JP2017126045A - 反射防止材 - Google Patents

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尚史 ▲高▼林
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Abstract

【課題】樹脂の硬化前に、常温で一定時間(例えば、2時間以上)放置したとしても、十分な反射防止機能を発揮する反射防止材及び当該反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置を提供する。【解決手段】多孔質フィラー(A1)及び中空体フィラー(A2)からなる群より選択される少なくとも1種の無機フィラー(A)が分散された樹脂層からなり、無機フィラー(A)は樹脂層の表面に反射を抑える凹凸を形成する反射防止材であって、樹脂層がエポキシ化合物(B)と架橋環式炭化水素環を有する酸無水物硬化剤(C)とを含有する硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物である反射防止材、及び反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置。【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止材に関する。また、本発明は、当該反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置に関する。
近年、各種の屋内又は屋外表示板、交通信号、大型ディスプレイ用ユニット等においては、光半導体素子(LED素子)を光源とする発光装置(光半導体装置)の採用が進んでいる。このような光半導体装置としては、一般に、基板(光半導体素子搭載用基板)上に光半導体素子が搭載され、さらに該光半導体素子が透明な封止材により封止された光半導体装置が普及している。このような光半導体装置における封止材には、外部からの照明光や太陽光などの入射光が全反射することによる視認性の低下を防止するためにその表面に反射防止処理が施されている。
従来、樹脂層の表面に反射防止機能を付与する方法としては、樹脂にガラスビーズ、シリカ、中空粒子等の樹脂よりも比重が小さい無機フィラーを分散させ、硬化前又は硬化中に樹脂層表面に浮かばせて表面に凹凸を形成することによって入射光を散乱させる方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−114605号公報
特許文献1の方法では、無機フィラーを樹脂に均一に分散させた樹脂組成物を発光装置に注型し、常温で一定時間放置することにより無機フィラーを樹脂の上部表面に浮上させ、その後に加熱硬化させることにより反射防止材を形成している。無機フィラーを樹脂層の上部表面に十分に浮上させるためには、加熱前に一定時間(例えば、2時間以上)の常温での放置を要するが、発明者らが特許文献1の方法を試したところ、加熱硬化前に、例えば、2時間以上放置すると、得られる反射防止材の反射防止機能が低下することが判明した。
従って、本発明の目的は、樹脂の硬化前に常温で一定時間(例えば、2時間以上)放置したとしても、十分な反射防止機能を発揮する反射防止材を提供することである。
また、本発明の他の目的は、光半導体封止用樹脂組成物である、上記反射防止材を提供することである。
さらに、本発明の他の目的は、上記反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、反射防止材を構成する樹脂層を構成する硬化性組成物として硬化性エポキシ樹脂組成物を採用し、さらにエポキシ硬化剤として、架橋環式炭化水素環を有する酸無水物硬化剤を採用し、無機フィラーとして中空体フィラー又は多孔質フィラーを配合したところ、樹脂の硬化前に2時間以上、常温で放置したとしても、十分な反射防止機能を有する反射防止材が提供され、光半導体装置における光半導体素子を封止するための材料として極めて適していることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、多孔質フィラー(A1)及び中空体フィラー(A2)からなる群より選択される少なくとも1種の無機フィラー(A)が分散された樹脂層からなり、当該無機フィラー(A)は当該樹脂層の表面に反射を抑える凹凸を形成する反射防止材であって、樹脂層がエポキシ化合物(B)と架橋環式炭化水素環を有する酸無水物硬化剤(C)とを含有する硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする、反射防止材を提供する。
前記反射防止材において、前記無機フィラー(A)は、前記硬化性エポキシ樹脂組成物中に均一に分散した後に当該硬化性エポキシ樹脂組成物の上部表面付近に浮上して当該表面に前記凹凸を形成し得る。
前記反射防止材において、反射防止材全量(100重量%)に対する前記無機フィラー(A)の含有量は、0.5〜40重量%であってもよい。
前記反射防止材において、硬化前の反射防止材は、液状であってもよい。
前記反射防止材において、硬化前の反射防止材の全量(100重量%)に対する硬化中に揮発する成分の量は、10重量%以下であってもよい。
前記反射防止材において、前記樹脂層は、透明な硬化性樹脂組成物からなっていてもよい。
前記反射防止材は、光半導体封止用樹脂組成物であってもよい。
また、本発明は、反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置を提供する。
本発明の反射防止材は上記構成を有するため、樹脂の硬化前に2時間以上常温で放置したとしても、十分な反射防止機能が得られ、且つ光源の全光束を担保することができる。従って、本発明の反射防止材を光半導体装置における光半導体素子を封止するための材料として使用することにより、高品質な(例えば、光沢を抑えつつ明るさも十分な)光半導体装置を効率的に製造することができる。
本発明の第1の実施形態に係る反射防止材の拡大模式図である。 本発明の第2の実施形態に係る反射防止材の拡大模式図である。 本発明の反射防止材の製造例の工程を示す概略図である。 本発明の反射防止材を含む光半導体装置の一実施形態を示す概略図である。左側の図(a)は斜視図であり、右側の図(b)は断面図である。
<反射防止材>
本発明の反射防止材は、多孔質フィラー及び中空体フィラーからなる群より選択される少なくとも1種の無機フィラー(A)が、エポキシ化合物(B)と架橋環式炭化水素環を有する酸無水物硬化剤(C)とを含有する硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物である樹脂層に分散され、当該無機フィラー(A)が当該樹脂層の表面に反射を抑える凹凸を形成することを特徴とするものである。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る反射防止材の拡大模式図である。1は樹脂層、2は多孔質フィラーを示す。図1に示すように、樹脂層1中に分散する多孔質フィラー2のうち、樹脂層1の上部表面付近に存在する多孔質フィラー2は、樹脂層1の上部表面に接することにより、凹凸形状を形成し、入射光が散乱して全反射による光沢を抑制する。第1実施形態は、多孔質フィラー2が凹凸形状の凹部の下よりも凸部の下に多く接するように分布する態様である。
多孔質フィラー2の多孔質構造により、多孔質でないフィラーと比べ、樹脂層に対する見かけ上の体積が増加するため、少量の添加でも樹脂層表面に凹凸を形成できる。また、多孔質フィラー2の多孔質構造に樹脂層1が浸み込み、多孔質フィラーと樹脂層の見かけ上の比重差が低下することで、分散状態が安定になるとともに、多孔質フィラー2の表面同士の相互作用が抑制されて凝集しにくくなり、多孔質フィラー2が樹脂層1の上部表面全体に行き渡ることができるので、均一で微細な凹凸を樹脂層表面に形成して効率的に入射光を散乱させることができる。また、第1実施形態では、多孔質フィラー2自身の表面が樹脂層1の上部表面に現れやすくなるが、多孔質フィラー2の表面の多孔質構造によっても入射光が散乱するため、多孔質でないフィラーを使用した場合と比較してより効率的に反射による光沢を抑制することができる。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る反射防止材の拡大模式図である。1は樹脂層、3は中空体フィラーを示す。図2に示すように中空体フィラー3は、樹脂層1の上部表面付近に主に存在する。中空体フィラー3は、樹脂層1の上部表面に接することにより、凹凸形状を形成し、入射光が散乱して全反射による光沢を抑制する。
第2実施形態では、中空体フィラーが凹凸形状の凸部の下よりも凹部の下に多く接するように分布する。中空体フィラー3は、樹脂層表面に形成された凹凸の凸部の下よりも凹部の下に多く接するように分布することにより、中空体フィラー3が樹脂層1の表面に現れることが少なくなるため、中空体フィラー3自身による反射が抑制され、より高い反射防止機能を発揮することができる。
第1及び第2実施形態で説明した通り、多孔質フィラー又は中空体フィラーを使用した場合には、多孔質でも中空体でもない無機フィラーと比較して、使用量を少なくしても反射を効率的に抑制することができるので、多孔質フィラー又は中空体フィラー自身の光線吸収による全光束の大幅な低下を抑えながら、十分な反射防止機能を担保することができる。
なお、本発明の反射防止材が上記第1、第2実施形態に限定されないことは言うまでもない。
以下、各構成要素について詳細に説明する。
[無機フィラー(A)]
本発明の反射防止材における無機フィラー(A)は、樹脂層の表面付近に存在して入射光を散乱させるための凹凸を樹脂層表面に形成する働きを有する。無機フィラー(A)は、多孔質フィラー(A1)及び中空体フィラー(A2)からなる群より選択される少なくとも1種である。
中空体フィラー(A2)は、それぞれ、その内部に中空を有するので、比重が小さく樹脂層中で浮上しやすいことから本発明の反射防止材に好ましく使用される。
[多孔質フィラー(A1)]
本発明の反射防止材に使用できる多孔質フィラー(A1)とは、フィラーの真比重に比べて見掛け比重が小さく、その内部に多孔質構造を有する無機フィラーを意味する。
多孔質フィラー(A1)としては、公知乃至慣用のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、無機ガラス[例えば、硼珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、石英等]、シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、水酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、フォステライト、ステアタイト、スピネル、クレー、カオリン、ドロマイト、ヒドロキシアパタイト、ネフェリンサイナイト、クリストバライト、ウォラストナイト、珪藻土、タルク等の粉体であって多孔質構造を有するもの、又はこれらの成型体(例えば、球形化したビーズ等)等が挙げられる。また、多孔質フィラー(A1)としては、上述の多孔質フィラーに公知乃至慣用の表面処理[例えば、金属酸化物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等の表面処理剤による表面処理等]が施されたもの等も挙げられる。このような表面処理を施すことにより、樹脂層の成分との相溶性や分散性を向上させることができる場合がある。中でも、多孔質フィラー(A1)としては、樹脂層表面に凹凸を効率的に形成できるという観点で、多孔質無機ガラス又は多孔質シリカ(多孔質シリカフィラー)が好ましい。
