JP2017135949A - 電動作業機 - Google Patents

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Takashi Ishikawa
剛史 石川
教定 薮口
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教定 薮口
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Abstract

【課題】ブラシレスモータを備える電動作業機において、励磁パターンの切り替えタイミングをブラシレスモータの駆動中に変更可能にする。【解決手段】電動作業機において、ブラシレスモータのロータ位置を検出するセンサは、ロータの回転方向が正転方向である場合に、当該センサからの位置検出信号の変化タイミングが、コイルの励磁パターンを切り替えるタイミングについての基準タイミングよりも特定の電気角だけ前のタイミングとなるように、ブラシレスモータに取り付けられている。そして、コントローラは、センサからの位置検出信号の変化タイミングで励磁パターンを切り替える通常制御と、位置検出信号の変化タイミングに対して所定の制御電気角だけずれたタイミングを予測し、該予測したタイミングで励磁パターンを切り替える位相ずれ制御とを、所定の情報に基づき切り替えて実施する。【選択図】図13

Description

本発明は、ブラシレスモータを動力源として備える電動作業機に関する。
特許文献1には、この種の電動作業機の一例として、鉄筋結束機等の電動工具が記載されている。そして、特許文献1には、ブラシレスモータに、ロータの回転位置センサとして、ホールセンサを取り付け、そのホールセンサからの信号が変化するタイミングで、ステータのコイルの励磁パターンを切り替えることによりロータを回転させること、が記載されている。コイルの励磁パターンを切り替えてロータを回転させることは、ブラシレスモータを駆動することである。更に、特許文献1には、モータを進角で回転させることができるように、ホールセンサの取り付け位置を予めずらしておくことが記載されている。
特開2007−276042号公報
特許文献1の技術では、ホールセンサの取り付け位置をずらす、という機械的要因によって、コイルの励磁パターンの切り替えタイミングを結果的に早めている。つまり、励磁パターンの切り替えタイミングを進角させている。しかし、励磁パターンの切り替えタイミングは固定であり、その切り替えタイミングをブラシレスモータの駆動中に変更することはできない。
そこで、本発明は、ブラシレスモータを備える電動作業機において、励磁パターンの切り替えタイミングをブラシレスモータの駆動中に変更可能にすることを目的としている。
本発明の1つの局面における電動作業機は、ブラシレスモータを、動力源として備える。ブラシレスモータは、ロータと、コイルを有するステータと、を備える。
更に、この電動作業機は、回転位置センサと、コントローラと、を備える。回転位置センサは、ロータの回転に伴う磁界の変化からロータの所定電気角毎の回転位置を示す位置検出信号を出力する。そして、コントローラは、回転位置センサからの位置検出信号に基づき励磁パターンを切り替えることでロータを回転させる。励磁パターンは、コイルに流す電流のパターンである。
回転位置センサは、ロータの回転方向が2通りの回転方向の一方である正転方向である場合に、位置検出信号の変化タイミングが、励磁パターンを切り替えるタイミングについての基準タイミングよりも、特定の電気角だけ前のタイミングとなるように、ブラシレスモータに取り付けられている。基準タイミングは、ロータの回転に伴いコイルに発生する複数相の各誘起電圧が、該誘起電圧の変化の中心値である基準電圧を横切るタイミングから、電気角で30°後のタイミングである。
そして、コントローラは、位置検出信号の変化タイミングで励磁パターンを切り替える通常制御と、位相ずれ制御とを、所定の情報に基づき切り替えて実施する。位相ずれ制御は、位置検出信号の変化タイミングに対して所定の電気角である制御電気角だけずれたタイミングを予測し、該予測したタイミングで励磁パターンを切り替える制御である。制御電気角は、位置検出信号の変化タイミングから励磁パターンを切り替えるまでのずれ分の電気角である。換言すると、制御電気角は、位置検出信号の変化タイミングから、どれだけの電気角だけずらして励磁パターンを切り替えるか、を示す制御情報である。
このように構成された電動作業機によれば、ブラシレスモータの駆動中において、励磁パターンの切り替えタイミングを、位置検出信号の変化タイミングだけでなく、位置検出信号の変化タイミングに対して制御電気角だけずれたタイミングにもすることができる。よって、ブラシレスモータの駆動中において、励磁パターンの切り替えタイミングを、状況に適したタイミングに変更することが可能となる。
前記制御電気角は、前記特定の電気角よりも小さくても良い。
このように構成された電動作業機によれば、位相ずれ制御により、基準タイミングよりも所定の電気角だけ前のタイミングで励磁パターンを切り替える進角制御を行う場合に、その所定の電気角である総進角度の精度を、良好にすることができる。
位相ずれ制御では、位置検出信号の変化タイミングに対して制御電気角だけずれたタイミングを予測するため、その予測を行う分、通常制御と比較して、励磁パターンの切り替えタイミングの精度が低下する可能性がある。このため、制御電気角を前記特定の電気角よりも小さく設定することで、総進角度における制御電気角の比率を小さくすることができ、その結果、総進角度の精度低下を防ぐことができる。
コントローラが通常制御と位相ずれ制御との切り替えに用いる前記情報は、ブラシレスモータの駆動に関する物理量でも良い。
このように構成された電動作業機によれば、その物理量に応じて通常制御と位相ずれ制御とを切り替えることができるため、ブラシレスモータを適切に駆動することができるようになる。また、その物理量は、コイルに流れる電流と、ブラシレスモータの回転数と、当該電動作業機の電源の電圧と、ブラシレスモータの温度と、コイルに電流を流すために当該電動作業機に備えられたインバータを構成するスイッチング素子の温度と、コントローラの温度と、当該電動作業機の電源に流れる電流と、前記スイッチング素子を駆動する回路に供給される電源電圧と、前記インバータに供給される電源電圧との、少なくとも1つであっても良い。
コントローラは、位相ずれ制御を実施する場合に、制御電気角を前記物理量に応じて変更するように構成されても良い。
このように構成された電動作業機によれば、ブラシレスモータを、より適切に駆動することができるようになる。
コントローラは、位相ずれ制御を実施している場合に、前記物理量が所定範囲を超えたなら、通常制御を実施する動作状態に切り替わるように構成されても良い。
このように構成された電動作業機によれば、位相ずれ制御よりも通常制御を行う方が好ましい状況になった場合に、位相ずれ制御から通常制御に切り替えることができる。
コントローラは、ロータを前記正転方向に回転させる場合と、ロータを正転方向とは逆の回転方向である逆転方向に回転させる場合との、両方において、位相ずれ制御を実施するように構成されても良い。更に、コントローラは、ロータを正転方向に回転させる場合に実施する位相ずれ制御と、ロータを逆転方向に回転させる場合に実施する位相ずれ制御との、両方において、前記基準タイミングよりも所定の電気角である総進角度だけ前のタイミングで前記励磁パターンの切り替えを行うように構成されても良い。そして、コントローラがロータを正転方向に回転させる場合と、ロータを逆転方向に回転させる場合とで、位相ずれ制御による前記総進角度は、異なる値になっていても良い。
このように構成された電動作業機によれば、ロータを正転方向に回転させる場合と、ロータを逆転方向に回転させる場合との、それぞれにおいて、ブラシレスモータの駆動特性を異ならせることができる。例えば、一方の回転方向では出力トルクを重視し、他方の回転方向では回転数を重視する、といった駆動特性の相違を実現することができる。
前記特定の電気角は、0°より大きく30°よりは小さい電気角とすることができる。そして、コントローラは、ロータを前記正転方向に回転させる場合に実施する位相ずれ制御において、前記基準タイミングよりも所定の電気角である総進角度だけ前のタイミングで前記励磁パターンの切り替えを行うように構成されても良い。更に、その総進角度は、10°より大きく30°よりは小さい値になっていても良い。
このように構成された電動作業機によれば、ロータを正転方向に回転させる場合において、ブラシレスモータに要求されるトルク及び回転数を実現し易い。
また、前述の通り、前記特定の電気角は、0°より大きく30°よりは小さい電気角とすることできる。そして、コントローラは、ロータを正転方向に回転させる場合と、ロータを正転方向とは逆の回転方向である逆転方向に回転させる場合との、両方において、位相ずれ制御を実施するように構成されても良い。更に、コントローラは、ロータを正転方向に回転させる場合に実施する位相ずれ制御と、ロータを逆転方向に回転させる場合に実施する位相ずれ制御との、両方において、前記基準タイミングよりも所定の電気角である総進角度だけ前のタイミングで前記励磁パターンの切り替えを行うように構成されても良い。そして、コントローラがロータを正転方向に回転させる場合と、ロータを逆転方向に回転させる場合との、両方において、位相ずれ制御による総進角度は、10°より大きく30°よりは小さい値になっていても良い。
このように構成された電動作業機によれば、ロータを正転方向に回転させる場合と、ロータを逆転方向に回転させる場合との、両方において、ブラシレスモータに要求されるトルク及び回転数を実現し易い。
また、コントローラが通常制御と位相ずれ制御との切り替えに用いる前記情報は、ロータの回転方向を示す情報でも良い。
このように構成された電動作業機によれば、ロータの回転方向により、通常制御と位相ずれ制御とを切り替えて実施することができる。
ロータの回転方向を示す情報は、ロータを、前記正転方向と、正転方向とは逆の回転方向である逆転方向との、何れに回転させるかを示す情報であっても良い。そして、コントローラは、その情報に基づいてロータを正転方向に回転させる場合には、通常制御を行い、その情報に基づいてロータを逆転方向に回転させる場合には、位相ずれ制御を行うように構成されても良い。
このように構成された電動作業機によれば、ロータを正転方向に回転させる場合と、ロータを逆転方向に回転させる場合とで、励磁パターンの切り替えタイミングを、前記基準タイミングを基準とした同じタイミングにすることができる。よって、両方の回転方向について、ブラシレスモータの特性を同じにすることができる。
一方、コントローラは、位相ずれ制御を実施している場合において、位置検出信号が変化してから、前記予測したタイミングで励磁パターンを切り替える前に、位置検出信号が変化したならば、下記の処理を行うように構成されて良い。
