JP2017096041A - 地震時の既設木造軸組構造体の完全倒壊防止用部材 - Google Patents

地震時の既設木造軸組構造体の完全倒壊防止用部材 Download PDF

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Abstract

【課題】地震による外力を受けた木造軸組構造体の変形初期には殆ど剪断力には抵抗力を発揮しないが、層間変形角が1/15ラジアンを超えた辺りから急激に抵抗力を発揮する完全倒壊防止部材及び完全倒壊防止部材を活用して地震時に既設木造軸組構造体が完全倒壊することを防止する工法を提供する。【解決手段】木質矩形フレーム210と、木質矩形フレーム210が形成する平面内に配置された少なくとも2つの木質三角形フレーム220を相互に相対移動できないような態様で配置して構成された完全倒壊防止部材200であって、完全倒壊防止部材200を既設木造軸組構造体の柱と横架材とで構成された平面空間内に、木質矩形フレーム210の個々の部材の外側側面と柱及び横架材の内側側面とが実質的に密接するように配置する。【選択図】図2

Description

本発明は、築50年〜70年もの古い木造家屋における既設の柱と横架材(例えば、梁や桁)で囲まれた平面を、光を透過させつつも構造力学的にはせん断変形に対して実質的に剛体として機能する平面に変えることを可能にする部材であって、地震時の既設木造軸組構造体の完全倒壊を防止することが期待される部材に関する。
既設の木造建築物、特に、築年数の古い軸組木造住宅の耐震化が急務であると叫ばれている近年において、軸組木造構造体の耐震化工法や部材の開発努力が活発になされている。かかる開発の基本方針は、大別して、制震化、免震化、と使用部材又は仕口部の高強度化による耐震化(通常の耐震化)の3つである。
制震化の方法としては、例えば、制震ダンパー(特許文献1:特開2008−308906号公報)を柱と横架材との連結部にビスや釘で固定する方法がある。また、制震テープを活用した方法もある
免震化の方法としては、布基礎の上に設置された土台と布基礎の間に免震ゴムや相互滑動可能に構成された金属板を間挿させる方法がある。
高強度化による耐震化の方法には、補強金物(特許文献2:特開2000−054490号公報;特許文献3:特開平10−238136号公報)やメタル製のブレース(特許文献4:特開2009−197432号公報;特許文献5:特開2010−222802号公報)を柱と横架材との連結部に固定する方法がある。また、木質のブレースとして機能する筋交いを使う方法や、金属製品に依存しなくて、木質材のみで耐震化する方法も活発に提案されている(特許文献6:特開2000−234407号公報;特許文献7:特開2010−77785号公報)。
これらに例示される従来の耐震化方法は、その施工時点の観点から、新築時に施工する方法と、既設構造体に後付方式で施工する方法とに大別されるが、本発明で対象とする築50年〜70年以上もの古い木造家屋に後付方式(後施工方式)で対応する場合には、後付方式で施工できる方法に自ずと限定される。
後付式で施工する方法においては、そのいずれの場合も、後付式に設置する器具や部材と既設の柱や横架材に釘やビスを使って固定する方法が採用されているが、築年数の古い木造軸組構造体の場合には釘やビスを打ち付ける相手の木材の表面近傍においては木材の樹脂が失われて粘りがなくなっているので釘やビスに対する引き抜き抵抗力が大幅に減少している場合が多く、結果的に、設置した器具や部材の固定箇所に引っ張り力が加わるとその効果が余り期待できないこととなる。特に、地震時のように柱や横架材に固定するための釘又はビスが引き抜きの繰り返し荷重を受けて、その都度建物の変形レベルが大きくなって層間変形角が1/60ラジアンを超え始めると、固定部が殆ど機能しなくなると、この問題が顕著に顕在化する。
ここで、木造軸組構造体が地震で倒壊するときの構造力学的な現象は、その柱と横架材とで囲まれた平面要素に注目すると、その平面要素のせん断破壊であるとも言える。これに対抗する方法は、大別して、柱と横架材とで構成されたフレームの各部材相互の連結部(仕口部)に曲げモーメント外力に抗することのできる金属製の器具を固定する方法と、そのフレームに囲まれた平面全体がせん断外力に、抵抗するようにする方法とがあるが、そのいずれの方法においても、従前の方法は、せん断外力による変形の初めの段階からせん断外力に抵抗するように構成されているために、必然的に、後付式に設置する器具や部材と既設の柱や横架材に釘やビスを使って固定する方法が採用されているので、上述の問題が潜在的に内在する。
一方、地震の多い日本の木造建築物の伝統的構法においては貫が広く活用されているが、貫の機能は、構造力学的な観点から見ると、貫が設置された平面要素の全体を、外力の面内せん断力の下である一定の変形の後に実質的に剛体面要素として抵抗する機能がある。具体的には、地震時の初動時には殆ど外力に抵抗しないが、構造体の変形がある限度を超えると(一般的に、柱の傾斜度が4度(約1/15ラジアンの層間変形角)から5度(約9/100ラジアンの層間変形角)を超えると)、貫が貫通している柱の貫通孔のエッジが貫の上面に食い込み現象を起こして、これによる抵抗力が急激に増大することで、平面構造要素(しいては、構造体)がそれ以上変形することを防止する。
