(本願における記載形式・基本的用語・用法の説明)
本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクション等に分けて記載するが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、記載の前後を問わず、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しの説明を省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、A以外の要素を含むものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe(シリコン・ゲルマニウム)合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。また、金めっき、Cu層、ニッケル・めっき等といっても、そうでない旨、特に明示した場合を除き、純粋なものだけでなく、それぞれ金、Cu、ニッケル等を主要な成分とする部材を含むものとする。
さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
また、実施の形態の各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するため、あるいは領域の境界を明示するために、ハッチングやドットパターンを付すことがある。
以下の実施の形態で説明する技術はリードフレームを用いて製造する種々のパッケージタイプの半導体装置に適用可能であるが、本実施の形態では、一例として、外部端子である複数のリードが、封止体の側面において露出する、QFP(Quad Flat Package)型の半導体装置に適用した実施態様について説明する。図1は本実施の形態の半導体装置の上面図、図2は、図1に示す半導体装置の下面図である。また、図3は、図1に示す封止体を取り除いた状態で半導体装置の内部構造を示す透視平面図である。また、図4は図1のA−A線に沿った断面図、図5は図1のB−B線に沿った断面図である。
<半導体装置>
まず、本実施の形態の半導体装置1の構成の概要について、図1〜図5を用いて説明する。本実施の形態の半導体装置1は、ダイパッド(チップ搭載部、タブ)10(図3〜図5参照)と、ダイパッド10上にダイボンド材(接着材)8(図3〜図5参照)を介して搭載された半導体チップ3(図3〜図5参照)と、を備えている。また、半導体装置1は、半導体チップ3(ダイパッド10)の隣(周囲)に配置された複数のリード(端子、外部端子)4と、半導体チップ3の複数のパッド(電極、ボンディングパッド)PD(図3、図4参照)と複数のリード4とを、それぞれ電気的に接続する複数のワイヤ(導電性部材)5(図3、図4参照)と、を有している。また、半導体装置1は半導体チップ3および複数のワイヤ5を封止する封止体(樹脂体)7を備えている。また、ダイパッド10には、複数の吊りリード9が接続されている。
<外観構造>
まず、半導体装置1の外観構造について説明する。図1に示す封止体(樹脂体)7の平面形状は矩形状からなり、本実施の形態では、例えば、正方形である。詳細には、各角部が面取り加工されており、これにより封止体7の欠けを抑制している。封止体7は上面7aと、この上面7aとは反対側の下面(裏面、実装面)7b(図2参照)と、この上面7aと下面7bとの間に位置する側面7cとを有している。側面7cは、図4に示すように傾斜面となっている。封止体7の角部とは、封止体7の四辺(四つの主辺)のうち、交差する任意の二辺(二つの主辺)の交点である角の周辺領域を含んでいる。なお、厳密には、図1に示すように、封止体7の角部は、一部が面取り加工されているので、主辺の交点は封止体7の角部よりも外側に配置される。しかし、面取り加工部は、主辺の長さと比較して十分に小さいため、本願では、面取り加工部の中心を封止体7の角と見做して説明する。つまり、本願においては、封止体7の四辺(四つの主辺)のうち、任意の二辺(二つの主辺)が交差する領域であって、該領域が面取り加工されている場合にはその面取り加工部が角部に相当し、該領域が面取り加工されていない場合には、任意の二辺(二つの主辺)の交点が角部に相当する。以下、本願において、封止体7の角部と説明するときは、特に異なる意味、内容で用いている旨を明記した場合を除き、上記と同様の意味、内容として用いる。
また、図1および図2に示すように、半導体装置1では、封止体7の各辺(各主辺)に沿って、それぞれ複数のリード4が配置されている。複数のリード4は、それぞれ金属材料からなり、本実施の形態では、例えば銅(Cu)、または銅(Cu)からなる基材の表面に例えばニッケル(Ni)からなる金属膜(図示は省略)が形成された積層金属膜から成る。また、図1および図2に示す例では、複数のリード4のそれぞれは、封止体7の側面7cから一部(アウタリード部4b)が外側に突出し、封止体7の外側において、ガルウィング状に形成されている。言い換えれば、複数のリード4のアウタリード部4bは、それぞれ複数の屈曲部を備え、アウタリード部4bの端部は、封止体7の下面7bよりも低い位置に配置される。またリード4の封止体7からの露出部(アウタリード部4b)には、金属膜SDが形成され、前記した基材の下面を覆っている。金属膜SDは、例えばめっき法により形成された半田膜(外装めっき膜)から成り、リード4を図示しない実装基板側の端子と接合する際に接合材として機能する。
本実施の形態の金属膜SDは、鉛(Pb)を実質的に含まない、所謂、鉛フリー半田からなり、例えば錫(Sn)のみ、錫−ビスマス(Sn−Bi)、または錫−銅−銀(Sn−Cu−Ag)などである。ここで、鉛フリー半田とは、鉛(Pb)の含有量が0.1wt%以下のものを意味し、この含有量は、RoHS(Restriction of Hazardous Substances)指令の基準として定められている。
また、図2に示すように、ダイパッド(チップ搭載部、タブ)10の下面10bは、封止体7の下面7bにおいて、封止体7から露出している。つまり、半導体装置1は、ダイパッド露出型(タブ露出型)の半導体装置である。
ダイパッド10は、封止体7よりも熱伝導率が高い金属材料からなり、本実施の形態では、例えば銅(Cu)、または銅(Cu)からなる基材の表面に例えばニッケル(Ni)からなる金属膜(図示は省略)が形成された積層金属膜から成る。このように、ダイパッド露出型の半導体装置は、熱伝導率が封止体7よりも高い、例えば、銅(Cu)などの金属部材(ダイパッド10)を露出させることで、ダイパッド10が露出しない半導体装置と比較して、パッケージの放熱性を向上させることができる。また、半導体装置1を図示しない実装基板に実装する際に、ダイパッド10の下面10bを実装基板の端子と、例えば半田材(接合材)を介して接続すれば、半導体装置1で発生した熱をさらに効率的に実装基板側に放熱することができる。
