JP2017109980A - 5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物、製造法、及びその用途 - Google Patents

5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物、製造法、及びその用途 Download PDF

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繁明 沼田
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繁明 沼田
山田 暁彦
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暁彦 山田
修司 横山
Shuji Yokoyama
修司 横山
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Abstract

【課題】アントラセン骨格、ナフタレン骨格、チオキサントン骨格ではない、新しい骨格構造の光重合増感剤を提供すること。【解決手段】下記一般式(1)で表される1,4−ナフトキノンの光二量体構造を有する5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物。(一般式(1)において、Aは炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から11のアシル基又は炭素数2から11の炭酸エステル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物、その製造法及び光重合増感剤としての用途に関する。
紫外線や可視光線等の活性エネルギー線により重合する光硬化性樹脂は、硬化が速く、熱硬化性樹脂に比べ有機溶剤の使用量を大幅に減らすことができることから、作業環境の改善、環境負荷を低減することができるという点で優れている。従来の光硬化性樹脂はそれ自体では重合開始機能が乏しく、硬化させるには通常、光重合開始剤を用いる必要がある。光重合開始剤として、ヒドロキシアセトフェノンやベンゾフェノン等のアルキルフェノン系重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤又はオニウム塩などが用いられる(特許文献1、2、3)。これら光重合開始剤の内でヒドロキシアセトフェノンやオニウム塩系開始剤を光重合開始剤として用いる場合、該光重合開始剤の光吸収は225nm〜350nm付近にあり、350nm以上には吸収を持たないため、350nm以上の長波長のランプを光源とした場合、光硬化反応が進行しにくいなどの問題があり、光重合増感剤を添加するのが一般的である。光重合増感剤としては、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、チオキサントン化合物等の多環芳香族化合物が知られている。特にアントラセン化合物が用いられることが多い(特許文献4)。
このアントラセン系の光重合増感剤としては、9,10−ジアルコキシアントラセン化合物が用いられている。例えば、光重合における光重合開始剤であるヨードニウム塩に対し、光重合増感剤として9,10−ジブトキシアントラセンや9,10−ジエトキシアントラセンなどの9,10−ジアルコキシアントラセン化合物が使用されている(特許文献5、6、7、8)。また、近年、9,10−ビスオクタノイルオキシアントラセンも光重合増感剤として開発が進んでいる(特許文献9)。
しかし、なかなか新しい骨格を持った光重合増感剤が提案されていないのも実情である。これは、光重合増感剤が単に所望の波長の光で励起するという物性のみを有していればよいのではないということが原因と考えられる。すなわち、光重合増感剤がその効果を発揮するためには、主たる性質として、所望の光により励起された後に、その励起エネルギーを対象となる光重合開始剤に受け渡す能力が必要である。そのためには、光重合増感剤と光重合開始剤の間で光エネルギーをやり取りできる電子構造を持っていることが必要である。そのため、なかなか新しい骨格を持つ光重合増感剤が提案されないのである。
一方、光重合開始剤との相性や重合性化合物との相性、更には重合性化合物の硬化物の物性などの向上を目指して、新しい骨格の光重合増感剤もまた、変わることなく求められている。特に、光重合増感剤が光硬化時あるいは硬化物の保存中にブルーミングにより、表面ににじみ出し、硬化物の粉吹きや着色の問題を引き起こすことが知られている。例えば、フィルムとフィルムを接着する光接着剤の一成分としてこれらの光重合増感剤を使用する場合、光重合増感剤が上部に被せたフィルムに移行する(マイグレーション)ことがあり、上部フィルム上に光重合増感剤の粉吹きや着色の問題を引き起こす場合がある。この問題を解決するため、耐マイグレーション性の高い光重合増感剤が求められている。
特開平06−345614号公報 特開平07−062010号公報 特開平05−249606号公報 特開平10−195117号公報 特開2002−302507号公報 特開平11−279212号公報 特開2000−344704号公報 WO2007/126066号公報 特開平2015−127381号公報
本発明の課題は、これまでの光重合増感剤の主骨格であるアントラセン骨格、ナフタレン骨格、チオキサントン骨格ではない、新しい骨格構造の光重合増感剤を提供することにある。
本発明者は、芳香族化合物の構造と光吸収特性について鋭意検討した結果、これまで光重合増感剤としては全く知られていない1,4−ナフトキノンの光二量体構造を有する5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物が光カチオン重合及び光ラジカル重合において光重合増感剤として作用すること、又当該化合物を光重合増感剤として含有する光重合性組成物及びその硬化物において、当該光重合増感剤の耐マイグレーション性が高いことを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下に記載の骨子を要旨とするものである。
上記目的を達成するために、第1発明では、一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を提供する。
一般式(1)において、Aは炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から11のアシル基又は炭素数2から11の炭酸エステル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
第2発明では、一般式(2)で表される5,6,11,12−テトラアルコキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を提供する。
一般式(2)において、Rは炭素数1から10のアルキル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
第3発明では、一般式(3)で表される5,6,11,12−テトラアシルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を提供する。
一般式(3)において、Rは炭素数1から10のアルキル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
第4発明では、一般式(4)で表される5,6,11,12−テトラ(アルコキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を提供する。
一般式(4)において、Rは炭素数1から10のアルキル基又はアリル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
第5発明では、一般式(5)で表わされる5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物をエーテル化剤、アシル化剤又は炭酸エステル化剤と反応させることによる、一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物の製造方法を提供する。
一般式(5)において、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
一般式(1)において、Aは炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から11のアシル基又は炭素数2から11の炭酸エステル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
第6発明では、一般式(6)で表わされる5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物をエーテル化剤、アシル化剤又は炭酸エステル化剤と反応させることによる、一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物の製造方法を提供する。
一般式(6)において、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
一般式(1)において、Aは炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から11のアシル基又は炭素数2から11の炭酸エステル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
第7発明では、一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物からなる光重合増感剤を提供する。
一般式(1)において、Aは炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から11のアシル基又は炭素数2から11の炭酸エステル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
第8発明では、第7発明に記載の光重合増感剤と、光重合開始剤及び重合性化合物を含有する光重合性組成物を提供する。
第9発明では、第8発明に記載の光重合性組成物に、波長300nmから400nmの範囲の光を含むエネルギー線を照射することにより硬化する、硬化方法を提供する。
本明細書の記載において、基本骨格であるジベンゾビフェニレン骨格の炭素原子の位置の番号は下記の通りである。
また、ビフェニレン骨格の辺の記号は下記の通りである。
また、炭素数2から11のアシル基及び炭素数2から11の炭酸エステル基という文言の炭素数には、カルボニル炭素を含む。
本発明の5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物は新規化合物であり、優れた光重合増感効果を示す化合物である。そして、当該化合物は1,4−ナフトキノンの光二量体という、これまでの光重合増感剤とは全く異なる構造を有する光重合増感剤である。
以下、本発明を詳細に記述する。
(化合物)
まず、一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物について説明する。
一般式(1)において、Aは炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から11のアシル基又は炭素数2から11の炭酸エステル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
一般式(1)において、Aがアルキル基の場合は、一般式(2)で表される5,6,11,12−テトラアルコキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物となる。
一般式(2)において、Rは炭素数1から10のアルキル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
また、一般式(1)において、Aがアシル基である場合は、一般式(3)で表される、5,6,11,12−テトラアシルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を提供する。
一般式(3)において、Rは炭素数1から10のアルキル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
また、一般式(1)において、Aが炭酸エステル基である場合は、一般式(4)で表される5,6,11,12−テトラ(アルコキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物となる。
一般式(4)において、Rは炭素数1から10のアルキル基又はアリル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
次に、一般式(2)〜(4)の化合物についてその詳細を説明する。まず一般式(2)で表される5,6,11,12−テトラアルコキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物について説明する。
一般式(2)において、Rで表される炭素数1から10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基又はデシル基等が挙げられ、Xで表される炭素数1〜8のアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる、炭素数1〜8のアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基,n−ブトキシ基等が挙げられる。
一般式(2)で表される5,6,11,12−テトラアルコキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物の具体例としては次の化合物が挙げられる。
5,6,11,12−テトラメトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(n−プロポキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(n−ブトキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(n−ペンチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(n−ヘキシルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(n−ヘプチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(n−オクチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキシルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラメトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(n−プロポキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(n−ブトキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(n−ペンチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(n−ヘキシルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(n−ヘプチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(n−オクチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキシルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラメトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(n−プロポキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(n−ブトキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(n−ペンチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(n−ヘキシルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(n−ヘプチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(n−オクチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキシルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラメトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ(n−プロポキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ(n−ブトキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ(n−ペンチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ(n−ヘキシルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ(n−ヘプチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ(n−オクチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキシルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラメトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ(n−プロポキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ(n−ブトキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ(n−ペンチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ(n−ヘキシルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ(n−ヘプチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ(n−オクチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキシルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン等である。