伝統的構法による構造体の挙動は、柱と横架との仕口部において発生する抵抗力による第1次防御、柱と横架材とで囲まれた平面内に存在する土壁による抵抗力による第2次防御、最後に、貫による抵抗力による第3次防御の順序で防御ラインが構築されているので、第3次防御ラインである貫に存在による急激な抵抗力の増大に至るまでは、徐々に、抵抗力が増大するように構成されている。このときの荷重−変位曲線は、下記サイトにその代表的なものが掲載されている。
http://www.doutekitaishin.com/dentoutaishin
Figure 2017096041
上図では、筋交い(軸組工法)や面材(ツーバイフォー工法)が変形の初めから抵抗するように構成された構造体の場合は、層間変形角が1/30ラジアンを超えると倒壊すると示されているが、
http://homepage2.nifty.com/syotaku/syokai101.htmlに紹介されている伝統構法による実物大の木造建物を使った実験では、「3mの高さのものを、油圧装置で横に40cmほど押して傾けた状態」でも完全には倒壊しなかったことを鑑みると、層間変形角が40/300ラジアン、即ち、柱の傾斜角として約7.64度でも、貫が設置された伝統構法の建物は、その柱が大きく傾くことはあっても、建物全体が完全には倒壊しないことが容易に理解できる。
このことは即ち、構造力学的に貫と同様な機能を呈する構造要素を、何らかの方法で既設の木造軸組構造体に設置できれば、層間変形角が1/15ラジアンを超えて4/30ラジアン近辺にまで変形したとしても、倒壊(完全倒壊)には至らないようにすることの可能性を示唆している。
特許文献1:特開2008−308906号公報
特許文献2:特開2000−054490号公報
特許文献3:特開平10−238136号公報
特許文献4:特開2009−197432号公報
特許文献5:特開2010−222802号公報
特許文献6:特開2000−234407号公報
特許文献7:特開2010−77785号公報
http://tostem.lixil.co.jp/lineup/kouhou/sw/seishin/
貫を活用することは、明治になって斜材を活用する西欧の技術が筋交や火打材の形に変わって一般の木造構造体に導入されるようになってからは、徐々に使われなくなった。しかしながら、その基本的な技術思想は現代においても十分活用できる思想であるにも拘わらず、その特徴が十分理解されないまま今日に至っている。
ここで、地震時における木造家屋の変形挙動を具に観察すると、倒壊は、家屋の上部が水平方向に相対変位することから始まり、この場合、家屋の下部の柱と横架材とで囲まれた個々の平面的空間の形が、矩形から菱形に変形することから始まることが理解できる。このことを鑑みると、個々の柱が、他の柱と独立して変形するのではないことを示唆しており、この点に注目して、この平面的空間の形が矩形から菱形に変形することを防止すれば、地震に対する家屋全体の抵抗力が発揮できることに繋がると期待される。この観点からすると、この平面的空間の中に、せん断変形に対して剛体として機能する構造要素を設置すれば良いことが理解できる。
せん断変形に対して完全な剛体を後付で構成する方法としては、構造用合板をビスや釘で既設の柱と横架材の側面に打ち付ける方法があるが、このような方法では、打ち付けた柱と横架材で構成される平面要素が、変形の開始時から外力に抵抗することとなり、その変形が1/60ラジアンの層間変形角を超えると、打ち付けた釘やビスが抜け始めて、急激に抵抗力がなくなると言う現象が起きるので、本発明の目的である、貫と構造力学的に同様な挙動が得られない。かてて加えて、構造用合板が柱と横架材で構成される平面の全面に亘って打ち付けられるので、光や空気を通すことができなくなり、室内が暗くなり、また、換気上も好ましくない。
以上のことから、本発明において解決しようとする課題は、地震の多い日本に古来から伝わる伝統構法において活用されて来た貫と同様な構造力学的機能を呈する平面的構造要素であって、既設の柱と横架材とで囲まれた平面空間内に後付式(後施工方式)で設置でき、かつ、設置後に、該柱と横架材とで囲まれた平面に沿って該平面に加えられたせん断力に対して、該平面の変形開始時には殆ど抵抗しないが、ある一定の変形(例えば、柱の傾斜度が4度(約1/15ラジアンの層間変形角)から5度(約9/100ラジアンの層間変形角)程度の変形)の後は貫と同様な構造力学的機能を呈する平面的構造要素を新たに提供することにある。
なお、築年数の古い木造軸組構造体においては、長年の間に柱が若干傾斜するのは一般的な現象であり、場合によっては、傾斜角度が既に約3.5度にも達しているので、既設の柱と横架材とで囲まれた平面空間内に後付式(後施工方式)で設置する場合に、既にこのような大きな変形が生じている平面空間内にも対応できるようなものにする必要がある。
本発明者達は、上記の課題を初めて認識した上で、鋭意研究した結果、三角形フレームと云う構造要素の優れた構造力学的特性を十分発揮させるとともに、既設の柱と横架材とで囲まれた平面空間内に、三角形フレームでせん断変形に対して補強された矩形フレームであって、該三角形フレームと、その三角形フレームと構造力学的に一体となってせん断変形に対抗する矩形フレームとから構成される構造要素を後付方式で設置することで、既設の木造軸組構造体が地震時に完全倒壊することを防止できる可能性があるという知見を得て、上記課題を解決することを初めて見出して本発明を完成させるに至った。