また、図3および図4に示すように、本実施の形態では、半導体チップ3とダイパッド10を電気的に接続し、ダイパッド10を外部端子として利用する。このようにダイパッド10の下面10bを露出させて、図示しない実装基板と電気的に接続することで、半導体装置1の端子配置スペースを有効に活用することができる。また、ダイパッド10には、例えば、基準電位(例えば接地電位)が供給される。半導体装置1の電気的特性を向上させる観点から、基準電位を供給する端子は、伝送経路の面積を大きくすることが好ましい。つまり、図3や図4に示すように、基準電位が供給される外部端子として、ダイパッド10を利用することで、伝送経路の面積を拡大させて、半導体装置1の電気的特性を向上させることができる。
また、図2に示す例では、ダイパッド10の下面10bには、実装時に接合材として機能する金属膜SDが形成され、前記基材の下面を覆っている。金属膜SDは前記したように例えばめっき法により形成された半田膜である。このようにダイパッド10の露出面に金属膜SDを形成することで、ダイパッド10を図示しない実装基板の端子と接続し易くすることができる。
<内部構造>
次に、半導体装置1の内部構造について説明する。図3に示すように、ダイパッド10の上面(チップ搭載面)10aは、平面形状が四角形(四辺形)から成る。本実施の形態では、例えば正方形である。また、本実施の形態では、半導体チップ3の外形サイズ(図4に示す裏面3bの平面サイズ)よりも、ダイパッド10の外形サイズ(平面サイズ)の方が大きい。このように半導体チップ3を、その外形サイズよりも大きい面積を有するダイパッド10に搭載し、図2に示すようにダイパッド10の下面10bを封止体7から露出させることで、放熱性を向上させることができる。ダイパッド10のその他の詳細な構造は後述する。
また、図3に示すようにダイパッド10の周囲(半導体チップ3の周囲)には、複数のリード4が配置される。図4に示すように複数のリード4のそれぞれは、封止体7に封止されるインナリード部4aと、封止体7から露出するアウタリード部4bを備える。またアウタリード部4bの表面(上面、下面、および側面)には、金属膜SDが形成されている。また、インナリード部4aには、ワイヤ5を接合するワイヤボンディング領域が含まれる。
また、図3に示すように、ダイパッド10には、複数の吊りリード9が接続(連結)されている。複数の吊りリード9は、それぞれ一方の端部が、平面視において四角形を成すダイパッド10の角部(角)に接続されている。また複数の吊りリード9はそれぞれ他方の端部が封止体7の角部に向かって延び、角部において封止体7から露出している。
ところで、図4に示すように、ダイパッド10は、インナリード部4aと異なる高さに配置(オフセット配置)されている。詳しくは、ダイパッド10は、インナリード部4aよりも低い位置に配置(ダウンセット配置)されている。本実施の形態のようにリード4がガルウィング状に形成されたパッケージでは、リード4は封止体7の側面7cにおいて、上面7aと下面7bの中間となる位置から導出することが好ましい。インナリード部4aを封止体7でしっかりと固定するためである。一方、ダイパッド10を、封止体7から露出させるためには、インナリード部4aと異なる高さに配置する必要がある。このため、本実施の形態では、ダイパッド10をオフセット配置(ダウンセット配置)している。
このようにオフセット配置する方法として、本実施の形態では、ダイパッド10を支持する複数の吊りリード9のそれぞれに、傾斜部9a(図5参照)を形成している。これにより、ダイパッド10をオフセット配置(ダウンセット配置)することができる。
また、図3に示すようにダイパッド10上には、半導体チップ3が搭載されている。半導体チップ3はダイパッド10の中央に位置するチップ搭載領域10d(図4、図5参照)上に搭載されている。図4に示すように半導体チップ3は、裏面3bがダイパッド10の上面10aと対向した状態で、ダイボンド材(接着材)8を介してダイパッド10上に搭載されている。つまり、複数のパッドPDが形成された表面(主面)3aの反対面(裏面3b)をチップ搭載面(上面10a)と対向させる、所謂、フェイスアップ実装方式により搭載されている。このダイボンド材8は、半導体チップ3をダイボンディングする際の接着材であって、例えばエポキシ系の接着材、あるいは、エポキシ系の熱硬化性樹脂に、銀(Ag)などから成る金属粒子を含有させた導電性接着材を用いる。
図3に示すように、ダイパッド10上に搭載される半導体チップ3の平面形状は四角形から成る。本実施の形態では、例えば、正方形である。また、図4に示すように、半導体チップ3は、表面(主面、上面)3aと、表面3aとは反対側の裏面(主面、下面)3bと、この表面3aと裏面3bとの間に位置する側面とを有している。そして、図3および図4に示すように、半導体チップ3の表面3aには、複数のパッド(ボンディングパッド)PDが形成されており、本実施の形態では、複数のパッドPDが表面3aの各辺に沿って形成されている。また、図示は省略するが、半導体チップ3の主面(詳しくは、半導体チップ3の基材(半導体基板)の上面に設けられた半導体素子形成領域)には、複数の半導体素子(回路素子)が形成されており、複数のパッドPDは、半導体チップ3の内部(詳しくは、表面3aと図示しない半導体素子形成領域の間)に配置される配線層に形成された配線(図示は省略)を介して、この半導体素子と電気的に接続されている。
半導体チップ3(詳しくは、半導体チップ3の半導体基板)は、例えばシリコン(Si)から成る。また、表面3aには、半導体チップ3の基材および配線を覆う絶縁膜が形成されており、複数のパッドPDのそれぞれの表面は、この絶縁膜に形成された開口部において、絶縁膜から露出している。また、このパッドPDは金属からなり、本実施の形態では、例えばアルミニウム(Al)からなる。なお、パッドPDは、アルミニウム(Al)を主体とする合金層を採用してもよい。
また、図3に示すように、半導体チップ3の周囲(詳しくは、ダイパッド10の周囲)には、例えば、ダイパッド10と同じ銅(Cu)から成る複数のリード4が配置されている。そして、半導体チップ3の表面3aに形成された複数のパッド(ボンディングパッド)PDは、複数のリード4と、複数のワイヤ(導電性部材)5を介してそれぞれ電気的に接続されている。ワイヤ5は、例えば、金(Au)から成り、ワイヤ5の一部(例えば一方の端部)がパッドPDに接合され、他部(例えば他方の端部)がリード4のボンディング領域に接合されている。なお、図示は省略するが、リード4のボンディング領域の表面には、例えば、銀(Ag)、あるいは金(Au)から成るめっき膜を形成することが好ましい。リード4(インナリード部4a)のボンディング領域(ワイヤボンディング領域)の表面に、銀(Ag)や金(Au)から成るめっき膜を形成することにより、金(Au)からなるワイヤ5との接合強度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、複数のパッドPDのうちの一部は、ワイヤ(導電性部材)5bを介してダイパッド10のワイヤボンディング領域と電気的に接続されている。言い換えれば、半導体チップ3の複数のパッドPDに接続される複数のワイヤ5には、複数のパッドPDと複数のリード4を電気的に接続する複数のワイヤ5aと、パッドPDとダイパッド10を電気的に接続するワイヤ5bが含まれる。このようにワイヤ5bを介して半導体チップ3のパッドPDとダイパッド10を電気的に接続することにより、ダイパッド10を外部端子として活用する事ができる。例えば、前記したように、ダイパッド10には、基準電位(例えば接地電位)が供給され、ダイパッド10およびワイヤ5bを介して半導体チップ3に基準電位が供給される。