上記に挙げた化合物の中でも、製造の容易さから5,6,11,12−テトラメトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(n−プロポキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(n−ブトキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(n−ペンチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(n−ヘキシルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(n−ヘプチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(n−オクチルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキシルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレンが好ましく、特に、光重合増感剤としての性能の高さと製造の容易さから、5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(n−ブトキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレンが好ましい。
次に、一般式(3)で表される5,6,11,12−テトラアシルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物について説明する。
一般式(3)において、Rで表される炭素数1から10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。Xで表される炭素数1〜8のアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜8のアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられる。
一般式(3)で表される5,6,11,12−テトラアシルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物の具体例としては次の化合物が挙げられる。
5,6,11,12−テトラアセチルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラプロピポニルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラブチリルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラペンタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラヘキサノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラヘプタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラオクタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラノナノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラデサノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラアセチルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラプロピポニルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラブチリルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラペンタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラヘキサノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラヘプタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラオクタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラノナノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラデサノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラアセチルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラプロピポニルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラブチリルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラペンタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラヘキサノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラヘプタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラオクタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラノナノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラデサノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラアセチルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラプロピポニルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラブチリルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラペンタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラヘキサノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラヘプタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラオクタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラノナノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラデサノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラアセチルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラプロピポニルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラブチリルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラペンタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラヘキサノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラヘプタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラオクタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラノナノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラデサノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン等である。
上記に挙げた化合物の中でも、製造の容易さから5,6,11,12−テトラアセチルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラプロピポニルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラブチリルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラペンタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラヘキサノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラヘプタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラオクタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラノナノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラデサノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンが好ましく、特に、光重合増感剤としての性能の高さと製造の容易さから、5,6,11,12−テトラブチリルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンが好ましい。
次に、一般式(4)で表される5,6,11,12−テトラ(アルコキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物について説明する。
一般式(4)において、Rで表される炭素数1から10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、アリル基としてはアリル基又はメタリル基が挙げられる。Xで表される炭素数1〜8のアルキル基としては、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、炭素数1〜8のアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられる。
一般式(4)で表される5,6,11,12−テトラ(アルコキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物の具体例としては次の化合物が挙げられる。
5,6,11,12−(テトラメトキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−(テトラエトキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−プロポキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−ブトキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(i−ブトキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−ペンチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−ヘキシルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−ヘプチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−オクチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(アリルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(メタリルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−(テトラメトキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−(テトラエトキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ[(n−プロポキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ[(n−ブトキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ[(i−ブトキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ[(n−ペンチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ[(n−ヘキシルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ[(n−ヘプチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−オクチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ[(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(アリルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(メタリルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−(テトラメトキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−(テトラエトキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ[(n−プロポキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ[(n−ブトキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ[(i−ブトキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ[(n−ペンチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ[(n−ヘキシルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ[(n−ヘプチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−オクチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ[(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(アリルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジメチル−5,6,11,12−テトラ(メタリルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−(テトラメトキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−(テトラエトキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ[(n−プロポキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ[(n−ブトキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ[(i−ブトキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ[(n−ペンチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ[(n−ヘキシルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ[(n−ヘプチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−オクチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ[(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ(アリルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラ(メタリルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−(テトラメトキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−(テトラエトキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ[(n−プロポキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ[(n−ブトキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ[(i−ブトキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ[(n−ペンチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ[(n−ヘキシルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ[(n−ヘプチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−オクチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ[(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ(アリルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,10−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラ(メタリルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン等である。
上記に挙げた化合物の中でも、製造の容易さから5,6,11,12−(テトラメトキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−(テトラエトキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−プロポキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−ブトキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(i−ブトキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−ペンチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−ヘキシルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−ヘプチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(n−オクチルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ[(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルオキシ]ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(アリルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン、5,6,11,12−テトラ(メタリルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレンが好ましく、特に、光重合増感剤としての性能の高さと製造の容易さから、5,6,11,12−テトラエトキシカルボニルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンが好ましい。
(製造方法)
次に、上記一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物の製造方法について説明する。本発明の5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を製造する方法としては、一般式(5)で表される5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物から出発する方法と一般式(6)で表される5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物から出発する方法の二通りがある。
(製造ルートその1)
まず第一の方法では、下記反応式(1−1)に従って、一般式(5)で表される5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物とエーテル化剤、アシル化剤又は炭酸エステル化剤の何れかからなる反応試剤を塩基性化合物の存在下に反応させることにより、一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を得ることができる。
反応式(1−1)において、Aは炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から11のアシル基又は炭素数2から11の炭酸エステル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
反応式(1−1)で用いられる、一般式(5)で表される5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物は、下記反応式(3)に示したように、1,4−ナフトキノン化合物を溶媒中光照射し、二量化させることによって製造することができる。
反応式(3)において、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
反応は、1,4−ナフトキノン化合物を溶媒、例えばアセトニトリルなどに溶解し、窒素雰囲気下、紫外光、例えば300nmから500nmの光を照射することにより行うことができる。溶媒を選ぶことにより、生成物である5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物が反応とともに析出してくる。
当該反応は、いわゆる[2+2]光環化反応であり、ナフトキノン化合物の2,3位の二重結合が光で励起され、競争的に付加二量化反応を起こし、シクロブタン環を生成する。当該反応は熱反応としては禁制であり、熱がかかるとトリフタロイルベンゼンを生成する。よって、当該反応は発生する反応熱を除去しながら行う。
反応式(3)で用いられる原料の1,4−ナフトキノン化合物としては、1,4−ナフトキノン、5−メチル−1,4−ナフトキノン、6−メチル−1,4−ナフトキノン、5−メチル−1,4−ナフトキノン、5−メトキシ−1,4−ナフトキノン、5−エトキシ−1,4−ナフトキノンなどが挙げられる。
反応式(3)で得られる一般式(5)の5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物としては、5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,11−ジメチル−5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,11−ジメトキシ−5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,11−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン等が挙げられる。
次に、上記反応で得られた一般式(5)の5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物から、上記一般式(2)で表される5,6,11,12−テトラアルコキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物の製造方法について説明する。
一般式(2)で表される5,6,11,12−テトラアルコキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物は、反応式(1−2)に従って、5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物とエーテル化剤を塩基性化合物の存在下に反応させることにより得ることができる。
反応式(1−2)において、Rは炭素数1から10のアルキル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
反応式(1−2)において用いられるエーテル化剤としては、好適にはハロゲン化アルキル化合物又はジアルキル硫酸が使用される。ハロゲン化アルキル化合物としては、例えば、塩化メチル、塩化エチル、塩化n−プロピル、塩化n−ブチル、塩化i−ブチル、塩化n−アミル、臭化メチル、臭化エチル、臭化n−プロピル、臭化n−ブチル、臭化i−ブチル、臭化n−ペンチル、臭化n−ヘキシル、臭化n−オクチル、臭化−2−エチルヘキシル等が挙げられる。また、ジアルキル硫酸としてはジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジプロピル硫酸等が挙げられる。
エーテル化剤の使用量は、5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物に対して、通常4.0モル倍以上、6.0モル倍以下、好ましくは4.2モル倍以上、5.5モル倍以下である。エーテル化剤の使用量が4.0モル倍未満の場合は、未反応の5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物が増加し、6.0モル倍を超えて添加しても効果の増大は見られず、逆に生成した5,6,11,12−テトラアルコキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物の溶媒に対する溶解度が高くなり、単離収率が低下する。
使用する塩基性化合物としては、水酸化アルカリ金属、水酸化アルカリ土類金属、炭酸アルカリ金属、一級アミン、二級アミン、三級アミン及びピリジン類が挙げられる。
水酸化アルカリ金属としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が上げられる。水酸化アルカリ土類金属としては水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。炭酸アルカリ金属としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン等が挙げられ、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン等が挙げられ、三級アミンとしてはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等が挙げられ、ピリジン類としては、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ルチジン等が挙げられる。
塩基性化合物の添加量は、添加するエーテル化剤と凡そ等モルが望ましい。
使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族系溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンのようなエーテル系溶媒が好適に用いられる。
反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは室温〜80℃である。反応温度が0℃未満の場合は、反応速度が遅すぎて反応に時間が掛かかり、150℃より高い場合は、副反応が起きて生成物の純度が低下する。反応時間は、反応温度にもよるが、通常0.5〜20時間である。通常、反応は大気圧下で行い、反応容器内部はアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。
反応終了後、反応混合物をメタノール又はヘキサン等の貧溶媒に添加し、濃縮して析出した結晶をろ過・乾燥することにより、さらに必要に応じて再結晶することにより、純度良く目的物を得ることができる。
つぎに、一般式(3)で表される5,6,11,12−テトラアシルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物の製造方法について説明する。
一般式(3)で表される5,6,11,12−テトラアシルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物は、反応式(1−3)に従って、5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物とアシル化剤を塩基性化合物の存在下に反応させることにより得ることができる。
反応式(1−3)において、Rは炭素数1から10のアルキル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
反応式(1−3)で原料として用いられる5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物は、反応式(1−2)で用いられたものと同じである。
反応式(1−3)において使用するアシル化剤としては、ハロゲン化アシル化合物又は有機酸無水物が用いられる。
ハロゲン化アシル化合物としては塩化アセチル、塩化プロピオニル、塩化ブチリル、塩化ペンタノイル、塩化ヘキサノイル、塩化ヘプタノイル、塩化オクタノイル、塩化2−エチルヘキサノイル、塩化ノナノイル、塩化デサノイル等が挙げられる。有機酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等が挙げられる。
アシル化剤の使用量は、5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物に対して、通常4モル倍以上、20モル倍以下、好ましくは5モル倍以上、15モル倍以下である。アシル化剤の使用量が4モル倍未満の場合は、未反応の5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物が増加し、20モル倍を超えて添加しても効果の増大は見られず、逆に生成した5,6,11,12−テトラアシルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物の溶媒に対する溶解度が高くなり、単離収率が低下する。
使用する塩基性化合物としては、水酸化アルカリ金属、水酸化アルカリ土類金属、炭酸アルカリ金属、一級アミン、二級アミン、三級アミン及びピリジン類が挙げられる。
水酸化アルカリ金属としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が上げられる。水酸化アルカリ土類金属としては水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。炭酸アルカリ金属としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン等が挙げられ、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン等が挙げられ、三級アミンとしてはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等が挙げられ、ピリジン類としては、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ルチジン等が挙げられる。
