JP2017101530A - 騒音低減構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】建物の換気用開口部における騒音低減構造として、構成部材の種類及び数を削減でき、構造の単純化、装置の小型化、軽量化を図ることが可能なものを提供する。【解決手段】本発明に係る騒音低減装置1は、スリット状開口部50を有する共鳴器10が、建物の開口部100の内壁における壁面に、配されることを特徴とする。【選択図】 図4

Description

本発明は、建物の換気用開口部からの騒音を低減する騒音低減構造に関する。
ダクトなどを伝搬する低周波騒音など、1次元的な伝搬をする音場において、ダクトの壁面に音響管を配置することで、それより下流側、すなわち騒音の出口側に伝搬する騒音を低減する方法が、特許文献1や特許文献2などで提案されている。
特許文献1や特許文献2記載の方法では、音響管の管長が波長の1/4と等しくなる周波数及びその奇数倍の周波数で騒音低減効果が得られる。
特許第3831263号公報 特許第5454369号公報
ところで、建物の消費エネルギーを減らすために、建物の外壁に開口を設けて外気を自然導入する換気システムが採用される場合がある。建物の外装壁120と内装壁110との間に設けられた換気用開口部100の一例を図1に示す。
このような換気用開口部100における開口を通して屋外騒音が室内に伝搬するため、室内騒音のレベルが上昇し静音性が確保できなくなることが自然換気システムの課題の一つである。
換気用開口部100における外気導入経路、即ち、騒音伝搬経路を吸音処理する騒音対策法が採られることがある。しかしながら、一般に吸音材は高周波数に対して効果的であるが、低周波数に対しては大きな効果は期待できない。
そこで、特許文献1や特許文献2記載の技術を換気用開口部100に適用することが考えられる。
特許文献1記載の技術によれば、周波数の低い騒音、すなわち波長の長い騒音に対して騒音低減効果を得たい場合には、管長の長い音響管が必要になり、騒音低減構造が大型化する、ということが問題となる
特許文献2では、長い音響管を折り曲げることで装置を小型化する試みがなされているが、これでは、構造が複雑化し、構成部材の種類・数が多くなる、といった問題が発生することとなる。なお、このような問題は、広い周波数範囲で騒音低減効果を得るために異なる長さの音響管を組み合わせた装置では特に顕著となる。
特許文献1や特許文献2記載の方法による、換気用開口部100における騒音低減構造によれば、矩形断面を持つ音響管を多数構成するために多くの仕切り板を必要とし、このことも構造の複雑化と、装置全体の重量化を招くこととなる。以上、特許文献1や特許文献2記載の換気用開口部100における騒音低減構造は、複雑な構造、構成部材の種類・数の多さ、装置の重量化、製造及び組み立てコストの増大などといった種々の問題があった。
この発明は、上記課題を解決するものであって、本発明に係る騒音低減構造は、スリット状開口部を有する共鳴器が、建物の開口部の内壁における壁面に、配されることを特徴とする。
また、本発明に係る騒音低減構造は、スリット状開口部を有する共鳴器が、建物の開口部における内装壁と外装壁との間の空間に、配されることを特徴とする。
また、本発明に係る騒音低減構造は、スリット状開口部を有する共鳴器が、建物の開口部が設けられている内装壁に、配されることを特徴とする。
また、本発明に係る騒音低減構造は、スリット状開口部を有する共鳴器が、屈曲した建物の開口部の内壁における壁面に、配されることを特徴とする。
また、本発明に係る騒音低減構造は、前記共鳴器が、前記スリット状開口部が対向するように対で配されることを特徴とする。
また、本発明に係る騒音低減構造は、前記共鳴器が仕切り板部材によって複数の区画に分けられていることを特徴とする。
また、本発明に係る騒音低減構造は、前記共鳴器が、一面が開口面である箱状の外殻部材と、L型部材と、からなることを特徴とする。
また、本発明に係る騒音低減構造は、前記共鳴器が、一面が開口面である箱状の外殻部材と、L型部材と、仕切り板材とからなることを特徴とする。
また、本発明に係る騒音低減構造は、前記共鳴器が、空気層を有することを特徴とする。
また、本発明に係る騒音低減構造は、前記共鳴器が、空気層を有さないことを特徴とする。
本発明に係る騒音低減構造は、音響インピーダンス比が0となるスリット状開口部を有する共鳴器が、例えば、建物の開口部の内壁における壁面に、配されるので、このような本発明に係る騒音低減構造によれば、換気用開口部100における騒音低減構造として、構成部材の種類及び数を削減でき、構造の単純化、装置の小型化、軽量化を図ることが可能となると共に、製造及び組み立てコストを抑制することが可能となる。