<ダイパッドの詳細構造>
次に、図2〜図4に示すダイパッド10の詳細な構造と、その構造とすることにより得られる効果について説明する。図6は、図4に示すダイパッドの表面状態を模式的に示す説明図、図7は図6とは別の半導体装置のダイパッドの表面状態を模式的に示す説明図である。また、図8は、図3のC部の拡大平面図、図9は、図8のA−A線に沿った拡大断面図である。また、図10は図3に示す半導体装置の下面側を示す透視平面図である。なお、図9では、ワイヤ5の一部(ワイヤ5a)がリード4に接続され、ワイヤ5の他の一部(ワイヤ5b)がダイパッド10に接続されることを明示するため、ワイヤ5a、5bをそれぞれ点線で示している。
本実施の形態の半導体装置1は、図1〜図5を用いて説明したように、ダイパッド10の平面積が、半導体チップ3の裏面3bの平面積よりも大きい。そして、図4に示すように半導体チップ3の平面積よりも大きいダイパッド10の下面10bを封止体7から露出させる。しかし、ダイパッド10の平面積が大きくなると、半導体チップ3を封止する封止体7とダイパッド10の剥離が発生し易くなり半導体装置1の信頼性低下が問題となる。例えば、半導体チップ3とダイパッド10は、線膨張係数が異なるので、温度サイクルが印加されることにより、半導体チップ3とダイパッド10の接着界面で剥離が生じ易くなる。詳しくは、半導体チップ3を接着固定するダイボンド材8とダイパッド10の接着界面において、温度サイクル負荷に起因する応力が発生し、該応力により剥離が発生する。この温度サイクル負荷に起因する応力は、ダイパッド10の平面積に比例して大きくなるので、ダイパッド10の平面積が大きくなると、剥離が発生し易くなる。
そして、ダイパッド10とダイボンド材8の接着界面で剥離が発生した後、さらに温度サイクル負荷が印加されると、剥離の発生箇所を起点としてダイパッド10の周縁部(側面10c)に向かって(ダイパッド10の上面10aに沿って)、剥離が進展する。また、ダイパッド10のチップ搭載領域10dと側面10cの間では、封止体7とダイパッド10の上面10aが密着しているが、ダイパッド10と封止体7の密着強度は、ダイパッド10とダイボンド材8の密着強度と比較して同程度またはそれ以下である。このため、前記した剥離は、ダイパッド10と封止体7の密着界面まで進展する。
ダイパッド10と封止体7の密着性が低下すると、ダイパッド10の封止体7からの脱落、等の原因となるため、半導体装置1の信頼性低下を抑制する観点からは、剥離の進展を防止または抑制することが好ましい。特に、本実施の形態のように、ダイパッド10の上面10aの一部にワイヤ5bを接合する場合には、剥離がワイヤ5bとダイパッド10の接合部まで進展すると、ワイヤ5bが断線する原因になる。したがって、半導体装置1の電気的信頼性を向上させる観点から、剥離の進展を防止または抑制することが好ましい。
そこで、本願発明者は、剥離の進展を防止または抑制する技術について検討した。まず、ダイパッド10の上面10aの表面粗さを下面10bの表面粗さよりも粗くすることで、ダイパッド10と封止体7の密着面積を広くして、剥離の進展を抑制する構成について検討した。なお、本検討では、図7に示すように、上面10aの表面粗さを粗くする効果を検証するため、図6に示す穴(窪み部)11は設けない構造の半導体装置において、ダイパッド10の上面10aの表面粗さを粗くして評価した。また、上面10aの表面粗さを粗くする方法は、例えばニッケル膜などのめっき膜を形成する際に、故意に表面の粗いめっき金属表面を析出させる、所謂、粗化めっき法を用いた。粗化めっき法では、電気めっき時の電流密度やめっき液(金属イオン)の供給速度等を低下させることで、故意に表面の粗いめっき金属表面を析出させることができる。また、表面粗さの程度を表す指標として、平坦面に対する単位面積あたりの表面積の比(Sr)を用いて説明する。なお、表面粗さの程度を表す指標として、他に、単位長さあたりの凹凸量の平均値(Ra)などがある。本願発明者が実験的に確認した所、Sr=1.2の時、Raは30nm程度、Sr=1.6の時、Raは80nm程度となることが判っている。
本願発明者は、図6に示す複数の穴(窪み部)11を設けない構造の半導体装置H1(図7参照)において、ダイパッド10の上面10aの表面粗さを、Sr=1.2、1.4、1.6のそれぞれに設定して評価した。評価の結果、いずれの場合でも剥離はダイパッド10のワイヤボンディング領域(図7に示すボンディング領域12)まで進展することが判った。つまり、図7に示すように、ダイパッド10の上面10aの表面粗さを下面10bの表面粗さよりも粗くするのみでは、剥離の進展を十分に抑制できないことが判った。
そこで、本願発明者は、図7に示すように、ダイパッド10の上面10aの表面粗さを下面10bよりも粗くすることに加え、図8に示すように、ワイヤ5bがダイパッド10に接合されるボンディング領域(ワイヤボンディング領域)12と、半導体チップ3が搭載されるチップ搭載領域10dの間に、複数の穴11が形成された窪み部配置領域13(図8において、ハッチングを付して示す領域)を設けた。つまり、本実施の形態のダイパッド10の上面10aは、チップ搭載領域10dと複数のリード4の間に位置し、ワイヤ5bを接合するボンディング領域12を備える。また、上面10aは、ボンディング領域12とチップ搭載領域10dの間に配置され、複数の穴11が形成された窪み部配置領域13とを備える。さらに、図6に示すように、チップ搭載領域10d、ボンディング領域12、および窪み部配置領域13を含めた上面10aの表面粗さは、下面10bの表面粗さよりも粗い。
上記構成で剥離の進展を防止または抑制する効果を評価した結果、窪み部配置領域13において剥離の進展が阻害され、ボンディング領域12までは剥離が到達し難くなることが判った。つまり、剥離の進展を抑制できることが判った。特に、上面10aの表面粗さをSr=1.4以上とすれば、窪み部配置領域13において剥離の進展をほぼ確実に停止させられることが判った。
なお、確認のため、図8および図9に示す構成において、ダイパッド10の上面10aに図6に示すような粗化めっきを施さない半導体装置(図示は省略)についても評価を行った。この結果、粗化めっきを施さず、上面10aの表面粗さが、下面10bの表面粗さと同程度である場合には、複数の穴11が形成された窪み部配置領域13を設けても、剥離の進展を十分に抑制できないことが判った。つまり、窪み部配置領域13を設け、かつ、窪み部配置領域13を含む上面10aの表面粗さを下面10bよりも粗くすることで、剥離の進展を抑制できることが判った。
また、図8に示すように窪み部配置領域13に複数の穴11を形成する場合、剥離の進展を停止させる観点から、隣り合う穴11の間隔W1を穴11の開口径W2の2倍以下とすることが好ましい。また、隣り合う穴11の間隔W1を穴11の開口径W2以下とすれば、より確実に剥離の進展を停止できる点で特に好ましい。
また、本実施の形態では、剥離の進展を抑制する窪み部配置領域13をボンディング領域12とチップ搭載領域10dの間に設けることで、チップ搭載領域10d側からの剥離の進展がボンディング領域12まで進展することを抑制できる。つまり、ワイヤ5bとダイパッド10が接合されるボンディング領域12では剥離が発生し難いので、例えばワイヤ5bの破断などによる電気的接続信頼性低下を抑制できる。
