JP2017152567A - 太陽電池封止材および太陽電池モジュール - Google Patents

太陽電池封止材および太陽電池モジュール Download PDF

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貴信 室伏
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Abstract

【課題】架橋特性に優れるとともに、架橋する際の気泡発生が抑制された太陽電池封止材を提供すること。【解決手段】本発明の太陽電池封止材は、太陽電池素子を封止するために用いられる太陽電池封止材であって、エチレン・α−オレフィン共重合体と、架橋剤であるt−アミルパーオキシベンゾエートと、ジビニル芳香族化合物、シアヌレート化合物、ジアリル化合物、アクリレート化合物、トリアリル化合物、オキシム化合物およびマレイミド化合物からなる群より選択される一種または二種以上の架橋助剤と、を含み、当該太陽電池封止材中の前記t−アミルパーオキシベンゾエートの含有量が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部以下であり、当該太陽電池封止材中の前記架橋助剤の含有量が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上3.0質量部以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池封止材および太陽電池モジュールに関する。
近年、クリーンなエネルギーとして太陽光発電が脚光を浴び、太陽光発電用の太陽電池モジュールの開発が進められている。太陽電池モジュールは、一般に、保護ガラス(表面側透明保護部材)、受光面側太陽電池封止材、太陽電池素子、裏面側太陽電池封止材、バックシート(裏面側保護部材)という構成になっている。太陽電池モジュールの製造の際、上記各層を積層した状態で太陽電池封止材を加熱することによって太陽電池封止材中の樹脂が溶融して太陽電池素子を封止し、さらには保護ガラスやバックシートと接着する。
太陽電池封止材としては、従来からエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)シートが、透明性、柔軟性、加工性、および耐久性等に優れていることから広く用いられてきた。例えば、特許文献1(特開2010−53298号公報)には、架橋剤およびトリメリット酸エステルを含むEVA組成物からなる、接着性と製膜性の双方に優れた封止膜が開示されている。
特開2010−53298号公報
メガソーラの普及に伴い、伝送損失を下げる等の目的で、システム電圧の高電圧化が進んでいる。高電圧が維持された状態で用いられる太陽電池モジュールの中には、出力が大きく低下して特性が劣化してしまうPID(Potential Induced Degradationの略)現象が発生する場合がある。
ここで、本発明者らの検討によれば、エチレン・α−オレフィン共重合体を含む太陽電池封止材を用いることで、従来封止材として用いられているEVAを含む太陽電池封止材に比べてPID現象が抑制されることを明らかにした。
しかし、本発明者らの検討によれば、エチレン・α−オレフィン共重合体はEVAに比べて架橋特性が劣るため太陽電池モジュールを作製する際に、ラミネート温度が高く、またラミネート時間も長くなる傾向にあり、熱による他の部材への影響や、製造コストアップの問題があることが明らかになった。
また、架橋剤量を増やせば架橋速度は上げることができるが、架橋剤分解物由来のガス発生量が増えるために、太陽電池モジュール作製時に気泡が発生しやすくなってしまうという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、架橋特性に優れるとともに、架橋する際の気泡発生が抑制された太陽電池封止材を提供するものである。
本発明者らは、架橋特性に優れるとともに、架橋する際の気泡発生が抑制された太陽電池封止材を提供するために鋭意検討した。その結果、架橋剤として、t−アミルパーオキシベンゾエートを選択することにより、気泡の発生を抑えつつ架橋特性を向上できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明によれば、以下に示す太陽電池封止材および太陽電池モジュールが提供される。
[1]
太陽電池素子を封止するために用いられる太陽電池封止材であって、
エチレン・α−オレフィン共重合体と、
架橋剤であるt−アミルパーオキシベンゾエートと、
ジビニル芳香族化合物、シアヌレート化合物、ジアリル化合物、アクリレート化合物、トリアリル化合物、オキシム化合物およびマレイミド化合物からなる群より選択される一種または二種以上の架橋助剤と、
を含み、
当該太陽電池封止材中の前記t−アミルパーオキシベンゾエートの含有量が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部以下であり、
当該太陽電池封止材中の前記架橋助剤の含有量が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上3.0質量部以下である太陽電池封止材。
[2]
上記エチレン・α−オレフィン共重合体が、以下の要件a1)〜a4)のうち少なくとも1つを満たす、上記[1]に記載の太陽電池封止材。
a1)エチレンに由来する構成単位の含有割合が80〜90mol%であり、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が10〜20mol%である。