その処理とは、励磁パターンを、通常制御において現在の位置検出信号に対して切り替えるように設定されている励磁パターンに切り替える、という処理である。
このように構成された電動作業機によれば、位相ずれ制御の実施中において、予測されたタイミングで励磁パターンの切り替えが行われる前に、ロータの急な回転速度変化により位置検出信号が変化しても、励磁パターンを適切に切り替えることができるようになる。よって、励磁パターンの切り替えの乱れを防いで、ブラシレスモータを適切に駆動することができる。
実施形態の電動作業機の外観を表す斜視図である。 モータのステータ及びロータの横断面模式図である。 ステータの平面図である。 各相の誘起電圧と位置検出信号とを表すタイムチャートである。 制御装置の構成を表す構成図である。 モータ正転時の通常制御と、正転時励磁切替用マップとの説明図である。 モータ正転時の進み位相ずれ制御の説明図である。 モータ正転時の遅れ位相ずれ制御の説明図である。 モータ逆転時の通常制御と、逆転時励磁切替用マップとの説明図である。 モータ逆転時の進み位相ずれ制御の説明図である。 モータ逆転時の遅れ位相ずれ制御の説明図である。 メイン処理を表すフローチャートである。 モータ制御処理を表すフローチャートである。 信号割込み処理を表すフローチャートである。 タイマ割込み処理を表すフローチャートである。 モータに要求されるトルク及び回転数を示す特性図である。 第7実施形態の説明図である。 第10実施形態の説明図である。
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を用いて説明する。
[第1実施形態]
<電動作業機の全体構成>
図1に示すように、本実施形態の電動作業機1は、充電式のインパクトドライバであり、本体ハウジング5を備える。本体ハウジング5は、左右の半割ハウジング2,3を組み付けることにより構成される。本体ハウジング5の下方には、グリップ部4が延設されており、そのグリップ部4の下端には、バッテリパック6が着脱自在に装着されている。
本体ハウジング5の後方は、電動作業機1の動力源となるモータ20(図5参照)を収納するモータ収納部7となっている。そして、本体ハウジング5において、モータ収納部7よりも前方には、減速機構及び打撃機構が収納されている。尚、後方とは、図1における左側であり、前方とは、図1における右側である。更に、本体ハウジング5の先端には、打撃機構の先端部にドライバビットやソケットビット等の各種工具ビット(図示略)を装着するためのチャックスリーブ8が設けられている。
打撃機構は、例えば、減速機構を介して回転されるスピンドルと、スピンドルと共に回転し、且つ、軸方向へ移動可能なハンマと、ハンマの前方にあって先端にチャックスリーブ8が取り付けられるアンビルと、を備えたものであり、次のように動作する。
すなわち、打撃機構においては、モータ20の回転に伴いスピンドルが回転すると、ハンマを介してアンビルが回転して、チャックスリーブ8を回転させる。チャックスリーブ8が回転すると、それに装着された工具ビットも回転する。そして、工具ビットによるねじ締めが進み、アンビルへの負荷が高まると、ハンマが、コイルばねの付勢力に抗して後退してアンビルから外れ、そこからスピンドルと共に回転しつつコイルばねの付勢力で前進してアンビルに再係合する。この結果、アンビルに間欠的な打撃が加えられ、工具ビットによるねじの増し締めが行われる。尚、このような打撃機構については、例えば特開2006−218605号公報に記載されているように、従来から知られているため、ここでは詳細な説明は省略する。また、締め付け対象のねじは、ねじ山が形成された固定具であり、例えば、ナットを使わない木ねじ等のねじ類や、ボルトやナットである。
次に、グリップ部4は、使用者が当該電動作業機1を使用する際に把持する部分であり、その上方にトリガスイッチ10が設けられている。以下の説明では、スイッチを、「SW」と記載する。
トリガSW10は、使用者により引き操作されるトリガと、トリガが引き操作されたときにオン状態となり、その引き量(すなわち操作量)に応じて抵抗値が変化する回路部と、を備える。
トリガSW10の上側には、モータ20の回転方向を正転方向と逆転方向の何れか一方に切り替えるための正逆切替SW12が設けられている。本実施形態において、モータ20の正転方向とは、当該電動作業機1を後端側から見た状態で右回り方向であり、ねじを締める回転方向である。そして、逆転方向は、正転方向とは逆の回転方向であり、ねじを緩める回転方向である。
本体ハウジング5のチャックスリーブ8側である先端側には、トリガSW10が引き操作されたときに、電動作業機1の前方を光で照射するための照明LED14が設けられている。
グリップ部4において、バッテリパック6が装着される装着部の前方上部には、バッテリ残量や電動作業機1の動作モード等を表示する表示部16が設けられている。バッテリ残量とは、バッテリパック6内のバッテリ60(図5参照)に残っている電力量(すなわち残りの充電量)のことである。
バッテリパック6は、グリップ部4の下端の装着部に対し、装着部の前方側から後方側へとスライドさせることにより装着されている。また、バッテリパック6に収容されたバッテリ60は、例えばリチウムイオン電池など、繰り返し充電可能な2次電池である。
また、グリップ部4の内部には、バッテリパック6内のバッテリ60から電力供給を受けて、モータ20を駆動制御する制御装置17(図5参照)が設けられている。バッテリ60は、電動作業機1の電源に該当する。
モータ20は、3相のブラシレスモータである。
図2に示すように、モータ20は、ステータ21と、ロータ31と、を備える。
ステータ21は、複数の鋼板を積層してなるステータコア23を備える。ステータコア23の内側には6つのティース24が突設されており、各ティース24にはU,V,Wの3相のコイル25が巻回されている。また、各ティース24間には、6つのスロット26が形成されている。
ロータ31は、該ロータ31の回転軸32の周囲に配置された略円筒状のロータコア33と、ロータコア33の内部に固定される4つの板状の永久磁石(以下単に、磁石という)34と、を備える。ロータコア33は、複数の鋼板を積層することで形成されている。磁石34は、ロータコア33の横断面で回転軸32を中心とした正方形の四辺にそれぞれ位置するように形成された貫通孔に、挿入されて接着剤や圧入により固定される。
図3に示すように、ステータコア23の前側の端面には、リング状の電気絶縁部材であるインシュレータ41が組み付けられている。尚、前側とは、前述した減速機構及び打撃機構やチャックスリーブ8が設けられる側のことである。そして、インシュレータ41の前側の面には、センサ回路基板42が、ねじ43によって固定されている。
センサ回路基板42の中心には、回転軸32を貫通させる貫通孔44が設けられている。そして、センサ回路基板42は、貫通孔44に向けて湾曲する切欠部45が、周方向に等間隔で6つ形成されることで、各切欠部45間に、放射方向に突出する固定片46を、周方向に等間隔で6つ備える。
センサ回路基板42には、ロータ31の回転に伴う磁界の変化からロータ位置を検出する回転位置センサとして、3つのホールセンサ51u,51v,51w(図2参照)が設けられている。ロータ位置とは、ロータ31の回転位置のことである。ホールセンサ51u,51v,53wは、磁電変換素子としてホール素子を備える回転位置センサである。また、ホールセンサ51uは、U相に対応するホールセンサであり、ホールセンサ51vは、V相に対応するホールセンサであり、ホールセンサ51wは、W相に対応するホールセンサである。符号中の「u」は、その符号のものがU相に対応するものであることを示し、符号中の「v」は、その符号のものがV相に対応するものであることを示し、符号中の「w」は、その符号のものが、W相に対応するものであることを示す。尚、ホールセンサ51u,51v,51wのそれぞれを区別しない場合には、それの符号として「51」を用いる。
また、センサ回路基板42が備える6つの固定片46のうち、1つの固定片46からは、3つのホールセンサ51からの位置検出信号を出力する信号線47が伸びている。そして、信号線47は、制御装置17から伸びた信号線に、図示しないコネクタを介して接続されている。
また、ステータ21からは、コイル25に3相の励磁電流を供給するための電源線48u,48v,48wが伸びており、その各相の電源線48u,48v,48wの先には、端子49u,49v,49wが設けられている。そして、各電源線48u,48v,48wは、端子49u,49v,49wを介して、制御装置17から伸びた各相の電源線に接続される。端子49u,49v,49wは、モータ20の端子に該当する。また、端子49u,49v,49w又は電源線48u,48v,48wは、モータ20の給電部に該当する。
3つのホールセンサ51は、センサ回路基板42の裏面(すなわちステータ21側の面)において、貫通孔44の周りに所定の間隔をおいて配置されている。尚、ホールセンサ51は、センサ回路基板42のステータ21側とは反対側の面に配置することもできる。
図2に示すように、ホールセンサ51u,51v,51wは、矢印Y1で示すロータ31の回転方向において、横断面の外形が非円形であるロータ31の最外周部が位置する円C1の円周上に、60°の間隔(すなわち電気角120°の間隔)で配置されている。図2の例では、ホールセンサ51u,51v,51wは、円C1の周方向でスロット26の中央に対応する位置に配置されているが、実際には、その各位置よりも図2における矢印Y1の方向に所定の角度だけずれた位置にそれぞれ配置されている。ホールセンサ51の組み付け位置の詳細については、後で説明する。尚、モータ20の回転方向と、ロータ31の回転方向は、同じ意味であり、矢印Y1の方向は、正転方向である。また、上記円C1の円周は、ロータ31の外形における最内周部が位置する円C2よりも外側である。
<ホールセンサの組み付け位置>
モータ20では、ロータ31が回転すると、コイル25にU,V,Wの各相の誘起電圧Eu,Ev,Ewが発生する。
図4に示すように、各相の誘起電圧Eu,Ev,Ewは、基準電圧を中心として変化する交流の電圧であり、各相の電源線48u,48v,48w及び端子49u,49v,49wに現れる。尚、本実施形態において、コイル25の結線方式は、デルタ結線である(図5参照)。そして、上記基準電圧は、各端子49u,49v,49wの電圧を加算した電圧(すなわち、3相の仮想中性点電圧)である。図4の例では基準電圧を0Vとしている。
各相の誘起電圧Eu,Ev,Ewは、基準電圧よりも大きい期間であるハイ期間と、基準電圧よりも小さい期間であるロー期間とが、電気角で180°毎に切り替わる。そして、各相の誘起電圧Eu,Ev,Ewの位相は、電気角で120°ずつずれる。このため、各相の誘起電圧Eu,Ev,Ewが基準電圧を横切るタイミングを、ゼロクロスタイミングということにすると、各相の誘起電圧Eu,Ev,Ewのゼロクロスタイミングは、電気角で60°毎に生じることとなる。尚、本実施形態では、ロータ31の磁極数が4であり、極対数は2であるため、電気角の値は、機械角の2倍の値である。