本発明の実施形態に係る騒音低減構造1が適用される換気用開口部100を示す図である。 本発明の実施形態に係る騒音低減構造1の原理を説明する図である。 本発明の実施形態に係る騒音低減構造1に用いる共鳴器10を説明する図である。 本発明の実施形態に係る騒音低減構造1の換気用開口部100への適用例を示す図である。 本発明の実施形態に係る騒音低減構造1に用いる共鳴器10の製造工程例を説明する図である。 本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1の換気用開口部100への適用例を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1の換気用開口部100への適用例を示す図である。 屈曲換気路130を有する換気用開口部100を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1の換気用開口部100への適用例を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1の換気用開口部100への適用例を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1の換気用開口部100への適用例を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1に用いる共鳴器10を説明する図である。 本発明の他の実施形態に係る騒音低減装置1を換気用開口部100に適用した際の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る騒音低減装置1を換気用開口部100に適用した際の断面図である。 数値解析対象を示す図である。 数値解析の結果を示す図である。 本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1に用いる共鳴器10を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。まず、本発明に係る騒音低減構造1が採用する騒音低減方法の原理について説明する。図1は本発明の実施形態に係る騒音低減構造1が適用される換気用開口部100を示す図である。図2は本発明の実施形態に係る騒音低減構造1の原理を説明する図である。図2は換気用開口部100における内壁のみを抜き出して示す図である。
換気用開口部100などの管路の内部を騒音が伝搬するとき、換気用開口部100の寸法断面(騒音伝搬方向に対して垂直な面)が騒音の波長に比べて半分以下の場合、騒音は管路内を平面波として一次元的に伝搬する。
図2は、換気用開口部100における内壁の斜視図である。以下、本明細書中の実施形態に係る換気用開口部100においては、上流側(建物外の屋外側)に騒音源が存在し、騒音源からの騒音が下流側(建物内の室内外)に伝搬されることを例として説明を行う。また、換気用開口部100の長手方向は水平方向に設置されることを前提として説明するが、換気用開口部100の設置方法はこのような例に限られない。
この換気用開口部100においては、換気用開口部100を形成する4つの内壁105は通常の壁面を想定しており、斜視図の上下で対向する2つの内壁105は、音響的に“ソフト”な状態であることを想定している。
図1に示すように、換気用開口部100内側で対向する壁面が音響的に“ソフト”な状態、すなわち、壁面の表面における音響インピーダンス比Zが0であるとき、上流側から伝搬してきた騒音は上流側へ反射され下流側へ伝搬しないことが知られている。
なお、本実施形態では、表面における音響インピーダンス比Zが0である対向する2つの壁面が、鉛直方向で対向する例に基づいて説明を行っているが、表面における音響インピーダンス比Zが0である対向する2つの壁面が、水平方向で対向するものであってもよい。
既存技術(特許文献1及び特許文献2記載の技術)は、音響管の管長が1/4波長と等しくなる周波数及びその奇数倍の周波数で、当該音響管の管口での音響インピーダンス比Zが0となることを利用している。
本発明に係る騒音低減構造1では、図3に示す背後に密閉された空洞を持つスリット構造による共鳴現象が生じる共鳴器10を利用する。図3(A)は共鳴器10の斜視図である。また、図3(B)は、図3(A)の共鳴器10のスリット状開口部50の長手方向を垂直で切って見た断面図である。