a2)ASTM D1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが0.1〜50g/10分である。
a3)ASTM D1505に準拠して測定される密度が0.865〜0.884g/cmである。
a4)ASTM D2240に準拠して測定されるショアA硬度が60〜85である。
[3]
シランカップリング剤をさらに含み、
当該太陽電池封止材中の上記シランカップリング剤の含有量が、上記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下である、上記[1]または[2]に記載の太陽電池封止材。
[4]
紫外線吸収剤、光安定剤、および耐熱安定剤からなる群より選択される少なくとも一種の添加剤をさらに含み、
当該太陽電池封止材中の上記添加剤の含有量が、上記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.005質量部以上5質量部以下である、上記[1]乃至[3]いずれか一つに記載の太陽電池封止材。
[5]
シート状である、上記[1]乃至[4]いずれか一つに記載の太陽電池封止材。
[6]
表面側透明保護部材と、
裏面側保護部材と、
太陽電池素子と、
上記[1]乃至[5]いずれか一つに記載の太陽電池封止材の架橋物により構成され、かつ、上記太陽電池素子を上記表面側透明保護部材と上記裏面側保護部材との間に封止する封止層と、
を備える太陽電池モジュール。
本発明によれば、架橋特性に優れるとともに、架橋する際の気泡発生が抑制された太陽電池封止材を実現できる。
本発明の太陽電池モジュールの代表的な実施形態を模式的に示した断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、数値範囲の「A〜B」は特に断りがなければ、A以上B以下を表す。
1.太陽電池封止材について
本実施形態に係る太陽電池封止材は太陽電池素子を封止するために用いられる太陽電池封止材であって、エチレン・α−オレフィン共重合体と、架橋剤であるt−アミルパーオキシベンゾエートと、ジビニル芳香族化合物、シアヌレート化合物、ジアリル化合物、アクリレート化合物、トリアリル化合物、オキシム化合物およびマレイミド化合物からなる群より選択される一種または二種以上の架橋助剤と、を含む。
そして、当該太陽電池封止材中の上記t−アミルパーオキシベンゾエートの含有量が、上記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部以下であり、当該太陽電池封止材中の上記架橋助剤の含有量が、上記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上3.0質量部以下である。
本発明者らは、架橋特性に優れるとともに、架橋する際の気泡発生が抑制された太陽電池封止材を提供するために鋭意検討した。その結果、架橋剤として、t−アミルパーオキシベンゾエートを選択することにより、気泡の発生を抑えつつ架橋特性を向上できることを見出した。
すなわち、本実施形態に係る太陽電池封止材は架橋特性に優れるとともに、架橋する際の気泡の発生を抑制することができる。
また、本実施形態に係る太陽電池封止材中の上記t−アミルパーオキシベンゾエートと上記架橋助剤との含有量の合計が、エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、好ましくは0.2質量部以上3.5質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上2.5質量部以下、さらに好ましくは0.8質量部以上2.0質量部以下である。
また、本実施形態に係る太陽電池封止材中の上記t−アミルパーオキシベンゾエートの含有量に対する上記架橋助剤の含有量の質量比が、好ましくは0.1以上10.0以下であり、より好ましくは0.3以上7.5以下、さらに好ましくは0.5以上5.0以下である。
以下、本実施形態の太陽電池封止材を構成する各成分について説明する。
<エチレン・α−オレフィン共重合体>
本実施形態に係る太陽電池封止材はエチレン・α−オレフィン共重合体を含む。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合することによって得られる。α−オレフィンとしては、通常、炭素数3〜20のα−オレフィンを1種類単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、直鎖状または分岐状のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3,3−ジメチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等を挙げることができる。これらの中でも好ましいのは、炭素数が10以下であるα−オレフィンであり、特に好ましいのは炭素数が3〜8のα−オレフィンである。入手の容易さからプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンおよび1−オクテンが好ましい。なお、エチレン・α−オレフィン共重合体はランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよいが、柔軟性の観点からランダム共重合体が好ましい。
