JP2017111891A - 全固体電池用電極、全固体電池、及びそれらの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】充放電サイクル特性が良好な全固体電池を提供する。【解決手段】潮解性材料を備える全固体電池用電極であって、潮解性材料は板状構造を有し、潮解性材料の真密度に対する全固体電池用電極の密度比が0.1よりも大きく1.0以下であり、例えば、潮解性材料はリチウムバナジウム酸化物であり、リチウムバナジウム酸化物はメタバナジン酸リチウムを含み全固体電池用電極、全固体電池用電極および固体電解質層を備える全固体電池、または、潮解性材料を潮解させた後に、電極合剤を調整する電極合剤調整工程と、電極合剤を100℃以上300℃以下で熱処理し、全固体電池用電極を製造する電極製造工程と、を含む全固体電池用電極の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、全固体電池用電極、全固体電池、及びそれらの製造方法に関する。
固体電解質を用いる全固体型電池の開発が進められている。全固体電池は、可燃性の有機溶媒を含まないため、安全装置を簡略化することができるという利点があり、製造コストや生産性に優れた電池であると認識されている。また、正極及び負極からなる一対の電極と、これら電極に挟まれる固体電解質層とからなる接合構造を直列に積層することが容易であるため、安定でありながら、高容量且つ高出力の電池を製造し得る技術として期待されている。
例えば、特許文献1には、固体電解質層の両側に正極層及び負極層が配置される全固体電池において、前記正極層、又は負極層のいずれかにリチウム含有化合物を含み、前記リチウム含有化合物がVの価数が3≦x≦5のリチウムバナジウム酸化物と潮解性を有するLiVOとを含んでいる全固体電池が開示されている。
WO15/159331
潮解性材料の形状や潮解性材料の真密度に対する電極の密度の比によっては、全固体型電池のサイクル特性を向上できる場合がある。特許文献1には、潮解性材料の形状や潮解性材料の真密度に対する電極の密度の比に関する記載はない。
本発明は、サイクル特性を向上した全固体電池に用いられる全固体電池用電極を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための本発明の特徴は、例えば以下の通りである。
潮解性材料を備える全固体電池用電極であって、潮解性材料は板状構造を有し、潮解性材料の真密度に対する全固体電池用電極の密度比が0.1よりも大きく1.0以下である全固体電池用電極。
本発明によればサイクル特性を向上した全固体電池に用いられる全固体電池用電極を提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本実施形態に係る全固体電池の構成の一例を模式的に示す断面図である。 本実施形態に係る全固体電池用電極の一例を示す断面図である。 実施例及び比較例に係る全固体電池の充放電サイクル試験における容量維持率と電極密度の関係を示す図である。
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
図1に、本実施形態に係る全固体電池の構成の一例を模式的に表す断面図を示す。本実施形態に係る全固体電池1は、固体電解質が電極間のイオンキャリアの伝導を媒介する電池である。また、電極が主として活物質の集合により形成されるバルク型の全固体電池であることが好ましい。
図1において、全固体電池1は、正極層2Aと、負極層2Bと、正極層2Aと負極層2Bとの間に配置する固体電解質層2Cと、を備える。以下では、正極層2Aおよび負極層2Bは、電極層、全固体電池用電極とも称する。
<潮解性材料>
本発明の一実施形態に係る潮解性材料は、リチウムバナジウム酸化物である。リチウムバナジウム酸化物は、固体電解質であり、また正極および負極活物質である。潮解性を有したリチウムバナジウム酸化物を正極または負極層へ板状に充填することにより、電極層内の活物質密度、および活物質間の接触状態を向上できる。その結果、充放電サイクルに伴うLi膨張収縮への追従性が改善され、充放電サイクル特性を向上できる。