一方、ホールセンサ51u,51v,51wは、回転するロータ31から受ける磁界の変化に応じて、ハイとローとに信号レベルが切り替わる各相の位置検出信号HAu,HAv,HAwを出力する。
図4に示すように、ホールセンサ51u,51v,51wからの各位置検出信号HAu,HAv,HAwは、電気角で180°毎に、ハイとローとに切り替わる。そして、各位置検出信号HAu,HAv,HAwの位相は、電気角で120°ずつずれる。このため、位置検出信号HAu,HAv,HAwの何れかのレベル変化は、電気角で60°毎に生じる。位置検出信号HAu,HAv,HAwの何れかがレベル変化するタイミングは、ホールセンサ51u,51v,51wが電気角で60°毎のロータ位置を検出したタイミングであり、ホールセンサ51u,51v,51wによるロータ位置の検出結果に相当する。
ここで、図4における右方向矢印で示すように、誘起電圧Eu,Ev,Ewのゼロクロスタイミングから電気角で30°後のタイミングは、コイル25の励磁パターンを切り替えることに関して、基準となるタイミング(以下、基準タイミングという)である。換言すると、誘起電圧Eu,Ev,Ewが基準電圧を横切ることとなるロータ位置から電気角で30°後のロータ位置は、コイル25の励磁パターンを切り替えることに関して、基準となるロータ位置である。また、コイル25の励磁パターンとは、コイル25に流す電流のパターンであり、コイル25の通電パターンのことでもある。尚、以下では、コイル25の励磁パターンを切り替えることを、励磁切り替え、といもいう。
そして、ホールセンサ51u,51v,51wの取り付け位置に関して、その取り付け位置の基準位置(以下、取り付け基準位置という)は、ロータ31の回転方向が正転方向である場合に、上記基準タイミングと、位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングとが、一致する位置である。尚、位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化とは、位置検出信号HAu,HAv,HAwの何れかがレベル変化することである。
このような前提において、本実施形態では、ホールセンサ51u,51v,51wが、上記取り付け基準位置よりも、ロータ31の正転方向とは逆回りの方向へ、特定の電気角M(すなわち機械角で「M/2」°)だけずれた位置に取り付けられている。
このため、図4における左向き矢印で示すように、モータ20の正転時において、位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングは、基準タイミングよりも、電気角Mだけ前のタイミングとなる。また、モータ20の逆転時において、位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングは、基準タイミングよりも、電気角で「60°−M」だけ前のタイミングとなる。モータ20の正転時とは、ロータ31の回転方向が正転方向である場合のことであり、以下、モータ正転時ともいう。モータ20の逆転時とは、ロータ31の回転方向が逆転方向である場合のことであり、以下、モータ逆転時ともいう。
電気角Mは、0°より大きく30°よりは小さい値であり、本実施形態では、25°である。以下では、この電気角Mのことを、機械的進角度Mという。尚、機械的進角度Mは、例えば10°や20°など、25°以外の値であっても良い。
<モータの駆動制御系>
図5に示すように、制御装置17は、レギュレータ53と、コントローラとしてのマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)54と、インバータ55と、ゲート回路56と、電流検出回路57と、を備える。
レギュレータ53は、バッテリ60の電圧(以下、バッテリ電圧という)VBから、マイコン54や他の構成要素が動作するための電源電圧Vcc(例えば5V)を生成して出力する。
マイコン54は、CPU、RAM、ROM及びA/D変換器等を備える。そして、マイコン54は、主にモータ20を制御するための処理を行う。
マイコン54の動作は、CPUが記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。この例では、ROMが、プログラムを格納した記録媒体に該当する。また、このプログラムの実行により、プログラムに対応する方法が実行される。また、コントローラとしてのマイコン54の数は1つでも複数でも良い。また、マイコン54が行う処理の一部又は全部を、論理回路やアナログ回路等を組み合わせたハードウェアを用いて実現しても良い。
インバータ55は、バッテリ60から電源供給を受けて、モータ20の各相のコイル25に電流を流すためのものであり、6つのスイッチング素子QHu,QHv,QHw,QLu,QLv,QLwを備えた3相フルブリッジ回路として構成されている。本実施形態において、インバータ55には、バッテリ電圧VBが当該インバータ55の電源電圧V1として供給される。インバータ55の電源電圧V1は、モータ20の駆動電圧でもある。各スイッチング素子QHu〜QLwは、本実施形態ではFET(電界効果トランジスタ)であるが、バイポーラトランジスタやIGBT(絶縁ゲート型のバイポーラトランジスタ)等、他の種類のトランジスタでも良い。
インバータ55において、3つのスイッチング素子QHu,QHv,QHwは、モータ20の各相の端子49u,49v,49wと、バッテリ60の正極側に接続された電源ラインとの間に、いわゆるハイサイドスイッチとして設けられている。このため、スイッチング素子QHuがオンすれば、端子49uが電源ラインに導通し、スイッチング素子QHvがオンすれば、端子49vが電源ラインに導通し、スイッチング素子QHwがオンすれば、端子49wが電源ラインに導通する。
また、他の3つのスイッチング素子QLu,QLv,QLwは、モータ20の各相の端子49u,49v,49wと、バッテリ60の負極側に接続されたグランドラインとの間に、いわゆるローサイドスイッチとして設けられている。このため、スイッチング素子QLuがオンすれば、端子49uがグランドラインに導通し、スイッチング素子QLvがオンすれば、端子49vがグランドラインに導通し、スイッチング素子QLwがオンすれば、端子49wがグランドラインに導通する。
マイコン54からゲート回路56には、インバータ55の各スイッチング素子QHu〜QLwにそれぞれ対応した駆動指令信号DHu,DHv,DHw,DLu,DLv,DLwが出力される。駆動指令信号DHuは、スイッチング素子QHuに対応し、駆動指令信号DHvは、スイッチング素子QHvに対応し、駆動指令信号DHwは、スイッチング素子QHwに対応する。そして、駆動指令信号DLuは、スイッチング素子QLuに対応し、駆動指令信号DLvは、スイッチング素子QLvに対応し、駆動指令信号DLwは、スイッチング素子QLwに対応する。
ゲート回路56は、各スイッチング素子QHu〜QLwを駆動する駆動回路であり、マイコン54からの各駆動指令信号DHu〜DLwに従い、各スイッチング素子QHu〜QLwをオン/オフさせることで、モータ20の各相のコイル25に電流を流し、モータ20を回転させる。本実施形態において、ゲート回路56には、バッテリ電圧VBが当該ゲート回路56の電源電圧V2として供給される。また、本実施形態では、駆動指令信号DHu〜DLwは、ハイアクティブの信号である。このため、例えば、駆動指令信号DHuがハイの場合に、それに対応するスイッチング素子QHuがオンされる。このことは、他の駆動指令信号DHv〜DLwとスイッチング素子QHv〜QLwの組み合わせについても同様である。
電流検出回路57は、インバータ55からバッテリ60の負極側に至る通電経路(すなわち、インバータ55の母線)に設けられており、その通電経路に流れる電流(すなわち、インバータ55の母線電流)に応じた電圧の信号を出力する。そして、マイコン54は、この電流検出回路57の出力信号に基づいて、インバータ55の母線電流を、コイル25に流れる電流として検出する。コイル25に流れる電流は、モータ20に流れる電流であり、以下では、モータ電流という。
更に、制御装置17は、バッテリ電圧VBを検出する電圧検出部61と、マイコン54の温度を検出するコントローラ温度検出部62と、スイッチング素子QHu〜QLwの温度を検出するFET温度検出部63と、を備える。
電圧検出部61は、バッテリ電圧VBに応じた電圧の信号を出力する。コントローラ温度検出部62は、マイコン54の温度に応じた電圧の信号を出力する。FET温度検出部63は、スイッチング素子QHu〜QLwの温度に応じた電圧の信号を出力する。
そして、マイコン54には、ホールセンサ51u,51v,51wと、電流検出回路57と、電圧検出部61と、コントローラ温度検出部62と、FET温度検出部63との、それぞれからの信号が、入力される。また、マイコン54には、前述したトリガSW10、正逆切替SW12、照明LED14、及び表示部16が接続されている。
更に、マイコン54には、モータ20の温度を検出するモータ温度検出部64からの信号も入力される。モータ温度検出部64は、モータ20の温度に応じた信号を出力する。尚、モータ温度検出部64は、モータ20の近くに設けられているが、図5では、便宜上、制御装置17の中に図示している。
マイコン54は、トリガSW10が操作されると、ホールセンサ51u,51v,51wからの位置検出信号HAu,HAv,HAwに基づいて、ロータ位置及びモータ20の回転数を求め、モータ20を、正逆切替SW12からの回転方向設定信号が示す回転方向に駆動する。尚、モータ20の回転数は、詳しくはロータ31の回転数であり、以下では単に、回転数ともいう。また、回転数は、回転速度のことでもある。
マイコン54は、モータ20を駆動する際には、位置検出信号HAu,HAv,HAwに基づいて、ゲート回路56への各駆動指令信号DHu〜DLwを所定のシーケンスで切り替えることにより、励磁切り替えを行う。
また、マイコン54は、トリガSW10の操作量に基づいて、モータ20の目標の回転数を実現するための速度指令値を設定する。そして、マイコン54は、その速度指令値に基づいて、例えば、ハイサイドのスイッチング素子QHu〜QHwに対応する各駆動指令信号DHu〜DHwを、PWM制御することにより、モータ20の回転速度を制御する。PWMとは、パルス幅変調の略である。また、PWM制御の対象は、ローサイドのスイッチング素子QLu〜QLwに対応する各駆動指令信号DLu〜DLwであっても良い。
更に、マイコン54は、こうしたモータ20駆動のための制御処理とは別に、照明LED14を点灯させる制御や、バッテリ残量等を表示部16に表示させる制御も実行する。尚、照明LED14と表示部16の制御については説明を省略する。
<励磁切り替えの説明>
マイコン54は、ホールセンサ51u,51v,51wからの位置検出信号HAu,HAv,HAに基づいて、励磁切り替えを行う。そして、励磁切り替えの制御としては、通常制御と、位相ずれ制御と、がある。
