JP2017145246A - Mersコロナウイルスに対する抗体、該抗体を用いてmersコロナウイルスを検出する方法および該抗体を含むキット - Google Patents
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Abstract
【課題】MERSコロナウイルスを網羅的かつ特異的に検出しつつも、SARSを含むその近縁のコロナウイルスは検出しないことを可能にする抗体を提供すること、および、それによってMERSコロナウイルスを正確、迅速かつ簡便に検出する方法を提供すること。
【解決手段】MERSコロナウイルスのヌクレオカプシドタンパク質を特異的に認識するモノクローナル抗体、該抗体を用いてMERSコロナウイルスを検出する方法、および、該抗体を含むキット。
【選択図】なし
【解決手段】MERSコロナウイルスのヌクレオカプシドタンパク質を特異的に認識するモノクローナル抗体、該抗体を用いてMERSコロナウイルスを検出する方法、および、該抗体を含むキット。
【選択図】なし
Description
本発明は、MERSコロナウイルスのヌクレオカプシドタンパク質に対するモノクローナル抗体、該抗体を用いてMERSコロナウイルスを検出する方法および該抗体を含むキットに関する。
コロナウイルスはエンベロープを有する直径60〜220nmの一本鎖(+)RNAウイルスであり、ヒトに感染すると呼吸器症状を引き起こすことが知られている。コロナウイルスとして高病原性であるMERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルスおよびSARS(重症急性呼吸器症候群)コロナウイルス、低病原性であるヒトコロナウイルスNL63、ヒトコロナウイルス229E、ヒトコロナウイルスOC43およびヒトコロナウイルスHKU1などが知られ、またコロナウイルスは風邪の原因ウイルスであることも知られている。
MERSコロナウイルスは2012年に存在が確認された新型のコロナウイルスである。中東地域や韓国を中心に現在20カ国以上に流行しており、30%を超える極めて高い致死率をもたらすことがWHO(世界保健機関)から発表されている。ヒトへの主な感染源はラクダであると考えられているが、その正確な感染経路は未だ明らかにされていない。現在においてもMERSの流行は依然として続いており、MERSコロナウイルスに対する抗ウイルス薬は存在しない。したがって、感染拡大を阻止するため、迅速な検査法によりMERS患者を早期に発見することが極めて重要である。
MERSコロナウイルスの検出方法としてはリアルタイム逆転写PCR法などの遺伝子検査が主に使われている。これによってMERSコロナウイルスの有無を正確に判断することが可能であるが、一方、遺伝子検査にはPCR中リアルタイムで蛍光を検出する特殊で高価な装置が必要となり、また結果を得るためには数時間を要することから、感染現場および防疫現場などの設備が十分とはいえない場所における早期発見において実用性に欠ける点が課題となっている。
そこで近年、正確性、迅速性および簡便性を備えた検査方法を開発することを目的として、MERSコロナウイルスに対する抗体の開発が進められている。
そこで近年、正確性、迅速性および簡便性を備えた検査方法を開発することを目的として、MERSコロナウイルスに対する抗体の開発が進められている。
例えば、非特許文献1には、ヒトコブラクダから単離したMERSコロナウイルスのヌクレオカプシドを構成するタンパク質(以下、ヌクレオカプシドタンパク質、単にNPともいい、特にMERS由来のものをMERS−NPともいう)の親水性領域のうち連続する約20〜40アミノ酸からなる5種のオリゴペプチドP1〜P5を合成し、ウシ血清アルブミン(BSA)に抱合させた各オリゴペプチドを抗原としてマウスに免疫することによって、MERS−NPに対するモノクローナル抗体を得たことが報告されている。そして、それら5種のうち2種、すなわちMERS−NPのアミノ酸配列における22〜40番目または164〜202番目のオリゴペプチド(P1またはP3)を抗原として使用して得られた抗体が、イムノクロマト法において、ウシコロナウイルス(BCV)、イヌコロナウイルス(CCV)およびネココロナウイルス(FCV)由来のNPは検出せずに、前記のヒトコブラクダ由来のMERS−NPを検出したことが報告されている。
非特許文献2には、臨床的に分離されたMERSコロナウイルスの特定の株に由来する全長のMERS−NPを大腸菌で発現および精製したものを抗原としてマウスに免疫することによって、MERS−NPに対する24種のモノクローナル抗体を得たことが報告されている。そして、該抗体のうち12種が酵素結合免疫吸着法(ELISA法)において、前記特定のMERS−NPには反応するがヒトコロナウイルス229EおよびOC43由来のNPには反応しなかったことが報告されている。
Song D., Ha G., Eltahir Y., et al., Development and validation of a rapid immunochromatographic assay for detection of Middle East respiratory syndrome coronavirus antigen in dromedary camels, J Clin Microb (2015) 53: 178-182.
Chen Y., Chan K.-H., Kang Y., et al., A sensitive and specific antigen detection assay for Middle East respiratory syndrome coronavirus, Emerg Microbes Infect (2015) 4: e26.
非特許文献1、2に記載された特定のMERS−NPを検出可能な抗体が、他の種々のMERSコロナウイルス株に対しても、あらゆるMERS−NPを検出することが可能であるか否かについては不明であるし、前記抗体のエピトープも具体的には明らかにされていない。さらに、非特許文献では、ヒトにも感染するおそれのある近縁のコロナウイルスに対する前記抗体の特異性についても十分に検討されていない。すなわち、非特許文献に記載の抗体はいずれも、種々のMERSコロナウイルス株を網羅的に検出し、かつ近縁のコロナウイルスは検出せず、MERSコロナウイルスのみを特異的に検出することが可能であるか否かについては明らかにされていなかった。
したがって、本発明は、MERSコロナウイルスを網羅的かつ特異的に検出することが可能な抗体を提供すること、およびそれによってMERSコロナウイルスを正確、迅速かつ簡便に検出する方法を提供することを課題とする。
したがって、本発明は、MERSコロナウイルスを網羅的かつ特異的に検出することが可能な抗体を提供すること、およびそれによってMERSコロナウイルスを正確、迅速かつ簡便に検出する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、MERSコロナウイルスの種々の株に由来するMERS−NPの各アミノ酸配列同士、および、これらのアミノ酸配列とSARSや他のコロナウイルスの種々の株に由来するNPのアミノ酸配列とを独自に分析した結果、MERS−NPの各アミノ酸配列間において高度に保存され、かつSARSを含む近縁のコロナウイルスのNPのアミノ酸配列とは同一性が低い領域を初めて見出した。そして上記課題を鑑み、かかるアミノ酸配列の領域をエピトープとして認識する抗体を作製することによって、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に関する。
[1]MERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルスのヌクレオカプシドを構成するタンパク質に特異的に結合する抗体またはその断片であって、前記抗体およびその断片の認識するエピトープが、配列番号1で表されるアミノ酸配列の208〜413番目にある、前記抗体またはその断片。
[2]エピトープが、配列番号1で表されるアミノ酸配列の208〜212番目または364〜413番目にある、[1]に記載の抗体またはその断片。