また、充放電サイクルにより活物質粒子と活物質粒子間または活物質粒子と固体電解質層2Cとの界面が剥離し、容量低下が生じても、電極層を湿潤雰囲気下にし、再度潮解させた後に過剰な水分を除去することで、剥離した界面を再構築することができる。剥離した界面を再構築することにより、内部抵抗が減少し容量を回復できる。その結果、充放電サイクル特性を向上することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るリチウムバナジウム酸化物は、充放電サイクルを実施する際の実効容量に対応して、バナジウムの価数変化を伴い、その際のバナジウム価数は3≦V≦5の範囲で任意に変化する。バナジウムの価数を変化させることで、より多くのリチウムイオンを挿入脱離することが可能となり、大きな容量を得ることができる。
本発明の一実施形態において、潮解性を有するとは、大気中において常温域(0℃以上100℃以下)で潮解する性質を有していることを意味する。潮解性材料を活物質として全固体電池における電極層の製造に用いることによって、電極層を構成する活物質の粒子間の間隙を低減し、高密度で充満した板状の構造を形成することが可能となる。そして、電極を構成する活物質を板状構造にすることで、活物質間は、単なる点接触ではなく、より広い面で接触するようになっている。なお、水溶性のリチウム遷移金属酸化物でも同様の効果が得られると考えられ、例えば、リチウムモリブデン酸化物、リチウムケイ素酸化物などが挙げられる。これらの材料は単独で用いても良いし、複数用いても良い。
本発明の一実施形態において、板状構造を有するとは、板状の物質が、層状に重ね合わさった構造を意味しており、板状の物質同士が一体化して、薄膜状になったものも含まれる。このような板状構造を有することにより、電極層を構成する活物質の粒子間の間隙を低減し、高密度に充満した電極層形成することが可能となる。その結果、充放電サイクルを向上することが可能となる。
<電極層>
正極層2Aと負極層2Bの少なくともいずれかは、板状構造を有した潮解性リチウムバナジウム酸化物を含む。
電極層において、本発明の一実施形態にかかる潮解性材料の含有量は、含まれる電極材料の粒子径や種類によって異なる。電極材料の粒子径が大きい程、粒子間の空隙が増えると考えられるため、潮解性材料の含有量を多くするとよい。なお、複数の粒子径の電極材料を電極層に用いた場合等は、この限りでない。
本発明の一実施形態に係る潮解性材料の20℃におけるイオン伝導度は、1×10−8S/cm以上であることが好ましく、1×10−6S/cm以上であることがより好ましい。イオン伝導度が1×10−8S/cm以上であれば、潮解性材料間や固体電解質層2Cとの間のイオン伝導性を優位に向上させることができるため、電池における内部抵抗を良好に低減し、より高い放電容量を確保することが可能である。
また、本発明の一実施形態にかかる潮解性材料は、電池反応により発生した電子の伝導性を有する。本発明の一実施形態に係るイオン電導性材料の20℃における電子伝導度は、1×10−8S/cm以上であることが好ましく、1×10−6S/cm以上であることがより好ましい。電子伝導度が1×10−8S/cm以上であれば、電極層の電子伝導性を優位に向上させることができる。その結果、全固体電池における内部抵抗を良好に低減し、より高い放電容量を確保することが可能である。
製造された全固体電池の電極層は通常、水分とは隔離された環境にある。そのため、全固体電池内の潮解性材料は、潮解した状態ではなく、板状構造をした結晶もしくは非結晶として析出して電子伝導性およびイオン伝導性が良好に確保されている。
製造された全固体電池の電極層は、板状構造を有した潮解性材料が緻密に充填されていることで充放電サイクル特性を向上できる。その際の電極層密度は、潮解性材料の真密度に対して、0.1よりも大きく1.0以下であることが好ましく、0.4以上1.0以下であることがより好ましい。電極層密度が真密度に対して0.1以下であると、電極層に占める板状構造の潮解性材料の割合が少なく、電極層内で良好な接触状態を得られないため、充放電サイクル特性が低下する。電極層密度が真密度に対して1.0より大きいと、電極層内での応力が過大になることで、電極材料の割れや、剥離により内部抵抗が増大、およびサイクル特性が低下する。