塩基性化合物の添加量は、添加するアシル化剤に対して0.8モル倍以上1.3モル倍以下が好ましい。
使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族系溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンのようなエーテル系溶媒が好適に用いられる。
反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは室温〜80℃である。反応温度が0℃未満の場合は、反応速度が遅すぎて反応に時間が掛かかり、150℃より高い場合は、副反応が起きて生成物の純度が低下する。反応時間は、反応温度にもよるが、通常0.5〜20時間である。通常、反応は大気圧下で行い、反応容器内部はアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。
反応終了後、反応混合物をメタノール又はヘキサン等の貧溶媒に添加し、濃縮して析出した結晶をろ過・乾燥することにより、さらに必要に応じて再結晶することにより、純度良く目的物を得ることができる。
つぎに、一般式(4)で表される5,6,11,12−テトラ(アルコキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物の製造方法について説明する。
一般式(4)で表される5,6,11,12−テトラ(アルコキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物は、反応式(1−4)に従って、5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物と炭酸エステル化剤を塩基性化合物の存在下に反応させることにより得ることができる。
反応式(1−4)において、Rは炭素数1から10のアルキル基又はアリル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
反応式(1−4)で原料として用いられる5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物は、反応式(1−2)で用いられたものと同じである。
反応式(1−4)において用いる炭酸エステル化剤としては、ハロゲン化炭酸エステルが挙げられる。すなわち、塩化炭酸メチル、塩化炭酸エチル、塩化炭酸n−プロピル、塩化炭酸i−プロピル、塩化炭酸n−プロピル、塩化炭酸i−ブチル、塩化炭酸ヘキシル、塩化炭酸オクチル、塩化炭酸2-エチルヘキシル、塩化炭酸アリル等である。
炭酸エステル化剤の使用量は、5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物に対して、通常4.0モル倍以上、6.0モル倍以下、好ましくは4.2モル倍以上、5.5モル倍以下である。炭酸エステル化剤の使用量が4.0モル倍未満の場合は、未反応の5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物が増加し、6.0モル倍を超えて添加しても効果の増大は見られず、逆に生成した5,6,11,12−テトラアシルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物の溶媒に対する溶解度が高くなり、単離収率が低下する。
使用する塩基性化合物としては、水酸化アルカリ金属、水酸化アルカリ土類金属、炭酸アルカリ金属、一級アミン、二級アミン、三級アミン及びピリジン類が挙げられる。
水酸化アルカリ金属としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が上げられる。水酸化アルカリ土類金属としては水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。炭酸アルカリ金属としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン等が挙げられ、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン等が挙げられ、三級アミンとしてはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等が挙げられ、ピリジン類としては、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、ルチジン等が挙げられる。
塩基性化合物の添加量は、添加するアシル化剤に対して0.8モル倍以上1.3モル倍以下が好ましい。
使用する溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族系溶媒、塩化メチレン、ジクロロエタン、ジクロロエチレンのようなハロゲン化炭素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンのようなエーテル系溶媒が好適に用いられる。
反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは室温〜80℃である。反応温度が0℃未満の場合は、反応速度が遅すぎて反応に時間が掛かかり、150℃より高い場合は、副反応が起きて生成物の純度が低下する。反応時間は、反応温度にもよるが、通常0.5〜20時間である。通常、反応は大気圧下で行い、反応容器内部はアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。
反応終了後、反応混合物をメタノール又はヘキサン等の貧溶媒に添加し、濃縮して析出した結晶をろ過・乾燥することにより、さらに必要に応じて再結晶することにより、純度良く目的物を得ることができる。
(製造ルートその2)
次に、一般式(6)で表される5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を出発原料として製造する方法について説明する。
5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物は、下記反応式(2−1)に従って、一般式(6)で表される5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物とエーテル化剤、アシル化剤又は炭酸エステル化剤の何れかからなる反応試剤を塩基性化合物の存在下に反応させることによって得ることができる。
反応式(2−1)において、Aは炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から11のアシル基又は炭素数2から11の炭酸エステル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
反応式(2−1)で用いられる、一般式(6)で表される5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物は、一般式(5)で示される5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を塩基存在下加熱してエノール化する反応(7)により得ることができる。
反応式(4)において、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
当該エノール化反応は、通常のエノール化反応条件で進行する。例えば、5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物をN,N−ジメチルアセトアミドなどの溶媒に溶かし、トリエチルアミンなどの塩基触媒を添加し、加熱撹拌することにより収率よくエノール化することができ、生成したエノール体はスラリー状態で析出しており、濾過するだけで単離できる。
反応式(4)で得られた5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物としては、5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、2,8−ジメチル−5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,11−ジメチル−5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,11−ジヒドロキシ−5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン、1,11−ジエトキシ−5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン等が挙げられる。
当該5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を用いて、一般式(2)で表される5,6,11,12−テトラアルコキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を製造する方法としては、下記反応式(2−2)に従って、5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物とエーテル化剤を塩基性化合物の存在下に反応させることにより得ることができる。
反応式(2−2)において、Rは炭素数1から10のアルキル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
反応式(2−2)において用いられるエーテル化剤及びその使用量は、反応式(1−2)において用いられるエーテル化剤及びその使用量と同様である。
また、使用する塩基性化合物及びその使用量も、反応式(1−2)において用いられる塩基性化合物及びその使用量と同様である。更に、使用する溶媒、反応温度、反応時間、反応雰囲気、そして反応後の処理方法も反応式(1−2)と同様である。
次に、5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を用いて、一般式(3)で表される5,6,11,12−テトラアシルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を製造する方法であるが、下記反応式(2−3)に従って、5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物とアシル化剤を塩基性化合物の存在下に反応させることにより得ることができる。
反応式(2−3)において、Rは炭素数1から10のアルキル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
反応式(2−3)において用いられるアシル化剤及びその使用量は、反応式(1−3)において用いられるアシル化剤及びその使用量と同様である。
また、使用する塩基性化合物及びその使用量も、反応式(1−3)において用いられる塩基性化合物及びその使用量と同様である。更に、使用する溶媒、反応温度、反応時間、反応雰囲気、そして反応後の処理方法も反応式(1−3)と同様である。
次に、5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を用いて、一般式(4)で表される5,6,11,12−テトラ(アルコキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を製造する方法であるが、下記反応式(2−4)に従って、5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物と炭酸エステル化剤を塩基性化合物の存在下に反応させることにより得ることができる。
反応式(2−4)において、Rは炭素数1から10のアルキル基又はアリル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
反応式(2−4)において用いられる炭酸エステル化剤及びその使用量は、反応式(1−4)において用いられる炭酸エステル化剤及びその使用量と同様である。
また、使用する塩基性化合物及びその使用量も、反応式(1−4)において用いられる塩基性化合物及びその使用量と同様である。更に、使用する溶媒、反応温度、反応時間、反応雰囲気、そして反応後の処理方法も反応式(1−4)と同様である。
(光重合増感剤)
このようにして得られた本発明の一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物は、光カチオン重合性化合物や光ラジカル重合性化合物を光重合開始剤存在下に重合させる際に、光カチオン重合増感剤又は光ラジカル重合増感剤として用いることができる。
一般式(1)において、Aは炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から11のアシル基又は炭素数2から11の炭酸エステル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。
また、本発明の一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を含有する光重合増感剤は、5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を有効成分とするものであり、その全量を、5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物とするもののほか、本発明の効果を損なわない限り、5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物以外の光重合増感剤等を含んでもよい。
このような5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物以外の光重合増感剤としては、チオキサントン化合物(例えば2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン)、ナフタレン化合物(例えば1,4−ジエトキシナフタレン、1,4−ビス(n−オクチルオキシ)−ナフタレン、1,4−ビス(置換オキシ)ナフタレン、4−メトキシ−1−ナフトール)、アントラセン化合物(例えば,9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン)、アミン化合物(例えばジエチルアミノ安息香酸メチル)等が挙げられる。
5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物に対する5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物以外の光重合増感剤の添加比率は、特に限定されないが、5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物に対して0.1重量倍以上10重量倍未満である。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、オニウム塩、ベンジルメチルケタール系、α−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤等が好ましい。オニウム塩としては通常ヨードニウム塩またはスルホニウム塩が用いられる。ヨードニウム塩としては4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサメトキシアンチモネート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタメトキシフェニルボレート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート等が挙げられ、例えばビー・エー・エス・エフ社製イルガキュア250(イルガキュアはビー・エー・エス・エフ社の登録商標)、ローディア社製ロードシル2074(ロードシルはローディア社の登録商標)、サンアプロ社製のIK−1等を用いることができる。一方、スルホニウム塩としてはS,S,S’,S’−テトラフェニル−S,S’−(4、4’−チオジフェニル)ジスルホニウムビスヘキサメトキシフォスフェート、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサメトキシフォスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサメトキシフォスフェート等が挙げられ、例えばダイセル社製CPI−100P,CPI101P,CPI−200K,ビー・エー・エス社製イルガキュア270、ダウ・ケミカル社製UVI6992等を用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で用いても2種以上併用しても構わない。
また、ベンジルメチルケタール系、α−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤等のラジカル重合開始剤が挙げられる。
