JP2017145437A - フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

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剛夫 宮村
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Abstract

【課題】室温延性が低下することなく、高温クリープ強度を向上させたフェライト系ステンレス鋼を提供する。【解決手段】C:0.05質量%以下、Si:0.1〜3.0質量%、Mn:0.1〜2.0質量%、Cr:13.5〜16.5質量%、Zr:0.15〜1.2質量%、Ni:1.0〜4.0質量%、Al:0.5〜2.0質量%、Cu:0.5〜3.0質量%、B:0.0002〜0.005質量%、N:0.05質量%以下、P:0.005〜0.05質量%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなると共に、前記不可避不純物として含まれるSが0.005質量%以下に制限されることを特徴とするフェライト系ステンレス鋼である。【選択図】なし

Description

本発明は、フェライト系ステンレス鋼に関し、特に高温クリープ強度と室温延性が両立して優れるものに関する。
火力発電プラントや化学プラントの熱交換器に使用される鋼管は、耐酸化性、耐食性に加えて、限界温度650℃もの優れた耐熱性が要求されるため、オーステナイト系ステンレス鋼やフェライト系ステンレス鋼で形成される。オーステナイト系ステンレス鋼は、耐酸化性、耐食性、およびクリープ強度を含む高温強度のいずれも良好であり、耐熱材料として良好な特性を備えているが、Niを多量に含有する(例えば、SUS304で8質量%)ために原料コストが高い。一方、フェライト系ステンレス鋼は、Ni含有量が少なく原料コストが安い上、熱膨張率や熱伝導率など熱交換器としてより優れた特性を有しているが、オーステナイト系ステンレス鋼と比べて高温での強度に劣る。
そのため、高温強度を向上させたフェライト系ステンレス鋼が開発されている。例えば、Crを9質量%含有する9Cr系耐熱鋼が開発され実用化されている。しかしながら、9Cr系耐熱鋼は、高温クリープ強度がオーステナイト系ステンレス鋼に及ばない上、耐酸化性を向上させるCrを18質量%含有するオーステナイト系ステンレス鋼と比較して、高温での耐酸化性が十分とはいえない。
そこで、Crを15質量%含有する15Crフェライト系ステンレス鋼が開発されている(非特許文献1)。前記9Cr系耐熱鋼が焼戻しマルテンサイトを有する金属組織であるのに対し、15Crフェライト系ステンレス鋼は、Crを多量に含有することによりフェライト単相の組織となる。さらに、特許文献1には、Mo,W,Nb,Co等を添加して、高温下で金属間化合物や炭化物、窒化物を析出させることにより、高温クリープ強度をさらに向上させた15Crフェライト鋼が開示されている。
特許第3777421号公報
Y. TODA, M. IIJIMA, H. KUSHIMA, K. KIMURA, F. ABE, "Effects of Ni and Heat Treatment on Long-term Creep Strength of Precipitation Strengthened 15Cr Ferritic Heat Resistant Steels", ISIJ International, Vol.45, No.11,pp.1747-1753, 2005
非特許文献1および特許文献1に記載された15Crフェライト鋼は、多量のCrにより十分な耐酸化性が得られる。しかし、高温クリープ強度をいっそう向上させるために、特許文献1のようにW,Coのような希少金属を添加して、その金属間化合物や炭化物、窒化物を高温下で析出させるようにすると、原料コストが高くなり、フェライト系ステンレス鋼の低コストという利点が損なわれる。また、添加した前記金属が、溶体化処理後においてFe母相中に固溶した状態で存在して室温での延性を低下させ、鋼管の製造段階における冷間加工や高温機器の組立における鋼管の曲げ加工等が困難になる。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、その課題は、熱交換器等の高温機器に使用される鋼管として、耐熱性や耐酸化性等を低下させず、また高コスト化することなく、優れた高温クリープ強度と冷間加工を可能とする室温延性とを両立させたフェライト系ステンレス鋼を提供することにある。