なお、正極層2A及び負極層2Bは、本発明の一実施形態に係る潮解性材料のほかに、一般的な全固体電池に用いられる固体電解質、または電子伝導性を担保するためにカーボン等の導電剤を含んでもよい。
一般的な全固体電池に使用される固体電解質としては、具体的には、例えば、ペロブスカイト型酸化物、NASICON型酸化物、LISICON型酸化物、ガーネット型酸化物等の酸化物系固体電解質や、硫化物系固体電解質、βアルミナ等が挙げられる。
ペロブスカイト型酸化物としては、例えば、LiaLa1−aTiO等のように表されるLi−La−Ti系ペロブスカイト型酸化物、LiLa1−bTaO等のように表されるLi−La−Ta系ペロブスカイト型酸化物、LiLa1−cNbO等のように表されるLi−La−Nb系ペロブスカイト型酸化物等が挙げられる(前記式中、0<a<1、0<b<1、0<c<1である。)。NASICON型酸化物としては、例えば、Li1+lAlTi2−l(PO等に代表される結晶を主晶とするLi(前記式中、Xは、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、Sb及びSeからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、Yは、Ti、Zr、Ge、In、Ga、Sn及びAlからなる群より選択される少なくとも1種の元素であり、0≦l≦1、m、n、o、p及びqは、任意の正数である。)で表される酸化物等が挙げられる。LISICON型酸化物としては、例えば、LiXO−LiYO(前記式中、Xは、Si、Ge、及びTiから選択される少なくとも1種の元素であり、Yは、P、As及びVから選択される少なくとも1種の元素である。)で表される酸化物等が挙げられる。ガーネット型酸化物としては、例えば、LiLaZr12等に代表されるLi−La−Zr系酸化物等が挙げられる。
硫化物系固体電解質としては、例えば、LiS−P、LiS−SiS、Li3.250.25Ge0.76、Li4−rGe1−r(式中、0≦r≦1である。)、Li11、LiS−SiS−LiPO等が挙げられる。硫化物系固体電解質は、結晶性硫化物、非晶性硫化物のいずれであってもよい。なお、これらの固体電解質は、結晶構造が同等である限り、元素の一部が他の元素に置換されたものでもよく、元素組成比が異なるものでもよい。また、これらの固体電解質は、一種を単独で用いてよく、複数種を用いてもよい。
電極層における潮解性材料の含有量は、電極層内のすべての(固体電解質、導電助剤)の乾燥総重量に対して、10重量部以上100重量部以下であることが好ましい。潮解性材料の乾燥重量を10重量部以上100重量部以下することにより充放電サイクル特性が高く、良好な体積エネルギ密度と高い放電容量とを有する全固体電池を製造することができる。
固体電解質の20℃におけるイオン伝導度は、1×10−6S/cm以上であることが好ましく、1×10−4S/cm以上であることがより好ましい。固体電解質のイオン伝導度が1×10−6S/cm以上であれば、本発明の一実施形態に係るイオン伝導性材料と他の固体電解質を併用することによって、本発明の一実施形態に係るイオン伝導性材料による粒子間の接触性を向上させる効果を得つつ、固体電解質による高いイオン伝導性を電極層に与えることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る全固体電池に用いる活物質としては、正極又は負極のそれぞれについて、一般的な全固体電池に使用される活物質を用いることができる。例えば、全固体電池が一次電池である場合は、リチウムイオンを吸蔵する活物質を電極層に用い、全固体電池が二次電池である場合は、リチウムイオンを可逆的に挿入及び脱離する電気化学的活性を有する活物質を電極層に用いる。