具体的な化合物としては、ベンジルメチルケタール系ラジカル重合開始剤としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」ビーエーエスエフ社製)等が挙げられ、α−ヒドロキシアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤としては2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名「ダロキュア1173」ビーエーエスエフ社製)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「イルガキュア184」ビーエーエスエフ社製)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名「イルガキュア2959」ビーエーエスエフ社製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−1−オン(商品名「イルガキュア127」ビーエーエスエフ社製)が挙げられる。
特に、ベンジルメチルケタール系ラジカル重合開始剤である2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名「イルガキュア651」ビーエーエスエフ社製)、α−ヒドロキシアルキルフェノン系ラジカル重合開始剤である2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名「ダロキュア1173」ビーエーエスエフ社製)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名「イルガキュア184」ビーエーエスエフ社製)が好ましい。
また、アセトフェノン系ラジカル重合開始剤であるアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−エトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−メトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−イソプロポキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−イソブトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル系ラジカル重合開始剤であるベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、アントラキノン系ラジカル重合開始剤である2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−フェノキシアントラキノン、2−(フェニルチオ)アントラキノン、2−(ヒドロキシエチルチオ)アントラキノン等も用いることができる。
本発明の一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を含有する光重合増感剤の光重合開始剤に対する使用量は、特に限定されないが、光重合開始剤に対して通常5重量%以上、100重量%以下の範囲、好ましくは10重量%以上、60重量%以下の範囲である。光重合増感剤の使用量が5重量%未満では光重合性化合物を光重合させるのに時間がかかりすぎてしまい、一方、100重量%を超えて使用しても添加に見合う効果は得られない。
本発明の一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を含有する光重合増感剤と光重合開始剤はあらかじめ混合して、光重合開始剤組成物として用いてもよく、別々に光ラジカル重合性化合物又は光カチオン重合性化合物に添加され、光ラジカル重合性化合物又は光カチオン重合性化合物中で、結果として光重合開始剤組成物を形成してもよい。
(光重合性組成物)
さらに該光重合開始剤組成物と光重合性化合物を配合することにより、光重合性組成物を調製することができる。本発明の光重合性組成物は、本発明の一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を含有する光重合増感剤と光重合開始剤を含有する光重合開始剤組成物と、光ラジカル重合性化合物又は光カチオン重合性化合物とを含有する組成物である。
光重合性化合物としては、光ラジカル重合性化合物と光カチオン重合性化合物がある。
光ラジカル重合性化合物としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の二重結合を有する有機化合物を用いることができる。これらのラジカル重合性化合物のうち、フィルム形成能等の面から、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル(以下、両者をあわせて(メタ)アクリル酸エステルという)が好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリ ル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、イミドアクリレート等が挙げられる。これらの光ラジカル重合性化合物は、一種でも二種以上の混合物であっても良い。
光カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、ビニルエーテル等が挙げられる。エポキシ化合物として一般的なものは、脂環式エポキシ化合物、エポキシ変性シリコーン、芳香族のグリシジルエーテル等が挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等が挙げられ、例えばダウ・ケミカル社製UVR6105、UVR6110、ダイセル社製セロキサイド2021P(セロキサイドはダイセル社の登録商標)等を用いることができる。エポキシ変性シリコーンとしては、東芝GEシリコーン製UV−9300等が挙げられる。芳香族グリシジル化合物としては、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン等が挙げられる。ビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等が挙げられる。これらの光カチオン重合性化合物は、一種でも二種以上の混合物であっても良い。
本発明の光重合性組成物において、光重合開始剤組成物の使用量は、光重合性組成物に対して0.005重量%以上、10重量%未満の範囲、好ましくは0.025重量%以上、5重量%以下である。0.005重量%以下だと光重合性組成物を光重合させるのに時間がかかってしまい、一方、10重量%を超えて添加すると光重合させて得られる光硬化物の硬度が低下し、硬化物の物性を悪化させるため好ましくない。
なお、本発明の光重合性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、希釈剤、着色剤、有機又は無機の充填剤、レベリング剤、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、可塑剤等の各種樹脂添加剤を配合してもよい。
(光硬化物)
本発明の光重合性組成物に光を照射して重合することにより、光硬化物を得ることができる。光重合性組成物に光を照射し重合させ光硬化させる場合、当該光重合性組成物をフィルム状に成形して光硬化させることもできるし、塊状に成形して光硬化させることもできる。フィルム状に成形して光硬化させる場合は、液状の当該光重合性組成物を例えばポリエステルフィルムなどの基材にバーコーターなどを用いて膜厚5〜300ミクロンになるように塗布する。一方、スピンコーティング法やスクリーン印刷法により、さらに薄い膜厚あるいは厚い膜厚にして塗布することもできる。
このようにして調製した光重合性組成物からなる塗膜に、250〜500nmの波長範囲を含む紫外線を1〜1000mW/cm程度の強さで光照射することにより、光硬化物を得ることができる。用いる光源としては、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ガリウムドープドランプ、ブラックライト、395nm紫外線LED、385nm紫外線LED、365nm紫外線LED、青色LED、白色LED、フュージョン社製のDバルブ、Vバルブ等が挙げられる。また、太陽光等の自然光を使用することもできる。特に、300〜400nmの波長範囲を含む紫外線が好ましく、照射光源としては、特に、395nm紫外線LED、385nm紫外線LED、365nm紫外線LEDが好ましい。
(タック・フリー・テスト)
本発明の光重合性組成物が光硬化したかどうかを判定する方法としては、タック・フリー・テスト(指触テスト)がある。すなわち、光重合性組成物に光を照射すると、重合して表面のタック(べたつき)がなくなるため、光を照射してからタック(べたつき)がなくなるまでの時間を測定することにより、光硬化時間を測定することができる。
(耐マイグレーション性の判定)
本発明の光重合性組成物に含まれる光重合増感剤がフィルム等に移行(マイグレーション)するかどうかを判定する方法としては、光重合増感剤を含む光重合性組成物を薄いフィルム状物に塗布したものを作成し、その上にポリエチレンフィルムを被せて一定温度(26℃)で一定期間保管し、その後ポリエチレンフィルムを剥がし、光重合増感剤がポリエチレンフィルムに移行しているかを調べ、耐マイグレーション性を判定した。剥がしたポリエチレンフィルムは、アセトンで表面の組成物を洗った後乾燥し、当該ポリエチレンフィルムのUVスペクトルを測定し、光重合増感剤に起因する吸収強度の増大を調べることにより耐マイグレーション性を測定した。なお、当該測定には、紫外・可視分光光度計(島津製作所製、型式:UV2200)を用いた。比較例の化合物である9,10−ジブトキシアントラセンと量的な比較するために、得られた吸光度を9,10−ジブトキシアントラセンの吸光度の値に換算した。換算に当たっては、紫外・可視分光光度計により本発明の化合物及び9,10−ジブトキシアントラセンの260nmにおける吸光度を測定し、その吸光度の値とモル濃度からそれぞれのモル吸光係数を計算し、その比をもちいて換算した。
下記の実施例により本発明を例示するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。また、特記しない限り、すべての部は重量部である。生成物の確認は下記の機器による測定に基づいて行った。
(1)融点:ゲレンキャンプ社製の融点測定装置、型式MFB−595(JIS K0064に準拠)
(2)赤外線(IR)分光光度計:日本分光社製、型式IR−810
(3)核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製、型式GSX FT NMR Spectorometer
(合成例1)5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
100mlナスフラスコ中、1,4−ナフトキノン3.0g(19.0ミリモル)をアセトニトリル30gに溶解した。次いで窒素雰囲気下、岩崎電気製の365nmUV−LED(照射面積10cm)LHPUV365を用い、照射強度50mW/cmで照射した。10時間照射後、析出した白色沈殿を吸引ろ過・乾燥し、1.8g(11.4ミリモル)の5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレンを得た。
(1)融点:254−255℃
(2)IR(KBr、cm−1):1676,1681,1287,1252,945,780,703,678,541.
(3)H−NMR(400MHz,重アセトン):δ3.96(s、4H),7.91(s,4H),8.10(s,4H).
(合成例2)5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口ナスフラスコに合成例1と同様にして合成した5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン3.16g(10ミリモル)をN,N−ジメチルアセトアミド30g中に分散し、トリエチルアミン 1.0g(10ミリモル)を加えて、60℃で2時間加熱した。白色のスラリーが真黄色のスラリーとなるので、吸引ろ過、乾燥し、5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン の真黄色の粉末2.84g(9.1ミリモル)を得た。原料の5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する収率は91モル%であった。
(1)融点:252−254℃
(2)IR(KBr、cm−1):3180,1583,1508,1292,1257,1187,1097,965,762,632,595.
(3)H−NMR(400MHz,重アセトン):δ7.30(s,4H),7.98(s、4H),8.56(bs,4H)
(合成実施例1)製造ルートその1による5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、合成例1と同様にして合成した5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン2.0g(6.3ミリモル)、N.N−ジメチルアセトアミド25g、ジエチル硫酸4.6g(30ミリモル)の黄色のスラリーに水酸化ナトリウム1.2g(30ミリモル)の水12g溶液を滴下した。直ちに黒緑色の溶液となるので、60℃で30分加熱した。黄色の結晶が析出するので、吸引ろ過・メタノール洗い、乾燥し、5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの黄色の粉末1.7g(3.97ミリモル)を得た。原料の5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は63モル%であった。
(1)融点:135−137℃
(2)IR(KBr、cm−1):3080,2980,2945,2900,1670,1610、1580,1565,1370,1330,1279,1188,1095,1026,934,895,759,659
(3)H−NMR(400MHz、CDCl):δ1.50(t,J=8Hz,12H),4.44(q,J=8Hz,8H),7.38(s,4H),7.96(s、4H)
(合成実施例2)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラメトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.0g(3.1ミリモル)、N.N−ジメチルアセトアミド16g、ジメチル硫酸1.89g(15ミリモル)の黄色のスラリーに水酸化ナトリウム0.60g(15ミリモル)の水8g溶液を滴下した。直ちに黒緑色の溶液となるので、60℃で30分加熱した。冷却後、結晶が析出するので、吸引ろ過・メタノール洗い、乾燥し、5,6,11,12−テトラメトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの黄色の粉末0.70g(1.88ミリモル)を得た。原料の5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は63モル%であった。
(1)融点:217−218℃
(2)IR(KBr、cm−1):3070,3010,2940,2850,1613,1570,1510,1450,1337,1281,1200,1179,1097,1078,1011,960,769,747,663,560
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ4.18(s,12H),7.40(s、4H),7.97(s,4H)
(合成実施例3)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン0.49g(1.55ミリモル)、N.N−ジメチルアセトアミド10g、ジエチル硫酸1.23g(8ミリモル)の黄色のスラリーに水酸化ナトリウム0.32g(8ミリモル)の水5g溶液を滴下した。直ちに黒緑色の溶液となるので、60℃で30分加熱した。冷却後、反応液のpHを中性に戻し、結晶が析出するので、吸引ろ過・メタノール洗い、乾燥し、5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの黄色の粉末0.37g(0.87ミリモル)を得た。原料の5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は56モル%であった。
(1)融点:254−255℃
(2)IR(KBr、cm−1):1676,1681,1287,1252,945,780,703,678,541.
(3)H−NMR(400MHz,重アセトン):δ3.96(s、4H),7.91(s,4H),8.10(s,4H).