本発明に係る三角形フレームは、その各頂点部の取り合い構造を以下説明するような特殊な構造とすることにより、該三角形フレームを構成する個々の部材同士が相互にインターロッキング・メカニズムによりロックされる構成となっている。また、本発明に係る矩形フレームにおいても、それを構成する個々の部材同士が直交連結される各ノード(各連結部)における取り合い構造も、同様に、個々の部材同士が相互にインターロッキング・メカニズムによりロックされる構成となっている。なお、本発明に係るインターロッキング・メカニズムに加えて、矩形フレーム及び/又は三角形フレームの個々の構成部材相互の連結部において、市販されている構造用接着剤又はその他の公知の連結方法が好適に使用できる。
具体的には、第1の発明は、木質棒状又は板状部材を構成部材とする少なくとも2つの三角形フレームの平面的な組み合わせから成る矩形構造体であって、それぞれの三角形フレームを構成する構成部材が、その幅及び長さの全体に亘って、相互に密に接する態様で組み合わされていることを特徴とする矩形構造体の外周を取り巻くようにして、木質棒状又は板状の矩形フレームが設置され、該矩形構造体の外周を構成する構成部材の外側面と該矩形フレームを構成する構成部材の内側面とが、その幅及び長さの全体に亘って、相互に密に接していることを特徴とし、
前記矩形フレームは、
それぞれの木質部材が、その両端のそれぞれにおいて、該木質部材の長軸方向に直交する矩形断面の半分に相当する矩形断面を有する部分が突出しており、一方の端の突出部を該木質部材の長軸に直交する平面に投影して得られる領域と、他方の端の突出部を同じ平面に投影して得られる領域とが相互に重なり合わないことを特徴とし、前記突出部の先端が、相対する木質部材の側面から突出しないことを特徴とし、
前記木質三角形フレームは、
それぞれの木質部材が、その両端のそれぞれにおいて、該木質部材の長軸方向に直交する矩形断面の半分に相当する矩形断面を有する部分が突出しており、一方の端の突出部を該木質部材の長軸に直交する平面に投影して得られる領域と、他方の端の突出部を同じ平面に投影して得られる領域とが相互に重なり合わず、前記突出部の先端は、相対する木質部材の側面から突出しないことを特徴とする
地震時の既設木造軸組構造体の完全倒壊防止部材に係る発明である。
第2の発明は、前記第1の発明において、前記矩形フレームは、前記完全倒壊防止部材の使用前においては、それを構成するそれぞれの木質部材は、その両端において相互に同一平面内で相対移動可能に組み合わされて前記矩形フレームの各角部を構成し、
前記完全倒壊防止部材の使用時には、相互に固定されており、
前記相互に固定されていることが、前記木質部材の両端のそれぞれにおいて、前記突出した矩形断面を有する部分の側面のうち該木質部材の長軸方向に沿った側面が、前記矩形フレームの角部を構成する他方の木質部材の一端において突出した矩形断面を有する部分の側面であって、該他方の木質部材の長軸方向に沿った側面と、面接合されていることで達成されることを特徴とし、
前記三角形部材は、前記完全倒壊防止部材の使用前においては、それを構成するそれぞれの木質部材は、その両端において相互に同一平面内で相対移動可能に組み合わされて前記三角形部材の各頂点部を構成し、
前記完全倒壊防止部材の使用時には、相互に固定されており、
前記相互に固定されていることが、前記木質部材の両端のそれぞれにおいて、前記突出した矩形断面を有する部分の側面のうち該木質部材の長軸方向に沿った側面が、前記三角形部材の頂点部を構成する他方の木質部材の一端において突出した矩形断面を有する部分の側面であって、該他方の木質部材の長軸方向に沿った側面と、面接合されていることで達成されることを特徴とする。
第3の発明は、前記第1又は第2の発明において、前記構成部材が相互に密に接している態様が、2つの構成部材の間を構造用接着剤でもって接合させて達成されることを特徴とする。
第4の発明は、前記第3の発明において、前記2つの構成部材の間を構造用接着剤でもって接合させた接合部に、連続繊維強化型FRPシートが少なくとも1枚間挿接合されており、
前記連続繊維強化型FRPシートが、合成繊維を編むことで得られた1片のベルトに樹脂を現場で含浸させた後硬化させた構成となっている
ことを特徴とする。
第5の発明は、前記第4の発明において、前記合成繊維が、ポリエステル繊維又はナイロン繊維であることを特徴とする。
第6の発明は、前記第4〜第5の発明のうちいずれか1つの発明において、前記連続繊維強化型FRPシートを構成する樹脂が、ポリエステル系樹脂、エポキシ・ウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂、架橋型ポリビニール・アセテート樹脂エマルジョン、及び架橋型酢酸ビニル樹脂エマルジョンの群から選ばれた1種であることを特徴とする。
木質矩形フレームと、それが形成する平面内に配置された少なくとも2つの木質三角形部材とから構成された地震時の既設木造軸組構造体の完全倒壊防止部材であって、該木質矩形フレームが構成する平面内に、複数の木質三角形部材を相互に相対移動できないような態様で配置し、かかる構成を有する木質矩形フレームと木質三角形部材との組み合わせ構造体を提供し、かかる構造体を、既設の柱と横架材とで構成された平面空間内に、該木質矩形フレームの個々の部材の外側側面と既設の柱及び横架材の内側側面とが実質的に密接するように配置することを可能とする構造部材を提供することで、地震の多い日本の木造軸組構造体における先人の智慧の一つである貫と、構造力学的に同様な挙動を示す構造部材を提供して、地震による外力を受けた木造軸組構造体の変形初期には殆ど剪断力には抵抗力を発揮しないが、層間変形角が1/15ラジアンを超えた辺りから急激に抵抗力を発揮すると共に、その設置による圧迫感を与えないような完全倒壊防止部材及びそれを活用した既設木造軸組構造体が地震時に完全倒壊することを防止できることが期待される。
