JP2017101178A - 水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクの保存安定性、及び画像の定着性に優れた水性インクの提供。
【解決手段】コアとシェルを有する樹脂粒子、及び多価金属イオンを含有し、相対的にpHが低い記録媒体に画像を記録するための水性インクで、前記コアを構成する樹脂(C)における、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの占める割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、5.00質量%以下であり、前記シェルを構成する樹脂(S)が、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットを有し、その割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、10.00質量%以上であり、前記シェルの膜厚が、3.0〜15.0nmであり、前記樹脂粒子のアニオン性基の一部が、多価金属イオンと錯体を形成しており、樹脂粒子及び錯体ののアニオン性基の量、及び樹脂粒子の体積平均粒径が50.0〜400.0nmである水性インク。
【選択図】なし
【解決手段】コアとシェルを有する樹脂粒子、及び多価金属イオンを含有し、相対的にpHが低い記録媒体に画像を記録するための水性インクで、前記コアを構成する樹脂(C)における、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの占める割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、5.00質量%以下であり、前記シェルを構成する樹脂(S)が、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットを有し、その割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、10.00質量%以上であり、前記シェルの膜厚が、3.0〜15.0nmであり、前記樹脂粒子のアニオン性基の一部が、多価金属イオンと錯体を形成しており、樹脂粒子及び錯体ののアニオン性基の量、及び樹脂粒子の体積平均粒径が50.0〜400.0nmである水性インク。
【選択図】なし
Description
本発明は、水性インク、インクカートリッジ、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録装置は、商業印刷分野やオフィス印刷分野で使用する機会が増えている。商業印刷分野やオフィス印刷分野においては、得られる画像の定着性に優れた水性インクが求められる。得られる画像の定着性を向上するために、樹脂粒子を含有するインクが検討されている。樹脂粒子を含有するインクで画像を記録すると、記録媒体に付着した樹脂粒子が、記録媒体に樹脂膜を形成することで、画像の定着性が向上する。また、金属イオンと配位結合する官能基を有する樹脂粒子が検討され、画像の定着性を向上させる検討がなされている。記録媒体の金属イオンと配位結合することが可能な官能基を有する樹脂粒子を含有するインクが提案されている(特許文献1参照)。さらに、金属イオン、前記金属イオンと2座以上で配位することが可能な樹脂粒子を含有するインクが提案されている(特許文献2参照)。
特許文献1及び2に記載されている樹脂粒子は、コア−シェル構造を有している。シェルを構成する樹脂は、ヒドロキシ基を有する。この樹脂粒子を用いた場合、ヒドロキシ基間で水素結合を形成し、インクが増粘するため、良好な保存安定性が得られない場合があるという課題があることが判明した。
したがって、本発明の目的は、保存安定性に優れるとともに、定着性も良好な画像を記録することができる水性インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記水性インクを使用するインクカートリッジ、及び前記水性インクを使用するインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、コアとシェルを有する樹脂粒子、及び多価金属イオンを含有するとともに、相対的にpHが低い記録媒体に画像を記録するために用いられる水性インクであって、前記コアを構成する樹脂(C)における、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの占める割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、5.00質量%以下であり、前記シェルを構成する樹脂(S)が、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットを有し、前記アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、10.00質量%以上であり、前記シェルの膜厚が、3.0nm以上15.0nm以下であり、前記樹脂粒子の有するアニオン性基の一部が、前記多価金属イオンと錯体を形成しており、前記樹脂粒子の有するアニオン性基の量(μmol/g)が、180μmol/g以上であり、前記錯体を形成しているアニオン性基の量(μmol/g)が、35μmol/g以上160μmol/g以下であり、前記樹脂粒子の体積平均粒径(nm)が、50.0nm以上400.0nm以下であることを特徴とする水性インクに関する。
また、本発明は、インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えているインクカートリッジであって、前記インクが、前記水性インクであることを特徴とするインクカートリッジに関する。
また、本発明は、インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して、前記インクよりもpHが低い記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インクが、前記構成の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法に関する。
本発明によれば、保存安定性に優れ、定着性が良好な画像を記録することができる水性インク、前記水性インクを用いたインクカートリッジ、及びインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に述べる。本発明においては、以下、水性インクは、「インク」と記載することがある。各種の物性値は、特に断りのない限り、温度25℃における値である。
本発明者らは、インクの保存安定性と、優れた画像の定着性とを有するインクを提供するために、種々の樹脂粒子を含有するインクについて、検討を行った。先ず、本発明者らは、インクの保存安定性の低下という課題を解決するための手法について、検討を行った。
本発明のインクに含有される樹脂粒子は、コア−シェル構造を有する。コア−シェル構造を有する樹脂粒子を含有するインクは、定着性が良好な画像を記録することができる。
樹脂粒子のシェルを構成する樹脂(S)は、アニオン性基を有する。アニオン性基は、分極しやすく、水素結合を形成する能力が高い。ここで、アニオン性基が多価金属イオンと錯体を形成していない場合、アニオン性基の親水性は高い。特に、一部がイオン解離しているアニオン性基を有する樹脂の分子は、水となじみやすいので、水相で伸びる。そして、近くに存在するアニオン性基間で、水素結合を形成することにより、シェルを構成する樹脂(S)の分子間で絡み合いが起こる。ひとつの樹脂粒子で、シェルを構成する樹脂(S)の分子間で絡み合いが起こる場合もあれば、複数の樹脂粒子間で、シェルを構成する樹脂(S)の分子間で絡み合いが起こる場合もある。このように、シェルを構成する樹脂(S)の分子が絡み合うと、インクが増粘し、保存安定性が不十分となる。
一方、アニオン性基が多価金属イオンと錯体を形成している場合、シェルを構成する樹脂(S)の分子が多価金属イオンによって架橋されたような状態になるので、樹脂(S)の分子が水相に伸びず、樹脂粒子の表面近傍に留まる。すなわち、樹脂粒子のシェルを構成する樹脂(S)が、アニオン性基を有する場合、前記アニオン性基が多価金属イオンと錯体を形成することで、シェルを構成する樹脂(S)の分子間の絡み合いが起こらず、インクの保存安定性を向上させることが可能である。ここで、アニオン性基が多価金属イオンと錯体を形成することは、アニオン性基が多価金属イオンと配位結合することを意味する。配位結合は、1本の結合にあずかる2個の原子価電子が、一方の原子のみから提供される結合のことである。
錯体を形成しているアニオン性基の量は、35μmol/g以上160μmol/g以下とする必要がある。この値は、コロイド滴定により測定される表面電荷量(μmol/m2)から樹脂粒子の単位質量あたりとして算出する値である。この上限値は、電荷反発による樹脂粒子の分散安定化の作用で凝集を生じない上限であり、下限値は、樹脂の分子間での絡み合いによる粘度上昇を生じない下限である。錯体を形成しているアニオン性基の量が、規定した値の範囲外であると、インクの保存安定性が不十分となる。
しかし、シェルが錯体を形成している樹脂粒子を含有するインクを用いると、樹脂粒子を利用しているにもかかわらず、画像の定着性が低下することが判明した。そこで、本発明者らは、画像の定着性の低下という課題について、検討を行った。
アニオン性基を有する樹脂を含有する水性インクのpHは、通常7.0以上9.5以下の範囲内に設定される。このpH範囲であれば、樹脂粒子のシェルを構成する樹脂(S)が有する錯体は、解離しにくい。しかし、記録媒体に画像を記録すると、インクの液体成分は吸収され、記録媒体の表面上に残った樹脂粒子は、記録媒体のpHの影響を受け、前記錯体は解離する。錯体が解離することで、アニオン性基と多価金属イオンにより架橋されているような状態となっている樹脂が柔軟になり、複数の樹脂粒子間で、シェルを構成する樹脂(S)の分子間の絡み合いが起こり、迅速に強固な樹脂膜を生じる。これに並行して、樹脂粒子のアニオン性基と、記録媒体のセルロースが有するヒドロキシ基との間で水素結合が形成されるので、画像の定着性が向上する。