多孔質シリカとしては、特に限定されず、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、高純度合成シリカ、コロイド状シリカ等の公知乃至慣用の多孔質シリカを使用できる。なお、多孔質シリカとしては、公知乃至慣用の表面処理[例えば、金属酸化物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等の表面処理剤による表面処理等]が施されたものを使用することもできる。
上記多孔質フィラー(A1)は、単一の材料より構成されたものであってもよいし、二種以上の材料より構成されたものであってもよい。中でも、多孔質フィラー(A1)としては、樹脂層表面に凹凸を効率的に形成でき、入手性や製造容易性の観点から、多孔質シリカ(多孔質シリカフィラー)がより好ましい。
多孔質フィラー(A1)の形状は、特に限定されないが、例えば、粉体、球状、破砕状、繊維状、針状、鱗片状等が挙げられる。中でも、樹脂層表面に均一で微細な凹凸形状を形成しやすくなるという観点から、球状、又は破砕状の多孔質フィラーが好ましい。
多孔質フィラー(A1)の中心粒径は、特に限定されないが、樹脂層表面に均一で微細な凹凸形状を形成しやすくなるという観点から、0.1〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。なお、上記中心粒径は、レーザー回折・散乱法で測定した粒度分布における積算値50%での体積粒径(メディアン体積径)を意味する。
多孔質フィラー(A1)の多孔質構造は、比表面積、細孔容積、吸油量等の各種パラメーターにより特定することができ、それぞれ、本発明の反射防止材に適したパラメーターを有するグレードの多孔質フィラーを、特に制限なく選択することができる。
多孔質フィラー(A1)の比表面積は、特に限定されないが、樹脂層表面に均一で微細な凹凸形状を形成しやすくし、反射を効率的に防止するという観点から、10〜2000m2/gが好ましく、より好ましくは100〜1000m2/gである。比表面積が10m2/g以上であれば、多孔質フィラー(A1)表面の反射防止機能が向上する傾向がある。一方、比表面積が、2000m2/g以下であることにより、多孔質フィラー(A1)を含む樹脂組成物の粘度上昇やチキソトロピー性が抑制され、反射防止材を製造する際の流動性が担保される傾向がある。なお、上記比表面積は、JIS K6430附属書Eに準拠して、−196℃における窒素の吸着等温線からBET式に基づいて求められる窒素吸着比表面積を意味する。
多孔質フィラー(A1)の細孔容積は、特に限定されないが、樹脂層表面に均一で微細な凹凸形状を形成しやすくし、反射を効率的に防止するという観点から、0.1〜10mL/gが好ましく、より好ましくは0.2〜5mL/gである。細孔容積が、0.1mL/g以上であれば、多孔質フィラー(A1)が樹脂層表面に凹凸形状を形成しやすくなる傾向がある。一方、細孔容積が、5mL/g以下であることにより、多孔質フィラー(A1)の機械的強度が向上する傾向がある。なお、多孔質フィラー(A1)の細孔容積は水銀圧入法(ポロシメータ法)によって細孔分布を測定することにより求めることができる。
多孔質フィラー(A1)の吸油量は、特に限定されないが、樹脂層表面に均一で微細な凹凸形状を形成しやすくし、反射を効率的に防止するという観点から、10〜2000mL/100gが好ましく、より好ましくは100〜1000mL/100gである。吸油量が、10mL/100g以上であれば、多孔質フィラー(A1)が樹脂層表面に凹凸形状を形成しやすくなる傾向がある。一方、吸油量が、2000mL/100g以下であることにより、多孔質フィラー(A1)の機械的強度が向上する傾向がある。なお、多孔質フィラー(A1)の給油量は、フィラー100gが吸収する油の量であり、JIS K5101に準拠して測定することができる。
本発明の反射防止材において多孔質フィラー(A1)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、多孔質フィラー(A1)は、公知乃至慣用の製造方法により製造することもできるし、例えば、商品名「サイリシア250N」、「サイリシア256」、「サイリシア256N」、「サイリシア310」、「サイリシア320」、「サイリシア350」、「サイリシア358」、「サイリシア430」、「サイリシア431」、「サイリシア440」、「サイリシア450」、「サイリシア470」、「サイリシア435」、「サイリシア445」、「サイリシア436」、「サイリシア446」、「サイリシア456」、「サイリシア530」、「サイリシア540」、「サイリシア550」、「サイリシア730」、「サイリシア740」、「サイリシア770」等のサイリシアシリーズ、商品名「サイロスフェアC−1504」、「サイロスフェアC−1510」等のサイロスフェアシリーズ(以上、富士シリシア化学(株)製)、商品名「サンスフェアH−31」、「サンスフェアH−32」、「サンスフェアH−33」、「サンスフェアH−51」、「サンスフェアH−52」、「サンスフェアH−53」、「サンスフェアH−121」、「サンスフェアH−122」、「サンスフェアH−201」等のサンスフェアHシリーズ(以上、AGCエスアイテック(株)製)等の市販品を使用することもできる。
[中空体フィラー(A2)]
本発明の反射防止材に中空体フィラー(A2)を使用した場合、図2に示したように、樹脂層表面付近に存在する中空体フィラー(A2)は、凹凸形状の凸部の部分にはほとんど分布せず、凹部の下に実質的に多く接するように分布させることができ、中空体フィラー(A2)が樹脂層の表面に現れることが少なくため、中空体フィラー(A2)自身による反射が抑制され、より高い反射防止機能を発揮することができる。
上記中空体フィラー(A2)としては、特に限定されないが、例えば、無機ガラス[例えば、硼珪酸ガラス、硼珪酸ソーダガラス、珪酸ソーダガラス、アルミ珪酸ガラス、石英等]、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸ニッケル、珪酸カルシウム等の金属塩等の無機物により構成された無機中空粒子(シラスバルーン等の天然物も含む);無機物と有機物のハイブリッド材料により構成された無機−有機中空粒子等が挙げられる。また、上記中空体フィラー(A2)の中空部(中空粒子の内部の空間)は、真空状態であってもよいし、媒質で満たされていてもよいが、特に、光散乱効率を向上させるためには、屈折率が低い媒質(例えば、窒素、アルゴン等の不活性ガスや空気等)で満たされた中空粒子が好ましい。
また、中空体フィラー(A2)としては、上述の中空体フィラーに公知乃至慣用の表面処理[例えば、金属酸化物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機酸、ポリオール、シリコーン等の表面処理剤による表面処理等]が施されたもの等も挙げられる。このような表面処理を施すことにより、樹脂層の成分との相溶性や分散性を向上させることができる場合がある。中でも、中空体フィラー(A2)としては、樹脂層表面に凹凸を効率的に形成できるという観点で、中空体無機ガラス又は中空体シリカ(中空体シリカフィラー)が好ましい。
中空体フィラー(A2)を用いる場合、その中空率(無機フィラー全体の体積に対する空隙の体積の割合)は、特に限定されないが、10〜90体積%が好ましく、30〜90体積%がより好ましい。中空率がこの範囲にあることにより、樹脂層中で中空体フィラー(A2)が浮上しやすく、また、凹凸形状の凹部の下に効率的に分布されやすい傾向がある。
中空体フィラー(A2)の形状は、特に限定されないが、例えば、粉体、球状、破砕状、繊維状、針状、鱗片状等が挙げられる。中でも、分散性の観点で、球状の中空体フィラーが好ましく、特に真球状の中空体フィラー(例えば、アスペクト比が1.2以下の球状の中空体フィラー)が好ましい。
中空体フィラー(A2)の中心粒径は、特に限定されないが、樹脂層表面に均一で微細な凹凸形状を形成しやすくなるという観点から、0.1〜100μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。なお、上記中心粒径は、レーザー回折・散乱法で測定した粒度分布における積算値50%での体積粒径(メディアン体積径)を意味する。
中空体フィラー(A2)の比重は、特に限定されないが、樹脂層表面に効率的に浮上させやすくなるという観点から、樹脂層の比重よりも軽いことが好ましい。
本発明の反射防止材において中空体フィラー(A2)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、中空体フィラー(A2)は、公知乃至慣用の製造方法により製造することもできるし、例えば、商品名「Sphericel(商標)110P8」、「Sphericel(商標)25P45」、「Sphericel(商標)34P30」、「Sphericel(商標)60P18」、「Q−CEL(商標)5020」、「Q−CEL(商標)7014」、「Q−CEL(商標)7040S」(以上、ポッターズ・バロッティーニ(株)製)、商品名「ガラスマイクロバルーン」、「フジバルーン H−40」、「フジバルーン H−35」(以上、富士シリシア化学(株)製)、商品名「セルスターZ−20」、「セルスターZ−27」、「セルスターCZ−31T」、「セルスターZ−36」、「セルスターZ−39」、「セルスターZ−39」、「セルスターT−36」、「セルスターPZ−6000」(以上、東海工業(株)製)、商品名「サイラックス・ファインバルーン」((有)ファインバルーン製)、商品名「スーパーバルーンBA−15」、「スーパーバルーン732C」(以上、昭和化学工業(株)製)等の市販品を用いることができる。
無機フィラー(A)としては、多孔質フィラー(A1)と中空体フィラー(A2)のどちらか一方のみを使用してもよいし、多孔質フィラー(A1)と中空体フィラー(A2)とを併用してもよい。
本発明の反射防止材における無機フィラー(A)の含有量(配合量)は、反射防止材を全量(100重量%)に対して、0.5〜40重量%であり、好ましくは0.5〜35重量%、より好ましくは0.5〜30重量%である。無機フィラー(A)の含有量が0.5重量%以上であることにより、反射防止材を構成する樹脂層の表面全体に均一な凹凸形状を形成しやすくなる。一方、無機フィラー(A)の含有量が40重量%以下であることにより、本発明の反射防止材を例えば光半導体装置用の封止材として使用した場合に全光束の著しい低下を防止して十分な照度を確保できる傾向がある。