本発明の目的の一つを十分達成することが期待できる。
具体的には、本発明に係る矩形フレームと三角形フレームとの組み合わせにより構成された完全倒壊防止部材のメリットは、おおよそ、以下のとおりである:
(1)本発明に係る完全倒壊防止部材は、それを構成する矩形フレームの各部材を、既設の柱や梁に積極的に固定しなくても、それを設置した既設の柱と横架材とで囲まれた平面空間の変形がある一定の値を超えると、機械的なインターロッキング・メカニズムに類似した機構により、外力によるせん断変形に抵抗することが期待できる。
(2)連結部は相対的に滑動可能に構成されているので、矩形フレーム及び三角形フレームを嵌め込むことが容易である。特に、築年数の古い木造軸組構造体における柱は傾斜しているのが一般的であるので、このような傾斜した柱と横架材とで構成された平面空間内に、その平面に沿って、本発明に係る矩形フレームと三角形フレームの組み合わせ構造体を密接に設置する際には、連結部が相対的に滑動可能であることは有利である。
(3)矩形フレームと三角形フレームとの組み合わせ部材が、既設の柱と横架材で構成された面内に設置されると、変形開始時には、既設の柱と横架材で構成された平面が面内変形しても、その変形と一緒には変形しないが、その変形が一定の値を超えると、急激に、抵抗するので、あたかも貫を設置したのと同様な構造力学効果が期待できる
(4)矩形フレーム、三角形フレーム、いずれの構成要素でも、それぞれ、1本ずつ固着なり固定しつつ、全体を構成することが可能となるので、取扱いが、容易となる。
(5)制震機能を付加することも期待でき、その場合には、本発明に係る連続繊維強化型FRPシートを介在させることで、高価な制震ゴム、制震テープを使用しなくても、地震時の振動エネルギーを吸収する制振特性が期待できる。
以下、図を参照しつつ、本発明を詳述する。なお、同一の参照番号が付された要素は同一の部材又は構造要素を示すものとする。図1−Aに、本発明に係る三角形フレーム要素(100)の一部分である頂点部近傍の斜視図が概念的に図示されている。同図には、部材110及び120のそれぞれの端部において、部材の長軸方向に直交する矩形断面の半分に相当する矩形断面を有する部分が突出して、その突出した部分が相互にかみ合っており、それぞれ相対する部材の側面からは突出しておらず、当該矩形断面を有する突出部の先端面は、相対する部材の側面と平坦面を構成する態様が示されている。同図に図示されているのは鋭角を有する頂点部であるが、同図に図示されていない他の直角の頂点部における構成も同じである。部材110及び120の断面のサイズは同じであることが好ましく、また、ツーバイフォー材のような木材が好適に使用される。その太さ(又は幅)は、設置する箇所の平面を構成する柱及び横架材の太さや外力によるせん断力のレベルに合わせて適宜選択すべきことは言うまでもない。
図1−Bは、三角形フレームの構成部材のうち、あるいは、矩形フレームの構成部材であって、相互に直交して連結される部材の斜視図を示す。同図に示されたように、このような部材は、その両端のそれぞれにおいて、該木質部材の長軸方向に直交する矩形断面の半分に相当する矩形断面を有する部分が突出しており、一方の端の突出部を該木質部材の長軸に直交する平面に投影して得られる領域と、他方の端の突出部を同じ平面に投影して得られる領域とが相互に重なり合わないと云う特徴を有する。このような特徴は、三角形フレームの構成部材のうちの斜材についても同様である。
部材110の図示されていない他方の端における突出部は、同図に示された突出部を部材の長軸に直交する平面に投影したときに得られる領域と、他方の端の突出部を同じ平面に投影して得られる領域とが相互に重なり合わないように構成されている(図1−B参照)。このような連結部の構成は、本発明に係る矩形フレーム(例えば、図2に参照番号210で示された矩形フレーム)の場合も同じである。
部材110と部材120との連結部は、好ましくは相互に緊結されるが、後述する矩形フレームの平面内に、これら部材110と部材120を含む三角形フレームが、複数、相互に密接して配置された場合(例えば、後述の図4又は図7)には、必ずしも緊結しなくても良い。緊結する場合には、nail plate(ネイルプレート)、構造用接着剤、ボルトとナット等による緊結方法が好適に適用できる。
図2は、図1に図示された三角形フレームを4セット、矩形フレーム(210)で形成された平面内に設置した態様を矩形フレームの平面に直交する方向で見たときを示す。同図には、参照番号230で示された部材が、三角形フレーム(220)を上から下に抑えるような態様で設置されているが、この部材は設置されている方が好ましい。1つの三角形フレームと他の三角形フレームとの接触面、及び三角形フレームと矩形フレームとの接触面は、相互に面接合されるのが好ましい。この面接合には構造用の有機系接着剤が好適に使用される。この接合には、一つの代替として、各接合面に垂直な平面に沿って、nail plate(ネイルプレート)を打ち付けたり、構造用接着剤を片面に塗布した木質平板で適宜サイズ設定された木質平板を面接着することもできる。このように、矩形フレームと三角形フレームとが相互に固定されていれば、この全体(200)を、既設の柱と横架材とで囲まれた平面内に設置したときに、矩形フレームの外側面と柱及び横架材との内側面との間に若干(約0.1mm〜0.2mm程度)の隙間が生じても、層間変形角が本発明で想定する約1/15ラジアンから約9/100ラジアンもの大きな値になると、このような若干の隙間が適度に塞がれるので実質的には大きな問題にはならない。
