル5とした。
実施例1において、有機修飾シリカ微粒子を、多官能アクリレートの混合物[大成ファインケミカル社製、「アクリット8RX−012」、濃度40質量%]100質量部に変え、光重合開始剤[BASF社製、「IRGACURE184」、濃度100質量%]5質量部の混合液を用いた以外は、実施例1と同様にして、ハードコート塗工液6を調製した。得られたハードコート塗工液6を用いて、実施例1と同様にして、比較例2のハードコートフィルム6を得た。
また、剥離層付PETフィルム[リンテック社製、「PET381130」、膜厚38μm]に、ハードコート塗工液6を用いて同様にハードコート層を形成した後に、剥離層付PETフィルムを剥離除去することで、硬化層を回収した。このものを耐熱性評価サンプル6とした。
実施例1において、側鎖に籠型シラン化合物を有するアクリレート樹脂液[JNC社製、「HC−6114−001」、濃度40質量%、光重合開始剤入り](ハードコート塗工液7)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例3のハードコートフィルム7を得た。
また、剥離層付PETフィルム[リンテック社製、「PET381130」、膜厚38μm]に、ハードコート塗工液7を用いて同様にハードコート層を形成した後に、剥離層付PETフィルムを剥離除去することで、硬化層を回収した。このものを耐熱性評価サンプル7とした。
実施例1において、有機修飾シリカ微粒子と多官能アクリレートの混合物[JSR社製、「オプスターZ7530」、濃度73質量%、光重合開始剤入り]をプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈して、濃度40質量%に調整した溶液(ハードコート塗工液8)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例4のハードコートフィルム8を得た。
また、剥離層付PETフィルム[リンテック社製、「PET381130」、膜厚38μm]に、塗工液8を用いて同様にハードコート層を形成した後に、剥離層付PETフィルムを剥離除去することで、硬化層を回収した。このものを耐熱性評価サンプル8とした。
実施例1において、紫外線硬化性基を有するポリシルセスキオキサン[東亜合成社製、「MAC−SQ TM100」、濃度100質量%]、光重合開始剤[BASF社製、「IRGACURE184」、濃度100質量%]5質量部をメチルエチルケトンで希釈して、濃度40質量%に調整した溶液(ハードコート塗工液9)をマイヤーバー#10を用いて塗布し、100℃、1分間乾燥させた後、得られた塗膜に紫外線照射を照射(光量:1700mJ/cm2)した以外は、実施例1と同様にして、比較例6のハードコートフィルム9を得た。
また、剥離層付PETフィルム[リンテック社製、「PET381130」、膜厚38μm]に、塗工液9を用いて同様にハードコート層を形成した後に、剥離層付PETフィルムを剥離除去することで、硬化層を回収した。このものを耐熱性評価サンプル9とした。
(1)ハードコート層の膜厚の測定:JIS K 7130に準じて、厚み計[ニコン社製、「MH−15」により測定した。
(2)全光線透過率及びヘイズの測定:JIS K 7361−1(1997)に準じて、ヘイズメーター[日本電色社製、「N−DH−2000」を用いて測定した。
(3)鉛筆硬度の測定:JIS K5600−5−4に準じて、鉛筆引っかき硬度試験機[安田精機製作所社製「No.553−M」]を用いて測定した。
測定条件は、荷重750g、引っかき速度は0.5mm/秒とした
(4)耐擦傷性評価試験:スチールウール#0000を用いて、ハードコート層の表面を、250g/cm2荷重で、50mm、10往復擦り、その後目視で傷の有無を確認した。その結果、傷がない場合を「○」、傷がある場合を「×」として評価した。
(5)b*の測定:CIE1976L*a*b*表色系により規定される色彩値b*を、
JIS Z 8729−1994に準拠し、分光光度計(島津製作所社製、MPC3100)を用いて測定した。
(6)耐熱性評価:熱重量分析計(TGA)を用いて、窒素雰囲気下における5%重量減少温度を測定した。
表1中、Td1(℃)は、1%重量減少した際の温度を示し、Td5(℃)は5%重量減少した際の温度を示す。
一方、ポリシルセスキオキサン化合物(A)のみ含有し、無機フィラー(B)を含有しないハードコート剤から得られるハードコート層を有するハードコートフィルムは、光学特性と鉛筆硬度には優れるものの、耐熱性及び耐擦傷性に劣っている。
ポリシルセスキオキサン化合物(A)以外のケイ素系高分子または有機高分子と無機フィラー(B)を含有するハードコート剤から得られるハードコート層を有するハードコートフィルムは、光学特性には優れるものの、鉛筆硬度、耐熱性及び耐擦傷性のいずれか、または全て劣っている。
Claims (3)
- 前記(B)成分の含有量が、(A)成分に対して、10質量%〜70質量%である、請求項1に記載のハードコート剤。
- 基材層とハードコート層を有する積層フィルムであって、
前記ハードコート層が、請求項1又は2に記載のハードコート剤を用いて形成されたものである積層フィルム。
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