[3]抗体が、モノクローナル抗体である、[1]または[2]に記載の抗体またはその断片。
[4]受領番号がNITE AP−02156またはNITE AP−02157であるハイブリドーマにより生産される、抗体またはその断片。
[5]その断片が、Fabフラグメント、Fab/cフラグメント、Fvフラグメント、Fab’フラグメントまたはF(ab’)2フラグメントである、[1]〜[4]のいずれかに記載の抗体またはその断片。
[1]MERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルスのヌクレオカプシドを構成するタンパク質に特異的に結合する抗体またはその断片であって、前記抗体およびその断片の認識するエピトープが、配列番号1で表されるアミノ酸配列の208〜413番目にある、前記抗体またはその断片。
[2]エピトープが、配列番号1で表されるアミノ酸配列の208〜212番目または364〜413番目にある、[1]に記載の抗体またはその断片。
[3]抗体が、モノクローナル抗体である、[1]または[2]に記載の抗体またはその断片。
[4]受領番号がNITE AP−02156またはNITE AP−02157であるハイブリドーマにより生産される、抗体またはその断片。
[5]その断片が、Fabフラグメント、Fab/cフラグメント、Fvフラグメント、Fab’フラグメントまたはF(ab’)2フラグメントである、[1]〜[4]のいずれかに記載の抗体またはその断片。
[6]MERSコロナウイルスを試料から検出する方法であって、試料を、[1]〜[5]のいずれかに記載の抗体またはその断片と接触させる工程を含む方法。
[7]試料が、生体由来の細胞および/または分泌物を含む体液である、[6]に記載の方法。
[8]ELISA法、イムノクロマト法およびフィルター抗原アッセイ法からなる群から選択される少なくとも1つの免疫学的測定法によりMERSコロナウイルスを検出する工程をさらに含む、[6]または[7]に記載の方法。
[9][1]〜[5]のいずれかに記載の抗体またはその断片を含む、MERSコロナウイルスを検出するためのキット。
[10]イムノクロマトストリップの形態である、[9]に記載のキット。
[7]試料が、生体由来の細胞および/または分泌物を含む体液である、[6]に記載の方法。
[8]ELISA法、イムノクロマト法およびフィルター抗原アッセイ法からなる群から選択される少なくとも1つの免疫学的測定法によりMERSコロナウイルスを検出する工程をさらに含む、[6]または[7]に記載の方法。
[9][1]〜[5]のいずれかに記載の抗体またはその断片を含む、MERSコロナウイルスを検出するためのキット。
[10]イムノクロマトストリップの形態である、[9]に記載のキット。
本発明の抗体またはその断片は、MERS−NPのアミノ酸配列において高度に保存され、近縁のコロナウイルスのNPのアミノ酸配列とは相同性が低い領域をエピトープとして認識するため、種々のMERSコロナウイルス株を網羅的に検出し、かつSARSを含む近縁のコロナウイルスは検出せず、MERSコロナウイルスのみを特異的に検出することができる。
現在、MERSコロナウイルスの検出方法はリアルタイム逆転写PCR法などの遺伝子検査しか存在しないが、本発明に係る検出方法によれば、ELISA法、イムノクロマト法およびフィルター抗原アッセイ法などの免疫学的測定法により、MERSコロナウイルスを正確、迅速かつ簡便に検出することができ、したがってMERSコロナウイルスの感染拡大を阻止するための検査に役立てることができる。
現在、MERSコロナウイルスの検出方法はリアルタイム逆転写PCR法などの遺伝子検査しか存在しないが、本発明に係る検出方法によれば、ELISA法、イムノクロマト法およびフィルター抗原アッセイ法などの免疫学的測定法により、MERSコロナウイルスを正確、迅速かつ簡便に検出することができ、したがってMERSコロナウイルスの感染拡大を阻止するための検査に役立てることができる。
以下、本発明について、本発明の好適な実施態様に基づき、詳細に説明する。
本発明における「ヌクレオカプシドタンパク質」は「Nタンパク質」とも称され、特にMERSコロナウイルスのNタンパク質は、例えば配列番号1で表されるアミノ酸配列またはGenBankアクセッション番号(NC_019843)に開示されたアミノ酸配列などからなり、本明細書中において「MERS−NP」とも称される。MERS−NPのアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列と、好ましくは90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上の配列同一性を有する。
本発明における「ヌクレオカプシドタンパク質」は「Nタンパク質」とも称され、特にMERSコロナウイルスのNタンパク質は、例えば配列番号1で表されるアミノ酸配列またはGenBankアクセッション番号(NC_019843)に開示されたアミノ酸配列などからなり、本明細書中において「MERS−NP」とも称される。MERS−NPのアミノ酸配列は、配列番号1のアミノ酸配列と、好ましくは90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上の配列同一性を有する。
本発明は、MERSコロナウイルスのヌクレオカプシドを構成するタンパク質に特異的に結合する抗体またはその断片を提供するものであり、配列番号1で表されるアミノ酸配列の208〜413番目におけるエピトープを認識する抗体またはその断片を提供する。本発明者らが当該208〜413番目に着目した理由は、MERSコロナウイルスの113株に由来するMERS−NPの変異解析を行った結果(図2参照)、変異株の割合が5%以下の領域であって、かつ、SARS等において保存されているセリン・アルギニンリッチ(SR rich)モチーフを除いた領域、すなわちアミノ酸配列の208〜413番目の領域に対して、抗体がMERSへ特異的かつ普遍的に結合することを見出したためである。さらに、本発明者らが、MERS−NPとSARSを含む他の近縁コロナウイルスのヌクレオカプシドタンパク質との相同性を解析した結果(図3参照)、MERS−NPのアミノ酸配列(配列番号1)の208〜212番目の領域および364〜413番目の領域において、かかる相同性が極めて低いか、または0%であることを明らかにした。よって、本発明は、好ましくは、配列番号1で表されるアミノ酸配列の208〜212番目または364〜413番目の領域におけるエピトープを認識する抗体またはその断片を提供する。
<抗体>
本発明の抗体は、好ましくは、モノクローナル抗体である。配列番号1で表されるアミノ酸配列の208〜413番目、好ましくは208〜212番目または364〜413番目におけるエピトープを認識するモノクローナル抗体が複数種存在する場合、各モノクローナル抗体同士を混合した組成物(いわゆるポリクローナル抗体)であってもよい。
本発明の抗体は、好ましくは、モノクローナル抗体である。配列番号1で表されるアミノ酸配列の208〜413番目、好ましくは208〜212番目または364〜413番目におけるエピトープを認識するモノクローナル抗体が複数種存在する場合、各モノクローナル抗体同士を混合した組成物(いわゆるポリクローナル抗体)であってもよい。
抗体を産生するハイブリドーマは、2015年11月6日に独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(郵便番号292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に受領番号NITE AP−02156およびNITE AP−02157としてブダペスト条約の下で寄託されている。
本発明に係るモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは以下に述べるとおり、ケラーとミルシュタインの方法(Koehler, G. and Milstein, C. (1975) Nature 256, 495-497)や、その改変法によって得られる。すなわち、好適な方法で調製されたタンパク質を用いて、マウス、ラット、ウサギおよびニワトリなどの動物を免疫した後、該動物から得たB細胞とミエローマ細胞とを融合させ、得られたハイブリドーマから目的とする抗体を産生し分泌するハイブリドーマを選別し、単離することができる。以下に、一態様における、本発明に係る上記のハイブリドーマならびにモノクローナル抗体の調製法および同モノクローナル抗体の特性について詳述する。