ところで、ダイパッド10と封止体7が剥離する原因として、半導体チップ3とダイパッド10の接着部で剥離が発生し、該剥離がダイパッド10の周縁部に進展するモードについて説明した。しかし、本実施の形態のようにダイパッド10の下面10bを封止体7から露出させるタイプの半導体装置の場合、ダイパッド10と封止体7が剥離する原因には、他のモードがある。すなわち、ダイパッド10の露出部(下面10b)における封止体7とダイパッド10の密着界面から水分が侵入し、この水分により封止体7とダイパッド10が剥離する場合がある。
この剥離の原因となる水分は、主にパッケージの外部から侵入する。ダイパッド10の露出部の端部において、封止体7とダイパッド10が密着していれば水分の侵入を防止できる。しかし、ダイパッド10と封止体7の間に隙間がある場合、隙間に侵入した水分がダイパッド10に沿って内部に侵入し、ダイパッド10と封止体7の密着性を低下させる。ダイパッド10の下面10bが露出するように封止体7を形成する場合、ダイパッド10の下面10bの周縁部が余分な樹脂で覆われる状態となる場合がある。この余分な樹脂は、樹脂バリ、あるいはレジンフラッシュと呼ぶ。ダイパッド10の下面10bの周縁部に樹脂バリが形成されると、ダイパッド10の下面10bの接続面積が制限される。また、後の工程において、樹脂バリが落下することによる機能阻害を発生させる原因になるので、樹脂バリを除去するバリ除去工程が必要となる。しかし、この工程では例えばアルカリ薬液中などで樹脂バリとダイパッド10の界面を電気分解によって乖離させ除去する方法をとるため、封止体7とダイパッド10の間に隙間が形成され易くなる。つまり、樹脂バリの発生を抑制することにより、バリ除去工程を省略、またはバリ除去による樹脂へのストレスを軽減することができ、ダイパッド10と封止体7が剥離することを抑えることができる。
そこで、本願発明者は、樹脂バリの発生を抑制する技術について検討を行い、本実施の形態の構成を見出した。すなわち、図10に示すように、半導体装置1は、ダイパッド10の下面10bの周縁部に下面10bに連なる段差部14が設けられている。言い換えれば、ダイパッド10は側面10cの内側に、側面10cに連なる下面(面、段差面)14aを備え、下面14aは上面10aと下面10bの間の高さに位置する。図10に示すように、段差部14は、ダイパッド10の下面10bの周縁部を全周に亘って連続的に囲むように形成されている。また、半導体装置1は、ダイパッド10の下面10bの中央部と段差部14の間に溝部15が設けられている。溝部15は段差部14よりも内側(下面10bの中央部側)に形成され、下面10bの中央部の周囲を全周に亘って囲むように連続的に形成されている。
詳細は後述するが、ダイパッド10の下面10bの周縁部に設けられた段差部14は、封止体7を形成する工程において、樹脂の供給圧力によりダイパッド10の周縁部が変形することを抑制する機能を有する。また、段差部14の内側に形成された溝部15は、段差部14を越えてダイパッド10の中央部に向かって侵入した樹脂を堰き止めるダム部として機能する。
図10に示すように、ダイパッド10の下面10bの周縁部側から段差部14および溝部15を並べて配置することにより、溝部15の内側には封止体7を形成する際の樹脂の侵入を防止することができる。つまり、樹脂バリの発生を抑制することができる。そして、パッケージの外部からダイパッド10の上面10aへ侵入する水分の到達距離を長くすることができる。この結果、ダイパッド10の下面10b側からの水分の侵入を抑制し、水分侵入に起因したダイパッド10と封止体7の剥離を抑制できる。
また、段差部14と溝部15の深さ(ダイパッド10の厚さ方向の長さ)の関係は、図9に示すように段差部14の深さよりも溝部15の深さの方が深くすることが好ましい。言い換えると、ダイパッド10の厚さ方向において、段差部14の下面14aからダイパッド10の下面10bまでの距離は、溝部15の最深部からダイパッド10の下面10bまでの距離よりも短いことが好ましい。前記したように段差部14は、封止体7を形成する工程において、樹脂の供給圧力によりダイパッド10の周縁部が変形することを抑制する機能を有する。詳しくは、段差部14を設けることにより、下面10bの周縁部に樹脂の供給圧力が集中して、ダイパッド10の周縁部を上方に押し上げる現象を抑制する。したがって、段差部14は、圧力の集中が抑制可能な程度の深さがあれば良い。段差部14が極端に深くなると、平面視におけるダイパッド10の周縁部の板厚が薄くなるため、却って周縁部が変形する原因になる懸念がある。一方、溝部15は、前記したように段差部14を越えてダイパッド10の中央部に向かって侵入した樹脂を堰き止めるダム部として機能する。このため、溝部15を深くすることにより、余分な樹脂を収容する容量を大きくすることができる。つまり、図9に示すように段差部14の深さよりも溝部15の深さの方が深くすることで、効果的に樹脂バリの発生を抑制することができる。そして樹脂バリの発生を抑制することで、バリ除去工程によるダイパッド10の下面10b側からの水分の侵入を抑制し、水分侵入に起因したダイパッド10と封止体7の剥離を抑制できる。
また、図8および図9に示すように、本実施の形態では、ダイパッド10の上面10aは、ボンディング領域12とダイパッド10の周縁部(側面10c)の間に配置され、複数の穴(窪み部)11が形成された窪み部配置領域16、をさらに備える。このため、仮に、ダイパッド10の下面10b側から水分が侵入し、ダイパッド10と封止体7の剥離が発生した場合であっても、剥離がボンディング領域12まで進展することを防止することができる。つまり、窪み部配置領域13、16の間にボンディング領域を配置し、ボンディング領域12にワイヤ5bを接合することで、ワイヤ5bの破断等による電気的接続信頼性の低下を、より確実に防止できる。
ただし、本実施の形態のように、段差部14および溝部15を設けた場合には、ダイパッド10の下面側からの水分の侵入の可能性は大幅に低減できる。したがって、本実施の形態の変形例として、図8および図9に示す窪み部配置領域16は設けない構造にすることもできる。また、本実施の形態の他の変形例としては、図8および図9に示す段差部14や溝部15を形成せず、かつ、窪み部配置領域16を設けた構成にすることもできる。この場合、バリ除去工程追加によりダイパッド10の下面10bから水分が侵入する可能性は増大するが、窪み部配置領域16を設けることで、剥離の進展を止めることができる。
また、ダイパッド10の露出面積を最大化する観点から、溝部15は周縁部側に配置することが好ましい。また、本実施の形態のようにダイパッド10の上面10aおよび下面10bの両側に穴11や溝部15を設ける場合、ダイパッド10の強度確保の観点から、上面10a側の窪み部配置領域13、16と下面10b側の溝部15、段差部14が厚さ方向に重ならないようにすることが好ましい。したがって、ダイパッド10の強度を確保しつつ、かつ、ダイパッド10の露出面積を最大化する観点から、図9に示すように、溝部15は、窪み部配置領域13、16よりもダイパッド10の側面10cに近い位置に形成することが好ましい。
