本発明に係る非接触充電システムについて、図面を参照して説明する。以下、本発明に係る非接触充電システムとして、電動工具に内蔵された蓄電手段(キャパシタや二次電池)を充電する電動工具充電システムに適用した場合を例に説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る電動工具充電システムA1の主要な機能構成要素を示す機能ブロック図である。電動工具充電システムA1は、送電装置1および電動工具2を備えている。
送電装置1は、電動工具2に非接触で電力を供給(送電)するものである。送電装置1は、高周波電源装置11、送電ユニット12、電力検出器13、物体検出部14、および、電源制御部15を備えている。
高周波電源装置11は、高周波電力を発生させ、送電ユニット12に出力するものである。高周波電源装置11は、例えば、直流電源から出力される直流電力を、インバータ回路により高周波電力に変換することで、高周波電力を発生させる。このとき、インバータ回路では、後述する電源制御部15から高周波信号SINVが入力されることで、直流電力を高周波電力に変換する。なお、高周波電源装置11の構成はこれに限定されない。また、高周波電源装置11の出力端における、出力インピーダンスと入力インピーダンスとを整合させるインピーダンス整合器を備えていてもよい。高周波電源装置11から出力される高周波電力の周波数が高いほど、低い周波数に比べ、後述する送電コイル121や共振コンデンサ122を小型、軽量化できるため、高周波電力の周波数は、1MHz以上であることが望ましい。
送電ユニット12は、高周波電源装置11から入力される高周波電力を電動工具2に非接触で送電するものである。送電ユニット12は、送電コイル121と、送電コイル121に直列に接続された共振コンデンサ122との直列共振回路で構成される。送電ユニット12の直列共振回路の共振周波数は、高周波電源装置11から出力される高周波電力の周波数に調整されている。送電コイル121は、高周波電源装置11から入力される電流が流れることで、磁束を発生させる。この磁束が発生している範囲が給電エリアとなる。なお、送電ユニット12を送電コイル121と共振コンデンサ122とを並列に接続した並列共振回路で構成してもよい。
電力検出器13は、高周波電源装置11と送電ユニット12との間に設置され、設置位置(具体的には高周波電源装置11の出力端)における進行波電力Pfおよび反射波電力Prを検出するものである。電力検出器13は、方向性結合器を含み、当該方向性結合器から高周波電圧に含まれる進行波電圧Vfと反射波電圧Vrとを検出する。そして、進行波電圧Vfを進行波電力Pfに、反射波電圧Vrを反射波電力Prに変換して、これらを電源制御部15に出力する。
物体検出部14は、電動工具2が送電装置1の所定の位置に存在するか否かを検出するものである。物体検出部14は、検出結果を電源制御部15に出力する。物体検出部14としては、リミットスイッチ、接触センサ、圧力センサ、重量センサ、および、光電センサなどを用いるとよい。本実施形態においては、物体検出部14がリミットスイッチ141で構成されている場合を例に説明する。
電源制御部15は、高周波電源装置11を制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、および、RAM(Random Access Memory)を備えるマイクロコンピュータやFPGAで構成される。
電源制御部15は、高周波信号SINVを生成し、生成した高周波信号SINVを高周波電源装置11に入力することで、高周波電源装置11に高周波電力を出力させる。これにより、送電装置1から送電が行われる。このとき、電源制御部15は、電力検出器13から入力される進行波電力Pfに基づき、進行波電力Pfが予め設定された設定値(例えば、50[W])になるように、高周波信号SINVを生成し、高周波電源装置11に入力する。これにより、高周波電源装置11から出力される高周波電力は、設定値で一定となるように制御される。一方、高周波信号SINVの出力を停止することで、高周波電源装置11からの高周波電力の出力を停止させる。なお、高周波信号SINVの生成を停止することで、高周波電力の出力を停止させるようにしてもよい。これにより、送電装置1からの送電が停止される。
電源制御部15は、物体検出部14の検出結果に基づき、電動工具2が送電装置1の所定の位置に存在する場合に、後述する受電コイル211が送電コイル121の給電エリアに存在すると判断し、高周波電源装置11に高周波信号SINVを入力する。したがって、電動工具2が送電装置1の所定の位置に存在する場合に、送電装置1による送電が行われる。