図3に示すように、本発明に係る騒音低減構造1に用いる共鳴器10は、基本的に、内側の空間が中空である四角柱状の筐体40から構成されている。共鳴器10を構成する筐体40の一面には、長手状のスリット状開口部50と、このスリット状開口部50の両側に配され、共鳴器10の内側の空間に延在する隔壁部60と、を有することを特徴としている。ここで、共鳴器として機能する共鳴器10の各寸法は図2に示す記号で表す。なお、スリット状開口部50が構成されている筐体40の一面と、隔壁部60とは互いに直交している。
共鳴器10の各寸法が波長に対して十分に小さい場合、スリット状開口部50における音響インピーダンス比Zは次式(1)で求めることができる。
Figure 2017101530
ただし、fは騒音の周波数、cは音速、ρは媒質(空気)密度を表す。また、Vnは、スリット状開口部50と隔壁部60とで囲まれた、図2(B)の斜線部以外の空間の体積で、開口端補正を考慮して次式(2)で計算される。なお、式(2)における[ ]内の第2項が、開口端補正に関連する項である。また、図3(B)で斜線部の空間は、共鳴器として機能する共鳴器10の空気層に相当する。
Figure 2017101530
また、Vは共鳴器10の空洞部の体積(空気層の体積)で、次式(3)で計算される。
Figure 2017101530
また、Sは、スリット状開口部50(スリット開口)の面積で、次式(4)で計算される。
Figure 2017101530
式(1)の右辺第1項のrは、共鳴器として機能する共鳴器10の隔壁部60表面と空気の間に生じる摩擦などの音響抵抗である。隔壁部60を金属など表面が平滑な材料で構成する場合、音響抵抗rは極めて小さな値となり、次式を満足する共鳴周波数fにおいてスリット状開口部50の開口における音響インピーダンス比Zがほぼ0となる。
Figure 2017101530
このような共鳴器として機能する、2つの共鳴器10を、図4に示すように、換気用開口部100の上下の内壁105に沿って対向配置すると、上記の周波数fにおいては対向するスリットスリット部が音響的に“ソフト”な状態となり、上流側から伝搬してきた周波数fの騒音は上流側へ反射され下流側に伝搬しない。
図4は本発明の実施形態に係る騒音低減構造1の換気用開口部100への適用例を示す図である。図4(A)は騒音低減構造1の斜視図であり、図4(B)の騒音低減構造1を、換気用開口部100の長手方向(或いは、スリット状開口部50の長手方向)を垂直に切って見た断面図である。
図4に示すような換気用開口部100の騒音低減構造1によれば、共鳴器10の共鳴周波数において、対向した共鳴器10のスリット状開口部50における音響インピーダンス比がほぼ0となり、屋外側(上流側)から入射した騒音は屋外側へ反射され室内側(下流側)に伝搬することがない。
次に、騒音低減構造1を構成する共鳴器10の製造工程を説明する。図5は本発明の実施形態に係る騒音低減構造1に用いる共鳴器10の製造工程例を説明する図である。
外殻部材20は、6面のうち1つの面が開口面25となっている直方体形状の箱状部材である。L型部材30は、断面がL字状で、互いに直交する2つの面を有する部材である。
図5に示すように、上記のようなL型部材30を2つ、外殻部材20の開口面25に取り付けることで、共鳴器10を製造することが可能である。
外殻部材20の開口面25に取り付けられた2つのL型部材30の間の間隔が、スリット状開口部50となる。また、L型部材30の2つの面のうち一つの面が、共鳴器10の隔壁部60として機能する。
以上のような共鳴器10の製造方法において、予め種々の寸法の、外殻部材20、L型部材30を用意しておくことで、低減したい周波数を容易に変更可能な騒音低減構造1を構成することが可能となる。
以上のように、本発明に係る騒音低減構造1は、音響インピーダンス比が0となるスリット状開口部50を有する共鳴器10が、建物の換気用開口部100の内壁における壁面に、スリット状開口部50が対向するように対で配されるので、このような本発明に係る騒音低減構造1によれば、換気用開口部100における騒音低減構造1として、構成部材の種類及び数を削減でき、構造の単純化、装置の小型化、軽量化を図ることが可能となると共に、製造及び組み立てコストを抑制することが可能となる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図6は本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1の換気用開口部100への適用例を示す図である。図6の騒音低減構造1を、換気用開口部100の長手方向(或いは、スリット状開口部50の長手方向)を垂直に切って見た断面図である。
本実施形態においては、図6に示すように、建物の換気用開口部100における内装壁110と外装壁120との間の空間に、2つの共鳴器10のスリット状開口部50が対向するように対で、共鳴器10を配するようにしている。
