JP2017119589A - セラミック複合材及びセラミック複合材の製造方法 - Google Patents

セラミック複合材及びセラミック複合材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】繊維自体の劣化が抑制され得る構造のセラミック複合材及びセラミック複合材の製造方法の提供。【解決手段】酸素を含有するSiC繊維1を集合させ骨材9を形成する骨材形成工程と、骨材9をCVD炉に入れ、SiC繊維の表面に炭素を含有するセラミック被膜2を形成するCVD工程P2と、骨材9にシリコンを含浸するシリコン含浸工程P3と、を有するセラミック複合材10の製造方法。【選択図】図4

Description

本発明は、セラミック複合材及びセラミック複合材の製造方法に関する。
SiC/SiC複合材などのセラミック複合材は、耐熱性、耐酸化性を有し、高強度の素材であるので、高温炉用部材、半導体製造装置など様々な分野で使用が期待されている。
特許文献1には、繊維強化セラミックマトリックス複合材(CMC:Ceramic Matrix Composite)を溶融シリコンで浸漬処理する発明が記載されている。この発明は、プリフォームが溶融シリコンと接触している間にプリフォームが浸食しないようにする技術である。具体的には、(a)プリフォームを溶融シリコン浴中に浸漬するステップと、(b)プリフォームを所定の時間浴内にそのまま置いておくステップと、(c)プリフォームを浴から引き出すステップと、(d)プリフォームを冷却するステップとを含む溶解処理方法である。この方法によれば、この浸漬処理はCMCプリフォームを溶浸するのに必要な時間を著しく短縮するので、溶融シリコンがプリフォームを浸食することになる可能性が減少することが記載されている。
特開2006−206431号公報
上記記載された発明は、シリコン浴中へのプリフォームの浸漬時間が短くなったため、プリフォームを溶浸するのに必要な時間を著しく短縮するので、溶融シリコンがプリフォームを浸食することになる可能性が減少することはできるが、プリフォームの侵食は起こっている。このため、プリフォームを構成する繊維の劣化がなくなったわけではない。このため本質的に繊維の浸食を抑制することはできていない。
本発明では、上記課題を鑑み、繊維自体の劣化が抑制され得る構造のセラミック複合材及びセラミック複合材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のセラミック複合材の製造方法は、以下のものである。
(1)酸素を含有するSiC繊維を集合させ骨材を形成する骨材形成工程と、前記骨材をCVD炉に入れ、前記SiC繊維の表面に炭素を含有するセラミック被膜を形成するCVD工程と、前記骨材にシリコンを含浸するシリコン含浸工程と、を有する。
本発明のセラミック複合材の製造方法は、SiC繊維を集合させ骨材を形成したのち、CVD炉に入れ、SiC繊維の表面にセラミック被膜を形成し、シリコン含浸工程で金属シリコンを含浸し、緻密化する。さらに、SiC繊維には、CVD法によって炭素を含有するセラミック被膜が形成されている。もともとSiC繊維には、原料に由来する微量の酸素を含有している。酸素はSiOの形態で含まれている。SiOは製造過程及び使用時に高温で金属シリコンと接すると、SiOに分解し、気体となって散逸し、SiC繊維を劣化させる原因となる。本発明のセラミック複合材は、CVD法によって純度の高い炭素を含有するセラミック被膜が形成されているので、金属シリコンとSiOが直接接触することを防止することができSiC繊維自体の劣化を防止することができる。
さらに本発明のセラミック複合材の製造方法は、以下の態様であることが好ましい。
(2)前記セラミック被膜は、前記SiC繊維を覆う熱分解炭素被膜と当該熱分解炭素被膜の外側を覆うSiC被膜とからなる。
CVD法で形成されたSiC被膜は、シランと炭化水素の混合ガスまたは有機シランガスなどの高純度の原料ガスを使用できるので、高純度であり、酸素を含有していない。このため金属シリコンと接触してもSiOガスを発生させることが無い。またSiC被膜とSiC繊維との間に熱分解炭素被膜が形成されているので、SiC繊維と、SiC被膜とが一体化せず、SiC繊維の強化作用を維持することができる。
(3)前記セラミック複合材の製造方法は、前記CVD工程と、前記シリコン含浸工程との間に、前記骨材に炭素前駆体を含浸する炭素前駆体含浸工程と、前記骨材を熱処理し、前記炭素前駆体を炭素化し炭素マトリックスにする熱処理工程と、を更に有する。
本発明のセラミック複合材の製造方法は、酸素を含有するSiC繊維を集合させ骨材を形成したのち、CVD炉に入れ、SiC繊維の表面にセラミック被膜を形成し、次に骨材に炭素前駆体を含浸し、熱処理して炭素マトリックスを形成している。シリコンは、凝固する際に10%近く体積膨張する。このため、体積膨張によってSiC繊維に強い張力を発生させやすい。骨材の内部に炭素マトリックスを形成することにより、シリコンの含浸量を少なくすることができ、凝固による体積膨張を抑制し、SiC繊維にかかる張力を小さくしセラミック複合材の強度を高くすることができる。
(4)前記セラミック複合材の製造方法は、前記シリコン含浸工程の後に、前記骨材を焼成し、前記炭素マトリックスと前記シリコンとを反応させSiC化する焼成工程を更に有する。
焼成によって金属シリコンと炭素マトリックスとを反応させSiC化させているので、耐熱温度が上がり、熱変形が発生しにくく安定して使用可能なセラミック複合材を形成することができる。