樹脂粒子のシェルのアニオン性基で錯体が解離するためには、記録媒体からインクへのプロトンの移動が起こる必要がある。プロトンの移動を起こすためには、インクよりもpHが低い記録媒体に、画像を記録する必要がある。本発明において用いられる記録媒体は、このpHの関係を満たす必要があるため、インクのpHの値よりも相対的に低いpHの値を有する記録媒体を用いる。このようなものとしては、例えば中性紙、酸性紙、及び予め酸性にした記録媒体などが挙げられる。
また、樹脂粒子のシェルを構成する樹脂(S)は、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットを有する。さらに、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、10.00質量%以上であることが必要である。アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの割合(質量%)が、10.00質量%未満であると、画像の定着性が不十分となる。さらに、樹脂粒子の有するアニオン性基の量(μmol/g)が、180μmol/g以上であることが必要である。前記の条件を満たすことで、錯体の解離後の樹脂粒子間や、樹脂粒子と記録媒体の間で、十分な水素結合を形成し、画像の定着性を向上させることが可能である。樹脂粒子の有するアニオン性基の量が、180μmol/g未満であると、画像の定着性が不十分となる。ここで、ユニットとは、1つのモノマーに対応する単位構造のことを意味する。
樹脂粒子がコアを有すると、画像の定着性が向上しやすい。ただし、インクの保存安定性、及び画像の定着性を向上するためには、以下のことが必要である。樹脂粒子のコアを構成する樹脂(C)におけるアニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの占める割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、5.00質量%以下とする。つまり、コアを構成する樹脂(C)が、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットを多く有さないことが好ましい。これにより、コアを構成する樹脂(C)のアニオン性基が錯体を形成していても、その割合が少ないために、画像の定着性に与える影響が抑制される。また、アニオン性基が錯体を形成していなくても、プロトン放出量が少ないために、インクの保存安定性に与える影響が抑制される。つまり、コアを構成する樹脂(C)が、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットを有していない状態と似ている。
画像の定着性に関しては、シェルの膜厚も重要であり、3.0nm以上15.0nm以下であることが必要である。シェルが15.0nmより厚くなると、コアが錯体を形成しているのと似た状態になり、3.0nmより薄くなると、樹脂粒子間で水素結合して絡み合う樹脂が不足するので、いずれも良好な定着性が得られにくい。
さらに、画像の定着性に関しては、樹脂粒子の体積平均粒径が50.0nm以上400.0nm以下であることも必要である。樹脂粒子の体積平均粒径が50.0nm未満であると、記録媒体に樹脂粒子が浸透しやすくなることで、画像の定着性が不十分になる。そして、樹脂粒子の体積平均粒径が400.0nmを超えると、樹脂粒子間の結合が弱くなり、樹脂膜が形成されにくく、画像の定着性が不十分となる。
<インク>
本発明のインクは、樹脂粒子、及び多価金属イオンを含有する水性インクである。本発明のインクは、樹脂粒子、及び多価金属イオンの他に、色材やその他の成分などを含有してもよい。色材を含有しない場合は、クリアインクとして用いることができる。クリアインクは、色材を含有するインクと併用して画像を記録するために用いられる。以下、本発明のインクに用いることが可能な成分について、それぞれ説明する。以下、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を表すものとする。
本発明のインクは、樹脂粒子、及び多価金属イオンを含有する水性インクである。本発明のインクは、樹脂粒子、及び多価金属イオンの他に、色材やその他の成分などを含有してもよい。色材を含有しない場合は、クリアインクとして用いることができる。クリアインクは、色材を含有するインクと併用して画像を記録するために用いられる。以下、本発明のインクに用いることが可能な成分について、それぞれ説明する。以下、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」と記載した場合は、それぞれ「アクリル酸、メタクリル酸」、「アクリレート、メタクリレート」を表すものとする。
(樹脂粒子)
本発明において、「樹脂粒子」とは、酸価と当量の塩基で中和したときに、粒径を有する状態で存在する樹脂を意味する。この粒径は、動的光散乱法で測定する。本発明において、樹脂粒子はインクに分散された状態、いわゆる樹脂エマルションの形態をとっている。
本発明において、「樹脂粒子」とは、酸価と当量の塩基で中和したときに、粒径を有する状態で存在する樹脂を意味する。この粒径は、動的光散乱法で測定する。本発明において、樹脂粒子はインクに分散された状態、いわゆる樹脂エマルションの形態をとっている。
[層構成]
本発明において、樹脂粒子は、コアを構成する樹脂(C)と、コアを被覆するシェルを構成する樹脂(S)を有する。コアを構成する樹脂(C)は、内側から外側に向かって、第1の層、第2の層、…というように複数の層を有してもよい。つまり、3層以上で構成される樹脂粒子の場合、最も外側の層がシェルであり、それ以外はコアであることとする。複数の層は、隣接する2つの層が異なる組成となる。すなわち、それぞれの層を構成する樹脂の組成(例えば、構成ユニットの種類、及び割合など)が異なる。インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.00質量%以上30.00質量%以下であることが好ましく、5.00質量%以上20.00質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明において、樹脂粒子は、コアを構成する樹脂(C)と、コアを被覆するシェルを構成する樹脂(S)を有する。コアを構成する樹脂(C)は、内側から外側に向かって、第1の層、第2の層、…というように複数の層を有してもよい。つまり、3層以上で構成される樹脂粒子の場合、最も外側の層がシェルであり、それ以外はコアであることとする。複数の層は、隣接する2つの層が異なる組成となる。すなわち、それぞれの層を構成する樹脂の組成(例えば、構成ユニットの種類、及び割合など)が異なる。インク中の樹脂粒子の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.00質量%以上30.00質量%以下であることが好ましく、5.00質量%以上20.00質量%以下であることがさらに好ましい。
具体的には、樹脂粒子の構成としては、以下の2形態が挙げられる。
(1)樹脂粒子が第2の層を有していない形態(第1の層+シェル)
(2)樹脂粒子が第2の層を1層以上有する形態(第1の層+第2の層+シェル)
以下、第1の層、第2の層、シェルごとに好ましい構成を説明する。
(1)樹脂粒子が第2の層を有していない形態(第1の層+シェル)
(2)樹脂粒子が第2の層を1層以上有する形態(第1の層+第2の層+シェル)
以下、第1の層、第2の層、シェルごとに好ましい構成を説明する。
《第1の層(コア粒子に相当)》
第1の層を構成する樹脂は、前述のようにアニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、5.00質量%以下であり、含まれていないことが好ましい。これ以外の構成ユニットについて特に制限されないが、例えば、エチレン性不飽和モノマーに由来するユニットを用いることが好ましく、アルキル(メタ)アクリレート類、スチレンに由来するユニットを用いることがより好ましい。
第1の層を構成する樹脂は、前述のようにアニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、5.00質量%以下であり、含まれていないことが好ましい。これ以外の構成ユニットについて特に制限されないが、例えば、エチレン性不飽和モノマーに由来するユニットを用いることが好ましく、アルキル(メタ)アクリレート類、スチレンに由来するユニットを用いることがより好ましい。
第1の層を構成する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3,000以上1,000,000以下であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の重量平均分子量である。第1の層を構成する樹脂の体積平均粒径(D50)は、20.0nm以上200.0nm以下であることが好ましく、40.0nm以上150.0nm以下であることがさらに好ましく、50.0nm以上100.0nm以下であることが特に好ましい。
《第2の層》
第2の層を構成する樹脂は、第1の層を構成する樹脂と同様のものを用いることができる。樹脂粒子に占める第2の層を構成する樹脂の割合(質量%)は、樹脂全質量を基準として、10.00質量%以上90.00質量%以下であることが好ましく、20.00質量%以上80.00質量%以下であることがさらに好ましい。第2の層を構成する樹脂の膜厚は、10.0nm以上300.0nm以下であることが好ましく、20.0nm以上250.0nm以下であることがさらに好ましく、30.0nm以上200.0nm以下であることが特に好ましい。
第2の層を構成する樹脂は、第1の層を構成する樹脂と同様のものを用いることができる。樹脂粒子に占める第2の層を構成する樹脂の割合(質量%)は、樹脂全質量を基準として、10.00質量%以上90.00質量%以下であることが好ましく、20.00質量%以上80.00質量%以下であることがさらに好ましい。第2の層を構成する樹脂の膜厚は、10.0nm以上300.0nm以下であることが好ましく、20.0nm以上250.0nm以下であることがさらに好ましく、30.0nm以上200.0nm以下であることが特に好ましい。
《シェル》