正極層2Aは通常、潮解性材料が活物質として用いられるが、他の活物質を含むこともできる。正極活物質としては、キャリアがリチウムイオンである場合には、例えば、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO)等のオリビン型や、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、二酸化マンガン(III)リチウム(LiMnO)、LiNiCoMnのように表わされる(式中、0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1である。)三元系酸化物等の層状型や、マンガン酸リチウム(LiMn)等のスピネル型や、リン酸バナジウムリチウム(Li(PO)等のポリアニオン型等のリチウム遷移金属化合物を用いることができる。また、キャリアがナトリウムイオンである場合には、例えば、酸化鉄ナトリウム(NaFeO)、コバルト酸ナトリウム(NaCoO)、ニッケル酸ナトリウム(NaNiO)、二酸化マンガン(III)ナトリウム(NaMnO)、リン酸バナジウムナトリウム(Na(PO)、フッ素化リン酸バナジウムナトリウム(Na(PO)等を用いることができる。また、その他、銅シェブレル相化合物(CuMo)、硫化鉄(FeS,FeS)、硫化コバルト(CoS)、硫化ニッケル(NiS,Ni)、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)等のカルコゲン化合物や、TiO、バナジウム、CuO、MnO等の金属酸化物や、CCuFeN等を用いることができる。
負極層2Bも正極層と同様に潮解性材料以外の活物質を含有させることができる。負極活物質としては、キャリアがリチウムイオンである場合には、例えば、チタン酸リチウム(LiTi12)等のリチウム遷移金属酸化物を用いることができる。また、その他、TiSi、LaNiSn等の合金や、ハードカーボン、ソフトカーボン、グラファイト等の炭素材料や、リチウム、インジウム、アルミニウム、スズ、ケイ素等の単体若しくはこれらを含む合金等を用いることができる。
電極層は、導電剤や結着剤を含有してもよい。導電剤としては、例えば、天然黒鉛粒子や、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックや、カーボンファイバや、ニッケル、銅、銀、金、白金等の金属粒子又はこれらの合金粒子等が挙げられる。なお、これらの導電剤は、一種を単独で用いてよく、複数種を用いてもよい。結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PバナジウムDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。結着剤には、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム等の増粘剤を併用してもよい。なお、これらの結着剤や増粘剤は、一種を単独で用いてよく、複数種を用いてもよい。
また、正極層2A及び負極層2Bは、集電体等の基材上に積層されて電極を構成するものとしてもよい。積層される電極層の厚さは、全固体電池1が備える電極層の構成に応じて適宜の調整することができるが、例えば、0.1μm以上1000μm以下とすることが好ましい。正極層2Aに用いられる集電体としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、鉄、ニッケル、チタン、カーボン等の基板、箔等が挙げられる。また、負極層2Bに用いられる集電体としては、例えば、ステンレス鋼、銅、ニッケル、カーボン等の基板、箔等が挙げられる。
<固体電解質層>
固体電解質層2Cは、固体電解質を含む。固体電解質としては、電池反応を担うキャリアであるリチウムイオンの伝導性を有し、一般的な全固体電池に使用される固体電解質を用いることができる。例えば、正極層2A及び負極層2Bに用いられる固体電解質と同様の固体電解質を用いることができる。なお、固体電解質層2Cに用いられる固体電解質は、電極層に用いられる固体電解質と同種であっても、異種であってもよい。
<全固体電池の製造方法>
本実施形態に係る全固体電池の製造方法は、主に、電極層内の潮解性材料を調製する潮解性材料調製工程、電極合剤を調製する電極合剤調製工程、電極合剤を成形、熱処理して電極層を製造する電極製造工程、電極層と固体電解質層とを接合する接合工程、作製した電極を電池筐体に組み込む組込工程を備えている。
