JP2017088687A - ポリアミド樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリアミド樹脂の非ハロゲン難燃剤としてホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩を用いるにあたり、引張強度や曲げ強度、衝撃強度、引張伸度などの機械的物性に優れ、樹脂組成物製造時や成形時の、該難燃剤由来の酸性成分による加工設備の鋼材腐食を抑制することができるポリアミド樹脂組成物を提供すること。【解決手段】ポリアミド樹脂100重量部に対し、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩20〜50重量部と、Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩0.10〜5重量部とを含有するポリアミド樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂組成物製造時や成形時における成形機、金型などの鋼材腐食を抑制することができる難燃性ポリアミド樹脂組成物に関するものである。
ポリアミド樹脂は、引張強度や曲げ強度、衝撃強度、引張伸度などの機械的物性に優れ、しかも耐熱性、耐薬品性が良好であることから、電気電子部品、自動車用部品、建材部品、機械部品等に広く利用されている。
特に、電気電子部品に対しては難燃性に対する要求が強く、UL規格でV−0相当であることが必要条件となっている。熱可塑性樹脂に難燃性を付与する方法としては、難燃剤としてハロゲン系有機化合物を配合する方法が一般的である。しかしながら、ハロゲン系難燃剤を配合した樹脂組成物は、耐トラッキング性などの電気特性が低下することから、近年、これらハロゲンを全く含まない難燃剤を用いることが強く望まれるようになった。
ハロゲンを含まない難燃剤としては、赤燐や水酸化マグネシウム、数種のリン化合物などが挙げられ、過去数多くの検討がなされてきた。特に、ホスフィン酸金属塩やジホスフィン酸金属塩は、比較的少ない配合量で、UL94V−0を達成することが知られている。しかしながら、ポリアミド樹脂にホスフィン酸金属塩やジホスフィン酸金属塩を配合して溶融混練や成形加工を行うと、用いる加工設備の鋼材を腐食させることが確認されている。
そこで、成形機・金型などの鋼材腐食を防止できる樹脂組成物として、例えば、ポリアミド樹脂、ホスフィン酸金属塩および/ジホスフィン酸金属塩、ハイドロタルサイトおよび/またはステアリン酸亜鉛を配合してなるポリアミド樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)や、半芳香族ポリアミド、ホスフィン酸塩、ジホスフィン酸塩およびそれらの縮合生成物からなる群から選択される少なくとも1種の有機リン化合物、酸化カルシウムを含むポリマー組成物(例えば、特許文献2参照)が提案されている。また、金属製部品の腐食や摩耗を低減する方法として、融点が270〜300℃であるポリアミドおよびホスフィン酸塩を含むポリアミド組成物のペレットの製造方法であって、押出機のシリンダー温度が310℃を超えない条件で少なくとも上記ポリアミドおよびホスフィン酸塩を溶融混練し、次いでペレット化する、ポリアミド組成物の製造方法(例えば、特許文献3参照)が提案されている。これらの方法により、鋼材の腐食を抑制することができるものの、メンテナンス頻度をより少なくして生産効率を向上させるため、鋼材の腐食をより抑制する技術が求められています。
本発明は上述した従来技術の課題に鑑み、ポリアミド樹脂の非ハロゲン難燃剤としてホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩を用いるにあたり、引張強度や曲げ強度、衝撃強度、引張伸度などの機械的物性に優れ、樹脂組成物製造時や成形時の、該難燃剤由来の酸性成分による加工設備の鋼材腐食を抑制することができるポリアミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明は、かかる課題を解決するために鋭意検討した結果、次のような手段を採用するものである。
(1)ポリアミド樹脂100重量部に対し、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩20〜50重量部と、Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩0.10〜5重量部とを含有するポリアミド樹脂組成物。
(2)前記ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩における金属塩が、アルミニウム塩を含む(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)前記ポリアミド樹脂が、融点170℃〜340℃のポリアミド樹脂を含む(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)前記Li含有ハイドロタルサイトが下記一般式(A)で表される(1)〜(3)いずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
Li2Al4(OH)12・(SiOx) (A)
ただし、上記一般式(A)中、Xは1、2または4を示す。
(5)前記炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウムを含む(1)〜(4)いずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)いずれか記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品。