このような実施形態によれば、先の実施形態と同様の効果を享受することができると共に、内装壁110と外装壁120との間の空間を有効利用することが可能となる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図7は本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1の換気用開口部100への適用例を示す図である。図7の騒音低減構造1を、換気用開口部100の長手方向(或いは、スリット状開口部50の長手方向)を垂直に切って見た断面図である。
本実施形態においては、図7に示すように、建物の換気用開口部100が設けられている内装壁110の上下に、2つの共鳴器10のスリット状開口部50が対向するように対で、共鳴器10を配するようにしている。
このような実施形態によれば、先の実施形態と同様の効果を享受することができると共に、内装壁110に2つの共鳴器10を付けた構造であるので、騒音低減対策がなされていない既存の換気用開口部に後付けで騒音低減構造1を付加することが可能となる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係る騒音低減構造1は、図8に示すような、屈曲換気路130を有する換気用開口部100に適用される。
外気を自然導入する換気用開口部100を用いた換気システムは、外装壁120の開口から続く外気導入経路を屈曲換気路130で屈曲させて、外気が上向き或いは下向きに室内に吹き出すようにした形態である。
屈曲換気路130を有する換気用開口部100を用いた換気システムとしては、床面からの吹き出し、天井面からの吹き出し、或いは壁際または窓面下のカウンターの上面からの吹き出し等のパターンがあり得る。
図8は、壁際カウンター上面からの吹き出しを行う換気用開口部100であり、屈曲した外気導入経路の断面を模式化して示した図である。
図9は本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1の換気用開口部100への適用例を示す図である。換気用開口部100としては、図8で示した屈曲換気路130を有するものを想定している。図9の騒音低減構造1を、換気用開口部100の長手方向(或いは、スリット状開口部50の長手方向)を垂直に切って見た断面図である。
本実施形態においては、屈曲換気路130を有する換気用開口部100の内壁105における壁面に、2つの共鳴器10のスリット状開口部50が対向するように対で、共鳴器10を配するようにしている。
このような実施形態によれば、屈曲換気路130を有する換気用開口部100に対しても、先の実施形態と同様の効果を享受することができる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図10は本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1の換気用開口部100への適用例を示す図である。図10は、図9に示した実施形態にさらに吸音材150を付加することで、2つの共鳴器10と吸音材150とを組み合わせたものである。
このように、換気用開口部100の外気導入経路の一部に、吸音処理を施すようにした場合、騒音の高周波数成分は吸音材150より低減できるので、共鳴器10の共鳴周波数が吸音材150の効果の得難い低い周波数になるように設計することで、両者の補完により幅広い周波数帯に対する騒音低減効果が期待できる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図11は本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1の換気用開口部100への適用例を示す図である。図11の騒音低減構造1を、換気用開口部100の長手方向(或いは、スリット状開口部50の長手方向)を垂直に切って見た断面図である。
図11に示す実施形態は、図4に示す実施形態にさらに、3枚仕切り板部材70を設けて、共鳴器10を第1区画11、第2区画12、第3区画13、第4区画14の4つの区画に分けたものである。ここで、本実施形態では共鳴器10を4つの区画に分けるようにしたが、共鳴器10をいくつの区画に分けるかは任意である。また、このような仕切り板部材70を設けて共鳴器10の区画分けを行うことは、図4に示した実施形態以外にも適用可能である。
換気用開口部100の開口が、水平方向に対して長手状に壁面に設けられた場合、特に屋外からの騒音が壁面に対して水平方向に斜めから入射する状況では、換気用開口部100経路内を1次元的に伝搬しないことも考えられる。