(1)抗原タンパク質の調製
抗原には、遺伝子工学的手法により合成した組換えタンパク質を用いることができるが、高純度であり、かつ生体内と同等の立体構造を保持した形状であることが望まれる。遺伝子工学的手法によるタンパク質合成は、主として2種類に大別され、大腸菌などの細菌や酵母、昆虫細胞や動物細胞等の生きた細胞を利用する方法と、それらの細胞抽出液等を利用した無細胞系が存在する。一般にウイルス由来のタンパク質は細胞に対して毒性を示すことがあり、生きた細胞を活用した方法では発現が困難な場合が多いため、無細胞系によるタンパク質合成法が望ましい。特に、コムギ胚芽抽出液を用いたタンパク質合成系は真核細胞由来の発現系であり、正確なフォールディングが行われたタンパク質を合成できることに加え、翻訳活性が極めて高いため、目的のタンパク質を大量かつ高純度に回収できることが知られている。したがって、本発明に用いる抗原タンパク質の調製は、コムギ胚芽抽出液を活用した無細胞タンパク質合成系を用いることが好ましい。
抗原には、遺伝子工学的手法により合成した組換えタンパク質を用いることができるが、高純度であり、かつ生体内と同等の立体構造を保持した形状であることが望まれる。遺伝子工学的手法によるタンパク質合成は、主として2種類に大別され、大腸菌などの細菌や酵母、昆虫細胞や動物細胞等の生きた細胞を利用する方法と、それらの細胞抽出液等を利用した無細胞系が存在する。一般にウイルス由来のタンパク質は細胞に対して毒性を示すことがあり、生きた細胞を活用した方法では発現が困難な場合が多いため、無細胞系によるタンパク質合成法が望ましい。特に、コムギ胚芽抽出液を用いたタンパク質合成系は真核細胞由来の発現系であり、正確なフォールディングが行われたタンパク質を合成できることに加え、翻訳活性が極めて高いため、目的のタンパク質を大量かつ高純度に回収できることが知られている。したがって、本発明に用いる抗原タンパク質の調製は、コムギ胚芽抽出液を活用した無細胞タンパク質合成系を用いることが好ましい。
(2)動物の免疫、ハイブリドーマ細胞の作製
免疫動物として、好適には6週齢メスBALB/cマウスを用いることができるが、他の系統のマウスも使用することができる。免疫スケジュールおよび抗原濃度は十分な量の抗原刺激を受けたリンパ球が形成されるよう選ばれる。例えば、マウスの腹腔、フットパッド、尾根部に好適なアジュバンドと共に、下記に詳述するMERS−NP、すなわちコムギ胚芽抽出液を含む無細胞タンパク質合成系により合成された配列番号1で表されるアミノ酸配列の122〜413番目からなるタンパク質10〜300μg/匹を投与する。以後数日〜数週間おきに、初回免疫に使用したものと同じ抗原を数回投与する。2回目の免疫以後、静脈より採血し、血液中の抗体価について検討する。抗体価の測定はELISA法により好適に行なうことができる。
免疫動物として、好適には6週齢メスBALB/cマウスを用いることができるが、他の系統のマウスも使用することができる。免疫スケジュールおよび抗原濃度は十分な量の抗原刺激を受けたリンパ球が形成されるよう選ばれる。例えば、マウスの腹腔、フットパッド、尾根部に好適なアジュバンドと共に、下記に詳述するMERS−NP、すなわちコムギ胚芽抽出液を含む無細胞タンパク質合成系により合成された配列番号1で表されるアミノ酸配列の122〜413番目からなるタンパク質10〜300μg/匹を投与する。以後数日〜数週間おきに、初回免疫に使用したものと同じ抗原を数回投与する。2回目の免疫以後、静脈より採血し、血液中の抗体価について検討する。抗体価の測定はELISA法により好適に行なうことができる。
免疫したマウスより脾臓やリンパ節を摘出し、これからB細胞懸濁液を調製する。これを適切なマウスミエローマ細胞と適切な融合促進剤を使用して細胞融合させる。ミエローマ細胞はB細胞を得た動物と同種の動物のものを用いるのが好ましく、また、抗体を産生しないものが好ましい。
別の容器内で未融合のB細胞、未融合のミエローマ細胞および融合したハイブリドーマ細胞の混合物を、未融合のミエローマ細胞を支持しない選択培地で未融合の細胞を死滅させるのに充分な時間培養する。培地は薬物抵抗性(例えば8−アザグアニン抵抗性)で未融合の骨髄腫細胞を支持しないもの、例えばHAT培地が使用される。未融合のB細胞は非腫瘍性細胞なので、この選択培地中では未融合のB細胞と未融合のミエローマ細胞は、ある時間後、死滅する。融合した細胞はミエローマ細胞の腫瘍性とB細胞の性質とを合わせ持つため、選択培地中で生存する。
(3)ハイブリドーマ細胞のスクリーニングとクローニング
上記の操作によってハイブリドーマが検出された後、その培養上清を採取し、免疫したMERS−NPに対する抗体についてスクリーニングする。このスクリーニングは例えば、ELISA法、ウエスタンブロット法、免疫染色法等により好適に行なうことができる。本スクリーニングで、抗原との反応性や特異性の高いクローンをスクリーニングすることが重要である。目的の抗体を産生するハイブリドーマを適当な方法、例えば、限界希釈法でクローン化する。
(4)モノクローナル抗体の調製
クローン化した細胞から、所望の抗体を得るには2つの方法を用い得る。1つはハイブリドーマを一定時間、適当な培地で培養する方法であり、その培養上清からハイブリドーマの産生するモノクローナル抗体を得ることができる。第2の方法は、ハイブリドーマを同質遺伝子または半同質遺伝子を持つマウスの腹腔に接種することである。一定時間後、接種されたマウスの血液中および腹水中より、ハイブリドーマの産生する所望のモノクローナル抗体を得ることができる。
上記の操作によってハイブリドーマが検出された後、その培養上清を採取し、免疫したMERS−NPに対する抗体についてスクリーニングする。このスクリーニングは例えば、ELISA法、ウエスタンブロット法、免疫染色法等により好適に行なうことができる。本スクリーニングで、抗原との反応性や特異性の高いクローンをスクリーニングすることが重要である。目的の抗体を産生するハイブリドーマを適当な方法、例えば、限界希釈法でクローン化する。
(4)モノクローナル抗体の調製
クローン化した細胞から、所望の抗体を得るには2つの方法を用い得る。1つはハイブリドーマを一定時間、適当な培地で培養する方法であり、その培養上清からハイブリドーマの産生するモノクローナル抗体を得ることができる。第2の方法は、ハイブリドーマを同質遺伝子または半同質遺伝子を持つマウスの腹腔に接種することである。一定時間後、接種されたマウスの血液中および腹水中より、ハイブリドーマの産生する所望のモノクローナル抗体を得ることができる。
このようにして得られたモノクローナル抗体は、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウムなどによる塩析法、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過法またはアフィニティークロマトグラフィーなどの方法あるいはこれらの方法を組み合わせることなどにより、精製することができる。
本発明の抗体は、完全な免疫グロブリン分子、好ましくはIgM、IgD、IgE、IgAまたはIgGであり、より好ましくはIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3またはIgG4を含む一方で、本発明の抗体の断片は、FabフラグメントまたはV−、VH−またはCDR−領域などの、かかる免疫グロブリン分子の部分を含むが、本発明の抗体の断片も、本発明の抗体と同程度にMERS−NPを特異的に認識し結合し得るものである。さらに、抗体は、キメラのおよびヒト化した抗体のような、修飾および/または変化した抗体を含む。本発明の抗体は、修飾または変化したモノクローナルまたはポリクローナル抗体、ならびに、組み換えもしくは合成的に産生したまたは合成した抗体も含む。本発明の抗体の断片は、抗体フラグメント、ならびに、分離した軽鎖および重鎖、Fab、Fab/c、Fv、Fab’、F(ab’)2などの、それらの部分も含む。本発明の抗体は、二機能性抗体のような抗体派生物、および、単鎖Fvs(scFv)、二重特異性scFvsまたは抗体融合タンパク質のような抗体構築物も含む。