<半導体装置の製造工程>
次に、図1〜図10に示す半導体装置1の製造工程について、説明する。本実施の形態における半導体装置1は、図11に示す組立てフローに沿って製造される。図11は、図1〜図10に示す半導体装置の組み立てフローを示す説明図である。
1.リードフレーム準備工程;
まず、図11に示すリードフレーム準備工程として、図12に示すようなリードフレーム20を準備する。図12は、図11のリードフレーム準備工程で準備するリードフレームの全体構造を示す平面図、図13は、図12に示す複数の製品形成領域のうちの一部の拡大平面図である。また、図14は図13に示すリードフレームの拡大断面図である。
本工程で準備するリードフレーム20は、外枠20bの内側に複数の製品形成領域20aを備えている。図12に示す例では、リードフレーム20は、行方向に14個、列方向に4個の製品形成領域20aが、マトリクス状に配置され、合計56個の製品形成領域20aを備えている。リードフレーム20は、金属から成り、本実施の形態では、例えば銅(Cu)、または銅(Cu)からなる基材の表面に例えばニッケル(Ni)からなる金属膜(図示は省略)が形成された積層金属膜から成る。
また、各製品形成領域20aの間には、各製品形成領域20aの周囲をそれぞれ囲む枠部(ダム部)20cが配置されている。図13に示すように枠部20cは、複数のリード4の周囲を囲むように形成され、図12に示す外枠20bと一体に形成されている。
また、図13に示すように、各製品形成領域20aの中央部には、平面視において四角形を成すダイパッド10が形成されている。ダイパッド10の4つの角部には、それぞれ複数の吊りリード9が接続され、製品形成領域20aの角部に向かって延びるように配置されている。また、ダイパッド10の周囲には、複数の吊りリード9の間に、それぞれ複数のリード4が形成されている。また、複数のリード4は、ダイパッド10に対して、複数のリード4よりも外側に配置される枠部20cにそれぞれ接続されている。言い換えれば、リードフレーム20は、枠部20c、平面視において枠部20cの内側に配置されたダイパッド10、ダイパッド10と枠部20cを連結する複数の吊りリード9、およびダイパッド10と枠部20cの間に配置され枠部20cに接続される複数のリード4、を備えている。また、複数のリード4は、タイバー(ダム部)21を介して連結されている。このタイバー21は、後述する封止体形成工程において、樹脂の漏れを堰き止めるダム部として機能する。つまり、平面視における封止体7(図1参照)の輪郭は、ダイパッド10の周囲を囲むタイバー21により規定される。
また、各製品形成領域20aの中央部に配置されるダイパッド10の上面10aには、図6〜図9を用いて説明した複数の穴(窪み部)11、が形成されている。詳しくは、ダイパッド10の上面10aには、後述するワイヤボンディング工程でワイヤを接合するボンディング領域(ワイヤボンディング領域)12が設けられる。また、後述する半導体チップ搭載工程で、半導体チップが搭載されるチップ搭載領域10dとボンディング領域12の間に、複数の穴11が形成された窪み部配置領域13が設けられる。また、図6を用いて説明したように、ダイパッド10の上面10aの表面粗さは下面10bよりも粗くなっている。また、図13に示す例では、ダイパッド10の上面10aは、ボンディング領域12とダイパッド10の周縁部(側面10c)の間に配置され、複数の穴(窪み部)11が形成された窪み部配置領域16、をさらに備える。また、平面図は図示を省略するが、図14に示すように、ダイパッド10の下面10bには、図10を用いて説明した段差部14および溝部15が形成されている。
上記したリードフレーム20は、例えば図1に示すフローによって製造される。まず、パターニング工程では、基材となる金属板(図示は省略)を準備して、該金属板に図13に示す製品形成領域20a内の構成部材(ダイパッド10、複数のリード4およびタイバー21)の外形形状を成形する。成形方法は特に限定されないが、例えばパンチとダイを用いたプレス加工、あるいはエッチングにより成形することができる。
次に、窪み部形成工程では、ダイパッド10の上面10aに複数の穴11を形成する。詳しくは、ボンディング領域12とチップ搭載領域10dの間の窪み部配置領域13に、複数の穴11を形成する。また、ボンディング領域12とダイパッド10の周縁部(側面10c)の間の窪み部配置領域16にも複数の穴11を形成する。穴11を形成する方法としては、例えば、エッチングマスクを用いたエッチング法により、あるいはプレス加工により形成することができる。また、図10を用いて説明したように、ダイパッド10の下面10b側に段差部14および溝部15を形成する場合には、本工程で形成することができる。段差部14および溝部15の形成方法としては、例えば、エッチングマスクを用いたエッチング法により、あるいはプレス加工により形成することができる。
次に、表面粗化工程では、上面10aの表面粗さを粗くする。上面10aの表面粗さを粗くする方法は、例えばニッケル膜などのめっき膜を形成する際に、故意に表面の粗いめっき金属表面を析出させる、所謂、粗化めっき法を用いることができる。粗化めっき法では、電気めっき時の電流密度やめっき液(金属イオン)の供給速度等を低下させることで、故意に表面の粗いめっき金属表面を析出させることができる。またこの時、図6に示すように、下面10bよりも上面10aの方が、表面粗さが粗くなるようにする場合、下面10b側を図示しないマスクで覆った状態で、電気めっきを施す。これにより、下面10b側には、表面の粗いめっき金属表面が形成され難く、相対的に上面10aよりも平坦度が高い下面10bを得ることができる。
次に、オフセット工程では、図14に示すように、ダイパッド10の上面10a位置(高さ)が、リード4(インナリード部4a)の位置(高さ)よりも低い位置となるように加工(オフセット加工)する。オフセット加工の方法は、例えば、成形金型を用いてプレス加工することにより、吊りリード9(図13参照)を変形させて、オフセット(ダウンセット)することができる。
なお、図11では表面粗化工程の後、オフセット工程を行う実施態様を示している。本実施の形態では、図12に示すように多数の製品形成領域20aを備えるリードフレーム20に対して一括処理を施すことで、製造効率の向上を図る。しかし、表面粗化工程において、ダイパッド10の下面10bの位置がばらつくと、一部の製品形成領域20aにおいて、下面10b側に表面の粗いめっき金属表面が形成される懸念がある。そこで、図11に示すように表面粗化工程の後、オフセット工程を行えば、上面10aよりも平坦度が高い下面10bを得ることができる。
ただし、変形例としては、オフセット工程を先に行った後、表面粗化工程を行うこともできる。この場合、プレス加工によりダイパッド10の上面10aがつぶされる懸念がないので、オフセット工程において、強い圧力で加工することができる。
2.半導体チップ搭載;
次に、図11に示す半導体チップ搭載工程として、図15および図16に示すように半導体チップ3を、ダイパッド10上にダイボンド材8を介して搭載する。図15は、図13に示すダイパッド上に、ボンディング材を介して半導体チップを搭載した状態を示す拡大平面図、図16は、図14に示すダイパッド上に、ボンディング材を介して半導体チップを搭載した状態を示す拡大断面図である。