このような場合、図11に示すように、開口内及び組み込む共鳴器10に仕切り板部材70を設けることで、騒音が換気用開口部100内を1次元的に伝搬するようになり共鳴器10による騒音低減装置が効果を発揮する。
なお、仕切り板部材70を設ける間隔は、低減したい騒音の波長の1/2以下とすることが好ましい。
また、騒音低減構造1で低減しようとする対象となる騒音が、周波数特性に複数のピーク周波数を持っていたり、広帯域に周波数成分を持っていたり場合、仕切り板部材70等の間の間隔を、異なるように設定し、水平方向において異なる長さの区画を設けた共鳴器10とすることも好ましい実施形態の一つである。
以上、本発明に係る騒音低減構造は、音響インピーダンス比が0となるスリット部を有する共鳴器が、例えば、建物の換気用開口部の内壁における壁面に、スリット状開口部が対向するように対で配されるので、このような本発明に係る騒音低減構造によれば、換気用開口部100における騒音低減構造として、構成部材の種類及び数を削減でき、構造の単純化、装置の小型化、軽量化を図ることが可能となると共に、製造及び組み立てコストを抑制することが可能となる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。これまで説明した実施形態に係る騒音低減装置1は、式(5)により決定される共鳴周波数fにおいて騒音低減効果を発揮する。共鳴周波数fは図3に示した各寸法A,B,C,a,lを調整することで騒音の周波数特性に合わせることができる。
しかし、騒音低減装置1で低減しようとする、対象となる騒音が、周波数特性に複数のピーク周波数を持っていたり、広帯域に周波数成分を持っていたり場合、異なる共鳴周波数を持つ共鳴器10を組み合わせる必要がある。
そこで、他の実施形態に係る騒音低減構造1では、複数の共鳴周波数を持つ装置を単純かつ少ない部材で構成する。より具体的には、本実施形態に係る騒音低減構造1では、共鳴器10は1面が開放されている直方体形状の外殻部材20(すでに説明したものと同様)と、一枚板状の仕切り板部材35及び寸法の異なるL型部材30(すでに説明したものと同様)で構成される。
図12は本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1に用いる共鳴器10を説明する図である。
図12(A)は他の実施形態に係る騒音低減構造1の分解斜視図である。また、図12(B)は他の実施形態に係る騒音低減構造1の斜視図である。また、図12(C)は、他の実施形態に騒音低減構造1が取り付けられた換気用開口部100を、換気用開口部100の長手方向(或いは、スリット状開口部50の長手方向)を垂直に切って見た断面図である。
図12(A)及び図12(B)に示すように、上記のようなL型部材30を2つ、及び、仕切り板部材35を1つ、外殻部材20の開口面25に取り付けることで、共鳴器10を製造することが可能である。なお、仕切り板部材35は、この場合、隔壁部60としても機能する。
図12のように外殻部材20、L型部材30、仕切り板部材35を組み合わせることで、1つの共鳴器の中に、空間A及び空間Bを有する2つのスリット共鳴器を構成することができる。それぞれの共鳴器はそれぞれの共鳴周波数f1、f2においてスリット部50の音響インピーダンス比Zがほぼ0となり、図12(C)に図示するようにこれらを、換気用開口部100の壁面に対向配置することで複数の周波数に対して騒音低減効果を発揮する。
以上のような他の実施形態に係る騒音低減構造1は、仕切り板部材35の位置とL型部材30の寸法を変えれば、同じ寸法の外殻部材20と仕切り板部材35を用いて様々な共鳴周波数を持つ共鳴器10が構成可能である。
なお、空間Aや空間Bなどの「空間」については、図面中にアンダーバーが付されている。
図13は本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1を換気用開口部100に適用した際の断面図である。図13は換気用開口部100の長手方向(或いは、スリット状開口部50の長手方向)を垂直に切って見た断面図である。
図13に示すように、仕切り板部材35とL型部材30の数を増やせば、空間A、空間B及び空間Cを有する3つのスリット共鳴器を構成することができ、1つの外殻部材20の中に3つ以上の異なる共鳴周波数を持つ共鳴器10を構成することが可能である。なお、仕切り板部材35は、この場合、隔壁部60としても機能する。
また、図14は本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1を換気用開口部100に適用した際の断面図である。図14は換気用開口部100の長手方向(或いは、スリット状開口部50の長手方向)を垂直に切って見た断面図である。