(5)前記焼成工程は、処理温度が1410〜1600℃である。
焼成工程の処理温度が1600℃以下であれば、SiC繊維の劣化を抑制することができ、焼成工程の処理温度が1410℃以上であれば、炭素マトリックスと、金属シリコンとの反応を十分に行うことできる。
(6)前記炭素前駆体は、ピッチ、コプナ樹脂、フェノール樹脂、カーボン粉末の分散液から選ばれる少なくとも一つの炭素前駆体である。
炭素前駆体は、熱処理によって炭素化するものであればよい。例えば、ピッチ、コプナ樹脂、フェノール樹脂などの有機物のほか、溶媒とカーボン粉末からなるカーボン粉末の分散液でもよい。有機物は熱処理によって分解して炭素化し、カーボン粉末の分散液は、熱処理によって溶媒が揮発し、カーボン粉末が残留する。いずれの場合も炭素前駆体の一部が除去されるので気孔ができ、シリコン含浸工程でこの気孔にシリコンを取り込むことができる。なお、有機物を使った場合には、炭素マトリックスは互いに一体化している一方、カーボン粉末を用いた場合には、カーボン粉末は互いに結合していないバラバラの粒子で存在する。この場合、後のシリコン含浸工程で含浸する金属シリコンによってバラバラの粒子を固定化させることができる。
さらに、ピッチ、コプナ樹脂、フェノール樹脂などの有機物とカーボン粉末とを同時に用いてもよい。カーボン粉末と有機物とを同時に用いると炭化の歩留まりが高く残留する金属シリコンの量を少なくすることができる。
カーボン粉末は、どのようなものでもよい。例えば、カーボンクラック、コークス粉末、アモルファスコークス粉末、黒鉛粉末などが利用できる。カーボン粉末の50%体積累積径は、例えば20μm以下であることが好ましい。20μm以下であると、骨材の隙間に容易に含浸することができる。
(7)前記熱分解炭素被膜の厚さが50〜800nmである。
熱分解炭素被膜の厚さが800nm以下であると、熱分解炭素被膜とSiC繊維とを合わせた太さを小さくすることができるので、曲げられたときに生じる熱分解炭素被膜の表面の張力を小さくし、破断しにくくすることができる。熱分解炭素被膜の厚さが50nm以上であると、SiC繊維と、SiC被膜とを充分に隔てることができるので、SiC繊維と、SiC被膜との一体化によるSiC繊維の強化作用の低減を防止することができる。
(8)前記SiC被膜の厚さが0.5〜10μmである。
SiC被膜の厚さが10μm以下であると、SiC被膜、熱分解炭素被膜及びSiC繊維とを合わせた太さを小さくすることができるので、曲げられたときに生じるSiC被膜の表面の張力を小さくし、破断しにくくすることができる。SiC被膜の厚さが0.5μm以上であると、熱分解炭素被膜と、SiCマトリックスとを充分に隔てることができるので、SiCマトリックスに含まれる金属シリコンと熱分解炭素被膜とを隔てることができ、熱分解炭素被膜がSiC化することを防止することができる。また、製造過程において熱分解炭素被膜と金属シリコンの接触を防ぐことができるので、熱分解炭素被膜がSiC化することを防止することができる。
(9)前記SiC繊維は、直径が5〜20μmである。
SiC繊維は内部に酸素を含有している。このため、酸素が反応して欠陥が形成されると、断面積に占有する比率が大きくなり強度を劣化させる。5μm以上であると、この影響を小さくすることができ、破断しにくくすることができる。SiC繊維の直径が20μm以下であると、曲げられたSiC繊維の表面に発生する張力が小さいので、破断しにくくすることができる。
本発明のセラミック複合材は、以下のものである。
(10)酸素を含有するSiC繊維が集合した骨材と、前記骨材内部の空間を埋めるSiマトリックスとからなるセラミック複合材であって、前記SiC繊維は、炭素を含有するCVD被膜で覆われている。
SiC繊維には、CVD法によって炭素を含有するセラミック被膜が形成されている。セラミック被膜は、CVD被膜である。もともとSiC繊維には、原料に由来する微量の酸素を含有している。酸素はSiOの形態で含まれている。SiOは製造過程及び使用時に金属シリコンと接すると、SiOに分解し、気体となって散逸する。本発明のセラミック複合材は、純度の高いセラミックからなる炭素を含有するCVD被膜が形成されているので、金属シリコンとSiOが直接接触することを防止することができる。このため、SiC繊維の劣化を防止することができる。
また、上記課題を解決するための本発明のセラミック複合材は、
(11)酸素を含有するSiC繊維が集合した骨材と、前記骨材内部の空間を埋めるSiCマトリックスとからなるセラミック複合材であって、前記SiC繊維は、炭素を含有するCVD被膜で覆われ、前記SiCマトリックスは、反応焼結SiCである。
反応焼結SiCは、シリコンとカーボンの反応で形成されたSiCであり、金属シリコンを溶融させてシリコンを供給するので、緻密なSiCマトリックスを得ることができる。また、SiC繊維には、セラミックからなるCVD被膜が形成されている。CVD被膜は、セラミック被膜である。もともとSiC繊維には、原料に由来する微量の酸素を含有している。酸素はSiOの形態で含まれている。SiOは製造過程及び使用時に高温で金属シリコンと接すると、SiOに分解し、気体となって散逸し、SiC繊維を劣化させる原因となる。本発明のセラミック複合材は、純度の高いセラミックからなる炭素を含有するCVD被膜が形成されているので、金属シリコンとSiOが直接接触することを防止することができる。このため、SiC繊維の劣化を防止することができる。
さらに本発明のセラミック複合材は、以下の態様であることが好ましい。