また、電源制御部15は、電力検出器13から入力される反射波電力Prに基づき、高周波電源装置11の高周波電力の発生を停止させる。具体的には、電源制御部15は、検出された反射波電力Prが予め設定された閾値(以下、「送電停止閾値」と表現する。)以上となったとき、高周波電源装置11からの高周波電力の出力を停止させる。これにより、高周波電源装置11から高周波電力が出力されなくなるので、送電装置1からの高周波電力の送電が停止する。なお、反射波電力Prではなく、進行波電力Pfに対する反射波電力Prの比率(反射係数:Pr/Pf)を用いてもよい。この場合、当該反射係数に対する閾値を予め設定しておく。
電動工具2は、例えば、回転する動作によって加工物に穴を開ける電動ドリルである。電動工具2は、受電ユニット21、充電回路22、蓄電デバイス23、電圧検出器24、充電制御部25、操作部26、モータ制御部27、および、モータ28を備えている。なお、受電ユニット21、充電回路22、蓄電デバイス23、電圧検出器24、および、充電制御部25により受電装置20を構成している。
受電ユニット21は、送電装置1(送電ユニット12)から送電された高周波電力を非接触で受電するものである。受電ユニット21は、受電コイル211と、その受電コイル211に直列に接続された共振コンデンサ212との直列共振回路で構成される。受電ユニット21の直列共振回路の共振周波数も、高周波電源装置11から出力される高周波電力の周波数に調整されている。送電ユニット12および受電ユニット21の共振周波数を同じにしておくことで、最適な伝送効率で非接触給電が可能となる。受電コイル211は、送電コイル121の給電エリアに存在するときに、すなわち、送電コイル121の磁束の影響を受ける範囲に存在するときに、送電コイル121と磁気的に結合される。なお、受電ユニット21においても、受電コイル211と共振コンデンサ212とを並列に接続した並列共振回路で構成してもよい。
充電回路22は、受電ユニット21から入力される高周波電力を直流電力に変換し、蓄電デバイス23に供給するものである。充電回路22は、整流平滑回路221およびスイッチ222を有している。
整流平滑回路221は、受電ユニット21から入力される高周波電力を直流電力に整流し、そして、整流した直流電力を平滑化するものである。なお、単に整流だけを行う整流回路であってもよい。また、整流平滑回路221の後段にフィルタ回路を設け、整流平滑回路221から出力される直流電力から高周波成分を除去するようにしてもよい。
スイッチ222は、整流平滑回路221から入力される直流電力を蓄電デバイス23に供給するか遮断するかを切り替えるものである。本実施形態においては、スイッチ222は、整流平滑回路221に直列に接続されており、整流平滑回路221から蓄電デバイス23への電流経路を導通させるか遮断するかを切り替える。なお、スイッチ222は、整流平滑回路221の高電位側の出力端子あるいは低電位側の出力端子のいずれかに直列に接続されていればよい。また、スイッチ222を、受電ユニット21と整流平滑回路221との間に並列あるいは直列に接続させてもよい。この場合、受電ユニット21の出力が電流源出力の場合、並列に接続しておき、一方、受電ユニット21の出力が電圧源出力の場合、直列に接続しておく。
スイッチ222は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で構成され、充電制御部25から入力される開閉信号SSWに基づき、導通状態と開放状態とを切り替える。具体的には、充電制御部25からスイッチ222にオン電圧の開閉信号SSWが入力されると、スイッチ222が導通状態となり、蓄電デバイス23への電流経路が導通し、直流電力が蓄電デバイス23に供給される。一方、充電制御部25からスイッチ222にオフ電圧の開閉信号SSWが入力されると、スイッチ222が開放状態となり、蓄電デバイス23への電流経路が遮断され、直流電力が蓄電デバイス23に供給されない、すなわち、蓄電デバイス23への電力供給が遮断される。なお、スイッチ222は、上記したMOSFETではなく、その他の電界効果トランジスタ、バイポーラトランジスタ、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などの半導体スイッチあるいはリレースイッチのような機械的なスイッチであってもよい。
蓄電デバイス23は、充電回路22から直流電力が供給されることで充電され、モータ制御部27に直流電力を供給する。蓄電デバイス23は、例えば、電気二重層キャパシタまたはリチウムイオンキャパシタなどのキャパシタ、あるいは、鉛蓄電池またはリチウムイオン電池などの二次電池で構成される。キャパシタは、二次電池と比較すると、充放電による劣化が少なく製品寿命が長いこと、また、大電流による急速充電が可能といった特徴を有しており、充放電を繰り返し行う充電システムの場合には、キャパシタを利用する方が適している。本実施形態においては、蓄電デバイス23として、キャパシタを用いている。なお、蓄電デバイス23は、1つだけで、必要な充電容量が得られない場合、複数個用いて、直列接続したり、並列接続したりすればよい。