さらに、上記エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと、炭素数3〜20のα−オレフィンと非共役ポリエンとを含む共重合体であってもよい。α−オレフィンは前述と同様であって、非共役ポリエンとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)、ジシクロペンタジエン(DCPD)等が挙げられる。これら非共役ポリエンを1種単独、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、メトキシスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルベンジルアセテート、ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、3−フェニルプロピレン、4−フェニルプロピレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン等の炭素数が3〜20の環状オレフィン類等を併用してもよい。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体は、以下の要件a1)からa4)のうち少なくとも1つを満たすことが好ましい。
(要件a1)
エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる、エチレンに由来する構成単位の含有割合は、好ましくは80〜90mol%であり、より好ましくは80〜88mol%、さらに好ましくは82〜88mol%、特に好ましくは82〜87mol%である。エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれる、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位(以下、「α−オレフィン単位」とも記す)の含有割合は、好ましくは10〜20mol%であり、より好ましくは12〜20mol%、さらに好ましくは12〜18mol%、特に好ましくは13〜18mol%である。
エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれるα−オレフィン単位の含有割合が上記下限値以上であると、高い透明性が得られる。また、低温での押出成形を容易に行うことができ、例えば130℃以下での押出成形が可能である。このため、エチレン・α−オレフィン共重合体に有機過酸化物を練り込む場合においても、押出機内での架橋反応が進行することが抑制でき、太陽電池封止材のシートにゲル状の異物が発生して、シートの外観が悪化するのを防ぐことができる。また、適度な柔軟性が得られるため、太陽電池モジュールのラミネート成形時に太陽電池素子の割れや、薄膜電極のカケなどの発生を防ぐことができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体に含まれるα−オレフィン単位の含有割合が上記上限値以下であると、エチレン・α−オレフィン共重合体の結晶化速度が適度になるため、押出機より押し出されたシートがベタつかず、冷却ロールでの剥離が容易であり、シート状の太陽電池封止材のシートを効率的に得ることができる。また、シートにベタツキが発生しないのでブロッキングを防止でき、シートの繰り出し性が良好にある。また、耐熱性の低下を防ぐこともできる。
(要件a2)
ASTM D1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるエチレン・α−オレフィン共重合体のメルトフローレ−ト(MFR)は、通常0.1g/10分以上50g/10分以下であり、好ましくは1g/10分以上40g/10分以下であり、より好ましくは2g/10分以上30g/10分以下であり、さらに好ましくは5g/10分以上10g/10分以下である。
エチレン・α−オレフィン共重合体のMFRは、重合反応の際の重合温度、重合圧力、並びに重合系内のエチレンおよびα−オレフィンのモノマー濃度と水素濃度のモル比率などを調整することにより、調整することができる。
MFRが0.1g/10分以上10g/10分未満であると、カレンダ成形によって好適にシートを製造することができる。MFRが0.1g/10分以上10g/10分未満であると、エチレン・α−オレフィン共重合体を含む樹脂組成物の流動性が低いため、シートと電池素子をラミネートする際にはみ出した溶融樹脂によるラミネート装置の汚れを防止できる点で好ましい。
さらに、MFRが2g/10分以上、好ましくはMFRが10g/10分以上であると、エチレン・α−オレフィン共重合体を含む樹脂組成物の流動性が向上し、シート押出成形時の生産性を向上させることができる。
また、MFRが50g/10分以下であると、分子量が大きくなるため、チルロール等のロール面への付着を抑制できるため、剥離を不要とし、均一な厚みのシートに成形することができる。さらに、「コシ」がある樹脂組成物となるため、0.1mm以上の厚いシートを容易に成形することができる。また、太陽電池モジュールのラミネート成形時の架橋特性が向上するため、十分に架橋させて、耐熱性の低下を抑制することができる。
MFRが27g/10分以下であると、さらに、シート成形時のドローダウンを抑制でき、幅の広いシートを成形でき、また架橋特性および耐熱性がさらに向上し、最も良好な太陽電池封止材のシートを得ることができる。
太陽電池モジュールのラミネート工程において樹脂組成物の架橋処理を行わない場合は、溶融押出工程において架橋剤の分解の影響が小さいため、MFRが0.1g/10分以上10g/10分未満、好ましくは0.5g/10分以上8.5g/10分未満の樹脂組成物を用い、押出成形によってシートを得ることもできる。樹脂組成物中の架橋剤の含有量が、エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.15質量部以下である場合には、MFRが0.1g/10分以上10g/10分未満の樹脂組成物を用い、シラン変性処理、または微架橋処理を行いつつ170〜250℃の成形温度で押出成形によってシートを製造することもできる。MFRがこの範囲にあると、シートを太陽電池素子にラミネートする際にはみ出した溶融樹脂によるラミネート装置の汚れを防止できる点で好ましい。