<検査方法>
本発明は、試料を、MERS−NPに対する抗体またはその断片と接触させる工程を含む、MERSコロナウイルスを試料から検出する方法もまた提供する。
本発明は、試料を、MERS−NPに対する抗体またはその断片と接触させる工程を含む、MERSコロナウイルスを試料から検出する方法もまた提供する。
本発明における生体試料としては、ヒトまたは動物の血液、血清、血漿、尿、***、髄液、唾液、汗、涙、腹水もしくは羊水などの体液;粘液;糞便;血管もしくは肝臓などの臓器;組織;細胞または、それらの抽出液など、MERS−NPが含まれる可能性のある生体試料であれば対象となり、好ましくは、採取が容易である、口腔、扁桃腺、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支および肺などからの細胞および分泌液や、鼻腔ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、うがい液、喀痰、気管吸引液、気管支肺胞洗浄液などである。これらの検体を採取する方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができる。具体的には、綿棒を用いた方法が多用される。
本発明の検査方法における、MERS−NPの測定法は、通常の免疫学的測定法であればいずれも採用できる。ここで免疫学的測定法としては、酵素免疫測定法(ELISA、EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、放射免疫測定法(RIA)、発光免疫測定法(LIA)、酵素抗体法、蛍光抗体法、イムノクロマトグラフィー法(イムノクロマト法)、フィルター抗原アッセイ法、免疫比濁法、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応測定法、赤血球凝集反応法、または粒子凝集反応法などを挙げることができる。特に、本発明のMERS−NPの免疫学的測定法には、正確、迅速かつ簡便にMERS−NPを測定することが可能なELISA法、イムノクロマト法およびフィルター抗原アッセイ法が好ましい。
イムノクロマト法で測定する場合には、例えば図9、10および14に示すように、本発明のMERS−NPに対する抗体および抗マウス免疫イムノグロブリン抗体をそれぞれ別の部位、すなわちテストラインおよびコントロールラインに固定化したイムノクロマトストリップを用いる。該イムノクロマトストリップのサンプルパットには、金コロイド粒子、ラテックス粒子、蛍光粒子、磁気粒子などで標識されたMERS−NPに対する抗体を予め含浸させておく。該サンプルパットに滴下された試料は、毛細管現象により展開され、テストラインに到達すると試料中のMERS−NPのみが反応し、コントロールラインに到達すると金コロイドなどで標識されたMERS−NPに対する抗体のみが反応する。その他の試料中の成分は反応せずに吸水パッドまで移動する。テストラインおよびコントロールラインの色の濃さ、反射強度、吸光度、蛍光強度、または磁気強度などをイムノクロマトリーダーで測定すれば、試料中のMERS−NPが定量できる。
本発明は、MERS−NPに対する抗体またはその断片を含む診断薬もまた提供する。本発明は、さらに、かかる抗体またはその断片を試料に接触させる工程を含む診断方法もまた提供する。
<検査キット>
本発明は、MERS−NPに対する抗体またはその断片を含む、MERSコロナウイルスを検出するためのキットを提供する。
本発明は、MERS−NPに対する抗体またはその断片を含む、MERSコロナウイルスを検出するためのキットを提供する。
本発明の検査キットにおける、MERS−NPの測定法は、通常の免疫学的測定法であればいずれも採用できる。ここで免疫学的測定法としては、酵素免疫測定法(ELISA、EIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、放射免疫測定法(RIA)、発光免疫測定法(LIA)、酵素抗体法、蛍光抗体法、イムノクロマトグラフィー法(イムノクロマト法)、フィルター抗原アッセイ法、免疫比濁法、ラテックス比濁法、ラテックス凝集反応測定法、赤血球凝集反応法、または粒子凝集反応法などを挙げることができる。特に、本発明のMERS−NPの免疫学的測定法には、それぞれ特徴の異なるELISA法、イムノクロマト法およびフィルター抗原アッセイ法が好ましい。ELISA法は、感度と定量性に優れ、多検体を同時に処理することが可能である反面、判定までに時間を要する。イムノクロマト法は、感度と定量性は一般的にELISA法に劣るものの、迅速簡便に検査できる。フィルター抗原アッセイ法は、感度と定量性はELISA法に匹敵し、かつ迅速に検査できるものの、イムノクロマト法と比べると操作が煩雑となる。
本発明の検査キットは、前記の免疫学的測定法に用いられる形態であればいずれも採用できるが、好ましくは、正確、迅速かつ簡便にMERS−NPを測定することが可能なイムノクロマトストリップ(例えば図9を参照)の形態である。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]MERS−NPに対するモノクローナル抗体の作製
MERS−NPに対するモノクローナル抗体を、以下の工程により産生した。具体的には、コムギ無細胞タンパク質合成系によりMERS−NPの部分タンパク質を調製し、これを抗原としてマウスに免疫し、免疫したマウスからB細胞を摘出してミエローマ細胞と融合させた。得られたハイブリドーマ細胞からMERS−NPと反応する抗体を産生する細胞を選択し、このハイブリドーマ細胞の培養上清からモノクローナル抗体を精製した。以下に詳細を示す。
MERS−NPに対するモノクローナル抗体を、以下の工程により産生した。具体的には、コムギ無細胞タンパク質合成系によりMERS−NPの部分タンパク質を調製し、これを抗原としてマウスに免疫し、免疫したマウスからB細胞を摘出してミエローマ細胞と融合させた。得られたハイブリドーマ細胞からMERS−NPと反応する抗体を産生する細胞を選択し、このハイブリドーマ細胞の培養上清からモノクローナル抗体を精製した。以下に詳細を示す。
(1)抗原タンパク質の調製
抗原タンパク質を調製するため、配列番号2に示されるMERSのプロトタイプ株のヌクレオカプシドタンパク質をコードするcDNA塩基配列を合成した(ジーンウィズ社に委託)。なお、遺伝子配列はアミノ酸配列を基に、ヒトでのタンパク質合成用にコドンを最適化させている。これを鋳型として、MERS−NPアミノ酸配列の内、122〜413番目の領域をコードするcDNA配列の364番目から1242番目のDNA断片をPCR法により増幅した。まず、1μMのフォワードプライマー(配列番号3)5μL、1μMのリバースプライマー(配列番号4)5μL、合成遺伝子が挿入された10ng/μLのDNAベクター(pUC57(ジーンウィズ社))1μL、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymerase(タカラバイオ社)25μL、超純水14μLを混合して全量50μLのPCR反応混合液を調製した。次にPCR反応を表1に示す設定で行った。
抗原タンパク質を調製するため、配列番号2に示されるMERSのプロトタイプ株のヌクレオカプシドタンパク質をコードするcDNA塩基配列を合成した(ジーンウィズ社に委託)。なお、遺伝子配列はアミノ酸配列を基に、ヒトでのタンパク質合成用にコドンを最適化させている。これを鋳型として、MERS−NPアミノ酸配列の内、122〜413番目の領域をコードするcDNA配列の364番目から1242番目のDNA断片をPCR法により増幅した。まず、1μMのフォワードプライマー(配列番号3)5μL、1μMのリバースプライマー(配列番号4)5μL、合成遺伝子が挿入された10ng/μLのDNAベクター(pUC57(ジーンウィズ社))1μL、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymerase(タカラバイオ社)25μL、超純水14μLを混合して全量50μLのPCR反応混合液を調製した。次にPCR反応を表1に示す設定で行った。