図14の他の実施形態に係る騒音低減構造1においては、共鳴器10は空間A及び空間Cからなる2つの共鳴器が、間隔at離れた2枚の仕切り板部材35で隔てられた構成となっている。この場合、2つの共鳴器の間のスリットは、背後に空気層を持たないスリット状開口部50となる。なお、仕切り板部材35は、この場合、隔壁部60としても機能する。
このような共鳴器10を換気用開口部100の内壁に沿って対向配置した場合、換気用開口部100の断面寸法及び仕切り板部材35の間隔atが半波長以下となる周波数に対して、背後に空気層を持たないスリット状開口部50は音響管(空間B)として機能する。
このとき、外殻部材20の寸法Dが音響管の管長に相当し、波長の1/4がDと等しくなる周波数ft及びその奇数倍の周波数において、音響管のスリット状開口部50の音響インピーダンス比Zが0となり騒音低減効果を発揮する。
一般に、上記のftはスリット共鳴器(図13の空間A及び空間C)の共鳴周波数f1あるいはf2より高い周波数となるため、図14のようにスリット共鳴器と音響管を組み合わせた構造の共鳴器10による騒音低減構造1は、幅広い周波数に対して騒音低減効果を発揮することができる。
なお、繰り返しになるが、換気用開口部の断面寸法及び仕切り板の間隔atが半波長以下となる周波数に対して、背後に空気層を持たないスリットは音響管として機能する。特許文献1及び特許文献2記載の従来技術は、矩形断面の音響“管”を構成するために多数の仕切り板を必要とした。これに対して、本発明においては、これらの仕切り板は不要である。
本発明に係る騒音低減構造1の効果について数値解析により確認を行ったので、以下に結果を示す。図15は数値解析対象を示す図であり、図15(A)乃至(C)のいずれにも左側には共鳴器10を設置した本発明の場合を、また、右側には共鳴器を設置しない場合を示している。
また、本発明に係る騒音低減構造1において、図15(A)は共鳴器10を「片側配置」した場合、また、図15(B)は共鳴器10を「対向配置」した場合、また、図15(C)は共鳴器10を「片側並列配置」した場合をそれぞれ示している。
数値解析手法としては、2次元境界要素法を用いた。解析対象は、厚さ300mmの無限大壁面に設けられた幅100mmの換気用開口部100を想定した。図15(A)に示すように屋外側から平面音波を入射し、図中に破線で示した仮想面を屋内側方向に通過する音響エネルギーを計算により求めた。
騒音低減構造1である共鳴器10は換気用開口部100の屋内側に付加した。共鳴器10の設置方法は、対向配置した図15(B)に加え、比較対象として共鳴器10を1つ片側に配置した図15(A)、及び共鳴器10を2つ片側に並列配置した図15(C)とした。
騒音低減構造1を構成する共鳴器10の寸法は、B=100、C=150、a=50、l=40(以上単位mm)とした。なお、2次元解析のため図15中の奥行き方向の長手方向寸法はA=∞である。
図15(A)乃至(C)の右側に示す共鳴器を設置しない場合を基準の条件として、騒音低減構造1を構成する共鳴器10を配置した条件において仮想面を屋内側方向に通過する音響エネルギーの低減量、すなわち、共鳴器10の設置効果を求めた。
解析は1/27オクターブ毎の純音について行い、得られた仮想面を屋内側方向に通過する音響エネルギーを1/3オクターブバンド中心周波数を中心とした9つずつエネルギー平均することで、1/3オクターブバンドにおける解析結果とした。「片側配置」(図15(A))、「対向配置」(図15(B))、「片側並列配置」(図15(C))の各配置方法において上述のように共鳴器の有無による仮想面を屋内側方向に通過する音響エネルギーの低減量を求め、1/3オクターブバンドにおける共鳴器の効果とした。
なお、それぞれの配置方法における換気用開口部100の長さは、共鳴器有り/無しの両条件において同じとしている。これは、共鳴器有り/無しの各条件で換気用開口部の長さが変わると、上述の手順で算出した共鳴器の設置効果に換気用開口部の長さが変化することによる影響が含まれてしまうためである。
図16に「片側配置」、「対向配置」、「片側並列配置」における共鳴器10の効果の周波数特性を示す。いずれの配置条件でも共鳴周波数に近い400Hz帯域を中心として騒音低減効果が得られていることが確認できる。
「片側配置」と比較して、「対向配置」は共鳴周波数を中心とした正の騒音低減効果が得られている周波数帯域でより効果が向上している。
