JP2017136517A - プラズマ洗浄装置およびプラズマ洗浄方法 - Google Patents

プラズマ洗浄装置およびプラズマ洗浄方法 Download PDF

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Abstract

【課題】洗浄対象物を、その特性を変化させることなく、適切にプラズマ洗浄することができる技術を提供する。【解決手段】プラズマ洗浄装置100は、内部に洗浄対象物9が配置されるプラズマ洗浄室1と、プラズマ洗浄室1内に水を導入する水導入部2と、プラズマ洗浄室1内に導入された水をプラズマ化して水プラズマを形成するプラズマ形成部5と、プラズマ洗浄室1内に存在する所定の物質の量を測定する分析装置7と、分析装置7から得られる測定データに基づいてプラズマ洗浄の終了タイミングを決定し、決定された終了タイミングでプラズマ洗浄を終了させる制御部8と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、洗浄対象物(具体的には例えば、照明用などの白色LEDパッケージ)をプラズマ洗浄する技術に関する。
半導体製造の後工程では、半導体チップをエポキシ樹脂などの基板に搭載するダイボンディング、金属ワイヤで電極を接続するワイヤボンディング、そして樹脂でチップを封止するモールディングといった工程が行われるが、これら一連の工程の中の各段階で、製品の品質を向上させるために表面を洗浄、改質する必要がある。これらの洗浄は、乾燥が不要なドライ処理でかつ低温(室温付近)で行える洗浄方法であるプラズマ洗浄により行われることが多い。このプラズマ洗浄には、化学反応で有機物汚れを洗浄することができる酸素(O2)プラズマが用いられることが多い。
照明用などの白色LEDパッケージの製造工程においても、同様にダイボンディング、ワイヤボンディング、モールディングの各工程が行われ、これら一連の工程の中の各段階で表面を洗浄する必要がある。ただし、白色LEDパッケージにおいては、光を効率よく反射させるために、ケース電極に銀(Ag)めっきが用いられるという事情があり、このために、プラズマ洗浄の際に酸素プラズマを用いることができない。酸素プラズマは酸化作用が強いため、これで白色LEDパッケージをプラズマ洗浄すると、表面の銀が酸化して黒く変色するほか、酸化によりめっき剥がれが生じることがあるからである。
酸素プラズマを用いることができないため、白色LEDパッケージのプラズマ洗浄には、アルゴン(Ar)プラズマが使用されることが多い。しかしながら、銀は金等の他の材料と比較してスパッタされ易いという特性を持つため、白色LEDパッケージをアルゴンプラズマでプラズマ洗浄すると、アルゴンプラズマのエネルギーを低く抑えても、表面の銀が多少はスパッタされてしまう。銀がスパッタされてしまうと、スパッタされた銀がLEDチップの保護膜等に再付着して、照度の低下やリーク電流の増加の原因となってしまう虞がある。
そこで、水蒸気(H2O)をプラズマ化したプラズマガス(水(H2O)プラズマ)で、白色LEDパッケージのプラズマ洗浄を行う技術が提案されている(特許文献1)。水プラズマを用いれば、酸素プラズマのように銀を酸化させることなく、また、アルゴンプラズマのように銀をスパッタすることもなく、有機物汚れを十分に洗浄できることがわかっている。また、水蒸気は安全なガスであり、扱いが容易であるという利点もある。
特開2015-160192号公報
上記の通り、水プラズマを用いたプラズマ洗浄は、酸化されやすい物質やスパッタされやすい物質が表面に存在している洗浄対象物(例えば、白色LEDパッケージ等のように銀を表面に含む洗浄対象物)を洗浄する手法として非常に有効である。しかし、水プラズマには原子状の水素が含まれるため、水プラズマを用いたプラズマ洗浄においては、洗浄対象物が原子状の水素にさらされる。原子状の水素は洗浄対象物に高抵抗膜を形成する働きがあるため(所謂、水素パッシベーション)、プラズマ処理の時間が洗浄に必要な時間よりも長くなると、洗浄対象物に高抵抗膜が形成されて、洗浄対象物の特性が変化する虞がある。
本発明が解決しようとする課題は、洗浄対象物を、その特性を変化させることなく、適切にプラズマ洗浄することができる技術を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、プラズマ洗浄装置であって、
内部に洗浄対象物が配置されるプラズマ洗浄室と、
前記プラズマ洗浄室内に水を導入する水導入部と、
前記プラズマ洗浄室内に導入された水をプラズマ化して水プラズマを形成するプラズマ形成部と、
前記プラズマ洗浄室内に存在する所定の物質の量を測定する分析装置と、
前記分析装置から得られる測定データに基づいてプラズマ洗浄の終了タイミングを決定し、決定された前記終了タイミングでプラズマ洗浄を終了させる制御部と、
を備える。
この構成においては、プラズマ洗浄室内に水プラズマを形成して洗浄対象物をプラズマ洗浄するときに、プラズマ洗浄室内に存在する所定の物質の量を分析装置で測定して、得られた測定データに基づいてプラズマ洗浄の終了タイミングを決定する。
ここでいう「所定の物質」は、例えば、下記(i)〜(iii)に例示される各種物質から選択された1以上の物質である。
(i)プラズマ洗浄室内に形成されているプラズマに由来する物質(プラズマ洗浄室内に水プラズマが形成される上記の構成においては、具体的には、原子状水素(H)、ヒドロキシルラジカル(OH)、原子状酸素(O)、等)