(12)前記SiCマトリックスには、金属シリコンを含有する。
SiCマトリックスが金属シリコンを含有しているとは、SiCマトリックスの組成がシリコンリッチであることを示している。この場合、SiCマトリックスは、金属シリコンとSiCで構成され、カーボンはすべてシリコンと結合しSiCとなっている。このため、高温で使用しても酸化消耗するカーボンが無く、安定して使用することができる。
(13)前記CVD被膜は、前記SiC繊維を覆う熱分解炭素被膜と当該熱分解炭素被膜の外側を覆うSiC被膜とからなる。
CVD法で形成されたSiC被膜は、シランと炭化水素の混合ガスまたは有機シランガスなどの高純度の原料ガスを使用できるので、高純度であり、酸素を含有していない。このため金属シリコンと接触してもSiOガスを発生させることが無い。またSiC被膜とSiC繊維との間に熱分解炭素被膜が形成されているので、SiC繊維と、SiC被膜とが一体化せず、SiC繊維の強化作用を維持することができる。
(14)前記熱分解炭素被膜の厚さが50〜800nmである。
熱分解炭素被膜の厚さが800nm以下であると、熱分解炭素被膜とSiC繊維とを合わせた太さを小さくすることができるので、曲げられたときに生じる熱分解炭素被膜の表面の張力を小さくし、破断しにくくすることができる。熱分解炭素被膜の厚さが50nm以上であると、SiC繊維と、SiC被膜とを充分に隔てることができるので、SiC繊維と、SiC被膜との一体化よるSiC繊維の強化作用の低減を防止することができる。
(15)前記SiC被膜の厚さが0.5〜10μmである。
SiC被膜の厚さが10μm以下であると、SiC被膜、熱分解炭素被膜及びSiC繊維とを合わせた太さを小さくすることができるので、曲げられたときに生じるSiC被膜の表面の張力を小さくし、破断しにくくすることができる。SiC被膜の厚さが0.5μm以上であると、熱分解炭素被膜と、SiCマトリックスとを充分に隔てることができるので、SiCマトリックスに含まれる金属シリコンと熱分解炭素被膜とを隔てることができ、熱分解炭素被膜がSiC化することを防止することができる。また、製造過程において熱分解炭素被膜と金属シリコンの接触を防ぐことができるので、熱分解炭素被膜がSiC化することを防止することができる。
(16)前記SiC繊維は、直径が5〜20μmである。
SiC繊維は内部に酸素を含有している。このため、酸素が反応して欠陥が形成されると、断面積に占有する比率が大きくなり強度を劣化させる。5μm以上であると、この影響を小さくすることができ、破断しにくくすることができる。SiC繊維の直径が20μm以下であると、曲げられたSiC繊維の表面に発生する張力が小さいので、破断しにくくすることができる。
本発明のセラミック複合材の製造方法によれば、酸素を含有するSiC繊維を集合させ骨材を形成したのち、CVD炉に入れ、SiC繊維の表面に炭素を含有するセラミック被膜を形成し、シリコン含浸工程で含浸し、緻密化されている。さらに、SiC繊維には、CVD法によってセラミック被膜が形成されている。もともとSiC繊維には、原料に由来する微量の酸素を含有している。酸素はSiOの形態で含まれている。SiOは製造過程及び使用時に金属シリコンと接すると、SiOに分解し、気体となって散逸する。本発明のセラミック複合材は、CVD法によって純度の高いセラミック被膜が形成されているので、金属シリコンとSiOが直接接触することを防止することができ繊維自体の劣化を防止することができる。
本発明のセラミック複合材によれば、酸素を含有するSiC繊維が集合した骨材と、骨材内部の空間を埋めるSiマトリックスとからなるセラミック複合材であって、SiC繊維は、炭素を含有するCVD被膜で覆われている。SiC繊維には、CVD法によって炭素を含有するセラミック被膜が形成されている。もともとSiC繊維には、原料に由来する微量の酸素を含有している。酸素はSiOの形態で含まれている。SiOは製造過程及び使用時に金属シリコンと接すると、SiOに分解し、気体となって散逸する。本発明のセラミック複合材は、CVD法によって純度の高い炭素を含有するセラミック被膜が形成されているので、金属シリコンとSiOが直接接触することを防止することができる。このため、SiC繊維の劣化を防止することができる。
本発明のセラミック複合材によれば、酸素を含有するSiC繊維が集合した骨材と、骨材内部の空間を埋めるSiCマトリックスとからなるセラミック複合材であって、SiC繊維は、炭素を含有するCVD被膜で覆われ、SiCマトリックスは、反応焼結SiCである。反応焼結SiCは、シリコンとカーボンの反応で形成されたSiCであり、金属シリコンを溶融させてシリコンを供給するので、緻密なSiCマトリックスを得ることができる。また、SiC繊維には、CVD法によって炭素を含有するセラミック被膜が形成されている。もともとSiC繊維には、原料に由来する微量の酸素を含有している。酸素はSiOの形態で含まれている。SiOは製造過程及び使用時に金属シリコンと接すると、SiOに分解し、気体となって散逸する。本発明のセラミック複合材は、CVD法によって純度の高い炭素を含有するセラミック被膜が形成されているので、金属シリコンとSiOが直接接触することを防止することができる。このため、SiC繊維の劣化を防止することができる。