通常制御は、位置検出信号HAu,HAv,HAの変化タイミングで、励磁切り替えを行う制御である。このため、通常制御では、前述の基準タイミングよりも機械的進角度Mだけ前のタイミングで、励磁切り替えを行うこととなる。
位相ずれ制御は、位置検出信号HAu,HAv,HAの変化タイミングに対して所定の制御電気角だけずれたタイミングを予測し、その予測したタイミング(以下、予測タイミングという)で、励磁切り替えを行う制御である。
そして、位相ずれ制御としては、進み位相ずれ制御と、遅れ位相ずれ制御と、がある。
進み位相ずれ制御は、位置検出信号HAu,HAv,HAの変化タイミングから、制御電気角だけ前のタイミングで、励磁切り替えを行う制御である。以下では、進み位相ずれ制御における制御電気角を、進み電気角αともいう。
遅れ位相ずれ制御は、位置検出信号HAu,HAv,HAの変化タイミングから、制御電気角だけ後のタイミングで、励磁切り替えを行う制御である。以下では、遅れ位相ずれ制御における制御電気角を、遅れ電気角βともいう。
尚、進み位相ずれ制御と遅れ位相ずれ制御との何れにおいても、励磁切り替えを行うタイミング(以下、励磁切替タイミングともいう)は、基準タイミングよりも前の進角したタイミングである。つまり、基準タイミングからみた励磁切替タイミングの進角度合いを電気角で表した値を、総進角度ということにすると、その総進角度は、常に0°より大きい。また、制御電気角(すなわちα又はβ)は、前述の機械的進角度Mよりも小さい。
《モータ正転時》
ホールセンサ51u,51v,51wから出力される位置検出信号HAu,HAv,HAwの、ハイ,ローの組み合わせ(以下、位置信号パターンという)としては 、図6に示す6つのパターンHp1〜Hp6がある。図6において、「H」はハイを意味し、「L」はローを意味する。このことは、他の図においても同様である。
図6に示すように、Hp1は、「HAu=ハイ,HAv=ロー,HAw=ハイ」のパターンであり、Hp2は、「HAu=ハイ,HAv=ロー,HAw=ロー」のパターンであり、Hp3は、「HAu=ハイ,HAv=ハイ,HAw=ロー」のパターンである。そして、Hp4は、「HAu=ロー,HAv=ハイ,HAw=ロー」のパターンであり、Hp5は、「HAu=ロー,HAv=ハイ,HAw=ハイ」のパターンであり、Hp6は、「HAu=ロー,HAv=ロー,HAw=ハイ」のパターンである。これらの位置信号パターンHp1〜Hp6は、電気角で60°毎のロータ位置を示す。
そして、モータ正転時においては、図6に示すように、位置信号パターンは、「Hp1→Hp2→Hp3→Hp4→Hp5→Hp6→Hp1→」の順に変化する。
〈モータ正転時の通常制御〉
駆動指令信号DHu〜DLwのパターンとしては、図6に示す6つのパターンDpA〜DpFがあり、その各パターンDpA〜DpFが、コイル25の各励磁パターンに該当する。このため、以下では、駆動指令信号DHu〜DLwのパターンのことを、励磁パターンともいう。例えば、励磁バターンDpAでは、ハイの駆動指令信号DHv,DLuに対応するスイッチング素子QHv,QLuがオンするため、モータ20のコイル25には、V相の端子49v側からU相の端子49u側に電流が流れる。また例えば、励磁バターンDpBでは、ハイの駆動指令信号DHw,DLuに対応するスイッチング素子QHw,QLuがオンするため、モータ20のコイル25には、W相の端子49w側からU相の端子49u側に電流が流れる。
そして、マイコン54は、モータ正転時において、通常制御では、ゲート回路56への駆動指令信号DHu〜DLwを、位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングに合わせて、図6に示すように切り替える。すなわち、マイコン54は、位置信号パターンが「Hp1→Hp2→Hp3→Hp4→Hp5→Hp6→Hp1→」と変化するのに合わせて、励磁パターンを「DpA→DpB→DpC→DpD→DpE→DpF→DpA→」の順に切り替える。
図6に示す位置信号パターンと励磁パターンとの対応関係は、例えばマイコン54が備えるROM内に、正転時励磁切替用マップとして予め記憶されている。
〈モータ正転時の進み位相ずれ制御〉
マイコン54は、モータ正転時において、進み位相ずれ制御を行う場合には、図7に示すように、位置検出信号HAu,HAv,HAwが変化する毎に、次の位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングよりも進み電気角αだけ前のタイミングまでの時間Tを予測する。その時間Tは、電気角で「60°−α」に相当する時間であり、モータ20の回転数から算出することができる。そして、マイコン54は、その時間Tが経過したとき、すなわち、次の位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングよりも進み電気角αだけ前の予測タイミングが到来したときに、励磁パターンを、次の励磁パターンに切り替える。次の励磁パターンとは、励磁パターンDpA〜DpFのうち、通常制御において次の位置信号パターンに対して切り替えるように設定されている励磁パターンのことである。
例えば、位置信号パターンが「Hp6」から「Hp1」に変化したとすると、マイコン54は、その時点から上記時間Tが経過したときに、励磁パターンを、正転時励磁切替用マップにおいて、次の位置信号パターン(=Hp2)に対応して記憶されている励磁パターンDpBに切り替える。
〈モータ正転時の遅れ位相ずれ制御〉
マイコン54は、モータ正転時において、遅れ位相ずれ制御を行う場合には、図8に示すように、位置検出信号HAu,HAv,HAwが変化する毎に、その位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングから遅れ電気角βだけ後のタイミングまでの時間tを予測する。その時間tは、遅れ電気角βに相当する時間であり、モータ20の回転数から算出することができる。そして、マイコン54は、その時間tが経過したとき、すなわち、今回の位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングから遅れ電気角βだけ後の予測タイミングが到来したときに、励磁パターンを、今回の励磁パターンに切り替える。今回の励磁パターンとは、励磁パターンDpA〜DpFのうち、通常制御において現在の位置信号パターンに対して切り替えるように設定されている励磁パターンのことである。
例えば、位置信号パターンが「Hp6」から「Hp1」に変化したとすると、マイコン54は、その時点から上記時間tが経過したときに、励磁パターンを、正転時励磁切替用マップにおいて、現在の位置信号パターン(=Hp1)に対応して記憶されている励磁パターンDpAに切り替える。
《モータ逆転時》
モータ逆転時においては、図9に示すように、位置信号パターンが、モータ正転時とは逆の順に変化する。つまり、位置信号パターンは、「Hp6→Hp5→Hp4→Hp3→Hp2→Hp1→Hp6→」の順に変化する。
〈モータ逆転時の通常制御〉
マイコン54は、モータ逆転時において、通常制御では、ゲート回路56への駆動指令信号DHu〜DLwを、位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングに合わせて、図9に示すように切り替える。
すなわち、マイコン54は、位置信号パターンが「Hp6→Hp5→Hp4→Hp3→Hp2→Hp1→Hp6→」と変化するのに合わせて、励磁パターンを「DpB→DpA→DpF→DpE→DpD→DpC→DpB→」の順に切り替える。
図9に示す位置信号パターンと励磁パターンとの対応関係は、例えばマイコン54が備えるROM内に、逆転時励磁切替用マップとして予め記憶されている。
〈モータ逆転時の進み位相ずれ制御〉
マイコン54は、モータ逆転時においても、進み位相ずれ制御を行う場合には、図10に示すように、位置検出信号HAu,HAv,HAwが変化する毎に、次の位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングよりも進み電気角αだけ前のタイミングまでの時間Tを予測する。そして、マイコン54は、その時間Tが経過したときに、励磁パターンを、次の励磁パターンに切り替える。
例えば、位置信号パターンが「Hp1」から「Hp6」に変化したとすると、マイコン54は、その時点から上記時間Tが経過したときに、励磁パターンを、逆転時励磁切替用マップにおいて、次の位置信号パターン(=Hp5)に対応して記憶されている励磁パターンDpAに切り替える。
〈モータ逆転時の遅れ位相ずれ制御〉
マイコン54は、モータ逆転時においても、遅れ位相ずれ制御を行う場合には、図11に示すように、位置検出信号HAu,HAv,HAwが変化する毎に、その位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングから遅れ電気角βだけ後のタイミングまでの時間tを予測する。そして、マイコン54は、その時間tが経過したときに、励磁パターンを、今回の励磁パターンに切り替える。
例えば、位置信号パターンが「Hp1」から「Hp6」に変化したとすると、マイコン54は、その時点から上記時間tが経過したときに、励磁パターンを、逆転時励磁切替用マップにおいて、現在の位置信号パターン(=Hp6)に対応して記憶されている励磁パターンDpBに切り替える。
<処理の説明>
次に、マイコン54が実行する処理について、図12〜図15を用い説明する。
ここでは、モータ正転時には、通常制御と位相ずれ制御とが切り替えて実施され、モータ逆転時には、位相ずれ制御が実施されず通常制御だけが実施されるものとして説明する。そして、モータ正転時には、位相ずれ制御として、進み位相ずれ制御が行われるものとする。モータ正転時の進み位相ずれ制御では、進み電気角αが例えば10°であり、このため、総進角度は「M+10°」=35°となる。また、モータ正転時の通常制御では、総進角度が機械的進角度Mと同じ25°となり、モータ逆転時の通常制御では、総進角度が「60°−M」=35°となる。尚、これらの数値は、一例であり、他の値であっても良い。
図12に示すように、マイコン54は、メイン処理では、所定の制御周期であるタイムベースの間隔で、S120〜S170の一連の処理を繰り返し実行する。
すなわち、マイコン54は、S110にて、タイムベースが経過したか否かを判断することにより、制御周期が経過するのを待ち、S110にてタイムベースが経過したと判断すると、S120に進む。
マイコン54は、S120では、検出処理を行う。この検出処理は、トリガSW10及び正逆切替SW12からの信号を読み込むことで、これら各SWの操作状態を検出する処理である。