(ii)洗浄対象物に由来する物質(例えば、洗浄対象物が表面に銀を含むものである場合、銀(Ag)、あるいはその化合物)
(iii)洗浄対象物に付着している物質に由来する物質(具体的には、例えば、洗浄対象物に付着している有機物とプラズマに由来する物質とが反応することにより生成した、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、等)
プラズマ洗浄室内に存在する所定の物質の量を観察することで、プラズマ洗浄室内でどのような化学反応が進行しているかを把握することが可能となり、原子状水素が洗浄対象物に高抵抗膜の形成を開始する前のタイミングでプラズマ洗浄を終了させることができる。したがって、洗浄対象物の特性を変化させることなく、当該洗浄対象物を適切にプラズマ洗浄することができる。
水プラズマを用いたプラズマ洗浄によると、例えば洗浄対象物の表面に銀が含まれている場合に、酸化銀をほとんど生成させずに洗浄対象物に付着している有機物汚れを除去することができる。また、水プラズマを用いたプラズマ洗浄によると、洗浄対象物の表面にはじめから(すなわち、プラズマ洗浄を施す前から)酸化銀が存在している場合に、有機物汚れを除去するだけでなく、表面の酸化銀を還元して銀に戻すことができる。本発明の発明者達は、その理由を次のように推測した。
すなわち、本発明の発明者達が、表面に銀を含む洗浄対象物を水プラズマでプラズマ洗浄するときにプラズマ洗浄室内に存在する物質の種類と量を分析装置を用いてモニタリングした結果、水プラズマが生成されたプラズマ洗浄室内には、ヒドロキシルラジカル、原子状水素、および、原子状酸素、が存在していることが確認された。そして発明者達は、プラズマ洗浄が進行するにつれて、これら各物質の量が時間と共にどのように変化するかを測定し、その測定結果に基づいて、プラズマ洗浄が進行する間プラズマ洗浄室では次の(1)〜(3)の化学反応が起こっていると推測することができた。
(1)原子状酸素とヒドロキシルラジカルが、洗浄対象物に付着している有機物汚れと結合する化学反応
この化学反応によって、洗浄対象物から有機物汚れが除去される。つまり、プラズマ洗浄室内にある原子状酸素とヒドロキシルラジカルは、洗浄対象物の有機物汚れの除去に寄与している。
(2)原子状酸素とヒドロキシルラジカルが、銀と結合する化学反応(所謂、酸化)
2Ag+O→Ag2O
2Ag+2OH→Ag2O+H2O
2Ag+OH→Ag2O+(1/2)H2
この化学反応によって洗浄対象物の表面に含まれる銀が酸化されて酸化銀が生成される。つまり、プラズマ洗浄室内にある原子状酸素とヒドロキシルラジカルは、有機物汚れの除去に寄与する一方で、銀の酸化を引き起こす要因ともなっている。
(3)原子状水素と酸化銀とが結合する化学反応(所謂、還元)
Ag2O+H→2Ag+OH
Ag2O+2H→2Ag+H2O
この化学反応によって洗浄対象物の表面に生成された酸化銀が還元される。つまり、水プラズマに含まれる原子状酸素とヒドロキシルラジカルは、有機物汚れの除去に寄与する一方で、銀の酸化を引き起こしてしまうところ、生成された酸化銀は、水プラズマに含まれる原子状水素によって還元されて、銀に戻る。このために、結果的に、酸化銀をほとんど生成させずに洗浄対象物に付着している有機物汚れを除去することができると考えられる。また、洗浄対象物の表面に、はじめから酸化銀が存在している場合にも、当該酸化銀が水プラズマに含まれる原子状水素によって還元されて銀に戻るので、当該洗浄対象物の有機物汚れを除去しつつ、表面の酸化銀を銀に戻すことができると考えられる。
また、好ましくは、前記プラズマ洗浄装置では、
前記制御部が、
前記プラズマ洗浄室内に存在する原子状酸素の単位時間あたりの消費量が、予め定められた値以下になったタイミングを、前記終了タイミングと決定する。
ここで、「予め定められた値」は、十分小さな値(例えば、消費量がほぼゼロになったとみなせる程度に小さな値)であることが好ましい。
プラズマ洗浄が行われる間、プラズマ洗浄室内では、上記の通り、原子状酸素が洗浄対象物に付着している有機物汚れと結合する化学反応が起こっており、洗浄対象物に付着している有機物汚れがなくなると、原子状酸素の単位時間あたりの消費量がほぼゼロになると推測される。上記の構成によると、当該消費量が十分小さくなったタイミングでプラズマ洗浄を終了させるので、有機物汚れが十分に除去された時点でプラズマ洗浄を終了させることができる。したがって、プラズマ処理の時間が洗浄に必要な時間以上に長くなることにより洗浄対象物の特性が変化してしまうことを回避できる。またプラズマ処理の時間を必要最小限に抑えることによって、プラズマ洗浄装置のスループットを向上させることもできる。
また、好ましくは、前記プラズマ洗浄装置では、
前記制御部が、
前記プラズマ洗浄室内に存在する一酸化炭素と二酸化炭素のうちの少なくとも一方の単位時間あたりの生成量が、予め定められた値以下になったタイミングを、前記終了タイミングと決定する。
ここでも、「予め定められた値」は、十分小さな値(例えば、消費量がほぼゼロになったとみなせる程度に小さな値)であることが好ましい。