本発明のセラミック複合材の実施の形態1の製造工程を示すフロー図である。 本発明のセラミック複合材の実施の形態2の製造工程を示すフロー図である。 本発明のセラミック複合材の実施の形態3の製造工程を示すフロー図である。 本発明のセラミック複合材の実施の形態1の製造工程を示す説明図である。 本発明のセラミック複合材の実施の形態2の製造工程を示す説明図である。 本発明のセラミック複合材の実施の形態3の製造工程を示す説明図である。 実施例のセラミック複合材の断面の走査電子顕微鏡写真である。 比較例のセラミック複合材の断面の走査電子顕微鏡写真である。
(発明の詳細な説明)
本明細書において、「金属シリコン」とは、シリコンどうしで結合した単体のシリコンを意味する。
本発明のセラミック複合材の製造方法は、酸素を含有するSiC繊維を集合させ骨材を形成する骨材形成工程と、骨材をCVD炉に入れ、SiC繊維の表面に炭素を含有するセラミック被膜を形成するCVD工程と、骨材にシリコンを含浸するシリコン含浸工程と、を有する。
本発明のセラミック複合材の製造方法は、酸素を含有するSiC繊維を集合させ骨材を形成したのち、CVD炉に入れ、SiC繊維の表面に炭素を含有するセラミック被膜を形成し、シリコン含浸工程で金属シリコンを含浸し、緻密化する。酸素を含有するSiC繊維には、CVD法によって炭素を含有するセラミック被膜が形成されている。もともとSiC繊維は、原料に由来する微量の酸素を含有している。酸素はSiOの形態で含まれている。SiOは製造過程及び使用時に金属シリコンと接すると、SiOに分解し、気体となって散逸し、SiC繊維を劣化させる原因となる。本発明のセラミック複合材は、CVD法によって純度の高い炭素を含有するセラミック被膜が形成されているので、金属シリコンとSiOが直接接触することを防止することができ、繊維自体の劣化を防止することができる。
炭素を含有するセラミック被膜とは、SiC、TaC、WCなど炭化物系のセラミック被膜のほか熱分解炭素のセラミック被膜も挙げられる。また炭素を含有するセラミック被膜は、炭化物系セラミック、熱分解炭素など、耐熱性の高いセラミックであるとともにCVD法で形成されているので、緻密な被膜を得ることができる。このため、溶融シリコンと反応しにくく酸素を含有するSiC繊維の劣化を防止することができる。特にセラミック被膜の最表面は、炭化物系セラミックであることが好ましい。炭化物系セラミックは特に溶融シリコンとの反応性が低いので好適に利用することができる。
本発明のセラミック複合材の製造方法においては、炭素を含有するセラミック被膜が、SiC繊維を覆う熱分解炭素被膜とさらに熱分解炭素被膜の外側を覆うSiC被膜とからなる。
本発明のセラミック複合材の製造方法のCVD法で形成されたSiC被膜は、シランと炭化水素の混合ガスまたは有機シランガスなどの高純度の原料ガスを使用できるので、高純度であり、酸素を含有していない。このため金属シリコンと接触してもSiOガスを発生させることが無い。またSiC被膜とSiC繊維との間に熱分解炭素被膜が形成されているので、SiC繊維と、SiC被膜とが一体化せず、SiC繊維の強化作用を維持することができる。
本発明のセラミック複合材の製造方法は、CVD工程と、シリコン含浸工程との間に、骨材に炭素前駆体を含浸する炭素前駆体含浸工程と、骨材を熱処理し、炭素前駆体を炭素化し炭素マトリックスにする熱処理工程と、を更に有する。
本発明のセラミック複合材の製造方法は、酸素を含有するSiC繊維を集合させ骨材を形成したのち、CVD炉に入れ、SiC繊維の表面に炭素を含有するセラミック被膜を形成し、次に骨材に炭素前駆体を含浸し、熱処理して炭素マトリックスを形成している。シリコンは、凝固する際に10%近く体積膨張する。このため、体積膨張によってSiC繊維に強い張力を発生させやすい。骨材の内部に炭素マトリックスを形成することにより、シリコンの含浸量を少なくすることができ、凝固による体積膨張を抑制し、SiC繊維にかかる張力を小さくしセラミック複合材の強度を高くすることができる。
本発明のセラミック複合材の製造方法は、シリコン含浸工程の後に、骨材を焼成し、炭素マトリックスとシリコンとを反応させSiC化する焼成工程を更に有する。
本発明のセラミック複合材の製造方法は、焼成によって金属シリコンと炭素マトリックスとを反応させSiC化させているので、耐熱温度が上がり、熱変形が発生しにくく安定して使用可能なセラミック複合材を形成することができる。
本発明のセラミック複合材の製造方法においては、焼成工程の処理温度が1410〜1600℃である。
本発明のセラミック複合材の製造方法においては、焼成工程の処理温度が1600℃以下であるので、SiC繊維の劣化を抑制することができ、焼成工程の処理温度が1410℃以上であるので、炭素マトリックスと、金属シリコンとの反応を十分に行うことできる。
本発明のセラミック複合材の製造方法においては、炭素前駆体が、ピッチ、コプナ樹脂、フェノール樹脂、カーボン粉末の分散液から選ばれる少なくとも一つの炭素前駆体である。
本発明のセラミック複合材の製造方法の炭素前駆体は、熱処理によって炭素化するものであればよい。例えば、ピッチ、コプナ樹脂、フェノール樹脂などの有機物のほか、溶媒とカーボン粉末からなるカーボン粉末の分散液でもよい。有機物は熱処理によって分解して炭素化し、カーボン粉末の分散液は、熱処理によって溶媒が揮発し、カーボン粉末が残留する。いずれの場合も炭素前駆体の一部が除去されるので気孔ができ、シリコン含浸工程でこの気孔にシリコンを取り込むことができる。なお、有機物を使った場合には、炭素マトリックスは互いに一体化している一方、カーボン粉末を用いた場合には、カーボン粉末は互いに結合していないバラバラの粒子で存在する。この場合、後のシリコン含浸工程で含浸するシリコンによってバラバラの粒子を固定化させることができる。