また、上述の面接着の際に、ポリエステル繊維又はナイロン繊維を編んで得られるベルト(厚さ:約1.5mm、幅:50mm)を使用した連続繊維強化型FRPシートであって、合成繊維を編むことで得られた1片のベルトに、現場で、ポリエステル系樹脂、エポキシ・ウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂、架橋型ポリビニール・アセテート樹脂エマルジョン、及び架橋型酢酸ビニル樹脂エマルジョンの群から選ばれた1種を含浸させて硬化させて得られる連続繊維強化型FRPシートを間に少なくとも1枚挿入して接着させることが好ましい。こうすることで、高価な制振用の特殊な樹脂を使わなくても全体として粘弾性特性が期待できるので好適である。この理由は、このような構成によれば、合成繊維のベルトの表と裏の表面に硬化した樹脂の層が形成され、これら2つの樹脂層の間が、合成繊維のベルトの網目を通って表と裏の樹脂層を連結するマイクロ樹脂コラム(micro polymer column)が形成されることとなり、力学的に見ると、2層の樹脂硬化層の間にそれよりも弾性係数の小さな中間層が積層された構造となるからである。
ポリエステル繊維やナイロン繊維は典型的には東レ株式会社や帝人株式会社から入手でき、そのような合成繊維を編んで得られるベルト又はロープとしては、例えば、各種の服地製品を販売しているユザワヤから一般的に入手可能である。繊維の編み方については、網目がありその網目を通してFRP製造用の未硬化の樹脂が染み出すことができる、あるいは、その中に含浸できるようなものであれば特に限定されることはなく、綾織(ツイル)、斜文織、平織、繻子織のいずれでも使用可能であるが、一般的な綾織が好適に使用できる。
本発明においては、異なる部材相互間の面には有機系接着剤が好適に適用されるが、この有機系接着剤としては、エポキシ・ウレタン系樹脂又はウレタン系樹脂を主成分とする接着剤が好適に使用される。この場合のエポキシ・ウレタン系樹脂接着剤としては、例えば、横浜ゴム株式会社から市販されている一液型のハマタイト?が好適に使用でき、ウレタン系樹脂接着剤としては、例えば、セメダイン株式会社から市販されている一液型のものが好適に使用できるが、一般的に、構造用接着剤として使用されるものであれば、どのようなものでも好適に使用可能である。
なお、図2では、矩形フレームの平面内に三角形フレームが配置されているが、この矩形フレームの代わりに、既設の火打ち材と2本の梁とで構成された三角形の平面空間内に、同図に示す三角形フレーム(220)を、構造用接着剤を使用して、その全ての構成部材の外側面と既設の火打ち材及び梁との内側側面とが相互に密接するように配置することで、既設の火打ち材を構造補強することも可能である。その際に、図2の説明の際に記載したものと同じ構成の連続繊維強化型FRPシートを間に少なくとも1枚挿入して接着させることが好ましいことは同様である。
図3は、図2の1つの変形タイプの概念図であり、その構成は上述の図2の構成について詳述したとおりであるが、図2の構成との違いは、部材310が設置されていることである。この部材310は、長さが(図面の紙面に垂直の方向の長さ)、三角形フレーム220を構成する部材の幅(図面の紙面に垂直の方向の幅)と同じであることが好ましい。また、この部材310と三角形フレーム220の部材と接する面は、構造用接着剤で面接着するのが好ましい。この部材310の役割は、三角形フレーム220が、矩形フレームの部材から離れないようにすることであるので、三角形フレーム220と矩形フレーム210とが、それぞれ接する部材相互間が構造用接着剤又は機械的接合具(例えば、nail plate)で接合されているときには、この三角形フレーム310は、特に、無くても良い。
図4は、本発明に係る矩形フレームと三角形フレームから構成された完全倒壊防止部材の概念図であるが、ここには、三角形フレームが、その斜材を相互に密着させた状態で、矩形フレームの中に、8セット、相互に隙間なくぴったし接するように配置され、かつ、矩形フレームの内側面と三角形フレームの外側面とが相互に隙間なくぴったし接するように配置されている態様が示されている。このような構成が達成されると、その全体(400)、即ち、本発明に係る完全倒壊防止部材は、構造力学的には、面内せん断外力に対してあたかも連続体の如く機能する。従って、このような構成の矩形フレームと三角形フレームとから成る部材を、既設の柱と横架材とで構成された平面内に設置して、その外周面と既設の柱と横架材の内周面とを接合すると、構造力学的には、ヒンジ構造とされた既設の柱と横架材からなる構造要素が、ラーメン構造(完全なラーメン構造ではないので、擬似ラーメン構造)の構造要素となる。横架材が対象となる平面の下部だけ又は上部だけに設置されていた場合であっても、上記構成を有する本発明の完全倒壊防止部材の両サイドの垂直部材の外側面とそれに相対する既設の柱の内側面とが面接合されていさえすれば、同様に、擬似ラーメン構造を構成する。