プラズマ洗浄が行われる間、プラズマ洗浄室内では、上記の通り、原子状酸素とヒドロキシルラジカルが洗浄対象物に付着している有機物汚れと結合する化学反応が起こっており、この化学反応によって一酸化炭素や二酸化炭素が生成されるため、洗浄対象物に付着している有機物汚れがなくなると、一酸化炭素、二酸化炭素、あるいは、それら両方の単位時間あたりの生成量がほぼゼロになると推測される。上記の構成によると、当該生成量が十分小さくなったタイミングでプラズマ洗浄を終了させるので、有機物汚れが十分に除去された時点でプラズマ洗浄を終了させることができる。したがって、プラズマ処理の時間が洗浄に必要な時間以上に長くなることにより洗浄対象物の特性が変化してしまうことを回避できる。またプラズマ処理の時間を必要最小限に抑えることによって、プラズマ洗浄装置のスループットを向上させることもできる。
好ましくは、前記プラズマ洗浄装置では、
前記洗浄対象物の表面に銀が含まれており、
前記制御部が、
前記プラズマ洗浄室内に存在する原子状水素の単位時間あたりの消費量が、予め定められた値以下になったタイミングを、前記終了タイミングと決定する。
ここでも、「予め定められた値」は、十分小さな値(例えば、消費量がほぼゼロになったとみなせる程度に小さな値)であることが好ましい。
表面に銀を含む洗浄対象物のプラズマ洗浄が行われる間、プラズマ洗浄室内では、上記の通り、原子状水素によって酸化銀が還元される化学反応が起こっており、酸化銀が全て還元されると、原子状水素の単位時間あたりの消費量がほぼゼロになると推測される。そして、酸化銀の還元が終了してからもプラズマ処理が継続されてしまうと、原子状水素が洗浄対象物に高抵抗膜を形成する化学反応が進行する可能性があると考えられる。上記の構成によると、当該消費量が十分小さくなったタイミングでプラズマ洗浄を終了させるので、酸化銀が全て還元され、かつ、洗浄対象物に高抵抗膜が形成される前のタイミングで、プラズマ処理を終了させることができる。
好ましくは、前記プラズマ洗浄装置は、
前記プラズマ洗浄室内に水を導入する際に、併せて酸素ガスを導入する酸素ガス導入部、
をさらに備え、
前記プラズマ形成部が、水と酸素ガスとから成る混合ガスをプラズマ化する。
この構成によると、プラズマ洗浄室内に存在する原子状酸素の量を増加させることによって、有機物汚れの洗浄効果を高めることができる。
本発明の発明者達は、水と酸素ガスの混合比が異なる各混合ガスをプラズマ化して、当該プラズマ内に存在する物質の種類と量を分析装置を用いて測定した。その結果、混合ガスにおける酸素ガスの濃度が高くなるにつれて、原子状酸素の量が増加するとともにヒドロキシルラジカルと原子状水素の量が減少することがわかった。そして、酸素ガスの濃度が80%を超えると、ヒドロキシルラジカルと原子状水素の減少率が急激に高まることもわかった。さらに、原子状酸素の量が増えると有機物汚れの洗浄効率が高まるが、その一方で、銀の酸化も促進されるところ、混合ガスにおける酸素ガスの濃度が80%以下であれば、十分な量の原子状水素がプラズマ内に存在しているため、生成された酸化銀を当該原子状水素で十分に還元することができることが確認された。したがって、上記の構成において、混合ガスにおける酸素ガスの濃度(体積比)は、80%以下であることが好ましい。
好ましくは、前記プラズマ洗浄装置において、
前記分析装置が、発光分光分析装置、あるいは、質量分析装置である。
発光分光分析装置、あるいは、質量分析装置で、プラズマ洗浄室内に存在する所定の物質の量を測定する構成によると、プラズマ洗浄室内で進行している化学反応をリアルタイムで把握することができる。したがって、プラズマ洗浄室内がプラズマ洗浄を終了させるべき状態になった時点から、有意なタイムラグを生じさせることなくプラズマ洗浄を適切に終了させることができる。例えば、特定の化学物質と反応して変色するインジケータ(例えば、特開2013-095765に開示のインジケータ)を用いてプラズマ洗浄室内で進行している化学反応を把握しようとした場合、当該特定の化学物質がプラズマ洗浄室に発生してからインジケータが変色するまでに一定の時間がかかってしまう。また、インジケータをプラズマ洗浄室から取り出して変色を確認する必要がある。このため、プラズマ洗浄の終了をイン・サイチュ(in situ)で評価できない可能性が高い。上記の構成ではそのような遅れが生じない。
また、本発明は、プラズマ洗浄方法にも適用される。
当該プラズマ洗浄方法は、
洗浄対象物が配置されたプラズマ洗浄室内に水を導入してこれをプラズマ化して水プラズマを形成し、前記水プラズマで前記洗浄対象物をプラズマ洗浄する工程と、
前記プラズマ洗浄室内に存在する所定の物質の量を分析装置で測定し、得られた測定データに基づいてプラズマ洗浄の終了タイミングを決定する工程と、
決定された前記終了タイミングでプラズマ洗浄を終了させる工程と、
を含む。
本発明によると、プラズマ洗浄室内に水プラズマを形成して洗浄対象物をプラズマ洗浄するときに、プラズマ洗浄室内に存在する所定の物質の量を分析装置で測定して、得られた測定データに基づいてプラズマ洗浄の終了タイミングを決定する。プラズマ洗浄室内に存在する所定の物質の量を観察することで、プラズマ洗浄室内でどのような化学反応が進行しているかを把握することが可能となり、原子状の水素が洗浄対象物に高抵抗膜を形成開始する前のタイミングでプラズマ洗浄を終了させることができる。したがって、洗浄対象物の特性を変化させることなく、当該洗浄対象物を適切にプラズマ洗浄できる。