さらに、ピッチ、コプナ樹脂、フェノール樹脂などの有機物と、カーボン粉末とを同時に用いてもよい。カーボン粉末と有機物とを同時に用いると炭化の歩留まりが高く残留する金属シリコンの量を少なくすることができる。
カーボン粉末は、どのようなものでもよい。例えば、カーボンクラック、コークス粉末、アモルファスコークス粉末、黒鉛粉末などが利用できる。カーボン粉末の50%体積累積径は、例えば20μm以下であることが好ましい。20μm以下であると、骨材の隙間に容易に含浸することができる。
本発明のセラミック複合材の製造方法においては、熱分解炭素被膜の厚さが50〜800nmである。
本発明のセラミック複合材の製造方法においては、熱分解炭素被膜の厚さが800nm以下であるので、熱分解炭素被膜とSiC繊維とを合わせた太さを小さくすることができる。したがって、曲げられたときに生じる熱分解炭素被膜の表面の張力を小さくし、破断しにくくすることができる。熱分解炭素被膜の厚さが50nm以上であるので、SiC繊維と、SiC被膜とを充分に隔てることができるので、SiC繊維と、SiC被膜とが一体化することによるSiC繊維の強化作用の低減を防止することができる。
本発明のセラミック複合材の製造方法においては、SiC被膜の厚さが0.5〜10μmである。
本発明のセラミック複合材の製造方法においては、SiC被膜の厚さが10μm以下であるので、SiC被膜、熱分解炭素被膜及びSiC繊維とを合わせた太さを小さくすることができ、曲げられたときに生じるSiC被膜の表面の張力を小さくし、破断しにくくすることができる。SiC被膜の厚さが0.5μm以上であるので、熱分解炭素被膜と、SiCマトリックスとを充分に隔てることができ、SiCマトリックスに含まれる金属シリコンと熱分解炭素被膜とを隔てることができ、熱分解炭素被膜がSiC化することを防止することができる。また、製造過程において熱分解炭素被膜と金属シリコンとの接触を防ぐことができるので、熱分解炭素被膜がSiC化することを防止することができる。
本発明のセラミック複合材の製造方法においては、SiC繊維の直径が5〜20μmである。
SiC繊維は内部に酸素を含有している。このため、酸素が反応して欠陥が形成されると、断面積に占有する比率が大きくなり強度を劣化させる。本発明のセラミック複合材の製造方法においては、SiC繊維は、直径5μm以上であるので、この影響を小さくすることができ、破断しにくくすることができる。SiC繊維の直径が20μm以下であるので、曲げられたSiC繊維の表面に発生する張力が小さいので、破断しにくくすることができる。
本発明のセラミック複合材は、酸素を含有するSiC繊維が集合した骨材と、骨材内部の空間を埋めるSiマトリックスとからなるセラミック複合材であって、SiC繊維は、炭素を含有するCVD被膜で覆われている。
SiC繊維には、CVD法によって炭素を含有するセラミック被膜が形成されている。もともとSiC繊維には、原料に由来する微量の酸素を含有している。酸素はSiOの形態で含まれている。SiOは製造過程及び使用時に金属シリコンと接すると、SiOに分解し、気体となって散逸する。本発明のセラミック複合材は、純度の高いセラミックからなる炭素を含有するCVD被膜が形成されているので、金属シリコンとSiOが直接接触することを防止することができる。このため、SiC繊維の劣化を防止することができる。
本発明のセラミック複合材は、酸素を含有するSiC繊維が集合した骨材と、骨材内部の空間を埋めるSiCマトリックスとからなるセラミック複合材であって、SiC繊維は、炭素を含有するCVD被膜で覆われ、SiCマトリックスは、反応焼結SiCである。
反応焼結SiCは、金属シリコンとカーボンの反応で形成されたSiCであり、シリコンを溶融させてシリコンを供給するので、緻密なSiCマトリックスを得ることができる。また、SiC繊維には、セラミックからなる炭素を含有するCVD被膜が形成されている。もともとSiC繊維には、原料に由来する微量の酸素を含有している。酸素はSiOの形態で含まれている。SiOは製造過程及び使用時に金属シリコンと接すると、SiOに分解し、気体となって散逸しSiC繊維を劣化させる原因となる。本発明のセラミック複合材は、純度の高いセラミックからなる炭素を含有するCVD被膜が形成されているので、金属シリコンとSiOが直接接触することを防止することができる。このため、SiC繊維の劣化を防止することができる。
さらに本発明のセラミック複合材は、SiCマトリックスに、金属シリコンを含有する。
SiCマトリックスが金属シリコンを含有しているとは、SiCマトリックスの組成がシリコンリッチであることを示している。この場合、SiCマトリックスは、金属シリコンとSiCで構成され、カーボンはすべてシリコンと結合しSiCとなっている。このため、高温で使用しても酸化消耗するカーボンが無く、安定して使用することができる。
本発明のセラミック複合材は、CVD被膜が、SiC繊維を覆う熱分解炭素被膜とさらに熱分解炭素被膜の外側を覆うSiC被膜とからなる。
本発明のセラミック複合材のCVD法で形成されたSiC被膜は、シランと炭化水素の混合ガスまたは有機シランガスなどの高純度の原料ガスを使用できるので、高純度であり、酸素を含有していない。このため金属シリコンと接触してもSiOガスを発生させることが無い。またSiC被膜とSiC繊維との間に熱分解炭素被膜が形成されているので、SiC繊維と、SiC被膜とが一体化せず、SiC繊維の強化作用を維持することができる。
本発明のセラミック複合材は、熱分解炭素被膜の厚さが50〜800nmである。