(1)ポリアミド樹脂100重量部に対し、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩20〜50重量部と、Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩0.10〜5重量部とを含有するポリアミド樹脂組成物。
(2)前記ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩における金属塩が、アルミニウム塩を含む(1)記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)前記ポリアミド樹脂が、融点170℃〜340℃のポリアミド樹脂を含む(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)前記Li含有ハイドロタルサイトが下記一般式(A)で表される(1)〜(3)いずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
Li2Al4(OH)12・(SiOx) (A)
ただし、上記一般式(A)中、Xは1、2または4を示す。
(5)前記炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウムを含む(1)〜(4)いずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)(1)〜(5)いずれか記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂の非ハロゲン難燃剤としてホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩を用いるにあたり、引張強度や曲げ強度、衝撃強度、引張伸度などの機械的物性に優れ、樹脂組成物製造時や成形時の、該難燃剤由来の酸性成分による加工設備の鋼材腐食を抑制することができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂100重量部に対し、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩20〜50重量部と、Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩0.10〜5重量部とを含有する。ポリアミド樹脂を含有することにより、引張強度や曲げ強度、衝撃強度、引張伸度などの機械的物性を向上させることができる。ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩を含有することにより、難燃性を向上させることができる一方、前述のとおり、ポリアミド樹脂にホスフィン酸金属塩やジホスフィン酸金属塩を配合して溶融混練や成形加工を行うと、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩から酸性成分が発生し、加工設備の鋼材を腐食させることが知られていた。本発明のポリアミド樹脂組成物は、Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩により、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩に由来する酸性成分を捕捉し、機械的物性を維持しながら、鋼材の腐食を抑制することができる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、環状ラクタムの開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、二塩基酸とジアミンとの重縮合物などが挙げられる。具体的には、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンアジパミドコポリマー(ポリアミド6/66)、ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド6/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/6I)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンセバカミドコポリマー(ポリアミド6T/610)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリドデカンアミドコポリマー(ポリアミド6T/12)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6T/6I)、ポリヘキサメチレンアジパミド/ポリカプロアミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマー(ポリアミド66/6/6I)、ポリキシレンアジパミド(ポリアミドXD6)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリ−2−メチルペンタメチレンテレフタルアミドコポリマー(ポリアミド6T/5MT)、ポリテトラメチレンテレフタルアミド(ポリアミド4T)、ポリノナメチレンテレフタルアミド(ポリアミド9T)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)、ポリドデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド12T)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)およびこれらの共重合体を挙げることができる。これらを2種以上用いてもよい。中でも、機械的強度、剛性、靭性をよりバランスよく向上させることができることから、ポリカプロアミド(ポリアミド6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリデカメチレンテレフタルアミド(ポリアミド10T)がより好ましい。