実施形態に係るプラズマ洗浄装置の概略構成図。 プラズマ洗浄装置で行われる処理の流れの一例を示す図。 処理空間に水プラズマが形成されているときに分析装置から取得される測定データの一例を示す図(a)、および、処理空間に酸素プラズマが形成されているときに分析装置から取得される測定データの一例を示す図(b)。 原子状酸素および一酸化炭素の各発光強度の経時変化を示す図。 二酸化炭素および一酸化炭素の各信号強度の経時変化を示す図。 原子状水素の発光強度の経時変化を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<1.装置構成>
図1には、実施形態に係るプラズマ洗浄装置100の概略構成図が示されている。この図から明らかなように、プラズマ洗浄装置100は、平行平板型(容量結合型)プラズマ処理装置である。
プラズマ洗浄装置100は、洗浄対象物9が配置される処理空間Vを内部に形成するプラズマ洗浄室1と、処理空間Vに水(具体的には、気体状の水である水蒸気)を導入する水導入部2と、処理空間Vに酸素ガスを導入する酸素ガス導入部3と、処理空間Vを排気する排気部4と、処理空間Vに対向配置された一対の電極5,6と、処理空間Vに存在する物質の種類と量を測定する分析装置7と、これら各部を制御する制御部8と、を主として備える。
プラズマ洗浄室1には、処理空間V内にガスを導入するガス導入口11と、処理空間V内を排気するための排気口12とが設けられている。ガス導入口11には、後述する配管22,32が接続されている。また、排気口12には、後述する配管42が接続されている。また、プラズマ洗浄室1には、処理空間Vを分析装置7と連通させるための開口13が設けられている。分析装置7として、発光分光分析装置が用いられる場合、この開口13には、処理空間Vに存在する所定の物質(後述する)から放射される電磁波を透過させる材料(例えば石英)により形成される窓部材14がはめこまれる。
水導入部2は、一端がガス導入口11と接続され、他端が水供給源21と接続された、配管22を備える。配管22の途中には、バルブ23と、配管22を流れるガスの流量を自動調整するマスフローコントローラ24と、導入される流体を気化する(ここでは、水を気化して水蒸気とする)ヴェーパライザ(気化装置)25とが設けられている。これら各部23,24,25は制御部8と電気的に接続されており、制御部8によって処理空間Vへの水蒸気の導入及び停止が制御される。
酸素ガス導入部3は、一端がガス導入口11と接続され、他端が酸素ガス給源31と接続された、配管32を備える。配管32の途中には、バルブ33と、配管32を流れるガスの流量を自動調整するマスフローコントローラ34とが設けられている。これら各部33,34は制御部8と電気的に接続されており、制御部8によって、処理空間Vへの酸素ガスの導入及び停止が制御される。
排気部4は、一端が排気口12と接続され、他端が排気ラインに接続された、配管42を備える。配管42の途中には、バルブ43と、真空ポンプ44とが設けられている。これら各部43,44は制御部8と電気的に接続されており、制御部8によって、処理空間V内からのガスの排気が制御される。
プラズマ洗浄室1内に対向配置された一対の電極5,6のうち、一方の電極5には、RF電源51およびコンデンサ52を介して電力が供給される(以下、この電極5を「パワード電極5」と呼ぶ)。また、他方の電極6は、接地される(以下、この電極6を「接地電極6」と呼ぶ)。この構成において、パワード電極5にRF電力が供給されることによって、処理空間V内に導入されているガスがプラズマ化される。なお、このプラズマ洗浄装置100では、パワード電極5上に洗浄対象物9を載置するRIE(Reactive Ion Etching)モード、接地電極6上に洗浄対象物9を載置するPE(Plasma Etching)モードの二つのモードから選択してプラズマ洗浄を行うことができるが、この実施形態では、例えばPEモードでプラズマ洗浄を行うものとする。つまり、洗浄対象物9は、図1に示されるように、接地電極6上に載置される。
分析装置7は、処理空間Vに存在する物質の種類と量を測定する装置であり、具体的には例えば、発光分光分析装置(Optical Emission Spectrometer)により形成される。処理空間Vに存在する物質から放射される電磁波は、窓部材14を介して分析装置7の分光器(図示省略)に入射し、ここで波長毎に分光された電磁波が検出器(図示省略)で検出されることによって、処理空間Vに存在する物質の種類と量(具体的には、発光波長と発光強度)とを示す測定データ(図3参照)が取得される。もっとも、分析装置7は、発光分光分析装置に限られるものではなく、これ以外の各種の分析装置であってよい。例えば、質量分析装置(例えば、四重極型質量分析装置(Quadrupol Mass Spectrometer))であってもよい。分析装置7は制御部8と電気的に接続されており、分析装置7で取得された測定データは制御部8に送られる。
制御部8には、分析装置7から送られてくる測定データに基づいてプラズマ洗浄を終了させるタイミング(終了タイミング)を決定する終了タイミング決定部81と、決定された終了タイミングでプラズマ洗浄を終了させる終了制御部82と、を備える。なお、制御部8は、パーソナルコンピュータをハードウエア資源とし、該パーソナルコンピュータにインストールされた専用の制御・処理ソフトウエアを実行することにより、当該各機能ブロック81,82が具現化される構成とすることができる。
<2.処理の流れ>