本発明者らは、耐食性が要求される2相系ステンレス鋼の分野等で確認されているG相と称される析出物に着目し、このG相からなる微細析出物がクリープ変形に伴う転位の移動を阻害して、高いクリープ強度を発現することに想到した。本発明者らは、鋭意研究した結果、フェライト単相組織を有する15Crフェライト系ステンレス鋼において、溶体化処理後の延性を低下させることなく、高温環境下でG相を形成する、比較的高コストでない元素として、Ni,Zr,Siを見出した。すなわち、耐熱性および耐酸化性に優れる高濃度のCrを含有したフェライト単相組織で構成されるフェライト系ステンレス鋼に、適量のNi,Zr,Siを添加することによって、高温機器の温度環境に相当する450〜750℃程度の高温環境下で、金属間化合物Ni16Zr6Si7からなるG相が形成されて鋼中に微細に分散する。このG相は、フェライト系ステンレス鋼において、フェライト相とCube on Cubeの関係で半整合析出すると推測され、析出物周囲に歪場を形成し、クリープ変形に伴う転位の移動を効率よくピンニングしていると考えられる。さらに、本発明者らは、Zrを炭化物、窒化物として固定しないために、C,Nの含有量を抑制し、また、フェライト単相組織を維持し難くする作用を有するNiを十分に添加するために、フェライト相を安定化する作用を有するAlを共に添加することに想到した。
すなわち、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼は、C:0.05質量%以下、Si:0.1〜3.0質量%、Mn:0.1〜2.0質量%、Cr:13.5〜16.5質量%、Zr:0.15〜1.2質量%、Ni:1.0〜4.0質量%、Al:0.5〜2.0質量%、Cu:0.5〜3.0質量%、B:0.0002〜0.005質量%、N:0.05質量%以下、P:0.005〜0.05質量%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなると共に、前記不可避不純物として含まれるSが0.005質量%以下に制限されることを特徴とする。
かかる構成のフェライト系ステンレス鋼は、C,Nの含有量を抑制し、Si,Niと共にZrを添加して、高温下で金属間化合物Ni16Zr6Si7からなるG相を析出させて鋼中に微細に分散させることにより、優れた高温クリープ強度を有し、かつ、溶体化処理後の延性が低下することがない。また、フェライト系ステンレス鋼は、Alを含有するので、フェライト相の安定性がNiにより低下することがなく、フェライト単相組織からなり、その結果、耐熱性に優れ、また、高濃度のCrにより十分な耐酸化性を有する。
本発明に係るフェライト系ステンレス鋼によれば、耐酸化性および耐熱性に優れているので、熱交換器等の高温機器に好適に使用される鋼管になり、さらに原料コストが増大しない上に、高温でのクリープ強度が高くて耐クリープ変形能に優れているため、高温機器の肉厚を薄く形成することができて製造コストを削減することができ、また、冷間加工が可能であるので、高温機器を製造する際の鋼管の曲げ加工等における加工コストを削減することができる。
実施例での高温クリープ強度の評価のための最小歪速度を模式的に説明する図であり、(a)はクリープ歪と試験時間の関係を示すグラフ、(b)は(a)から算出した歪速度と試験時間の関係を示すグラフである。
以下、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼を実現するための形態について説明する。
〔フェライト系ステンレス鋼〕
本発明に係るフェライト系ステンレス鋼は、C:0.05質量%以下、Si:0.1〜3.0質量%、Mn:0.1〜2.0質量%、Cr:13.5〜16.5質量%、Zr:0.15〜1.2質量%、Ni:1.0〜4.0質量%、Al:0.5〜2.0質量%、Cu:0.5〜3.0質量%、B:0.0002〜0.005質量%、N:0.05質量%以下、P:0.005〜0.05質量%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなると共に、前記不可避不純物として含まれるSが0.005質量%以下に制限される。以下に、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼の化学成分組成について説明する。
(C:0.05質量%以下)