(要件a3)
ASTM D1505に準拠して測定されるエチレン・α−オレフィン共重合体の密度は好ましくは0.865〜0.884g/cmであり、より好ましくは0.866〜0.883g/cm、さらに好ましくは0.866〜0.880g/cm、特に好ましくは0.867〜0.880g/cmである。
エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は、エチレン単位の含有割合とα−オレフィン単位の含有割合とのバランスにより調整することができる。すなわち、エチレン単位の含有割合を高くすると結晶性が高くなり、密度の高いエチレン・α−オレフィン共重合体を得ることができる。一方、エチレン単位の含有割合を低くすると結晶性が低くなり、密度の低いエチレン・α−オレフィン共重合体を得ることができる。
エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が上記上限値以下であると、結晶性がより適度となり、得られる太陽電池封止材の透明性をより高くすることができる。さらに、架橋性をより良好なものとすることができる。また柔軟性により優れ、ラミネート成形をする際に太陽電池素子の割れや、薄膜電極のカケ等が発生することをより抑制することができる。
一方、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が上記下限値以上であると、エチレン・α−オレフィン共重合体の結晶化速度を速くできるため、押出機より押し出されたシートがベタつきにくく、冷却ロールでの剥離が容易になり、太陽電池封止材のシートを容易に得ることができる。また、シートにベタツキが発生しにくくなるのでブロッキングの発生を抑制し、シートの繰り出し性を向上させることができる。また、十分に架橋させられるため、太陽電池封止材の耐熱性の低下を抑制することができる。
(要件a4)
ASTM D2240に準拠して測定される、エチレン・α−オレフィン共重合体のショアA硬度は好ましくは60〜85であり、より好ましくは62〜83、さらに好ましくは62〜80、特に好ましくは65〜80である。エチレン・α−オレフィン共重合体のショアA硬度は、エチレン・α−オレフィン共重合体のエチレン単位の含有割合や密度を上述の数値範囲に制御することにより、調整することができる。すなわち、エチレン単位の含有割合が高く、密度が高いエチレン・α−オレフィン共重合体は、ショアA硬度が高くなる。一方、エチレン単位の含有割合が低く、密度が低いエチレン・α−オレフィン共重合体は、ショアA硬度が低くなる。
ショアA硬度が上記下限値以上であると、シート化しやすく耐ブロッキング性が良好なシートが得られ、さらに耐熱性も向上させることができる。
一方、ショアA硬度が上記上限値以下であると、透明性および柔軟性を向上させるとともに、シート成形を容易にすることができる。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体の含有量は、当該太陽電池封止材に含まれる樹脂成分の全体を100質量%としたとき、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、そして、特に好ましくは100質量%である。これにより、透明性、接着性、耐熱性、柔軟性、外観、架橋特性、電気特性および押出成形性等の諸特性のバランスにより優れた太陽電池封止材を得ることができる。
上記樹脂成分の含有量は、当該太陽電池封止材の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上である。これにより、透明性、接着性、耐熱性、柔軟性、外観、架橋特性、電気特性および押出成形性等の諸特性のバランスにより優れた太陽電池封止材を得ることができる。
(エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法)
エチレン・α−オレフィン共重合体は、例えば、以下に示す種々のメタロセン化合物を触媒として用いて製造することができる。メタロセン化合物としては、例えば、特開2006−077261号公報、特開2008−231265号公報、特開2005−314680号公報などに記載のメタロセン化合物を用いることができる。ただし、これらの特許文献に記載のメタロセン化合物とは異なる構造のメタロセン化合物を使用してもよいし、二種以上のメタロセン化合物を組み合わせて使用してもよい。
エチレン・α−オレフィン共重合体の重合は、従来公知の気相重合法、およびスラリー重合法、溶液重合法などの液相重合法のいずれでも行うことができる。好ましくは溶液重合法などの液相重合法により行われる。
<架橋剤>
本実施形態に係る太陽電池封止材は、架橋剤であるt−アミルパーオキシベンゾエートを含む。
本実施形態に係る太陽電池封止材において、t−アミルパーオキシベンゾエートを含有することにより、上記エチレン・α−オレフィン共重合体の架橋速度が向上し、かつ架橋時に有機過酸化物由来のガス成分による気泡発生が低減される、という優れた効果を得ることができる。
本実施形態に係る太陽電池封止材中のt−アミルパーオキシベンゾエートの含有量は、エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対し、0.1質量部以上2.0質量部以下であり、好ましくは0.2質量部以上1.5質量部以下であり、さらに好ましくは0.2質量部以上1.0質量部以下である。