図2は、プラズマ洗浄装置100で行われる処理の流れの一例を示す図である。ここでの洗浄対象物9は、例えば、表面に銀のケース電極が露出した、樹脂封止前の白色LEDパッケージであるとする。もっとも、洗浄対象物9は、樹脂封止前の白色LEDパッケージに限るものではない。ただし、以下の処理態様に係るプラズマ洗浄は、樹脂封止前の白色LEDパッケージのように、表面に酸化されやすい金属等が存在しているもの、また、表面にスパッタされやすい物質が露出しているもの、を洗浄するのに特に適している。
まず、図示しない搬入口を介して洗浄対象物9をプラズマ洗浄室11に搬入し、接地電極6上に載置する(ステップS1)。そして、静電チャック等で洗浄対象物9を接地電極6に固定する。
洗浄対象物9が搬入されると、搬入口を閉鎖してプラズマ洗浄室1を密閉した後、水蒸気および酸素ガスの処理空間Vへの導入を開始し、これと同時に、排気口12に接続された真空ポンプ44による処理空間Vの排気を開始する(ステップS2)。なお、酸素ガスの導入は必須ではなく、水蒸気の導入のみを行ってもよい。
続いて、分析装置7による測定(モニタリング)を開始する(ステップS3)。すなわち、分析装置7で、各時刻に処理空間Vに存在する物質の種類と量を示す測定データがリアルタイムで次々と取得されて、制御部8へ送られる。
続いて、パワード電極5に高周波電力を印加する(ステップS4)。これによって、処理空間V内に導入されているガス(具体的には、水蒸気と酸素ガスとの混合ガス)がプラズマ化され、洗浄対象物9の上部に当該混合ガスのプラズマが生成される。酸素ガスの導入が行われていない場合は、処理空間V内に導入されている水蒸気がプラズマ化されて、洗浄対象物9の上部に水プラズマが生成されることになる。洗浄対象物9の上部に当該混合ガスのプラズマ(あるいは、水プラズマ)が生成されることによって、洗浄対象物9のプラズマ洗浄が進行する。
図3(a)には、処理空間Vに水プラズマが形成されているときに分析装置7から取得される測定データの一例が示されている。この測定データから、処理空間Vに水プラズマが形成されているときには、処理空間Vに、比較的多量のヒドロキシルラジカル、比較的多量の原子状水素、および、比較的少量の原子状酸素が存在することがわかる。処理空間Vに水蒸気と酸素ガスの混合ガスのプラズマが形成されている場合は、原子状酸素の量がさらに増加すると考えられる。処理空間V内に存在するヒドロキシルラジカルおよび原子状酸素によって、洗浄対象物9に付着している有機物汚れが除去される(上述した化学反応(1))。また、原子状酸素とヒドロキシルラジカルは、銀の酸化も引き起こすところ(上述した化学反応(2))、生成された酸化銀(および、洗浄対象物9にはじめから存在していた酸化銀)は、処理空間V内に存在する原子状水素によって還元されて、銀に戻る(上述した化学反応(3))。このために、酸化銀をほとんど生成させずに(あるいは、洗浄対象物9にはじめから存在していた酸化銀を銀に戻しつつ)、洗浄対象物9に付着している有機物汚れを除去することができると考えられる。
なお、図3(b)には、比較例として、処理空間Vに酸素ガスのみを供給してこれをプラズマ化したとき(すなわち、酸素プラズマのみが形成されているとき)に分析装置7から取得される測定データの一例が示されている。図3(a)と図3(b)を比較すると、ヒドロキシルラジカルおよび原子状水素は、処理空間Vに酸素プラズマのみが形成されているときは存在せず、処理空間Vに水プラズマが形成されているときに限って存在することがわかる。したがって、処理空間Vに酸素ガスのみを供給した場合は、処理空間V内に存在する原子状酸素によって、洗浄対象物9に付着している有機物汚れが除去されるものの、原子状水素が存在しないために、原子状酸素によって引き起こされた銀の酸化は還元されない。このために、洗浄対象物9に付着している有機物汚れの除去とともに、洗浄対象物9の表面にある銀の酸化も進んでしまう。
プラズマ洗浄が進行する間、制御部8においては、終了タイミング決定部81が、分析装置7から取得した測定データに基づいて、所定の物質の量が時間と共にどのように変化するか(経時変化)を監視しており、当該変化の態様に基づいてプラズマ洗浄の終了タイミングを決定する。終了タイミング決定部81が終了タイミングを決定する具体的な態様は後述する。
終了タイミング決定部81が終了タイミングが到来したと判断すると(ステップS5でYES)、終了制御部82が、プラズマ洗浄を終了させる(ステップS6)。具体的には、終了制御部82は、バルブ23,33を閉鎖して水蒸気および酸素ガスの供給を停止し、高周波電力の供給を停止する。
プラズマ洗浄が終了すると、処理空間Vが大気圧に戻され、洗浄対象物9がプラズマ洗浄室11から搬出される(ステップS7)。
<3.終了タイミングの決定>
上述した通り、分析装置7による測定が開始されると、取得された測定データが次々と制御部8に送られる。終了タイミング決定部81は、分析装置7から次々と送られてくる測定データに基づいて、所定の物質の量(具体的には、所定の物質に対応する波長領域における発光強度(分析装置7が発光分光分析装置の場合)や、所定の物質に対応する質量数における信号強度(分析装置7が質量分析装置の場合))の経時変化を監視し、これに基づいてプラズマ洗浄の終了タイミングを決定する。ただし、この「所定の物質」は、上述したとおり、(i)処理空間Vに形成されているプラズマ(具体的には、水蒸気と酸素ガスとの混合ガスのプラズマ、あるいは、水プラズマ)に由来する物質、(ii)洗浄対象物9に由来する物質、または、(iii)洗浄対象物に付着している物質に由来する物質、のうちの少なくとも一つの物質である。