ポリアミド樹脂の融点には特に制限はないが、耐熱性を向上させる観点から、170℃以上が好ましい。一方、樹脂組成物製造時の押出加工性や成形加工性を向上させる観点から、340℃以下が好ましい。ここで、ポリアミド樹脂の融点は、JIS K7121(1987年)に準拠し、示差走査型熱量測定装置を用いて昇温速度20℃/分で昇温したときの融解ピーク温度を指す。
ポリアミド樹脂の重合度には特に制限はないが、ISO307に準拠した硫酸96%法による粘度数が70〜250ml/gの範囲であることが好ましい。粘度数が70ml/g以上であれば、機械的物性をより向上させることができる。一方、粘度数が250ml/g以下であれば、成形加工性を向上させることができる。粘度数は200ml/g以下がより好ましい。
本発明で用いるホスフィン酸金属塩およびジホスフィン酸金属塩としては、ホスフィン酸またはジホスフィン酸のアルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。その中でもアルミニウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩が好ましく、入手のしやすさの観点から、アルミニウム塩がより好ましい。
ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩は、市販のものを使用することができる。例えば、クラリアント社製“Exolit”(登録商標)OP1230、OP930、OP935等が挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩の含有量は、ポリアミド樹脂100重量部に対して、20〜50重量部である。ここで、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩の含有量とは、ホスフィン酸金属塩またはジホスフィン酸金属塩のいずれか一方のみを含有する場合にはその含有量を、ホスフィン酸金属塩およびジホスフィン酸金属塩の両方を含有する場合にはその合計含有量を指す。ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩の含有量が20重量部未満であると、UL94V−0の難燃性を達成することが困難となる。30重量部以上が好ましい。一方、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩の含有量が50重量部を超えると、引張強度や曲げ強度、衝撃強度、引張伸度などの機械的物特性が低下し、成形時に金型表面が汚染する。45重量部以下が好ましい。
本発明で用いるハイドロタルサイトは、Liを含有するものである。Li含有ハイドロタルサイトは塩基性であり、酸性成分を中和、捕捉することができるため、酸性成分を捕捉する効果が大きく、樹脂組成物製造時や成形時の、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩由来の酸性成分による加工設備の鋼材腐食を抑制することができる。中でも、下記一般式(A)で表されるLi含有ハイドロタルサイトが好ましい。
Li2Al4(OH)12・(SiOx) (A)
ただし、上記一般式(A)中、Xは1、2または4を示す。
Li2Al4(OH)12・(SiOx) (A)
ただし、上記一般式(A)中、Xは1、2または4を示す。
Li含有ハイドロタルサイトは、例えば、Li塩を含むアルカリ溶液とハイドロタルサイトを混合、撹拌しながら、100℃以下でエージングすることにより得ることができる。また、Li含有ハイドロタルサイトは、市販のものを使用することができる。例えば、戸田工業(株)製OPTIMA等が挙げられる。
本発明で用いる炭酸水素塩としては、炭酸水素のナトリウム塩、アルミニウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でもナトリウム塩が好ましい。炭酸水素塩は酸性成分を中和する効果が大きく、樹脂組成物を製造する際や、樹脂組成物を成形する際の加工設備の鋼材腐食を防止できる。
本発明のポリアミド樹脂組成物において、Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩の含有量は、ポリアミド樹脂100重量部に対して、0.10〜5重量部である。ここで、Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩の含有量とは、ハイドロタルサイトまたは炭酸水素塩のいずれか一方のみを含有する場合にはその含有量を、Li含有ハイドロタルサイトおよび炭酸水素塩の両方を含有する場合にはその合計含有量を指す。Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩の含有量が0.10重量部未満であると、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩に由来する酸性成分の捕捉、中和が不充分となり、鋼材腐食の抑制効果が低下する。Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩の含有量は、0.5重量部以上が好ましい。一方、ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩の含有量が5重量部を超えると、引張強度や曲げ強度、衝撃強度、引張伸度などの機械的物性が低下する。Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩の含有量は、3重量部以下が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を樹脂成形品に含有してもよい。他の成分としては、例えば、ホスフィン酸金属塩およびジホスフィン酸金属塩以外の非ハロゲン難燃剤(赤燐、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、リン酸エステル、あるいは、ベンゾグアニン化合物、トリス(ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートのテレフタル酸エステル化合物、アラントイン化合物、グリコールウリル化合物、メラミンホスフェート化合物、ジメラミンホスフェート化合物、メラミンピロホスフェート化合物、メレム、メラムなど)、酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、長期耐熱安定剤(銅化合物、ジペンタエリスリトール等)、長期耐熱安定剤助剤(ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のハロゲン化アルカリ化合物)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素、ポリエチレンワックスおよびジペンタエリスリトール等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどの非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、ポリアミド樹脂以外の重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、ポリフェニレンサルファイド樹脂等)、エラストマー(エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/オクテン共重合体、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、スチレン/エチレン/ブタジエン/スチレン共重合体等)やアイオノマー等を挙げることができる。
本発明のポリアミド樹脂組成物の製造方法については特に制限はなく、ポリアミド樹脂と、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩、Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩、必要に応じて他の成分をドライブレンドする方法、ポリアミド樹脂とホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩、Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩、必要に応じて他の成分を溶融混練する方法などが挙げられる。これらの中でも、ポリアミド樹脂とホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩、Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩および必要に応じて他の成分を溶融混練する方法が好ましく、ポリアミド樹脂組成物中の各成分の分散性が向上することから、本発明の効果をより向上させることができる。溶融混練装置には特に制限はないが、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩、Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩の分散性の観点から押出機が好ましく、二軸押出機がより好ましい。また、溶融混練時に発生する水分や、低分子量の揮発成分を除去する目的で、ベント口を設けることも好ましい。原料の供給方法には特に制限はないが、二軸押出機を用いる場合には、ポリアミド樹脂とホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩、Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩、必要に応じて他の成分をあらかじめブレンダー等で混合しておき、それを二軸押出機のフィード口から供給する方法が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、通常公知の射出成形、射出圧縮成形、圧縮成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、紡糸などの任意の方法で成形することができ、各種成形品に加工し利用することができる。成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、一軸延伸、二軸延伸などの各種フィルム、シート、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸など各種繊維などが挙げられる。特に、本発明においては、難燃性に優れる点を活かして、携帯電話やパソコンの筐体等の各種電気・電子部品、エンジンルーム内部品などの自動車部品などに好適に用いることができる。