Cは、高温環境において炭化物を形成して、高温強度や高温クリープ強度を向上させる作用を有する元素である。しかし、Cは、Zrを炭化物として固定するので、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼においては、ZrをG相として十分に析出させてクリープ強度を向上させるために含有量が少ないことが好ましく、下限は特に規定しない。具体的には、C含有量は0.05質量%以下とし、好ましくは0.04質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下である。
(Si:0.1〜3.0質量%)
Siは、溶鋼中で脱酸作用を有する元素であり、また、微量であっても耐酸化性の向上に有効に作用する。さらに、高温環境下でNi,Zrと金属間化合物Ni16Zr6Si7(G相)を形成して鋼中に微細に分散してクリープ強度を向上させるので、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼の高温クリープ強度を発現するために必須の元素である。これらの効果を発揮させるために、Si含有量は0.1質量%以上とし、好ましくは0.15質量%以上、より好ましくは0.25質量%以上である。一方で、Siを過剰に含有すると、フェライト系ステンレス鋼の硬さが増大して延性を低下させるので、Si含有量は3.0質量%以下とし、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下である。
(Mn:0.1〜2.0質量%)
Mnは、Siと同様に溶鋼中で脱酸作用を有する元素であり、この効果を発揮させるために、Mn含有量は0.1質量%以上とし、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。一方で、Mnを過剰に含有すると、オーステナイト相の安定性が高くなってフェライト単相組織が維持され難くなるので、Mn含有量は2.0質量%以下とし、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
(Cr:13.5〜16.5質量%)
Crは、ステンレス鋼としての耐食性(耐酸化性)を発現するために必須の元素である。十分な耐酸化性を発揮させるために、Cr含有量は13.5質量%以上とし、好ましくは14.0質量%以上、より好ましくは14.5質量%以上である。一方で、Crを過剰に含有すると、高温環境下でスピノーダル分解を生じて延性や靱性が低下する虞があるので、Cr含有量は16.5質量%以下とし、好ましくは16.0質量%以下、より好ましくは15.5質量%以下である。
(Zr:0.15〜1.2質量%)
Zrは、室温でFe母相中に固溶していても延性を低下させず、また、高温環境下でNi,Siと金属間化合物Ni16Zr6Si7(G相)を形成して鋼中に微細に分散してクリープ強度を向上させるので、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼の高温クリープ強度と室温延性を両立するために必須の元素である。この効果を十分に発揮させるために、Zr含有量は0.15質量%以上とし、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上である。一方で、Zr含有量が過剰になると900℃近傍における熱間加工性が低下するため、1.2質量%以下とし、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下である。
(Ni:1.0〜4.0質量%)
Niは、室温延性を低下させず、また、高温環境下でZr,Siと金属間化合物Ni16Zr6Si7(G相)を形成して鋼中に微細に分散してクリープ強度を向上させるので、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼の高温クリープ強度と室温延性を両立するために必須の元素である。この効果を発揮させるために、Ni含有量は1.0質量%以上とし、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上である。一方で、Niを多量に含有させると原料コストが高くなるので、Ni含有量は4.0質量%以下とし、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下である。
(Al:0.5〜2.0質量%)
Alは、フェライト相を安定化する作用を有し、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼においてNiを十分に添加するために必須の元素であり、また、金属間化合物の析出等を阻害せず、室温延性への影響も小さい。前記作用を十分に得るために、Al含有量は0.5質量%以上とし、好ましくは0.7質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上である。一方で、Alを過剰に含有すると、熱間加工性が低下するので、Al含有量は2.0質量%以下とし、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下である。