以下に、終了タイミング決定部81がプラズマ洗浄の終了タイミングを決定する態様に係る3個の実施例について、説明する。
<実施例1>
この実施例では、「(i)処理空間Vに形成されているプラズマに由来する物質」である原子状酸素と、「(iii)洗浄対象物9に付着している物質に由来する物質」である一酸化炭素(CO)とのうちの少なくとも1つが「所定の物質」とされる。つまり、原子状酸素、あるいは一酸化炭素、あるいはこれらの両方が、分析装置7における測定対象とされ、終了タイミング決定部81は、当該測定対象とされた物質の量の経時変化を監視し、これに基づいてプラズマ洗浄の終了タイミングを決定する。
図4は、プラズマ洗浄装置100としてサムコ株式会社製のプラズマ洗浄装置:PC-300を用い、分析装置7として浜松ホトニクス株式会社製の発光分光測定機:品番C7460の検出部を用いて測定データを取得し、当該測定データに基づいて特定された、原子状酸素(周波数:777nm)および一酸化炭素(周波数:484nm)の各発光強度の経時変化を示す図である。
なお、このデータを取得するにあたっては、次の処理条件でプラズマ洗浄を行った。すなわち、水蒸気の導入量は6sccmとし、酸素ガスの導入量は14sccmとし、処理空間Vの圧力は、およそ12Paに維持した。また、分析装置7による測定の開始から300秒後に、パワード電極5に250Wの高周波電力を印加した。また、表面にフォトレジスト(炭化水素)を有するウェハを洗浄対象物9とした。
図4からわかるように、高周波電力の印加が開始されると、原子状酸素からの発光が検出され、しばらくの間は原子状酸素の発光強度はほとんど変化しない(時間帯T1)。そして、時刻t1を境に原子状酸素の発光強度が徐々に高まり(時間帯T2)、時刻t2以降は再び原子状酸素の発光強度はほぼ一定になる(時間帯T3)。
一方、原子状酸素の発光が検出された後、一酸化炭素の発光強度が徐々に高まり、ある時刻からはほぼ一定に推移する。そして、原子状酸素の発光強度が高まり始める時刻t1とほぼ同じ時刻を境に、一酸化炭素の発光強度は徐々に低下し(時間帯T2)、時刻t2とほぼ同じ時刻を境にして一酸化炭素の発光強度もほぼ一定になる(時間帯T3)。
高周波電力の印加が開始されてからしばらくの間(時間帯T1)は、原子状酸素がウェハ上の有機物(ここでは、フォトレジスト)を分解する化学反応が進行し、当該化学反応に原子状酸素が消費されるとともに、当該化学反応で一酸化炭素が生成されていると考えられる。また、時間帯T2では、フォトレジストの残量が少なくなってきたために、原子状酸素の消費量が減少し、一酸化炭素の生成量も減少していると考えられる。そして、時間帯T3では、フォトレジストが完全に消滅したために、原子状酸素の消費量がゼロとなっており、一酸化炭素の生成量もゼロになっていると考えられる。つまり、原子状酸素あるいは一酸化炭素の量(具体的には、発光強度)の変化率がゼロ(あるいは、十分小さい値)となるタイミングt2が、フォトレジストがほぼ全て分解されてウェハ上から消滅したタイミングとほぼ一致すると推定できる。事実、上記の処理条件において、時刻t2と略一致する時刻(具体的には、分析装置7による測定の開始から約600秒後)にプラズマ洗浄を終了させてウェハをプラズマ洗浄装置100から搬出したところ、ウェハの表面からレジストが全て除去されていることが確認された。
そこで、終了タイミング決定部81は、このタイミングt2で、プラズマ洗浄を終了させる。具体的には、終了タイミング決定部81は、原子状酸素の発光強度が緩やかに増加した後、その増加率がほぼゼロとなったか否か(具体的には、予め定められた値以下になったか否か)を判断し、これで肯定的な判断が得られた場合に、当該時刻を終了タイミングと決定する。あるいは、終了タイミング決定部81は、一酸化炭素の発光強度が緩やかに減少した後、その減少率がほぼゼロとなったか否か(具体的には、予め定められた値以下になったか否か)を判断し、これで肯定的な判断が得られた場合に、当該時刻を終了タイミングと決定する。
このようなタイミングt2でプラズマ洗浄を終了させることによって、洗浄対象物9に付着している有機物が十分に除去された段階でプラズマ洗浄を終了させることができ、プラズマ処理の時間が洗浄に必要な時間以上に長くなることにより洗浄対象物9の特性が変化することを回避できる。また、プラズマ処理の時間を必要最小限に抑えることによって、プラズマ洗浄装置100のスループットを向上させることもできる。
<実施例2>
この実施例では、「(iii)洗浄対象物9に付着している物質に由来する物質」である一酸化炭素および二酸化炭素とのうちの少なくとも1つが「所定の物質」とされる。つまり、一酸化炭素、あるいは二酸化炭素、あるいはこれらの両方が、分析装置7における測定対象とされ、終了タイミング決定部81は、当該測定対象とされた物質の量の経時変化を監視し、これに基づいてプラズマ洗浄の終了タイミングを決定する。
図5は、プラズマ洗浄装置100としてサムコ株式会社製のプラズマ洗浄装置:PC-300を用い、分析装置7としてHyden社製の四重極質量分析器:品番EQP analyzer series1000を用いて測定データを取得し、当該測定データに基づいて特定された、二酸化炭素(分子量44)、および、一酸化炭素(分子量28)の各信号強度(カウント/秒)の経時変化を示す図である。