実施例・比較例における各特性の評価は以下の方法により行った。
(1)引張強度、引張伸度
ISO294−1(2005年)に準処し、厚さ4mmの多目的試験片を成形した。得られた多目的試験片を用いて、気温23℃、湿度50%RHの雰囲気下、ISO527(2012年)に準処し、引張速度50mm/分、標点間距離115mmの条件で、引張強度および引張伸度の測定を行った。測定は各5個のサンプルについて行い、その平均値を算出した。
ISO294−1(2005年)に準処し、厚さ4mmの多目的試験片を成形した。得られた多目的試験片を用いて、気温23℃、湿度50%RHの雰囲気下、ISO527(2012年)に準処し、引張速度50mm/分、標点間距離115mmの条件で、引張強度および引張伸度の測定を行った。測定は各5個のサンプルについて行い、その平均値を算出した。
(2)曲げ強度、曲げ弾性率
ISO294−1(2005年)に準処し、厚さ4mmの多目的試験片を成形した。得られた多目的試験片を用いて、気温23℃、湿度50%RHの雰囲気下、ISO178(2010年)に準処し、降伏速度2mm/分、スパン間距離64mmの条件で、曲げ強度および曲げ弾性率の測定を行った。測定は各5個のサンプルについて行い、その平均値を算出した。
ISO294−1(2005年)に準処し、厚さ4mmの多目的試験片を成形した。得られた多目的試験片を用いて、気温23℃、湿度50%RHの雰囲気下、ISO178(2010年)に準処し、降伏速度2mm/分、スパン間距離64mmの条件で、曲げ強度および曲げ弾性率の測定を行った。測定は各5個のサンプルについて行い、その平均値を算出した。
(3)シャルピー衝撃強度
ISO294−1(2005年)に準処し、厚さ4mmの多目的試験片を成形した。この多目的試験片の中央部分より、80mm×10mm×4mmの試験片を切削加工し、得られた試験片を、JISK7144(1999年)に準処してノッチ加工することにより、衝撃試験片を得た。得られた衝撃試験片を用いて、気温23℃、湿度50%RHの雰囲気下、ISO179(2010年)に準処し、シャルピー衝撃強度の測定を行った。測定は各10個のサンプルについて行い、その平均値を算出した。
ISO294−1(2005年)に準処し、厚さ4mmの多目的試験片を成形した。この多目的試験片の中央部分より、80mm×10mm×4mmの試験片を切削加工し、得られた試験片を、JISK7144(1999年)に準処してノッチ加工することにより、衝撃試験片を得た。得られた衝撃試験片を用いて、気温23℃、湿度50%RHの雰囲気下、ISO179(2010年)に準処し、シャルピー衝撃強度の測定を行った。測定は各10個のサンプルについて行い、その平均値を算出した。
(4)難燃性
UL94の垂直燃焼試験に準拠し、厚み0.4mmの試験片について燃焼性試験を行った。すなわち、垂直にクランプで固定された試験片にバーナーの炎を10秒間接炎させ、炎を離してから試験片の炎が消えるまでの時間を秒単位で測定し、燃焼停止時間を測定した。試験片1本あたり、10秒間の接炎を2回行い、下記基準により判定した。
「V−0判定」
・試験片1本あたりの1回目の燃焼停止時間が10秒以下
・試験片5本合計の1回目の燃焼停止時間が50秒以下
・試験片1本あたりの2回目の燃焼停止時間が30秒以下
・接炎後のクランプまでの燃焼不可
・ドリップ時の脱脂綿の燃焼不可
「V−2判定」
・試験片1本あたりの1回目の燃焼停止時間が30秒以下
・試験片5本合計の1回目の燃焼停止時間が250秒以下
・試験片1本あたりの2回目の燃焼停止時間が60秒以下
・接炎後のクランプまでの燃焼不可
・ドリップ時の脱脂綿の燃焼可。
UL94の垂直燃焼試験に準拠し、厚み0.4mmの試験片について燃焼性試験を行った。すなわち、垂直にクランプで固定された試験片にバーナーの炎を10秒間接炎させ、炎を離してから試験片の炎が消えるまでの時間を秒単位で測定し、燃焼停止時間を測定した。試験片1本あたり、10秒間の接炎を2回行い、下記基準により判定した。
「V−0判定」
・試験片1本あたりの1回目の燃焼停止時間が10秒以下
・試験片5本合計の1回目の燃焼停止時間が50秒以下
・試験片1本あたりの2回目の燃焼停止時間が30秒以下
・接炎後のクランプまでの燃焼不可
・ドリップ時の脱脂綿の燃焼不可
「V−2判定」
・試験片1本あたりの1回目の燃焼停止時間が30秒以下
・試験片5本合計の1回目の燃焼停止時間が250秒以下
・試験片1本あたりの2回目の燃焼停止時間が60秒以下
・接炎後のクランプまでの燃焼不可
・ドリップ時の脱脂綿の燃焼可。
(5)銅板の腐食
φ900mmのガラスシャーレの中心に樹脂ペレット10gを置き、ペレット上部に15mm×30mm×1mm厚みのガラス板を乗せ、その上に10mm×20mm×1mm厚みの銅版を乗せ、シャーレの蓋を被せた。これを330℃(実施例4のみ280℃)で15分間熱処理した後、銅板の表面状態を目視観察し、下記基準で評価した。
○:腐食なし、堆積物が殆どない状態
△:若干腐食あり、堆積物が少量ある状態
×:腐食あり、銅板が茶色に変色して堆積物が多量にある状態。
φ900mmのガラスシャーレの中心に樹脂ペレット10gを置き、ペレット上部に15mm×30mm×1mm厚みのガラス板を乗せ、その上に10mm×20mm×1mm厚みの銅版を乗せ、シャーレの蓋を被せた。これを330℃(実施例4のみ280℃)で15分間熱処理した後、銅板の表面状態を目視観察し、下記基準で評価した。