シェルを構成する樹脂(S)は、前述のようにアニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、10.00質量%以上40.00質量%以下である。さらに、前記アニオン性基が多価金属イオンと錯体を形成している。このような樹脂は、例えばアニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーと、アルキル(メタ)アクリレート類やスチレンなどのエチレン性不飽和モノマーとを共重合させることにより製造することができる。必要に応じて、重合の際に、架橋モノマーをさらに加えてもよい。アニオン性基と多価金属イオンの錯体を形成するタイミングは重合の前後、又は重合中のいずれでも良いが、錯体を形成したモノマーは重合時の溶媒への溶解性に乏しい場合が多いので、重合後に錯体を形成させるのが好ましい。
シェルを構成する樹脂(S)は、前述のようにアニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、10.00質量%以上40.00質量%以下である。さらに、前記アニオン性基が多価金属イオンと錯体を形成している。このような樹脂は、例えばアニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーと、アルキル(メタ)アクリレート類やスチレンなどのエチレン性不飽和モノマーとを共重合させることにより製造することができる。必要に応じて、重合の際に、架橋モノマーをさらに加えてもよい。アニオン性基と多価金属イオンの錯体を形成するタイミングは重合の前後、又は重合中のいずれでも良いが、錯体を形成したモノマーは重合時の溶媒への溶解性に乏しい場合が多いので、重合後に錯体を形成させるのが好ましい。
シェルを構成する樹脂(S)における架橋モノマーユニットの割合(質量%)は、シェルを構成する樹脂(S)の全質量を基準として、5.00質量%以上60.00質量%であることが好ましい。
シェルを構成する樹脂(S)の重量平均分子量(Mw)は、3,000以上1,000,000以下であることが好ましい。シェルを構成する樹脂(S)の重量平均分子量(Mw)は、第1の層を構成する樹脂と同様の方法により測定することができる。シェルの膜厚は、3.0nm以上15.0nm以下であり、3.0nm以上10.0nm以下であることがより好ましい。
樹脂粒子に占めるシェルを構成する樹脂(S)の割合(質量%)は、樹脂全質量を基準として、5.00質量%以上70.00質量%以下であることが好ましく、10.00質量%以上50.00質量%以下であることがさらに好ましい。
[構成ユニット]
コアを構成する樹脂(C)、及びシェルを構成する樹脂(S)の構成ユニットとしては、エチレン性不飽和結合を有するモノマーに由来するユニットを使用することができる。エチレン性不飽和結合を1つのみ有するモノマーとしては、エチレン、プロピレンなどのアルケン類;メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー類;ポリエチレングリコールモノメタクリレートなどのポリエチレンオキサイド基含有モノマー類;スチレン、アリルベンゼンなどの芳香族基含有モノマー類などが挙げられる。これらは、必要に応じて1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
コアを構成する樹脂(C)、及びシェルを構成する樹脂(S)の構成ユニットとしては、エチレン性不飽和結合を有するモノマーに由来するユニットを使用することができる。エチレン性不飽和結合を1つのみ有するモノマーとしては、エチレン、プロピレンなどのアルケン類;メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー類;ポリエチレングリコールモノメタクリレートなどのポリエチレンオキサイド基含有モノマー類;スチレン、アリルベンゼンなどの芳香族基含有モノマー類などが挙げられる。これらは、必要に応じて1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、炭素数が22以下のアルケン類;アルキル基の炭素数が22以下のアルキル(メタ)アクリレート類;スチレンを用いることがより好ましい。さらに、アルキル基の炭素数が12以下、好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下のアルキル(メタ)アクリレート類を用いることが特に好ましい。
エチレン性不飽和結合を2つ以上有するモノマー、又は三重結合を少なくとも1つ含むモノマー(以下、これらを架橋モノマーと呼ぶことがある)としては、ブタジエン、イソプレンなどのジエン類;アセチレンなどのアルキン類;1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジメタクリレートなどの2官能性アルキル(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの3官能性アルキル(メタ)アクリレート類;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能性アルキル(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらは、必要に応じて1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのエチレン性不飽和結合を2つ以上有するモノマーの中でも、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましく、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、4−ビニル安息香酸などのカルボキシ基を1つ有するモノマー類;4−ビニルフェノール、2−メトキシ−4−ビニルフェノールなどのフェノール性ヒドロキシ基を1つ有するモノマー類;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、N−(4−ビニルベンジル)イミノ二酢酸などのカルボキシ基を2つ有するモノマー類などが挙げられる。
これらの中でも、錯体の形成しやすさの観点から、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、N−(4−ビニルベンジル)イミノ二酢酸が好ましく、カルボキシ基を2つ有するモノマー類、具体的にはイタコン酸、マレイン酸、フマル酸、N−(4−ビニルベンジル)イミノ二酢酸が特に好ましい。
樹脂粒子は、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマー以外に、配位結合を形成しないイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーを含むユニットを有してもよい。配位結合を形成しないイオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーとしては、スルホン酸基を有するモノマーが挙げられる。プロトン解離したスルホン酸基は、負電荷がスルホン酸基上に非局在化して、多価金属イオンとの間に配位結合を形成しにくい。その一方で、スルホン酸基は多価金属イオンとイオン結合を形成して、塩として樹脂粒子中に存在することができる。しかし、スルホン酸基は強酸性、すなわちプロトンとの親和性が低いため、画像の記録後における記録媒体のpH変化に対して影響を受けにくく、塩の状態を保ち続ける。したがって、シェルを構成する樹脂(S)間の絡み合いに、スルホン酸基の金属塩は特別な影響を与えない。
[体積平均粒径]
樹脂粒子は、体積平均粒径(D50)が50.0nm以上400.0nm以下であり、60.0nm以上300.0nm以下であることが好ましく、70.0nm以上250.0nm以下であることがさらに好ましい。本発明で規定するユニットを有する樹脂粒子であれば、D50が50.0nm以上100.0nm以下という比較的小さい粒径を有する場合においても、記録される画像の定着性を向上させることができる点で好ましい。樹脂粒子の体積平均粒径は、動的光散乱法で測定する。
樹脂粒子は、体積平均粒径(D50)が50.0nm以上400.0nm以下であり、60.0nm以上300.0nm以下であることが好ましく、70.0nm以上250.0nm以下であることがさらに好ましい。本発明で規定するユニットを有する樹脂粒子であれば、D50が50.0nm以上100.0nm以下という比較的小さい粒径を有する場合においても、記録される画像の定着性を向上させることができる点で好ましい。樹脂粒子の体積平均粒径は、動的光散乱法で測定する。
[アニオン性基の量]
錯体を形成しているアニオン性基の量(μmol/g)は、35μmol/g以上160μmol/g以下であり、58μmol/g以上128μmol/g以下であることが好ましい。また、樹脂粒子の有するアニオン性基の量(μmol/g)が、180μmol/g以上804μmol/g以下であり、215μmol/g以上600μmol/g以下であることが好ましい。アニオン性基の量は、電位差を利用したコロイド滴定により測定する。 [分離方法]
樹脂粒子は、例えば以下のような方法でインクから分離し、分析することができる。
錯体を形成しているアニオン性基の量(μmol/g)は、35μmol/g以上160μmol/g以下であり、58μmol/g以上128μmol/g以下であることが好ましい。また、樹脂粒子の有するアニオン性基の量(μmol/g)が、180μmol/g以上804μmol/g以下であり、215μmol/g以上600μmol/g以下であることが好ましい。アニオン性基の量は、電位差を利用したコロイド滴定により測定する。 [分離方法]
樹脂粒子は、例えば以下のような方法でインクから分離し、分析することができる。
(1)樹脂粒子の分離
インクから密度勾配遠心法により、樹脂粒子を分離する。この際、密度勾配沈降速度法では、インクの構成成分の沈降係数の差によって樹脂粒子を分離することができ、また密度勾配沈降平衡法では、インクの構成成分の密度の差によって樹脂粒子を分離することができる。