(合成実施例4)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラブトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコ中、窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.0g(3.2ミリモル)、N.N−ジメチルアセトアミド15g、臭化ブチル2.1g(15ミリモル)の黄色のスラリーに水酸化ナトリウム0.60g(15ミリモル)の水7g溶液を滴下した。直ちに黒緑色の溶液となるので、60℃で30分加熱した。冷却後、反応液のpHを中性に戻し、結晶が析出するので、吸引ろ過・メタノール洗い、乾燥し、5,6,11,12−テトラブトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの黄色の粉末0.54g(1.02ミリモル)を得た。原料の5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は31モル%であった。
(1)融点:81−82℃
(2)IR(KBr、cm−1):3070,2960,2930,2870,1540,1600,1332,1280,1185,1094,1073,1059,1020,942,763,744,660,555cm−1.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.00(t,J=8Hz,12H),1.49−1.59(m,8H),1.78−1.88(m,8H),4.32(t,J=8Hz,8H),7.39(s,4H),7.98(s、4H)。
(合成実施例5)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラアセチルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコに窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン2.2g(7.0ミリモル)、N,N−ジメチルアセトアミド25g、無水酢酸5.9g(50ミリモル)を加え薄黄色のスラリーとした。次いで、トリエチルアミン4.04g(40ミリモル)を加え、30分間攪拌した。スラリーが白くなった。吸引ろ過し、ヘキサンで洗い、乾燥して、5,6,11,12−テトラアセトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの白い粉末2.4g(4.56ミリモル)を得た。原料の5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は65モル%であった。
(1)融点:255℃以上
(2)IR(KBr、cm−1):2920,1761,1645,1520,1410,1370,1340,1285,1192,1173,1089,1058,1007,942,896,863,758,659,597,573.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ4.00(s,12H),7.45(t,J=9Hza,4H),7.80(d,J=9Hz,4H).
(合成実施例6)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラプロピオニルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコに窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン0.9g(2.85ミリモル)、N,N−ジメチルアセトアミド15g、無水プロピオン酸3.9g(30ミリモル)を加え薄黄色のスラリーとした。次いで、トリエチルアミン3.03g(30ミリモル)を加え、5分間攪拌した。均一溶液となるがさらに攪拌すると、10分後には多量の白い結晶が析出したのでさらに20分間攪拌した。得られた白いスラリーを吸引ろ過し、メタノールで洗い、乾燥して、5,6,11,12−テトラプロピオニルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの白い粉末0.7g(1.3ミリモル)を得た。原料の5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は46モル%であった。
(1)融点:255℃以上
(2)IR(KBr、cm−1):3045,2970,2930,1758,1555,1410,1335,1285,1139,1119,1093,1072,880,810,754
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.31(t,J=8Hz,12H),2,85(q,J=8Hz,8H),7.50(t,J=9Hz,4H),7.79(d,J=9Hz,4H).
(合成実施例7)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラブチリルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコに窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.58g(5.0ミリモル)、N,N−ジメチルアセトアミド20g、塩化ブチリル3.18g(30ミリモル)を加え薄黄色のスラリーとした。次いで、トリエチルアミン4.04g(40ミリモル)を加え、30分間攪拌した。次いでメタノールを30g加え、得られた白いスラリーを吸引ろ過し、乾燥して、5,6,11,12−テトラブチリルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの白い粉末2.1g(3.5ミリモル)を得た。原料の5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は70モル%であった。
(1)融点:260℃以上
(2)IR(KBr、cm−1):3040,2960,2940,2865,1758,1339,1282,1179,1130,1099,1073,943,754.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.10(t,J=8Hz,12H),1.83−1.94(m,8H),2.68(t,J=8Hz,8H),7.39(t,J=9Hz,4H),7.65(d,J=9Hz,4H).
(合成実施例8)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラヘプタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコに窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.11g(3.48ミリモル)、N,N−ジメチルアセトアミド15g、塩化オクタノイル8.13g(50ミリモル)を加え薄黄色のスラリーとした。次いで、トリエチルアミン5.05g(50ミリモル)を加え、30分間攪拌した。次いでメタノールを20g加え、得られた白いスラリーを吸引ろ過し、乾燥して、5,6,11,12−テトラオクタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの白い粉末1.50g(1.9ミリモル)を得た。原料の5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は55モル%であった。
(1)融点:184−186℃
(2)IR(KBr、cm−1):2960,2926,2840,1755,1660,1520,1460,1410,1380,1337,1280,1131,1104,758,723
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.91(t,J=8Hz,12H),1.31−1.40(m,16H),1.40−1.60(m,8H),1.80−1.90(m,8H),2.69(t,J=8Hz,8H),7.39(t,J=9Hz,4H),7.64(d,J=9Hz,4H).
(合成実施例9)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラオクタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコに窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.11g(3.48ミリモル)、N,N−ジメチルアセトアミド15g、塩化オクタノイル8.13g(50ミリモル)を加え薄黄色のスラリーとした。次いで、トリエチルアミン5.05g(50ミリモル)を加え、30分間攪拌した。次いでメタノールを20g加え、得られた白いスラリーを吸引ろ過し、乾燥して、5,6,11,12−テトラオクタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの白い粉末1.50g(1.9ミリモル)を得た。原料の5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は55モル%であった。
(1)融点:184−186℃
(2)IR(KBr、cm−1):2950,2915,2850,1759,1700,1580,1510,1460,1450,1340,1285,1271,1222,1113,942,919,754,719,703,541.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.87(t,J=8Hz,12H),1.11−1.66(m,32H),1.75−1.92(m,8H),2.70(t,J=8Hz,8H),7.39(t,J=9Hz,4H),7.63(d,J=9Hz,4H).
(合成実施例10)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコに窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.58g(5.0ミリモル)、N,N−ジメチルアセトアミド20g、塩化2−エチルヘキサノイル4.86g(30ミリモル)を加え薄黄色のスラリーとした。次いで、トリエチルアミン4.04g(40ミリモル)を加え、30分間攪拌した。次いでメタノールを20g加え、得られた白いスラリーを吸引ろ過し、乾燥して、5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキサノイルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレンの白い粉末1.90g(2.4ミリモル)を得た。原料の5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は48モル%であった。
(1)融点:100−101℃
(2)IR(KBr、cm−1):2950,2932,2865,1755,1630,1450,1336,1280,1159,1092,759.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.92(t,J=8Hz,12H),1.08(t,J=8Hz,12H),1.34−1.49(m,16H),1.70−2.00(m,16H),2.64−2.76(m,4H),7.37(t,J=9Hz,4H),7.61(d,J=9Hz,4H).
(合成実施例11)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラノナノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100ml三口フラスコに窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.10g(3.48ミリモル)、N,N−ジメチルアセトアミド15g、塩化ノナノイル8.8g(50ミリモル)を加え薄黄色のスラリーとした。次いで、トリエチルアミン5.05g(50ミリモル)を加え、30分間攪拌した。次いでメタノールを20g加え、得られた白いスラリーを吸引ろ過し、乾燥して、5,6,11,12−テトラノナノイルジベンゾ[b,h]ビフェニレンの白い粉末2.10g(2.4ミリモル)を得た。原料の5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は69モル%であった。
(1)融点:173−174℃
(2)IR(KBr、cm−1):2916,2850,1758,1338,1284,1261,1130,1116,1061,755,719.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.89(t,J=8Hz,12H),1.13−1.40(m,32H),1.40−1.50(m,8H),1.79−1.90(m,8H),2.69(t,J=8Hz,8H),7.40(t,J=9Hz,4H),7.64(d,J=9Hz,4H).
(合成実施例12)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラメトキシカルボニルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100mlの三口フラスコに窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.0g(3.2ミリモル)、N,N−ジメチルアセトアミド15g、塩化炭酸メチル1.5g(16ミリモル)を仕込んだ。薄黄色のスラリーにトリエチルアミン1.3g(13ミリモル)のN,N−ジメチルアセトアミド4g溶液を添加した。30分攪拌後、得られた黄緑色のスラリーに水を15g加えリスラリー後、吸引ろ過・水洗、メタノール洗い・乾燥し、5,6,11,12−(テトラメトキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.3g(2.4ミリモル)の黄白色粉末を得た。原料5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は75モル%であった。
(1)融点:255℃以上
(2)IR(KBr、cm−1):3075,3030,2970,2840,1769,1440,1294,1234,1183,1090,1056,929,762,602,539.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ4.00(s,12H),7.45(t,J=9Hza,4H),7.80(d,J=9Hz,4H).
(合成実施例13)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラ(n−プロポキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100mlの三口フラスコに窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.0g(3.2ミリモル)、N,N−ジメチルアセトアミド15g、塩化炭酸n−プロピル1.83g(15ミリモル)を仕込んだ。薄黄色のスラリーにトリエチルアミン1.3g(13ミリモル)のN,N−ジメチルアセトアミド4g溶液を添加した。30分攪拌後、得られた黄緑色のスラリーに水を15g加えリスラリー後、吸引ろ過・水洗、メタノール洗い・乾燥し、5,6,11,12−[テトラ(n−プロポキシ)カルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.3g(2.0ミリモル)の黄白色粉末を得た。原料5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は62モル%であった。
(1)融点:173−174℃
(2)IR(KBr、cm−1):2960,2930,2870,1760,1214,1180,1154,1052,934,764.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.00(t,J=8Hz,12H),1.83−1.94(m,8H),4.30(t,J=8Hz,8H),7.43(t,J=9Hz,4H),7.81(d,J=9Hz,4H).
(合成実施例14)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラ(i−プロポキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100mlの三口フラスコに窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.1g(3.5ミリモル)、N,N−ジメチルアセトアミド15g、塩化炭酸i−プロピル2.13g(17.5ミリモル)を仕込んだ。薄黄色のスラリーにトリエチルアミン1.8g(18ミリモル)のN,N−ジメチルアセトアミド5g溶液を添加した。30分攪拌後、得られた黄緑色のスラリーに水を15g加えリスラリー後、吸引ろ過・水洗、メタノール洗い・乾燥し、5,6,11,12−[テトラ(i−プロポキシ)カルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.5g(2.3ミリモル)の黄白色粉末を得た。原料5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は65モル%であった。