(Cu:0.5〜3.0質量%)
Cuは、フェライト相中に単独で析出するが、他の析出相との相互作用が少なく、析出強化によって強度を向上させ、特に高温環境において金属間化合物よりも短時間で強化に寄与することができる上、室温延性を低下させることがない。この効果を十分に発揮させるために、Cu含有量は0.5質量%以上とし、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.3質量%以上である。一方で、Cuを過剰に含有すると、製造時の熱間加工で割れを生じる虞があるので、Cu含有量は3.0質量%以下とし、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である。
(B:0.0002〜0.005質量%)
Bは、鋼中に固溶することで熱間加工性を向上させる作用があり、十分な熱間加工性を得るために、B含有量は0.0002質量%以上とし、好ましくは0.0005質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上である。一方で、Bを過剰に含有すると、溶接時の延性を低下させるので、0.005質量%以下とし、好ましくは0.003質量%以下、より好ましくは0.0025質量%以下である。
(N:0.05質量%以下)
Nは、高温環境において窒化物を形成して、高温強度や高温クリープ強度を向上させる作用を有する元素である。しかし、Nは、Zrを窒化物として固定するので、本発明に係るフェライト系ステンレス鋼においては、ZrをG相として十分に析出させてクリープ強度を向上させるために含有量が少ないことが好ましく、下限は特に規定しない。具体的には、N含有量は0.05質量%以下とし、好ましくは0.04質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下である。
(P:0.005〜0.05質量%)
Pは、高温環境に長期間曝される状況でリン化物を形成して高温強度を向上させる作用があるため、P含有量は0.005質量%以上とし、好ましくは0.015質量%以上、より好ましくは0.020質量%以上である。一方で、Pを0.05質量%を超えて含有すると、溶接割れを生じ易くなるので、P含有量は0.05質量%以下とし、好ましくは0.04質量%以下、より好ましくは0.035質量%以下に抑制する。
(不可避不純物、S:0.005質量%以下)
本発明に係るフェライト系ステンレス鋼は、不可避不純物として、Sを含有していてもよいが、その含有量が増加すると熱間加工性を劣化させるため、0.005質量%以下に抑制し、好ましくは0.002質量%以下、より好ましくは0.001%質量以下である。
また、スクラップ原料に由来するSn,Pb,Sb,As,Zn等の低融点不純物金属は、熱間加工時や高温環境での使用時に粒界の強度を低下させるので、低濃度に抑えることが好ましく、具体的には、それぞれ0.015質量%以下に抑制し、その総量を0.04質量%以下とする。また、Mo,W,Nb,Hf,Ta,Co,V等の遷移金属は、高温下でFe2M型(M:遷移金属等)の金属間化合物を形成して強度を向上させるものの、室温ではFe母相中に固溶して延性を低下させるため、それぞれ0.3質量%以下に抑制する。また、Tiは、多量に含有すると高温下で靭性を低下させるが、Zrと同じ第4族元素で性質が比較的近いため、室温でFe母相中に固溶していても延性を低下させることがないので、0.2質量%以下であれば含有していてもよい。さらにこれらの成分は、合計(Sを除く)で1.0質量%以下とする。このような含有量であれば、本発明の所望する効果に影響しない。
(フェライト系ステンレス鋼材の製造方法)
本発明に係るフェライト系ステンレス鋼の化学成分組成を有する鋼材(フェライト系ステンレス鋼材)は、溶解にて原料の割合を適宜調節することで容易に得られ、得られた鋳塊は必要に応じてソーキング(均質化熱処理)や熱間加工による形状の調整を経た後、適切な溶体化処理を行う。ソーキングについては、造塊法であれば、例えば1250〜1300℃の範囲で10時間程度保持することで凝固偏析が解消され、連続鋳造で作製した場合は、より短い時間か省略することもできる。熱間加工は概ね1000℃以上に加熱した状態で加工することができる。このようにして得られた鋼材は適宜、中間工程として冷間加工と熱処理を組み合わせて金属組織の制御を行うことも可能であり、冷間加工を加えることで熱処理後の結晶粒径を微細化・均質化し易い場合がある。本発明に係るフェライト系ステンレス鋼材の製造においては、中間工程の有無によらず、最終工程を溶体化のための熱処理とする。溶体化処理は、1100℃以上の温度で60秒間以上保持し、その後、保持温度から300℃以下まで、30秒間以内で冷却することが好ましい。このような冷却方法として、空冷よりも水冷が急冷し易く好ましい。