インクから密度勾配遠心法により、樹脂粒子を分離する。この際、密度勾配沈降速度法では、インクの構成成分の沈降係数の差によって樹脂粒子を分離することができ、また密度勾配沈降平衡法では、インクの構成成分の密度の差によって樹脂粒子を分離することができる。
(2)各層の樹脂の分離
各層の樹脂を分離するために使用する樹脂粒子は、分散液の状態でも、乾燥により膜化した状態でも良く、溶解可能な有機溶媒を用いて溶解させる。得られた溶液をGPCによりコア層とシェル層に分離、及び分取する。
各層の樹脂を分離するために使用する樹脂粒子は、分散液の状態でも、乾燥により膜化した状態でも良く、溶解可能な有機溶媒を用いて溶解させる。得られた溶液をGPCによりコア層とシェル層に分離、及び分取する。
[分析方法]
(1)シェルの膜厚、及びコアの体積平均粒径の測定
GPCにより樹脂粒子を各層に分離する前に、樹脂粒子を四酸化ルテニウムで染色、及び固定化処理する。そして、樹脂粒子を安定に保持するために、樹脂粒子をエポキシ樹脂に埋め込む。次に、得られた樹脂粒子含有エポキシ樹脂をウルトラミクロトームで切断後に走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて観察する。樹脂粒子の中心を通って、切断された断面から、コアとシェルを有する層構造を確認し、そこからシェルの膜厚、及びコアの体積平均粒径を測定することが可能である。
(1)シェルの膜厚、及びコアの体積平均粒径の測定
GPCにより樹脂粒子を各層に分離する前に、樹脂粒子を四酸化ルテニウムで染色、及び固定化処理する。そして、樹脂粒子を安定に保持するために、樹脂粒子をエポキシ樹脂に埋め込む。次に、得られた樹脂粒子含有エポキシ樹脂をウルトラミクロトームで切断後に走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて観察する。樹脂粒子の中心を通って、切断された断面から、コアとシェルを有する層構造を確認し、そこからシェルの膜厚、及びコアの体積平均粒径を測定することが可能である。
(2)多価金属イオンの含有量の測定
前記樹脂粒子含有エポキシ樹脂を用いて、エネルギー分散型X線分光法(EDX)が併置されたSTEM−EDXにより、多価金属イオンの定性分析を行う。さらに、GPCにより各層に分離した樹脂を、酸分解法、又はアルカリ融解法による前処理を行い、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−OES)により、多価金属イオンの定量分析を行う。STEM−EDXによる多価金属イオン定性分析との比較により、分離精製した樹脂がどの層を構成していたかが分かる。
前記樹脂粒子含有エポキシ樹脂を用いて、エネルギー分散型X線分光法(EDX)が併置されたSTEM−EDXにより、多価金属イオンの定性分析を行う。さらに、GPCにより各層に分離した樹脂を、酸分解法、又はアルカリ融解法による前処理を行い、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−OES)により、多価金属イオンの定量分析を行う。STEM−EDXによる多価金属イオン定性分析との比較により、分離精製した樹脂がどの層を構成していたかが分かる。
(3)各層における樹脂の構成
分離した樹脂を、1H、13Cを対象とした核磁気共鳴(NMR)分光法、赤外(IR)分光法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI−MS)によるフラグメントイオン解析により分析する。これにより、原料モノマーの構造、及び組成比を決定することが可能である。すなわち、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの割合を決定できる。
分離した樹脂を、1H、13Cを対象とした核磁気共鳴(NMR)分光法、赤外(IR)分光法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法(MALDI−MS)によるフラグメントイオン解析により分析する。これにより、原料モノマーの構造、及び組成比を決定することが可能である。すなわち、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの割合を決定できる。
[界面活性剤]
コアを構成する樹脂(C)、又はシェルを構成する樹脂(S)を重合する際に、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤などの非反応性界面活性剤、又は反応性界面活性剤を添加してもよい。
コアを構成する樹脂(C)、又はシェルを構成する樹脂(S)を重合する際に、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤などの非反応性界面活性剤、又は反応性界面活性剤を添加してもよい。
「反応性界面活性剤」とは、分子内に、親水性部位、疎水性部位、及びエチレン性不飽和結合を、それぞれ少なくとも1つ有する化合物を意味する。親水性部位としては、アルキレンオキシド鎖などのノニオン性基;カチオン性基;スルホン酸基などのアニオン性基などが挙げられる。疎水性部位としては、脂肪族炭化水素鎖;芳香族炭化水素鎖などが挙げられる。反応性界面活性剤は、エチレン性不飽和結合を有するため、共重合体を構成するユニットとして、樹脂に導入される。本発明の水性インクに含有される樹脂粒子のシェルを構成する樹脂(S)は、エチレンオキサイド構造を有するユニットを有する。さらに、前記エチレンオキサイド構造を有するユニットの占める割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、1.00質量%以上であることが好ましく、2.00質量%以上であることがより好ましい。なぜならば、シェルを構成する樹脂(S)が、エチレンオキサイド構造を有することで、立体反発効果によって分散安定性がより一層向上するからである。前記割合(質量%)は、3.00質量%以下であることが好ましい。また、記録後の樹脂粒子間において、エチレンオキサイド構造の酸素原子が、記録媒体のヒドロキシ基と水素結合することにより、定着性が向上するからである。とくにエチレンオキサイド構造を有する反応性界面活性剤を用いることが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エステルのアルカリ金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸のアルカリ金属塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのリン酸エステル塩などが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、糖鎖を親水基とするアルキルエーテルが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルピリジニルクロライド、アルキルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、ラウリルベタインなどが挙げられる。
反応性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの分子内、又は分子末端に、メタクリロイル基、アクリロイル基、マレイル基、ビニル基、アリル基のいずれかが結合している化合物などが挙げられる。
具体的には、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル類;ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム類;ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム類;α−ヒドロ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル))類;α−[1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル]−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン類;α−スルホ−ω−(1−アルコキシメチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)アンモニウム塩類;ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩類;アルコキシポリエチレングリコールメタクリレート類;アルコキシポリエチレングリコールマレイン酸エステル類;ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル類;ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム類;ビニルエーテルアルコキシレート類;ポリオキシアルキレンメタクリレート硫酸エステル塩類などが挙げられる。
[多価金属イオン]
アニオン性基と錯体を形成する多価金属イオンとしては、前記アニオン性基と安定な錯体を形成する多価金属イオンが好ましい。また、多価金属イオン、及びその錯体が強く着色していると、色材の発色に影響を与えたり、クリアインクとしての使用に適さなくなったりするので、着色のない、又は弱いものがより好ましい。このような多価金属イオンとして、典型元素の金属イオンなどが挙げられる。より好ましい多価金属イオンとして、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Al3+、及びGa3+からなる群より選択される。
アニオン性基と錯体を形成する多価金属イオンとしては、前記アニオン性基と安定な錯体を形成する多価金属イオンが好ましい。また、多価金属イオン、及びその錯体が強く着色していると、色材の発色に影響を与えたり、クリアインクとしての使用に適さなくなったりするので、着色のない、又は弱いものがより好ましい。このような多価金属イオンとして、典型元素の金属イオンなどが挙げられる。より好ましい多価金属イオンとして、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Al3+、及びGa3+からなる群より選択される。
[製造方法]