得られたDNA断片とpEU-E01-His-TEV-MCS-N1ベクター(セルフリーサイエンス社)を制限酵素EcoRVで切断してアガロースゲル電気泳動により精製した後、DNA連結酵素によりDNA断片をベクターに挿入した。挿入したDNAベクターを大腸菌JM109株に形質転換し、アンピシリン含有LB培地に播種した。大腸菌を増殖させた後、菌体からDNAベクターをプラスミド精製キット(プロメガ社またはロシュ社)により調製した。
作製したDNAベクターからSP6RNAポリメラーゼを用いてmRNAを転写し、セルフリーサイエンス社のWEPRO7240キットの使用説明書に従ってMERS−NPのタンパク質を作製し、翻訳反応液からNiカラムを用いてHis−tag付加された組換えMERS−NP(122−413)タンパク質を精製した。なお、転写・合成・精製の一連の過程は、自動合成装置(セルフリーサイエンス社)を用いて行った。
作製したDNAベクターからSP6RNAポリメラーゼを用いてmRNAを転写し、セルフリーサイエンス社のWEPRO7240キットの使用説明書に従ってMERS−NPのタンパク質を作製し、翻訳反応液からNiカラムを用いてHis−tag付加された組換えMERS−NP(122−413)タンパク質を精製した。なお、転写・合成・精製の一連の過程は、自動合成装置(セルフリーサイエンス社)を用いて行った。
(2)マウスの免疫、ハイブリドーマ細胞の作製
精製した300μgの抗原タンパク質をフロイントアジュバントと混合して乳化させ、BALB/cマウスに複数回皮下注射して免疫した。免疫したマウスから1か月後にB細胞を回収し、ポリエチレングリコール溶液を用いてSP2/0ミエローマ細胞と融合した。融合したハイブリドーマ細胞を選択培地と共に96穴マイクロプレートに播種した。
精製した300μgの抗原タンパク質をフロイントアジュバントと混合して乳化させ、BALB/cマウスに複数回皮下注射して免疫した。免疫したマウスから1か月後にB細胞を回収し、ポリエチレングリコール溶液を用いてSP2/0ミエローマ細胞と融合した。融合したハイブリドーマ細胞を選択培地と共に96穴マイクロプレートに播種した。
(3)ハイブリドーマ細胞のスクリーニングとクローニング
次に、各ハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のMERS−NPに対する反応性をELISA法とウエスタンブロット法により調べた。ELISA法では、まず、His−tagが付加された組換えMERS−NP(122−413)タンパク質をELISAプレート上に固定化した。プレートをブロッキングした後、プレートにハイブリドーマの培養上清を添加して反応させた後、ペルオキシダーゼ標識したヤギ抗マウス免疫イムノグロブリン抗体を添加して反応させた。その後、ペルオキシダーゼ基質溶液を加えて発色させ、その吸光度を測定した。ウエスタンブロット法では、まずHis−tagが付加された組換えMERS−NP(122−413)タンパク質を2×SDSサンプル緩衝液(125mM Tris−HCl、4%SDS、20%グリセロール、0.01%ブロモフェノールブルー、10%2−メルカプトエタノール)と混合して熱処理し、ポリアクリルアミドゲルに供して電気泳動した。電気泳動後のゲルをPVDFメンブレンに転写した。メンブレンを2%スキムミルク溶液でブロッキングした後、ハイブリドーマの培養上清を添加して反応させ、ペルオキシダーゼ標識されたヤギ抗マウス免疫イムノグロブリン抗体と反応させた。その後、ペルオキシダーゼ基質溶液を加えて発光させて検出した。これらのスクリーニングで特定したハイブリドーマをクローニングすることにより、抗原タンパク質に高い反応性を示すモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞7種(#5、#13、#20、#25、#29、#45および#46)を得た。
次に、各ハイブリドーマが産生するモノクローナル抗体のMERS−NPに対する反応性をELISA法とウエスタンブロット法により調べた。ELISA法では、まず、His−tagが付加された組換えMERS−NP(122−413)タンパク質をELISAプレート上に固定化した。プレートをブロッキングした後、プレートにハイブリドーマの培養上清を添加して反応させた後、ペルオキシダーゼ標識したヤギ抗マウス免疫イムノグロブリン抗体を添加して反応させた。その後、ペルオキシダーゼ基質溶液を加えて発色させ、その吸光度を測定した。ウエスタンブロット法では、まずHis−tagが付加された組換えMERS−NP(122−413)タンパク質を2×SDSサンプル緩衝液(125mM Tris−HCl、4%SDS、20%グリセロール、0.01%ブロモフェノールブルー、10%2−メルカプトエタノール)と混合して熱処理し、ポリアクリルアミドゲルに供して電気泳動した。電気泳動後のゲルをPVDFメンブレンに転写した。メンブレンを2%スキムミルク溶液でブロッキングした後、ハイブリドーマの培養上清を添加して反応させ、ペルオキシダーゼ標識されたヤギ抗マウス免疫イムノグロブリン抗体と反応させた。その後、ペルオキシダーゼ基質溶液を加えて発光させて検出した。これらのスクリーニングで特定したハイブリドーマをクローニングすることにより、抗原タンパク質に高い反応性を示すモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞7種(#5、#13、#20、#25、#29、#45および#46)を得た。
(4)モノクローナル抗体の調製
各ハイブリドーマを無血清・無タンパク質培養液で培養し、培養上清を回収した。回収した培養上清から、プロテインAカラム(AcroSep Hyper D F,日本ポール社)を用いて各々のハイブリドーマ細胞が産生するモノクローナル抗体を精製した。まず、培養上清120mLを平衡化・洗浄緩衝液(1.5M Glycine、3M NaCl、pH8.9)で2倍に希釈して、平衡化・洗浄緩衝液で平衡化したプロテインAカラム(容積1.04mL)に添加して抗体をプロテインA担体に捕捉させ、担体に非特異的に吸着された成分を平衡化・洗浄緩衝液10mLで洗い流した。次にカラムに吸着した抗体を溶出緩衝液(100mMクエン酸ナトリウム、pH3.0)10mLで溶出させた。回収した溶離液は、アミコンウルトラ(メルクミリポア社)を用いて濃縮した。得られた精製抗体の濃度は、280nmのUV吸収法で定量し、タンパク質としての純度はゲル濾過HPLC(TSKGEL-G3000SWXL、東ソー社)を用いて分析した。その結果を表2にまとめる。
各ハイブリドーマを無血清・無タンパク質培養液で培養し、培養上清を回収した。回収した培養上清から、プロテインAカラム(AcroSep Hyper D F,日本ポール社)を用いて各々のハイブリドーマ細胞が産生するモノクローナル抗体を精製した。まず、培養上清120mLを平衡化・洗浄緩衝液(1.5M Glycine、3M NaCl、pH8.9)で2倍に希釈して、平衡化・洗浄緩衝液で平衡化したプロテインAカラム(容積1.04mL)に添加して抗体をプロテインA担体に捕捉させ、担体に非特異的に吸着された成分を平衡化・洗浄緩衝液10mLで洗い流した。次にカラムに吸着した抗体を溶出緩衝液(100mMクエン酸ナトリウム、pH3.0)10mLで溶出させた。回収した溶離液は、アミコンウルトラ(メルクミリポア社)を用いて濃縮した。得られた精製抗体の濃度は、280nmのUV吸収法で定量し、タンパク質としての純度はゲル濾過HPLC(TSKGEL-G3000SWXL、東ソー社)を用いて分析した。その結果を表2にまとめる。
[実施例2]各モノクローナル抗体が認識するエピトープの解析
図4に示すように、MERS−NPのアミノ酸配列の各領域をそれぞれ欠損させた6つの組換えタンパク質(欠損変異体)を作製し、それらとの反応性を比較することで、各モノクローナル抗体が認識するエピトープを調べた。