t−アミルパーオキシベンゾエートの含有量が上記下限値以上であると、太陽電池封止材の架橋特性がより良好となり、太陽電池封止材の耐熱性がより一層向上する。また、シランカップリング剤のエチレン・α−オレフィン共重合体の主鎖へのグラフト反応をより良好にして、耐熱性、接着性がより一層良好となる。
また、t−アミルパーオキシベンゾエートの含有量が上記上限値以下であると、上記の架橋特性、耐熱性、接着性がより良好な上に、シート成形時のゲル化をより一層抑制でき、シート外観がより良好な太陽電池封止材を得ることができる。さらに、t−アミルパーオキシベンゾエートの分解生成物等の発生量が一層低下し、太陽電池封止材中に気泡が発生するのをより一層抑制することができる。
また、架橋剤としてt−アミルパーオキシベンゾエートとともに他の有機過酸化物を一種以上用いることができる。その場合、有機過酸化物の総量(すなわち、t−アミルパーオキシベンゾエートとその他の有機過酸化物の合計量)が、エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対し、1.0質量部以下であることが好ましい。
太陽電池モジュールの生産性を考慮すると、他の有機過酸化物としては、半減期が10時間以下であり、かつ分解温度が105℃以下であるものが好ましい。また安全性の面から、最高保存温度が10℃以上であるものが好ましい。このような有機過酸化物の例としては、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジベンゾイルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーフタレート、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−アミルパーオキシ)シクロヘキサン、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソノナノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ジ(ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)プチレート、メチルエチルケトンパ−オキサイド、エチル−3,3−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブチレート、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1,3,3−テトララメチルブチルハイドロパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエートから選択される一種または二種以上を用いることが好ましい。
<架橋助剤>
本実施形態に係る太陽電池封止材は、架橋性を向上させる観点から、架橋助剤を含む。
上記架橋助剤としては、ジビニル芳香族化合物、シアヌレート化合物、ジアリル化合物、アクリレート化合物、トリアリル化合物、オキシム化合物およびマレイミド化合物からなる群より選択される一種または二種以上を用いることができる。
本実施形態に係る太陽電池封止材中の架橋助剤の含有量は、エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、3.0質量部以下であり、2.0質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以下であることが特に好ましい。
また、本実施形態に係る太陽電池封止材中の架橋助剤の含有量は、エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上であり、0.3質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましい。これにより、適度な架橋構造とすることができ、太陽電池封止材の耐熱性、機械物性、および接着性を向上できる。
ジビニル芳香族化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジ−i−プロペニルベンゼン等が挙げられる。
シアヌレート化合物としては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
ジアリル化合物としては、例えば、ジアリルフタレート等が挙げられる。
トリアリル化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル等が挙げられる。
アクリレート化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
オキシム化合物としては、例えば、p−キノンジオキシム、p−p'−ジベンゾイルキノンジオキシム等が挙げられる。
マレイミド化合物としては、例えば、m−フェニレンジマレイミド等が挙げられる。
架橋助剤としてはビニル基等の架橋性不飽和結合を1分子中に3官能以上有する化合物が好ましく、中でも、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが、架橋性が良好で好ましい。
<シランカップリング剤>
本実施形態に係る太陽電池封止材は、さらにシランカップリング剤を含んでもよい。
本実施形態に係る太陽電池封止材中のシランカップリング剤の含有量は、エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上4質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上3質量部以下であることが特に好ましい。