本発明の反射防止材における無機フィラー(A)の含有量(配合量)は、反射防止材を構成する樹脂組成物(100重量部)に対して、通常、0.1〜80重量部であり、好ましくは0.5〜70重量部、より好ましくは1〜60重量部である。無機フィラー(A)の含有量が0.1重量部以上であることにより、反射防止材を構成する樹脂層の表面全体に均一な凹凸形状を形成しやすくなる。一方、無機フィラー(A)の含有量が80重量部以下であることにより、本発明の反射防止材を例えば光半導体装置用の封止材として使用した場合に全光束の著しい低下を防止して十分な照度を確保できる傾向がある。
本発明の反射防止材が多孔質フィラー(A1)を含む場合、多孔質フィラー(A1)の含有量(配合量)は、反射防止材を全量(100重量%)に対して、好ましくは4〜40重量%であり、より好ましくは4〜35重量%、さらに好ましくは4〜30重量%である。多孔質フィラー(A1)の含有量が4重量%以上であることにより、反射防止材を構成する樹脂層の表面全体に均一な凹凸形状を形成しやすくなる。一方、多孔質フィラー(A1)の含有量が40重量%以下であることにより、本発明の反射防止材を例えば光半導体装置用の封止材として使用した場合に全光束の著しい低下を防止して十分な照度を確保できる傾向がある。
本発明の反射防止材が中空体フィラー(A2)を含む場合、中空体フィラー(A2)の含有量(配合量)は、反射防止材を全量(100重量%)に対して、好ましくは0.5〜40重量%であり、より好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは0.5〜20重量%である。中空体フィラー(A2)の含有量が0.5重量%以上であることにより、反射防止材を構成する樹脂層の表面全体に均一な凹凸形状を形成しやすくなる。一方、中空体フィラー(A2)の含有量が40重量%以下であることにより、本発明の反射防止材を例えば光半導体装置用の封止材として使用した場合に全光束の著しい低下を防止して十分な照度を確保できる傾向がある。
[樹脂層]
本発明の反射防止材における樹脂層を構成する樹脂は、エポキシ化合物(B)と、架橋環式炭化水素環を有する酸無水物硬化剤(C)とを必須成分として含む硬化性エポキシ樹脂組成物(以下、「本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物」と称する場合がある。)の硬化物(以下、「本発明の硬化物」と称する場合がある。)からなるものである。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、上述の必須成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。
1−1.エポキシ化合物(B)
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ化合物(B)は、分子内に1個以上のエポキシ基(オキシラン環)を有する化合物であり、公知乃至慣用のエポキシ化合物から任意に選択して用いることができる。エポキシ化合物(B)としては、例えば、芳香族エポキシ化合物(芳香族エポキシ樹脂)、脂肪族エポキシ化合物(脂肪族エポキシ樹脂)、脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)、複素環式エポキシ化合物(複素環式エポキシ樹脂)、分子内にエポキシ基を1個以上有するシロキサン誘導体等が挙げられる。
上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、芳香族グリシジルエーテル系エポキシ樹脂[例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂)等、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタンから得られるエポキシ樹脂等]等が挙げられる。
上記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、脂肪族グリシジルエーテル系エポキシ化合物[例えば、脂肪族ポリグリシジルエーテル等]等が挙げられる。
上記脂環式エポキシ化合物は、分子内に1個以上の脂環(脂肪族炭化水素環)と1個以上のエポキシ基とを有する化合物である(但し、上述の分子内にエポキシ基を1個以上有するシロキサン誘導体は除かれる)。脂環式エポキシ化合物としては、例えば、(i)分子内に脂環エポキシ基(脂環を構成する隣接する2個の炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基)を少なくとも1個(好ましくは2個以上)有する化合物;(ii)脂環に直接単結合で結合したエポキシ基を有する化合物;(iii)脂環とグリシジル基とを有する化合物等が挙げられる。
上述の(i)分子内に脂環エポキシ基を少なくとも1個有する化合物が有する脂環エポキシ基としては、特に限定されないが、中でも、硬化性の観点で、シクロヘキセンオキシド基(シクロヘキサン環を構成する隣接する2個の炭素原子と酸素原子とで構成されるエポキシ基)が好ましい。特に、(i)分子内に脂環エポキシ基を少なくとも1個有する化合物としては、硬化物の透明性、耐熱性の観点で、分子内に2個以上のシクロヘキセンオキシド基を有する化合物が好ましく、より好ましくは下記式(1)で表される化合物である。
Figure 2017126045
式(1)中、Xは単結合又は連結基(1以上の原子を有する2価の基)を示す。上記連結基としては、例えば、2価の炭化水素基、炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基、これらが複数個連結した基等が挙げられる。
式(1)中のXが単結合である化合物としては、3,4,3’,4’−ジエポキシビシクロヘキサンが挙げられる。
上記2価の炭化水素基としては、炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基等が挙げられる。炭素数が1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等が挙げられる。上記2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、1,2−シクロペンチレン基、1,3−シクロペンチレン基、シクロペンチリデン基、1,2−シクロヘキシレン基、1,3−シクロヘキシレン基、1,4−シクロヘキシレン基、シクロヘキシリデン基等の2価のシクロアルキレン基(シクロアルキリデン基を含む)等が挙げられる。
上記炭素−炭素二重結合の一部又は全部がエポキシ化されたアルケニレン基(「エポキシ化アルケニレン基」と称する場合がある)におけるアルケニレン基としては、例えば、ビニレン基、プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、ブタジエニレン基、ペンテニレン基、ヘキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基等の炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖状のアルケニレン基(アルカポリエニレン基も含まれる)等が挙げられる。特に、上記エポキシ化アルケニレン基としては、炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化されたアルケニレン基が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合の全部がエポキシ化された炭素数2〜4のアルケニレン基である。
上記連結基Xとしては、特に、酸素原子を含有する連結基が好ましく、具体的には、−CO−、−O−CO−O−、−COO−、−O−、−CONH−、エポキシ化アルケニレン基;これらの基が複数個連結した基;これらの基の1又は2以上と2価の炭化水素基の1又は2以上とが連結した基等が挙げられる。2価の炭化水素基としては上記で例示したものが挙げられる。
上記式(1)で表される化合物の代表的な例としては、2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)プロパン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、1,2−エポキシ−1,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン−1−イル)エタン、下記式(1−1)〜(1−10)で表される化合物等が挙げられる。なお、下記式(1−5)、(1−7)中のl、mは、それぞれ1〜30の整数を表す。下記式(1−5)中のRは炭素数1〜8のアルキレン基であり、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、s−ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。下記式(1−9)、(1−10)中のn1〜n6は、それぞれ1〜30の整数を示す。
Figure 2017126045
Figure 2017126045
上述の(ii)脂環に直接単結合で結合したエポキシ基を有する化合物としては、例えば、下記式(2)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2017126045
式(2)中、R’は、構造式上、p価のアルコールからp個の水酸基(−OH)を除いた基(p価の有機基)であり、p、qはそれぞれ自然数を表す。p価のアルコール[R’(OH)p]としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノール等の多価アルコール(炭素数1〜15のアルコール等)等が挙げられる。pは1〜6が好ましく、qは1〜30が好ましい。pが2以上の場合、それぞれの( )内(外側の括弧内)の基におけるqは同一でもよく異なっていてもよい。上記式(2)で表される化合物としては、具体的には、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物[例えば、商品名「EHPE3150」((株)ダイセル製)等]等が挙げられる。