各組換えタンパク質を調製するため、まず配列番号1に示したMERS−NPの122〜413番目のアミノ酸配列をコードするコムギ無細胞系発現用ベクターpEU-E01-His-TEV-MERS-NP(122-413)(配列番号22)を実施例1(1)に記載の方法で作製し、これを鋳型として、MERS−NPアミノ酸配列の内、122〜168番目、165〜212番目、208〜253番目、250〜312番目、299〜363番目、および、355〜413番目のアミノ酸配列領域をそれぞれコードするcDNA断片を欠損させた発現ベクターを作製した。以下に各DNAベクターの作製方法を詳細に示す。
図4に示すように、MERS−NPのアミノ酸配列の各領域をそれぞれ欠損させた6つの組換えタンパク質(欠損変異体)を作製し、それらとの反応性を比較することで、各モノクローナル抗体が認識するエピトープを調べた。
各組換えタンパク質を調製するため、まず配列番号1に示したMERS−NPの122〜413番目のアミノ酸配列をコードするコムギ無細胞系発現用ベクターpEU-E01-His-TEV-MERS-NP(122-413)(配列番号22)を実施例1(1)に記載の方法で作製し、これを鋳型として、MERS−NPアミノ酸配列の内、122〜168番目、165〜212番目、208〜253番目、250〜312番目、299〜363番目、および、355〜413番目のアミノ酸配列領域をそれぞれコードするcDNA断片を欠損させた発現ベクターを作製した。以下に各DNAベクターの作製方法を詳細に示す。
コムギ無細胞発現ベクターpEU-E01-His-TEV-MERS-NP(122-413)と、表3に示すプライマーの組み合わせとを用いてPCRを行った。まず、1μMのフォワードプライマー1μL、1μMのリバースプライマー1μL、25pg/μLの鋳型DNAベクター1μL、PrimeSTAR(登録商標)Max DNA Polymerase(タカラバイオ社)5μL、超純水2μLを混合して全量10μLのPCR反応混合液を調製した。次にPCR反応を表1に示す設定で行った。
PCR終了後の反応液2μLを大腸菌JM109株に形質転換し、アンピシリン含有LB培地に播種した。大腸菌を増殖させた後、菌体からDNAベクターをプラスミド精製キット(プロメガ社またはロシュ社)により調製した。
作製したDNAのベクターからSP6RNAポリメラーゼを用いてmRNAを合成し、セルフリーサイエンス社のWEPRO7240キットの使用方法に従って、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系により、各組換えタンパク質を合成した。
作製したDNAのベクターからSP6RNAポリメラーゼを用いてmRNAを合成し、セルフリーサイエンス社のWEPRO7240キットの使用方法に従って、コムギ胚芽無細胞タンパク質合成系により、各組換えタンパク質を合成した。
得られた各タンパク質を用いてウエスタンブロット法で各モノクローナル抗体のエピトープを解析した。結果を図5に示す。#5、#20、#25、#29および#45の5クローンは、作製した6種類のMERS−NPの欠損変異体のうち、355〜413番目を欠損させた変異体とのみ反応しなかったことから、364〜413番目の領域を認識することが明らかになった。一方で、#13、#46の2クローンはMERS−NPの165〜212番目および208〜253番目を欠損させた2つの変異体と反応しないことから、その重複領域である208〜212番目の領域を認識することが示された。
次に、これらの抗体のエピトープがMERS−NPの立体構造中のどの部位であるのかを調べた。まず、MERS−NPの立体構造をPDBjに登録されているSARS−NPの立体構造(1SSK、2CJR)を鋳型としてModellerを用いてホモロジーモデリング法により二量体として構築した。なお、鋳型の構造が登録されていないアミノ酸領域はI-TASSERならびにQUARKにより構造を予測したものを用いた。そして、構築した立体構造の分子表面における各抗体のエピトープをUCSF Chimeraにより解析した。結果を図6に示す(図中、208〜212番目の領域を「208-212」として、364〜413番目の領域を「364-413」として示す)。この結果、抗体のエピトープが、MERS−NP中の表面部分であることが推測された。
次に、これらの抗体のエピトープがMERS−NPの立体構造中のどの部位であるのかを調べた。まず、MERS−NPの立体構造をPDBjに登録されているSARS−NPの立体構造(1SSK、2CJR)を鋳型としてModellerを用いてホモロジーモデリング法により二量体として構築した。なお、鋳型の構造が登録されていないアミノ酸領域はI-TASSERならびにQUARKにより構造を予測したものを用いた。そして、構築した立体構造の分子表面における各抗体のエピトープをUCSF Chimeraにより解析した。結果を図6に示す(図中、208〜212番目の領域を「208-212」として、364〜413番目の領域を「364-413」として示す)。この結果、抗体のエピトープが、MERS−NP中の表面部分であることが推測された。
[実施例3]各モノクローナル抗体の特異性の確認
各モノクローナル抗体が他のヒトコロナウイルス、SARS、HKU1、OC43、229EおよびNL63のNPとは反応せず、MERS−NPを特異的に認識するかを組換えタンパク質を合成して調べた。
各組換えタンパク質を調製するため、まずMERS、SARS、HKU1、OC43、229EおよびNL63それぞれのヌクレオカプシドタンパク質をコードするcDNA塩基配列を合成した(ジーンウィズ社に委託)。各配列をそれぞれ、配列番号2、17、18、19、20および21に示す。なお、遺伝子配列はアミノ酸配列を基に、ヒトでのタンパク質合成用にコドンを最適化させている。
各モノクローナル抗体が他のヒトコロナウイルス、SARS、HKU1、OC43、229EおよびNL63のNPとは反応せず、MERS−NPを特異的に認識するかを組換えタンパク質を合成して調べた。
各組換えタンパク質を調製するため、まずMERS、SARS、HKU1、OC43、229EおよびNL63それぞれのヌクレオカプシドタンパク質をコードするcDNA塩基配列を合成した(ジーンウィズ社に委託)。各配列をそれぞれ、配列番号2、17、18、19、20および21に示す。なお、遺伝子配列はアミノ酸配列を基に、ヒトでのタンパク質合成用にコドンを最適化させている。
合成した各人工遺伝子が挿入されたベクター(pUC57(ジーンウィズ社))を制限酵素KpnIとXhoI(NEB社)で切断したものを、アガロースゲル電気泳動により精製した後、DNA連結酵素(タカラバイオ社)により各DNA断片をpEU-E01-His-TEV-MCS-N2ベクターに挿入した。挿入したDNAベクターを大腸菌JM109株に形質転換し、アンピシリン含有LB培地に播種した。大腸菌を増殖させた後、菌体からDNAベクターをプラスミド精製キット(プロメガ社またはロシュ社)により調製した。
各組換えタンパク質は、実施例2に記載の方法と同様の手順で合成した。
得られた各タンパク質を用いて、実施例2に記載したウエスタンブロット法と同様な手順で各モノクローナル抗体の特異性を解析した。結果を図7に示す。#5、#13、#20、#25、#29、#45および#46はいずれもMERS以外のヒトコロナウイルスのNPとは反応せず、MERS−NPのみを特異的に認識した。
各組換えタンパク質は、実施例2に記載の方法と同様の手順で合成した。
得られた各タンパク質を用いて、実施例2に記載したウエスタンブロット法と同様な手順で各モノクローナル抗体の特異性を解析した。結果を図7に示す。#5、#13、#20、#25、#29、#45および#46はいずれもMERS以外のヒトコロナウイルスのNPとは反応せず、MERS−NPのみを特異的に認識した。
[実施例4]抗原捕捉ELISAによるMERS−NPの検出
本発明で得られた7種類のモノクローナル抗体の内、抗原認識部位が異なる#20および#46を用いて抗原捕捉ELISA法を実施した。