マイコン54は、次のS130では、A/D変換処理を行う。このA/D変換処理は、トリガSW10の操作量に応じた電圧信号をA/D変換すると共に、電流検出回路57、電圧検出部61、コントローラ温度検出部62、FET温度検出部63、及びモータ温度検出部64からの各信号を、A/D変換する処理である。マイコン54は、このA/D変換処理による各A/D変換結果から、トリガSW10の操作量と、モータ電流と、当該電動作業機1の電源電圧であるバッテリ電圧VBと、当該マイコン54の温度と、スイッチング素子QHu〜QLwの温度と、モータ20の温度と、を算出する。
マイコン54は、次のS140では、設定処理を行う。この設定処理は、正逆切替SW12からの信号が示す回転方向(以下、設定回転方向という)が、正転方向であれば、前述の正転時励磁切替用マップを、制御用マップとして設定し、設定回転方向が、逆転方向であれば、前述の逆転時励磁切替用マップを、制御用マップとして設定する処理である。設定回転方向は、当該電動作業機1の使用者が正逆切替SW12によって設定した回転方向である。制御用マップは、ロータ31を設定回転方向に回転させるために、位置信号パターンに応じてコイル25の励磁パターンを切り替えるために用いられるマップである。
マイコン54は、次のS150では、速度指令処理を行う。この速度指令処理は、駆動指令信号DHu〜DHwのPWM制御に用いるデューティ比を、トリガSW10の操作量等に基づいて設定する処理である。このデューティ比は、速度指令値に相当する。
マイコン54は、次のS160では、モータ20の回転数を算出するための回転数算出処理を行う。マイコン54は、位置検出信号HAu,HAv,HAwのレベル変化の時間間隔を計測して、最新の計測値を記憶するようになっている。そして、マイコン54は、回転数算出処理では、その時間間隔の計測値から回転数を算出する。
マイコン54は、次のS170では、モータ制御処理を行い、その後、S110へ戻る。
次に、図12のS170で実行されるモータ制御処理について説明する。
図13に示すように、マイコン54は、モータ制御処理を開始すると、S210にて、トリガSW10がオン状態か否かを判定し、トリガSW10がオン状態であれば、S220に進む。
マイコン54は、S220では、速度指令があるか否かを判定する。具体的には、図12のS150で設定されたデューティ比が0より大きいか否かを判定し、デューティ比が0より大きければ、速度指令があると判定する。また、デューティ比が0であれば、速度指令がないと判定する。
そして、マイコン54は、S220にて、速度指令があると判定した場合には、S230に進み、エラーがあるか否かを判定する。例えば、図12のS130でA/D変換した結果が異常な値であったり、図12のS160で算出した回転数が異常な値であったりした場合に、エラーがあると判定する。
マイコン54は、S230にて、エラーがあると判定した場合には、S240に進む。また、マイコン54は、S210にて、トリガSW10がオン状態でない(すなわちオフ状態である)と判定した場合、あるいは、S220にて、速度指令がないと判定した場合にも、S240に進む。
マイコン54は、S240では、モータ20を停止させるためのモータ停止処理を行い、その後、当該モータ制御処理を終了する。
また、マイコン54は、S230にて、エラーがないと判定した場合には、S250に進み、位相ずれ制御の実施条件が成立しているか否かを判定する。
S250で判定される位相ずれ制御の実施条件は、例えば下記(1)〜(8)の条件が全て成立している、という条件である。
(1)設定回転方向が正転方向である。
(2)モータ電流が、所定の閾値Ith以下。
(3)速度指令値としてのデューティ比が、所定の閾値Dth以上。
(4)回転数が、下限閾値NLth以上で、かつ、上限閾値NHth以下。つまり、回転数が、下限閾値NLthから上限閾値NHthまでの範囲内。
(5)バッテリ電圧VBが、所定の閾値Vth以上。
(6)モータ20の温度が、所定の閾値TMth以下。
(7)スイッチング素子QHu〜QLwの温度が、所定の閾値TSth以下。
(8)マイコン54の温度が、所定の閾値TCth以下。
モータ電流の閾値Ithは、モータ20が軽負荷と考えられる値に設定されている。デューティ比の閾値Dthも、モータ20が軽負荷と考えられる値(例えば100%)に設定されている。軽負荷とは、モータ20の回転軸32にかかる負荷としてのトルクが、ねじ締め時にかかる値よりも小さい所定の値以下、ということである。つまり、(2)及び(3)の条件は、モータ20が軽負荷という条件である。モータ20が軽負荷の場合に、進み位相ずれ制御を行うことで回転数を増大させ、当該電動作業機1による作業効率を向上させることができる。また、進み位相ずれ制御によって総新角度を大きくすると、モータ電流が増える傾向があるため、(2)の条件は、モータ電流が過大になるのを防ぐための条件でもある。
回転数の下限閾値NLthは、例えば5000rpmであり、上限閾値NHthは、例えば30000rpmである。位相ずれ制御では、励磁切替タイミングを回転数に基づいて予測するため、回転数が低くて安定しない場合や回転数が高すぎる場合には、励磁切替タイミングの予測精度が低下すると考えられる。このため、(4)の条件は、位相ずれ制御の精度を確保するための条件である。また、(4)の条件のうち「回転数が上限閾値NHth以下」という条件は、進み位相ずれ制御によって回転数が過大となるのを防ぐための条件でもある。
バッテリ電圧VBの閾値Vthは、進み位相ずれ制御を行うことによりモータ電流が増えて、バッテリ電圧VBが低下しても、そのバッテリ電圧VBが制御装置17の機能不良を招く電圧値までは低下しない、と考えられる値に設定されている。つまり、(5)の条件は、モータ20の制御機能を確保するための条件である。
また、(6)の条件は、モータ20を過熱から保護するための条件であり、(7)の条件は、スイッチング素子QHu〜QLwを過熱から保護するための条件である。進み位相ずれ制御を行うことによりモータ電流が増えると、モータ20の温度と、スイッチング素子QHu〜QLwの温度とが、上昇すると考えられるからである。
また、マイコン54が位相ずれ制御を行うと、処理負荷が増えるため、マイコン54の温度が上昇すると考えられる。このため、(8)の条件は、マイコン54を過熱から保護するための条件である。
マイコン54は、S250にて、位相ずれ制御の実施条件が成立していると判定した場合には、S260に進み、制御電気角を設定する。この例では、制御電気角として、進み電気角αを設定する。尚、制御電気角には、それが進み電気角αと遅れ電気角βとの何れであるかを示す種別情報が付加される。この例では、制御電気角に、進み電気角αであることを示す種別情報が付加されることとなる。マイコン54は、その種別情報により、制御電気角が進み電気角αと遅れ電気角βとの何れであるか、つまり、位相ずれ制御として進み位相ずれ制御と遅れ位相制御との何れを行うのか、を識別することができる。
また、マイコン54は、S250にて、位相ずれ制御の実施条件が成立していないと判定した場合には、S270に進み、制御電気角を0°に設定する。制御電気角を0°に設定することは、位相ずれ制御を実施せずに通常制御を行う、ということである。
マイコン54は、S260又はS270の処理を行った後、S280に進み、デューティ出力処理を実行する。デューティ出力処理は、駆動指令信号DHu〜DHwのうち、励磁切り替えによってハイにすると決定されている1つの駆動指令信号を、図12のS150で設定したデューティ比のPWM信号にして、ゲート回路56に出力する処理である。そして、マイコン54は、このデューティ出力処理を行った後、当該モータ制御処理を終了する。
尚、上記(2)〜(8)は、進み位相ずれ制御の実施条件の一例である。そして、進み位相ずれ制御の実施条件としては、(2)〜(8)の一部を削除しても良い。
また、モータ逆回転時にも位相ずれ制御を実施するのであれば、位相ずれ制御の実施条件として、(1)の条件は不要となる。そして、マイコン54は、S250では、設定回転方向が正転方向の場合には、モータ正転時に行う位相ずれ制御の実施条件が成立しているか否かを判定し、設定回転方向が逆転方向の場合には、モータ逆転時に行う位相ずれ制御の実施条件が成立しているか否かを判定すれば良い。例えば、進み位相ずれ制御の実施条件としては、(2)〜(8)の全部又は一部が成立している、という条件が考えられる。また、遅れ位相ずれ制御の実施条件としては、(4)と(8)の両方又は一方が成立している、という条件が考えられる。
一方、マイコン54は、励磁切り替えを行うための処理として、図14に示す信号割込み処理と、図15に示すタイマ割込み処理と、を実行する。図14の信号割込み処理は、位置検出信号HAu,HAv,HAwの何れかにレベル変化が生じると実行される。また、図15のタイマ割込み処理は、後述する図14のS370でタイマに設定された時間が経過したときに実行される。そして、このタイマ割込み処理により、前述した予測タイミングでの励磁切り替えが実施される。尚、ここでは、設定回転方向が正転方向である(すなわちモータ正転時である)ものとして説明する。
図14に示すように、マイコン54は、信号割込み処理を開始すると、S310にて、位置検出信号HAu,HAv,HAwのレベルを読み取ることで、現在の位置信号パターンを取得する。
マイコン54は、次のS320にて、位置信号パターンが正常であるか否かを判定する。マイコン54は、位置信号パターンが、「Hp1〜Hp6」の何れでもなければ、異常と判定して、そのまま当該信号割込み処理を終了する。
また、マイコン54は、S320にて、位置信号パターンが正常であると判定した場合には、S330に進み、制御電気角があるか否かを判定する。制御電気角があるとは、図13のS260によって制御電気角が0°以外の値に設定されている、ということである。このS330では、位相ずれ制御を行うか否かを判定していることになる。
マイコン54は、S330にて、制御電気角がないと判定した場合、つまり、制御電気角が0°に設定されていて、通常制御を行うと判定した場合には、S340に進む。
マイコン54は、S340では、現在の位置信号パターンに応じた通常制御の励磁パターンを出力する。つまり、通常制御において現在の位置信号パターンに対して切り替えるように設定されている励磁パターンを出力する。具体的には、図12のS140で設定した制御用マップから、現在の位置信号パターンに対応した励磁パターンを読み出して、その励磁パターンを駆動指令信号DHu〜DLwの出力値とする。
このS340の処理により、通常制御での励磁切り替えが行われる。そして、マイコン54は、S340の処理を行った後、当該信号割込み処理を終了する。
また、マイコン54は、S330にて、制御電気角があると判定した場合、つまり、制御電気角が0°以外に設定されていて、位相ずれ制御を行うと判定した場合には、S350に進む。
マイコン54は、S350では、出力済みフラグがセットされているか否かを判定する。出力済みフラグは、後述する図15のタイマ割込み処理によって励磁切り替えが行われた場合に、そのタイマ割込み処理のS460でセットされるフラグである。そして、マイコン54は、S350にて、出力済みフラグがセットされていると判定した場合には、S360に進み、S310で取得した現在の位置信号パターンを、前回パターンN1として記憶する。