潮解性材料調製工程では、原料である金属前駆体を混合した後、この混合物を高温下で、固相で反応させて電極用潮解性材料を調製する。金属前駆体としては、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物、酸化物、窒化物、および炭化物などが挙げられる。これらの前駆体は、それらの融点などの性質により使い分けることができる。
電極合剤調製工程では、潮解性材料を潮解させ、液化させた後、液化した潮解性材料とその他の電極材料とを混合することで電極合剤(正極合剤、負極合剤)を調製する。潮解性材料の潮解は、大気中において常温域で水と反応させればよい。このように潮解性材料と水とを反応させることによって、潮解性固体電解質を実質的に完全に溶解させ、電極材料と混合させることができる。潮解性材料を潮解させることによって、板状構造を形成するのに適した流動性を得ることができる。また、潮解性材料を水に溶解した後、適当な有機溶媒を加えることで、潮解性材料とその他の電極材料との密着性を適宜改善し、密着性の良い電極層を形成することができる。有機溶媒としては、固体電解質や導電剤などの電極材料の種類に応じて、水、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等を用いることができる。
潮解性材料を潮解させた後、溶解している潮解性材料に他の活物質、固体電解質、または導電剤を加え、これらを混合して均質化することによって電極合剤を調製する。混合する潮解性材料の乾燥重量は、電極層内の乾燥総重量に対して、10重量部以上100重量質量部以下とすることが好ましい。また、結着剤を溶媒と共に加えることができる。溶媒としては、導電剤や結着剤の種類に応じて、水、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等を用いることができる。電極合剤を調製するための混合には、例えば、ホモミキサ、ディスパーミキサ、プラネタリーミキサ、自転・公転ミキサ等の高粘度用の混合手段を用いることができる。
電極製造工程では、調製された電極合剤を成形、熱処理して電極層を製造する。熱処理は、空気等の活性ガス雰囲気及び窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気のいずれにおいて行ってもよい。また、使用するガス種は、1種単独であっても、2種以上の組合せであってもよい。電極合剤を熱処理することによって、潮解性材料を溶解している水分もしくは有機溶媒が蒸発し、潮解性材料が板状に析出した緻密な構造を形成することができる。そのため、潮解性材料間の接触性が良好になる。
熱処理における加熱温度は、電極合剤の組成に応じて適宜の温度とすることができるが、好ましくは15℃以上650℃以下であり、より好ましくは100℃以上300℃以下である。潮解性材料を用いた場合、加熱温度が15℃以上であれば、潮解性材料が含有する水分を大気中において良好に蒸発させて乾燥除去することができる。また、加熱温度が650℃以下であれば、潮解性材料とその他の電極材料とが固相反応するのを避けることができるため、イオン伝導性が低い異相の生成、および板状構造の崩壊が防止され、内部抵抗の増大、および充放電サイクル特性の低下を抑止することができる。特に、加熱温度が100℃以上300℃以下であれば、内部抵抗の増大を避けつつ、潮解性固体電解質が含有する水分を十分に排除することで、高充放電サイクル特性を示す電極層を形成することができる。
電極合剤は、成形して電極層とする。成形する形状としては、全固体電池の形態に応じて適宜の形状とすることができ、例えば、矩形板状又は円板状等とすることができる。成形に際しては、例えば、5MPa以上200MPa以下程度の加圧成形を行うことができるが、粒界が生じるため電極合剤の解砕を伴わないことが好ましい。なお、集電体と接合させることにより全固体電池用電極を作製してもよい。集電体と接合させる場合には、電極合剤を集電体上に塗工した後に熱処理に供したり、熱電極と集電体とを融着させることで全固体電池用電極を製造することができる。電極合剤の塗工には、例えば、ロールコーター、バーコーター、ドクターブレード等の湿式塗布手段を用いることができる。