上述の(iii)脂環とグリシジル基とを有する化合物としては、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、2,2−ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]プロパン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を水素化したもの(水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂)等;ビス[2−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、[2−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル][4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビス[3,5−ジメチル−4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロへキシル]メタン、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を水素化したもの(水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂)等;水添ビフェノール型エポキシ樹脂;水添ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、水添フェノールノボラック型エポキシ樹脂、水添クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAの水添クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);水添ナフタレン型エポキシ樹脂;トリスフェノールメタンから得られるエポキシ樹脂の水添エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記脂環式エポキシ化合物としては、その他、例えば、1,2,8,9−ジエポキシリモネン等が挙げられる。
上記複素環式エポキシ化合物としては、例えば、分子内にエポキシ基(オキシラン環)以外の複素環[例えば、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環、モルホリン環、クロマン環、イソクロマン環、テトラヒドロチオフェン環、テトラヒドロチオピラン環、アジリジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、インドリン環、2,6−ジオキサビシクロ[3.3.0]オクタン環、1,3,5−トリアザシクロヘキサン環、1,3,5−トリアザシクロヘキサ−2,4,6−トリオン環(イソシアヌル環)等の非芳香族性複素環;チオフェン環、ピロール環、フラン環、ピリジン環等の芳香族性複素環等]と、エポキシ基とを有する化合物が挙げられる。
上記複素環式エポキシ化合物としては、例えば、分子内に1個以上のエポキシ基を有するイソシアヌレート(以下、「エポキシ基含有イソシアヌレート」と称する場合がある)を好ましく使用できる。上記エポキシ基含有イソシアヌレートが分子内に有するエポキシ基の数は、特に限定されないが、1〜6個が好ましく、より好ましくは1〜3個である。
上記エポキシ基含有イソシアヌレートとしては、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2017126045
式(3)中、RX、RY、及びRZ(RX〜RZ)は、同一又は異なって、水素原子又は1価の有機基を示す。但し、RX〜RZの少なくとも1個は、エポキシ基を含有する1価の有機基である。上記1価の有機基としては、例えば、1価の脂肪族炭化水素基(例えば、アルキル基、アルケニル基等);1価の芳香族炭化水素基(例えば、アリール基等);1価の複素環式基;脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基の2以上が結合して形成された1価の基等が挙げられる。なお、1価の有機基は置換基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子等の置換基)を有していてもよい。エポキシ基を含有する1価の有機基としては、例えば、エポキシ基、グリシジル基、2−メチルエポキシプロピル基、シクロヘキセンオキシド基等の後述のエポキシ基を含有する1価の基等が挙げられる。
より具体的には、上記エポキシ基含有イソシアヌレートとしては、下記式(3−1)で表される化合物、下記式(3−2)で表される化合物、下記式(3−3)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2017126045
Figure 2017126045
Figure 2017126045
上記式(3−1)、式(3−2)、及び式(3−3)(式(3−1)〜(3−3))中、R1、R2は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。上記式(3−1)〜(3−3)中のR1及びR2は、水素原子であることが特に好ましい。
上記式(3−1)で表される化合物の代表的な例としては、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、1−アリル−3,5−ビス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、1−(2−メチルプロペニル)−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1−(2−メチルプロペニル)−3,5−ビス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
上記式(3−2)で表される化合物の代表的な例としては、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジアリル−5−(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート、1,3−ビス(2−メチルプロペニル)−5−グリシジルイソシアヌレート、1,3−ビス(2−メチルプロペニル)−5−(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
上記式(3−3)で表される化合物の代表的な例としては、トリグリシジルイソシアヌレート、トリス(2−メチルエポキシプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
なお、上記エポキシ基含有イソシアヌレートは、アルコールや酸無水物等のエポキシ基と反応する化合物を加えてあらかじめ変性して用いることもできる。
上述の分子内にエポキシ基を1個以上有するシロキサン誘導体(「エポキシ基含有シロキサン誘導体」と称する場合がある)としては、分子内にシロキサン結合(Si−O−Si)により構成されたシロキサン骨格を有し、エポキシ基を1個以上有する化合物である。上記シロキサン骨格としては、例えば、環状シロキサン骨格;直鎖又は分岐鎖状のシリコーン(直鎖又は分岐鎖状ポリシロキサン)や、かご型やラダー型のポリシルセスキオキサン等のポリシロキサン骨格等が挙げられる。上記エポキシ基含有シロキサン誘導体が分子内に有するエポキシ基の数は、特に限定されないが、2〜4個が好ましく、より好ましくは3個又は4個である。
上記エポキシ基含有シロキサン誘導体が有するエポキシ基は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物を効率的に硬化させることができ、より強度に優れた硬化物が得られる点で、少なくとも1個が脂環エポキシ基であることが好ましく、中でも、エポキシ基の少なくとも1個がシクロヘキセンオキシド基であることが特に好ましい。
上記エポキシ基含有シロキサン誘導体としては、例えば、下記式(4)で表される化合物(環状シロキサン)が挙げられる。
Figure 2017126045
上記式(4)中、R3は、同一又は異なって、アルキル基、又は、エポキシ基を含有する1価の有機基を示す。但し、式(4)で表される化合物におけるR3のうち、少なくとも1個(好ましくは少なくとも2個)は、エポキシ基を含有する1価の有機基(特に、脂環エポキシ基を含有する1価の有機基)である。また、式(4)中のpは、3以上の整数(好ましくは3〜6の整数)を示す。なお、複数のR3は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記エポキシ基を含有する1価の有機基としては、例えば、エポキシ基、グリシジル基、メチルグリシジル基、−A−R4で表される基[Aはアルキレン基を示し、R4は脂環エポキシ基を示す。]が挙げられる。上記A(アルキレン基)としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基等の炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖状のアルキレン基等が挙げられる。上記R4としては、例えば、シクロヘキセンオキシド基等が挙げられる。
より具体的には、上記エポキシ基含有シロキサン誘導体としては、例えば、2,4−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,4,6,6,8,8−ヘキサメチル−シクロテトラシロキサン、4,8−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,2,4,6,6,8−ヘキサメチル−シクロテトラシロキサン、2,4−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−6,8−ジプロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、4,8−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,6−ジプロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,8−トリ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,4,6,6,8−ペンタメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,8−トリ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−6−プロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン等が挙げられる。
また、上記エポキシ基含有シロキサン誘導体としては、例えば、下記式(5)で表される化合物(鎖状ポリシロキサン)が挙げられる。
Figure 2017126045