シランカップリング剤の含有量が上記下限値以上であると、太陽電池封止材と他の部材との接着強度をより良好なものとすることができる。一方、シランカップリング剤の含有量が上記上限値以下であると、コストと性能のバランスがよく、透湿性の低下も防止できる。また、太陽電池封止材として用いた場合に、表面側透明保護部材、セル、電極、裏面側保護部材との密着性が良好となり、接着性も向上する。また、シランカップリング剤自体が縮合反応を起こし、太陽電池封止材に白い筋として存在し、製品外観が悪化することを抑制できる。
シランカップリング剤は、従来公知のものが使用でき、特に制限はない。具体的には、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等から選択される一種または二種以上を用いることができる。好ましくは、接着性が良好なγ−グリシドキシプロピルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
<紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤>
本実施形態に係る太陽電池封止材は、紫外線吸収剤、光安定剤、および耐熱安定剤から選択される少なくとも一種の添加剤をさらに含有してもよい。これらの添加剤の配合量は、エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.005質量部以上5質量部以下であることが好ましい。さらに、上記三種から選ばれる少なくとも二種の添加剤を含有することが好ましく、特に、上記三種の全てが含有されていることが好ましい。上記添加剤の配合量が上記範囲にあると、耐候安定性および耐熱安定性を向上する効果を十分に確保し、かつ、透明性や、ガラス板との接着性の低下を防ぐことができるので好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−ノルマル−オクチルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−N−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系化合物、ヒンダードピペリジン系化合物等から選択される一種または二種以上を用いることができる。
耐熱安定剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4'−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等のホスファイト系酸化防止剤;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物等のラクトン系酸化防止剤;3,3',3",5,5',5"−ヘキサ−tert−ブチル−a,a',a"−(メチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンジルベンゼン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;硫黄系酸化防止剤;アミン系酸化防止剤等から選択される一種または二種以上を用いることができる。これらの中でも、ホスファイト系酸化防止剤、およびヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
<太陽電池封止材シート>
本実施形態に係る太陽電池封止材は、その全体形状がシート状であることも好ましい実施形態の一つである。
本実施形態における太陽電池封止材シート(シート状の太陽電池封止材)の厚みは特に限定されないが、0.01mm以上2mm以下が好ましく、0.2mm以上1.2mm以下がより好ましい。厚みがこの範囲内であると、ラミネート工程における、受光面側保護部材、太陽電池素子、薄膜電極等の破損が抑制でき、かつ、十分な光線透過率を確保することにより高い光発電量を得ることができる。さらには、低温での太陽電池モジュールのラミネート成形ができるので好ましい。
本実施形態の太陽電池封止材シートは本発明の目的を損なわない範囲で、他の層を積層してもよい。例えば、表面または裏面保護のためのハードコート層、接着層、反射防止層、ガスバリア層、防汚層等の層を有していてもよい。材質で分類するならば、紫外線硬化性樹脂からなる層、熱硬化性樹脂からなる層、ポリオレフィン樹脂からなる層、カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂からなる層、フッ素含有樹脂からなる層、環状オレフィン(共)重合体からなる層、無機化合物からなる層等を挙げることができる。
<太陽電池封止材シートの製造方法>
本実施形態の太陽電池封止材シートの製造方法は特に限定されないが、公知の各種の成形方法(キャスト成形、押出シート成形、インフレーション成形、射出成形、圧縮成形、カレンダ成形等)を採用することが可能である。特に、押出成形とカレンダ成形が好ましい。
本実施形態の太陽電池封止材シートの製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、エチレン・α−オレフィン共重合体と、架橋剤と、架橋助剤と、必要に応じて、シランカップリング剤と、紫外線吸収剤と、光安定剤と、耐熱安定剤と、さらに必要に応じてその他添加剤とを、例えば、ポリ袋等の袋の中で人力でのブレンドや、ヘンシェルミキサー、タンブラー、スーパーミキサー等の攪拌混合機を用いてブレンドする。次いで、得られた樹脂組成物を、例えば、押出シート成形機のホッパーに投入し、溶融混練を行いつつ押出シート成形機のTダイから樹脂組成物をシート状に押出して樹脂シートを得る。