本発明のセラミック複合材の熱分解炭素被膜の厚さが800nm以下であるので、熱分解炭素被膜とSiC繊維とを合わせた太さを小さくすることができ、曲げられたときに生じる熱分解炭素被膜の表面の張力を小さくし、破断しにくくすることができる。熱分解炭素被膜の厚さが50nm以上であるので、SiC繊維と、SiC被膜とを充分に隔てることができ、SiC繊維と、SiC被膜との一体化によるSiC繊維の強化作用の低減を防止することができる。
本発明のセラミック複合材は、SiC被膜の厚さが0.5〜10μmである。
本発明のセラミック複合材は、SiC被膜の厚さが10μm以下であるので、SiC被膜、熱分解炭素被膜及びSiC繊維とを合わせた太さを小さくすることができ、曲げられたときに生じるSiC被膜の表面の張力を小さくし、破断しにくくすることができる。SiC被膜の厚さが0.5μm以上であるので、熱分解炭素被膜と、SiCマトリックスとを充分に隔てることができ、SiCマトリックスに含まれる金属シリコンと熱分解炭素被膜とを隔てることができ、熱分解炭素被膜がSiC化することを防止することができる。また、製造過程において熱分解炭素被膜と金属シリコンとの接触を防ぐことができるので、熱分解炭素被膜がSiC化することを防止することができる。
本発明のセラミック複合材は、SiC繊維の直径が5〜20μmである。
SiC繊維は内部に酸素を含有している。このため、酸素が反応して欠陥が形成されると、断面積に占有する比率が大きくなり強度を劣化させる。本発明のセラミック複合材は、SiC繊維の直径が5μm以上であるので、この影響を小さくすることができ、破断しにくくすることができる。SiC繊維の直径が20μm以下であるので、曲げられたSiC繊維の表面に発生する張力が小さいので、破断しにくくすることができる。
本発明のセラミック複合材に用いられるSiC繊維は、原材料として酸素を含有するポリカルボシランを用いて製造される。製造の過程で、架橋反応が必要であり、電子線、酸素などを用いて架橋される。酸素架橋を行った場合には、さらにSiC繊維に含まれる酸素の含有量が多くなる。酸素架橋を行わない電子線架橋によるSiC繊維では、例えば酸素含有量が0.5〜1.0重量%、酸素架橋によるSiC繊維では、例えば酸素含有量が1.0〜20重量%となる。本発明のセラミック複合材およびセラミック複合材の製造方法のSiC繊維における酸素の含有量は、例えば0.5〜20重量%である。酸素は、SiOの形態で含まれている。いずれの架橋処理を行ったSiC繊維を用いても、SiOは溶融シリコンと反応しやすく、反応によってSiC繊維が浸食される。
これに対し、CVD法によるセラミック被膜では、原材料に焼結助剤等を必要としないので、高純度のセラミック被膜を得ることができる。高純度のセラミック被膜は、溶融シリコンと反応しにくいので、浸食されにくくすることができる。特にCVD法によるSiC被膜は、原材ガスに酸素を含有せず、酸素の混入経路は装置からのコンタミネーションなどしかないので酸素の含有量は極めて少ない。このためSiOの含有量は極めて少なく、浸食へ及ぼす影響はほとんど無い。例えばCVD法よるSiC被膜の酸素含有量は、混入していたとしても10重量ppm以下である。
本発明のセラミック複合材に用いられる骨材の形態は、特に限定されない。例えば、クロス、抄造体、フィラメントワインディング体、ブレーディング体などが利用できる。
クロスは、SiC繊維を束ねたストランドを用いて製織される。抄造体は、SiC繊維の短繊維、長繊維などを用いて製造される。フィラメントワインディング体は、SiC繊維を束ねたストランドをマンドレルに巻回して形成される。マンドレルに巻回するときの角度は、巻回するごとにストランドが接触あるいは隣り合うように巻回するフープ巻き、大きく間隔をあけて斜めに巻回するヘリカル巻きなどどのような方法で巻回してもよい。
ブレーディング体は、互いに対向する方向にストランドを編んで円筒形状の骨材を形成する。
本発明のセラミック複合材の1本のストランドに用いるSiC繊維の本数は特に限定されないが、例えば100〜5000本である。
(発明を実施するための形態)
本発明の実施の形態1〜3について、図面を用いて順に説明する。
<実施の形態1>
図1は本発明のセラミック複合材の実施の形態1の製造工程を示すフロー図である。図4は本発明のセラミック複合材の実施の形態1の製造工程を示す説明図である。
実施の形態1のセラミック複合材10の製造方法は、酸素を含有するSiC繊維1を集合させ骨材9を形成する骨材形成工程(P1)と、骨材9をCVD炉に入れ、SiC繊維1の表面にセラミック被膜2を形成するCVD工程(P2)と、骨材9にシリコンを含浸するシリコン含浸工程(P3)と、を有する。
このような製造方法によって酸素を含有するSiC繊維1が集合した骨材9と、骨材内部の空間を埋めるSiマトリックス3とからなるセラミック複合材10であって、SiC繊維1は、炭素を含有するCVD被膜(セラミック被膜)2で覆われている本発明のセラミック複合材を得ることができる。
本実施の形態では、酸素を含有するSiC繊維1とSiマトリックス3が直接接することがないので、製造及び使用の際にSiC繊維1がシリコンによる浸食を受けることがなく、劣化しないので高強度のセラミック複合材10を得ることができる。
<実施の形態2>
図2は本発明のセラミック複合材の実施の形態2の製造工程を示すフロー図である。図5は本発明のセラミック複合材の実施の形態2の製造工程を示す説明図である。