上記式(5)中、R5、R6は、同一又は異なって、エポキシ基を含有する1価の有機基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等)、又はアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜12のアリール基等)を示す。但し、式(5)で表される化合物におけるR5及びR6のうち、少なくとも1個(好ましくは少なくとも2個)はエポキシ基を含有する1価の有機基である。エポキシ基を含有する1価の有機基としては、上記式(4)におけるものと同様の基が挙げられる。特に、硬化性の観点で、R6のいずれか一方又は両方がエポキシ基を含有する1価の有機基であることが好ましい。また、式(5)中のqは、1以上の整数(例えば、1〜500の整数)を示す。qが付された括弧内の構造は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、qが付された括弧内の構造として2種以上が存在する場合、その付加形態は特に限定されず、ランダム型であってもよいし、ブロック型であってもよい。
上記エポキシ基含有シロキサン誘導体としては、その他にも例えば、エポキシ基を有するシリコーン樹脂(例えば、特開2008−248169号公報に記載の脂環エポキシ基含有シリコーン樹脂等)、エポキシ基を有するシルセスキオキサン(例えば、特開2008−19422号公報に記載の1分子中に少なくとも2個のエポキシ官能性基を有するオルガノポリシルセスキオキサン樹脂等)等が挙げられる。
中でも、エポキシ化合物(B)としては、硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化をより効率的に進行させることができる点で、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、分子内にエポキシ基を1個以上有するイソシアヌレート、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、分子内にエポキシ基を1個以上有するシロキサン誘導体が好ましい。特に、透明性及び耐久性に優れた硬化物を高い生産性で得ることができる点で、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物はエポキシ化合物(B)として、脂環式エポキシ化合物を必須成分として含むことが好ましい。上記脂環式エポキシ化合物としては、特に、分子内にシクロヘキセンオキシド基を有する化合物(特に、分子内に2個以上のシクロヘキセンオキシド基を有する化合物)が好ましく、より好ましくは式(1)で表される化合物(特に、式(1−1)で表される化合物)である。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物においてエポキシ化合物(B)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。なお、エポキシ化合物(B)は公知乃至慣用の方法により製造することもできるし、市販品を使用することもできる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ化合物(B)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、25〜99.8重量%(例えば、25〜95重量%)が好ましく、より好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは35〜85重量%、特に好ましくは40〜60重量%である。エポキシ化合物(B)の含有量を25重量%以上とすることにより、硬化をいっそう効率的に進行させることができる傾向がある。一方、エポキシ化合物(B)の含有量を99.8重量%以下とすることにより、硬化物の強度がより向上する傾向がある。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における脂環式エポキシ化合物の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、20〜99.8重量%が好ましく、より好ましくは40〜95重量%(例えば、40〜60重量%)、さらに好ましくは50〜95重量%、特に好ましくは60〜90重量%、最も好ましくは70〜85重量%である。脂環式エポキシ化合物の含有量を20重量%以上とすることにより、硬化をいっそう効率的に進行させることができ、硬化物の透明性及び耐久性がより向上する傾向がある。一方、脂環式エポキシ化合物の含有量を99.8重量%以下とすることにより、硬化物の強度がより向上する傾向がある。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量(全エポキシ化合物;例えば、エポキシ化合物(B)の全量)(100重量%)に対する脂環式エポキシ化合物の割合は、特に限定されないが、40〜100重量%(例えば、40〜90重量%)が好ましく、より好ましくは80〜100重量%、さらに好ましくは90〜100重量%、特に好ましくは95〜100重量%である。脂環式エポキシ化合物の割合を40重量%以上とすることにより、硬化をいっそう効率的に進行させることができ、硬化物の透明性及び耐久性がより向上する傾向がある。
1−2.架橋環式炭化水素環を有する酸無水物硬化剤(C)
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の必須成分のひとつである架橋環式炭化水素環を有する酸無水物硬化剤(C)(以下、「架橋環式酸無水物硬化剤(C)」と称する場合がある)は、エポキシ化合物と反応することにより硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化させる働きを有する化合物である。
架橋環式酸無水物硬化剤(C)は、分子内に架橋環式炭化水素環構造と酸無水物基(−C(=O)−O−C(=O)−)とを少なくとも有する化合物であり、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物においては、公知乃至慣用の架橋環式酸無水物硬化剤(C)を使用することができる。中でも、後述のエポキシ化合物(B)と均一な混合物を効率的に調製することができる点で、25℃で液状(液体)の架橋環式酸無水物硬化剤(C)が好ましい。なお、本明細書において「25℃で液状」とは、常圧での状態を意味する。25℃で液状の架橋環式酸無水物硬化剤(C)を用いた場合、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の生産性がより向上する傾向がある。
無機フィラー(A)を樹脂層の上部表面に均一に分布させるためには、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を加熱前に一定時間(例えば、2時間以上)常温で放置させることを要するが、発明者らが特許文献1の方法を試したところ、加熱硬化前に、例えば、2時間以上放置すると、得られる反射防止材の反射防止機能が低下することが判明した。
上記問題点に鑑みて、本発明者らは、種々のエポキシ樹脂組成物を検討した結果、硬化剤として、架橋環式酸無水物硬化剤(C)を使用することにより、架橋環式炭化水素環を有しない無水物硬化剤を使用した場合と比較して、加熱硬化前に、常温で一定時間(例えば、2時間以上)、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物を放置した場合、本発明の硬化物からなる反射防止材の反射防止機能の低下を抑制することができることを見出した。
架橋環式酸無水物硬化剤(C)を使用することにより、加熱硬化前に2時間以上放置したとしても、反射防止機能の低下を抑制することができる作用機構は不明であるが、架橋環式酸無水物硬化剤(C)の架橋環式炭化水素環の部分が、その他の酸無水物硬化剤よりも立体的に嵩高くなり、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の諸物性(粘度、反応性等)が影響・変動し、加熱硬化前に2時間以上放置したとしても、反射防止機能を適切に発揮するように無機フィラー(A)が均質に分布するものと推察される。なお、当該推察は、本発明を何ら限定するものではないことは言うまでもない。
架橋環式酸無水物硬化剤(C)が有する「架橋環式炭化水素環」としては、架橋部を有する総炭素数6〜30、好ましくは総炭素数7〜14の炭化水素環であれば特に限定はなく、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロヘプタン環(例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環等)、ビシクロヘプテン環(例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン環等)、ビシクロオクタン環(例えば、ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)等の二環式炭化水素環;ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン環等の三環式炭化水素環等が挙げられる。また、上記架橋環式炭化水素環には、例えば、ジエン類の二量体の水素添加物[例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等のシクロアルカジエンの二量体の水素添加物(例えば、パーヒドロ−4,7−メタノインデン等)、ブタジエンの二量体(ビニルシクロヘキセン)やその水素添加物等]に対応する環等も含まれる。さらに、上記架橋環式炭化水素環には、例えば、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロインデン環等の4〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環等も含まれる。
上記架橋環式炭化水素環は置換基を有していてもよい。当該置換基を有する架橋環式炭化水素環としては、例えば、架橋環式炭化水素環を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部が置換基により置換された基等が挙げられる。当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子[例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等]、アルキル基[例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基等]、オキソ基、ヒドロキシ基、置換オキシ基[例えば、C1-6アルコキシ基、C6-14アリールオキシ基、C7-15アラルキルオキシ基、C1-11アシルオキシ基等]、カルボキシ基、置換オキシカルボニル基[例えば、C1-6アルコキシカルボニル基、C6-14アリールオキシカルボニル基、C7-15アラルキルオキシカルボニル基等]、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、スルホ基、複素環式基等が挙げられる。なお、上記置換基(例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基等)は、有機合成の分野で慣用の保護基により保護されたものであってもよい。