樹脂粒子は、本発明で規定する構成を有する樹脂粒子を製造可能な方法であれば、公知の方法のいずれを利用して、製造してもよい。例えば、乳化重合法、プレエマルション重合法、シード重合法、転相乳化法などが挙げられる。
樹脂粒子は、本発明で規定する構成を有する樹脂粒子を製造可能な方法であれば、公知の方法のいずれを利用して、製造してもよい。例えば、乳化重合法、プレエマルション重合法、シード重合法、転相乳化法などが挙げられる。
ここで、代表例として第1の形態(第1の層+シェル)の樹脂粒子の製造法について述べる。先ず、第1の工程で、モノマーを乳化重合又は懸濁重合することで、第1の層に相当する樹脂粒子の分散液を得る。次いで、第2の工程で、前記樹脂粒子の分散液に、水、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマー、他のモノマー、及び界面活性剤を含む乳化液を加えて重合することで、樹脂を合成するとともに、前記樹脂で第1の層を被覆する。さらに、得られた樹脂粒子の分散液に、多価金属イオン水溶液、及び必要に応じてpH調整のためのアルカリ水溶液を加えて、pHを調整しながら錯体を形成させる。このような方法で、第1の層と、錯体を形成しているシェルで構成される樹脂粒子が得られる。第2の工程で、シェルを形成する前に、他の層を形成する工程を行うことで、第2の層を有する樹脂粒子を製造することもできる。
(色材)
本発明のインクは、色材を含有してもよい。色材としては、顔料、及び染料が挙げられる。顔料、及び染料としては、従来公知のものをいずれも使用することができる。本発明においては、画像に耐水性を付与する観点から、顔料を用いることが好ましい。顔料としては、カーボンブラックや有機顔料を用いることが好ましい。また、顔料は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上15.00質量%以下が好ましく、1.00質量%以上10.00質量%以下がさらに好ましい。
本発明のインクは、色材を含有してもよい。色材としては、顔料、及び染料が挙げられる。顔料、及び染料としては、従来公知のものをいずれも使用することができる。本発明においては、画像に耐水性を付与する観点から、顔料を用いることが好ましい。顔料としては、カーボンブラックや有機顔料を用いることが好ましい。また、顔料は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。インク中の色材の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上15.00質量%以下が好ましく、1.00質量%以上10.00質量%以下がさらに好ましい。
色材として顔料を用いる場合、顔料の分散方法としては、分散剤として樹脂を用いる樹脂分散タイプの顔料(樹脂分散剤を用いた樹脂分散顔料;顔料の粒子表面が樹脂で被覆されたマイクロカプセル型顔料)などが挙げられる。また、樹脂分散タイプの顔料としては、顔料の粒子表面に樹脂を含む有機基が化学的に結合された樹脂結合型の自己分散顔料も挙げられる。さらに、別の分散方法としては、顔料の粒子表面にアニオン性基が導入された自己分散タイプの顔料(自己分散顔料)が挙げられる。勿論、本発明の水性インクにおいては、分散方法が異なる顔料を併用することも可能である。
樹脂分散タイプの顔料において分散剤として用いる樹脂は、親水性部位と疎水性部位を共に有することが好ましい。具体的には、アクリル酸やメタクリル酸などカルボキシ基を有するモノマーを用いて重合したアクリル樹脂;ジメチロールプロピオン酸などアニオン性基を有するジオールを用いて重合したウレタン樹脂;などが挙げられる。また、分散剤として用いる樹脂の酸価は、50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下であることが好ましい。また、分散剤として用いる樹脂のGPCにより得られるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上15,000以下であることが好ましい。また、インク中の樹脂分散剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.10質量%以上10.00質量%以下、さらに、0.20質量%以上4.00質量%以下であることが好ましい。また、樹脂分散剤の含有量(質量%)は、顔料の含有量(質量%)に対して、質量比率で0.10倍以上1.00倍以下であることが好ましい。
色材として染料を用いる場合、スルホン酸基やカルボキシ基などのアニオン性基を有する水溶性染料を用いることが好ましく、具体的には、カラーインデックス(COLOUR INDEX)に記載された、酸性染料、直接染料、反応性染料などが挙げられる。また、カラーインデックスに記載のない染料であっても、少なくともスルホン酸基やカルボキシ基などのアニオン性基を有する染料であれば、好適に使用することができる。
(水性媒体)
本発明のインクは、水性媒体として水を含有する水性インクである。水性媒体には、さらに水溶性有機溶媒を含有させることができる。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤としては特に限定されるものではなく、アルコール類、グリコール類、アルキレングリコール類、ポリエチレングリコール類、含窒素化合物類、及び含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。また、これらの水溶性有機溶剤の1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
本発明のインクは、水性媒体として水を含有する水性インクである。水性媒体には、さらに水溶性有機溶媒を含有させることができる。水としては脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。水溶性有機溶剤としては特に限定されるものではなく、アルコール類、グリコール類、アルキレングリコール類、ポリエチレングリコール類、含窒素化合物類、及び含硫黄化合物類などのインクジェット用のインクに使用可能なものをいずれも用いることができる。また、これらの水溶性有機溶剤の1種又は2種以上をインクに含有させることができる。
インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.00質量%以上95.00質量%以下であることが好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.00質量%以上50.00質量%以下であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が3.00質量%未満であると、インクをインクジェット記録装置に用いる場合に耐固着性などの信頼性が得られない場合がある。また、水溶性有機溶剤の含有量が50.00質量%超であると、インクの供給不良が起きる場合がある。
(その他の成分)
本発明のインクには、前記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの常温(温度25℃)で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、本発明のインクには、必要に応じて、界面活性剤、樹脂、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
本発明のインクには、前記成分の他に、尿素やその誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタンなどの常温(温度25℃)で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、本発明のインクには、必要に応じて、界面活性剤、樹脂、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及びキレート剤などの種々の添加剤を含有させてもよい。
(インクの物性)
アニオン性基の有する樹脂粒子を含有する水性インクのpHは、通常7.0以上9.5以下であり、本発明のインクもこの範囲内のpHを有することが好ましい。インクの温度25℃における粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上3.5mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、インクの温度25℃における静的表面張力は、28mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。
アニオン性基の有する樹脂粒子を含有する水性インクのpHは、通常7.0以上9.5以下であり、本発明のインクもこの範囲内のpHを有することが好ましい。インクの温度25℃における粘度は、1.0mPa・s以上5.0mPa・s以下であることが好ましく、1.0mPa・s以上3.5mPa・s以下であることがさらに好ましい。また、インクの温度25℃における静的表面張力は、28mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備える。そして、このインク収容部に収容されているインクが、上記で説明した本発明のインクである。図1は、本発明のインクカートリッジの一実施形態を模式的に示す断面図である。図1に示すように、インクカートリッジの底面には、記録ヘッドにインクを供給するためのインク供給口12が設けられている。インクカートリッジの内部はインクを収容するためのインク収容部となっている。インク収容部は、インク収容室14と、吸収体収容室16とで構成されており、これらは連通口18を介して連通している。また、吸収体収容室16はインク供給口12に連通している。インク収容室14には液体のインク20が収容されており、吸収体収容室16には、インクを含浸状態で保持する吸収体22及び24が収容されている。インク収容部は、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容されるインク全量を吸収体により保持する形態であってもよい。また、インク収容部は、吸収体を持たず、インクの全量を液体の状態で収容する形態であってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して、インクのpHよりもpHが低い記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