上述の完全倒壊防止部材の構成は、上位概念的に記載すると、以下のようになる。即ち、
木質棒状又は板状部材を構成部材とする少なくとも2つの三角形フレームの平面的な組み合わせから成る矩形構造体であって、それぞれの三角形フレームを構成する構成部材が、その幅及び長さの全体に亘って、相互に密に接する態様で組み合わされていることを特徴とする矩形構造体の外周を取り巻くようにして、木質棒状又は板状の矩形フレームが設置され、該矩形構造体の外周を構成する構成部材の外側面と該矩形フレームを構成する構成部材の内側面とが、その幅及び長さの全体に亘って、相互に密に接していることを特徴とし、
前記矩形フレームは、
それぞれの木質部材が、その両端のそれぞれにおいて、該木質部材の長軸方向に直交する矩形断面の半分に相当する矩形断面を有する部分が突出しており、一方の端の突出部を該木質部材の長軸に直交する平面に投影して得られる領域と、他方の端の突出部を同じ平面に投影して得られる領域とが相互に重なり合わないことを特徴とし、前記突出部の先端が、相対する木質部材の側面から突出しないことを特徴とし、
前記木質三角形フレームは、
それぞれの木質部材が、その両端のそれぞれにおいて、該木質部材の長軸方向に直交する矩形断面の半分に相当する矩形断面を有する部分が突出しており、一方の端の突出部を該木質部材の長軸に直交する平面に投影して得られる領域と、他方の端の突出部を同じ平面に投影して得られる領域とが相互に重なり合わず、前記突出部の先端は、相対する木質部材の側面から突出しない構成である。このような構成の場合には、矩形フレームと三角形フレームとの間を、構造用接着剤又は機械的接合具(nail plate等)で接合しなくても良いが、矩形フレームと三角形フレームとが相互に連結されれば、より強固な構造要素が得られることは云うまでもない。
また、このような構成において、矩形フレームや各三角形フレーム内での個々の構成部材相互の連結部の構成は、以下のようになる。
前記矩形フレームは、前記完全倒壊防止部材の使用前においては、それを構成するそれぞれの木質部材は、その両端において相互に同一平面内で相対移動可能に組み合わされて前記矩形フレームの各角部を構成し、
前記完全倒壊防止部材の使用時には、相互に固定されており、
前記相互に固定されていることが、前記木質部材の両端のそれぞれにおいて、前記突出した矩形断面を有する部分の側面のうち該木質部材の長軸方向に沿った側面が、前記矩形フレームの角部を構成する他方の木質部材の一端において突出した矩形断面を有する部分の側面であって、該他方の木質部材の長軸方向に沿った側面と、面接合されていることで達成されることを特徴とし、
前記三角形部材は、前記完全倒壊防止部材の使用前においては、それを構成するそれぞれの木質部材は、その両端において相互に同一平面内で相対移動可能に組み合わされて前記三角形部材の各頂点部を構成し、
前記完全倒壊防止部材の使用時には、相互に固定されており、
前記相互に固定されていることが、前記木質部材の両端のそれぞれにおいて、前記突出した矩形断面を有する部分の側面のうち該木質部材の長軸方向に沿った側面が、前記三角形部材の頂点部を構成する他方の木質部材の一端において突出した矩形断面を有する部分の側面であって、該他方の木質部材の長軸方向に沿った側面と、面接合されていることで達成される構成となる。
このような構成の場合には、矩形フレームと三角形フレームとの間を、構造用接着剤又は機械的接合具(nail plate等)で接合しなくても良いが、矩形フレームと三角形フレームとが相互に連結されれば、より強固な構造要素が得られることは云うまでもない。
図5は、図1に図示された三角形フレームを2セット、矩形フレーム(510)で形成された平面内に設置した態様を示す。同図には、参照番号530で示された部材が、三角形フレーム(520)を上から下に抑えるような態様で設置されているが、この部材は設置されている方が好ましい。三角形フレームと矩形フレームとは、相互に面接合するのが好ましい。この面接合には構造用の有機系接着剤が好適に使用され、また、その際に、図2の説明の際に記載したものと同じ構成の連続繊維強化型FRPシートを間に少なくとも1枚挿入して接着させることが好ましいことは同様である。
図6は、図5の1つの変形タイプの概念図であり、その構成は上述の図5の構成について詳述したとおりであるが、図5の構成との違いは、部材610が設置されていることである。この部材610は、長さが(図面の紙面に垂直の方向の長さ)、三角形フレーム520を構成する部材の幅(図面の紙面に垂直の方向の幅)と同じであることが好ましい。また、この部材610と三角形フレーム520の部材と接する面は、構造用接着剤で面接着するのが好ましい。この部材610の役割は、三角形フレーム520が、矩形フレームの部材から離れないようにすることであるので、三角形フレーム520と矩形フレーム510とが、それぞれ接する部材相互間が構造用接着剤又は機械的接合具で接合されているときには、この三角形フレーム610は、特に、無くても良い。
図7は、本発明に係る矩形フレームと三角形フレームから構成された完全倒壊防止部材の概念図であるが、その基本的な構成は、上述の図4について詳述したとおりである。ここには、三角形フレームが、その斜材を相互に密着させた状態で、矩形フレームの中に、4セット、相互に隙間なくぴったし接するように配置されている態様が示されている。このように配置される場合には、矩形フレームと三角形フレームとの間を、構造用接着剤又は機械的接合具(nail plate等)で接合しなくても良いが、矩形フレームと三角形フレームとが相互に連結されれば、より強固な構造要素が得られることは云うまでもない。