上記置換又は無置換カルバモイル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基、若しくはアセチル基、ベンゾイル基等の炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3)のアシル基等を有するカルバモイル基、又は無置換カルバモイル基などが挙げられる。また、上記置換又は無置換アミノ基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3)のアルキル基、アセチル基、ベンゾイル基等の炭素数1〜20(好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜3)のアシル基等を有するアミノ基、若しくは、無置換アミノ基等が挙げられる。
架橋環式炭化水素環が、置換された架橋環式炭化水素環の場合の炭素数は、特に限定されないが、例えば、6〜30である。
架橋環式酸無水物硬化剤(C)としては、より具体的には、例えば、下記式(A)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2017126045
式(A)中の環Zは、置換されていてもよい、炭素数6〜30、好ましくは炭素数7〜14の架橋環式炭化水素環(縮合環式炭化水素環を含む)を示す。
環Zで示される架橋環式炭化水素環、並びに当該架橋環式炭化水素環が有していてもよい置換基としては、上記と同様である。
式(A)中、kは、同一又は異なって、0又は1を示す。
式(A)で表される化合物としては、具体的には例えば、下記式で表される化合物等が挙げられる。なお、下記式で表される各化合物には、それぞれの各種立体異性体が包含される。
Figure 2017126045
Figure 2017126045
Figure 2017126045
Figure 2017126045
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において架橋環式酸無水物硬化剤(C)は、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合わせて使用することもできる。また、架橋環式酸無水物硬化剤(C)は、公知乃至慣用の方法により製造することもできるし、例えば、商品名「リカシッドHNA−100」(新日本理化(株)製);商品名「MHAC−P」(日立化成工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。
架橋環式酸無水物硬化剤(C)としては、本発明の反射防止材の反射防止機能を一層向上させる点で、下記式で表される化合物を単独または2以上を組み合わせて使用することが特に好ましい。
Figure 2017126045
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で架橋環式酸無水物硬化剤(C)以外の酸無水物硬化剤を含んでいてもよい。架橋環式酸無水物硬化剤(C)以外の酸無水物硬化剤としては、公知乃至慣用の酸無水物系硬化剤を使用でき、特に限定されないが、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(4−メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3−メチルテトラヒドロ無水フタル酸等)、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等)、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、4−(4−メチル−3−ペンテニル)テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水アジピン酸、無水セバシン酸、無水ドデカン二酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、アルキルスチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。中でも、取り扱い性の観点で、25℃で液状の酸無水物[例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等]が好ましい。
架橋環式酸無水物硬化剤(C)以外の酸無水物硬化剤を含む場合、その含有量は、本発明の効果を担保するために、架橋環式酸無水物硬化剤(C)100重量部に対して、100重量部以下が好ましく、50重量部以下がより好ましい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における架橋環式酸無水物硬化剤(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量(全エポキシ化合物;例えば、エポキシ化合物(B)の全量)100重量部に対して、50〜200重量部が好ましく、より好ましくは75〜150重量部、さらに好ましくは100〜120重量部である。より具体的には、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれる全てのエポキシ化合物におけるエポキシ基1当量当たり、0.5〜1.5当量となる割合で架橋環式酸無水物硬化剤(C)を使用することが好ましい。架橋環式酸無水物硬化剤(C)の含有量を50重量部以上とすることにより、硬化をより効率的に進行させることができ、反射防止機能がより向上する傾向がある。一方、架橋環式酸無水物硬化剤(C)の含有量を200重量部以下とすることにより、着色の無い(又は少ない)、色相に優れた硬化物が得られやすい傾向がある。
1−3.硬化促進剤(D)
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤(D)を含んでいてもよい。硬化促進剤(D)は、エポキシ化合物の反応(特に、エポキシ化合物(B)と架橋環式酸無水物硬化剤(C)との反応)の反応速度を促進する機能を有する化合物である。硬化促進剤(D)としては、エポキシ樹脂用硬化促進剤として周知慣用のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、及びその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩等);1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)、及びその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩等);ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等の3級アミン;2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール;リン酸エステル、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレート等のホスホニウム化合物;オクチル酸スズ、オクチル酸亜鉛等の有機金属塩;金属キレート等が挙げられる。
なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において硬化促進剤(D)は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化促進剤(D)としては、例えば、商品名「U−CAT SA 506」、「U−CAT SA 102」、「U−CAT 5003」、「U−CAT 18X」、「12XD」(開発品)(以上、サンアプロ(株)製);商品名「TPP−K」、「TPP−MK」(以上、北興化学工業(株)製);商品名「PX−4ET」(日本化学工業(株)製)等の市販品を使用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における硬化促進剤(D)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量(全エポキシ化合物;例えば、エポキシ化合物(B)の全量)100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部、特に好ましくは0.25〜2.5重量部である。硬化促進剤(D)の含有量を0.05重量部以上とすることにより、より十分な硬化促進効果を得ることができる傾向がある。一方、硬化促進剤(D)の含有量を5重量部以下とすることにより、着色の無い(又は少ない)、色相に優れた硬化物が得られやすい傾向がある。
1−4.多価アルコール
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、多価アルコールを含んでいてもよい。特に、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物が架橋環式酸無水物硬化剤(C)及び硬化促進剤(D)を含む場合には、硬化をより効率的に進行させることができる点で、さらに多価アルコールを含むことが好ましい。多価アルコールとしては、公知乃至慣用の多価アルコールを使用することができ、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
中でも、上記多価アルコールとしては、硬化を良好に制御することができ、クラックや剥離がより生じにくい硬化物が得られやすい点で、炭素数1〜6のアルキレングリコールが好ましく、より好ましくは炭素数2〜4のアルキレングリコールである。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において多価アルコールは、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における多価アルコールの含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物に含まれるエポキシ化合物の全量(全エポキシ化合物;例えば、エポキシ化合物(B)の全量)100重量部に対して、0.05〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜3重量部、さらに好ましくは0.2〜3重量部、特に好ましくは0.25〜2.5重量部である。多価アルコールの含有量を0.05重量部以上とすることにより、硬化をより効率的に進行させることができる傾向がある。一方、多価アルコールの含有量を5重量部以下とすることにより、上記硬化の反応速度を制御しやすい傾向がある。
1−5.蛍光体