以上、本発明を実施するための形態について述べてきたが、以下に、本発明の効果を確認した実施例を、本発明の要件を満たさない比較例と対比して具体的に説明する。なお、本発明はこの実施例によって制限を受けるものではなく、請求項に示した範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
〔試験材作製〕
表1に示す化学成分組成からなる鋼材を溶解し、真空溶解炉(VIF)にて溶製した20kgインゴットに、1280℃で8時間のソーキング処理を施した後、幅60mm×厚さ20mmに熱間鍛造加工した。さらに、1200℃で5分間保持後、浸漬水冷の溶体化処理を施して母材とした。
〔評価〕
(室温延性)
室温延性の評価として引張破断伸びを測定した。母材から、JIS Z 2241に記載の14A号丸棒引張試験片を作製した。試験片は、ゲージ部の寸法をφ6mm×30mmとした。JIS Z 2241にしたがって室温で引張試験を行い、破断試験片を突き合わせて引張破断伸び(室温引張破断伸び)を測定した。室温引張破断伸びを表1に示す。合格基準は、室温引張破断伸びが15%以上とする。
(高温クリープ強度)
高温クリープ強度の評価としてクリープ変形量(クリープ歪)を測定した。耐熱材料の許容応力は、破断時間または一定時間に生じるクリープ歪で決定され、例えば、資源エネルギー庁が制定した「発電用火力設備及び電気設備の技術基準の解釈」の材料の許容応力に記載されている。クリープ試験において荷重負荷から破断に至るまでの変形過程には、定常クリープ変形とその後に生じる加速クリープ変形があるが、一般に、フェライト系耐熱鋼のクリープ変形では均一伸びよりも不均一伸びの方が大きいため、破断せずとも局所的に大きな変形が進行する傾向がある。実際の耐熱部材では、このような局所変形は様々な問題を引き起こし、一定時間に生じるクリープ歪が重要な評価パラメータとなる場合がある。このような背景から、本実施例では、クリープ歪を連続的に測定して、一定時間に生じるクリープ歪に相当する最小クリープ歪速度を求め、評価指標とした。
母材から、ゲージ部の寸法がφ6mm×30mmの鍔付きクリープ試験片を作製した。650℃で80MPaの条件でクリープレート試験を実施し、クリープ試験片のゲージ間の伸びをリニアゲージで連続的に測定した。そして、図1(a)に示す試験時間とクリープ歪の関係から試験時間に対するクリープ歪の傾きに基づいてクリープ歪速度を算出し、図1(b)に示すようにクリープ歪速度の推移を得て、その最小値を最小クリープ歪速度とした。最小クリープ歪速度を表1に示す。合格基準は、最小クリープ歪速度が1.0×10-8sec-1以下とする。
Figure 2017145437
表1に示すように、鋼材No.1〜11は、化学成分組成が本発明の範囲内の実施例であり、室温延性および高温クリープ強度が共に良好であった。
これに対して、鋼材No.12〜15は、化学成分組成が本発明の範囲外の比較例であり、室温延性および高温クリープ強度の少なくとも一方が不合格である。鋼材No.12はZr含有量が、鋼材No.13はSi含有量が、鋼材No.14はNi含有量が、それぞれ不足しているため、いずれも高温クリープ強度が不十分であった。鋼材No.15は、Si含有量が過剰なため、高温クリープ強度は良好であったが、硬さが増大して室温延性が低下した。

Claims (1)

  1. C:0.05質量%以下、Si:0.1〜3.0質量%、Mn:0.1〜2.0質量%、Cr:13.5〜16.5質量%、Zr:0.15〜1.2質量%、Ni:1.0〜4.0質量%、Al:0.5〜2.0質量%、Cu:0.5〜3.0質量%、B:0.0002〜0.005質量%、N:0.05質量%以下、P:0.005〜0.05質量%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなると共に、前記不可避不純物として含まれるSが0.005質量%以下に制限されることを特徴とするフェライト系ステンレス鋼。
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