抗MERS−NP抗体#46を炭酸緩衝液(0.05M炭酸ナトリウム、pH9.6)で2.5μg/mLに希釈してELISAプレートに固定化し、2%のスキムミルク溶液でブロッキングした。プレートをPBS−Tで洗浄後、10ng/mLからPBS−Tで2倍ずつ段階希釈した組換えMERS−NP(122−413)タンパク質をウェルに分注して反応させた。プレートをPBS−Tで洗浄した後に、ペルオキシダーゼ標識した抗MERS−NP抗体#20と反応させた。プレートをPBS−Tで洗浄した後に、ペルオキシダーゼ基質溶液(KPL社)を加えて発色させ、波長450nm/630nmでの吸光度を測定した。結果を図8に示す。組換えMERS−NP(122−413)タンパク質を0.625ng/mLまで定量的に検出することができた。
本発明で得られた7種類のモノクローナル抗体の内、抗原認識部位が異なる#20および#46を用いて抗原捕捉ELISA法を実施した。
抗MERS−NP抗体#46を炭酸緩衝液(0.05M炭酸ナトリウム、pH9.6)で2.5μg/mLに希釈してELISAプレートに固定化し、2%のスキムミルク溶液でブロッキングした。プレートをPBS−Tで洗浄後、10ng/mLからPBS−Tで2倍ずつ段階希釈した組換えMERS−NP(122−413)タンパク質をウェルに分注して反応させた。プレートをPBS−Tで洗浄した後に、ペルオキシダーゼ標識した抗MERS−NP抗体#20と反応させた。プレートをPBS−Tで洗浄した後に、ペルオキシダーゼ基質溶液(KPL社)を加えて発色させ、波長450nm/630nmでの吸光度を測定した。結果を図8に示す。組換えMERS−NP(122−413)タンパク質を0.625ng/mLまで定量的に検出することができた。
[実施例5]イムノクロマトストリップによるMERS−NPの検出
実施例1で得られた7種類のモノクローナル抗体の内、抗原認識部位が異なる#20および#46を用いてイムノクロマトストリップを作製した。
まず、50mMのリン酸緩衝液(pH8.0)で抗MERS−NP抗体#46の終濃度が1.0mg/mL、抗マウス免疫イムノグロブリン抗体の終濃度が0.125mg/mLとなるように調製した。次に図9に示されるように、ニトロセルロースメンブレンのテストライン用に抗MERS−NP抗体#46、コントロールライン用に抗マウス免疫イムノグロブリン抗体を抗体塗布装置(武蔵エンジニアリング社)により線上に塗布した後に乾燥させた。乾燥後のメンブレンをブロッキングした後、純水で洗浄して乾燥させ、これをイムノクロマト用メンブレンとした。
実施例1で得られた7種類のモノクローナル抗体の内、抗原認識部位が異なる#20および#46を用いてイムノクロマトストリップを作製した。
まず、50mMのリン酸緩衝液(pH8.0)で抗MERS−NP抗体#46の終濃度が1.0mg/mL、抗マウス免疫イムノグロブリン抗体の終濃度が0.125mg/mLとなるように調製した。次に図9に示されるように、ニトロセルロースメンブレンのテストライン用に抗MERS−NP抗体#46、コントロールライン用に抗マウス免疫イムノグロブリン抗体を抗体塗布装置(武蔵エンジニアリング社)により線上に塗布した後に乾燥させた。乾燥後のメンブレンをブロッキングした後、純水で洗浄して乾燥させ、これをイムノクロマト用メンブレンとした。
次に、50mMのリン酸緩衝液(pH8.0)で抗MERS−NP抗体#20の終濃度が0.2mg/mLとなるように調製した。抗体溶液を金コロイド粒子に感作させた後、0.5%のカゼインナトリウム溶液を加えてブロッキングした。その後、金コロイド溶液を洗浄した後に、グラスファイバー製パッドに塗布して減圧乾燥し、コンジュゲートパッドとした。
上記のイムノクロマト用メンブレン、コンジュゲートパッドを図9に示すように貼り合せて切断し、イムノクロマトストリップとした。
イムノクロマトストリップに、20ng/mLから2倍ずつ展開液(20mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、1%ノニデット(登録商標) P−40、pH7.4)で段階希釈した組換えMERS−NP(122−413)タンパク質溶液を供して、約15分後にテストラインにおける呈色を目視で観察した。結果を図10に示す。簡便な操作で迅速に、組換えMERS−NP(122−413)タンパク質を5ng/mLまで検出することができた。
上記のイムノクロマト用メンブレン、コンジュゲートパッドを図9に示すように貼り合せて切断し、イムノクロマトストリップとした。
イムノクロマトストリップに、20ng/mLから2倍ずつ展開液(20mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、1%ノニデット(登録商標) P−40、pH7.4)で段階希釈した組換えMERS−NP(122−413)タンパク質溶液を供して、約15分後にテストラインにおける呈色を目視で観察した。結果を図10に示す。簡便な操作で迅速に、組換えMERS−NP(122−413)タンパク質を5ng/mLまで検出することができた。
[実施例6]フィルター抗原アッセイを用いたMERS−NPの発色検出
本発明において得られた7種類のモノクローナル抗体の内、抗原認識部位が異なる#29および#13を用いてフィルター抗原アッセイ法を実施した。
抗MERS−NP抗体(#29)をメンブレンフィルター(セルロース混合エステル、外形13mm、孔径0.45μm、メルクミリポア社)に0.5μg相当をスポットした後、メンブレンを自然乾燥させた。抗体を固定したメンブレンをブロックエース溶液(DSファーマバイオメディカル社)に浸漬した後、PBS−Tで余分なブロッキング液を洗い流した。そして、図11に示すように市販のフィルターホルダー(メルクミリポア社)に装着した。
本発明において得られた7種類のモノクローナル抗体の内、抗原認識部位が異なる#29および#13を用いてフィルター抗原アッセイ法を実施した。
抗MERS−NP抗体(#29)をメンブレンフィルター(セルロース混合エステル、外形13mm、孔径0.45μm、メルクミリポア社)に0.5μg相当をスポットした後、メンブレンを自然乾燥させた。抗体を固定したメンブレンをブロックエース溶液(DSファーマバイオメディカル社)に浸漬した後、PBS−Tで余分なブロッキング液を洗い流した。そして、図11に示すように市販のフィルターホルダー(メルクミリポア社)に装着した。
次に、試料の1、10、100、1000ng/mLの組換えMERS−NP(122−413)タンパク質溶液をシリンジ側からフィルターホルダーに通液してフィルター上の抗体に捕捉させ、その後PBS−T溶液を通液して洗浄した。さらに、蛍光標識(IRDye 700DX、LI-COR社)した抗MERS−NP抗体#13を通液後に、PBS−Tを続けて通液した。最後にフィルターホルダーからフィルターメンブレンを取り出し、サンドイッチ系が成立してメンブレン上に捕捉された蛍光標識抗体の量を蛍光スキャナー(Odyssey CLx、LI-COR社)で測定した。その結果、図12に示すように本方法で1ng/mLの組換えMERS−NP(122−413)タンパク質を定量的に検出することができた。
[実施例7]抗原捕捉ELISAによるMERSコロナウイルスのウイルス様粒子の検出
本発明で開発した実施例4に記載の抗原捕捉ELISAにより、組換えタンパク質のみならずウイルス粒子中のMERS−NPを検出できるかを確認するため、ウイルス様粒子(virus-like particle;VLP)を作製して調べた。なお、VLPとは、ヌクレオカプシドタンパク質(NP)、メンブレン(M)およびエンベロープ(E)を有するが、スパイク(S)および一本鎖(+)RNAを有さないため感染および増殖はしない、ウイルスの外部構造と類似した構造を有する粒子を指す。抗体は、天然に存在するウイルスに対する抗原抗体反応と同様にVLPに対して抗原抗体反応を示す。
VLPを調製するため、まずMERSのプロトタイプ株のNP、MおよびEをコードするcDNA塩基配列を合成した(ジーンウィズ社)。各配列をそれぞれ、配列番号2、23および24に示す。なお、遺伝子配列はアミノ酸配列を基に、ヒトでのタンパク質合成用にコドンを最適化させている。