実施の形態2のセラミック複合材10の製造方法は、酸素を含有するSiC繊維1を集合させ骨材9を形成する骨材形成工程(P1)と、骨材9をCVD炉に入れ、SiC繊維1の表面に炭素を含有するセラミック被膜2を形成するCVD工程(P2)と、骨材9に炭素前駆体7を含浸する炭素前駆体含浸工程(P4)と、骨材9を熱処理し、炭素前駆体7を炭素化し炭素マトリックス5にする熱処理工程(P5)と、骨材9にシリコンを含浸するシリコン含浸工程(P3)と、を有する。
このような製造方法によって、酸素を含有するSiC繊維1が集合した骨材9と、骨材内部の空間を埋めるSiマトリックス3とからなるセラミック複合材10であって、SiC繊維1は、炭素を含有するCVD被膜2で覆われているセラミック複合材10を得ることができる。このようにして本発明のセラミック複合材10を得ることができる。なお、Siマトリックス3中には、炭素を含有している。
本実施の形態では、さらに、Siマトリックス3中にカーボンをあらかじめ含有させているので金属シリコンの含有量を少なくすることができる。このためシリコンを凝固させたときのSiマトリックス3の体積膨張の影響を小さくすることができ、SiC繊維1の損傷を小さくすることができ、高強度のセラミック複合材10を提供することができる。
<実施の形態3>
図3は本発明のセラミック複合材の実施の形態3の製造工程を示すフロー図である。図6は本発明のセラミック複合材の実施の形態3の製造工程を示す説明図である。
実施の形態3のセラミック複合材10の製造方法は、酸素を含有するSiC繊維1を集合させ骨材9を形成する骨材形成工程(P1)と、骨材9をCVD炉に入れ、SiC繊維1の表面に炭素を含有するセラミック被膜2を形成するCVD工程(P2)と、骨材9に炭素前駆体7を含浸する炭素前駆体含浸工程(P4)と、骨材9を熱処理し、炭素前駆体7を炭素化し炭素マトリックス5にする熱処理工程(P5)と、骨材9にシリコンを含浸するシリコン含浸工程(P3)と、骨材9を焼成し、炭素マトリックス5と金属シリコンとを反応させSiC化する焼成工程(P6)と、を有する。
骨材形成工程(P1)では、例えばSiC繊維1を100〜5000本束ねたストランドをマンドレルに巻回し、フィラメントワインディング体の骨材9が得られる。
CVD工程(P2)においては、例えばはじめにメタンを導入し、次にメタンとトリクロロシランを原料ガスとして導入し、SiC繊維1を覆う炭素を含有するCVD被膜(セラミック被膜)2は内側が熱分解炭素、熱分解炭素の外側がSiCの2層構造のCVD被膜2を得ることができる。
次にマンドレルからフィラメントワインディング体を取り外し、炭素前駆体含浸工程(P4)で例えばフェノール樹脂を含浸する。フェノール樹脂は、有機溶媒あるいは水に溶解したもの、熱で溶融させたものなどが利用できる。
熱処理工程(P5)では、炭素前駆体7を含浸した骨材9を、熱処理炉に入れ加熱する。熱処理炉は、不活性雰囲気または真空下で処理する。溶媒を含有する場合は、最初に溶媒を揮発させる。このため溶媒の揮発が完了した後で昇温の速度を上昇させると効率よく熱処理を行うことができる。望ましい熱処理の温度は、600〜1200℃である。熱処理の温度が600℃以上であれば、炭素前駆体7の炭素化を充分に行うことができ、熱処理温度が1200℃以下であれば、熱処理工程におけるSiC繊維1の劣化を少なくすることができる。
熱処理工程(P5)では、炭素前駆体7の分解の過程で大量の分解ガスを生成するとともに分解ガスの流出経路を確保するため、炭素マトリックス5に形成される気孔の容積が大きくなる。シリコン含浸工程では、シリコンはこの気孔に浸透する。このため、炭素マトリックスに対しシリコンの方が余剰になり、反応後に余剰なシリコンが残留するようになる。
次にシリコン含浸工程(P3)で、得られた骨材を溶融シリコンに浸漬する。あらかじめシリコンを溶融させておき、浸漬させることによって短時間でシリコン含浸を行うことができる。溶融シリコンの温度は、特に限定されないが例えば1410〜1600℃である。
次に焼成工程(P6)で、次にシリコンの含浸された骨材9を焼成し、炭素とシリコンとを反応させ、反応焼結SiCを形成させ、SiCマトリックス4を得ることができる。焼成の温度は1410〜1600℃である。
このような製造方法によって、酸素を含有するSiC繊維1が集合した骨材9と、骨材内部の空間を埋めるSiCマトリックス4とからなるセラミック複合材10であって、SiC繊維1は、炭素を含有するCVD被膜(セラミック被膜)2で覆われ、SiCマトリックス4は、反応焼結SiCである本発明のセラミック複合材10を得ることができる。
本実施の形態では、炭素マトリックス5を形成し、さらにシリコンを含浸したのち焼成しているので、炭素マトリックス5とシリコンとが反応し、反応焼結SiCからなるSiCマトリックス4が得られている。
本実施の形態では、酸素を含有するSiC繊維1の表面に熱分解炭素被膜とSiC被膜とからなる炭素を含有するCVD被膜(セラミック被膜)2が形成されているので、シリコン含浸工程(P3)、焼成工程(P6)でSiC繊維1がシリコンによって劣化させられることが無い。また、SiC繊維1とSiC被膜との間に熱分解炭素被膜を有しているので、SiC繊維1とSiC被膜とが一体化することなく、SiC繊維による繊維強化の効果を充分に発揮することができる。
以下、本発明の実施例及び比較例について説明する。
(実施例)
<骨材形成工程>
SiC繊維1からなる織布を5枚重ね骨材9とする。織布は、酸素を含有するSiC繊維1を2000本束ねたストランドが織られて形成されている。
<CVD工程>