マイコン54は、次のS370にて、今回の位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングから、位相ずれ制御による励磁切替タイミングまでの時間Tmを算出し、その時間Tmを、タイマ割込みを起動するためのタイマに設定する。
この例では、制御電気角として、進み電気角αが設定されており、位相ずれ制御として、進み位相ずれ制御が行われるため、マイコン54は、タイマに設定する時間Tmとして、前述の時間Tを、現在の回転数から算出する。その時間Tは、次の位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングよりも進み電気角αだけ前のタイミングまでの時間であり、つまりは、電気角で「60°−α」に相当する時間である。
尚、制御電気角として、遅れ電気角βが設定され、位相ずれ制御として、遅れ位相ずれ制御を行うのであれば、マイコン54は、タイマに設定する時間Tmとして、前述の時間tを、現在の回転数から算出する。その時間tは、今回の位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングから遅れ電気角βだけ後のタイミングまでの時間であり、つまりは、遅れ電気角βに相当する時間である。
そして、マイコン54は、次のS380にて、出力済みフラグをクリアし、その後、当該信号割込み処理を終了する。
また、マイコン54は、S350にて、出力済みフラグがセットされていないと判定した場合には、S355に進む。
この場合は、位相ずれ制御の実施中において、前回に位置検出信号HAu,HAv,HAwが変化してから、図15のタイマ割込み処理により予測タイミングでの励磁切り替えを行う前に、位置検出信号HAu,HAv,HAwが変化した、という場合である。そして、この場合、マイコン54は、S355では、S340と同じ処理を行う。すなわち、通常制御において現在の位置信号パターンに対して切り替えるように設定されている励磁パターンを出力する。そして、その後、S360に進む。
マイコン54は、図14のS370でタイマに設定された時間Tmが経過すると、図15のタイマ割込み処理を実行する。
そして、図15に示すように、マイコン54は、タイマ割込み処理を開始すると、S410にて、位置検出信号HAu,HAv,HAwのレベルを読み取ることで、現在の位置信号パターンを取得する。
マイコン54は、次のS420にて、図14のS320と同様に、位置信号パターンが正常であるか否かを判定し、位置信号パターンが異常であると判定した場合には、そのまま当該タイマ割込み処理を終了する。
また、マイコン54は、S420にて、位置信号パターンが正常であると判定した場合には、S430に進み、現在の位置信号パターンが、図14のS360で記憶した前回パターンN1と同じであるか否かを判定する。
マイコン54は、S430にて、現在の位置信号パターンが前回パターンN1と同じであると判定した場合には、S440に進み、現在の位置信号パターンに応じた位相ずれ制御の励磁パターンを出力する。
この例では、位相ずれ制御として、進み位相ずれ制御を行うため、現在の位置信号パターンに応じた位相ずれ制御の励磁パターンとは、前述した次の励磁パターンである。この場合、S440では、具体的には、図12のS140で設定した制御用マップから、現在の位置信号パターンを基準として、次の位置信号パターンに対応する励磁パターンを読み出し、その励磁パターンを駆動指令信号DHu〜DLwの出力値とする。
尚、位相ずれ制御として、遅れ位相ずれ制御を行うのであれば、現在の位置信号パターンに応じた位相ずれ制御の励磁パターンとは、前述した今回の励磁パターンである。その場合、S440では、具体的には、図12のS140で設定した制御用マップから、現在の位置信号パターンに対応する励磁パターンを読み出し、その励磁パターンを駆動指令信号DHu〜DLwの出力値とすることになる。
また、マイコン54は、S430にて、現在の位置信号パターンが前回パターンN1と同じではないと判定した場合には、S450に進む。
この場合は、タイマに設定された時間Tmが経過してタイマ割込み要求が発生してから、当該タイマ割込み処理が開始されるまでの間に、位置検出信号HAu,HAv,HAwが変化して、S410では、その変化した後の位置信号パターンを取得した、という場合である。よって、この場合も、位相ずれ制御の実施中において、前回に位置検出信号HAu,HAv,HAwが変化してから、当該タイマ割込み処理により予測タイミングでの励磁切り替えを行う前に、位置検出信号HAu,HAv,HAwが変化した、という場合である。そして、この場合、マイコン54は、S450では、図14のS340,S355と同じ処理を行う。すなわち、通常制御において現在の位置信号パターンに対して切り替えるように設定されている励磁パターンを出力する。
マイコン54は、S440又はS450の処理を行った後、S460に進み、出力フラグをセットする。そして、その後、当該タイマ割込み処理を終了する。
次に、図12〜図15の処理による作用について説明する。
モータ正転時においては、上記(2)〜(8)の条件が1つでも成立していないと、図13のS270により、制御電気角が0°に設定される。そして、この場合、位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングで実行される信号割込み処理のS340で励磁切り替えが行われることにより、通常制御が実施される。
また、モータ正転時においては、上記(2)〜(8)の条件が全て成立すると、図13のS260により、制御電気角として、進み電気角αが設定される。そして、この場合、図15のタイマ割込み処理が、位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングよりも進み電気角αだけ前のタイミングで実行され、そのタイマ割込み処理のS440で励磁切り替えが行われることにより、進み位相ずれ制御が実施される。
一方、モータ逆転時においては、上記(2)〜(8)の条件に拘わらず、図13のS270により、制御電気角が0°に設定される。よって、この場合、信号割込み処理のS340で励磁切り替えが行われることにより、通常制御が実施される。
<効果>
制御装置17のマイコン54は、通常制御と位相ずれ制御とを、所定の情報に基づき切り替えて実施する。このため、モータ20の駆動中において、励磁切替タイミングを、位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングだけでなく、位置検出信号HAu,HAv,HAwの変化タイミングに対して制御電気角だけずれたタイミングにもすることができる。よって、モータ20の駆動中において、励磁切替タイミングを、状況に適したタイミングに変更することが可能となる。
また、上記実施形態での制御電気角は、10°であり、25°である機械的進角度Mよりも小さい値に設定されている。このため、総進角度における制御電気角の比率を小さくすることができ、大きな総進角度を精度良く実現することができる。
また、マイコン54が通常制御と位相ずれ制御との切り替えに用いる情報としては、モータ20の駆動に関する物理量が用いられている。その物理量の一例としては、モータ電流、回転数、バッテリ電圧VB、モータ20の温度、スイッチング素子QHu〜QLwの温度、マイコン54の温度、である。このため、それらの物理量に応じて通常制御と位相ずれ制御とを切り替えることができ、モータ20を適切に駆動することができるようになる。
また、マイコン54は、位相ずれ制御を実施している場合に、前記物理量のうちの例えば回転数が所定範囲を超えたなら、通常制御を実施する動作状態に切り替わるようになっている。このため、位相ずれ制御よりも通常制御を行う方が好ましい状況になった場合に、位相ずれ制御から通常制御に切り替えることができる。
尚、位相ずれ制御の実施条件として、モータ電流やバッテリ電圧VB等、回転数以外の特定の物理量が所定範囲内である、という条件を設けることもできる。この場合には、その特定の物理量が所定範囲を超えたなら、位相ずれ制御から通常制御に切り替わることとなる。
また、マイコン54は、位相ずれ制御を実施している場合に、位置検出信号HAu,HAv,HAwが変化してから、タイマ割込み処理により予測タイミングでの励磁切り替えを行う前に、位置検出信号HAu,HAv,HAwが変化したならば、下記の処理を行うようになっている。
その処理とは、図14のS355又は図15のS450によって実現される処理であり、励磁パターンを、通常制御において現在の位置信号パターンに対して切り替えるように設定されている励磁パターンに切り替える、という処理である。
このため、位相ずれ制御の実施中において、予測タイミングで励磁切り替えが行われる前に、ロータ31の急な回転速度変化により位置検出信号HAu,HAv,HAwが変化しても、励磁パターンを適切に切り替えることができるようになる。よって、励磁パターンの切り替えの乱れを防いで、モータ20を適切に駆動することができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の電動作業機について説明するが、電動作業機の符号としては、第1実施形態と同じ“1”を用いる。また、第2実施形態は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、共通する構成については説明を省略し、相違点を中心に説明する。尚、第1実施形態と同様の構成要素や処理については、第1実施形態と同じ符号を用いる。そして、これらのことは、後述する他の実施形態についても同様である。
第2実施形態の電動作業機1として、マイコン54は、位相ずれ制御を実施する場合に、前述の物理量に応じて制御電気角を変更するように構成されても良い。
例えば、マイコン54は、図13のS260では、制御電気角を、回転数に応じた値に設定するようになっていても良い。具体例としては、実際の回転数が目標値(例えば28000rpm)未満の場合には、制御電気角としての進み電気角αを例えば10.1°に設定し、実際の回転数が目標値以上の場合には、進み電気角αを小さくして例えば9.9°に設定するようになっていても良い。
このように構成すれば、モータ20を、より適切に駆動することができるようになる。具体的には、回転数の上昇に伴って総進角度を小さくすることができ、回転数が過大になることを抑制することができる。
また例えば、マイコン54は、バッテリ電圧VBが低いほど、総進角度が小さくなるように制御電気角を変更する、というように構成しても良い。このように構成すれば、バッテリ電圧VBの低下を抑制することができる。