本実施の形態では、図16に示すように、半導体チップ3の裏面3b(複数のパッドPDが形成された表面3aの反対側の面)をダイパッド10の上面10aと対向させた状態で搭載する、所謂フェイスアップ実装方式で搭載する。また、図15に示すように、半導体チップ3はダイパッド10の中央部に、表面3aの各辺が、ダイパッド10の各辺に沿って配置されるように搭載する。
本実施の形態では、例えば、エポキシ系の熱硬化性樹脂であるダイボンド材8を介して半導体チップ3を搭載するが、ダイボンド材8は、硬化(熱硬化)させる前には流動性を有するペースト材である。このようにペースト材をダイボンド材8として用いる場合には、まず、ダイパッド10上に、ダイボンド材8を塗布し、その後、半導体チップ3の裏面3bをダイパッド10の上面10aに接着する。そして、接着後に、ダイボンド材8を硬化させる(例えば熱処理を施す)と、図16に示すように、半導体チップ3はダイボンド材8を介してダイパッド10上に固定される。
なお、本実施の形態では、ダイボンド材8に、熱硬化性樹脂からなるペースト材を用いる実施態様について説明したが、種々の変形例を適用することができる。例えば、ペースト材ではなく、両面に接着層を備えるテープ材(フィルム材)である接着材を、予め半導体チップ3の裏面3bに貼り付けておき、テープ材を介して半導体チップ3をダイパッド10上に搭載しても良い。
また、本実施の形態では、チップ搭載領域10dを含む上面10aの全体が粗面化された状態で半導体チップ3を搭載する。このため、ダイボンド材8とダイパッド10の密着界面の面積が増加するので、ダイボンド材8の剥離を抑制できる。したがって、剥離の進展を止める観点からは、チップ搭載領域10dの表面粗さは問わないが、ダイボンド材8とダイパッド10の剥離を抑制する観点からは、チップ搭載領域10dの表面粗さを下面10bよりも粗くすることが好ましい。
3.ワイヤボンディング工程;
次に、図11に示すワイヤボンディング工程として、図17および図18に示すように、半導体チップ3の複数のパッドPDと複数のリード4とを、複数のワイヤ(導電性部材)5aを介して、それぞれ電気的に接続する。また、本工程では、ワイヤ5bを介して半導体チップ3とダイパッド10を電気的に接続する。図17は、図15に示す半導体チップと、複数のリードおよびダイパッドを、ワイヤを介して電気的に接続した状態を示す拡大平面図、図18は、図16に示す半導体チップと複数のリードを、ワイヤを介して電気的に接続した状態を示す拡大断面図である。
本工程では、例えば図18に示すように、各製品形成領域20aのダイパッド10上に半導体チップ3が搭載されたリードフレーム20を、ヒートステージ(加熱台)30に配置する。そして、半導体チップ3の複数のパッドPDと複数のリード4とを、複数のワイヤ5aを介して電気的に接続する。また本工程では、複数のパッドPDの一部とダイパッド10のボンディング領域12を、ワイヤ5bを介して電気的に接続する。ワイヤ5は金属からなり、本実施の形態では、例えば金(Au)からなる。
ワイヤ5の接続方式は、例えば図18に示すキャピラリ31を介してワイヤ5を供給し、超音波と熱圧着を併用してワイヤ5を接合する、所謂、ネイルヘッドボンディング方式によりワイヤ5を接続する。本実施の形態では、接合強度を向上させるため、接合対象物であるパッドPD、リード4およびダイパッド10のワイヤボンディング領域をそれぞれ加熱した状態で接合する。パッドPD、リード4およびダイパッド10に熱を供給する熱源は、例えば、ヒートステージ30に内蔵されたヒータ32である。詳しくは、ヒートステージ30のダイパッド保持面30aとダイパッド10の下面10bを密着させることで、ダイパッド10の下面10b側からダイパッド10および半導体チップ3が備えるパッドPDを加熱する。また、ヒートステージ30のリード保持面30bとリード4の下面を密着させることで、リード4の下面側からリード4の上面(ワイヤボンディング領域が配置される面)を加熱する。このように被接合部材であるパッドPD、リード4、およびダイパッド10のワイヤボンディング領域を加熱することで、ワイヤ5と、被接合物の接合強度を向上させることができる。
ここで、ダイパッド10の下面10bが上面10aと同様に粗面化されている場合、ヒートステージ30のダイパッド保持面30aとダイパッド10の接触面積が低下するので、ダイパッド10を加熱する熱効率が低下する。しかし、本実施の形態では、前記したように、ダイパッド10の下面10bには、粗化めっき膜が形成されにくいため、下面10bは上面10aよりも平坦な面となっている。したがって、ヒートステージ30のダイパッド保持面30aとダイパッド10の接触面積の低下による加熱効率の低下を抑制できる。
また、本実施の形態では、ダイパッド10の上面10aに設けられたボンディング領域12の表面粗さは下面10bよりも粗い。したがってワイヤ5とボンディング領域12を接合する際の接合面積が増大するので、接合強度をさらに向上させることができる。
4.封止体形成工程;
次に、図11に示す封止体形成工程として、図19および図20に示すように、封止体(樹脂体)7を形成し、半導体チップ3(図20参照)、複数のワイヤ5(図20参照)、リード4のインナリード部、およびダイパッド10(図20参照)の上面10a(図20参照)を封止する。図19は、図17に示すリードフレームの製品形成領域に、封止体を形成した状態を示す拡大平面図、図20は図18に示すリードフレームの製品形成領域に、封止体を形成した状態を示す拡大断面図である。また、図21は、図20の一部を拡大した断面において、封止用の樹脂の流れを模式的に示す説明図である。
本工程では、まず、図20に示すように、金型面(第1金型面)36a、およびこの金型面36aに形成されたキャビティ(凹部)36bを有する上型(第1金型)36と、上型36の金型面36aに対向する金型面(第2金型面)37a、およびこの金型面37aに形成されたキャビティ(凹部)37bを有する下型(第2金型)37とを備えた成形金型35を準備する。そして、半導体チップ3およびダイパッド10が上型36のキャビティ36bおよび下型37のキャビティ37b内に位置するように、ワイヤボンディング工程を施したリードフレーム20を成形金型35の内部(上型36と下型37との間)に配置する。ここで、本実施の形態では、ダイパッド10の下面10bを、封止体7の下面7b側において露出させるため、下面10bは、下型37のキャビティ37bの底面に当接さる。
次に、リードフレーム20を上型36と下型37とでクランプする。このとき、リードフレーム20をクランプする際には、リードフレーム20に形成された複数のリード4の一部(少なくとも図19に示すタイバー21と重なる部分)をクランプしている。そして、リード4の一部(インナリード部4a)はキャビティ36b、37b内に配置され、リード4の他部(アウタリード部4b)は、キャビティ36b、37bの外側で、成形金型35により、クランプされる。また、キャビティ37bは、その深さ(金型面37aの高さからキャビティ37bの底面の高さまでの距離)が、ダイパッド10のオフセット量に応じて(オフセット量とキャビティ37bの深さが同じになるように)形成されている。このため、リードフレーム20を上型36と下型37とでクランプすると、ダイパッド10の下面10bは、下型37のキャビティ37bの底面と密着する。