次に上記骨材9をCVD炉に入れ、1100℃の処理温度でメタンを導入し、SiC繊維1の表面に熱分解炭素被膜を形成し、次いで1200℃の処理温度でメタンとトリクロロシランを導入しSiC被膜を形成する。
<シリコン含浸工程>
上記骨材にシリコンを含浸する。シリコンは石英ルツボの中で溶融されており温度は1450℃である。溶融したシリコンは、SiCとの濡れ性が高く、接触角が小さいので速やかに内部に浸透することができる。浸漬時間は10分である。
得られたセラミック複合材10を切断し、断面を観察した。図7は得られたセラミック複合材断面図である。
得られたセラミック複合材10は、酸素を含有するSiC繊維1が集合した骨材と、骨材内部の空間を埋めるSiマトリックス3とからなり、SiC繊維1は、炭素を含有するCVD被膜2で覆われているセラミック複合材であることが確認された。
使用したSiC繊維1の酸素含有量は、0.7%であったが、セラミック被膜2によって金属シリコンと接することが無く、SiC繊維1はシリコンによって浸食することはなかった。
(比較例)
CVD工程が無い以外、実施例と同様の方法でセラミック複合材を作成した。すなわち、セラミック複合材を構成するSiC繊維には、炭素を含有するCVD被膜を有していない。使用したSiC繊維の酸素含有量は、同様に0.7%であった。
得られたセラミック複合材を切断し、断面を観察した。図8は得られたセラミック複合材断面図である。
得られたセラミック複合材は、SiC繊維が集合した骨材と、骨材内部の空間を埋めるSiマトリックスとからなるセラミック複合材であるが、SiC繊維にはCVD被膜はない。
SiC繊維は溶融シリコンと接触し、断面が円形であるSiC繊維の断面形状が変わり、個々のSiC繊維ごとに異なる断面形状になり、シリコンによる浸食が確認された。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、特許請求の範囲及び明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更又は応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
1 SiC繊維
2 CVD被膜(セラミック被膜)
3 Siマトリックス
4 SiCマトリックス
5 炭素マトリックス
7 炭素前駆体
9 骨材
10 セラミック複合材

Claims (16)

  1. セラミック複合材の製造方法であって、
    酸素を含有するSiC繊維を集合させ骨材を形成する骨材形成工程と、
    前記骨材をCVD炉に入れ、前記SiC繊維の表面に炭素を含有するセラミック被膜を形成するCVD工程と、
    前記骨材にシリコンを含浸するシリコン含浸工程と、
    を有するセラミック複合材の製造方法。
  2. 前記セラミック被膜は、前記SiC繊維を覆う熱分解炭素被膜と当該熱分解炭素被膜の外側を覆うSiC被膜とからなる請求項1に記載のセラミック複合材の製造方法。
  3. 前記CVD工程と、前記シリコン含浸工程との間に、
    前記骨材に炭素前駆体を含浸する炭素前駆体含浸工程と、
    前記骨材を熱処理し、前記炭素前駆体を炭素化し炭素マトリックスにする熱処理工程と、
    を更に有する請求項1または2に記載のセラミック複合材の製造方法。
  4. 前記シリコン含浸工程の後に、
    前記骨材を焼成し、前記炭素マトリックスと前記シリコンとを反応させSiC化する焼成工程を更に有する請求項3に記載のセラミック複合材の製造方法。
  5. 前記焼成工程は、処理温度が1410〜1600℃である請求項4に記載のセラミック複合材の製造方法。
  6. 前記炭素前駆体は、ピッチ、コプナ樹脂、フェノール樹脂、カーボン粉末の分散液から選ばれる少なくとも一つの炭素前駆体である請求項3から5のいずれか1項に記載のセラミック複合材の製造方法。
  7. 前記熱分解炭素被膜の厚さが50〜800nmである請求項2に記載のセラミック複合材の製造方法。
  8. 前記SiC被膜の厚さが0.5〜10μmである請求項2に記載のセラミック複合材の製造方法。
  9. 前記SiC繊維は、直径が5〜20μmである請求項1から8のいずれか1項に記載のセラミック複合材の製造方法。
  10. 酸素を含有するSiC繊維が集合した骨材と、前記骨材内部の空間を埋めるSiマトリックスとを含むセラミック複合材であって、
    前記SiC繊維は、炭素を含有するCVD被膜で覆われているセラミック複合材。
  11. 酸素を含有するSiC繊維が集合した骨材と、前記骨材内部の空間を埋めるSiCマトリックスとを含むセラミック複合材であって、
    前記SiC繊維は、炭素を含有するCVD被膜で覆われ、
    前記SiCマトリックスは、反応焼結SiCであるセラミック複合材。
  12. 前記SiCマトリックスは、金属シリコンを含有する請求項11に記載のセラミック複合材。
  13. 前記CVD被膜は、前記SiC繊維を覆う熱分解炭素被膜と当該熱分解炭素被膜の外側を覆うSiC被膜とからなる請求項10から12のいずれか1項に記載のセラミック複合材。
  14. 前記熱分解炭素被膜の厚さが50〜800nmである請求項13に記載のセラミック複合材。
  15. 前記SiC被膜の厚さが0.5〜10μmである請求項13または14に記載のセラミック複合材。
  16. 前記SiC繊維は、直径が5〜20μmである請求項10から15のいずれか1項に記載のセラミック複合材。
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