電圧検出器24は、蓄電デバイス23の充電電圧を検出するものである。電圧検出器24は、検出した充電電圧を充電制御部25に出力する。
充電制御部25は、充電回路22を制御するものであり、例えば、CPU、ROM、および、RAMを備えるマイクロコンピュータやFPGAで構成される。
充電制御部25は、蓄電デバイス23の充電が完了したか否かを判断し、当該判断結果に基づき、スイッチ222の切り替えを制御する。具体的には、充電制御部25は、電圧検出器24から入力される充電電圧に基づき、充電電圧が閾値(以下、「充電完了閾値」と表現する。)未満のとき、蓄電デバイス23の充電がまだ完了していないと判断し、スイッチ222を導通状態にするオン電圧の開閉信号SSWを生成する。そして、生成した開閉信号SSWをスイッチ222に入力することで、スイッチ222を導通状態にする。一方、充電電圧が充電完了閾値以上のとき、蓄電デバイス23の充電が完了したと判断し、スイッチ222を開放状態にするオフ電圧の開閉信号SSWを生成する。そして、生成した開閉信号SSWをスイッチ222に入力することで、スイッチ222を開放状態にする。これにより、スイッチ222の導通状態と開放状態とが切り替わり、充電制御部25は、蓄電デバイス23への直流電力の供給および遮断を切り替えることができる。上記充電完了閾値は、電動工具2に備えられる蓄電デバイス23の充電容量にあわせて設定すればよい。充電制御部25が、本発明の「切替制御手段」および「充電完了判断手段」に相当する。
操作部26は、モータ28の回転動作をオン・オフするためのスイッチ(例えば、トリガースイッチ261)、および、モータ28の回転方向を、正転と反転(正転とは逆向き)とを切り替えるためのスイッチ(例えば、切替レバー)により構成される。操作部26は、利用者の操作に応じた操作信号をモータ制御部27に出力する。
モータ制御部27は、蓄電デバイス23から入力される直流電力をモータ28に適した駆動電流あるいは駆動電圧に変換し、モータ28に供給するものである。モータ制御部27は、操作部26から入力される操作信号に応じて、モータ28に供給する駆動電流あるいは駆動電圧を調整する。モータ制御部27は、蓄電デバイス23から入力される直流電力を昇圧あるいは降圧するDC/DCコンバータおよび当該DC/DCコンバータを制御するマイクロコンピュータなどにより構成される。なお、モータ制御部27の構成はこれに限定されず、モータ28の種別に応じて適宜変更すればよい。
モータ28は、モータ制御部27から入力される駆動電流あるいは駆動電圧により、回転動力を発生させるものである。モータ28は、回転軸を有しており、発生させた回転動力を回転軸に伝えることで、回転軸を回転させる。モータ28は、例えば、DCモータにより構成される。なお、モータ28をACモータにより構成してもよい。
操作部26(トリガースイッチ261)が非操作状態であるとき、モータ28には駆動電流あるいは駆動電圧が供給されず、モータ28は非動作状態である。一方、操作部26(トリガースイッチ261)が操作状態であるとき、モータ28に駆動電流あるいは駆動電圧が供給され、モータ28は回転軸を回転させる。なお、操作状態のときには、モータ制御部27は、トリガースイッチ261の引込量に応じて、駆動電流あるいは駆動電圧を調整し、モータ28の回転速度を変化させる。トリガースイッチ261の引込量が少ない場合、回転速度を遅くし、引込量が多い場合、回転速度を速くする。なお、回転速度を変化させる手法(例えば、PWM制御やPAM制御など)は限定されない。また、モータ制御部27は、上記する切替レバーの状態に応じて、モータ28の回転方向を、正転にするか反転にするかを制御する。
次に、本発明の第一実施形態に係る電動工具充電システムA1の構造について、図2および図3を用いて説明する。図2(a)は、電動工具充電システムA1の斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示すII−II線に沿う断面を概略的に示した図(断面図)である。なお、図2(b)において、各電力線の記載は省略する。図3は、充電時の、送電装置1における送電コイル121の配置と、電動工具2における受電コイル211の配置と、を模式的に示した図である。以下の説明において、x、y、z方向の各々において、必要に応じて、矢印で示す方向を+(プラス)方向、その反対方向を−(マイナス)方向と表現する。例えば、図2(b)において、図面の左方向を+x方向、図面の右方向を−x方向と表現する。また、+z方向を上方向、−z方向を下方向として扱う場合もある。