次に、リードフレーム20を上型36と下型37とでクランプした状態で、上型36のキャビティ36bおよび下型37のキャビティ37bを重ね合わせて形成される空間内に樹脂(例えば加熱により軟化させた樹脂)7p(図21参照)を供給し、半導体チップ3、複数のワイヤ5、複数のリード4の一部(インナリード部4a)、およびダイパッド10の上面10aをこの封止用の樹脂7pで封止する。そして、供給された樹脂7pを熱硬化させることで、封止体7を形成する。このような封止方式をトランスファモールド方式と呼ぶ。
トランスファモールド方式では、供給部(ゲート部)からキャビティ36b、37b内部に樹脂を供給(圧入)し、排出部(ベント部)からキャビティ36b、37b内の残ガスや余剰な樹脂7p(図21参照)を排出する。キャビティ36b、37bに対する供給部の位置により分類すると、キャビティの36bの上方に供給部を配置するトップゲート方式、およびキャビティ36b、37bの側面側に供給部を配置するサイドゲート方式に大別できる。本実施の形態では、成形金型の小型化の観点、あるいは、成形金型のメンテナンスの容易さの観点で有利なサイドゲート方式を適用している。
本実施の形態では、図20に示すようにダイパッド10の下面10bが露出するように封止体7を形成するが、前記したようにダイパッド10を露出させる場合、ダイパッド10の下面10b側に余分な樹脂7p(図21参照)が回り込んで、樹脂バリが形成され易い。そして、樹脂バリが発生すると、樹脂バリ除去工程を追加する必要性が生じ、封止体7とダイパッド10の下面10bの間に隙間が形成され易くなる。このため、封止体7とダイパッド10の間の隙間から水分が侵入し易くなる。つまり、樹脂バリの発生を抑制することにより、パッケージ外部からの水分の侵入を抑制することができる。
そこで、本実施の形態では、図21に示すようにダイパッド10の下面10bの周縁部に下面10bに連なる段差部14が設けられた構成とした。言い換えれば、ダイパッド10は側面10cの内側に、側面10cに連なる下面(面、段差面)14aを備え、下面14aは上面10aと下面10bの間の高さに位置する。また前記したように、段差部14は、ダイパッド10の下面10bの周縁部を全周に亘って連続的に囲むように形成されている。また、ダイパッド10には、ダイパッド10の下面10bの中央部と段差部14の間に溝部15が設けられている。溝部15は段差部14のよりも内側(下面10bの中央部側)に形成され、下面10bの中央部の周囲を全周に亘って囲むように連続的に形成されている。
図21に矢印7sを付して示すように、キャビティ36b、37b内に供給された樹脂7pの一部はダイパッド10の側面10cに当たって、進行方向が変化する。しかし、段差部14を設けない場合には、樹脂7pの供給圧力が側面10cの下端部(下面10bとの境界)に集中し、ダイパッドの周縁部を上方に持ち上げる力として作用する。ここで、本実施の形態のように、段差部14を設ければ、樹脂7pの供給圧力を周囲に分散させることができるので、樹脂7pの供給圧力によるダイパッド10の変形を抑制できる。
ただし、本願発明者の検討によれば、段差部14を設けることで、樹脂7pの供給圧力が局所的に集中することを抑制できるが、樹脂7pの一部が、段差部14を超えてダイパッド10の下面10b側に回り込む場合があることが判った。そこで、本実施の形態では、ダイパッド10の下面10bの中央部と段差部14の間に溝部15を設ける構成とした。段差部14の内側に形成された溝部15は、段差部14を越えてダイパッド10の中央部に向かって侵入した樹脂を堰き止めるダム部として機能する。したがって、樹脂7pの一部が段差部14を超えた場合であっても、溝部15内に埋め込まれるので、溝部15において樹脂7pの侵入を堰き止めることができる。
次に、キャビティ36b、37b内に供給された樹脂7pを硬化させることで、図19および図20に示す封止体7が得られる。樹脂7pに、例えばエポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂を用いれば、加熱処理を施すことで、硬化させることができる。
5.外装めっき工程;
次に、図11に示す外装めっき工程として、図22に示すように封止体7から露出する複数のリード4の露出面(アウタリード部4b)に金属膜(外装めっき膜、半田膜)SDを形成する。図22は、図20に示す封止体から露出する複数のリードおよびダイパッドの露出面に金属膜(外装めっき膜、半田膜)を形成した状態を示す拡大断面図である。
本工程では、被めっき加工物であるリードフレーム20を、めっき液(図示は省略)が入っためっき槽(図示は省略)内に配置して、例えば、電解めっき法により金属膜SDを形成する。この電解めっき法によれば、封止体7から露出しているリードフレーム20の各領域に一括して外装めっき膜を形成することができる。したがって、リード4の露出部に加え、ダイパッド10の露出部を覆うように金属膜SDが形成される。また、枠部20cにも金属膜SDが形成される。
6.リード成形工程;
次に、リード成形工程として、リードフレーム20の枠部20cに連結された複数のリード4の連結部を切断した後、リード4に曲げ加工を施して成形する。図23は、図11に示す外装めっき工程で金属膜を形成した複数のリードを、リードフレームの枠部から切断し、成形した状態を示す拡大平面図である。なお、図23に対する断面図は、図4と同様なので図示は省略する。
本工程では、まず、枠部20cにそれぞれ連結されて一体化している複数のリード4を連結部で切断し、それぞれ独立した部材とする(リードカット工程)。なお、複数のリード4を連結するタイバー21は、封止体工程の後、かつ、外装めっき工程の前に隣り合うリードの間で切断しておく(タイバーカット工程)。このタイバーカット工程は、外装めっき工程の後で行うこともできるが、外装めっき工程の前にタイバー21を切断することで、切断面にも金属膜SDが形成される。したがって、図1に示す半導体装置1を実装する際の半田の濡れ性を向上させる観点からは、外装めっき工程の前にタイバー21を切断することが好ましい。
タイバーカット工程およびリードカット工程では、リードフレーム20の一方の面(例えば下面)側にダイ(支持部材;図示は省略)、他方の面(例えば上面)側にパンチ(切断刃;図示は省略)をそれぞれ配置してプレスすることでリード4を切断する。このようにプレス加工により切断されたリード4の端部は、図4に示すように、略平坦な切断面を有し、切断面において、リード4の基材が金属膜SDから露出する。本工程により、複数のリード4は、それぞれが分離した独立部材となる。
次に、切断された複数のリード4に曲げ加工を施して成形する(曲げ加工工程)。本実施の形態では、例えば、図4に示すようにアウタリード部4bをガルウィング状に成形する。また、必要に応じて、リード4(アウタリード部4b)の先端をさらに切断し、リード4の長さを調整する工程を行っても良い。
7.個片化工程;
次に、図11に示す個片化工程として、図24に示すように、枠部20cに連結されている複数の吊りリードを切断し、製品形成領域20a毎に個片化して複数の半導体装置1を取得する。図24は、図23に示すリードフレームの吊りリードを切断し、枠部(ダム部)から切り離した状態を示す拡大平面図である。