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、蛍光体を含んでいてもよい。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物が蛍光体を含む場合には、光半導体装置における光半導体素子の封止用途(封止材用途)、即ち、光半導体封止用樹脂組成物として特に好ましく使用できる。上記蛍光体としては、公知乃至慣用の蛍光体(特に、光半導体素子の封止用途において使用される蛍光体)を使用でき、特に限定されないが、例えば、一般式A3512:M[式中、Aは、Y、Gd、Tb、La、Lu、Se、及びSmからなる群より選択された1種以上の元素を示し、Bは、Al、Ga、及びInからなる群より選択された1種以上の元素を示し、Mは、Ce、Pr、Eu、Cr、Nd、及びErからなる群より選択された1種以上の元素を示す]で表されるYAG系の蛍光体微粒子(例えば、Y3Al512:Ce蛍光体微粒子、(Y,Gd,Tb)3(Al,Ga)512:Ce蛍光体微粒子等)、シリケート系蛍光体微粒子(例えば、(Sr,Ca,Ba)2SiO4:Eu等)等が挙げられる。なお、蛍光体は、例えば、分散性向上のために、有機基(例えば、長鎖アルキル基、リン酸基等)等により表面が修飾されたものであってもよい。本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物において蛍光体は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、蛍光体としては市販品を使用することができる。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物における蛍光体の含有量(配合量)は、特に限定されず、硬化性エポキシ樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、0.5〜20重量%の範囲で適宜選択することができる。
1−6.その他の成分
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、硬化性や透明性等に大きな悪影響が及ばない範囲で、上記以外のその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、例えば、直鎖又は分岐鎖を有するシリコーン系樹脂、脂環を有するシリコーン系樹脂、芳香環を有するシリコーン系樹脂、かご型/ラダー型/ランダム型のシルセスキオキサン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、シリコーン系やフッ素系の消泡剤等が挙げられる。上記その他の成分の含有量(配合量)は、特に限定されないが、硬化性エポキシ樹脂組成物の全量(100重量%)に対して、5重量%以下(例えば、0〜3重量%)が好ましい。
本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、特に限定されないが、例えば、上述の各成分を、必要に応じて加熱した状態で撹拌、混合することによって調製することができる。なお、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物は、各成分の全てがあらかじめ混合されたものをそのまま使用する1液系の組成物であってもよいし、例えば、2以上に分割された成分を使用の直前で所定の割合で混合して使用する多液系(例えば、2液系)の組成物であってもよい。撹拌、混合の方法は、特に限定されず、例えば、ディゾルバー、ホモジナイザー等の各種ミキサー、ニーダー、ロール、ビーズミル、自公転式撹拌装置等の公知乃至慣用の撹拌、混合手段を使用できる。また、撹拌、混合後、減圧下又は真空下にて脱泡してもよい。
[凹凸形状]
本発明の反射防止材は、上記無機フィラー(A)が上記樹脂層の表面付近に存在して表面に凹凸形状を形成して、入射光を散乱させることにより反射防止機能を発揮する。
上記無機フィラー(A)を上記樹脂層の表面付近に存在させる方法は、例えば、樹脂層を構成する樹脂組成物に無機フィラー(A)を均一に分散させた後に、必要に応じて、樹脂層上部に浮上させる方法等が挙げられる。
以下に、本発明の反射防止材の製造方法の一態様を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図3は、本発明の反射防止材の製造例の工程を示す概略図である。1は樹脂層、4は無機フィラーを示す。無機フィラー4は多孔質フィラーであっても中空体フィラーであってもよく、また、それらの混合物であってもよいが、比重が小さく、浮上させやすい中空体フィラーが好ましい。
図3の(a)は、樹脂層1に無機フィラー4が均一に分散している様子を示している概略図である。樹脂層1に無機フィラー4を添加して、混合・撹拌することにより均一に分散させることができる。混合・撹拌の方法は、特に限定されず、例えば、ディゾルバー、ホモジナイザー等の各種ミキサー、ニーダー、ロール、ビーズミル、自公転式撹拌装置等の公知乃至慣用の撹拌、混合手段を使用できる。また、撹拌、混合後、減圧下又は真空下にて脱泡してもよい。
本発明の硬化前の反射防止材の性状は、特に限定されないが、液状であることが好ましい。本発明の反射防止材を形成する硬化前の樹脂組成物は、多孔性フィラー及び/又は中空体フィラーを用いることで少量の添加で反射防止機能を発現することができるため、トルエン等の溶剤を使用しなくとも液状になりやすく、好ましい。
図3の(b)は、樹脂層1に均一に分散した無機フィラー4が上部表面に浮上する様子を示している概略図である。無機フィラー4は、樹脂の硬化前に浮上させることが、優れた反射防止機能を発揮する点で好ましい。例えば、無機フィラー4が均一に分散した樹脂層1を、室温で2〜48時間静置させることにより行うことができる。
図3の(c)は、樹脂層1の上部表面に無機フィラー4が均一に分布している様子を表す概略図である(凹凸形状は図示略)。必要に応じて、無機フィラー4が上面表面に浮上した樹脂層1を、例えば硬化することにより本願発明の反射防止材を製造することができる。
[硬化工程]
図3(c)に示される無機フィラー4が、必要に応じて、上部表面に浮上した樹脂層を硬化させて本発明の硬化物とすることにより、本発明の反射防止材を得ることができる。
硬化前の反射防止材の全量(100重量%)に対する、硬化中に揮発する成分の量は、特に限定されないが、好ましくは10重量%以下であり、より好ましくは8重量%以下であり、さらに好ましくは5重量%以下である。硬化中に揮発する成分の量が10重量%以下であることにより、硬化物の寸法安定性が高くなり、好ましい。本発明の硬化前の反射防止材は、多孔性フィラー及び/又は中空体フィラーを用いることで少量の添加で反射防止機能を発現することができるため、溶剤(トルエン等)の揮発成分を使用しなくとも液状になりやすく、硬化中に揮発する成分の量を少なくすることができる。
硬化の手段としては、加熱処理等の公知乃至慣用の手段を利用できる。加熱により硬化させる際の温度(硬化温度)は、特に限定されないが、45〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜190℃、さらに好ましくは55〜180℃である。また、硬化の際に加熱する時間(硬化時間)は、特に限定されないが、30〜600分が好ましく、より好ましくは45〜540分、さらに好ましくは60〜480分である。硬化温度と硬化時間が上記範囲の下限値より低い場合は硬化が不十分となり、逆に上記範囲の上限値より高い場合は、樹脂成分の分解が起きる場合があるので、いずれも好ましくない。硬化条件は種々の条件に依存するが、例えば、硬化温度を高くした場合は硬化時間を短く、硬化温度を低くした場合は硬化時間を長くする等により、適宜調整することができる。また、硬化は、一段階で行うこともできるし、二段階以上の多段階で行うこともできる。
[反射防止材]
本発明の反射防止材は、上述の通り、高い透明性と優れた反射防止機能を兼ね備えるため、光学材料用の(光学材料を形成する用途に用いられる)樹脂として好適に使用することができる。光学材料とは、光拡散性、光透過性、光反射性等の各種の光学的機能を発現する材料である。本発明の反射防止材を使用することで、本発明の硬化物(光学材料)を少なくとも含む光学部材が得られる。なお、当該光学部材は、本発明の反射防止材のみから構成されたものであってもよいし、本発明の反射防止材が一部のみに使用されたものであってもよい。光学部材としては、光拡散性、光透過性、光反射性等の各種の光学的機能を発現する部材や、上記光学的機能を利用した装置や機器を構成する部材等が挙げられ、特に限定されず、例えば、光半導体装置、有機EL装置、接着剤、電気絶縁材、積層板、コーティング、インク、塗料、シーラント、レジスト、複合材料、透明基材、透明シート、透明フィルム、光学素子、光学レンズ、光造形、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池基板、光導波路、導光板、ホログラフィックメモリ、光ピックアップセンサー等の各種用途において使用される公知乃至慣用の光学部材が例示される。
本発明の反射防止材は、表面に無機フィラー(A)により形成された微細で均一な凹凸形状を有し、入射光が散乱して全反射が起こらないので、光沢が抑えられて視認性を向上させることができる。本発明の反射防止材に形成された凹凸形状の算術平均表面粗さRaは、0.2〜1.0μmの範囲が好ましく、0.3〜0.8μmの範囲がより好ましい。凹凸形状の算術平均表面粗さRaがこの範囲にあれば、全光束を顕著に損なうことなく、十分な反射防止機能が発揮できる傾向がある。
なお、本発明において算術平均表面粗さRaは、JIS B 0601−2001により定義される数値であり、後述の実施例に記載の方法により測定、算出されたものを意味するものとする。
本発明の反射防止材は、例えば、光半導体封止用樹脂組成物として好ましく使用できる。即ち、本発明の反射防止材は、光半導体装置における光半導体素子を封止するための組成物(光半導体装置における光半導体素子の封止材)として好ましく使用できる。本発明の反射防止材(光半導体封止用樹脂組成物)を用いて、該反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置(例えば、図4における104が本発明の反射防止材で構成された光半導体装置)が得られる。光半導体素子の封止は、例えば、上述の方法で調製した図3(a)示される無機フィラー(A)が均一に分散した樹脂組成物を所定の成形型内に注入し、所定時間静置した後に、所定の条件で加熱硬化して行うことができる。硬化温度、硬化時間や光硬化の条件等は、上記反射防止材の調製時と同様の範囲で適宜設定することができる。上述の本発明の光半導体装置は、特に、本発明の硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化前に十分な時間(例えば、2時間以上)、常温で放置したとしても、優れた反射防止機能を発揮することができる。なお、本明細書において「本発明の光半導体装置」とは、光半導体装置の構成部材(例えば、封止材、ダイボンディング材等)の少なくとも一部に本発明の反射防止材が使用された光半導体装置を意味する。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、表1〜3に示す樹脂組成物を構成する成分の単位は、重量部である。