合成した各人工遺伝子が挿入されたベクター(pUC57(ジーンウィズ社))を制限酵素KpnIとXhoI(NEB社)で切断したものを、アガロースゲル電気泳動により精製した。その後、DNA連結酵素(タカラバイオ社)によりNPをコードするDNA断片をpCAG-Neo(和光純薬社)に、MおよびEをコードするDNA断片をpcDNA3.1(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社)に挿入した。挿入したDNAベクターを大腸菌JM109株に形質転換し、アンピシリン含有LB培地に播種した。大腸菌を増殖させた後、菌体からDNAベクターをプラスミド精製キット(プロメガ社またはロシュ社)により調製した。
本発明で開発した実施例4に記載の抗原捕捉ELISAにより、組換えタンパク質のみならずウイルス粒子中のMERS−NPを検出できるかを確認するため、ウイルス様粒子(virus-like particle;VLP)を作製して調べた。なお、VLPとは、ヌクレオカプシドタンパク質(NP)、メンブレン(M)およびエンベロープ(E)を有するが、スパイク(S)および一本鎖(+)RNAを有さないため感染および増殖はしない、ウイルスの外部構造と類似した構造を有する粒子を指す。抗体は、天然に存在するウイルスに対する抗原抗体反応と同様にVLPに対して抗原抗体反応を示す。
VLPを調製するため、まずMERSのプロトタイプ株のNP、MおよびEをコードするcDNA塩基配列を合成した(ジーンウィズ社)。各配列をそれぞれ、配列番号2、23および24に示す。なお、遺伝子配列はアミノ酸配列を基に、ヒトでのタンパク質合成用にコドンを最適化させている。
合成した各人工遺伝子が挿入されたベクター(pUC57(ジーンウィズ社))を制限酵素KpnIとXhoI(NEB社)で切断したものを、アガロースゲル電気泳動により精製した。その後、DNA連結酵素(タカラバイオ社)によりNPをコードするDNA断片をpCAG-Neo(和光純薬社)に、MおよびEをコードするDNA断片をpcDNA3.1(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社)に挿入した。挿入したDNAベクターを大腸菌JM109株に形質転換し、アンピシリン含有LB培地に播種した。大腸菌を増殖させた後、菌体からDNAベクターをプラスミド精製キット(プロメガ社またはロシュ社)により調製した。
作製したDNAベクターをHEK293T細胞にポリエチレンイミン(ポリサイエンス社)を用いて遺伝子導入した。遺伝子導入した細胞を40時間培養してVLPを培養液中に放出させた後、培養上清を回収した。その培養上清を1000×gで10分間遠心した後、上清を孔径0.45μmのポリフッ化ビニリデン製フィルター(ミリポア社)でろ過した。ろ過液を遠心チューブに20%(w/v)ショ糖と重層して141,000×gで3時間超遠心した。得られた沈殿物をPBSで懸濁することによりVLPを回収した。調製したVLPは透過型電子顕微鏡解析によりウイルス粒子とほぼ同様な大きさである、約80〜120nm程度の粒子を形成していることを確認した。
本VLPを用いて実施例4に記載した抗原捕捉ELISAにより検出を試みた。なお、VLPはVLP中に含まれるMERS−NPの濃度が約11ng/mL相当となるように調製し、それをPBS−Tで2倍ずつ段階希釈した後、終濃度1%となるようにノニデット(登録商標)P−40を添加したものを用いた。結果を図13に示す。抗MERS−NP抗体#20および#46を用いた抗原捕捉ELISAにより、VLP中のMERS−NPを約0.7ng/mL程度まで定量的に検出することができた。
本VLPを用いて実施例4に記載した抗原捕捉ELISAにより検出を試みた。なお、VLPはVLP中に含まれるMERS−NPの濃度が約11ng/mL相当となるように調製し、それをPBS−Tで2倍ずつ段階希釈した後、終濃度1%となるようにノニデット(登録商標)P−40を添加したものを用いた。結果を図13に示す。抗MERS−NP抗体#20および#46を用いた抗原捕捉ELISAにより、VLP中のMERS−NPを約0.7ng/mL程度まで定量的に検出することができた。
[実施例8]イムノクロマトストリップによるMERSコロナウイルスのウイルス様粒子の検出
本発明で開発した実施例5に記載のイムノクロマトストリップにより、組換えタンパク質のみならずMERSコロナウイルスのVLPを検出できるか調べた。VLPは実施例7と同様な手法で作製し、展開液(20mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、1%ノニデット(登録商標)P−40、pH7.4)でVLP中に含まれるMERS−NPの濃度が約40ng/mL相当となるように調製し、それを展開液で2倍ずつ段階希釈したものを用いた。また、イムノクロマトストリップは実施例5に記載した手法で作製した後、ハウジングケースに装着したものを用いた。結果を図14に示す。抗MERS−NP抗体#20および#46を用いたイムノクロマトストリップにより、VLP中のMERS−NPを約5ng/mL程度まで定量的に検出することができた。
本発明で開発した実施例5に記載のイムノクロマトストリップにより、組換えタンパク質のみならずMERSコロナウイルスのVLPを検出できるか調べた。VLPは実施例7と同様な手法で作製し、展開液(20mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、1%ノニデット(登録商標)P−40、pH7.4)でVLP中に含まれるMERS−NPの濃度が約40ng/mL相当となるように調製し、それを展開液で2倍ずつ段階希釈したものを用いた。また、イムノクロマトストリップは実施例5に記載した手法で作製した後、ハウジングケースに装着したものを用いた。結果を図14に示す。抗MERS−NP抗体#20および#46を用いたイムノクロマトストリップにより、VLP中のMERS−NPを約5ng/mL程度まで定量的に検出することができた。
本発明は、種々のMERSコロナウイルス株を網羅的に検出し、かつ近縁のコロナウイルスは検出せず、MERSコロナウイルスのみを特異的に検出することができる。また、本発明により、MERSコロナウイルスを、正確、迅速かつ簡便に検出することができ、それによって、MERSコロナウイルスの感染拡大を阻止するための検査に役立てることができる。
Claims (10)
- MERS(中東呼吸器症候群)コロナウイルスのヌクレオカプシドを構成するタンパク質に特異的に結合する抗体またはその断片であって、前記抗体およびその断片の認識するエピトープが、配列番号1で表されるアミノ酸配列の208〜413番目にある、前記抗体またはその断片。
- エピトープが、配列番号1で表されるアミノ酸配列の208〜212番目または364〜413番目にある、請求項1に記載の抗体またはその断片。
- 抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1または2に記載の抗体またはその断片。
- 受領番号がNITE AP−02156またはNITE AP−02157であるハイブリドーマにより生産される、抗体またはその断片。
- その断片が、Fabフラグメント、Fab/cフラグメント、Fvフラグメント、Fab’フラグメントまたはF(ab’)2フラグメントである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の抗体またはその断片。
- MERSコロナウイルスを試料から検出する方法であって、試料を、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗体またはその断片と接触させる工程を含む方法。
- 試料が、生体由来の細胞および/または分泌物を含む体液である、請求項6に記載の方法。
- ELISA法、イムノクロマト法およびフィルター抗原アッセイ法からなる群から選択される少なくとも1つの免疫学的測定法によりMERSコロナウイルスを検出する工程をさらに含む、請求項6または7に記載の方法。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗体またはその断片を含む、MERSコロナウイルスを検出するためのキット。
- イムノクロマトストリップの形態である、請求項9に記載のキット。
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