電動工具充電システムA1において、電動工具2は、その一部を、送電装置1に+z側から−z側に向け、嵌入することが可能である。なお、当該+z側から−z側に向かう方向を「嵌入方向」と表現する。図2は、電動工具2の一部が送電装置1に嵌入された状態を示しており、当該嵌入された状態では、電動工具2は送電装置1に対して垂直に立った状態で固定されている。
送電装置筺体300は、少なくとも送電ユニット12の送電コイル121を収容する筺体である。本実施形態において、送電装置筺体300は、中空の直方体の+z方向側の面(上面)中央部に凹みを設けた形状である。送電装置筺体300は、例えば、樹脂材料で形成される。送電装置筺体300は、嵌入凹部310を有している。なお、送電装置筺体300は、嵌入凹部310を有していれば、その外観形状は直方体形状に限定されない。
嵌入凹部310は、送電装置筺体300の上面の凹みに相当する部分である。嵌入凹部310は、送電装置筺体300の上面の開口部から−z方向の面(下面)に向かって繋がる側面311と、側面311に繋がる底面312と、を有している。本実施形態において、底面312は平面であり、z方向視(平面視)において、矩形状である。なお、本説明における「矩形」「直方体」は、角が面取りされている場合および角が丸い場合も含んでいる。また、図2(b)に示すように、底面312は、z方向において、送電装置筺体300の上面より下側であり、かつ、送電装置筺体300の下面より上側に位置している。
本実施形態において、送電装置筺体300は、内部に送電ユニット12を収容している。また、リミットスイッチ141(物体検出部14)が、高さ方向(z方向)において、嵌入凹部310の底面312の一部から突出している。なお、リミットスイッチ141(物体検出部14)を、側面311の一部に設けてもよい。
送電装置1を構成するその他の各構成要素(高周波電源装置11、電力検出器13、電源制御部15)は、図示しない別の筺体(例えば、高周波電源装置11の筺体)に収容されており、当該高周波電源装置11の筺体と送電装置筺体300とは、電力線などで接続されている。なお、これらを送電装置筺体300に収容してもよい。
送電装置筺体300に収容される送電コイル121は、軸がz方向に伸びた筒状に巻回された筒状コイルで構成されている。本実施形態において、送電コイル121は、図3に示すように、平面視(z方向視)において、矩形状に形成されている。また、送電コイル121は、送電装置筺体300内部で、嵌入凹部310の周囲を取り囲むように巻回された状態で配置されている。
送電装置筺体300に収容される共振コンデンサ122は、送電装置筺体300の内部に収容された基板301上に実装されている。なお、送電コイル121により発生する磁束の影響を考慮し、基板301を、例えば、銅、ニッケル、銀、アルミなどの金属材料を用いて形成されたシールド材で囲っておくとよい。
電動工具筺体400は、少なくとも受電ユニット21の受電コイル211および蓄電デバイス23を収容する筺体である。電動工具筺体400は、例えば、樹脂材料および金属材料で形成される。電動工具筺体400は、収容部410、グリップ部420、および、モータハウジング部430を有している。なお、電動工具筺体400は、本発明の「受電装置筺体」にも相当する。
収容部410は、電動工具筺体400の最も下部(−z方向側)に位置する部分である。収容部410は、例えば、樹脂材料などで箱型に形成されている。収容部410は、少なくとも、受電ユニット21および蓄電デバイス23を内部に収容しており、いわゆる電池パックに相当する部分である。収容部410は、直方体形状であり、平面視(z方向視)矩形状である。本実施形態においては、受電装置20を構成する各構成要素を収容している。収容部410は、第一収容部411および第二収容部412を有している。
第一収容部411は、受電ユニット21の受電コイル211を収容する部分である。本実施形態においては、第一収容部411は、受電ユニット21の受電コイル211のみを収容している。
第二収容部412は、少なくとも蓄電デバイス23を収容する部分である。本実施形態においては、第二収容部412は、受電ユニット21の共振コンデンサ212、充電回路22、蓄電デバイス23、電圧検出器24、充電制御部25を収容している。受電ユニット21の共振コンデンサ212、充電回路22、電圧検出器24、および、充電制御部25は、第二収容部412に収容される基板414上に実装されている。なお、本実施形態においては、1つの基板414上に上記した回路部品を実装しているが、複数の基板を用いてもよい。また、蓄電デバイス23は、シート状のキャパシタを複数、直並列接続されて第二収容部412に収容されている。