また例えば、マイコン54は、モータ20の温度とスイッチング素子QHu〜QLwの温度との、少なくとも一方が高いほど、総進角度が小さくなるように制御電気角を変更する、というように構成しても良い。このように構成すれば、温度上昇を抑制することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態の電動作業機1として、マイコン54は、モータ正転時だけでなく、モータ逆転時においても、位相ずれ制御を実施するように構成されても良い。
この場合、モータ正転時とモータ逆転時とで、位相ずれ制御による総進角度が同じになるように、制御電気角を設定することができる。このように構成すれば、モータ正転時とモータ逆転時とで、モータ20の駆動特性を同じにすることができる。
数値の一例を挙げると、マイコン54が、モータ正転時の位相ずれ制御として、進み電気角αを4°にした進み位相制御を実施すれば、総進角度は「M+4°」=29°となる。そして、マイコン54が、モータ逆転時の位相ずれ制御として、遅れ電気角βを6°にした遅れ位相制御を実施すれば、総進角度は「60°−M−6°」=29°となり、モータ正転時の位相ずれ制御と同じ値となる。
尚、マイコン54は、モータ正転時の位相ずれ制御として、進み位相ずれ制御を実施するのであれば、設定回転方向が正転方向の場合に、図13のS250では、進み位相ずれ制御の実施条件が成立しているか否かを判定すれば良い。また、マイコン54は、モータ正転時の位相ずれ制御として、遅れ位相ずれ制御を実施するのであれば、設定回転方向が正転方向の場合に、図13のS250では、遅れ位相ずれ制御の実施条件が成立しているか否かを判定すれば良い。進み位相ずれ制御の実施条件と、遅れ位相ずれ制御の実施条件との、それぞれとしては、既述した例が考えられる。
同様に、マイコン54は、モータ逆転時の位相ずれ制御として、進み位相ずれ制御を実施するのであれば、設定回転方向が逆転方向の場合に、図13のS250では、進み位相ずれ制御の実施条件が成立しているか否かを判定すれば良い。また、マイコン54は、モータ逆転時の位相ずれ制御として、遅れ位相ずれ制御を実施するのであれば、設定回転方向が逆転方向の場合に、図13のS250では、遅れ位相ずれ制御の実施条件が成立しているか否かを判定すれば良い。
[第4実施形態]
第3実施形態と同様に、マイコン54が、モータ正転時とモータ逆転時との両方において、位相ずれ制御を実施する場合、モータ正転時とモータ逆転時とで、位相ずれ制御による総進角度が異なるように、制御電気角を設定することができる。このように構成すれば、モータ正転時とモータ逆転時とで、モータ20の駆動特性を異ならせることができる。
数値の一例を挙げると、マイコン54が、モータ正転時の位相ずれ制御として、遅れ電気角βを10°にした遅れ位相制御を実施すれば、総進角度は「M−10°」=15°となる。そして、マイコン54が、モータ逆転時の位相ずれ制御として、遅れ電気角βを7°にした遅れ位相制御を実施すれば、総進角度は「60°−M−7°」=28°となり、モータ正転時の位相ずれ制御とは異なる値になる。この例の場合、モータ正転時には総進角度を小さくして出力トルクを重視し、モータ逆転時には総進角度を大きくして回転数を重視する、といった駆動特性の相違を実現することができる。
[第5実施形態]
第5実施形態の電動作業機1として、マイコン54は、図13のS250では、ロータ31の回転方向を示す情報に基づいて、位相ずれ制御の実施条件が成立しているか否か、すなわち、通常制御と位相ずれ制御との何れを行うか、を判定するように構成されても良い。つまり、通常制御と位相ずれ制御との切り替えに用いる情報は、ロータ31の回転方向を示す情報でも良い。ロータ31の回転方向を示す情報としては、正逆切替SW12からの信号(すなわち設定回転方向)でも良いし、実際の回転方向の検出結果であっても良い。
このように構成された電動作業機1によれば、ロータ31の回転方向により、通常制御と位相ずれ制御とを切り替えて実施することができる。
例えば、ロータの回転方向を示す情報が、正逆切替SW12からの信号であるとする。この場合、マイコン54は、図13のS250にて、設定回転方向が逆転方向であるか否かを判定し、設定回転方向が逆転方向であればS260に進み、設定回転方向が正転転方向であればS270に進むように構成することができる。つまり、マイコン54は、正逆切替SW12からの信号に基づきロータ31を正転方向に回転させる場合には、通常制御を行い、正逆切替SW12からの信号に基づきロータ31を逆転方向に回転させる場合には、位相ずれ制御を行うように構成することができる。
このように構成すれば、モータ正転時とモータ逆転時とで、総進角度を同じにすることができ、両方の回転方向についてモータ20の特性を同じにすることができる。例えば、マイコン54は、図13のS250で設定回転方向が逆転方向であると判定して、S260に進んだ場合に、制御電気角として10°の遅れ電気角βを設定すれば、モータ逆転時の位相ずれ制御として、遅れ電気角βが10°の遅れ位相制御を実施することとなる。この場合、モータ逆転時の総進角度は「60°−M−10°」=25°となり、モータ正転時の通常制御による総進角度(=M)と同じ値になる。
[第6実施形態]
第6実施形態の電動作業機1は、下記(A)〜(C)の特徴を備える。
(A)機械的進角度Mは、0°より大きく30°よりは小さい値である。
(B)マイコン54は、モータ正転時とモータ逆転時との両方において、位相ずれ制御を実施する。
(C)モータ正転時の位相ずれ制御と、モータ逆転時の位相ずれ制御との、両方において、総進角度は10°より大きく30°よりは小さい。
尚、第3実施形態と第4実施形態との各々で挙げた数値例の電動作業機1も、(A)〜(C)の特徴を備えるものである。
(A)〜(C)の特徴を備える電動作業機1によれば、モータ正転時とモータ逆転時との両方において、図16に示すように、モータ20に要求されるトルク及び回転数を実現し易い。図16において、「進角」とは、総進角度であり、二点鎖線で囲まれた「実使用領域」は、モータ20の出力として要求されるトルクと回転数との関係を満たす領域である。図16に示すように、総進角度が10°よりも小さい場合には、実使用領域の最大回転数を実現することが困難となり、総進角度が30°よりも大きい場合には、実使用領域の最大トルクを実現することが困難となる。一方、総進角度が10°より大きく30°より小さければ、実使用領域の出力特性を実現することができる。
また、マイコン54が、モータ正転時にだけ位相ずれ制御を実施するように構成される場合も、上記(A)の特徴と、「総進角度が10°より大きく30°よりは小さい」という特徴と、を備えるように構成すれば、実使用領域の出力特性を実現することができる。例えば、第1実施形態において、図13のS260で制御電気角として設定する進み電気角αを、5°未満にすれば、総進角度は30°よりも小さい値となる。
[第7実施形態]
電動作業機1の電源は、図17に示すように交流電源81であっても良い。
この場合、制御装置17は、図17に示すように、交流電源81から供給される交流電圧を直流電圧に変換して出力するAC/DCコンバータ(以下単に、コンバータという)83を備える。そして、制御装置17において、レギュレータ53は、コンバータ83の出力電圧VDCから電源電圧Vccを生成する。また、コンバータ83の出力電圧VDCが、インバータ55に該インバータ55の電源電圧V1として供給されると共に、ゲート回路56に該ゲート回路56の電源電圧V2として供給される。
そして、この場合、コンバータ83の出力電圧VDCは、電動作業機1の電源の電圧に相当する。このため、マイコン54は、位相ずれ制御の実施条件のうち、(5)の条件については、バッテリ電圧VBに代えて、コンバータ83の出力電圧VDCを用いるように構成することができる。つまり、位相ずれ制御の実施条件をなす物理量のうち、バッテリ電圧VBについては、それに代えて、コンバータ83の出力電圧VDCを用いることができる。尚、この場合、電圧検出部61は、コンバータ83の出力電圧VDCを検出し、その出力電圧VDCに応じた信号をマイコン54に出力するようになっていれば良い。
また例えば、交流電源81からの交流電圧がコンバータ83とは別の整流回路によっても整流されるようになっていても良い。この場合、マイコン54は、上記整流回路の出力電圧を、当該電動作業機1の電源の電圧として取得し、上記(5)の条件については、バッテリ電圧VBに代えて、上記整流回路の出力電圧を用いるように構成することができる。尚、この場合、電圧検出部61は、上記整流回路の出力電圧を検出し、その整流回路の出力電圧に応じた信号をマイコン54に出力するようになっていれば良い。
また、図17に示すように、マイコン54は、交流電源81に流れる電流を、交流電源81の電流経路に設けられた電流検出回路85を介して検出するようになっていても良い。この場合、マイコン54は、位相ずれ制御の実施条件のうち、(2)の条件については、モータ電流に代えて、交流電源81に流れる電流を用いるように構成することができる。交流電源81に流れる電流とモータ電流とには相関があるからである。尚、このような変形は、第1〜第6実施形態についても同様に適用することができる。つまり、マイコン54は、バッテリ60に流れる電流を、バッテリ60の電流経路に設けられた電流検出回路を介して検出し、(2)の条件については、モータ電流に代えて、バッテリ60に流れる電流を用いるように構成することができる。
[第8実施形態]
第1〜第6実施形態の制御装置17において、バッテリ電圧VBが電圧変換回路や抵抗等の電圧変換部により他の電圧値に変換され、その変換後の電圧が、インバータ55の電源電圧V1として用いられる構成でも良い。
この場合、マイコン54は、位相ずれ制御の実施条件のうち、(5)の条件については、バッテリ電圧VBに代えて、インバータ55の電源電圧V1を用いるように構成することができる。尚、この場合、電圧検出部61は、インバータ55の電源電圧V1を検出し、その電源電圧V1に応じた信号をマイコン54に出力するようになっていれば良い。また、位相ずれ制御の実施条件として、(5)の条件とは別に、「インバータ55の電源電圧V1が所定の閾値以上」という条件が加えられても良い。
また、このような第8実施形態の内容は、第7実施形態についても同様に適用することができる。
[第9実施形態]
第1〜第6実施形態の制御装置17において、バッテリ電圧VBが電圧変換回路や抵抗等の電圧変換部により他の電圧値に変換され、その変換後の電圧が、ゲート回路56の電源電圧V2として用いられる構成でも良い。
この場合、マイコン54は、位相ずれ制御の実施条件のうち、(5)の条件については、バッテリ電圧VBに代えて、ゲート回路56の電源電圧V2を用いるように構成することができる。尚、この場合、電圧検出部61は、ゲート回路56の電源電圧V2を検出し、その電源電圧V2に応じた信号をマイコン54に出力するようになっていれば良い。また、位相ずれ制御の実施条件として、(5)の条件とは別に、「ゲート回路56の電源電圧V2が所定の閾値以上」という条件が加えられても良い。
このような第9実施形態の内容は、第7実施形態についても同様に適用することができる。
[第10実施形態]