なお、押出シート成形機に投入後、溶融混練の途中に添加剤の一部を添加することもできる。またシート成形法としてはカレンダ成形を採用してもよい。
成形は、T−ダイ押出機、カレンダ成形機、インフレーション成形機等を使用する公知の方法によって行なうことができる。
2.太陽電池モジュールについて
本実施形態に係る太陽電池封止材は、太陽電池モジュールにおいて、太陽電池素子を封止するために用いられる。
太陽電池モジュールの構成としては、例えば表面側透明保護部材/受光面側封止層/太陽電池素子/裏面側封止層/裏面側保護部材(バックシート)をこの順に積層した構成が挙げられるが、特に限定されない。
本実施形態に係る太陽電池封止材の架橋物は、上記受光面側封止層および上記裏面側封止層のいずれか一方、あるいは両方に用いられる。
図1に、本実施形態の太陽電池モジュール10の断面図の一例を示す。
太陽電池モジュール10は、複数の太陽電池素子13と、太陽電池素子13を挟んで封止する一対の受光面側封止層11と裏面側封止層12、および表面側透明保護部材14および裏面側保護部材(バックシート)15とを備える。
(太陽電池素子)
太陽電池素子13としては、例えば、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等のシリコン系、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、カドミウム−テルル等のIII−V族やII−VI族化合物半導体系等の各種太陽電池素子を用いることができる。
太陽電池モジュール10においては、複数の太陽電池素子13は、導線および半田接合部を備えたインターコネクタ16を介して電気的に直列に接続されている。
(表面側透明保護部材)
表面側透明保護部材14としては、例えば、ガラス板;アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素含有樹脂等により形成された樹脂板等が挙げられる。
(裏面側保護部材)
裏面側保護部材(バックシート)15としては、例えば、金属や各種熱可塑性樹脂フィルム等の単体もしくは多層のシートが挙げられる。例えば、錫、アルミ、ステンレススチール等の金属;ガラス等の無機材料;ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィン等により形成された各種熱可塑性樹脂フィルム等が挙げられる。
裏面側保護部材15は、単層であってもよく、多層であってもよい。
本実施形態に係る太陽電池封止材は、これらの表面側透明保護部材14および裏面側保護部材15に対して良好な接着性を示す。
(太陽電池モジュールの製造方法)
本実施形態に係る太陽電池モジュール10の製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。
まず、インターコネクタ16を用いて電気的に接続した複数の太陽電池素子13を一対の受光面側封止層11と裏面側封止層12で挟み、さらにこれら受光面側封止層11と裏面側封止層12を表面側透明保護部材14と裏面側保護部材15とで挟んで積層体を作製する。次いで、積層体を加熱して、受光面側封止層11と裏面側封止層12、受光面側封止層11と表面側透明保護部材14、裏面側封止層12と裏面側保護部材15とを接着する。
より具体的には、太陽電池封止材に含まれる架橋剤が実質的に分解せず、かつ、エチレン・α−オレフィン共重合体が溶融するような温度に太陽電池封止材を加熱し、受光面側封止層11と裏面側封止層12、受光面側封止層11と表面側透明保護部材14、裏面側封止層12と裏面側保護部材15とをそれぞれ仮接着する。次いで昇温して、充分な接着を行い、さらに封止層内のエチレン・α−オレフィン共重合体の架橋を行う。接着及び架橋の温度は、満足すべき架橋速度が得られ、かつ膨れが発生しないような温度であればよく、例えば100〜180℃程度の温度範囲とすることができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<太陽電池封止材シートの作製>
実施例および比較例について、次のように太陽電池封止材シートを作製した。まず、エチレン・α−オレフィン共重合体(WO2012/060086の合成例1に準じて合成した)、架橋剤、架橋助剤、シランカップリング剤を表1に示す処方で配合して樹脂組成物を得た。
サーモ・プラスチック社製の単軸押出機(スクリュー径20mmφ、L/D=28)にコートハンガー式T型ダイス(リップ形状:270×0.8mm)を装着した装置を用いて、ダイス温度100℃の条件下、ロール温度30℃、巻き取り速度1.0m/minで、第1冷却ロールにエンボスロールを用いて、得られた樹脂組成物のシート成形を行い、厚み500μmのエンボスシート(太陽電池封止材シート)を得た。得られたシートの空隙率は28%であった。
なお、表1中における各成分の配合割合の単位は質量部である。また、表1中における各成分の詳細は下記のとおりである。
・架橋剤1:t−アミルパーオキシベンゾエート
・架橋剤2:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート
・架橋助剤:トリアリルイソシアヌレート
・シランカップリング剤:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
<太陽電池封止材シートのゲル分率>