収容部410において、第一収容部411は、第二収容部412のz方向に平行する側面の外側に配置されている。すなわち、第一収容部411は、第二収容部412のx方向の側面およびy方向の側面の外側に、第二収容部412を取り囲むようにして配置されている。なお、第二収容部412のz方向の面にも第一収容部411を配置していてもよい。
第一収容部411に収容される受電コイル211は、軸がz方向に伸びた筒状に巻回された筒状コイルで構成されている。本実施形態において、受電コイル211は、図3に示すように、平面視(z方向視)において、矩形状に形成されている。また、受電コイル211は、図2(b)の断面図に示すように、第一収容部411の側面に沿って、巻回されており、内側に第二収容部412が配置されている。
また、本実施形態においては、第二収容部412の周囲にシールド材413(図2(b)において太線で示している)を設けている。シールド材413は、銅、ニッケル、銀、アルミなどの金属材料を用いて形成されており、磁束の通過を阻止するためのものである。これにより、第二収容部412の内部に磁束が入り込まないため、第二収容部412に収容される各種回路部品への磁束による悪影響を低減させることができる。よって、シールド材413は、送電コイル121によって発生される磁束から、各種回路部品を保護している。なお、本実施形態において、シールド材413は、第二収容部412の全ての周囲を覆う場合を例に説明したが、磁束の進入を防止することができれば、第二収容部412の一部の周囲にのみ設けるようにしてもよい。
グリップ部420は、電動工具筺体400のz方向中央部(収容部410とモータハウジング部430との間)に位置し、利用者が電動工具2を持つための部分である。本実施形態においては、グリップ部420は、その+z方向側かつ+x方向側の一部に、トリガースイッチ261の一部が露出するように取り付けられている。また、本実施形態においては、グリップ部420は、モータ制御部27を実装する基板などを収容している。なお、グリップ部420は、上記する切替レバーなども備えているが図示は省略する。
モータハウジング部430は、電動工具筺体400の最も上部(+z方向側)に位置する部分である。モータハウジング部430は、モータ28を収容している。なお、モータ制御部27をグリップ部420ではなく、モータハウジング部430に収容するようにしてもよい。モータハウジング部430は、+x方向の先端に先端工具432(例えば、ドリルビットやドライバビットなど)を取り付けるためのチャック部431を有する。
電動工具充電システムA1において、電動工具2を、収容部410を下側(−z方向側)に向け、送電装置1の嵌入凹部310に+z方向から−z方向に嵌入することで、図2に示す嵌入状態となる。このとき、電動工具2の収容部410が送電装置1の嵌入凹部310に収容された状態となり、電動工具2が送電装置1に固定される。このとき、電動工具2は、立設状態で送電装置1に固定される。なお、電動工具2を送電装置1に嵌入しやすいように、嵌入凹部310を、開口部から底面312の方向に底面312に平行な断面の面積が小さくなるようにテーパーを設けるようにしてもよい。
また、電動工具充電システムA1において、図2に示す嵌入状態では、送電コイル121および受電コイル211は、高さ方向(z方向)の位置が同じになっている。また、送電コイル121と受電コイル211とは、軸が略一致している。さらに、平面視において、受電コイル211が送電コイル121の内側に位置している。したがって、受電コイル211が送電コイル121の給電エリアに配置され、送電コイル121と受電コイル211とが磁気的に結合可能な位置関係となる。これにより、送電コイル121と受電コイル211との間で非接触給電を行うことができる。
次に、このように構成された電動工具充電システムA1における送電および送電停止の動作について説明する。
利用者が、電動工具2を送電装置1の嵌入凹部310に嵌入すると、物体検出部14(リミットスイッチ141)が、電動工具2を検出する。電源制御部15は、物体検出部14の検出結果に基づき、受電コイル211が送電コイル121の給電エリアに存在していると判断し、高周波電源装置11に高周波電力の出力を開始させる、すなわち、送電が開始される。そして、送電装置1から送電が開始され、電動工具2は、受電した高周波電力を整流平滑化した後、内蔵する蓄電デバイス23に供給し、蓄電デバイス23を充電する。これにより、電動工具2を送電装置1の嵌入凹部310に入れることで、自動的に送電が開始され、蓄電デバイス23の充電が行われる。