本発明のインクジェット記録方法は、上記で説明した本発明のインクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して、インクのpHよりもpHが低い記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式や、インクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられる。本発明においては、インクに熱エネルギーを付与してインクを吐出する方式を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。
図2は、本発明のインクジェット記録方法に用いられるインクジェット記録装置の一例を模式的に示す図であり、(a)はインクジェット記録装置の主要部の斜視図、(b)はヘッドカートリッジの斜視図である。インクジェット記録装置には、記録媒体32を搬送する搬送手段(不図示)、及びキャリッジシャフト34が設けられている。キャリッジシャフト34にはヘッドカートリッジ36が搭載可能となっている。ヘッドカートリッジ36は記録ヘッド38及び40を具備しており、インクカートリッジ42がセットされるように構成されている。ヘッドカートリッジ36がキャリッジシャフト34に沿って主走査方向に搬送される間に、記録ヘッド38及び40から記録媒体32に向かってインク(不図示)が吐出される。そして、記録媒体32が搬送手段(不図示)により副走査方向に搬送されることによって、記録媒体32に画像が記録される。
記録媒体としては、インクのpHよりも低いpHを有する中性紙、酸性紙、及び予め酸性にした記録媒体などを用いることが好ましい。
以下、実施例、及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、成分量に関して「部」、及び「%」と記載しているものは特に断らない限り質量基準である。
以下の説明、及び表1中の略号の意味は、以下の通りである。
・アクアロンKH−05:ポリオキシエチレン(15)−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム、第一工業製薬製、スルホン酸基を有する反応性界面活性剤
・Nikkol BC15:ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル、日光ケミカルズ製、ノニオン性界面活性剤
・BMA:n−ブチルメタクリレート
・St:スチレン
・n−HD:n−ヘキサデカン
・ITA:イタコン酸
・MAA:メタクリル酸
・VPhOH:4−ビニルフェノール
・1,4−BDDMA:1,4−ブタンジオールジメタクリレート
・AMBN:2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)
・APS:過硫酸アンモニウム
<樹脂粒子1〜21、24〜33の合成>
樹脂粒子は、先ずコア(第1の層、第2の層の順)を形成し、次いでシェルを形成し、最後にシェルで錯体を形成させることで、合成した。実施例2、6、9、及び比較例5、7、10に使用した樹脂粒子は、第2の層を有さない。
・アクアロンKH−05:ポリオキシエチレン(15)−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸アンモニウム、第一工業製薬製、スルホン酸基を有する反応性界面活性剤
・Nikkol BC15:ポリオキシエチレン(15)セチルエーテル、日光ケミカルズ製、ノニオン性界面活性剤
・BMA:n−ブチルメタクリレート
・St:スチレン
・n−HD:n−ヘキサデカン
・ITA:イタコン酸
・MAA:メタクリル酸
・VPhOH:4−ビニルフェノール
・1,4−BDDMA:1,4−ブタンジオールジメタクリレート
・AMBN:2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)
・APS:過硫酸アンモニウム
<樹脂粒子1〜21、24〜33の合成>
樹脂粒子は、先ずコア(第1の層、第2の層の順)を形成し、次いでシェルを形成し、最後にシェルで錯体を形成させることで、合成した。実施例2、6、9、及び比較例5、7、10に使用した樹脂粒子は、第2の層を有さない。
(第1の層の形成)
表1に記載の第1の層の成分のうち、Nikkol BC15、イオン交換水以外の各成分を混合し、30分間撹拌した。この混合溶液を、Nikkol BC15を溶解したイオン交換水に滴下し、30分間撹拌した。次いで、超音波分散機(デジタルソニファイアーS−150D、ブランソン製)を用い、400W、20kHz、3時間の条件で分散した後、窒素雰囲気下、温度80℃で4時間重合反応を行い、第1の層に相当する樹脂粒子を含む分散液を調製した。
表1に記載の第1の層の成分のうち、Nikkol BC15、イオン交換水以外の各成分を混合し、30分間撹拌した。この混合溶液を、Nikkol BC15を溶解したイオン交換水に滴下し、30分間撹拌した。次いで、超音波分散機(デジタルソニファイアーS−150D、ブランソン製)を用い、400W、20kHz、3時間の条件で分散した後、窒素雰囲気下、温度80℃で4時間重合反応を行い、第1の層に相当する樹脂粒子を含む分散液を調製した。
(第2の層の形成)
樹脂粒子が第2の層を有する場合は、上述で得られた第1の層に相当する樹脂粒子を含む分散液を窒素雰囲気下、温度75℃に加熱し、ここにAPSを加えた。そして表2に記載の第2の層の成分のうち、APS以外の各成分を混合し、乳化して乳化液を得る。その後、その乳化液を上述の第1の層を有する樹脂粒子の分散液に1時間かけて滴下し、重合反応を行い、第1の層の外側に第2の層を有する樹脂粒子を含む分散液を調製した。
樹脂粒子が第2の層を有する場合は、上述で得られた第1の層に相当する樹脂粒子を含む分散液を窒素雰囲気下、温度75℃に加熱し、ここにAPSを加えた。そして表2に記載の第2の層の成分のうち、APS以外の各成分を混合し、乳化して乳化液を得る。その後、その乳化液を上述の第1の層を有する樹脂粒子の分散液に1時間かけて滴下し、重合反応を行い、第1の層の外側に第2の層を有する樹脂粒子を含む分散液を調製した。
(シェルの形成)
さらに、上述で得られた第1の層に相当する樹脂粒子を含む分散液、又は第1の層、第2の層を有する樹脂粒子を含む分散液を、窒素雰囲気下、温度75℃に加熱し、ここにAPSを加えた。そして表3に記載のシェルの成分のうち、APS以外の各成分を混合し、乳化して乳化液を得た。その後、その乳化液を、前記樹脂粒子を含む分散液に1時間かけて滴下し、重合反応を行った。得られた分散液を温度85℃に加熱し、2時間撹拌して、追い込み重合反応を行った。そして、反応液を温度25℃まで冷却し、適量のイオン交換水、25%アンモニア水を添加して、樹脂(固形分)の含有量が20.00%、pH8.5±0.2になるように調整し、分散液を得た。
さらに、上述で得られた第1の層に相当する樹脂粒子を含む分散液、又は第1の層、第2の層を有する樹脂粒子を含む分散液を、窒素雰囲気下、温度75℃に加熱し、ここにAPSを加えた。そして表3に記載のシェルの成分のうち、APS以外の各成分を混合し、乳化して乳化液を得た。その後、その乳化液を、前記樹脂粒子を含む分散液に1時間かけて滴下し、重合反応を行った。得られた分散液を温度85℃に加熱し、2時間撹拌して、追い込み重合反応を行った。そして、反応液を温度25℃まで冷却し、適量のイオン交換水、25%アンモニア水を添加して、樹脂(固形分)の含有量が20.00%、pH8.5±0.2になるように調整し、分散液を得た。
表4及び5の上段には、分散液に含まれる樹脂粒子のコアとシェルの組み合わせを記載している。
(錯体の形成)
上述で得られた樹脂粒子を含む分散液に、表4〜6の下段に記載の錯体の形成の際に必要な各成分を加えて24時間撹拌し、錯体を形成した。その後、適量のイオン交換水、25%アンモニア水を添加することにより、樹脂(固形分)の含有量が15.00%、pH8.5±0.2になるように、分散液を調整した。使用する金属塩の水溶液は、金属イオンの含有量が10.00%、塩酸でpH2.0になるように調整した。
上述で得られた樹脂粒子を含む分散液に、表4〜6の下段に記載の錯体の形成の際に必要な各成分を加えて24時間撹拌し、錯体を形成した。その後、適量のイオン交換水、25%アンモニア水を添加することにより、樹脂(固形分)の含有量が15.00%、pH8.5±0.2になるように、分散液を調整した。使用する金属塩の水溶液は、金属イオンの含有量が10.00%、塩酸でpH2.0になるように調整した。
<樹脂粒子22の合成>
比較例1に使用した樹脂粒子22は、第1の層、第2の層のいずれも有さない。BMA19.80%、ITA3.00%、MAA1.50%、n−HD1.50%、AMBN1.50%の各成分を混合し、30分間撹拌した。この混合溶液を、2.70%のアクアロンKH−05を溶解した32.75%のイオン交換水に滴下し、30分間撹拌した。次いで、超音波分散機(デジタルソニファイアーS−150D、ブランソン製)を用い、400W、20kHz、3時間の条件で分散した。そして、窒素雰囲気下、温度80℃で4時間重合反応を行った。重合反応中に、CaCl2、及び25%アンモニア水をそれぞれ別々に4時間かけて滴下した。その後、得られた分散液を温度85℃に加熱し、2時間撹拌して、追い込み重合反応を行った。そして、反応液を室温まで冷却し、適量のイオン交換水、25%アンモニア水を添加して、樹脂(固形分)の含有量が15.00%、pH8.5±0.2になるように調整し、分散液を得た。樹脂粒子22の組成は、表3のS16に記載した通りである。