接合工程では、製造された電極層を、電極層の間に固体電解質層2Cが配置するように、対となる他方の電極層と接合する。すなわち、潮解性材料を含む正極層2Aを製造した場合には、この正極層2Aを、正極層2Aと負極層2Bの間に固体電解質層2Cが介在するような配置で、また、潮解性材料を含む負極層2Bを製造した場合には、この負極層2Bを、負極層2Bと正極層2Aとの間に固体電解質層2Cが介在するような配置で、固体電解質層2Cの一面と加圧圧着させて接合する。あるいは、正極層2Aと負極層2Bの両方に潮解性材料を含む場合には、正極層2A及び負極層2Bの間に固体電解質層2Cを挟む配置で、固体電解質層の一面を正極層2Aと、他面を負極層2Bと加圧圧着させて接合する。電極層と固体電解質層2Cが接合された電極接合体には、必要に応じて全固体電池から電力を取り出すための出力端子を接続する。出力端子は、例えば、耐電圧性を有するアルミニウム製等とし、集電体等に溶接させて設ければよい。
組込工程では、製造された電極接合体に絶縁材を介装し、外装体に封入することで全固体電池とする。
このようにして製造される全固体電池1は、電極や活物質の構成を適宜選択することにより、不可逆的に放電を行う全固体一次電池とすることや、可逆的に充放電を行うことが可能な全固体二次電池とすることができる。特に、全固体二次電池は、家庭用又は産業用電気機器や、携帯型情報通信機器や、蓄電システムや、船舶、鉄道、航空機、ハイブリッド自動車、電気自動車等の電源等として有用である。また、全固体電池の構造は解体により目視で確認でき、電極や固体電解質層の組成や構造は、電子顕微鏡や、X線光電子分光法や、誘導結合プラズマ発光分光分析や、蛍光X線分析や、X線回折分析によって確認することができる。
次に、本発明の実施例を示して具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
メタバナジン酸リチウムLiVOを潮解性材料として用いた全固体電池1を製造した。
1.84gの炭酸リチウム(LiCO)、と4.55gの五酸化二バナジウム(V)を乳鉢に投入し、均一になるまで混合した。得られた混合物を、白金るつぼに入れ替え、ボックス型電気炉で熱処理した。熱処理は、大気雰囲気において、10℃/分の昇温速度で650℃まで昇温させた後、650℃で10時間保持する条件とした。熱処理後、混合物を100℃まで冷却することにより潮解性材料であるメタバナジン酸リチウムLiVOを得た。
得られた潮解性材料2.0gを、純水2.0gに溶解し、N−メチルピロリドン3.0gを加えて潮解性材料溶液を調整した。調整した潮解性材料溶液0.8gと導電剤であるケッチェンブラックカーボン材料0.01gを乳鉢中で均一になるまで混合して電極合剤ペーストを調製した。得られた電極合剤を、アルミニウム箔の集電体上に塗工し、100℃、2時間の熱処理に供して溶媒を除去した後、10mmφの円板状に打ち抜くことで正極層2Aを得た。
リチウム箔を、10mmφの円板状に打ち抜くことで負極層2Bを作製した。固体電解質層2CにはPEO系の固体高分子膜を用いた。正極層2A、固体電解質層2C、負極層2Bの順に積層し電極接合体を作製した。電極接合体の正極側及び負極側の両末端を絶縁材料からなるセパレータで挟み、その外側からSUS製の外装体で挟んで、15N・mのトルクでかしめて実施例1に係る全固体電池を製造した。
電極合剤ペーストに用いるケッチェンブラックカーボン材料を添加しなかったことを除いて実施例1と同様の手順で製造した。
電極合剤ペーストに用いるケッチェンブラックカーボン材料の量を0.005gに変えたことを除いて実施例1と同様の手順で製造した。
電極合剤ペーストに用いるケッチェンブラックカーボン材料の量を0.0075gに変えたことを除いて実施例1と同様の手順で製造した。
電極合剤ペーストに用いるケッチェンブラックカーボン材料の量を0.015gに変えたことを除いて実施例1と同様の手順で製造した。
電極合剤ペーストに用いるケッチェンブラックカーボン材料の量を0.02gに変えたことを除いて実施例1と同様の手順で製造した。
比較例1