作製した太陽電池封止材シートの両面からシリカコーティングされたPETフィルムで太陽電池封止材シートを挟んだ。このとき、PETフィルムのシリカコーティング面をそれぞれ太陽電池封止材シート側にして太陽電池封止材シートを挟んだ。次いで、得られた積層体を3.2mmtの透明フロートガラスに載せた。得られた積層体を真空ラミネーター(NPC製:LM−110x160−S)にて熱板温度150℃、真空時間3分、加圧保持時間8分でラミネートした。得られた積層体よりPETフィルムを剥ぎ取り、厚さ0.5mmの太陽電池封止材シートの架橋体を作製した。
作製した架橋体を約1g秤量し(秤量値をA(g))、キシレン100mLに仕込み、110℃の防爆オーブンに12時間静置した。次いで、30メッシュのステンレスメッシュでろ過後、ステンレスメッシュを110℃にて8時間減圧乾燥を行った。ステンレスメッシュ上の残存量B(g)を測定し、下記式を用いてゲル分率を算出した。
ゲル分率(質量%)=100×B/A
<太陽電池封止材シートのガラス接着強度>
シリカコーティングPETフィルム/太陽電池封止材シート/3.2mmt透明フロートガラスを積層した。このとき、PETフィルムのシリカコーティング面を封止材側にした。得られた積層体を真空ラミネーターにて熱板温度150℃、真空時間3分、加圧保持時間10分でラミネートした。加熱後の積層体からPETフィルムを剥がし、接着強度測定サンプルを作製した。この接着強度測定サンプルの封止材層を10mm幅に切り、ガラスとの剥離強度(ガラス接着強度)をオートグラフ(島津製作所製:AGS−J)180°ピールにて測定した。チャック間80mm、剥離速度300mm/分、23℃にて測定を行い、5回の測定の平均値を採用した。
<積層体の外観評価>
シリカ蒸着PETを含むPET系バックシート/太陽電池封止材シート/3.2mmt透明エンボスガラスを積層した。得られた積層体を真空ラミネーターにて熱板温度165℃、真空時間4分、加圧保持時間10分でラミネートした。得られた積層体をガラス側から目視で観察し、気泡の有無を確認した。このとき、評価結果を以下の通りに分類した。
気泡なし:○
気泡あり:×
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2017152567
実施例の太陽電池封止材は、ゲル分率が高く架橋特性に優れるとともに、架橋する際の気泡発生が抑制されていた。一方、比較例1の太陽電池封止材は実施例よりもゲル分率が低く、架橋特性に劣っていた。また、比較例2のように架橋特性を向上させるために架橋剤2の量を増加させると、太陽電池封止材の架橋特性は改善されたものの、積層体の外観評価において気泡が発生してしまった。
以上から、本実施形態に係る太陽電池封止材は、架橋特性に優れるとともに、架橋する際の気泡発生が抑制されていることがわかった。
10 太陽電池モジュール
11 受光面側封止層
12 裏面側封止層
13 太陽電池素子
14 表面側透明保護部材
15 裏面側保護部材
16 インターコネクタ

Claims (6)

  1. 太陽電池素子を封止するために用いられる太陽電池封止材であって、
    エチレン・α−オレフィン共重合体と、
    架橋剤であるt−アミルパーオキシベンゾエートと、
    ジビニル芳香族化合物、シアヌレート化合物、ジアリル化合物、アクリレート化合物、トリアリル化合物、オキシム化合物およびマレイミド化合物からなる群より選択される一種または二種以上の架橋助剤と、
    を含み、
    当該太陽電池封止材中の前記t−アミルパーオキシベンゾエートの含有量が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上2.0質量部以下であり、
    当該太陽電池封止材中の前記架橋助剤の含有量が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上3.0質量部以下である太陽電池封止材。
  2. 前記エチレン・α−オレフィン共重合体が、以下の要件a1)〜a4)のうち少なくとも1つを満たす、請求項1に記載の太陽電池封止材。
    a1)エチレンに由来する構成単位の含有割合が80〜90mol%であり、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が10〜20mol%である。
    a2)ASTM D1238に準拠し、190℃、2.16kg荷重の条件で測定されるMFRが0.1〜50g/10分である。
    a3)ASTM D1505に準拠して測定される密度が0.865〜0.884g/cmである。
    a4)ASTM D2240に準拠して測定されるショアA硬度が60〜85である。
  3. シランカップリング剤をさらに含み、
    当該太陽電池封止材中の前記シランカップリング剤の含有量が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下である、請求項1または2に記載の太陽電池封止材。
  4. 紫外線吸収剤、光安定剤、および耐熱安定剤からなる群より選択される少なくとも一種の添加剤をさらに含み、
    当該太陽電池封止材中の前記添加剤の含有量が、前記エチレン・α−オレフィン共重合体100質量部に対して、0.005質量部以上5質量部以下である、請求項1乃至3いずれか一項に記載の太陽電池封止材。
  5. シート状である、請求項1乃至4いずれか一項に記載の太陽電池封止材。
  6. 表面側透明保護部材と、
    裏面側保護部材と、
    太陽電池素子と、
    請求項1乃至5いずれか一項に記載の太陽電池封止材の架橋物により構成され、かつ、前記太陽電池素子を前記表面側透明保護部材と前記裏面側保護部材との間に封止する封止層と、
    を備える太陽電池モジュール。
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