比較例1に使用した樹脂粒子22は、第1の層、第2の層のいずれも有さない。BMA19.80%、ITA3.00%、MAA1.50%、n−HD1.50%、AMBN1.50%の各成分を混合し、30分間撹拌した。この混合溶液を、2.70%のアクアロンKH−05を溶解した32.75%のイオン交換水に滴下し、30分間撹拌した。次いで、超音波分散機(デジタルソニファイアーS−150D、ブランソン製)を用い、400W、20kHz、3時間の条件で分散した。そして、窒素雰囲気下、温度80℃で4時間重合反応を行った。重合反応中に、CaCl2、及び25%アンモニア水をそれぞれ別々に4時間かけて滴下した。その後、得られた分散液を温度85℃に加熱し、2時間撹拌して、追い込み重合反応を行った。そして、反応液を室温まで冷却し、適量のイオン交換水、25%アンモニア水を添加して、樹脂(固形分)の含有量が15.00%、pH8.5±0.2になるように調整し、分散液を得た。樹脂粒子22の組成は、表3のS16に記載した通りである。
<樹脂粒子23の合成>
比較例2で使用した樹脂粒子23は、樹脂粒子1と同様の方法で合成するが、錯体を形成する工程を除く。よって、シェルの形成では、反応液を温度25℃まで冷却し、適量のイオン交換水、25%アンモニア水を添加して、樹脂(固形分)の含有量が15.00%、pH8.5±0.2になるように調整し、分散液を得た。
比較例2で使用した樹脂粒子23は、樹脂粒子1と同様の方法で合成するが、錯体を形成する工程を除く。よって、シェルの形成では、反応液を温度25℃まで冷却し、適量のイオン交換水、25%アンモニア水を添加して、樹脂(固形分)の含有量が15.00%、pH8.5±0.2になるように調整し、分散液を得た。
表7〜9に記載の樹脂粒子の分散液の特性は、以下の通りである。
・コアのアニオン性基を有するユニットの割合(%):コア(第1の層のみ)形成の工程におけるモノマー、ハイドロホーブ(重合時の樹脂粒子の分散性補助)、重合開始剤の合計量を基準としたコアのアニオン性基を有するモノマーに由来するユニットの割合
・シェルのアニオン性基を有するユニットの割合(%):シェル形成の工程におけるモノマー、重合開始剤、反応性界面活性剤の合計量を基準としたシェルのアニオン性基を有するモノマーに由来するユニットの割合
・カルボキシ基を2つ以上有するユニットの割合(%):シェル形成の工程におけるモノマー、重合開始剤、反応性界面活性剤の合計量を基準としたカルボキシ基を2つ以上含むアニオン性基を有するモノマーに由来するユニットの割合
・反応性界面活性剤のユニットの割合(%):シェル形成の工程におけるモノマー、重合開始剤、反応性界面活性剤の合計量を基準とした反応性界面活性剤の割合
シェルの錯形成後の膜厚は、体積平均粒径からコアのD50を差し引いて0.5倍した値である。
・コアのアニオン性基を有するユニットの割合(%):コア(第1の層のみ)形成の工程におけるモノマー、ハイドロホーブ(重合時の樹脂粒子の分散性補助)、重合開始剤の合計量を基準としたコアのアニオン性基を有するモノマーに由来するユニットの割合
・シェルのアニオン性基を有するユニットの割合(%):シェル形成の工程におけるモノマー、重合開始剤、反応性界面活性剤の合計量を基準としたシェルのアニオン性基を有するモノマーに由来するユニットの割合
・カルボキシ基を2つ以上有するユニットの割合(%):シェル形成の工程におけるモノマー、重合開始剤、反応性界面活性剤の合計量を基準としたカルボキシ基を2つ以上含むアニオン性基を有するモノマーに由来するユニットの割合
・反応性界面活性剤のユニットの割合(%):シェル形成の工程におけるモノマー、重合開始剤、反応性界面活性剤の合計量を基準とした反応性界面活性剤の割合
シェルの錯形成後の膜厚は、体積平均粒径からコアのD50を差し引いて0.5倍した値である。
<樹脂粒子34の合成>
(第1の層の形成)
BMA19.80%、ITA5.00%、MAA10.00%、n−HD1.50%、AMBN1.50%の各成分を混合し、30分間撹拌した。この混合溶液を、2.70%のアクアロンKH−05を溶解した51.35%のイオン交換水に滴下し、30分間撹拌した。次いで、超音波分散機(デジタルソニファイアーS−150D、ブランソン製)を用い、400W、20kHz、3時間の条件で分散した後、窒素雰囲気下、温度80℃で4時間重合反応を行った。重合反応中に、CaCl27.46%、及び25%アンモニア水11.19%をそれぞれ別々に4時間かけて滴下した。その後、得られた分散液を温度85℃に加熱し、2時間撹拌して、追い込み重合反応を行い、第1の層に相当する樹脂粒子を含む分散液を調製した。
(第2の層の形成)
上述で得られた錯体を形成した第1の層に相当する樹脂粒子を含む分散液78.70%を、窒素雰囲気下、温度75℃に加熱し、ここにAPS0.05%を加えた。そして、BMA4.70%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.35%、1,4−BDDMA0.67%、アクアロンKH−05を0.37%、イオン交換水14.17%を混合し、乳化して乳化液を得た。得られた乳化液を、前記樹脂粒子を含む分散液に1時間かけて滴下し、重合反応を行い、シェルを有する樹脂粒子を含む分散液を調製した。その後、適量のイオン交換水、25%アンモニア水を添加することにより、樹脂(固形分)の含有量が15.00%、pH8.5±0.2になるように調整し、分散液を得た。
(第1の層の形成)
BMA19.80%、ITA5.00%、MAA10.00%、n−HD1.50%、AMBN1.50%の各成分を混合し、30分間撹拌した。この混合溶液を、2.70%のアクアロンKH−05を溶解した51.35%のイオン交換水に滴下し、30分間撹拌した。次いで、超音波分散機(デジタルソニファイアーS−150D、ブランソン製)を用い、400W、20kHz、3時間の条件で分散した後、窒素雰囲気下、温度80℃で4時間重合反応を行った。重合反応中に、CaCl27.46%、及び25%アンモニア水11.19%をそれぞれ別々に4時間かけて滴下した。その後、得られた分散液を温度85℃に加熱し、2時間撹拌して、追い込み重合反応を行い、第1の層に相当する樹脂粒子を含む分散液を調製した。
(第2の層の形成)
上述で得られた錯体を形成した第1の層に相当する樹脂粒子を含む分散液78.70%を、窒素雰囲気下、温度75℃に加熱し、ここにAPS0.05%を加えた。そして、BMA4.70%、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.35%、1,4−BDDMA0.67%、アクアロンKH−05を0.37%、イオン交換水14.17%を混合し、乳化して乳化液を得た。得られた乳化液を、前記樹脂粒子を含む分散液に1時間かけて滴下し、重合反応を行い、シェルを有する樹脂粒子を含む分散液を調製した。その後、適量のイオン交換水、25%アンモニア水を添加することにより、樹脂(固形分)の含有量が15.00%、pH8.5±0.2になるように調整し、分散液を得た。
上述で得られた樹脂粒子34のコアにおけるアニオン性基を有するユニットの割合(%)は15.00%、コアの錯形成後のD50は164.0nmである。シェルにおけるアニオン性基を有するユニットの割合(%)は0.00%、カルボキシ基を2つ以上有するユニットの割合(%)は0.00%、反応性界面活性剤のユニットの割合(%)は5.19%、シェルの膜厚(nm)は15.0nmである。体積平均粒径(nm)は179.0nmである。全アニオン性基の量(μmol/g)は、12μmol/gであり、錯形成しているアニオン性基の量(μmol/g)は、0μmol/gである。
<樹脂粒子の体積平均粒径、及びアニオン性基の量の測定>
本発明において、樹脂粒子の体積平均粒径(D50)は、純水で希釈した樹脂粒子を含有する水溶液を測定サンプルとし、動的光散乱法による粒度分布計(ナノトラックUPA−EX150、日機装製)を使用して、測定した。測定条件は、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:真球形、屈折率:1.59である。
本発明において、樹脂粒子の体積平均粒径(D50)は、純水で希釈した樹脂粒子を含有する水溶液を測定サンプルとし、動的光散乱法による粒度分布計(ナノトラックUPA−EX150、日機装製)を使用して、測定した。測定条件は、SetZero:30s、測定回数:3回、測定時間:180秒、形状:真球形、屈折率:1.59である。
シェルの膜厚は、錯体を形成した後のD50からコアのD50を差し引いて0.5倍して、得られた値である。
アニオン性基の量(μmol/g)は、電位差自動滴定装置(AT510、京都電子工業製)を用い、電位差を利用したコロイド滴定により、pH8.5±0.2の樹脂粒子の分散液中の樹脂粒子の表面電荷量の測定を行うことで、得られた値である。
ここで、pH8.5±0.2で測定する理由は、アニオン性基を有する樹脂粒子を含有する水性インクのpHが通常7.0以上9.5以下であるので、その中央値付近で測定することが好ましいためである。この際、滴定試薬としてメチルグリコールキトサンを用いた。なお、インクから適切な方法により抽出した樹脂粒子を用いて表面電荷量の測定を行うことも勿論可能である。
樹脂粒子の表面電荷量は、より具体的には以下の方法により算出した。シェルの錯体が解離している樹脂粒子の分散液は、錯体を形成している樹脂粒子の分散液のpHを下げることで得た。錯体を形成している樹脂粒子の分散液に、pH8.5の1.0mol/Lの4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンプロパンスルホン酸(HEPPS、東京化成工業製)水溶液を適量加え、前記分散液中の樹脂粒子の濃度が0.1%になるように希釈した。前記分散液に、塩酸を添加して、混合物のpHが2.0になるように調整し、その混合物を24時間撹拌した。その後、得られた混合物を遠心分離し、多価金属イオンを含む上澄みを除いて、沈殿させた固形物を回収した。湿潤した固形物5gに、純水15gを加えて、28%アンモニア水でpH8.5±0.2に調整し、その混合物を15時間撹拌して樹脂粒子の分散液を調製した。撹拌後、得られた樹脂粒子の分散液を遠心分離して粗大粒子を除き、さらに上澄みをポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)を用いて加圧ろ過した。そして、得られた分散液の樹脂粒子(固形分)濃度を水分計(MOC−120H、島津製作所製)で測定した。得られた分散液を、電位差自動滴定装置を用いて、メチルグリコールキトサン滴定液(N/200、和光純薬製)で滴定し、樹脂粒子の質量あたりの電荷量を測定した。この値は、樹脂粒子の有するアニオン性基の量を示す。