比較例1としては、活物質粒子としてLiCoO2を用い、その粒子間に潮解性材料であるLiVOを用いた全固体電池を製造した。
具体的には、電極合剤ペーストにLiCoO2を0.6g加えたことを除いて、実施例1と同様の手順で製造した。
比較例2
電極合剤ペーストに用いるケッチェンブラックカーボン材料の量を0.03gに変えたことを除いて実施例1と同様の手順で製造した。
<充放電サイクル試験方法>
実施例1〜6、比較例1と2に係る全固体電池について、充放電サイクル試験における容量維持率を評価した。製造した実施例1〜6、比較例2に係る電池の容量維持率は、25℃で、はじめに定電流で150 mAhg−1または終電圧0Vまで放電し、開回路状態で1時間保持した後、定電流で150 mAhg−1または終電圧4.25Vまで充電する充放電サイクルを繰り返し、初回の充電容量に対する50サイクル目の充電容量の割合を容量維持率とした。比較例1に係る電池の容量維持率は、はじめに定電流で150 mAhg−1または終電圧4.25Vまで充電し、開回路状態で1時間保持した後、定電流で150 mAhg−1または終電圧3.0Vまで放電する充放電サイクルを繰り返し、初回の放電容量に対する50サイクル目の放電容量の割合を容量維持率とした。
Figure 2017111891
図2に、実施例及び比較例に係る全固体電池の電極層の断面図を示す。図2aは実施例1から6の代表的な断面図を示しており、図2bは、比較例2の断面図を示している。図2aにおいて、電極層が板状構造を有した潮解性材料により緻密に形成されている形態が観察できた。図2bにおいて、LiCoO粒子の隙間に潮解性材料が充填されている形態が観察できた。このことから、実施例1から6は、比較例2に比べ、電極層に占める潮解性材料の割合が高く、板状構造を有した潮解性材料で電極層が緻密に形成されていることがわかった。
表1に、実施例及び比較例に係る全固体電池電極の合剤層密度と充放電試験を50サイクル実施後の容量維持率の値、図3に、50サイクル後の容量維持率と潮解性材料の真密度に対する合材層密度の比の関係を示す。図3に示されるように、実施例1から6の容量維持率は0.9から1.0とほぼ初回の容量を維持しているのに対し、合剤層密度/真密度比が0.1である比較例1では0.6、LiCoO2粒子を加えた比較例2では、0.65と著しく低いことがわかった。この結果から、板状構造を有する潮解性材料を電極層に用い、合剤層密度/真密度比が0.1よりも大きく1.0以下であることにより、充放電サイクル特性を向上できることが示された。
1…全固体電池、2A…正極層、2B…負極層、2C…固体電解質層

Claims (6)

  1. 潮解性材料を備える全固体電池用電極であって、
    前記潮解性材料は板状構造を有し、
    前記潮解性材料の真密度に対する前記全固体電池用電極の密度の比が0.1よりも大きく1.0以下である全固体電池用電極。
  2. 請求項1に記載の全固体電池用電極であって、
    前記潮解性材料はリチウムバナジウム酸化物である全固体電池用電極。
  3. 請求項2に記載の全固体電池用電極であって、
    前記リチウムバナジウム酸化物はメタバナジン酸リチウムを含む全固体電池用電極。
  4. 請求項1に記載の全固体電池用電極であって、
    前記潮解性材料の真密度に対する前記全固体電池用電極の密度の比が0.4以上1.0以下である全固体電池用電極。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の全固体電池用電極および固体電解質層を備える全固体電池。
  6. 潮解性材料を備える全固体電池用電極の製造方法であって、
    前記潮解性材料は板状構造であり、
    前記潮解性材料の真密度に対する前記全固体電池用電極の密度比が0.1よりも大きく1.0以下であり、
    前記潮解性材料を潮解させた後に、電極合剤を調整する電極合剤調整工程と、
    前記電極合剤を100℃以上300℃以下で熱処理し、前記全固体電池用電極を製造する電極製造工程と、を含む全固体電池用電極の製造方法。
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