その後、蓄電デバイス23の充電電圧が充電完了閾値以上となると、充電制御部25は、蓄電デバイス23の充電が完了したと判断し、スイッチ222を切り替え、充電回路22から蓄電デバイス23への直流電力の供給を遮断する。このとき、蓄電デバイス23で消費されていた電力が蓄電デバイス23で消費されなくなるため、電力検出器13が検出する反射波電力Prが急激に上昇する。そして、この反射波電力Prの急激な上昇により、反射波電力Prが送電停止閾値以上となるため、電源制御部15は、蓄電デバイス23の充電が完了したと判断し、高周波電源装置11からの高周波電力の出力を停止させる。これにより、送電装置1からの送電が停止される。
次に、第一実施形態に係る電動工具充電システムA1の作用について説明する。
本実施形態によれば、送電装置1の送電装置筺体300に嵌入凹部310を設け、当該嵌入凹部310に電動工具筺体400の収容部410を嵌入可能にした。そして、当該嵌入凹部310に嵌入される収容部410に受電コイル211を配置し、嵌入凹部310に収容部410が嵌入されたときに、受電コイル211が送電コイル121の給電エリア内に位置するようにした。これにより、電動工具2を送電装置1に嵌入するだけで、送電コイル121と受電コイル211とが磁気的に結合する適切な位置関係となる。したがって、送電コイル121と受電コイル211とを簡単に位置合わせを行うことができ、位置ずれを防止することができる。
本実施形態によれば、送電コイル121として筒状コイルを用いて、嵌入凹部310の周囲を取り囲むように巻回された状態で配置するようにした。これにより、嵌入凹部310の底面312より+z方向側(上側)に、送電コイル121が配置されるため、底面312と送電装置筺体300の底面との間には送電コイル121を配置するためのスペースを必要としない。したがって、z方向における、底面312と送電装置筺体300の底面との離間距離を小さくすることができるため、送電装置筺体300のz方向の大きさを小さくできる。
本実施形態によれば、嵌入凹部310に嵌入される収容部410において、受電コイル211を収容する第一収容部411を、蓄電デバイス23を収容する第二収容部412の側面外側に配置されるようにした。これにより、高さ方向の大きさを変えることなく、受電コイル211を配置することができる。また、収容部410の底面の面積が大きくなるため、送電装置1に電動工具2が立設した状態において、より安定させることができる。
本実施形態によれば、蓄電デバイス23としてキャパシタを用いている。キャパシタは、二次電池と比べて軽量であるため、二次電池を用いた場合に比べ、電動工具2を軽量化できる。これにより、利用者の負担を軽減させることができる。
本実施形態によれば、利用者が電動工具2を嵌入凹部310に嵌入するだけで送電が開始されるため、送電開始スイッチなどの操作が不要となる。また、蓄電デバイス23の充電が完了すると、蓄電デバイス23への電力供給が停止するため、蓄電デバイス23の過充電を防止し、劣化を低減することができる。さらに、充電制御部25は、蓄電デバイス23の充電が完了すると、蓄電デバイス23への電力供給が停止するようにスイッチ222を切り替え、反射波電力Prを強制的に上昇させるようにした。これにより、反射波電力Prが急激に上昇し、反射波電力Prが送電停止閾値以上となることで、電源制御部15は高周波電源装置11の出力を停止させる。したがって、通信手段を設けることなく、送電装置1が蓄電デバイス23の充電完了を判断することができる。また、蓄電デバイス23への電力供給が継続する状態では反射波電力Prの変化が小さいので、充電完了の判断を誤る可能性があるが、スイッチ222を切り替えることで蓄電デバイス23への電力供給を遮断して反射波電力Prを急激に上昇させるので、送電装置1は、蓄電デバイス23の充電完了を判断しやすくなる。また、送電装置1が充電完了したときに送電を停止するので、無駄な電力消費を低減させることも可能となる。
上記第一実施形態において、送電コイル121および受電コイル211として、平面視矩形状の筒状コイルを用いた場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、図4(a)に示すように平面視円形状あるいは図4(b)に示すように平面視楕円形状(図4(b))の筒状コイルを用いてもよい。また、図4(c)に示すように収容部410および嵌入凹部310の形状を平面視円形状にしてもよい。
次に、本発明の第二実施形態に係る電動工具充電システムA2について説明する。上記第一実施形態に係る電動工具充電システムA1と同じまたは類似の要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
本発明の第二実施形態に係る電動工具充電システムA2の主要機能ブロック図は、図1に示すものと同じである。