○:腐食なし、堆積物が殆どない状態
△:若干腐食あり、堆積物が少量ある状態
×:腐食あり、銅板が茶色に変色して堆積物が多量にある状態。
(6)ポリアミド樹脂の融点
JIS K7121(1987年)に準拠し、示差走査型熱量測定装置を用いて、昇温速度20℃/分の条件で測定した。
JIS K7121(1987年)に準拠し、示差走査型熱量測定装置を用いて、昇温速度20℃/分の条件で測定した。
(7)ポリアミド樹脂の粘度数
ISO307(2007年)に準拠して、溶媒に96%硫酸を用いて測定した。
ISO307(2007年)に準拠して、溶媒に96%硫酸を用いて測定した。
実施例・比較例に用いた原料を以下に示す。
<ポリアミド樹脂>
・ポリアミド10T樹脂:融点315℃、粘度数110ml/g
・ポリアミド66樹脂:融点265℃、粘度数117ml/g
<ガラス繊維>
・チョップドストランド状 日本電気硝子(株)製 T275H(断面の直径10.5μm、繊維長3mm、表面処理シランカップリング剤)
<ジホスフィン酸アルミニウム>
・クラリアント社製“Exolit”(登録商標) OP1230
<ハイドロタルサイト>
・Li含有ハイドロタルサイト:戸田工業(株)製OPTIMA
・ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製KW2100(組成Mg0.7Al0.3O1.15)
<炭酸水素塩>
・炭酸水素ナトリウム:和光純薬工業(株)製
<金属酸化物>
・酸化カルシウム:和光純薬工業(株)製。
<ポリアミド樹脂>
・ポリアミド10T樹脂:融点315℃、粘度数110ml/g
・ポリアミド66樹脂:融点265℃、粘度数117ml/g
<ガラス繊維>
・チョップドストランド状 日本電気硝子(株)製 T275H(断面の直径10.5μm、繊維長3mm、表面処理シランカップリング剤)
<ジホスフィン酸アルミニウム>
・クラリアント社製“Exolit”(登録商標) OP1230
<ハイドロタルサイト>
・Li含有ハイドロタルサイト:戸田工業(株)製OPTIMA
・ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製KW2100(組成Mg0.7Al0.3O1.15)
<炭酸水素塩>
・炭酸水素ナトリウム:和光純薬工業(株)製
<金属酸化物>
・酸化カルシウム:和光純薬工業(株)製。
実施例1〜3、5、比較例1〜6
表1に示した配合比で各成分を混合し、2軸押出機(Werner&Pfleiderer製:ZSK57)を用いてシリンダー設定温度330℃、スクリュー回転数200rpmの条件下で溶融混練を行った。溶融混練した後、ストランド状のガットを冷却バスで冷却し、カッターを用いてペレットを得た。得られた樹脂組成物のペレットを80℃、12時間の条件で真空乾燥した。乾燥したペレットを用いて、日精樹脂工業(株)製のNEX1000射出成形機を用いて、シリンダー温度330℃、金型温度130℃の条件で成形し、各試験片を成形した。
表1に示した配合比で各成分を混合し、2軸押出機(Werner&Pfleiderer製:ZSK57)を用いてシリンダー設定温度330℃、スクリュー回転数200rpmの条件下で溶融混練を行った。溶融混練した後、ストランド状のガットを冷却バスで冷却し、カッターを用いてペレットを得た。得られた樹脂組成物のペレットを80℃、12時間の条件で真空乾燥した。乾燥したペレットを用いて、日精樹脂工業(株)製のNEX1000射出成形機を用いて、シリンダー温度330℃、金型温度130℃の条件で成形し、各試験片を成形した。
実施例4
二軸押出機のシリンダー設定温度を280℃に変更した以外は実施例1と同様にして乾燥したペレットを得た。得られたペレットを用いて、射出成形機のシリンダー温度を280℃、金型温度を80℃に変更した以外は実施例1と同様にして各試験片を成形した。
二軸押出機のシリンダー設定温度を280℃に変更した以外は実施例1と同様にして乾燥したペレットを得た。得られたペレットを用いて、射出成形機のシリンダー温度を280℃、金型温度を80℃に変更した以外は実施例1と同様にして各試験片を成形した。
各実施例および比較例の組成および評価結果を表1に示す。
Claims (6)
- ポリアミド樹脂100重量部に対し、ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩20〜50重量部と、Li含有ハイドロタルサイトおよび/または炭酸水素塩0.10〜5重量部とを含有するポリアミド樹脂組成物。
- 前記ホスフィン酸金属塩および/またはジホスフィン酸金属塩における金属塩が、アルミニウム塩を含む請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記ポリアミド樹脂が、融点170℃〜340℃のポリアミド樹脂を含む請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 前記Li含有ハイドロタルサイトが下記一般式(A)で表される請求項1〜3いずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
Li2Al4(OH)12・(SiOx) (A)
ただし、上記一般式(A)中、Xは1、2または4を示す。 - 前記炭酸水素塩が炭酸水素ナトリウムを含む請求項1〜4いずれか記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜5いずれか記載のポリアミド樹脂組成物からなる成形品。
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