実施例:
築80年ほどの平屋木造連棟家屋のうちの1軒(間口3間、奥行き4間)において、軒桁と梁との直交部の下にある柱を中心として、そこから東西南北に延在する既設の垂れ壁(南方向に1間、北方向に1間、東方向に2間、西方向に半間)を、その中に設置されていた竹木舞と荒壁を全て除去して、そこに、本発明に係る三角形フレームでせん断に対して補強された矩形フレームから成る完全倒壊防止部材を設置した。軒桁と梁との直交部の下にある柱(角柱)が、この1軒の床のほぼ中央に位置していたので、結果的に、ほぼ中央の柱から東西南北に延在していた垂れ壁部分の平面空間が、本発明に係る完全倒壊防止部材でもって、補強されたことになる。
矩形フレーム、三角形フレームに使用した木材は、2×4(ツーバイフォー)材で、厚さ38mm、幅89mmであった。除去した垂れ壁部分のサイズは、天井を支える桟と差鴨居の上面との間の距離(高さ方向):約550mmで、差鴨居の両端にある柱(角柱)と柱(角柱)の相対する側面の間の距離(水平方向):約1770mmであった。柱の太さは90mmで、差鴨居の幅は90mm、厚さは35mmであった。既設の垂れ壁(差鴨居の上の垂れ壁)に使用されていた壁土と竹木舞を全て除去して、その同じ平面空間内に設置した矩形フレームと三角形フレームの組み合わせは図2に記載されている。三角形フレームの鋭角部は、それぞれ、約42度と約48度である。この場合は、三角形フレームが相互に接する部分、三角形フレームと矩形フレームとが接する部分、部材230と矩形フレームとが接する部分は、全て、構造用接着剤でもって面接着した。使用接着剤は、米国オハイオ州コロンバス市にあるFranklin Internationalから市販されている架橋型ポリビニール・アセテート樹脂エマルジョンから成る接着剤(TiteBondRIII)であった。
柱と柱の側面の間の距離(水平方向):約1770mmの間に、図2に示すような矩形フレームを介して三角形フレームが4セット、相互に密着した状態で挿入できるように三角形フレームの個々の部材のサイズを計算して、三角形フレームの各部材を作成する。同様にして、矩形フレームの個々の部材のサイズを計算して、矩形フレームの各部材を作成する。この場合、矩形フレームの水平部材となる部材の長さは、既設の柱と柱の内側の側面間の距離から若干(例えば、上述の合成繊維で編んだベルトの厚さである1.5mm)短い寸法にすることで、後述するセッティング操作を容易にすることが好ましい。
設置の手順の一例は、以下のとおりである。まず、矩形フレームの下側の水平部材となる部材を、既設の差鴨居の上面に密接するように配置するのであるが、その前に、対象となる既設の差鴨居の上面に構造用接着剤を厚さ約0.5ほどで塗布し、その上に連続繊維強化型FRPシートとなる合成繊維のベルトを置いて(厚さ:1.5mm、幅:50mmを1本、厚さ:1.5mm、幅38mmを1本、同一平面上で平行に置く)、そのベルトの上からヘラでしごきながら、ベルトの網目を通して、下から接着剤を浮き上がらせ、次に、その上から更に同じ構造用接着剤を約0.5mm程度の厚さで塗布して、その上に、矩形フレームの水平部材となる部材を設置する。このとき、クランプで双方の部材を留めることが好適に行われる。次に、矩形フレームの両サイドの垂直部材となる部材を水平部材の両端にそれぞれ?合わせるようにして立てる。このとき、既設の柱の側面と接着させることは、好ましいことではあるが、必須ではない。その理由は、築年数が古い場合には、一般的に、既設の柱は若干傾斜しているので、基本的に矩形フレームの垂直部材との間にウェッジ状の間隙が生じるからである。これ以降、順次、三角形フレームの各部材を、図2に示すような配置で、構造用接着剤を使用して、それぞれ、隣接の三角形フレームの部材や矩形フレームの部材に接着させつつ、設置し、全ての三角形フレームの設置が終了した後で、最後に、矩形フレームの上側の水平部材となる部材を設置する。
なお、矩形フレームの両サイドの垂直部材と既設の柱の側面と面接着させることが可能なほどに既設の柱の傾斜程度が小さいときには、上述のようにして、対象となる既設の柱の相対する内側面に構造用接着剤を厚さ約0.5ほどで塗布し、その上に連続繊維強化型FRPシートとなる合成繊維のベルトを置いて(厚さ:1.5mm、幅:50mmを1本、厚さ:1.5mm、幅38mmを1本、同一平面上で平行に置く)、そのベルトの上からヘラでしごきながら、ベルトの網目を通して、下から接着剤を浮き上がらせ、次に、その上から更に同じ構造用接着剤を約0.5mm程度の厚さで塗布して、その上に、矩形フレームの垂直部材となる部材を押し付けつつ設置する方法が好適に採用される。このような構成とすることで、高価な制振用樹脂や制振テープを使用することなく、制振特性を付与できることが期待される。
既設の一方の柱が約3.2度から3.5度程度、柱と横架材とで構成される平面内で、傾斜しており、他方の柱も、同じ平面内で同じ方向に約2.8度から3.0度程度傾斜していたので、本発明に係る完全倒壊防止部材(矩形フレームと三角形フレームの総合組み合わせ構造体)を設置したところ、矩形フレームの垂直の部材との間にそれぞれ若干のウェッジ状の隙間が生じたが、この隙間は埋めることなく、設置した。このような場合、このウェッジ状の間隙に、同じウェッジ状の板材を挿入するのが好ましいが、本発明の目的の一つは、せん断外力による層間変形角が1/15ラジアンと云う大きな変形の後から有効に抵抗力を発揮させることであるので、外観上は見栄えが良くなくても、構造力学的には、