上記各実施形態において、ホールセンサ51u,51v,51wは、ロータ31に取り付けられた回転力発生用の磁石34からの磁界に反応するよう設けられていたが、磁石34以外の位置検出用磁石からの磁界に反応するようになっていても良い。
例えば、図18に示すように、ロータ31の回転軸32に、電動作業機1の内部を冷却するための風を発生するファン91が取り付けられていて、そのファン91に位置検出用の磁石93が取り付けられている構成が考えられる。この場合、ホールセンサ51u,51v,51wは、位置検出用の磁石93から受ける磁界の変化に応じて位置検出信号HAu,HAv,HAwを出力するように、モータ20に取り付けることができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得る。また、前述の数値も一例であり他の値でも良い。
上記実施形態の制御装置17では、インバータ55の母線電流を、モータ電流(すなわち、コイル25に流れる電流)として検出したが、例えば、電源線48u,48v,48wに流れる電流を、モータ電流として検出するように構成しても良い。
また、回転位置センサとしては、ホール素子を用いたものに限らず、例えば磁気抵抗素子など、他の磁電変換素子を用いたセンサでも良い。また、回転位置センサは、電気角60°とは異なる電気角毎のロータ位置を検出するように構成されたものでも良い。
モータ20におけるコイル25の結線方式は、デルタ結線に限らず、例えばスター結線など、他の結線方式でも良い。
電動作業機としては、作業現場での作業に使用されるものであれば良く、例えば、ドライバドリル、マルノコ、ハンマドライバ、グラインダ、鉄筋結束機などの電動工具であっても良いし、草刈機、チェーンソー、カットオフソー、噴霧機、散布機、ブロワ、集塵機などであっても良い。
また、上記各実施形態で述べた構成の内容を適宜組み合わせても良い。また、上記実施形態で述べた構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換しても良い。また、上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしても良い。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしても良い。また、上記実施形態の構成の一部を省略しても良い。なお、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本発明の実施形態である。また、上述した電動作業機の他、当該電動作業機を構成要素とするシステム、当該電動作業機としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の記録媒体、電動作業機用ブラシレスモータの制御方法など、種々の形態で本発明を実現することもできる。
1…電動作業機、2,3…半割ハウジング、4…グリップ部、5…本体ハウジング、6…バッテリパック、7…モータ収納部、8…チャックスリーブ、10…トリガSW、12…正逆切替SW、14…照明LED、16…表示部、17…制御装置、20…モータ、21…ステータ、23…ステータコア、24…ティース、25…コイル、26…スロット、31…ロータ、32…回転軸、33…ロータコア、34…永久磁石、41…インシュレータ、42…センサ回路基板、43…ねじ、44…貫通孔、45…切欠部、46…固定片、47…信号線、48u,48v,48w…電源線、49u,49v,49w…端子、51u,51v,51w…ホールセンサ、53…レギュレータ、54…マイコン、55…インバータ、56…ゲート回路、57…電流検出回路、60…バッテリ、61…電圧検出部、62…コントローラ温度検出部、63…FET温度検出部、64…モータ温度検出部、QHu,QHv,QHw,QLu,QLv,QLw…スイッチング素子、81…交流電源、83…AC/DCコンバータ、85…電流検出回路、91…ファン、93…位置検出用の磁石

Claims (12)

  1. ロータと、コイルを有するステータと、を備えるブラシレスモータを、動力源として備える電動作業機であって、
    前記ロータの回転に伴う磁界の変化から前記ロータの所定電気角毎の回転位置を示す位置検出信号を出力するように構成された回転位置センサと、
    前記位置検出信号に基づき、前記コイルに流す電流のパターンである励磁パターンを切り替えることで前記ロータを回転させるように構成されたコントローラと、を備え、
    前記回転位置センサは、
    前記ロータの回転方向が2通りの回転方向の一方である正転方向である場合に、前記位置検出信号の変化タイミングが、前記励磁パターンを切り替えるタイミングについての基準タイミングよりも、特定の電気角だけ前のタイミングとなるように、前記ブラシレスモータに取り付けられており、
    前記基準タイミングは、
    前記ロータの回転に伴い前記コイルに発生する複数相の各誘起電圧が、該誘起電圧の変化の中心値である基準電圧を横切るタイミングから、電気角で30°後のタイミングであり、
    前記コントローラは、
    前記位置検出信号の変化タイミングで前記励磁パターンを切り替える通常制御と、前記位置検出信号の変化タイミングに対して所定の電気角である制御電気角だけずれたタイミングを予測し、該予測したタイミングで前記励磁パターンを切り替える位相ずれ制御とを、所定の情報に基づき切り替えて実施するように構成されている、
    電動作業機。
  2. 請求項1に記載の電動作業機であって、
    前記制御電気角は、前記特定の電気角よりも小さい、
    電動作業機。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電動作業機であって、
    前記情報は、前記ブラシレスモータの駆動に関する物理量である、
    電動作業機。
  4. 請求項3に記載の電動作業機であって、
    前記物理量は、
    前記コイルに流れる電流と、前記ブラシレスモータの回転数と、当該電動作業機の電源の電圧と、前記ブラシレスモータの温度と、前記コイルに電流を流すために当該電動作業機に備えられたインバータを構成するスイッチング素子の温度と、前記コントローラの温度と、前記電源に流れる電流と、前記スイッチング素子を駆動する回路に供給される電源電圧と、前記インバータに供給される電源電圧との、少なくとも1つである、
    電動作業機。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の電動作業機であって、
    前記コントローラは、
    前記位相ずれ制御を実施する場合に、前記制御電気角を前記物理量に応じて変更するように構成されている、
    電動作業機。
  6. 請求項3ないし請求項5の何れか1項に記載の電動作業機であって、
    前記コントローラは、
    前記位相ずれ制御を実施している場合に、前記物理量が所定範囲を超えたなら、前記通常制御を実施する動作状態に切り替わるように構成されている、
    電動作業機。
  7. 請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の電動作業機であって、
    前記コントローラは、
    前記ロータを前記正転方向に回転させる場合と、前記ロータを前記正転方向とは逆の回転方向である逆転方向に回転させる場合との、両方において、前記位相ずれ制御を実施するように構成され、
    更に、前記コントローラは、
    前記ロータを前記正転方向に回転させる場合に実施する前記位相ずれ制御と、前記ロータを前記逆転方向に回転させる場合に実施する前記位相ずれ制御との、両方において、前記基準タイミングよりも所定の電気角である総進角度だけ前のタイミングで前記励磁パターンの切り替えを行うように構成され、
    前記コントローラが前記ロータを前記正転方向に回転させる場合と、前記ロータを前記逆転方向に回転させる場合とで、前記位相ずれ制御による前記総進角度が異なる、
    電動作業機。
  8. 請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の電動作業機であって、
    前記特定の電気角は、0°より大きく30°よりは小さい電気角であり、
    前記コントローラは、
    前記ロータを前記正転方向に回転させる場合に実施する前記位相ずれ制御において、前記基準タイミングよりも所定の電気角である総進角度だけ前のタイミングで前記励磁パターンの切り替えを行うように構成され、
    前記総進角度は、10°より大きく30°よりは小さい、
    電動作業機。
  9. 請求項1ないし請求項6の何れか1項に記載の電動作業機であって、
    前記特定の電気角は、0°より大きく30°よりは小さい電気角であり、
    前記コントローラは、
    前記ロータを前記正転方向に回転させる場合と、前記ロータを前記正転方向とは逆の回転方向である逆転方向に回転させる場合との、両方において、前記位相ずれ制御を実施するように構成され、
    更に、前記コントローラは、
    前記ロータを前記正転方向に回転させる場合に実施する前記位相ずれ制御と、前記ロータを前記逆転方向に回転させる場合に実施する前記位相ずれ制御との、両方において、前記基準タイミングよりも所定の電気角である総進角度だけ前のタイミングで前記励磁パターンの切り替えを行うように構成され、
    前記コントローラが前記ロータを前記正転方向に回転させる場合と、前記ロータを前記逆転方向に回転させる場合との、両方において、前記位相ずれ制御による前記総進角度は、10°より大きく30°よりは小さい、
    電動作業機。
  10. 請求項1又は請求項2に記載の電動作業機であって、
    前記情報は、前記ロータの回転方向を示す情報である、
    電動作業機。
  11. 請求項10に記載の電動作業機であって、
    前記情報は、
    前記ロータを、前記正転方向と、前記正転方向とは逆の回転方向である逆転方向との、何れに回転させるかを示す情報であり、
    前記コントローラは、
    前記情報に基づいて前記ロータを前記正転方向に回転させる場合には、前記通常制御を行い、前記情報に基づいて前記ロータを前記逆転方向に回転させる場合には、前記位相ずれ制御を行うように構成されている、
    電動作業機。
  12. 請求項1ないし請求項11の何れか1項に記載の電動作業機であって、
    前記コントローラは、
    前記位相ずれ制御を実施している場合において、前記位置検出信号が変化してから、前記予測したタイミングで前記励磁パターンを切り替える前に、前記位置検出信号が変化したならば、その時点で、前記励磁パターンを、前記通常制御において現在の位置検出信号に対して切り替えるように設定されている励磁パターンに切り替えるように構成されている、
    電動作業機。
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