(1)融点:260℃以上
(2)IR(KBr、cm−1):3060,2970,2920,2840,1757,1222,1179,1077,983,928,906,842,771,740,711,601,538,425.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ1.41(d,J=8Hz,24H),5.01−5.10(m,4H),7.45(t,J=9Hz,4H),7.78(d,J=9Hz,4H).
(合成実施例15)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラ(i−ブトキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100mlの三口フラスコに窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.58g(5.0ミリモル)、N,N−ジメチルアセトアミド20g、塩化炭酸i−ブチル4.08g(30ミリモル)を仕込んだ。薄黄色のスラリーにトリエチルアミン4g(40ミリモル)のN,N−ジメチルアセトアミド10g溶液を添加した。30分攪拌後、得られた黄緑色のスラリーに水を25g加えリスラリー後、吸引ろ過・水洗、メタノール洗い・乾燥し、5,6,11,12−[テトラ(i−ブトキシ)カルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン 2.3g(32ミリモル)の黄白色粉末を得た。原料5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は64モル%であった。
(1)融点:180−181℃
(2)IR(KBr、cm−1):2960,2870,1763,1217,1177,1151,1084,1042,949,768,752.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.99(d,J=8Hz,24H),2.01−2.11(m,4H),4.12(d,J=9Hz,8H),7.45(t,J=9Hz,4H),7.80(d,J=9Hz,4H).
(合成実施例16)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラ(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100mlの三口フラスコに窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.75g(5.5ミリモル)、N,N−ジメチルアセトアミド20g、塩化炭酸2−エチルヘキシル5.0g(26ミリモル)を仕込んだ。薄黄色のスラリーにトリエチルアミン2.5g(25ミリモル)のN,N−ジメチルアセトアミド5g溶液を添加した。30分攪拌後、得られた黄緑色のスラリーに水を15g加え、底に沈んだ薄橙色の水あめをよく水洗い・乾燥し、5,6,11,12−[テトラ(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン5.1g(52ミリモル)の薄橙色水あめを得た。原料5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は96モル%であった。
(1)融点:室温水あめ状
(2)IR(ヌジョール、cm−1):2950,2915,2850,1770,1460、1217,1182,1153,940,766.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ0.82(t,J=8Hz,12H),0.92(t,J=9Hz,12H),1.21−1.48(m,32H),1.64−1.74(m,4H),4.28(t,J=8Hz,8H),7.44(t,J=9Hz,4H),7.79(d,J=9Hz,4H).
(合成実施例17)製造ルートその2による5,6,11,12−テトラ(アリルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレンの合成
温度計、冷却器付きの100mlの三口フラスコに窒素雰囲気下、合成例2と同様にして合成した5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.0g(3.2ミリモル)、N,N−ジメチルアセトアミド20g、塩化炭酸アリル1.92g(16ミリモル)を仕込んだ。薄黄色のスラリーにトリエチルアミン1.5g(15ミリモル)のN,N−ジメチルアセトアミド5g溶液を添加した。30分攪拌後、得られた黄緑色のスラリーに水を20g加えリスラリー後、吸引ろ過・水洗、メタノール洗い・乾燥し、5,6,11,12−(テトラアリルオキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン2.3g(35ミリモル)の黄白色粉末を得た。原料5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンに対する単離収率は70モル%であった。
(1)融点:181−182℃
(2)IR(KBr、cm−1):3065,2940、1767,1755,1216,1181,1150,1090,1045,991,979,956,930,821,755,614.
(3)H−NMR(400MHz,CDCl):δ4.82(d,J=8Hz,8H),5.33(d,J=9Hz,4H),5.45(d,J=17Hz,4H),5.97−6.09(m,4H),7.45(t,J=9Hz,4H),7.82(d,J=9Hz,4H).
以下に光カチオン硬化評価実施例を示す。
(評価実施例1)
光カチオン重合性化合物として3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製 セロキサイド2021P)100部に、光重合開始剤4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート(ビーエーエスエフ社製イルガキュア250)2.0部と合成実施例1と同様にして合成した光重合増感剤5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.0部を加え、均一な組成物とした。この組成物をバーコーターを用いてポリエステルフィルムルミラー(膜厚100ミクロン、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に膜厚18ミクロンになるように塗布した。ついで岩崎電気製LHPUV365を用いて紫外線LEDを照射した。照射光の中心波長は365nmで照射強度は15mW/cm2である。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は14秒であった。
(評価比較例1−1)
光重合増感剤として、5,6,11,12−テトラメトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンを使用しないこと以外は、評価実施例1と同様にして光重合性組成物を調製し、次いで光重合性組成物を塗布し、365nmのUV−LEDを用いて評価実施例1と同様の条件で光照射した。1000秒照射後も光硬化しなかった。
(評価比較例1−2)
光重合増感剤として、5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの代わりに公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンにすること以外は、評価実施例1と同様にして光重合性組成物を調製し、次いで光重合性組成物を塗布し、365nmのUV−LEDを用いて評価実施例1と同様の条件で光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は18秒であった。
(評価実施例2)
光カチオン重合性化合物として3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル 3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製セロキサイド2021P)100部に、光重合開始剤4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート(ビーエーエスエフ社製イルガキュア250)2.0部と合成実施例1と同様にして合成した光重合増感剤5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.0部を加え、均一な組成物とした。この組成物をバーコーターを用いてポリエステルフィルムルミラー(膜厚100ミクロン、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に膜厚18ミクロンになるように塗布した。ついでPhoseon社製FireFly395を用いて紫外線LEDを照射した。照射光の中心波長は395nmで照射強度は25mW/cm2である。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は16秒であった。
(評価比較例2−1)
光重合増感剤として、5,6,11,12−テトラメトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンを使用しないこと以外は、評価実施例2と同様にして光重合性組成物を調製し、次いで光重合性組成物を塗布し、395nmのUV−LEDを用いて評価実施例2と同様の条件で光照射した。1000秒照射後も光硬化しなかった。
評価実施例1と評価比較例1−1及び評価実施例2と評価比較例2−1を比較することにより明らかなように、光カチオン重合において365nm及び395nmの光照射のいずれの重合条件の場合においても、本発明の本発明の5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンを添加することによる著しい硬化速度の促進効果、すなわち光重合増感効果が認められる。更に、評価実施例1と評価実施例1−2を比較することで明らかなように、公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンよりもその増感効果が優れていることがわかる。
次に、光ラジカル硬化評価実施例を示す。
(評価実施例3)
光ラジカル重合性化合物として、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(大阪有機化学工業社製ビスコート400、ビスコートは大阪有機化学社の登録商標)100部に、光重合開始剤1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(ビーエーエスエフ社製イルガキュア184)1.0部と合成実施例9と同様にして合成した光重合増感剤5,6,11,12−テトラオクタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1.0部を加え、均一な組成物とした。この組成物をバーコーターを用いてポリエステルフィルムルミラー(膜厚100ミクロン、ルミラーは東レ株式会社の登録商標)上に膜厚30ミクロンになるように塗布した。塗布した光重合性組成物上に膜厚50ミクロンのタックフィルムでカバーし、ついで紫外線LEDを照射した。照射光の中心波長は365nmで照射強度は10mW/cm2である。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は3秒であった。
(評価比較例3−1)
光重合増感剤として、5,6,11,12−テトラオクタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンを公知の光重合増感剤である9,10−ビスオクタノイルオキシアントラセンとすること以外は、評価実施例3と同様にして光重合性組成物を調製し、次いで光重合性組成物を塗布し、365nmのUV−LEDを用いて評価実施例3と同様の条件で光照射した。べたつき(タック)がなくなるまでの光照射時間「タック・フリー・タイム」は9秒であった。
(評価実施例3)と(評価比較例3−1)の結果の比較により、次のことが明らかである。本発明の5,6,11,12−テトラオクタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンを光重合増感剤として光ラジカル重合させた場合優れた光重合増感効果を示し、タック・フリー・テストの結果からも、公知の光重合増感剤である9,10−ビス(オクタノイルオキシ)アントラセンに比べ同等程度以上の光重合増感能を有することがわかる。
次に、光カチオン重合及び光ラジカル重合における耐マイグレーション性の評価実施例を示す。
(光カチオン重合における耐マイグレーション性の評価実施例)
(評価実施例4)
光カチオン重合性化合物として3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル社製 セロキサイド2021P)100部に、光重合増感剤として合成実施例1と同様の方法によって合成した5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1部を混合し、調製した組成物をポリエステルフィルム上で膜厚が12ミクロンになるようにバーコーターを用いて塗布した。次いで、得られた塗布物上に低密度ポリエチレンフィルム(膜厚30ミクロン)を被せて、暗所で一日間保管したもの、二日間保管したもの、四日間保管したものを、それぞれ保管後、ポリエチレンフィルムを剥がし、ポリエチレンフィルムをアセトンで洗い乾燥した後、フィルムのUVスペクトルを測定し、304nmの吸光度を測定した。得られた5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.10、二日保管後0.11、四日保管後0.11であった。
(評価比較例4)
光重合増感剤として5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの代わりに公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンを使用すること以外は評価実施例4と同様に調製した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、9,10−ジブトキシアントラセンの吸光度は、一日保管後0.68、二日保管後0.72、四日保管後0.74であった。
(光ラジカル重合における耐マイグレーション性の評価実施例)
(評価実施例5)
光ラジカル重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリレート100部に対し、合成実施例9と同様の方法で合成した5,6,11,12−テトラオクタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン1部を混合し、調製した組成物をポリエステルフィルム上で膜厚が12ミクロンになるようにバーコーターを用いて塗布した。次いで、得られた塗布物上に低密度ポリエチレンフィルム(膜厚30ミクロン)を被せて、暗所で一日間保管したもの、二日間保管したもの、四日間保管したものを、それぞれ保管後、ポリエチレンフィルムを剥がし、ポリエチレンフィルムをアセトンで洗い乾燥した後、フィルムのUVスペクトルを測定し、295nmの吸光度を測定した。得られた5,6,11,12−テトラオクタノイルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの吸光度を9,10−ジブトキシアントラセン換算した。吸光度は、一日保管後0.001、二日保管後0.0015、四日保管後0.001であった。
(評価比較例5)
光重合増感剤として5,6,11,12−テトラエトキシジベンゾ[b,h]ビフェニレンの代わりに公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンを使用すること以外は評価実施例3と同様に調製した。アセトン洗いしたポリエチレンフィルムの260nmの吸光度を測定した結果、9,10−ジブトキシアントラセンの吸光度は、一日保管後1.14、二日保管後1.24、四日保管後1.20であった。
以上の結果より、本発明の5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物は、光カチオン重合及び光ラジカル重合において、公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンと比較して、同等の光重合増感能を有するだけでなく、重合性組成物上に被せたポリエチレンフィルムへの移行割合が公知の光重合増感剤である9,10−ジブトキシアントラセンよりも著しく低いことから、耐マイグレーション性が高い優れた化合物であり、光重合増感剤として極めて有用な化合物であることが判る。