個片化方法は特に限定されないが、前記したリードカット工程と同様に、図示しない切断金型を用いてプレス加工により切断する方法を適用することができる。本工程の後、外観検査、電気的試験など、必要な検査、試験を行い、合格したものが、図1〜図10に示す完成品の半導体装置1となる。そして、半導体装置1は出荷され、あるいは図示しない実装基板に実装される。
<変形例>
以上、本願発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
例えば、前記実施の形態では、ダイパッド10の下面10bが露出する半導体パッケージの例としてQFP型の半導体装置1を取り上げて説明した適用される半導体パッケージはQFP型には限定されない。例えば図25に示すように複数のリード4の一部が、封止体7の下面において露出する、QFN(Quad Flat Non-leaded package)型の半導体装置40に適用することができる。図25は図4に対する変形例である半導体装置を示す断面図である。また、図26は、図25に示す半導体装置の一部の拡大断面図であって、図9に対する変形例となっている。
図25および図26に示すQFN型の半導体装置40は、ダイパッド10の位置がオフセットされず、リード4と同じ位置に配置されている点、および複数のリード4が封止体7の下面7bにおいて露出している点で、図4に示す半導体装置1と相違する。その他の点は前記実施の形態で説明した半導体装置1と同様である。したがって、図26に示すように、前記実施の形態で説明したダイパッド10の各構成を適用することにより、半導体装置1で説明した各効果が得られる。
また、前記実施の形態では、ダイパッド10の上面10aの窪み部配置領域13、16に、それぞれ複数の穴11を形成する実施態様について説明した。しかし、変形例として、図27に示す半導体装置41のように、窪み部配置領域13、16に、それぞれ溝(窪み部)17を形成することができる。封止体7(図9参照)とダイパッド10の剥離の進展を確実に停止させる観点からは、溝17を形成する方がより好ましい。
ただし、図27に示すように、窪み部配置領域13、16の両方に溝17を形成する場合、ワイヤ5bが溝17内に接合されないように、ワイヤ5bを接合するボンディング領域12の幅(窪み部配置領域13、16の配置間隔)P1を広くする必要がある。一方、図8に示すように、窪み部配置領域13、16にそれぞれ複数の穴11を形成した場合、隣り合う穴11で囲まれた領域にワイヤ5bを接合できる。このため、ワイヤ5bを接合するボンディング領域12の幅(窪み部配置領域13、16の配置間隔)P2を狭くすることができる。
つまり、ダイパッド10の平面積を小さくして半導体装置の小型化を図る観点からは、図8に示すように、窪み部配置領域13、16にそれぞれ複数の穴11を形成する態様が好ましい。または、図示は省略するが、窪み部配置領域13、16のいずれか一方に複数の穴11を形成することが好ましい。なお、上記した変形例は、図25および図26を用いて説明したQFN型の半導体装置40に適用できることは言うまでもない。
また、前記実施の形態説明した半導体装置1では、図9に示すように、ダイパッド10の上面10aに窪み部配置領域13、16を設け、かつ、下面10bに段差部14および溝部15を設けた構成について説明したが、変形例としては、上記のうちの一部を適用することができる。図28および図29は、図9に対する他の変形例を示す拡大断面図である。
例えば、図28に示す半導体装置42は、図9に示す段差部14および溝部15が形成されていない点で図9に示す半導体装置1と相違する。半導体装置1では、段差部14および溝部15を設けないため、ダイパッド10の下面10bの周縁部を覆うように樹脂バリ7zが形成され易い。このため、樹脂バリ除去工程を追加する必要が生じ、封止体7とダイパッド10の間の隙間から水分が侵入する場合が考えられる。しかし、半導体装置42では、窪み部配置領域16を設けているので、窪み部配置領域16においてダイパッド10と封止体7の剥離の進行を遅らせることができる。ただし、ダイパッド10と封止体の界面に水分が侵入すると、錆などの原因となることが考えられるため、樹脂バリ7zを防止する観点から、図9に示すように段差部14および溝部15を形成することが好ましい。
また、例えば、図29に示す半導体装置43は、図9に示す窪み部配置領域16が設けられていない点で図9に示す半導体装置1と相違する。このように、図9に示す窪み部配置領域16を設けないことで、ダイパッド10の平面積を小さくすることができる。このため、半導体装置43は図9に示す半導体装置1よりも小型化することができる。一方、図9に示す窪み部配置領域16を設けなければ、例えば、ダイパッド10の側面10cにおいて封止体7とダイパッド10が剥離すると、その剥離がワイヤ5bの接合部まで進展する懸念がある。しかし、前記したように、ダイパッド10の側面10c側からの剥離は、水分の侵入に起因して発生することが多く、樹脂バリ7z(図28参照)の発生を抑制することで、バリ除去工程を省略、またはバリ除去による樹脂へのストレスを軽減することができ、剥離の発生を大幅に抑制することができる。
また、図示は省略するが、ダイパッド10(図9参照)の上面に窪み部配置領域13、16(図9参照)を配置せず、下面10b(図9参照)に段差部14(図9参照)および溝部15(図9参照)を配置した場合には、剥離の進展を停止させることは困難になるが、水分侵入の原因となる樹脂バリ工程を要する樹脂バリ7z(図28参照)の発生は抑制できる。
また、前記実施の形態では、封止体7を形成した後で、例えば半田から成る金属膜(外装めっき膜)SDを形成することで、図示しない実装基板に実装する際の半田の濡れ性を向上させる方法(後めっき法)について説明したが、以下の変形例を適用することができる。すなわち、半導体装置の端子表面における半田の濡れ性を向上させる技術として前述した、後めっき法の他、リードフレームの表面にあらかじめ金属膜を形成しておく、所謂、先めっき法がある。前記実施の形態で説明した技術は、この先めっき法の場合にも適用することができる。
先めっき法を適用した場合には、図11に示すリードフレーム準備工程において、例えば窪み部形成工程と表面粗化工程の間に、半田の濡れ性を向上させる表面金属膜をリードフレームの露出面全体に形成する、表面金属膜形成工程が追加される。この表面金属膜形成工程では、例えば、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、金(Au)からなる表面金属膜をめっき法により形成する。また、先めっき法を適用した場合には、図11に示す外装めっき工程を省略できる。このため、先めっき法を適用した半導体装置の場合、図9に示すような半田からなる金属膜SDは形成されない。また、先めっき法を適用した半導体装置の場合、ダイパッド10およびリード4の表面(上面および下面)全体に、例えば、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、金(Au)からなる表面金属膜が形成される。
また、図25〜図29を用いて説明した各変形例の構成を組み合わせて適用することができる。