なお、このデータを取得するにあたっては、分析装置7による測定の開始から60秒後に、パワード電極5に125Wの高周波電力を印加した。その他の処理条件は、実施例1の処理条件と同じとした。なお、ここでは、分析装置7の測定が60秒毎に行われているため、測定開始から60秒後に取得された測定値が、時刻「0」にプロットされている。また、この時刻「0」に検出されている二酸化炭素および一酸化炭素は、処理空間Vにおけるこれら物質のバックグラウンド濃度であると考えられる。すなわち、この時刻「0」に検出されている二酸化炭素および一酸化炭素は、プラズマ処理に由来するものではない。
図5からわかるように、高周波電力の印加が開始されると、二酸化炭素および一酸化炭素の増加がそれぞれ検出され、しばらくの間は各物質の信号強度はほとんど変化しない(時間帯T11)。そして、時刻t11を境に、二酸化炭素および一酸化炭素の信号強度が徐々に弱まり(時間帯T12)、時刻t12以降は再び、二酸化炭素および一酸化炭素の信号強度はほぼ一定になる(時間帯T13)。
高周波電力の印加が開始されてからしばらくの間(時間帯T11)は、ウェハ上の有機物(ここでは、フォトレジスト)が分解される化学反応が進行し、当該化学反応で二酸化炭素および一酸化炭素が生成されていると考えられる。また、時間帯T12では、フォトレジストの残量が少なくなってきたために、二酸化炭素および一酸化炭素の生成量も減少していると考えられる。そして、時間帯T13では、フォトレジストが完全に消滅したために、二酸化炭素および一酸化炭素の生成量がゼロになっていると考えられる。つまり、二酸化炭素あるいは一酸化炭素の量(具体的には、信号強度)の変化率がゼロ(あるいは、十分小さい値)となるタイミングt12が、フォトレジストがほぼ全て分解されてウェハ上から消滅したタイミングとほぼ一致すると推定できる。事実、上記の処理条件において、時刻t12と略一致する時刻(具体的には、分析装置7による測定の開始から約550秒後)にプラズマ洗浄を終了させてウェハをプラズマ洗浄装置100から搬出したところ、ウェハ表面からレジストが全て除去されていることが確認された。
なお、実施例2で高周波電圧が印加開始されてからタイミングt12が到来するまでの時間は、実施例1で高周波電圧が印加開始されてからタイミングt2が到来するまでの時間よりも長いが、これは、実施例1では高周波電力が250Wに設定されていたのに対し、実施例2ではそれが125Wに設定されていたため、アッシング速度が低下したためと考えられる。
そこで、終了タイミング決定部81は、このタイミングt12で、プラズマ洗浄を終了させる。具体的には、終了タイミング決定部81は、二酸化炭素あるいは一酸化炭素の信号強度が緩やかに減少した後、その減少率がほぼゼロとなったか否か(具体的には、予め定められた値以下になったか否か)を判断し、これで肯定的な判断が得られた場合に、当該時刻を終了タイミングと決定する。
このようなタイミングt12でプラズマ洗浄を終了させることによって、実施例1と同様、洗浄対象物9に付着している有機物が十分に除去された段階でプラズマ洗浄を終了させることができ、プラズマ処理の時間が洗浄に必要な時間以上に長くなることにより洗浄対象物9の特性が変化することを回避できる。また、プラズマ処理の時間を必要最小限に抑えることによって、プラズマ洗浄装置100のスループットを向上させることもできる。
<実施例3>
この実施例では、「(i)処理空間Vに形成されているプラズマに由来する物質」である原子状水素が「所定の物質」とされる。つまり、原子状水素が、分析装置7における測定対象とされ、終了タイミング決定部81は、原子状水素の量の経時変化を監視し、これに基づいてプラズマ洗浄の終了タイミングを決定する。
図6は、実施例1と同様、プラズマ洗浄装置100としてサムコ株式会社製のプラズマ洗浄装置:PC-300を用い、分析装置7として浜松ホトニクス株式会社製の発光分光測定機:品番C7460の検出部を用いて測定データを取得し、当該測定データに基づいて特定された、原子状水素(周波数:657nm)の発光強度の経時変化を示す図である。
なお、このデータを取得するにあたっては、分析装置7による測定の開始から5秒後に、パワード電極5への高周波電力を印加した。また、LED用の銀製フレームであって表面が黒色を呈するほどに酸化されたフレームを洗浄対象物9とした。その他の処理条件は、実施例1の処理条件と同じとした。
図6からわかるように、高周波電力の印加が開始されると、原子状水素からの発光が検出され、しばらくの間、原子状水素の発光強度は徐々に高まり続ける(時間帯T21)。そして、時刻t21を境に原子状水素の発光強度はほぼ一定になる(時間帯T22)。
高周波電力の印加が開始されてからしばらくの間(時間帯T21)は、原子状水素がフレーム上の酸化銀を還元する化学反応(還元反応)が進行していると考えられる。この還元反応は、フレームに形成されている酸化銀の周囲部から始まって徐々に中心部に向かうように進行するので、時間が経つにつれて還元される面積が小さくなる。このために、時間が経つにつれて原子状水素の消費量が少なくなっている(すなわち、原子状水素の発光強度が徐々に高まっている)と考えられる。そして、時間帯T22では、酸化銀が全て還元されたために、原子状水素の消費量がゼロになっていると考えられる。つまり、原子状水素の量(具体的には、発光強度)の変化率がゼロ(あるいは、十分小さい値)となるタイミングt21が、フレーム上から酸化銀がほぼ全て消滅したタイミングとほぼ一致すると推定できる。事実、上記の処理条件において、時刻t21と略一致する時刻(具体的には、分析装置7による測定の開始から約55秒後)にプラズマ洗浄を終了させてフレームをプラズマ洗浄装置100から搬出したところ、フレーム表面の酸化銀が全て還元されて銀に戻っていることが確認された。