錯体を形成しているアニオン性基の量は、前記樹脂粒子の有する表面電荷量から錯体を形成している樹脂粒子の分散液の表面電荷量を引くことで算出した。錯体を形成している樹脂粒子の分散液の表面電荷量は、錯体を形成させた樹脂粒子の分散液を用いて、前記と同様の方法で測定した。
<顔料分散液の調製>
酸価が150mgKOH/gで重量平均分子量が8,000のスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体を10%水酸化カリウム水溶液で中和し、樹脂の含有量が20.00%の樹脂水溶液を得た。そして、樹脂水溶液30.00部、カーボンブラック(モナク1100、キャボット製)20.00部、及びイオン交換水50.00部を混合した。この混合物を、粒径0.3mmのジルコニアビーズ200部を充填したバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)を用いて、5時間分散した。その後、この分散液を遠心分離処理して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行った。前記の方法により、カーボンブラックが樹脂によって水中に分散された状態の顔料分散液(顔料の含有量が20.00%、樹脂の含有量が6.00%)を得た。
酸価が150mgKOH/gで重量平均分子量が8,000のスチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体を10%水酸化カリウム水溶液で中和し、樹脂の含有量が20.00%の樹脂水溶液を得た。そして、樹脂水溶液30.00部、カーボンブラック(モナク1100、キャボット製)20.00部、及びイオン交換水50.00部を混合した。この混合物を、粒径0.3mmのジルコニアビーズ200部を充填したバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)を用いて、5時間分散した。その後、この分散液を遠心分離処理して粗大粒子を除去し、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧ろ過を行った。前記の方法により、カーボンブラックが樹脂によって水中に分散された状態の顔料分散液(顔料の含有量が20.00%、樹脂の含有量が6.00%)を得た。
<インクの調製>
前記で得られた樹脂粒子の分散液を下記各成分と混合した。アセチノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。これを十分撹拌して分散した後、この分散液をポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)を用いて加圧ろ過し、各インクを調製した。
・樹脂粒子の分散液:70.00%
・顔料分散液:10.00%
・グリセリン:10.00%
・ジエチレングリコール:4.00%
・アセチレノールE100:1.00%
・イオン交換水:5.00%
得られた各インクのpHをpHメータ(F−21、堀場製作所製)で測定したところ、いずれのインクも8.5±0.2の範囲内のpHを有していた。
前記で得られた樹脂粒子の分散液を下記各成分と混合した。アセチノールE100は、川研ファインケミカル製のノニオン性界面活性剤である。これを十分撹拌して分散した後、この分散液をポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)を用いて加圧ろ過し、各インクを調製した。
・樹脂粒子の分散液:70.00%
・顔料分散液:10.00%
・グリセリン:10.00%
・ジエチレングリコール:4.00%
・アセチレノールE100:1.00%
・イオン交換水:5.00%
得られた各インクのpHをpHメータ(F−21、堀場製作所製)で測定したところ、いずれのインクも8.5±0.2の範囲内のpHを有していた。
<記録媒体>
比較例13で用いた記録媒体のpHは8.0であり、比較例14で用いた記録媒体のpHは、9.0であった。前記2つの比較例以外で用いた記録媒体のpHは7.0であった。
比較例13で用いた記録媒体のpHは8.0であり、比較例14で用いた記録媒体のpHは、9.0であった。前記2つの比較例以外で用いた記録媒体のpHは7.0であった。
[評価]
本発明においては、下記の各評価の評価基準で、A又はBを許容できるレベルとし、Cを許容できないレベルとした。評価結果を表9に示す。
本発明においては、下記の各評価の評価基準で、A又はBを許容できるレベルとし、Cを許容できないレベルとした。評価結果を表9に示す。
<インクの保存安定性>
前記で得られた各インクを100mLの耐熱性ねじ口びん(ショット製)に80mL注入し、密栓して温度60℃のオーブンで3か月保存した。保存前後のインクの粘度を、回転粘度計(RE80型粘度計、東機産業製)を使用して測定した。保存前の粘度V1(mPa・s)、及び保存後の粘度V2(mPa・s)から、粘度変化(%)=((V2−V1)/V1)×100の式にしたがって粘度変化を算出した。得られた粘度変化の値から保存安定性を評価した。
A:粘度変化が±10%以内であった。
B:粘度変化が±20%以内であった。
C:粘度変化が±20%を超えた。
前記で得られた各インクを100mLの耐熱性ねじ口びん(ショット製)に80mL注入し、密栓して温度60℃のオーブンで3か月保存した。保存前後のインクの粘度を、回転粘度計(RE80型粘度計、東機産業製)を使用して測定した。保存前の粘度V1(mPa・s)、及び保存後の粘度V2(mPa・s)から、粘度変化(%)=((V2−V1)/V1)×100の式にしたがって粘度変化を算出した。得られた粘度変化の値から保存安定性を評価した。
A:粘度変化が±10%以内であった。
B:粘度変化が±20%以内であった。
C:粘度変化が±20%を超えた。
<画像の定着性>
画像記録は、インクジェット記録装置(PIXUS Pro 9500、キヤノン製)を用いて行った。前記インクジェット記録装置では、解像度が600dpi×600dpiで、1/600インチ×1/600インチの単位領域に3.5ngのインク滴を8滴付与する条件で記録した画像を記録デューティが100%であると定義する。
画像記録は、インクジェット記録装置(PIXUS Pro 9500、キヤノン製)を用いて行った。前記インクジェット記録装置では、解像度が600dpi×600dpiで、1/600インチ×1/600インチの単位領域に3.5ngのインク滴を8滴付与する条件で記録した画像を記録デューティが100%であると定義する。
前記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、前記インクジェット記録装置に装着した。そして、普通紙(PB PAPER、キヤノン製)に記録デューティが100%のベタ画像(200mm×200mm)を記録した。ベタ画像を記録後、10秒後にシルボン紙を押し付け、転写する度合いを目視で確認して、定着性を評価した。
A:転写は認められなかった。
B:転写が僅かに認められた。
C:転写がはっきりと認められた。
A:転写は認められなかった。
B:転写が僅かに認められた。
C:転写がはっきりと認められた。
Claims (7)
- コアとシェルを有する樹脂粒子、及び多価金属イオンを含有するとともに、相対的にpHが低い記録媒体に画像を記録するために用いられる水性インクであって、
前記コアを構成する樹脂(C)における、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの占める割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、5.00質量%以下であり、
前記シェルを構成する樹脂(S)が、アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットを有し、前記アニオン性基を有するエチレン性不飽和モノマーに由来するユニットの割合(質量%)が、樹脂全質量を基準として、10.00質量%以上であり、
前記シェルの膜厚が、3.0nm以上15.0nm以下であり、
前記樹脂粒子の有するアニオン性基の一部が、前記多価金属イオンと錯体を形成しており、
前記樹脂粒子の有するアニオン性基の量(μmol/g)が、180μmol/g以上であり、
前記錯体を形成しているアニオン性基の量(μmol/g)が、35μmol/g以上160μmol/g以下であり、
前記樹脂粒子の体積平均粒径(nm)が、50.0nm以上400.0nm以下であることを特徴とする水性インク。 - 前記シェルの前記アニオン性基が、カルボキシ基である請求項1に記載の水性インク。
- 前記多価金属イオンが、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Al3+、及びGa3+からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の水性インク。
- 前記シェルを構成する樹脂(S)が、エチレンオキサイド構造を有するユニットを有し、前記エチレンオキサイド構造を有するユニットの占める割合(質量%)が、シェルを構成する樹脂(S)全質量を基準として、1.00質量%以上である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水性インク。
- 前記シェルを構成する樹脂(S)が、2つ以上のカルボキシ基を有するユニットを有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水性インク。
- インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えているインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクカートリッジ。 - インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出して、前記インクよりもpHが低い記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水性インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
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