図5は、本発明の第二実施形態に係る電動工具充電システムA2の構造を説明するための図である。図5(a)は、電動工具充電システムA2の斜視図であり、図5(b)は、図5(a)に示すV−V線に沿う断面を概略的に示した図(断面図)である。図5は、電動工具2の一部が送電装置1に嵌入された状態を示しており、当該嵌入された状態では、電動工具2は送電装置1に立設している。
第二実施形態に係る電動工具充電システムA2は、上記第一実施形態に係る電動工具充電システムA1と比較し、電動工具2の電動工具筺体400の収容部410において、第一収容部411と第二収容部412との位置関係が異なっている。具体的には、上記電動工具充電システムA1では、収容部410において、第一収容部411は、第二収容部412の側面外側に、第二収容部412を取り囲むようにして配置されていたが、第二実施形態に係る電動工具充電システムA2では、第一収容部411が、第二収容部412の−z方向の面(底面)の外側に配置されている。
第一収容部411に収容される受電コイル211は、上記第一実施形態と同様に、軸がz方向に伸びた筒状に巻回された筒状コイルで構成されている。また、受電コイル211は、平面視(z方向視)において、第一収容部411の側面内側の面に沿って巻回されている。
電動工具充電システムA2において、図5に示す嵌入状態では、送電コイル121と受電コイル211とは、高さ方向(z方向)の位置が同じである。また、送電コイル121および受電コイル211の軸は互いに略一致している。さらに、平面視においては、受電コイル211が送電コイル121の内側に位置している。したがって、受電コイル211が送電コイル121の給電エリアに配置され、送電コイル121と受電コイル211とが磁気的に結合可能な位置関係となる。これにより、送電コイル121と受電コイル211との間で非接触給電を行うことができる。
また、電動工具充電システムA2において、嵌入状態では、電動工具筺体400の収容部410は、底面側の一部が送電装置筺体300の嵌入凹部310に嵌入され、収容部410の上面側の一部が、送電装置筺体300から+z方向に突出している。
次に、第二実施形態に係る電動工具充電システムA2の作用について説明する。
本実施形態においても、上記第一実施形態同様に、電動工具2を送電装置1に嵌入するだけで、送電コイル121と受電コイル211とが磁気的に結合する適切な位置関係となる。したがって、送電コイル121と受電コイル211とを簡単に位置合わせを行うことができ、位置ずれを防止することができる。
本実施形態においても、上記第一実施形態同様に、送電コイル121として筒状コイルを用いて、嵌入凹部310の周囲を取り囲むように巻回された状態で配置するようにした。したがって、送電装置筺体300のz方向の大きさを小さくすることができる。
また、本実施形態においても、上記第一実施形態と同様に、送電の開始および送電の停止を自動的に行うことができる。
さらに、本実施形態によれば、嵌入凹部310に嵌入される収容部410において、第一収容部411を、第二収容部412の底面外側に配置されるようにした。これにより、平面視の大きさを変えることなく、受電コイル211を配置することができる。
次に、本発明の第三実施形態に係る電動工具充電システムA3について説明する。上記電動工具充電システムA2と同じまたは類似の要素については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
本発明の第三実施形態に係る電動工具充電システムA3の主要機能ブロック図は、図1に示すものと同じである。
図6は、本発明の第三実施形態に係る電動工具充電システムA3の構造を説明するための図である。図6(a)は、電動工具充電システムA3の斜視図であり、図6(b)は、図6(a)に示すVI−VI線に沿う断面を概略的に示した図(断面図)である。図6は、電動工具2の一部が送電装置1に嵌入された状態を示しており、当該嵌入された状態では、電動工具2は送電装置1に立設している。
第三実施形態に係る電動工具充電システムA3は、上記第二実施形態に係る電動工具充電システムA2と比較し、送電コイル121および受電コイル211の形状、および、それらの配置位置が異なっている。具体的には、上記電動工具充電システムA2では、送電コイル121および受電コイル211として、筒状コイルを用いていたが、電動工具充電システムA3においては、送電コイル121および受電コイル211として平面コイルを用いている。
送電コイル121は、例えば、渦巻き状に巻回された平面コイルで構成される。なお、平面コイルであれば、平面視における形状は、限定されない。例えば、円形、楕円形、矩形などの形状であってもよい。送電コイル121は、送電装置筺体300の内部に収容され、かつ、嵌入凹部310の底面312側に配置されている。