そこで、終了タイミング決定部81は、このタイミングt21で、プラズマ洗浄を終了させる。具体的には、終了タイミング決定部81は、原子状水素の発光強度が緩やかに増加した後、その増加率がほぼゼロとなったか否か(具体的には、予め定められた値以下になったか否か)を判断し、これで肯定的な判断が得られた場合に、当該時刻を終了タイミングと決定する。
このようなタイミングt21でプラズマ洗浄を終了させることによって、酸化銀の還元が終了し、かつ、洗浄対象物9に高抵抗膜が形成される前の段階で、プラズマ処理を終了させることができる。
<4.変形例>
上記の実施形態において、分析装置7で測定対象とされる「所定の物質」は、上記に例示されたものに限らない。例えば、ヒドロキシルラジカルが測定対象とされ、終了タイミング決定部81は、ヒドロキシルラジカルの量の経時変化を監視し、これに基づいてプラズマ洗浄の終了タイミングを決定してもよい。具体的には、ヒドロキシルラジカルの発光強度(あるいは、信号強度)の変化率に基づいて、ヒドロキシルラジカルの消費量がほぼゼロとなったか否か(具体的には、予め定められた値以下になったか否か)を判断し、これで肯定的な判断が得られた場合に、当該時刻を終了タイミングと決定してもよい。
終了タイミング決定部81は、上記の実施例1〜3を組み合わせて、終了タイミングを決定してもよい。例えば、終了タイミング決定部81は、実施例1に係る判定と実施例3に係る判定とを並行して行い、上記のタイミングt2と上記のタイミングt21のうち、1番目(あるいは、2番目)に到来したタイミングを、終了タイミングと決定してもよい。
上記の実施形態では、処理空間Vに気体状態の水(水蒸気)を導入していたが、処理空間に導入する水は必ずしも気体状である必要はなく、例えば、液滴の水、霧状の水、氷霧状の水、等であってもよい。
1 プラズマ洗浄室
2 水導入部
3 酸素ガス導入部
4 排気部
5 パワード電極
6 接地電極
7 分析装置
8 制御部
9 洗浄対象物
11 ガス導入口
12 排気口
13 開口
14 窓部材
21 水供給源
31 酸素ガス給源
22,32,42 配管
23,33,43 バルブ
24,34 マスフローコントローラ
25 気化装置
44 真空ポンプ
51 RF電源
52 コンデンサ
81 終了タイミング決定部
82 終了制御部
V 処理空間
100 プラズマ洗浄装置

Claims (7)

  1. 内部に洗浄対象物が配置されるプラズマ洗浄室と、
    前記プラズマ洗浄室内に水を導入する水導入部と、
    前記プラズマ洗浄室内に導入された水をプラズマ化して水プラズマを形成するプラズマ形成部と、
    前記プラズマ洗浄室内に存在する所定の物質の量を測定する分析装置と、
    前記分析装置から得られる測定データに基づいてプラズマ洗浄の終了タイミングを決定し、決定された前記終了タイミングでプラズマ洗浄を終了させる制御部と、
    を備えるプラズマ洗浄装置。
  2. 請求項1に記載のプラズマ洗浄装置であって、
    前記制御部が、
    前記プラズマ洗浄室内に存在する原子状酸素の単位時間あたりの消費量が、予め定められた値以下になったタイミングを、前記終了タイミングと決定する、
    プラズマ洗浄装置。
  3. 請求項1に記載のプラズマ洗浄装置であって、
    前記制御部が、
    前記プラズマ洗浄室内に存在する一酸化炭素と二酸化炭素のうちの少なくとも一方の単位時間あたりの生成量が、予め定められた値以下になったタイミングを、前記終了タイミングと決定する、
    プラズマ洗浄装置。
  4. 請求項1に記載のプラズマ洗浄装置であって、
    前記洗浄対象物の表面に銀が含まれており、
    前記制御部が、
    前記プラズマ洗浄室内に存在する原子状水素の単位時間あたりの消費量が、予め定められた値以下になったタイミングを、前記終了タイミングと決定する、
    プラズマ洗浄装置。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のプラズマ洗浄装置であって、
    前記プラズマ洗浄室内に水を導入する際に、併せて酸素ガスを導入する酸素ガス導入部、
    をさらに備え、
    前記プラズマ形成部が、水と酸素ガスとから成る混合ガスをプラズマ化する、
    プラズマ洗浄装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載のプラズマ洗浄装置であって、
    前記分析装置が、発光分光分析装置、あるいは、質量分析装置である、
    プラズマ洗浄装置。
  7. 洗浄対象物が配置されたプラズマ洗浄室内に水を導入してこれをプラズマ化して水プラズマを形成し、前記水プラズマで前記洗浄対象物をプラズマ洗浄する工程と、
    前記プラズマ洗浄室内に存在する所定の物質の量を分析装置で測定し、得られた測定データに基づいてプラズマ洗浄の終了タイミングを決定する工程と、
    決定された前記終了タイミングでプラズマ洗浄を終了させる工程と、
    を含むプラズマ洗浄方法。
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