「片側並列配置」は「対向配置」と同様に共鳴器を2つ用いる。共鳴周波数に近い400Hz 帯域では「対向配置」と比較して得られる効果が大きいものの、その高周波数側では効果が小さくなる。また、共鳴周波数の低周波数側においても効果が大きく低下するなど、周波数特性全体として安定した騒音低減効果が得られない。このように、「片側並列配置」と比較して、「対向配置」は幅広い周波数帯域で安定した効果が得られることが確認できる。
以上の結果から、共鳴器10を「対向配置」する方法は、他の配置方法と比較して騒音低減方法として有効であることが確認できるが、「片側配置」や「片側並列配置」などの配置方法にも十分な騒音低減効果を期待することができることがわかる。レイアウトなどの都合上、「片側配置」や「片側並列配置」しか採用し得ない場合には、このような配置を適宜採用することもできる。
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図17は本発明の他の実施形態に係る騒音低減構造1に用いる共鳴器10を説明する図である。図17(A)はこれまで説明してきた実施形態に係る騒音低減構造1に用いる共鳴器10を示しており、図17(B)は本実施形態に係る騒音低減構造1に用いる共鳴器10を示している。本実施形態態に係る騒音低減構造1では、図17(B)で示す共鳴器10が換気用開口部100に配されることを特徴としている。
図17(A)に示すように、これまで説明してきた実施形態に係る騒音低減構造1の共鳴器10は、スリット部50の両側に配され隔壁部60が設けられ、これらの隔壁部60は奥行き方向にlの長さを有するものであった。
これに対して、図17(B)に示す本実施形態に騒音低減構造1の共鳴器10は、スリット部50の両側の隔壁部60が省かれた構造を有している。隔壁部60が省かれているが、この代わりに、少なくともスリット部50が含まれる共鳴器10の前面の板厚がlの厚さを有するものとなっている。
前記板厚lにより、本実施形態で用いる共鳴器10においても、第1の実施形態で説明したVnが生じることとなる。これにより、隔壁部60が省かれた共鳴器10が用いられる本実施形態に係る騒音低減構造1によっても、これまで説明した騒音低減構造1と同様の効果を享受することが可能となる。
1・・・騒音低減構造
10・・・共鳴器
11・・・第1区画
12・・・第2区画
13・・・第3区画
14・・・第4区画
20・・・外殻部材
25・・・開口面
30・・・L型部材
35・・・仕切り板部材
40・・・筐体
50・・・スリット状開口部
60・・・隔壁部
70・・・仕切り板部材
100・・・換気用開口部
105・・・内壁
110・・・内装壁
120・・・外装壁
130・・・屈曲換気路
150・・・吸音材

Claims (10)

  1. スリット状開口部を有する共鳴器が、
    建物の開口部の内壁における壁面に、配されることを特徴とする騒音低減構造。
  2. スリット状開口部を有する共鳴器が、
    建物の開口部における内装壁と外装壁との間の空間に、配されることを特徴とする騒音低減構造。
  3. スリット状開口部を有する共鳴器が、
    建物の開口部が設けられている内装壁に、配されることを特徴とする騒音低減構造。
  4. スリット状開口部を有する共鳴器が、
    屈曲した建物の開口部の内壁における壁面に、配されることを特徴とする騒音低減構造。
  5. 前記共鳴器が、前記スリット状開口部が対向するように対で配されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の騒音低減構造。
  6. 前記共鳴器が仕切り板部材によって複数の区画に分けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の騒音低減構造。
  7. 前記共鳴器が、一面が開口面である箱状の外殻部材と、L型部材と、からなることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の騒音低減構造。
  8. 前記共鳴器が、一面が開口面である箱状の外殻部材と、L型部材と、仕切り板材とからなることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の騒音低減構造。
  9. 前記共鳴器が、空気層を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の騒音低減構造。
  10. 前記共鳴器が、空気層を有さないことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の騒音低減構造。
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