受電コイル211も、送電コイル121と同様に、例えば、渦巻き状に巻回された平面コイルで構成される。なお、平面コイルであれば、平面視における形状は、限定されない。受電コイル211は、第一収容部411の内部に収容されている。本実施形態において、第一収容部411は、上記第二実施形態と同様に、第二収容部412の底面外側に位置している。よって、受電コイル211は、収容部410の底面側に配置されている。
電動工具充電システムA3において、図6に示す嵌入状態では、送電コイル121と受電コイル211とは、高さ方向(z方向)に離間している。また、平面視したときのx方向およびy方向の位置は互いに略一致している。したがって、受電コイル211が送電コイル121の給電エリアに配置され、送電コイル121と受電コイル211とが磁気的に結合可能な位置関係となる。これにより、送電コイル121と受電コイル211との間で非接触給電を行うことができる。
次に、第三実施形態に係る電動工具充電システムA3の作用について説明する。
本実施形態においても、上記第一実施形態および上記第二実施形態と同様に、電動工具2を送電装置1に嵌入するだけで、送電コイル121と受電コイル211とが磁気的に結合する適切な位置関係となる。したがって、送電コイル121と受電コイル211とを簡単に位置合わせを行うことができ、位置ずれを防止することができる。
また、本実施形態においても、上記第一実施形態および上記第二実施形態と同様に、送電の開始および送電の停止を自動的に行うことができる。
さらに、本実施形態においても、上記第二実施形態と同様に、平面視の大きさを変えることなく、受電コイル211を配置することができる。また、第二実施形態と比べて、収容部410の高さを低くすることができる。
上記第一実施形態ないし第三実施形態において、嵌入凹部310の底面312が平面である場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、嵌入凹部310の底面312に+z方向に突出した凸部320を設けるようにしてもよい。図7は当該変形例に係る送電コイル121および受電コイル211の配置を説明するための要部断面図である。なお、図7において、電動工具筺体400のグリップ部420およびモータハウジング部430の記載を省略している。この場合、電動工具筺体400の収容部410の底面を凸部320に合う形状にしておく。すなわち、収容部410の第一収容部411の底面に凸部320に合う凹部を設けるようにする。図7(a)は第一実施形態に対する変形例、図7(b)は第二実施形態に対する変形例、図7(c)は第三実施形態に対する変形例を示している。このようにすることで、x方向およびy方向のガタつきをさらに抑えることができ、電動工具2を固定することができる。
さらに、図7に示した嵌入凹部310の底面312に凸部320を設けた場合、当該凸部320に送電コイル121を配置するようにすることも可能である。図8は当該変形例に係る送電コイル121および受電コイル211の配置を説明するための要部断面図である。なお、図8においても、図7同様に、電動工具筺体400のグリップ部420およびモータハウジング部430の記載を省略している。図8(a)は第一実施形態に対する変形例、図8(b)は第二実施形態に対する変形例を示している。このとき、平面視において、送電コイル121は、受電コイル211の内側に位置している。
上記第一実施形態ないし第三実施形態において、電動工具筺体400に収容部410を具備する場合を例に説明したが、これに限定されない。例えば、収容部410を、電動工具筺体400と、着脱可能にしてもよい。これにより、収容部410が非接触充電に対応した電池パックとして構成され、他の電動工具の電池パックと取り換えることができる。これにより、これまで、非接触充電に対応していなかった電動工具を非接触充電可能な電動工具2にすることができる。
本発明に係る非接触充電システムとして、電動工具2の蓄電デバイス23を充電する電動工具充電システムに適用した場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、電動ドリル以外の電動工具、電気シェーバー、電動歯ブラシ、携帯電話などの電気機器に内蔵される蓄電手段を非接触で充電することができる各種充電システムに適用可能である。
以上、本発明に係る非接触充電システムについて説明したが、上記した実施形態および変形例に限定されるものではない。本発明の特許請求の範囲に記載した内容を逸脱しなければ、各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。