本発明に係る三角形フレームの一つの頂点部における取り合い構造を示す部分斜視図である。 本発明に係る矩形フレームと4セットの三角形フレームとから構成された完全倒壊防止部材の実施態様の一例である。 図2に示した実施態様の1つの変形タイプである。 本発明に係る矩形フレームと8セットの三角形フレームとから構成された完全倒壊防止部材の実施態様の一例である。 本発明に係る矩形フレームと2セットの三角形フレームとから構成された完全倒壊防止部材の実施態様の一例である。 図5の実施態様の1つの変形タイプである。 本発明に係る矩形フレームと4セットの三角形フレームとから構成された完全倒壊防止部材の実施態様の一例である。

Claims (6)

  1. 木質棒状又は板状部材を構成部材とする少なくとも2つの三角形フレームの平面的な組み合わせから成る矩形構造体であって、それぞれの三角形フレームを構成する構成部材が、その幅及び長さの全体に亘って、相互に密に接する態様で組み合わされていることを特徴とする矩形構造体の外周を取り巻くようにして、木質棒状又は板状の矩形フレームが設置され、該矩形構造体の外周を構成する構成部材の外側面と該矩形フレームを構成する構成部材の内側面とが、その幅及び長さの全体に亘って、相互に密に接していることを特徴とし、
    前記矩形フレームは、
    それぞれの木質部材が、その両端のそれぞれにおいて、該木質部材の長軸方向に直交する矩形断面の半分に相当する矩形断面を有する部分が突出しており、一方の端の突出部を該木質部材の長軸に直交する平面に投影して得られる領域と、他方の端の突出部を同じ平面に投影して得られる領域とが相互に重なり合わないことを特徴とし、前記突出部の先端が、相対する木質部材の側面から突出しないことを特徴とし、
    前記木質三角形フレームは、
    それぞれの木質部材が、その両端のそれぞれにおいて、該木質部材の長軸方向に直交する矩形断面の半分に相当する矩形断面を有する部分が突出しており、一方の端の突出部を該木質部材の長軸に直交する平面に投影して得られる領域と、他方の端の突出部を同じ平面に投影して得られる領域とが相互に重なり合わず、前記突出部の先端は、相対する木質部材の側面から突出しないことを特徴とする
    地震時の既設木造軸組構造体の完全倒壊防止部材。
  2. 前記矩形フレームは、前記完全倒壊防止部材の使用前においては、それを構成するそれぞれの木質部材は、その両端において相互に同一平面内で相対移動可能に組み合わされて前記矩形フレームの各角部を構成し、
    前記完全倒壊防止部材の使用時には、相互に固定されており、
    前記相互に固定されていることが、前記木質部材の両端のそれぞれにおいて、前記突出した矩形断面を有する部分の側面のうち該木質部材の長軸方向に沿った側面が、前記矩形フレームの角部を構成する他方の木質部材の一端において突出した矩形断面を有する部分の側面であって、該他方の木質部材の長軸方向に沿った側面と、面接合されていることで達成されることを特徴とし、
    前記三角形部材は、前記完全倒壊防止部材の使用前においては、それを構成するそれぞれの木質部材は、その両端において相互に同一平面内で相対移動可能に組み合わされて前記三角形部材の各頂点部を構成し、
    前記完全倒壊防止部材の使用時には、相互に固定されており、
    前記相互に固定されていることが、前記木質部材の両端のそれぞれにおいて、前記突出した矩形断面を有する部分の側面のうち該木質部材の長軸方向に沿った側面が、前記三角形部材の頂点部を構成する他方の木質部材の一端において突出した矩形断面を有する部分の側面であって、該他方の木質部材の長軸方向に沿った側面と、面接合されていることで達成されることを特徴とする
    請求項1に記載の地震時の既設木造軸組構造体の完全倒壊防止部材。
  3. 前記構成部材が相互に密に接している態様が、2つの構成部材の間を構造用接着剤でもって接合させて達成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の地震時の既設木造軸組構造体の完全倒壊防止部材。
  4. 前記2つの構成部材の間を構造用接着剤でもって接合させた接合部に、連続繊維強化型FRPシートが少なくとも1枚間挿接合されており、
    前記連続繊維強化型FRPシートが、合成繊維を編むことで得られた1片のベルトに樹脂を現場で含浸させた後硬化させた構成となっている
    ことを特徴とする請求項3に記載の地震時の既設木造軸組構造体の完全倒壊防止部材。
  5. 前記合成繊維が、ポリエステル繊維又はナイロン繊維である
    ことを特徴とする請求項4に記載の地震時の既設木造軸組構造体の完全倒壊防止部材。
  6. 前記連続繊維強化型FRPシートを構成する樹脂が、ポリエステル系樹脂、エポキシ・ウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂、架橋型ポリビニール・アセテート樹脂エマルジョン、及び架橋型酢酸ビニル樹脂エマルジョンの群から選ばれた1種である
    ことを特徴とする請求項4〜5のうちいずれか1項に記載の地震時の既設木造軸組構造体の完全倒壊防止部材。
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