Claims (9)

  1. 一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物。

    (一般式(1)において、Aは炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から11のアシル基又は炭素数2から11の炭酸エステル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)
  2. 一般式(2)で表される5,6,11,12−テトラアルコキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物。

    (一般式(2)において、Rは炭素数1から10のアルキル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)
  3. 5,6,11,12−テトラアシルオキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物。

    (一般式(3)において、Rは炭素数1から10のアルキル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)
  4. 一般式(4)で表される5,6,11,12−テトラ(アルコキシカルボニルオキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物を提供する。

    (一般式(4)において、Rは炭素数1から10のアルキル基又はアリル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)
  5. 一般式(5)で表わされる5,6,11,12−テトラオキソ−5a,5b,11a,11b−テトラヒドロジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物をエーテル化剤、アシル化剤又は炭酸エステル化剤と反応させることによる、一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物の製造方法。

    (一般式(5)において、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)

    (一般式(1)において、Aは炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から11のアシル基又は炭素数2から11の炭酸エステル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)
  6. 一般式(6)で表わされる5,6,11,12−テトラヒドロキシジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物をエーテル化剤、アシル化剤又は炭酸エステル化剤と反応させることによる、一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物の製造方法。

    (一般式(6)において、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)

    (一般式(1)において、Aは炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から11のアシル基又は炭素数2から11の炭酸エステル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)
  7. 一般式(1)で表される5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物からなる光重合増感剤。

    (一般式(1)において、Aは炭素数1から10のアルキル基、炭素数2から11のアシル基又は炭素数2から11の炭酸エステル基を表し、Xは、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を表す。)
  8. 請求項7記載の光重合増感剤、光重合開始剤、及び重合性化合物を含有する光重合性組成物。
  9. 請求項8記載の光重合性組成物に、波長300nmから400nmの範囲の光を含むエネルギー線を照射することにより硬化する、硬化方法。
JP2015248079A 2015-12-19 2015-12-19 5,6,11,12−テトラ(置換オキシ)ジベンゾ[b,h]ビフェニレン化合物、製造法、及びその用途 Pending JP2017109980A (ja)

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