製造例1
硬化剤(商品名「リカシッドHNA−100」、新日本理化(株)製)100重量部、硬化促進剤(商品名「U−CAT 18X」、サンアプロ(株)製)0.5重量部、及びエチレングリコール(和光純薬工業(株)製)1重量部を、自公転式撹拌装置(商品名「あわとり練太郎 AR−250」、(株)シンキー製、以下同じ)を用いて混合し、エポキシ硬化剤(K剤)を製造した。
実施例1
脂環式エポキシ化合物(商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製)100重量部、製造例1で得られたエポキシ硬化剤101.5重量部を自公転式撹拌装置を用いて混合し、脱泡して、硬化性エポキシ樹脂組成物を製造した。
上記で得られた硬化性エポキシ樹脂組成物100重量部、中空体フィラー(商品名「Sphericel 110P8」、ポッターズ・バロティーニ(株)製)2重量部を自公転式撹拌装置を用いて混合し、脱泡して得られた硬化性エポキシ樹脂組成物を図4に示す光半導体のリードフレーム(InGaN素子、3.5mm×2.8mm)に注型し、室温で2時間放置した後、150℃の樹脂硬化オーブンで5時間加熱することで、本発明の反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置を製造した。なお、図4において、100はリフレクター、101は金属配線、102は光半導体素子、103はボンディングワイヤ、104は封止材(反射防止材)を示し、104の上部表面は中空体フィラーにより均一で微細な凹凸形状が形成されている(凹凸形状は図示略)。
実施例2〜21、比較例1〜6
硬化性エポキシ樹脂組成物、硬化剤、中空体フィラー、多孔質フィラー、無機フィラーの組成を表1〜3に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして、光半導体装置を製造した。
[評価]
上記で製造した光半導体装置について、下記の評価を行った。結果を表1〜3のそれぞれに示す。
(1)蛍光灯の映り込み
実施例、比較例で得られた光半導体装置の上面(図4の封止材104の上面)に点灯した蛍光灯を当てて反射を見た際に、反射防止材に映る蛍光灯の鮮明さを目視で3段階評価した。
蛍光灯の輪郭が認識できない場合を○、輪郭が不鮮明ながら認識できる場合を△、輪郭が鮮明に認識できる場合を×とした。
(2)算術平均表面粗さRa
実施例、比較例で得られた光半導体装置の上面(図4の封止材104の上面)を、レーザー顕微鏡(商品名「形状測定レーザマイクロスコープ VK−8710」、キーエンス社製)を用いて測定した。
(3)全光束
実施例、比較例で得られた各光半導体装置について、5V、20mAの条件で通電した際の全光束を、全光束測定機(商品名「マルチ分光放射測定システム OL771」、オプトロニックラボラトリーズ社製)を用いて測定した。
(4)総合判定
実施例、比較例で得られた各光半導体装置について、下記(a)〜(c)を全て満足する場合を○(良好である)、下記(a)〜(c)のいずれかを満足しない場合を×(不良である)と判定した。
(a)上記(1)において測定された蛍光灯の映り込みが、○又は△である。
(b)上記(2)において測定された算術平均表面粗さRaが0.20〜1.0μmである。
(c)上記(3)において測定された全光束が0.30lm以上である。
Figure 2017126045
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表1〜3に示す反射防止材を構成する各成分について、以下に説明する。
(中空フィラー)
Sphericel 110P8:商品名「Sphericel 110P8」、ポッターズ・バロティーニ(株)製
Sphericel 60P18:商品名「Sphericel 60P18」、ポッターズ・バロティーニ(株)製
Sphericel 34P30:商品名「Sphericel 34P30」、ポッターズ・バロティーニ(株)製
Sphericel 25P45:商品名「Sphericel 25P45」、ポッターズ・バロティーニ(株)製
Q−CEL 7040:商品名「Q−CEL 7040」、ポッターズ・バロティーニ(株)製
(多孔質フィラー)
サイリシア430:商品名「サイリシア430」、富士シリシア化学(株)製、体積平均粒子径:4.1μm;比表面積:350m2/g;平均細孔径:17nm;細孔容積:1.25mL/g;吸油量:230mL/100g
サイロスフェアC−1504:商品名「サイロスフェアC−1504」、富士シリシア化学(株)製、体積平均粒子径:4.5μm;比表面積:520m2/g;平均細孔径:12nm;細孔容積:1.5mL/g;吸油量:290mL/100g
サンスフェアH−52:商品名「サンスフェアH−52」、AGCエスアイテック(株)製、体積平均粒子径:5μm;比表面積:700m2/g;平均細孔径:10nm;細孔容積:2mL/g;吸油量:300mL/100g
(無機フィラー)
溶融破砕状シリカ:(株)龍森製、体積平均粒径:6〜7μm
溶融球状シリカ:(株)龍森製、体積平均粒径:5μm
結晶性破砕状シリカ:(株)龍森製、平均粒径:5μm
(エポキシ樹脂)
セロキサイド2021P:商品名「セロキサイド2021P」[3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート]、(株)ダイセル製
YD−128:商品名「YD−128」[ビスフェノールA型エポキシ樹脂]、新日鐡住金化学(株)製
TEPIC−VL:商品名「TEPIC−VL」[トリグリシジルイソシアヌレート]、日産化学工業(株)製
152:商品名「152」[フェノールノボラック型エポキシ樹脂]、三菱化学(株)製
YL7410:商品名「YL7410」[脂肪族エポキシ化合物]、三菱化学(株)製
X−22−169AS:商品名「X−22−169AS」[変性シリコーンオイル(両末端にシクロヘキセンオキシド基を有するポリジメチルシロキサン)]、信越化学工業(株)製
X−40−2670:商品名「X−40−2670」[シクロヘキセンオキシド基を有する環状シロキサン]、信越化学工業(株)製
(エポキシ硬化剤)
HNA−100:商品名「リカシッドHNA−100」[メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物とノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物の混合物(無水コハク酸の含有量:0.4重量%以下)]、新日本理化(株)製
MH−700:商品名「リカシッドMH−700」[4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30]、新日本理化(株)製
U−CAT 18X:商品名「U−CAT 18X」[硬化促進剤]、サンアプロ(株)製
エチレングリコール:和光純薬工業(株)製
表1、2に示されるように、中空体フィラー又は多孔質フィラーが添加され、かつ架橋環式炭化水素環を有する酸無水物であるリカシッドHNA−100が配合された実施例に係る反射防止材を備える光半導体装置によると、蛍光灯の映り込みはいずれも○の評価であり、優れた反射防止機能を備えることが確認された。
また、蛍光灯の映り込みが○の評価であった本発明の実施例の光半導体装置の算術平均表面粗さRaは、いずれも0.20〜1.0μmの範囲にあり、適度な凹凸形状が形成されていることが確認された。
さらに、本発明の実施例の光半導体装置の全光束は、いずれも0.30lm以上であり、良好な照度を示した。
一方、多孔質でも中空体でもないシリカフィラーが添加された比較例2〜4の光半導体装置は、硬化剤としてリカシッドHNA−100を使用したとしても、蛍光灯の映り込みが×(不良)と評価され、算術平均表面粗さRaの値も低かく(0.2μm以下)、フィラーが添加されていない比較例1程度の反射防止機能しか示さなかった。
また、架橋環式炭化水素環を有しない酸無水物であるリカシッドMH−700Fを添加した比較例5及び6の光半導体装置は、多孔質フィラー又は中空体フィラーを使用したとしても、蛍光灯の映り込みが×(不良)と評価され、算術平均表面粗さRaの値も低かった(0.2μm以下)。
本発明の反射防止材は、高い透明性と優れた反射防止機能を兼ね備えるため、光学材料用の(光学材料を形成する用途に用いられる)樹脂として好適に使用することができる。光学部材としては、光拡散性、光透過性、光反射性等の各種の光学的機能を発現する部材や、上記光学的機能を利用した装置や機器を構成する部材等が挙げられ、特に限定されず、例えば、光半導体装置、有機EL装置、接着剤、電気絶縁材、積層板、コーティング、インク、塗料、シーラント、レジスト、複合材料、透明基材、透明シート、透明フィルム、光学素子、光学レンズ、光造形、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池基板、光導波路、導光板、ホログラフィックメモリ、光ピックアップセンサー等の各種用途において使用される公知乃至慣用の光学部材が例示される。
1:樹脂層
2:多孔質フィラー
3:中空体フィラー
4:無機フィラー(多孔質フィラー及び中空体フィラーを含む)
100:リフレクター(光反射用樹脂組成物)
101:金属配線(電極)
102:光半導体素子
103:ボンディングワイヤ
104:封止材(反射防止材)

Claims (6)

  1. 多孔質フィラー(A1)及び中空体フィラー(A2)からなる群より選択される少なくとも1種の無機フィラー(A)が分散された樹脂層からなり、当該無機フィラー(A)は当該樹脂層の表面に反射を抑える凹凸を形成する反射防止材であって、樹脂層がエポキシ化合物(B)と架橋環式炭化水素環を有する酸無水物硬化剤(C)とを含有する硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする、反射防止材。
  2. 前記無機フィラー(A)は、前記硬化性エポキシ樹脂組成物中に均一に分散した後に当該硬化性エポキシ樹脂組成物の上部表面付近に浮上して当該表面に前記凹凸を形成する、請求項1に記載の反射防止材。
  3. 反射防止材全量(100重量%)に対する前記無機フィラー(A)の含有量は、0.5〜40重量%である、請求項1又は2に記載の反射防止材。
  4. 前記樹脂層は、透明な硬化性樹脂組成物からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止材。
  5. 光半導体封止用樹脂組成物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射防止材。
  6. 請求項5に記載の反射防止材により光半導体素子が封止された光半導体装置。
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